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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 123/26 20060101AFI20231208BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20231208BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20231208BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
C09D123/26
B32B27/32 Z
C09D7/20
C09D17/00
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019187300
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2020066739
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】62/748655
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホウシアン・タン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・エル・マロッキー
(72)【発明者】
【氏名】レイ・イー・ドラムライト
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・シャファー
(72)【発明者】
【氏名】シンシア・スタンツ
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・カインツ
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-503828(JP,A)
【文献】特開2016-186071(JP,A)
【文献】国際公開第2007/077843(WO,A1)
【文献】特開2015-163688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 123/26
B32B 27/32
C09D 7/20
C09D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性分散液であって、
前記水性分散液の総重量に基づいて、15重量パーセント(重量%)~60重量%の固形分であって、
155℃~170℃の融点、2~15の酸価、及び20~300g/10分(190℃、2.16kg/荷重)のメルトインデックス値を有する15~60重量%の酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、
0.88グラム/立方センチメートル(g/cm)未満の密度を有する16~50重量%のポリプロピレンコポリマー、
10~70の酸価、及び500~5,000,000g/10分(190℃、2.16kg/荷重)のメルトインデックス値を有する、5~20重量%の酸官能化ポリプロピレンワックス、および
80~250の酸価を有する、15~30重量%の酸官能化ポリオレフィン、を有する、溶融ブレンド生成物を含み、前記重量%が、前記溶融ブレンド生成物の総重量に基づき、前記溶融ブレンド生成物の成分が、100重量%になる、固形分と、
水性組成物と、を含む、水性分散液。
【請求項2】
前記溶融ブレンド生成物が、155℃~170℃の融点を有する20~55重量%の前記酸官能化ポリプロピレンベースポリマーを含む、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項3】
前記酸官能化ポリプロピレンベースポリマーが、160℃~170℃の融点を有する請求項1または2に記載の水性分散液。
【請求項4】
前記溶融ブレンド生成物が、0.88g/cm未満の密度を有する17~45重量%の前記ポリプロピレンコポリマーを含む請求項1~3のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項5】
前記溶融ブレンド生成物が、5~15重量%の前記酸官能化ポリプロピレンワックスを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項6】
前記溶融ブレンド生成物が、15~25重量%の前記酸官能化ポリオレフィンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項7】
前記酸官能化ポリプロピレンワックスが、無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックスである、請求項1~6のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項8】
0.88g/cm 未満の密度を有する前記ポリプロピレンコポリマーが、プロピレンおよびエチレンで形成され、前記ポリプロピレンコポリマーが、230℃および2.16kgでASTM D-1238により判定される際、25g/10分のメルトインデックス値および-26℃のガラス転移温度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項9】
前記酸官能化ポリオレフィンが、エチレン-アクリル酸コポリマーである、請求項1~8のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項10】
155℃~170℃の融点を有する前記酸官能化ポリプロピレンベースポリマーが、無水物変性ポリプロピレンである、請求項1~9のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項11】
0.1~10重量%のポリエチレンワックスを更に含み、前記重量%が、前記溶融ブレンド生成物の総重量に基づく、請求項1~10のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項12】
コーティング組成物であって、
前記コーティング組成物の総重量に基づいて、15~100重量%の請求項1に記載の水性分散液と、
溶媒であって、前記コーティング組成物を作製するために使用される請求項1に記載の水性分散液の前記固形分に基づいて、0重量%~80重量%である、溶媒と、
架橋剤であって、前記コーティング組成物を作製するために使用される請求項1に記載の水性分散液の前記固形分に基づいて、0重量%~6重量%である、架橋剤と、
塩基性水組成物であって、前記塩基性水組成物の総重量に基づいて、90~99.99重量%の水、および前記塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01パーセント~10重量%の塩基を含み、前記コーティング組成物の総重量に基づいて、前記コーティング組成物の0重量%~85重量%である、塩基性水組成物と、を含む、コーティング組成物。
【請求項13】
前記架橋剤が、ヒドロキシアルキルアミドを含む、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
前記溶媒が、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、例えばエチレングリコール、n-ブチルエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、n-ブタノール、エタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12又は13に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
基材と、前記基材上のコーティングと、を備える、コーティングされた物品であって、前記コーティングが、請求項12~14のいずれか一項に記載のコーティング組成物を含む、コーティングされた物品。
【請求項16】
前記基材が、金属基材である、請求項15に記載のコーティングされた物品。
【請求項17】
基材と、前記基材上の硬化コーティングと、を備える、コーティングされた物品であって、前記硬化コーティングが、請求項12~14のいずれか一項に記載のコーティング組成物を硬化させることにより形成される、コーティングされた物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にコーティング組成物に関し、より詳細には、食品および飲料の包装に使用される金属基材をコーティングするためのコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
腐食を遅らせるまたは抑制するための金属への様々な処理および前処理ソリューションの適用は、十分に確立されている。これは、金属製の食品および飲料缶、ならびに非食品金属容器の分野で特に当てはまる。そのような容器の内部にコーティングが塗布され、内容物(例えば、食品または飲料)が容器の金属に接触するのを防止する。金属と、食品または飲料、および非食品物質との接触は、金属容器の腐食を引き起こす可能性があり、これはその後、そのような金属容器の食品もしくは飲料、または非食品内容物を汚染する可能性がある。
【0003】
腐食は、食品および飲料製品が強酸性である場合、および/またはルバーブベースの製品もしくは等張性飲料などの高塩分を有する場合に特に問題になる。また、染毛剤などの非食品物質の強アルカリ内容物は、アルミニウムなどの金属と反応する場合がある。例えば、食品および飲料缶の内部に塗布されたコーティングは、食製品の充填ラインと缶の蓋との間の領域である缶のヘッドスペースでの腐食を防止するのにも役立つ。コーティングはまた、外部環境に対する保護を提供するため、かつ/または充填剤および/もしくは顔料を含む装飾層を提供するために、金属容器の外側に塗布されてもよい。
【0004】
腐食防止に加えて、食品および飲料缶のコーティングは、無毒で不活性でなければならず、内部表面に塗布される場合、缶の中の食品または飲料の味および/または外観、例えば色に悪影響を与えたり、缶の内容物の汚染に寄与したりしてはならない。「ポッピング」、「ブラッシング」、および/または「ブリスタリング」に対する耐性も、特に高温処理条件、例えばレトルト処理中に望ましい。レトルト処理とは、包装された食品または飲料を、必要に応じて適切に滅菌および調理して、安全性および品質を達成するプロセスである。レトルト処理中、その内容物を含む食品または飲料缶は、約121℃以上の温度で滅菌される。しかしながら、多くのコーティングは、そのような温度に耐えることができず、その後のコーティング性能を提供する。そのため、レトルト処理の条件によりよく耐えることができる食品および飲料容器用のコーティングが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、水性分散液、および金属基材のコーティングでのその使用、特に食品および飲料包装用の金属缶のコーティングにおけるその使用を提供する。水性分散液および金属基材用のコーティング組成物でのその使用は、高温処理条件、例えばレトルト処理に供されたときの食製品に対する金属基材上のコーティングの耐性の改善に役立つ。他のアプローチとは対照的に、本開示の水性分散液は、とりわけ、レトルト処理後のコーティング組成物に対して驚くほど顕著に良好なコーティング性能(例えば、より良好な接着性およびより少ないコーティング軟化)を提供する酸官能性を有する高融点ポリプロピレン系樹脂を含む。
【0006】
本開示は、水性分散液の総重量に基づいて、15重量パーセント(重量%)~60重量%の固形分を含む水性分散液を提供する。固形分は、155℃~170℃の融点を有する15~60重量%の酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、0.88グラム/立方センチメートル(g/cm)未満の密度を有する16~50重量%のポリプロピレンコポリマー、5~20重量%の酸官能化ポリプロピレンワックス、および15~30重量%の酸官能化ポリオレフィンを有し、重量%が、溶融ブレンド生成物の総重量に基づき、溶融ブレンド生成物の成分が、100重量%になる溶融ブレンド生成物を含む。
【0007】
溶融ブレンド生成物は、上記で提供された様々な成分ごとに種々の重量%値を有することができる。例えば、水性分散液の溶融ブレンド生成物は、155℃~170℃の融点を有する20~55重量%の酸官能化ポリプロピレンベースポリマーを含むことができる。加えて、水性分散液の溶融ブレンド生成物は、155℃~170℃の融点を有する26~46重量%の酸官能化ポリプロピレンベースポリマーを含むことができる。様々な実施形態について、155℃~170℃の融点を有する酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、2~15の酸価を有することができる。
【0008】
酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、他の融点値も有することができる。例えば、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、160℃~170℃の融点を有することができる。より具体的には、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、162℃~167℃の融点を有することができる。融点は、ASTM D3418-15に従って測定される。
【0009】
本開示では、本明細書で提供される溶融ブレンド生成物の成分ごとの他の重量パーセント値も可能である。例えば、本明細書で提供される水性分散液の溶融ブレンド生成物は、0.88g/cm未満の密度を有する17~45重量%のポリプロピレンコポリマーも含むことができる。溶融ブレンド生成物は、5~15重量%の酸官能化ポリプロピレンワックスを含んでもよい。溶融ブレンド生成物は、9~11重量%の酸官能化ポリプロピレンワックスを含んでもよい。溶融ブレンド生成物は、15~25重量%の酸官能化ポリオレフィンを含んでもよい。溶融ブレンド生成物は、19~25重量%の酸官能化ポリオレフィンを含んでもよい。本明細書で分かるように、上記の例が適用される溶融ブレンド生成物は、155℃~170℃の融点を有する15~60重量%の酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、0.88グラム/立方センチメートル(g/cm)未満の密度を有する16~50重量%のポリプロピレンコポリマー、5~20重量%の酸官能化ポリプロピレンワックス、および15~30重量%の酸官能化ポリオレフィンを含み、重量%は、溶融ブレンド生成物の総重量に基づき、溶融ブレンド生成物の成分は、100重量%になる。
【0010】
溶融ブレンド生成物の様々な成分の具体例としては、以下が挙げられる。溶融ブレンド生成物中の酸官能化ポリプロピレンワックスは、無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックスであり得る。酸官能化ポリオレフィンは、エチレン-アクリル酸コポリマーであり得る。155℃~170℃の融点を有する酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、無水物変性ポリプロピレンであり得る。好ましい実施形態において、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、本明細書で論じるように、無水マレイン酸変性ポリプロピレンである。
【0011】
水性分散液に使用される溶融ブレンド生成物はまた、0.1~10重量%のポリエチレンワックスを含むことができ、重量%は、溶融ブレンド生成物の総重量に基づく。水性分散液の溶融ブレンド生成物と共に使用するためのポリエチレンワックスの他の重量%範囲には、0.2~5重量%が含まれ、0.5~4重量%の値が最も好ましい。
【0012】
様々な実施形態について、0.88g/cm未満の密度を有するポリプロピレンコポリマーは、プロピレンおよびエチレンで形成することができ、ポリプロピレンコポリマーは、230℃および2.16kgでASTM D-1238により判定される際、約25g/10分のメルトインデックス値および約-26℃のガラス転移温度を有する。
【0013】
本開示は、コーティング組成物の総重量に基づいて、本明細書で提供されるように、15~100重量%の水性分散液、水性分散液の固形分に基づいて、0重量%~80重量%である溶媒、水性分散液の固形分に基づいて、0重量%~6重量%である架橋剤、ならびに塩基性水組成物の総重量に基づいて、90~99.99重量%の水および塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01パーセント~10重量%の塩基を含む塩基性水組成物であって、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0重量%~85重量%である、塩基性水組成物を含むコーティング組成物も提供する。様々な実施形態について、架橋剤は、ヒドロキシルアルキルアミドであり得る。加えて、様々な実施形態について、溶媒は、アルコール、グリコール、エチレングリコールなどのグリコールエーテル、n-ブチルエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、n-ブタノール、エタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0014】
コーティング組成物を使用して、コーティングされた物品を作製することができる。本開示のコーティングされた物品は、基材と、基材上のコーティングと、を含むことができ、コーティングは、本明細書で提供されるようにコーティング組成物を含む。様々な実施形態について、基材は、金属基材であり得る。コーティングされた物品は、基材と、基材上の硬化コーティングと、を含むことができ、硬化コーティングは、本明細書で提供されるコーティング組成物を硬化させることにより形成される。一実施形態において、基材は、硬化コーティングを有する金属缶である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、水性分散液、および金属基材のコーティングでのその使用、特に食品および飲料包装用の金属缶のコーティングにおけるその使用を提供する。本開示の水性分散液および金属基材用のコーティング組成物でのその使用は、高温処理条件、例えばレトルト処理に供されたときの食製品に対する金属基材上のコーティングの耐性の改善に役立つ。
【0016】
とりわけ、スープおよびペットフードなどの食品は、レトルト処理条件下で、軟化および/または界面接着性の低下などのコーティングの著しい劣化を引き起こす可能性がある。高温処理条件下で食製品のコーティング耐性を改善するために、高融点(レトルト温度超)のベース樹脂を使用するのが自然である。しかしながら、驚くべきことに、高融点ベースの樹脂のみを使用しても良好なコーティング性能がもたらされず、むしろ性能が予想外に悪化することが示されている。別の潜在的なアプローチは、ベース樹脂と形成されたコーティングと金属基材との間の界面接着性を改善するためにベース樹脂に何らかの官能性を導入することによって、できればレトルト処理後のコーティング接着性の損失を防止することができる。しかしながら、驚くべきことに、ベース樹脂に酸官能性を導入しても、レトルト後の良好なコーティング接着性がもたらされないことも発見された。
【0017】
上述したこれらのアプローチとは対照的に、本開示の水性分散液は、とりわけ、レトルト処理後のコーティング組成物に対して驚くほど顕著に良好なコーティング性能(例えば、より良好な接着性およびより少ないコーティング軟化)を提供する酸官能性を有する高融点ポリプロピレン系樹脂を含む。本開示の水性分散液を使用して形成された水性分散液およびコーティング組成物の両方とも、ビスフェノールAは意図的に含まれたものではなく、懸念され得る他の物質も含まない。
【0018】
本開示の実施形態は、水性分散液の総重量に基づいて、15重量%~60重量%の固形分を含む水性分散液を含む。水性分散液の固形分は、155℃~170℃の融点を有する15~60重量%の酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、0.88グラム/立方センチメートル(g/cm)未満の密度を有する16~50重量%のポリプロピレンコポリマー、5~20重量%の酸官能化ポリプロピレンワックス、および15~30重量%の酸官能化ポリオレフィンを有し、重量%が、溶融ブレンド生成物の総重量に基づき、溶融ブレンド生成物の成分が、100重量%になる溶融ブレンド生成物を含む。
【0019】
酸官能化ポリプロピレンベースポリマー
上述のように、本開示の実施形態は、水性分散液の固形分が、ASTM D3418-15により判定される際、155~170℃の融点を有する15~60重量%の酸官能化ポリプロピレンベースポリマーを含むことを提供する。酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、コーティングされた物品の特定の外観特性、ならびに特定の機械的および化学的抵抗特性などの特定の性能特性を同時に提供するのに役立つことができ、これらは、いくつかのコーティング用途に望ましい。
【0020】
実施形態は、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーが、プロピレンから誘導されるポリマー単位および1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導されるポリマー単位を含むことができることを提供する。酸官能化ポリプロピレンベースポリマーを製造するために利用できるコモノマーの例は、C2およびC4~C10アルファ-オレフィンである。例えば、C2、C4、C6、およびC8アルファ-オレフィンである。酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を0.1~40重量パーセント(重量%)含むことができる。0.1~40重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される重量%の単位は、0.1、1、3、4、5、7、または9重量%の下限から40、35、30、27、20、15、12、9、5、または3重量%の上限までであり得る。例えば、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を0.1~35重量%含むことができる、または代替として、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を0.1~30重量%含むことができる、または代替として、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を3~27重量%含むことができる、または代替として、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を3~20重量%含むことができる、または代替として、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を0.1~5重量%含むことができる、または代替として、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を0.1~3重量%含むことができる。
【0021】
酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、2~15の酸価を有することができる。好ましくは、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、3~13または4~10の酸価を有する。酸価は、例えば、ASTM D-1386により判定することができ、酸価は、滴定で測定したときに酸官能性を中和するのに必要なmg KOH/gポリマー単位のKOHの量を指す。
【0022】
酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、ASTM D-1238(190℃/2.16kg荷重)により判定される際、20~300g/10分のメルトフローインデックスを有することができる。20~300g/10分のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、ASTM D-1238(190℃/2.16kg荷重)により判定される際、20、50、または80g/10分の下限から300、250、200、150、または130g/10分の上限までのメルトフローインデックスを有することができる。例えば、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、ASTM D-1238(190℃/2.16kg荷重)により判定される際、50~130または80~200g/10分のメルトフローインデックスを有することができる。
【0023】
本開示の実施形態は、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーが無水物変性ポリプロピレンであり得ることを提供する。無水物変性ポリプロピレンの例としては、無水マレイン酸官能化ポリプロピレンが挙げられる。無水マレイン酸官能化ポリエチレンコポリマー、ターポリマー、およびブレンドもまた使用され得る。そのようなポリマーの例としては、プロピレン-エチレン交互コポリマーおよびプロピレン-エチレンジブロックコポリマー、例えばプロピレン-エチレン交互コポリマーが挙げられる。無水マレイン酸官能性は、グラフト化または他の反応方法によってポリマーに組み込むことができる。グラフト化する場合、無水マレイン酸の組み込みレベルは、典型的に、ポリマーの重量に基づいて3重量%未満である。市販の無水マレイン酸官能化ポリプロピレンの例としては、とりわけ、DuPont(商標)から入手可能なFUSABOND(登録商標)P613などのFUSABOND(登録商標)の商品名で入手可能なものが挙げられる。市販の無水マレイン酸官能化ポリプロピレンの追加の例としては、とりわけ、Morton International Incから入手可能なMORTON(商標)899P、MORTON(商標)199P、およびMORTON(商標)100Pの商品名で入手可能なもの、またはとりわけ、Eastman(商標)から入手可能なEastman(商標)G-3003の商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0024】
本開示の実施形態は、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーが、水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、15~60重量%であることを提供する。水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づく15~60重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、15、20、または26重量%の下限から水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、46、55、または60重量%の上限までであり得る。例えば、水性分散液の溶融ブレンド生成物は、水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、20~55重量%、または水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、26~46重量%を含むことができる。
【0025】
本開示の実施形態は、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーが、0.895グラム/立方センチメートル(g/cm)~0.92g/cmの範囲の密度を有することができることを提供する。0.895g/cm~0.92g/cmのすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、0.895、0.900、または0.903g/cmの下限から0.92、0.915、または0.91g/cmの上限までの密度を有することができる。例えば、高密度ポリプロピレンは、0.900~0.915g/cmまたは0.900~0.91g/cmの密度を有することができる。
【0026】
酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、異なる数平均分子量を有し得る。例えば、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、800グラム/モル超の数平均分子量を有することができる。例えば、5000グラム/モル超、または代替として、40000グラム/モル超である。酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、3.5以下、代替として、3.0以下、または別の代替として、1.8~3.0の数平均分子量(Mw/Mn)で割った重量平均分子量として定義される分子量分布(MWD)を有することができる。
【0027】
酸官能化ポリプロピレンベースポリマーはまた、155℃~170℃の融点を有する。追加の例では、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、160℃~170℃の融点を有する。好ましい実施形態において、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーは、162℃~167℃の融点を有する。酸官能化ポリプロピレンベースポリマーの融点は、ASTM D3418-15に従って測定される。
【0028】
ポリプロピレンコポリマー
本開示の実施形態は、水性分散液の溶融ブレンド生成物が、ASTM D792により判定される際、0.88グラム/立方センチメートル(g/cm)未満の密度を有する16~50重量%のポリプロピレンコポリマーを更に含むことを提供する。水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づく16~50重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、ポリプロピレンコポリマーは、水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、16、17、または20重量%の下限から水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、40、45、または50重量%の上限までであり得る。例えば、水性分散液の溶融ブレンド生成物は、水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、17~45重量%のポリプロピレンコポリマー、または水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、20~40重量%のポリプロピレンコポリマーを含むことができる。
【0029】
実施形態は、ポリプロピレンコポリマーは、プロピレンから誘導される単位および1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導されるポリマー単位を含むことを提供する。ポリプロピレンコポリマーの製造に利用できるコモノマーの例は、C2およびC4~C10アルファ-オレフィンである。例えば、C2、C4、C6、およびC8アルファ-オレフィンである。ポリプロピレンコポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を1~40重量%含むことができる。1~40重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位の重量%は、1、3、4、5、7、または9重量%の下限から40、35、30、27、20、15、12、または9重量%の上限までであり得る。例えば、ポリプロピレンコポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を1~35重量%含むことができる、または代替として、ポリプロピレンコポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を1~30重量%含むことができる、または代替として、ポリプロピレンコポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を3~27重量%含むことができる、または代替として、ポリプロピレンコポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を3~20重量%含むことができる、または代替として、ポリプロピレンコポリマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を3~15重量%含むことができる。そのようなポリプロピレンコポリマーの例としては、プロピレン-エチレン交互コポリマーおよびプロピレン-エチレンジブロックコポリマー、例えばプロピレン-エチレン交互コポリマーが挙げられる。
【0030】
好適なポリプロピレンコポリマーの例としては、VERSIFY(商標)の商品名で入手可能ないくつかのものが挙げられ、好適な例としては、すべてThe Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)4200、VERSIFY(商標)4301、VERSIFY(商標)3200、VERSIFY(商標)3401、およびVERSIFY(商標)3300が挙げられる。
【0031】
本開示の多くの実施形態によれば、ポリプロピレンコポリマーは、ポリマーがヒドロキシル、アミン、アルデヒド、エポキシド、エトキシレート、エステル、無水物基、酸基、またはそれらの組み合わせで変性された官能化ポリプロピレンコポリマーを含み得る。ポリプロピレンコポリマーは、1未満の酸価を有する。
【0032】
本開示の実施形態は、ポリプロピレンコポリマーが0.88g/cm未満の密度を有することを提供する。例えば、ポリプロピレンコポリマーは、0.858g/cm~0.88g/cmの範囲の密度を有することができる。0.858g/cm~0.88g/cmのすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、ポリプロピレンコポリマーは、0.858、0.860、または0.862g/cmの下限から0.88、0.878、または0.876g/cmの上限までの密度を有することができる。例えば、ポリプロピレンコポリマーは、0.860~0.88g/cm3または0.862~0.88g/cmの密度を有することができる。
【0033】
ポリプロピレンコポリマーは、ASTM D-1238(230℃/2.16kg荷重)により判定される際、2~50g/10分のメルトフローインデックスを有することができる。2~50g/10分のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、ポリプロピレンコポリマーは、ASTM D-1238(230℃/2.16kg荷重)により判定される際、2または8g/10分の下限から、ASTM D-1238(230℃/2.16kg荷重)により判定される50g/10分の上限までのメルトフローインデックスを有することができる。例えば、ポリプロピレンコポリマーは、ASTM D-1238(230℃/2.16kg荷重)により判定される際、2~8g/10分、または8~50g/10分、または15~40g/10分のメルトフローインデックスを有することができる。
【0034】
ポリプロピレンコポリマーは、-15~-35℃のガラス転移温度(Tg、℃)を有することができる。-15~-35℃のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、ポリプロピレンコポリマーは、-35、-33、-32、-30、または-26℃の下限から-15または-17℃の上限までのTgを有することができる。例えば、ポリプロピレンコポリマーは、-33~-17℃または-30~-15℃のTg値を有することができる。ガラス転移温度は、示差走査熱量計を使用して測定された変曲点温度を使用して判定される。
【0035】
好ましい実施形態において、ポリプロピレンコポリマーは、0.88g/cm未満の密度を有し、ポリプロピレンコポリマーは、プロピレンおよびエチレンで形成され、ポリプロピレンコポリマーは、230℃および2.16kgでASTM D-1238により判定される際、約25g/10分のメルトインデックス値、および約-26℃のガラス転移温度を有し、ガラス転移温度は、上述のように判定される。
【0036】
ポリプロピレンコポリマーは、6以下、代替として、4以下、または別の代替として、2~3の数平均分子量(Mw/Mn)で割った重量平均分子量として定義される分子量分布(MWD)を有することができる。加えて、ポリプロピレンコポリマーは、5,000グラム/モル超、または代替として、25,000グラム/モル超の数平均分子量を有することができる。例えば、25,000グラム/モル~50,000グラム/モルである。ポリプロピレンコポリマーは、様々な用途に応じて異なる融点を有してもよい。
【0037】
酸官能化ポリプロピレンワックス
本開示の実施形態は、水性分散液の溶融ブレンド生成物が、溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、5~20重量%の酸官能化ポリプロピレンワックスを更に含むことを提供する。水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づく5~20重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、酸官能化ポリプロピレンワックスは、水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、5、8、または10重量%の下限から水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、12、15、または20重量%の上限までであり得る。例えば、水性分散液の溶融ブレンド生成物は、5~15重量%の酸官能化ポリプロピレンワックス、10~12重量%の酸官能化ポリプロピレンワックスを含むことができ、または溶融ブレンド生成物は、9~11重量%の酸官能化ポリプロピレンワックスを含み、重量%は、溶融ブレンド生成物の総重量に基づく。
【0038】
本開示の酸官能化ポリプロピレンワックスは、所望の酸価(AN)および2.16kgの負荷がかかったプランジャーを備えた190℃の加熱シリンジもしくはシリンダーを10分間で通過するポリマー溶融物のグラムである500~5,000,000、好ましくは1000以上の所望のメルトインデックスを有し、あるいは、ポリマーについて170℃でDIN 53019方法(2010)を介して取得された75~10,000Pa.s、好ましくは150Pa.s以上の粘度を有する任意の材料を含むことができ、ポリマーの50重量%超が、酸官能化ポリプロピレンベースポリマーと本開示の酸官能化ポリオレフィンとの間の相溶性を改善することができる重合形態のプロピレンを含む。酸官能化ポリプロピレンワックスのメルトインデックスは、ポリプロピレンコポリマーおよび酸官能化ポリプロピレンベースポリマーの両方に対して対応する測定値よりも大幅に高くなり、粘度が酸官能化ポリプロピレンワックスを定義するためのより実用的な測定値になり得るほど高くなる場合がある。
【0039】
好適な酸官能化ポリプロピレンワックスは、酸官能性変性ポリプロピレン、好ましくは、無水マレイン酸ポリプロピレンコポリマー、無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン、または無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックスを含んでもよい。
【0040】
酸官能化ポリプロピレンワックスは、10~70、60未満、または35~55の酸価(AN)および2.16kgの負荷がかかったプランジャーを備えた190℃の加熱シリンジもしくはシリンダーを10分間で通過するポリマー溶融物のグラムである500~5,000,000、好ましくは1000以上のメルトインデックスを有し、あるいは、ポリマーについて140℃で測定されるDIN 53019方法(2010)を介して取得された75~10,000mPa.s、好ましくは150mPa.s以上の粘度を有する任意の変性ポリオレフィンであり得、ポリマーの50重量%超が重合形態のエチレンを含み、ポリマーについて170℃で測定され、ポリマーの50重量%超が重合形態のプロピレンを含む。
【0041】
本開示の酸官能化ポリプロピレンワックスは、酸または無水物で変性されたポリプロピレンを含み得る。例えば、酸官能化ポリプロピレンワックスは、酸官能化ポリプロピレンホモポリマー、カルボン酸基で変性されたコポリマー、無水物基で変性されたコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0042】
他の好適な酸官能化ポリプロピレンワックスは、プロピレン-無水マレイン酸グラフトコポリマーなどの変性ポリプロピレングラフトコポリマーおよび/またはブロックコポリマーを含むことができる。
【0043】
酸官能化ポリプロピレンワックスとして有用な変性ポリプロピレンの特定の例としては、例えば、無水マレイン酸官能化ポリプロピレン、プロピレンとエチレンとのコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられ得る。例としては、高密度ホモポリマーを含む高密度ポリエチレンなどの無水マレイン酸官能化ポリエチレンが挙げられるが、これらに限定されず、無水マレイン酸官能化ポリエチレンコポリマー、ターポリマー、およびブレンドも使用され得る。無水マレイン酸官能性は、グラフト化または他の反応方法によってポリマーに組み込むことができる。グラフトする場合、酸または組み込みのレベルは、ポリマーの重量に基づいて、5重量%未満などの10重量%未満である。
【0044】
好適な変性ポリプロピレンの市販の例としては、LICOCENE(商標)641(例えば、LICOCENE(商標)PP MA 641)およびLICOCENE(商標)6452(例えば、LICOCENE(商標)PP MA 6452)などのClariant Corporation(Fair Lawn,NJ)からLICOCENE(商標)またはLICOLUBE(商標)の商品名で販売されているポリマー、とりわけ、Westlake Chemicalから入手可能なEPOLENE(商標)E-43Pポリマーの商品名で販売されているポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
水性分散液は、任意に、0.1~10重量%のポリエチレンワックスも含むことができ、重量%は、溶融ブレンド生成物の総重量に基づく。水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づく0.1~10重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、ポリエチレンワックスは、水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、0.1、0.2、または0.5重量%の下限から水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、2.5、5、または10重量%の上限までであり得る。例えば、水性分散液の溶融ブレンド生成物は、0.2~5重量%のポリエチレンワックスまたは0.5~2.5重量%のポリエチレンワックスを含むことができる。
【0046】
ポリエチレンワックスは、酸官能化ポリプロピレンワックスとは異なるワックスである。ポリエチレンワックスの例としては、ポリエチレンワックスおよび好ましくは500~70,000の数平均分子量を有するポリエチレン-プロピレンワックスの両方が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレンワックスは、0~10、0~5、または0~2の酸価(AN)を有し、1未満の値が好ましい。
【0047】
酸官能化ポリオレフィン
本開示の実施形態は、水性分散液の溶融ブレンド生成物が、5~30重量%の酸官能化ポリオレフィンを更に含み、重量%が溶融ブレンド生成物の総重量に基づくことを提供する。水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づく5~30重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、酸官能化ポリオレフィンは、水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、5、15、または19重量%の下限から水性分散液の溶融ブレンド生成物の総重量に基づいて、20、25、または30重量%の上限までであり得る。例えば、水性分散液の溶融ブレンド生成物は、15~25重量%の酸官能化ポリオレフィン、または18~23重量%の酸官能化ポリオレフィンを含むことができ、重量%は、溶融ブレンド生成物の総重量に基づく。
【0048】
好適な酸官能化ポリオレフィンは、例えば、酸官能化ポリオレフィンが、80以上、または110以上、または140以上、最大250の酸価を有する、アルファ-オレフィンと、不飽和結合を有する任意のカルボン酸、塩、または無水物基含有モノマーとの非中和、部分的、または完全に中和されたコポリマー、例えば、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、および/もしくは酸変性ポリオレフィン、例えば無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン、ならびに/またはそれらのブレンドであり得る。
【0049】
本開示の酸官能化ポリオレフィンは、例えば、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有する1つ以上の極性ポリオレフィンを含むことができる。
【0050】
酸官能化ポリオレフィンとしては、両親媒性コポリマー組成物であって、コポリマーが5~95重量%の1つ以上の酸官能性モノマーと、5~95重量%の1つ以上の共重合可能なエチレン性不飽和疎水性モノマー、例えばアルファ-オレフィンとの反応生成物を含む、両親媒性コポリマー組成物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料は、例えば中和すると水溶性および/または乳化性であり得、コロイド安定剤として作用し得る。
【0051】
酸官能化ポリオレフィン組成物の生成に有用な酸官能性モノマーとしては、カルボン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルホン酸基、およびその後加水分解される無水物を含有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。好適な例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸、ホスホエチル(メタ)アクリレート、およびビニルスルホン酸が挙げられる。酸官能化ポリオレフィンは、NUCREL(商標)(DuPont)またはESCOR(商標)(ExxonMobil)ポリマーとして入手可能なもののようなエチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーのようなカルボン酸官能性オレフィンコポリマーなどの任意の非中和、部分的、または完全に中和された酸官能性オレフィンコポリマー分散剤であり得る。
【0052】
好適な酸官能化ポリオレフィンの例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、均質分岐線状エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーまたは均質分岐実質的線状エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、およびそれらの組み合わせから誘導されるものが挙げられる。高密度ポリエチレンは、典型的には、0.94~0.97g/cmの密度を有する。低密度ポリエチレンは、典型的には、0.91~0.94g/cmの密度を有する。
【0053】
インターポリマーという用語には、コポリマーおよびターポリマーの両方が含まれる。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、重合性モノマーの総重量に基づいて、5重量%超、好ましくは10重量%超の最終ポリマーへのコモノマーの組み込みを有する。コモノマーの組み込み量は、重合性モノマーの総重量に基づいて、15重量%超であり得、20または25重量%超であり得る。
【0054】
コモノマーとしては、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、および1-オクテン、非共役ジエン、ポリエン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば1,4-ヘキサジエン)、オクタジエン、スチレン、ハロ置換スチレン、アルキル置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、ナフテン酸、シクロアルケン(例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、エチレンは、1つのC3-C20アルファ-オレフィンと共重合される。より好ましいコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンが挙げられ、より好ましくは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンが挙げられる。
【0055】
例示的なインターポリマーとしては、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマー、例えばエチレン/プロピレン/ジエンインターポリマー、およびエチレン/プロピレン/オクテンターポリマーが挙げられる。
【0056】
酸官能化ポリオレフィンの作製の際に使用される均質分岐線状エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーまたは均質分岐実質的線状エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.01g/10分~30g/10分、好ましくは0.1g/10分~20g/10分、より好ましくは0.1g/10分~15g/10分のメルトフローインデックス値を有することができ、インデックス値からの溶融は、ASTM D-1238(190℃/2.16kg負荷)により判定される。
【0057】
好適な酸官能化ポリオレフィンの追加の例としては、プロピレンホモポリマーおよびプロピレンインターポリマーを含む、プロピレンベースのポリマーから誘導されるものが挙げられる。プロピレンインターポリマーは、ランダムもしくはブロックコポリマー、分岐ポリプロピレン、またはプロピレン系ターポリマーであり得る。プロピレンと重合するための好適なコモノマーとしては、エチレン、1-ブテン、1ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン(unidecene)、1ドデセン、ならびに4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、およびスチレンが挙げられる。典型的かつ好ましくは、プロピレンは、エチレンまたは1つのC4-C20アルファ-オレフィンと共重合される。好ましいコモノマーとしては、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテン、より好ましくはエチレンが挙げられる。
【0058】
特に興味深いプロピレンインターポリマーとしては、プロピレン/エチレン、プロピレン/1-ブテン、プロピレン/1-ヘキセン、プロピレン/4-メチル-1-ペンテン、プロピレン/1-オクテン、プロピレン/エチレン/1-ブテン、プロピレン/エチレン/ENB、プロピレン/エチレン/1-ヘキセン、プロピレン/エチレン/1-オクテン、プロピレン/スチレン、およびプロピレン/エチレン/スチレンが挙げられる。
【0059】
本開示の酸官能化ポリオレフィンを作製する際に使用されるポリプロピレンホモポリマーまたはプロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ASTM D-1238(230℃/2.16kg荷重)により判定される際、100g/10分未満、より好ましくは50g/10分以下、更により好ましくは30g/10分以下のメルトフローインデックスを有することができる。
【0060】
ポリプロピレンポリマーとしては、The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)ポリマー、ExxonMobil Chemical Co.から入手可能なVISTAMAXX(商標)ポリマー、Clariantから入手可能なLICOCENE(商標)ポリマー、Eastman Chemical Co.から入手可能なEASTOFLEX(商標)ポリマー、Huntsmanから入手可能なREXTAC(商標)ポリマー、およびEvonikから入手可能なVESTOPLAST(商標)ポリマーが挙げられる。他のポリマーとしては、プロピレン-アルファ-オレフィンブロックコポリマーおよびインターポリマー、ならびに当技術分野で既知の他のプロピレン系ブロックコポリマーおよびインターポリマーが挙げられる。
【0061】
別の実施形態において、プロピレンポリマーは、(重合可能なモノマーの総重量に基づいて)インターポリマーの少なくとも約60重量%、好ましくは少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも約85重量%の量のプロピレンから誘導される単位を含む。プロピレン/エチレンコポリマー中のエチレンから誘導される単位の典型的な量は、(重合性モノマーの総重量に基づいて)インターポリマーの少なくとも約0.1重量%、好ましくは少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%であり、これらのコポリマー中に存在するエチレンから誘導される単位の最大量は、典型的には約35重量%を超えない、好ましくは約30重量%を超えない、より好ましくは約20重量%を超えない。存在する場合、追加の不飽和コモノマーから誘導される単位の量は、典型的には、(重合性モノマーの総重量に基づいて)インターポリマーの少なくとも約0.01重量%、好ましくは少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%であり、不飽和コモノマーから誘導される単位の典型的な最大量は、典型的に、約35重量%を超えず、好ましくはそれが約30重量%を超えず、より好ましくはそれが約20重量%を超えない。エチレンおよび任意の不飽和コモノマーから誘導される単位の合計は、典型的には、(重合性モノマーの総重量に基づいて)インターポリマーの約40重量%を超えず、好ましくはそれが約30重量%を超えず、より好ましくはそれが約20重量%を超えない。
【0062】
別の実施形態において、プロピレンポリマーは、プロピレンおよびエチレン以外の1つ以上の不飽和コモノマーを含み、典型的には、(重合性モノマーの総重量に基づいて)インターポリマーの少なくとも約60重量%、好ましくは少なくとも約70重量%、より好ましくは少なくとも約80重量%の量でプロピレンから誘導される単位も含む。コポリマーの1つ以上の不飽和コモノマーは、(重合性モノマーの総重量に基づいて)少なくとも約0.1重量%、好ましくは少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約3重量%を含み、不飽和コモノマーの典型的な最大量は、インターポリマーの約40重量%を超えず、好ましくはそれが約30重量%を超えない。
【0063】
本開示の別の実施形態において、酸官能化ポリオレフィンを形成する際のオレフィンポリマー成分として、例えば本明細書で論じるように、エチレン系ポリマーのブレンド、および本明細書で論じるように、プロピレン系ポリマーのブレンドなどの2つ以上のポリオレフィンのブレンドを使用してもよい。
【0064】
酸官能化ポリオレフィンを形成する際にポリマー炭化水素骨格にグラフト化または共重合できる反応性化合物の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、およびクロトン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸、無水マレイン酸および無水イタコン酸などの酸無水物が挙げられる。好ましいエチレン性不飽和化合物としては、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、無水マレイン酸がより好ましい。無水マレイン酸でグラフト化されたポリプロピレンは、より好ましい変性ポリマー炭化水素である。
【0065】
熱グラフト化プロセスは、反応の1つの方法であり、しかしながら、放射線、e-ビーム、レドックスラジカル生成の様々な形式を含む光開始などの他のグラフト化プロセスを使用してもよい。官能化は、そのような基がポリマー中に存在する場合、末端不飽和基(例えば、ビニル基)または内部不飽和基でも起こり得る。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、不飽和を有するポリマーは、例えば、カルボン酸生成部分、すなわち、酸もしくは無水物または酸エステル部分をポリマー鎖にランダムに結合するために、好ましくはフリーラジカル開始剤の存在下で、ポリマー鎖上の炭素間不飽和部位で選択的にカルボン酸生成部分(好ましくは酸または無水物部分)で官能化される。
【0067】
カルボン酸生成部分は、典型的にはフリーラジカル開始剤、例えば過酸化物およびアゾ化合物の存在下で、任意の従来の方法によって、または電離放射線によってポリマーにグラフト化することができる。過酸化物開始剤のいずれか、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化ラウリル、および過酢酸tert-ブチル、t-ブチルアルファ-クミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、t-アミルペルオキシベンゾエート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、アルファ-アルファ’-ビス(t-ブチルペルオキシ)-1,3-ジイソプロピルベンゼン、アルファ-アルファ’-ビス(t-ブチルペルオキシ)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、および2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシンなどの有機開始剤が好ましい。好適なアゾ化合物はアゾビスイソブチルニトライトである。
【0068】
グラフト化反応は、ポリオレフィン骨格へのグラフト化を最大化し、ポリオレフィンにグラフト化されていないグラフト化剤の単独重合などの副反応を最小化する条件下で実行する必要がある。グラフト化反応は、溶融状態、溶液状態、固体状態、膨潤状態で実行されてもよく、好ましくは溶融状態で実行される。グラフト化反応は、二軸スクリュー押出機、一軸スクリュー押出機、ブラベンダー混合機、およびバッチ反応器などであるがこれらに限定されない多種多様な装置で実行され得る。押出機の第1段階で、典型的には120℃~260℃、好ましくは130℃~250℃の溶融温度で、樹脂とグラフト剤および開始剤とを混合することにより、十分にグラフト化されたポリマーが生成された。
【0069】
好ましい実施形態において、酸官能化ポリオレフィンは、エチレン-アクリル酸コポリマーである。別の好ましい実施形態において、酸官能化ポリオレフィンは、エチレン-メタクリル酸コポリマーである。酸官能化ポリオレフィンの市販の例としては、SK Chemicalsから市販されているPRIMACOR(商標)5980iなどのPRIMACOR(商標)、DowDupont Inc.から市販されているNUCREL(商標)、およびExxonMobil Chemical Companyから市販されているESCOR(商標)などの商品名でのポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。酸官能化ポリオレフィンの他の例としては、エチレン-エチル-アクリレートコポリマー、エチレン-メチル-メタクリレート、エチレン-ブチルアクリレート、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他のエチレン-カルボン酸コポリマーも使用され得る。
【0070】
上述のように、本開示の実施形態は、水性分散液の総重量に基づいて、15重量%~60重量%の固形分を含む水性分散液を含む。水性分散液の固形分は、155℃~170℃の融点を有する15~60重量%の酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、0.88グラム/立方センチメートル(g/cm)未満の密度を有する16~50重量%のポリプロピレンコポリマー、5~20重量%の酸官能化ポリプロピレンワックス、および15~30重量%の酸官能化ポリオレフィンを有し、重量%が、溶融ブレンド生成物の総重量に基づき、溶融ブレンド生成物の成分が、100重量%になる溶融ブレンド生成物を含む。
【0071】
水性分散液は、流体媒体、好ましくは水を含む。水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて、40重量%~85重量%の水を含むことができる。水性分散液の総重量に基づく40~85重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、水性分散液中の水は、水性分散液の総重量に基づいて、40、45、50、または55重量%の下限から水性分散液の総重量に基づいて、85、80、75、または70重量%の上限まで有することができる。例えば、水性分散液の水は、水性分散液の45~80重量%、水性分散液の50~75重量%、または水性分散液の55~70重量%を含むことができ、重量%は、水性分散液の総重量に基づく。
【0072】
したがって、水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて、15重量%~60重量%の固形分を含むことができる。本明細書に記載されるように、水性分散液の固形分は、溶融ブレンド生成物から提供される。水性分散液の総重量に基づく15~60重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、水性分散液の固形分は、水性分散液の総重量に基づいて、15、20、25、または30重量%の下限から水性分散液の総重量に基づいて、60、55、50、または45重量%の上限まで有することができる。例えば、水性分散液の固形分は、水性分散液の20~55重量%、水性分散液の25~50重量%、または水性分散液の30~45重量%を含むことができ、重量%は、水性分散液の総重量に基づく。
【0073】
本開示の多くの実施形態によれば、水性分散液は、例えば、水性分散液が8~11の範囲のpHを有するように、中和剤を含むことができる。8~11のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、水性分散液は、8、8.1、8.2、または8.3の下限から11、10.9、10.8、または10.7の上限までのpHを有することができる。例えば、水性分散液は、8~11、8.1~10.9、8.2~10.8、または8.3~10.7のpHを有することができる。中和剤の例としては、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。水酸化物の例としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、および水酸化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。アミンの例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、モノ-n-プロピルアミン、ジメチル-nプロピルアミン、N-メタノールアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、N,N,N’N’-テトラキス(2-ヒドロキシルプロピル)エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、N,N’-エチレンビス[ビス(2-ヒドロキシプロピル)アミン]トルエン-p-スルホネート、またはモルホリン、ピペラジン、ピペリジンなどの環状アミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
例として、水性分散液は、塩基性水組成物を含むことができる。塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、90~99.99重量%の水および本明細書で論じるように、塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01パーセント~10重量%の中和剤を含むことができる。本開示の実施形態は、塩基性水組成物が、分散組成物の総重量に基づいて、分散組成物の0重量%~85重量%であることを提供する。
【0075】
水性分散液は、当業者に認識されている様々なプロセスにより形成することができる。実施形態は、酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、ポリプロピレンコポリマー、酸官能化ポリプロピレンワックス、および酸官能化ポリオレフィンが、押出機で、例えば押出機ベースのBLUEWAVE(商標)プロセス(The Dow Chemical Company)を介して溶融混練されることを提供する。本明細書で論じるように、押出プロセス中に水を使用して水性分散液を形成する。多くの実施形態において、溶融ブレンド生成物は、最初に約1~約3重量%の水を含有する水性分散液に変換され、その後、約25重量%超の水を含むように更に希釈される。任意に、中和剤、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、またはそれらの組み合わせなどの塩基を、水性分散液を形成する際に水と共に利用することができる。
【0076】
当技術分野で既知の様々な溶融混練プロセスも溶融ブレンド生成物を形成する際に使用され得る。いくつかの実施形態において、混練機、BANBURY(登録商標)混合機、単軸スクリュー押出機、または多軸スクリュー押出機、例えば、二軸スクリュー押出機が利用され得る。本開示に従う水性分散液を生成するためのプロセスは、特に限定されない。例えば、押出機、ある特定の実施形態において、例えば、二軸スクリュー押出機は、背圧調整器、溶融ポンプ、またはギヤポンプに連結される。実施形態は、ポンプを含む初期水貯留部も提供する。所望の量の初期水を、初期水貯留部から提供することができる。
【0077】
いくつかの実施形態において、初期水は、予熱器で予熱される。例えば、多くの実施形態において、酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、ポリプロピレンコポリマー、酸官能化ポリプロピレンワックス、およびペレット、粉末、またはフレークの形態の酸官能化ポリオレフィンは、供給機から押出機の入口に供給することができる。いくつかの実施形態において、酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、ポリプロピレンコポリマー、酸官能化ポリプロピレンワックス、および/もしくは酸官能化ポリオレフィンのうちの1つ以上に分散剤を添加することができ、または他の実施形態において、分散剤は、押出機に個別に提供することができる。その後、溶融ポリマーは、混合および運搬域から押出機の乳化域に送達され得、水貯留部からの初期量の水が、入口を通して添加される。いくつかの実施形態において、分散剤は、水流に対して追加的または排他的に添加されてもよい。いくつかの実施形態において、更なる希釈水が、水貯留部から水入口を介して押出機の希釈および冷却域へと添加されてもよい。水性分散液は、冷却域で、例えば約25重量%超の水で希釈することができる。所望の希釈レベルが達成されるまで、更なる希釈が何回生じてもよい。いくつかの実施形態において、水は、二軸スクリュー押出機に添加されるのではなく、溶融生成物が押出機から出た後に溶融生成物含有流に添加される。このようにして、押出機内の蒸気圧蓄積が排除され、水性分散液が動静翼混合機などの二次混合デバイス内で形成される。
【0078】
1つ以上の実施形態において、水性分散液を生成するためのプロセスは、155℃~170℃の融点を有する酸官能化ポリプロピレンベースポリマーを選択するステップと、0.88グラム/立方センチメートル(g/cm)未満の密度を有するポリプロピレンコポリマーを選択するステップと、酸官能化ポリプロピレンワックスを選択するステップと、酸官能化ポリオレフィンを選択するステップと、水を含む水性組成物を選択するステップと、任意に1つ以上の中和剤を選択するステップと、水性組成物の存在下で酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、ポリプロピレンコポリマー、酸官能化ポリプロピレンワックス、酸官能化ポリオレフィンと、任意に1つ以上の中和剤とを溶融混練するステップと、それにより、乳化混合物を形成するステップと、乳化混合物を追加の希釈水と接触させ、その間に任意にそこから熱を除去するステップと、それにより、水中に分散した固体粒子を形成するステップと、それにより、水性分散液を形成するステップと、を含む。
【0079】
水性分散液、例えば固形分は、200~5000ナノメートル(nm)の範囲の体積平均粒度直径を有することができる。200~5000nmのすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、水性分散液は、200、400、425、または450nmの下限から5000、3500、2000、1800、または1750nmの上限までの平均体積粒度直径を有することができる。例えば、水性分散液は、200~5000nm、425~3800nm、または450~1750nmの平均体積粒度直径を有することができる。
【0080】
本開示の実施形態は、本明細書に開示される水性分散液を単独でコーティング組成物として使用することができる、または本明細書で論じるように、任意に1つ以上の他の成分と組み合わせてコーティング組成物を形成できることを提供する。本明細書で更に論じるコーティング組成物の水性分散液および1つ以上の他の成分は、様々なプロセスによって組み合わせることができる。例えば、コーティング組成物の水性分散液および他の成分は、他のプロセスの中でも、インライン混合機とも呼ばれる静的混合機などの混合機を利用することにより、および/または撹拌タンクなどの撹拌容器を利用して、本明細書に開示されるコーティング組成物を形成することにより、手動で混合することができる。
【0081】
本開示は、コーティング組成物の総重量に基づいて、本明細書で提供されるように15~100重量%の水性分散液、本明細書で提供されるような、コーティング組成物を作製するために使用される水性分散液の固形分に基づいて、0重量%~80重量%である溶媒、本明細書で提供されるような、コーティング組成物を作製するために使用される水性分散液の固形分に基づいて、0重量%~6重量%である架橋剤、ならびに塩基性水組成物の総重量に基づいて、90~99.99重量%の水および塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01パーセント~10重量%の塩基を含み、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0重量%~85重量%である、塩基性水組成物を含むコーティング組成物も提供する。
【0082】
コーティング組成物は、本明細書で提供されるようにコーティング組成物の総重量に基づいて、15~100重量%の水性分散液を含む。コーティング組成物の総重量に基づいて、本明細書で提供されるように水性分散液の15~100重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、本明細書で提供されるように水性分散液は、コーティング組成物の総重量に基づいて、15、20、25、または30重量%の下限から70、80、90、または100重量%の上限までコーティング組成物中に存在することができる。例えば、水性分散液は、コーティング組成物の総重量に基づいて、15~70、15~80、15~90、15~100、20~70、20~80、20~90、20~100、25~70、25~80、25~90、25~100、30~70、30~80、30~90、または30~100重量%を含むことができる。
【0083】
様々な実施形態について、溶媒は、エチレングリコール、n-ブチルエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、n-ブタノール、エタノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、およびそれらの組み合わせの群から選択することができる。他の溶媒としては、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、ミネラルスピリット、アルコール、および安息香酸エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
溶媒は、コーティング組成物の形成に使用される水性分散液の固形分に基づいて、0重量%~80重量%を含むことができる。水性分散液の固形分に基づいて、0~80重量%の個々のすべての値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、溶媒は、コーティング組成物の形成に使用される水性分散液の固形分に基づいて、0、1、5、10、15、または20重量%の下限から50、60、70、または80重量%の上限まででコーティング組成物中に存在することができる。例えば、溶媒は、コーティング組成物の形成に使用される水性分散液の固形分に基づいて、0~50、0~60、または0~70、1~50、1~60、1~70、1~80、5~50、5~60、5~70、5~80、10~50、10~60、10~70、10~80、15~50、15~60、15~70、15~80、20~50、20~60、20~70、または20~80重量%を含むことができる。
【0085】
塩基性水組成物は、水および中和剤を含む。具体的には、塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、90~99.99重量%の水を含むことができる。塩基性水組成物の総重量に基づいて、90~99.99重量%の水のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、塩基性水組成物の総重量に基づく水の重量%は、90、90.5、91、または93の下限から99.99、99.9、99、または98パーセントの上限までであり得る。例えば、塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、90~99.99、90.5~99.9、91~99、または93~98重量%の水を含むことができる。
【0086】
塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01~10重量%の中和剤を更に含む。塩基性水組成物は、中和剤を含む。中和剤の例としては、本明細書で論じる中和剤が挙げられるが、これらに限定されない。塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01~10重量%の中和剤のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、塩基性水組成物の総重量に基づく中和剤の重量%は、0.01、0.1、1、または2の下限から10、9.5、9、または7パーセントの上限までであり得る。例えば、塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01~10、0.1~9.5、1~9、または2~7重量%の中和剤を含むことができる。
【0087】
本明細書に開示されるコーティング組成物は、架橋剤を含むことができる。好ましくは、架橋剤は、コーティング組成物の形成に使用される水性分散液の固形分に基づいて、コーティング組成物の0~6重量%であり得る。0~6重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、架橋剤は、コーティング組成物の形成に使用される水性分散液の固形分に基づいて、0、0.01、0.02、0.1、または1の下限から2、3、4、5、または6重量%の上限までであり得る。例えば、架橋剤は、コーティング組成物を形成する際に使用される水性分散液の固形分に基づいて、0~2、0~3、0~4、0~5、0.01~2、0.01~3、0.01~4、0.01~5、0.01~6、0.02~2、0.02~3、0.02~4、0.02~5、0.02~6、0.1~2、0.1~3、0.1~4、0.1~5、0.1~6、1~2、1~3、1~4、1~5、または1~6重量%であり得る。好ましくは、上記の量で使用される架橋剤は、ヒドロキシアルキルアミドであり、その例は本明細書で提供される。
【0088】
本明細書に開示されるコーティング組成物が他の量の架橋剤を有することも可能である。例えば、架橋剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0~40重量%であり得る。0~40重量%のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、架橋剤は、コーティング組成物を形成する際に使用される水性分散液の固形分に基づいて、0、1、2、10、または15の下限から20、25、30、35、または40重量%の上限までであり得る。例えば、架橋剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0~20、0~25、0~30、0~35、0~40、1~20、1~25、1~30、1~35、1~40、2~20、2~25、2~30、2~35、2~40、10~20、10~25、10~30、10~35、10~40、15~20、15~25、15~30、15~35、または10~40重量%であり得る。
【0089】
本開示の実施形態は、架橋剤が、コーティング組成物に含有される反応性官能基と反応する化合物であり得、それにより、そのような官能基間の架橋を促進することを提供する。そのような官能基は、水性分散液の成分、例えば、酸官能化ポリプロピレンベースポリマー、酸官能化ポリプロピレンワックス、および/または酸官能化ポリオレフィン中に存在することができる。例えば、反応性官能基としては、カルボン酸基などの酸基、遊離もしくは中和形態、またはアルコール基、アミノ基などの別の成分による別の活性水素を有する任意の官能基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
架橋剤中の架橋性官能基は、コーティング組成物の反応性官能基と反応することができる基である。例えば、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イソシアネート基、ヒドロキシアルキルアミド基、エポキシ基、メチロール基、アルデヒド基、酸無水物基、ヒドロキシ基、アジリジニル基、および/またはシラン基は、架橋剤用であり得る。
【0091】
酸官能基を架橋する別の可能性は、前述の酸基と酸化亜鉛などの多価金属イオン含有物質との反応による多価金属イオンの使用によるものである。カルボン酸は、強酸の触媒作用下で、多官能性オレフィン性不飽和物質との反応でも架橋できる。多官能性炭酸塩をカルボン酸と反応させて、二酸化炭素の遊離を伴うエステル結合を得ることもできる。また、ポリオレフィン材料は、過酸化物の添加または放射線、例えば電子ビームにより開始されるフリーラジカル架橋により架橋されてもよい。
【0092】
多くの実施形態によれば、架橋剤は、そのような架橋剤の組み合わせが、互換性であるならば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシアルキルアミド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、無水物樹脂が挙げられるが、これらに限定されないアミノホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ基含有ポリエステルまたはアクリル樹脂、エポキシ化大豆油およびブロックイソシアネート樹脂などのエポキシ化不飽和化合物、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されないエポキシ基含有樹脂を含む。
【0093】
架橋剤は、水分散、水分散性、または水溶性物質であり得る。多くの実施形態によれば、架橋剤の例としては、2つ以上のオキサゾリン基、カルボジイミド基、ヒドロキシアルキルアミド基、エポキシ基、イソシアネート基、メチロール基など、または分子ごとにこれらのいくつかを含有する水性モノマーまたはポリマー物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
オキサゾリン架橋剤の例は、その分子内に2つ以上のオキサゾリン基を有する水性ポリマーであり、これはオキサゾリン基含有モノマーと、必要に応じてエチレン性不飽和モノマーとを重合することにより得ることができる。あるいは、オキサゾリン架橋剤は、ニトリル基とアミノエタノール基との反応、ヒドロキシルアルキルアミド基の脱水などによっても得ることができる。
【0095】
2つ以上のカルボジイミド基を有する架橋剤は、ジイソシアネート化合物の脱カルボキシル化反応を伴う縮合反応により、ジイソシアネート化合物から生成することができる。ジイソシアネート化合物の例としては、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、およびテトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、混合物としても使用され得る。例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、およびナフチルイソシアネートなどの単官能性イソシアネートが、樹脂分子鎖長を制御するために含まれてもよい。ジイソシアネート物質は、ヒドロキシル基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基などを有する脂肪族化合物、脂環式化合物、または芳香族化合物と部分的に反応し得る。ジイソシアネート化合物の脱炭酸を伴う縮合反応では、カルボジイミド化触媒を使用することができる。そのような触媒として使用できるのは、例えば、1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド、3-メチル-2-ホスホレン-1-オキシド、1-エチル-2-ホスホレン-1-オキシド、およびそれらの3-ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドである。
【0096】
カルボジイミド基含有ポリマーを水性ポリマーに変換するために、カルボジイミド基含有ポリマーの分子構造に親水性セグメントを提供することができる。例えば、カルボジイミド基を含有する水性ポリマーは、イソシアネート基と反応性を有する官能基を有する親水性セグメントを提供することにより得ることができる。親水性セグメントとして使用できるのは、ジアルキルアミノアルキルアミンの4級アンモニウム塩(例えば、2-ジメチルアミノエタノールの4級アンモニウム塩)、ジアルキルアミノアルキルアミンの4級塩(例えば、3-ジメチルアミノ-n-プロピルアミン)、少なくとも1つの反応性ヒドロキシル基を有するアルキルスルホン酸塩(例えば、ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム)、末端がアルコキシ基でキャップされたポリエチレンオキシドまたはポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとの混合物(例えば、末端位置がメトキシ基もしくはエトキシ基でキャップされたポリエチレンオキシド)である。
【0097】
架橋剤、例えば水性架橋剤は、エポキシ基を含有してもよく、例としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、フェノールエチレンオキシドグリシジルエーテル、およびラウリルアルコールエチレンオキシドグリシジルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されない。上記の他に、例として挙げられるのは、ポリオキシエチレンポリオール化合物と無水物化合物との反応により得られるカルボキシ化合物と、2つ以上のエポキシ基をその分子内に有するエポキシ樹脂とを反応させることにより得られる水溶性エポキシ樹脂、および、水溶性エポキシ樹脂と2つ以上のエポキシ基をその分子内に有するエポキシ樹脂とを混合することにより得られる自己乳化性エポキシ樹脂組成物である。
【0098】
無水物化合物の例としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸などの芳香族無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルナジック無水物、アルケニル無水コハク酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸などの環状脂肪族無水物が挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上のエポキシ基をその分子内に有するエポキシ樹脂に制限はなく、2以上のエポキシ官能性を有するすべての既知のエポキシ樹脂を使用することができる。例は、エピクロロヒドリンならびにフェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなどの多価化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ハイドロキノン、またはカテキンなどから得られるポリグリシジルエーテル、アルキレンオキシド付加ビスフェノールA、ポリプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、シクロヘキサンジメタノールなどの多価アルコール、ならびにアジピン酸、フタル酸、ダイマー酸などのポリカルボン酸のポリグリシジルエステルおよびポリグリシジルアミンである。
【0099】
イソシアネート基を含有する架橋剤、例えば水性架橋剤は、例えば、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン基/イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレタン基含有ポリイソシアネート、アロファネート基含有ポリイソシアネート、ビウレット基含有ポリイソシアネート、カルボジイミド基含有ポリイソシアネート、およびウレトジオン基含有ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを主に含有するポリイソシアネートであって、それらがそれぞれ、原材料として1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートを含有するポリイソシアネート、ならびにイソシアネート基または少なくとも3つのポリエチレンオキシド単位を含有するポリエチレンエーテルアルコールと反応することができる少なくとも1つの活性水素基を有する親水性界面活性剤と、原料としての脂肪酸およびヒドロキシル含有化合物の炭素数の合計が8以上であり、イソシアネート基と反応することができる少なくとも1つの活性水素基を有する脂肪酸エステルとを反応させることにより得られる自己乳化性ポリイソシアネートである。上記に加えて、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートと、これらのジイソシアネート化合物のアロファネート化反応、カルボジイミド化反応、ウレトジオン化反応、およびビウレット化反応により得られる活性水素基含有化合物またはポリイソシアネートとの反応により得られるウレタン基含有ポリイソシアネートを挙げることができる。
【0100】
アルデヒドから誘導される架橋剤の例は、水分散もしくは水分散性または水溶性フェノールホルムアルデヒド樹脂、アミノホルムアルデヒド樹脂、またはそれらの組み合わせである。
【0101】
フェノールホルムアルデヒド架橋剤としては、以下のアルデヒドと以下のフェノール樹脂との反応生成物が挙げられるが、これらに限定されないアルデヒド(aldehdydes)の例としては、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。フェノール、クレゾール、p-フェニルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-tert-アミルフェノール、シクロペンチルフェノール、クレジル酸、ビスフェノール-A、ビスフェノール-Fなど、およびそれらの組み合わせなどの様々なフェノールを使用することができるが、これらに限定されない。市販のフェノールホルムアルデヒド架橋剤の例としては、とりわけ、Bakelite AGから入手可能なBAKELITE(商標)6581LB、およびCYTEC Industriesから入手可能なPHENODUR(商標)PR 612などのレゾールホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。また、フェノールホルムアルデヒド樹脂を作製する際に酸官能性フェノールを使用できる。架橋剤は、非エーテル化であっても、アルコールまたはポリオールでエーテル化されていてもよい。これらのフェノールホルムアルデヒド樹脂は、水に可溶性もしくは自己乳化性であってもよく、またはポリビニルアルコールなどのコロイド安定剤の使用により安定化することができる。
【0102】
アミノホルムアルデヒド架橋剤としては、アルデヒドとアミノまたはアミド基含有分子との反応生成物が挙げられるが、これらに限定されない。アルデヒドの例としては、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、グリコールウリルなどの様々なアミノまたはアミド基含有分子を使用することができるが、これらに限定されない。好適なアミノ架橋樹脂としては、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、アセトグアナミンホルムアルデヒド、グリコールウリルホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。また、アミノホルムアルデヒド樹脂のメチロール基は、メタノールおよび/またはn-ブタノールなどの一価脂肪族アルコールの基のうちの少なくとも1つで部分的または完全にエーテル化することができる。これらのアミノホルムアルデヒド樹脂は、水に可溶もしくは自己乳化性であってもよく、またはアミノホルムアルデヒド分散液を安定化するために使用することができるポリビニルホルムアルデヒドなどのコロイド安定剤を使用することによって安定化することができる。
【0103】
水溶性または水分散性であり、本目的に有用な市販のアミノホルムアルデヒド樹脂の例としては、Cytec Surface SpecialtiesからのCymel(商標)301、Cymel(商標)303、Cymel(商標)370、およびCymel(商標)373が挙げられる。アミノ化合物と反応して樹脂状材料を形成するために使用される他のアルデヒドは、クロトンアルデヒド、アクロレイン、またはヘキサメチレンテトラミン、パルアルデヒドなどのアルデヒドを生成する化合物である。
【0104】
多くの実施形態は、架橋剤がヒドロキシアルキルアミドを含むことを提供する。架橋剤は、水溶性であり得、カルボン酸を架橋するのに用いることができる。ヒドロキシアルキルアミドの例としては、ビス(N,N’-ジヒドロキシエチル)アジパミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。そのような化合物は、スイスのEMS-PRIMIDからPRIMID(商標)架橋剤樹脂、例えば、PRIMID(商標)XL-522、PRIMID(商標)SF-4510、およびPRIMID(商標)QM-1260の商品名で市販されている。
【0105】
多くの実施形態は、1つ以上の架橋剤が水性分散液配合プロセスの一部として、水性分散液に添加され得ることを提供し、または代替として、多くの実施形態は、1つ以上の架橋剤がコーティング組成物に添加され得る、例えば、架橋剤が分散配合プロセス後に水性分散液に添加され得ることを提供する。
【0106】
コーティング用途、例えば、コーティングされた容器に含有される食品および/または飲料の種類、ならびに所望のコーティング特性に応じて、いくつかの架橋剤を組み合わせることが有益であり得る。また、いくつかのコーティング用途では、いくつかの架橋剤が他の架橋剤よりも適している場合がある。いくつかの架橋剤は、特定のコーティング用途に適さない場合がある。硬化のために触媒を添加して、いくつかの架橋剤を用いてもよい。架橋剤は、例えば架橋剤を含有しない同一のコーティング組成物と比較して、より高い値のMEK Double Rubsで示される熱硬化性ネットワークの構築に役立ち得る。
【0107】
本開示の実施形態は、コーティング組成物が添加剤を含み得ることを提供する。添加剤の例としては、他の添加剤の中でも、酸化防止剤、充填剤、触媒、湿潤剤、消泡剤、流動剤、離型剤、スリップ剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、硫黄汚染をマスクする添加剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤、腐食防止剤、顔料、例えば、二酸化チタン、雲母、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、酸化亜鉛、粉砕ガラス、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュ、および粘土など、任意に1つ以上の分散剤、例えばアミノアルコール、およびポリカルボキシレート、任意に1つ以上の消泡剤、任意に1つ以上の防腐剤、例えば殺生物剤、殺カビ剤、殺菌剤、殺藻剤、およびそれらの組み合わせ、任意に1つ以上の増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系増粘剤、疎水性変性アルカリ可溶性エマルジョン、疎水性変性エトキシル化ウレタン増粘剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。異なるコーティング用途のために、異なる量の様々な添加剤を用いてもよい。
【0108】
上述のように、本明細書に開示されるコーティング組成物は、金属基材に塗布され得る。金属基材の例としては、とりわけ、金属シートまたはコイル、飲料缶、食品缶、例えばヘアスプレー、ヘアダイ、またはカラースプレーラッカーといった非食品用のもののようなエアゾール容器、ドラム、樽、バケツ、装飾缶、オープントレイ、チューブ、ボトル、モノブロック、キャップ、ヨーグルトおよびバター容器用の薄いアルミホイルベースの蓋などの蓋、またはクラウンコルク、ロールオンクロージャー、真空クロージャー、開栓防止クロージャー、缶クロージャー用の簡単な剥離蓋、および缶用の簡単な開放端または従来の端部などのガラスジャーおよびガラス瓶用のクロージャーが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示されるコーティング組成物が塗布され得る缶は、2ピース缶または3ピース缶であり得る。飲料缶としては、ビール缶、炭酸清涼飲料缶、エネルギー飲料缶、等張飲料缶、水缶、ジュース缶、茶缶、コーヒー缶、牛乳缶などが挙げられるが、これらに限定されない。食品缶としては、野菜缶、果物缶、肉缶、スープ缶、調理済み缶、魚缶、食用油缶、ソース缶などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような缶は、様々な形状を有し得る。例えば、そのような缶は、円筒形、立方体、球形、半球形、瓶形、細長い立方体形、浅いまたは高い形状、円形もしくは長方形または他の好適な形状、またはそれらの組み合わせを有し得る。金属の例としては、アルミニウムおよびアルミニウム合金、鋼、電解ブリキ冷間圧延低炭素軟鋼、電解クロム/酸化クロム被覆冷間圧延低炭素軟鋼、ならびに他の前処理鋼が挙げられるが、これらに限定されない。前処理としては、リン酸、リン酸ジルコニウム、リン酸クロム、Cr(III)およびCr(VI)化合物など、ならびに一次腐食保護および接着性の改善などの理由のシランによる処理が挙げられるが、これらに限定されない。金属基材は、シート、ストリップ、またはコイルを含んでもよい。基材は、1つ以上のプレコーティング組成物でプレコーティングされてもよい。そのようなプレコーティング組成物としては、1つ以上の樹脂バインダー、1つ以上の樹脂架橋剤、1つ以上の溶媒、1つ以上の添加剤、および1つ以上の顔料が挙げられるが、これらに限定されない。樹脂結合剤の例としては、エポキシ、ポリエステル、オルガノゾル/ビニルを含有するポリ塩化ビニル、フェノール、アルキド、オレオレジン、アクリル樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤の例としては、ヒドロキシアルキルアミド、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されないアミノホルムアルデヒド樹脂、無水物樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、およびエポキシ樹脂、エポキシ基含有ポリエステル、アクリル樹脂、ビニル樹脂などが挙げられるが、これらに限定されないエポキシ基含有樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒およびシンナーの例としては、グリコールエーテル、アルコール、芳香族、例えば芳香族炭化水素、ホワイトスピリット、分岐ケトンおよびエステルが挙げられるが、これらに限定されない。添加剤の例としては、触媒、潤滑剤、湿潤剤、消泡剤、流動剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫黄汚染をマスクする添加剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤が挙げられるが、これらに限定されない。顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、亜鉛、およびアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、1つ以上のプレコートされたラミネート組成物でプレコートされてもよい。そのような組成物は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエステル組成物を含んでもよく、フィルム積層プロセスまたは溶融押出コーティングプロセスを介して金属基材上にフィルムとして適用されてもよい。
【0109】
金属基材は、スタンピング、絞り加工、再絞り、壁しごき加工、曲げ加工、ビーディング、エンボス加工、デボス加工、フランジ加工、ネッキング、延伸、ブロー延伸、および/または他の好適な従来の方法によって形成され得る。そのような方法は、当業者に既知である。多くの実施形態によれば、コーティング組成物は、例えば、金属基材、例えば金属シートまたは金属箔に塗布され、次いで、コーティングされた基材は、コーティングされた物品、例えば、金属缶またはコーティングされたクロージャー装置などの容器装置に形成され得る。多くの実施形態によれば、基材は、容器、例えば容器装置またはクロージャー装置に形成され得、次いで、容器装置またはクロージャー装置をコーティング組成物でコーティングして、コーティングされた物品を形成することができる。コーティング組成物は、様々な方法によって塗布され得る。例えば、ローラーコーティング、スプレーコーティング、パウダーコーティング、ディップコーティング、電着コーティング、印刷、ウォッシュコーティング、フローコーティング、ドローダウンコーティング、および/またはカーテンコーティングを介する。コーティング、すなわち金属基材に塗布されるコーティング組成物は、0.01マイクロメートル(μm)~2ミリメートル(mm)の範囲の厚さを有し得る。0.01μm~2mmのすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、コーティングは、0.01μm、0.05μm、または1μmの下限から2mm、1.5mm、または1mmの上限までの厚さを有し得る。例えば、コーティングは、0.01μm~2mm、0.05μm~1.5mm、または代替として、0.1μm~1mmの厚さを有し得る。多くの実施形態によれば、コーティングは、5μm~50μmの範囲の厚さを有し得る。コーティングはまた、多層コーティングとして互いの上に配置され得る。
【0110】
基材に塗布されたコーティング組成物は、例えば硬化したコーティングを形成するために硬化され得る。硬化プロセスは、乾燥、例えばとりわけ、空気乾燥、対流オーブン乾燥、熱風乾燥、および/または赤外線オーブン乾燥を含むことができる。多くの実施形態によれば、硬化は、放射線硬化、例えば電子ビーム硬化を含むことができる。基材に塗布されたコーティング組成物は、10℃~375℃の範囲の温度で、60分未満、例えば40分未満、30分未満、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満、1分未満、または20秒未満の期間硬化され得る。10℃~375℃のすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、基材に塗布されたコーティング組成物は、15℃~260℃の範囲の温度で、60分未満、例えば、40分未満、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満、もしくは1分未満の期間で硬化され得、または代替として、基材に塗布されたコーティング組成物は、15℃~235℃の範囲の温度で、60分未満、例えば、40分未満、10分未満、5分未満、2分未満、または1分未満の期間で硬化され得る。硬化コーティングは、0.01μm~2ミリメートルmmの範囲の厚さを有し得る。0.01μm~2mmのすべての個々の値および下位範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、硬化コーティングは、0.01μm、0.05μm、または1μmの下限から2mm、1.5mm、または1mmの上限までの厚さを有し得る。例えば、硬化コーティングは、0.01μm~2mm、0.05μm~1.5mm、または代替として、0.1μm~1mmの厚さを有し得る。多くの実施形態によれば、硬化コーティングは、1μm~50μmの範囲の厚さを有し得る。
【0111】
上述のように、いくつかのコーティング用途では、コーティングされた物品が特定の機械的および化学的抵抗特性ならびに特定の外観特性などの特定の性能特徴を同時に提供することが望ましい。いくつかのコーティング用途に望ましい特定の機械的特性は、ケーニッヒ硬度値、例えば70秒超のケーニッヒ硬度値である。いくつかのコーティング用途に望ましい特定の化学的抵抗特性としては、メチルエチルケトン(MEK)二重摩擦値が挙げられ、例えば、いくつかのコーティング用途には200以上のMEK二重摩擦値が望ましく、レトルト後の外観評価、例えば2%の乳酸溶液、3%の酢酸溶液、および3%クエン酸溶液に合格する。
【実施例
【0112】
実施例において、例えば、以下を含む、材料の様々な用語および呼称を使用した:
【表1】
【0113】
本実施例で使用される追加の材料としては、溶媒(Sigma Aldrichから入手可能なn-ブタノールおよびn-ブチルエチレングリコールエーテル)、塩基(Huntsmanから入手可能なジメチルエタノールアミン(DMEA))、および架橋剤(ヒドロキシアルキルアミド、EMS-GRILTECHから入手可能なPrimid(登録商標)QM-1260)が挙げられる。
【0114】
実験
コーティング組成および調製
表2で分かるように、コーティング組成物の各実施例および比較例を以下のように調製するが、溶融ブレンド生成物の各成分の重量パーセント(重量%)値は、溶融ブレンド生成物の合計重量に基づく重量%として表2に提供される。
【0115】
実施例1
M899Pを139グラム/分、V4200を76グラム/分、P5980iを58グラム/分、およびL641を30グラム/分で、制御された速度供給機を使用して直径25mmの二軸スクリュー押出機に添加し、成分を前進させて溶融ブレンドする。押出機の温度プロファイルは、最大約160℃に上昇した。中和剤としての水および塩基(ジメチルエタノールアミン/DMEA)を、それぞれ73および31グラム/分で押出機に供給した。希釈水をそれぞれ240および140グラム/分の速度で、2箇所に対して2つの別々のポンプを介して押出機の希釈ゾーンに供給した。押出機の温度プロファイルを、押出機の端部近くで100℃未満の温度に戻して冷却した。押出機の速度は、約1200rpmであった。押出機出口で、背圧調整器を使用して、押出機バレル内部の圧力を蒸気形成を減少させるのに好適な圧力に調節した。得られた水性分散液を、200、50、および20ミクロンのフィルターで次の順序で濾過した。濾過後、水性分散液は、44重量%の固形分および2.0ミクロンの体積平均粒子サイズを有していた。コーティング組成物を調製するために、Cowlesブレードで600回転/分で撹拌しながら115.4グラムの水性分散液を容器に添加し、61.6グラムの塩基性水(0.3重量%のDMEA水溶液)を約1分間の間隔にわたって第1の容器の内容物に添加する。2.6グラムの30重量%の架橋剤溶液を塩基性水に添加する。架橋剤は、アジピン酸およびジイソプロパノールアミンから誘導されるヒドロキシアルキルアミド化合物のPrimid(商標)QM-1260である。架橋剤の目標使用量は、全酸官能性の0.25当量である。以下の式を使用して、酸官能基の所望の等価性に従って、Primid QM-1260のレベルを計算する。
【数1】
式中、Wは、樹脂ブレンド100gあたりのPrimid QM-1260の重量である。Aiは、mg KOH/gで表される樹脂ブレンド中のi番目の成分の酸価であり、ωは、i番目の成分の重量分率であり、94は、Primid QM-1260ヒドロキシル官能基の当量分子量であり、Eは、Primid QM-1260の設計等価である。n-ブタノールとエチレングリコールモノブチルエーテルとの20.5グラムの1/1混合物を混合物に添加する。10分間撹拌する。コーティング組成物は、200グラムの重量、26重量%の固形分、および0.4の有機溶媒重量(塩基を除く)対分散固形分重量比を有する。
【0116】
実施例2
実施例2の水性分散液は、M899Pの代わりにM199Pを使用し、DMEAの供給速度が29.5グラム/分であったことを除いて、実施例1の方法と同じ方法で調製した。水性分散液は、43.2重量%の固形分および1.3ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、118.6グラムの水性分散液、58.4グラムの塩基性水、2.54グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0117】
実施例3
実施例3の水性分散液は、M899Pの代わりにM100Pを使用し、初期水の供給速度が毎分90.7グラム/分であったことを除いて、実施例1の方法と同じ方法で調製した。水性分散液は、44.3重量%の固形分および1.7ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、115.7グラムの水性分散液、61.3グラムの塩基性水、2.54グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0118】
実施例4
実施例4の水性分散液は、M899Pの代わりにFusabond P613を使用し、初期水およびDMEAの供給速度がそれぞれ90.7/分および28.9グラムであったことを除いて、実施例1の方法と同じ方法で調製した。水性分散液は、42.7重量%の固形分および1.1ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、119.6グラムの水性分散液、56.9グラムの塩基性水、3.1グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.4グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0119】
実施例5
実施例5の水性分散液は、M899Pの代わりにP613を使用し、P613、V4200、P5980i、L641、初期水、DMEA、希釈水1、および希釈水2の供給速度が、それぞれ40.8、12.9、14.4、7.6、22.7、7.5、60、および35グラム/分であり、押出機の速度が、450回転/分であったことを除いて、実施例1の方法と同じ方法で調製した。水性分散液は、42.1重量%の固形分および1.1ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、121.7グラムの水性分散液、55.2グラムの塩基性水、2.6グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0120】
実施例6
実施例6の水性分散液は、M899Pの代わりにP613を使用し、P613、V4200、P5980i、L641、初期水、DMEA、希釈水1、および希釈水2の供給速度が、それぞれ19.7、34.0、14.4、7.6、20.4、7.2、60、および35グラム/分であり、押出機の速度が、350回転/分であったことを除いて、実施例1の方法と同じ方法で調製した。水性分散液は、44.3重量%の固形分および0.8ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、115.7グラムの水性分散液、61.3グラムの塩基性水、2.5グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0121】
実施例7
実施例7の水性分散液は、M899Pの代わりにP613を使用し、P613、V4200、P5980i、L641、初期水、DMEA、希釈水1、および希釈水2の供給速度が、それぞれ15.1、34.0、18.9、7.6、21.9、9.3、60、および35グラム/分であり、押出機の速度が、350回転/分であったことを除いて、実施例1の方法と同じ方法で調製した。水性分散液は、43.0重量%の固形分および0.6ミクロンの平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、118.7グラムの水性分散液、57.7グラムの塩基性水、3.1グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.4グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0122】
実施例8
実施例8の水性分散液は、M899Pの代わりにP613を使用し、Polywax 655をブレンドに添加したことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。P613、V4200、P5980i、L641、PW655、初期水、DMEA、希釈水1、および希釈水2の供給速度は、それぞれ136.1、72.6、57.5、30.2、6.1、84.7、29.7、100、および200グラム/分であり、押出機の速度は、1200回転/分であった。水性分散液は、42.1重量%の固形分および0.7ミクロンの平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、121.5グラムの水性分散液、55.6グラムの塩基性水、2.5グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0123】
比較例A
比較例Aの水性分散液は、M899Pの代わりにPP35R80を使用し、初期水およびDMEAの供給速度がそれぞれ63.5および28グラム/分であったことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。水性分散液は、44.6重量%の固形分および0.8ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、115.2グラムの水性分散液、61.8グラムの塩基性水、2.54グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0124】
比較例B
比較例Bの水性分散液は、M899Pの代わりにH739を使用し、初期水およびDMEAの供給速度がそれぞれ90.7および31.8グラム/分であったことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。分散液は、43.9重量%の固形分および1.9ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、116.8グラムの水性分散液、60.3グラムの塩基性水、2.4グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0125】
比較例C
比較例Cの水性分散液は、M899Pの代わりにP353を使用し、初期水およびDMEAの供給速度がそれぞれ84.7および28.0グラム/分であったことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。水性分散液は、46重量%の固形分および2.4ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、110.8グラムの水性分散液、65.4グラムの塩基性水、3.4グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.4グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0126】
比較例D
実施例Dの水性分散液は、M899Pの代わりにL7452を使用し、L7452、V4200、P5980i、L641、初期水、DMEA、希釈水1、および希釈水2の供給速度が、それぞれ34.8、18.9、14.4、7.6、31.8、11、120、および0グラム/分であり、押出機の速度が、450回転/分であったことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。水性分散液は、37.5重量%の固形分および3.0ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、136.0グラムの水性分散液、39.9グラムの塩基性水、3.7グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.4グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0127】
比較例E
実施例Eの水性分散液は、M899Pの代わりにP613を使用し、V4200の代わりにPP35R80を使用し、P613、PP35R80、P5980i、L641、初期水、DMEA、希釈水1、および希釈水2の供給速度が、それぞれ19.7、34.0、14.4、7.6、27.2、7.2、60、および35グラム/分であり、押出機の速度は、750回転/分であったことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。水性分散液は、41.4重量%の固形分および2.0ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、123.8グラムの水性分散液、53.2グラムの塩基性水、2.5グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0128】
比較例F
実施例Fの水性分散液は、M899Pの代わりにP613を使用し、P613、V4200、P5980i、L641、初期水、DMEA、希釈水1、および希釈水2の供給速度が、それぞれ46.1、7.6、14.4、7.6、22.7、7.6、60、および35グラム/分であり、押出機の速度が、450回転/分であったことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。水性分散液は、42.0重量%の固形分および1.8ミクロンの体積平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、122.0グラムの水性分散液、55.0グラムの塩基性水、2.6グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0129】
比較例G
比較例Gの水性分散液は、M899Pの代わりにP613を使用し、P613、V4200、P5980i、L641、初期水、DMEA、希釈水1、および希釈水2の供給速度が、それぞれ7.6、46.1、14.4、7.6、17.4、7.1、30、および60グラム/分であり、押出機の速度が、450回転/分であったことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。水性分散液は、41.4重量%の固形分および0.6ミクロンの平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、123.8グラムの水性分散液、53.2グラムの塩基性水、2.5グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.5グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0130】
比較例H
比較例Gの水性分散液は、M899Pの代わりにP613を使用し、P613、V4200、P5980i、L641、初期水、DMEA、希釈水1、および希釈水2の供給速度が、それぞれ7.6、41.6、18.9、7.6、19.7、9.0、30、および60グラム/分であり、押出機の速度が、450回転/分であったことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。水性分散液は、40.3重量%の固形分および0.5ミクロンの平均粒度を有していた。実施例1のコーティング組成物と同じ固形分、Primid QM-1260当量、および目的溶媒対分散固体比のコーティング組成物を調製するために、126.7グラムの水性分散液、49.7グラムの塩基性水、3.1グラムのPrimid QM-1260溶液、および20.4グラムの溶媒混合物を実施例1と同じ方法で混合した。
【0131】
コーティングされたパネルの調製
コーティングを調製する前に、少なくとも一晩室温(23℃)でコーティング組成物をエージングする。Lakeside Metalから供給されたブリキ基材(0.25#Bright T-1の測定値.009X4”X12”)に巻線ドローダウンバー(#16)を備えた各コーティングされたパネルを調製する。特に記載がない限り、205℃のDespatchオーブン(シリアル#183952)でコーティングされたパネルを4分間硬化させる。乾燥コーティングの厚さは、典型的には7~10μm(0.3~0.4mil)の範囲内である。
【0132】
レトルト試験
レトルト試験には、Tuttnauer EZ10または同様のオートクレーブを使用する。上記のようにコーティングされたパネルを調製する。コーティングされたパネルを2インチx3インチの細片に切断する。コーティングされたパネルの細片を、模擬食品(Campbell’s(登録商標)Chicken with Riceスープ)が半分満たされたガラス容器に入れる。容器を蓋で覆い、132℃に設定したオートクレーブに30分間入れる。開く前にオートクレーブを60℃に冷却する。ビーカーから試験パネルを取り外し、DI水ですすぎ、乾燥させる。オートクレーブから試験パネルを取り外してから30分以内に、模擬食品に浸漬した被覆パネルの部分でクロスカット接着試験および鉛筆硬度試験を実行する。
【0133】
クロスハッチ接着試験
コーティングの厚さが5ミル未満の厚さであるため、ASTM D 3359-09、方法「B」に従ってクロスハッチ接着剤を予備成形する。簡単に言うと、この試験では、各方向に2つの隣接する切れ目間の距離が1mmである10個の切れ目の正方形の格子パターンを作製する。格子の上に感圧テープを貼り付けてから取り外す。以下の尺度に従って接着性を評価する:
5B-切れ目のエッジは、完全に滑らかであり、格子の正方形のいずれも剥離しない。
4B-交点でコーティングの小さなフレークが剥離し、領域の5%未満が影響を受けた。
3B-コーティングの小さなフレークは、エッジおよび切れ目の交点に沿って剥離する。影響を受ける領域は、格子の5~15%である。
2B-コーティングは、エッジおよび正方形の一部に沿って薄片になっている。影響を受ける領域は、格子の15~35%である。
1B-コーティングは、大きなリボンの切れ目のエッジに沿って薄片になり、正方形全体が剥離した。影響を受ける領域は、格子の35~65%である。
0B-グレード1より悪い剥がれおよび剥離。
結果を以下の表2に示す。
【0134】
鉛筆硬度
ASTM方法D3363-06に従って鉛筆硬度試験を実施する。フィルムを切らずに残す最も硬い鉛筆であるガウジ硬度を報告した。試験には、Derwent Graphicの鉛筆セット(20ピースパック、9B~9H、9Bが最も柔らかいグレード)を使用する。結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0135】
表2のデータは、高融点および酸官能化樹脂で調製された分散液(実施例1~8)が、レトルト試験後のコーティング接着性損失またはコーティング軟化が最小であることから明らかである優れたコーティング性能を与えることを示している。比較すると、低融点を有し、酸官能性のない樹脂(比較例A)、高融点を有するが、酸官能性のない樹脂(比較例B)、または低融点を有し、酸官能性を有する樹脂(比較例C&D)で調製された分散液は、レトルト試験後、著しい接着性損失もしくは著しいコーティング軟化、またはその両方で明らかなように、劣ったコーティング性能を与える。比較例Eは、より低い密度または低融点の共バインダー(V-4200)を組み込むことが、良好なコーティング性能にとって重要であることを更に示している。比較例F~Hは、優れたコーティング性能のための分散ポリマー組成物の最適な組成範囲があることを実証している。