(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ドックシェルター
(51)【国際特許分類】
B65G 69/32 20060101AFI20231208BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20231208BHJP
E06B 9/62 20060101ALI20231208BHJP
A47H 7/00 20060101ALI20231208BHJP
E06B 9/68 20060101ALN20231208BHJP
【FI】
B65G69/32
E06B9/17 P
E06B9/17 Z
E06B9/62 A
A47H7/00
E06B9/68 Z
(21)【出願番号】P 2021195577
(22)【出願日】2021-12-01
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】599001541
【氏名又は名称】有限会社小川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輔
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3124249(JP,U)
【文献】特開2006-298635(JP,A)
【文献】登録実用新案第3083036(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 69/32
E06B 9/17
E06B 9/62
A47H 7/00
E06B 9/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に作動されることにより輸送車の上部に近接及び離間され、かつ、前記輸送車の上部に近接されると、建物の内部と外部とを隔てるロールカーテンと、
水平方向に作動されることにより前記輸送車の第1側部に近接及び離間され、かつ、前記第1側部に近接されると、前記建物の内部と外部とを隔てる第1カーテンと、
前記第1カーテンに対して水平方向の間隔をおいて設けられ、かつ、水平方向に作動されることにより、前記輸送車の第1側部とは反対に位置する第2側部に近接及び離間され、かつ、前記第2側部に近接されると、前記建物の内部と外部とを隔てる第2カーテンと、
を有する、ドックシェルターにおいて、
前記ロールカーテンを支持する支持機構と、
前記ロールカーテンの下端に取り付けられ、かつ、前記第1カーテン及び前記第2カーテンをそれぞれ水平方向に作動可能に支持する接続機構と、
を有し、
前記支持機構は、水平方向の仮想線を中心として回転可能なロールシャフトを有し、
前記ロールカーテンは、前記ロールシャフトに巻き掛けられており、
前記接続機構は、前記第1カーテン及び前記第2カーテンを吊り下げて支持し、
前記ロールシャフトに巻き掛けられたワイヤーと、
前記ワイヤーの下端に接続され、かつ、前記ロールカーテンを上昇させるように前記ロールシャフトに回転力を付加するウェイトと、
前記ロールシャフトに動力伝達可能に接続され、かつ、前記ロールカーテンを下降させるように前記ロールシャフトに回転力を付加する電動モータと、
が更に設けられている、ドックシェルター。
【請求項2】
請求項1記載のドックシェルターにおいて、
前記建物の内部と外部とをつなぐ出入口に設けられる壁部が更に設けられ、
前記壁部は、前記支持機構を介して前記ロールカーテンを支持する、ドックシェルター。
【請求項3】
請求項1
または2項記載のドックシェルターにおいて、
前記第1カーテンを水平方向に作動させる電動モータと、
前記第2カーテンを水平方向に作動させる電動モータと、
が更に設けられている、ドックシェルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物の出入口に輸送車を停車させた場合に、建物の内部と外部とを隔てるカーテンを有する、ドックシェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の出入口に輸送車を停車させた場合に、建物の内部と外部とを隔てるカーテンを有する、ドックシェルターが知られており、そのドックシェルターの一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたドックシェルターは、輸送車のコンテナと、低温室の荷扱い開口枠(出入口)との間を気密的にシールするためのものであり、開口枠の上部に設けられて上下方向に開閉自在なロールカーテン(第1遮蔽部材)と、左右方向に開閉自在な一対の蛇腹シート(第2遮蔽部材)と、を有する。ロールカーテンは、荷扱い開口枠の上部に設けられた円筒状のロールに巻き掛けられ、このロールの両端部はブラケットの主軸に回転自在に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載されているドックシェルターによると、上下方向に作動する第1遮蔽部材を支持する支持機構と、左右方向に作動する第2遮蔽部材を支持する支持機構とを、それぞれ専用に設けており、部品点数が増加する、という課題を認識した。
【0005】
本開示の目的は、部品点数の増加を抑制可能なドックシェルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のドックシェルターは、鉛直方向に作動されることにより輸送車の上部に近接及び離間され、かつ、前記輸送車の上部に近接されると、建物の内部と外部とを隔てるロールカーテンと、水平方向に作動されることにより前記輸送車の第1側部に近接及び離間され、かつ、前記輸送車の上部に近接されると、前記建物の内部と外部とを隔てる第1カーテンと、前記第1カーテンに対して水平方向の間隔をおいて設けられ、かつ、水平方向に作動されることにより、前記輸送車の第1側部とは反対に位置する第2側部に近接及び離間され、かつ、前記輸送車の上部に近接されると、前記建物の内部と外部とを隔てる第2カーテンと、を有する、ドックシェルターにおいて、前記ロールカーテンを支持する支持機構と、前記ロールカーテンの下端に取り付けられ、かつ、前記第1カーテン及び前記第2カーテンをそれぞれ水平方向に作動可能に支持する接続機構と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のドックシェルターは、部品点数の増加を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のドックシェルターを示す模式的な側面断面図である。
【
図2】ドックシェルターを示す模式的な斜視図である。
【
図3】(A),(B)は、ドックシェルターを建物の外部から見た正面図である。
【
図4】ドックシェルターの要部を示す側面断面図である。
【
図5】ドックシェルターの要部を示す正面断面図である。
【
図6】ドックシェルターの制御系統の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(概要)
本開示のドックシェルターは、建物の出入口に輸送車を停車させた場合に、建物の内部と外部とを隔てるカーテンを有するドックシェルターである。カーテンは、鉛直方向に作動するカーテンと、左右方向に作動するカーテンとを、含む。本開示のドックシェルターは、鉛直方向に作動するカーテンと、左右方向に作動するカーテンとを、共通の支持機構により支持する構成である。
【0010】
(構成の説明)
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の内容に限定されない。
図1に示すように、本開示のドックシェルター10は、冷蔵倉庫11の出入口12に設けられる。冷蔵倉庫11は、出入口12に通じる冷蔵室13を有し、冷蔵室13の温度は、所定温度、例えば、10℃以下に管理される。ここでは、冷蔵室13の温度が、冷蔵倉庫11の外部A1の温度より低いものとする。冷蔵室13には、食品等の対象物が保管される。
【0011】
冷蔵倉庫11は、冷蔵室13の床面14と、冷蔵倉庫11の外部A1における地面15とを接続する段差部16を有する。床面14と地面15とは、鉛直方向における位置、つまり、高さが異なる。鉛直方向は、高さ方向であり、各図において上下方向に相当する。ストッパ17が段差部16に隣接して設けられている。ストッパ17は、地面15上で走行及び停止する輸送車であるトラック65が、冷蔵倉庫11に対して最も接近する位置を定める部材である。
【0012】
図1に示すドックシェルター10は、外部A1に設けられ、かつ、出入口12に近接して設けた例である。ドックシェルター10は、
図2及び
図3(A),(B)のように、壁部18、ロールシャフト19、ロールカーテン20、第1カーテン21及び第2カーテン22を有する。壁部18は、冷蔵倉庫11の外面から突出するように設けられている。壁部18は、例えば、金属製の構造部材であり、壁部18は、2つの側壁23,24と、2つの側壁23,24を接続する上壁25と、を有する。
図3(A),(B)のように、外部A1から冷蔵室13を見た正面視で、壁部18は、アーチ形状を有する。2つの側壁23,24は、それぞれ地面15から鉛直方向に延ばされ、かつ、2つの側壁23,24は平行に配置されている。上壁25は、2つの側壁23,24の上端同士を接続する構造部材である。上壁25は、略水平に設けられている。
【0013】
2つの側壁23,24及び上壁25により囲まれた空間B1は、外部A1及び出入口12につながっている。また、空間B1の高さの最大値は、トラック65の荷台部26の高さの最大値より高い。また、空間B1の横幅の最大値は、トラック65の荷台部26の横幅の最大値よりも広い。荷台部26は、金属製の箱であり、荷台部26の内部に対象物を収容できる。
【0014】
ロールシャフト19は、空間B1の最上部に配置されるか、または、上壁25内に設けられる。ロールシャフト19は、一例として金属製であり、かつ、ロールシャフト19は、支持軸27及び軸受28を介して壁部18により支持されている。
図4に示すロールシャフト19、支持軸27及び軸受28により、支持機構69が構成されている。ロールシャフト19及び支持軸27の回転中心を示す仮想線C1は、水平に配置されている。ロールシャフト19の外径は、仮想線C1に沿った方向の何れの位置においても同一である。
【0015】
ロールシャフト19は、ロールカーテン20を支持する要素であり、ロールシャフト19が回転されると、ロールカーテン20が上昇または下降する。ロールカーテン20が下降すると、ロールカーテン20の下端32が、荷台部26の上部26Aに近接する。ロールカーテン20が上昇すると、ロールカーテン20の下端32が、荷台部26の上部26Aから離間する。また、支持軸27にプーリ29が取り付けられており、プーリ29は、支持軸27と共に一体回転する。
【0016】
プーリ29にワイヤー30が巻き掛けられており、ワイヤー30にはウェイト31が吊り下げられている。ワイヤー30は、金属製の線材、ロープ等を含む。ウェイト31は、金属製、コンクリート製の何れでもよい。ウェイト31は、ロールシャフト19を
図4において反時計回りに回転させるために設けられている。ウェイト31の自重がワイヤー30を介してプーリ29に伝達され、ロールシャフト19を
図4において反時計回りに回転させようとする回転力を生じる。ロールシャフト19が、
図4において反時計回りに回転されると、ロールカーテン20がロールシャフト19に巻き取られ、ロールカーテン20が上昇する。また、図示しないストッパが設けられており、ロールカーテン20が所定の第1停止位置まで上昇すると、ロールシャフト19が停止される。第1停止位置の意味は後述する。
【0017】
ロールシャフト19を
図4において時計回りに回転させる駆動機構が設けられている。駆動機構の一例として、
図6に示す電動モータ60を設けることが可能である。電動モータ60は、電力が供給されて回転し、ロールシャフト19を
図4において時計回りに回転させる。すると、ロールカーテン20がロールシャフト19から繰り出され、ロールカーテン20が自重で下降する。電動モータ60が停止されると、ロールカーテン20が第2停止位置で停止する。なお、第2停止位置の意味は後述する。
【0018】
駆動機構として電動モータ60を用いる場合、鉛直方向でロールカーテン20の下端32の位置を検出するセンサ61と、センサ61の信号を処理して電動モータ60の回転及び停止を制御する制御回路63と、作業者により操作される操作部64と、が設けられる。操作部64は、上昇、下降、停止等の操作ボタンを有し、操作部64から出力される信号は、制御回路63へ入力される。センサ61は、壁部18に設けられ、センサ61は、荷台部26の上部26Aの高さを検出する機能も有する。上部26Aは、荷台部26の上面または上端である。
【0019】
センサ61としては、一例としてロールカーテン20に接触しない非接触センサを用いることができる。非接触センサは、例えば、ホール素子型、光電管センサ型、静電容量型等を用いることができる。センサ61から出力される信号は、制御回路63へ入力される。制御回路63は、入力ポート、出力ポート、演算処理装置及び記憶装置を有するコンピュータである。記憶装置には、電動モータ60の制御に必要な情報が記憶されている。制御回路63は、入力される信号、及び記憶装置に記憶されている情報に基づいて、電動モータ60の回転及び停止を制御する。
【0020】
なお、駆動機構は、電動モータ60に代えて、チェーンを設けることも可能である。例えば、支持軸27にスプロケットが設けられ、チェーンがスプロケットに巻き掛けられる。作業者がチェーンを手動で操作することにより、ロールシャフト19を
図4で時計回りに回転させることができる。作業者がチェーンを停止させると、ロールカーテン20が第2停止位置で停止される。
【0021】
ロールカーテン20は、冷蔵室13と外部A1とを気密に隔てるための遮蔽部材であり、ロールカーテン20は、樹脂シート等の可撓性を有するシート材料で構成されている。ロールカーテン20のうち、ロールシャフト19から繰り出される箇所の下端32は、仮想線C1に沿った方向に配置されている。ロールカーテン20の下端32、及びロールカーテン20に固定された支持シート33が支持部材34に取り付けられ、支持部材34にカーテンレール50が取り付けられている。支持シート33は、ロールカーテン20と同様の材料製である。支持部材34は、一例として金属製の管体であり、かつ、仮想線C1に沿った方向に延ばされている。
【0022】
カーテンレール50には、シール部材35が取り付けられている。シール部材35は、荷台部26の上部26Aに接触することにより、冷蔵室13と外部A1とを気密に隔てる要素である。シール部材35は、一例として合成ゴム製である。シール部材35は、カーテンレール50のうち、冷蔵室13に最も近い箇所に固定されている。シール部材35は、仮想線C1に沿った方向に延ばされている。
図4のように、シール部材35の下端36は、仮想線C1に沿った方向に延ばされ、かつ、シール部材35の下端36は、カーテンレール50の下端37より下に位置する。
【0023】
カーテンレール50は、一例として金属製であり、かつ、仮想線C1に沿った方向に延ばされている。カーテンレール50は、2本のレール38と、レール38同士の間に設けられた開口部39と、を有する。2本のレール38は、互いに平行に、かつ、仮想線C1に沿った方向に設けられている。開口部39は、仮想線C1に沿った方向に設けられている。2本のレール38によって転動体40がそれぞれ支持されている。転動体40は、レール38に沿ってそれぞれ転動可能である。2個の転動体40が支持軸41により接続されている。支持軸41により接続された2個の転動体40を1組とし、
図5のように複数組の転動体40が水平方向に間隔をおいて設けられている。転動体40及び支持軸41は、一例として金属製である。各支持軸41には、金属製のフック42がそれぞれ掛けられている。複数のフック42は、第1カーテン21の取り付け穴43に掛けられ、複数のフック42は、第2カーテン22の取り付け穴43に掛けられている。
【0024】
このように、第1カーテン21は、複数のフック42を介して複数組の転動体40により吊り下げられている。また、第2カーテン22は、複数のフック42を介して複数組の転動体40により吊り下げられている。そして、
図5において、第1カーテン21に右方向の作動力が加えられると、転動体40がカーテンレール50に沿って転動され、第1カーテン21が、
図3(B)に示す側壁24に近づくように作動する。また、第1カーテン21に左方向の作動力が加えられると、転動体40がカーテンレール50に沿って転動され、第1カーテン21が側壁23に近づくように作動する。なお、第1カーテン21と側壁23との間の隙間量が、所定値以上に増加しないように、第1カーテン21の移動範囲が規制されている。
【0025】
これに対して、第2カーテン22に左方向の作動力が加えられると、転動体40がカーテンレール50に沿って転動され、第2カーテン22が、
図3(B)に示す側壁23に近づくように作動する。また、第2カーテン22に右方向の作動力が加えられると、転動体40がカーテンレール50に沿って転動され、第2カーテン22が側壁24に近づくように作動する。なお、第2カーテン22と側壁24との間の隙間量が、所定値以上に増加しないように、第2カーテン22の移動範囲が規制されている。
【0026】
このように、第1カーテン21及び第2カーテン22は、それぞれ単独で左右方向に作動できる。第1カーテン21が左右方向に作動すると、第1カーテン21の側縁46が、荷台部26の側部48に近接及び離間される。第2カーテン22が左右方向に作動すると、第2カーテン22の側縁47が、荷台部26の側部49に近接及び離間される。なお、第1カーテン21の下端44及び第2カーテン22の下端45は、同じ高さに位置しており、下端44,45は、シール部材35の下端36より下に位置する。
【0027】
次に、トラック65が冷蔵倉庫11に接近して停止し、かつ、作業者が荷台部26内の対象物を冷蔵室13へ搬入する作業を行う場合、または、作業者が冷蔵室13内の対象物を荷台部26内へ搬出する作業を行う場合において、ドックシェルター10の使用例を説明する。
図1に二点鎖線で示すように、荷台部26が空間B1に進入していない場合、ロールカーテン20は、
図3(A)に示すドックシェルター10の正面視において、第1停止位置で停止されている。ロールカーテン20が第1停止位置で停止されていると、シール部材35の下端36は、荷台部26の上部26Aより上に位置する。
【0028】
また、
図3(A)に示すドックシェルター10の正面視において、第1カーテン21の側縁46が荷台部26の側部48から離間された状態、つまり、第1カーテン21が開位置で停止されている。側部48は、荷台部26の側面または側端部である。さらに、第2カーテン22の側縁47が荷台部26の側部49から離間された状態、つまり、第2カーテン22が開位置で停止されている。側部49は、荷台部26の側面または側端部である。側縁46は、第1カーテン21のうち、空間B1の水平方向で第2カーテン22に最も近い箇所である。側縁47は、第2カーテン22のうち、空間B1の水平方向で第1カーテン21に最も近い箇所である。なお、冷蔵倉庫11に近づくトラック65の荷台部26の最大高さ及び最大幅は、予め定められている。このため、荷台部26の高さ及び幅が異なるトラック65が冷蔵倉庫11に近づいた場合を考慮して、荷台部26に対して、ロールカーテン20の第1停止位置、第1カーテン21の開位置、第2カーテン22の開位置が決定される。
【0029】
そして、トラック65が走行して荷台部26の後端が空間B1に進入された後、
図1のように、トラック65が実線で示す位置で停止される。さらに、駆動機構によりロールシャフト19が
図4で時計回りに回転されると、ワイヤー30がプーリ29により巻き取られ、ウェイト31が上昇する。ロールシャフト19が時計回りに回転されると、ロールカーテン20がロールシャフト19から繰り出される。すると、ロールカーテン20の下端32は、第1カーテン21、第2カーテン22、支持部材34、カーテンレール50の重量で下降される。
【0030】
このようにして、シール部材35の下端36が、荷台部26の上部26Aに近づき、
図3(B)のように、シール部材35の下端36が荷台部26の上部26Aに接触され、ロールシャフト19が停止される。ロールカーテン20は、シール部材35の下端36が荷台部26の上部26Aに接触した状態、つまり、第2停止位置で停止する。ロールカーテン20が第2停止位置で停止されると、第1カーテン21の下端44、及び第2カーテン22の下端45は、床面14より下に位置する。
【0031】
また、作業者が第1カーテン21に右方向の作動力を加えて第1カーテン21を作動させ、第1カーテン21の側縁46を、
図3(B)のように荷台部26の側部48に接触させ、第1カーテン21を閉位置で停止させる。さらに、第2カーテン22に左方向の作動力を加えて第2カーテン22を作動させ、第2カーテン22の側縁47を、
図3(B)のように荷台部26の側部49に接触させ、第2カーテン22を閉位置で停止させる。
【0032】
上記のようにして、ロールカーテン20が第2停止位置で停止され、かつ、第1カーテン21及び第2カーテン22が閉位置で停止されると、冷蔵室13と外部A1とが、ロールカーテン20、第1カーテン21、第2カーテン22及びシール部材35により遮蔽される。このため、冷蔵室13の冷気が、外部A1へ漏れることを防止できる。つまり、冷蔵室13の温度上昇を抑制できる。なお、作業者は、冷蔵室13内の対象物を荷台部26へ搬出する作業、または、荷台部26内の対象物を冷蔵室13内へ搬入する作業を行う。
【0033】
作業者が対象物を搬入する作業または搬出する作業を行った後、第1カーテン21は、
図3(B)において左方向に作動され、かつ、第2カーテン22は右方向に作動される。そして、第1カーテン21及び第2カーテン22は、
図3(A)に示す開位置でそれぞれ停止される。また、ロールシャフト19がウェイト31の重力により、
図4で反時計回りに回転され、ロールカーテン20が上昇する。その後、ロールシャフト19が停止され、ロールカーテン20が
図3(A)に示す第1停止位置で停止する。さらに、トラック65が走行して冷蔵倉庫11から離れる。
【0034】
本開示のドックシェルター10は、支持機構69がロールカーテン20の重量を受ける。また、第1カーテン21及び第2カーテン22の重量は、転動体40、カーテンレール50、支持部材34及びロールカーテン20を介して支持機構69に加わる。つまり、支持機構69は、ロールカーテン20の重量を受ける機構としての役割と、第1カーテン21及び第2カーテン22の重量を受ける機構としての役割を兼ねる。したがって、第1カーテン21及び第2カーテン22の重量を受ける支持機構を専用で設けずに済み、ドックシェルター10における部品点数の増加を抑制でき、かつ、構造の大型化を抑制できる。
【0035】
(他の例)
本開示のドックシェルター10において、第1カーテン21を左右方向に自動的に作動させる電動モータ70、及び第2カーテン22を左右方向に自動的に作動させる電動モータ67をそれぞれ設け、第1カーテン21の左右方向における位置を検出するセンサ62、第2カーテン22の左右方向における位置を検出するセンサ68を設けることもできる。センサ62は、
図3(A)において側部48の左右方向の位置を検出する機能も有する。センサ68は、
図3(A)において側部49の左右方向の位置を検出する機能も有する。センサ62,68の信号は、制御回路63に入力される。制御回路63は、センサ62,68から入力される信号、及び操作部64から入力される信号に基づいて、電動モータ70,67をそれぞれ回転及び停止させる。電動モータ70,67は、例えば、支持部材34またはカーテンレール50に設けることができる。センサ62は、例えば、接触型センサであるテープスイッチを、第1カーテン21の側縁46に設けることで達成可能である。また、センサ68は、テープスイッチを、第2カーテン22の側縁47に設けることで達成可能である。
【0036】
また、電動モータ70の回転力を、第1カーテン21の左右方向の作動力に変換する機構が設けられる。さらに、電動モータ67の回転力を、第2カーテン22の左右方向の作動力に変換する機構が設けられる。このように構成すると、制御回路63は、操作部64の信号及びセンサ62の信号に基づいて、電動モータ70の回転及び停止を制御し、第1カーテン21を
図3(A)で左右方向に作動させ、かつ、停止させることができる。また、制御回路63は、操作部64の信号及びセンサ68の信号に基づいて、電動モータ67の回転及び停止を制御し、第2カーテン22を
図3(A)で左右方向に作動させ、かつ、停止させることができる。
【0037】
(補足説明)
実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。ドックシェルター10は、ドックシェルターの一例である。冷蔵倉庫11は、建物の一例である。トラック65は、輸送車の一例である。荷台部26の上部26Aは、輸送車の上部の一例である。ロールカーテン20は、ロールカーテンの一例である。第1カーテン21は、第1カーテンの一例であり、第2カーテン22は、第2カーテンの一例である。側部48は、輸送車の第1側部の一例であり、側部49は、輸送車の第2側部の一例である。支持機構69は、支持機構の一例である。壁部18は、壁部の一例である。仮想線C1は、仮想線の一例である。ワイヤー30は、ワイヤーの一例であり、ウェイト31は、ウェイトの一例である。電動モータ60は、電動モータの一例である。カーテンレール50は、接続機構の一例である。
【0038】
本実施形態で説明したドックシェルターは、図面を用いて説明したものに限定されない。例えば、カーテンレール50及び支持部材34は、単数の要素で構成されていてもよい。また、建物は、冷蔵倉庫に限らず、冷凍倉庫でもよい。また、建物は、内部の温度管理が行われないものでもよい。この場合、建物の外部に存在する異物が、出入口を介して建物の内部に進入することを抑制できる。さらに、建物の外部の温度が建物の外部の温度より低い場合は、外部の冷気が内部へ侵入することを抑制できる。さらにまた、ドックシェルターは、建物の外部、建物の出入口、建物の内部のうち、何れの箇所に設けられていてもよい。なお、輸送車は、トラックの他、トラクター及びトレーラの組み合わせでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本開示のドックシェルターは、建物の出入口に輸送車を停車させた場合に、建物の内部と外部とを隔てるカーテンを有する、ドックシェルターとして利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10…ドックシェルター、11…冷蔵倉庫、18…壁部、20…ロールカーテン、21…第1カーテン、22…第2カーテン、26A…上部、30…ワイヤー、31…ウェイト、48,49…側部、50…カーテンレール、60…電動モータ、65…トラック、69…支持機構、C1…仮想線