(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】超音波洗浄装置および洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 19/00 20060101AFI20231208BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
D06F19/00
D06F39/08 311C
D06F39/08 311D
(21)【出願番号】P 2019144070
(22)【出願日】2019-08-05
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】米澤 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】直野 浩樹
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-273092(JP,A)
【文献】特開昭57-200192(JP,A)
【文献】特開2001-178984(JP,A)
【文献】特開2019-097964(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109137357(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 19/00
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発生させる超音波発生体と、前記超音波発生体の下方に位置し、被洗浄物が浸漬される水が溜められる貯水槽と、を備え、所定の配置部に配置されて、前記超音波発生体と前記貯水槽との位置が、洗浄運転が行われるときの運転位置と洗浄運転が行われないときの待機位置との間で切り替えられる超音波洗浄装置であって、
前記貯水槽からの水が排出される排水口と、
前記排水口を閉塞する弁体と、
前記超音波発生体と前記貯水槽とが前記運転位置にあるときには前記弁体が閉じた閉状態となり、前記超音波発生体と前記貯水槽とが前記待機位置にあるときには前記弁体が開いた開状態となるように前記弁体の切替えを行う弁切替機構と、を備え、
前記弁切替機構は、
前記弁体を開くための開操作が行われる操作部
と、
前記弁体を前記排水口が閉塞される閉塞方向に付勢する付勢部材と、
前記弁体に連結され、前記超音波発生体と前記貯水槽とが前記運転位置から前記待機位置に移動したときに前記配置部側に設けられた当接部に当接し、当該当接部に押されて、前記排水口が開放される開放方向に前記弁体を移動させる弁可動部材と、を含み、
前記超音波発生体と前記貯水槽とが前記運転位置にあるときに前記開操作が行われると、前記閉状態から前記開状態への前記弁体の切替えを行
い、
前記開操作は、前記操作部を所定方向に移動させる移動操作であり、
前記弁可動部材は、前記操作部に連結され、前記操作部に対して前記移動操作が行われたときに、前記操作部とともに移動して前記弁体を前記開放方向に移動させる、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
水が溜められる外槽と、
前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される内槽と、
請求項1に記載の超音波洗浄装置と、
を備えることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記外槽の底部から排出された水が流れる第1排水路と、
前記外槽の上部に設けられた溢水口と、
前記溢水口から排出された水を前記第1排水路へと導く溢水路と、
前記排水口から排出された水を受ける排水受け部と、
前記排水受け部と前記溢水路とに接続され、前記排水受け部から排出された水を前記溢水路に導く第2排水路と、をさらに備える、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項
2または3に記載の洗濯機において、
前記貯水槽に供給される洗剤を含む水が溜められる、前記貯水槽よりも貯水容量が大きな貯留部と、
前記貯留部内に少なくとも水を供給する供給部と、をさらに備える、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波洗浄装置、およびかかる超音洗浄装置を備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
上面板における洗濯物の投入口の周囲、たとえば、投入口の前側に、超音波洗浄装置が配置された洗濯機が、特許文献1に記載されている。超音波洗浄装置は、水が溜められる貯水槽と、貯水槽の真上に位置する超音波発生体を有する超音波発生ユニットとを備える。水が溜められた貯水槽内に被洗浄物の汚れの付着部分がセットされ、洗浄運転が開始される。水が浸透した汚れの付着部分に、超音発生体から発生した超音波エネルギーが作用し、汚れが剥離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような超音波洗浄装置において、貯水槽が上面板とは別体に形成され、貯水槽と超音波発生ユニットとからなるユニットの位置が、洗浄運転時には上記ユニットが投入口の内側に張り出し、非洗浄運転時には上記ユニットが投入口の周囲に収納されるように切り替えられる構成が採られ得る。このような構成とされた場合、洗浄運転の際に貯水槽から水が飛散しても、飛散した水は、洗濯槽内に落ちやすくなり、洗濯機の外へ出にくくなる。また、洗浄運転が行われないときには、上記ユニットが、投入口から投入される洗濯物の邪魔になりにくい。
【0005】
貯水槽に溜められた水は、貯水槽に繋がる排水路を通じて排水される。排水路には、排水口を閉塞する開閉可能な弁体が設けられ、この弁体が開くことにより貯水槽から排水が行われる。上記のように、上記ユニットの位置が洗浄運転時と非洗浄運転時とで切り替えられる構成が採られる場合、ユーザは、一回の洗浄運転を終えても、続いて洗浄運転を行うときには、上記ユニットを洗浄運転の位置に維持する。貯水槽の水は、続く洗浄運転にも使用され得る。よって、上記ユニットが洗浄運転の位置にあるときには排水が行われず、上記ユニットが非洗浄運転時の位置に戻されたときに排水が行われるような構成とされることが、ユーザに対する利便性を向上させる上で望ましい。また、洗浄運転の位置において、貯水槽の水を入れ替えたい場合もあり、このような場合に、容易に水を入れ替えられることが望ましい。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、貯水槽からの良好な排水を可能とすることにより、ユーザに対する利便性が向上し得る超音波洗浄装置、および、かかる超音波洗浄装置を備える洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、超音波を発生させる超音波発生体と、前記超音波発生体の下方に位置し、被洗浄物が浸漬される水が溜められる貯水槽と、を備え、所定の配置部に配置されて、前記超音波発生体と前記貯水槽との位置が、洗浄運転が行われるときの運転位置と洗浄運転が行われないときの待機位置との間で切り替えられる超音波洗浄装置に関する。本態様に係る超音波洗浄装置は、前記貯水槽からの水が排出される排水口と、前記排水口を閉塞する弁体と、前記超音波発生体と前記貯水槽とが前記運転位置にあるときには前記弁体が閉じた閉状態となり、前記超音波発生体と前記貯水槽とが前記待機位置にあるときには前記弁体が開いた開状態となるように前記弁体の切替えを行う弁切替機構と、を備える。ここで、前記弁切替機構は、前記弁体を開くための開操作が行われる操作部を含み、前記超音波発生体と前記貯水槽とが前記運転位置にあるときに前記開操作が行われると、前記閉状態から前記開状態への前記弁体の切替えを行う。
【0008】
より具体的には、前記弁切替機構は、前記弁体を前記排水口が閉塞される閉塞方向に付勢する付勢部材と、前記弁体に連結され、前記超音波発生体と前記貯水槽とが前記運転位置から前記待機位置に移動したときに前記配置部側に設けられた当接部に当接し、当該当接部に押されて、前記排水口が開放される開放方向に前記弁体を移動させる弁可動部材と、を含むような構成とされ得る。前記開操作は、前記操作部を所定方向に移動させる移動操作とされ、前記弁可動部材は、前記操作部に連結され、前記操作部に対して前記移動操作が行われたときに、前記操作部とともに移動して前記弁体を前記開放方向に移動させる。
【0009】
上記の構成によれば、超音波洗浄装置が、洗浄運転が行われ得る状態にあるときには、貯水槽から排水が行われずに、超音波洗浄装置が、洗浄運転が行われない状態となったときに、貯水槽から排水が行われるようにできる。また、超音波発生体と貯水槽とが運転位置にある場合にも、貯水槽の水を入れ替える等、必要なときに、超音波発生体と貯水槽とを待機位置に戻すことなく、貯水槽から水を排出することができる。よって、貯水槽からの良好な排水が可能となり、ユーザに対する利便性が向上し得る。
【0010】
本発明の第2の態様は、洗濯機に関する。本態様に係る洗濯機は、水が溜められる外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される内槽と、第1の態様に係る超音波洗浄装置と、を備える。
【0011】
上記の構成によれば、第1の態様に係る超音波洗浄装置と同様な効果を奏することができる。
【0012】
本態様に係る洗濯機において、前記外槽の底部から排出された水が流れる第1排水路と、前記外槽の上部に設けられた溢水口と、前記溢水口から排出された水を前記第1排水路へと導く溢水路と、前記排水口から排出された水を受ける排水受け部と、前記排水受け部と前記溢水路とに接続され、前記排水受け部から排出された水を前記溢水路に導く第2排水路と、をさらに備えるような構成が採られ得る。
【0013】
上記の構成よれば、排水受け部から排出された洗浄水が流れる第2排水路が、溢水口から流出した水を第1排水路へと導く溢水路に接続されるので、第2排水路が第1排水路に接続される構成に比べて第2排水路を短くできる。
【0014】
本態様に係る洗濯機において、前記貯水槽に供給される洗剤を含む水が溜められる、前記貯水槽よりも貯水容量が大きな貯留部と、前記貯留部内に少なくとも水を供給する供給部と、をさらに備えるような構成が採られ得る。
【0015】
上記の構成によれば、洗剤を含む水が、貯水槽よりも貯水容量が大きな貯留部に溜められ、この貯留部から貯水槽に供給されるので、貯水槽内の水を入れ替える都度、洗剤を含む水を生成しなくてよくなり、ユーザに対する利便性が高まる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、貯水槽からの良好な排水が可能となり、ユーザに対する利便性が向上し得る。
【0017】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、給水ユニットの構成を示す概略図である。
【
図3】
図3(a)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が待機位置にあるときの超音波洗浄装置および上面板の斜視図であり、
図3(b)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が運転位置にあるときの超音波洗浄装置および上面板の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、貯水部が取り外された状態の超音波洗浄装置の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、超音波洗浄部および本体部の側面断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る、貯水部の分解斜視図である。
【
図7】
図7(a)は、実施の形態に係る、裏返された貯水部の斜視図であり、
図7(b)は、実施の形態に係る、貯水部の側面断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が収納部に収納された状態の上面板の後部の側面断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が収納部から引き出された状態の上面板の後部の側面断面図である。
【
図10】
図10(a)は、実施の形態に係る、貯留タンク、供給バルブおよび供給ノズルの斜視図であり、
図10(b)は、実施の形態に係る、排水受け部の斜視図である。
【
図11】
図11(a)ないし(c)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置による被洗浄物の汚れの除去について説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が収納部から引き出された状態で操作部が移動操作されたときの様子を示す上面板の後部の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の超音波洗浄装置および洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
【0021】
全自動洗濯機1は、外郭を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御部16が配置される。制御部16は、全自動洗濯機1による洗濯運転および後述する超音波洗浄装置50による洗浄運転を制御する。
【0022】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配される。洗濯脱水槽22は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が配される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。なお、洗濯脱水槽22は、本発明の内槽に相当する。
【0023】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0024】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。なお、排水口部20aと排水ホース41とにより、本発明の第1排水路が構成される。
【0025】
外槽20の上部には、溢水口20bが形成される。外槽20内に所定の溢水水位以上の水が溜められると、溢水口20bから水が排出される。外槽20の外面には、溢水口20bを覆うように溢水受け部25が設けられる。溢水受け部25の底部には、溢水パイプ26の一端が接続される。溢水パイプ26の他端は、排水ホース41に接続される。溢水口20bから排出された水は、溢水受け部25により受けられた後、溢水パイプ26を通って排水ホース41へ流れる。なお、溢水受け部25と溢水パイプ26とにより、本発明の溢水路が構成される。また、排水パイプ72は、本発明の第2排水路に相当する。
【0026】
上面板12の後部のほぼ中央には、超音波洗浄装置50が配置される。超音波洗浄装置50では、主に、ワイシャツの袖や襟口の部分に付着した皮脂汚れ、作業着に付着した油汚れなど、被洗浄物に部分的に付着した汚れを、全自動洗濯機1での洗濯に先立って除去するための洗浄運転が行われる。
【0027】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50の後方に貯留タンク60が配置され、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。貯留タンク60には、超音波洗浄装置50の貯水槽210に供給される洗剤を含む水が溜められる。以降、洗剤を含む水を「洗浄水」と称する。
【0028】
排水受け部70は、貯水槽210から排出された水を受ける。排水受け部70には、受けた水が排出される排出孔71が形成される。排出孔71には、排水パイプ72の一端が接続される。排水パイプ72の他端は、溢水パイプ26の上部に接続される。
【0029】
上面板12の後部には、洗濯脱水槽22内に水道水を供給するための給水ユニット80が配される。
【0030】
図2は、給水ユニット80の構成を示す概略図である。
【0031】
給水ユニット80は、給水バルブ81を有する。給水バルブ81は、いわゆる2連バルブであり、電磁バルブであるメインバルブ82とサブバルブ83とを有する。給水バルブ81の入水口81aは、図示しない給水ホースを介して水道栓に接続される。給水バルブ81のメインバルブ82の出口には、メイン給水路84が接続される。メイン給水路84は、洗濯脱水槽22の上部に位置する注水口84aを有する。
【0032】
給水ユニット80には、洗濯脱水槽22内に洗濯用の液剤の一つである液体洗剤を自動投入するための自動投入機構90が含まれる。自動投入機構90は、貯留タンク60に洗浄水を供給する機能も備える。自動投入機構90は、本発明の供給部に相当する。
【0033】
自動投入機構90は、洗剤タンク91と、供給パイプ92と、第1三方バルブ93と、サブ給水路94と、供給ポンプ95と、洗剤供給路96と、第2三方バルブ97と、洗浄水供給路98を備える。給水バルブ81のサブバルブ83も、自動投入機構90に含まれる。
【0034】
洗剤タンク91には、液体洗剤が原液の状態で貯留される。供給パイプ92は、洗剤タンク91の液体洗剤を第1三方バルブ93の一方の入口へと導く。
【0035】
サブ給水路94は、サブバルブ83の出口と第1三方バルブ93の他方の入口とに接続される。
【0036】
第1三方バルブ93の出口に供給ポンプ95が接続され、供給ポンプ95に洗剤供給路96が接続される。洗剤供給路96は、洗濯脱水槽22の上部に位置する供給口96aを有する。供給ポンプ95は、たとえば、ピストン式ポンプとすることができる。
【0037】
第1三方バルブ93は、供給パイプ92を供給ポンプ95に連通させる状態と、サブ給水路94を供給ポンプ95に連通させる状態との間で切り替えることができる。
【0038】
洗剤供給路96には、第2三方バルブ97が設けられる。第2三方バルブ97の入口には、洗剤供給路96の上流側供給路96bが接続され、第2三方バルブ97の一方の出口には、洗剤供給路96の下流側供給路96cが接続される。また、第2三方バルブ97の他方の出口には、洗浄水供給路98の一端が接続される。洗浄水供給路98の他端は、貯留タンク60に接続される。
【0039】
第2三方バルブ97は、上流側供給路96bを下流側供給路96cに連通させる状態と、上流側供給路96bを洗浄水供給路98に連通させる状態との間で切り替えることができる。
【0040】
次に、超音波洗浄装置50の構成と、貯留タンク60および排水受け部70を含む超音波洗浄装置50の周辺の構成について、詳細に説明する。
【0041】
図3(a)は、超音波洗浄部100と貯水部200が待機位置にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図であり、
図3(b)は、超音波洗浄部100と貯水部200が運転位置にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図である。
【0042】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と、貯水部200と、本体部300とを備える。超音波洗浄部100は、超音波を発生させる超音波発生体110を有する。本体部300は、超音波洗浄部100を保持する。貯水部200は、超音波発生体110の下方に位置し、洗浄水が溜められる貯水槽210を有し、本体部300に装着される。貯水部200は、ユーザによる離脱操作によって、本体部300から前方へ引き出して離脱させることができる。
【0043】
上面板12には、後部の中央部に、超音波洗浄装置50が収納される収納部17が設けられる。上面板12は、収納部17の前方が出入口18として開口する。収納部17は、本発明の配置部に相当する。
【0044】
図3(a)に示すように、超音波洗浄装置50が使用されず、洗浄運転が行われないとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と貯水部200、即ち、超音波発生体110と貯水槽210とが収納部17に収納される状態となる。このときの超音波洗浄部100と貯水部200の位置が待機位置となる。一方、
図3(b)に示すように、超音波洗浄装置50が使用され、洗浄運転が行われるとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と貯水部200とが収納部17から前方に引き出されて上面板12の投入口14の内側に張り出す状態に切り替えられる。このときの超音波洗浄部100と貯水部200の位置が運転位置となる。
【0045】
図4は、貯水部200が取り外された状態の超音波洗浄装置50の斜視図である。
図5は、超音波洗浄部100および本体部300の側面断面図である。
図6は、貯水部200の分解斜視図である。
図7(a)は、裏返された貯水部200の斜視図であり、
図7(b)は、貯水部200の側面断面図である。
【0046】
図4および
図5を参照して、超音波洗浄部100は、超音波発生体110と、ハウジング120と、キャップ130とを備える。
【0047】
超音波発生体110は、超音波振動子111と、超音波振動子111に結合される振動ホーン112とを含む。振動ホーン112は、導電性を有する金属材料で形成され、先端側に向かうにつれて徐々に細くなる形状を有する。振動ホーン112の先端面112aの形状は、細長い長方形状となる。超音波発生体110は、振動ホーン112の先端から超音波を発生させる。振動ホーン112の上端部には、フランジ部113が形成される。
【0048】
ハウジング120は、樹脂材料により形成され、前後方向に長く、その先端部120aが下方に屈曲するようなアーム形状を有する。先端部120aの下面には、開口部121が形成される。
【0049】
ハウジング120は、上面が開放された下部材140と、下面が開放された上部材150とを結合することにより形成される。下部材140には、金属製の補強板160が装着される。下部材140には、下取付孔141と下取付ボス142とが設けられ、上部材150には、下取付孔141に対応する上取付ボス151と下取付ボス142に対応する上取付孔152とが設けられる。下取付孔141を通されたネジ171が上取付ボス151に止められ、上取付孔152を通されたネジ171が下取付ボス142に止められる。これにより、下部材140と上部材150とが結合される。ハウジング120の先端部120aは、下部材140により形成される。
【0050】
下部材140には、開口部121の前方および後方に取付ボス143が設けられる。また、下部材140は、開口部121の周囲が、キャップ130が嵌め込まれる嵌込口部144となっている。
【0051】
超音波発生体110は、下部材140に装着され、そのフランジ部113が、枠状の固定板180により上側から押さえられる。固定板180は、前後の取付ボス143の上に設置され、ネジ172により、これら取付ボス143に固定される。これにより、超音波発生体110がハウジング120内に固定される。ハウジング120の開口部121から振動ホーン112の先端側の部分が下方へ突出する。
【0052】
キャップ130は、ハウジング120の先端部120aに着脱可能に装着され、超音波発生体110の振動ホーン112におけるハウジング120から露出した部分に被せられる。
【0053】
キャップ130は、キャップ本体131とガイド部132とが樹脂材料により一体形成された構成を有する。キャップ本体131は、前後左右の幅が下方に向かうに従って狭くなる筒状を有し、超音波発生体110の振動ホーン112の先端側の部分を、その先端部が露出するように覆う。
【0054】
ガイド部132は、キャップ本体131の前側面の左右方向における中央に、前方へ張り出すように設けられ、左右方向に扁平な形状を有する。ガイド部132の下部には、後斜め下方向に傾斜し下端部分で湾曲して水平となるガイド面133が設けられる。さらに、ガイド部132の下端は、キャップ本体131の下端よりも下方に位置する。
【0055】
キャップ130は、ハウジング120の嵌込口部144に下方から装着される。このとき、嵌込口部144の左右に設けられた図示しない突起が、キャップ本体131の左右に設けられた図示しない凹部に嵌合する。これにより、キャップ130は、嵌込口部144から脱落しない。
【0056】
図5に示すように、キャップ130がハウジング120に装着された状態において、超音波発生体110の振動ホーン112の先端部は、キャップ本体131から僅かに露出する。また、キャップ130のガイド部132の下端と振動ホーン112の先端面112aとがほぼ面一となる。さらに、ガイド部132のガイド面133は、貯水槽210に近づくに従って振動ホーン112に近づくように傾斜することになる。さらに、左右方向、即ち、超音波洗浄部100の正面方向に直交する方向において、ガイド部132の位置と振動ホーン112の先端部の位置とが一致する。
【0057】
図4および
図5を参照して、本体部300は、正面視において、ほぼ方形状を有する。本体部300の左右の下端部には、前方へ延びるレール部301が設けられる。また、本体部300には、左側に、貯水部200の後部と供給ノズル500が通される開口部302が形成され、開口部302の右隣りに、ロック機構280の爪部281が挿入される挿入口303が形成される。本体部300の上部に、超音波洗浄部100のハウジング120の後部120bが、図示しないネジを用いて固定される。
【0058】
図4、
図6、
図7(a)および(b)を参照して、貯水部200は、樹脂材料により形成され、前後方向にやや長く且つ上下方向に扁平であって左側部分が右側部分よりも後方に張り出すような形状を有する。貯水部200の前面には、前面が円弧状を有する取っ手201が貯水部200と一体形成される。ユーザは、超音波洗浄装置50を収納部17に対して出し入れするときと貯水部200を本体部300に対して着脱する際に取っ手201を持つ。
【0059】
貯水部200の上面には、貯水部200の形状に沿った形状を有する貯水槽210が形成される。貯水槽210は、上方に向かって拡がるように、その内周面が傾斜する。貯水槽210には、後面の下部に円形の排水口211が形成される。貯水槽210の底面には、排水口211の前方に、排水口211と同心の円弧状に凹む溝部212が形成される。
【0060】
貯水部200には、排水口211を閉塞する弁体220と、弁体220が閉じた閉状態と弁体220が開いた開状態との間での切替えを行うための弁切替機構230とが設けられる。
【0061】
弁体220は、樹脂材料により形成され、ほぼ円柱状を有する。弁体220には、前端部の周面に弾性材料からなるOリング221が装着される。また、弁体220には、後端面からOリング221のやや後の位置まで延びる方形状の孔222が形成される。さらに、弁体220のOリング221よりも後方では、周面の上側と下側とが削られて平坦面223が形成されるとともに、周面の右側と左側とに、孔222に繋がる長方形の開口224が形成される。
【0062】
弁切替機構230は、弁可動部材240と、操作部250と、スプリング260とを備える。弁可動部材240と操作部250は、樹脂材料により一体に形成される。スプリング260は、本発明の付勢部材に相当する。
【0063】
弁可動部材240は、ほぼ方形状の底板部241と、底板部241の左右の端部からそれぞれ立ち上がり、底板部241よりも後方へ延びる細長の方形状の左板部242および右板部243と、左板部242の後端と右板部243の後端とに繋がる細長の方形状の後板部244と、底板部241の左端部と左板部242の前端から前方へ延びる細長い棒状の連結部245と、を含む。
【0064】
底板部241には、前方へ延びる軸246aを有する取付部246が設けられる。スプリング260の後端が軸246aに挿入される。底板部241の取付部246の前方部分は、スプリング260と干渉しないように円弧状に形成される。後板部244には、弁体220の取付位置となる中央部に、弁体220の孔222より僅かに大きな開口247が形成され、この開口247の左右の縁部に、前方へ延び、先端に爪を有する取付片248が形成される。連結部245には、先端部に前後方向に延びる長孔249が形成される。
【0065】
操作部250は、弁可動部材240の連結部245の先端部に連結される。操作部250の前端部には、上下方向に延びるリブ251が形成される。リブ251は、ユーザが操作部250を移動操作するときに指を引っ掛ける部分となる。
【0066】
弁切替機構230は、貯水部200の裏側に形成された貯水槽210の周囲の空間に嵌り込むように、下方から貯水部200に取り付けられる。スプリング260が、貯水部200の裏側に形成された半円筒状の収容部202に収容され、その前端が収容部202の前面に当接する。また、弁可動部材240の連結部245の長孔249が、貯水部200の裏側に形成された取付ボス203に整合する。長孔249に通されたネジ270が、連結部245を押さえ付けないようにして、取付ボス203に止められる。これにより、連結部245は、上下左右方向には固定されるが、長孔249の長さの範囲内で前後方向に移動可能となる。さらに、操作部250が、貯水部200の左側面に設けられた操作窓204から外部に臨む。
【0067】
弁体220が、貯水槽210の内側から排水口211に挿入され、排水口211を貫通して弁可動部材240の後板部244に取り付けられる。この際、後板部244の左右の取付片248の爪が弁体220の左右の開口224の後縁に係合する。弁体220の下側は、貯水槽210の溝部212に収容され、貯水槽210の底面と干渉しない。
【0068】
弁体220は、Oリング221を排水口211の周縁に密着させるようにして、前方から排水口211を閉塞する。このとき、スプリング260は圧縮した状態にあり、弁体220は、スプリング260によって弁可動部材240を介して後方向、即ち閉塞方向に付勢される。貯水部200は、貯水槽210の後方が開放されており、弁可動部材240の後端部、即ち後板部244が、貯水部200よりも後方に突出する。
【0069】
貯水部200の後部には、本体部300に装着された貯水部200が前方へ離脱しないよう固定するためのロック機構280が設けられる。ロック機構280は、爪部281とボタン282とを有する。爪部281は、図示しないバネより上方に付勢され、ボタン282が押し下げられると下がり、ボタン282が離されると元の位置に戻る。
【0070】
貯水部200は、前方から本体部300に装着される。貯水部200の裏側には、右端部と左端部に、それぞれ、挿入部205が設けられ、これら挿入部205に本体部300の左右のレール部301が挿入されることにより、貯水部200がレール部301に案内される。貯水部200の左側の後部が、本体部300の開口部302を通過する。また、ロック機構280の爪部281が、本体部300の挿入口303の上縁に当たって押し下げられ、挿入口303を通過する。貯水部200の本体部300への装着が完了すると、爪部281が元の位置に戻り、本体部300の裏側において、挿入口303の上縁と係合する。これにより、貯水部200が、本体部300に対して前方に離脱できなくなる。貯水部200を本体部300から離脱させる際には、ロック機構280のボタン282が押し下げられ、爪部281が下げられる。これにより、爪部281と挿入口303の上縁との係合が解除される。貯水部200が前方に引き出されることにより、貯水部200が本体部300から離脱する。
【0071】
貯水部200が本体部300に装着された状態において、超音波発生体110の振動ホーン112の先端面112aの位置は貯水槽210の上面の位置よりも少し低く、振動ホーン112の先端部が貯水槽210内に少し入り込んだ状態となる。
【0072】
図8は、超音波洗浄装置50が収納部17に収納された状態の上面板12の後部の側面断面図である。
図9は、超音波洗浄装置50が収納部17から引き出された状態の上面板12の後部の側面断面図である。
図10(a)は、貯留タンク60、供給バルブ400および供給ノズル500の斜視図であり、
図10(b)は、排水受け部70の斜視図である。
【0073】
収納部17には、貯留タンク60と、供給バルブ400と、供給ノズル500とが超音波洗浄装置50の背後に配置される。
【0074】
貯留タンク60は、樹脂材料により形成され、前後方向に薄く左右方向に長い形状を有し、供給バルブ400を挟んで左タンク61と右タンク62とに分かれる。左タンク61と右タンク62は、左タンク61の上部から延びる連通部63により繋がっている。貯留タンク60には、左タンク61の左端部に流入口64が形成される。流入口64は、自動投入機構90の洗浄水供給路98に接続される。自動投入機構90から供給された洗浄水が流入口64から流入し、貯留タンク60内に溜められる。貯留タンク60の貯水容量は、貯水槽210の貯水容量よりも大きく、たとえば、貯水槽210の貯水容量の2倍を超える貯水容量の水を、貯留タンク60に溜めることができる。なお、貯留タンク60は、本発明の貯留部に相当する。
【0075】
供給バルブ400は、電磁バルブである。貯留タンク60の左タンク61の流出口と右タンク62の流出口が供給バルブ400の入口に接続される。供給バルブ400の出口は、供給ノズル500の入口に接続される。
【0076】
供給ノズル500は、樹脂材料により形成され、供給バルブ400から前方に延び、その先端部500aが下方に屈曲する。先端部500aの下面には、放出口501が形成される。
【0077】
図8に示すように、超音波洗浄部100および貯水部200が収納部17に収納された状態において、供給ノズル500は、本体部300の開口部302を貫通し、その先端部500aが貯水槽210の前部に位置する。一方、
図9に示すように、超音波洗浄部100および貯水部200が投入口14の内側に引き出された状態では、供給ノズル500の先端部500aが貯水槽210の後部に位置する。
【0078】
収納部17には、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。排水受け部70は、上面および前面が開放されたほぼ方形の皿状を有する。排水受け部70の底面は、後部が低くなるように傾斜する。排水受け部70の右側面には、後部の下端であって底面が最も低くなった位置に排出孔71が形成される。排出孔71から右方に延びる接続管73に、排水パイプ72が接続される。
【0079】
排水受け部70の後面には、上下方向に延びる2本のリブ74が、左右方向に並ぶように設けられる。2本のリブ74の高さ位置は、貯水部200の弁可動部材240の後板部244の高さ位置とほぼ等しくされる。リブ74は、本発明の当接部に相当する。
【0080】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0081】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0082】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0083】
洗い工程での給水時には、自動投入機構90により、洗濯脱水槽22内に液体洗剤が自動投入される。この際、まず、第1三方バルブ93が、供給パイプ92を供給ポンプ95に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ97が、上流側供給路96bを下流側供給路96cに連通させる状態に切り替えられる。供給ポンプ95が作動すると、ポンプ作用によって洗剤タンク91内の液体洗剤が排出される。排出された液体洗剤は、
図2の破線矢印に示すように、供給パイプ92、第1三方バルブ93および供給ポンプ95を通って、洗剤供給路96に送られ、洗剤供給路96の上流側供給路96bに溜められる。供給ポンプ95は、予め決められた時間だけ動作し、これにより、予め決められた量の液体洗剤が上流側供給路96bに溜まる。
【0084】
次に、第1三方バルブ93が、サブ給水路94を供給ポンプ95に連通させる状態に切り替えられ、サブバルブ83が開かれる。
図2の実線矢印に示すように、水道栓からの水が、サブ給水路94、第1三方バルブ93および供給ポンプ95を通って洗剤供給路96へと流れ液体洗剤を押し流す。水に押し流された液体洗剤は、
図2の一点鎖線矢印に示すように、水とともに洗剤供給路96の供給口96aから洗濯脱水槽22内へ投入される。洗濯脱水槽22内への液体洗剤の投入が完了すると、サブバルブ83が閉じられる。
【0085】
その後、洗濯脱水槽22内への給水が行われる。メインバルブ82が開かれ、水道栓からの水がメイン給水路84を流れて注水口84aから洗濯脱水槽22内に放出される。洗濯脱水槽22内の水位が所定の洗い水位に到達すると、メインバルブ82が閉じられて、給水が終了する。
【0086】
さらに、全自動洗濯機1では、超音波洗浄装置50による洗浄運転が行われる。ユーザは、ワイシャツ等の被洗浄物を洗濯する際に、その被洗浄物が部分的に頑固な汚れを含んでいるようなとき、洗濯に先立って超音波洗浄装置50を用いた被洗浄物の部分洗浄を行う。
【0087】
ユーザは、洗浄運転を行う場合、
図3(b)にように、超音波洗浄装置50を収納部17から引き出し、超音波洗浄部100および貯水部200を運転位置まで移動させる。
図9に示すように、弁切替機構230は、スプリング260の付勢力により、弁可動部材240を介して弁体220を閉塞方向に付勢する。これにより、弁体220が排水口211を閉塞し、排水口211が閉鎖された状態となる。
【0088】
ユーザは、洗浄運転を開始させるため、所定の開始操作を行う。
【0089】
洗浄運転が開始されると、最初に、自動投入機構90により、貯留タンク60内への洗浄水の供給が行われる。即ち、まず、第1三方バルブ93が、供給パイプ92を供給ポンプ95に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ97が、上流側供給路96bを洗浄水供給路98に連通させる状態に切り替えられる。供給ポンプ95が作動すると、ポンプ作用によって洗剤タンク91内の液体洗剤が排出される。
図2の破線矢印に示すように、洗剤タンク91から排出された液体洗剤は、洗剤供給路96へと至り、洗剤供給路96の上流側供給路96bに溜められる。供給ポンプ95は、予め決められた時間だけ動作し、これにより、予め決められた量の液体洗剤が上流側供給路96bに溜まる。
【0090】
次に、第1三方バルブ93が、サブ給水路94を供給ポンプ95に連通させる状態に切り替えられ、サブバルブ83が開かれる。
図2の実線矢印に示すように、水道栓からの水が、サブ給水路94、第1三方バルブ93および供給ポンプ95を通って洗剤供給路96へと流れ、液体洗剤を押し流す。水と液体洗剤とが混合されて洗浄水となる。
図2の太線矢印に示すように、洗浄水は、洗浄水供給路98を通り、貯留タンク60内に流入する。サブバルブ83が開かれてから予め定められた供給時間が経過すると、サブバルブ83が閉じられる。
【0091】
こうして、貯留タンク60内に所定の量および洗剤濃度の洗浄水が溜められる。本実施の形態では、貯留タンク60に溜められる洗浄水の量は、貯水槽210内の洗浄水を入れ替えて2回の洗浄運転が行えるような量とされる。なお、貯留タンク60に溜められる洗浄水の量は、3回以上の洗浄運転が行える量とされてもよい。
【0092】
次に、供給バルブ400が開かれる。貯留タンク60内の洗浄水が、供給ノズル500を通って放出口501から貯水槽210内に放出される。貯水槽210内に洗浄水が溜められ、貯水槽210内の水位が上昇する。
図9の一点鎖線のように、貯水槽210内の水位が放出口501の高さまで上昇し、放出口501が洗浄水で塞がれると、貯留タンク60内の空気圧と外部の空気圧とが釣り合う。これにより、供給バルブ400が開かれた状態のままで、貯留タンク60からの給水が停止する。
【0093】
貯水槽210内に洗浄水が溜められると、ユーザは、被洗浄物の汚れの付着部分、たとえば、ワイシャツの襟の部分を、超音波洗浄部100の正面方向から、貯水槽210上、即ち、貯水槽210と超音波発生体110の振動ホーン112との間にセットする。
【0094】
超音波洗浄部100では、キャップ130のガイド部132の位置が超音波発生体110の振動ホーン112の先端部の位置と前後方向に一致している。このため、ユーザは、ガイド部132が目印となって振動ホーン112の先端部の位置を把握しやすい。
【0095】
ユーザは、襟や袖口などの汚れの付着部分を、ガイド部132のガイド面133に当て、ガイド面133に沿って下方且つ後方へと移動させ、振動ホーン112の先端面112aの位置へ到達させる。このとき、ガイド部132の下端は、キャップ本体131の下端よりも下方に延びており、キャップ本体131から露出した振動ホーン112の先端部の正面を覆うようになっている。このため、ガイド部132により案内された汚れの付着部分は、振動ホーン112の先端部の角部に引っ掛かりにくく、損傷等が生じにくい。また、ガイド部132の案内によって、汚れの付着部分は、振動ホーン112の先端面112aにほぼ接触する適正な高さ位置に位置付けられ、振動ホーン112の先端面112aから離れすぎない。
【0096】
被洗浄物の汚れの付着部分が貯水槽210内に溜められた洗浄水で浸され、被洗浄物の内部に浸透した洗浄水が表面に浸み出す。被洗浄物の表面には薄い水の層が形成され、この水の層に振動ホーン112が接触する状態となる。なお、被洗浄物が吸水することにより、貯水槽210内の水位が下がり、供給ノズル500の放出口501が洗浄水で塞がれなくなると、放出口501が再び洗浄水で塞がれるまで貯水槽210内に貯留タンク60から洗浄水が補給される。これにより、貯水槽210内の水位、即ち水量が適正な状態に維持される。
【0097】
供給バルブ400が開かれた後に所定の待機時間が経過するまで、超音波振動子111には通電が行われず、超音波発生体110は待機した状態となる。この間に、貯水槽210に洗浄水が溜められ、洗浄水が溜められた貯水槽210に被洗浄物がセットされることになる。待機時間が経過すると、超音波振動子111に通電が行われて超音波発生体110が作動する。
【0098】
図11(a)ないし(c)は、超音波洗浄装置50による被洗浄物の汚れの除去について説明するための図である。
【0099】
超音波発生体110が作動すると、振動ホーン112の先端から超音波が発生し、超音波振動が振動ホーン112の周りの洗浄水を介して被洗浄物内部の洗浄水に伝わる。
図11(a)に示すように、被洗浄物の内部では、超音波振動の作用によって減圧と加圧が交互に生じ、圧力が低くなった部分に真空の空洞が生じる。即ち、被洗浄物の汚れの部分に多数の空洞が存在する状態となる。次に、
図11(b)に示すように、空洞の部分の圧力が高まり、この圧力に潰されて空洞が破壊されると、被洗浄物の汚れ部分に衝撃波が生じる。この衝撃波によって被洗浄物から汚れが分離される。
図11(c)に示すように、振動ホーン112からの超音波振動は、被洗浄物の内部から貯水槽210内への水流を生み出し、この水流によって、被洗浄物から分離された汚れが貯水槽210内に排出される。貯水槽210では、上記の水流により対流が発生するので、被洗浄物から汚れが引き離されやすくなる。さらに、洗浄水に含まれる洗剤の作用によっても、被洗浄物から汚れが引き離されやすくなり、また、汚れが被洗浄物に再付着しにくくなる。このようにして、被洗浄物から汚れが除去される。 上述のとおり、被洗浄物は、汚れの付着部分が超音波発生体110の振動ホーン112の先端面112aから離れすぎないよう貯水槽210にセットされる。これにより、振動ホーン112からの超音波振動が汚れの付着部分に効果的に作用し、汚れ落ちがよくなる。
【0100】
被洗浄物の洗浄が完了すると、ユーザは、洗浄運転を終了させるため、所定の終了操作を行う。超音波発生体110の動作が停止されるとともに供給バルブ400が閉じられ、洗浄運転が終了する。
【0101】
ユーザは、続けて新たな洗浄運転を行わない場合、
図3(a)にように、超音波洗浄装置50を収納部17へ収納し、超音波洗浄部100および貯水部200を待機位置へ移動させる。
図8に示すように、貯水部200が待機位置に移動すると、弁切替機構230では、弁可動部材240の後板部244が、排水受け部70の後面の2つのリブ74に当接し、これらリブ74に押され、スプリング260の付勢力に抗して、貯水部200に対して前方向に移動する。弁可動部材240の後板部244に連結された弁体220が貯水槽210の排水口211に対して前方向、即ち開放方向に移動し、排水口211が開放される。これにより、貯水槽210に溜められた洗浄水が排水口211を通じて排出される。この際、洗浄水は、排水口211の内壁面と弁体220の上下の平坦面223との隙間と、弁体220の左右の開口224および孔222とを通る。排水口211から排出された洗浄水は、排水受け部70で受けられ、排出孔71から排出される。排出孔71から排出された洗浄水は、排水パイプ72、溢水パイプ26および排水ホース41を流れて、機外へ排出される。
【0102】
ユーザは、貯水槽210の洗浄水を入れ替えて2回目の洗浄運転を行いたい場合がある。この場合、超音波洗浄装置50を収納部17に収納して貯水部200を待機位置に移動させることで貯水槽210から洗浄水を排出できるが、このような作業はやや面倒である。
【0103】
そこで、本実施の形態では、ユーザは、超音波洗浄装置50を動かすことなく貯水部200を運転位置に維持したまま、貯水槽210から洗浄水を排出できる。
【0104】
図12は、超音波洗浄装置50が収納部17から引き出された状態で操作部250が移動操作されたときの様子を示す上面板12の後部の側面断面図である。なお、
図12では、便宜上、超音波洗浄装置50は、操作部250が配置された貯水部200の操作窓204よりも後方が断面で描かれている。
【0105】
ユーザは、超音波洗浄部100および貯水部200が運転位置にある状態において、
図12の太線矢印に示すように、操作部250を前方へ移動させる移動操作を行う。これにより、弁切替機構230では、貯水部200が待機位置に移動されたときと同様に、弁可動部材240が、貯水部200に対して前方向に移動する。これにより、弁体220が貯水槽210の排水口211に対して開放方向に移動し、排水口211が開放される。れにより、貯水槽210に溜められた洗浄水が排水口211を通じて排水され、排水受け部70で受けられる。そして、洗浄水は、排水パイプ72、溢水パイプ26および排水ホース41を介して機外へ排出される。
【0106】
ユーザは、洗浄運転を継続するための所定の継続操作を行う。2回目の洗浄運転が開始される。なお、この洗浄運転では、貯留タンク60内に洗浄水が残っているため、貯留タンク60内への洗浄水の供給が行われることなく供給バルブ400が開かれて、貯留タンク60から貯水槽210へ洗浄水が供給される。なお、本実施の形態では、2回の洗浄運転が行われると貯留タンク60内の洗浄水が無くなるため、継続操作は、1回のみ受け付けられる。
【0107】
超音波洗浄部100では、洗浄運転が繰り返されているうちに、キャップ130の開口からキャップ130内に汚れが入り込み、キャップ130の内部で超音波発生体110の振動ホーン112に汚れが付着し得る。本実施の形態では、キャップ130がハウジング120に対して着脱可能であるため、ユーザは、ハウジング120からキャップ130を取り外して、振動ホーン112の清掃を行うことができる。
【0108】
また、洗浄運転が繰り返されているうちに、貯水槽210が汚れ得る。本実施の形態では、貯水部200が本体部300に対して着脱可能であるため、ユーザは、本体部300から貯水部200を取り外して、貯水槽210の洗浄を行うことができる。
【0109】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、貯水槽210の排水口211を開閉する弁体220と、弁切替機構230とが設けられ、超音波洗浄部100および貯水部200、即ち超音波発生体110および貯水槽210が運転位置にあるときには弁体220が閉じた状態となり、超音波洗浄部100および貯水部200が待機位置にあるときには弁体220が開いた状態となるよう、弁切替機構230によって弁体220の切替えが行われる。これにより、超音波洗浄装置50が、洗浄運転が行われ得る状態にあるときには、貯水槽210から排水が行われずに、超音波洗浄装置50が、洗浄運転が行われない状態となったときに、貯水槽210から排水が行われるようにできる。
【0110】
また、弁切替機構230には、操作部250が含まれ、超音波発生体110と貯水槽210とが運転位置にあるときに操作部250による開操作が行われると、弁切替機構230によって閉状態から開状態への弁体220の切替えが行われる。これにより、超音波発生体110と貯水槽210とが運転位置にある場合にも、貯水槽210の水を入れ替える等、必要なときに、超音波発生体110と貯水槽210とを待機位置に戻すことなく、貯水槽210から洗浄水を排出することができる。
【0111】
このように、本実施の形態によれば、貯水槽210からの良好な排水が可能となり、ユーザに対する利便性が向上し得る。
【0112】
さらに、本実施の形態によれば、排水受け部70から排出された洗浄水が流れる排水パイプ72が、溢水口20bから流出した溢水を排水ホース41へと導く溢水パイプ26に接続される構成とされているので、排水パイプ72が排水ホース41に接続される構成に比べて排水パイプ72を短くできる。これにより、たとえば、脱水時に外槽20が振動したときに、排水パイプ72が筐体10に接触しにくく、排水パイプ72の破損等が生じにくい。
【0113】
さらに、本実施の形態によれば、自動投入機構90から供給された洗浄水が、貯水槽210よりも貯水容量が大きな貯留タンク60に溜められ、この貯留タンク60から貯水槽210に供給される構成とされているので、貯水槽210内の洗浄水を入れ替える都度、洗浄水を生成しなくてよくなり、ユーザに対する利便性が高まる。
【0114】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0115】
たとえば、上記実施の形態では、弁切替機構230が、弁体220を排水口211が閉塞される閉塞方向に付勢するスプリング260と、弁体220と操作部250に連結された弁可動部材240とを含み、超音波発生体110と貯水槽210とが運転位置から待機位置に移動したときに弁可動部材240の後板部244が排水受け部70に設けられたリブ74に当接し、リブ74に押されて弁体220を排水口211が開放される開放方向に移動させるとともに、操作部250に対して移動操作が行われたときに、弁可動部材240が操作部250とともに移動して弁体220を開放方向に移動させる構成とされた。
【0116】
しかしながら、超音波発生体110と貯水槽210が運転位置にあるときには弁体220が閉じた状態となり、超音波発生体110と貯水槽210が待機位置にあるときには弁体220が開いた状態となるように弁体220が切替えられるとともに、超音波発生体110と貯水槽210とが運転位置にあるときに操作部250への開操作が行われると、閉状態から開状態への弁体220が切替えられれば、弁切替機構230は、上記以外の機構とされてもよい。
【0117】
また、上記実施の形態では、排水パイプ72が溢水パイプ26に接続された。しかしながら、排水パイプ72が溢水受け部25に接続されてもよい。ただし、排水パイプ72から排出された洗浄水が溢水口20bから外槽20内へ侵入しないようにすることを考慮した場合には、排水パイプ72が、溢水口20bから遠い溢水パイプ26に接続されることが望ましい。
【0118】
さらに、上記実施の形態では、洗浄水、即ち洗剤が含まれた水を供給する自動投入機構90が貯留タンク60に接続された。しかしながら、最終的に、貯留タンク60に洗浄水が溜められればよいため、貯留タンク60には少なくとも水が供給されればよく、たとえば、貯留タンク60に洗剤の投入口が設けられ、予め洗剤が投入された貯留タンク60に、給水ユニット80から水のみが供給されるような構成が採られてもよい。
【0119】
さらに、上記実施の形態では、超音波洗浄装置50が全自動洗濯機1に備えられる。しかしながら、超音波洗浄装置50が、全自動洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、ドラム式洗濯機に備えられてもよい。また、超音波洗浄装置50が、たとえば、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機やドラム式洗濯乾燥機に備えられてもよい。ドラム式洗濯機およびドラム式洗濯乾燥機では、外槽内に、内槽としてドラムが配置される。さらに、超音波洗浄装置50が、洗面台など、洗濯機以外の装置に用意された配置部に配置されてもよい。
【0120】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
12 上面板
17 収納部(配置部)
20 外槽
20a 排水口部(第1排水路)
20b 溢水口
22 洗濯脱水槽(内槽)
25 溢水受け部(溢水路)
26 溢水パイプ(溢水路)
41 排水ホース(第1排水路)
50 超音波洗浄装置
60 貯留タンク(貯留部)
70 排水受け部
72 排水パイプ(第2排水路)
74 リブ(当接部)
90 自動投入機構(供給部)
100 超音波洗浄部
110 超音波発生体
200 貯水部
210 貯水槽
211 排水口
220 弁体
230 弁切替機構
240 弁可動部材
250 操作部
260 スプリング(付勢部材)