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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】シール部材、カード、およびシステム等
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/073 20060101AFI20231208BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20231208BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G06K19/073 027
G06K19/077 164
H05K9/00 W
H05K9/00 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022178600
(22)【出願日】2022-11-08
(62)【分割の表示】P 2017214688の分割
【原出願日】2017-11-07
(65)【公開番号】P2023025006
(43)【公開日】2023-02-21
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】柏田 春光
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-086550(JP,A)
【文献】特開2004-171424(JP,A)
【文献】特開2005-250101(JP,A)
【文献】特開2000-195224(JP,A)
【文献】実開平05-036683(JP,U)
【文献】特開2000-158719(JP,A)
【文献】特開2006-228256(JP,A)
【文献】特開2007-164418(JP,A)
【文献】登録実用新案第3113118(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/073
G06K 19/077
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に接続されるカード装置に貼られるシール部材であって、
該シール部材は、粘着層を有し、前記機器と前記カード装置との接続時に、前記カード装置の前記機器への挿入方向において、前記カード装置の前記挿入方向での後端側の面である背面から、該背面に連続する端子部を有しない面である表面および端子部を有する面である裏面の所定範囲まで貼り付けられる形状であり、前記所定範囲は前記表面の側が前記裏面の側に比べて前記後端から短い範囲で貼り付けられる形状であること
を特徴とするシール部材。
【請求項2】
前記シール部材の角部である四隅は面取りされた形状であること
を特徴とする請求項1に記載のシール部材。
【請求項3】
前記カード装置は、マイクロSDカードとしたこと
を特徴とする請求項1または2に記載のシール部材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のシール部材と、
該シール部材が貼り付けられるカード装置と
を備えることを特徴とするシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール部材、カード、およびシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード(integrated circuit card)などのカード装置に記憶されたデータが破壊されることを防止するために、カード装置の電磁波ノイズ対策が考えられており、例えば、特許文献1には、導電体層と絶縁性の電磁波シールド層とを用いてICカード収容領域を規定し、このICカード収容領域に、挿入孔を通して能動素子をもつICカードを収容する保護具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-307902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高周波の電磁波ノイズがICカードに印加すると、それによる誘導電圧によって、ICカードの内部に記録されているデータが破壊されることがある。特許文献1は、このように外部からカード装置に影響を与えうる電磁波ノイズへの対策を施すものである。
【0005】
一方で、特許文献1の保護具からICカードを取り出して、ICカード自体を機器と接続した場合、機器から電磁波ノイズが発生してしまう。なお、ICカードを取り外した後の保護具は、ユーザが任意の場所に放置すると考えられる。
【0006】
これに対し、本願発明者らは、カード装置が、該カード装置に接続する機器と接続される際に、カード装置が機器に接続されていることで、機器の内部から外部に向けて電磁波ノイズが発生し、周辺の機器に影響を与えてしまうという新たな問題を発見した。例えば、機器に収容された状態でその一部が機器から露出しているカード装置に対し、機器から情報の書き込みがされている場合に発生する電磁波ノイズが、その機器の周辺にある他の機器に影響を与えてしまうことがあった。
【0007】
そこで本発明は、例えば、カード装置が機器に接続されていることで発生する電磁波ノイズの低減を図るシール部材等を提供することを目的とする。
【0008】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙字的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明は、機器に接続されるカード装置に貼られるシール部材であって、該シール部材は、電磁波シールド層の一面側に粘着層を有することを特徴とするシール部材とするとよい。
【0010】
このようにすれば、カード装置が機器に接続されていることで発生する電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。例えば、外部からカード装置に影響を与えうる電磁波ノイズの低減を図ることもできるが、特に、機器側から外部に向けて放射される電磁波ノイズの低減を図ることができる。
【0011】
特に、機器とカード装置とが接続されて、機器から情報の書き込みがされる構成とするとよい。このようにすれば機器からカード装置に情報を書き込む際のデータ伝送によって発生する電磁波ノイズを、電磁波シールド層により低減することで、機器の周辺にある他の機器に影響を与えることを抑えることができる。
【0012】
「電磁波シールド層」は、例えば、電磁波の反射、吸収、多重反射等の少なくともいずれか1つによって、特に機器側から外部へ向けて放射される電磁波エネルギーを滅衰させるものとするとよい。
【0013】
「接続」は、その構成は特に限られるものではないが、空間を介した接続としてもよい。例えば、電磁的接続、ワイヤレス接続としてもよい。特に、物理的な接続とするとよい。例えば、機器の通信部とカード装置の通信部との無線接続、機器の端子部とカード装置の端子部との接触、等とするとよい。カード装置が機器に接続されていることで発生する電磁波ノイズとしては、例えば、カード装置自体から発生する電磁波ノイズ、機器自体から発生する電磁波ノイズ等がある。特に、カード装置と機器との間の接続線などの接続部から発生するものとするとよい。
【0014】
「電磁波シールド層の一面側に粘着層を有する」構成としては、例えば、粘着層が電磁波シールド層に対し一面側に設ける構成とするとよい。例えば、電磁波シールド層と粘着層との間に他の層を介在していてもよいが、特に、シール部材は電磁波シールド層と粘着層との2層構成とするとよい。
【0015】
(2)前記シール部材は、前記機器と前記カード装置との接続時に、前記カード装置が前記機器から露出する部分の少なくとも一部に貼りつけられる形状とするとよい。
【0016】
このようにすれば、カード装置と機器との接続時に、カード装置が機器から露出している部分、またはその近傍等から機器の外部へ向けて放射される電磁波ノイズの低減を図る
こと等ができる。カード装置が機器に収容される場合、カード装置が機器に収容されて露出しない部分と、機器から露出する部分が形成されることがある。シール部材は、カード装置が機器から露出する部分の少なくとも一部に貼りつけられる形状とするとよく、露出しない部分にはかからないようにしてもよいが、特に、露出しない部分にもかかる構成としてもよい。
【0017】
例えば、カード装置が機器に収容され、カード装置の一部が機器から露出している場合、収容されていない露出した部分の周囲から電磁波ノイズが外部へ向けて放射されてしまうので、露出した部分の少なくとも一部にシール部材を貼りつけることで、外部へ向けて放射される電磁波ノイズを低減することができる。
【0018】
カード装置を収容する機器の収容部としては、例えば、収容されたカード装置を挿入方向に押し込むことで、カード装置を挿入方向と反対方向に押し出してカード装置を収容部から取り出すプッシュプッシュ型と、収容されたカード装置を挿入方向とは反対方向に引き出すことでカード装置を収容部から取り出すプッシュプル型、等が知られている。一般に、プッシュプッシュ型の収容部の場合、ユーザはカード装置の背面側を押し込むだけでよいため、プッシュプル型の収容部に比べて、カード装置が収容部から露出している範囲が小さい。このため、例えば、カード装置を収容する機器の収容部がプッシュプッシュ型であるか、プッシュプル型であるかに応じて、シール部材を貼り付ける範囲を変化させるとよく、プッシュプッシュ型である場合は、プッシュプル型である場合よりも、シール部材を貼る範囲を小さくしてもよい。
【0019】
また、例えば、シール部材は、機器におけるカード装置の収容部から露出する部分の少なくとも一部に貼り付けられる形状とするとよい。
【0020】
(3)前記シール部材は、前記機器と前記カード装置との接続時に、前記カード装置を収容する前記機器の収容部と、少なくとも一部が接触する部分に貼りつけられる形状とするとよい。
【0021】
このようにすれば、カード装置と機器との接続時に、シール部材をカード装置を収容する収容部に接触させること等ができる。特に、シール部材に導電性を有する層を設けるとよい。導電性を有する層は、例えば、電磁波シールド層とするとよい。特に、収容部は導電性を有する部材とするとよい。例えば、シール部材に導電性を有する層を設けるとともに、収容部を導電性を有する部材とすると、シール部材の導電性を有する層が収容部に接触した際、収容部を導電性を有する層のグランドとして機能させることができるとともに、導電性を有する層自体もグランドとして機能させることができ、電磁波ノイズの低減効果を高めることができる。
【0022】
例えば、カード装置が機器の収容部に収容される場合、収容部とカード装置との間のクリアランスは、機器とカード装置によって異なる。クリアランスは、例えば、収容部のサイズ、規格や、カード装置の厚み、また、収容部の公差、等によっても異なる。これに対し、例えば、収容部とカード装置との間のクリアランスに応じて、シール部材によりクリアランスを埋めて、収容部の少なくとも一部と接触させるようにするとよい。例えば、クリアランスが小さい場合でも挿入可能とする厚みとするとよい。また、例えば、クリアランスが大きい場合は、厚みを大きくして収容部と少なくとも一部が接触するようにするとよい。また、シール部材を貼る範囲を大きくし、収容部との接触範囲が大きくなると、クリアランスによっては、カード装置の抜き差しがしにくくなるため、シール部材を貼る範囲は、カード装置の抜き差し動作の支障とならない範囲とするとよい。
【0023】
例えば、カード装置を収容する機器の収容部がプッシュプッシュ型である場合は、カー
ド装置が露出している範囲が小さいため、シール部材を貼りつける範囲をプッシュプル型に比べて小さくしても、収容部の少なくとも一部と接触させることができる。
【0024】
(4)前記シール部材は、前記機器と前記カード装置との接続時に、前記カード装置の前記機器への挿入方向において、該挿入方向の後端側から所定範囲まで貼り付けられる形状とするとよい。
【0025】
このようにすれば、カード装置と機器との接続時に、カード装置の挿入方向の後端側から放射される電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。例えば、カード装置が機器に対して挿入される場合、挿入方向の後端側は機器の外装に近いため、この範囲の少なくとも一部にシール部材を貼りつけるとよい。このようにすれば、機器から外部へ向けて放射される電磁波ノイズを低減することができる。
【0026】
「所定範囲」は特に限られるものではなく、例えば、挿入方向におけるカード装置の中央部や先端側までシール部材を貼り付けなくとも良い。例えば、カード装置を収容する機器の収容部がプッシュプッシュ型である場合は、カード装置の挿入方向の後端側が露出している範囲が小さいため、シール部材を貼りつける範囲は、挿入方向の後端側から短くしても、露出している部分を覆うことや、カード装置を収容する機器の収容部と接触させること、等が可能である。一方、プッシュプル型である場合は、カード装置の挿入方向の後端側が露出している範囲が大きいため、シール部材を貼りつける範囲を、挿入方向の後端側から長くして露出している部分を覆うとよい。
【0027】
(5)前記シール部材は、前記機器と前記カード装置との接続時に、前記カード装置の前記機器への挿入方向において、前記カード装置の前記挿入方向での後端側の面から、該面に連続する表面および裏面の所定範囲まで貼り付けられる形状するとよい。
【0028】
このようにすれば、カード装置と機器との接続時に、カード装置の挿入方向の後端側のカード装置の背面側と、後端側のカード装置の両面側から放射される電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。例えば、カード装置が機器に対して挿入される場合、挿入方向の後端側の背面は機器の外装に近く、背面に連続した表面および裏面の後端側も機器の外装に近いため、この範囲の少なくとも一部にシール部材を貼りつけるとよい。このようにすれば、機器から外部へ向けて放射される電磁波ノイズを低減することができる。
【0029】
「所定範囲」は特に限られるものではなく、例えば、挿入方向におけるカード装置の中央部や先端側までシール部材を貼り付けなくとも良い。例えば、カード装置を収容する機器の収容部がプッシュプッシュ型である場合は、カード装置の挿入方向の後端側が露出している範囲が小さいため、シール部材を貼りつける範囲は、背面と、背面に連続した表面および裏面において挿入方向の後端側から短い範囲としても、露出している部分を覆うことや、カード装置を収容する機器の収容部と接触させること、等が可能である。一方、プッシュプル型である場合は、カード装置の挿入方向の後端側が露出している範囲が大きいため、シール部材を貼りつける範囲を、背面と、背面に連続した表面および裏面において挿入方向の後端側から長くして露出している部分を覆うとよい。
【0030】
(6)前記シール部材は、前記機器と前記カード装置との接続時に、前記カード装置の前記機器への挿入方向に直交する幅方向において、該幅方向の少なくとも一方の端部から所定範囲までを除いた範囲に貼り付けられる形状とするとよい。
【0031】
このようにすれば、カード装置と機器との接続時に、カード装置の挿入方向に直交する幅方向における少なくとも一方の端部を除く範囲から放射される電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。例えば、シール部材がカード装置の幅方向の全域と同等の大きさの場
合、ユーザがシール部材をカード装置に貼りつける際にずれてしまうと、シール部材の一部がカード装置からずれてしまうが、シール部材の幅方向のサイズが小さいことで、ユーザは容易にシール部材を貼りつけることができる。
【0032】
また、カード装置が機器の収容部に挿入される場合、収容部とカード装置との間のクリアランスは、例えば、収容部のサイズ、規格や、カード装置の厚み、また、収容部の公差、等によっても異なる。そして、収容部が可撓性を有する場合であって、収容部のカード装置の幅方向の中央側での可撓性が、幅方向の端部側での可撓性よりも大きい場合、幅方向の少なくとも一方の端部から所定範囲までを除いた範囲に貼り付けられる形状とすると、シール部材をカード装置に貼りつけた際のカード装置の厚みの増加に、収容部を追従して撓ませて収容することができる。
【0033】
(7)前記シール部材は、前記カード装置の前記機器との接続部を除く範囲の少なくとも一部に貼り付けられる形状とするとよい。
【0034】
このようにすれば、シール部材がカード装置と機器との接続に影響を与えることを抑えること等ができる。例えば、カード装置の端子部や、カード装置の機器との通信部には、シール部材を貼らないようにするとよい。また、カード装置が、記憶部を有するとともに記憶した情報のロック機構等を有する場合は、ロック機構にはシール部材を貼らないようにするとよい。
【0035】
(8)前記電磁波シールド層は、導電布とするとよい。
【0036】
このようにすれば、電磁波シールド層を導電布とすることができる。また、例えば、ユーザは、カード装置に貼り付けられた導電布の触感と、シール部材が貼り付けられていない部分のカード装置の触感の違いにより、機器やカード装置の他の部分と容易に識別することができる。このようにすれば、カード装置の機器への抜き差しが容易となる。また、例えば、カード装置が機器の収容部に収容される場合、導電布のように表面が均一でない部材とすることで、収容部との接触をしやすくして、電磁波ノイズの低減効果を高めることができる。
【0037】
また、このようにすれば、例えば、電磁波シールド層を柔軟性のある素材とすることができる。特に、シール部材がカード装置に貼りつけられたときに、シール部材に接触する機器側の部材に対して、追従して形状を変化させることができ、抜き差しが容易である。また、例えば、電磁波シールド層を柔軟性のある素材とする場合、カード部材と機器の収容部との間のクリアランスよりも、シール部材の厚みが大きくてもよい。シール部材の厚みがカード部材と機器の収容部との間のクリアランスより大きい場合であっても、シール部材自体を撓ませて、収容部に収容することができる。
【0038】
導電布は、その材質は特に限られるものではないが、例えば、不織布とニッケル(Ni)からなるものとするとよい。特に、不織布と銅(Cu)とニッケルからなるものとするよい。銅を含めることで銅を含まない場合に比べて電気抵抗率を下げること等ができ、電磁波ノイズの低減効果を高めることができる。また、例えば、ニッケルを含むことで錆び防止効果を高めることができる。
【0039】
(9)前記粘着層は、導電性粘着剤とするとよい。
【0040】
このようにすれば、粘着層についても、電磁波シールド機能を発揮させること等ができる。また、例えば、電磁波ノイズの低減効果を高めることができる。
【0041】
(10)前記シール部材は、前記カード装置に予め貼り付けられたシール部材に替えて貼られるとするとよい。
【0042】
このようにすれば、カード装置の厚みの増加を抑えること等ができる。例えば、ユーザは、カード装置に予め貼られているシール部材を剥がし、その替わりとしてシール部材を貼るとよい。特に、シール部材は予め貼り付けられたシール部材が貼られていた範囲に貼るとよい。このようにすれば、例えば、カード装置の厚みが増すことで生じる不具合を防止することができる。
【0043】
(11)前記シール部材は、少なくとも一つの角部が面取りされているとするとよい。
【0044】
このようにすれば、シール部材がカード装置から剥がれにくくすること等ができる。例えば、シール部材が角部から剥がれてしまうことを抑えることができ、シール部材がカード装置から剥がれてしまうことを抑えることができる。
【0045】
(12)前記シール部材は、前記カード装置の2以上の面に亘り貼りつける際の折り目となる位置に、該折り目を示す線が付与されているとするよい。
【0046】
このようにすれば、カード装置に貼りつける際の目印を設けたシール部材とすること等ができる。例えば、ユーザがシール部材をカード装置に貼るときに、容易に位置合わせをすることができ、ユーザは容易にシール部材を貼りつけることができる。
【0047】
また、例えば、カード装置が機器に挿入される場合に、カード装置の挿入方向の後端側のカード装置の背面に貼られる部分を、他の部分と識別可能とするように、色などを付与しておくとよい。このようにすれば、ユーザは、カード装置が機器に挿入されていることを容易に認識すること等ができる。また、シール部材にユーザが任意に書き込み可能としてもよい。このようにすれば、ユーザは所望の情報、例えば、ユーザの名前などをシール部材に書き込むことができる。また、シール部材を被記録媒体として、図形、デザインなどを印字するとよい。このようにすれば、シール部材にデザイン性を持たせることができる。また、シール部材は機器とは異なる色とするとよい。このようにすれば、ユーザは機器にカード部材が挿入等されている状態であるか否かを容易に識別することができる。また、機器にカード部材が挿入等されている状態で外部から視認できるシール部材の部分については、機器と同じ色としてもよい。このようにすれば、挿入時にカード装置を目立たなくさせることができる。
【0048】
また、例えば、シール部材にカード装置と機器とを接続した際のカード装置の天地を識別するための記号、印、等が付与されているとよい。さらに、機器側に、該記号、印等と対応する記号、印等を付与しておくと良い。このようにすれば、ユーザは、カード装置を機器に接続する際に、カード装置の表側、裏側を間違えることなく、接続すること等ができる。
【0049】
(13)2以上の該シール部材が剥離紙に貼り付けられているとするとよい。
【0050】
このようにすれば、剥離紙からシール部材を剥がしてカード装置に貼りつけること等ができる。例えば、ユーザは複数のカード装置にシール部材をそれぞれ貼りつけることができる。また、カード装置に貼りつけたシール部材が剥がれた場合などであっても容易に貼り替えることができる。
【0051】
(14)上記(1)から(13)までのいずれかに記載のシール部材と、該シール部材が貼り付けられるカード装置と、を備えるカードとするとよい。
【0052】
カード装置は特に限られるものではなく、機器と接続可能なカード装置であればよい。例えば、電磁誘導により機器との間で情報伝送を行う非接触ICカード、NFCカード、SIMカード、通信カード、等とするとよい。特に、記憶部を有するメモリーカードとするとよい。メモリーカードとしては、例えば、マイクロSDカード、SDカード、ミニSDカードSDHCカード、ミニSDHCカード、マイクロSDHCカード、SDXCカード、マイクロSDXCカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、トランスフラッシュ等とするとよい。なお、シール部材が貼り付けられたカード装置を単にカードとも呼ぶ。
【0053】
(15)上記(1)~(13)のいずれかのシール部材と、該シール部材が貼り付けられるカード装置と、を備え、前記カード装置は、下記(a)~(e)の少なくとも1つを満たすことを特徴とするカードとするとよい。
(a)機器が該カード装置を収容する収容部に対して着脱自在であるカード装置
(b)所定の情報を記憶する記憶部を有するカード装置
(c)機器と該カード装置との接続時に、機器から該カード装置に対して連続的に書き込み動作が実行されるカード装置
(d)電波発生源を有しないカード装置
(e)機器との接続部に終端抵抗を有しないカード装置
【0054】
例えば、(a)カード装置は機器の収容部に対して着脱自在のものとするとよい。カード装置が機器の収容部に対して着脱自在である場合、カード装置が機器に装着され、機器と接続がされる場合に電磁波ノイズを低減することができ、一方、カード装置が抜かれた状態であれば、機器からカード装置に対して、情報の書き込み等がなされないため、電磁波ノイズは発生しない。
【0055】
例えば、(b)カード装置は所定の情報を記憶する記憶部を有するカード装置とするとよい。カード装置が記憶部を有するメモリーカードなどである場合、機器からカード装置の記憶部へ所定の情報を書き込み等する場合に、発生する電磁波ノイズを低減することができる。
【0056】
例えば、(c)カード装置は、機器と接続されて、機器からカード装置に対して連続的に書き込み動作が実行されるカード装置とするとよい。頻繁に書き込み動作が実行されるほど、電磁波ノイズの発生のおそれがあるため、このような電磁波ノイズを低減することができる。例えば、機器をドライブレコーダーとし、カード装置をドライブレコーダーに接続されて連続的に書き込み動作がなされるメモリーカードとするとよい。
【0057】
例えば、(d)カード装置は、電波発生源を有しないカード装置とするとよい。例えば、電波発生源を有するNFCカード等の場合、電波発生源がシール部材の電磁波シールド層の影響を受けてしまうおそれがあるため、これを有しないカード装置とするとよい。
【0058】
例えば、(e)カード装置は、機器との接続部に終端抵抗を有しないカード装置とするとよい。カード装置が終端抵抗を有しない場合、これを有するカード装置に比べて、放出される電磁波ノイズが多くなることが考えられるため、発生する電磁波ノイズを低減することができる。例えば、カード装置がSDカードである場合に、UHS-II規格のSDカードは終端抵抗を有しているので、これを有しないUHS-I規格のSDカードや、その他の終端抵抗を有していない規格のSDカードとするとよい。
【0059】
また、例えば、カード装置は、機器と接続されて、機器からカード装置に対しての書き込み速度が速いカード装置とするとよい。書き込み速度が速いほど、電磁波ノイズの発生のおそれがあるためである。
【0060】
(16)上記(1)~(13)のいずれかに記載のシール部材と、該シール部材が貼り付けられるカード装置と、該カード装置と接続される機器と、を備えることを特徴とするシステムとするとよい。
【0061】
機器は、その構成は特に限られるものではないが、例えば、シール部材が貼り付けられたカード装置と、シール部材が貼り付けられていないカード装置の双方との接続が可能な機器とするとよい。
【0062】
また、例えば、周辺に他の機器が設置または配置等されている位置に設置される機器とするとよい。機器は、例えば、ドライブレコーダーとするとよい。また、周辺の他の機器は、例えば、地上デジタルテレビ放送、AMラジオ、FMラジオ等のアンテナを備える機器や、衝突安全装置等とするとよい。このようにすれば、ドライブレコーダーの周辺に配置される地上デジタルテレビ放送の画像にノイズが出てしまうことや、AMラジオ、FMラジオの音声にノイズが出てしまうことを低減することができる。また、衝突安全装置が誤作動してしまうことを抑制することができる。
【0063】
上述した(1)から(16)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全てまたは一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(16)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば、カード装置が機器に接続されていることで発生する電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。
【0065】
また、本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】ドライブレコーダーの一例を示す(a)正面図、(b)背面図、(c)側面図である。
図2】ドライブレコーダーの車両への設置の一例を示す説明図である。
図3】マイクロSDカードのコネクタへのマイクロSDカードの挿入動作の一例を示す説明図であって、(a)挿入途中、(b)収容時の様子を示す図である。
図4】電磁波ノイズの測定結果の一例を示すグラフである。
図5】マイクロSDカードの一例を示す(a)表面図、(b)裏面図である。
図6】シール部材を貼りつけたマイクロSDカードの一例を示す(a)表面図、(b)裏面図である。
図7】剥離紙に貼り付けられたシール部材の一例を示す図である。
図8】剥離紙に貼り付けられたシール部材の積層構造を示す模式図である。
図9】シール部材の寸法の一例を示す図である。
図10】剥離紙に貼り付けられたシール部材の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本発明に係る構成を図1から図10に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0068】
[第1の実施形態]
(機器)
カード装置と接続される機器としては、カード装置が機器に対して挿入されて、カード装置の少なくとも一部を収容し、カード装置の少なくとも一部が収容された状態で、このカード装置との接続をする機器がある。このような機器としては、例えば、カード装置の一例としてのマイクロSDカードを挿入可能なカード挿入口を有し、マイクロSDカードを挿入方向にカード挿入口から挿入して、マイクロSDカードと接続状態とするドライブレコーダーが知られている。
【0069】
ドライブレコーダーは、例えば、自動車の事故発生時の前後の車両状況情報(前方映像、車両速度、急加減速など)を記録する。自動車の衝突事故などの際の検証に有益な情報を提供することができ、特にトラック等の運送用の車両や、タクシー、バス等の営業用車両への搭載が広まっており、さらに、一般の車両にも搭載されつつある。
【0070】
ドライブレコーダーの一例について図1および図2を参照して説明する。図1(a)はドライブレコーダー1の正面図、(b)は背面図、(c)は図1(b)の矢印Aで示す方向からの側面図である。図2は、ドライブレコーダー1の車両への設置例の説明図であって、車両内部から車両の前方側を見た場合の模式図である。
【0071】
ドライブレコーダー1は、図2に示すように、車両2のフロントガラス3の上部であって左右方向中央付近のルームミラー4に隣接する助手席側の位置に両面テープ等の取付部材をフロントガラス3に貼り付けて固定されている。なお、ドライブレコーダー1は、フロントガラス3の上部20%の範囲に取り付けることが道路運送車両の保安基準にて規定されている。ドライブレコーダー1は、車両前方を撮影する向きに、図1(a)に示すカメラのレンズ7が向けられて固定されている。ドライブレコーダー1はシガーソケット5と電源ケーブル6を介して接続され、車両2のアクセサリ電源がオンの場合に車両側から給電を受ける。
【0072】
ドライブレコーダー1は、略円筒形状の本体8の長手方向の一端側に取付用ブラケット9を有し、取付用ブラケット9の取付面9aをフロントガラス3に対向させて設置する構成である。取付用ブラケット9は、本体8に対して円周方向に可動する。このため、フロントガラス3の角度等に合わせて、取付用ブラケット9の本体8に対する位置を調整して、所望の向きにレンズ7を向けることが可能である。
【0073】
ドライブレコーダー1は、図1(c)に示すように、長手方向における取付用ブラケット9とは反対側の側面に、メモリーカードを挿入するためのカード挿入口10を有する。メモリーカードには、カメラで撮影された前方映像などの車両状況情報が記憶される。このドライブレコーダー1のカード挿入口10は、メモリーカードとしてマイクロSDカード20を挿入可能なカード挿入口10を有しており、図1(c)ではマイクロSDカード20がカード挿入口10に挿入されている。
【0074】
図3は、マイクロSDカード20を収容するドライブレコーダー1の収容部の一例であるコネクタ11と、マイクロSDカード20を示す説明図であって、図3(a)はコネクタ11へのマイクロSDカード20の挿入途中の様子を示す図、図3(b)はコネクタ11へマイクロSDカード20が挿入され、収容された様子を示す図である。なお、図3のマイクロSDカード20には、後述するシール部材30が貼り付けられている。
【0075】
このコネクタ11は、マイクロSDカード20用のプッシュプッシュタイプのコネクタ11であって、マイクロSDカード20が図3(a)の矢印B方向を挿入方向として押し込まれることで、図3(b)に示す収容状態となりドライブレコーダー1に接続された状態となる。また、マイクロSDカード20が図3(b)に示す状態から矢印C方向に押されることで、マイクロSDカード20は挿入方向とは反対方向に押し出される。
【0076】
図3では、例として、アルプス電気株式会社製のカードコネクタであるSCHA4Bを示している。コネクタ11は導電性および可撓性を有する材質からなる。また、コネクタ11は、マイクロSDカード20を挿入するため、マイクロSDカード20の表面、裏面および挿入方向に沿った両側面の4面と対向する面からなる開口部を有しており、コネクタ11のマイクロSDカード20の幅方向の中央側での可撓性は、幅方向の端部側での可撓性よりも大きくなっている。コネクタ11は、ドライブレコーダー1の本体8の内部の基板に設けられ、カメラで撮影された前方映像などの車両状況情報が、コネクタ11に収容されたマイクロSDカード20に記憶される。
【0077】
図3に示すコネクタ11は、ドライブレコーダー1のカード挿入口10の内部に設けられており、ユーザはマイクロSDカード20を挿入方向(図1(c)では図面奥行方向)に押すことでマイクロSDカード20をドライブレコーダー1のカード挿入口10からコネクタ11に収容して、ドライブレコーダー1と接続した状態とすることができる。また、マイクロSDカード20がドライブレコーダー1に収容され、ドライブレコーダー1と接続した状態において、挿入方向に押すことで、マイクロSDカード20は挿入方向とは反対側に押し出され、ドライブレコーダー1との接続が解除される。そして、ユーザはマイクロSDカード20の後端側をつまんでカード挿入口10から取り出すことができる。
【0078】
ユーザは、取り出したマイクロSDカード20を、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの情報処理装置が備えるカードリーダや、情報処理装置に外付け可能なカードリーダ装置により、マイクロSDカード20に記録された前方映像などの車両状況情報などを再生等することができ、その内容を確認することができる。
【0079】
ここまで説明したドライブレコーダー1のようにマイクロSDカード20の少なくとも一部をドライブレコーダー1の本体8の内部に収容し、マイクロSDカード20に情報の書き込みを行う機器では、一般に、機器の本体内部での電磁波シールド対策はなされているものであるが、マイクロSDカード20の挿入口10は、ユーザによりマイクロSDカード20の抜き差しを可能とする性質上、本体8の外部に開口した形状とならざるをえない。このため、カード挿入口10は、外気に開口した形状を有している。また、マイクロSDカード20のドライブレコーダー1への挿入方向の後端側の少なくとも一部は露出することとなる。
【0080】
ここで、本願発明者らは、ドライブレコーダー1にマイクロSDカード20が挿入され接続され、マイクロSDカード20への情報の書き込みがなされる状態で、カード挿入口10から約1cmの位置にスペクトラムアナライザのアクティブプローブ(FETプローブ)を近づけて、電磁波ノイズの測定を行った。図4(a)は0~500Mhzでの測定結果、図4(b)は500Mhz~1GHzでの測定結果の一例を示している。横軸は周波数(MHz)を示し、1目盛りが50Mhzである。縦軸は信号強度(dBm)を示し
ている。図4に示すグラフBが、本実施形態に係るシール部材30が貼り付けられたマイクロSDカード20を用いた場合の測定結果、グラフAが、本実施形態に係るシール部材30が貼り付けていないマイクロSDカード20を用いた場合の測定結果、を示している。なお、グラフAおよびグラフBの測定に用いたマイクロSDカード20は同一のものである。
【0081】
グラフAで示される測定結果等から、本願発明者らは、このようにマイクロSDカード20が、ドライブレコーダー1と接続されて、ドライブレコーダー1から車両状況情報などがマイクロSDカード20が書き込みされている場合に、ドライブレコーダー1から外部に向けて電磁波ノイズが放射され、ドライブレコーダー1の周辺にある他の機器に影響を与えてしまうことを知見した。
【0082】
ドライブレコーダー1の周辺に設置または配置される機器としては、地上デジタルテレビ放送、AMラジオ、FMラジオ等のアンテナを備える機器や、衝突安全装置等がある。例えば、車両に後付けされるカーナビゲーション装置であって、地上デジタルテレビ放送を視聴可能なカーナビゲーション装置の場合、フロントガラス3の両側にフィルム状のアンテナを貼り付けて使用する場合があり、このような使用形態において、地上デジタルテレビ放送の画像にノイズが出る、画像が映りにくい、画像が停止してしまう等の不具合が生じることがあった。また、AMラジオ、FMラジオのアンテナに影響を与え、ラジオの音声にノイズが出てしまうことがあった。また、衝突安全装置に意図しない警告が出てしまうなど、誤作動してしまうことがあった。
【0083】
そして、本願発明者らが鋭意検討したところ、本実施形態に係るシール部材30を、マイクロSDカード20に貼り付けて使用したところ、ドライブレコーダー1から外部に向けて放射される電磁波ノイズの低減を図ることができることを確認した。図4のグラフBの測定結果に示すように、本実施形態に係るシール部材30を、マイクロSDカード20に貼り付けて使用した場合、これを用いないグラフAの測定結果よりも、ドライブレコーダー1から発生する電磁波ノイズの低減が図れていることが確認できる。
【0084】
以下、電磁波ノイズの低減を図るための具体的構成について、以下に説明する。
【0085】
(カード装置)
先ず、カード装置の一例であるマイクロSDカード20について説明する。図5はマイクロSDカード20の一例を示す説明図であって、(a)表面、(b)裏面を示している。なお、本実施形態では、マイクロSDカード20の容量やクラス等が印字等されている側を表面、他の機器と接続するため等の複数の端子からなる端子部21を備える側を裏面と呼ぶ。
【0086】
図5に示すマイクロSDカード20は、4GBの容量のメモリーカードであり、外形寸法は、横11mm、縦15mm、厚さ1mmである。端子部21は、例えば、電源、データ、クロック、グランドなどの8つの端子を有し、図中の右から、DAT2,DAT3,CMD,VDD,CLK,VSS,DAT0,DAT1の各端子である。
【0087】
(シール部材)
図6図5に示したマイクロSDカード20に、本実施形態に係るシール部材30を貼りつけた状態を示す図であって、(a)表面、(b)裏面を示している。シール部材30は、ドライブレコーダー1などの機器に接続されるマイクロSDカード20などのカード装置に貼られるシール部材30である。
【0088】
シール部材30は、マイクロSDカード20に貼りつける前には、図7に示すように、
剥離紙40に貼り付けられており、ユーザは、剥離紙40からシール部材30を剥がして、マイクロSDカード20に貼りつけることができる。
【0089】
図8は、剥離紙40に貼り付けられたシール部材30の積層構造を示す模式図である。シール部材30は、電磁波シールド層31の一面側に粘着層32を有し、粘着層32は剥離紙40に貼り付けられている。ユーザは、剥離紙40からシール部材30を剥がして、粘着層32側をマイクロSDカード20に対向させて、シール部材30をマイクロSDカード20に貼りつけることができる。
【0090】
図9は、マイクロSDカード20に貼りつけるシール部材30の寸法の一例を示す説明図であって、(a)裏面、(b)表面である。図9に示す例では、シール部材30の寸法は、幅方向の長さが7.5mm、表面および裏面のそれぞれで挿入方向の後端側からの長さが6.5mm、背面での長さが1.1mmであり、シール部材30の厚みは0.3mmである。本実施形態では、シール部材30の一例として導電布テープ(竹内工業株式会社製、TR-MFシリーズ)を用いており、電磁波シールド層31は、難燃性導電布(UL510FR規格)、粘着層32は、導電性アクリル系粘着剤である。また、シール部材30の角部である四隅は面取りされている。
【0091】
シール部材30は、ドライブレコーダー1とマイクロSDカード20との接続時に、マイクロSDカード20がコネクタ11から露出する部分の少なくとも一部に貼りつけられる形状としている。本実施形態では、マイクロSDカード20がコネクタ11に収容された状態で、図3(b)等に示すように、表面では、コネクタ11から露出している部分の幅方向の一端側と面取り部分を除く範囲を覆う部分が貼りつけられて、裏面では、コネクタ11から露出している部分の幅方向の一端側を除く略全範囲を覆う部分が貼り付けられている。
【0092】
また、シール部材30は、図3(b)等に示すように、ドライブレコーダー1とマイクロSDカード20との接続時に、少なくともその一部とコネクタ11が接触する形状としている。本実施形態では、シール部材30は、上記のようにコネクタ11から露出している部分とコネクタ11から露出しない部分にまたがって貼り付けられていて、コネクタ11から露出しない部分の少なくとも一部において、シール部材30はコネクタ11と接触している。
【0093】
また、シール部材30は、図6等に示すように、マイクロSDカード20のコネクタ11への挿入方向において、挿入方向の後端側から所定範囲まで貼り付けられる形状としている。
【0094】
また、シール部材30は、図6等に示すように、マイクロSDカード20のコネクタ11への挿入方向において、挿入方向の後端側の面から、該面に連続する表面および裏面の所定範囲まで貼り付けられる形状としている。
【0095】
本実施形態では、シール部材30は、挿入方向の後端側の背面と、背面に連続する表面および裏面の3面に亘って貼り付けられており、マイクロSDカード20の表面では、挿入方向の後端側から凡そ1/3程度まで、裏面では、凡そ1/2を超えて、端子部21に至らない範囲まで貼り付けられている。マイクロSDカード20の裏面側は、コネクタ11側が端子部21との接続を確保するために、コネクタ11との間のクリアランスができやすいため、後端側から長く貼りやすく、表面側は裏面に比べて、コネクタ11との間のクリアランスができにくいため、後端側から短い範囲で貼ったものとしている。
【0096】
また、シール部材30は、図6等に示すように、マイクロSDカード20のカード挿入
口10への挿入方向に直交する幅方向において、該幅方向の少なくとも一方の端部から所定範囲までを除いた範囲に貼り付けた形状としている。図6の例では、マイクロSDカード20の表面から見て幅方向の右側の端部分には、シール部材30がマイクロSDカード20に貼られない形状としている。
【0097】
本実施形態に係るシール部材30は、マイクロSDカード20がドライブレコーダー1に接続されていることで発生する電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。例えば、外部からマイクロSDカード20に影響を与えうる電磁波ノイズの低減を図ることもできるが、特に、ドライブレコーダー1側から外部に向けて放射される電磁波ノイズの低減を図ることができる。
【0098】
本実施形態に係るシール部材30は、マイクロSDカード20がコネクタ11から露出する部分の少なくとも一部に貼りつけられる形状としている。
【0099】
このようにすれば、ドライブレコーダー1とマイクロSDカード20との接続時に、マイクロSDカード20がドライブレコーダー1から露出している部分、またはその近傍等からドライブレコーダー1の外部へ向けて放射される電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。
【0100】
本実施形態に係るシール部材30は、マイクロSDカード20を収容するコネクタ11と、少なくとも一部が接触する部分に貼りつけられる形状としている。
【0101】
このようにすれば、シール部材30の電磁波シールド層31がコネクタ11に接触した際、コネクタ11を電磁波シールド層31のグランドとして機能させることができるとともに、電磁波シールド層31層自体もグランドとして機能させることができ、電磁波ノイズの低減効果を高めることができる。
【0102】
本実施形態に係るシール部材30は、マイクロSDカード20のカード挿入口10への挿入方向において、挿入方向の後端側から所定範囲まで貼り付けられる形状としている。
【0103】
このようにすれば、マイクロSDカード20とドライブレコーダー1との接続時に、マイクロSDカード20の挿入方向の後端側から放射される電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。例えば、挿入方向の後端側はドライブレコーダー1の外装に近いため、この範囲の少なくとも一部にシール部材を貼りつけるとことで、ドライブレコーダー1から外部へ向けて放射される電磁波ノイズを低減することができる。
【0104】
本実施形態に係るシール部材30は、マイクロSDカード20のカード挿入口10への挿入方向において、挿入方向の後端側の面から、該面に連続する表面および裏面の所定範囲まで貼り付けられる形状としている。
【0105】
このようにすれば、マイクロSDカード20とドライブレコーダー1との接続時に、マイクロSDカード20の背面側と、後端側のマイクロSDカード20の両面側から放射される電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。例えば、挿入方向の後端側の背面はドライブレコーダー1の外装に近く、背面に連続した表面および裏面の後端側もドライブレコーダー1の外装に近いため、この範囲の少なくとも一部にシール部材30を貼りつけることで、ドライブレコーダー1から外部へ向けて放射される電磁波ノイズを低減することができる。
【0106】
また、本実施形態に係るシール部材30は、ドライブレコーダー1とマイクロSDカード20との接続時に、マイクロSDカード20のカード挿入口10への挿入方向に直交す
る幅方向において、該幅方向の少なくとも一方の端部から所定範囲までを除いた範囲に貼り付けた形状としている。
【0107】
このようにすれば、マイクロSDカード20とドライブレコーダー1との接続時に、マイクロSDカード20の挿入方向に直交する幅方向における少なくとも一方の端部を除く範囲から放射される電磁波ノイズの低減を図ること等ができる。例えば、シール部材30がマイクロSDカード20の幅方向の全域と同等の大きさの場合、ユーザがシール部材30をマイクロSDカード20に貼りつける際にずれてしまうと、シール部材30の一部がマイクロSDカード20からずれてしまうが、シール部材30の幅方向のサイズが小さいことで、ユーザは容易にシール部材30を貼りつけることができる。
【0108】
また、マイクロSDカード20がコネクタ11に挿入される場合、コネクタ11とマイクロSDカード20との間のクリアランスは、コネクタ11のサイズ、規格やマイクロSDカード20の厚みによって異なり、また、コネクタ11の公差によっても異なる。そして、本実施形態のコネクタ11は、可撓性を有し、コネクタ11のマイクロSDカード20の幅方向の中央側での可撓性が、幅方向の端部側での可撓性よりも大きいため、シール部材30をマイクロSDカード20に貼りつけた際のマイクロSDカード20の厚みの増加に、コネクタ11を追従して撓ませて収容することができる。
【0109】
本実施形態に係るシール部材30は、マイクロSDカード20のドライブレコーダー1との接続部である端子部21を除く範囲に貼り付けられている。
【0110】
このようにすれば、シール部材30がマイクロSDカード20とドライブレコーダー1との接続に影響を与えることを抑えること等ができる。
【0111】
本実施形態に係るシール部材30は、電磁波シールド層31を導電布としている。このようにすれば、例えば、ユーザは、マイクロSDカード20に貼り付けられた導電布の触感と、シール部材が貼り付けられていない部分のマイクロSDカード20の触感の違いにより、ドライブレコーダー1やマイクロSDカード20の他の部分と容易に識別することができる。このようにすれば、マイクロSDカード20のドライブレコーダー1への抜き差しが容易となる。また、例えば、導電布のように表面が均一でない部材とすることで、コネクタ11との接触をしやすくして、電磁波ノイズの低減効果を高めることができる。
【0112】
また、電磁波シールド層31を導電布とすることによれば、電磁波シールド層31を柔軟性のある素材とすることができる。特に、シール部材30がマイクロSDカード20に貼りつけられたときに、シール部材30に接触するコネクタ11に対して、追従して形状を変化させることができ、抜き差しが容易である。また、例えば、電磁波シールド層31を柔軟性のある素材とする場合、マイクロSDカード20とコネクタ11との間のクリアランスよりも、シール部材30の厚みが大きくてもよい。シール部材30の厚みがマイクロSDカード20とコネクタ11との間のクリアランスより大きい場合であっても、シール部材30自体を撓ませて、コネクタ11に収容することができる。
【0113】
本実施形態に係るシール部材30によれば、ユーザが、ドライブレコーダー1の周辺にある他の機器において電磁波ノイズの影響による不具合を認識した場合に、ユーザ自身でマイクロSDカード20に、シール部材30を貼りつけることができる。ユーザ自身が不具合への対策を取るようにすることができるとともに、その効果を認識することで、ユーザは満足感を得ることができる。
【0114】
[その他の実施形態]
(機器)
上記実施形態では、カード装置に接続する機器がドライブレコーダ-1である例について説明したが、機器の構成は特に限られるものではなく、カード装置と接続可能な機器であればよい。
【0115】
機器は、その構成は特に限られるものではないが、例えば、シール部材30が貼り付けられたカード装置と、シール部材30が貼り付けられていないカード装置の双方との接続が可能な機器とするとよい。
【0116】
また、機器は、例えば、周辺に他の機器が設置または配置等されている位置に設置される機器とするとよい。周辺の他の機器は、例えば、地上デジタルテレビ放送、AMラジオ、FMラジオ等のアンテナを備える機器や、衝突安全装置等とするとよい。このようにすれば、ドライブレコーダーの周辺に配置される地上デジタルテレビ放送の画像にノイズが出てしまうことや、AMラジオ、FMラジオの音声にノイズが出てしまうことを低減することができる。また、衝突安全装置が誤作動してしまうことを抑制することができる。
【0117】
(カード装置)
上記実施形態では、機器に接続するカード装置がマイクロSDカード20である例について説明したが、カード装置は特に限られるものではなく、機器と接続可能なカード装置であればよい。例えば、電磁誘導により機器との間で情報伝送を行う非接触ICカード、NFCカード、SIMカード、通信カード、等とするとよい。特に、記憶部を有するメモリーカードとするとよい。メモリーカードとしては、例えば、マイクロSDカード、SDカード、ミニSDカードSDHCカード、ミニSDHCカード、マイクロSDHCカード、SDXCカード、マイクロSDXCカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、トランスフラッシュ等とするとよい。
【0118】
また、上記実施形態では、機器に接続するカード装置がマイクロSDカード20である例について説明したが、カード装置は、下記(a)~(e)のいずれかを満たすものとするとよい。
(a)機器が該カード装置を収容する収容部に対して着脱自在であるカード装置
(b)所定の情報を記憶する記憶部を有するカード装置
(c)機器と該カード装置との接続時に、機器から該カード装置に対して連続的に書き込み動作が実行されるカード装置
(d)電波発生源を有しないカード装置
(e)機器との接続部に終端抵抗を有しないカード装置
【0119】
例えば、(a)カード装置が機器の収容部に対して着脱自在である場合、カード装置が機器に装着され、機器と接続がされる場合に電磁波ノイズを低減することができ、一方、カード装置が抜かれた状態であれば、機器からカード装置に対して、情報の書き込み等がなされないため、電磁波ノイズは発生しない。
【0120】
例えば、(b)カード装置が記憶部を有するメモリーカードなどである場合、機器からカード装置の記憶部へ所定の情報を書き込み等する場合に、発生する電磁波ノイズを低減することができる。
【0121】
例えば、(c)カード装置は、機器と接続されて、機器からカード装置に対して連続的に書き込み動作が実行されるカード装置とするとよい。頻繁に書き込み動作が実行されるほど、電磁波ノイズの発生のおそれがあるため、このような電磁波ノイズを低減することができる。例えば、機器をドライブレコーダーとし、カード装置をドライブレコーダーに接続されて連続的に書き込み動作がなされるメモリーカードとするとよい。
【0122】
例えば、(d)カード装置は、電波発生源を有しないカード装置とするとよい。例えば、電波発生源を有するNFCカード等の場合、電波発生源がシール部材の電磁波シールド層の影響を受けてしまうおそれがあるため、これを有しないカード装置とするとよい。
【0123】
例えば、(e)カード装置は、機器との接続部に終端抵抗を有しないカード装置とするとよい。カード装置が終端抵抗を有しない場合、これを有するカード装置に比べて、放出される電磁波ノイズが多くなることが考えられるため、発生する電磁波ノイズを低減することができる。例えば、カード装置がSDカードである場合に、UHS-II規格のSDカードは終端抵抗を有しているので、これを有しないUHS-I規格のSDカードや、その他の終端抵抗を有していない規格のSDカードとするとよい。
【0124】
また、例えば、カード装置は、機器と接続されて、機器からカード装置に対しての書き込み速度が速いカード装置とするとよい。書き込み速度が速いほど、電磁波ノイズの発生のおそれがあるためである。
【0125】
(シール部材)
シール部材30は、特に、機器とカード装置とが接続されて、機器から情報の書き込みがされるカード装置に好適である。このようにすれば機器からカード装置に情報を書き込む際のデータ伝送によって発生する電磁波ノイズを、電磁波シールド層31により低減することで、機器の周辺にある他の機器に影響を与えることを抑えることができる。
【0126】
電磁波シールド層31は、例えば、電磁波の反射、吸収、多重反射等の少なくともいずれか1つによって、特に機器側から外部へ向けて放射される電磁波エネルギーを滅衰させるものとするとよい。
【0127】
また、機器とカード装置の接続の構成は特に限られるものではなく空間を介した接続としてもよい。例えば、電磁的接続、ワイヤレス接続としてもよい。特に、物理的な接続とするとよい。例えば、機器の通信部とカード装置の通信部との無線接続、機器の端子部とカード装置の端子部との接触、等とするとよい。
【0128】
上記実施形態では、シール部材30は、電磁波シールド層31と粘着層32との2層構成の例を説明したが、これに限られるものではなく、例えば、粘着層32が電磁波シールド層31に対し一面側に設ける構成であればよい。例えば、電磁波シールド層31と粘着層32との間に他の層を介在していてもよい。
【0129】
カード装置が機器に収容される場合、カード装置が機器に収容されて露出しない部分と、機器から露出する部分が形成されることがある。シール部材30は、カード装置が機器から露出する部分の少なくとも一部に貼りつけられる形状とするとよく、露出しない部分にはかからないようにしてもよいが、特に、露出しない部分にもかかる構成とするとよい。
【0130】
例えば、カード装置が機器に収容され、カード装置の一部が機器から露出している場合、収容されていない露出した部分の周囲から電磁波ノイズが外部へ向けて放射されてしまうので、露出した部分の少なくとも一部にシール部材を貼りつけることで、外部へ向けて放射される電磁波ノイズを低減することができる。
【0131】
カード装置を収容するコネクタ11などの機器の収容部としては、例えば、収容されたカード装置を挿入方向に押し込むことで、カード装置を挿入方向と反対方向に押し出すことでカード装置を収容部から取り出すプッシュプッシュ型と、収容されたカード装置を挿入方向とは反対方向に引き出すことでカード装置を収容部から取り出すプッシュプル型、
等が知られている。一般に、プッシュプッシュ型の収容部の場合、ユーザはカード装置の背面側を押し込むだけでよいため、プッシュプル型の収容部に比べて、カード装置が露出している範囲が小さい。このため、例えば、カード装置を収容する機器の収容部がプッシュプッシュ型であるか、プッシュプル型であるかに応じて、シール部材を貼り付ける範囲を変化させるとよく、プッシュプッシュ型である場合は、プッシュプル型である場合よりも、シール部材を貼る範囲を小さくしてもよい。
【0132】
また、例えば、カード装置が機器の収容部に収容される場合、収容部とカード装置との間のクリアランスは、機器とカード装置によって異なる。例えば、収容部のサイズや、カード装置の厚み、また、収容部の公差によっても異なる。これに対し、例えば、収容部とカード装置との間のクリアランスに応じて、シール部材30によりクリアランスを埋めて、収容部の少なくとも一部と接触させるようにするとよい。例えば、クリアランスが小さい場合でも挿入可能とする厚みとするとよい。また、例えば、クリアランスが大きい場合は、厚みを大きくして収容部と少なくとも一部が接触するようにするとよい。また、シール部材を貼る範囲を大きくし、収容部との接触範囲が大きくなると、クリアランスによっては、カード装置の抜き差しがしにくくなるため、シール部材を貼る範囲は、カード装置の抜き差し動作の支障とならない範囲とするとよい。
【0133】
例えば、カード装置を収容する機器の収容部がプッシュプッシュ型である場合は、カード装置が露出している範囲が小さいため、シール部材を貼りつける範囲をプッシュプル型に比べて小さくしても、収容部の少なくとも一部と接触させることができる。
【0134】
また、シール部材30をカード装置の挿入方向の後端側から所定範囲まで貼り付ける際の「所定範囲」は、特に限られるものではないが、例えば、収容部がプッシュプッシュ型である場合は、カード装置の挿入方向の後端側が露出している範囲が小さいため、シール部材30を貼りつける範囲は、挿入方向の後端側から短くしても、露出している部分を覆うことや、カード装置を収容する機器の収容部と接触させる等が可能である。一方、プッシュプル型である場合は、カード装置の挿入方向の後端側が露出している範囲が大きいため、シール部材30を貼りつける範囲を、挿入方向の後端側から長くして露出している部分を覆うとよい。
【0135】
また、シール部材30をカード装置の挿入方向の後端側の面から、該面に連続する表面および裏面の所定範囲まで貼り付ける際の「所定範囲」は、特に限られるものではないが、例えば、挿入方向におけるカード装置の中央部や先端側までシール部材を貼り付けなくとも良い。例えば、カード装置を収容する機器の収容部がプッシュプッシュ型である場合は、カード装置の挿入方向の後端側が露出している範囲が小さいため、シール部材30を貼りつける範囲は、背面と、背面に連続した表面および裏面において挿入方向の後端側から短い範囲としても、露出している部分を覆うことや、カード装置を収容する機器の収容部と接触させる等が可能である。一方、プッシュプル型である場合は、カード装置の挿入方向の後端側が露出している範囲が大きいため、シール部材30を貼りつける範囲を、背面と、背面に連続した表面および裏面において挿入方向の後端側から長くして露出している部分を覆うとよい。
【0136】
上記実施形態では、シール部材30は、マイクロSDカード20のドライブレコーダー1との接続部である端子部21を除く範囲に貼り付けられている。シール部材30は、例えば、カード装置の端子部や、カード装置の機器との通信部には、シール部材を貼らないようにするとよい。また、カード装置が、記憶部を有するとともに記憶した情報のロック機構等を有する場合は、ロック機構にはシール部材を貼らないようにするとよい。
【0137】
上記実施形態では、電磁波シールド層31が導電布である場合を例に説明したが、電磁
波シールド層31の構成は特に限られるものではなく、電磁波シールド効果を奏するものであれば、導電性を有することは必須ではない。電磁波シールド層31は、薄く、軽量、錆びにくい、酸化しにくい、等の性質の少なくとも1つを有するものとするとよい。また、電磁波シールド層31は、高周波特性の良い導電性の層とするとよい。また、例えば、電磁波シールド層31が、フェライト、磁性材料等からなる構成、または、これらを含む構成としてもよい。例えば、電磁波シールド層31としてフェライトを含む構成とする場合、電磁波エネルギーを吸収等により減衰させることができる。
【0138】
導電布は、その材質は特に限られるものではないが、例えば、不織布とニッケル(Ni)からなるものとするとよい。特に、不織布と銅(Cu)とニッケルからなるものとするよい。銅を含めることで銅を含まない場合に比べて電気抵抗率を下げること等ができ、電磁波ノイズの低減効果を高めることができる。また、例えば、ニッケルを含むことで錆び防止効果を高めることができる。また、例えば、金メッキ加工として、錆び防止効果を高めるようにしてもよい。
【0139】
上記実施形態では、粘着層32は、導電性粘着剤の例を説明したが、導電性を有しない粘着剤等を用いてもよい。粘着層32を導電性粘着剤とすることによれば、粘着層32についても、電磁波シールド機能を発揮させること等ができる。また、例えば、電磁波ノイズの低減効果を高めることができる。
【0140】
上記実施形態では、シール部材30がマイクロSDカード20の表面に貼りつける例を説明したが、カード装置に予めシール部材が貼り付けられている場合、このシール部材を剥がして、シール部材30を貼りつけるとよい。カード装置に予め貼り付けられているシール部材は、例えば、SDカードに貼られているラベルシール等である。
【0141】
このようにすれば、カード装置の厚みの増加を抑えること等ができる。例えば、ユーザは、カード装置に予め貼られているシール部材を剥がし、その替わりとしてシール部材を貼るとよい。特に、シール部材は予め貼り付けられたシール部材が貼られていた範囲に貼るとよい。このようにすれば、例えば、カード装置の厚みが増すことで生じる不具合を防止することができる。
【0142】
上記実施形態では、図6に示したように、シール部材30の四隅は、角部が面取りされているといるが、角部の面取りが一部の角部についてされているものであっても、角部が面取りされていないものであってもよい。
【0143】
シール部材30の少なくとも一部の角部を面取りすれば、シール部材30がカード装置から剥がれにくくすること等ができる。例えば、シール部材30が角部から剥がれてしまうことを抑えることができ、シール部材30がカード装置から剥がれてしまうことを抑えることができる。
【0144】
また、上記実施形態では、シール部材30が、図7に示すように長方形形状の角部が面取りされた形状のものを示したが、シール部材30の形状はこれに限られるものではない。例えば、図10に示すオーバル形状や、ひし形形状などの形状であってもよい。特に、コネクタ11への挿入方向において、コネクタ11の奥側は手前側に比べて可撓性が小さいため、例えば、シール部材30をひし形形状として、コネクタ11の奥側に行くほど、シール部材30の面積が小さくなるような形状としてもよい。
【0145】
上記実施形態では、図6に示したように、シール部材30の表面は、電磁波シールド層31となっているが、シール部材30は、カード装置の2以上の面に亘り貼りつける際の折り目となる位置に、該折り目を示す線が付与されているとするよい。
【0146】
このようにすれば、カード装置に貼りつける際の目印を設けたシール部材30とすること等ができる。例えば、ユーザがシール部材30をカード装置に貼るときに、容易に位置合わせをすることができ、ユーザは容易にシール部材30を貼りつけることができる。
【0147】
また、例えば、カード装置が機器に挿入される場合に、カード装置の挿入方向の後端側のカード装置の背面に貼られる部分を、他の部分と識別可能とするように、色などを付与しておくとよい。このようにすれば、ユーザは、カード装置が機器に挿入されていることを容易に認識すること等ができる。また、シール部材30にユーザが任意に書き込み可能としてもよい。このようにすれば、ユーザは所望の情報、例えば、ユーザの名前などをシール部材に書き込むことができる。また、シール部材30を被記録媒体として、図形、デザインなどを印字するとよい。このようにすれば、シール部材30にデザイン性を持たせることができる。また、シール部材は機器とは異なる色とするとよい。このようにすれば、ユーザは機器にカード装置が挿入等されている状態であるか否かを容易に識別することができる。また、機器にカード部材が挿入等されている状態で外部から視認できるシール部材30の部分については、機器と同じ色としてもよい。このようにすれば、挿入時にカード装置を目立たなくさせることができる。
【0148】
また、例えば、シール部材30にカード装置と機器とを接続した際のカード装置の天地を識別するための記号、印、等が付与されているとよい。さらに、機器側に、該記号、印等と対応する記号、印等を付与しておくことと良い。このようにすれば、ユーザは、カード装置を機器に接続する際に、カード装置の表側、裏側を間違えることなく、接続すること等ができる。
【0149】
上記実施形態では、図7に示したように、1つのシール部材30が剥離紙40に貼り付けられており、ユーザがカード装置としてのマイクロSDカード20に貼りつける例について説明したが、シール部材30は、ユーザへのカード装置の提供前に予め貼り付けられているものであってもよい。
【0150】
また、1つの剥離紙40に2以上のシール部材30が貼り付けられているものであってもよい。
【0151】
このようにすれば、剥離紙40からシール部材30を剥がしてカード装置に貼りつけること等ができる。例えば、ユーザは、シール部材30を任意のタイミングで貼り替えることや、2以上のマイクロSDカード20にそれぞれ貼りつけることができる。また、カード装置に貼りつけたシール部材30が剥がれた場合などであっても容易に貼り替えることができる。
【0152】
また、例えば、1つの剥離紙40に10枚のシール部材を貼り付けたものを製品として販売等してもよい。また、剥離紙40とシール部材30が同一の形状を有し、シール部材30のみが図7に示した形状で剥がせるように打ち抜き加工がされていてもよい。また、ユーザがはさみ等を用いてシール部材30を所望の形状に切り取って、カード装置に貼りつけるようにしてもよい。
【0153】
上記実施形態において、図4に示した測定結果は、一例であって、カード装置としてのマイクロSDカード20の種類やスペクトラムアナライザのアクティブプローブの機種、等によって測定結果は変化すると考えられる。ユーザが使用するマイクロSDカード20は様々であり、マイクロSDカード20の内部の配線パターンや、フラッシュメモリ、材質等によって、電磁波ノイズの出方も異なると考えられる。また、図4の測定結果において、ノイズの低減効果の図れていない周波数帯については、ドライブレコーダー1のマイ
クロSDカード20への書き込み動作等とは異なる環境ノイズなどが要因であると考えられる。
【0154】
また、例えば、カード挿入口10を金属製の蓋などの部材で覆うことで電磁波ノイズを低減することが可能であるが、本実施形態に係るシール部材30によれば、カード装置にシール部材30を貼りつけるという簡易な方法で、電磁波ノイズの発生箇所となるカード挿入口10からの電磁波ノイズを低減することができる。
【0155】
本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0156】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と,発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0157】
また、意匠出願への変更出願により,全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。
【符号の説明】
【0158】
1 ドライブレコーダ
2 車両
3 フロントガラス
4 ルームミラー
5 シガーソケット
6 電源ケーブル
7 レンズ
8 本体
9 取付用ブラケット
9a 取付面
10 カード挿入口
11 コネクタ
20 マイクロSDカード
21 端子部
30 シール部材
31 電磁波シールド層
32 粘着層
40 剥離紙

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10