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特許7398914ポリエーテル類含有廃水の処理方法、ポリエーテル類含有廃水処理装置及びこれらに用いられる汚泥
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ポリエーテル類含有廃水の処理方法、ポリエーテル類含有廃水処理装置及びこれらに用いられる汚泥
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20230101AFI20231208BHJP
   C02F 3/28 20230101ALI20231208BHJP
   C02F 3/30 20230101ALI20231208BHJP
   C02F 3/10 20230101ALI20231208BHJP
   C02F 3/04 20230101ALI20231208BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20231208BHJP
【FI】
C02F3/34 Z
C02F3/28 A
C02F3/28 B
C02F3/30 A
C02F3/30 B
C02F3/10 Z
C02F3/04
C12N1/20 D
C12N1/20 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019174439
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2020075237
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2018181118
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米山 史紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 菜月
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 治
(72)【発明者】
【氏名】田口 武彦
(72)【発明者】
【氏名】高松 成亮
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆司
(72)【発明者】
【氏名】渡利 高大
(72)【発明者】
【氏名】酒井 優也
(72)【発明者】
【氏名】幡本 将史
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-097994(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0101480(KR,A)
【文献】特開2015-104687(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02927196(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00- 3/34
C12N 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテル類含有廃水を、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)反応槽に備えられた汚泥を通じて嫌気的に処理するポリエーテル類含有廃水の処理方法において、
上記汚泥は複数種類の微生物からなる微生物群を含み、該微生物群において、ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物及びメタン菌のいずれか一方の存在割合が最も高く、他方の存在割合が次に高く、
上記汚泥に含まれるすべての微生物に対する上記ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物の存在割合が20~65%であるとともに、メタン菌の存在割合が5~35%であり、
上記ポリエーテル類含有廃水にはエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体が含まれており、上記汚泥に含まれる上記微生物群が上記共重合体を嫌気的に分解するように構成されており、
上記共重合体におけるエチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)との共重合比は、モル比率でEG:PG=1:5.0以下である、ポリエーテル類含有廃水の処理方法。
【請求項2】
上記汚泥に含まれる微生物はすべて野生株である、請求項に記載のポリエーテル類含有廃水の処理方法。
【請求項3】
エチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)との共重合比がモル比率でEG:PG=1:5.0以下であるエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体を含むポリエーテル類含有廃水を嫌気的に処理するために用いられる汚泥であって、
複数種類の微生物からなる微生物群を含むとともに、該微生物群において、ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物及びメタン菌のいずれか一方の存在割合が最も高く、他方の存在割合が次に高く、
上記微生物群において、上記ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物の存在割合が20~65%であるとともに、メタン菌の存在割合が5~35%である、ポリエーテル類含有廃水の処理に用いられる汚泥。
【請求項4】
上記微生物群を構成する微生物はすべて野生株である、請求項に記載のポリエーテル類含有廃水の処理に用いられる汚泥。
【請求項5】
上記汚泥はグラニュール汚泥である、請求項3又は4に記載のポリエーテル類含有廃水の処理に用いられる汚泥。
【請求項6】
上記請求項3~5のいずれか一項に記載の汚泥が保持されたUASB反応槽を備える、ポリエーテル類含有廃水処理装置。
【請求項7】
上記UASB反応槽から排出される処理済水が供給される好気性処理装置を有する、請求項に記載のポリエーテル類含有廃水処理装置。
【請求項8】
上記好気性処理装置は、DHS(Downflow Hanging Sponge)反応槽である、請求項に記載のポリエーテル類含有廃水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテル類含有廃水の処理方法、ポリエーテル類含有廃水処理装置及びこれらに用いられる汚泥に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業廃水の処理について種々の検討がなされており、廃水の成分に応じた適切な処理方法が採用されるようになってきている。そして、離型剤や潤滑剤に多く含まれるポリエーテル類を含む廃水は難分解性であるために焼却処理されることが一般的であるが、かかる処理方法は環境負荷が大きく、費用も高額となりやすいという問題がある。そこで、環境負荷を低減させて低コストで処理可能な方法として、微生物を利用した方法が考えられる。例えば、特許文献1には、ポリエーテル類のポリエチレングリコールを含有する廃水の処理方法として、嫌気性微生物を含む汚泥が保持された嫌気性処理槽にポリエチレングリコールを含有する廃水を通じて嫌気性処理した後、その処理水に酸素を供給して活性汚泥処理することにより、ポリエチレングリコールを分解する方法が言及されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-210489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、上記嫌気性微生物を含む汚泥はメタン発酵処理により生じるものであることが開示されてはいるが、当該汚泥における菌叢構成については明らかにされていない。また、ポリエーテル類を含む廃水の処理方法に関する研究が種々行われているが、いずれも学術レベルにとどまっており、環境負荷が小さく低コストでかつ大規模な処理が可能な工業レベルの処理方法はいまだ報告されていない。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、低環境負荷かつ低コストで大規模な処理が可能なポリエーテル類含有廃水の処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ポリエーテル類含有廃水を、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)反応槽に備えられた汚泥を通じて嫌気的に処理するポリエーテル類含有廃水の処理方法において、
上記汚泥は複数種類の微生物からなる微生物群を含み、該微生物群において、ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物及びメタン菌のいずれか一方の存在割合が最も高く、他方の存在割合が次に高く、
上記汚泥に含まれるすべての微生物に対する上記ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物の存在割合が20~65%であるとともに、メタン菌の存在割合が5~35%であり、
上記ポリエーテル類含有廃水にはエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体が含まれており、上記汚泥に含まれる上記微生物群が上記共重合体を嫌気的に分解するように構成されており、
上記共重合体におけるエチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)との共重合比は、モル比率でEG:PG=1:5.0以下である、ポリエーテル類含有廃水の処理方法にある。
【0007】
本発明の他の一態様は、エチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)との共重合比がモル比率でEG:PG=1:5.0以下であるエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体を含むポリエーテル類含有廃水を嫌気的に処理するために用いられる汚泥であって、
複数種類の微生物からなる微生物群を含むとともに、該微生物群において、ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物及びメタン菌のいずれか一方の存在割合が最も高く、他方の存在割合が次に高く、
上記微生物群において、上記ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物の存在割合が20~65%であるとともに、メタン菌の存在割合が5~35%である、ポリエーテル類含有廃水の処理に用いられる汚泥にある。
【0008】
本発明のさらに他の一態様は、上記汚泥が保持されたUASB反応槽を備える、ポリエーテル類含有廃水処理装置にある。
【発明の効果】
【0009】
上記一態様のポリエーテル類含有廃水の処理方法における汚泥に含まれた複数種類の微生物からなる微生物群において、ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物及びメタン菌のいずれか一方の存在割合が最も高く、他方の存在割合が次に高い。本願発明者らは、かかる汚泥を用いることにより、ポリエーテル類含有廃水を効率的に処理できることを見出した。そして、かかる処理は、嫌気的条件下で金属の酸化に関与することが知られていたジオバクター科(Geobacteraceae)の微生物のなかに嫌気的条件下でポリエーテル類を有機酸に分解する能力を有するものが存在し、かつ、メタン菌が有機酸を分解する能力を有することにより実現可能となったとの結論に至った。当該処理方法によれば、上記微生物群を含む汚泥によって処理するため、従来の焼却処理に比べて、環境負荷が小さく低コストで大規模な処理が可能となる。
【0010】
上記他の一態様のポリエーテル類含有廃水を嫌気的に処理するために用いられる汚泥によれば、上記汚泥をポリエーテル類含有廃水の処理に積極的に使用することにより、上述の通り、従来の焼却処理に比べて、環境負荷が小さく低コストで大規模な処理が可能となる。
【0011】
上記さらに他の一態様のポリエーテル類含有廃水処理装置によれば、上述の通り、廃水に含まれるポリエーテル類が嫌気的条件下で効率的に分解され、ポリエーテル類含有廃水が効率的に処理されるとともに、従来の焼却処理に比べて、環境負荷が小さく低コストで大規模な処理が可能となる。
【0012】
以上のように、本発明によれば、低環境負荷かつ低コストで大規模な処理が可能なポリエーテル類含有廃水の処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1における、ポリエーテル類含有廃水処理装置の構成を表す模式図。
図2】実施例1における、供給廃水、UASB処理済水及びDHS処理済水のCOD濃度を示す図。
図3】実施例1における、UASB処理、DHS処理におけるCOD除去率及びOLRを示す図。
図4】実施例1における、グリコール類含有廃水の処理装置におけるバイオガス生成量を示す図。
図5】実施例1における、汚泥を構成する微生物の科レベルでの存在割合を表した図。
図6】実施例1における、汚泥を構成する微生物の属レベルでの存在割合を表した図。
図7】実施例1における、汚泥によるポリエーテル類化合物の生分解性に関する試験結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記処理方法及び上記汚泥において、上記汚泥に含まれるすべての微生物に対する上記ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物の存在割合が20~65%であるとともに、メタン菌の存在割合が5~35%であることが好ましい。この場合には、ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物による嫌気的条件下でのポリエーテル類の有機酸への分解と、メタン菌による有機酸の分解とがバランスよく行われることとなる。その結果、ポリエーテル類含有廃水を一層効率的に処理することができる。
【0015】
上記処理方法及び上記汚泥において、上記ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物には、ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物が含まれていることが好ましい。ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物は、嫌気的条件下において高いポリエーテル類の有機酸への分解能を有するため、廃水に含まれるポリエーテル類の有機酸への分解が一層促進され、ポリエーテル類含有廃水を一層効率的に処理することができる。
【0016】
上記処理方法及び上記汚泥において、上記汚泥に含まれる微生物はすべて野生株であることが好ましい。この場合には、当該汚泥には人為的操作により変異が導入された微生物が含まれないため、当該処理方法により処理された処理済水を河川等の自然界に放流することが容易となる。
【0017】
上記ポリエーテル類含有廃水にはエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体が含まれており、上記汚泥に含まれる上記微生物群が上記共重合体を嫌気的に分解するように構成されていることが好ましい。この場合には、当該処理方法により、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体を効率的に分解することができる。
【0018】
上記共重合体におけるエチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)との共重合比は、モル比率でEG:PG=1:5.0以下であることが好ましい。この場合には、当該処理方法により、上記共重合比を有する上記共重合体を含むポリエーテル類含有廃水を上記微生物群により効率的に分解することができる。上記共重合比において、エチレングリコールに対するプロピレングリコールの共重合比が5.0よりも大きい場合は、上記ジオバクター科に属する微生物による有機酸への分解速度が大きく低下するため、効率的な処理を行うことが困難となる。これは、微生物による共重合体の分解では、まず、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの繰り返し単位間を加水分解して、繰り返し数の少ないポリマーやモノマーに分解した後、これらを有機酸に分解していくこととなるが、プロピレングリコールの共重合比が増してプロピレンオキシドの繰り返し数が多くなると、プロピレンオキシド同士の間の加水分解が困難となる傾向があるため、当該共重合体の分解速度の大幅な低下を引き起こしていると推察される。
【0019】
上記汚泥はグラニュール汚泥であることが好ましい。当該汚泥がUASB反応槽に使用されることにより、ポリエーテル類含有廃水処理装置を構築することが容易となり、当該処理装置によってポリエーテル類含有廃水を効率的に処理することができる。
【0020】
上記ポリエーテル類含有廃水処理装置において、上記UASB反応槽から排出される処理済水が供給される好気性処理装置を有することが好ましい。この場合には、UASB反応槽から排出される処理済水に含まれる有機酸を好気性処理装置によって好気的条件下で処理することができるため、当該装置全体におけるポリエーテル類含有廃水の処理効率が一層向上する。
【0021】
上記好気性処理装置は、DHS(Downflow Hanging Sponge)反応槽であることが好ましい。この場合には、UASB反応槽から排出される処理済水に含まれる有機酸を好気性処理装置によって好気的条件下で処理することができるため、当該装置全体におけるポリエーテル類含有廃水の処理効率が一層向上する。
【実施例
【0022】
(実施例1)
本例の実施例に係るポリエーテル類含有廃水の処理方法、ポリエーテル類含有廃水処理装置及びこれらに用いられる汚泥につき、図1図6を用いて説明する。
本例のポリエーテル類含有廃水の処理方法は、図1に示すように、ポリエーテル類含有廃水を、UASB反応槽10に備えられた汚泥60を通じて嫌気的に処理するポリエーテル類含有廃水の処理方法である。そして、汚泥60は複数種類の微生物からなる微生物群を含み、該微生物群において、ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物及びメタン菌のいずれか一方の存在割合が最も高く、他方の存在割合が次に高い。
【0023】
以下、本例の処理方法について詳述する。
まず、本例において使用するポリエーテル類含有廃水処理装置(以降において「処理装置」ともいう)1は、図1に示すように、UASB反応槽10、DHS反応槽20、廃水貯留部30、ガス回収部40及び処理済水回収部50を備える。
【0024】
UASB反応槽10は有底円筒状の反応槽本体11と、反応槽本体11の側面に設けられたポート12a~12dと、反応槽本体11の上部に設けられた気液固3相分離装置13を有する。ポート12a~12dは下部側から上部側に向かって順に並ぶようにそれぞれ配置されている。ポート12aは反応槽本体11の下端部から12cm上側に位置しており、ポート12bは反応槽本体11の下端部から17cm上側に位置しており、ポート12cは反応槽本体11の下端部から33cm上側に位置している。ポート12a~12dを介して、UASB反応槽10内の汚泥60や供給廃水32がサンプリングされる。なお、通常、ポート12a~12dは閉じられており、UASB反応槽10内は密閉された状態に保たれている。本例におけるUASB反応槽10の容量は10Lである。
【0025】
図1に示すUASB反応槽10の反応槽本体11には汚泥60が充填されている。汚泥60は、食品産業廃水の処理に使用されている中温UASB反応槽から採取したグラニュール汚泥を反応槽本体11に植種して形成されたものである。本例における汚泥60は、粒径0.5~2.0mm程度のグラニュール汚泥である。
【0026】
汚泥60は複数の微生物からなる微生物群を含んでおり、当該微生物群は所定の菌叢を形成している。当該微生物群において、汚泥60に含まれるすべての微生物に対するジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物の存在割合が20~65%であるとともに、メタン菌の存在割合が5~35%であることが好ましい。さらに、上記ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物には、ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物が含まれていることが好ましい。本例では、汚泥60に含まれる微生物はすべて野生株である。
【0027】
図1に示すように、UASB反応槽10の下部には廃水供給路31が接続されている。廃水供給路31を介して、廃水貯留部30に貯留された供給廃水32がUASB反応槽10の下部に供給される。供給廃水32は廃水供給路31を介して、UASB反応槽10の下部に所定の流速で供給される。供給された供給廃水32は反応槽本体11内を上昇するとともに汚泥60を通じて嫌気的に処理される。
【0028】
UASB反応槽10の上部を形成する気液固3相分離装置13は、上記処理によって生じたバイオガスをUASB処理済水等から分離する。気液固3相分離装置13にはガス回収部40が接続されている。ガス回収部40は気液固3相分離装置13によって分離されたバイオガスを回収する。また、気液固3相分離装置13には、汚泥60を通じて処理された供給廃水32の上澄み(UASB処理済水)をDHS反応槽20に供給する処理済水供給路15が接続されている。
【0029】
DHS反応槽20内には、生活排水から自然発生的に増殖した汚泥が保持されたスポンジ担体(図示せず)がランダムに配置されている。なお、当該スポンジ担体はプラスチック製のネットリングによって覆われている。本例におけるDHS反応槽20の容量は11Lであり、スポンジ担体の合計体積は約6Lである。DHS反応槽20の上部には上述の処理済水供給路15が接続されている。
【0030】
図1に示す処理済水供給路15を介して、DHS反応槽20の上部に供給されたUASB処理済水は、DHS反応槽20内に滴下されて好気的に処理される。これにより生じたDHS処理済水は、DHS反応槽20の下部に設けられた処理済水排出路21から処理済水回収部50によって回収される。なお、処理済水排出路21とは別にDHS反応槽20の下部に接続した還流路22を介して、DHS処理済水の一部をUASB反応槽10の廃水供給路31に還流してもよい。本例では、処理装置1は37℃に制御された恒温室に設置されている。
【0031】
本例の処理方法及び処理装置1における処理対象となる、ポリエーテル類含有廃水は、ポリエーテル類化合物として、エチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)との共重合体や、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレンオキシド(PPO)を含むものとすることができる。本例の処理方法及び処理装置1により、EG・PG共重合体、PEG、PPG及びPPOを分解可能となっている。当該ポリエーテル類化合物の平均分子量Mwは40,000以下とすることができ、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下である。なお、平均分子量Mwは重量平均分子量を示すものであって、本例ではGPC法により推定した。
【0032】
また、ポリエーテル類化合物としてエチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体を含む場合は、当該共重合体におけるエチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)との共重合比は、EG:PG=1:5.0以下とすることができ、好ましくは1:4.0以下、より好ましくは1:2.0以下、さらに好ましくは1:1.3以下である。
【0033】
(評価試験1)
本例の処理装置1による、供給廃水(ポリエーテル類含有廃水)32の処理能力について、以下の評価試験を行った。
まず、上記処理装置1の運転後、所定日数経過後におけるUASB処理済水及びDHS処理済水のCOD濃度を測定した。なお、これらとの比較のために、供給廃水32のCOD濃度も合わせて測定した。また、供給廃水32の処理により発生するバイオガスの生成量を計測した。
【0034】
COD濃度の測定方法は、重クロム酸カリウム法に従って、水質分析器(DR-2800、HACH社製)を用いて行った。また、バイオガス生成量の計測は、脱硫した後、湿式ガスメータ(WS-1、Shinagawa社製)を用いて行った。バイオガスの成分組成の分析は、TCD検出器ガスクロマトグラフ(GC-8A、Shimadzu社製)を用いて行った。
【0035】
供給廃水32の原液として、本例では、ゴム製品を型成形において金型を洗浄する工程で排出される離型剤を含む廃水を使用した。なお、当該離型剤はポリエーテル類化合物として、エチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)との共重合体を含んでおり、当該共重合体の平均分子量Mwは9,000であり、共重合比(モル比)はEG:PG=1:0.12である。なお、供給廃水32には、重炭酸ナトリウムが1g-NaHCO/g-CODとなるように添加された。さらに栄養塩として、塩化アンモニウム、リン酸水素二カリウムが、COD:N:P=100:10:1となるように添加された。
【0036】
上記処理装置1は、供給廃水濃度1000mg-COD/Lで立ち上げ、245日間運転をさせた。そのうち、運転開始から101日経過までは徐々に負荷を上げて運転条件の最適条件の検討を行った。運転開始から102日以降は、供給廃水32のCODが3000mg・COD/L、pHが7.9となるように調整し、水理学的滞留時間(HRT)を36時間に設定して運転を行った。運転開始後102日経過から245日経過までのCOD濃度の変化を表すグラフを図2に示し、COD除去率の変化及びOLR(Organic load rate、有機物負荷)の変化を表すグラフを図3に示す。また、運転開始後102日経過後から245日経過後までのCOD濃度及びCOD除去率の数値を表1に示す。なお、図3及び表1におけるUASB処理のCOD除去率は、供給廃水32のCOD濃度に対するUASB処理によって除去されたCOD濃度を百分率で表したものである。また、DHS処理のCOD除去率は、供給廃水32のCOD濃度に対するUASB処理及びDHS処理の両方によって除去されたCOD濃度を百分率で表したものである。
【表1】
【0037】
図2及び表1に示すように、UASB処理済水のCOD濃度及びDHS処理済水のCOD濃度は、供給廃水32のCOD濃度と比較して、運転開始後102日から245日までの全運転期間において大幅に低い値であった。UASB処理によるCOD除去率は53.5~77.0%であり、DHS処理によるCOD除去率は74.1~94.3%と非常に高い値であった。これにより、処理装置1及び上記処理方法によれば、非常に高いCOD除去作用を奏すること、すなわち、非常に高いエチレングリコール・プロピレングリコール共重合体の分解作用を奏することが確認できた。
【0038】
また、運転開始234日目から245日目までのバイオガス生成量を測定し、その結果を図4に示した。図4に示すように、当該期間における1日当たりのバイオガス生成量の最大値は57.8L/dayという高い値であった。そして、当該バイオガスにおけるメタンガスの割合は65~71%であり、残りは二酸化炭素ガスであった。
【0039】
以上のように、本評価試験によれば、UASB処理によってCOD濃度が十分に減少し、かつ、十分な量のメタンガスが生成されていることから、廃水に含まれたEG・PG共重合体の大半がUASB処理において有機酸に分解され、さらにメタン菌によってメタンにまで変換されたことが強く示唆された。
【0040】
次に、上記処理装置1に備えられた汚泥60の菌相解析を行った。まず、UASB反応槽10のポート12cから汚泥60のサンプルが採取された。当該採取は、運転開始から112日経過後に行われた。採取された汚泥サンプルはPBS(Phosphate buffered saline)によって洗浄された後、超音波破砕機によって分離処理が行われた。その後、処理済みの汚泥サンプルからFast DNA SPIN Kit for Soil(MP Biomedicals社製)によって、DNAの抽出が行われた。各汚泥サンプルのDNA抽出物に対して、ユニバーサルプライマー515F及びリバースプライマー806Rを用いて所定のサイクル数でPCRが行われた。その後、当該PCRによる増幅産物は、MinElute PCR Purification Kit(Qiagen社製)によって精製された。そして、精製されたPCR増幅産物のすべての塩基配列が、次世代シークエンス技術を用いた超並列16S rRNAシークエンシングにより読み取られた。読み取られた各塩基配列は、quantitative insights into microbial ecology(QIIME)によって解析され、Greengenes databaseに基づいて、汚泥60の各汚泥サンプルにおける微生物の存在割合の解析が行われた。
【0041】
上記菌相解析の結果について、科レベルの微生物の存在割合(16S rRNAシークエンシングの検出率)を表2及び図5に示し、属レベルの微生物の存在割合を表3及び図6に示す。
【表2】
【表3】
【0042】
表2及び図5に示すように、科レベルでは、UASB処理装置1から採取した汚泥60のサンプルにおいて、全微生物に対するジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物の存在割合が最も高いことが分かった。そして、汚泥60の微生物群にはメタン菌として、メタノバクテリウム科(Methanobacteriaceae)及びメタノサエタ科(Methanosaetaceae)に属する微生物が存在しており、当該メタン菌の存在割合が次に高いことが分かった。具体的には、表2に示すように、ジオバクター科に属する微生物の存在割合が35.60%、メタン菌の合計存在割合が12.10%であった。なお、未分類のメタノミクロビウム目(Unclassified Methanomicrobiales)については、分類学上メタン菌に属するが既知のデータベースとの照合では相同性が80%程度と比較的低かったため、上記「未分類のメタノミクロビウム目」の分類に関しては正確性を欠く可能性があるため、本願の「メタン菌」に含めないこととした。
【0043】
また、表3及び図6に示すように、属レベルでは、UASB処理装置1から採取した汚泥60のサンプルにおいて、全微生物に対するジオバクター属(Geobacter)に属する微生物の存在割合が最も高いことが分かった。そして、汚泥60の微生物群にはメタン菌として、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)及びメタノサエタ属(Methanosaeta)に属する微生物が存在しており、当該メタン菌の存在割合が次に高いことが分かった。具体的には、表3に示すように、ジオバクター属に属する微生物の存在割合が35.60%、メタン菌の合計存在割合が11.70%であった。
【0044】
なお、本菌叢解析では、UASB反応槽10のポート12cから採取された汚泥60のサンプルについて示したが、UASB反応槽10のポート12a、ポート12bからそれぞれ採取された汚泥60のサンプルについても本菌叢解析と同傾向の解析結果(図示せず)が得られた。本例の処理方法及び処理装置1では、バイオガスの発生が極めて良好であるため、UASB反応槽10の内部で汚泥60の攪拌が促されて菌叢が均一化されたことが推察された。
【0045】
本例の処理方法、上記処理装置1及び汚泥60による作用効果について、詳述する。
本例の処理方法及び上記処理装置1によれば、汚泥60に含まれた複数種類の微生物からなる微生物群において、ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物及びメタン菌のいずれか一方の存在割合が最も高く、他方の存在割合が次に高い。そして、ジオバクター科に属する微生物には嫌気的条件下でポリエーテル類を有機酸に分解する能力を有する微生物を含んでおり、かつ、メタン菌は有機酸を分解する能力を有する。当該処理方法にはこのような微生物からなる微生物群を含む汚泥が積極的に用いられるため、廃水に含まれるポリエーテル類が嫌気的条件下で効率的に分解され、ポリエーテル類含有廃水が効率的に処理されることとなる。そして、当該微生物群を含む汚泥によって処理するため、従来の焼却処理に比べて、環境負荷が小さく低コストで大規模な処理が可能となる。
【0046】
また、本例では、上記処理方法及び汚泥60において、汚泥60に含まれるすべての微生物に対する上記ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物の存在割合が20~65%の範囲内であるとともに、メタン菌の存在割合が5~35%範囲内となっている。これにより、ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物による嫌気的条件下でのポリエーテル類の有機酸への分解と、メタン菌による有機酸の分解とがバランスよく行われることとなる。その結果、ポリエーテル類含有廃水を一層効率的に処理することができる。
【0047】
また、本例では、上記処理方法及び汚泥60において、上記ジオバクター科(Geobacteraceae)に属する微生物には、ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物が含まれている。ジオバクター属(Geobacter)に属する微生物は、嫌気的条件下において高いポリエーテル類の有機酸への分解能を有するため、廃水に含まれるポリエーテル類の有機酸への分解が一層促進され、ポリエーテル類含有廃水を一層効率的に処理することができる。
【0048】
また、本例では、上記処理方法及び汚泥60において、汚泥60に含まれる微生物はすべて野生株である。これにより、当該汚泥には人為的操作により変異が導入された微生物が含まれないため、当該処理方法により処理された処理済水を河川等の自然界に放流することが容易となる。
【0049】
また、本例では、ポリエーテル類含有廃水にはエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体が含まれており、汚泥60に含まれる微生物群が当該共重合体を嫌気的に分解するように構成されている。これにより、当該処理方法により、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体を効率的に分解することができる。
【0050】
また、本例では、上記共重合体におけるエチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)との共重合比は、モル比率でEG:PG=1:5.0以下である。これにより、当該処理方法により、上記共重合比を有する上記共重合体を含むポリエーテル類含有廃水を汚泥60に含まれる微生物群により効率的に分解することができる。
【0051】
また、本例では、汚泥60はグラニュール汚泥である。かかる汚泥60がUASB反応槽10に使用されることにより、本例のポリエーテル類含有廃水処理装置1を構築することが容易となり、本例の処理装置1によってポリエーテル類含有廃水を効率的に処理することができる。
【0052】
また、本例では、ポリエーテル類含有廃水処理装置1において、UASB反応槽10から排出される処理済水が供給される好気性処理装置としてのDHS反応槽20を有する。これにより、UASB反応槽10から排出される処理済水に含まれる有機酸を好気性処理装置としてのDHS反応槽20によって好気的条件下で処理することができるため、当該装置全体におけるポリエーテル類含有廃水の処理効率が一層向上する。
【0053】
そして、本例では、上記好気性処理装置として、DHS(Downflow Hanging Sponge)反応槽20を採用している。これにより、UASB反応槽10から排出される処理済水に含まれる有機酸を好気性処理装置としてのDHS反応槽20によって好気的条件下で処理することができるため、当該装置全体におけるポリエーテル類含有廃水の処理効率が一層向上する。
【0054】
また、本例における汚泥60をポリエーテル類含有廃水の処理に積極的に使用することにより、上述の通り、従来の焼却処理に比べて、環境負荷が小さく低コストで大規模な処理が可能となる。
【0055】
また、本例におけるポリエーテル類含有廃水処理装置1によれば、上述の通り、廃水に含まれるポリエーテル類が嫌気的条件下で効率的に分解され、ポリエーテル類含有廃水が効率的に処理されるとともに、従来の焼却処理に比べて、環境負荷が小さく低コストで大規模な処理が可能となる。
【0056】
(評価試験2)
ポリエーテル類化合物の生分解特性の評価試験を行った。試験条件は以下の通りである。
【0057】
1.汚泥
本評価試験では、試験例1~3及び比較例において汚泥として、上記実施形態1と同様に取得したものを使用した。
【0058】
2.基質
本評価試験において、基質として、試験例1ではPEG300(共重合比EG:PG=10:0、平均分子量Mw=300)を用い、試験例2ではPPG1000(共重合比EG:PG=0:10、平均分子量Mw=1000)を用い、試験例3ではPPG2000(共重合比EG:PG=5:5、平均分子量Mw=2000)を用いた。比較例では基質に替えて水を加えた。
【0059】
3.培地
本評価試験において、培地は無機栄養塩、レスザリン(酸化還元指示薬)、リン酸緩衝液を含むもの使用した。無機栄養塩として、下記(a)の組成を有する無機塩溶液Iと下記(b)の組成を有する無機塩溶液IIとを予め用意し、下記(c)に示す配合で培地を作成した。
(a)無機塩溶液I
FeCl・4HO:2.0mg/L
CoCl・6HO:0.17mg/L
ZnCl:0.17mg/L
BO:0.06mg/L
MnCl・2HO:0.50mg/L
NiCl・6HO:0.04mg/L
CuCl・2HO:0.027mg/L
NaMgCl・2HO:0.025mg/L
EDTA(2Na):5.0mg/L

(b)無機塩溶液II
MgCl・6HO:400mg/L
CaCl:113mg/L
NHCl:500mg/L

(c)培地配合
無機塩溶液I:2.5mL/L
無機塩溶液II:25mL/L
リン酸緩衝液(1M):62.5mL/L
Resazurin(1g/L):2.5mL/
蒸留水:1L
【0060】
4.培養液の作成
本評価試験では、下記(d)に示す配合の培養液を作成し、当該培養液を、容量720 mLのバイアルに300mLずつ分注した。その後、バイアル内pHを測定し、必要に応じて1MのNaOHを加えることにより、バイアル内pHを7.0±0.2に調整した。
(d)培養液配合(合計300ml)
培地:120mL/300mL
基質:6mL/300mL
還元剤(250mg/L Na・9HO):3.0mL/300mL
汚泥:171mL/300mL
【0061】
5.試験操作
本評価試験では、上記培養液が分注されたバイアルを37℃の浴槽にセットし、嫌気条件で100rpmの浸透培養を50日間行って、経時的に水溶液をサンプリングしてCOD濃度を測定した。COD濃度の測定は、HACH社製の過マンガン酸法COD測定試薬を用いて常法により行った。
【0062】
6.測定結果
本評価試験の測定結果を図7及び下記表4に示した。図7に示すように、COD濃度を経時的に測定した結果によれば、試験例1におけるPEG300では、測定開始から早い段階でCOD濃度の大幅な低下が認められた。一方、試験例2におけるPPG1000では、試験開始から10日目まででCOD濃度は比較的大きく低下したが、その後はわずかな変化しか見られなかった。また、試験例3におけるPPG2000では、試験開始から10日目まででCOD濃度が比較的大きく低下し、10日目以降もCOD濃度は緩やかに低下していた。そして、試験例3におけるPPG2000では、10日目以降のCOD濃度は、試験例2におけるPPG1000の場合よりも低い値となっていた。
【表4】
【0063】
7.評価
図7及び表4に示すCOD濃度変化から、試験例1~3のいずれも汚泥60による生分解性が認められた。そして、汚泥60による生分解性は、試験例1におけるPEG300で最も高く、次いで試験例3におけるPPG2000で高く、試験例2におけるPPG1000では低くなっていた。これらの結果より、汚泥60によるエチレングリコール(EG)とプロピレングリコール(PG)の共重合体の生分解特性には、当該共重合体の分子量よりもEGとPGの共重合比が大きく関与すると考えられた。
【0064】
そして、試験例1のPEG300におけるEGとPGとの共重合比がEG:PG=10:0であり、試験例3のPPG2000におけるEGとPGとの共重合比がEG:PG=5:5(すなわち、1:1)であることに鑑みて、汚泥60を用いたポリエーテル類含有廃水の処理方法において、当該ポリエーテル類含有廃水に含まれEGとPGとの共重合比はEG:PG=1:1以下であることが好ましいことが推察された。
【0065】
以上のように、本例によれば、低環境負荷かつ低コストで大規模な処理が可能なポリエーテル類含有廃水の処理方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ポリエーテル類含有廃水処理装置
10 UASB反応槽
20 DHS反応槽
21 処理済水排出路
22 還流路
30 廃水貯留部
32 供給廃水
40 ガス回収部
50 処理済水回収部
60 汚泥
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7