(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】プログラム、電子装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/55 20140101AFI20231208BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20231208BHJP
A63F 13/67 20140101ALI20231208BHJP
【FI】
A63F13/55
A63F13/58
A63F13/67
(21)【出願番号】P 2019124209
(22)【出願日】2019-07-03
(62)【分割の表示】P 2019003641の分割
【原出願日】2019-01-11
【審査請求日】2022-01-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511249637
【氏名又は名称】株式会社Cygames
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】梁島 一輝
(72)【発明者】
【氏名】新居 大治
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】▲吉▼川 康史
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-6210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤにより操作されるプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタをゲームフィールドに配置させ、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとを戦闘させるゲームのためのプログラムであって、プレイヤ入力を受け付ける電子装置に、
敵キャラクタがプレイヤキャラクタに対して攻撃する敵キャラクタ攻撃ステップと、
プレイヤ入力に基づいて、敵キャラクタによる攻撃をプレイヤキャラクタが回避することに成功したか否かを判定するプレイヤキャラクタ回避判定ステップと、
前記プレイヤキャラクタ回避判定ステップにおいて、回避が成功したと判定された場合、抑制時間を開始する抑制時間開始ステップと、
前記抑制時間の期間中は、予め定められた行動パターンに含まれる行動を示す情報を他の行動
を示す情報に置き換えることで行動パターンを変更することにより敵キャラクタの動作を制限する敵キャラクタ動作制限ステップと、
ゲーム難易度に基づいて決定される抑制時間終了条件が満たされたか否かを判定する、抑制時間終了条件判定ステップと、
抑制時間終了条件が満たされたと判定された場合には、前記抑制時間を終了する抑制時間終了ステップと、
を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記抑制時間終了条件は、プレイヤ入力によらずに満たされる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記抑制時間終了条件は、ゲーム難易度に基づいて決定される所定期間が満了すること、及び、ゲーム難易度に基づいて決定される発生確率に基づいて実行される敵キャラクタによる所定の行動が発生すること、のうちの少なくとも1つが満たされることを条件とする、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記敵キャラクタによる所定の行動は前記プレイヤキャラクタによる攻撃に対するカウンタ攻撃である、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記所定期間はゲーム難易度が高いほど短く設定され、前記発生確率はゲーム難易度が高いほど高く設定される、請求項3または4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記抑制時間の間に、前記プレイヤ入力に基づいて実行されたプレイヤキャラクタによる敵キャラクタに対する攻撃が成功した場合には、敵キャラクタがリアクション動作を実行する敵キャラクタリアクションステップを更に電子装置に実行させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記回避することは、所定の方向への回避動作による回避であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
プレイヤにより操作されるプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタをゲームフィールドに配置させ、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとを戦闘させるゲームを実行可能な電子装置によって実行される方法であって、
敵キャラクタがプレイヤキャラクタに対して攻撃する敵キャラクタ攻撃ステップと、
プレイヤ入力に基づいて、敵キャラクタによる攻撃をプレイヤキャラクタが回避することに成功したか否かを判定するプレイヤキャラクタ回避判定ステップと、
前記プレイヤキャラクタ回避判定ステップにおいて、回避が成功したと判定された場合、抑制時間を開始する抑制時間開始ステップと、
前記抑制時間の期間中は、予め定められた行動パターンに含まれる行動を示す情報を他の行動
を示す情報に置き換えることで行動パターンを変更することにより敵キャラクタの動作を制限する敵キャラクタ動作制限ステップと、
ゲーム難易度に基づいて決定される抑制時間終了条件が満たされたか否かを判定する、抑制時間終了条件判定ステップと、
抑制時間終了条件が満たされたと判定された場合には、前記抑制時間を終了する抑制時間終了ステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
プレイヤにより操作されるプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタをゲームフィールドに配置させ、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとを戦闘させるゲームを実行可能な電子装置であって、
敵キャラクタがプレイヤキャラクタに対して攻撃する敵キャラクタ攻撃ステップと、
プレイヤ入力に基づいて、敵キャラクタによる攻撃をプレイヤキャラクタが回避することに成功したか否かを判定するプレイヤキャラクタ回避判定ステップと、
前記プレイヤキャラクタ回避判定ステップにおいて、回避が成功したと判定された場合、抑制時間を開始する抑制時間開始ステップと、
前記抑制時間の期間中は、予め定められた行動パターンに含まれる行動を示す情報を他の行動
を示す情報に置き換えることで行動パターンを変更することにより敵キャラクタの動作を制限する敵キャラクタ動作制限ステップと、
ゲーム難易度に基づいて決定される抑制時間終了条件が満たされたか否かを判定する、抑制時間終了条件判定ステップと、
抑制時間終了条件が満たされたと判定された場合には、前記抑制時間を終了する抑制時間終了ステップと、
を実行する、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム等に関するものであり、特にプレイヤ入力を受け付ける電子装置において実行されるゲームのためのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のゲーム機の性能向上にともない、ゲーム機を用いて再生される映像は高精細化が進み、高いリアリティを感じさせるゲームも数多くリリースされている。例えば、アクションゲームやシューティングゲームにおいては高精細な映像で敵キャラクタを表示して、プレイヤに臨場感を与えることが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、高精細映像だけで、敵キャラクタとの戦闘における臨場感をプレイヤに感じさせることは必ずしも十分に行えていない。また、プレイヤによる入力に基づいてゲームの進行を変更するゲームはあるが(特許文献1)、プレイヤによる入力に基づいてプレイヤにリアリティを感じさせるシステムは提供されていない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ゲームが提供するリアリティを高めることが可能なプログラム等を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様としてのプログラムは、プレイヤにより操作されるプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタをゲームフィールドに配置させ、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとを戦闘させるゲームのためのプログラムであって、プレイヤ入力を受け付ける電子装置に、敵キャラクタがプレイヤキャラクタに対して攻撃する敵キャラクタ攻撃ステップと、プレイヤ入力に基づいて、敵キャラクタによる攻撃をプレイヤキャラクタが回避することに成功したか否かを判定するプレイヤキャラクタ回避判定ステップと、前記プレイヤキャラクタ回避判定ステップにおいて、回避が成功したと判定された場合、抑制時間を開始する抑制時間開始ステップと、前記抑制時間の期間中は、敵キャラクタの動作を制限する敵キャラクタ動作制限ステップと、ゲーム難易度に基づいて決定される抑制時間終了条件が満たされたか否かを判定する、抑制時間終了条件判定ステップと、抑制時間終了条件が満たされたと判定された場合には、前記抑制時間を終了する抑制時間終了ステップと、を実行させる。
【0007】
敵キャラクタによるプレイヤキャラクタに対する攻撃が成功したか否かを判定する敵キャラクタ攻撃判定ステップと、前記敵キャラクタ攻撃判定ステップにおいて、敵キャラクタ攻撃が成功したと判定された場合には苦手度を上昇させる、苦手度上昇ステップと、前記苦手度に基づいてゲーム難易度を減少させるゲーム難易度減少ステップと、を更に電子装置に実行させるようにしてもよい。
【0008】
プレイヤ入力に基づいて実行されたプレイヤキャラクタによる敵キャラクタに対する攻撃が成功したか否かを判定するプレイヤキャラクタ攻撃判定ステップと、前記プレイヤキャラクタ攻撃判定ステップにおいて、プレイヤキャラクタ攻撃が成功したと判定された場合には苦手度を減少させる、苦手度減少ステップと、前記苦手度に基づいてゲーム難易度を上昇させるゲーム難易度上昇ステップと、を更に電子装置に実行させてもよい。
【0009】
前記抑制時間終了条件は、ゲーム難易度に基づいて決定される所定期間が満了すること、ゲーム難易度に基づいて決定される発生確率に基づいて実行される敵キャラクタによる所定の行動が発生すること、及びプレイヤ入力に基づいてプレイヤキャラクタによる所定の行動が実行されること、のうちの少なくとも1つが満たされることを条件とすることができる。
【0010】
前記敵キャラクタによる所定の行動は前記プレイヤキャラクタによる攻撃に対するカウンタ攻撃であり、前記プレイヤキャラクタによる所定の行動は前記プレイヤキャラクタによる回避とすることができる。
【0011】
前記所定期間はゲーム難易度が高いほど短く設定され、前記発生確率はゲーム難易度が高いほど高く設定されるようにしてもよい。
【0012】
前記抑制時間の間に、前記プレイヤ入力に基づいて実行されたプレイヤキャラクタによる敵キャラクタに対する攻撃が成功した場合には、敵キャラクタがリアクション動作を実行する敵キャラクタリアクションステップを更に電子装置に実行させてもよい。
【0013】
前記回避することは、所定の方向への回避動作による回避とすることができる。
【0014】
本発明の一つの態様としての方法は、プレイヤにより操作されるプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタをゲームフィールドに配置させ、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとを戦闘させるゲームを実行可能な電子装置によって実行される方法であって、敵キャラクタがプレイヤキャラクタに対して攻撃する敵キャラクタ攻撃ステップと、プレイヤ入力に基づいて、敵キャラクタによる攻撃をプレイヤキャラクタが回避することに成功したか否かを判定するプレイヤキャラクタ回避判定ステップと、前記プレイヤキャラクタ回避判定ステップにおいて、回避が成功したと判定された場合、抑制時間を開始する抑制時間開始ステップと、前記抑制時間の期間中は、敵キャラクタの動作を制限する敵キャラクタ動作制限ステップと、ゲーム難易度に基づいて決定される抑制時間終了条件が満たされたか否かを判定する、抑制時間終了条件判定ステップと、抑制時間終了条件が満たされたと判定された場合には、前記抑制時間を終了する抑制時間終了ステップと、を含む。
【0015】
また、本発明の一つの態様としての電子装置は、プレイヤにより操作されるプレイヤキャラクタ及びノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタをゲームフィールドに配置させ、プレイヤキャラクタと敵キャラクタとを戦闘させるゲームを実行可能な電子装置であって、敵キャラクタがプレイヤキャラクタに対して攻撃する敵キャラクタ攻撃ステップと、プレイヤ入力に基づいて、敵キャラクタによる攻撃をプレイヤキャラクタが回避することに成功したか否かを判定するプレイヤキャラクタ回避判定ステップと、前記プレイヤキャラクタ回避判定ステップにおいて、回避が成功したと判定された場合、抑制時間を開始する抑制時間開始ステップと、前記抑制時間の期間中は、敵キャラクタの動作を制限する敵キャラクタ動作制限ステップと、ゲーム難易度に基づいて決定される抑制時間終了条件が満たされたか否かを判定する、抑制時間終了条件判定ステップと、抑制時間終了条件が満たされたと判定された場合には、前記抑制時間を終了する抑制時間終了ステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゲームが提供するリアリティを高め、プレイヤに高い臨場感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子装置のハードウェア構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電子装置の機能ブロック図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に係るゲーム用画面の一例である。
【
図3B】本発明の一実施形態に係るゲーム用画面の一例である。
【
図3C】本発明の一実施形態に係るゲーム用画面の一例である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る情報処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る情報処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による電子装置及び表示装置によって実現されるゲームシステム1について説明する。本明細書においては、説明の便宜上、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成についての重複説明を省略する場合がある。
【0019】
図1は本発明の一実施形態による電子装置10及び表示装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。電子装置10は、プロセッサ11、入力装置12、出力装置13、記憶装置14及び通信装置15を備える。これらの各構成装置はバス16によって接続される。なお、バス16と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。本実施形態において、電子装置10はゲームを実行するためのゲーム機である。さらに、表示装置20は、電子装置10の出力装置13に接続されるものであり、本実施形態においては液晶ディスプレイである。ただし、電子装置10は表示装置20を備える表示装置一体型の電子装置とすることも可能であり、上記の構成を備えるものであれば、ポータブルゲーム機やタブレット型コンピュータなどの端末とすることができる。また、表示装置20は有機ELを用いたディスプレイやプラズマディスプレイ等であってもよい。
【0020】
プロセッサ11は、電子装置10全体の動作を制御するものであり、例えばCPUである。なお、プロセッサ11としては、MPU等の電子回路が用いられてもよい。プロセッサ11は、記憶装置14に格納されているプログラムやデータを読み込んで実行することにより、様々な処理を実行する。1つの例では、プロセッサ11は、複数のプロセッサから構成される。
【0021】
入力装置12は、電子装置10に対するユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェースであり、例えば、コントローラ、タッチパネル、タッチパッド、キーボード、又はマウスである。本実施形態において電子装置10はゲーム機であり、電子装置10は入力装置12としてゲーム用のコントローラを備える。
【0022】
出力装置13は、プロセッサ11の制御に従って、ゲーム等のアプリケーション画面などを表示装置20に表示するための映像信号を出力する。出力される信号は音声信号を含んでもよい。表示装置20は映像信号に基づいてアプリケーション画面などを表示する。出力信号に音声信号が含まれる場合には音声も出力してもよい。
【0023】
記憶装置14は、揮発性メモリであるRAM及び不揮発性メモリであるROMを含む、一般的なゲーム機や電子装置が備える記憶装置である。記憶装置14は、外部メモリを含むこともできる。例えば記憶装置14は、ゲームアプリケーションを記憶する。ゲームアプリケーションは、ゲームを実行するためのゲームプログラム及び該ゲームプログラム実行時に参照する各種データを含む。ゲームプログラムは、電子装置10に対するユーザの操作に応じて起動され、電子装置10が予め実装するオペレーティングシステム(OS)上で実行される。
【0024】
1つの例では、記憶装置14は、主記憶装置及び補助記憶装置を含む。主記憶装置は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、プロセッサ11が情報を処理する際の記憶領域及び作業領域として用いられる。補助記憶装置は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してプロセッサ11が使用するデータを格納する。補助記憶装置は、例えばハードディスク装置であるが、情報を格納できるものであればいかなる不揮発性ストレージ又は不揮発性メモリであってもよく、着脱可能なものであっても構わない。補助記憶装置は、例えば、オペレーティングシステム(OS)、ミドルウェア、アプリケーションプログラム、これらのプログラムの実行にともなって参照され得る各種データなどを格納する。
【0025】
通信装置15は、ネットワークを介してサーバなどの他のコンピュータとの間でデータの授受を行う。例えば通信装置15は、移動体通信や無線LAN等の無線通信を行い、ネットワークへ接続する。1つの例では、通信装置15によって、プログラムをサーバからダウンロードして、記憶装置14に格納する。ただし、通信装置15は、イーサネット(登録商標)ケーブル等を用いた有線通信を行ってもよい。他のコンピュータとの間でデータの送受信を行わない場合、電子装置10は通信装置15を備えなくてもよい。
【0026】
図2は本発明の一実施形態によるゲームシステム1の機能ブロック図の一例を示す。システム1は、入力部31、表示部32及びゲーム制御部33を備える。ゲーム制御部33はプレイヤキャラクタ制御部330、敵キャラクタ制御部331、攻撃判定部332、難易度決定部333及び抑制時間管理部334を備える。本実施形態においては、電子装置10のプロセッサ11がプログラムを実行し、表示装置20と協働して動作することによりこれらの機能が実現される。例えば実行されるプログラムは、記憶装置14に記憶されている又は通信装置15を介して受信したゲームプログラムである。このように、各種機能がプログラム読み込みにより実現されるため、1つのパート(機能)の一部又は全部を他のパートが有していてもよい。各機能の一部又は全部を実現するための電子回路等を構成することによりハードウェアによってもこれらの機能は実現してもよい。
【0027】
入力部31は、入力装置12を用いて構成されるものであり、電子装置10に対するユーザからの入力を受け付ける。電子装置10は、入力部31によりユーザ入力を受け付ける。
【0028】
表示部32は、電子装置10の出力装置13から出力された映像信号に基づいてゲームフィールドを含むゲーム用画面を表示装置20に表示する。
【0029】
ゲーム制御部33は、本実施形態のゲームを実行するにあたっての基本制御を行う。ゲーム制御部33は、パラメータ及びゲーム状態等のゲームの進行に必要な情報を記憶するとともに、プレイヤキャラクタ制御部330、敵キャラクタ制御部331、難易度決定部333及び抑制時間管理部334の状態を監視し、制御する。
【0030】
図3は、ゲーム用画面の一例を示す図である。ゲーム制御部33は、ゲームの進行のための仮想空間としてゲームフィールドを設定し、その一部を表示部32においてゲーム用画面40として表示する。ゲームフィールド内には、プレイヤキャラクタ41及び敵キャラクタ42が配置される。プレイヤキャラクタ41は、プレイヤの入力に基づいてゲームフィールド内で行動するオブジェクトであり、敵キャラクタはプレイヤの入力によらずにフィールド内を行動するノンプレイヤオブジェクトである。
【0031】
プレイヤキャラクタ制御部330は、入力部31を介したプレイヤによる入力に基づいて、プレイヤキャラクタ41を制御する。プレイヤキャラクタ41は移動、旋回、攻撃、回避、防御等の行動を実行する。敵キャラクタ制御部331はプレイヤの入力によらずに所定の行動パターンに基づいて敵キャラクタを制御する。所定の行動パターンは例えば、移動、旋回、攻撃、移動、移動、攻撃という行動パターンが予め決定され、この順に敵キャラクタの行動が実行される。また、行動パターンを複数用意して、ゲーム状態に基づいていずれかを適用してもよい。例えば、プレイヤキャラクタを発見する前の行動パターン及びプレイヤキャラクタを発見した後の行動パターンを用意し、プレイヤキャラクタが敵キャラクタの座標から所定の範囲外にいる場合にはプレイヤキャラクタを発見する前の行動パターンを用い、所定の範囲内に入るとプレイヤキャラクタを発見した後の行動パターンを用いるようにすることができる。また、敵キャラクタの残りヒットポイント(体力値)に応じた行動パターンを用意してもよい。各ゲーム状態に対して複数の行動パターンを用意して、例えばランダムに選択して使用してもよい。
【0032】
攻撃判定部332は、プレイヤキャラクタ41による敵キャラクタ42に対する攻撃が成功したか否か、及び、敵キャラクタ42によるプレイヤキャラクタ41に対する攻撃が成功したか否かを判定する。攻撃が成功したか否かの判定は、キャラクタ同士の衝突判定によって実行することができる。例えば、敵キャラクタ42の攻撃が成功したか否かは、プレイヤキャラクタの配置及び敵キャラクタの配置等の情報に基づいて、敵キャラクタが攻撃に用いた腕の部分がプレイヤキャラクタに衝突したか否かの衝突判定によって行うことができる。プレイヤキャラクタ41の攻撃が成功したか否かは、プレイヤキャラクタの配置及び敵キャラクタの配置等に基づいて、プレイヤキャラクタの武器が敵キャラクタに衝突したか否かの衝突判定によって行うことができる。
【0033】
難易度決定部333は、ゲーム難易度を決定する。本実施形態においては、ゲーム難易度はプレイヤの苦手度に基づいて決定するものとする。苦手度はゲームの進行中においてプレイヤのアクションの熟練度の推定に基づいて変動するものである。ゲーム難易度は苦手度に基づいて決定されるものであり、苦手度の変動に応じてゲーム進行中に動的に変化しうるものである。他の実施形態として、ゲーム開始前にプレイヤによってゲーム難易度が決定され、ゲーム進行中に変動しない構成としてもよい。
【0034】
抑制時間管理部334は、抑制時間の開始及び終了を管理する。ゲーム制御部33によって抑制時間の開始が指示されると、抑制時間管理部334は抑制時間を開始するとともに、経過時間を測定するための抑制時間タイマーを開始する。そして、抑制時間終了条件が満たされたか否かを継続的に監視する抑制時間管理処理を実行する。本実施形態において、抑制時間終了条件は、ゲーム難易度に基づいて決定される所定期間が満了すること、ゲーム難易度に基づいて決定される発生確率に基づいて実行される敵キャラクタによる所定の行動が発生すること、及びプレイヤ入力に基づいてプレイヤキャラクタによる所定の行動が実行されること、のうちの少なくとも1つが満たされることを条件とする。所定期間が満了したか否かは抑制時間タイマーが所定時間以上となったか否かに基づいて判定することができる。
【0035】
また、プレイヤキャラクタ41及び敵キャラクタ42はパラメータを有しており、該パラメータはゲーム管理者などにより予め設定される。例えばパラメータは、レベル、攻撃力、防御力、ヒットポイントなどを含む。プレイヤキャラクタ41及び敵キャラクタは複数のキャラクタとすることもできる。
【0036】
次に、本実施形態のゲームの一例を簡単に説明する。本実施形態のゲームは、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタがゲームフィールドにおいて敵キャラクタに遭遇すると、敵キャラクタと戦闘を行うアクションゲームである。ゲーム制御部33は、ゲームフィールドを含むゲーム画面を表示部32に表示する。ゲーム画面には、少なくともゲーム開始時においては、プレイヤキャラクタとゲーム開始時にプレイヤキャラクタが配置された周辺のゲームフィールドが含まれる。そして、プレイヤの入力に基づいて、プレイヤキャラクタがゲームフィールド内を移動し、敵キャラクタに遭遇すると、戦闘が開始される。
【0037】
例えば、敵キャラクタがプレイヤキャラクタを発見すると、敵キャラクタは戦闘のための行動パターンの実行を開始し、プレイヤキャラクタに対する攻撃を行う。プレイヤキャラクタは、敵キャラクタからの攻撃を防御したり、回避したりしながら、敵キャラクタに対して攻撃を行う。
【0038】
敵キャラクタによる攻撃が成功すると、プレイヤキャラクタに対してダメージが与えられ、ヒットポイントが減少される。プレイヤキャラクタによる攻撃が成功すると敵キャラクタのヒットポイントが減少される。敵キャラクタによる攻撃によってプレイヤキャラクタのヒットポイントが0に達するとゲーム終了となる。プレイヤキャラクタによる攻撃によって敵キャラクタのヒットポイントが0に達すると、プレイヤキャラクタによる勝利となる。プレイヤキャラクタの勝利によってゲームを終了させてもよいし、さらなる敵との戦闘のためにゲームを継続させてもよい。
【0039】
次に、本発明の一実施形態によるゲームシステム1において実行される情報処理について
図4~7に示したフローチャートを用いて説明する。なお本実施形態においては電子装置10としてゲーム機を用いているが、一般的にゲーム機は30fps、60fpsなどのフレームレートが設定される。電子装置10は、好ましくは、フレームレートに対応させて一定時間ごとに処理を実行する。したがって、例えば経過時間は、フレームレートと経過フレーム数から決定される。
【0040】
電子装置10の記憶装置14に記憶されたゲームのためのプログラムをプロセッサ11が実行すると、表示部32が
図3に示すようなゲームフィールドを含むゲーム用画面を表示する(S401)。次に、ゲーム制御部33がゲーム状態情報を更新する(S402)。ゲーム状態情報は、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタ41についてのプレイヤキャラクタ情報、ノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタ42についての情報、苦手度、難易度等のゲームパラメータ情報及び抑制時間状態等を含む。プレイヤキャラクタ情報及び敵キャラクタ情報は、各キャラクタの配置、行動、攻撃力、防御力、ヒットポイント等を含む。キャラクタの配置はゲームフィールド内におけるキャラクタの座標、姿勢、方向等についての情報を含む。キャラクタの行動は、移動、旋回、攻撃、回避、防御及びこれらの組み合わせを含む。例えば、キャラクタは旋回及び行動を同時に実行してもよい。
【0041】
ゲーム制御部33等は、ゲームが開始されると
図5~7に示した処理を継続的に実行し、ゲーム状態情報を更新する。図示しないが、プレイヤキャラクタ制御部330及び敵キャラクタ制御部331によるプレイヤキャラクタ制御処理及び敵キャラクタ制御処理も開始されて、継続的に並列的に実行される。プレイヤキャラクタ制御処理においては、入力部31を介して入力されたプレイヤ入力に基づいて、ゲームフィールド内において、プレイヤキャラクタの行動を実行し、プレイヤキャラクタ情報を更新する。例えば、前方への移動を指示するプレイヤ入力によってプレイヤキャラクタをゲームフィールド内で前進させ、プレイヤキャラクタの座標を演算して、更新する。
【0042】
敵キャラクタはノンプレイヤキャラクタであるから、その行動はプレイヤの入力によらず、敵キャラクタ制御部331によって決定されて実行される。敵キャラクタが行動すると敵キャラクタ情報が演算されて、更新される。前述したように、敵キャラクタの行動は例えば、複数の行動を含む予め決められた行動パターンを実行する。また、ゲーム難易度に基づいて行動パターンを選択してもよい。例えば、ゲーム難易度が低い場合に使用される行動パターンは攻撃が少なく、さらに複合的な行動、例えば、旋回及び攻撃を同時に実行しないように構成され、難易度が高い場合に使用される行動パターンは、攻撃の頻度が高く、さらに複合的な行動を実行するように構成される。
【0043】
ゲーム制御部33は、更新されたゲーム状態情報に基づいてゲーム用画面を更新して、表示部32に表示する(S404)。ゲーム制御部33はプレイヤによるゲーム終了入力またはゲーム状態に基づいてゲームを終了させる状態にあるか否かを判定し(S406)、ゲームを終了させる状態にあると判定された場合にはゲームを終了させ、そうでない場合にはゲーム状態を更新する処理に戻る(S402)。例えば、ゲーム状態情報におけるプレイヤキャラクタのヒットポインが0になった場合にはゲームを終了させる状態にあると判定する。電子装置10はゲームを終了させる状態にあると判定されるまでS402~S406を繰り返し実行する。
【0044】
次に、
図5を用いて敵キャラクタ攻撃処理について説明する。まず、敵キャラクタ制御部331によって敵キャラクタ攻撃がプレイヤキャラクタに対する攻撃を実行する(S501)。
【0045】
プレイヤは、敵キャラクタ制御部331によって敵キャラクタによる攻撃が実行されたことに応答して、攻撃を回避するための入力を行うことで、プレイヤキャラクタに回避動作をとらせることができる。例えば、プレイヤによるいずれかの方向を指示する方向入力及び回避を指示する回避入力が入力部31を介して入力されると、プレイヤキャラクタ制御部330は方向入力によって指示された方向へプレイヤキャラクタを旋回しながら回避させる処理を実行させる。プレイヤによる回避のための入力が適切なタイミングで適切な方向へ行われれば、プレイヤキャラクタ制御部によるプレイヤキャラクタの回避処理によって、プレイヤが移動されることにより、敵キャラクタによる攻撃がプレイヤキャラクタに衝突しないから、S502において敵キャラクタによる攻撃が成功しない。
【0046】
ゲーム制御部33は、敵キャラクタ攻撃が実行されると(S501)、プレイヤ入力に基づいてプレイヤキャラクタ制御部330がプレイヤキャラクタに所定の回避動作によって回避を成功させた否かを判定する(S502)。本実施形態において、所定の回避動作は、所定の方向への回避動作とする。例えば、敵キャラクタの側面方向への移動入力及び回避のために割り当てられた入力ボタンを押下することによる入力がプレイヤによって適切なタイミングで行われた場合に、所定の回避動作の実行によって敵キャラクタによる攻撃を回避することに成功したものと判定する。敵キャラクタから離れる方向への移動入力があった場合には、回避に成功した場合であっても、所定の回避動作による回避とは判定されない。また、プレイヤ入力のタイミングが不適切である場合には、敵キャラクタの攻撃を適切に回避することができず、回避を成功させたとは判定されない。
【0047】
図3に所定の回避動作を行う場合のゲーム画面を示した。
図3Aは、敵キャラクタ42がプレイヤキャラクタ41に対して腕を振りかぶり、攻撃を行う様子を示している。
図3Bは、敵キャラクタ42の攻撃に応答して、プレイヤが敵キャラクタ42の側面方向への移動入力及び回避入力を適切なタイミングで行うことにより、プレイヤキャラクタ41が所定の回避動作を行っている様子を示している。そして、
図3Cは、プレイヤキャラクタ41が所定の回避動作を行うことにより敵キャラクタ42の攻撃を回避することに成功するとともに、敵キャラクタの側面、すなわち、敵キャラクタの死角に回り込んでいる様子を示している。
【0048】
図3に示されているとおり、敵キャラクタの攻撃動作が終了する前にプレイヤキャラクタの回避動作が開始されてもよい。本実施形態においては敵キャラクタ制御とプレイヤキャラクタ制御とは並列に実行されているから、一方の制御の終了を待つことなく他方の制御を行うことができる。
【0049】
変形例として、所定の方向への回避に限られず、敵キャラクタの攻撃を回避することが可能な適切なタイミングでの回避動作であればどのような回避動作であっても所定の回避動作とすることもできる。
【0050】
ゲーム制御部33は所定の回避動作が実行されたと判定された場合には抑制時間を開始するように抑制時間管理部334に命令し、抑制時間管理部334は抑制時間を開始する(S504)。抑制時間管理部334は抑制時間中であることを示すように抑制時間状態情報を更新するとともに、抑制時間タイマーを開始する。抑制時間は後述する終了条件が満たされると終了する。終了条件の一つは抑制時間開始から所定期間が経過することである。この期間は難易度に基づいて決定される。
【0051】
抑制時間の間は、敵キャラクタの行動が制限される。敵キャラクタの行動パターンを変更することで敵キャラクタの行動を制限することができる。本実施形態においては、敵キャラクタの行動パターンを変更する(S506)。敵キャラクタは抑制時間の間はプレイヤキャラクタに対して攻撃を行わず、プレイヤキャラクタの攻撃が成功しやすいように移動や旋回なども実行しない。例えば、敵キャラクタ制御部331は抑制時間状態情報を参照し、抑制時間状態(抑制時間中)であれば、予め決められた行動パターンに含まれる、移動、攻撃、旋回のような攻撃や防御に関連する行動を示す情報をすべて待機などの行動に置き換えることにより行動パターンを変更することができる。その他、抑制時間でない通常状態用の行動パターンと抑制時間状態用の行動パターンを用意しておいて、通常は通常状態用の行動パターンを使用し、抑制時間が開始すると抑制時間状態用の行動パターンを使用するようにしてもよい。また他の実施形態として、行動パターンの変更に代えて、またはこれに加えて、敵キャラクタの動作を遅くしてもよい。
【0052】
実際に強大なモンスターと戦闘する場合には、小さな人間が正面から攻撃をすることは危険な行為であるとともに、攻撃が成功したとしても十分なダメージを与えることは難しいと考えられる。モンスターの攻撃を掻い潜って死角のような不利な場所に回り込んだうえで攻撃をすることが有効であると考えられる。したがって、プレイヤキャラクタが正面から敵キャラクタと対等に戦闘が可能なゲームにおいては、敵キャラクタが強大であることをリアリティをもって表現するために高精細な映像を表示したとしても、プレイヤは敵キャラクタの強大さをリアリティをもって十分に感じることはできない。
【0053】
本実施形態においては、敵キャラクタによる攻撃に対して所定の回避行動を成功させることにより抑制時間状態とすることができる。抑制時間においては敵キャラクタの行動は制限されているから、プレイヤにとっては攻撃を成功させるための有利な時間である。ここでは所定の回避行動は敵キャラクタにとって死角のような不利な場所である側面への回避行動とする。すなわち、プレイヤキャラクタは敵キャラクタによる攻撃を掻い潜って死角へ回り込むことにより攻撃に有利な状態を作り出し、所定の時間内であれば強大な敵キャラクタに対して有効な攻撃を行うことができる。
【0054】
プレイヤが正面から敵キャラクタを攻撃するよりも、敵キャラクタの死角に回り込んでから攻撃することが有効であることを理解することによって、自分が対峙している敵キャラクタが強大なモンスターであることをリアリティをもって感じることができる。敵キャラクタの行動を制限することにより、敵キャラクタにとって不利な場所へのプレイヤキャラクタの移動により、敵キャラクタが十分な攻撃行動がとれなくなることを表現することができる。さらに、通常の状態(非抑制時間の状態)において、正面から敵キャラクタに攻撃をした場合に比べて、抑制時間内の攻撃による敵キャラクタへのダメージを大きくすればより大きなリアリティを与えることができる。
【0055】
敵キャラクタによる攻撃に対して、プレイヤキャラクタが所定の回避処理を実行したと判定されなかった場合には、ゲーム制御部33は敵キャラクタによる攻撃が成功したか否かを判定する(S508)。
【0056】
プレイヤが回避のための入力を行ったものの、所定方向への回避でなかったり、タイミングが不適切である等の理由により、所定の回避を行ったと判定されなかった場合には敵キャラクタの攻撃が成功する可能性があるため、敵キャラクタの攻撃が成功したか否かの判定が行われる。敵キャラクタの攻撃に対してプレイヤが何らの入力も行わない場合にも、攻撃が成功する可能性がある。敵キャラクタの攻撃がプレイヤキャラクタに届かない領域で実行されている場合にも攻撃は成功しない。敵キャラクタによる攻撃が成功しなかったと判定された場合には、敵キャラクタによる攻撃処理は終了する。
【0057】
一方、敵キャラクタによる攻撃が成功したと判定された場合には、プレイヤキャラクタに対してダメージ付与を行う(S510)。具体的にはプレイヤキャラクタのヒットポイントを所定量減少させる。減少させる量は敵キャラクタの攻撃力値及びプレイヤキャラクタの防御力値等のパラメータによって決定される。
【0058】
次に、プレイヤキャラクタの苦手度を上昇させる(S512)。ここで、苦手度はプレイヤのアクションに対する苦手度を示しており、プレイヤキャラクタを操作して攻撃や回避などのアクションを実行することについて、プレイヤが苦手であると推定されるほど高い値となり、得意であると推定されるほど低い値となる。敵キャラクタの攻撃が成功すればプレイヤはアクションが苦手であると推定されるから苦手度を上昇させ、プレイヤキャラクタの攻撃が成功すれば、プレイヤはアクションが得意であると推定されるから苦手度を減少させる。例えば、初期状態においては苦手度を最小値である0に設定し、敵キャラクタの攻撃を受けると苦手度を10上昇させる一方、プレイヤキャラクタが攻撃に成功すると苦手度を3減少させる。
【0059】
S514において、苦手度に基づいてゲームの難易度を決定する。例えば、苦手度が0~20である場合には、高難易度である難易度3とし、苦手度が21~40の場合には中難易度である難易度2とし、苦手度が41以上のときは低難易度である難易度1とする。このようにゲーム難易度は苦手度に基づいて決定されるから苦手度の変更に応じてゲーム進行中に変更される。プレイヤ入力に基づくアクションがプレイヤが苦手であることを示す苦手度をゲーム進行中に逐次変更し、これに基づいてゲームの難易度を変更することにより、プレイヤの技術に応じたゲーム難易度を提供することが可能となる。ゲーム難易度の決定を行うと、敵キャラクタ攻撃処理は終了する。
【0060】
次に、
図6を用いてプレイヤキャラクタ攻撃処理を説明する。プレイヤキャラクタ攻撃処理においては、入力部31を介してプレイヤによって敵キャラクタへの攻撃のための入力がなされた場合の処理を行う。まず、プレイヤ入力に基づいて、プレイヤキャラクタ制御部330はプレイヤキャラクタによる敵キャラクタへの攻撃を実行し(S601)、ゲーム制御部33は敵キャラクタへの攻撃が成功したか否かを判定する(S602)。
【0061】
プレイヤキャラクタによる攻撃が成功したと判定された場合には、敵キャラクタへのダメージ付与を行う(S604)。具体的には敵キャラクタのヒットポイントを所定量減少させる。そして、プレイヤキャラクタの苦手度を減少させる(S606)。プレイヤキャラクタの攻撃が成功すれば、プレイヤキャラクタがアクションが得意であると推定されるから、苦手度を減少させる。続いて、この苦手度に基づいてゲームの難易度を決定する(S608)。
【0062】
S610において、ゲーム制御部33は抑制時間状態情報に基づいて抑制時間中であるか否かを判定し、抑制時間内でなければプレイヤキャラクタ攻撃処理を終了し、抑制時間内であれば、敵キャラクタ制御部に敵キャラクタリアクション動作を実行させる(S612)。本実施形態においては敵キャラクタがダメージを受けたことを示す動作を表示部32に表示させる。
【0063】
抑制時間内にプレイヤキャラクタによる敵キャラクタへの攻撃が成功した場合にのみ、敵キャラクタリアクション動作を実行させることにより、抑制時間内が特殊な時間であることをプレイヤに認識させることができる。これにより、プレイヤがゲームを開始する前にチュートリアル等を提供してゲームの基本的なルールを解説しなくとも、ゲームをプレイしながらプレイヤがルールを自分で見つける楽しみを提供することができる。
【0064】
本実施形態においては、抑制時間においては敵キャラクタの行動パターンが変更されて、プレイヤに有利な状態となっている。プレイヤは敵キャラクタがリアクションを実行することで、抑制時間が特殊な時間であり、さらに、敵キャラクタが攻撃等の行動をとらないことに気が付くことで、抑制時間がプレイヤにとって有利な時間であること、抑制時間状態を作るために所定の回避を行う必要があることを認識することを促すことができる。所定の回避を行うことの報酬を明確化することもできる。
【0065】
S612において、敵キャラクタがカウンタ攻撃を実行するか否かを決定する。カウンタ攻撃は所定の発生確率に基づいて実行するか否かが決定される。ここでは、カウンタ攻撃が発生する確率はゲーム難易度に基づいて決定されるものとする。例えば、高難易度の場合は発生確率50%、中難易度の場合は30%、低難易度の場合は0%とすることができる。さらに、敵キャラクタの残りヒットポイントにも基づくようにすることもできる。一つの実施形態によれば、敵キャラクタの残りHPに基づく標準となる発生確率に、ゲーム難易度に応じた係数を乗算することで、ゲーム難易度に応じた発生確率を演算することができる。例えば、残りヒットポイント(HP)が25%>HP≧0%のときには標準発生確率50%、75%>HP≧25%のときには標準発生確率30%、100%>HP≧75%のときには標準発生確率20%とし、高難易度の係数を1.0、中難易度の係数を0.8、低難易度の係数を0.5とする。この場合、残りヒットポイント(HP)が25%>HP≧0%のときの発生確率は、高難易度においては50×1.0=50%であり、中難易度においては50×0.8=40%であり、低難易度においては50×0.5=25%である。カウンタ攻撃が発生する確率が低いほどゲームの難易度は低いものとなる。
【0066】
カウンタ攻撃が発生しないと決定された場合には、プレイヤキャラクタ攻撃処理は終了する。カウンタ攻撃が発生すると決定された場合には、S616において、
図5を用いて説明した敵キャラクタ攻撃処理を開始して、プレイヤキャラクタ攻撃処理を終了する。本実施形態においては、後述するとおり、カウンタ攻撃が発生すると抑制時間が終了する。
【0067】
次に、
図7を用いて抑制時間管理制御について説明する。前述したように、敵キャラクタ攻撃に対して、プレイヤの入力に基づいてプレイヤキャラクタが所定の回避動作を実行することで回避に成功した場合には、抑制時間に入り抑制時間タイマーが開始される。抑制時間は、タイマーが満了すること、敵キャラクタによる所定の行動が発生すること、及びプレイヤ入力に基づいてプレイヤキャラクタによる所定の行動が実行されること、のうちの少なくとも1つが満たされると終了する。
【0068】
本実施形態においては、抑制時間タイマーの満了時間はゲーム難易度に基づいて決定される。例えば、高難易度である場合には、0.7秒、中難易度である場合には0.9秒、低難易度である場合には1.1秒とすることができる。抑制時間が長いほどプレイヤに有利な状態が長い時間維持されるため、ゲームの難易度を下げることができる。敵キャラクタによる所定の行動はカウンタ攻撃とすることができる。前述のとおり、カウンタ攻撃が発生する確率もまたゲーム難易度に基づいて決定することができる。
【0069】
本実施形態においては、ゲーム難易度は苦手度に基づいて決定される。苦手度はプレイヤによる攻撃の成功及び敵キャラクタによる攻撃の成功に基づいて時々刻々と変更されるから、プレイヤの技術をリアルタイムに表すことができる。この苦手度に基づいてゲーム難易度を決定し、ゲーム難易度に基づいて抑制時間及びカウンタ確率を決定することにより、リアルタイムにプレイヤの技術に応じた難易度のゲームを提供することができる。
【0070】
本実施形態において、抑制時間を終了させるためのプレイヤキャラクタによる所定の動作は例えば回避動作とする。抑制時間はプレイヤにとって攻撃のために有利な時間であり、敵キャラクタの攻撃が制限されている抑制時間において回避という行動が不適切な行動であることをプレイヤに理解させることができる。
【0071】
抑制時間終了条件が満たされないと判定された場合には(S701)、抑制時間終了条件が満たされるまで抑制時間を継続する。一方、抑制時間終了条件のいずれか一つが満たされた場合には、敵キャラクタの行動パターンを変更し(S702)、抑制時間状態情報を非抑制時間状態を示す情報に変更して抑制時間を終了させる(S704)。ここでは、行動パターンの変更は、抑制時間を開始した後に、敵キャラクタの行動を制限するように変更された行動パターンを、通常の行動パターンに戻すことにより行われる。例えば、S504において、すべて待機などの行動に置き換えられた情報を、予め決められた行動パターンに含まれる、移動、攻撃、旋回のような行動を示す情報に戻すことにより行動パターンを変更する。
【0072】
以上に説明した処理又は動作において、あるステップにおいて、そのステップではまだ利用することができないはずのデータを利用しているなどの処理又は動作上の矛盾が生じない限りにおいて、処理又は動作を自由に変更することができる。また以上に説明してきた各実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 :ゲームシステム
10 :電子装置
11 :プロセッサ
12 :入力装置
13 :出力装置
14 :記憶装置
15 :通信装置
16 :バス
20 :表示装置
31 :入力部
32 :表示部
33 :ゲーム制御部
330 :プレイヤキャラクタ制御部
331 :敵キャラクタ制御部
332 :攻撃判定部
333 :難易度決定部
334 :抑制時間管理部
40 :ゲーム用画面
41 :プレイヤキャラクタ
42 :敵キャラクタ