(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】飛沫感染抑制システム、及び、飛沫感染抑制方法
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20231208BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20231208BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20231208BHJP
F24F 120/12 20180101ALN20231208BHJP
【FI】
F24F9/00 A
F24F9/00 J
F24F11/63
F24F11/79
F24F120:12
(21)【出願番号】P 2020527306
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2019021282
(87)【国際公開番号】W WO2020003867
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2018122965
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高柳 哲也
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0130227(US,A1)
【文献】特表2012-533720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0325839(US,A1)
【文献】特開2015-001319(JP,A)
【文献】特表2016-518077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 9/00
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を複数の第1領域に分離するための気流を発生する気流発生部と、
前記複数の第1領域のそれぞれについて人を検出する第1検出部と、
前記空間における咳またはくしゃみを検出する第2検出部と、
前記第2検出部が前記咳またはくしゃみを検出した場合に、前記第1検出部によって検出された人がいる第1領域を含む1以上の第1領域からなる第2領域を他の領域から分離する気流を前記気流発生部に発生させる制御部とを備え
、
前記第2検出部は、前記第1検出部が前記複数の第1領域のうち2以上の第1領域において人を検出した場合、前記2以上の第1領域のうちの前記咳またはくしゃみをした人がいる第1領域を検出し、
前記制御部は、前記第2検出部が検出した前記咳またはくしゃみをした人がいる前記第1領域からなる前記第2領域を前記他の領域から分離する気流を前記気流発生部に発生させ、
机をさらに備え、
前記気流発生部は、前記机に設けられており、前記机から上方に向けて気流を発生し、
前記机の平面視における前記気流発生部の形状は、前記机の天板において格子状である
飛沫感染抑制システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1検出部が前記複数の第1領域のうち2以上の第1領域において人を検出した場合、前記2以上の第1領域を互いに分離する気流を前記気流発生部に発生させる
請求項1に記載の飛沫感染抑制システム。
【請求項3】
前記第2検出部は、前記机に設けられる
請求項
1又は
2に記載の飛沫感染抑制システム。
【請求項4】
前記第2検出部は、マイクロフォン又はカメラを有する
請求項1~
3のいずれか1項に記載の飛沫感染抑制システム。
【請求項5】
椅子をさらに備え、
前記第1検出部は、前記椅子に設けられる
請求項1~
4のいずれか1項に記載の飛沫感染抑制システム。
【請求項6】
前記第1検出部は、赤外線センサ又は圧力センサを有する
請求項1~
5のいずれか1項に記載の飛沫感染抑制システム。
【請求項7】
複数の第1領域のそれぞれについて人を検出する
第1検出ステップと、
咳またはくしゃみを検出する
第2検出ステップと、
前記咳またはくしゃみが検出された場合に、検出された人がいる第1領域を含む1以上の第1領域からなる第2領域を他の領域から分離する気流を気流発生部に発生させる
制御ステップとを含
み、
前記第2検出ステップでは、前記第1検出ステップにおいて前記複数の第1領域のうち2以上の第1領域において人が検出された場合、前記2以上の第1領域のうちの前記咳またはくしゃみをした人がいる第1領域を検出し、
前記制御ステップでは、前記第2検出ステップで検出された前記咳またはくしゃみをした人がいる前記第1領域からなる前記第2領域を前記他の領域から分離する気流を、机に設けられ、前記机の平面視における形状が前記机の天板において格子状であり、前記机から上方に向けて気流を発生する前記気流発生部に発生させる
飛沫感染抑制方法。
【請求項8】
気流発生部と、
複数の領域の各々に人がいるか否かを検出する第1検出部と、
前記複数の領域において咳またはくしゃみがなされたか否かを検出する第2検出部と、
制御部とを含み、
前記第1検出部は第1検出を行い、
前記第1検出の後に、前記第2検出部は第2検出を行い、
前記第2検出の後に、前記制御部は前記気流発生部に第1領域と第2領域を分離する気流を発生させ、
前記第1検出は、前記複数の領域に含まれる第3領域に第1人物がいて、前記複数の領域に含まれる第4領域に第2人物がいて、前記複数の領域から前記第1領域と前記第2領域を除いた領域に人物がいないことを検出することであり、
前記第2検出は、前記複数の領域において前記咳または前記くしゃみがなされたことを検出することであり、
前記第1領域は前記第3領域を含み、前記第2領域は前記第4領域を含み、
前記複数の領域は前記第1領域と前記第2領域であり、
前記第1領域と前記第2領域は共有する領域を有し
ておらず、
机をさらに備え、
前記気流発生部は、前記机に設けられており、前記机から上方に向けて気流を発生し、
前記机の平面視における前記気流発生部の形状は、前記机の天板において格子状である
飛沫感染抑制システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感染症の感染を抑制する飛沫感染抑制システム、及び、飛沫感染抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症には、接触感染、飛沫感染、または、空気感染などの種々の感染ルートがある。例えば、インフルエンザの場合には一般的に、飛沫感染、または、空気感染が主要な感染ルートであると考えられている。したがって、ある感受者の集団の中に、感染者が存在すると、感染者の咳またはくしゃみに曝露された感受性者は感染し、または、感染者の呼気に含まれるインフルエンザウイルス等を吸い込んだ感受性者は感染し、場合によっては集団感染が起きる場合もある。
【0003】
非特許文献1には、室内が換気されている場合に感染者が咳又はくしゃみをした場合にどのように飛沫が飛散していくかの数値シミュレーションによる結果が開示されている。この結果によれば、初速度10m/sで人が咳又はくしゃみをした場合には、5秒程度で1m先の感受者に到達し、感受者は感染者の咳またはくしゃみに曝露される。したがって、飛沫感染を防ぐためには10秒以内のごく短時間に感染者の飛沫から感受者を守る必要がある。
【0004】
そして、そのような飛沫感染から感受者を守る技術の例として、例えば、特許文献1には、医師が患者を診断する際に、飛沫感染を防止する技術が開示されている。特許文献1によれば、医師をクリーンブースで囲い、クリーンブースから気流を発生させる。そして、風上側に医師を、風下側に患者を配置することで、医師が患者の咳に曝露されることを防ぐことができる。
【0005】
また、特許文献2には、汚染空気の清浄化もしくはタバコの受動喫煙を防止する事を目的とした、空気清浄器付きの机が開示されている。特許文献2によれば、机の中央付近に吹き出し口と、吸い込み口、及び、除塵フィルタを設けており、吹き出し口から約180°の立体角で広範囲に気流を吹き出すことによって、部屋全体の気流が大きく循環し、効率よく汚染空気を清浄化できるとともに、煙を速やかに部屋全体に拡散させることで、受動喫煙を防止する事ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-117048号公報
【文献】実開平3-13827号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】Kang Z., Zhang Y., Fan H., Feng G., Proc. Eng. (2015) 114-121
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、例えば、特許文献1の方法は、予め感染者がわかっていない場合には、適用することが難しい。
【0009】
また、特許文献2では、飛沫感染を抑制する技術については開示されていない。
【0010】
そこで、本開示は、以上のような事情を鑑みたものであり、感染者の咳又はくしゃみにより飛沫感染することを適切に抑制することができる技術を提供するものである。
【0011】
本開示の一態様に係る飛沫感染抑制システムは、空間を複数の第1領域に分離するための気流を発生する気流発生部と、前記複数の第1領域のそれぞれについて人を検出する第1検出部と、前記空間における咳またはくしゃみを検出する第2検出部と、前記第2検出部が前記咳またはくしゃみを検出した場合に、前記第1検出部によって検出された人がいる第1領域を含む1以上の第1領域からなる第2領域を他の領域から分離する気流を前記気流発生部に発生させる制御部とを備える。
【0012】
尚、この包括的又は具体的な態様は、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の不揮発性の記録媒体を含む。
【0013】
本開示によれば、感染者の咳又はくしゃみにより飛沫感染することを適切に抑制することができる。
【0014】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る飛沫感染抑制システムの概略構成を示す図
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る飛沫感染抑制システムの機能構成を示すブロック図
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る飛沫感染抑制システムの動作の一例を示すフローチャート
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る飛沫感染抑制システムが咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の一例を示す図
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る飛沫感染抑制システムが咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の他の一例を示す図
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る飛沫感染抑制システムが咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の他の一例を示す図
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る飛沫感染抑制システムが咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の一例を示す図
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る飛沫感染抑制システムが咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の他の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本開示の基礎となった知見)
感受者が感染者の咳又はくしゃみなどに暴露されてインフルエンザに感染すると、通常、1~2日の潜伏期間を経て、高熱や激しい倦怠感に見舞われる。特に、子供や高齢者といった健康弱者の場合には、重症化しやすく、最悪の場合では死亡するケース報告例もある。したがって、多くの高齢者が居住している老人介護施設などの施設では、インフルエンザ対策を徹底することが急務である。介護施設側では、特に、施設職員の手指衛生の徹底、感染症対策マニュアルによる対策など様々な感染症対策が実施されているが、施設外からの感染症の持ち込みによる集団感染は定期的に起きている。インフルエンザは先にも述べた通り、主には飛沫感染と空気感染とが主要な感染ルートであるから、感染者の咳若しくはくしゃみに曝露されないようにすることが重要な対策手段である。
【0017】
しかしながら、例えば、特許文献1では、予め感染者が特定されていない場合には適用が難しい。また、クリーンブースを必要とするなどシステムが大掛かりである。医師などの特定の人を飛沫感染から守る技術としては使えるが、例えば、介護施設のコミュニティルームなど多数の高齢者が同時に存在する場合に、これら高齢者をすべて守るには、コスト面や装置の大きさを考えると、現実的ではない。
【0018】
特許文献2には、飛沫感染を抑制することについては開示されていない。また、汚染空気の効率の良い清浄化を目的としているため、部屋全体に気流を循環する必要があり、これに必要となる流量が大流量となる。必然的にシステム自体も大掛かりになる。
【0019】
そこで、本願発明者は、適切に感受者を飛沫感染から防ぐことについて鋭意検討を行った。そして、咳またはくしゃみを検出し、かつ飛沫感染抑制システムが設けられる空間(例えば、室内の部屋など)に存在する人の位置に応じて気流を発生させることで、上記課題を解決することを見出した。
【0020】
本開示の一態様に係る飛沫感染抑制システムは、空間を複数の第1領域に分離するための気流を発生する気流発生部と、前記複数の第1領域のそれぞれについて人を検出する第1検出部と、前記空間における咳またはくしゃみを検出する第2検出部と、前記第2検出部が前記咳またはくしゃみを検出した場合に、前記第1検出部によって検出された人がいる第1領域を含む1以上の第1領域からなる第2領域を他の領域から分離する気流を前記気流発生部に発生させる制御部とを備える。
【0021】
これにより、制御部は、咳又はくしゃみを検出したときに気流を発生させることで、感染者が予めわかっていない場合であっても、当該気流により感染者の咳又はくしゃみによる飛沫が他の人に到達することを抑制することができる。つまり、咳又はくしゃみによる他の人への感染を抑制することができる。また、制御部は、人がいる第1領域を含む第2領域を分離する気流を気流発生部に発生させればよい。つまり、制御部は、複数の第1領域に分離する気流を発生可能な気流発生部から、第2領域と他の領域とを分離する局所的な気流を発生させればよい。上記のように、飛沫感染抑制システムは、感染者がどこにいるかわかっていない状態であっても、局所的な気流の発生で飛沫感染を抑制することができる。よって、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システムは、感染者の咳又はくしゃみにより飛沫感染することを適切に抑制することができる。さらに、飛沫感染抑制システムは、気流発生部が局所的な気流を発生できればよいので、装置自体が大掛かりになることを抑制しつつ、かつ気流発生部全体から気流を発生させる場合に比べ消費電力を低減することができる。
【0022】
また、前記制御部は、前記第1検出部が前記複数の第1領域のうち2以上の第1領域において人を検出した場合、前記2以上の第1領域を互いに分離する気流を前記気流発生部に発生させる。
【0023】
これにより、咳又はくしゃみが検出された場合に、2以上の第1領域それぞれにいる人を気流により分離することができるので、咳又はくしゃみをした人を特定することなく、飛沫感染を抑制することができる。よって、感染者の咳又はくしゃみにより飛沫感染することをさらに適切に抑制することができる。
【0024】
また、前記第2検出部は、前記第1検出部が前記複数の第1領域のうち2以上の第1領域において人を検出した場合、前記2以上の第1領域のうちの前記咳またはくしゃみをした人がいる第1領域を検出し、前記制御部は、前記第2検出部が検出した前記咳またはくしゃみをした人がいる前記第1領域からなる前記第2領域を前記他の領域から分離する気流を前記気流発生部に発生させる。
【0025】
これにより、咳又はくしゃみが検出された場合に、咳又はくしゃみをした人がいる第1領域を当該第1領域以外の領域から分離する気流を発生させればよいので、発生させる気流の量を低減しつつ、飛沫感染を抑制することができる。よって、感染者の咳又はくしゃみにより飛沫感染することをさらに適切に抑制することができる。
【0026】
また、机をさらに備え、前記気流発生部は、前記机に設けられており、前記机から上方に向けて気流を発生する。
【0027】
これにより、机の周りに複数の人がいる状況で、感染者が咳又はくしゃみをした場合に、上方に向けて気流を発生させることで、飛沫が感受者に到達することを抑制することができる。よって、机の周りに複数の人がいる状況であっても、感染者の咳又はくしゃみにより飛沫感染することをさらに適切に抑制することができる。
【0028】
また、前記気流発生部の形状は、前記机の平面視において、格子状である。
【0029】
これにより、人がいる第1領域に応じた気流を適切に発生させることができる。
【0030】
また、前記第2検出部は、前記机に設けられる。
【0031】
これにより、机は検出部と通信するための無線通信部等の構成要素を有していなくてもよいので、当該机の小型化が可能となる。
【0032】
また、前記第2検出部は、マイクロフォン又はカメラを有する。
【0033】
これにより、一般的に使用されているマイクロフォン又はカメラにより、検出部を実現することができる。よって、飛沫感染抑制システムの汎用性を向上させることができる。
【0034】
また、椅子をさらに備え、前記第1検出部は、前記椅子に設けられる。
【0035】
これにより、人が椅子に着座したか否かにより、人がいる第1領域を容易に検出することができる。
【0036】
また、前記第1検出部は、赤外線センサ又は圧力センサを有する。
【0037】
これにより、一般的に使用されている赤外線センサ又は圧力センサにより、人検出部を実現することができる。よって、飛沫感染抑制システムの汎用性を向上させることができる。
【0038】
また、本開示の一態様に係る飛沫感染抑制方法は、複数の第1領域のそれぞれについて人を検出するステップと、咳またはくしゃみを検出するステップと、前記咳またはくしゃみが検出された場合に、検出された人がいる第1領域を含む1以上の第1領域からなる第2領域を他の領域から分離する気流を気流発生部に発生させるステップとを含む。
【0039】
これにより、上記飛沫感染抑制システムと同様の効果を奏する。
【0040】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0041】
以下、本開示の実施の形態に関して、
図1~
図8を用いて詳細に説明する。
【0042】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0043】
なお、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0044】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指す。なお、「上方」及び「下方」は、「鉛直上方」及び「鉛直下方」と完全に一致することに加え、実質的に同じ方向であることをも含む表現である。例えば、「上方」と「鉛直上方」とは、数%程度の誤差を含んでいてもよい。
【0045】
また、本明細書および図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、X軸方向及びY軸方向は、気流発生部が設けられる設置面と平行な方向とし、Z軸方向は当該設置面に対して垂直な方向としている。また、本明細書において、「平面視」とは、設置面に対して垂直な方向に沿って飛沫感染抑制システムを見た場合を意味する。
【0046】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味を表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0047】
また、本明細書において、「感染」とは生体内にウイルス、細菌等の微生物が侵入することを指し、この生体の持ち主を感染者とも記載する。また、微生物が侵入していない生体の持ち主、すなわち感染していない生体の持ち主を感受者とも記載する。
【0048】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム等について、
図1~
図6を参照しながら説明する。
【0049】
[1.飛沫感染抑制システムの概要]
まず、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10の構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0050】
図1は、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10の概略構成を示す図である。
図2は、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10の機能構成を示すブロック図である。
【0051】
図1に示すように、飛沫感染抑制システム10は、飛沫感染抑制机20(以降において、机20とも記載する)と、椅子30とを備える。机20と椅子30とは、空間Rに設置される。空間Rは、例えば、介護施設のコミュニティルーム、会社の会議室、及び、飲食店など複数の人hが集まり、椅子30に座って、机20でコミュニケーションを行うような空間である。また、空間Rとは、例えば、人hが搭乗する移動体(車両及び飛行機など)内の空間(例えば、閉鎖空間)であってもよい。また、空間Rは、屋外の空間であってもよい。なお、飛沫感染抑制システム10が備える机20及び椅子30の数は特に限定されない。
【0052】
また、以下において、飛沫感染抑制システム10は、机20と椅子30とを備える構成について説明するが、これに限定されない。飛沫感染抑制システム10は、机20及び椅子30の少なくとも一方を備えていなくてもよい。飛沫感染抑制システム10は、例えば、移動体に設けられる場合、机20及び椅子30のうち椅子30のみを備えていてもよい。
【0053】
また、人hは空間R内に存在する人であり、コミュニティルームなどで会話を行うなどの目的で空間R内に入室している人であってもよい。本実施の形態では、人hが感染症に感染しているかは、基本的には判定しない。人hが感染症に感染した場合、感染力を有する期間と、症状を発症する期間とがあり、通常、2つの期間は異なる。症状が現れ、体温が上昇するなどしていれば、感染している事はわかるが、実際にはそれよりもかなり前の段階で感染者は感染力を有している。そして、現時点での技術では感染力を有し始めた瞬間、すなわち感染者となった瞬間を捉えることは極めて困難であるので区別しない。ただし、予め医師の診断又は何かの測定によって、人hが感染者であるということが分かっている場合には、その情報を加味し、飛沫感染抑制システム10の制御方法を変更してもよい。より具体的には、感染者が咳又はくしゃみをしたときだけ、飛沫感染抑制システム10を動作させてもよい。なお、以下では、人hが感染症に感染しているいか否かの判定は行わない場合について説明する。
【0054】
机20は、例えば、人hがコミュニケーション等を行う際に使用する為の机であるが、当該机20の用途はこれに限定されず、作業を行うための作業台であってもよいし、人hがその周囲に集まるのであればその他の用途に用いられる机であってもよい。机20は、
図1及び
図2に示すように、本体部21と、検出部24と、制御部25と、気流発生部26と、通信部27とを有する。本実施の形態において、飛沫感染抑制システム10が備える検出部24の数は、例えば1個である。
【0055】
本体部21は、机20の本体部分であり、天板22と支持脚23とを有する。例えば、本体部21には、検出部24及び気流発生部26などが埋め込まれていてもよい。
【0056】
天板22は、人hが書類などを広げるための板状の部材である。天板22は、例えば平板状であってもよいし、曲板状であってもよい。天板22の平面視における形状は特に限定されず、矩形状であってもよいし、円形であってもよいし、多角形であってもよい。また、天板22の材質は、特に限定されず、木材、金属、樹脂などの中から適宜選択することができる。
【0057】
支持脚23は、天板22から下方に延設され、天板22を支持するための脚部である。支持脚23の形状は特に限定されず、机20を設置面(例えば、床など)に安定して配置できる形状であればよい。支持脚23の本数も特に限定されず、複数本であってもよい。また、支持脚23の材質は、特に限定されず、木材、金属、樹脂などの中から適宜選択すればよい。
【0058】
検出部24は、空間Rにいる人hの咳またはくしゃみを検出する。本実施の形態では、検出部24は、咳及びくしゃみの両方を継続的に検出する。検出部24は、例えば、空間R内の椅子30に座っている人hの咳及びくしゃみを検出する。検出部24は、検出した結果を制御部25に出力する。検出部24は、第2検出部の一例である。
【0059】
検出部24は、例えば、収音装置(例えば、マイクロフォン)を含んで構成されてもよい。検出部24は、例えば、マイクロフォンによる音声検出により、人hが咳又はくしゃみをしたことを検出する。検出部24は、マイクロフォンで取得した音声をスペクトル解析することによって、咳又はくしゃみであるか否かを判定することができる。この時、音の大きさ(dB)の閾値を設けてもよい。具体的には、検出部24は、閾値以下のスペクトルは検出対象外と判定することで、着座している人hの咳又はくしゃみを選択的に検出することができる。
【0060】
なお、検出部24は、撮像装置(例えば、カメラ)を含んで構成されてもよい。検出部24は、撮像装置が撮像した画像を画像処理し分析することで、咳またはくしゃみを検出してもよい。この場合には、例えば、機械学習などの分類アルゴリズムによって、画像処理により得られた動作パターンが咳又はくしゃみであるか否かを容易に分類することができる。また、検出部24は、収音装置と撮像装置との組み合わせで構成されていてもよい。
【0061】
検出部24は、例えば、机20の一部として組み込まれてもよい。これにより、机20の外部に検出部24が設けられている場合の、机20と検出部24との通信のための通信部を省くことができる。さらに、検出部24を咳又はくしゃみの発生場所の近傍に配置させることができるので、机20でコミュニケーションを行っている人hの咳又はくしゃみの検出を高精度に行える。検出部24を机20の一部に埋め込む場合には、例えば、小型のマイクロフォンを机20に埋め込むなどすればよい。
【0062】
なお、検出部24は、机20に設けられることに限定されない。検出部24は、机20が設置される空間Rにおいて、咳及びくしゃみを検出することできる位置に設置されていればよい。この場合、検出部24は、咳又はくしゃみを検出すると、咳又はくしゃみを検出したことを示す検出フラグを机20に出力する。机20は、通信部27を介して検出フラグを取得する。なお、検出部24は、検出した情報を保存しておくメモリを有していていもよい。
【0063】
制御部25は、机20の各構成要素を制御する制御装置である。制御部25は、例えば、検出部24の咳及びくしゃみの検出結果と、椅子30から取得する人の検出結果とから、気流発生部26に所定の気流を発生させる制御を行う。本実施の形態では、制御部25は、気流発生部26から上方に局所的な気流を発生させる。具体的には、制御部25は、咳又はくしゃみが検出されると、人検出部31が検出した人hがいる領域を他の領域から分離するような気流を気流発生部26に発生させる。また、制御部25は、現在の年月日及び時刻を計時するリアルタイムクロック機能を有していてもよい。
【0064】
制御部25が気流発生部26に発生させる気流の風速について、
図1を参照しながら説明する。制御部25が気流発生部26に発生させる気流の風速は、例えば、机20の大きさ、及び、気流発生部26から人hの口周辺までのZ軸方向と水平な方向の距離により決定される。
図1に示すように、向かって左側の人hが対面している人hに向けて咳又はくしゃみをした場合、咳又はくしゃみによる飛沫sが気流発生部26の上方を通過する前に飛沫sの高さに到達する気流26aを発生させる必要がある。そこで、制御部25は、飛沫sが気流発生部26を通過するまでの時間内で、当該飛沫sが通過する高さに到達する風速の気流26aを発生させる。制御部25が制御する気流26aの風速は、例えば、数m/sである。咳又はくしゃみによる飛沫sの速度は、例えば、10m/sを用いてもよい。また、飛沫sが通過する高さは、例えば、飛沫感染抑制システム10が設置された空間Rを使用する人の属性(子供又は大人など)における平均的な身長等から算出されてもよい。また、気流26aの風速は、検出部24が咳又はくしゃみを検出してから気流発生部26が気流26aを発生させるまでのタイムラグを考慮して設定されてもよい。すなわち、風速は、飛沫sが気流発生部26を通過するまでの時間、飛沫sの高さ、及び、タイムラグに基づいて設定されてもよい。これにより、より確実に飛沫sが対面している人hに到達することを抑制することができる。
【0065】
気流発生部26は、飛沫感染抑制システム10が設置された空間を複数の領域(後述する
図4に示す第1領域A1)に分離する気流を発生可能な装置である。本実施の形態では、気流発生部26は、当該気流発生部26が設置された物体(本実施の形態では、机20)上の空間を複数の領域に分離可能である。また、気流発生部26は、制御部25の制御により、複数の領域のうちの所定の領域(複数の領域のうちの1以上の領域を含む領域であり、後述する
図4に示す第2領域A2)を他の領域から分離する気流を発生する。
【0066】
なお、本願明細書において、「分離」とは、異なる2つの領域(例えば、異なる2つ第2領域A2)の間に気流を発生させて、互いの領域の空気の流れを遮ることを意味する。「分離」とは、例えば、異なる2つの領域の間に飛沫sの位置までの気流の流れによる壁を発生させることで互いの領域の空気の流れを遮ることを意味する。また、「人を分離する」とは、例えば、異なる2つの領域(例えば、異なる2つ第2領域A2)それぞれに人がいる場合、当該2つの領域の間に気流を発生させることで、人がいる領域同士の空気の流れを遮ることを意味する。
【0067】
なお、本実施の形態では、机20の天板22の上部に埋め込まれて設置される。
【0068】
気流発生部26は、DC(Direct Current)ファンなど気流を発生させるデバイスを使用することができる。DCファンなどの気流発生装置を机20にアレイ状に埋め込むことで、スポット状の気流ではなく、エアカーテンのように面状の気流を生成することができる。言い換えると、気流発生部26は、エアカーテンのような面状の気流を発生させる装置である。
【0069】
なお、エアカーテンとは、一般的に用いられているエアカーテンという用語と同様の概念を示すものであり、特に特異な概念を示すものではなく空気の流れにより一種の壁のような状態を構成するものを示す。すなわち、本実施の形態におけるエアカーテンは、空気の流れを遮断する機能を奏するものである。気流発生部26は、この点において温度調節機能を主目的として温度の伝達を効率良く行なうべく空気を循環又は混合するために送風する機能を奏するエア・コンディショナーとは異なる。
【0070】
また、気流発生部26は、対面する人h同士の中間の位置(
図1では、対面する2人の人hのX軸方向における中間の位置)に設けられるとよい。これにより、対面する人hのどちらが咳又はくしゃみをしても、同程度に飛沫感染を抑制することができる。
【0071】
通信部27は、椅子30から人hを検出したことを示す信号を取得する。通信部27は、通信回路から構成される。なお、机20が検出部24及び人検出部31を備えている場合、通信部27は設けられなくてもよい。
【0072】
通信部27が無線通信回路である場合、椅子30から送信される信号を受信するが、送信されてくる信号の方向及び強度により、当該椅子30と机20との相対的な位置関係を取得することができる。つまり、人hがどの椅子30に着座しているかを、検出することができる。なお、机20は、当該机20と椅子30との相対的な位置関係を精度よく検出する観点から、通信部27を複数有していてもよい。
【0073】
椅子30は、人hが着座する椅子であり、机20の周囲に配置される。
図1及び
図2に示すように、椅子30は、人検出部31と、通信部32とを有する。
【0074】
人検出部31は、椅子30に人hが着座しているか否かを検出する。人検出部31は、例えば、椅子30に埋め込まれた赤外線センサ又は圧力センサによって実現される。これにより、人hを容易に検出することができ、システムの実装がより容易になる。人検出部31が椅子30に設けられる場合、複数の椅子30のそれぞれに人検出部31が設けられる。これにより、介護施設のコミュニティルーム及びオフィスの会議室など多数の人が同時にコミュニケーションを行うような場合に、どこに人が存在している(着座している)かを容易に判定することができる。
【0075】
なお、人検出部31は、椅子30に設けられていなくてよい。人検出部31は、例えば、椅子30の外部に設置されていてもよい。人検出部31は、例えば机20に設置されていてもよい。また、人検出部31は、撮像装置であってもよいし、人hが身に着けるタグなどウエラブルセンサから信号を取得することで人を検出する取得部であってもよい。また、人検出部31は、第1検出部の一例である。
【0076】
通信部32は、人検出部31が人hを検出すると、机20に人hを検出したことを示す信号を出力する。通信部32は、人検出部31が人hを検出している間、信号の出力を継続してもよいし、人hの検出の開始及び終了を示す信号を出力してもよい。
【0077】
[2.飛沫感染抑制システムの動作]
次に、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10の動作について、
図3~
図6を参照しながら説明する。
【0078】
図3は、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図3において、飛沫感染抑制システム10の各構成要素は、電源が入っているものとする。
【0079】
図3に示すように、机20は、まず椅子30から人の在/不在の情報を取得する(S10)。制御部25は、通信部27を介して複数の椅子30のそれぞれから、人の在/不在の情報を取得する。制御部25は、例えば、椅子30から当該椅子30が有する人検出部31が人を検出したことを示す情報を取得することで、人の在/不在の情報を取得する。言い換えると、人検出部31は、複数の椅子30のそれぞれについて、人を検出する。これにより、制御部25は、どの椅子30に人hが着座しているかを検出することができる。制御部25は、複数の人hがそれぞれ椅子30に着座している場合、複数の人hがそれぞれどの椅子30に着座しているかを人検出部31の検出結果から検出することができる。すなわち、制御部25は、咳又はくしゃみから防がれる人hがどの椅子30に着座しているかを検出することができる。
【0080】
なお、ステップS10において人検出部31が複数の椅子30のそれぞれについて人を検出することは、複数の第1領域(
図4に示す第1領域A1)のそれぞれについて人を検出することに相当する。また、ステップS10は、複数の第1領域A1のそれぞれについて人を検出するステップの一例である。
【0081】
次に、検出部24は、第1の咳又はくしゃみを検出したか否かを判定する(S20)。制御部25は、検出部24(例えば、机20に埋め込まれたマイクロフォン)の検出結果を取得する。なお、本実施の形態では、机20の周囲のどこで咳又はくしゃみが発生したかは検出しない。すなわち、着座している複数の人hのうち、誰が咳又はくしゃみをしたかは検出しない。なお、ステップS20は、咳またはくしゃみを検出するステップの一例である。
【0082】
制御部25は、検出部24が咳又はくしゃみを検出した場合(S20でYes)、人hの位置に応じて、気流制御パターンを計算する(S30)。制御部25は、着座している人hを飛沫感染の暴露から防ぐために、人hを分離する気流パターンを計算する。制御部25は、複数の人hの誰が咳又はくしゃみをしたかを検出しないので、当該複数の人hそれぞれを分離する気流26aを発生させるための気流パターンを計算する。具体的には、制御部25は、複数の人hそれぞれがいる領域を分離するための気流26aを発生させる気流パターンを計算する。そして、制御部25は、計算した気流パターンに基づいて、気流発生部26に気流26aをonさせる(S40)。すなわち、制御部25は、気流発生部26に気流26aの発生を開始させる。本実施の形態では、制御部25は、気流発生部26に上方に向けて気流26aを発生させる。なお、制御部25は、気流発生部26に気流26aを発生させるとともに、気流26aを発生させている経過時間の計測を開始する。
【0083】
ここで、気流発生部26が発生する気流のパターンについて、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10が咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の一例を示す図である。
図4は、机20を平面視したときの図である。
【0084】
なお、
図4では、机20の天板22に格子状に気流発生部26が設けられている例を示している。気流発生部26は、例えば、机20の長手方向及び短手方向と平行な方向に延びて形成される。気流発生部26は、机20上の空間を8つの第1領域A1に分離する気流を発生可能なように設けられている。気流発生部26は、当該気流発生部26により分離される複数の第1領域A1の面積がそれぞれ等しいように設けられてもよい。また、飛沫感染抑制システム10が備える椅子30は、8脚であり、そのうち3脚に人が着座しているとする。また、気流発生部26の幅dは、例えば想定される飛沫sの大きさ等により決定される。気流発生部26の幅dは、例えば、1cm程度である。また、
図4におけるドットハッチングは、気流発生部26のうち気流を発生させている部分を示す。
【0085】
なお、気流発生部26は、机20の機能を阻害しない形状であれば、格子状であることに限定されない。また、机20が会議室などで使用される机である場合、気流発生部26は、例えば、机20の上にある書類などが気流で飛ぶことを防ぐため、天板22の全面には設けられない。
【0086】
制御部25は、ステップS10により、3人の人h1~h3が
図4に示す位置に着座していることを示す情報を取得する。そして、人h1が咳又はくしゃみをしたとする。すなわち、
図4の場合、人h1は感染者であり、人h2及びh3は感受者である。制御部25は、検出部24が人h1の咳又はくしゃみを検出すると、人h1~人h3を分離するための気流を発生させる気流パターンを計算し、当該気流パターンに応じた気流26bを気流発生部26に発生させる。制御部25は、格子状の気流発生部26のうち、気流パターンに応じた部分から気流を発生させる。すなわち、制御部25は、複数の第1領域A1のうち人検出部31が検出した人がいる第1領域A1を含む1以上の第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を気流発生部26に発生させる。言い換えると、制御部25は、第1検出部31によって人が検出された第1領域A1を、少なくとも1つの他の第1領域A1から分離する気流を気流発生部26に発生させる。
【0087】
具体的には、制御部25は、Y軸方向(人が並ぶ方向)に隣り合う2つの第1領域A1を含む第2領域A2に分離する気流を発生している例を示している。制御部25は、例えば、人h1がいる第1領域A1を含む2つの第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を発生させている。また、制御部25は、人h2がいる第1領域A1を含む2つの第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を発生させている。また、制御部25は、人h3がいる第1領域A1を含む2つの第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を発生させている。
【0088】
これにより、咳又はくしゃみをした人が特定できていない場合であっても、咳又はくしゃみをした人(例えば、人h1)以外で着座している人(例えば、人h2及びh3)が飛沫sに暴露されることを抑制することができる。また、格子状の気流発生部26のうち、十字状の部分を動作させることで、飛沫感染を抑制することができる。言い換えると、気流発生部26の全域を動作させることなく、飛沫感染を抑制することができる。
【0089】
なお、気流パターンは、
図4に示すパターンに限定されない。気流パターンの他の例について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10が咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の他の一例を示す図である。なお、格子状の気流発生部26のピッチpは、例えば、人が座る間隔(例えば、椅子30が配置される間隔)であるとよい。ピッチpは、例えば、50cm~100cm程度である。なお、ピッチpとは、気流発生部26の第1領域A1を区画するための部分のうち、平行な関係にある部分の距離である。ピッチpは、例えば、当該平行な関係にある部分の中央(例えば、幅dの中央)同士の距離である。
【0090】
図5に示すように、制御部25は、検出部24が咳又はくしゃみを検出すると、人h1~h3のそれぞれを囲むような気流を発生させてもよい。具体的には、制御部25は、人が検出された第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を気流発生部26に発生させてもよい。制御部25は、例えば、人h1及びh2がいる第1領域A1それぞれを区画する気流26cと、人h2がいる第1領域A1を区画する気流26dとを発生させてもよい。
【0091】
図6は、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10が咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の他の一例を示す図である。具体的には、
図4及び
図5とは、人h3が着座している位置が異なる。
【0092】
図6に示すように、制御部25は、検出部24が咳又はくしゃみを検出すると、人h1~h3のそれぞれを囲むような気流を発生させてもよい。具体的には、制御部25は、X軸方向(人が対面する方向)に隣り合う2つの第1領域A1を含む第2領域A2に分離する気流を発生している例を示している。制御部25は、例えば、人h1がいる第1領域A1を含む2つの第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を発生させている。また、制御部25は、人h2がいる第1領域A1を含む2つの第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を発生させている。また、制御部25は、人h3がいる第1領域A1を含む4つの第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を発生させている。
図6に示すように、複数の第2領域A2が形成される場合、複数の第2領域の平面視形状及び第2領域に含まれる第1領域の数は異なっていてもよい。制御部25は、例えば、人h1と人h2とを分離するための気流26eと、人h2と人h3とを分離するための気流26fとを発生させる。
【0093】
なお、制御部25は、人h1がいる第1領域A1を含む第2領域A2と、人h2がいる第1領域A1を含む第2領域A2と、人h3がいる第1領域A1を含む第2領域A2とを分離することができれば、
図4~
図6に示す気流パターン以外の気流パターンにより気流を発生させてもよい。なお、ステップS40は、第2領域A2を他の領域から分離する気流を気流発生部26に発生させるステップの一例である。
【0094】
図3を再び参照して、次に、制御部25は、気流発生部26に気流(例えば、気流26b)の発生を開始してから所定時間経過したか否かの判定を行う(S50)。制御部25は、所定時間経過していると判定する(S50でYes)と、気流発生部26による気流26bをoffする(S60)。すなわち、制御部25は、気流発生部26による気流26bの発生を停止させる。なお、所定時間は、咳又はくしゃみによる飛沫感染のリスクが所定の以下となるまでの時間であってもよい。また、所定時間は、机20の大きさなどにより設定されてもよい。所定の期間は、机20が大きいほど長く設定されてもよく、例えば、1~5分である。
【0095】
また、制御部25は、所定時間経過していないと判定する(S50でNo)と、第2の咳又はくしゃみを検出したか否かの判定を行う(S70)。第2の咳又はくしゃみとは、第1の咳又はくしゃみの後に発生した咳又はくしゃみである。制御部25は、第2の咳又はくしゃみを検出する、つまり第1の咳又はくしゃみによる気流26bが発生しているときに第2の咳又はくしゃみを検出する(S70Yes)と、経過時間tをリセット(t=0)(S80)し、最初から経過時間tの計測を行う。言い換えると、制御部25は、第1の咳又はくしゃみによる気流26bを発生させているときに第2の咳又はくしゃみを検出すると、第1の咳又はくしゃみによる経過時間tの計測を停止し、第2の咳又はくしゃみによる経過時間tの計測を開始する。制御部25は、最も直近に咳又はくしゃみを検出してから所定時間経過後に気流26bを停止する制御を行う。これにより、気流26bの発生中に生じた第2の咳又はくしゃみによる飛沫感染が発生することを抑制することができる。なお、第2の咳又はくしゃみが検出されない(S70でNo)と、経過時間tのカウントを1増やし(t=t+1)(S90)、ステップS50に戻り、再度経過時間の判定が行われる。
【0096】
なお、第1の咳又はくしゃみと第2の咳又はくしゃみとは同一の人により行われてもよいし、異なる人によって行われてもよい。
【0097】
なお、
図4では、3人の人h1~h3が存在する場合について説明したが、制御部25は、着座している人が1人(例えば、人h1)であり、当該人の咳又はくしゃみが検出された場合、気流発生部26を制御し、当該人を囲む気流を発生させてもよい。具体的には、当該人がいる第1領域A1を含む第2領域A2を他の領域から分離する気流を発生させてもよい。これにより、例えば、人h1が咳又はくしゃみをした直後に椅子30に着座した人が飛沫感染することを抑制することができる。また、制御部25は、着座している人が1人であり、当該人の咳又はくしゃみが検出された場合、気流発生部26に気流を発生させなくてもよい。これにより、他の人に飛沫感染するリスクが低いときに、気流発生部26が動作しないので、飛沫感染抑制システム10の消費電力を低減することができる。
【0098】
上記のように、空間を複数の第1領域A1に分離するための気流を発生可能な気流発生部26と、当該複数の第1領域A1のそれぞれについて人を検出する(本実施の形態では、複数の第1領域A1に対応する位置に設けられる椅子30それぞれに人が着座していることを検出する)人検出部31と、咳またはくしゃみを検出する検出部24と、検出部24が咳またはくしゃみを検出した場合に、人検出部31によって検出された人がいる第1領域A1を含む1以上の第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を気流発生部26に発生させる制御部25とを備える。
【0099】
制御部25は、咳又はくしゃみを検出したときに気流を発生させることで、感染者が予めわかっていない場合であっても、当該気流により感染者の咳又はくしゃみによる飛沫が他の人がいる領域(他の領域)に到達することを抑制することができる。つまり、咳又はくしゃみによる他の人への感染を抑制することができる。また、制御部25は、複数の第1領域A1に分離する気流を発生可能な気流発生部26から、第2領域A2と他の領域とを分離する局所的な気流を発生させればよい。上記のように、飛沫感染抑制システム10は、感染者がどこにいるかわかっていない状態であっても、局所的な気流の発生で飛沫感染を抑制することができる。よって、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10は、感染者の咳又はくしゃみにより飛沫感染することを適切に抑制することができる。
【0100】
咳又はくしゃみによる飛沫は、例えば5~8秒以内に1m先まで到達するため、通常のエア・コンディショナー及び空気清浄機の風向制御では風の到達が間に合わず飛沫感染を抑制できない可能性が高い。一方、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10によれば、咳又はくしゃみが発生する近傍である机20から直接気流(例えば気流26b)を発生させるので、気流26bの形成を間に合わせることができる。
【0101】
これにより、飛沫感染という短い期間のイベントを防ぐことができる。また、人hによっては咳又はくしゃみの飛散速度が異なる可能性もある。そこで、制御部25は、例えば、マイクロフォンを咳又はくしゃみの検出に用いた場合に、検出されるスペクトルの大きさによって、気流発生部26から発生する気流の風速を制御してもよい。制御部25は、検出されるスペクトルの大きさが大きいほど、風速を速くしてもよい。こうすることで、通常予測されるより速く飛散する飛沫に対しても飛沫感染を防ぐことができる。
【0102】
(実施の形態2)
以下、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10等について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、主に実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1と同様の構成については説明を省略又は簡略化する。本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10は、咳又はくしゃみを検出する検出部24を複数備えている。本実施の形態では机20が多人数で使用されることを想定しており、例えば、指向性を有するマイクロフォンを机20に複数設置することで、机20のどの場所で咳又はくしゃみが発生したかを高精度に検出することができる。マイクロフォンは、例えば、机20に埋め込まれていてもよい。
【0103】
以下に、咳又はくしゃみをした人の位置を特定することができる、つまり咳又はくしゃみをした人がいる第1領域A1を検出することができる場合における気流パターンについて説明する。なお、飛沫感染抑制システム10の動作は、基本的には実施の形態1と同様であり、相違点を
図3を参照しながら説明する。
【0104】
本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10は、ステップS20において、第1の咳又はくしゃみを検出した場合、さらに当該咳又はくしゃみをした人の位置を特定する。具体的には、検出部24は、咳又はくしゃみをしたがいる第1領域A1を特定する。そして、制御部25は、ステップS30において、咳又はくしゃみをした人がいる第1領域A1に応じて、気流パターンを計算する。具体的には、制御部25は、咳又はくしゃみをした人(感染者)と、それ以外の人(感受者)とを分離するような気流パターンを生成する。
図7は、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10が咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の一例を示す図である。
【0105】
図7に示すように、制御部25は、咳又はくしゃみを行った人h1を検出できているので、当該人h1とそれ以外の人h2及びh3とを分離するような気流パターンの気流26gを発生させる。制御部25は、検出部24が検出した咳またはくしゃみをした人h1がいる第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流を気流発生部26に発生させる。制御部25は、例えば、当該人h1の正面及び側方を囲むような気流パターンの気流26gを発生させる。これにより、気流発生部26のうち気流を発生させている部分を少なくすることができるので、効果的に飛沫感染を抑制することができる。
【0106】
また、
図7に示す気流26gが発生している状態で、人h2が咳又はくしゃみをした場合について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る飛沫感染抑制システム10が咳又はくしゃみを検出したときの気流による分離の他の一例を示す図である。
【0107】
図8に示すように、
図7に示す気流26gが発生している状態で、人h2が咳又はくしゃみをした場合、検出部24は人h2が咳又はくしゃみをしたことを検出する(
図3に示すステップS70でYesに相当)。制御部25は、さらに人h2を囲む気流26hを発生させる。制御部25は、検出部24が検出した咳又はくしゃみをした人h2がいる第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流26hを気流発生部26に発生させる。これにより、複数人が咳又はくしゃみをした場合であっても、効果的に飛沫感染を抑制することができる。
【0108】
なお、制御部25は、気流26hの発生を開始したときに、気流26gを発生させている経過時間をリセットしなくてもよい。これにより、気流26hが発生している状態で、人h1の咳又はくしゃみによる感染のリスクが低減したときに、気流26gを停止させることができるので、消費電力を低減しつつ、適切に飛沫感染を抑制することができる。
【0109】
上記のように、人検出部31が、複数の第1領域A1のうち2以上の第1領域A1において人を検出しとときに、検出部24は、2以上の第1領域A1のうちのどの第1領域A1にいる人が咳またはくしゃみをしたかを検出する。そして、制御部25は、検出部24が検出した咳またはくしゃみをした人がいる第1領域A1からなる第2領域A2を他の領域から分離する気流(例えば、気流26g)を気流発生部26に発生させる。
【0110】
これにより、咳又はくしゃみをした人がいる第1領域A1からなる第2領域を他の領域から分離する気流26gを発生させればよいので、気流発生部26において気流を発生させる部分(例えば、気流発生部26が動作する部分)を少なくすることができる。また、咳又はくしゃみをした人(感染者)を他の人(感受者)から分離することができる。つまり、咳又はくしゃみをした人(例えば、人h1)とその人の正面等に存在する人(例えば、人h2及びh3)との間に局所的に気流を発生させることができ、正面等に存在する人が飛沫sに曝露されることを抑制することができる。よって、感染者の咳又はくしゃみにより飛沫感染することをさらに適切に抑制することができる。具体的には、飛沫感染抑制システム10における消費電力をさらに低減しつつ、飛沫感染を抑制することができる。
【0111】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の1つまたは複数の態様に係る飛沫感染抑制システム等について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0112】
例えば、上記実施の形態では、検出部及び気流発生部が机に設けられ、人検出部が椅子に設けられる例について説明したが、これに限定されない。飛沫感染抑制システムが屋内の空間に設けられる場合、当該空間内に検出部、気流発生部、及び、人検出部が設けられていればよい。検出部、気流発生部、及び、人検出部は、例えば、空間を構成する床、壁、天井などに設けられていてもよい。例えば、床、壁、天井などに埋め込まれていてもよい。
【0113】
また、上記実施の形態では、気流発生部は上方に向けて気流を発生する例について説明したが、これに限定されない。気流発生部が天井などの人より高い位置に設けられる場合、当該気流発生部は下方(例えば床)に向けて気流を発生させてもよい。また、気流発生部が壁などに設けられる場合、当該気流発生部は人を横切るような気流を発生させてもよい。
【0114】
また、上記実施の形態では、気流は所定時間経過すると停止される例について説明したが、これに限定されない。咳又はくしゃみをした人を特定することができる場合、人検知部が咳又はくしゃみをした人を検出している間、継続して気流を発生させてもよい。
【0115】
また、上記実施の形態における装置間(例えば、机と椅子との間など)の通信方法については特に限定されない。装置間では、無線通信が行われてもよいし、有線通信が行われてもよい。
【0116】
また、上記実施の形態では、飛沫感染抑制システムが気流発生部を備える例について説明したが、これに限定されない。飛沫感染抑制システムは、空間を複数の第1領域に分離する気流を発生可能な気流発生部に気流を発生させる制御を行うシステムであってもよい。また、飛沫感染抑制システムは、さらに、第1検出部および第2検出部を備えておらず、第1検出部及び第2検出部から検出結果を取得する取得部を備える構成であってもよい。すなわち、飛沫感染抑制システムは、第1検出部及び第2検出部から検出結果を取得する取得部(例えば、通信部)と、第1検出部が検出した人がいる第1領域を含む1以上の第1領域からなる第2領域を他の領域から分離する気流を発生させる制御信号を気流発生部に出力する制御部とを備える構成であってもよい。また、「人を検出する」には、取得部が第1検出部から検出結果を取得することが含まれる。すなわち、飛沫感染抑制システムは、第1検出部の検出結果を取得することで、人を検出してもよい。また、「咳またはくしゃみを検出する」には、取得部が第2検出部から検出結果を取得することが含まれる。すなわち、飛沫感染抑制システムは、第2検出部の検出結果を取得することで、咳またはくしゃみを検出してもよい。
【0117】
また、上記実施の形態において説明された複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
【0118】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素の全部又は一部は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0119】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素の全部又は一部は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、制御部などの構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0120】
また、例えば、本開示は、上記実施の形態の飛沫感染抑制システムが行う処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。このようなプログラムには、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末にインストールされるアプリケーションプログラムが含まれる。また、本開示は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。例えば、上記プログラム及び上記プログラムからなるデジタル信号は、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものであってもよい。また、上記プログラム及び上記プログラムからなるデジタル信号は、記録媒体に記録して移送されることにより、又はネットワーク等を経由して移送されることにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施されてもよい。
【0121】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0122】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本開示は、例えば、コミュニケーションなどを行う人が集まる空間に配置される机などに適用可能である。
【符号の説明】
【0124】
10 飛沫感染抑制システム
20 飛沫感染抑制机(机)
21 本体部
22 天板
23 支持脚
24 検出部(第2検出部)
25 制御部
26 気流発生部
26a~26h 気流
27 通信部
30 椅子
31 人検出部(第1検出部)
32 通信部
A1 第1領域
A2 第2領域
d 幅
h、h1~h3 人
p ピッチ
s 飛沫
R 空間