(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】法面崩落防止用成形体製造チューブ
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20231208BHJP
B28B 7/34 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
E02D17/20 104C
B28B7/34 F
E02D17/20 103A
(21)【出願番号】P 2019143669
(22)【出願日】2019-08-05
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231431
【氏名又は名称】日本植生株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 博文
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大
(72)【発明者】
【氏名】藤嶋 泰良
(72)【発明者】
【氏名】大倉 卓雄
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-059336(JP,A)
【文献】特開平09-151460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/20
B28B 7/00-7/46
B28B 23/00-23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントに水を加えた混合材料、前記混合材料に砂を加えたモルタル、又は、前記モルタル材料に砂利を加えたコンクリート素材である水和材料が
内部に充填される
長尺な筒状のチューブ本体と、
前記チューブ本体の内周面に沿って配置される補助内層と、を備え、
前記チューブ本体は、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維によって形成され、
前記補助内層は、
前記チューブ本体の内周面に沿って配置されるネット状の編物によって構成される基布を有し、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、セルロース繊維、又はポリオレフィン系繊維によって形成され、
前記基布の各編目は、該補助内層に囲まれた領域に供給された前記水和材料が該補助内層と前記チューブ本体との間に進入可能な進入孔を
構成し、
前記チューブ本体と前記補助内層とは、周方向に間隔をあけた少なくとも三か所で接続され、
周方向において、前記チューブ本体の接続箇所間の長さ寸法が、該チューブ本体の接続箇所間と対応する前記補助内層の接続箇所間の長さ寸法より大きく、これにより、該周方向における接続箇所間では、前記チューブ本体と前記補助内層との間に隙間が形成されている、
法面崩落防止用成形体製造チューブ。
【請求項2】
前記チューブ本体は、透水性を有する織物によって構成さ
れる、請求項1に記載の
法面崩落防止用成形体製造チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラリー(泥漿)状乃至液状の水和材料を充填硬化させて柱状の成形体を製造する際等に使用される成形体製造チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水和材料を筒状の袋に充填硬化させて柱状の成形体を製造する工法が知られている(特許文献1参照)。具体的に、この工法では、法面に、繊維製の筒状袋(成形体製造チューブ)が配置された後、該筒状袋の中へセメントモルタルが注入され、乾燥硬化することによって柱状の成形体が法面上に形成(製造)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように製造された柱状の成形体において、その表面の繊維製の筒状袋が損傷(破れ等)した場合等には、強度不足になる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、製造された柱状の成形体において十分な強度を確保できる成形体製造チューブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の成形体製造チューブは、
内部に水和材料が充填されるチューブ本体と、
前記チューブ本体の内周面に沿って配置される補助内層と、を備え、
前記補助内層は、該補助内層に囲まれた領域に供給された前記水和材料が該補助内層と前記チューブ本体との間に進入可能な進入孔を有する。
【0007】
かかる構成によれば、成形体製造チューブに水和材料を充填硬化させた成形体(柱状の成形体)において、表面のチューブ本体が損傷したとしても、チューブ本体の内周面に沿って補助内層が配置されているため、柱状に硬化した水和材料のみの構成に比べ、十分な強度(例えば、曲げ強度)が確保される。
【0008】
しかも、水和材料を成形体製造チューブ内に充填するときに、該水和材料が進入孔から補助内層とチューブ本体との間に進入することで、形成された成形体において、補助内層が柱状に硬化した水和材料の内側に位置する(即ち、補助内層の外側を硬化した水和材料が覆っている)ため、該補助内層への紫外線等の外部からの影響が抑えられ、これにより、成形体の強度が長期間にわたって維持される。
【0009】
前記成形体製造チューブでは、
前記チューブ本体は、透水性を有する織物によって構成され、
前記補助内層は、前記チューブ本体の内周面に沿って配置されるネット状の編物によって構成される基布を有し、
前記基布の各編目は、前記進入孔を構成してもよい。
【0010】
このように、ネット状の編物によって構成される基布の各編目を利用して補助内層の外側(補助内層とチューブ本体との間)に水和材料を進入可能な構成とすることで、補助内層とチューブ本体との間に水和材料を十分に行き渡らせることができる。
【0011】
また、前記成形体製造チューブでは、
前記チューブ本体と前記補助内層とは、周方向に間隔をあけた少なくとも三か所で接続され、
該周方向における接続箇所間では、前記チューブ本体と前記補助内層との間に隙間が形成されてもよい。
【0012】
このように、チューブ本体と補助内層との間に隙間が形成されることで、成形体を製造する際に、補助内層の外側が前記隙間に進入した水和材料によってより確実に覆われる。
【発明の効果】
【0013】
以上より、本発明によれば、製造された柱状の成形体において十分な強度を確保できる成形体製造チューブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る成形体製造チューブを開口方向から見た図である。
【
図2】
図2は、補助内層を構成する繊維構造体を第一の地組織側から見た図である。
【
図3】
図3は、前記繊維構造体を第二の地組織側から見た図である。
【
図4】
図4は、筒状にした前記繊維構造体を開口方向から見た図である。
【
図5】
図5は、前記成形体製造チューブを法面に配置した状態を説明するための図である。
【
図6】
図6は、前記成形体製造チューブに水和材料が充填された状態を示す図である。
【
図7】
図7は、他実施形態に係る成形体製造チューブを開口方向から見た図である。
【
図8】
図8は、他実施形態に係る成形体製造チューブを開口方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図6を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態に係る成形体製造チューブでは、内部に水和材料が充填され、この水和材料が硬化することによって、柱状の成形体が形成(製造)される。この成形体は、例えば、法面の崩落を防ぐのに用いられる(
図5参照)。本実施形態において、水和材料とは、セメント(紛体)に水を加えた混合素材や、この混合素材に砂を加えたモルタル素材や、更に砂利を加えたコンクリート素材等、水和反応によって硬化するもの(原料と水との混合物)を言う。また、セメントには、石膏等も含むものとする。
【0017】
成形体製造チューブは、
図1に示すように、内部に水和材料が充填される筒状のチューブ本体2と、チューブ本体2の内周面に沿って配置される補助内層3と、を備える。
【0018】
チューブ本体2は、長尺な筒状であり、透水性を有する織物によって構成されている。例えば、チューブ本体2は、ポリエステル繊維やポリアミド繊維等によって形成されている。このチューブ本体2は、長尺な矩形状(帯状)の織物の長辺を構成する端部同士が接合されることによって形成されている。本実施形態のチューブ本体2は、湿度影響による寸法変化が小さい点で、ポリエステル繊維によって形成されることが好ましい。また、前記長辺を構成する端部同士が縫着によって接合されている。尚、前記端部同士の接合は、溶着、接着等の他の接合方法によって行われていてもよい。
【0019】
このチューブ本体2を構成する織物の見掛比重Asの範囲は、0.3≦As≦0.85であり、好ましくは、0.35≦As≦0.8である。特に、チューブ本体2がポリエステル繊維によって構成されている場合は、0.4≦As≦0.75が好ましい。
【0020】
この見掛比重Asは、以下の式(1)によって求められる。
【数1】
ここで、Smは、標準状態における1m
2当たりの質量(g/m
2)であり、tは、織物の厚さ(mm)である。
【0021】
以上のような見掛比重Asの織物によって構成されるチューブ本体2によれば、内部に水比50~60%の水和材料が充填されたときに、該水和材料が含んでいる水分を外部に好適に排出できる。
【0022】
補助内層3は、該補助内層3に囲まれた領域に供給された水和材料が補助内層3とチューブ本体2との間に進入可能な進入孔31aを有する(
図2参照)。この補助内層3は、
図3及び
図4にも示されるように、隙間の多い立体構造を有する繊維構造体である。例えば、補助内層3は、ポリプロピレン繊維や、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、綿やレーヨン等のセルロース繊維等によって形成されている。本実施形態の補助内層3は、耐アルカリ性に優れる点で、ポリオレフィン系繊維によって形成されることが好ましく、ポリプロピレン繊維によって形成されことがより好ましい。また、補助内層3は、二つの地組織(第一の地組織31と第二の地組織32)が間隔をあけた状態で連結されることによって立体構造となっている。
【0023】
具体的に、補助内層3は、チューブ本体2の内周面に沿って配置される第一の地組織(基布)31と、第一の地組織31の内側(筒状のチューブ本体2の中心側)において該第一の地組織31と間隔をあけて配置される第二の地組織32と、第一の地組織31と第二の地組織32とを連結する連結糸33と、を有する。
【0024】
第一の地組織31は、ネット状の編物であり、この第一の地組織31の各編目が進入孔31aを構成する。この進入孔31aは、水和材料が通過可能な大きさである。
【0025】
第二の地組織32は、成形体製造チューブ1の長手方向(以下、単に「長手方向」とも称する。)に延びる複数の筋体321を有する。また、第二の地組織32は、筋体321同士を連結する横糸322を有する。
【0026】
各筋体321は、編目が長手方向に連なることによって構成されている。これら複数の筋体321は、チューブ本体2の周方向に間隔をあけて並んでいる(
図1及び
図4参照)。
【0027】
横糸322は、第二の地組織32において隣り合う筋体321同士を連結するように、周方向(長手方向と直交する方向)に沿って延びている。本実施形態の第二の地組織32は、複数の横糸322を有し、これら複数の横糸322は、長手方向に間隔をあけて並んでいる。この横糸322と筋体321とによって囲まれる孔(第二の地組織の編目)は、第一の地組織31の編目(進入孔)31aより大きい。即ち、第二の地組織32は、第一の地組織31に比べ、水和材料を通過させやすい。
【0028】
連結糸33は、第一の地組織31と各筋体321とを連結することにより、第一の地組織31に対して内側に間隔をあけた位置に各筋体321を支持する。本実施形態の補助内層3では、複数の連結糸33によって筋体321が支持されている。具体的に、各筋体321は、筒状に配置された補助内層3の開口方向から見て(
図4参照)、第一の地組織31からチューブ本体2の中心方向(
図4における径方向)に延びる連結糸33と、当該筋体321の隣の筋体321から前記径方向に延びる連結糸33の第一の地組織31との接続位置から当該筋体321に向けて前記径方向と傾斜する方向に延びる二つの連結糸33と、によって、指示されている。
【0029】
これら複数の連結糸33における連結糸33同士の間隔は、第一の地組織31の進入孔(編目)31aより大きい。即ち、連結糸33間に形成される隙間は、第一の地組織31に比べ、水和材料を通過させやすい。
【0030】
本実施形態の補助内層3の繊維占有率Fo(%)は、10≦Fo≦80であり、より好ましくは、20≦Fo≦70である。この繊維占有率とは、地組織を構成する繊維が占める面積比率を意味する。即ち、1インチ四方(2.54cm×2.54cm=6.45cm
2)の面積当たりの地組織を構成する繊維が占める面積比率として示せば繊維占有率は下記の式(2)によって算出される。
【数2】
ここで、Nは、1インチ四方内の構成する繊維種毎の糸本数(本/inch
2)であり、dは、構成する繊維種毎の糸の直径(cm)であり、d’は、地組織中の交叉点における他の糸の直径(cm)であり、Lは、1インチ四方内の構成する繊維種毎の1本の糸の長さ(cm)であり、nは、1インチ四方内の交叉点の数である。尚、Lは、編物等の糸が湾曲している場合は、1インチ間にある繊維長を測定してその値をとる。
【0031】
本実施形態の補助内層3の場合、第一の地組織31と第二の地組織32とのそれぞれにおける繊維占有率Fo(%)が20≦Fo≦70である。
【0032】
以上のように構成される補助内層3は、長手方向の長さ寸法が同じ筒状となるようにチューブ本体2内に配置される。この補助内層3は、チューブ本体2と周方向に間隔をあけた少なくとも三か所で接続されている。各接続箇所5は、成形体製造チューブ1の長手方向の一端から他端まで連続して形成されている。
【0033】
本実施形態の成形体製造チューブ1では、チューブ本体2と補助内層3との周方向における接続箇所5は、三か所であり、各接続箇所5においてチューブ本体2と補助内層3(詳しくは、第一の地組織31)とが縫着によって接続されている。
【0034】
また、本実施形態の成形体製造チューブ1では、周方向において、チューブ本体2の接続箇所5間の長さ寸法αが、補助内層3の接続箇所5間の長さ寸法βより大きい。これにより、周方向における接続箇所5間では、チューブ本体2と補助内層3との間に隙間γが形成されている(
図1参照)。
【0035】
以上のように構成される成形体製造チューブ1は、長尺な矩形のネットNと重ねられた状態で巻回され、法面まで搬送される。そして、成形体製造チューブ1は、ネットNと共に、法面(傾斜地)に対して高低方向に長手方向が一致するように配置される(
図5参照)。このネットNは、樹脂製、天然素材、金属製等の索条を編んだものである。また、ネットNの代わりに、多孔シート、不織布等により形成された植え床シートが用いられてもよい。成形体製造チューブ1とネットNとは接続されており、成形体製造チューブ1の下方側の端部は、折り返されることで塞がれている。
【0036】
法面を覆うように、複数のネットN及び成形体製造チューブ1が配置されると、続いて、各成形体製造チューブ1に、水和材料が充填される。
【0037】
水和材料が補助内層3に囲まれた領域に供給されると、補助内層3が隙間の多い立体構造であるため、供給された水和材料は、補助内層3の各隙間(第一の地組織31の各編目や、第二の地組織32の各編目(進入孔)31a等)を通じて補助内層3の外側、即ち、補助内層3とチューブ本体2との間に形成されている隙間γに進入する(
図6参照)。このとき、チューブ本体2を通じて水和材料に含まれる水分が外部に排出される。
【0038】
成形体製造チューブ1に水和材料が充填され、時間の経過によって充填された水和材料が硬化すると、柱状の成形体が完成する。
【0039】
以上の成形体製造チューブ1によれば、水和材料を充填硬化させた成形体(柱状の成形体)において、表面のチューブ本体2が損傷したとしても、チューブ本体2の内周面に沿って補助内層3が配置されているため、柱状に硬化した水和材料のみの構成に比べ、十分な強度(曲げ強度等)が確保される。
【0040】
しかも、水和材料を成形体製造チューブ1内に充填するときに、該水和材料が各進入孔31aからチューブ本体2と補助内層3との間に進入することで、形成された成形体において、補助内層3が柱状に硬化した水和材料の内側に位置する(即ち、補助内層3の外側を硬化した水和材料が覆っている)ため、該補助内層3への紫外線等の外部からの影響が抑えられ、これにより、成形体の強度が長期間にわたって維持される。
【0041】
本実施形態の成形体製造チューブ1では、チューブ本体2が透水性を有する織物によって構成され、補助内層3がチューブ本体2の内周面に沿って配置されるネット状の編物によって構成される第一の地組織(基布)31を有する。そして、第一の地組織31の各編目が、補助内層3に囲まれた領域に供給された水和材料が補助内層3とチューブ本体2との間に進入可能な進入孔31aを構成している。このように、ネット状の編物によって構成される第一の地組織31の各編目を進入孔31aとして利用して補助内層3の外側(補助内層3とチューブ本体2との間)に水和材料を進入可能な構成とすることで、補助内層3とチューブ本体2との間に水和材料を十分に行き渡らせることができる。即ち、補助内層3の広がる方向の全域から、水和材料が補助内層3とチューブ本体2との間に進入可能である。
【0042】
また、本実施形態の成形体製造チューブ1では、チューブ本体2と補助内層3とが周方向に間隔をあけた少なくとも三か所で接続され、該周方向における接続箇所5間では、チューブ本体2と補助内層3との間に隙間γが形成されている。このように、チューブ本体2と補助内層3との間に隙間γが形成されることで、成形体を形成する際に、隙間γに進入した水和材料によって補助内層3の外側がより確実に覆われる。
【0043】
尚、本発明の成形体製造チューブは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0044】
上記実施形態の成形体製造チューブ1では、補助内層3がチューブ本体2内において周方向の全域に配置されているが、この構成に限定されない。
図7に示すように、補助内層3は、周方向の一部に隙間が形成されるように配置されてもよく、
図8に示すように、周方向に断続的に配置されていてもよい。即ち、補助内層3が長手方向に延びていることで、柱状の成形体が形成されたときに、表面のチューブ本体2が損傷した場合でも、柱状に硬化した水和材料のみの構成に比べ、強度(曲げ強度等)を確保することができる。
【0045】
上記実施形態の成形体製造チューブ1では、進入孔31aが補助内層3の編目によって構成されているが、この構成に限定されない。例えば、進入孔31aは、編目以外の補助内層3に設けられた孔によって構成されていてもよい。即ち、補助内層3に囲まれた領域に供給された水和材料が該補助内層3とチューブ本体2との間に進入可能な孔であれば、具体的な構成は限定されない。
【0046】
上記実施形態の成形体製造チューブ1では、補助内層3が立体構造を有する繊維構造体であるが、この構成に限定されない。補助内層3は、平面的な構成であってもよい。
【0047】
上記実施形態の成形体製造チューブ1では、周方向の各接続箇所5間において、チューブ本体2と補助内層3との間に隙間γが形成されているがこの構成に限定されない。複数の接続箇所5間のうちの少なくとも一つの接続箇所5間において、チューブ本体2と補助内層3との間に隙間γが形成されていればよい。かかる構成によれば、隙間γが形成されている位置において、成形体を製造する際に隙間γに進入した水和材料によって補助内層3の外側が確実に覆われる。
【0048】
また、上記実施形態の成形体製造チューブ1では、接続箇所5間において、チューブ本体2の長さ寸法αと、補助内層3の長さ寸法βとを異ならせることで、隙間γを形成しているが、この構成に限定されない。接続箇所5間において、チューブ本体2と補助内層3との間に繊維(編目等)や部材等を配置することによって隙間γを形成する構成であってもよい。
【0049】
また、上記実施形態の成形体製造チューブ1では、チューブ本体2と補助内層3との接続箇所5は、成形体製造チューブ1の長手方向の一端から他端まで連続して延びているが、この構成に限定されない。接続箇所5は、長手方向に断続的に延びていてもよい。この場合、長手方向の各位置(例えば、接続箇所5が設けられている位置と、接続箇所5が途切れている位置と)において、周方向における接続箇所5の数は、異なっている。
【0050】
また、上記実施形態の成形体製造チューブ1では、チューブ本体2と補助内層3とが縫着によって接合されているが、この構成に限定されない。チューブ本体2と補助内層3との接合は、ステープラーや、接着、溶着等によって接合されていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…成形体製造チューブ、2…チューブ本体、3…補助内層、31…第一の地組織(基布)、31a…編目(進入孔)、32…第二の地組織、321…筋体、322…横糸、33…連結糸、5…接続箇所、N…ネット、α…接続箇所間のチューブ本体の長さ寸法、β…接続箇所間の補助内層の長さ寸法、γ…接続箇所間におけるチューブ本体と補助内層との隙間