(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】予測モータ制御を含む電動外科用デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2019123487
(22)【出願日】2019-07-02
【審査請求日】2022-07-01
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ケリー エバンス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ワインガードナー
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/180428(WO,A1)
【文献】特開2010-253272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0374449(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動手持ち式電気機械外科用デバイスであって、
前記電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、
駆動構成要素の伸張および収縮を駆動するように構成され
ているモータと、
前記駆動構成要素の伸張中に前記駆動構成要素に加えられた力を検知するように構成され
ているセンサと、
プロセッサ
と、命令を格納する非一時的なコンピュータ
読み取り可能な記憶媒体
とを含
むコントローラ
と
を備え、
前記命令
は、前記プロセッサによって実行されると
、
前記センサか
ら前記検知された力を受容
することと、
前記検知された力に従って、前記駆動構成要素の伸張中の前記モータの速度を制御
することと、
前記駆動構成要素の伸張中の速度プロファイルを決定
することと、
前記駆動構成要素の伸張中の前記速度プロファイルに対して時系列的に逆の順序を有する速度プロファイルを用いて、前記駆動構成要素の収縮中の前記モータの速度を制御
することと
を前記プロセッサに行わせる、電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項2】
前記電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、
前記モータおよびコントローラを含
むハンドルアセンブリ
であって、前記モータおよび前記コントローラは、前記ハンドルアセンブリの内部に配置されている、ハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリと解放可能に係合され
ているアダプタアセンブリであって、前記アダプタアセンブリは、前記駆動構成要素およびセンサを含
み、前記駆動構成要素および前記センサは、前記アダプタアセンブリの内部に配置されている、アダプタアセンブリ
と
をさらに備える、請求項1に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項3】
前記電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、前記アダプタアセンブリと解放可能に係合され
ているエンドエフェクタをさらに備え
、
前記駆動構成要素の伸張
は、前記エンドエフェクタを閉鎖
することまたは発射することのうちの少なくとも
一方を行い
、
前記駆動構成要素の収縮
は、前記エンドエフェクタを開放する
ことを行う、請求項2に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項4】
前記センサ
は、ひずみゲージである、請求項1に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項5】
前記モータ
は、回転出力を
提供し、前記回転出力
は、前記駆動構成要素を伸張および収縮するように、前記駆動構成要素の並進運動に変換され
る、請求項1に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項6】
電動手持ち式電気機械外科用デバイスであって、
前記電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、
駆動構成要素の伸張および収縮を駆動するように構成され
ているモータと、
前記駆動構成要素の伸張中に前記駆動構成要素に加えられた力を検知するように構成され
ているセンサと、
プロセッサ
と、命令を格納する非一時的なコンピュータ
読み取り可能な記憶媒体
とを含
むコントローラ
と
を備え、
前記命令
は、前記プロセッサによって実行されると
、
前記センサか
ら前記検知された力を受容
することと、
前記検知された力に従って、前記駆動構成要素の伸張中の前記モータの速度を制御
することと、
前記駆動構成要素の伸張中の力プロファイルを決定
することと、
前記駆動構成要素の伸張中の前記力プロファイルに対して時系列的に一致する順序を有する速度プロファイルを用いて、前記駆動構成要素の収縮中の前記モータの速度を制御
することと
を前記プロセッサに行わせる、電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項7】
前記電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、
前記モータおよびコントローラを含むハンドルアセンブリ
であって、前記モータおよび前記コントローラは、前記ハンドルアセンブリの内部に配置されている、ハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリと解放可能に係合され
ているアダプタアセンブリであって、前記アダプタアセンブリは、前記駆動構成要素およびセンサを含
み、前記駆動構成要素および前記センサは、前記アダプタアセンブリの内部に配置されている、アダプタアセンブリ
と
をさらに備える、請求項6に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項8】
前記電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、前記アダプタアセンブリと解放可能に係合され
ているエンドエフェクタをさらに備え
、
前記駆動構成要素の伸張
は、前記エンドエフェクタを閉鎖
することまたは発射することのうちの少なくとも
一方を行い
、
前記駆動構成要素の収縮
は、前記エンドエフェクタを開放する
ことを行う、請求項7に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項9】
前記センサ
は、ひずみゲージである、請求項6に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項10】
前記モータ
は、回転出力を
提供し、前記回転出力
は、前記駆動構成要素を伸張および収縮するように、前記駆動構成要素の並進運動に変換され
る、請求項6に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
【請求項11】
電動手持ち式電気機械外科用デバイスを
動作させる方法であって、
前記電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、コントローラおよびセンサを備え、
前記コントローラが、モータを作動させ
ることにより、駆動構成要素の伸張を駆動することと、
前記センサが、前記駆動構成要素の伸張中に前記駆動構成要素に加えられた力を検知することと、
前記コントローラが、前記検知された力に従って前記駆動構成要素の伸張中に前記モータの速度を制御することと、
前記コントローラが、前記駆動構成要素の伸張中の速度プロファイル
または前記駆動構成要素の伸張中の力プロファイルのうちの
一方を決定することと、
前記コントローラが、前記駆動構成要素の伸張中の前記速度プロファイルに対して時系列的に逆の順序を有する速度プロファイルを用いて、または
、前記駆動構成要素の伸張中の前記力プロファイルに対して時系列的に一致する順序を有する速度プロファイルを用いて、前記駆動構成要素の収縮中に前記モータの速度を制御すること
と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年7月9日に出願された米国仮特許出願第62/695,421号の利益および優先権を主張し、この開示全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、外科用デバイスに関する。より具体的には、本開示は、電動手持ち式電気機械外科用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの製造業者が、デバイスの遠位端でエンドエフェクタを動作させる、および/または操作するための電動駆動システムを組み込んだ外科用デバイスを開発してきた。多くの場合、外科用デバイスは、再利用可能である電動ハンドルアセンブリと、使用前に電動ハンドルアセンブリに選択的に接続され、その後、廃棄するため、または場合によっては、再利用のために滅菌するため、使用後にそこから切り離されるエンドエフェクタと、を含む。
【0004】
例えば、電気機械外科用ステープラなどの電動外科用デバイスの使用は、過去数十年にわたり飛躍的に成長した。これらのインテリジェントデバイス内の高度な技術および情報は、性能を改善し、設計の改善を推進し、かつ最終的には患者の転帰を改善するために使用することができる、臨床および運用データを収集する機能を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において詳述され、図面に示されるように、外科用器具上の相対的な位置決めに言及するときに伝統的であるように、「近位」という用語は、使用者により近い装置またはその構成要素の端を指し、「遠位」という用語は、使用者からより離れた装置またはその構成要素の端部を指す。さらに、矛盾しない程度に、本明細書に詳述される態様および特徴のいずれかまたは全ては、本明細書に詳述される他の態様および特徴のいずれかまたは全てと併せて使用されてもよい。
【0006】
本開示の態様に従って、駆動構成要素の伸張および収縮を駆動するように構成されたモータと、駆動構成要素の伸張中に駆動構成要素に加えられた力を検知するように構成されたセンサと、プロセッサおよび非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む、コントローラと、を含む、電動手持ち式電気機械外科用デバイスが提供される。記憶媒体は、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに、センサからの検知された力を受容させ、検知された力に従って、駆動構成要素の伸張中のモータの速度を制御させ、駆動構成要素の伸張中の速度プロファイルおよび/または力プロファイルを決定させ、かつ速度プロファイルおよび/または力プロファイルに従って駆動構成要素の収縮中のモータの速度を制御させる、命令を格納する。
【0007】
本開示の態様において、電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、内部に配置されたモータおよびコントローラを含む、ハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリと解放可能に係合され、かつ内部に配置された駆動構成要素およびセンサを含む、アダプタアセンブリと、をさらに含む。
【0008】
本開示の別の態様において、電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、アダプタアセンブリと解放可能に係合されたエンドエフェクタをさらに含む。このような態様において、駆動構成要素の伸張は、エンドエフェクタを閉鎖または発射することのうちの少なくとも1つを行い、駆動構成要素の収縮は、エンドエフェクタを開放する。
【0009】
本開示のさらに別の態様において、センサは、歪みゲージである。
【0010】
本開示のなお別の態様において、モータは、回転出力を提供する。回転出力は、駆動構成要素の並進運動に変換されて、駆動構成要素を伸張および収縮させる。
【0011】
本開示の態様に従って提供される電動手持ち式電気機械外科用デバイスを制御する方法は、モータを作動させて駆動構成要素の伸張を駆動することと、駆動構成要素の伸張中に駆動構成要素に加えられた力を検知することと、検知された力に従って駆動構成要素の伸張中にモータの速度を制御することと、駆動構成要素の伸張中の速度プロファイル、または駆動構成要素の伸張中の力プロファイルのうちの1つを決定することと、速度プロファイルまたは力プロファイルに従って、駆動構成要素の収縮中にモータの速度を制御することと、を含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
電動手持ち式電気機械外科用デバイスであって、
駆動構成要素の伸張および収縮を駆動するように構成されたモータと、
前記駆動構成要素の伸張中に前記駆動構成要素に加えられた力を検知するように構成されたセンサと、
プロセッサ、および命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む、コントローラであって、前記命令が、前記プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
前記センサからの前記検知された力を受容させ、
前記検知された力に従って、前記駆動構成要素の伸張中の前記モータの速度を制御させ、
前記駆動構成要素の伸張中の速度プロファイルを決定させ、かつ
前記速度プロファイルに従って前記駆動構成要素の収縮中の前記モータの速度を制御させる、コントローラと、を備える、デバイス。
(項目2)
内部に配置された前記モータおよびコントローラを含む、ハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリと解放可能に係合され、かつ内部に配置された前記駆動構成要素およびセンサを含むアダプタアセンブリと、をさらに備える、上記項目に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
(項目3)
前記アダプタアセンブリと解放可能に係合されたエンドエフェクタをさらに備え、前記駆動構成要素の伸張が、前記エンドエフェクタを閉鎖または発射することのうちの少なくとも1つを行い、前記駆動構成要素の収縮が、前記エンドエフェクタを開放する、上記項目のいずれか一項に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
(項目4)
前記センサが、ひずみゲージである、上記項目のいずれか一項に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
(項目5)
前記モータが、回転出力を供給し、前記回転出力が、前記駆動構成要素の並進運動に変換されて、前記駆動構成要素を伸張および収縮させる、上記項目のいずれか一項に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
(項目6)
電動手持ち式電気機械外科用デバイスであって、
駆動構成要素の伸張および収縮を駆動するように構成されたモータと、
前記駆動構成要素の伸張中に前記駆動構成要素に加えられた力を検知するように構成されたセンサと、
プロセッサ、および命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む、コントローラであって、前記命令が、前記プロセッサによって実行されるときに、前記プロセッサに、
前記センサからの前記検知された力を受容させ、
前記検知された力に従って、前記駆動構成要素の伸張中の前記モータの速度を制御させ、
前記駆動構成要素の伸張中の力プロファイルを決定させ、かつ
前記力プロファイルに従って、前記駆動構成要素の収縮中の前記モータの速度を制御させる、コントローラと、を備える、デバイス。
(項目7)
内部に配置された前記モータおよびコントローラを含むハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリと解放可能に係合され、かつ内部に配置された前記駆動構成要素およびセンサを含むアダプタアセンブリと、をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
(項目8)
前記アダプタアセンブリと解放可能に係合されたエンドエフェクタをさらに備え、前記駆動構成要素の伸張が、前記エンドエフェクタを閉鎖または発射することのうちの少なくとも1つを行い、前記駆動構成要素の収縮が、前記エンドエフェクタを開放する、上記項目のいずれか一項に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
(項目9)
前記センサが、ひずみゲージである、上記項目のいずれか一項に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
(項目10)
前記モータが、回転出力を供給し、前記回転出力が、前記駆動構成要素の並進運動に変換されて、前記駆動構成要素を伸張および収縮させる、上記項目のいずれか一項に記載の電動手持ち式電気機械外科用デバイス。
(項目11)
電動手持ち式電気機械外科用デバイスを制御する方法であって、
モータを作動させて駆動構成要素の伸張を駆動することと、
前記駆動構成要素の伸張中に前記駆動構成要素に加えられた力を検知することと、
前記検知された力に従って前記駆動構成要素の伸張中に前記モータの速度を制御することと、
前記駆動構成要素の伸張中の速度プロファイル、または前記駆動構成要素の伸張中の力プロファイルのうちの1つを決定することと、
前記速度プロファイルまたは前記力プロファイルに従って、前記駆動構成要素の収縮中に前記モータの速度を制御することと、を含む、方法。
(摘要)
電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、駆動構成要素の伸張および収縮を駆動するように構成されたモータと、駆動構成要素の伸張中に駆動構成要素に加えられた力を検知するように構成されたセンサと、プロセッサ、および命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む、コントローラであって、命令が、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに、センサからの検知された力を受容させ、検知された力に従って駆動構成要素の伸張中のモータの速度を制御させ、駆動構成要素の伸張中の速度プロファイルまたは力プロファイルを決定させ、かつ速度プロファイルまたは力プロファイルに従って駆動構成要素の収縮中のモータの速度を制御させる、コントローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の態様および特徴は、図面を参照して詳細に記載され、同様の参照番号は、類似または同一の構造要素とみなす。
【0013】
【
図1】本開示に従って使用するために構成され、ハンドルアセンブリ、アダプタアセンブリ、およびエンドエフェクタを含む外科用デバイスの斜視図である。
【
図2】
図1の外科用デバイスのハンドルアセンブリの部品を分離した斜視図である。
【
図3】
図1の外科用デバイスのアダプタアセンブリの斜視図である。
【
図4】
図1の外科用デバイスのエンドエフェクタの斜視図である。
【
図5A】
図1の外科用デバイスの閉鎖および発射中の例示的な力およびモータ速度曲線を示すグラフである。
【
図5B】
図1の外科用デバイスの収縮中の例示的なモータ速度曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、本開示の態様および特徴を例示する電動手持ち式電気機械外科用デバイスは、参照番号10によって概して識別されて示されている。外科用デバイス10は、ハンドルアセンブリ100と、アダプタアセンブリ200と、エンドエフェクタ300と、を含む。ハンドルアセンブリ100は、アダプタアセンブリ200との選択的接続のために構成され、次に、アダプタアセンブリ200は、エンドエフェクタ300との選択的接続のために構成されている。外科用デバイス10に関して本明細書で詳述するが、本開示の態様および特徴は、任意の好適な電動手持ち式電気機械外科用デバイスにも等しく適用されることが理解される。したがって、外科用デバイス10は、本開示の態様および特徴を例示するために必要な程度まで本明細書に詳述されている。外科用デバイス10のより詳細な説明は、共同所有の米国特許出願公開第2016/0310134号に見出すことができ、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
図2も参照すると、ハンドルアセンブリ100は、概して、外側ハウジングシェル112と、外側ハウジングシェル112内に配置された内側ハンドルハウジング114と、外科用デバイス10の様々な動作に電力を供給し制御するために内側ハンドルハウジング114内に配置された電源パック120と、を含む。外側ハウジングシェル112上に配置された複数のアクチュエータ116(例えば、指作動式制御ボタン、ノブ、トグル、スライド、インターフェース等)は、電源パック120のユーザー制御起動を可能にするために電源パック120と通信して、外科用デバイス10の種々の動作を実行する。
【0016】
電源パック120は、外科用デバイス10に給電するように構成された再充電可能なバッテリ122と、(少なくとも1つのプロセッサおよび関連するメモリを含む)バッテリ回路基板124と、コントローラ回路基板126と、を含む。コントローラ回路基板126は、互いに作動可能に結合された、(少なくとも1つのプロセッサおよび関連するメモリを含む)モータコントローラ回路基板126aと、(少なくとも1つのプロセッサおよび関連するメモリを含む)主コントローラ回路基板126bと、を含む。モータコントローラ回路基板126aは、バッテリ回路基板124と動作可能に結合され、それらの間、およびバッテリ回路基板124と主コントローラ回路基板126bとの間の通信を可能にする。
【0017】
電源パック120は、コントローラ回路基板126に各々電気的に接続された1つ以上のモータ128と、バッテリ122と、をさらに含む。各モータ128は、回転力を伝達するためにそこから延在するそれぞれのモータ軸(図示せず)を含み、各モータ128の独立した制御を可能にするために、モータコントローラ回路基板126a上に配置されたそれぞれのモータコントローラによって制御される。それぞれのモータ128による各モータ軸の回転は、以下に詳述されるように、外科用デバイス10の様々な動作を実行するために、アダプタアセンブリ200の対応する構成要素を駆動するように機能する。各モータ128のモータ軸は、より具体的には、ハンドルアセンブリ100のプレートアセンブリ140の出力シャフト142と協働して、ハンドルアセンブリ100からアダプタアセンブリ200への回転出力を提供するように構成されている。
【0018】
図1および2と共に
図3を参照すると、アダプタアセンブリ200は、コネクタハウジング202と、コネクタハウジング202から遠位に延在する外側チューブ204と、を含む。コネクタハウジング202は、ハンドルアセンブリ100への動作可能な接続のために構成され、外側チューブ204の先端部は、エンドエフェクタ300への動作可能な接続のために構成されている。アダプタアセンブリ200は、各々がコネクタハウジング202から近位に延在し、ハンドルアセンブリ100のプレートアセンブリ140の対応する出力軸142を経由してハンドルアセンブリ100の対応するモータ軸に動作可能に結合するように構成されて、それぞれのモータ128による各コネクタ210の独立した回転を可能にする、1つ以上の回転可能なコネクタ210をさらに含み、そのため、回転力(複数可)は、ハンドルアセンブリ100のモータ(複数可)128からアダプタアセンブリ200へ選択的に伝達され得る。アダプタアセンブリ200は、1つ以上の力/回転伝達/変換アセンブリ(図示せず)をさらに含み、各々は、コネクタハウジング202および外側チューブ204を通って延在し、コネクタ210のうちの1つに動作可能に結合される。例えば、第1の力/回転伝達/変換アセンブリは、モータ128の第1のものから第1のコネクタ210への回転入力を、アダプタアセンブリ200の関節運動バー(図示せず)の軸方向並進に変換して、エンドエフェクタ300の関節運動を達成するために提供され得、第2の力/回転伝達/変換アセンブリは、モータ128の第2のものから第2のコネクタ210への回転入力を、アダプタアセンブリ200のリングギア(図示せず)の回転に変換して、アダプタアセンブリ200、したがってエンドエフェクタ300の回転を達成するために提供され得、かつ第3の力/回転伝達/変換アセンブリは、モータ128の第3のものから第3のコネクタ210への回転入力210を、駆動構成要素、例えば、アダプタアセンブリ200の遠位駆動部材250の軸方向並進に変換して、エンドエフェクタ300の閉鎖、開放、および発射を達成するために提供され得る。
【0019】
アダプタアセンブリ200の電気アセンブリ220は、コネクタハウジング202によって支持され、ハンドルアセンブリ100への電気接続のために回路基板224から延在する複数の電気接点222を含む。電気アセンブリ220はまた、アダプタアセンブリ200によって示される閉鎖/発射負荷のフィードバック、例えば、エンドエフェクタ300を閉じ、および発射するための、アダプタアセンブリ200の遠位駆動部材250の遠位並進に関する力フィードバックのための回路基板224、例えば、少なくとも1つのプロセッサおよびその関連メモリ、に電気的に接続されたひずみゲージ226を含む。この力フィードバックは、次に、電源パック120、例えば、主コントローラ回路基板126bのプロセッサおよび関連するメモリに通信され、次に、モータコントローラ回路基板126aの適切なモータコントローラに、適切なモータ128の速度電流制限を設定するように指示して、閉鎖力および発射力が許容範囲内に維持されるようにする。回路基板224は、アダプタアセンブリ200に関するデータ、例えば、識別情報、ライフサイクル情報、システム情報、力情報を格納するように構成されたメモリをさらに含み、それらは同様に電源パック120に通信されてもよい。
【0020】
図4を参照すると、エンドエフェクタ300は、線形ステープル留めの使い捨て装填ユニットの形態である。しかしながら、他の種類のエンドエフェクタを、例えば、端部間吻合装填ユニット、複数回使用装填ユニット、横方向装填ユニット、および湾曲装填ユニットを含む、本開示の外科用デバイス10と共に使用することもできることを理解されたい。外科用デバイス10と共に利用される特定のエンドエフェクタ300は、その適切な動作を可能にするために、ハンドルアセンブリ100の電源パック120によって認識される。
【0021】
エンドエフェクタ300は、近位本体部分310と、ツールアセンブリ320と、を含む。近位本体部分310は、アダプタアセンブリ200の先端部に解放可能に取り付けるように構成され、かつツールアセンブリ320は近位本体部分310に旋回可能に取り付けられている。ツールアセンブリ320は、アンビルセンブリ330と、カートリッジアセンブリ340と、を含む。アンビルアセンブリ330およびカートリッジアセンブリ340は、ツールアセンブリ320が、開放位置または非挟持位置と、閉鎖位置または挟持位置との間で移動可能であるように互いに対して枢動可能である。
【0022】
アンビルアセンブリ330は、内部に画定されたポケット(図示せず)を形成する複数のステープルと、長手方向のスロット(図示せず)と、を有する、組織接触表面(図示せず)を画定する、アンビルプレート332を含む。カートリッジアセンブリ340は、ステープルカートリッジ342と、カートリッジキャリア344と、を含む。ステープルカートリッジ342は、複数のステープル(図示せず)を受容するために内部に形成されたステープルポケットと、実質的な長さのステープルカートリッジ342に沿って形成された長手方向スロットと、を有する、組織接触面を画定する。カートリッジキャリア344は、内部にステープルカートリッジ342を選択的に受容するように構成された細長い支持チャネルを画定する。
【0023】
エンドエフェクタ300の近位本体部分310は、アンビルアセンブリ330とカートリッジアセンブリ340との間で、動作可能に関連付けられ、かつスライド可能に配置可能な駆動アセンブリ315を含む。駆動アセンブリ315は、駆動構成要素、例えば、ナイフを含むIビームに延在する細長い駆動ビームを含む。Iビームは、アンビルアセンブリ330およびカートリッジアセンブリ340と係合し、それに対する遠位並進時に、アンビルアセンブリ330およびカートリッジアセンブリ340を互いに対して旋回させ、エンドエフェクタ300を閉鎖して、アンビルアセンブリ330とカートリッジアセンブリ340の組織接触面の間に組織を挟持する。Iビームは、アンビルアセンブリ330およびカートリッジアセンブリ340の長手方向チャネルを通って並進し、ステープルカートリッジ342から、クランプされた組織を通ってアンビルアセンブリ330のステープル形成ポケットにステープルを押し込むスレッド(図示せず)を駆動し、エンドエフェクタ300を発射して、挟持された組織の周りにステープルを形成するように、さらに構成されている。Iビームのナイフは、アンビルアセンブリ330およびカートリッジアセンブリ340を通り、画定された長手方向スロットを通って移動し、エンドエフェクタ300の発射中に、挟持およびステープル留めされた組織を長手方向に切断する。駆動アセンブリ315は、(電源パック120のモータ128のうちの1つから受容された、第1の回転出力によってもたらされる)遠位駆動部材250の遠位並進が、駆動アセンブリ315に与えられるように、アダプタアセンブリ200の遠位駆動部材250と動作可能に関連付けられ、エンドエフェクタ300を閉鎖して発射させるようにIビームを駆動する。(電源パック120のモータ128のうちの1つから受容された、第2の逆回転出力によってもたらされる)遠位駆動部材250の近位並進は、一方で、駆動アセンブリ315を近位方向に収縮させて、Iビームをその最初の位置に戻し、エンドエフェクタ300を開放して、ステープル留めおよび切断された組織を解放する。
【0024】
エンドエフェクタ300の構成および動作のより詳細な説明については、
図1および4に示すように、2009年8月31日に出願された、「TOOL ASSEMBLY FOR A SURGICAL STAPLING DEVICE」と題された、米国特許第7,819,896号を参照することができ、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
図1~4を概して参照すると、上述したように、アダプタアセンブリ200の遠位駆動部材250の遠位並進(伸張)が、エンドエフェクタ300の駆動アセンブリ315に与えられて、エンドエフェクタ300を閉鎖および発射させる。また上述したように、電源パック120は、モータ128のうちの1つを制御して、アダプタアセンブリ200に回転出力を供給し、それが次に(アダプタアセンブリ200の対応する力/回転伝達/変換アセンブリを介して)遠位駆動部材250の遠位並進に変換され、したがって、エンドエフェクタ300の閉鎖および発射を駆動する。より具体的には、電源パック120、例えば、プロセッサおよび主コントローラ回路基板126bの関連するメモリは、(回路基板224を介して)アダプタアセンブリ200のひずみゲージ226から力フィードバックを受容して、対応するモータ128に速度電流限界を設定し、挟持力および発射力が許容限界内に維持されることを確実にする。したがって、フィードバックベースに基づく制御は、ひずみゲージ226によって報告されるように、遭遇する挟持力および発射力に基づいて、挟持動作および発射動作中の異なる時点で、モータ128の速度を増加、減少、または維持することができる、フィードバックに基づく制御が達成される。
【0026】
いったん発射が完了し、ステープル留めされ切断された組織を解放するために駆動アセンブリ315および開放エンドエフェクタ300を収縮させることが望まれると、電源パック120は、モータ128のうちの1つを駆動してアダプタアセンブリ200に回転出力を提供し、それは、次に、(アダプタアセンブリ200の対応する力/回転伝達/変換アセンブリを介して)遠位駆動部材250の近位並進(収縮)に変換される。遠位駆動部材250のこの近位並進は、上述のように、駆動アセンブリ315の収縮、およびエンドエフェクタ300の開放を駆動する。しかしながら、ひずみゲージ226も、エンドエフェクタ300またはアダプタアセンブリ200の他の構成要素も、駆動アセンブリ315の収縮中は電源パック120に力フィードバックを提供せず、したがって、エンドエフェクタ300の閉鎖および発射中に提供されるフィードバックに基づく制御は、収縮中には利用可能ではない。
【0027】
駆動アセンブリ315の収縮を制御することは、収縮力を管理し、それによってシステムの損傷または誤動作を防止するために重要であることが分かっている。一方、収縮時間を最小化して、外科的処置の長さ、したがって患者が麻酔下に留まることが要求される時間を減少させることが望ましい。しかしながら、上述のように、閉鎖および発射の間に提供されるフィードバックに基づく制御は、収縮中には利用可能ではない。
【0028】
収縮時間を最小化しつつ、収縮を制御して、収縮力を管理するために、閉鎖/発射を制御するために使用される歪みゲージ226からの力フィードバックが、収縮中に利用され、したがって収縮力フィードバックの必要性がなくなる。より具体的には、電源パック120の主コントローラ回路基板126bのプロセッサに関連付けられたメモリ(または電源パック120に関連付けられた他の好適なメモリ)は、閉鎖および発射中に、(歪みゲージ226から受容した情報に基づく)力プロファイル、および/または(歪みゲージ226からの力フィードバックに基づく適切なモータ128の制御に基づく)モータ速度プロファイルを格納するように構成され、その結果、プロファイルは、収縮を制御するために利用され得る。
【0029】
図5Aをさらに参照すると、閉鎖/発射のための(例示目的のための)サンプルの力およびモータ速度プロファイルが提供されている。図示のように、モータ128は、最初に、閉鎖/発射の最初の第1の部分「F1」のために、第1の速度「S1」で駆動される。力の減少に応答して、モータ128の速度は、閉鎖/発射の第2の部分「F2」の間に第2の速度「S2」まで増加する。引き続いて力が増加すると、モータ128は、閉鎖/発射の第3の部分「F3」の間に、第2の速度「S2」から第3の速度「S3」に減少させられる。なおさらに力が増加すると、モータ128は、閉鎖/発射の第4の部分「F4」の間に第4の速度「S4」まで減少する。最後に、力の減少により、モータ128は、閉鎖/発射「F5」の第5の最後の部分の間に、第4の速度「S4」から第5の速度「S5」に速度を増加させる。
【0030】
図5Bも参照すると、閉鎖/発射のためのサンプルの力および/またはモータ速度プロファイルに基づく、収縮用サンプルモータ速度プロファイル(
図5Aを参照)が提供されている。
図5Bに示されるように、モータ速度は、閉鎖/発射力プロファイルおよび/または閉鎖/発射モータ速度プロファイルに基づいて、増加した力が満たされる可能性が高い、および/または減少したモータ速度が必要とされる可能性が高い、収縮部分を考慮して、収縮中に制御される(
図5Aを参照)。理解されるように、収縮は、閉鎖/発射とは反対方向に行われ、したがって、収縮モータ速度プロファイルは、閉鎖/発射モータ速度プロファイルとは反対に相関する。同様に、収縮モータ速度プロファイルは、閉鎖/発射力プロファイルと反対に相関し得る。より具体的には、閉鎖/発射の最後の第5の部分「F5」に対応する、収縮の最初の第1の部分「R1」の間、モータは、速度「S5」に設定される。閉鎖/発射の第4の部分「F4」に対応する、収縮の第2の部分「R2」の間、モータは、速度「S4」に設定される。閉鎖/発射の第3の部分「F3」に対応する、収縮の第3の部分「R3」の間、モータは、速度「S3」に設定される。閉鎖/発射の第2の部分「F2」に対応する、収縮の第4の部分「R4」の間、モータは、速度「S2」に設定される。閉鎖/発射の最初の第1の部分「F1」に対応する、収縮の最後の第5の部分「R5」の間、モータは、速度「S1」に設定される。したがって、モータ速度は、収縮中に力フィードバックを必要とせずに、増加した力が閉鎖/発射の対応する部分で検知されたために、増加した力に遭遇する可能性がある収縮部分を考慮するように調整される。
【0031】
モータ速度が
図5Aおよび5Bに直接対応するように示されているが、収縮プロファイルのモータ速度は、閉鎖/発射のモータ速度に1:1で対応する必要はない。例えば、閉鎖/発射と比較して、収縮(もしくはその一部)中のモータ速度を増加もしくは減少させるためにスケールファクタが導入されてもよく、閉鎖/発射と比較して、収縮(もしくはその一部)中のモータ速度の変化を軽減もしくは誇張するために、減衰係数もしくは強化係数が提供されてもよく、収縮速度の上限および/もしくは下限は、閉鎖発射中の対応するモータ速度に関係なく課されてもよく、および/または他のオーバーライド規則が実装されてもよい。追加的または代替的に、閉鎖/発射中および/もしくは収縮中の発射速度は、2つ以上の増分設定の間で調整されてもよく(例えば、HIGHおよびLOW、HIGH、MEDIUM、およびLOWなど)(閉鎖/発射と収縮の間で同じでも異なってもよく)、または閉鎖/発射中および/もしくは収縮中に、上限と下限との間で連続的に調整されてもよい(これは閉鎖/発射と収縮の間で同一でも異なってもよい)。
【0032】
上記の説明が単に本開示の例示的なものであることが理解されるべきである。様々な代替例および変更例が、本開示から逸脱することなく、当業者によって想到され得る。したがって、本開示は、全てのこのような代替例、変更例、および差異を包含するように意図される。添付された図面を参照して説明された実施形態は、本開示の一定の例を説明するためにのみ提示される。上記および/または添付の請求項に説明されたものとは実質的ではない部分で異なる他の要素、ステップ、方法および技術はまた、本開示の範囲内にあるように意図される。