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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
A61H7/00 323M
A61H7/00 323R
A61H7/00 323H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020110499
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007488
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-198371(JP,A)
【文献】特開2017-108778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向を向く軸心回りに回転駆動される回転軸を備えたマッサージ駆動機構と、前記マッサージ駆動機構を収蔵する基盤体と、前記マッサージ駆動機構の回転軸の回転駆動力を用いて左右方向に揺動自在とされた第1マッサージ部材と、前記回転軸の回転駆動力を用いて、前記回転軸の軸心に対して直交する方向に往復動する第2マッサージ部材と、が備えられており、
前記基盤体は、床に載置可能とされると共に、その上面に使用者が着座可能とされており、前記第1マッサージ部材は、前記基盤体の上面に着座した使用者の臀部を下方よりマッサージ可能とされており、前記第2マッサージ部材は、前記基盤体の上面に着座した使用者の背部をマッサージ可能とされていて、
前記第2マッサージ部材は、前記使用者の背部に対するマッサージを行う第2施療子が設けられた背部施療ユニットと、前記回転軸に対して偏心状態で回転可能とされた偏心カム部と、前記背部施療ユニットと偏心カム部とを連結する長尺の連結アームと、を有し、前記連結アームの一端に前記背部施療ユニットが設けられ、前記連結アームの他端は前記偏心カム部に回転自在に連結されていて、前記連結アームの中途部には、当該連結アームの伸長方向に沿って形成されたガイド溝が形成され、前記ガイド溝の内部には、当該ガイド溝に沿って移動可能となスライド部材が設けられ、前記スライド部材には左右方向に沿って伸びる固定軸の一端が取り付けられ、前記固定軸の他端は基盤体に取り付けられている
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
左右方向を向く軸心回りに回転駆動される回転軸を備えたマッサージ駆動機構と、前記マッサージ駆動機構を収蔵する基盤体と、前記マッサージ駆動機構の回転軸の回転駆動力を用いて左右方向に揺動自在とされた第1マッサージ部材と、前記回転軸の回転駆動力を用いて、前記回転軸の軸心に対して直交する方向に往復動する第2マッサージ部材と、が備えられており、
前記基盤体は、床に載置可能とされると共に、その上面に使用者が着座可能とされており、前記第1マッサージ部材は、前記基盤体の上面に着座した使用者の臀部を下方よりマッサージ可能とされており、前記第2マッサージ部材は、前記基盤体の上面に着座した使用者の背部をマッサージ可能とされていて、
前記第2マッサージ部材は、前記使用者の背部に対するマッサージを行う第2施療子が設けられた背部施療ユニットと、前記回転軸に対して偏心状態で回転可能とされた偏心カム部と、前記背部施療ユニットと偏心カム部とを連結する長尺の連結アームと、を有し、前記連結アームの一端に前記背部施療ユニットが設けられ、前記連結アームの他端は前記偏心カム部に回転自在に連結されていて、前記長尺の連結アームの中途部には、棒状のリンク部材が連結されており、前記リンク部材の一端は、基盤体であって回転軸の軸心よりも後方に左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されて、前記リンク部材の他端が連結アームの中途部に左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されている
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
左右方向を向く軸心回りに回転駆動される回転軸を備えたマッサージ駆動機構と、前記マッサージ駆動機構を収蔵する基盤体と、前記マッサージ駆動機構の回転軸の回転駆動力を用いて左右方向に揺動自在とされた第1マッサージ部材と、前記回転軸の回転駆動力を用いて、前記回転軸の軸心に対して直交する方向に往復動する第2マッサージ部材と、が備えられており、
前記基盤体は、使用者が自らの背中を凭れかけた状態で使用可能とされており、前記第1マッサージ部材は、使用者の腰部を後方よりマッサージ可能とされており、前記第2マッサージ部材は、使用者の肩部を押圧するようにマッサージ可能とされていて、
前記第2マッサージ部材は、前記使用者の背部のうち少なくとも肩部に対するマッサージを行う第2施療子が設けられた背部施療ユニットと、前記回転軸に対して偏心状態で回転可能とされた偏心カム部と、前記背部施療ユニットと偏心カム部とを連結する長尺の連結アームと、
前記連結アームの一端に前記背部施療ユニットが設けられ、前記連結アームの他端は前記偏心カム部に回転自在に連結されていて、前記連結アームの中途部には、当該連結アームの伸長方向に沿って形成されたガイド溝が形成され、前記ガイド溝の内部には、当該ガイド溝に沿って移動可能となスライド部材が設けられ、前記スライド部材には左右方向に沿って伸びる固定軸の一端が取り付けられ、前記固定軸の他端は基盤体に取り付けられている
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
左右方向を向く軸心回りに回転駆動される回転軸を備えたマッサージ駆動機構と、前記マッサージ駆動機構を収蔵する基盤体と、前記マッサージ駆動機構の回転軸の回転駆動力を用いて左右方向に揺動自在とされた第1マッサージ部材と、前記回転軸の回転駆動力を用いて、前記回転軸の軸心に対して直交する方向に往復動する第2マッサージ部材と、が備えられており、
前記基盤体は、使用者が自らの背中を凭れかけた状態で使用可能とされており、前記第1マッサージ部材は、使用者の腰部を後方よりマッサージ可能とされており、前記第2マッサージ部材は、使用者の肩部を押圧するようにマッサージ可能とされていて、
前記第2マッサージ部材は、前記使用者の背部のうち少なくとも肩部に対するマッサージを行う第2施療子が設けられた背部施療ユニットと、前記回転軸に対して偏心状態で回転可能とされた偏心カム部と、前記背部施療ユニットと偏心カム部とを連結する長尺の連結アームと、
前記連結アームの一端に前記背部施療ユニットが設けられ、前記連結アームの他端は前記偏心カム部に回転自在に連結されていて、前記長尺の連結アームの中途部には、棒状のリンク部材が連結されており、前記リンク部材の一端は、基盤体であって回転軸の軸心よりも後方に左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されて、前記リンク部材の他端が連結アームの中途部に左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されている
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
前記基盤体の上面に着座した使用者の太腿部を左右方向内側に向かって側方から押さえ
込むように押圧マッサージする第3マッサージ部材を有している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記第2施療子が前記背部施療ユニットに対して位置変更自在とされていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの回転駆動力を複数に分けて伝達して、複数の施療部に異なる種類のマッサージを施すことができるマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の複数の施療部をマッサージするマッサージ機としては、特許文献1のようなものが知られている。
特許文献1のマッサージ機は、左右で対をなす施療子34を有する第1マッサージ機構31と、左右で対をなす施療子54を有する第2マッサージ機構51が、身長方向に沿って複数設けられたものとなっている。これらのマッサージ機構のうち、相対的に上側に配置される第1マッサージ機構31と、相対的に下側に配置される第2マッサージ機構51とは、制御手段23により動作を制御可能とされている。具体的には、特許文献1の第1マッサージ機構31には施療子34をマッサージ動作させるためのマッサージモータ43(マッサージ駆動部)が設けられており、第2マッサージ機構51には施療子54をマッサージ動作させるためのマッサージモータ63(マッサージ駆動部)が設けられていて、これらのマッサージモータ43、63が制御手段23により個別に制御可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-48215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1のマッサージ機は、複数のマッサージ機構を動作させる駆動モータが、それぞれのマッサージ機構ごとに設けられており、マッサージ機構を支持するフレーム類や施療子にマッサージ動作を行わせるリンク部材なども、マッサージ機構ごとに個別に設けられている。そのため、駆動モータなどの部材の点数が多く、複雑な構造となっており、製造コストも高いものとなっている。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、一つの回転駆動力を複数に分けて伝達して、複数の施療部に異なる種類のマッサージを施すことができ、簡便な構造であっても多彩なマッサージ動作を行わせることができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のマッサージ機は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のマッサージ機は、左右方向を向く軸心回りに回転駆動される回転軸を備えたマッサージ駆動機構と、前記マッサージ駆動機構を収蔵する基盤体と、前記マッサージ駆動機構の回転軸の回転駆動力を用いて左右方向に揺動自在とされた第1マッサージ部材と、前記回転軸の回転駆動力を用いて、前記回転軸の軸心に対して直交する方向に往復動する第2マッサージ部材と、が備えられており、前記基盤体は、床に載置可能とされると共に、その上面に使用者が着座可能とされており、前記第1マッサージ部材は、前記基盤体の上面に着座した使用者の臀部を下方よりマッサージ可能とされており、前記第2マッサージ部材は、前記基盤体の上面に着座した使用者の背部をマッサージ可能とされていて、前記第2マッサージ部材は、前記使用者の背部に対するマッサージを行う第2施療子が設けられた背部施療ユニットと、前記回転軸に対して偏心状態で回転可能とされた偏心カム部と、前記背部施療ユニットと偏心カム部とを連結する長尺の連結アームと、を有し、前記連結アームの一端に前記背部施療ユニットが設けられ、前記連結アームの他端は前記偏心カム部に回転自在に連結されていて、前記連結アームの中途部には、当該連結アームの伸長方向に沿って形成されたガイド溝が形成され、前記ガイド溝の内部には、当該ガイド溝に沿って移動可能となスライド部材が設けられ、前記スライド部材には左右方向に沿って伸びる固定軸の一端が取り付けられ、前記固定軸の他端は基盤体に取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明のマッサージ機は、左右方向を向く軸心回りに回転駆動される回転軸を備えたマッサージ駆動機構と、前記マッサージ駆動機構を収蔵する基盤体と、前記マッサージ駆動機構の回転軸の回転駆動力を用いて左右方向に揺動自在とされた第1マッサージ部材と、前記回転軸の回転駆動力を用いて、前記回転軸の軸心に対して直交する方向に往復動する第2マッサージ部材と、が備えられており、前記基盤体は、床に載置可能とされると共に、その上面に使用者が着座可能とされており、前記第1マッサージ部材は、前記基盤体の上面に着座した使用者の臀部を下方よりマッサージ可能とされており、前記第2マッサージ部材は、前記基盤体の上面に着座した使用者の背部をマッサージ可能とされていて、前記第2マッサージ部材は、前記使用者の背部に対するマッサージを行う第2施療子が設けられた背部施療ユニットと、前記回転軸に対して偏心状態で回転可能とされた偏心カム部と、前記背部施療ユニットと偏心カム部とを連結する長尺の連結アームと、を有し、前記連結アームの一端に前記背部施療ユニットが設けられ、前記連結アームの他端は前記偏心カム部に回転自在に連結されていて、前記長尺の連結アームの中途部には、棒状のリンク部材が連結されており、前記リンク部材の一端は、基盤体であって回転軸の軸心よりも後方に左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されて、前記リンク部材の他端が連結アームの中途部に左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されていることを特徴とする。
また、本発明のマッサージ機は、左右方向を向く軸心回りに回転駆動される回転軸を備えたマッサージ駆動機構と、前記マッサージ駆動機構を収蔵する基盤体と、前記マッサージ駆動機構の回転軸の回転駆動力を用いて左右方向に揺動自在とされた第1マッサージ部材と、前記回転軸の回転駆動力を用いて、前記回転軸の軸心に対して直交する方向に往復動する第2マッサージ部材と、が備えられており、前記基盤体は、使用者が自らの背中を
凭れかけた状態で使用可能とされており、前記第1マッサージ部材は、使用者の腰部を後方よりマッサージ可能とされており、前記第2マッサージ部材は、使用者の肩部を押圧するようにマッサージ可能とされていて、前記第2マッサージ部材は、前記使用者の背部のうち少なくとも肩部に対するマッサージを行う第2施療子が設けられた背部施療ユニットと、前記回転軸に対して偏心状態で回転可能とされた偏心カム部と、前記背部施療ユニットと偏心カム部とを連結する長尺の連結アームと、前記連結アームの一端に前記背部施療ユニットが設けられ、前記連結アームの他端は前記偏心カム部に回転自在に連結されていて、前記連結アームの中途部には、当該連結アームの伸長方向に沿って形成されたガイド溝が形成され、前記ガイド溝の内部には、当該ガイド溝に沿って移動可能となスライド部材が設けられ、前記スライド部材には左右方向に沿って伸びる固定軸の一端が取り付けられ、前記固定軸の他端は基盤体に取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明のマッサージ機は、左右方向を向く軸心回りに回転駆動される回転軸を備えたマッサージ駆動機構と、前記マッサージ駆動機構を収蔵する基盤体と、前記マッサージ駆動機構の回転軸の回転駆動力を用いて左右方向に揺動自在とされた第1マッサージ部材と、前記回転軸の回転駆動力を用いて、前記回転軸の軸心に対して直交する方向に往復動する第2マッサージ部材と、が備えられており、前記基盤体は、使用者が自らの背中を凭れかけた状態で使用可能とされており、前記第1マッサージ部材は、使用者の腰部を後方よりマッサージ可能とされており、前記第2マッサージ部材は、使用者の肩部を押圧するようにマッサージ可能とされていて、前記第2マッサージ部材は、前記使用者の背部のうち少なくとも肩部に対するマッサージを行う第2施療子が設けられた背部施療ユニットと、前記回転軸に対して偏心状態で回転可能とされた偏心カム部と、前記背部施療ユニットと偏心カム部とを連結する長尺の連結アームと、前記連結アームの一端に前記背部施療ユニットが設けられ、前記連結アームの他端は前記偏心カム部に回転自在に連結されていて、前記長尺の連結アームの中途部には、棒状のリンク部材が連結されており、前記リンク部材の一端は、基盤体であって回転軸の軸心よりも後方に左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されて、前記リンク部材の他端が連結アームの中途部に左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されていることを特徴とする。
【0009】
お、好ましくは、前記基盤体の上面に着座した使用者の太腿部を左右方向内側に向かって側方から押さえ込むように押圧マッサージする第3マッサージ部材を有しているとよい。
【0011】
お、好ましくは、前記第2施療子が前記背部施療ユニットに対して位置変更自在とされているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のマッサージ機によれば、一つの回転駆動力を複数に分けて伝達して、複数の施療部に異なる種類のマッサージを施すことができ、簡便な構造であっても多彩なマッサージ動作を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態のマッサージ機の斜視図である。
図2】第1実施形態のマッサージ機構を示した斜視図である。
図3】第1実施形態のマッサージ機構を断面にして後方から見た図である。
図4】第1実施形態のマッサージ機に設けられる第2マッサージ部材の動作を示した図である。
図5】(a)は仰臥した姿勢で第1実施形態のマッサージ機を使用する使用態様を示したものであり、(b)は椅子の背もたれに凭れかけた状態で使用する使用態様を示したものである。
図6】第2実施形態のマッサージ機のマッサージ動作を示した斜視図である。
図7】第2実施形態のマッサージ機構を示した斜視図である。
図8】第2実施形態のマッサージ機に設けられる第2マッサージ部材の動作を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のマッサージ機1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
本発明のマッサージ機1は、マッサージ機構2(後述する第1マッサージ部材3、第2マッサージ部材4、及びマッサージ駆動機構5の3部材で構成された部分)を収蔵可能となっている基盤体6を有しており、マッサージ機構2には左右方向を向く軸心回りに回転駆動される回転軸7が設けられている。そして、本発明のマッサージ機1は、マッサージ機構2に設けられた回転軸7に回転駆動力を伝達し、伝達された回転駆動力を用いて、第1マッサージ部材3と第2マッサージ部材4との2つのマッサージ部材を動作させる構成となっている。第1マッサージ部材3は左右方向、つまり回転軸7の軸心に沿った方向に揺動自在とされており、第2マッサージ部材4は、回転軸7の軸心に対して直交する方向に往復動する構成となっている。なお、第2マッサージ部材4は、第1マッサージ部材3の後方又は上側に設けられており、第1マッサージ部材3とは異なる部材(独立に設けられた部材)となっている。つまり、本発明のマッサージ機1は、1本の回転軸7の回転駆動力を用いて、互いに動作方向が異なる複数のマッサージ部材を動作可能としている。
【0015】
なお、「回転軸7の軸心に沿った方向に対して直交する方向に第2マッサージ部材4を動作させる」場合としては、「第2マッサージ部材4を上下方向に動作させる」場合と、「第2マッサージ部材4を前後方向に動作させる」場合とがある。以降の説明では、第2マッサージ部材4を専ら上下方向に往復動させる例として第1実施形態のマッサージ機1を挙げ、第2マッサージ部材4を専ら前後方向に往復動させる例として第2実施形態のマッサージ機1を挙げる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のマッサージ機1を模式的に示したものである。
【0016】
図1に示すように、第1実施形態のマッサージ機1は、床などの水平な載置面に載置可能とされると共に、上面に使用者Uが着座可能とされた基盤体6と、基盤体6に収蔵されるマッサージ駆動機構5と、上述した第1マッサージ部材3と第2マッサージ部材4との2つのマッサージ部材と、を備えている。
次に、第1実施形態のマッサージ機1を構成する基盤体6、マッサージ駆動機構5、第1マッサージ部材3、及び第2マッサージ部材4について詳しく説明する。
【0017】
なお、第1実施形態のマッサージ機1は、床などに載置した状態のマッサージ機1に使用者Uが仰臥して背中などの施療部の施療を行う使用態様を採用することができる。また、別の使用態様としては、椅子の背もたれに凭れかけた状態のマッサージ機1に着座して腰などの施療部の施療を行う使用態様を採用することもできる。以降の説明では、仰臥した姿勢を基準とし、仰臥した姿勢のマッサージ機1の前後左右上下を、第1実施形態のマッサージ機1を説明する際の前後左右上下とする。
【0018】
具体的には、図3における上下方向を、マッサージ機1を説明する場合の上下方向とする。また、図3における左右方向を、マッサージ機1を説明する場合の右左方向とする。さらに、図4における左右方向を、マッサージ機1を説明する場合の前後方向とする。これらの方向は、代表的な図面に適宜矢印を用いて示している。
図1に示すように、基盤体6は、合成樹脂(例えばAB樹脂、ABS樹脂、PS樹脂のような硬質な合成樹脂)や金属などの材料で、内部が空洞とされたバケットシート型に形成されている。このようなバケットシート型に基盤体6を形成すれば、使用者Uの身体を包み込むようにホールドしつつ、使用者Uの着座が可能となる。つまり、基盤体6の中央側は、使用者Uが自ら腰を下ろして着座できるように平板状に形成されており、また基盤体6の左端側及び右端側は上方に向かってなだらかに湾曲しつつ起立しており、平板状の中央側に腰を下ろした使用者Uの腰部や太腿部を基盤体6の両端側(起立した部分)で左右両側から挟み込める(包み込める)ようになっている。なお、この基盤体6の表面には、使用者Uの座り心地を向上させるクッション材やカバー部材などを適宜配設しても良い。
【0019】
空洞とされた基盤体6の内部には、上述したマッサージ機構2が収蔵されている。このマッサージ機構2は、回転軸7に回転駆動力を発生させるマッサージ駆動機構5と、回転軸7の回転駆動力を用いてマッサージ動作する第1マッサージ部材3及び第2マッサージ部材4と、を有している。また、基盤体6の上面中央には第1開口部が上方に向かって開口するように形成されており、第1開口部を通って基盤体6の上方に、第1マッサージ部材3の先端に設けられた第1施療子14を突き出すことができるようになっている。また、この第1開口部は、前後方向に比べて左右方向に長い横長の開口形状に形成されており、第1マッサージ部材3(第1施療子14)を左右方向に沿って揺動させた場合にも、第1マッサージ部材3(第1施療子14)が開口縁に物理的に干渉しないようになっている。
【0020】
上方に向かって起立する基盤体6の左端側及び右端側には、左右方向の内側に面する側面に、第2開口部が形成されている。このような第2開口部を設ければ、第2開口部を通って左右方向の内側に第3マッサージ部材19の先端を突き出すことができるようになり、基盤体6の上面に着座した使用者Uの太腿部や腰部を左右方向の内側に向かって側方から押さえ込むように押圧マッサージ可能となる。
【0021】
図2及び図3に示すように、マッサージ駆動機構5は、駆動モータ8で発生した回転駆
動力を回転軸7に伝達し、回転軸7に回転駆動力を付与可能となっている。マッサージ駆動機構5は、左右方向に軸心を向けた駆動軸8aに回転駆動力を生起する駆動モータ8と、駆動モータ8の回転駆動力を減速しつつ回転軸7に伝達するウォームギヤ9と、ウォームギヤ9から伝達された回転駆動力により左右方向を向く軸回りに回転する回転軸7と、を備えている。
【0022】
具体的には、上述した駆動モータ8は、基盤体6における左右方向の中途側に、左方に向かって駆動軸8aを向けて配備されている。駆動軸8aの下側には、駆動軸8aの回転駆動力を減速しつつ回転軸7に伝達するウォームギヤ9が、前後方向に軸心を向けると共に駆動軸と交差するように配備されている。この駆動軸8aはウォームギヤ9の後側に接続されているが、ウォームギヤ9の前側上部には、回転軸7が軸心を左右方向に向けるように、ウォームギヤ9と交差するように配備されている。そして、この回転軸7にはウォームホイール10が回転軸7に対して一体回転可能となるように取り付けられており、上述したウォームギヤ9に伝達された回転駆動力をウォームホイール10に伝達することで回転軸7が回転駆動される構成となっている。
【0023】
また、上述したウォームホイール10の左右両側の回転軸7には軸受11が設けられており、この軸受11により回転軸7は左右方向を向く軸回りに回転自在に配備されている。この軸受11を挟んだ内側の回転軸7上には第1ボス部12が、また軸受11を挟んだ外側の回転軸7には第2マッサージ部材4の偏心カム部13(第2ボス部)がそれぞれ設けられている。
【0024】
第1マッサージ部材3は、回転軸7の回転駆動力を用いて左右一対の第1施療子14、14を左右方向に沿って近接させたり離間させたりすることで、第1施療子14、14間に設けられた使用者Uの臀部などの施療部を下方より揉みマッサージ可能となっている。具体的には、本実施形態の第1マッサージ部材3は、回転軸7の回転駆動力を、回転軸7に交差する向きに設けられた左右一対のブラケット15、15に変換して伝達し、ブラケット15を左右方向に揺動させる構成となっている。このようにすれば、左右一対のブラケット15、15の左右揺動に合わせて、それぞれのブラケット15に取り付けられた第1施療子14が左右方向に揺動し、施療部をマッサージすることが可能となる。
【0025】
具体的には、第1マッサージ部材3は、回転軸7の左側および右側のぞれぞれに取り付けられて回転軸7と一体に回転する円筒状の第1ボス部12、12と、これらの第1ボス部12の外周面に形成されると共に回転軸7の軸心に対して交差する方向を向く軸回りを周回する第1カム面と、第1カム面に対してベアリングを介して回転可能に嵌合する環状嵌合部16(カムフォロワ)と、を有している。また、第1マッサージ部材3は、上述した環状嵌合部16が後端側に形成されたブラケット15と、ブラケット15の前後方向の中途側における内側の側面から上方に向かって伸びる第1アーム部材17と、第1アーム部材17の上端に設けられた第1施療子14と、を有している。
【0026】
具体的には、第1ボス部12は、回転軸7と同軸になる円筒状の部材である。円筒面として形成された第1ボス部12の外周面には、第1カム面が形成されている。この第1ボス部12の第1カム面は、回転軸7の軸心に対して傾斜した軸回りを周回する軌道(傾斜軌道)に沿うように、上述した第1ボス部12の円筒面に形成されている。なお、左側の第1ボス部12に設けられる第1カム面と、右側の第1ボス部12に設けられる第1カム面とは、回転軸7の軸心に対する傾斜方向が左右で反対方向を向くようになっている。それゆえ、左側の第1ボス部12の第1カム面が左側に傾いた軌道をとるときは、右側の第1ボス部12の第1カム面は右側に傾いた軌道をとる。また、左側の第1ボス部12の第1カム面が右側に傾いた軌道をとるときは、右側の第1ボス部12の第1カム面は右側に傾いた軌道をとる。つまり、左右の第1ボス部12では、第1カム面の傾斜方向が左右で反対方向になっているため、これらの第1カム面に沿って移動する環状嵌合部16(カムフォロワ)も互いに左右で反対向きを向くように動作し、この環状嵌合部16が設けられたブラケット15やブラケット15に取り付けられた第1施療子14も左右方向に近接や離反を繰り返すことになる。
【0027】
上述した第1ボス部12の第1カム面には、第1マッサージ部材3の環状嵌合部16が
回動自在に嵌合している。環状嵌合部16は、上述したように第1ボス部12を嵌入可能な円形の孔部であり、ブラケット15の後端側に左右方向に貫通状に形成されている。ブラケット15は、左右方向の側方から見た断面が、前方に向かってとがったくさび状(前後方向に細長い三角形状)の外観を備えている。上下方向に厚みのあるブラケット15の後端側に上述した環状嵌合部16が貫通状に形成されており、とがった前端側に後述する第1マッサージ部材3の第1アーム部材17や第3マッサージ部材19が設けられている。
【0028】
ブラケット15の下側(ブラケット15と基盤体6との間)には、ブラケット15が回転軸7と同伴回動することを規制しつつ、左右方向に沿った移動のみを許容する規制部材が配備されている(図示略)。この規制部材は、第1実施形態の場合、左右方向に距離をあけて配備された2本の規制ピンと、2本の規制ピンの間に架け渡すように配備された帯板状の回動規制板と、で構成されている。つまり、第1実施形態の規制部材では、2本の規制ピンがブラケット15の左右方向に沿った往復揺動の移動範囲を規制し、回動規制板がブラケット15の回動を規制する構成となっている。この規制部材により、ブラケット15は、環状嵌合部16が設けられた後側に対して、前側が左右方向に往復揺動する構成とされている。
【0029】
第1アーム部材17は、ブラケット15の前後方向の中途側における内側の側面から、ブラケット15の上端とほぼ面一になるような高さまで上下方向に沿って伸びる棒状の部材であり、上端には施療部を施療可能な第1施療子14が設けられている。第1施療子14は、使用者Uに痛みを与えずに施療部を揉みほぐし可能となるように略球状に形成された部材であり、基盤体6の上面から球上部の1/2から2/3程度の部分が上方に突出するように取り付けられていて、基盤体6の上面に着座した使用者Uの臀部の施療部を揉みマッサージ可能となっている。
【0030】
図2及び図4に示すように、第2マッサージ部材4は、上述したマッサージ駆動機構5により発生する回転軸7の回転駆動力を用いて、使用者Uの背部に対してマッサージを行う部材である。具体的には、第2マッサージ部材4は、使用者Uの背部の施療部に対してマッサージを行う第2施療子20と、この第2施療子20が複数設けられた施療子保持体21と、施療子保持体21を上下方向に移動可能に支持する支持体22と、を有している。この第2施療子20、施療子保持体21、及び支持体22が、背部施療ユニット23を構成している。また、第2マッサージ部材4は、回転軸7に対して偏心状態で連結された偏心カム部13(第2ボス部)と、背部施療ユニット23と偏心カム部13とを連結する連結アーム24と、連結アーム24に設けられて、回転軸7の軸心回りに偏心カム部13が回転する運動を、前後方向に沿った揺動運動に変換する第2変換部25(変換部)と、を有している。
【0031】
第2施療子20は、上方に向かって突出する円柱状の部材であり、本実施形態では施療子保持体21の後側に左右に並んで2個、前側に後側のものより左右に距離をあけて2個並んで配備されており、全部で4つ設けられている。それぞれの第2施療子20は、先端(上端)が丸みを帯びた半球状に形成されており、この丸みを帯びた部分で痛みを与えることなく背部の施療部を施療可能となっている。なお、本明細書における「背部」は使用者の背中だけでなく、使用者の首や肩を含むものとする。
【0032】
施療子保持体21は、上述した第2施療子20の下側に設けられた板状の部材であり、表面(板面)を上方に向けるようにして取り付けられている。具体的には、施療子保持体21は、上方から見た場合に、前後方向の寸法に比して左右方向の寸法の方が長い横長の形状に形成されており、前側左隅、前側右隅、後側左隅、及び後側右隅の四隅が円弧状に面取りされた板状に形成されている。また、施療子保持体21は、支持体22の上面に形成された凹部26に、上下方向に沿って移動自在に嵌まり込んだ状態で配備されている。
【0033】
支持体22は、上述した施療子保持体21よりも前後方向及び左右方向の寸法が大きく、かつ使用者Uの背部を支持するに十分な寸法を備えた部材である。支持体22は、使用者Uの背部に正対する向きに板面を向けて、言い換えれば板面を上方やや前側に向けて配備されている。支持体22の上面には、下方に向かって凹んだ凹部26が形成されている
。この凹部26の左右方向に沿った開口幅は、上述した施療子保持体21に対応した寸法とされており、施療子保持体21を嵌入可能な寸法に形成されている。また、凹部26の前後方向に沿った開口幅は施療子保持体21より幅広とされており、施療子保持体21は凹部26に嵌入された状態で前後方向にスライド可能とされている。
【0034】
上述した支持体22の凹部26の中央には、前後方向に沿ってスライド溝27が形成されている。一方、施療子保持体21の裏面には、ネジなどを取付可能な取付孔(図示略)が形成されている。
一方、偏心カム部13は、回転軸7における軸受11のさらに外側に配備された部材であり、回転軸7の軸心に対して偏心した状態で配備された円柱状の部材である。この偏心カム部13は、第1ボス部12と同様に回転軸7の回転に伴って一体回転可能とされており、第2マッサージ部材4に設けられることを考えると、第2ボス部ということもできる。偏心カム部13の外周側には、後述する連結アーム24の下端がベアリングを介して回転自在に連結されている。
【0035】
連結アーム24は、上述した背部施療ユニット23(支持体22の左右両端)と、偏心カム部13とを上下方向に連結する棒状の部材である。連結アーム24の上端は支持体22の左右両端に連結されており、連結アーム24と支持体22とは一体に移動可能となっている。また、連結アーム24の下端は偏心カム部13に外側から嵌合可能な円筒状に形成されており、ベアリングを介して偏心カム部13に回転自在に連結されている。連結アーム24の上下方向の中途側はクランク状に折れ曲がっており、左右方向の外側に位置する偏心カム部13と、偏心カム部13より左右方向でやや内側に位置する支持体22の左右両端とを、左右方向にずれなく連結可能となっている。この折れ曲がった部分と、支持体22の左右両端との間を結ぶ連結アーム24(第2施療子20に近い側の連結アーム24)は上下方向に沿うように直線状に形成されており、この直線状に形成された連結アーム24に、回転軸7回りの偏心カム部13の回転運動を、上下方向に沿った並進運動に変換する第2変換部25(変換部)が設けられている。
【0036】
第2変換部25は、回転軸7回りの偏心カム部13の回転運動を、上下方向に沿った並進運動に変換する部材であり、この第2変換部25を備えることが本発明のマッサージ機1の特徴の一つとなっている。
第2変換部25は、上下方向に沿って形成されたガイド部材に沿って第2マッサージ部材4をガイドすることで運動方向を変換するものであり、本実施形態のガイド部材には直線状の連結アーム24に形成されたガイド溝29が用いられている。このガイド溝29(ガイド部材)は、左右方向に向かって連結アーム24を貫通して、連結アーム24の左側面と右側面との双方に開口する長穴として形成されている。また、ガイド溝29は、連結アーム24の伸長方向、言い換えれば前後方向に沿うように形成されており、後側の溝端は支持体22の近傍、前側の溝端は折れ曲がった部分の近傍に位置している。ガイド溝29の内部には、ガイド溝29の形成方向(前後方向)に沿って移動可能となるように、スライド部材30が設けられている。このスライド部材30は、ガイド溝29の溝幅に対応した寸法の角状の部材であり、ガイド溝29にスライドを阻害しない程度の隙間をあけて嵌入可能となっている、スライド部材30の中央には左右方向に沿って伸びる固定軸31が設けられている。固定軸31の一端はスライド部材30取り付けられており、他端は基盤体6に取り付けられている。また、スライド部材30は、基盤体6に対して左右方向を向く軸回りに回動自在とされている。つまり、スライド部材30は、左右方向を向く軸回りに回動自在とされた状態で、前後方向に移動可能となっている。
【0037】
上述した第2変換部25を備えた第2マッサージ部材4では、回転軸7が左右方向を向く軸回りに回転すると、偏心カム部13も回転軸7の軸心回りを回転する。そして、偏心カム部13にベアリングを介して連結された支持体22の下端も本来ならば回転軸7の軸心回りを回転しようとする。ところが、上述した第2変換部25(変換部)が設けられているため、支持体22の前後方向の中途側は上下方向に移動することができず、支持体22が偏心カム部13と同伴して回転することはない。一方、ガイド溝29に沿ってスライド部材30が前後方向に移動することは許容されているので、支持体22は前後方向に沿って往復移動を行うことになる。
【0038】
そのため、支持体22は上下方向に若干の揺動はするものの、ほとんど前後方向にしか移動しない。つまり、上述した第2変換部25が設けられた第1実施形態のマッサージ機1では、回転軸7の回転駆動力により支持体22が上下方向に往復動するようになり、支持体22に設けられた第2施療子20を上下に往復動させて、背部の施療部を擦るようにマッサージすることが可能となる。
【0039】
全体で考えれば、第1実施形態のマッサージ機1は、第1施療子14が左右方向に沿って近接・離反を繰り返して使用者Uの臀部に揉みマッサージを行うと共に、第2施療子20が上下方向に沿って往復動して使用者Uの背部に擦りマッサージを行うことができる。つまり、第1マッサージ部材3は回転軸7の軸心に沿った方向に第1施療子14を揺動させるものであり、第2マッサージ部材4は回転軸7の軸心に対して直交する方向に往復動するものであり、第1実施形態のマッサージ機1は複数の施療部に異なる種類のマッサージ動作を行わせるものとなっている。
【0040】
一方で、第1実施形態のマッサージ機1は、一つの駆動モータ8の回転駆動力を分けて用いて、異なる種類のマッサージ動作を複数の施療部に行わせることを可能とするものであり、簡便な構造でありながら多彩なマッサージを行えるものとなっている。
なお、第1実施形態のマッサージ機1には、第1マッサージ部材3や第2マッサージ部材4に加えて、第3マッサージ部材19も設けられている。
【0041】
第3マッサージ部材19は、第1マッサージ部材3に連結された状態で、第1マッサージ部材3と連動した動作で左右方向に近接・離間を繰り返しつつマッサージを行っている。第3マッサージ部材19が、第1マッサージ部材3と異なっているのは、施療する対象の施療部である。つまり、第1マッサージ部材3が臀部を施療部とするのに対して、第3マッサージ部材19は太腿部や腰部を施療部とする。
【0042】
具体的には、第3マッサージ部材19は、第1マッサージ部材3のブラケット15の上部に取り付けられており、ブラケット15の左右揺動に合わせて左右揺動する構成となっている。第3マッサージ部材19は、左右一対で設けられた断面が略C字状あるいは略くの字状の板部材であり、左右で線対称な形状や構造を有している。
左側の第3マッサージ部材19を例に挙げれば、左側の第3マッサージ部材19は、左側のブラケット15の上端から左側上方に向かって傾斜状に立ち上がり、上下方向の中途側で真っ直ぐ上方に向きを変えて伸びる構造を有しており、前方から見た場合にくの字状(あるいはC字状)の外観を備えている。左側の第3マッサージ部材19の上端側には、太腿部や腰部を左方より押圧するための押圧面が形成されており、押圧面にクッショ材などを取り付けることで、痛みを与えることなく施療部をしっかりと押さえつつ押圧マッサージできるものとなっている。
【0043】
なお、右側の第3マッサージ部材19は、左側の第3マッサージ部材19に対して線対称ではあるものの、左側と同様な形状や構造を備えているため、詳しい説明は割愛する。
上述した第3マッサージ部材19も、第1マッサージ部材3と同様に、マッサージ部材の動作方向が第2マッサージ部材4に対して直交するものとなっており、一つの駆動モータ8の回転駆動力を分けて用いて、異なる種類のマッサージ動作を複数の施療部に行うものということができる。
【0044】
図5(a)に示すように、上述した第1実施形態のマッサージ機1は、床面などに横倒しした状態で載置された使用態様で使用することができる。図5(a)の使用態様では、使用者Uは横倒しされたマッサージ機1の上に寝転がってマッサージを受けることができる。このとき、第1マッサージ部材3は使用者Uの臀部の施療部に対して揉みマッサージを行い、第2マッサージ部材4は使用者Uの背部の施療部に対して擦りマッサージを行い、第3マッサージ部材19は使用者Uの太腿部や腰部の施療部に対して押圧マッサージを行うことができる。
【0045】
一方、第1実施形態のマッサージ機1は、横倒しした状態とは別の姿勢でマッサージを行うこともできる。つまり、図5(b)に示すように、第1実施形態のマッサージ機1は、椅子などの起き上がった背もたれ部に対して、立て掛けた使用態様で使用することもできる。図5(b)の使用態様では、使用者Uは立てかけられたマッサージ機1の上から背もたれに凭れ掛かるように着座すると良い。立て掛けた使用態様では、第1マッサージ部材3は使用者Uの腰部の施療部を第1施療子14で後方から押圧しつつ揉みマッサージを行い、第2マッサージ部材4(特に、図1における前側の第2施療子20)は使用者Uの肩部の施療部に対して第2施療子20を上方から押し付けて押圧マッサージを行い、図1における後側の第2施療子20)は使用者Uの首部を押圧したまま、上から下へ指圧するように働く。第3マッサージ部材19は使用者Uの腰部を左右側方から押さえ込むように押圧マッサージを行うことができる。このように第3マッサージ部材19で使用者Uの腰部を押さえ込めば、第1施療子14で後方から押圧することで使用者Uの体が逃げることを抑制することができ、第1マッサージ部材3によるマッサージ効果を向上させることが可能となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のマッサージ機1について説明する。
【0046】
図6図8に示すように、第2実施形態のマッサージ機1は、第1マッサージ部材3のマッサージ動作については第1実施形態とほぼ同じであるが、第2マッサージ部材4のマッサージ動作、特に第2マッサージ部材4の動作方向(マッサージ方向)が第1実施形態と異なっている。
具体的には、第2実施形態のマッサージ機1では、第2マッサージ部材4は、回転軸7の回転駆動力を用いて、回転軸7の軸心に対して直交する方向に動作するものとなっているが、第1実施形態では上下方向に沿って動作していたのに対し、第2実施形態では前後方向に沿って動作している。つまり、第2マッサージ部材4は、前後方向に往復動することで、基盤体6の上面に着座した使用者Uの背部を後方より押圧するようにマッサージ可能とされている。
【0047】
上述した第2実施形態のマッサージ機1では、第2マッサージ部材4に設けられる第2施療子20は、使用者Uの背部を後方より押圧するようにマッサージ可能となっており、第1実施形態が上下方向に往復動して擦りマッサージを行うものであったのに対して、施療部に対して前後に近接・離間して押圧マッサージを行う点で異なっている。
第2施療子20は位置変更可能となっている。つまり、第2実施形態のマッサージ機1に設けられる背部施療ユニット23には、図示は省略するが第2施療子20を取付可能な取付穴が複数形成されており、複数の取付穴のいずれを選択するかで、第2施療子20により施療できる位置を調整できるようになっている。
【0048】
また、第2実施形態の第2マッサージ部材4も、連結アーム24に設けられて、回転軸7回りの偏心回転運動を、前後方向に沿った揺動運動に変換する第2変換部25(変換部)を有している。
具体的には、第2実施形態の第2変換部25は、細長い棒状のリンク部材32を備えている。このリンク部材32は、基盤体6と連結アーム24とを回転軸7の軸心から後方に離れた位置で連結している。つまり、リンク部材32の下端(一端)は、回転軸7の軸心よりも後方に離れた基盤体6の上面に、左右方向を向く軸回りに揺動自在に連結されている。より詳しくは、回転軸7の軸心よりも後方に離れた基盤体6の上面には、上方に向かって突出する係止ビット33が形成されており、係止ビット33の上端に、リンク部材32の下端が左右方向を向く軸回りに回動自在に連結されている。
【0049】
言い換えれば、このリンク部材32は、偏心カム部13材が回転軸7の軸心回りを回転するのに合わせて、前後方向に揺動する「てこクランク機構(四節リンク機構のリンク部材32のうち、原動節であるクランクが360°回転することで、従動節のリンク部材32が360°未満の角度で揺動するクランク機構)」を構成しており、回転軸7回りの偏心回転運動を前後方向に沿った揺動運動に変換可能となっている。
【0050】
そのため、上述した第2実施形態の第2マッサージ部材4では、第1実施形態とは異なり、連結アーム24の上端側が下端側を揺動中心として前後方向に往復揺動し、連結アーム24の上端側に設けられた第2施療子20が背部の施療部を押圧マッサージする。この第2実施形態の第2マッサー部材も、回転軸7の軸心に対して直交する方向にマッサージ
動作を行う点では第1実施形態と同様であるが、動作方向が第1実施形態とは異なる前後方向になっている点が第1実施形態と異なっている。
【0051】
なお、第2実施形態のマッサージ機1は、以下の点でも第1実施形態のマッサージ機1と異なっている。
すなわち、第2実施形態のマッサージ機1では、回転軸7を基準としてブラケット15が前方と後方との双方に伸びるように形成されており、ブラケット15の前端と後端とのそれぞれに第1施療子14が設けられている。また、第2実施形態の第3マッサージ部材19は、ブラケット15に設けられておらず、回転軸7に一体回転可能に設けられた第3ボス部材34に取り付けられている。つまり、第3ボス部材34も、第1ボス部12材と同様に、回転軸7の軸心に対して傾斜する軸回りを周回する傾斜カム面(図示略)を有しており、上述した第3マッサージ部材19は第3ボス部材34の傾斜カム面に回動自在に取り付けられている。そして、第3マッサージ部材19にも、第1マッサージ部材3と同様に、左右方向に沿った揺動を許容しつつ、第3マッサージ部材19が第3ボス部材34に同伴して回動することを規制する規制部材が、図示は省略するが設けられている。それゆえ、第2実施形態のマッサージ機1では、第3マッサージ部材19が左右方向に沿って近接・離間を繰り返し、太腿部や腰部を左右方向の外方から挟み込むように押圧マッサージすることができる。
【0052】
第2実施形態のマッサージ機1は、第1施療子14が左右方向に沿って近接・離間を繰り返して使用者Uの臀部や太腿部に揉みマッサージを行うと共に、第2施療子20が前後方向に沿って往復動して使用者Uの背部に押圧マッサージを行うことができる。つまり、第1マッサージ部材3は回転軸7の軸心に沿った方向に第1施療子14を揺動させるものであり、第2マッサージ部材4は回転軸7の軸心に対して直交する前後方向に往復動するものであり、第2実施形態のマッサージ機1も第1実施形態と同様に複数の施療部に異なる種類のマッサージ動作を行わせるものとなっている。また、第2実施形態のマッサージ機1は、一つの駆動モータ8の回転駆動力を分けて用いて、異なる種類のマッサージ動作を複数の施療部に行っており、簡便な構造でありながら多彩なマッサージを行えるものとなっている。
【0053】
なお、第2実施形態のマッサージ機1には、第1施療子14の上方を通って基盤体6の左右両側を結ぶビーム部35が設けられており、ビーム部35にはヒータの取り付けを行うためのヒータ取付孔36が形成されている。ヒータ取付孔36内にヒータを配設するか、ビーム部35の上面全面にヒータを貼り付ければ、使用者の臀部や大腿部を下方から温熱することができ、マッサージ効果をさらに高めることが可能となる。ヒータとしては、例えば、PTCヒータなどが好ましい。
【0054】
また、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0055】
1 マッサージ機
2 マッサージ機構
3 第1マッサージ部材
4 第2マッサージ部材
5 マッサージ駆動機構
6 基盤体
7 回転軸
8 駆動モータ
8a 駆動モータの駆動軸
9 ウォームギヤ
10 ウォームホイール
11 軸受
12 第1ボス部
13 偏心カム部(第2ボス部)
14 第1施療子
15 ブラケット
16 環状嵌合部(カムフォロワ)
17 第1アーム部材
19 第3マッサージ部材
20 第2施療子
21 施療子保持体
22 支持体
23 背部施療ユニット
24 連結アーム
25 第2変換部(変換部)
26 凹部
27 スライド溝
29 ガイド溝(ガイド部材)
30 スライド部材
31 固定軸
32 リンク部材
33 係止ビット
34 第3ボス部材
U 使用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8