(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】折畳式望遠鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 23/20 20060101AFI20231208BHJP
G02B 23/18 20060101ALI20231208BHJP
G10K 11/08 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G02B23/20
G02B23/18
G10K11/08
(21)【出願番号】P 2019183228
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】522357873
【氏名又は名称】有限会社ローズハートインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100148688
【氏名又は名称】中村 裕行
(72)【発明者】
【氏名】金坂 嘉顯
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-129138(JP,U)
【文献】特開平07-253549(JP,A)
【文献】米国特許第05181139(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0120770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/00 - 23/22
G02B 7/00
G02B 7/18 - 7/24
G10K 11/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に展開した形状と長手方向に沿った折り筋で平板状に折り畳まれた形状とに変形自在な望遠鏡用の鏡筒と、該鏡筒の接眼側に前記鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第1リンク材と、該第1リンク材の前記鏡筒内方の部分に取り付けられた接眼レンズと、前記第1リンク材よりも前記鏡筒の対物側に前記鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第2リンク材と、該第2リン
ク材の前記鏡筒内方の部分に取り付けられた対物レンズと、前記第1リン
ク材の前記鏡筒外方の部分と前記第2リンク材の前記鏡筒外方の部分とに接続され、前記第1リンク材および前記第2リンク材と共に平行リンク機構を構成する第3リンク材とを備え、
前記鏡筒が筒状に展開されて前記第1リンク材および前記第2リンク材が共に前記鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき使用状態となり、前記第1リンク材および前記第2リンク材が共に前記鏡筒に沿った姿勢とされ前記鏡筒が平板状に折り畳まれたとき非使用状態となり、
前記使用状態において、前記第1リンク材および前記第2リンク材が前記鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき、前記第1リンク材および前記第2リンク材を前記鏡筒に対して垂直な姿勢に保持するための保持部が備えられ、
該保持部が、前記第1リンク材および前記第2リンク材の少なくとも一方の前記鏡筒内方の部分に形成された凸部と、前記鏡筒の内面に形成された凹部とを有し、前記第1リンク材および前記第2リンク材が筒状に展開された前記鏡筒に対して垂直な姿勢とされたとき前記凸部が前記凹部に係合し、前記第1リンク材および前記第2リンク材が筒状に展開された前記鏡筒に沿った姿勢とされたとき前記凸部が前記凹部から離脱する、ことを特徴とする折畳式望遠鏡。
【請求項2】
筒状に展開した形状と長手方向に沿った折り筋で平板状に折り畳まれた形状とに変形自在な望遠鏡用の鏡筒と、該鏡筒の接眼側に前記鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第1リンク材と、該第1リンク材の前記鏡筒内方の部分に取り付けられた接眼レンズと、前記第1リンク材よりも前記鏡筒の対物側に前記鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第2リンク材と、該第2リン
ク材の前記鏡筒内方の部分に取り付けられた対物レンズと、前記第1リン
ク材の前記鏡筒外方の部分と前記第2リンク材の前記鏡筒外方の部分とに接続され、前記第1リンク材および前記第2リンク材と共に平行リンク機構を構成する第3リンク材とを備え、
前記鏡筒が筒状に展開されて前記第1リンク材および前記第2リンク材が共に前記鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき使用状態となり、前記第1リンク材および前記第2リンク材が共に前記鏡筒に沿った姿勢とされ前記鏡筒が平板状に折り畳まれたとき非使用状態となり、
前記使用状態において、前記第1リンク材および前記第2リンク材が前記鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき、前記第1リンク材および前記第2リンク材を前記鏡筒に対して垂直な姿勢に保持するための保持部が備えられ、
該保持部が、前記第1リンク材および前記第2リンク材の少なくとも一方の前記鏡筒内方の部分の端縁からなり、前記第1リンク材および前記第2リンク材が筒状に展開された前記鏡筒に対して垂直な姿勢とされたとき前記端縁の少なくとも一部が前記鏡筒の内面に押し付けられ、前記第1リンク材および前記第2リンク材が筒状に展開された前記鏡筒に沿った姿勢とされたとき前記端縁が前記鏡筒の内面から離脱する、ことを特徴とする折畳式望遠鏡。
【請求項3】
筒状に展開した形状と長手方向に沿った折り筋で平板状に折り畳まれた形状とに変形自在な望遠鏡用の鏡筒と、該鏡筒の接眼側に前記鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第1リンク材と、該第1リンク材の前記鏡筒内方の部分に取り付けられた接眼レンズと、前記第1リンク材よりも前記鏡筒の対物側に前記鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第2リンク材と、該第2リン
ク材の前記鏡筒内方の部分に取り付けられた対物レンズと、前記第1リン
ク材の前記鏡筒外方の部分と前記第2リンク材の前記鏡筒外方の部分とに接続され、前記第1リンク材および前記第2リンク材と共に平行リンク機構を構成する第3リンク材とを備え、
前記鏡筒が筒状に展開されて前記第1リンク材および前記第2リンク材が共に前記鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき使用状態となり、前記第1リンク材および前記第2リンク材が共に前記鏡筒に沿った姿勢とされ前記鏡筒が平板状に折り畳まれたとき非使用状態となり、
前記使用状態において、前記第1リンク材および前記第2リンク材が前記鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき、前記第1リンク材および前記第2リンク材を前記鏡筒に対して垂直な姿勢に保持するための保持部が備えられ、
該保持部が、前記鏡筒の接眼側の端部を前記鏡筒内方に折り込んだ折返部の先端からなり、前記第1リンク材が筒状に展開された前記鏡筒に対して垂直な姿勢とされたとき前記第1リンク材の前記鏡筒内方の部分が前記折返部の先端に当接し、前記第1リンク材が筒状に展開された前記鏡筒に沿った姿勢とされたとき前記第1リンク材の前記鏡筒内方の部分が前記折返部の先端から離脱する、ことを特徴とする折畳式望遠鏡。
【請求項4】
前記鏡筒、前記第1リンク材、前記第2リンク材および前記第3リンク材が紙製または樹脂製であり、前記鏡筒の外面が広告スペースとなっている、ことを特徴とする請求項1から
3の何れか1項に記載の折畳式望遠鏡。
【請求項5】
前記鏡筒が筒状に展開され前記第1リンク材および前記第2リンク材が前記鏡筒に沿った姿勢とされたときメガホンとなり、前記第1リンク材および前記第2リンク材が前記鏡筒に沿った姿勢とされ前記鏡筒が平板状に折り畳まれたとき叩いてクラップ音を出すための応援グッズとなる、ことを特徴とする請求項1から
4の何れか1項に記載の折畳式望遠鏡。
【請求項6】
前記鏡筒が、六角筒状に展開された大展開状態と、大展開状態の六角筒の一つの角を内方に折り込んで四角筒状に変形された中展開状態と、中展開状態の四角筒を平板状に折り畳んだ折畳状態とに変形自在であり、
前記鏡筒が大展開状態で前記第1リンク材および前記第2リンク材が前記鏡筒に沿った姿勢とされたときメガホンとなり、
前記鏡筒が中展開状態で前記第1リンク材および前記第2リンク材が前記鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき望遠鏡となり、
前記鏡筒が中展開状態で前記第1リンク材および前記第2リンク材が前記鏡筒に沿った姿勢とされたとき叩いてクラップ音を出すための応援グッズとなり、
前記鏡筒が折畳状態で前記第1リンク材および前記第2リンク材が前記鏡筒に沿った姿勢とされたとき非使用状態となる、ことを特徴とする請求項1から
4の何れか1項に記載の折畳式望遠鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状に折り畳まれた状態と筒状に展開された状態とに変形可能な折畳式望遠鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式の望遠鏡として、
図1に示すように、スポーツの応援、演説、集会等において声を増幅するため末広筒状に形成されたメガホン本体aの側面に、対物レンズb(凸レンズ)と接眼レンズc(凹レンズ)とを夫々起立傾倒自在に取り付けた望遠鏡付メガホンdが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この望遠鏡付メガホンdによれば、対物レンズbおよび接眼レンズcを
図1に矢印eで示すように90度倒してメガホン本体aに沿わせることで、対物レンズbおよび接眼レンズcが邪魔になることはなくメガホンとして適切に使用でき、一方、対物レンズbおよび接眼レンズcを起立させることで、スポーツ観戦時等に望遠鏡としても使用できる。
【0004】
また、折畳式オペラグラスfとして、
図2に示すように、対物レンズgが装着された前面部hと、接眼レンズ(図示せず)が装着された後面部iと、前面部hと後面部iとを接続する上面部j、下面部k、左側面部l、右側面部mを備え、上面部jおよび下面部kが山折線nを有し、左側面部lおよび右側面部mが谷折線oを有するものが知られている(特許文献2参照)。
【0005】
この折畳式オペラグラスfによれば、
図2(a)に示すように展開された状態から、
図2(b)に示すように上面部jおよび下面部kの山折線nを山折すると共に左側面部lおよび右側面部mの谷折線oを谷折することで、
図2(c)に示すように、全体形状が対物レンズgと接眼レンズとの光軸方向に蛇腹状に折り畳まれた状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3168553号公報
【文献】実用新案登録第3216757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、
図1に示す望遠鏡付メガホンdにおいては、対物レンズbと接眼レンズcとが独立して起立傾倒するため、望遠鏡として使用する際、対物レンズbと接眼レンズcとを別々に起立させる必要があり、ワンタッチで望遠鏡状態にできない。また、起立させた対物レンズbと接眼レンズcとが相互に平行で光軸が合った状態でないと対象物がぼけて見えるため、クリアに見えるようにするには対物レンズbと接眼レンズcとを相互に高い精度で平行にしなければならないところ、対物レンズbと接眼レンズcとが連動しないため、起立させた対物レンズbと接眼レンズcとを平行する微調整が必要であり、作業が煩雑である。
【0008】
一方、
図2に示す折畳式オペラグラスfにおいては、
図2(c)の折畳状態から
図2(a)の展開状態に変形させると、前面部hに装着された対物レンズgと後面部iに装着された接眼レンズ(図示せず)とが連動して移動するものの、対物レンズgと接眼レンズとが平行リンク機構によって連動するようになっていないため、展開状態とした対物レンズgと接眼レンズとを高い精度で平行にすることが困難であり、対象物がぼけて見える可能性がある。また、
図2(c)に示す折畳状態としたとき、前面部hと後面部iとが重なって光軸上に配置された対物レンズgと接眼レンズとが重なるため、折畳状態で保管搬送する際に振動等によって対物レンズgと接眼レンズとが擦れ、双方のレンズが傷付く可能性がある。
【0009】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、折り畳んだ非使用状態から展開して使用状態に変形可能な折畳式望遠鏡であって、非使用状態時に傾倒されている接眼レンズと対物レンズとをワンタッチで連動して起立させ、起立時に接眼レンズと対物レンズとを高い精度で適確に平行状態とすることができ、且つ、折り畳んだ非使用状態において接眼レンズおよび対物レンズが傷付くことを防止できる折畳式望遠鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成すべく創案された本発明によれば、筒状に展開した形状と長手方向に沿った折り筋で平板状に折り畳まれた形状とに変形自在な望遠鏡用の鏡筒と、鏡筒の接眼側に鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第1リンク材と、第1リンク材の鏡筒内方の部分に取り付けられた接眼レンズと、第1リンク材よりも鏡筒の対物側に鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第2リンク材と、第2リンク材の鏡筒内方の部分に取り付けられた対物レンズと、第1リンク材の鏡筒外方の部分と第2リンク材の鏡筒外方の部分とに接続され、第1リンク材および第2リンク材と共に平行リンク機構を構成する第3リンク材とを備え、鏡筒が筒状に展開されて第1リンク材および第2リンク材が共に鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき使用状態となり、第1リンク材および第2リンク材が共に鏡筒に沿った姿勢とされ鏡筒が平板状に折り畳まれたとき非使用状態となり、使用状態において、第1リンク材および第2リンク材が鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき、第1リンク材および第2リンク材を鏡筒に対して垂直な姿勢に保持するための保持部が備えられ、保持部が、第1リンク材および第2リンク材の少なくとも一方の鏡筒内方の部分に形成された凸部と、鏡筒の内面に形成された凹部とを有し、第1リンク材および第2リンク材が筒状に展開された鏡筒に対して垂直な姿勢とされたとき凸部が凹部に係合し、第1リンク材および第2リンク材が筒状に展開された鏡筒に沿った姿勢とされたとき凸部が前記凹部から離脱する、ことを特徴とする折畳式望遠鏡が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、筒状に展開した形状と長手方向に沿った折り筋で平板状に折り畳まれた形状とに変形自在な望遠鏡用の鏡筒と、鏡筒の接眼側に鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第1リンク材と、第1リンク材の鏡筒内方の部分に取り付けられた接眼レンズと、第1リンク材よりも鏡筒の対物側に鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第2リンク材と、第2リンク材の鏡筒内方の部分に取り付けられた対物レンズと、第1リンク材の鏡筒外方の部分と第2リンク材の鏡筒外方の部分とに接続され、第1リンク材および第2リンク材と共に平行リンク機構を構成する第3リンク材とを備え、鏡筒が筒状に展開されて第1リンク材および第2リンク材が共に鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき使用状態となり、第1リンク材および第2リンク材が共に鏡筒に沿った姿勢とされ鏡筒が平板状に折り畳まれたとき非使用状態となり、使用状態において、第1リンク材および第2リンク材が鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき、第1リンク材および第2リンク材を鏡筒に対して垂直な姿勢に保持するための保持部が備えられ、保持部が、第1リンク材および第2リンク材の少なくとも一方の鏡筒内方の部分の端縁からなり、第1リンク材および第2リンク材が筒状に展開された鏡筒に対して垂直な姿勢とされたとき端縁の少なくとも一部が鏡筒の内面に押し付けられ、第1リンク材および第2リンク材が筒状に展開された鏡筒に沿った姿勢とされたとき端縁が鏡筒の内面から離脱する、ことを特徴とする折畳式望遠鏡が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、筒状に展開した形状と長手方向に沿った折り筋で平板状に折り畳まれた形状とに変形自在な望遠鏡用の鏡筒と、鏡筒の接眼側に鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第1リンク材と、第1リンク材の鏡筒内方の部分に取り付けられた接眼レンズと、第1リンク材よりも鏡筒の対物側に鏡筒を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第2リンク材と、第2リンク材の鏡筒内方の部分に取り付けられた対物レンズと、第1リンク材の鏡筒外方の部分と第2リンク材の鏡筒外方の部分とに接続され、第1リンク材および第2リンク材と共に平行リンク機構を構成する第3リンク材とを備え、鏡筒が筒状に展開されて第1リンク材および第2リンク材が共に鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき使用状態となり、第1リンク材および第2リンク材が共に鏡筒に沿った姿勢とされ鏡筒が平板状に折り畳まれたとき非使用状態となり、使用状態において、第1リンク材および第2リンク材が鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき、第1リンク材および第2リンク材を鏡筒に対して垂直な姿勢に保持するための保持部が備えられ、保持部が、鏡筒の接眼側の端部を鏡筒内方に折り込んだ折返部の先端からなり、第1リンク材が筒状に展開された鏡筒に対して垂直な姿勢とされたとき第1リンク材の鏡筒内方の部分が折返部の先端に当接し、第1リンク材が筒状に展開された鏡筒に沿った姿勢とされたとき第1リンク材の鏡筒内方の部分が折返部の先端から離脱する、ことを特徴とする折畳式望遠鏡が提供される。
【0015】
本発明に係る折畳式望遠鏡においては、鏡筒、第1リンク材、第2リンク材および第3リンク材が紙製または樹脂製であり、鏡筒の外面が広告スペースとなっていてもよい。
【0016】
本発明に係る折畳式望遠鏡においては、鏡筒が筒状に展開され第1リンク材および第2リンク材が鏡筒に沿った姿勢とされたときメガホンとなり、第1リンク材および第2リンク材が鏡筒に沿った姿勢とされ鏡筒が平板状に折り畳まれたとき叩いてクラップ音を出すための応援グッズとなるものであってもよい。
【0017】
本発明に係る折畳式望遠鏡においては、鏡筒が、六角筒状に展開された大展開状態と、大展開状態の六角筒の一つの角を内方に折り込んで四角筒状に変形された中展開状態と、中展開状態の四角筒を平板状に折り畳んだ折畳状態とに変形自在であり、鏡筒が大展開状態で第1リンク材および第2リンク材が鏡筒に沿った姿勢とされたときメガホンとなり、鏡筒が中展開状態で第1リンク材および第2リンク材が鏡筒に対して起立した姿勢とされたとき望遠鏡となり、鏡筒が中展開状態で第1リンク材および第2リンク材が鏡筒に沿った姿勢とされたとき叩いてクラップ音を出すための応援グッズとなり、鏡筒が折畳状態で第1リンク材および第2リンク材が鏡筒に沿った姿勢とされたとき非使用状態となるものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る折畳式望遠鏡によれば次のような効果を発揮できる。
(1)接眼レンズと対物レンズとが平行リンク機構によって連動して傾倒起立されるので、鏡筒の外部に露出した平行リンク機構を構成する第3リンク材を操作することで、傾倒されている対物レンズと接眼レンズとをワンタッチで容易に連動して起立させることができ、起立時の接眼レンズと対物レンズとを適確に高い精度で平行状態とすることができる。
(2)第1リンク材および第2リンク材を傾倒させて鏡筒を平板状に折り畳んだ非使用状態のとき、接眼レンズと対物レンズとが平行リンク機構を構成する第3リンク材の長さに相当する分だけ離間された状態となるため、接眼レンズと対物レンズとが重なる事態を回避でき、折り畳んだ非使用状態において双方のレンズが擦れて傷付くことを防止できる。
(3)第1リンク材および第2リンク材を傾倒させて鏡筒を平板状に折り畳んだ非使用状態のとき、接眼レンズと対物レンズとが折り畳まれた鏡筒の内部に収容された状態となるため、鏡筒が防護カバーとなり、折り畳んだ非使用状態において接眼レンズおよび対物レンズが外的要因によって傷付くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】従来例を示す望遠鏡付メガホンの側面図である。
【
図2】別の従来例を示す折畳式オペラグラスの説明図であり、(a)は展開状態、(b)は折畳途中、(c)は折畳状態、を夫々示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る折畳式望遠鏡を示す説明図であり、望遠鏡として使用する形態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の折畳式望遠鏡をメガホンとして使用する形態を示す斜視図である。
【
図5】
図3の折畳式望遠鏡を折り畳んで非使用状態としたときの斜視図である。
【
図7】(a)は
図3の折畳式望遠鏡の接眼レンズのホルダーの展開図、(b)は第1リンク材、第2リンク材および第3リンク材の展開図、(c)は対物レンズのホルダーの展開図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る折畳式望遠鏡を示す説明図であり、メガホンとして使用する形態を示す斜視図である。
【
図9】
図8の折畳式望遠鏡を叩いてクラップ音を出す応援グッズとして使用する形態を示す斜視図である。
【
図10】
図8の折畳式望遠鏡を望遠鏡として使用する形態を示す斜視図である。
【
図11】
図8の折畳式望遠鏡を折り畳んで非使用状態としたときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
(折畳式望遠鏡1の概要)
図3、
図4、
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る折畳式望遠鏡1は、筒状に展開した形状と長手方向に沿った折り筋2で平板状に折り畳まれた形状とに変形自在な望遠鏡用の鏡筒3と、鏡筒3の接眼側に鏡筒3を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第1リンク材4と、第1リンク材4の鏡筒3内方の部分に取り付けられた接眼レンズ5と、第1リンク材4よりも鏡筒3の対物側に鏡筒3を貫通して起立傾倒自在に取り付けられた第2リンク材6と、第2リン
ク材6の鏡筒3内方の部分に取り付けられた対物レンズ7と、第1リン
ク材4の鏡筒3外方の部分と第2リンク材6の鏡筒3外方の部分とに接続され、第1リンク材4および第2リンク材6と共に平行リンク機構8を構成する第3リンク材9とを備えている。
【0022】
この折畳式望遠鏡1は、
図3に示すように、鏡筒3が筒状に展開されて第1リンク材4および第2リンク材6が共に鏡筒3に対して起立した姿勢とされたとき使用状態となり、
図5に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6が共に鏡筒3に沿った姿勢とされ鏡筒3が平板状に折り畳まれたとき非使用状態となる。以下、本実施形態に係る折畳式望遠鏡1の各構成要素について説明する。
【0023】
(鏡筒3)
図3~
図5に示すように、鏡筒3は、筒状に展開された形状と長手方向に沿った折り筋2で平板状に折り畳まれた形状とに変形自在であり、その内部に接眼レンズ5と対物レンズ7とを支持するものである。鏡筒3は、接眼レンズ5側から対物レンズ7側に架けて末広がりに形成されている。
図4の状態において、鏡筒3をメガホンとして使用するためである。メガホンとして使用しない場合には、鏡筒3を末広がりではなくストレート状としても構わない。鏡筒3の断面形状は、本実施形態では正方形としているが、長方形、六角形、三角形、円形等であってもよい。
【0024】
図6に、本実施形態の鏡筒3の展開図を示す。鏡筒3は、細長い台形に形成された四枚の側面部3aが折り筋2(一点鎖線)で接続されており、各折り筋2を90度山折りすることで、末広がりの断面正方形の四角筒となる。両端の側面部3aの内の一つには、長手方向に沿って糊代3bが折り筋2で接続されており、折り筋2を90度山折りして反対側の端の側面部3aの内面に糊付けすることで、四つの側面部3aが筒状となる(
図3参照)。
【0025】
図6に示すように、四枚の側面部3aの接眼側の端部には、夫々、折返部3cが折り筋10で接続されている。これら折り筋10を180度山折りすることで、
図3に示すように、各折返部3cが鏡筒3の内面に沿った状態となり、鏡筒3の接眼側の開口11が折返部3cによって区画される。開口11の縁部は、折返し部3cの折り筋10によってアール形状となっているため、使用者が望遠鏡として使用する際、開口11の縁部を目の周りに押し付けても、目の周りが傷付くことを防止できる。
【0026】
図6に示すように、側面部3aの一つには、接眼側に細長いスリット状の第1孔12が形成され、第1孔12よりも対物側に細長いスリット状の第2孔13が形成されている。第1孔12と第2孔13との距離は、
図3に示すように、第3リンク材9の長さに合わせられており、第1孔12には、第1リンク材4が貫通されて傾倒自在に取り付けられ、第2孔13には、第2リンク材6が貫通されて傾倒自在に取り付けられる。
【0027】
(第1リンク材4)
図7(b)に、第1リンク材4、第2リンク材6および第3リンク材9の展開図を示す。第1リンク材4は、折り筋14で接続された一対の板体15を有し、折り筋14を180度山折りして板体15同士を接着した二重板を有する。かかる第1リンク材4は、
図6に示す第1孔12に差し入れたとき、鏡筒3の内部に差し込まれる幅狭部15aと、鏡筒3の外部に露出する幅広部15bとから成る。幅狭部15aは第1孔12のスリット幅より狭く、幅弘部15bは第1孔12のスリット幅よりも広い。
【0028】
(第2リンク材6)
図7(b)に示すように、第2リンク材6も、第1リンク材4と同様に、折り筋16で接続された一対の板体17を有し、折り筋16を180度山折りして板体17同士を接着した二重板を有する。かかる第2リンク材6は、
図6に示す第2孔13に差し入れたとき、鏡筒3の内部に差し込まれる幅狭部17aと、鏡筒3の外部に露出する幅広部17bとから成る。幅狭部17aは第2孔13のスリット幅より狭く、幅弘部17bは第2孔13のスリット幅よりも広い。
【0029】
(第3リンク材9)
図7(b)に示すように、第3リンク材9は、第1リンク材4を構成する板体15の一端と第2リンク材6を構成する板体17の一端とに夫々折り筋18、19で接続された板体20と、板体20の対向する二辺に夫々折り筋21、22で接続された板体23、24とを有し、各折り筋21、22を180度山折りして板体20、23、24同士を接着した三重板から構成される。第3リンク材9は、折り筋18を介して第1リンク材4と接続され、折り筋19を介して第2リンク材6と接続されている。
【0030】
(平行リンク機構8)
上述した第1リンク材4、第2リンク材6、第3リンク材9は、
図3に示すように、平行リンク機構8を構成する。第1リンク材4と第3リンク材9とを接続する折り筋18、第2リンク材6と第3リンク材9とを接続する折り筋19、第1リンク材4の第1孔12と接する部分(幅狭部15aと幅弘部15bとの繋ぎ部)、第2リンク材6の第2孔13と接する部分(幅狭部17aと幅弘部17bとの繋ぎ部)が、平行リンク機構8のピボット(回転軸)となる(
図3、
図4参照)。
【0031】
(接眼レンズ5)
図3に示すように、第1リンク材4の鏡筒3内方の部分には、第1リンク材4の一部を構成するホルダー25を介して接眼レンズ5が取り付けられている。
図7(a)に接眼レンズ5のホルダー25の展開図を示す。ホルダー25は、接眼レンズ5が取り付けられる孔26が形成された主板27と、主板27の側辺に折り筋28で接続された副板29と、主板27の上辺に折り筋30で接続された半板31と、主板27の下辺に折り筋32で接続された半板33とを有し、各折り筋28、30、32を180度山折りして各板27、29、31、33同士を接着した三重板から構成される。
【0032】
図7(a)に示すように、副板29には主板27と同様に孔34が形成され、半板31、33には半円状の切り欠き35、36が形成されている。主板27、副板29、半板31、33を折り筋28、30、32で折り畳んで接着する際、孔26、34、切り欠き35、36の位置に接眼レンズ5(例えば凹レンズ)が接着剤で取り付けられる。また、各板27、29、31、33を折り筋28、30、32で折り畳んで接着する際、
図7(b)に示す第1リンク材4の幅狭部15aが、折り筋14で折り畳まれて
図6に示す第1孔12に挿通された状態で、各板27、29、31、33の内面に接着される。これにより、
図3に示すように、ホルダー25が鏡筒3内に収容され第1リンク材4と連動することになる。なお、接眼レンズ5の材質には、透明なプラスチック、ガラス等が用いられる。
【0033】
(対物レンズ7)
図3に示すように、第2リンク材6の鏡筒3内方の部分には、第2リンク材6の一部を構成するホルダー37を介して対物レンズ7が取り付けられている。
図7(c)に対物レンズ7のホルダー37の展開図を示す。ホルダー37は、対物レンズ7が取り付けられる孔38が形成された主板39と、主板39の側辺に折り筋40で接続された副板41と、主板39の上辺に折り筋42で接続された半板43と、主板39の下辺に折り筋44で接続された半板45とを有し、各折り筋40、42、44を180度山折りして各板39、41、43、45同士を接着した三重板から構成される。
【0034】
図7(c)に示すように、副板41には主板39と同様に孔46が形成され、半板43、45には半円状の切り欠き47、48が形成されている。主板39、副板41、半板43、45を折り筋40、42、44で折り畳んで接着する際、孔38、46、切り欠き47、48の位置に対物レンズ7(例えば凸レンズ)が接着剤で取り付けられる。また、各板39、41、43、45を折り筋40、42、44で折り畳んで接着する際、
図7(b)に示す第2リンク材6の幅狭部17aが、折り筋16で折り畳まれて
図6に示す第2孔13に挿通された状態で、各板39、41、43、45の内面に接着される。これにより、
図3に示すように、ホルダー37が鏡筒3内に収容され第2リンク材6と連動することになる。なお、対物レンズ7の材質には、透明なプラスチック、ガラス等が用いられる。
【0035】
(保持部49)
この折畳式望遠鏡1においては、
図3に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6が鏡筒3に対して起立した姿勢とされたとき、第1リンク材4および第2リンク材6を鏡筒3に対して垂直な姿勢に保持するための保持部49、50が備えられている。保持部49は、第1リンク材4の鏡筒3内方の部分(ホルダー25)に形成された凸部51と、凸部51と係脱すべく鏡筒3の内面(糊代3b)に形成された凹部52とからなり、保持部50は、第2リンク材6の鏡筒3内方の部分(ホルダー37)に形成された凸部53と、凸部53と係脱すべく鏡筒3の内面(糊代3b)に形成された凹部54とから成る。
【0036】
図6に示すように、凹部52、54は、鏡筒3の糊代3bに長手方向(接眼対物方向)に間隔を隔てて形成された略V字状の切込部から成る。接眼側の切込部(凹部52)の位置は、折り筋10からの距離が第1孔12と折り筋10からの距離に合わせられ、対物側の切込部(凹部54)の位置は、折り筋10からの距離が第2孔13と折り筋10からの距離に合わせられている。これら切込部(凹部52、54)同士の間隔は、平行リンク機構8を構成する第3リンク材9の長さに合わせられている(
図3参照)。
【0037】
図7(a)に示すように、凸部51は、接眼レンズ5用のホルダー25の副板29の下辺に形成された突出部から成る。突出部(凸部51)は、主板27、副板29、半板31、33を各折り筋28、30、32で折り畳んでホルダー25を構成したとき、ホルダー25の下辺から下方に突出し(
図3参照)、第1リンク材4の起立傾倒に応じて切込部(凹部52)に係合離脱する(
図4参照)。同様に、凸部53は、対物レンズ7用のホルダー37の副板41の下辺に形成された突出部から成る。突出部(凸部53)は、主板39、副板41、半板43、45を各折り筋40、42、44で折り畳んでホルダー37を構成したとき、ホルダー37の下辺から下方に突出し(
図3参照)、第2リンク材6の起立傾倒に応じて切込部(凹部54)に係合離脱する(
図4参照)。
【0038】
かかる保持部49、50は、
図3に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6が筒状に展開された鏡筒3に対して垂直な姿勢とされたとき、凸部51、53が凹部52、54に夫々係合して第1リンク材4および第2リンク材6の垂直姿勢を保持し、
図4に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6が筒状に展開された鏡筒3に沿った姿勢とされたとき、凸部51、53が凹部52、54から夫々離脱して第1リンク材4および第2リンク材6の垂直保持が解除される。なお、保持部49、50は、第1リンク材4および第2リンク材6の何れか一方のみに設けられていてもよい。第1リンク材4および第2リンク材6が平行リンク機構8によって連動するため、何れか一方を垂直とすることで他方も垂直となるからである。
【0039】
(別の保持部55)
また、この折畳式望遠鏡1は、
図3に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6が鏡筒3に対して起立した姿勢とされたとき、第1リンク材4および第2リンク材6を鏡筒3に対して垂直な姿勢に保持する別の保持部55を有する。別の保持部55は、鏡筒3の接眼側の端部を鏡筒3内方に折り込んだ折返部3cの先端からなり、
図3に示すように、第1リンク材4が筒状に展開された鏡筒3に対して垂直な姿勢とされたとき、第1リンク材4の鏡筒3内方の部分(接眼レンズ5用のホルダー25)が折返部3cの先端に当接して第1リンク材4の垂直姿勢を保持し、
図4に示すように、第1リンク4材が筒状に展開された鏡筒3に沿った姿勢とされたとき、第1リンク材4の鏡筒3内方の部分(接眼レンズ5用のホルダー25)が折返部3cの先端から離脱して第1リンク材4の垂直保持が解除される。
【0040】
(更に別の保持部)
また、次のような更に別の保持部も考えられる。この保持部は、第1リンク材4および第2リンク材6の少なくとも一方の鏡筒3内方の部分(板状のホルダー25、37)の端縁からなり、
図3に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6が筒状に展開された鏡筒3に対して垂直な姿勢とされたとき、ホルダー25、37の端縁(例えば側端縁)の少なくとも一部が鏡筒3の内面に押し付けられて第1リンク材4および第2リンク材6の垂直姿勢を保持し、
図4に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6が筒状に展開された鏡筒3に沿った姿勢とされたとき、ホルダー25、37の端縁が鏡筒3の内面から離脱して第1リンク材4および第2リンク材6の垂直保持が解除される。
【0041】
(作用・効果)
本実施形態に係る折畳式望遠鏡によれば次のような効果を発揮できる。
【0042】
この折畳式望遠鏡1は、
図3に示すように、鏡筒3が筒状に展開されて第1リンク材4および第2リンク材6が共に鏡筒3に対して起立した姿勢とされたとき使用状態となり、
図4に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6を共に鏡筒3に沿った姿勢に傾倒させ、
図5に示すように、鏡筒3を平板状に折り畳むことで非使用状態となる。
【0043】
使用状態と非使用状態とを切り換える際、
図3、
図4に示すように、接眼レンズ5と対物レンズ7とが、第1リンク材4、第2リンク材6および第3リンク材9から成る平行リンク機構8によって連動して傾倒起立されるので、鏡筒3の外部に露出した第3リンク材9を操作することで、傾倒状態の接眼レンズ5と対物レンズ7とをワンタッチで容易に連動して起立させることができ、且つ、起立時の接眼レンズ5と対物レンズ7とを適確に高い精度で平行状態とすることができる。よって、望遠鏡として使用するとき、起立させた接眼レンズ5と対物レンズ7とを適確に互いに平行で光軸が合った状態とすることができ、対象物をぼけることなくクリアに見ることができる。
【0044】
図5に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6を傾倒させて鏡筒3を平板状に折り畳んだ非使用状態としたとき、接眼レンズ5と対物レンズ7とが平行リンク機構8を構成する第3リンク材9の長さに相当する分だけ離間された状態となるため、接眼レンズ5と対物レンズ7とが重なる事態を回避できる。よって、非使用状態で平板状に折り畳まれた折畳式望遠鏡3を多数積み重ねて保管或いは搬送したとき、接眼レンズ5と対物レンズ7とが相互に擦れて傷付く事態を回避できる。
【0045】
図5に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6を傾倒させて鏡筒3を平板状に折り畳んだ非使用状態としたとき、接眼レンズ5と対物レンズ7とが折り畳まれた鏡筒3の内部に収容された状態となるため、鏡筒3が防護カバーとなり、折り畳んだ非使用状態において接眼レンズ5および対物レンズ7が外的要因によって傷付く事態を防止できる。よって、折畳式望遠鏡1を折り畳んで非使用状態として保管或いは搬送したとき、接眼レンズ5および対物レンズ7が外傷によって傷付く事態を防止できる。
【0046】
(保持部49、50の機能)
図3に示す使用状態において、起立された第1リンク材4および第2リンク材6が、保持部49、50によって鏡筒3に対して垂直な姿勢に保持される。すなわち、起立された第1リンク材4の凸部51(突出部)が鏡筒3内の凹部52(切込部)に係合し、第2リンク材6の凸部53(突出部)が鏡筒3内の凹部54(切込部)に係合するため、第1リンク材および第2リンク材が鏡筒3に対して垂直な姿勢に保持される。これにより、望遠鏡として使用するとき、接眼レンズ5と対物レンズ7を適確に互いに平行で且つ光軸を精度よく一致させた状態に保持でき、歪みのないクリアな視界を確保できる。
【0047】
(メガホン、応援グッズとしての使用)
また、本実施形態に係る折畳式望遠鏡1においては、
図4に示すように、鏡筒3が筒状に展開され第1リンク材4および第2リンク材6が鏡筒3に沿った姿勢とされたとき鏡筒3がメガホンとなり、
図5に示すように、第1リンク材4および第2リンク材6が鏡筒3に沿った姿勢とされ鏡筒3が平板状に折り畳まれたとき叩いてクラップ音を出すための応援グッズとなる。
【0048】
図4に示すメガホンとして使用する際、使用者は、筒状に展開された鏡筒3の接眼側の開口11に口の周りを押し付け、音声を発する。このとき、使用者が第3リンク材9を鏡筒3の外面に押し付けるように鏡筒3と一緒に握ることで、メガホン本体となる鏡筒3の内部において、第1リンク材4の鏡筒3内方の部分(接眼レンズ5用のホルダー25)と第2リンク材6の鏡筒3内方の部分(対物レンズ7用のホルダー37)とが鏡筒3の内面に沿った姿勢に保持されるので、筐体3内の接眼レンズ5用のホルダー25および対物レンズ7用のホルダー37が拡声の邪魔にならず、且つ、接眼レンズ5および対物レンズ7が唾で汚れることが抑えられる。メガホン本体となる鏡筒3が接眼レンズ5側から対物レンズ7側に架けて末広がり状に形成されているため、ストレート状のものと比較して優れた拡声機能を発揮できる。使用者が口の周りを押し付ける鏡筒3の接眼側の開口11が折返部3cによってアール形状となっているため、使用者の口の周りが傷付くことを防止できる。
【0049】
図5に示す応援グッズとして使用する際、使用者は、一方の手で平板状に折り畳まれた鏡筒3の接眼側を握り、鏡筒3の対物側を他方の手に叩き付ける。すると、平板状に折り畳まれた鏡筒3の内面同士が衝突し、所謂クラップ音が発生し、スポーツ観戦時等において応援に役立つ。
【0050】
(広告媒体としての使用)
また、本実施形態に係る折畳式望遠鏡1においては、
図3~
図5に示す、鏡筒3、第1リンク材4、第2リンク材6および第3リンク材9が紙製または樹脂製であり、鏡筒3の外面および第3リンク材9の外面が広告スペースSとなっている。鏡筒3の外面には、
図6に示すように、展開図の状態で側面部3aが四枚連なったフラットな広い広告スペースSを確保できるため、広告の印刷が容易である。
【0051】
図6に示す広告スペースSには、例えば、野球、サッカー、ラグビー、水泳等のスポーツ大会のスポンサー企業等の広告を表示しておき、大会会場等において折畳式望遠鏡1を
図5の折り畳んだ状態(非使用状態)で観戦者に頒布することが考えられる。折り畳んだ状態では嵩張らないため、多数の折畳式望遠鏡1をコンパクトに保管(ストック)できる。
【0052】
(第2の実施形態)
図8~
図11に、本発明の第2の実施形態に係る折畳式望遠鏡1aを示す。第2実施形態に係る折畳式望遠鏡1aは、
図3~
図7を用いて説明した最初の実施形態に係る折畳式望遠鏡1と基本的な構成は同様であり、鏡筒3の構成のみが相違する。よって、最初の実施形態と同様の構成については同一の符合を付して説明を省略し、最初の実施形態と相違する鏡筒3について説明する。
【0053】
第2実施形態に係る折畳式望遠鏡1aの鏡筒3は、
図8に示すように、六角筒状に展開された大展開状態と、
図9および
図10に示すように、大展開状態の六角筒の一つの角Aを内方に折り込んで四角筒状に変形された中展開状態と、
図11に示すように、中展開状態の四角筒を平板状に折り畳んだ折畳状態とに変形自在となっている。
【0054】
この折畳式望遠鏡1aは、
図8に示すように、鏡筒3が大展開状態で第1リンク材4および第2リンク材6が鏡筒3に沿った姿勢とされたときメガホンとなり、
図9に示すように、鏡筒3が中展開状態で第1リンク材4および第2リンク材6が鏡筒3に沿った姿勢とされたとき叩いてクラップ音を出すための応援グッズとなり、
図10に示すように、鏡筒3が中展開状態で第1リンク材4および第2リンク材6が鏡筒3に対して起立した姿勢とされたとき望遠鏡となり、
図11に示すように、鏡筒3が折畳状態で第1リンク材4および第2リンク材6が鏡筒3に沿った姿勢とされたとき非使用状態となる。
【0055】
(メガホンとしての使用)
図8に示す鏡筒3は、展開図の状態において、細長い台形に形成された六枚の側面部3aが折り筋2で接続されており、各折り筋2を120度山折りすることで、末広がりの断面六角形の六角筒となる。両端の側面部3aには、長手方向に沿って糊代3bが接続されており、糊代3b同士を糊付けすることで、六枚の側面部3aが六角筒状となる(大展開状態)。この
図8の状態で、メガホンとして使用する。
【0056】
(応援グッズとしての使用)
図8に示す大展開状態の鏡筒3は、六角筒の一つの角(頂点A)を内方に折り込むことで、
図9に示すように四角筒状に変形されて中展開状態となる。この際、
図8の頂点A、頂点B、頂点C、頂点Dが、
図9の頂点A、頂点B、頂点C、頂点Dに移動され、頂点Cと頂点Dとが重なることで、六角筒(大展開状態)が四角筒(中展開状態)に変形される。この
図9の状態で、叩いてクラップ音を出すための応援グッズとして使用する。使用者は、一方の手で四角筒状の鏡筒3の接眼側を握り、鏡筒3の対物側を他方の手に叩き付ける。すると、糊代部3bの先端が鏡筒3の内部の隅3dに衝突し、所謂クラップ音が発生する。クラップ音は、四角筒状の鏡筒3の内部で反響するため、最初の実施形態よりも大きな音が発生する。
【0057】
(望遠鏡としての使用)
図10に示すように、鏡筒3を中展開状態とし、第1リンク材4と第2リンク材6を鏡筒3に対して起立させて垂直姿勢とすることで、鏡筒3の内部において接眼レンズ5と対物レンズ7とが鏡筒3に対して垂直且つ互いに平行となり、望遠鏡となる。ここで、中展開状態の鏡筒3の内部には、鏡筒3の一部が折り込まれて対角線上を仕切るように仕切りが存在するため、仕切りと干渉しないように、第1リンク材4の鏡筒3内方の部分(接眼レンズ5用のホルダー25)と、第2リンク材6の鏡筒3内方の部分(対物レンズ7用のホルダー37)とは、三角形状(三角板)に形成されている。
【0058】
(非使用状態)
図10に示す中展開状態の鏡筒3は、四角筒の対向する角(頂点E、頂点F)を近付けるように潰すことで、
図11に示すように平板状に折り畳まれた状態となる。
図11に示すように、鏡筒3が折り筋2で折り畳まれ、第1リンク材4および第2リンク材6が鏡筒3に沿った姿勢とされることで、非使用状態となる。非使用状態では嵩張らないため、多数の折畳式望遠鏡を積み重ねることでコンパクトに保管(ストック)できる。
【0059】
(作用・効果)
図8~
図11に示す第2実施形態に係る折畳式望遠鏡1aの基本的な作用効果は、
図3~
図7を用いて説明した最初の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0060】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、平板状に折り畳まれた状態と筒状に展開された状態とに変形可能な折畳式望遠鏡に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 折畳式望遠鏡
2 折り筋
3 鏡筒
3c 折返部
4 第1リンク材
5 接眼レンズ
6 第2リンク材
7 対物レンズ
8 平行リンク機構
9 第3リンク材
25 第1リンク材の鏡筒内方の部分としての接眼レンズ用ホルダー
37 第2リンク材の鏡筒内方の部分としての対物レンズ用ホルダー
49 保持部
50 保持部
51 凸部
52 凹部
53 凸部
54 凹部
55 保持部
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