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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】長竿型研磨機
(51)【国際特許分類】
   B24B 23/02 20060101AFI20231208BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
B24B23/02
B24B49/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019219793
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021088034
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】杉田 文秀
(72)【発明者】
【氏名】千種 法人
(72)【発明者】
【氏名】吉川 修二
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-515807(JP,A)
【文献】国際公開第2016/067997(WO,A1)
【文献】特開2007-229888(JP,A)
【文献】特開2013-094866(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109877680(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 23/00 - 23/08
B24B 49/12
B25F 5/00 - 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ、及び当該電動モータの駆動力により軸の周りで運動するパッドを有するヘッド部と、
端部に前記ヘッド部が接続される竿部と、
前記パッドに装着可能な先端工具と、
前記先端工具が被加工面に均等に接触することを検知可能な検知手段と、
を備えており、
前記ヘッド部は、前記軸を保持するヘッド部ハウジングと、当該ヘッド部ハウジングに装着されるヘッド部カバーと、を有しており、
前記検知手段は、前記パッド又は前記先端工具から前記被加工面までの距離を検知可能な距離検知手段を含んでおり、
前記距離検知手段は、前記パッド又は前記先端工具から前記被加工面までの距離に対応する、自身から前記被加工面までの距離を検知可能な距離センサを、少なくとも4つ含んでおり、
少なくとも4つの前記距離センサは、前記ヘッド部カバーに設けられている
ことを特徴とする長竿型研磨機。
【請求項2】
少なくとも4つの前記距離センサは、前記軸の前方及び後方並びに前記軸の左方及び右方に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の長竿型研磨機。
【請求項3】
前記検知手段が前記先端工具の前記被加工面に対する均等な接触を検知したことを報知可能な報知手段を備えている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の長竿型研磨機。
【請求項4】
前記報知手段は、電気により作動する電気部材を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の長竿型研磨機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライウォールサンダ、長竿型ポリッシャ、長竿型グラインダ、長竿型コンクリートカンナ等の長竿型研磨機に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2006/039415号明細書(特許文献1)に示されるようなドライウォールサンダが知られている。
このドライウォールサンダ100は、テレスコピックサポートアームアセンブリ112と、サンディングアセンブリ108とを有している。サンディングアセンブリ108は、テレスコピックサポートアームアセンブリ112の先端に設けられている。サンディングアセンブリ108は、回転ヘッド138を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2006/039415号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなドライウォールサンダでは、回転ヘッド138がドライウォール等の被加工面に均等に当たらないことがある。この場合、ドライウォール等において、研削ムラが発生する。
そこで、本開示の主な目的は、使用者がパッドの被加工面に対する不均等な接触を把握可能な長竿型研磨機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、電動モータ、及び当該電動モータの駆動力により運動するパッドを有するヘッド部と、端部に前記ヘッド部が接続される竿部と、前記パッドに装着可能な先端工具と、前記先端工具が被加工面に均等に接触することを検知可能な検知手段と、を備えており、前記ヘッド部は、前記軸を保持するヘッド部ハウジングと、当該ヘッド部ハウジングに装着されるヘッド部カバーと、を有しており、前記検知手段は、前記パッド又は前記先端工具から前記被加工面までの距離を検知可能な距離検知手段を含んでおり、前記距離検知手段は、前記パッド又は前記先端工具から前記被加工面までの距離に対応する、自身から前記被加工面までの距離を検知可能な距離センサを、少なくとも4つ含んでおり、少なくとも4つの前記距離センサは、前記ヘッド部カバーに設けられている長竿型研磨機が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の主な効果は、使用者がパッドの被加工面に対する不均等な接触を把握可能な長竿型研磨機が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1形態に係るドライウォールサンダの斜視図である。
図2】ドライウォールサンダ1の前部の右側面図である。
図3図1のドライウォールサンダの後部後の中央縦断面図である。
図4図1のドライウォールサンダの後部前の中央縦断面図である。
図5図1のドライウォールサンダの前部の中央縦断面図である。
図6図5のA-A線断面図である。
図7】本開示の第2形態に係るドライウォールサンダの前部の中央縦断面図である。
図8】Aは本開示の第3形態に係るドライウォールサンダの前部の中央縦断面図であり、Bはヘッド部が被加工面から離れた場合におけるAの一部拡大図である。
図9】Aは本開示の第4形態に係るドライウォールサンダの前部の中央縦断面図であり、Bはヘッド部が被加工面から離れた場合におけるAの一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態及びその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。
当該形態は、長竿型研磨機の一例としてのドライウォールサンダに係るものである。
当該形態及び変更例における前後上下左右は、説明の便宜上定めたものであり、作業の状況及び移動する部材の状態の少なくとも一方等により変化することがある。
尚、本開示は、当該形態及び変更例に限定されない。
【0009】
[第1形態]
図1は、本開示の第1形態に係るドライウォールサンダ1の斜視図である。図2は、ドライウォールサンダ1の前部の右側面図である。図3は、ドライウォールサンダ1の後部後の中央縦断面図である。図4は、ドライウォールサンダ1の後部前の中央縦断面図である。図5は、図1のドライウォールサンダ1の前部の中央縦断面図である。図6は、図5のA-A線断面図である。
ドライウォールサンダ1は、竿部2と、ハンドル部4と、吊枠部6と、ヘッド部8と、を備えている。
【0010】
竿部2は、前後に延びている。
竿部2は、第1竿体としての大径パイプ10と、第2竿体としての小径パイプ12と、を有している。大径パイプ10と小径パイプ12との一方が他方に対してスライドすることにより、竿部2がテレスコピック機構を有して伸縮自在となる。
小径パイプ12は、大径パイプ10の内側にスライド可能に入る。小径パイプ12は、円筒状である。小径パイプ12は、ハンドル部4の外郭である前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15に取り付けられている。小径パイプ12の前端部には、フランジ筒16が固定されている。フランジ筒16における前部のフランジ部は、小径パイプ12の前端から飛び出して大径パイプ10の内面に接触している。他方、フランジ筒16におけるフランジ部以外の部分の外面は、小径パイプ12の内面と接触している。フランジ筒16におけるフランジ部の径方向内方における孔は、前広がりとなっている。尚、前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15により、ハンドルハウジング18(第2ハウジング)が構成される。
大径パイプ10は、第1中空部20及び第2中空部22を有する二穴管である。大径パイプ10は、アルミニウム材の押し出しにより形成されている。第1中空部20は、円筒状である。第1中空部20内には、小径パイプ12が通る。第2中空部22は、小径パイプ12の下部に添う断面“U”字状である。大径パイプ10の外面(第1中空部20と第2中空部22とを仕切る仕切り壁の隣接部)には、大径パイプガイド溝23が形成されている。大径パイプガイド溝23は、大径パイプ10の前後方向のスライドの案内を行い、又大径パイプ10の上下左右方向の位置決めを行う。
大径パイプ10の第1中空部20の後端部には、円筒状のストップリング24が固定されている。ストップリング24は、小径パイプ12の外面に接触し又は近接する。又、大径パイプ10の第2中空部22の後端は、第1中空部20の後端より前方に配置されている。第1中空部20の後端部の下方であって、第2中空部22の後端の後側には、断面“U”字状のリード線ガイド26が取り付けられている。
【0011】
後ハンドルハウジング15は、左右半割である。後ハンドルハウジング15は、後ハンドルハウジング左部と後ハンドルハウジング右部とを含む。後ハンドルハウジング左部と後ハンドルハウジング右部とは、互いに組み合わせられた状態で、左右方向のネジ28によって止められている。
前ハンドルハウジング14は、左右半割である。前ハンドルハウジング14は、前ハンドルハウジング左部と前ハンドルハウジング右部とを含む。前ハンドルハウジング左部と前ハンドルハウジング右部とは、互いに組み合わせられた状態で、左右方向のネジ29によって止められる。前ハンドルハウジング14の後端部は、その筒状の前部に対して碗状に拡大しており、後ハンドルハウジング15の前端部を挟んでいる。前ハンドルハウジング14は、後ハンドルハウジング15に取り付けられる。
前ハンドルハウジング14は、前竿収納部30を有している。前竿収納部30は、前後に延びており、竿部2を収める。
後ハンドルハウジング15は、後竿収納部31と、グリップ基部32と、グリップ部34と、バッテリ装着部36と、ジョイント保持部38と、を有している。後竿収納部31は、前後に延びており竿部2を収める。グリップ基部32は、丘状であり、後竿収納部31の上方に配置されている。グリップ部34は、上方視“T”字状であり、グリップ基部32の後上部から後方に突出している。バッテリ装着部36は、後竿収納部31の後方に配置されている。ジョイント保持部38は、後竿収納部31の下部中央から下方に突出しており、後方に広がっている。ジョイント保持部38は、バッテリ装着部36の下前方に配置されている。
ジョイント保持部38には、ジョイント40(集塵機接続部)が保持される。ジョイント40は、側面視“S”字状の空間を含む筒状である。ジョイント40は、後竿収納部31及びバッテリ装着部36の間からジョイント保持部38までにわたっている。ジョイント40の前方に開放された上端部には、小径パイプ12の後端部が接続されている。ジョイント40の後方に開放された下端部には、図示されない集塵機の集塵ホースが接続される(集塵ホース接続部,集塵機接続部)。
【0012】
後ハンドルハウジング15内には、上竿収納部リブ44が立てられている。上竿収納部リブ44は、後ハンドルハウジング15内面の左右両側から内方へ突出しており、前後方向に延びている。上竿収納部リブ44は、後竿収納部31の上とグリップ基部32の下との境界に配置されている。双方の上竿収納部リブ44は、竿部2の上方に位置している。双方の上竿収納部リブ44の各先端は、互いに接触している。
上竿収納部リブ44の後部は、バンド取付部44aを有している。バンド取付部44aは、断面逆“U”字状に形成されている。バンド取付部44aの内方には、バンド45が、左右方向のネジ46により取り付けられている。バンド45は、小径パイプ12の後端部を保持している。バンド45の径方向内方には、ジョイント40の前上部が配置されている。
又、後竿収納部31の下部であって、下のネジ28,29の上側には、竿収納部底部49が配置されている。
【0013】
前竿収納部30は、円筒状に形成されている。前竿収納部30は、後ハンドルハウジング15の前端部から前方に突出している。
前竿収納部30の前端部には、ネジ溝部50が配置されている。ネジ溝部50の外面には、第1ネジ溝52が形成されている。ネジ溝部50の内側には、固定筒54が配置されている。固定筒54の後部の外面は、ネジ溝部50の内面と接触している。固定筒54の内面は、大径パイプ10の外面に接触している。固定筒54の前部には、リング状の固定筒突出部56が形成されている。固定筒突出部56は、他の部分に対して径方向外方に突出している。固定筒突出部56は、前部において、後方へと広がる第1テーパ面58を有している。
又、ネジ溝部50の外側には、外筒60が配置されている。外筒60の内面には、第2ネジ溝62と、前すぼまりの第2テーパ面64とが形成されている。第2ネジ溝62は、ネジ溝部50の第1ネジ溝52に入る。第2テーパ面64は、第2ネジ溝62の前方において、リング状に配置されている。
使用者により外筒60が前進する方向に回転されると、第2テーパ面64が固定筒54の第1テーパ面58から離れて、固定筒54の大径パイプ10に対する圧接が解除される。この状態では、大径パイプ10が小径パイプ12に対して相対的に前後移動可能であり、竿部2の長さが変更可能である。使用者は、竿部2において所望の長さが得られた状態で、外筒60を後退する方向に回していく。すると、第2テーパ面64が固定筒54の第1テーパ面58に接触して固定筒54を径方向内方に押すようになり、固定筒54はその内方の大径パイプ10に圧接して、大径パイプ10を固定する。このように、外筒60と固定筒54と(ネジ溝部50と)により、竿部2が任意の伸縮位置で固定可能とされている。
【0014】
竿部2が短くなる場合、大径パイプ10は、前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15(前竿収納部30及び後竿収納部31)と小径パイプ12との間を通過する。
竿部2が最も長い状態である場合、大径パイプ10のストップリング24が、小径パイプ12のフランジ筒16のフランジ部に当たる。このとき、大径パイプ10の後端部は、外筒60の内方に位置する。
他方、竿部2が最も短い状態である場合、大径パイプ10の後端が、上竿収納部リブ44のバンド取付部44aに当たる。このとき、吊枠部6が、外筒60の前側に位置する。
【0015】
ハンドル部4は、竿部2の後部(第2端部)に設けられる。
ハンドル部4は、上述の前ハンドルハウジング14及び後ハンドルハウジング15並びにジョイント40と、ターミナル基板70と、スイッチ72と、トリガ74と、ロックオン部材76と、トリガロック部材78と、速度調節ダイヤル80と、コントローラ82と、無線通信アダプタ挿入部84と、を備えている。
【0016】
ターミナル基板70は、後ハンドルハウジング15のバッテリ装着部36に保持されている。
ターミナル基板70には、電力供給源としてのバッテリ86を装着可能である。バッテリ86は、直方体(四角柱)状であり、充電器(図示略)により充電可能である。
バッテリ86は、その最長辺が左右方向を向く状態で、バッテリ装着部36の左側から右方へスライドされることにより、バッテリ装着部36に装着される。
又、装着されたバッテリ86は、図示されないバッテリボタンが後方にスライド操作されてバッテリ装着部36に対する係止が解かれた状態で左方へスライドされることにより、取り外される。
バッテリ86は、18V出力のリチウムイオンバッテリであり、他の長竿型研磨機等においても用いることができる汎用的なものである。
【0017】
スイッチ72は、グリップ部34の前端部内に保持されている。
スイッチ72は、スイッチ本体部96と、プランジャ97と、を有している。プランジャ97は、スイッチ本体部96に、弾性力により復帰可能に入っている。スイッチ72は、プランジャ97が下側となるように設置されている。スイッチ72の切替状態は、プランジャ97の位置により変化する。プランジャ97が(遊びを超えて)スイッチ本体部96に入ると、スイッチ72の切替状態がオフからオンになる。
【0018】
トリガ74は、前後に延びており、スイッチ72の下方に配置されている。トリガ74の後部は、露出している。
トリガ74の中央には、トリガ軸部98が設けられている。トリガ軸部98における左右方向の軸(図示略)が後ハンドルハウジング15に支えられることで、トリガ74は揺動可能とされている。トリガ74の上面と後ハンドルハウジング15との間には、スプリング(図示略)が渡されている。トリガ74の上面後部は、スプリングが自然長あるいはこれに近い伸長状態である場合、スイッチ72のプランジャ97に隣接している。トリガ74が上方に引かれると、スプリングが圧縮状態となり、トリガ74の上面後部がプランジャ97に接触してプランジャ97を押す。
【0019】
ロックオン部材76は、トリガ74の上側に配置されている。
ロックオン部材76は、左右方向に延びている。ロックオン部材76の左右各端部は、ロックオンボタン100として露出している。
使用者がトリガ74を引いた状態で左右何れかのロックオンボタン100を押す(オンにする)と、移動したロックオン部材76がトリガ74の中央部に掛かり、引きを止めた場合に下方に戻ろうとするトリガ74を食い止めて、引き状態に維持する。よって、ロックオンボタン100のオン操作時、スイッチ72はオンに維持される。使用者がトリガ74を更に上方に引くと、ロックオン部材76は元の位置に戻り、トリガ74の引き状態の維持が解除される。よって、スイッチ72のオン状態の維持が解かれる。
【0020】
トリガロック部材78は、トリガ74の前側に配置されている。
トリガロック部材78は、左右方向に延びている。トリガロック部材78の左右両端部は、トリガロックボタン101として露出している。
使用者がトリガ74を引かない状態で左のトリガロックボタン101を押す(オンにする)と、トリガ74の前端部にトリガロック部材78が掛かり、引かれることで後部が上昇(前部が下降)しようとするトリガ74を食い止める。よって、トリガ74の引き操作が規制される。他方、使用者が右のトリガロックボタン101を押す(オフにする)と、左方に復帰したトリガロックボタン101は、トリガ74の引き操作の規制を解除する。
【0021】
速度調節ダイヤル80は、グリップ基部32の上部に保持されている。
速度調節ダイヤル80は、円盤状のダイヤル部102を有している。ダイヤル部102における曲面の上部は、上方に露出している。
使用者は、ダイヤル部102の回転操作により、速度調節ダイヤル80の切替状態を変更可能である。速度調節ダイヤル80の切替状態は、速度設定に対応する。
【0022】
コントローラ82は、グリップ基部32の前部に保持されている。
コントローラ82は、コントローラケース104と、制御回路基板106と、を備えている。コントローラケース104は、上方に開いた開蓋箱状である。制御回路基板106は、コントローラケース104の上部において保持されている。
コントローラ82は、第1リブ108と第2リブ110とにより保持される。第1リブ108及び第2リブ110は、上竿収納部リブ44と一体に形成されている。第1リブ108は、断面“J”字状である。第2リブ110は、断面逆“J”字状である。第2リブ110は、第1リブ108の後方に配置されている。
上竿収納部リブ44における第2リブ110の後方の部分には、配線用スリット112が設けられている。
更に、後ハンドルハウジング15の左右であって、コントローラ82の両側方の部分には、スリット状の複数の通気孔116(通気口)が形成されている。各通気孔116は、グリップ基部32の上面に沿った後上がりの方向に延びている。各通気孔116は、対向し離隔した後ハンドルハウジング15の左部及び右部の位置において、それぞれ上下前後に並んでいる。
【0023】
制御回路基板106は、バッテリ装着部36のターミナル基板70と、スイッチ72と、速度調節ダイヤル80とに対して、図示されないリード線により電気的に接続されている。
又、制御回路基板106は、表示部118を搭載している。表示部118の上部は、4個のLEDを含んでおり、後ハンドルハウジング15上面から露出している。制御回路基板106は、表示部118において、モータ負荷の大小を表示する。
更に、制御回路基板106には、ヘッド部8へ延びる竿部リード線(図示略)が接続されている。竿部リード線は、複数の単リード線の束であり、その単リード線の一部(制御リード線)が制御回路基板106に接続されている。単リード線の別の一部(電源リード線)は、ターミナル基板70(電源端子88)に接続されている。即ち、竿部リード線は、ハンドル部4に連結されている。竿部リード線は、配線用スリット112の手前で一本化し、配線用スリット112及び小径パイプ12の左方を通過して、小径パイプ12の下部と竿収納部底部49との間の空間であるリード線収納部Pに入り、一旦後方に向かった後でUターンして(たわんで)前方に向かい、リード線ガイド26を介して大径パイプ10の第2中空部22(リード線収容スペース)に入る。
リード線収納部Pには、竿部リード線の後部が収納される。リード線収納部Pは、竿収納部30及び竿部2(小径パイプ12)の径方向外方(下方)に配置されている。リード線収納部Pは、後端部において、壁部Qを有している。壁部Qは、ジョイント40の前壁の一部である。壁部Qは、竿部2が最も短い収縮状態となって大径パイプ10が竿収納部30に完全に収納された場合の、大径パイプ10の後端より後方に離れて配置されている。又、リード線収納部Pの幅(左右方向の大きさ)は、竿部2(大径パイプ10)の幅(太さ,直径)より大きくなっている。
【0024】
無線通信アダプタ挿入部84は、無線通信アダプタ120を挿入するために、グリップ基部32内に形成されている。
無線通信アダプタ挿入部84は、後ハンドルハウジング15右部の外面から内方へ箱状に凹むように形成されており、無線通信アダプタ120を差し込み可能である。差し込んだ場合、無線通信アダプタ120は、コントローラ82の制御回路基板106に搭載された無線通信用コントローラ(図示略)と電気的に接続される。
無線通信アダプタ120は、他の付帯設備としての上述の集塵機との間で無線通信を行う。無線通信によって、集塵機の起動動作,停止動作が、ドライウォールサンダ1の起動動作,停止動作と連動する。
予め、無線通信アダプタ120と、集塵機に取り付けられた集塵機側無線通信アダプタとの間において、無線通信可能とするための関連付け(ペアリング)が行われる。ペアリングは、使用者が、集塵機側無線通信アダプタのボタンを押し、所定時間内に無線通信アダプタ120のボタン(図示略)を操作することでなされる。
ペアリングが完了した状態でスイッチ72がオンとなりドライウォールサンダ1が起動すると、その起動を示す起動情報が無線通信アダプタ120から集塵機に送信され、集塵機側無線通信アダプタによる当該起動情報の受信に基づいて集塵機が自動的に起動する。無線通信状態は、無線通信アダプタ120に設けられたアダプタランプの点灯状態によって、使用者に知らされる。
【0025】
吊枠部6は、外枠124と、内枠126と、を備えている。
外枠124は、左右二股状であり、大径パイプ10の先端部に取り付けられている。
内枠126は、外枠124の先端部内において、ネジ127を介して左右方向の軸周りに回転可能に接続されている。
内枠126は、上面視矩形状であって、前面視及び後面視で共に“V”字状である。
内枠126前部の“V”字状部分と内枠126後部の“V”字状部分との各最下部に挟まれるように、ヘッド部8が配置されている。ヘッド部8は、内枠126に、前後方向の軸の周りで回転可能に接続されている。
ヘッド部8は、吊枠部6によって、左右方向及び前後方向の合計2軸の周りで姿勢の変化が可能となっている。ヘッド部8は、比較的に大きな外枠124によって、主に左右方向の軸の周りで姿勢変化する。又、ヘッド部8は、比較的に小さな内枠126によって、補助的に前後方向の軸の周りで姿勢変化する。
【0026】
ヘッド部8は、竿部2の前端部(第1端部)において、吊枠部6を介して連結されている。
ヘッド部8は、ヘッド部外側ハウジング130と、モータハウジング132と、ギヤハウジング134と、駆動源としての電動モータ138と、遊星歯車機構140と、スピンドル141と、パッド142と、ヘッド部カバー143と、ストッパ144と、周囲部145と、検知手段としての角度センサ146と、報知手段としてのランプ147と、を備えている。
ヘッド部外側ハウジング130と、モータハウジング132と、ギヤハウジング134とにより、ヘッド部ハウジング148が構成される。
【0027】
ヘッド部外側ハウジング130は、有底円筒形状である。ヘッド部外側ハウジング130の下部は、開放されている。ヘッド部外側ハウジング130の前後には、ボス部149が形成されている。各ボス部149には、吊枠部6(内枠126)が、前後方向のボルト150を介して相対的に回転可能に接続されている。
ヘッド部外側ハウジング130の前上部には、第1ホース接続部152が形成されている。第1ホース接続部152は、他の部分より上方に円筒状に突出している。第1ホース接続部152には、第1ホース154の前端部が接続されている。第1ホース154は、大径パイプ10の第1中空部20と連通する状態で、吊枠部6の後上部に接続されている。第1ホース154は、側面視で逆“U”字状の形状を維持するように取り回されている。
ヘッド部外側ハウジング130の前のボス部149の下方には、開口部が開けられている。
【0028】
モータハウジング132は、ヘッド部外側ハウジング130の内方に配置されている。
モータハウジング132は、左右半割であり、複数(6個)の左右方向のネジ156によって組み合わせられている。
モータハウジング132は、円筒状のモータハウジング本体部158と、延設部160と、を有する。
延設部160は、モータハウジング本体部158の後部から下方、後方及び上方へ延在している。
延設部160の後部は、ヘッド部外側ハウジング130の後の開口部から外に出ている。
延設部160の露出した上端部には、第2ホース162の前端部が接続される。第2ホース162は、大径パイプ10の第2中空部22と連通する状態で、吊枠部6の後下部に接続されている。第2ホース162は、側面視で逆“J”字状の形状を維持するように取り回されている。大径パイプ10の第2中空部22、第2ホース162及び延設部160の内部において、ハンドル部4のコントローラ82から出て竿部2を通過する竿部リード線の前部が配置されている。竿部リード線における延設部160に配置された部分には、着脱によって接続及び切り離しが自在である一対(雄雌)のコネクタ164が介装されている。
【0029】
ギヤハウジング134の上部は筒状であり、下端部は円盤状である。ギヤハウジング134は、モータハウジング132の下方に取り付けられている。
ギヤハウジング134上端部の開口部には、モータハウジング本体部158の下端部が嵌まっている。ギヤハウジング134の下部の上面辺縁は、ヘッド部外側ハウジング130下端部の開口部に入り込んでいる。ギヤハウジング134は、モータハウジング132と共に、ヘッド部外側ハウジング130に取り付けられている。
【0030】
電動モータ138は、モータハウジング132に保持されている。
電動モータ138は、DC駆動のブラシレスモータであり、モータハウジング本体部158の上部内に保持されている。
電動モータ138は、ステータ166及びロータ168を備えている。ステータ166の内部には、ロータ168が配置されている(インナーロータ型)。
ステータ166は、複数(6個)の駆動コイル176を有している。
ロータ168は、回転駆動軸としてのモータ軸180を有している。モータ軸180は、上下に延びており、ロータ168の回転中心軸と同軸に配置されている。モータ軸180の下端部には、ピニオン185が一体に固定されている。ピニオン185は、複数の外歯を有する。
【0031】
ステータ166は、竿部リード線を介して、コントローラ82と電気的に接続されている。
電動モータ138は、コントローラ82により制御される。コントローラ82(制御回路基板106)は、6個のスイッチング素子(図示略)を有している。各スイッチング素子は、何れかの駆動コイル176と対応して設けられ、対応する駆動コイル176のスイッチングを行う。尚、コントローラ82(制御回路基板106)は、図示されないマイコンを有している。当該マイコンは、上記スイッチング素子のスイッチングを制御する。制御回路基板106は、電動モータ138を制御する各種の素子を搭載している。
【0032】
ステータ166の上側には、上軸受192が設けられている。上軸受192は、モータ軸180を回転可能に支持する。上軸受192は、モータハウジング132に保持されている。
ピニオン185の上側には、下軸受194が設けられている。下軸受194は、モータ軸180を回転可能に支持する。下軸受194は、モータハウジング132の下中央部において固定されている。
モータ軸180の下軸受194とステータ166との間には、冷却用のファン196が配置されている。ファン196は、モータ軸180に対して固定されており、回転により、遠心方向に風を送り出す(遠心ファン)。ファン196は、モータハウジング132の中央部内に配置されている。モータハウジング132の左右の中央部には、内排気口197が形成されている。ヘッド部外側ハウジング130の左右の中央部であって各内排気口197の外側には、外排気口198が形成されている。
内排気口197及び外排気口198は、ファン196の放射方向外方に位置している。よって、ファン196の風は、効率的に排出される。
他方、ヘッド部外側ハウジング130の上部及びモータハウジング132の上部には、複数の吸気口199が形成されている。吸気口199は、外部とモータハウジング132内とを通気可能につなぐ。
【0033】
遊星歯車機構140は、ギヤハウジング134の上部に保持されている。
遊星歯車機構140は、2段の遊星歯車列を有している。各遊星歯車列は、ギヤハウジング134を外郭とし、上下方向の機軸(モータ軸180の中心軸及びスピンドル141の中心軸が含まれる)を中心に配置されている。遊星歯車機構140は、モータ軸180の回転を減速してスピンドル141に伝える。即ち、遊星歯車機構140は、上遊星歯車列200(1段目の減速機構)と、下遊星歯車列210(2段目の減速機構)と、を有する。
【0034】
スピンドル141は、ギヤハウジング134の下部に配置されている。スピンドル141の後端部は、下遊星歯車列210のキャリアの中央部に取り付けられている。
スピンドル141は、スピンドル上軸受222及びスピンドル下軸受224により、回転可能に支持されている。スピンドル上軸受222及びスピンドル下軸受224は、ギヤハウジング134に保持されている。
【0035】
パッド142は、円盤状である。パッド142は、スピンドル141に対し、上下方向のネジ228により取り付けられている。パッド142上部は、周囲部145内に配置されている。
パッド142は、モータハウジング132の下方に配置されている。
パッド142の下面には、サンドペーパーを始めとする先端工具Tが装着される。パッド142の下面(先端工具T)は、被加工材の被加工面K(図2)に研磨を施す研磨面となっており、被加工面Kに加工作用を施す加工作用面となっている。
パッド142は、上下方向のパッド孔230を複数有している。各パッド孔230は、パッド142と同心の仮想的な円に沿って並ぶように配置されている。各パッド孔230は、周方向で等間隔に並んでいる。先端工具Tは、パッド孔230と同様の先端工具孔を有している。
又、ギヤハウジング134の前下部には、上下方向のギヤハウジング孔(図示略)が形成されている。ギヤハウジング孔の上方には、ヘッド部外側ハウジング130前部とモータハウジング132前部との間の空間Sが位置している。更に、空間Sの上方には、第1ホース接続部152が位置している。ヘッド部外側ハウジング130前部は、筒状(半円筒状)に膨出しており、空間Sは、上下方向に延びる筒状となっている。
【0036】
ヘッド部カバー143は、リング状である。ヘッド部カバー143には、複数(5個)のネジボス240が設けられている。各ネジボス240は、ヘッド部カバー143の周方向に並ぶように配置されている。図1及び図2に示されるように、ヘッド部カバー143の右前コーナー部及び左前コーナー部には、それぞれ、ローラ242が、外力を受けて双方向に回転可能に設けられる。
ヘッド部カバー143の下側には、ストッパ144が配置されている。ストッパ144は、リング状である。ストッパ144は、上下方向の複数のネジ244によって、ヘッド部カバー143に対して固定される。各ネジ244は、対応するネジボス240に入る。
ヘッド部カバー143及びストッパ144は、ギヤハウジング134の下端部(円盤状部)の径方向外側に装着されている。ヘッド部カバー143の径方向内側の端縁部とストッパ144の径方向内側の端縁部とは、ギヤハウジング134の円盤状部の端縁部を挟んでいる。ヘッド部カバー143及びストッパ144並びに周囲部145は、外力により、ギヤハウジング134の円盤状部の周りを360度双方向に回転可能である。
ヘッド部カバー143、ストッパ144及び周囲部145は、天井あるいは床等に当たることにより回転する。壁等には、少なくとも一方のローラ174が接触可能である。天井等にローラ174が接触することにより、ヘッド部8に対する衝撃が緩和される。又、周囲部145等の回転が、円滑になされる。
【0037】
ヘッド部カバー143の下方には、周囲部145が配置されている。周囲部145は、円筒状である。
周囲部145は、周囲部本体250と、周囲部弾性体としての複数(4個)の板バネ(図示略)と、清掃面側部の一部としての周囲部本体ブラシ部254と、周囲部アタッチメント256と、を有している。
周囲部本体250は、一部を平面とした(図では前端部を上下左右に広がる平面とした)円筒状である。周囲部本体250は、ヘッド部カバー143の周縁部の下方に配置されている。周囲部本体250の上端部には、複数(6個)の突片(図示略)が設けられている。各突片は、円筒状部分の内面上側から径方向内方に突出している。各突片は、ストッパ144の上面に接触可能である。周囲部145の下方への抜け落ちは、各突片のストッパ144上面への接触により防止される。各突片の上方には、間をおいた状態でヘッド部カバー143の下面が位置している。
各板バネは、“V”字状である。各板バネは、周囲部本体250とヘッド部カバー143との間に介装されている。各板バネの中央部は、周囲部本体250の上端部に固定されている。各板バネの両端部は、ヘッド部カバー143に固定されている。各板バネは、右前、左前、右後、左後に配置されている。尚、板バネの一部又は全部は、ヘッド部カバー143及び周囲部本体250の何れか一方に固定されても良い。
周囲部本体ブラシ部254は、複数の毛束を有している。各毛束は、周囲部本体250における平面部以外の下端部から下方に延びる状態で設けられる。各毛束の下端部は、仮想的な1つの平面に含まれるように揃っている。
【0038】
周囲部アタッチメント256は、周囲部アタッチメント本体260と、清掃面側部の他の一部としての周囲部アタッチメントブラシ部264と、を有している。第2ブラシとしての周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264が、清掃面側部を構成する。
周囲部アタッチメント本体260は、棒状である。周囲部アタッチメント本体260は、周囲部本体250と同様の長手方向の長さを有している。
周囲部アタッチメント本体260は、周囲部本体250の平面部に対し、着脱自在に取り付けられる。
周囲部アタッチメントブラシ部264は、複数の毛束を有している。各毛束は、周囲部アタッチメント本体260における下端部から下方に延びる状態で設けられる。各毛束の下端部は、周囲部本体ブラシ部254と同じ仮想的な1つの平面に含まれるように揃っている。
尚、周囲部アタッチメント256は、省略されても良い。この場合、周囲部本体ブラシ部254は、リング状に形成されても良い。
【0039】
周囲部本体250並びに周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメント256は、パッド142の径方向外側を囲んでいる。周囲部145(周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264)は、パッド142の下面(先端工具T)を囲んでいる。周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264に係る各毛束の下端部は、板バネが自然長である状態あるいはより自然長に近い状態では、先端工具Tより上下方向において下方に位置している。
各板バネは、周囲部本体250を介して、周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264を、下方に、即ち被加工面K側に付勢している。
【0040】
使用者により、ヘッド部8が被加工面Kに当てられると、まず周囲部145の周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264が被加工面Kに当たる。使用者が更にヘッド部8を被加工面Kに押し付けると、次いでパッド142の先端工具Tが被加工面Kに当たる。即ち、周囲部145における被加工面K側の部分である周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264は、パッド142下面の先端工具Tと共に被加工面Kに接触可能である。又、周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264は、先端工具Tが被加工面Kに接触する前に、被加工面Kに接触する。
このとき、周囲部145は、周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264の各下端部において被加工面Kからの反力を受ける。周囲部本体250は、板バネの付勢力に抗して、ヘッド部カバー143及びストッパ144に対し上昇する。周囲部本体250の上端部は、ヘッド部カバー143の周縁部下方の空間に入り込む。周囲部本体250の各突片は、ヘッド部カバー143の下面に近づく。
ここで、ヘッド部8が吊枠部6における2軸の回転により自由に動くこと、及び先に周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264が被加工面Kに当たっていることにより、先端工具Tへの押し付け力は、先端工具Tに垂直な方向(周囲部145の軸方向、図では上下方向)のみにおいて作用する。他の方向に係る先端工具Tへの押し付け力は、ヘッド部8の吊枠部6に対する回転力となる。よって、先端工具Tの全体が、被加工面Kに対して当たる。従って、回転する先端工具Tが片当たりする事態が、抑制される。
使用者によりヘッド部8が被加工面Kに対して様々な方向に移動される場合においても、周囲部145により、先端工具Tの全体が被加工面Kに当たる。又、使用者により竿部2が被加工面Kに対して様々な角度に姿勢変化される場合においても、周囲部145により先端工具Tの全体が被加工面Kに当たる。但し、これらの場合であっても、先端工具Tが、被加工面Kに平行でなく、被加工面Kに片当たりするときがある。例えば、壁の天井近くの部分(使用者から離れた部分)を研磨するとき、先端工具Tが被加工面Kに片当たりすることがある。
【0041】
他方、ヘッド部8が被加工面Kから離されると、板バネの付勢力により周囲部本体250、周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264が下方(被加工面K側)に復帰する。よって、周囲部本体ブラシ部254及び周囲部アタッチメントブラシ部264の各下端部が、先端工具Tに対して、上下方向において下方に飛び出る状態に戻る。周囲部145の下方への脱落は、ストッパ144により食い止められる。
【0042】
更に、使用者は、壁に隣接する床の隅部等を作業する場合、周囲部アタッチメント260を取り外す。
すると、パッド142等の一部が周囲部145から径方向外方に露出する。よって、使用者は、パッド92等を壁の隅部等に適用させることができる。従って、使用者は、天井、床あるいは隣の壁に隣接する壁の隅部等を良く研磨することができる。
【0043】
角度センサ146は、直方体状である。角度センサ146は、モータハウジング132の延設部160の後部内に設けられている。角度センサ146は、外形における直交する三辺が上下、左右、前後の方向に沿うように配置されている。
角度センサ146は、所定の方向に対する自身の角度を出力するものである。より詳しくは、角度センサ146は、所定の方向を基準とした所定の姿勢である標準姿勢に対する、現状の姿勢の角度を、三次元において出力する。ここでは、所定の方向は、重力方向である。又、標準姿勢は、図5における前後方向が上下方向(重力方向)となり、図5における上下方向及び左右方向が何れも特定の方向となる姿勢である。更に、現状の姿勢に係る三次元の角度は、図における上下方向を回転軸とした回転方向の角度(上下軸周り回転方向角度)、図における左右方向を回転軸とした回転方向の角度(左右軸周り回転方向角度)、及び図における前後方向を回転軸とした回転方向の角度(前後軸周り回転方向角度)である。現状の姿勢が標準姿勢に一致する場合、角度センサ146から出力される三次元の角度は、上下軸周り回転方向角度において0°となり、左右軸周り回転方向角度において0°となり、前後軸周り回転方向角度において0°となる。
標準姿勢では、図5における前後方向が上下方向となる。又、角度センサ146は、ヘッド部ハウジング148及びスピンドル141を介して、図5において前後左右に広がるパッド142と、互いの姿勢の関係を相対的に保持する状態でつながっている。よって、角度センサ146が標準姿勢の角度を出力する場合、パッド142の下面(先端工具T)は、重力方向に沿っている。又、標準姿勢から、上下軸周り回転方向角度及び前後軸周り回転方向角度の少なくとも一方が変更された姿勢となったとしても、左右軸周り回転方向角度が0°に維持されていれば、パッド142の下面(先端工具T)は、重力方向に沿っている。
尚、角度センサ146は、重力方向等のみを検知する一次元のものであっても良い。又、角度センサ146は、二次元のものであっても良い。
【0044】
ランプ147は、ランプ本体270と、発光部272と、を有する。
ランプ本体270は、ブロック状である。
発光部272は、ランプ本体270から外方に突出している。
発光部272は、LEDである。発光部272が電気により発光するため、ランプ147は、電気により作動する電気部材である。
ランプ147は、角度センサ146と電気的に接続されている。
発光部272は、角度センサ146から所定の出力を受けると発光する。ここでは、所定の出力は、左右軸周り回転方向角度が0°であり標準姿勢の左右軸周り回転方向角度と一致しているという条件を満たす各種の三次元の角度である。所定の出力に係る各種の三次元の角度において、上下軸周り回転方向角度は、標準姿勢の上下軸周り回転方向角度と一致していても異なっていても良いし、前後軸周り回転方向角度は、標準姿勢の前後軸周り回転方向角度と一致していても異なっていても良い。
即ち、発光部272は、パッド142の下面(先端工具T)が重力方向に沿っている場合に発光する。換言すれば、発光部272は、パッド142(先端工具T)の回転軸(スピンドル141)方向と重力方向とが直交する場合に点灯する。角度センサ146は、パッド142(先端工具T)の絶対的な姿勢を検知し、発光部272は、パッド142下面(先端工具T)が鉛直である場合に発光する。
ランプ147は、発光部272が後上方を向く姿勢で、モータハウジング132の延設部160の後部内に設けられている。延設部160の後部の外郭であって、発光部272の後上方には、図示されない窓が形成されている。当該窓により、発光部272における発光が使用者により視認可能となる。尚、窓が省略され、発光部272が延設部160の外部に露出する状態でランプ147が設けられても良い。
【0045】
このようなドライウォールサンダ1は、例えば次のように動作する。
即ち、使用者は、充電されたバッテリ86を、バッテリ装着部36に装着する。
又、使用者は、外筒60を緩めて竿部2の伸縮状態を変更し、竿部2を所望の長さにした状態で外筒60を締めることで、竿部2の長さを調節する。
【0046】
そして、使用者は、トリガロック部材78がオフである状態でトリガ74を引く。すると、スイッチ72がオンとなり、コントローラ82の制御回路基板106により、バッテリ86の電力が、バッテリ電源端子及び電源端子88並びに竿部リード線(電源リード線)を介して電動モータ138に供給され、モータ軸180が回転駆動される。よって、トリガ74は、スイッチ72を介して電動モータ138のオンオフを切替えるものであり、電動モータ138のオンオフを操作するスイッチ操作部である。トリガ74及びスイッチ72は、電動モータ138のメインスイッチを構成する。
コントローラ82(制御回路基板106)のスイッチング素子は、ロータ168の回転位置に応じ、各駆動コイル176のスイッチングを行う。これにより、ロータ168(モータ軸180)が回転する。
【0047】
モータ軸180の回転力は、遊星歯車機構140により減速されてスピンドル141に伝わり、スピンドル141先端に装着されたパッド142が運動(回転)する。
かように運動するパッド142が、グリップ部34及び竿部2の把持により、被加工材に対し押し付けられるようにし又移動されるようにすることで、被加工面Kに研磨等の加工が施される。
被加工材は、例えば建築物の壁あるいは天井に張られるドライウォール(石膏ボード)であり、より詳しくはドライウォールの施工時においてネジ孔及び継ぎ目を埋めるために用いられるパテである。ドライウォールにおける他の部分に対して突出したパテが、研磨により平坦にされる。
【0048】
加工時、吊枠部6により、竿部2に対するヘッド部8の向き即ちパッド142の向きが所定の範囲内において調整される。更に、周囲部145が先に被加工面Kに接触し、次いで先端工具Tが被加工面Kに接触することで、先端工具Tが被加工面Kに平行でなく不均等に接触する事態が抑制される。
更に、先端工具Tが、垂直な壁である被加工面Kに、不均等に接触しそうであり、あるいは不均等に接触している場合、ランプ147(発光部272)は発光しない。他方、先端工具Tが、重力方向に沿い、垂直な壁である被加工面Kに均等に接触する場合、ランプ147が発光する。よって、使用者は、ランプ147の発光による先端工具Tの均等接触の報知を確認しながら被加工面Kを加工することができる。尚、ここでの「均等」には、被加工面Kに対するパッド142の圧力が均等である場合だけでなく、被加工面Kに対するパッド142下面(先端工具T)の距離が全体的に一定(0)である場合が含まれる。
【0049】
又、モータ軸180の回転により、ファン196が回転して各内排気口197及び外排気口198から空気が排気され、吸気口199から外排気口198への空気の流れ(風)が形成される。この風は、モータハウジング本体部158内を下降し、中央部内のファン196に至る。
この風によって、電動モータ138を始めとするヘッド部8の内部機構が冷却される。
特に、モータハウジング本体部158の上部内から下降する風は、電動モータ138のにおけるステータ166とロータ168との間を通り、電動モータ138が効率的に冷却される。
【0050】
又、コントローラ82は、コントローラケース104による放散、及び通気孔116から自然対流により導入された空気によって冷却される。
【0051】
更に、スイッチ72がオンとなると、コントローラ82の制御回路基板106に搭載された無線通信用コントローラにより無線通信アダプタ120が制御され、集塵機側無線通信アダプタとの無線通信により集塵機の起動がなされる。
集塵機の空気の吸込による集塵は、次のようになされる。即ち、加工により適宜回転するパッド142及び先端工具Tの周囲に生じた粉塵は、先端工具孔及びパッド孔230から、ギヤハウジング孔、ヘッド部外側ハウジング130とギヤハウジング134との間、及びヘッド部外側ハウジング130とモータハウジング132との間の空間Sを経て、第1ホース154に導かれる。第1ホース154に導かれた粉塵は、大径パイプ10の第1中空部20から小径パイプ12に達する。小径パイプ12に達した粉塵は、ジョイント40を介して集塵ホースに吸引される。かように、先端工具孔及びパッド孔230(集塵箇所)から集塵ホースまでにわたり、集塵通路が形成される。尚、ギヤハウジング孔が集塵通路の始端(集塵箇所)とみられても良い。
【0052】
以上のドライウォールサンダ1は、電動モータ138、及び電動モータ138の駆動力により運動するパッド142を有するヘッド部8と、端部にヘッド部8が接続される竿部2と、パッド142に装着可能な先端工具Tと、先端工具Tが被加工面Kに均等に接触することを検知可能な検知手段と、を備えている。
よって、使用者は、先端工具Tを被加工面Kに平行に接触させ易くなる。従って、被加工面Kにおける加工ムラの発生が防止される。
【0053】
又、検知手段が先端工具Tの被加工面Kに対する均等な接触を検知したことを報知可能なランプ147を備えている。よって、使用者は、加工ムラの発生が防止される状態を把握し易い。
更に、検知手段は、標準姿勢に対する現状の姿勢の角度を検知可能な角度センサ146である。よって、鉛直な壁等に対する先端工具Tの適切な姿勢が把握され易い。
加えて、ランプ147は、電気により作動する電気部材である。よって、使用者に対して分かり易く先端工具Tの平行接触が報知される。又、報知手段が設置し易い。
【0054】
尚、本開示の第1形態は、上記の形態及び変更例に限定されない。例えば、本開示の形態は、上記の形態及び変更例に対して、次のような更なる変更例を適宜有する。
ランプ147は、角度センサ146が先端工具Tの鉛直姿勢に対応する姿勢を出力した場合に消灯し、他の場合に点灯しても良い。
ランプ147は、角度センサ146が先端工具Tの鉛直姿勢に対応する姿勢を出力した場合に代えて、あるいは当該場合と共に、角度センサ146が先端工具Tの水平姿勢に対応する姿勢を出力した場合に発光しても良い。先端工具Tの水平姿勢に対応してランプ147が発光すれば、使用者が天井面及び床面の少なくとも一方を被加工面Kとして加工する場合にも、使用者が先端工具Tと被加工面Kとの平行性(接触均等性)を認識し易くなり、加工ムラが防止される。
同様に、ランプ147は、先端工具Tの角度が仮想的な水平面に対し45°となるパッド142の各姿勢に対応して発光しても良い。
報知手段は、ランプ147に代えて、あるいはランプ147と共に、電気により鳴動する電気部材としてのブザー、及び電気により駆動して各種情報を表示可能な電気部材としてのフラットディスプレイの少なくとも一方とされても良い。
【0055】
遊星歯車機構140の段数は、1であっても良いし、3以上であっても良い。又、他の形式の減速機構が用いられても良い。
通気孔116、内排気口197、外排気口198及び吸気口199の少なくとも何れかの設置数、配置、大きさ等は、様々に変更可能である。
ファン196につき、遠心ファン以外の形式のファンが用いられても良い。
電動モータ138は、アウターロータ型であっても良いし、ブラシ付きのモータであっても良い。電動モータ138は、電源コードを介して商用電源に接続されるものであっても良く、ACにより駆動されるものであっても良い。
パッド142は、偏心スピンドルを介して偏心運動しても良い。又、パッド142の形状は、三角形等であっても良い。パッド142は、予め研磨面(加工作用部)を有しているものであっても良い。この場合、パッド142が先端工具Tとなる。
【0056】
各種軸受、ネジ、及びボタンのうちの少なくとも何れかの数が増減されたり、ボタンに替えてレバースイッチが用いられたり、ピニオン185がベルトとプーリに代えられたり、ネジがリベットとされたり、モータハウジング132とギヤハウジング134とが一体とされたり、前ハンドルハウジング14と後ハンドルハウジング15とが一体とされたり、バッテリ装着部36においてバッテリ86が充電可能とされたり、使い切りのバッテリが用いられたりする等、各種部材又は部分の機能、配置、種類、形式、数の少なくとも何れかが適宜変更されても良い。
又、本開示は、長竿型ポリッシャあるいは長竿型グラインダ、長竿型コンクリートカンナ等の他の長竿型研磨機、あるいは集塵機が接続可能である他の長竿型研磨機に適用することができる。
【0057】
[第2形態]
図7は、本開示の第2形態に係るドライウォールサンダの前部の中央縦断面図である。
第2形態に係るドライウォールサンダは、ヘッド部における、周囲部アタッチメント256の有無、及び検知手段の態様を除き、第1形態と同様に成る。
第2形態における、第1形態と同様に成る部材及び部分は、第1形態と同じ符号を付して、適宜説明を省略する。
【0058】
第2形態のヘッド部308において、周囲部145に係る第1形態の周囲部アタッチメント256は、省略されている。周囲部本体250は、平坦部を有さない円筒状である。周囲部本体ブラシ部254は、前部を含めてリング状に設けられている。
【0059】
第2形態の検知手段は、距離検知手段としての複数(4個)の距離センサ345と、センサコントローラ346と、を有する。
【0060】
各距離センサ345は、照射した赤外線IRの測定対象からの跳ね返りを受光して、照射光と受光した光との位相差及び照射から受光までの時間の少なくとも一方により、自身から測定対象までの距離を検知するものである。各距離センサ345は、当該距離を示す距離信号を出力可能である。
各距離センサ345は、図7における回転軸(スピンドル141)の前方及び後方並びに回転軸の右方及び左方に配置されている。ヘッド部カバー343は、第1形態のものと同様に成り、更に、複数(4個)の取付部347をそれぞれ有している。各取付部347は、ヘッド部カバー343の端縁部に配置されている。各取付部347は、図7における回転軸の前方及び後方並びに右方及び左方に配置されている。各取付部347は、下方へ開放されている。各距離センサ345は、対応する取付部347内に設けられている。各距離センサ345は、ヘッド部カバー343の端縁部に設けられている。
各距離センサ345は、パッド142と、互いの姿勢の関係を相対的に保持する状態でつながっている。よって、各距離センサ345から測定対象としての被加工面Kまでの距離は、パッド142下面(先端工具T)から被加工面Kまでの距離に対応する。
【0061】
センサコントローラ346は、各距離センサ345と電気的に接続されている。センサコントローラ346は、各距離センサ345から、距離信号を受信する。
センサコントローラ346は、各距離信号が示す距離が、何れも所定範囲内に収まると、発光信号を出力する。所定範囲内として、例えば最大値と最小値との差が1mm(ミリメートル)以内の場合が挙げられる。尚、発光信号は、各距離に係る最大値と最小値との差が何れも所定範囲内である条件の成立に代えて、あるいは当該条件の成立と共に、各距離が所定範囲内に収まる条件が成立したときに出力されても良い。例えば、発光信号は、各距離が何れも19mm以上21mm以下となった場合に出力されても良い。又、条件の種類によって、成立に基づく発光の色及び態様(点滅等)の少なくとも一方が変えられても良い。
各距離における最大値と最小値との差が所定範囲内に収まる場合、ヘッド部カバー343周縁部の4箇所が被加工面Kから略等距離となる。よって、この場合、先端工具Tが被加工面Kと平行になる。従って、発光信号は、パッド142と被加工面Kとが平行である場合に出力される。
ランプ147は、センサコントローラ346と電気的に接続されている。ランプ147は、センサコントローラ346から発光信号を受信すると、発光部272において発光する。
【0062】
このような第2形態のドライウォールサンダは、例えば次のように動作する。
ヘッド部カバー343が被加工面Kに近づくと、各距離センサ345から被加工面Kを測定対象とした距離信号がセンサコントローラ346へ出力される。各距離における最大値と最小値との差が所定範囲内に収まって、パッド142と被加工面Kとが平行になると、センサコントローラ346が発光信号をランプ147に出力する。ランプ147は、発光信号の受信に基づいて発光する。
よって、使用者は、ランプ147の発光による先端工具Tの被加工面Kに対する均等接触の報知を確認しながら、被加工面Kを加工することができる。
【0063】
第2形態のドライウォールサンダにおける検知手段は、パッド142下面(先端工具T)から被加工面Kまでの距離を検知可能な距離検知手段である。よって、被加工面Kに対する先端工具Tの適切な姿勢が把握され易い。
又、距離検知手段は、パッド142下面(先端工具T)から被加工面Kまでの距離に対応する、自身から被加工面Kまでの距離を検知可能な各距離センサ345である。よって、距離検知手段が構成し易い。
【0064】
尚、本開示の第2形態は、第1形態と同様の変更例を適宜有する。
又、各距離センサ345の一部又は全部は、ヘッド部カバー343以外に取り付けられても良い。各距離センサ345の配置は、図7における前後左右以外であっても良い。各距離センサ345の数は、3個以下であっても良いし、5個以上であっても良い。平行状態の良好な検出精度を確保するため、各距離センサ345は、3個以上設けられることが好ましい。又、効率良く平行状態を検出するため、各距離センサ345は、周方向において等間隔に配置されることが好ましい。
【0065】
[第3形態]
図8Aは、本開示の第3形態に係るドライウォールサンダの前部の中央縦断面図である。図8Bは、ヘッド部408が被加工面Kから離れた場合における図8Aの一部拡大図である。
第3形態に係るドライウォールサンダは、ヘッド部における検知手段の態様を除き、第2形態と同様に成る。
第3形態における、第2形態と同様に成る部材及び部分は、第2形態と同じ符号を付して、適宜説明を省略する。
【0066】
第3形態のヘッド部408における検知手段は、弾性体である複数(4個)の圧縮バネ443と、距離検知手段及び可動部材としての複数(4個)の棒状部材444と、報知手段の一つとしての複数(4個)のスイッチランプ445と、スイッチランプコントローラ446と、を有する。
【0067】
各圧縮バネ443及び各棒状部材444は、図8Aにおける回転軸(スピンドル141)の前方及び後方並びに回転軸の右方及び左方に配置されている。各圧縮バネ443及び各棒状部材444は、ヘッド部カバー343の端縁部に設けられている。
各圧縮バネ443の上端部は、対応する取付部347内に取り付けられている。
各棒状部材444は、上下に延びる棒状である。各棒状部材444の上端部は、対応する圧縮バネ443の下端部に接続されている。よって、各棒状部材444は、対応する圧縮バネ443を介して、対応する取付部347に支持されている。
【0068】
各スイッチランプ445は、対応する取付部347に取り付けられている。
各スイッチランプ445は、スイッチ部447と、ランプ部448と、を有している。
スイッチ部447は、対応する取付部347内に配置されている。スイッチ部447は、対応する圧縮バネ443の径方向内方に配置されている。
スイッチ部447の下面には、ボタンが配置されている。ボタンが上方に押し上げられると、スイッチ部447がオンとなる。ボタンは、棒状部材444の上端部により押し上げ可能である。ボタンの押し上げが解除されると、スイッチ部447がオフとなる。
各棒状部材444は、圧縮バネ443が延びており自身の下端部がパッド142下面(先端工具T)から下方に位置する状態(図8B)から、自身の上端部がスイッチ部447のボタンを押す状態(図8A)まで、上下方向において移動可能である。各棒状部材444は、ヘッド部カバー343に対し、相対的に移動する。
各スイッチ部447のボタンが、対応する棒状部材444の上端部により押し上げられるとき、先端工具Tが被加工面Kに接触する。棒状部材444の移動距離は、パッド142下面(先端工具T)から被加工面Kまでの距離に対応する。
ランプ部448は、ランプを含んでいる。ランプは、取付部347の上部において上方に露出している。ランプは、スイッチ部447がオンとなった場合に発光する。
【0069】
スイッチランプコントローラ446は、各スイッチランプ445と電気的に接続されている。スイッチランプコントローラ446は、各スイッチランプ445から、オンとなったことを示すオン信号を受信する。
スイッチランプコントローラ446は、全てのスイッチランプ445からオン信号を受信すると、発光信号を出力する。尚、発光信号は、全てのスイッチランプ445からのオン信号の受信に代えて、一部(例えば3個以上)のスイッチランプ445からのオン信号の受信に基づいて出力されても良い。
各棒状部材444が被加工面Kに押され、ヘッド部カバー343に対し相対的に上方に移動して、全てのスイッチランプ445がオンとなる場合、ヘッド部カバー343の4箇所が被加工面Kから略等距離となる。よって、この場合、パッド142下面(先端工具T)が被加工面Kと平行になる。従って、発光信号は、パッド142と被加工面Kとが平行である場合に出力される。
ランプ147は、スイッチランプコントローラ446と電気的に接続されている。ランプ147は、スイッチランプコントローラ446から発光信号を受信すると、発光部272において発光する。
【0070】
このような第3形態のドライウォールサンダは、例えば次のように動作する。
ヘッド部カバー343が被加工面Kに近づくと、各棒状部材444が被加工面Kに押され、対応するスイッチランプ445がオンとなり発光する。使用者は、各スイッチランプ445の発光状況により、4箇所における先端工具Tの被加工面Kに対する接触の有無を把握可能である。
全てのスイッチランプ445がオンとなり発光した場合、使用者は、それらの発光により、パッド142と被加工面Kとの平行状態を認識可能である。又、この場合、スイッチランプコントローラ446が発光信号をランプ147に出力し、ランプ147が発光信号の受信に基づいて発光する。よって、使用者は、ランプ147の発光によっても、先端工具Tの被加工面Kに対する均等接触の報知を確認することができる。
ヘッド部カバー343が被加工面Kから離れると、各圧縮バネ443の付勢力により、各棒状部材444の下端部がパッド142下面(先端工具T)より下方に位置する(図9B)。
【0071】
第3形態の検知手段は、パッド142(先端工具T)から被加工面Kまでの距離を検知可能な距離検知手段を含んでおり、距離検知手段は、各圧縮バネ443を介して支持された各棒状部材444を含み、各棒状部材444は、被加工面Kに接触してヘッド部カバー343に対し相対的に移動することで、パッド142(先端工具T)から被加工面Kまでの距離に対応する移動距離を検知する。
よって、被加工面Kに対するパッド142下面(先端工具T)の適切な姿勢が把握され易い。又、距離検知手段が構成し易い。
【0072】
尚、本開示の第3形態は、第2形態と同様の変更例を適宜有する。
又、各スイッチランプ445のランプ部448、及びランプ147のうちの一方が省略されても良い。
加えて、可動部材は、上下方向を中心軸としたリング状であっても良い。この場合、4個の棒状部材の各上端部をつないだものであっても良い。又、可動部材は、スチールボール等の球状であっても良い。更に、可動部材は、他の形状であっても良い。
【0073】
[第4形態]
図9Aは、本開示の第4形態に係るドライウォールサンダの前部の中央縦断面図である。図9Bは、ヘッド部508が被加工面Kから離れた場合における図9Aの一部拡大図である。
第4形態に係るドライウォールサンダは、ヘッド部における検知手段及び報知手段の態様を除き、第3形態と同様に成る。
第4形態における、第3形態と同様に成る部材及び部分は、第3形態と同じ符号を付して、適宜説明を省略する。
【0074】
第4形態のヘッド部508における検知手段及び報知手段は、複数(4個)の棒状部材544である。
各棒状部材544は、棒状である。各棒状部材544は、圧縮バネ443を介して、ヘッド部508のヘッド部カバー343における対応する取付部347に取り付けられている。
棒状部材544は、検知手段としての第1棒状部545と、報知手段としての第2棒状部546と、を有する。
第1棒状部545は、第3形態の棒状部材444と同様に成る。
第2棒状部546は、第1棒状部545と一体に形成されている。第2棒状部546は、第1棒状部545の上側に配置されている。第2棒状部546は、ヘッド部カバー343の上面から上方に突出している。
尚、第3形態のスイッチランプコントローラ446及びランプ147は、第4形態において省略されている。
【0075】
このような第4形態のドライウォールサンダは、例えば次のように動作する。
ヘッド部カバー343が被加工面Kに近づくと、各棒状部材544の第1棒状部545が被加工面Kに押され、対応する第2棒状部546が僅かな突出状態(図9B)からより大きな突出状態(図9A)となる。使用者は、各第2棒状部546の突出状況、即ち各第2棒状部546の上端部の位置により、4箇所における先端工具Tの被加工面Kに対する接触の有無を把握可能である。
全ての第2棒状部546が十分に突出した場合、使用者は、それらの突出により、パッド142と被加工面Kとの平行状態を認識可能である。
【0076】
第4形態の検知手段は、パッド142(先端工具T)から被加工面Kまでの距離を検知可能な距離検知手段を含んでおり、距離検知手段は、各圧縮バネ443を介して支持された各棒状部材544を含み、各棒状部材544は、被加工面Kに接触してヘッド部カバー343に対し相対的に移動することで、パッド142(先端工具T)から被加工面Kまでの距離に対応する移動距離を検知する。又、報知手段は、棒状部材544の上端部である。即ち、棒状部材544がパッド142の被加工面Kに対する平行な接触を検知したことが、棒状部材544の上端部において報知される。
よって、被加工面Kに対するパッド142下面(先端工具T)の適切な姿勢が把握され易い。又、距離検知手段及び報知手段が構成し易い。更に、平行状態の報知が機械的なものとなり、粉塵等があったとしても、棒状部材544の上端部は突出可能であって、使用者は平行状態を認識し易い。
【0077】
尚、本開示の第4形態は、第3形態と同様の変更例を適宜有する。
又、第1形態ないし第4形態の少なくとも何れか二つが組み合わせられても良い。特に、検知手段において、第1形態の角度センサ146と第2形態の距離センサ345とが組み合わせられても良い。角度センサ146による検知と距離センサ345による検知とで、ランプ147における発光の色及び態様(点滅等)の少なくとも一方が変えられても良い。
【符号の説明】
【0078】
1・・ドライウォールサンダ(長竿型研磨機)、2・・竿部、8,308,408,508・・ヘッド部、138・・電動モータ、142・・パッド、146・・角度センサ(検知手段)、147・・ランプ(報知手段,電気部材)、343・・ヘッド部カバー(他の部材)、345・・距離センサ(検知手段)、443・・コイルバネ(弾性体)、444・・棒状部材(検知手段,可動部材)、445・・スイッチランプ(報知手段)、544・・棒状部材(検知手段及び報知手段,可動部材)、545・・第1棒状部(検知手段)、546・・第2棒状部(可動部材の端部,検知手段)、K・・被加工面、T・・先端工具。
図1
図2
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図9