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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】手術支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/00 20160101AFI20231208BHJP
【FI】
A61B34/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019151679
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2021029490
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】300078361
【氏名又は名称】株式会社齋藤創造研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 憲彦
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-230737(JP,A)
【文献】特開2003-111720(JP,A)
【文献】特開2018-088254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体であり、患者の体内に配置する手術ツールと、
前記体内に配置された前記手術ツールに作用する磁界を発生させる磁界発生機構を備える手術装置と、
前記手術装置を操作して前記手術ツールを前記体内で変位させる操作装置と、を有し、
前記磁界発生機構は、
互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸としたとき、
前記患者の体外に配置され、前記手術ツールを間に挟んでX軸方向に対向して配置された一対の電磁石と、
前記患者の体外に配置され、前記手術ツールを間に挟んでY軸方向に対向して配置された一対の電磁石と、
前記患者の体外に配置され、前記手術ツールを間に挟んでZ軸方向に対向して配置された一対の電磁石と、
これら6つの前記電磁石を支持し、相対的位置関係を固定するフレームと、
前記フレームを移動させる移動機構と、を有し、
前記手術ツールに前記6つの電磁石で発生させた磁界が六方から作用することにより前記6つの電磁石の中心部分で前記手術ツールが浮遊し、前記移動機構を用いて前記フレームを移動することにより、前記体内で前記手術ツールが変位することを特徴とする手術支援システム。
【請求項2】
前記操作装置は、外力が入力される弾性層および前記弾性層に配置され前記弾性層の変形に伴って変位するマーカーを有する弾性入力部と、前記マーカーの変位を検出する検出部とを備え、術者の両手に把持される一対の入力装置を有し、
前記一対の入力装置の前記弾性層を押圧しつつ、前記一対の入力装置を相対的な位置関係を一定に保って前記X軸方向に動かすと、前記フレームがX軸方向に移動し、
前記一対の入力装置の前記弾性層を押圧しつつ、前記一対の入力装置を相対的な位置関係を一定に保って前記Y軸方向に動かすと、前記フレームがY軸方向に移動し、
前記一対の入力装置の前記弾性層を押圧しつつ、前記一対の入力装置を相対的な位置関係を一定に保って前記Z軸方向に動かすと、前記フレームがZ軸方向に移動する請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項3】
前記一対の入力装置の前記弾性層を押圧しつつ、前記一対の入力装置を相対的な位置関係を一定に保ってX軸まわりに動かすと、前記フレームがX軸まわりに回転し、
前記一対の入力装置の前記弾性層を押圧しつつ、前記一対の入力装置を相対的な位置関係を一定に保ってY軸まわりに動かすと、前記フレームがY軸まわりに回転し、
前記一対の入力装置の前記弾性層を押圧しつつ、前記一対の入力装置を相対的な位置関係を一定に保ってX軸まわりに動かすと、前記フレームがZ軸まわりに回転する請求項2に記載の手術支援システム。
【請求項4】
前記弾性層を押圧する強さによって前記手術ツールを病巣に押し付ける強さが変化する請求項2または3に記載の手術支援システム。
【請求項5】
前記操作装置は、前記患者の術野を表示する画像表示装置を有する請求項1からのいずれか1項に記載の手術支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、手術を行うための手術支援システムとして、特許文献1に記載された手術支援システムが知られている。特許文献1に記載の手術支援システムは、患者が横になる手術台と、手術のための手術ツールを備える手術ロボットと、手術ロボットを操作するためのコンソールとを有する。コンソールは、手術野を表示する画面と、手術ロボットを走査するための入力制御デバイスとを有する。一方で、手術ロボットは、少なくとも1つの多関節アームを備え、この多関節アームの先端部には所定の手術ツールが装着されている。外科医は、コンソールに映し出された手術野を見つつ、入力制御デバイスを介して手術ロボットが備える多関節アームを操作することにより、手術台上の患者に対して手術を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-48153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、このような多関節アームを備える手術ロボットと比べて、手術ツールの位置や姿勢に制限が少なく、優れた操作性を有する手術支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
【0006】
(1) 磁性体であり、患者の体内に配置する手術ツールと、
前記体内に配置された前記手術ツールに作用する磁界を発生させる磁界発生機構を備える手術装置と、
前記手術装置を操作して前記手術ツールを前記体内で変位させる操作装置とを有することを特徴とする手術支援システム。
【0007】
(2) 前記操作装置は、外力が入力される弾性層および前記弾性層に配置され前記弾性層の変形に伴って変位するマーカーを有する弾性入力部と、前記マーカーの変位を検出する検出部とを備える入力装置を有し、
前記入力装置を用いて前記手術装置を操作する上記(1)に記載の手術支援システム。
【0008】
(3) 前記弾性入力部への入力および前記入力装置の変位によって前記手術装置を操作する上記(2)に記載の手術支援システム。
【0009】
(4) 前記操作装置は、前記患者の術野を表示する画像表示装置を有する上記(1)から(3)のいずれかに記載の手術支援システム。
【0010】
(5) 前記磁界発生機構は、前記体内に配置された前記手術ツールを間に挟んで配置された少なくとも一対の磁界発生部を有する上記(1)から(4)のいずれかに記載の手術支援システム。
【0011】
(6) 前記磁界発生部は、電磁石であり、
前記電磁石が発生する磁界の強さを変更することにより前記手術ツールを前記体内で変位させる上記(5)に記載の手術支援システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、磁界発生機構で発生する磁界を手術ツールに作用させて、その磁界を利用して手術ツールを操作する。つまり、手術ツールは、手術装置に機械的に接続されておらず、その変位に制限がない。そのため、従来のようなロボットアームの先端に手術ツールを装着する場合と比べて、手術ツールの位置や姿勢に制限がかかり難く、優れた操作性を有する手術支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る手術支援システムの全体構成を示す図である。
図2】手術ツールが体内に導入された状態を示す図である。
図3】手術ツールの一例を示す図である。
図4】手術ツールの一例を示す図である。
図5】手術ツールの一例を示す図である。
図6】手術装置の一例を示す図である。
図7】操作装置の一例を示す図である。
図8】入力装置の一例を示す断面図である。
図9図8に示す入力装置の部分拡大断面図である。
図10】手術ツールの操作方法の一例を示す図である。
図11】手術ツールの操作方法の一例を示す図である。
図12】手術ツールの操作方法の一例を示す図である。
図13】手術ツールの操作方法の一例を示す図である。
図14】第2実施形態に係る力装置の部分拡大断面図である。
図15】第3実施形態に係る操作装置を示す図である。
図16】入力装置の変形例を示す図である。
図17】第4実施形態に係る手術ツールを示す図である。
図18】第5実施形態に係る手術ツールを示す図(断面図)である。
図19】第6実施形態に係る手術ツールを示す図である。
図20】第7実施形態に係る手術ツールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1に、対象患者に対して外科的な手術を行うための手術支援システム1を示す。手術支援システム1は、患者Hを載置する手術台2と、患者Hの体内に導入される手術ツール3と、手術ツール3を操作する手術装置4と、手術装置4を操作する操作装置5とを有する。このような構成の手術支援システム1は、執刀医が操作装置5を用いて手術装置4を操作することで、患者Hの体内に導入された手術ツール3を用いて病巣に対して所望の処置を行うように構成されている。
【0015】
図2に示すように、手術ツール3は、患者Hの体内(腹腔内)に導入可能な程に小さい小片31で構成されている。なお、図2では、小片31を体内に導入するための管91おおび患者Hの術野を撮像するための3D内視鏡カメラ92が患者Hに挿入された状態を示す。また、小片31は、磁性体、本実施形態では特に強磁性体であり、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム等の磁性材料を含んだ材料で構成されている。なお、手術ツール3は、軟磁性体であっても、永久磁石のような硬磁性体であってもよい。
【0016】
小片31は、例えば、図3および図4に示すように、表面に凹凸が形成された球体で構成されており、この凹凸を利用して体内の組織を削り取ることができる構成となっている。図3の構成では、球体の表面に複数の凹部311が形成され、図4の構成では、球体の表面に複数の凸部312が形成されている。また、小片31は、例えば、図5に示すように、メスのように鋭利な刃313を有し、この刃313によって体内の組織を切開、切断することができる構成となっている。なお、小片31の構成は、特に限定されず、例えば、造影剤、薬剤等の投与、内視鏡、レーザーメス、組織焼灼、縫合等の機能を有する構成であってもよい。また、小片31は、形状が固定されていてもよいし、平面的または立体的に変形可能であってもよい。以下では、説明の便宜上、図3に示す構成の小片31を用いて説明する。
【0017】
例えば、機能や形状の異なる複数の手術ツール3を準備しておき、手術内容に応じてこれら複数の手術ツール3から最適な1つの手術ツール3を選択し、選択した手術ツール3を患者Hの体内に導入することにより、病巣に対して、より正確な処置を行うことができる。
【0018】
このような手術ツール3を操作する手術装置4は、図6に示すように、小片31に作用させる磁場を形成する磁場形成機構41と、操作装置5から送信される操作信号に基づいて磁場形成機構41の駆動を制御する制御装置45とを有する。
【0019】
また、磁場形成機構41は、フレーム42と、フレーム42に固定された6つの電磁石431~436(磁場発生部)と、フレーム42を移動させる図示しない移動機構とを有する。これら6つの電磁石431~436は、患者Hの体内に導入された小片31の周囲に配置される。具体的には、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸としたとき、一対の電磁石431、432が小片31を間に挟んでX軸方向に対向して配置され、一対の電磁石433、434が小片31を間に挟んでY軸方向に対向して配置され、一対の電磁石435、436が小片31を間に挟んでZ軸方向に対向して配置される。なお、図示しないが、各電磁石431~436は、鉄芯と、鉄芯に巻き付けられたコイルとを有し、コイルを流れる電流の大きさを制御することにより、発生する磁界(磁力)の強さを変更できるようになっている。
【0020】
患者Hの体内に導入された小片31に各電磁石431~436で発生させた磁界(磁力)を六方から作用させ、かつ、各電磁石431~436で発生させた磁界の強さを独立して制御することにより、これら電磁石431~436の中心部分で小片31を浮遊させて、その場で自由に動かすことができる。また、フレーム42を動かせば、その動きに応じて小片31を移動させることもできる。このように、磁場形成機構41によって小片31を自在に動かすことで、例えば、前述した凹部311、凸部312、刃313等で病巣を切断する等、所望の処置を施すことができる。このような構成によれば、小片31を手術装置4に機械的に接続することなく自在に操作することができるため、小片31の変位に実質的に制限がない。
【0021】
ただし、磁場形成機構41の構成としては、磁力を利用して小片31を操作することができれば、特に限定されず、例えば、一対の電磁石431、432、一対の電磁石433、434および一対の電磁石435、436のうちの1つまたは2つを省略してもよい。
【0022】
図示しない移動機構は、例えば、モーター等の動力を用いて、フレーム42をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ独立して移動可能とし、さらには、X軸まわり、Y軸まわりおよびZ軸まわりにそれぞれ独立して回転可能としている。移動機構によってフレーム42を変位させることで、それに合わせて小片31の姿勢や位置を変化させることができる。
【0023】
制御装置45は、操作装置5から送信される操作信号に基づいて各電磁石431~436および移動機構44の駆動を制御する。このような制御装置45は、例えば、コンピュータから構成され、情報を処理するプロセッサ(CPU)と、プロセッサに通信可能に接続されたメモリとを有する。メモリにはプロセッサにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサは、メモリに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0024】
操作装置5は、例えば、インターネットを介して手術装置4と接続されている。そのため、遠隔地からでも操作装置5を用いて手術装置4を操作することができる。操作装置5は、図7に示すように、手術装置4を操作する一対の入力装置6、6と、患者Hの術野を立体画像として映し出す画像表示装置7とを有する。執刀医は、一方の入力装置6を右手で把持すると共に他方の入力装置6を左手で把持し、画像表示装置7に映し出された患者の術野を見ながら入力装置6、6を操作することにより手術装置4を操作し、小片31を用いて患者Hの病巣に対して所望の処置を施す。
【0025】
画像表示装置7は、例えば、患者Hの体内に挿入された3D内視鏡カメラ92で捉えた術野を立体画像として映し出すことができる。これにより、遠隔地においても、容易に患者Hに対して手術を行うことができる。このような画像表示装置7は、執刀医の頭部に装着するヘッドマウントディスプレイであり、3D内視鏡カメラ92で撮像された画像データを処理するカメラコントロールユニット71と、眼鏡型のフレーム73と、フレーム73に設けられ、カメラコントロールユニット71で処理された画像が表示されるモニタ72と、を有する。また、モニタ72は、右眼用の画像が表示される右眼用モニタ721と、左目用の画像が表示される左目用モニタ722とを有する。ただし、画像表示装置7の構成としては、患者Hの術野を表示することができれば、特に限定されない。
【0026】
一対の入力装置6は、互いに同様の構成であるため、以下では、一方の入力装置6についてのみ説明する。図8に示すように、入力装置6は、球状の基体61と、基体61の外周に設けられた球状の弾性入力部68とを有する。なお、説明の便宜上、図8では弾性入力部68の断面からハッチングを省略している。
【0027】
また、弾性入力部68は、外力が入力される弾性層62と、弾性層62に配置され、弾性層62の変形に伴って変位するマーカーMとを有する。また、入力装置6は、マーカーMの変位を検出する検出部63と、入力装置6の姿勢を検出する姿勢検出部66と、検出部63および姿勢検出部66の検出結果から手術装置4の操作信号を生成する信号生成部64と、基体61内から弾性入力部68を照らす光源65とを有する。そして、信号生成部64で生成された操作信号が手術装置4に送信され、手術装置4は、受けた操作信号に基づいて各種処理を行う。
【0028】
基体61は、硬質な部材、具体的には指による押圧程度では実質的に変形しない程度の硬さを有する部材で構成されている。また、基体61は、光透過性を有している。本実施形態では、基体61は、樹脂材料で構成され、実質的に無色透明である。ただし、基体61の構成は、これに限定されず、指による押圧によって容易に変形するほど柔らかくてもよい。また、弾性層62が基体61に支持されなくても一定の形状を保つことができる程度に硬い場合等には、基体61を省略してもよい。
【0029】
弾性層62は、弾性を有する入力部である。例えば、執刀医は、弾性層62を押したり、摘まんだり、捩じったり、引っ張ったりすることにより入力装置6への入力を行う。これらの各動作は、人間が日常、特に意識することなく行っている本能的な動作である。そのため、直感的で、感覚的な入力が可能であり、優れた操作性を有する入力装置6となる。また、入力装置6によれば、弾性層62への入力の強さ、ベクトル、速度等を執刀医が無段階で自由に決定することができる。しかも、入力途中で、そのベクトルや速度を自由に変化させることもできる。そのため、入力装置6によれば、より細かく多彩な入力が可能となる。
【0030】
図8および図9に示すように、弾性層62は、外力が入力される第1面としての外周面62’および外周面62’の反対側に位置する第2面としての内周面62”を有する。弾性層62は、基体61に支持され、基体61に倣った球状となっている。弾性層62を球状とすることにより、入力装置6を両手で包み込むように保持することができ、弾性層62に指を添え易くなり、弾性層62への入力をより自然に行うことができる。また、弾性層62を引っ張り易くもなるし、摘まみ易くもなるため、より繊細な入力を行うことができる。ただし、弾性層62の外形としては、特に限定されず、球状の他にも、例えば、半球状、正四面体状、正六面体状、正八面体状等の多面体状、平らなシート状等であってもよい。
【0031】
弾性層62には、弾性層62の変形によって変位するマーカーMが配置されている。マーカーMは、検出部63で検出可能な検出対象である。マーカーMは、弾性層62の厚さ方向にずれて配置され、基体61からの距離が互いに異なる第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3を有する。これら第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3は、それぞれ、弾性層62の変形に伴って変位する。したがって、これら第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3の変位に基づいて弾性層62の変形を検出でき、弾性層62の変形から弾性層62への入力を検出することができる。ただし、第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3の変位に基づいて、弾性層62の変形を検出することなく、弾性層62への入力を検出してもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3は、それぞれ、ドット状すなわち点形状をなしているが、これに限定されず、線形状、面形状、立体形状等であってもよい。また、複数の第1マーカーM1は、互いに形状が同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2、第3マーカーM2、M3についても同様である。
【0033】
弾性層62は、基体61の表面に配置され、第1マーカーM1を有する第1弾性層621と、第1弾性層621の表面に配置され、第2マーカーM2を有する第2弾性層622と、第2弾性層622の表面に配置され、第3マーカーM3を有する第3弾性層623と、第3弾性層623の表面に配置された保護層624とを有する。
【0034】
第1弾性層621、第2弾性層622および第3弾性層623は、それぞれ、光透過性および弾性を有する。そして、第1弾性層621の表面に複数の第1マーカーM1が互いに離間して配置され、第2弾性層622の表面に複数の第2マーカーM2が互いに離間して配置され、第3弾性層623の表面に複数の第3マーカーM3が互いに離間して配置されている。なお、本実施形態では、第1~第3弾性層621~623は、それぞれ、実質的に無色透明である。ただし、第1~第3弾性層621~623は、光透過性を有していれば、その少なくとも1つが、例えば、有色透明であってもよい。
【0035】
第1~第3マーカーM1~M3は、それぞれ、第1~第3弾性層621~623の表面に貼着されたものであってもよいし、第1~第3弾性層621~623の表面にインク等を用いて印刷されたものであってもよい。また、例えば、第1~第3マーカーM1~M3は、それぞれ、第1~第3弾性層621~623内に埋設されていてもよい。
【0036】
第1~第3マーカーM1~M3は、形状および色彩の少なくとも一方が互いに異なっており、検出部63によって識別可能となっている。本実施形態では、第1~第3マーカーM1~M3は、互いに色彩が異なっており、例えば、第1マーカーM1が赤色、第2マーカーM2が緑色、第3マーカーM3が青色となっている。なお、第1~第3マーカーM1~M3の色彩ではなく形状を互いに異ならせる場合には、例えば、第1マーカーM1を円形、第2マーカーM2を三角形、第3マーカーM3を四角形とすることができる。もちろん、色彩および形状を共に異ならせてもよいし、色彩や形状を異ならせる以外の方法によって第1、第2、第3マーカーM1~M3を検出部63で識別可能としてもよい。
【0037】
また、第1~第3マーカーM1~M3は、自然状態において、検出部63のカメラ631から見て互いに重ならないように配置されていることが好ましい。すなわち、カメラ631によって撮像される画像上で、第2マーカーM2がその手前にある第1マーカーM1に隠れることなく、第3マーカーM3がその手前にある第1、第2マーカーM1、M2に隠れることがないように配置されていることが好ましい。これにより、カメラ631によって、より多くのマーカーMの変位を検出することができる。そのため、弾性層62への入力をより精度よく検出することができる。なお、前記「自然状態」とは、例えば、弾性層62に重力以外の外力が加わっていない状態を言う。
【0038】
保護層624は、第3弾性層623の表面に配置された第3マーカーM3を保護する機能を有している。保護層624は、第1~第3弾性層621~623と同様に、光透過性および弾性を有している。
【0039】
以上、弾性入力部68について説明したが、弾性入力部68の構成としては、これに限定されない。例えば、第1マーカーM1を有していれば、第2、第3マーカーM2、M3を省略してもよい。つまり、厚さ方向にずれて配置されたマーカーMが存在していなくてもよい。また、保護層624を省略し、第3マーカーM3が弾性層62の表面に露出していてもよい。
【0040】
検出部63は、第1~第3マーカーM1~M3を変位に基づいて、弾性層62の変形を三次元的に検出する。このような検出部63の構成は、その機能を発揮することができれば、特に限定されないが、本実施形態では、ステレオ写真法を用いて弾性層62の変形を三次元的に検出する。検出部63は、撮像部としての複数のカメラ631を有する。複数のカメラ631は、弾性層62の方を向いて配置され、それぞれ、弾性層62を内周面62”側から撮像する。弾性層62の各部は、少なくとも2つのカメラ631で撮像できるようになっており、これにより、弾性層62の各部を三次元画像認識すなわちステレオ画像認識することができる。なお、前記「弾性層62の各部」とは、弾性層62の全域を意味する場合もあれば、弾性層62の選択された一部の領域を意味する場合もある。
【0041】
また、図9に示すように、検出部63は、各カメラ631からの画像情報に基づいて弾性層62の三次元画像認識を行う処理部632を有する。処理部632は、例えば、コンピュータから構成され、情報を処理するプロセッサ(CPU)と、プロセッサに通信可能に接続されたメモリとを有する。メモリにはプロセッサにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサは、メモリに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0042】
処理部632は、弾性層62への入力に伴う第1~第3マーカーM1~M3の変位を三次元画像認識によって検出し、検出結果に基づいて、入力位置、入力方向、入力強度、入力速度、入力加速度等を含む入力情報を得る。以下、この入力情報を「接触入力情報」とも言う。特に、本実施形態では、第1~第3マーカーM1~M3が弾性層62の厚さ方向にずれて配置されている。そのため、処理部632は、弾性層62の内層、中間層、外層のそれぞれでの変形を検出することができ、弾性層62の変形をより詳細に検出することができる。
【0043】
ここで、処理部632による入力情報の取得方法の一例について簡単に説明する。処理部632の記憶部には予め各カメラ631の3次元座量が記憶されている。そして、処理部632は、所定マーカーMの変位を検出するのに用いられる2台のカメラ631によって同時刻における画像を取得し、両画像中の所定マーカーMの2次元座標を取得する。次に、処理部632は、両画像中の所定マーカーMの2次元座標のずれと各カメラ631の3次元座標とに基づいて所定マーカーMの3次元座標を取得し、記憶する。処理部632は、この作業をフレーム毎に連続的に行う。そして、処理部632は、前回取得した所定マーカーMの3次元座標と、今回新たに取得した所定マーカーMの3次元座標とを比較することにより、その間に生じた所定マーカーMの変位を検出することができる。処理部632は、このような作業を全マーカーMについて行うことにより、入力情報を得ることができる。
【0044】
以上、処理部632による入力情報の取得方法について説明したが、入力情報の取得方法は、これに限定されない。例えば、全マーカーMについて上述の作業を行うと処理量が膨大となってしまい、処理部632の性能等によっては処理が追いつかない場合が考えられる。また、用途によっては、大まかな入力情報が得られれば、それで足りる場合も考えられる。そのため、このような場合には、例えば、処理部632は、予め選択した一部のマーカーMについてのみ上述の作業を行うようにしてもよい。
【0045】
また、処理部632は、例えば、自然状態における弾性層62の各部の画像を基準画像として記憶しておき、この基準画像と、上述のように得された画像とをリアルタイムに比較して第1~第3マーカーM1~M3の変位を特定することにより、上記の入力情報を得てもよい。
【0046】
ここで、前述したように、第1~第3弾性層621~623および保護層624は、無色透明である。そのため、各カメラ631は、弾性層62を介して弾性層62の外界を撮像することができる。したがって、各カメラ631を用いて、外界にある執刀医の手の動きを捉えることができ、弾性層62に触れることのない入力や、第1~第3マーカーM1~M3が変位しない程度に軽く弾性層62に触れた状態での入力が可能となる。
【0047】
具体的には、例えば、弾性層62の表面付近で手を動かしたり、弾性層62の表面をなでたりすると、この手の動きを処理部632がカメラ631からの画像に基づいて検出し、その動きに基づく入力情報を得る。なお、以下では、この入力情報を前述した接触入力情報と区別するために「非接触入力情報」とも言う。
【0048】
なお、非接触型の入力は必須ではなく、できなくてもよい。この場合、保護層624は、光透過性を有する必要がないため、光透過性を有していなくてもよい。保護層624が光透過性を有しなければ、光源65の光が弾性層62の外部に漏れないため、例えば、光源65からの光量が大きい場合等に、執刀医が眩しく感じることがなくなる。
【0049】
光源65は、基体61の内側から弾性層62を照らす。また、図8および図9に示すように、光源65は、基体61の内部空間S内に配置された発光部651を有する。なお、発光部651としては、特に限定されず、例えば、LEDを用いることができる。光源65は、例えば、外界からの光によって弾性層62を画像認識可能な程に十分に明るく保てる場合等には省略してもよい。また、内部空間Sに輝度センサーを配置して、この輝度センサーにより検知された内部空間Sの明るさに基づいて、発光部651の光量が制御されるようになっていてもよい。これにより、例えば、内部空間S内をほぼ一定の明るさに保つことができ、検出部63による弾性層62の画像認識をより安定して行うことができる。
【0050】
姿勢検出部66は、入力装置6の姿勢、移動方向、移動速度等、変位に関する情報を検出する装置である。このような姿勢検出部66は、慣性計測装置であり、例えば、互いに直交する軸をX軸、Y軸およびZ軸としたとき、X軸まわりの角速度、Y軸まわりの角速度およびZ軸まわりの角速度を検出する3軸ジャイロセンサーと、X軸方向の加速度、Y軸方向の加速度およびZ軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサーとを有する。ただし、姿勢検出部66の構成としては、これに限定されない。以下、姿勢検出部66が検出した情報を「移動入力情報」とも言う。
【0051】
信号生成部64は、検出部63が取得した接触入力情報および非接触入力情報と、姿勢検出部66が取得した移動入力情報とを受信し、受信した各種情報に基づいて手術装置4を操作するための操作信号を生成する。このように、接触入力情報、非接触入力情報および移動入力情報に基づいて操作信号を生成することにより、種々な操作信号を生成することができ、手術装置4の操作性、操作の多彩性および利便性が向上する。
【0052】
以上、手術支援システム1の構成について説明した。このような手術支援システム1によれば、磁場形成機構41で発生する磁界を手術ツール3に作用させて、その磁界を利用して手術ツール3を操作することができる。つまり、手術ツール3は、手術装置4に機械的に接続されておらず、その変位に実質的に制限がない。そのため、従来のようなロボットアームの先端に手術ツールを装着する場合と比べて、手術ツール3の位置や姿勢の制限が少なく、その分、優れた操作性を有する手術支援システム1となる。
【0053】
次に、手術支援システム1の使用方法について一例を挙げて説明する。まず、手術台2に患者Hを載置して、前述した図2に示すように、患者Hの体内に小片31を導入するための管91および3D内視鏡カメラ92を患者Hに挿入する。次に、管91を介して患者Hの腹腔内に小片31を導入する。これにより、手術の準備が整った状態となる。なお、ここまでは手術台2が置いてある現場の医師、助手等のスタッフにより行われる。
【0054】
次に、執刀医は、右手に一方の入力装置6を把持すると共に左手に他方の入力装置6を把持し、画像表示装置7のモニタ72に映し出された術野の立体画像を見ながら、把持した一対の入力装置6を操作することにより手術装置4を操作し、患者の体内にある小片31を用いて病巣に対して所望の処置を行う。なお、執刀医は、一対の入力装置6、6の間に小片31が位置するイメージで小片31を操作することができる。
【0055】
例えば、図10に示すように、各入力装置6の弾性層62を押圧しつつ、一対の入力装置6を相対的な位置関係をほぼ一定に保ってX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に動かさせば、それと共にフレーム42がX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動して、それに伴って小片31も腹腔内でX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動する。また、例えば、図11に示すように、各入力装置6の弾性層62を押圧しつつ、一対の入力装置6を相対的な位置関係をほぼ一定に保ってX軸まわり、Y軸まわりおよびZ軸まわりに動かさせば、それと共にフレーム42がX軸まわり、Y軸まわりおよびZ軸まわりに回転して、それに伴って小片31もX軸まわり、Y軸まわりおよびZ軸まわりに回転する。また、例えば、図12に示すように、一方の入力装置6の弾性層62を押圧しつつ、その入力装置6をその場で回転させれば、その方向にフレーム42が回転して、それに伴って小片31が回転するようになっていてもよい。
【0056】
以上のような操作によって、患者Hの体内で小片31を自在にX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させ、さらには、姿勢を変化させることができる。そのため、例えば、小片31を病巣まで移動させ、小片31が備える刃313で病巣を切除することができる。切除した病巣は、管91を介して体外へ除去することができる。なお、例えば、刃313で病巣を切除する際、弾性層62を押圧する強さによって小片31の押圧強さを制御することもできる。これにより、刃313の侵入深さを制御することができ、病巣に対してより適切な処置を施すことができる。
【0057】
なお、入力装置6の弾性層62を押圧しない場合は、一対の入力装置6をどのように動かしてもフレーム42が移動しないことが好ましい。すなわち、弾性層62の押圧が操作信号の生成をON/OFFするスイッチとして機能することが好ましい。これにより、意図しないフレーム42の移動が阻止させ、より安全な手術を行うことができる。
【0058】
また、別の操作方法として、いずれか一方の入力装置6を小片31に見立て、その入力装置6の弾性層62を指で押圧しつつその指を所定の方向にスライドさせると、そのスライド方向に沿って小片31を移動させたり、回転させたりすることができる構成となっていてもよい。また、例えば、一方の入力装置6が小片31の移動を操作し、他方の入力装置6が小片31の回転を操作する構成となっていてもよい。つまり、図13に示すように、図中右側の入力装置6の弾性層62を指で押圧しつつその指を所定の方向にスライドさせると、そのスライド方向に沿って小片31が移動し、図中左側の入力装置6の弾性層62を指で押圧しつつその指を所定の方向にスライドさせると、そのスライド方向に沿って小片31がその場で回転する構成となっていてもよい。
【0059】
また、例えば、弾性層62の所定の位置を押圧したり、弾性層62を所定の強さで押圧したりすると、誘導加熱により小片31が加熱され、これにより、病巣を焼灼することができるようになっていてもよい。また、弾性層62の所定の位置を押圧したり、弾性層62を所定の強さで押圧したりすると、小片31が振動し、これにより、病巣に振動を与えて処置することができるようになっていてもよい。ただし、小片31の操作方法としては、上述の操作に限定されない。
【0060】
<第2実施形態>
図14に示すように、弾性入力部68は、弾性層62の変形によって変位せず、検出部63で検出可能な基準マーカーM4を有する。図14の構成では、基準マーカーM4は、第1弾性層621と基体61との間であって基体61の外周面に配置されている。ただし、基準マーカーM4の配置としては、これに限定されず、例えば、基体61の内周面に配置されていてもよい。
【0061】
基準マーカーM4は、各カメラ631との相対的位置関係が一定であり、検出部63が第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位を検出する際の基準として機能する。このような構成によれば、例えば、検出部63は、基準マーカーM4に対する第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位を検出することで、より精度よく入力情報を取得することができる。なお、基準マーカーM4は、検出部63が第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3のそれぞれと区別(識別)できるように、例えば、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3と形状および色彩の少なくとも一方が異なっていることが好ましい。
【0062】
<第3実施形態>
図15に示すように、操作装置5は、手術装置4を操作する1つの入力装置6と、患者Hの術野を立体画像として映し出す画像表示装置7とを有する。執刀医は、画像表示装置7に映し出された患者の術野を見ながら1つの入力装置6を両手で操作することにより手術装置4を操作し、小片31を用いて患者Hの病巣に対して所望の処置を施す。
【0063】
なお、入力装置6は、例えば、図16に示すように、スタンド8(支持部)によって支持されていてもよい。これにより、入力装置6をテーブルTに載置した状態で操作することができるため、入力装置6の操作がより容易となる。特に、図16に示す構成では、入力装置6が本実施形態と比べて小さくなっており、片手で操作可能となっている。そして、執刀医は、操作する側の腕の肘をテーブルTに付けた状態で入力装置6を操作している。これにより、手が安定し、入力装置6をより繊細に操作することができる。
【0064】
<第4実施形態>
図17に示すように、手術ツール3は、薬剤搬送ツール32であり、薬剤Dを収容する薬剤収容空間321と、薬剤収容空間321内の薬剤Dを体内に排出する排出部322と、を有する。このような薬剤搬送ツール32を、手術装置4を用いて病巣まで搬送し、病巣近傍において薬剤搬送ツール32から薬剤Dを排出することにより、病巣に直接かつ効果的に薬剤Dを供給することができる。なお、薬剤搬送ツール32の構成としては、病巣まで薬剤Dを搬送することができれば、特に限定されない。
【0065】
<第5実施形態>
図18に示すように、手術ツール3は、薬剤搬送ツール32であり、球状の基体320を有する。そして、基体320の表面には薬剤Dが塗布されている。このような薬剤搬送ツール32を、手術装置4を用いて病巣まで搬送し、薬剤搬送ツール32を病巣近傍に留めておくことで、時間経過とともに、基体320から薬剤Dが剥がれたり溶け出したりし、病巣に直接かつ効果的に薬剤Dを供給することができる。なお、例えば、手術装置4を用いて基体320を微振動させることにより、基体320から薬剤Dを強制的に剥がしてもよいし、手術装置4を用いて基体320を加熱することにより、薬剤Dを強制的に溶かしてもよい。
【0066】
<第6実施形態>
図19に示すように、手術ツール3は、薬剤搬送ツール32であり、基本構成は、前述した第4実施形態と同様である。すなわち、手術ツール3は、薬剤Dを収容する薬剤収容空間321と、薬剤収容空間321内の薬剤Dを体内に排出する排出部322と、を有する。そして、手術ツール23は、さらに、薬剤搬送ツール32を病巣近傍に留置させるための係合部323を有する。係合部323は、排出部322の両側に位置し、針状に突出した2本のニードル323a、323bを有する。このような薬剤搬送ツール32を、手術装置4を用いて病巣まで搬送し、2本のニードル323a、323bを病巣に穿刺することにより、薬剤搬送ツール32が病巣の近傍に留置される。そして、薬剤搬送ツール32から薬剤Dを排出することにより、病巣に直接的に薬剤Dを供給することができる。特に、ニードル323a、323bの間に排出部322が設けられているため、ニードル323a、323bを病巣に穿刺すれば、自然と排出部322が病巣を向く。そのため、薬剤Dを病巣により効果的に供給することができる。
【0067】
<第7実施形態>
図20に示すように、手術ツール3は、薬剤搬送ツール32であり、基本構成は、前述した第4実施形態と同様である。すなわち、手術ツール3は、薬剤Dを収容する薬剤収容空間321と、薬剤収容空間321内の薬剤Dを体内に排出する排出部322と、を有する。ただし、本実施形態の薬剤搬送ツール32は、その外形が前述した第4実施形態と異なっており、楔状すなわち長尺状で先端部が尖った形状となっている。そして、この先端部に排出部322が設けられている。このような薬剤搬送ツール32を、手術装置4を用いて病巣まで搬送し、さらには、その先端部を病巣に突き刺すことにより、薬剤搬送ツール32が病巣に留置される。そして、薬剤搬送ツール32から薬剤Dを排出することにより、病巣に直接的に薬剤Dを供給することができる。なお、薬剤搬送ツール32の先端部を病巣に突き刺す方法としては、特に限定されず、例えば、針のようにして突き刺してもよいし、薬剤搬送ツール32を加熱して組織を焼き切ることにより病巣に突き刺してもよいし、薬剤搬送ツール32の表面に螺旋状の螺子溝を形成し、薬剤搬送ツール32を回転させることにより螺子のように病巣に突き刺してもよい。
【0068】
以上、本発明の手術支援システムについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 手術支援システム
2 手術台
3 手術ツール
31 小片
311 凹部
312 凸部
313 刃
32 薬剤搬送ツール
320 基体
321 薬剤収容空間
322 排出部
323 係合部
323a ニードル
323b ニードル
4 手術装置
41 磁場形成機構
42 フレーム
431 電磁石
432 電磁石
433 電磁石
434 電磁石
435 電磁石
436 電磁石
44 移動機構
45 制御装置
5 操作装置
6 入力装置
61 基体
62 弾性層
62’ 外周面
62” 内周面
621 第1弾性層
622 第2弾性層
623 第3弾性層
624 保護層
63 検出部
631 カメラ
632 処理部
64 信号生成部
65 光源
651 発光部
66 姿勢検出部
68 弾性入力部
7 画像表示装置
71 カメラコントロールユニット
72 モニタ
721 右眼用モニタ
722 左目用モニタ
73 フレーム
91 管
92 3D内視鏡カメラ
D 薬剤
H 患者
M マーカー
M1 第1マーカー
M2 第2マーカー
M3 第3マーカー
M4 基準マーカー
S 内部空間
T テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20