(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】排気ガス放出機構及び屋内用作業機械システム
(51)【国際特許分類】
F01N 3/02 20060101AFI20231208BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20231208BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20231208BHJP
E02F 9/16 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
F01N3/02 101Z
F01N13/08 Z
E02F9/00 D
E02F9/16 C
(21)【出願番号】P 2020070102
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】317015939
【氏名又は名称】株式会社小野工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩一
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-43599(JP,U)
【文献】特開2019-27297(JP,A)
【文献】実開平7-30310(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/02
F01N 13/08
E02F 9/00
E02F 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内で用いられる作業機械の排気ガスを排出する排気管に接続され、屈曲可能な部位を有する上流側配管系と、
流入口と流出口を備えた筐体と、前記筐体に取り付けられ、前記屋内作業機械の動きに追従して移動するための走行部とを有し、前記流入口に前記上流側配管系が接続され、前記筐体の内部空間に流入する前記排気ガスを一時的に滞留させ、前記排気ガスの温度を低下させて前記流出口から流出させる中継器と、
前記流出口に接続されると共に、前記排気ガスを放出可能な外部空間に放出口が臨むように配設される屈曲可能な部位を有する下流側配管系と、
前記下流側配管系に設けられ、前記排気ガスを前記放出口方向に送る送風機と
を有
し、
前記中継器は、前記作業機械との位置関係を所定の位置に保つための制御部を備えており、前記走行部が、前記制御部からの指令により所定の方向に動作することを特徴とする排気ガス放出機構。
【請求項2】
前記中継器の走行部が、前記筐体の下部に設けられる車輪である請求項1記載の排気ガス放出機構。
【請求項3】
前記下流側配管系が、
前記中継器に接続される第1下流側配管と、
前記第1下流側配管が接続されるジョイント部を有すると共に、前記ジョイント部の下流側に前記送風機が連結される連結部を有する送風機連結フレームと、
一端が前記送風機に接続され、他端側に前記放出口を備えた第2下流側配管と
を有する請求項1又は2記載の排気ガス放出機構。
【請求項4】
屋内で用いられる作業機械と、
前記作業機械の排気管に接続される請求項1~
3のいずれか1に記載の排気ガス放出機構と
を有することを特徴とする屋内用作業機械システム。
【請求項5】
前記作業機械が重機である請求項
4記載の屋内作業機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の排気ガスを外部に放出する排気ガス放出機構及びこの排気ガス放出機構を備えた屋内用作業機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械、例えばミニショベルなどの小型の重機を、屋内で用いる場合、排気ガスが運転席に流れ込み、その高い温度やそれに含まれる窒素化合物や粒子状物質等の化学物質の影響により、オペレータを不快にさせる。この点に鑑み、例えば特許文献1では、排気口が運転席よりも上方位置となるような排気管を設け、オペレータへの影響を抑制した構造が開示されている。また、キャノピのルーフから排気管を突出させないようにすることで、建物内作業時における使用制約を緩和できる構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の開示のものは上記のように排気管の取り付け位置や排気口の位置を工夫することで建物内での使用が行いやすくなったことを特徴とする。しかしながら、排気口から排出される排気ガスは、オペレータに直接吹き付けることはなく、熱さや臭いを感じにくくなったものの、建物内に排出されることに変わりない。従って、作業時間が長くなればなるほど、建物内等の密閉度の高い空間内においては排気ガスの充満量が高くなる。そのため、高い頻度で換気を行う必要があると共に、作業機械のエンジンを停止したりする必要があるなど、長時間の屋内作業には適していない。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、屋内での排気ガスの充満を抑制し、屋内でのより長時間に亘る作業を可能にすることができる排気ガス放出機構及びこの排気ガス放出機構を備えた屋内用作業機械システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明の作業機械の排気ガス放出機構は、
屋内で用いられる作業機械の排気ガスを排出する排気管に接続され、屈曲可能な部位を有する上流側配管系と、
流入口と流出口を備えた筐体と、前記筐体に取り付けられ、前記屋内作業機械の動きに追従して移動するための走行部とを有し、前記流入口に前記上流側配管系が接続され、前記筐体の内部空間に流入する前記排気ガスを一時的に滞留させ、前記排気ガスの温度を低下させて前記流出口から流出させる中継器と、
前記流出口に接続されると共に、前記排気ガスを放出可能な外部空間に放出口が臨むように配設される屈曲可能な部位を有する下流側配管系と、
前記下流側配管系に設けられ、前記排気ガスを前記放出口方向に送る送風機と
を有することを特徴とする。
【0007】
前記中継器の走行部が、前記筐体の下部に設けられる車輪であることが好ましい。
【0008】
前記下流側配管系が、
前記中継器に接続される第1下流側配管と、
前記第1下流側配管が接続されるジョイント部を有すると共に、前記ジョイント部の下流側に前記送風機が連結される連結部を有する送風機連結フレームと、
一端が前記送風機に接続され、他端側に前記放出口を備えた第2下流側配管と
を有することが好ましい。
【0009】
前記中継器は、前記作業機械との位置関係を所定の位置に保つための制御部を備えており、前記走行部が、前記制御部からの指令により所定の方向に動作する構成とすることができる。
【0010】
また、本発明の屋内用作業機械システムは、
屋内で用いられる作業機械と、
前記作業機械の排気管に接続される請求項1~4のいずれか1に記載の排気ガス放出機構と
を有することを特徴とする。
【0011】
前記作業機械が重機であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業機械の排気管から排出される排気ガスは、送風機の駆動により、上流側配管系を経て中継器に送られ、その後、下流側配管系の放出口から外部空間に放出される。従って、作業機械から排出される排気ガスが、作業現場である屋内に溜まることを極力抑制することができる。これにより、作業機械の屋内における作業時間をより長時間化することができ作業効率を上げることができる。特に、本発明では、上流側配管系に接続される筐体の内部空間に排気ガスを一時的に滞留させる中継器を有している。これにより、高温の排気ガスの温度を中継器で低下させることができ、下流側配管系として、上流側配管系よりも耐熱温度の低い低コストのものを採用して、排気ガス放出機構全体の低コスト化に貢献できる。また、下流側配管系の放出口から排気ガスが高温のまま外部空間に放出されることがないため、放出口周辺において局部的に温度が上昇するような周辺環境への悪影響も抑制することができる。
【0013】
また、中継器が走行部を有しているため、作業機械の移動に伴って中継器も上流側配管系を介して追従して移動する。従って、中継器が作業機械の移動の邪魔になってしまうようなこともなく、作業効率に支障を来すこともない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1(a)は、本発明の一の実施形態に係る屋内用作業機械システムの全体構成を示した概略図であり、
図1(b)は、それを模式的に示した図である。
【
図2】
図2(a)は、中継器に第2上流側配管及び第1下流側配管を接続した状態を示した図であり、
図2(b)は、中継器の斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、中継器の正面図であり、
図3(b)は、中継器の側面図であり、
図3(c)は、前輪の平面図であり、
図3(d)は前輪の側面図であり、
図3(e)は、後輪の平面図であり、
図3(f)は、後輪の側面図である。
【
図4】
図4(a)は、送風機連結フレームを示した斜視図であり、
図4(b)は背面図である。
【
図5】
図5(a)は、送風機連結フレームの正面図であり、
図5(b)は、送風機連結フレームの側面図であり、
図5(c)は、送風機連結フレームの背面図である。
【
図6】
図6(a)~(c)は、送風機連結フレーム、送風機、第2下流側配管の接続手順を説明するための図である。
【
図7】
図7は、中継器に制御部を設けた例の構成を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1(a),(b)は、本実施形態に係る屋内用作業機械システム1の全体構成を示した図である。この図に示したように、屋内用作業機械システム1は、作業機械10と、排気ガス放出機構20とを有して構成される。
【0016】
作業機械10は、屋内作業用に適した機械である。自走式でない重機(建設機械)であっても、エンジン駆動により排気ガスを排出する排気管を備えたものであれば対象となる。但し、後述のように、本実施形態の排気ガス放出機構20は、走行部222を備えた中継器220を有しており、作業機械10の移動に追従可能であるため、特に、油圧ショベル、なかでも屋内用に適したミニショベルのような走行体を有する自走式の重機が適している。
【0017】
なお、ここでいう「屋内」は、典型的には建物などの建築物の内部空間を指し、建築作業、解体作業、リフォーム作業時等に上記の作業機械10が搬入される閉鎖度合いの高い空間を指す。但し、本実施形態の屋内用作業機械システム1及び排気ガス放出機構20は、塀や工事用の囲いで取り囲まれた閉鎖度合いが高く換気性に劣る空間で用いても排気ガスを長時間滞留させない効果がある。従って、本明細書において「屋内」には、建築部の内部空間に限らず、このような閉鎖度合いの高い空間も含む。しかしながら、本実施形態の屋内用作業機械システム1及び排気ガス放出機構20は、搬入可能な作業機械10のサイズが制限されてしまうような、狭く密閉性の高い現場である建築物の内部空間での作業により適している。
【0018】
排気ガス放出機構20は、上流側配管系210、中継器220、下流側配管系230及び送風機240を有して構成される。上流側配管系210は、作業機械10と中継器220とを結び、作用機械10及び中継器220の相対位置の変化に対応できるよう屈曲可能な部位を有している。本実施形態では、作業機械10の排気管11に一端が接続される例えば50cm程度の短めのフレキシブルメタルホースからなる第1上流側配管211と、この第1上流側配管211に可動式管継手213を介して接続される例えば5m程度の長尺なフレキシブルメタルホースからなる第2上流側配管212とを有して構成される。本実施形態によれば、第1及び第2上流側配管211,212がいずれもフレキシブルメタルホースから構成されているため、作業機械10及び中継器20の相対位置の変化に伴って屈曲可能であり、また、可動式管継手213を中心として2つの上流側配管211,212が相互に屈曲可能となっている。なお、これはあくまで一例であり、第1及び第2上流側配管211,212の素材、使用するホースの本数、長さ等は作業現場にあわせて調整され、限定されるものではない。但し、上流側配管系210は、作業機械10の排気管11から排出される高温の排気ガスが直接通過するため、例えば耐熱温度300℃以上の耐熱性の高い素材から構成されることが好ましい。
【0019】
中継器220は、
図2(a),(b)及び
図3(a)~(d)に示したように、金属板221aを略直方体状に加工した筐体221を備えてなり、該金属板221aに取り囲まれた内部は空間(内部空間)220aになっている。筐体221の前面を構成する金属板221aには流入口221bが設けられ、後面を構成する金属板221aには流出口21cが設けられている。流入口221bには、上流側配管系210の端部、本実施形態では、一端212aが可動式管継手213接続される第2上流側配管212の他端212bが接続される。流出口221cには下流側配管系230が接続されるが、その詳細については後述する。
【0020】
流入口221bから流入する排気ガスは、内部空間220aで滞留した後、流出口221cより流出する。この内部空間220aを滞留する間に排気ガスは冷却されて温度が低下する。内部空間220aは、本実施形態では、金属板221aに取り囲まれているだけの空洞であるが、排気ガスの温度低下をより効率よく行わせるため、内部空間220a内を隔壁により仕切ったり、複数のフィンを設けたりして滞留時間を長くすることももちろん可能である。
【0021】
中継器220の筐体221の下部には、走行部222が設けられている。本実施形態では、走行部222として、前方と後方の左右に二輪ずつ計四輪の車輪222a~222dを用いている。このうち前方の車輪222a,222bは、自在金具222a1,222b1を介して筐体221の下部に取り付けられ、旋回可能となっている。後方の車輪222c,222dは、固定金具222c1,222d1を介して筐体221の下部に取り付けられている。このように前輪222a,222bを旋回可能とすることにより、作業機械10の移動に伴って上流側配管系210を介して移動する中継器220の追従性が高くなる。但し、四輪とも旋回可能な構成とすることもできるし、逆に、四輪とも旋回しない構成とすることもできる。作業機械10の移動頻度、移動範囲などを考慮して追従に適した構成とすることが可能である。また、本実施形態では走行部222を車輪から構成しているが、ゴムベルト等から構成することも可能である。
【0022】
下流側配管系230は、上記のように中継器220の流出口221cに接続される。本実施形態の下流側配管系230は、第1下流側配管231、送風機連結フレーム232及び第2下流側配管233を有している(
図1(a),(b)参照)。このうち、第1下流側配管231の一端231aが中継器220の流出口221cに接続される。上記の中継器220において、排気ガスは冷却されており、例えば100℃以下となっている。従って、この第1下流側配管231としては、耐熱温度として上流側配管系210ほど高いものを用いる必要がなく、金属製ではなく例えばゴムホースから構成することができる。ゴムホースから構成することにより、より長尺のもの例えば10m以上のものを採用することができ、排気ガスを作業機械10の作業現場から離れた位置に導くのに適している。
【0023】
送風機連結フレーム232は、
図4(a),(b)及び
図5(a)~(c)に示したように、略直方体状に形成され、前面板232aと、上下左右の4枚の側面板232bと、後面板232cとを有している。前面板232aには、第1下流側配管231の他端231bが接続されるパイプから構成されるジョイント部232dが貫通して配設されている。ジョイント部232dにおける排気ガスの流れ方向下流側に位置する後面板232cには、送風機240の大きさに合わせて形成した連結用孔部232c1が形成されており(
図4(b)及び
図5(c)参照)、この連結用孔部232c1に送風機240が連結される。なお、連結用孔部232c1には、放熱板(図示せず)、あるいは、空冷式や水冷式のラジエーターなどの放熱装置(図示せず)を設けることもできる。これにより、排気ガスの温度をより効率よく低下させることができる。
【0024】
第2下流側配管233は、一端233aが送風機240に接続され、他端側に、放出口233bが開口されている(
図1参照)。第2下流側配管233は、第1下流側配管231及び送風機連結フレーム232を経てさらに温度が低下した排気ガスが通過する管であるため、耐熱温度はより低いもの、例えば、100℃以下のものでよく、合成樹脂製の蛇腹状の筒状部材を用いることができる。従って、第2下流側配管233は、数メートルから数十メートル、あるいはそれ以上の長さとすることが可能であり、排気ガスを放出することに支障のない位置に放出口233bを配置することが容易である。また、下流側配管系230は、このように、第1下流側配管231が例えばゴムホースから形成され、第2下流側配管233が例えば合成樹脂製の蛇腹状の筒状部材から形成されるというように、柔軟性のある部材を用いることができるため、屈曲可能になっており、放出口233bを所望の位置に容易にセットすることができる。
【0025】
送風機240は、ファン(図示せず)が回転することにより、作業機械10の排気管11から排出される排気ガスを第2下流側配管233の放出口233b方向に送る流れを作ることができればよく、大きさ、出力等は、作業機械10の種類等によって異なる排気ガスの排出量に合わせて適宜選択できる。
【0026】
本実施形態によれば、まず、屋内の作業現場に搬入した作業機械10の排気管11に第1上流側配管211を接続し、さらに、可動式管継手213を介して第2上流側配管212を接続する。第2上流側配管212の他端212bを中継器220の流入口221bに接続する。中継器220の流出口221cに第1下流側配管231を接続し、さらに、送風機連結フレーム232のジョイント部232dに第1下流側配管231の他端231bを接続する。そして、
図6(a)~(c)に示したように、送風機連結フレーム232の後面板232c側に形成した連結用孔部232c1に送風機を240を連結する。送風機240に第2下流側配管233の一端233aを連結し、放出口233bを所定の位置の外部空間に臨むようにセットする。なお、排気ガス放出機構20を構成するこれらの部材を接続したり、配置したりする順序は全く限定されるものではない。
【0027】
このようにして作業機械10に排気ガス放出機構20を取り付けたならば、まず、送風機240のスイッチを入れて稼動する。この際、上流側配管系210、下流側配管系230等における接続部等からの空気漏れがないか確認する。次で、作業機械10のエンジンをかける。その結果、作業機械10の排気管11からは排気ガスが排出される。この排気ガスは、送風機240によって放出口233b方向へと誘導されるため、排気管11から第1上流側配管211に誘導され、さらに、第2上流側配管212を経て中継器220の内部空間220a内に導入される。作業機械10の排気管11から排出される排気ガスは高温であるが、上流側配管系210を通過する間に冷却されると共に、中継器220の内部空間220aで滞留することによりさらに冷却される。所定温度以下に冷却された排気ガスは、さらに、中継器220の流出口221cから第1下流側配管231に送り込まれ、さらに、送風機連結フレーム232のジョイント部232bを経て、送風機240のファンによってさらに下流側にすなわち第2下流側配管233に送られ、放出口232bから外部空間に放出される。
【0028】
本実施形態では、このように、作業機械10の排気ガスは、屋内に留まらず、外部空間に放出される。このため、屋内の比較的閉鎖度合いの高い空間での作業にも拘わらず、排気ガスの滞留が極めて少なく、作業機械10を稼働しても、オペレータや同現場における他の作業員に不快感を与えることが抑制される。従って、従来と比較して、作業機械10の長時間の連続稼働が可能であり、作業効率の向上に資する。
【0029】
特に、中継器220が走行部222を有している。このため、作業機械10が移動することによって、排気管11に接続される第1上流側配管211及び第2上流側配管212が動くと、中継器220はそれに追従して移動する。中継器220が移動しても、送風機連結フレーム232との間では、第1下流側配管231が屈曲可能なゴムホースから構成されるため、第1下流側配管231も該中継器220の移動に従ってその位置が変化する。従って、他の作業員が、作業機械10の移動に伴って上流側配管系210や下流側配管系230を邪魔にならないように取り回す必要がなく、作業中の安全性の向上にも貢献できる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、送風機連結フレーム232にジョイント部232bを一つ設けているだけであるが、これを複数設けることにより、他の作業機械からの排気ガスを送風機連結フレーム232に集め、一つの送風機240の駆動によって、複数の作業機械の排気ガスを外部空間に放出する構成とすることもできる。また、送風機連結フレーム232及び送風機240は、両者を共に台車(図示せず)に載せたり、それぞれに車輪(図示せず)を設けたりして移動可能な構成とすることもできる。送風機連結フレーム232及び送風機240はある程度重量があるため、このような構成とすることにより容易に移動させることができ、現場に合わせて適切な位置に設置することが容易になる。また、これらは、ステンレス製等のケースで覆った構成とすることもでき、それにより、一酸化炭素の漏れを抑制できる。
【0031】
また、
図7に示したように、中継器220に制御回路や通信回路が搭載された制御部225を設けた構成とすることもできる。制御部225としては、例えば、作業機械10と無線通信を行い、両者間の位置(距離、方向)を把握し、現在位置に対して、予め設定した所定の位置となるように、走行部222に当該所定の位置への走行指令を自動的に発する構成とすることができる。これにより、中継器220が作業機械10と接触したりすることを防止でき、作業員の削減による安全性の向上に貢献できる。また、上流側配管系210や下流側配管系230の任意部位との位置関係も測定できる構成とすることで、上流側配管系210や下流配管系230が作業の邪魔になる位置に存在していないか等の確認も可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 屋内用作業機械システム
10 作業機械
20 排気ガス放出機構
210 上流側配管系
211 第1上流側配管
212 第2上流側配管
213 可動式管継手
220 中継器
220a 内部空間
221 筐体
221b 流入口
221c 流出口
222 走行部
230 下流側配管系
231 第1下流側配管
232 送風機連結フレーム
233 第2下流側配管
233b 放出口
240 送風機