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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20231208BHJP
   G01G 23/35 20060101ALN20231208BHJP
【FI】
G01G11/00 N
G01G11/00 H
G01G23/35
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020050039
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021148663
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】中島 雅喜
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-249591(JP,A)
【文献】特表2017-517721(JP,A)
【文献】特開2018-169337(JP,A)
【文献】特開2008-45884(JP,A)
【文献】特開2019-200193(JP,A)
【文献】特開2001-41812(JP,A)
【文献】特開平6-18318(JP,A)
【文献】特表2009-516834(JP,A)
【文献】米国特許第7279644(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0092456(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0118814(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10356619(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-11/20,21/00-23/48
B07C 5/16-5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに近接した状態で一方向に複数配列され、各々に載置される物品の重量の少なくとも一部を検出する重量検出ユニットと、
複数の前記重量検出ユニットを前記一方向に沿って移動させる移動機構と、を備えた計量装置であって、
前記重量検出ユニットのそれぞれに設けられ、検出した重量を検出重量値として表示する表示部と、
前記検出重量値を表示する複数の前記表示部を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像に映し出される前記検出重量値を表示重量値として検出し、検出された前記表示重量値に基づいて前記物品の重量値を算出する制御部と、を備える、計量装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記重量検出ユニットが重量を検出しない場合に前記表示部に表示される無荷重表示を前記画像から検出したとき、前記一方向において前記無荷重表示に挟まれた前記表示重量値を特定し、特定された前記表示重量値に基づいて前記物品の重量値を算出する、請求項1記載の計量装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記物品を含んで撮像するように設けられており、
前記制御部は、一つの前記物品が載置された一つ又は複数の前記重量検出ユニットを特定し、特定された重量検出ユニットに対応する前記表示部の前記表示重量値に基づいて前記物品の重量値を算出する、請求項1又は2記載の計量装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記撮像部によって複数の前記表示部を撮像する前に、撮像対象となる前記表示部の表示内容を固定する、請求項1~3の何れか一項記載の計量装置。
【請求項5】
前記移動機構は、複数の前記重量検出ユニットを、前記物品が重量検出ユニットに載置される搬入部から前記物品が前記重量検出ユニットから排出される搬出部まで移動させ、
前記搬出部からの距離が前記搬入部からの距離よりも近い領域を撮像領域としたとき、前記撮像部は、前記撮像領域に移動されてきた複数の前記重量検出ユニットに対応する前記表示部を撮像する、請求項1~4の何れか一項記載の計量装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像に基づいて前記物品の検査を実行する、請求項1~5の何れか一項記載の計量装置。
【請求項7】
前記制御部によって検査された検査結果に基づいてランク分けされた前記物品ごとに振り分ける第一振分部を更に備える、請求項6記載の計量装置。
【請求項8】
前記制御部によって算出された重量値に基づいてランク分けされた前記物品ごとに振り分ける第二振分部を更に備える、請求項1~7の何れか一項記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、負荷された荷重を検出する重量検出ユニット(荷重検出ユニット)が一方向に配列されると共に、複数の重量検出ユニットが上記一方向に沿って移動可能に設けられた計量装置が開示されている。この構成の計量装置によれば、重量検出ユニットに載置された被計量物の搬送と同時に、被計量物の計量が行われる。
【0003】
このような計量装置では、一方向に配列された複数の重量検出ユニットに一の被計量物が跨がって載置される場合には、当該跨がって配置された複数の重量検出ユニットが検出する重量値を加算することによって、当該一の被計量物の計量が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4129095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の計量装置では、各重量検出ユニットが検出した重量値を有線又は無線により制御部に送信し、制御部は、これらの重量値を演算する必要がある。このため、制御部が各重量検出ユニットから重量値を取得する構成が複雑となっていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で複数の重量検出ユニットから重量値を取得することができる計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の計量装置は、互いに近接した状態で一方向に複数配列され、各々に載置される物品の重量の少なくとも一部を検出する重量検出ユニットと、複数の重量検出ユニットを一方向に沿って移動させる移動機構と、を備えた計量装置であって、重量検出ユニットのそれぞれに設けられ、検出した重量を検出重量値として表示する表示部と、検出重量値を表示する複数の表示部を撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された画像に映し出される検出重量値を表示重量値として検出し、検出された表示重量値に基づいて物品の重量値を算出する制御部と、を備える。
【0008】
この構成の計量装置では、撮像部によって撮像された画像から複数の重量検出ユニットのそれぞれが検出した検出重量値を取得するので、複数の重量検出ユニットのそれぞれが出力する検出重量値を有線又は無線を介して取得する構成に比べて簡易な構成とすることができる。
【0009】
本発明の計量装置では、制御部は、重量検出ユニットが重量を検出しない場合に表示部に表示される無荷重表示を画像から検出したとき、一方向において無荷重表示に挟まれた表示重量値を特定し、特定された表示重量値に基づいて物品の重量値を算出してもよい。ここで、所定の間隔を保持した状態で一方向に物品が搬送される場合、一方向における物品の前後の重量検出ユニットは重量を検出しない。この構成では、一の物品が載置される重量検出ユニットを、重量を検出しない重量検出ユニットに挟まれる重量検出ユニットとして特定することができる。これにより、物品の重量値を算出するにあたり簡易な処理で適切な表示重量値の選択が可能となる。
【0010】
本発明の計量装置では、撮像部は、物品を含んで撮像するように設けられており、制御部は、一つの物品が載置された一つ又は複数の重量検出ユニットを特定し、特定された重量検出ユニットに対応する表示部の表示重量値に基づいて物品の重量値を算出してもよい。この構成では、一の物品が載置される重量検出ユニットを、画像から特定することができる。これにより、物品の重量値を取得するにあたり簡易な処理で適切な表示重量値の選択が可能となる。
【0011】
本発明の計量装置では、制御部は、撮像部によって複数の表示部を撮像する前に、撮像対象となる表示部の表示内容を固定してもよい。重量検出ユニットは、搬送時の揺れや振動によって表示重量値が変動することがあり、当該変動時に撮像された画像には検出重量値が識別可能に映し出されないといった不具合が発生するおそれがある。この構成では、撮像部によって撮像される前に表示部の表示内容が固定されるので、上述した不具合の発生を防止できる。
【0012】
本発明の計量装置では、移動機構は、複数の重量検出ユニットを、物品が重量検出ユニットに載置される搬入部から物品が重量検出ユニットから排出される搬出部まで移動させ、搬出部からの距離が搬入部からの距離よりも近い領域を撮像領域としたとき、撮像部は、撮像領域に移動されてきた複数の重量検出ユニットに対応する表示部を撮像してもよい。この構成では、物品が重量検出ユニットに載置されたときに振動が生じ、時間の経過と共に当該振動は収束する。この構成では、物品が載置されてから時間が経過した搬出部近傍の重量検出ユニットに対応する表示部が撮像されるので、上記の振動が排除された重量検出値が取得される。この結果、計量精度を高めることができる。
【0013】
本発明の計量装置では、制御部は、画像に基づいて物品の検査を実行してもよい。この構成では、撮像部によって撮像された画像を用いて、例えば、異物混入検査、割れ検査、外観検査等の検査を実行することができる。
【0014】
本発明の計量装置は、制御部によって検査された検査結果に基づいてランク分けされた物品ごとに振り分ける第一振分部を更に備えてもよい。この構成では、人の手を介することなく検査ランクごとに物品を仕分けることができる。
【0015】
本発明の計量装置は、制御部によって算出された重量値に基づいてランク分けされた物品ごとに振り分ける第二振分部を更に備えてもよい。この構成では、人の手を介することなく重量ランクごとに物品を仕分けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成で複数の重量検出ユニットから重量値を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施形態に係る計量装置の概略構成図である。
図2図2は、図1の計量装置の一部を斜め上方から見た斜視図である。
図3図3は、重量検出ユニットの断面図である。
図4図4(A)は、重量検出ユニットを支持するブラケットの断面図であり、図4(B)は、重量検出ユニットを支持するブラケットの断面図をピンの延在方向から見た側面図である。
図5図5は、撮像画像の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して一実施形態の計量装置1について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示されるように、本実施形態に係る計量装置1は、例えば所定の目標重量に袋詰めあるいは瓶詰めした物品Wを排出供給する上流側の製袋包装機あるいは充填機等の物品排出装置2と、物品Wに対して何らかの処理を実行する物品処理装置3との間に設けられる重量検査装置として用いられる。本実施形態では、例えばアームを揺動して検査不合格品を搬送経路から除去する振分装置(第一振分部・第二振分部)3Aを例に挙げ、振分装置3Aを計量装置1の構成の一部として説明する。
【0020】
物品排出装置2から排出された物品Wは、計量装置1及び振分装置3Aへと続く矢印方向(以下、搬送方向Aと称する。)の直線状の物品搬送経路に沿って連続搬送される。物品Wは、搬送中に計量装置1によって重量検査が行なわれ、その結果に応じて振分装置3Aによって良品と不良品とに振り分けられる。
【0021】
図1及び図2に示されるように、計量装置1は、重量検出ユニット20と、移動機構10と、撮像部40と、制御部50と、振分装置3Aと、を備える。
【0022】
重量検出ユニット20は、載置される物品Wの重量の少なくとも一部を検出する。具体的には、物品Wが複数の重量検出ユニット20に跨がって配置される場合には、重量検出ユニット20は、複数の重量検出ユニット20に分散して負荷される物品Wの重量を検出する。重量検出ユニット20は、物品Wの搬送方向(一方向)Aに沿って互いに近接した状態で配列される。
【0023】
図1図4に示されるように、重量検出ユニット20は、載置部21と、ロードセル22と、ベース部23と、コントロールユニット24と、表示部25と、を有している。
【0024】
載置部21は、物品Wが載置される部分であり、ロードセル22の一端により支持されている。載置部21は、物品Wを載置する方向から見た平面視において、長辺と短辺とから形成される長方形形状に形成された板状部材である。本実施形態の載置部21は、短辺のサイズαが25mm~30mmとなり、長辺のサイズβが200mm~240mmとなるように形成されている。重量検出ユニット20は、載置部21の短辺が物品Wの搬送方向Aに一致するように配置され、載置部21の長辺が搬送方向Aに直交する方向に一致するように配置される。
【0025】
上述したように、各重量検出ユニット20,…,20は多数個に細分され、その一つ一つの搬送方向のサイズαが相対的に短くなっている。これにより、一つの重量検出ユニット20に物品Wが二個乗りする可能性が小さい。したがって、前後の物品W同士の接触又はオーバーラップが発生し難い。また、物品W間に所定の搬送ピッチLさえあれば、その搬送ピッチLが不揃いで一定しなくても、先行物品Wと後続物品Wとを互いに異なる重量検出ユニット20,…,20に載置させることができる。
【0026】
ロードセル22は、載置部21を下方から支持するように、ベース部23の上面に設けられている。ロードセル22は、載置部21に物品Wが載置されることにより発生する機械的歪を電気信号に変換する。ベース部23は、ロードセル22を下方から支持する。コントロールユニット24は、例えば、ベース部23の上面に設けられている。載置部21及びベース部23は、ロードセル22及びコントロールユニット24の全体を覆うように、箱状に形成される。コントロールユニット24は、ロードセル22から出力される電気信号に基づいて載置部21に載置された物品Wからの荷重である重量を算出する。コントロールユニット24は、算出した重量を検出重量値として表示部25に出力する。本実施形態では、コントロールユニット24は、載置部21、ロードセル22、ベース部23からなる本体ユニット29と一体的に形成されている例を挙げて説明したが、本体ユニット29とは別体として形成されてもよい。
【0027】
表示部25は、重量検出ユニット20に対応して設けられており、重量検出ユニット20によって検出された重量を検出重量値として表示する。表示部25は、コントロールユニット24から取得した検出重量値を表示する。すなわち、表示部25は、載置部21に作用する物品Wの荷重を検出重量値としてリアルタイムに表示することができる。表示部25は、載置部21、ロードセル22、ベース部23からなる本体ユニット29を支持するブラケット17(後段にて詳述する)に支持されている。
【0028】
本実施形態では、表示部25は、本体ユニット29と別体として形成されている例を挙げて説明したが、本体ユニット29と一体的に形成されてもよい。表示部25の例には、液晶表示装置、電子ペーパー、及びLED表示装置等が含まれる。表示部25及びコントロールユニット24は、電池から給電される構成としてもよいし、下記の移動機構10に設けられる送電コイルと重量検出ユニット20に設けられる受電コイルとの間で電力がやりとりされるワイヤレス給電によって給電される構成としてもよい。
【0029】
移動機構10は、複数の重量検出ユニット20を一方向に沿って移動させる機構である。移動機構10は、フレーム11と、支軸13A,13Bと、ギヤ部材14A,14Bと、駆動部15と、チェーン16と、ブラケット17と、摺動部18と、を備えている。
【0030】
フレーム11は、物品Wの搬送方向Aに沿って配置される一対の板状部材であり、支軸13A,13Bが架け渡される部材である。すなわち、フレーム11は、搬送方向Aから見たとき、物品Wの搬送領域(幅方向における)両端に配置されている。支軸13A,13Bは、一対のフレーム11,11に回転自在に架け渡されている。支軸13Aは、搬送方向Aにおいて上流側端部に配置され、支軸13Bは、搬送方向Aにおいて下流側端部に配置されている。
【0031】
支軸13Aには一対のギヤ部材14A,14Aが設けられ、支軸13Bには一対のギヤ部材14B,14Bが設けられている。一対のギヤ部材14Aは、支軸13Aの延在方向において間隔をあけて固定され、一対のギヤ部材14Bは、支軸13Bの延在方向において間隔をあけて固定されている。ギヤ部材14A,14Bは、支軸13A,13Bの回転と一体的に回転するように設けられている。駆動部15は、支軸13A及び支軸13Bの一方(本実施形態では支軸13A)に接続されており、接続される支軸13A及び支軸13Bの一方を回転させる。駆動部15の例は、モータである。
【0032】
チェーン16は、ギヤ部材14A,14Bに巻き掛けられる、延在方向にリンク部材16Aが連接された無端軌道状の部材である。リンク部材16Aのそれぞれには、支軸13A,13Bの延在方向に突出するピン16Bが形成されている。ピン16Bは、重量検出ユニット20を支持するブラケット17に係合される。
【0033】
ブラケット17は、重量検出ユニット20を支持する部材である。ブラケット17は、幅方向における重量検出ユニット20の両端を支持する。ブラケット17は、チェーン16から突出するピン16Bに係合されている。より詳細には、図4に示されるように、ピン16Bは、ブラケット17に形成され、鉛直方向に延在する切欠部17aに係合される。上述したようなブラケット17の形状により、ピン16Bが水平方向に移動すれば、ブラケット17も連動して水平方向に移動する。ブラケット17は、例えばMCナイロン等の材料に形成されている。
【0034】
摺動部18は、ブラケット17を下方から摺動可能に支持する。より詳細には、摺動部18は、チェーン16の駆動により水平方向に移動するブラケット17の下面17bを下方から支持した状態で摺動させる。
【0035】
上述した構成の移動機構10では、駆動部15によって支軸13A及び支軸13Bの一方が回転すると、支軸13A及び支軸13Bに固定されたギヤ部材14A,14Bに巻き掛けられたチェーン16が矢印方向Bに旋回する。これに伴い、チェーン16は、ピン16Bに係合するブラケット17を搬送方向Aに沿って移動させ、ブラケット17に支持された重量検出ユニット20を搬送方向Aに移動させる。ブラケット17は、摺動部18を摺動するように搬送方向Aに移動する。
【0036】
物品排出装置2は、このように搬送方向Aに移動する重量検出ユニット20に対して、物品Wを搬入する。移動機構10によって搬送方向Aに移動する重量検出ユニット20は、搬入部(搬送始端部)1Aにおいて物品排出装置2から搬入されてくる物品Wを受け取り、搬出部(搬送終端部)1Bにおいて搬送してきた物品Wを振分装置3Aに受け渡す。
【0037】
撮像部40は、重量検出ユニット20によって検出される検出重量値を表示する複数の表示部25を撮像するカメラ等の撮像装置である。撮像部40は、搬送方向Aに画角が広いパノラマカメラであってもよい。図5は、撮像部40によって撮像された撮像画像S1の一例を示している。図5に示されるように、撮像部40は、複数の表示部25と、物品Wが載置される載置部21の一部と、載置部21に載置される物品Wとが撮像できるように配置されている。
【0038】
撮像部40は、物品処理装置3への搬出部1Bからの距離が、物品排出装置2からの搬入部1Aからの距離よりも近い領域を撮像領域TAとしたとき、撮像部40は、撮像領域TAに移動されてきた複数の重量検出ユニット20に対応する複数の表示部25を撮像する。本実施形態では、物品処理装置3への搬出部1Bから8個目までの表示部25と、物品Wが載置される載置部21の一部と、載置部21に載置される物品Wとが撮像できるように配置されている。すなわち、図5に示されるような撮像画像S1が撮像可能に配置されている。
【0039】
制御部50は、撮像部40によって撮像された撮像画像S1(図5参照)に映し出される表示部25に表示されている検出重量値を表示重量値Dとして検出し、検出された表示重量値Dに基づいて物品の重量値を算出する。本実施形態では、下記の何れかの方法により、物品Wの重量値を算出する。
【0040】
重量値を算出する一つ目の方法は、下記のとおりである。すなわち、制御部50は、重量検出ユニット20が重量を検出しない場合に表示部25に表示される無荷重表示D1を撮像画像S1から検出したとき、搬送方向Aにおいて無荷重表示D1に挟まれた表示重量値D2を特定し、特定された表示重量値D2に基づいて物品Wの重量値を算出する。図5に示される例では、制御部50は、無荷重表示D1を示す「0」と表示された部分を検出し、搬送方向Aにおいて無荷重表示D1に挟まれた四つの表示重量値D2(14,15,15,14)を数値として取得する。そして、制御部50は、取得したこれらの数値を加算し、物品Wの重量値(58g)を算出する。
【0041】
重量値を算出する二つ目の方法は、下記のとおりである。すなわち、制御部50は、一つの物品Wが載置された一つ又は複数の重量検出ユニット20を特定し、特定された重量検出ユニット20に対応する表示部25の表示重量値Dに基づいて物品Wの重量値を算出する。図5に示される例では、制御部50は、物品Wが載置されていない四つの重量検出ユニット20Aと、物品Wが載置されている四つの重量検出ユニット20Bとを特定する。制御部50は、重量検出ユニット20Bに対応する四つの表示重量値D2(14,15,15,14)を数値として取得する。そして、制御部50は、取得したこれらの数値を加算し、物品Wの重量値(58g)を算出する。
【0042】
また、制御部50は、撮像部40によって複数の表示部25を撮像する前に、撮像対象となる表示部25の表示内容を固定する。本実施形態の制御部50は、搬送方向Aに沿って搬送されてくる重量検出ユニット20が撮像領域TAに侵入する手前の位置で、当該重量検出ユニット20に対応する表示部25の表示内容を固定する。すなわち、撮像領域TAに侵入した重量検出ユニット20に対応する表示部25は、その表示内容が固定されている。
【0043】
振分装置3Aは、制御部50によって算出された物品Wの重量値に基づいて、物品Wを搬送経路から除去する。振分装置3Aは、例えばアームを揺動して不良品を搬送経路から除去する。制御部50は、算出された物品Wの重量値が所定範囲にあるか否かを判定し、所定範囲にない物品Wがあることを判定すると、振分装置3Aを制御して、不良品を搬送経路から除去する。
【0044】
次に、計量装置1の具体的動作の一例を説明する。計量装置1は、載置される物品Wの重量の少なくとも一部を検出した状態で搬送方向Aに物品Wを搬送する。駆動部15の回転速度、すなわち当該計量装置1における物品Wの搬送速度は、上流側の物品排出装置2の物品排出速度及び下流側の振分装置3Aの物品搬送速度と同じ一定速度に制御されている。
【0045】
駆動部15が駆動すると、支軸13A,13B及びギヤ部材14A,14Bが回転し、チェーン16が矢印方向Bに旋回する。チェーン16が旋回すると、ピン16Bに係合されるブラケット17が搬送方向Aに移動させられる。ブラケット17は、下面17bが摺動部18に摺動された状態で搬送方向Aに移動され、重量検出ユニット20を搬入部1Aから搬出部1Bにまで移動させる。搬出部1Bにまで移動させられた重量検出ユニット20は、ギヤ部材14Bによって反転させられるチェーン16と共に搬入部1Aに移動する。制御部50は、重量検出ユニット20が搬出部1Bから搬入部1Aまで移動する間に、重量検出ユニット20の零点補正を実行する。
【0046】
物品排出装置2から排出される物品Wが重量検出ユニット20に載置されると、ロードセル22は物品Wの重量値を検出する。コントロールユニット24は、ロードセル22によって検出された重量値から予め記憶されている載置部21の重量を風袋として減算し、自己の重量検出ユニット20の載置部21に負荷された荷重、すなわち物品Wの分散荷重を算出する。
【0047】
例えば物品Wが五つの重量検出ユニット20に載置された場合には、一つの重量検出ユニット20には、物品Wの重量をほぼ五等分した値の分散荷重が検出され、例えば上記物品Wが四つの重量検出ユニット20に載置された場合には、一つの重量検出ユニット20には、物品Wの重量をほぼ四等分した値の分散荷重が検出される。表示部25には、コントロールユニット24によって検出された分散荷重(重量値)が表示重量値Dとして表示される。
【0048】
物品Wが載置された重量検出ユニット20は、物品Wの重量を検出した状態で搬送方向Aに搬送され、重量検出ユニット20と共に搬送される表示部25は、コントロールユニット24によって検出された重量値を表示した状態で搬送方向Aに搬送される。
【0049】
物品Wが載置された重量検出ユニット20が、上述した撮像領域TAにまで搬送されると、撮像部40は、撮像領域TAに移動されてきた複数の重量検出ユニット20に対応する表示部25を撮像する。本実施形態では、図5に示されるように、物品処理装置3への搬出部(搬送終端部)1Bから8個目までの表示部25と、物品Wが載置される載置部21の一部と、載置部21に載置される物品Wとが撮像される。
【0050】
ここで、制御部50は、搬送方向Aに沿って搬送されてくる重量検出ユニット20が撮像領域TAに侵入する手前の位置で、当該重量検出ユニット20に対応する表示部25の表示内容を固定する。すなわち、撮像部40によって撮像される8個の表示部25は、表示内容が固定されている。
【0051】
制御部50は、撮像部40によって撮像された撮像画像S1(図5参照)に映し出される表示部25に表示されている検出重量値を表示重量値Dとして検出し、検出された表示重量値Dに基づいて物品の重量値を算出する。例えば、制御部50は、無荷重表示D1を示す0と表示された部分を検出し、搬送方向Aにおいて無荷重表示D1に挟まれた四つの表示重量値D2(14,15,15,14)を数値として取得する。そして、制御部50は、取得したこれらの数値を加算し、物品Wの重量値(58g)を算出する。
【0052】
制御部50は、算出した物品Wの重量値を予め記憶する目標重量と比較し、所定の許容範囲内に収まっている良品か、あるいは上記許容範囲から逸脱している不良品かの判定を行う。制御部50は、所定範囲にない物品Wがあることを判定すると、振分装置3Aのアーム等を制御して、不良品を搬送経路から排出する。
【0053】
上記実施形態の計量装置1における作用効果について説明する。上記実施形態の計量装置1では、撮像部40によって撮像された画像から複数の重量検出ユニット20のそれぞれが検出した検出重量値を取得するので、複数の重量検出ユニット20のそれぞれが出力する検出重量値を有線又は無線を介して取得する構成に比べて簡易な構成とすることができる。
【0054】
上記実施形態の計量装置1では、図5に示されるように、制御部50は、重量検出ユニット20が重量を検出しない場合に表示部25に表示される無荷重表示D1を画像から検出したとき、一方向において無荷重表示D1に挟まれた表示重量値D2を特定し、特定された表示重量値D2に基づいて物品Wの重量値を算出している。この構成では、一の物品Wが載置される重量検出ユニット20を、物品Wの重量を検出しない重量検出ユニット20に挟まれる重量検出ユニット20として特定することができる。これにより、物品Wの重量値を算出するにあたり簡易な処理で適切な表示重量値Dの選択が可能となる。
【0055】
上記実施形態の計量装置1では、図5に示されるように、撮像部40は、物品Wを含んで撮像するように設けられており、制御部50は、一つの物品Wが載置された一つ又は複数の重量検出ユニット20を特定し、特定された重量検出ユニット20に対応する表示部25の表示重量値D2に基づいて物品Wの重量値を算出している。この構成では、一の物品Wが載置される重量検出ユニット20を、撮像画像S1から特定することができる。これにより、物品Wの重量値を取得するにあたり簡易な処理で適切な表示重量値Dの選択が可能となる。
【0056】
上記実施形態の計量装置1では、制御部50は、撮像部40によって複数の表示部25を撮像する前に、撮像対象となる表示部25の表示内容を固定してもよい。この構成では、搬送時の揺れや振動によって表示部25に表示される表示重量値Dが変動する場合であっても、撮像部40によって撮像される前に表示部25の表示内容が固定される。これにより、表示部25の表示内容から表示重量値Dが取得できないといった不具合の発生を防止できる。
【0057】
上記実施形態の計量装置1では、撮像部40は、搬入部1Aから遠く、搬出部1Bに近い撮像領域TAに移動されてきた複数の重量検出ユニット20に対応する表示部25を撮像している。ここで、表示部25に表示される表示重量値Dは、物品排出装置2から重量検出ユニット20に物品Wが載置された当初は、乗り移り時の振動等によって上下に変動し、時間が経過するにつれて(搬送方向Aに搬送されるにつれて)変化幅が小さくなる。この構成では、物品Wが載置されてから時間が経過した搬出部1B近傍の重量検出ユニット20に対応する表示部25が撮像されるので、上記の振動が排除された検出重量値が取得される。この結果、計量精度を高めることができる。
【0058】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0059】
上記実施形態の構成に加えて、制御部50は、撮像部40によって撮像された撮像画像S1に基づいて、物品Wの検査を実行してもよい。ここで、実行される検査の種類には、例えば、異物混入検査、割れ検査、外観検査等の検査が含まれる。また、上記実施形態の制御部50では、重量値が所定範囲にない物品Wが振分装置3Aによって搬送経路から排出される例を挙げて説明したが、この振り分けに加えて、検査結果が不合格の物品Wが振分装置3Aによって搬送経路から排出されてもよい。また、上記実施形態及び変形例の計量装置1は、組合せ計量を行う際の計量部として用いることもできる。
【0060】
上記実施形態及び変形例では、重量を検出しない場合に表示部25に「0」と表示される例を挙げて説明したが、何も表示されない場合、例えば「-」のような記号で表示される場合を無荷重表示D1として処理してもよい。
【0061】
上記実施形態及び変形例では、撮像部40は、搬出部1Bからの距離が搬入部1Aからの距離よりも近い撮像領域TAを撮像する例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、撮像部40は、搬送方向に配列された重量検出ユニット20の全て(搬入部1Aから搬出部1Bまで)が画角に入るように撮像し、制御部50は撮像された撮像画像全体から表示重量値Dを抽出して物品Wの重量を算出してもよい。また、制御部50は、撮像画像全体の例えば上記撮像領域TAに相当する部分のみから表示重量値Dを抽出して物品Wの重量を算出してもよい。
【0062】
上記実施形態及び変形例では、撮像部40は、物品Wと、重量検出ユニット20の載置部21と、表示部25と、が含まれる撮像画像S1となるように撮像する例を挙げて説明したが、撮像部40は、例えば重量検出ユニット20の載置部21と表示部25とが含まれる撮像画像、載置部21のみの撮像画像を撮像してもよい。
【0063】
上記実施形態及び変形例では、重量検出ユニットに載置された物品Wは、移動機構10によって搬送されながら計量される例を挙げて説明したが、静止した状態で計量されてもよい。
【0064】
上記実施形態及び変形例では、一方向に長い長方形形状の重量検出ユニット20を例に挙げて説明したが、略正方形形状の重量検出ユニットであってもよい。また、重量検出ユニット20は、搬送方向に沿って一列に配列されている例を挙げて説明したが、例えば、二列以上に配列されてもよい。
【0065】
上記実施形態及び変形例では、チェーン16の旋回と共に一体的に重量検出ユニット20を搬送するトップチェーン型の移動機構10を例に挙げて説明したがこれに限定されない。移動機構10は、例えば、スターホイール、ターンテーブル、搬送プレート等の搬送各部に重量検出ユニット20が装着された構成であってもよい。
【0066】
上記実施形態及び変形例では、振分装置3Aは、計量装置1において計量された物品W及び検査された物品Wを良品と不良品との二択に振り分ける例を挙げて説明したが、例えば、重量ごと、検査結果ごとにランク分け(二択以上)するように振り分けてもよい。また、振分装置3Aは、計量装置1において計量された物品Wを組合せ計量するように、予め用意された複数の振り分け先に振り分けてもよい。
【0067】
以上に記載した実施形態及び変形例の少なくとも一部は、任意に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…計量装置、2…物品排出装置、3A…振分装置(第一振分部・第二振分部)、10…移動機構、20,20A,20B…重量検出ユニット、25…表示部、40…撮像部、50…制御部、A…搬送方向、B…矢印方向、S1…撮像画像(画像)、TA…撮像領域、W…物品。
図1
図2
図3
図4
図5