(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
(21)【出願番号】P 2022201755
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2018177285の分割
【原出願日】2018-09-21
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲浜▼ 真木生
(72)【発明者】
【氏名】道端 善之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆行
(72)【発明者】
【氏名】和田 弘史
(72)【発明者】
【氏名】杉本 直哉
(72)【発明者】
【氏名】松久 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】畑尾 一騎
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/013553(WO,A1)
【文献】特開2018-027261(JP,A)
【文献】国際公開第03/072469(WO,A1)
【文献】特表2010-535683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出部を有し、該排出部に向けて薬剤を一列に整列させつつ搬送し、前記排出部から前記薬剤を先頭から順に排出して1つずつ供給する薬剤供給部と、
前記薬剤を収容し、駆動されることにより前記薬剤供給部に前記薬剤を補充する薬剤収容容器と、
前記薬剤供給部および前記薬剤収容容器の各々を別々に着脱可能なベース部とを備え、
前記ベース部には、前記薬剤供給部を駆動する第1駆動源と、前記薬剤収容容器を駆動する第
3駆動源とが設けられており、
前記薬剤供給部は、前記ベース部に装着されることで、前記第1駆動源によって駆動可能となり、
前記薬剤収容容器は、前記ベース部に装着されることで、前記第
3駆動源によって駆動可能となる、薬剤供給装置。
【請求項2】
前記ベース部には、複数の前記薬剤収容容器の中から選択された1つの前記薬剤収容容器が取り付けられる、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
複数の前記薬剤収容容器の各々は、互いに識別可能な識別子を有し、
複数の前記薬剤収容容器の各々は、前記識別子に基づいて設定された互いに異なる駆動条件で駆動される、請求項2に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記薬剤供給部は、複数の前記薬剤収容容器の各々に対応して駆動される、請求項3に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤供給装置の構成を開示した先行文献として、国際公開第2016/013553号(特許文献1)がある。特許文献1に記載された薬剤供給装置は、収容された薬剤を払い出すための薬剤払出部と、薬剤払出部に薬剤を補充する貯留容器とを備える。薬剤払出部は、第1回転体と、第2回転体と、ガイド部材とを備える。第1回転体は、水平面に対して傾斜した状態で回転可能に配置される円形面を有する。第2回転体は、第1回転体の外周側に回転可能に配置され、上記水平面上に配置される環状面を有する。ガイド部材は、第1回転体の円形面の上方に配置され、上記円形面に対して径方向に延びている。ガイド部材は、ガイド面を有する。ガイド面は、径方向外側に向かうに従って第1回転体の回転方向下流側に位置し、第1回転体の回転により第1回転体上に載置された薬剤と当接可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された薬剤供給装置においては、薬剤払出部である薬剤供給部および貯留容器である薬剤収容容器をベース部に対して別々に着脱することができず、薬剤供給部および薬剤収容容器をベース部から取り外した状態でのみ薬剤収容容器を薬剤供給部から取り外すことができる。そのため、薬剤供給装置の使用態様の自由度が低い。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、使用態様の自由度が高い薬剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく薬剤供給装置は、薬剤供給部と薬剤収容容器とベース部とを備える。薬剤供給部は、排出部を有し、排出部に向けて薬剤を一列に整列させつつ搬送し、排出部から薬剤を先頭から順に排出して1つずつ供給する。薬剤収容容器は、薬剤を収容し、駆動されることにより薬剤供給部に薬剤を補充する。ベース部は、薬剤供給部および薬剤収容容器の各々を別々に着脱可能である。
【0007】
本発明の一形態においては、薬剤収容容器は、底部および開口部を含む有底円筒状の形状を有し、かつ、内周面に螺旋溝が形成されている。薬剤収容容器がベース部に取り付けられた状態において、薬剤収容容器の軸線は水平面に対して傾斜している。薬剤収容容器が上記軸線まわりに回転駆動されることにより、薬剤収容容器内の薬剤が螺旋溝によって薬剤収容容器の底部側から開口部側に搬送されて開口部から排出される。
【0008】
本発明の一形態においては、薬剤収容容器の内側の底面は、薬剤収容容器の外側に凸状の曲面形状を有している。
【0009】
本発明の一形態においては、薬剤収容容器は、開口部を閉塞可能な蓋部をさらに含む。
【0010】
本発明の一形態においては、ベース部には、複数の薬剤収容容器の中から順次選択された1つの薬剤収容容器が取り付けられる。
【0011】
本発明の一形態においては、複数の薬剤収容容器の各々は、互いに識別可能な識別子を有する。複数の薬剤収容容器の各々は、識別子に基づいて設定された互いに異なる駆動条件で駆動される。
【0012】
本発明の一形態においては、薬剤供給部は、複数の薬剤収容容器の各々に対応して駆動される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、薬剤供給装置の使用態様の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の薬剤供給モジュールを矢印II方向から見た平面図である。
【
図3】
図1の薬剤供給モジュールを矢印III方向から見た斜視図である。
【
図4】
図1の薬剤供給モジュールを矢印IV方向から見た図である。
【
図5】
図1の薬剤供給モジュールを矢印V方向から見た図である。
【
図6】本実施形態に係る薬剤供給モジュールが含む回転体の構成を示す側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる蓋部材の外観を示す斜視図である。
【
図8】
図7の蓋部材を矢印VIII方向から見た図である。
【
図9】
図8の蓋部材を矢印IX方向から見た図である。
【
図10】
図9の蓋部材を矢印X方向から見た図である。
【
図11】
図9の蓋部材を矢印XI方向から見た図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる開閉部材の外観を示す斜視図である。
【
図13】
図12の開閉部材を矢印XIII方向から見た図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールにおいて、開閉部が上方に回動して排出部が開いた状態を示す斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態の第1変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる排出部材の外観を示す底面図である。
【
図16】本発明の一実施形態の第2変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる蓋部材および緩衝部材の外観を示す側面図である。
【
図17】本発明の一実施形態の第2変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる支持部および緩衝部材の外観を示す斜視図である。
【
図18】本発明の一実施形態の第3変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる回転体および回転軸部の外観を示す側面図である。
【
図19】本発明の一実施形態の第3変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる回転軸部から第1回転部を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるベース部の構成を示す部分斜視図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるベース部の構成を示す部分背面図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールが、ベース部に装着された状態を示す部分斜視図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器の構成を示す斜視図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、外蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図25】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す側面図である。
【
図27】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す平面図である。
【
図28】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す底面図である。
【
図29】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す縦断面図である。
【
図30】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器の開口部側の形状を示す部分斜視図である。
【
図31】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるベース部に薬剤供給モジュールおよび薬剤収容容器の各々が取り付けられた状態を示す正面図である。
【
図32】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるベース部に薬剤供給モジュールおよび薬剤収容容器の各々が取り付けられた状態において、ベース部の一部のカバーを取り外した状態を示す正面図である。
【
図33】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置から、薬剤収容容器およびベース部の一部のカバーを取り外した状態を示す正面側斜視図である。
【
図34】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置からベース部の他の一部のカバーを取り外した状態を示す背面側斜視図である。
【
図35】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備え付けられる薬剤分包装置の構成を示す正面図である。
【
図36】
図35の薬剤分包装置を矢印XXXVI方向から見た平面図である。
【
図37】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置と薬剤分包装置との接続系統を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールの構成を示す斜視図である。
図2は、
図1の薬剤供給モジュールを矢印II方向から見た平面図である。
図3は、
図1の薬剤供給モジュールを矢印III方向から見た斜視図である。
図4は、
図1の薬剤供給モジュールを矢印IV方向から見た図である。
図5は、
図1の薬剤供給モジュールを矢印V方向から見た図である。
【0017】
図2および
図3においては、後述する蓋部を透視して図示している。
図4においては、後述する蓋部材および開閉部材を図示していない。
図5においては、蓋部を透視して図示しており、後述する支持部を図示していない。
【0018】
図1~
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュール100は、回転体110と、周壁部と、排出部131とを備える。本実施形態においては、薬剤供給モジュール100は、支持部150、蓋部126および開閉部141をさらに備える。後述するように、薬剤供給モジュール100は、排出部131を有し、排出部131に向けて薬剤を一列に整列させつつ搬送し、排出部131から薬剤を先頭から順に排出して1つずつ供給する薬剤供給部として機能する。
【0019】
本実施形態においては、薬剤供給モジュール100は、回転体110と周壁部と排出部131と開閉部141とを含んで一体に構成されている。なお、開閉部141は、必ずしも設けられていなくてもよい。すなわち、薬剤供給モジュール100が、回転体110と周壁部と排出部131とを含んで一体に構成されていてもよい。
【0020】
図6は、本実施形態に係る薬剤供給モジュールが含む回転体の構成を示す側面図である。
図6においては、回転体を
図5と同一方向から見て図示している。
図4~
図6に示すように、回転体110は、鉛直方向に延びる軸線1を中心として回転し、軸線1を中心とする径方向の外側に行くにしたがって下方に傾斜する軸線1と同軸の円錐面状の斜面110sを有する。
【0021】
回転体110は、互いに同軸配置された、第1回転部111および第2回転部112を含む。第2回転部112は、第1回転部111の下方に位置している。第1回転部111の側面と、第2回転部112の側面とで、斜面110sが構成されている。第1回転部111および第2回転部112の各々は、互いに別々に回転可能に設けられている。
図4~
図6に示すように、第1回転部111は、第1従動歯車111gと接続されている。第2回転部112は、第2従動歯車112gと接続されている。
【0022】
本実施形態においては、回転体110の斜面110sには、薬剤の転動を防止する転動防止部が設けられている。転動防止部は、斜面110sの頂点部から放射状に設けられた凹条部で構成されている。具体的には、転動防止部は、第1回転部111に設けられた第1凹条部111cと、第2回転部112に設けられた第2凹条部112cとから構成されている。なお、転動防止部は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0023】
図2~
図4に示すように、回転体110は、回転体110の下方に位置する支持部150に、回転可能に支持されている。回転体110は、支持部150に対して着脱可能に設けられている。
図4に示すように、支持部150は、略円形状の水平面部151と、水平面部151の縁から略円周状に立設された立設部152と、水平面部151から下方に略円筒状に延在する台部153を含む。台部153の内周側に、第1従動歯車111gおよび第2従動歯車112gの各々が位置している。
【0024】
図2~
図5に示すように、本実施形態においては、薬剤供給モジュール100は、複数の周壁部を含んでいる。具体的には、薬剤供給モジュール100は、第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123を含んでいる。なお、薬剤供給モジュール100が含む周壁部の数は、3つに限られず、1つ以上であればよい。
【0025】
図2に示すように、第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々は、斜面110sの上方において軸線1を中心とする周方向に沿って円弧状に延在している。第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々は、斜面110s上に供給された薬剤を上記径方向の外側から支持する。
【0026】
第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123は、回転体110の回転方向2に互いに並んでおり、かつ、回転方向2の下流側に位置する周壁部ほど上記径方向の外側かつ下方に位置している。具体的には、第2周壁部122は、第1周壁部121に対して回転方向2の下流側に位置しており、かつ、第1周壁部121に対して、上記径方向の外側かつ下方に位置している。第3周壁部123は、第2周壁部122に対して回転方向2の下流側に位置しており、かつ、第2周壁部122に対して、上記径方向の外側かつ下方に位置している。
【0027】
第1周壁部121および第2周壁部122の各々は、第1回転部111の上方に位置している。第3周壁部123は、第2回転部112の上方に位置している。よって、第1回転部111は、第1周壁部121によって支持されている薬剤を、第1周壁部121に沿って搬送する。第1回転部111は、第2周壁部122によって支持されている薬剤を、第2周壁部122に沿って搬送する。第2回転部112は、第3周壁部123によって支持されている薬剤を、第3周壁部123に沿って搬送する。
【0028】
図5に示すように、第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々は、斜面110sに対して離間している。具体的には、第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々は、斜面110s上に供給された薬剤を上記径方向の外側から支持可能な範囲で、斜面110sに対して離間している。
【0029】
図2、
図3および
図5に示すように、本実施形態においては、回転方向2に互いに隣り合う周壁部同士のうち回転方向2の上流側に位置する周壁部における回転方向2の下流側の部分は、回転方向2の下流側に行くにしたがって斜面110sから離れている。
【0030】
具体的には、第1周壁部121における回転方向2の下流側の部分は、回転方向2の下流側に行くにしたがって斜面110sから離れている。同様に、第2周壁部122における回転方向2の下流側の部分は、回転方向2の下流側に行くにしたがって斜面110sから離れている。
【0031】
図2、
図3および
図5に示すように、本実施形態においては、回転方向2に互いに隣り合う周壁部同士は、回転方向2の下流側に行くにしたがって上記径方向の外側に延在しつつ下降する傾斜壁部にて互いに接続されている。なお、傾斜壁部は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0032】
具体的には、第1周壁部121と第2周壁部122とは、第1傾斜壁部124にて互いに接続されている。第2周壁部122と第3周壁部123とは、第2傾斜壁部125にて互いに接続されている。
【0033】
図3および
図5に示すように、第1傾斜壁部124および第2傾斜壁部125の各々は、斜面110sから上方に離れるにしたがって、回転方向2の下流側に傾斜している。よって、第1周壁部121と第1傾斜壁部124との境界線、および、第2周壁部122と第1傾斜壁部124との境界線の、各々は、斜面110sから上方に離れるにしたがって、回転方向2の下流側に傾斜している。同様に、第2周壁部122と第2傾斜壁部125との境界線、および、第3周壁部123と第2傾斜壁部125との境界線の、各々は、斜面110sから上方に離れるにしたがって、回転方向2の下流側に傾斜している。
【0034】
図1~
図3および
図5に示すように、本実施形態においては、第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々は、蓋部126と一体で構成されている。第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々は、蓋部126の下面から下方に延在している。なお、蓋部126は、必ずしも設けられていなくてもよく、周壁部が斜面110sの上方に配置されていればよい。
【0035】
第1傾斜壁部124および第2傾斜壁部125の各々は、蓋部126と一体で構成されている。第1傾斜壁部124および第2傾斜壁部125の各々は、蓋部126の下面から下方に延在している。
【0036】
蓋部126は、斜面110sを上方から覆っている。蓋部126は、斜面110sを上方に開放可能に設けられている。蓋部126は、支持部150上に配置されている。具体的には、蓋部126は、蓋部材120に設けられている。第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々は、蓋部材120に設けられている。第1傾斜壁部124および第2傾斜壁部125の各々は、蓋部材120に設けられている。
【0037】
蓋部材120は、支持部150に対して着脱可能に支持部150上に載置されている。本実施形態においては、
図2に示すように、蓋部126と支持部150との間に、緩衝部材170が設けられている。具体的には、蓋部材120が、円弧形状を有する緩衝部材170を介して支持部150の水平面部151上に載置されている。緩衝部材170は、ゴムなどの弾性体で構成されている。なお、緩衝部材170は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0038】
蓋部材120は、透明部材で構成されている。よって、蓋部126、第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々は、透明部材で構成されている。これにより、蓋部材120の外側から蓋部材120の内側を視認可能となっている。ただし、蓋部材120は、非透明部材で構成されていてもよい。
【0039】
図7は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる蓋部材の外観を示す斜視図である。
図8は、
図7の蓋部材を矢印VIII方向から見た図である。
図9は、
図8の蓋部材を矢印IX方向から見た図である。
図10は、
図9の蓋部材を矢印X方向から見た図である。
図11は、
図9の蓋部材を矢印XI方向から見た図である。
図7および
図8においては、後述する振動伝達板が蓋部材120から取り外された状態を図示している。
【0040】
図7~
図11に示すように、本実施形態においては、蓋部材120に、薬剤供給孔127、切欠部128および取付部129が設けられている。具体的には、薬剤供給孔127および取付部129の各々が、蓋部材120の天面に設けられている。切欠部128は、蓋部材120の下端側の周縁に設けられている。
【0041】
薬剤供給孔127は、蓋部材120の外側から蓋部材120の内側に薬剤を供給するために設けられている。切欠部128は、後述する排出部材を支持部150上に配置するために設けられている。取付部129は、後述する振動伝達板を蓋部材120に取り付けるために設けられている。
【0042】
図9~
図11に示すように、蓋部材120においては、薬剤供給孔127の下側に第1周壁部121が位置し、第1周壁部121に隣接して第1傾斜壁部124が位置し、第1傾斜壁部124に隣接して第2周壁部122が位置し、第2周壁部122に隣接して第2傾斜壁部125が位置し、第2傾斜壁部125に隣接して第3周壁部123が位置し、第3周壁部123に隣接して切欠部128が位置している。
【0043】
図7に示すように、取付部129には、ねじ孔が設けられている。
図1~
図3に示すように、取付部129には、振動伝達板160がねじによって固定されている。振動伝達板160は、蓋部126の一部を構成している。本実施形態においては、振動伝達板160は、磁性体で構成されている。なお、振動伝達板160は、非磁性体で構成されていてもよい。振動伝達板160は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0044】
図1~
図3および
図5に示すように、切欠部128に嵌め込まれるように、排出部材130が支持部150上に設けられている。排出部材130は、切欠部128の形状に対応した外形を有している。排出部材130と蓋部材120との間には、僅かな隙間が設けられている。
【0045】
排出部材130には、回転体110の回転により、第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々に順次沿って搬送された薬剤を斜面110s上から排出する排出部131が設けられている。
【0046】
図3に示すように、排出部材130には、立壁部132が設けられている。すなわち、立壁部132は、周壁部とは別部材で構成されている。立壁部132は、第3周壁部123と排出部131との間に設けられ、薬剤を上記径方向の外側から支持する。立壁部132は、軸線1を中心とする周方向に沿って円弧状に延在している。本実施形態においては、第3周壁部123、立壁部132および排出部131は、軸線1を中心とする周方向に沿って並んでいる。なお、立壁部132は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0047】
排出部材130には、開閉部141を回動させる回動軸140sを支持する1対の軸受部130bが設けられている。1対の軸受部130bは、排出部131の上方の位置に立設されている。開閉部141は、回動軸140sによって回動させられることにより、排出部131を開閉可能に構成されている。
【0048】
開閉部141は、付勢部材140tと接続されており、排出部131を閉じる方向に付勢されている。本実施形態においては、付勢部材140tは、トーションばねで構成されているが、トーションばねに限られない。なお、付勢部材140tは、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0049】
図3および
図5に示すように、本実施形態においては、薬剤供給モジュール100は、薬剤止め部142をさらに含む。薬剤止め部142は、排出部131に対して回転体110の回転方向2の上流側にて、斜面110sに沿って上記径方向に延在しつつ排出部131と隣接している。薬剤止め部142は、斜面110sに接離可能に設けられている。
【0050】
薬剤止め部142が斜面110sに接近した状態において、薬剤は薬剤止め部142によって排出部131への移動が阻止され、薬剤止め部142が斜面110sから離間した状態において、薬剤は排出部131へ移動可能である。薬剤止め部142は、開閉部141と一体で構成されている。なお、薬剤止め部142は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0051】
図12は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる開閉部材の外観を示す斜視図である。
図13は、
図12の開閉部材を矢印XIII方向から見た図である。
【0052】
図1~
図3、
図5、
図12および
図13に示すように、開閉部材140に、開閉部141、薬剤止め部142、および、1対の係合孔140bが設けられている。具体的には、薬剤止め部142は、略平板状の開閉部141の幅方向の一方の縁から開閉部141に直交するように突出している。1対の係合孔140bは、開閉部141の上方の位置に立設されている。1対の係合孔140bの各々は、側面視にて、D字状の内周面を有している。1対の係合孔140bの各々は、回動軸140sにおいてD字状の横断面形状を有する部分と係合する。
【0053】
図14は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールにおいて、開閉部が上方に回動して排出部が開いた状態を示す斜視図である。
図14においては、薬剤供給モジュールを
図1と同一方向から見て図示している。
【0054】
回動軸140sが一方に回動させられることにより、
図14に示すように、開閉部材140が回動軸140sを中心に回動し、開閉部141によって塞がれていた排出部131が開放され、薬剤止め部142が斜面110sから離間する。
【0055】
回動軸140sが他方に回動させられることにより、
図1に示すように、開閉部材140が回動軸140sを中心に回動し、開閉部141によって排出部131が閉鎖され、薬剤止め部142が斜面110sに接近する。
【0056】
なお、排出部131に対して回転方向2の上流側に隣接し、軸線1を中心とする径方向の内側に突き出た突起部が設けられていてもよい。
図15は、本発明の一実施形態の第1変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる排出部材の外観を示す底面図である。
【0057】
図15に示すように、本発明の一実施形態の第1変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる排出部材130xには、排出部131、立壁部132および突起部133の各々が設けられている。突起部133は、立壁部132の排出部131側の端部から、軸線1を中心とする径方向の内側に突き出している。突起部133は、立壁部132の内周面と滑らかに連続するように設けられている。排出部131に移動する薬剤は、立壁部132の内周面に沿って移動するとともに、斜面110sに沿って上方に移動しつつ突起部133を越えることにより、排出部131から排出される。
【0058】
また、緩衝部材が、支持部150の水平面部151の外周側に配置されていてもよい。
図16は、本発明の一実施形態の第2変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる蓋部材および緩衝部材の外観を示す側面図である。
図17は、本発明の一実施形態の第2変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる支持部および緩衝部材の外観を示す斜視図である。
図16および
図17においては、支持部150は、水平面部151のみ図示している。
【0059】
図16および
図17に示すように、本発明の一実施形態の第2変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる緩衝部材170xは、支持部150の水平面部151の下面に接合された保持部材180に保持されている。
【0060】
保持部材180は、平板部181、保持部182および案内部183を有している。平板部181は、水平面部151の下面に接合されている。保持部182は、水平面部151の縁側に位置する平板部181の端部から上記径方向の外側かつ上方に向けて延在して水平面部151より上方に位置し、緩衝部材170xを保持するように屈曲している。案内部183は、保持部182の上端から上記径方向の外側かつ上方に向けて延在している。
【0061】
図16に示すように、本発明の一実施形態の第2変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる蓋部材120xの下端側の周縁には、緩衝部材170xと接するように外周側に突出した複数の突出部120pが設けられている。蓋部材120xの突出部120pを上方から緩衝部材170xに接触させる際には、案内部183が蓋部材120xの突出部120pと摺接することにより、蓋部材120xの突出部120pを緩衝部材170x上に案内する。その結果、蓋部126と支持部150との間に、緩衝部材170xが位置する。
【0062】
さらに、回転体が、回転体を回転させる回転軸部と着脱可能に構成されていてもよい。
図18は、本発明の一実施形態の第3変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる回転体および回転軸部の外観を示す側面図である。
図19は、本発明の一実施形態の第3変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる回転軸部から第1回転部を取り外した状態を示す斜視図である。
【0063】
図18および
図19に示すように、本発明の一実施形態の第3変形例に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールに含まれる回転軸部は、第1回転軸111pと第2回転軸112pとからなる。回転軸部は、支持部150の一部である。すなわち、支持部150は、軸線1と同軸状に配置された回転軸部をさらに含む。
【0064】
第1回転軸111pは、第1回転部111と係合して、第1回転部111とともに回転する。第1回転軸111pの下端の外周には、第1従動歯車111gが接続される。第2回転軸112pは、第2回転部112と係合して、第2回転部112とともに回転する。第2回転軸112pの下端の外周には、第2従動歯車112gが接続される。
【0065】
具体的には、第2回転部112には、第2回転軸112pと係合する係合孔112hが設けられている。第2回転部112には、第1回転部111と係合するボス112bが設けられている。第2回転軸112pには、第1回転軸111pが挿入される貫通孔112phが設けられている。
【0066】
図19に示すように、第1回転部111は、第2回転部112のボス112bおよび第1回転軸111pの各々に対して着脱可能に接続されている。第1回転軸111pの上部は、磁性体で構成されている。第1回転部111の上部には、永久磁石が設けられている。したがって第1回転軸111pと第1回転部111とは、磁力によって互いに連結されている。第2回転部112は、第2回転部112に対して着脱可能に接続されている。このように、回転軸部は、回転体110と着脱可能に接続されている。
【0067】
本実施形態においては、薬剤供給装置は、薬剤供給モジュール100が着脱可能なベース部をさらに備えている。
図20は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるベース部の構成を示す部分斜視図である。
図21は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるベース部の構成を示す部分背面図である。
図22は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤供給モジュールが、ベース部に装着された状態を示す部分斜視図である。
【0068】
図20および
図21に示すように、ベース部200には、第1駆動軸210、第2駆動軸240、排出シュート220、第1センサ231、第2センサ232、薬剤補充センサ235および振動部260が設けられている。ベース部200には、回転体110を駆動する第1駆動源である第1モータと、開閉部141を駆動する第2駆動源である第2モータとが設けられている。なお、第1センサ231、第2センサ232、薬剤補充センサ235および振動部260の各々は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0069】
第1駆動軸210は、第1モータに接続されている。第1駆動軸210は、ベース部200の底部から上方に向けて延在している。第1駆動軸210の先端に、第1駆動歯車211gおよび第2駆動歯車212gが設けられている。第1駆動歯車211gは、第1従動歯車111gと係合する。第2駆動歯車212gは、第2従動歯車112gと係合する。
【0070】
第1モータが駆動して第1駆動軸210が回転することにより、第1駆動歯車211gおよび第1従動歯車111gを介して第1回転部111が回転するとともに、第2駆動歯車212gおよび第2従動歯車112gを介して第2回転部112が回転する。すなわち、第1回転部111および第2回転部112の各々は、共通の駆動源によって駆動される。
【0071】
第2回転部112の回転速度は、第1回転部111の回転速度より高い。具体的には、第1駆動歯車211g、第2駆動歯車212g、第1従動歯車111gおよび第2従動歯車112gの各々の歯数が、第2回転部112の回転速度が第1回転部111の回転速度より高くなるように設定されている。
【0072】
第2駆動軸240は、第2モータに接続されている。第2駆動軸240は、ベース部200の一方の側部から他方の側部に向けて略水平に延在している。第2駆動軸240の先端部は、回動軸140sと係合する。
【0073】
第2モータが駆動して第2駆動軸240が回転することにより、回動軸140sとともに開閉部材140が回動する。開閉部材140が回動軸140sを中心に回動することにより、開閉部141および薬剤止め部142の各々も回動軸140sを中心に回動する。このように、開閉部141および薬剤止め部142の各々は、共通の駆動源によって駆動される。
【0074】
排出シュート220は、排出部131から排出された薬剤をベース部200の外側に導く。排出シュート220の入口は、排出部131と対向している。排出部131に隣接して、第1センサ231が配置されている。排出シュート220には、第2センサ232が配置されている。第2センサ232は、第1センサ231よりも排出部131から離れて位置している。
【0075】
第1センサ231は、斜面110s上の薬剤が排出部131から排出されたことを検出する。本実施形態においては、第1センサ231は、光電センサで構成されており、排出部131のすぐ下流側の領域を互いの間に挟むように配置された投光部および受光部を有する。この投光部と受光部との間の光軸を薬剤が遮ることを検出することにより、薬剤が排出部131から排出されたことを検出する。
【0076】
第2センサ232は、排出部131から排出された薬剤を検出する。本実施形態においては、第2センサ232は、光電センサで構成されており、排出シュート220によって規定される薬剤通路を互いの間に挟むように配置された投光部および受光部を有する。この投光部と受光部との間の光軸を薬剤が遮ることを検出することにより、排出部131から排出された薬剤を検出する。
【0077】
薬剤補充センサ235は、薬剤供給部に、具体的には斜面110s上に、薬剤が補充されたことを検出する。本実施形態においては、薬剤補充センサ235は、光電センサで構成されており、薬剤供給孔127の下方の領域を互いの間に挟むように配置された投光部および受光部を有する。薬剤補充センサ235は、投光部と受光部との間の光軸を薬剤が遮ることを検出することにより、薬剤供給部に薬剤が補充されたことを検出する。なお、蓋部材120において、少なくとも上記光軸上の部分は、透明になっている。
【0078】
振動部260は、第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々を振動させる。本実施形態においては、振動部260は、蓋部126を介して第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々を振動させる。
【0079】
具体的には、振動部260は、振動伝達板160の直上に位置するように設けられている。振動部260には、図示しない永久磁石が設けられている。振動伝達板160は、磁性体で構成されている。振動部260と振動伝達板160とは、永久磁石の磁力によって互いに引き合っている。すなわち、振動部260および蓋部126の各々の接触部は、磁力によって互いに引き合っている。振動部260の振動は、蓋部126を通じて、第1周壁部121、第2周壁部122および第3周壁部123の各々に伝播する。振動部260は、水平面に対して傾斜する方向に振動する。本実施形態においては、振動部260は、偏心モータであり、モータ軸が水平面に対して傾斜するように配置されている。
【0080】
なお、上記のように、排出部材130と蓋部材120との間に僅かな隙間が設けられており、蓋部126と支持部150との間に、緩衝部材170が設けられているため、振動部260による振動は立壁部132には直接伝播しない。
【0081】
振動部260とベース部200との接続部に、振動部260からの振動がベース部200に伝播することを抑制するための緩衝部材が設けられていてもよい。これにより、振動部260からの振動が、ベース部200および支持部150を通じて立壁部132に伝播することを抑制できる。
【0082】
図22に示すように、本実施形態に係る薬剤供給装置10においては、振動部260はベース部200に設けられており、蓋部126は薬剤供給モジュール100に設けられているため、振動部260は、蓋部126に対して接離可能である。
【0083】
本実施形態においては、薬剤供給装置10は、薬剤を収容し、駆動されることにより薬剤供給部に薬剤を補充する薬剤収容容器をさらに備えている。なお、薬剤収容容器は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0084】
図23は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器の構成を示す斜視図である。
図24は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、外蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
図25は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す斜視図である。
図26は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す側面図である。
図27は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す平面図である。
図28は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す底面図である。
図29は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器において、蓋部を取り外した状態を示す縦断面図である。
【0085】
図23~
図29に示すように、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器300は、底部および開口部を含む有底円筒状の形状を有し、かつ、内周面に螺旋溝が形成されている。具体的には、薬剤収容容器300は、本体筒310、円筒部320、底部330、および、蓋部340を含んでいる。
【0086】
本体筒310は、内周面に螺旋溝312が形成されている。本体筒310は、一方の端部に第1開口部313を有し、他方の端部に第2開口部314を有する。本体筒310の中心軸は、薬剤収容容器300の軸線3上に位置している。
図29においては、軸線3と垂直な垂線4を図示している。
【0087】
図29に示すように、本体筒310の内周面に形成されている螺旋溝312の相対する1対の壁面において、第1開口部313側に位置する壁面と垂線4とのなす角αは、第2開口部314側に位置する壁面と垂線4とのなす角βより大きい。たとえば、α=45°、β=10°である。
【0088】
図30は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備える薬剤収容容器の開口部側の形状を示す部分斜視図である。
図30においては、円筒部320を取り外した状態を図示している。
【0089】
図30に示すように、螺旋溝312は、本体筒310の第1開口部313に到達するまで続くように、本体筒310の内周面に形成されている。螺旋溝312の第1開口部313側の終端312eは、本体筒310の第1開口部313側の端面に沿って切断されたような形状となっている。
【0090】
また、
図29に示すように、螺旋溝312は、本体筒310の第2開口部314に到達する手前の位置まで続くように、本体筒310の内周面に形成されている。螺旋溝312の第2開口部314側の終端は、軸線3を中心とする周方向に延びる周方向溝315に接続されている。そのため、本体筒310の第2開口部314の近傍においても、溝幅が狭くならない。したがって、溝内に薬剤が詰まることを防止することができる。
【0091】
円筒部320は、本体筒310の第1開口部313側の外周に取り付けられている。円筒部320の軸線3方向における第1開口部313側の端部の外周には、蓋部340を取り付けるための雄ねじが形成されている。
【0092】
底部330は、本体筒310の第2開口部314側の外周に取り付けられている。底部330は、第2開口部314を閉塞する底面330bを有している。底面330bは、軸線3方向において第2開口部314から離れる側に凸状に湾曲している。すなわち、薬剤収容容器300の内側の底面は、薬剤収容容器300の外側に凸状の曲面形状を有している。
【0093】
底部330は、底面330bの周縁から外側に円環状に突出した環状部330cをさらに有している。本実施形態においては、
図29に示すように、底面330bと環状部330cとによって規定される空間に、識別子331が配置されている。底部330は、底面330bと環状部330cとによって規定される空間を閉塞する円板部332をさらに有している。円板部332は、ねじによって底面330bに対して固定されている。識別子331は、底面330bと円板部332との間に挟み込まれている。
【0094】
本実施形態においては、識別子331は、永久磁石である。識別子331は、複数の薬剤収容容器300の各々において、互いに異なるように形成されている。すなわち、複数の薬剤収容容器300の各々は、互いに識別可能な識別子331を有している。なお、識別子331は、永久磁石に限られず、他の磁性体であってもよい。また、識別子331は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0095】
図23に示すように、蓋部340は、第1開口部313を閉塞可能である。
図23および
図24に示すように、蓋部340は、外蓋341と内蓋342とから構成されている。外蓋341は、内蓋342に対して回動可能に設けられている。具体的には、外蓋341に、1対の係合孔341hを有するアーム部341aが設けられている。内蓋342の側部に、1対の係合突起342sを有する回動軸部342pが設けられている。1対の係合孔341hと1対の係合突起342sとが互いに係合することにより、アーム部341aが回動軸部342pを中心に回動可能に支持される。その結果、外蓋341が内蓋342に対して回動可能となる。
【0096】
内蓋342の内蓋面342cには、複数の開口部342hが形成されている。外蓋341が閉じた状態において、外蓋341と内蓋面342cとの間に、乾燥材または薬剤のPTP(Press-Through-Package)包装シートの耳などを入れるための空間が形成される。内蓋342の内周面に、円筒部320の雄ねじと螺合する雌ねじが形成されている。
【0097】
本実施形態においては、ベース部200は、薬剤供給部および薬剤収容容器300の各々を別々に着脱可能である。
図31は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるベース部に薬剤供給モジュールおよび薬剤収容容器の各々が取り付けられた状態を示す正面図である。
図32は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備えるベース部に薬剤供給モジュールおよび薬剤収容容器の各々が取り付けられた状態において、ベース部の一部のカバーを取り外した状態を示す正面図である。
図33は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置から、薬剤収容容器およびベース部の一部のカバーを取り外した状態を示す正面側斜視図である。
図34は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置からベース部の他の一部のカバーを取り外した状態を示す背面側斜視図である。
【0098】
図31および
図32に示すように、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置10において、薬剤収容容器300は、蓋部340を取り外した状態でベース部200に取り付けられる。ベース部200に取り付けられた状態の薬剤収容容器300は、薬剤供給部である薬剤供給モジュール100の上方に位置している。薬剤収容容器300がベース部200に取り付けられた状態において、薬剤収容容器300の軸線3は水平面に対して傾斜している。たとえば、薬剤収容容器300がベース部200に取り付けられた状態において、薬剤収容容器300の軸線3は水平面に対して20°傾斜している。
【0099】
図33に示すように、ベース部200には、薬剤収容容器300を軸線3まわりに回転可能に支持する4つのローラ部が設けられている。具体的には、ベース部200に、1対の回転軸が設けられている。1対の回転軸の一方に、互いに間隔をあけて1対のローラ部281が取り付けられている。1対の回転軸の他方に、互いに間隔をあけて1対のローラ部282が取り付けられている。ベース部200には、薬剤収容容器300が取り付けられたことを検出する容器検出センサ233が設けられている。
【0100】
図32および
図33に示すように、ベース部200には、薬剤収容容器300の第1開口部313から排出された薬剤を、薬剤供給モジュール100の蓋部材120の薬剤供給孔127に導く接続管路290が設けられている。
【0101】
図32に示すように、ベース部200には、薬剤収容容器300の識別子331を認識する識別センサ234が設けられている。本実施形態においては、識別センサ234は、磁気センサである。なお、識別センサ234は、磁気センサに限られず、識別子331を認識可能なセンサであればよい。また、識別センサ234は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0102】
図32に示すように、ベース部200には、上記のように、回転体110を駆動する第1駆動源である第1モータ270と、開閉部141を駆動する第2駆動源である第2モータ271とが設けられている。
図34に示すように、ベース部200には、上記の1対の回転軸の一方を駆動する第3駆動源である第3モータ272が設けられている。
【0103】
図31および
図33に示すように、ベース部200の正面には、表示部250が設けられている。本実施形態においては、表示部250は、複数の色の中から選択的に1つの色で発光する。また、表示部250は、点滅発光することも可能である。表示部250の発光パターンによって、薬剤供給装置10の状態を表すことができる。
【0104】
ここで、本実施形態に係る薬剤供給装置10が備え付けられる薬剤分包装置について説明する。
図35は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置が備え付けられる薬剤分包装置の構成を示す正面図である。
図36は、
図35の薬剤分包装置を矢印XXXVI方向から見た平面図である。なお、
図36においては、薬剤分包装置の天井部を透視して図示している。
【0105】
図35および
図36に示すように、本実施形態に係る薬剤供給装置10が備え付けられる薬剤分包装置400は、筐体410と、回転ドラム420と、ホッパ430と、包装部440とを備えている。筐体410は、回転ドラム420と、ホッパ430と、包装部440とを収容している。筐体410は、開閉可能な扉を有している。
【0106】
回転ドラム420は、筐体410内において、軸線4まわりに回転可能に支持されている。回転ドラム420には、複数の薬剤供給装置10および複数の薬剤供給カセット20が取り付けられる。すなわち、薬剤供給装置10は、移動可能な状態で筐体410内に収容されている。複数の薬剤供給カセット20の各々は、複数の薬剤を収容しており、必要数の薬剤を供給可能に構成されている。
【0107】
複数の薬剤供給モジュール100の各々は、複数の薬剤供給カセット20のうちの薬剤が空になった薬剤供給カセット20の代わりに、当該薬剤を供給することができる。この場合、当該薬剤を供給する薬剤供給装置10においては、当該薬剤を収容する薬剤収容容器300がベース部200に取り付けられる。また、複数の薬剤供給モジュール100の各々は、複数の薬剤供給カセット20の各々に収容されている薬剤とは異なる他の薬剤を供給することができる。この場合、他の薬剤を供給する薬剤供給装置10においては、他の薬剤を収容する薬剤収容容器300がベース部200に取り付けられる。
【0108】
図35に示すように、回転ドラム420には、薬剤搬送路421が設けられている。薬剤搬送路421は、ホッパ430の上方に位置している。
図36に示すように、回転ドラム420の外周側に、薬剤供給装置10および薬剤供給カセット20が環状に並んで配置されている。
図35に示すように、薬剤供給装置10および薬剤供給カセット20の各々は、上下方向に並んで配置されている。薬剤供給装置10および薬剤供給カセット20の各々は、薬剤搬送路421と接続されている。薬剤供給装置10および薬剤供給カセット20の各々から供給された薬剤は、薬剤搬送路421を通過してホッパ430内に投入される。ホッパ430内に投入された薬剤は、包装部440にて包装される。
【0109】
なお、薬剤分包装置400の構成は、上記に限られない。たとえば、薬剤供給装置10および薬剤供給カセット20の各々が、回転ドラム420の代わりにスライド可能なラックに取り付けられていてもよい。この場合、ラックを筐体410の外側に引き出すことにより、薬剤供給装置10および薬剤供給カセット20の各々を筐体410の外側に移動させることができる。なお、ラックのスライド方向は、筐体410の前後方向でもよいし、筐体410の左右方向でもよい。また、筐体410の扉が観音開きする構造であってもよい。
【0110】
図37は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置と薬剤分包装置との接続系統を示すブロック図である。
図37に示すように、本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置400は、制御部41を有している。本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置10は、制御部41と電気的に接続される接続部11を有している。
【0111】
接続部11は、ベース部200に設けられている。接続部11は、第1センサ231、第2センサ232、容器検出センサ233、識別センサ234、薬剤補充センサ235、表示部250、第1モータ270、第2モータ271および第3モータ272の各々と電気的に接続されている。接続部11は、いわゆるインターフェースである。
【0112】
第1センサ231、第2センサ232、容器検出センサ233、識別センサ234および薬剤補充センサ235の各々の出力信号は、接続部11を通じて制御部41に入力される。制御部41は、各センサから入力された信号に基づいて、接続部11を通じて、表示部250、第1モータ270、第2モータ271および第3モータ272の各々に駆動信号を出力する。
【0113】
以下、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置10の動作について説明する。まず、薬剤供給部である薬剤供給モジュール100の動作について説明する。
【0114】
薬剤供給孔127から蓋部材120の内側に供給された薬剤は、斜面110s上に位置し、第1周壁部121によって支持される。第1モータ270によって、第1回転部111および第2回転部112の各々が駆動される。
【0115】
第1回転部111が駆動されることにより、第1周壁部121によって支持されている薬剤が第1周壁部121に沿って搬送される。第1周壁部121によって支持されている薬剤は、第1周壁部121に沿って搬送される間に、第1周壁部121に沿って整列させられる。
【0116】
第1周壁部121によって支持されている薬剤は、回転方向2の先頭側に位置する薬剤から順次、第1傾斜壁部124に沿って下降しつつ上記径方向外側に移動することにより、第2周壁部122によって支持される。
【0117】
第1傾斜壁部124に沿って下降する薬剤は、重力によって加速されるため、第1傾斜壁部124に沿って搬送されている薬剤より移動速度が高くなる。これにより、第1傾斜壁部124に沿って下降した薬剤と、第1傾斜壁部124に沿って下降する前の薬剤との間隔が広くなる。
【0118】
第1回転部111が駆動されることにより、第2周壁部122によって支持されている薬剤が第2周壁部122に沿って搬送される。第2周壁部122によって支持されている薬剤は、回転方向2の先頭側に位置する薬剤から順次、第2傾斜壁部125に沿って下降しつつ上記径方向外側に移動することにより、第3周壁部123によって支持される。
【0119】
第2傾斜壁部125に沿って下降する薬剤は、重力によって加速されるため、第2傾斜壁部125に沿って搬送されている薬剤より移動速度が高くなる。これにより、第2傾斜壁部125に沿って下降した薬剤と、第2傾斜壁部125に沿って下降する前の薬剤との間隔が広くなる。
【0120】
第2回転部112が駆動されることにより、第3周壁部123によって支持されている薬剤が第3周壁部123に沿って搬送される。第2回転部112の回転速度は、第1回転部111の回転速度より高いため、第3周壁部123によって支持されている薬剤と、第2周壁部122によって支持されている薬剤との間隔が広くなる。
【0121】
第3周壁部123によって支持されている薬剤は、回転方向2の先頭側に位置する薬剤から順次、立壁部132によって支持される。第2回転部112が駆動されることにより、立壁部132によって支持されている薬剤は、立壁部132に沿って搬送される。
【0122】
薬剤止め部142が斜面110sに接近している状態においては、立壁部132に沿って搬送される薬剤の排出部131への移動が阻止される。そこで、第2モータ271によって、回動軸140sが回動させられる。
【0123】
回動軸140sが一方に回動させられることにより、開閉部材140が回動軸140sを中心に回動し、開閉部141によって塞がれていた排出部131が開放され、薬剤止め部142が斜面110sから離間する。これにより、立壁部132によって支持されている薬剤のうち回転方向2の先頭側に位置する薬剤が、1つずつ排出部131から排出される。
【0124】
このとき、第1センサ231が、斜面110s上の薬剤が排出部131から排出されたことを検出する。第2センサ232が、排出部131から排出された薬剤を検出する。
【0125】
排出部131から薬剤が排出された後、回動軸140sが他方に回動させられることにより、開閉部材140が回動軸140sを中心に回動し、開閉部141によって排出部131が閉鎖され、薬剤止め部142が斜面110sに接近する。
【0126】
これにより、立壁部132によって支持されている薬剤は、薬剤止め部142によって排出部131への移動が阻止されるとともに、開閉部141によって排出部131からの排出が阻止される。上記のように、開閉部141は、薬剤供給部から薬剤を供給するときは開状態となり、薬剤供給部から薬剤を供給しないときは閉状態となる。
【0127】
なお、薬剤供給装置10にて、排出部131から薬剤が排出された際、振動部260を一時的に停止させるとともに、回転体110を一時的に逆転させ、次に排出部131から排出される薬剤を斜面110s上に保持するようにしてもよい。このようにした場合、排出部131から複数の薬剤が同時に排出されることを抑制することができる。
【0128】
若しくは、薬剤供給装置10にて、排出部131から薬剤が排出された際、振動部260を一時的に停止させるとともに、回転体110を一時的に停止させ、次に排出部131から排出される薬剤を斜面110s上に保持するようにしてもよい。このようにした場合にも、排出部131から複数の薬剤が同時に排出されることを抑制することができる。
【0129】
また、薬剤供給部が筐体410に対して移動するときは、薬剤供給部が停止するとともに開閉部141が閉状態となった後、薬剤供給部の移動が開始される。このようにした場合、薬剤供給部の移動中に、排出部131から不所望の薬剤が排出されることを抑制できる。
【0130】
薬剤供給部からの薬剤の供給を再開させるときは、開閉部141が開状態となるとともに薬剤供給部が再稼働する。このようにした場合、薬剤供給部が再稼働直後から、薬剤を排出部131から排出可能とすることができる。
【0131】
次に、ベース部200に取り付けられた薬剤収容容器300の動作について説明する。
【0132】
第3モータ272によって、1対のローラ部281が回転することにより、薬剤収容容器300が軸線3まわりに回転駆動される。
【0133】
薬剤収容容器300が軸線3まわりに回転駆動されることにより、薬剤収容容器300内の薬剤が螺旋溝312によって薬剤収容容器300の底部330側から第1開口部313側に搬送されて第1開口部313から排出される。
【0134】
第1開口部313から排出された薬剤は、ベース部200の接続管路290内を通過して、蓋部材120の薬剤供給孔127内に供給される。蓋部材120の薬剤供給孔127内に供給された薬剤は、薬剤供給モジュール100の排出部131から1つずつ排出される。
【0135】
なお、ベース部200には、複数の薬剤収容容器300の中から順次選択された1つの薬剤収容容器300が取り付けられる。複数の薬剤収容容器300の各々は、識別子331に基づいて設定された互いに異なる駆動条件で駆動される。薬剤供給部は、複数の薬剤収容容器300の各々に対応して駆動される。
【0136】
具体的には、薬剤の種類は、小粒の錠剤である一般的な薬剤と、カプセル、長細い錠剤、球形の錠剤または三角柱状の錠剤などの特殊な薬剤とがある。複数の薬剤収容容器300の各々には、一般的な薬剤または特殊な薬剤が収容される。ベース部200に薬剤収容容器300が取り付けられた際、識別センサ234からの識別子331の検出信号が接続部11を通じて入力された制御部41は、ベース部200に取り付けられた薬剤収容容器300の内部に収容されている薬剤の種類を判別する。
【0137】
薬剤収容容器300の内部に収容されている薬剤が一般的な薬剤と判別された場合には、一般的な薬剤は薬剤収容容器300の回転量毎の薬剤供給部への排出量が多いため、制御部41は、薬剤収容容器300から薬剤供給部への薬剤の補充を薬剤補充センサ235によって検出した直後に、薬剤収容容器300の回転駆動を停止させる。この後、薬剤補充センサ235によって薬剤が検出されなくなると、薬剤収容容器300の回転駆動を再開する。これによって薬剤供給部に薬剤が過供給されることを防止できる。
【0138】
薬剤収容容器300の内部に収容されている薬剤が特殊な薬剤と判別された場合には、特殊な薬剤は薬剤収容容器300の回転量毎の薬剤供給部への排出量が少なくなる傾向にあるため、制御部41は、薬剤収容容器300から薬剤供給部への薬剤の補充を薬剤補充センサ235によって検出してから薬剤収容容器300の回転駆動を停止させるまでの時間を、一般的な薬剤の場合に比較して長くする。若しくは、制御部41は、薬剤収容容器300の回転速度を、一般的な薬剤の場合に比較して高くする。さらに、制御部41は、回転体110の回転速度も、一般的な薬剤の場合に比較して高くする。このようにすることにより、回転駆動によって排出しにくい特殊な薬剤の場合においても、薬剤補充に要する時間を一般的な薬剤に近づけるとともに、排出部131から1つずつ薬剤を供給することができる。
【0139】
本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置10においては、回転体110と周壁部と排出部131とを備えていることにより、個々の薬剤に応じた調整作業をすることなく、回転体110の回転により周壁部に沿って薬剤を搬送することによって、薬剤を周壁部に沿って整列させ、回転体110の回転方向2の下流側に位置する薬剤から順に1つずつ供給することができる。
【0140】
本実施形態においては、複数の周壁部が、回転体110の回転方向2に互いに並んでおり、かつ、回転方向2の下流側に位置する周壁部ほど上記径方向の外側かつ下方に位置している。これにより、回転方向2の上流側の周壁部から下流側の周壁部に薬剤が乗り移る際に、薬剤同士の重なりを解消し、薬剤を整列させて1つずつ供給することができる。具体的には、斜面110sに沿って上下に互いに隣り合う薬剤があった場合に、上流側の周壁部から下流側の周壁部に薬剤が乗り移る際に、薬剤を下流側の周壁部に沿って1列に位置させることができる。これにより、薬剤同士の重なりを解消することができる。
【0141】
本実施形態においては、斜面110sに、薬剤の転動を防止する転動防止部が設けられている。これにより、転がりやすい薬剤を回転体110の回転により周壁部に沿って搬送することができる。
【0142】
本実施形態においては、転動防止部は、斜面110sの頂点部から放射状に設けられた凹条部で構成されている。これにより、転動防止部を簡易に形成することができる。
【0143】
本実施形態においては、周壁部は、斜面110sに対して離間している。これにより、周壁部および回転体110の各々の摩耗を抑制できる。
【0144】
本実施形態においては、薬剤供給装置10が、回転体110の下方に位置し、回転体110を回転可能に支持する支持部150をさらに備える。これにより、薬剤から生じる粉を、支持部150で受けることができる。また、回転体110は、支持部150に対して着脱可能に設けられている。これにより、回転体110と支持部150との間に溜まった粉を、容易に取り除くことができる。
【0145】
本実施形態の第3変形例においては、支持部150は、軸線1と同軸状に配置された回転軸部をさらに含む。回転軸部は、回転体110と着脱可能に接続されている。これにより、回転体110と支持部150との間に溜まった粉を、容易に取り除くことができる。
【0146】
本実施形態においては、薬剤供給装置10が、斜面110sを上方から覆う蓋部126をさらに備える。これにより、斜面110s上から薬剤が飛び出すことを防止できる。
【0147】
本実施形態においては、蓋部126は、斜面110sを上方に開放可能に設けられている。これにより、蓋部126の内面および斜面110sを清掃することができる。
【0148】
本実施形態においては、周壁部は、蓋部126と一体で構成されている。これにより、薬剤供給装置10の構成を簡素にできる。
【0149】
本実施形態においては、周壁部および蓋部126の各々は、透明部材で構成されている。これにより、薬剤供給装置10内に残されている薬の有無を外側から目視によって確認できる。
【0150】
本実施形態においては、排出部131に対して回転体110の回転方向2の上流側にて隣接し、上記径方向の内側に突き出た突起部133が設けられている。排出部131に移動する薬剤は、斜面110sに沿って上方に移動しつつ突起部133を越えることにより排出部131から排出される。これにより、排出部131から薬剤が同時に2つ排出されることを抑制することができる。
【0151】
本実施形態においては、薬剤供給装置10は、回転体110と周壁部と排出部131とを含んで一体に構成された薬剤供給モジュール100が着脱可能なベース部200をさらに備える。これにより、薬剤供給モジュール100を容易に清掃することができる。
【0152】
本実施形態においては、薬剤供給装置10は、第1センサ231をさらに備える。これにより、排出部131から薬剤が排出されたことを検出できる。
【0153】
本実施形態においては、薬剤供給装置10は、第2センサ232をさらに備える。これにより、排出部131から複数の薬剤が同時に排出されたことを検出できる。
【0154】
本実施形態においては、回転方向2に互いに隣り合う周壁部同士は、回転方向2の下流側に行くにしたがって上記径方向の外側に延在しつつ下降する傾斜壁部にて互いに接続されている。これにより、薬剤が傾斜壁部に沿って移動する際に、斜面110sに沿って上下に互いに隣り合う薬剤同士の重なりを解消することができる。
【0155】
本実施形態においては、傾斜壁部は、斜面110sから上方に離れるにしたがって、回転方向2の下流側に傾斜している。これにより、薬剤が傾斜壁部に沿って移動する際に、周壁部に沿って上下に互いに隣り合う薬剤同士の重なりを解消することができる。
【0156】
本実施形態においては、回転方向2に互いに隣り合う周壁部同士のうち回転方向2の上流側に位置する周壁部における回転方向2の下流側の部分は、回転方向2の下流側に行くにしたがって斜面110sから離れている。これにより、薬剤が傾斜壁部に沿って移動する際に、周壁部に沿って上下に互いに隣り合う薬剤同士の重なりを解消することができる。
【0157】
本実施形態においては、回転体110は、第1回転部111と、第2回転部112とを含み、第2回転部112の回転速度は、第1回転部111の回転速度より高い。これにより、回転方向2に互いに隣り合う周壁部のうち上流側の周壁部から下流側の周壁部に薬剤が乗り移る際に、回転方向2に互いに隣り合う薬剤同士の間隔を広げることができる。
【0158】
本実施形態においては、第1回転部111および第2回転部112の各々は、共通の駆動源によって駆動される。これにより、薬剤供給装置10の構成を簡素にできる。
【0159】
本実施形態においては、薬剤供給装置10は、排出部131を開閉可能な開閉部141をさらに備える。これにより、意図しないタイミングで排出部131から薬剤が排出されることを抑制することができる。
【0160】
本実施形態においては、排出部131に対して回転体110の回転方向2の上流側にて、斜面110sに沿って上記径方向に延在しつつ排出部131と隣接する薬剤止め部142が設けられている。これにより、意図しないタイミングで排出部131から薬剤が排出されることを抑制することができる。
【0161】
本実施形態においては、薬剤止め部142は、開閉部141と一体で構成されている。これにより、薬剤供給装置10の構成を簡素にできる。
【0162】
本実施形態においては、開閉部141および薬剤止め部142の各々は、共通の駆動源によって駆動される。これにより、薬剤供給装置10の構成を簡素にできる。
【0163】
本実施形態においては、開閉部141は、排出部131を閉じる方向に付勢されている。これにより、開閉部141によって確実に排出部131を閉じることができるため、意図しないタイミングで排出部131から薬剤が排出されることを抑制することができる。
【0164】
本実施形態においては、開閉部141は、薬剤供給部から薬剤を供給するときは開状態となり、薬剤供給部から薬剤を供給しないときは閉状態となる。これにより、意図しないタイミングで排出部131から薬剤が排出されることを抑制することができる。
【0165】
本実施形態においては、薬剤供給部は、移動可能な状態で筐体410内に収容されている。薬剤供給部が筐体410に対して移動するときは、薬剤供給部が停止するとともに開閉部141が閉状態となった後、薬剤供給部の移動が開始される。これにより、薬剤供給部の移動中に、排出部131から不所望の薬剤が排出されることを抑制できる。
【0166】
本実施形態においては、薬剤供給部からの薬剤の供給を再開させるときは、開閉部141が開状態となるとともに薬剤供給部が再稼働する。これにより、薬剤供給部が再稼働直後から、薬剤を排出部131から排出可能とすることができる。
【0167】
本実施形態においては、薬剤供給装置10は、周壁部を振動させる振動部260をさらに備える。これにより、振動部260によって周壁部を振動させることで、薬剤同士の重なりを解消することができる。
【0168】
本実施形態においては、薬剤供給装置10は、周壁部と排出部131との間に設けられ、薬剤を上記径方向の外側から支持する立壁部132をさらに備える。立壁部132は、振動部260による振動が立壁部132に直接伝播しないように、周壁部とは別部材で構成されている。これにより、振動部260の振動によって排出部131から複数の薬剤が同時に排出されることを抑制することができる。
【0169】
本実施形態においては、振動部260は、蓋部126を介して周壁部を振動させる。これにより、周壁部を直接的に振動させる場合に比べて、振動部260の配置が容易である。
【0170】
本実施形態においては、振動部260は、蓋部126に対して接離可能に設けられている。これにより、蓋部126を容易に取り外して清掃することができる。
【0171】
本実施形態においては、振動部260および蓋部126の各々の接触部は、磁力によって互いに引き合っている。これにより、振動部260の振動を確実に蓋部126に伝播させることができるとともに、振動部260と蓋部126とを容易に脱着させることができる。
【0172】
本実施形態においては、蓋部126と支持部150との間に、緩衝部材170が設けられている。これにより、振動部260の振動が支持部150に伝播することを抑制することができる。また、周壁部は、斜面110sに対して離間している。これにより、周壁部の振動が回転体110に伝播することを抑制できる。
【0173】
本実施形態においては、薬剤供給装置10は、薬剤供給部と薬剤収容容器300とベース部200とを備える。薬剤供給部は、排出部131を有し、排出部131に向けて薬剤を一列に整列させつつ搬送し、排出部131から薬剤を先頭から順に排出して1つずつ供給する。薬剤収容容器300は、薬剤を収容し、駆動されることにより薬剤供給部に薬剤を補充する。ベース部200は、薬剤供給部および薬剤収容容器300の各々を別々に着脱可能である。これにより、薬剤供給装置10の使用態様の自由度を高くすることができる。
【0174】
本実施形態においては、薬剤収容容器300は、底部330および第1開口部313を含む有底円筒状の形状を有し、かつ、内周面に螺旋溝312が形成されている。薬剤収容容器300がベース部200に取り付けられた状態において、薬剤収容容器300の軸線3は水平面に対して傾斜している。薬剤収容容器300が軸線3まわりに回転駆動されることにより、薬剤収容容器300内の薬剤が螺旋溝312によって薬剤収容容器300の底部330側から第1開口部313側に搬送されて第1開口部313から排出される。これにより、簡単な構成によって、少量の薬剤を薬剤供給部に補充することができる。
【0175】
本実施形態においては、本体筒310の内周面に形成されている螺旋溝312の相対する1対の壁面において、第1開口部313側に位置する壁面と垂線4とのなす角αは、第2開口部314側に位置する壁面と垂線4とのなす角βより大きい。これにより、螺旋溝312内に薬剤が詰まることを抑制しつつ、薬剤を第1開口部313側に安定して搬送して第1開口部313から排出することができる。
【0176】
本実施形態においては、薬剤収容容器300の内側の底面330bは、薬剤収容容器300の外側に凸状の曲面形状を有している。これにより、薬剤収容容器300の底面330bの近傍で薬剤が詰まることを抑制することができる。
【0177】
本実施形態においては、薬剤収容容器300は、第1開口部313を閉塞可能な蓋部340をさらに含む。これにより、薬剤収容容器300内に薬剤を貯蔵することができる。また、外蓋341と内蓋面342cとの間に、乾燥材を入れておくことにより、薬剤の長期貯蔵が可能となり、薬剤のPTP包装シートの耳を入れておくことにより、貯蔵している薬剤の品種を確認可能となる。
【0178】
本実施形態においては、ベース部200には、複数の薬剤収容容器300の中から順次選択された1つの薬剤収容容器300が取り付けられる。これにより、薬剤供給部に補充が必要な薬剤を収容している薬剤収容容器300を、選択的にベース部200に取り付けることができる。
【0179】
本実施形態においては、複数の薬剤収容容器300の各々は、互いに識別可能な識別子331を有する。複数の薬剤収容容器300の各々は、識別子331に基づいて設定された互いに異なる駆動条件で駆動される。これにより、回転駆動によって排出しにくい特殊な薬剤の場合においても、薬剤供給部への薬剤補充に要する時間を一般的な薬剤に近づけることができる。
【0180】
本実施形態においては、薬剤供給部は、複数の薬剤収容容器300の各々に対応して駆動される。これにより、回転駆動によって排出しにくい特殊な薬剤の場合においても、薬剤供給部の排出部131から1つずつ薬剤を供給することができる。
【0181】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0182】
1,3 軸線、2 回転方向、4 垂線、10 薬剤供給装置、11 接続部、20 薬剤供給カセット、41 制御部、100 薬剤供給モジュール、110 回転体、110s 斜面、111 第1回転部、111c 第1凹条部、111g 第1従動歯車、111p 第1回転軸、112 第2回転部、112b ボス、112c 第2凹条部、112g 第2従動歯車、112h,140b,341h 係合孔、112p 第2回転軸、112ph 貫通孔、120,120x 蓋部材、120p 突出部、121 第1周壁部、122 第2周壁部、123 第3周壁部、124 第1傾斜壁部、125 第2傾斜壁部、126,340 蓋部、127 薬剤供給孔、128 切欠部、129 取付部、130,130x 排出部材、130b 軸受部、131 排出部、132 立壁部、133 突起部、140 開閉部材、140s 回動軸、140t 付勢部材、141 開閉部、142 薬剤止め部、150 支持部、151 水平面部、152 立設部、153 台部、160 振動伝達板、170,170x 緩衝部材、180 保持部材、181 平板部、182 保持部、183 案内部、200 ベース部、210 第1駆動軸、211g 第1駆動歯車、212g 第2駆動歯車、220 排出シュート、231 第1センサ、232 第2センサ、233 容器検出センサ、234 識別センサ、235 薬剤補充センサ、240 第2駆動軸、250 表示部、260 振動部、270 第1モータ、271 第2モータ、272 第3モータ、281,282 ローラ部、290 接続管路、300 薬剤収容容器、310 本体筒、312 螺旋溝、312e 終端、313 第1開口部、314 第2開口部、320 円筒部、330 底部、330b 底面、330c 環状部、331 識別子、332 円板部、341 外蓋、341a アーム部、342 内蓋、342c 内蓋面、342h 開口部、342p 回動軸部、342s 係合突起、400 薬剤分包装置、410 筐体、420 回転ドラム、421 薬剤搬送路、430 ホッパ、440 包装部。