(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ハイブリッド電気動力学浮揚システム
(51)【国際特許分類】
B60L 13/04 20060101AFI20231208BHJP
B61B 13/06 20060101ALI20231208BHJP
B61B 13/08 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
B60L13/04 L
B61B13/06 N
B61B13/08 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019143681
(22)【出願日】2019-08-05
【審査請求日】2022-08-04
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フェーストレーム, ブレット ディー.
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-026307(JP,A)
【文献】特開昭63-249404(JP,A)
【文献】特開昭63-287305(JP,A)
【文献】特開平03-033302(JP,A)
【文献】特開平06-078412(JP,A)
【文献】特表2004-524000(JP,A)
【文献】特開昭49-113315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 13/04
B61B 13/06
B61B 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール(300)であって、
第2の部分(304)に接続された第1の部分(302)を備え、前記第1の部分(302)が超電導体(306)を含み、前記第2の部分(304)が導体(308)を含み、前記レール(300)を含む軌道(310)に磁気的に接続された輸送体(700)が、
第1の磁場(M1)が第2の磁場(M2)と相互作用するときに、前記第1の部分(302)に対して浮揚し(L)、前記第1の磁場(M1)が、超電導状態にある前記超電導体(306)を使用して生成され、前記第2の磁場(M2)が、前記輸送体(700)に取り付けられた磁石(702)から生成され、
前記第2の磁場(M2)が前記導体(308)と相互作用するときに、前記第2の部分(304)に対して浮揚
し(L)、
前記第1の部分(302)が第1のテーパが付けられた端部(316)を有し、前記第2の部分(304)が第2のテーパが付けられた端部(318)を有し、
前記第1のテーパが付けられた端部(316)が、前記第2のテーパが付けられた端部(318)と対合し、
前記第1の部分(302)が、前記第2の部分(304)の外側(314)に接続しており、
前記第1の部分(302)の量は、前記第2の部分(304)に向かうにつれて低減される、レール(300)。
【請求項2】
前記第1の部分(302)が、第1の壁(404)と第2の壁(406)を有する真空が引かれた二重壁管(402)を備え、前記第1の壁(404)が第1の空間(408)を形成し、前記第1の壁(404)と前記第2の壁(406)が、前記第1の壁(404)と前記第2の壁(406)の間に第2の空間(410)を形成し、
前記超電導体(306)が、前記第1の空間(408)内に配置され、
前記第2の空間(410)が真空(450)を含む、請求項
1に記載のレール(300)。
【請求項3】
前記超電導体(306)が、複数のYBaCuO結晶(414)を含む、請求項
2に記載のレール(300)。
【請求項4】
前記第2の磁場(M2)が、強磁性材料(1150)を含む前記導体(308)と相互作用するときに、第2の揚力F2が生成されたことに反応して、前記輸送体(1104)が浮揚する(L)ように、電磁サスペンションシステ
ムを形成するべく、前記導体(308)及び前記磁石(702)が配置されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載のレール(300)。
【請求項5】
前記第2の部分(304)が積層体(650)を備え、前記積層体(650)が、絶縁体(604)によって分離された導電性材料(602)として配置された前記導体(308)を含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載のレール(300)。
【請求項6】
前記第1の部分(302)が、前記輸送体(700)が、前記第1の部分(302)から前記第2の部分(304)に入るときに、前記第2の部分(304)の最大揚抗比を超える揚抗比を受けるような速度に到達するのに十分な長さ(L2)を有する、請求項1から
5のいずれか一項に記載のレール(300)。
【請求項7】
前記長さ(L2)が、前記輸送体(700)が、前記第1の部分(302)の一端(360)における0mphの初期速度から、前記第2の部分(304)に接続された前記第1の部分(302)の他端(362)における少なくとも100マイル/時間の速度まで、1gの最大加速度で加速するような長さである、請求項
6に記載のレール(300)。
【請求項8】
輸送体(700)を操作する方法であって、
レール(300)を含む軌道(310)上で前記輸送体(700)を操作することを含み、前記レール(300)が、第2の部分(304)に接続された第1の部分(302)を含み、前記第1の部分(302)が超電導体(306)を含み、前記第2の部分(304)が導体(308)を含み、前記軌道(310)に磁気的に接続された前記輸送体(700)が、
超電導状態にある前記超電導体(306)を使用して生成された第1の磁場(M1)が、前記輸送体(700)に取り付けられた磁石(702)から生成された第2の磁場(M2)と相互作用するときに、生成された第1の揚力に反応して、前記第1の部分(302)に対して浮揚し(L)、
前記第2の磁場(M2)が前記導体(308)と相互作用するときに、生成された第2の揚力に反応して、前記第2の部分(304)に対して浮揚
し(L)、
前記第1の部分(302)が第1のテーパが付けられた端部(316)を有し、前記第2の部分(304)が第2のテーパが付けられた端部(318)を有し、
前記第1のテーパが付けられた端部(316)が、前記第2のテーパが付けられた端部(318)と対合し、
前記第1の部分(302)が、前記第2の部分(304)の外側(314)に接続しており、
前記第1の部分(302)の量は、前記第2の部分(304)に向かうにつれて低減される、方法。
【請求項9】
前記第1の部分(302)が、前記輸送体(700)が、前記第1の部分(302)から前記第2の部分(304)に入るときに、前記第2の部分(304)の最大揚抗比を超える揚抗比を受けるような速度に到達するのに十分な長さ(L2)を有する、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浮揚システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の受動的な電気動力学サスペンション(EDS)浮揚システムは、複数の欠点を有する。
図1は、導電性軌道上の輸送体の浮揚のために永久磁石を利用し、浮揚力を実現するために導電性軌道に対して輸送体が移動することを必要とする、従来システムを示している。この移動は、浮揚が生じる速度より低い速度で移動するときに、浮揚モジュールが軌道の表面に接触することを防止する、車輪又は別の手段を含める必要性をもたらす。
【0003】
更に、(導電性軌道内の導電性プレートの表面上の変化する磁場から生じる)導電性プレート内の渦電流の生成と消散により、磁気抵抗力が輸送体の前方移動に抵抗する。
図2は、抵抗力が、増加して(速度が10mphとなる辺りで)ピークに至り、次いで相対速度が増加するに従って急に減少することを示している。(高速輸送で使用されることが期待される「巡航速度」と比較して)相対的に低い速度でのこの抵抗力に打ち勝つために、大きな電力量が必要とされる。
【0004】
高温超電導材料を含む軌道を利用するシステムは、効率的だが極端に高価である。超電導軌道上で浮揚する永久磁石に関連付けられる磁気抗力は存在しないが、永久磁場の不完全性によるわずかな損失がある。超電導を実現するために必要とされる臨界温度より下に軌道全体を維持することに関連付けられる冷却電力と共に、軌道の長さ全体のための超電導材料の費用は、高い初期費用及び操業費用をもたらし、長い経路にわたる従来の超電導軌道技術を実現性がないものとしている。
【0005】
そこで、必要とされるのは、導電性プレート又は超電導体を使用する磁気浮揚レールシステムと比較して、よりエネルギー効率が高く費用効果に優れた磁気浮揚レールシステムである。本開示は、この必要性を満たす。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、鉄道軌道用のハイブリッドレールを説明する。レールは、第2の部分に接続された第1の部分を備え、第1の部分は超電導体を含み、第2の部分は導体を含む。レールを含む軌道に磁気的に接続された輸送体は、第1の磁場が第2の磁場と相互作用するときに、第1の部分に対して浮揚する。第1の磁場は、超電導状態にある超電導体を使用して生成され、第2の磁場は、輸送体に取り付けられた磁石から生成される。輸送体は、第2の磁場が導体と相互作用するときに、第2の部分に対して浮揚する。
【0007】
レールは、以下の実施例を含む多くのやり方で具現化され得るが、それらに限定されるものではない。
【0008】
1.
前記第1の部分が第1のテーパが付けられた端部を有し、前記第2の部分が第2のテーパが付けられた端部を有し、それによって、前記第1のテーパが付けられた端部が、前記第2のテーパが付けられた端部と効果的に対合する、レール。
【0009】
2.
第1の壁と第2の壁を有する真空が引かれた二重壁管を備えた前記第1の部分を含む、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせであるレール。前記第1の壁が、第1の空間を形成/包囲し、前記第1の壁と前記第2の壁が、前記第1の壁と前記第2の壁の間に第2の空間を形成/包囲する。超電導体が前記第1の空間内に配置され、前記第2の空間が真空を含む。
【0010】
3.
更に別の一実施例では、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせの前記第1の部分が、複数のYBaCuO結晶を含む前記超電導体を含む。
【0011】
4.
更なる一実施例では、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせの前記導体と前記磁石が、電磁サスペンションシステム(EMS)を形成するように配置されている。それによって、前記輸送体は、前記第2の磁場が強磁性材料を含む前記導体と相互作用するときに生成される第2の揚力に反応して浮揚するL。
【0012】
5.
更に別の一実施例では、実施例1~3のうちの1つ又は任意の組み合わせの前記導体と前記磁石が、電気動力学サスペンションシステムEDSを形成するように配置されている。それによって、前記輸送体1110は、レンツの法則及びローレンツ力に従って生成される第2の揚力F2に反応して浮揚する。
【0013】
6.
更なる一実施例では、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせの前記導体が、スロット及びラング(rung)を含むソリッドな導電性プレートを備える。
【0014】
7.
更に別の一実施例では、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせの前記第2の部分が、積層体を備え、前記積層体が、絶縁体によって分離された導電性材料として配置された前記導体を含む。
【0015】
8.
更なる一実施例では、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせの前記磁石が、ハルバッハ配列(Halbach array)で配置されている。
【0016】
9.
更に別の一実施例では、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせの前記第1の部分が、100フィート~2000フィートの範囲内の長さを有する。
【0017】
10.
また更なる一実施例では、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせの前記第1の部分が、前記輸送体が、第1の部分から第2の部分に入るときに、第2の部分の最大揚抗比を超える揚抗比を受けるような速度に到達するのに十分な長さを有する。
【0018】
11.
更に別の一実施例では、実施例10における前記長さが、前記輸送体が、前記第1の部分の一端における0mphの初期速度から、前記第2の部分に接続された前記第1の部分の他端における少なくとも100マイル/時間の速度まで、1gの最大加速度で加速するような長さである。
【0019】
12.
以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせの前記レールを含むレールシステムであって、前記第1の部分が前記レールシステム内の軌道の長さ全体の0.1%未満である、レールシステム。
【0020】
13.
前記レールシステム上の前記輸送体の速度を制御するように構成されたコンピュータを更に備え、前記輸送体が前記第1の部分から前記第2の部分に入るときの前記速度が、前記輸送体が、少なくとも100又は前記第2の部分304の前記最大揚抗比を超える揚抗比を受けるような速度である、実施例13のレールシステム。
【0021】
14.
前記第1の部分が、第1のセクションと第2のセクションを含み、前記第2の部分が前記第1のセクションと前記第2のセクションとの間にある、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせのレール。
【0022】
15.
前記輸送体が客車を備える、以前の実施例のうちの1つ又は任意の組み合わせのレール。
【0023】
本開示は、輸送体を操作する方法であって、レールを含む軌道上で輸送体を操作することを含み、レールが第2の部分に接続された第1の部分を含み、第1の部分が超電導体を含み、第2の部分が導体を含む、方法を更に説明する。軌道に磁気的に接続されている輸送体が、
(1)超電導状態にある超電導体を使用して生成された第1の磁場が、輸送体に取り付けられた磁石から生成された第2の磁場と相互作用するときに、生成された第1の揚力に反応して、第1の部分に対して浮揚し、
(2)第2の磁場が導体と相互作用するときに、生成された第2の揚力に反応して、第2の部分に対して浮揚する。
【0024】
本開示は、輸送体であって、客車に取り付けられた磁石を備え、磁石が、第2の部分に接続された第1の部分を含むレールと相互作用する磁場を生成し、第1の部分が超電導体を含み、第2の部分が導体を含み、輸送体が更に、輸送体の速度を制御する輸送体に接続されたコンピュータシステムを備える、輸送体を更に説明する。輸送体は、
(1)超電導状態にある超電導体を使用して生成された第1の磁場が、輸送体に取り付けられた磁石から生成された第2の磁場と相互作用するときに、生成された第1の揚力に反応して、第1の部分に対して浮揚し、
(2)第2の磁場が導体と相互作用するときに、生成された第2の揚力に反応して、第2の部分に対して浮揚し、
(3)輸送体に関連付けられた揚抗比が軌道の第2の部分に対する揚抗比の最大値にあるような、第1の部分から第2の部分に入る速度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】受動的なEDSシステム内で見られる典型的な揚力及び抵抗力を示す。
【
図3A】1以上の実施例による、超電導軌道と導電性軌道の間の移行領域を含むハイブリッド電気動力学浮揚システムを示す。
【
図3B】導電性軌道(超電導軌道よりかなり長い導電性軌道、縮尺通りに示されていない)の長さと比較した超電導軌道の例示的な長さを示す、1以上の実施例によるハイブリッド電気動力学浮揚システムを示す。この実施例では、導電性軌道が300マイル(mi)の長さを有し、超電導軌道がそれぞれ300フィートの長さを有する。
【
図4】ハイブリッドシステムの超電導領域内の超電導材料用の例示的な筐体を示す。
【
図5】ハイブリッドシステム内の例示的な導電性軌道を示す。導電性軌道は、導電性のスロット付き軌道である。軌道パラメータの最適化は、磁石の幾何学的形状、輸送体の速度、及び所望の揚力に応じて行われる。
【
図6】ハイブリッドシステム内の別の例示的な導電性軌道を示す。導電性軌道は積層体を備える。
【
図7】浮揚モジュール上の輸送体のベース上に配置されたハルバッハ配列を示す。ハルバッハ配列は、輸送体を浮揚させるように、ハイブリッド軌道又はハイブリッド軌道表面と相互作用する。
【
図8】ハイブリッド浮揚システム上で移動する輸送体上で使用されるハルバッハ配列内の永久磁石の例示的な配向を示す。
【
図9】ハルバッハ配列の波長の例示的且つ視覚的な描写である。
【
図10】Postらによる「the inductrack approach to magnetic levitation」(https://e-reports-ext.llnl.gov/pdf/237852.pdf)から複写された、ハルバッハ配列を含む輸送体に接続された種々のタイプの導電性軌道に対する、輸送体速度の関数としての揚抗比を示す。
【
図11A】ハイブリッド浮揚システムの導電性セクション内で使用され得る、例示的な電磁サスペンションシステムを示す。
【
図11B】ハイブリッド浮揚システムの導電性セクション内で使用され得る、例示的な電磁サスペンションシステムを示す。
【
図12】1以上の実施例による、レールシステムを作成し操作するための方法を示すフローチャートである。
【
図13】ハイブリッド軌道に接続された輸送体の速度を制御するための例示的なハードウェア環境を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明において、添付図面を参照するが、添付図面は、本明細書の一部を形成するものであり、幾つかの実施形態の例示として示される。他の実施形態も利用可能であり、本開示の範囲を逸脱することなく、構造的な変更を加え得ることが理解される。
【0027】
技術的な説明
超電導領域と導電性領域を含むハイブリッド軌道
図3Aは、第2の部分304に接続された第1の部分302を含むレール300を示している。第1の部分302は超電導体306を含み、第2の部分304は導体308を含む。レール300を含む軌道310に磁気的に接続された輸送体は、(超電導状態にある超電導体を使用して生成された)第1の磁場M1が、(輸送体に取り付けられた磁石から生成された)第2の磁場M2と相互作用するときに、生成された第1の揚力F1に反応して、第1の部分に対して浮揚する。輸送体は、第2の磁場M2が第2の部分内の導体と相互作用するときに、生成された第2の揚力F2に反応して、第2の部分に対して浮揚する。
【0028】
第1の部分と第2の部分の間の移行区域312も示されている。移行区域312では、軌道の外側の揚力安定性を増加させるように、第1の部分302が、第2の部分304の外側314に接続している。移行区域内の第1の部分の量は、第2の部分に向けて移動するにつれて低減される。
図3Aで示されている例示的な移行区域では、第1の部分が第1のテーパが付けられた端部316を有し、第2の部分が第2のテーパが付けられた端部318を有し、第1のテーパが付けられた端部が、第2のテーパが付けられた端部318に対合し/物理的に取り付けられている。より具体的には、上から見た場合、第1のテーパが付けられた端部は、第1の表面324を備えた平面内に第1の斜辺322を有する第1の三角形断面320を備え、第2のテーパが付けられた端部は、第2の表面330を備えた平面内に第2の斜辺328を有する第2の三角形断面326を備え、且つ第1の表面324が第2の表面330に対合し又は取り付けられている。1以上の実施例では、移行区域が、50~200フィート(例えば、75フィート)の長さを有する。
【0029】
図3Bは、2つの超電導部分(第1のセクション332と第2のセクション334)の間又は中間に、導電性部分(第2の部分304)を含む、軌道を備えたレールシステム300bを示している。言い換えると、第1の部分302は、第1のセクション332と第2のセクション334を備え、第2の部分304は、第1のセクション332と第2のセクション334の間(又は中間)にある。
【0030】
超電導軌道(軌道の第1及び第2のセクション)の長さは、超電導軌道上で移動する輸送体がピーク抵抗値よりも高い速度に到達するために、如何ほどの長さを必要とするかによって決まる。しかし、典型的な実施例では、超電導軌道を備えた第1の部分が、導電性軌道を備えた第2の部分より短い。超電導軌道(第1及び第2のセクション)は、軌道の始まり及び終わりにおける加速区域である。それらの区域は、(1)軌道に対する輸送体の相対的な速度なしで輸送体の浮揚を可能にし、それによって、転がるための車輪又は更なる手段を必要とせず、(2)磁気抵抗力を除去することによって加速の効率を高める。一実施例では、乗客の快適さを保証するために1gの最大加速度を想定すると、超電導軌道を含む第1の部分上で略300又は400フィート移動した後で、100mphを超える速度が実現される。100mphを超えるこの高速は、超電導軌道を備えた第1の部分から導電性軌道(中間又は第2の部分)に入るときに、適度に高い揚抗比を保証する。
【0031】
費用を最小化することを模索する一実施例では、(例えば、超電導軌道に対する冷却要件による)費用及びエネルギー消費を最小化するように、超電導軌道を含む第1及び第2のセクションの長さが、軌道の長さ全体のわずかなパーセンテージ(<0.1%)である。1以上の実施例では、導電性軌道(第2の部分)が、少なくとも300マイルの長さを有する。
【0032】
超電導軌道の実施例
1以上の実施例では、軌道の超電導領域を備える第1の部分は、例えば、液体窒素又は冷凍サイクルを使用した冷却を必要とする。例えば、77Kの沸点を有する液体窒素を使用して、超電導体(例えば、92K未満の温度で超伝導性を維持するYBaCuOなどの高温超電導材料)を冷却することができる。液体窒素又は更なる電力の補給によって、超電導軌道を、超電導体の超電導状態を維持するために必要な臨界温度より下に保つことができる。
【0033】
図4は、軌道の第1の部分302が、第1の壁404と第2の壁406を有する真空が引かれた二重壁管402を備えた低温保持装置/低温保持チャンバ400を含む。第1の壁は、第1の空間408を形成又は包囲し、第2の空間410が、第1の壁と第2の壁との間に形成又は包囲される。1以上の実施例では、低温保持装置及び壁404、406が、ステンレス鋼から製作される。
【0034】
超電導材料412を備えた超電導体は、第1の空間内に配置又は包含される。
図4は、格子状の様態で配置された超電導結晶414を含む超電導材料を収容する低温保持装置を更に示している。超電導結晶のサイズ決定は、超電導材料の最適な粒度に基づく。一実施例では、その結晶が、略2.5インチ×1.25インチ×0.5インチであるYBaCuOの結晶である。
【0035】
第1及び第2の壁の間の第2の空間は、ほとんど全ての熱伝達を除去する真空450断熱を形成するように、真空が引かれている。管内の第2の空間内の更なる低圧環境は、外部環境からの熱対流の低減ももたらし、それによって、軌道を低温に維持する助けとなる。低温保持装置は、冷凍技術を使用して動的に冷却され得るか(動的冷却の予期される電力消費は、全体で1200フィートの軌道を冷却するとして1~5キロワット程度であり、それは、1フィート当たり0.5~5ワットに相当する)、又は必要に応じて液体窒素が再補給されてよい。一実施例では、第1の空間が、超電導材料を超電導状態に冷却するために使用される冷媒(例えば、液体窒素又は他の冷却剤)も含むことができる。弁が、第1の空間に連結され、第1又は第2の空間の中へ冷媒を受け入れたり移したりするように構成されてよい。
【0036】
超電導軌道の幅は、浮揚される質量のサイズに従って拡大縮小されてよい。幅が略12インチであるように設計された軌道は、40,000ポンド(lb)の輸送体を浮揚させることができる(輸送体がより長くなれば、浮揚され得る輸送体がより重くなるので、軌道の幅は、浮揚され得る輸送体の重量に影響を与えないのであるが)。
【0037】
導電性軌道領域
軌道の主要部分(第2の部分304)は、高い揚抗比に対して最適化された低費用の導電性軌道から成る。軌道は、インダクタンス及びしたがって揚抗比を増加させるために、スロット付きであってよく又は積層化されていていよい。
【0038】
図5は、機械加工された幾何学的形状を有するソリッドな導電性プレート502から成る、スロット付き軌道500の実施形態を示している。軌道を備えたスロット504及びラング506の幾何学的形状は、磁石の幾何学的形状、輸送体の速度、及び所望の揚力に関連して最適化され得る。例示的な寸法は、1~2フィートの範囲内にあるスロット幅W
SLOT及びスロット長さL
SLOT、0.2~0.75フィートの範囲内にあるラング長さ(L
rung)、及び0.5~3フィートの範囲内にある軌道幅W
trackを含むが、それらに限定されるものではない。導電性プレートに対する例示的な材料は、アルミニウムを含むが、それに限定されるものではない。少なくとも50の例示的な揚抗比が、この軌道構成を使用して測定された。
【0039】
図6は、非限定的に、薄いプラスチックシートや陽極酸化アルミニウムなどの非導電性材料又は絶縁体604によって二三ミリメートル毎(例えば、1~10mmの範囲内の間隔)に分離された導電性材料602(例えば、アルミニウム)から成る積層化された軌道600の実施例を示している。積層化された軌道に対する例示的な寸法は、0.5~2フィートの範囲内(例えば、1フィート)にある軌道幅W
trackを含むが、それに限定されるものではない。これらの寸法に対する理論的な揚抗比は、100mphより上の速度で150を超える。導電性材料の間隔Sは、渦電流を局所化するように設定することができる。
【0040】
導電性軌道の実施態様は、超電導軌道の使用と比較して極めて費用効果に優れる。軌道の高速部分で導電性軌道を使用することによって、磁気抵抗による損失の量を少なくすることができるだけでなく、浮揚のフェイルセーフモードを提供することもできる。軌道又は輸送体に対する電力が失われた場合、輸送体は、10mph辺りの速度に到達するまで安定的な浮揚を継続するようになる。
【0041】
例示的な輸送体
図7は、輸送体を軌道上に浮揚させるように、軌道と相互作用する磁場M2を生成するように構成された、磁石702を含む磁気モジュール750を備えた、輸送体700、又は輸送体(例えば、客室700b又はトレインエンジン700c)を含む客車700aを示している。
図7の実施例では、磁気浮揚を可能にする磁場M2が、「ハルバッハ配列」で配向された輸送体上の永久磁石の配列702によって生成される。1以上の磁石702を含む磁石モジュール750が、輸送体700に取り付けられている(連結部752)。
図8は、ハルバッハ配列800が、その配列の片側上の磁束密度を増強し、他方の側上では磁束密度を略無効にする、永久磁石の特定の構成であることを示している。ハルバッハ配列は、増強された磁場が軌道310の表面と相互作用するように、輸送体700上に配向されている。1以上の実施例では、ハルバッハ配列で配置された磁石が、ネオジム、鉄、及びホウ素の合金を含む。
【0042】
ハルバッハ配列800は、浮揚システムの揚抗比を増加させるために、より長い波長で最適化することができる(
図9で示されているように、波長は、ハルバッハ配列の繰り返しセクション間の長さと定義される)。
図10は、種々のタイプの導電性軌道に対して、ハルバッハ配列の波長及び速度の関数としての揚抗比を示している。
【0043】
ハルバッハ配列の実施態様は、磁石の単位質量当たりのより高い浮揚される質量を可能にする。というのも、ハルバッハ配列は、永久磁石の効率(単位質量当たりの磁束)を増加させるからである。磁石の配向と位置決めは、導電性軌道と共に使用するために最適化することができ、未だ超電導軌道(第1の部分)内の超電導体とのそれらの相互作用中に適切に機能することとなる。
【0044】
例示的なレールシステム:真空管トレイン(V
actrain
)
図11A~
図11Bは、真空トンネル1100内のハイブリッド軌道310の導電性領域又は部分(第2の部分304)を示している(すなわち、輸送体は、更に抵抗力を低減させるために、真空が引かれたトンネル内の軌道310上で移動する客車を備える)。
【0045】
図11Aは、第2の磁場(M2)が、強磁性材料(1150)を含む導体(308)と相互作用するときに、輸送体(1104)が浮揚する(L)ように、電磁サスペンションシステム(EMS)を形成するべく、導体(308)及び磁石(702)が配置された、レール(300)を示している。1以上の実施例では、磁石が、輸送体1104に取り付けられた電磁石1102を含む。電磁石は、(例えば、積層化された強磁性の)軌道1106を備えた導電性軌道(第2の部分304)と相互作用する。1以上の実施例では、軌道1106と磁石との間に1~4cmの範囲内の間隙を設けるために、電磁石が動的に制御される。一定の間隙を維持するために、近接センサからのフィードバックが電磁石に供給される。電磁石は、(エネルギー要求を低減させる)超電導コイルで電力供給され、安定性を改善するために更なるコイルが位置決めされてよい。電磁サスペンションシステムが、導電性軌道1106と電磁石1102との間の引き合う磁力を利用するので、軌道1106は、電磁石よりも上でなければならない。電磁石と強磁性軌道との間の引き合う磁力は、スチール軌道からの距離が増加するにつれて、指数関数的に衰微する。
図11Aの実施例は、積層化された強磁性軌道を含む導電性軌道を示しているが、他の強磁性軌道も使用されてよい。揚抗比は、(ソリッドな強磁性軌道に対する)20から(積層化された軌道を使用する)理論的に100以上までの範囲内に入り得る。
【0046】
図11Bは、レンツの法則及びローレンツ力に従って生成される第2の揚力F2に反応して、輸送体(1110)が浮揚するように、電気動力学サスペンションシステム(EDS)を形成するべく、導体(308)及び磁石(702)が配置された、レール(300)を示している。1以上の実施例では、輸送体1110上の磁石1108が、導電性軌道1112(第2の部分304)と相互作用する。例示的な受動的システムでは、永久磁石が、例えば
図5又は
図6で示されているように、ラダー(ladder)又はインダクトラック(Inductrack)軌道表面を含む、導電性軌道1112を有する片側ハルバッハ配列で、輸送体上に取り付けられている。別の例示的な受動的システムでは、永久磁石が、ラダー又はインダクトラック軌道表面を含む、導電性軌道を有する二重ハルバッハ配列(ヌルフラックス)で、輸送体上に取り付けられている。更に別の例示的な受動的システムでは、永久磁石が、ループを備えた導電性軌道を有する片側ハルバッハ配列(ヌルフラックス)で、輸送体上に取り付けられている。一実施例では、レールが、6061アルミニウムを含む(例示的な寸法は、幅12フィート及び厚さ0.25フィートを有する軌道を含むが、それに限定されるものではない)。
【0047】
特定の科学的理論によって拘束されることなしに、電気動力学サスペンションシステムは、レンツの法則及びローレンツ力を使用して動作する。その場合、(導電性軌道上の輸送体内の磁石の動きによってもたらされる)導電性軌道1112の導電性表面内の磁場の変化は、渦電流を生成する。次に、磁場の変化が、導電性表面に引き起こされた磁場の変化に抵抗するような磁場を生成する。これは、輸送体の浮揚をもたらす反力をもたらす。
【0048】
1以上の実施例では、EDSシステムが、20の揚抗比、輸送体と導電性軌道の間の略10mmの間隙、及び50:1である輸送体の質量の磁石の質量に対する比を示す。
【0049】
工程ステップ
図12は、レールシステムを作成し且つ/又は操作する方法を示すフローチャートである。
【0050】
ブロック1200は、レールを備えた軌道を取得又は提供(例えば、組み立て又は敷設)することを表している。そのレールは、第2の部分に接続された第1の部分を含み、第1の部分は超電導体を含み、第2の部分は導体を含む。1以上の実施例では、前記第1の部分(302)が第1のテーパが付けられた端部(316)を有し、前記第2の部分(304)が第2のテーパが付けられた端部(318)を有し、前記第1のテーパが付けられた端部(316)が、前記第2のテーパが付けられた端部(318)と対合する。このやり方で、軌道の外側の揚力安定性を増加させるように、第1の部分302が、第2の部分304の外側314に接続している。
【0051】
超電導体の実施例は、YBaCuO超電導材料又は他の高温超電導材料を含むが、それらに限定されるものではない。
【0052】
1以上の実施例では、導体308が、スロット504及びラング506を含む、ソリッドな導電性プレート502を備える。
【0053】
1以上の実施例では、第2の部分304が積層体650を備え、積層体650は、絶縁体604によって分離された導電性材料602として配置された導体308を含む。
【0054】
第1の部分に対する例示的な長さL2は、100フィート~2000フィートの範囲内の長さL2、又は、輸送体700が、第1の部分302から第2の部分304に入るときに、輸送体700が第2の部分の最大揚抗比を超える(例えば、100を超える)揚抗比を受けるような速度に到達するのに十分な長さL2を含むが、それらに限定されるものではない。1以上の実施例では、長さL2が、前記輸送体700が、第1の部分302の一端360における0mphの初期速度から、又は第2の部分304に接続された第1の部分302の他端362における少なくとも100マイル/時間のスピード/速度まで、1gの最大加速度で加速するような長さである。1以上の更なる実施例では、第1の部分302が、レールシステム300b内の軌道310の全体の長さL3の0.1%未満を備える。
【0055】
ブロック1202は、任意選択的に、輸送体700を軌道310に磁気的に接続することを表している。その場合、輸送体700は、輸送体700に取り付けられた磁石702を備える。1以上の実施例では、磁石702が、希土類永久磁石(例えば、ネオジム、鉄、及びホウ素の合金を含む磁石)を備える。磁石702は、レール300(第1の部分302又は第2の部分304)と相互作用する磁場M2を生成する。
【0056】
ブロック1204は、任意選択的に、(超電導状態にある超電導体306を使用して生成された)第1の磁場M1が、輸送体700に取り付けられた磁石702から生成された第2の磁場M2と相互作用するときに、生成された第1の揚力F1に反応して、輸送体700が、第1の部分302に対して浮揚するLことを可能にすることを表している。
【0057】
輸送体700に接続された推進システムが、レール300によって軌道310に沿ってガイドされた輸送体700のスピード/速度を制御する。
【0058】
ブロック1206は、任意選択的に、第2の磁場M2が導体308と相互作用するときに、生成された第2の揚力F2に反応して、輸送体700が、第2の部分304に対して浮揚するLことを可能にすることを表している。
【0059】
輸送体700に接続されたコンピュータシステム1300が、輸送体700の速度を制御する。それによって、輸送体700は、輸送体700に関連付けられた揚抗比が第2の部分304に対する揚抗比の最大値であるような、(第1の部分302から第2の部分304に入る)スピード又は速度を有する。
【0060】
処理環境
図13は、軌道の導電性部分に入る揚抗比が十分に高い(例えば、100より大きい)ように、輸送体1314、700の速度を制御するために必要とされる処理要素を実装する、例示的なシステム1300を示している。
【0061】
コンピュータ1302は、プロセッサ1304(汎用プロセッサ1304A及び専用プロセッサ1304B)、並びにランダムアクセスメモリ(RAM)1306などのメモリを備える。概して、コンピュータ1302は、メモリ1306内に記憶されたオペレーティングシステム1308の制御の下で動作し、入力と命令(例えば、乗務員又は自動氷検出器からのアナログ又はデジタル信号)を受け付け且つ入力/出力(I/O)モジュール1310を介して結果を提示する、ユーザ/他のコンピュータと相互作用する。コンピュータプログラムアプリケーション1312は、コンピュータ1302のメモリ1306内に記憶されたデータにアクセスし、そのデータを操作する。オペレーティングシステム1308とコンピュータプログラム1312は、コンピュータ1302によって読み込まれ実行されたときに、コンピュータ1302に本明細書で説明される動作及び/又は方法を実行させる指示命令から成る。一実施形態では、オペレーティングシステム1308とコンピュータプログラム1312を実施する指示命令が、メモリ1306内で有形に具現化され、それによって、1以上のコンピュータプログラム製品又は製造品が、本明細書で説明されるように、ハイブリッド軌道上の輸送体の速度を制御することを可能にする。そのようにして、本明細書で使用される際に、「製造品」、「プログラム記憶デバイス」、及び「コンピュータプログラム製品」という用語は、任意のコンピュータ可読デバイス又は媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムを包含することが意図されている。
【0062】
更に、本開示は下記の条項による実施形態を含む。
条項1.
レール(300)であって、
第2の部分(304)に接続された第1の部分(302)を備え、前記第1の部分(302)が超電導体(306)を含み、前記第2の部分(304)が導体(308)を含み、前記レール(300)を含む軌道(310)に磁気的に接続された輸送体(700)が、
第1の磁場(M1)が第2の磁場(M2)と相互作用するときに、前記第1の部分(302)に対して浮揚し(L)、前記第1の磁場(M1)が、超電導状態にある前記超電導体(306)を使用して生成され、前記第2の磁場(M2)が、前記輸送体(700)に取り付けられた磁石(702)から生成され、
前記第2の磁場(M2)が前記導体(308)と相互作用するときに、前記第2の部分(304)に対して浮揚する(L)、レール(300)。
条項2.
前記第1の部分(302)が第1のテーパが付けられた端部(316)を有し、前記第2の部分(304)が第2のテーパが付けられた端部(318)を有し、
前記第1のテーパが付けられた端部(316)が、前記第2のテーパが付けられた端部(318)と対合する、条項1に記載のレール(300)。
条項3.
前記第1の部分(302)が、第1の壁(404)と第2の壁(406)を有する真空が引かれた二重壁管(402)を備え、前記第1の壁(404)が第1の空間(408)を形成し、前記第1の壁(404)と前記第2の壁(406)が、前記第1の壁(404)と前記第2の壁(406)の間に第2の空間(410)を形成し、
前記超電導体(306)が、前記第1の空間(408)内に配置され、
前記第2の空間(410)が真空(450)を含む、条項2に記載のレール(300)。
条項4.
前記超電導体(306)が、複数のYBaCuO結晶(414)を含む、条項3に記載のレール(300)。
条項5.
前記第2の磁場(M2)が、強磁性材料(1150)を含む前記導体(308)と相互作用するときに、第2の揚力F2が生成されたことに反応して、前記輸送体(1104)が浮揚する(L)ように、電磁サスペンションシステム(EMS)を形成するべく、前記導体(308)及び前記磁石(702)が配置されている、条項1に記載のレール(300)。
条項6.
レンツの法則及びローレンツ力に従って生成される揚力F2に反応して、前記輸送体(1110)が浮揚するように、電気動力学サスペンションシステム(EDS)を形成するべく、前記導体(308)及び前記磁石(702)が配置されている、条項1に記載のレール(300)。
条項7.
前記導体(308)が、スロット(504)及びラング(506)を含む、ソリッドな導電性プレート(502)を備える、条項1に記載のレール(300)。
条項8.
前記第2の部分(304)が積層体(650)を備え、前記積層体(650)が、絶縁体(604)によって分離された導電性材料(602)として配置された前記導体(308)を含む、条項1に記載のレール(300)。
条項9.
前記磁石(702)が、ハルバッハ配列(800)で配置されている、条項1に記載のレール(300)。
条項10.
前記第1の部分(302)が、100フィート~2000フィートの範囲内の長さ(L2)を有する、条項1に記載のレール(300)。
条項11.
前記第1の部分(302)が、前記輸送体(700)が、前記第1の部分(302)から前記第2の部分(304)に入るときに、前記第2の部分(304)の最大揚抗比を超える揚抗比を受けるような速度に到達するのに十分な長さ(L2)を有する、条項1に記載のレール(300)。
条項12.
前記長さ(L2)が、前記輸送体(700)が、前記第1の部分(302)の一端(360)における0mphの初期速度から、前記第2の部分(304)に接続された前記第1の部分(302)の他端(362)における少なくとも100マイル/時間の速度まで、1gの最大加速度で加速するような長さである、条項1に記載のレール(300)。
条項13.
条項1に記載のレール(300)を含むレールシステム(300b)であって、前記第1の部分(302)が、前記レールシステム(300b)内の軌道(310)の全体の長さ(L3)の0.1%未満を備える、レールシステム(300b)。
条項14.
前記レールシステム(300b)上の前記輸送体(700)の速度を制御するように構成されたコンピュータ(1302)を更に備え、前記輸送体(700)が前記第1の部分(302)から前記第2の部分(304)に入るときの速度が、前記輸送体(700)が少なくとも100又は前記第2の部分(304)の最大揚抗比を超える揚抗比を受けるような速度である、条項13のレールシステム(300b)。
条項15.
前記第1の部分(302)が、第1のセクション(332)と第2のセクション(334)を含み、前記第2の部分(304)が、前記第1のセクション(332)と前記第2のセクション(334)の間にある、条項1に記載のレール(300)。
条項16.
前記輸送体(700)が、客車(700a)内にある、条項1に記載のレール(300)。
条項17.
輸送体(700)を操作する方法であって、
レール(300)を含む軌道(310)上で前記輸送体(700)を操作することを含み、前記レール(300)が、第2の部分(304)に接続された第1の部分(302)を含み、前記第1の部分(302)が超電導体(306)を含み、前記第2の部分(304)が導体(308)を含み、前記軌道(310)に磁気的に接続された前記輸送体(700)が、
超電導状態にある前記超電導体(306)を使用して生成された第1の磁場(M1)が、前記輸送体(700)に取り付けられた磁石(702)から生成された第2の磁場(M2)と相互作用するときに、生成された第1の揚力に反応して、前記第1の部分(302)に対して浮揚し(L)、
前記第2の磁場(M2)が前記導体(308)と相互作用するときに、生成された第2の揚力に反応して、前記第2の部分(304)に対して浮揚する(L)、方法。
条項18.
前記第1の部分(302)が、前記輸送体(700)が、前記第1の部分(302)から前記第2の部分(304)に入るときに、前記第2の部分(304)の最大揚抗比を超える揚抗比を受けるような速度に到達するのに十分な長さ(L2)を有する、条項17に記載の方法。
条項19.
輸送体(700)であって、
前記輸送体(700)に取り付けられた磁石(702)を備え、前記磁石(702)が、第2の部分(304)に接続された第1の部分(302)を含むレール(300)と相互作用する磁場を生成し、前記第1の部分(302)が超電導体(306)を含み、前記第2の部分(304)が導体(308)を含み、
前記輸送体(700)が更に、前記輸送体(700)の速度を制御する、前記輸送体(700)に接続されたコンピュータシステム(1300)を備え、
前記輸送体(700)が、
超電導状態にある前記超電導体(306)を使用して生成された第1の磁場(M1)が、前記輸送体(700)に取り付けられた磁石(702)から生成された第2の磁場と相互作用するときに、生成された第1の揚力(F1)に反応して、第1の部分(302)に対して浮揚し(L)、
前記第2の磁場(M2)が前記導体(308)と相互作用するときに、生成された第2の揚力(F2)に反応して、前記第2の部分(304)に対して浮揚し(L)、
前記輸送体(700)に関連付けられた揚抗比が、前記第2の部分(304)に対する揚抗比の最大値となるような、前記第1の部分(302)から前記第2の部分(304)に入る速度を有する、輸送体(700)。
条項20.
条項19に記載の輸送体を備える客車(700b)。
【0063】
本開示の範囲から逸脱することなしにこの構成に多くの修正が行われ得ることを、当業者は理解するだろう。例えば、上述の構成要素、又は任意の数の種々の構成要素、周辺機器、及び他のデバイスの任意の組み合わせが使用され得ることを、当業者は理解するだろう。
【0064】
利点及び改良
本明細書で説明された1以上の実施例による、ハイブリッド超電導/導電性軌道の実施態様は、問題を解決する。
【0065】
浮揚モジュールが軌道に接触し、輸送体を減速させることを防止するための、車輪又は更なる手段が必要でない。本明細書で説明された輸送体は、輸送体の加速を支援するための車輪が必要でない。
【0066】
低い揚抗比による効率の低減がない。本明細書で説明されたレールシステムの実施形態は、輸送体が、適切な高い揚抗比で導電性領域に入ることを保証することによって、(例えば、真空が引かれた管内で)輸送体の加速を支援する。本明細書で説明されたレールシステムの実施形態は、巡航速度までの加速の効率を少なくとも50%だけ増加させる。
【0067】
高い費用がなくなる。本明細書で説明されたレールシステムの実施形態は、全体的に初期費用と操業費用の両方を低減させる。
【0068】
浮揚の不具合がなくなる。本明細書で説明されたハイブリッドレールシステムの実施例は、高速度領域においてフェイルセーフな浮揚を可能にする。
【0069】
結論
これで、本開示の好適な実施形態の説明を終了する。好適な実施形態の前述の説明は、例示及び説明を目的として提示されてきた。網羅的であること、又は開示された精密な形態に本開示を限定することは意図されていない。多くの修正例及び変形例が、上述の教示に照らして可能である。権利範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。