IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シチズンホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図1
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図2
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図3
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図4
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図5
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図6
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図7
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図8
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図9
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図10
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図11
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図12
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図13
  • 特許-電子時計、発電レベルの判定方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】電子時計、発電レベルの判定方法
(51)【国際特許分類】
   G04C 10/00 20060101AFI20231208BHJP
   G04C 10/04 20060101ALI20231208BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G04C10/00 C
G04C10/04 Z
G04G19/00 Y
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020022185
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021128037
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 剛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明
(72)【発明者】
【氏名】西田 雅俊
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/019041(WO,A1)
【文献】特開2015-177556(JP,A)
【文献】特開2012-159319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 10/00-10/04
G04G 19/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受光することで発電する発電部と、
複数の検出抵抗と、
前記発電部と、前記複数の検出抵抗のうちの一部である接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える接続制御部と、
前記発電部と、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定する発電レベル判定部と、
現在の発電の期待値に関する情報に応じて、前記複数の検出抵抗から前記接続対象抵抗を選択する選択部と、
を有し、
前記期待値に関する情報は、少なくとも、現在の時間帯、現在の季節、現在のタイムゾーン、及び前記発電レベル判定部により判定された直近の前記発電レベルのいずれかを含む、
電子時計。
【請求項2】
前記複数の検出抵抗の数は、前記発電レベルの数よりも多い、
請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記少なくとも1以上の前記接続対象抵抗の合成抵抗の数は、前記発電レベルの数よりも多い、
請求項1又は2に記載の電子時計。
【請求項4】
光を受光することで発電する発電部と、
複数の検出抵抗と、
前記発電部と、前記複数の検出抵抗のうちの一部である接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える接続制御部と、
前記発電部と、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定する発電レベル判定部と、
現在の発電の期待値に関する情報に応じて、前記複数の検出抵抗から前記接続対象抵抗を選択する選択部と、
前記発電レベルに応じた位置に移動する指針と、
を有し、
前記指針は、文字板上を移動する秒針であり、
前記文字板の視認面には、前記秒針の移動軌跡に沿うように延びる発電レベル表示が設けられている、
子時計。
【請求項5】
前記秒針は、前記発電レベルが最小である場合に0秒を示す位置に移動し、前記発電レベルが最大である場合に30秒を示す位置に移動する、
請求項に記載の電子時計。
【請求項6】
記発電レベルのそれぞれを、前記指針の位置と対応付けて記憶している記憶部を更に有する、
請求項に記載の電子時計。
【請求項7】
前記記憶部は、前記複数の検出抵抗のいずれかと対応付けて、前記選択部が選択する前記接続対象抵抗を記憶している、
請求項に記載の電子時計。
【請求項8】
光を受光することで発電する発電部と、
複数の検出抵抗と、
前記発電部と、前記複数の検出抵抗のうちの一部である接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える接続制御部と、
前記発電部と、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定する発電レベル判定部と、
現在の発電の期待値に関する情報に応じて、前記複数の検出抵抗から前記接続対象抵抗を選択する選択部と、
を有し、
前記発電レベル判定部は、前記検出電圧と所定の閾値とを比較することにより、前記発電レベルを判定し、
前記所定の閾値を異なる複数の値のいずれかに設定する回路をさらに含み、
前記選択部は、前記期待値に関する情報に応じて、前記所定の閾値を選択し、
前記発電レベル判定部は、前記検出電圧と、前記選択部により選択された前記所定の閾値とを比較して前記発電レベルを判定する、
子時計。
【請求項9】
光を受光することで発電する発電部と、
複数の検出抵抗と、
前記発電部と、前記複数の検出抵抗のうちの一部である接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える接続制御部と、
前記発電部と、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定する発電レベル判定部と、
現在の発電の期待値に関する情報に応じて、前記複数の検出抵抗から前記接続対象抵抗を選択する選択部と、
複数のリファレンス抵抗とリファレンス電圧とを有するリファレンス回路と、
前記複数のリファレンス抵抗のうちの一部である接続対象リファレンス抵抗の電気的な接続状態を順次切り替える第3の接続制御部と、
を有し、
前記発電レベル判定部は、比較用電圧である前記リファレンス回路の出力電圧と前記検出電圧とに基づいて前記発電レベルを判定する、
子時計。
【請求項10】
光を受光することで発電する発電部と、
複数の検出抵抗と、
前記発電部と、前記複数の検出抵抗のうちの一部である接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える接続制御部と、
前記発電部と、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定する発電レベル判定部と、
現在の発電の期待値に関する情報に応じて、前記複数の検出抵抗から前記接続対象抵抗を選択する選択部と、
複数の調整抵抗と、
前記発電部と、前記複数の調整抵抗のうちの一部である接続対象調整抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える第2の接続制御部と、
を有し、
前記発電レベル判定部は、前記発電部と、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗及び少なくとも1以上の前記接続対象調整抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定し、
前記選択部は、前記期待値に関する情報に応じて、前記接続対象抵抗と前記接続対象調整抵抗の組み合わせを選択する、
子時計。
【請求項11】
選択部により、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、複数の検出抵抗から接続対象抵抗を選択し、
接続制御部により、光を受光することで発電する発電部と、前記接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替え、
発電レベル判定部により、前記発電部と少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定し、
前記期待値に関する情報は、少なくとも、現在の時間帯、現在の季節、現在のタイムゾーン、及び前記発電レベル判定部により判定された直近の前記発電レベルのいずれかを含む、発電レベルの判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計、及び発電レベルの判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発電部の発電量のランク数に応じた数の抵抗を含み、それら抵抗に対応するスイッチのオン状態/オフ状態を順次切り替えることにより発電量のランクを判定する技術を備える電子時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-177556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、発電量のランクの判定処理は、精度の高い判定結果を得るために、発電部から二次電池への電力の供給を遮断した状態で行われる。発電部から二次電池への電力の供給が遮断された状態においては、二次電池の充電が行われないため、発電量のランクの判定処理は短時間で行われることが好ましい。一方で、発電量のランクを判定する機能を有する電子時計においては、より綿密に判定を行うことができることが好ましい。しかしながら、発電量のランクの判定を綿密に行う構成を採用した場合、発電量のランクの判定処理に長時間を要することとなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、発電レベルの判定処理を短時間かつ綿密に行うことが可能な電子時計及び発電レベルの判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)光を受光することで発電する発電部と、複数の検出抵抗と、前記発電部と、前記複数の検出抵抗のうちの一部である接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える接続制御部と、前記発電部と、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定する発電レベル判定部と、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、前記複数の検出抵抗から前記接続対象抵抗を選択する選択部と、を有する電子時計。
【0008】
(2)(1)において、前記複数の検出抵抗の数は、前記発電レベルの数よりも多い、電子時計。
【0009】
(3)(1)または(2)において、前記少なくとも1以上の前記接続対象抵抗の合成抵抗の数は、前記発電レベルの数よりも多い、電子時計。
【0010】
(4)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記発電レベルに応じた位置に移動する指針を有する、電子時計。
【0011】
(5)(4)において、前記指針は、文字板上を移動する秒針であり、前記文字板の視認面には、前記秒針の移動軌跡に沿うように延びる発電レベル表示が設けられている、電子時計。
【0012】
(6)(5)において、前記秒針は、前記発電レベルが最小である場合に0秒を示す位置に移動し、前記発電レベルが最大である場合に30秒を示す位置に移動する、電子時計。
【0013】
(7)(6)において、前記記憶部は、前記発電レベルのそれぞれを、前記指針の位置と対応付けて記憶している、電子時計。
【0014】
(8)(6)又は(7)において、前記記憶部は、前記複数の検出抵抗のいずれかと対応付けて、前記選択部が選択する前記接続対象抵抗を記憶している、電子時計。
【0015】
(9)(1)~(8)のいずれかにおいて、前記発電レベル判定部は、前記検出電圧と所定の閾値とを比較することにより、前記発電レベルを判定する、電子時計。
【0016】
(10)(9)において、前記所定の閾値を異なる複数の値のいずれかに設定する回路をさらに含み、前記選択部は、前記期待値に関する情報に応じて、前記所定の閾値を選択し、前記発電レベル判定部は、前記検出電圧と、前記選択部により選択された前記所定の閾値とを比較して前記発電レベルを判定する、電子時計。
【0017】
(11)(1)~(8)のいずれかにおいて、複数のリファレンス抵抗とリファレンス電圧とを有するリファレンス回路と、前記複数のリファレンス抵抗のうちの一部である接続対象リファレンス抵抗の電気的な接続状態を順次切り替える第3の接続制御部と、をさらに有し、前記発電レベル判定部は、比較用電圧である前記リファレンス回路の出力電圧と前記検出電圧とに基づいて前記発電レベルを判定する、電子時計。
【0018】
(12)(1)~(11)のいずれかにおいて、複数の調整抵抗と、前記発電部と、前記複数の調整抵抗のうちの一部である接続対象調整抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える第2の接続制御部と、をさらに有し、前記発電レベル判定部は、前記発電部と、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗及び少なくとも1以上の前記接続対象調整抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定し、前記選択部は、前記期待値に関する情報に応じて、前記接続対象抵抗と前記調整抵抗の組み合わせを選択する、電子時計。
【0019】
(13)(1)~(12)のいずれかにおいて、前記期待値に関する情報は、少なくとも現在の時間帯を含む、電子時計。
【0020】
(14)(1)~(13)のいずれかにおいて、前記期待値に関する情報は、少なくとも現在のタイムゾーンを含む、電子時計。
【0021】
(15)(1)~(14)のいずれかにおいて、前記期待値に関する情報は、少なくとも前記発電レベル判定部により判定された直近の前記発電レベルを含む、電子時計。
【0022】
(16)選択部により、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、複数の検出抵抗から接続対象抵抗を選択し、接続制御部により、光を受光することで発電する発電部と、前記接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替え、発電レベル判定部により、前記発電部と少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電部の発電レベルを判定する、を有する発電レベルの判定方法。
【発明の効果】
【0023】
上記本発明の(1)~(15)の側面によれば、発電レベルの判定処理を短時間かつ綿密に行うことが可能な電子時計及び発電レベルの判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る電子時計を示す平面図である。
図2】本実施形態に係る電子時計のシステム構成の概要を示すブロック図である。
図3】本実施形態における発電レベルの表示態様の例を示す平面図である。
図4】本実施形態における制御回路を示す回路図である。
図5】本実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図6】本実施形態において、現在の発電の期待値が小さい環境下における発電レベルの表示態様の一例について示す図である。
図7】本実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図8】本実施形態において、図6図7で示した例よりも、現在の発電の期待値が大きい環境下における発電レベルの表示態様の一例について示す図である。
図9】本実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図10】本実施形態における制御回路の動作を示すフローチャートである。
図11】本実施形態において、現在の発電の期待値が小さい環境下における発電レベルの表示態様の一例について示す図である。
図12】本実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図13】本実施形態の第1変形例における制御回路を示す回路図である。
図14】本実施形態の第2変形例における制御回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という)について図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
図1は、本実施形態に係る電子時計を示す平面図である。図1には、電子時計1の外装ケースである胴10、胴10内に配置された文字板14、時刻を示す指針である時針15、分針16、秒針17が示されている。また、文字板14には所定の位置に時字19が設けられている。また、胴10の12時側及び6時側の側面からは、バンドを固定するためのバンド固定部11が伸びている。また、胴10の3時側の側面にはユーザが種々の操作を行うための操作部であるボタン12、竜頭13が配置されている。ユーザが操作部を操作することにより、電子時計1が備える種々の機能が実行される。
【0027】
また、文字板14には小窓14aが形成されている。文字板14の裏側には、日車が配置されており、日車に表示される日付が小窓14aを介して外部から視認可能となっている。図1においては、「7日」であることを示す数字「7」が小窓14aを介して視認される様子を示している。なお、小窓14aは貫通孔であってもよいし、透明の部材からなるものであってもよい。
【0028】
また、図1において図示は省略するが、本実施形態において、文字板14の裏側には、光を受光することで発電する発電部であるソーラパネル30(後述の図2参照)が配置されている。ソーラパネル30は、胴10内に収容される不図示のムーブメントに組み付けられているとよい。なお、ムーブメントは、駆動機構70(後述の図2参照)、計時機能を担う制御回路40(後述の図2参照)が搭載された時計回路基板等を、地板と呼ばれる枠に一体に組み付けたものである。
【0029】
ソーラパネル30は、文字板14を透過して入射される光により発電する。そのため、文字板14はある程度光を透過する材質で形成される。
【0030】
なお、電子時計1は、標準電波や、GPS(Global Positioning System)衛星などの時刻情報を含む衛星信号を受信して内部時刻を修正する機能を有する電波腕時計であってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)、NFCを用いて外部装置とのデータの送受信を行う電波腕時計であってもよい。
【0031】
また、図1に示すように、文字板14には、補助針14bが配置される小窓14cが設けられていてもよい。補助針14bにより、電波の受信状態、タイムゾーン、二次電池60(後述の図2参照)の残量等の、各種の表示が行われるとよい。なお、補助針14bや小窓14cは、電子時計1が備える機能に応じて文字板14に複数設けられていてもよい。
【0032】
なお、図1に示した電子時計1のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴10を丸型でなく角型にしてもよいし、ボタン12や竜頭13の有無、数、配置は任意である。
【0033】
図2は、本実施形態に係る電子時計のシステム構成の概要を示すブロック図である。電子時計1は、図1で示した構成に加えて、ソーラパネル30、制御回路40、二次電池60、駆動機構70を含む。
【0034】
制御回路40は、記憶部41と、選択部42と、接続制御部43と、発電レベル判定部44と、検出抵抗回路45とを含む。制御回路40は、メモリを内蔵するマイクロコンピュータであって、メモリに記憶されるプログラムに従って、電子時計1に含まれる各種回路等の動作を制御するものである。
【0035】
記憶部41は、上述のメモリの一部を構成するものであり、後述の発電レベルの判定処理を行う際に用いられる種々のテーブル等を記憶しているとよい。
【0036】
選択部42は、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、検出抵抗回路45に含まれる複数の検出抵抗から接続対象抵抗を選択する。接続制御部43は、ソーラパネル30と、接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える。発電レベル判定部44は、ソーラパネル30と接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、ソーラパネル30の発電レベルを判定する。なお、選択部42、接続制御部43、発電レベル判定部44、検出抵抗回路45の詳細については後述することとする。
【0037】
二次電池60は、例えば、リチウムイオン電池等であるとよい。駆動機構70は、各種歯車等を含み、時針15、分針16、秒針17等の指針を駆動する機構である。
【0038】
また、図2に示すように、ソーラパネル30はスイッチ29を介して二次電池60に接続可能に構成されている。制御回路40からの指令によりスイッチ29がソーラパネル30と二次電池60とを電気的に接続する状態において、ソーラパネル30により発電された電力は、二次電池60に供給される。一方で、図2に示すように、制御回路40からの指令によりスイッチ29がソーラパネル30と二次電池60との電気的接続を遮断する状態において、ソーラパネル30が発電しても二次電池60に電力が供給されない。
【0039】
ここで、図3を参照して、本実施形態に係る電子時計1におけるソーラパネル30の発電レベルの表示態様について説明する。図3は、本実施形態における発電レベルの表示態様の例を示す平面図である。図3においては、秒針17が発電レベル2(10秒位置)を示している様子を示している。また、他の発電レベルを示した場合の秒針17の位置を破線で表している。なお、発電レベルとは、ソーラパネル30の発電量の大きさを示すものである。
【0040】
本実施形態に係る電子時計1においては、図3に示すように、秒針17が移動することにより、現在の発電レベルを示す。図3においては、発電レベルが低い順に、0秒、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒を示す位置に秒針17が移動する様子を示している。このような構成を採用することにより、ユーザは、電子時計1が受光しやすい環境にあるか否か、すなわち、ソーラパネル30が発電しやすい環境にあるか否かを、視覚的に認識することができる。また、秒針17を用いて発電レベルを示すことにより、補助針14b等により発電レベルを示す構成と比較して、視認性を高めることができる。なお、秒針17による発電レベルの表示は、例えば、ユーザがボタン12や竜頭13を操作することにより、電子時計1が、時刻表示を行うモードから発電レベル表示モードに切り替わった状態において行われるとよい。
【0041】
また、図3に示すように、文字板14の視認面には、秒針17の移動軌跡と重なると共に、秒針17の移動軌跡に沿うように延びる発電レベル表示50が設けられている。発電レベル表示50は、0秒側から30秒側(12時側から6時側)に向かうに従い太さが太くなっている。このような構成を採用することにより、ユーザは、ソーラパネル30が発電しやすい環境にあるか否かを、視覚的に認識しやすくなる。
【0042】
次に、発電レベルの判定処理について説明する。発電レベルの判定処理は、例えば、2秒間に1回等、任意の時間が経過した毎に定期的に行われてもよいし、ユーザによるボタン12や竜頭13の操作に応じて行われてもよい。
【0043】
発電によりソーラパネル30が出力する電流Iは、ソーラパネル30が受ける光の量により変動する。すなわち、ソーラパネル30が受ける光の量が大きい程、ソーラパネル30が出力する電流Iは大きくなる。
【0044】
発電レベル判定部44は、電流Iが検出抵抗Rに流れることにより検出される検出電圧(I×R)を取得する。そして、接続制御部43により、それぞれ異なる抵抗値を有する検出抵抗Rを、抵抗値が大きいものから順に接続状態としていき、発電レベル判定部44が、検出電圧が所定の閾値よりも大きいか否かを検出する。このように抵抗値が大きい検出抵抗Rから順に接続状態とすることにより、電流値が小さい場合であっても(発電量の小さい環境下においても)、大きな値の検出電圧(I×R)を検出できる。そのため、所定の閾値に対する検出電圧の大小関係が明確となり、容易に発電レベルを判定することができる。
【0045】
ここで、発電レベルの判定処理は、精度の高い判定結果を得るために、ソーラパネル30から二次電池60への電力の供給を遮断した状態で行われる。ソーラパネル30から二次電池60への電力の供給が遮断された状態においては、二次電池60の充電が行われないため、発電レベルの判定処理は短時間で行われることが好ましい。
【0046】
一方で、発電レベルを判定する機能を有する電子時計1においては、より綿密に判定を行うことができることが好ましい。そのためには、検出抵抗を多数設けるとよい。例えば、発電レベルを7段階に分ける場合、発電レベル0、1、2、3、4、5、6のいずれかに該当するかの判定のみではなく、それら各レベル間における発電レベルをより綿密に判定できるのが好ましい(例えば、発電レベル1.2や、発電レベル3.6等)。その場合、判定可能な発電レベルの数に応じて検出抵抗を多く設けるとよい。しかしながら、検出抵抗を多く設けた場合、その分検出抵抗の接続状態の切り替えに時間を要してしまうこととなる。
【0047】
また、多くの検出抵抗を設けたとしても、電子時計1の置かれる環境によっては、発電レベルの判定処理に用いられる検出抵抗は所定の範囲の抵抗値のものに限られることとなる。
【0048】
そこで、本実施形態においては、発電レベルの判定を短時間かつ綿密に行うことが可能な構成を採用した。以下、図4を参照して、詳細について説明する。図4は、本実施形態における制御回路を示す回路図である。なお、図4においては、検出抵抗回路45が制御回路40と同じ基板に組み込まれている例を示すが、これに限られるものではなく、検出抵抗回路45は別途設けられていてもよい。
【0049】
検出抵抗回路45は、並列接続された、それぞれ異なる抵抗値を有する検出抵抗R1~R30を含む。本明細書において、特に区別して説明する必要のない場合は、単に「検出抵抗R」と呼ぶこととする。本実施形態においては、検出抵抗R1の抵抗値が最も大きく、検出抵抗R30の抵抗値が最も小さい。そして、検出抵抗R1から検出抵抗R30に向かうにつれて抵抗値が小さくなるように複数の検出抵抗R2~R29を並べて配置した。なお、図4においては、図面が煩雑になるのを避けるため、検出抵抗R等を適宜省略して示している。なお、検出抵抗Rの数は、少なくとも発電レベルの数よりも多いとよい。
【0050】
図4に示すように、検出抵抗R1~R30には、それぞれスイッチSW1~SW30が接続されている。スイッチSW1~SW30も同様に、特に区別して説明する必要がない場合は、単に「スイッチSW」と呼ぶこととする。スイッチSWはそれぞれ、一端が検出抵抗Rに接続されており、他端が接地されている。
【0051】
本実施形態においては、まず、選択部42が、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、30個の検出抵抗Rのうち一部を接続対象抵抗として選択する。例えば、発電レベルを7段階に分ける場合、選択部42が、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、30個の検出抵抗R1~R30から6個の接続対象抵抗Rt1~Rt6を選択するとよい。なお、本明細書において、特に区別して説明する必要のない場合は、単に「接続対象抵抗Rt」と呼ぶこととする。また、接続対象抵抗Rt1~Rt6に対応するスイッチをそれぞれ、接続対象スイッチSWt1~接続対象スイッチSWt6と呼ぶこととする。同様に、特に区別して説明する必要のない場合は、単に「接続対象スイッチSWt」と呼ぶこととする。
【0052】
そして、選択部42により選択された接続対象抵抗Rtを用いて、発電レベル判定部44が発電レベルの判定を行う。
【0053】
ここで、現在の発電の期待値に関する情報とは、例えば、電子時計1の現在の内部時刻が示す時間帯、現在のタイムゾーン、現在の季節、直近の発電レベルなどである。
【0054】
例えば、電子時計1の現在の内部時刻が夜の時間帯(例えば、18時~24時)を示している場合、電子時計1が太陽光下にある可能性は低く、現在の発電の期待値は小さいといえる。一方で、電子時計1の現在の内部時刻が昼の時間帯(例えば、12時~14時)を示している場合、電子時計1が太陽光下にある可能性は高く、現在の発電の期待値は大きいといえる。
【0055】
また、例えば、電子時計1が赤道に近いタイムゾーンを示している場合、現在の発電の期待値は大きいといえる。また、例えば、電子時計1が日本国又はその付近のタイムゾーンを示しており、季節が冬(例えば、11月~2月)である場合、発電の期待値は小さいといえる。
【0056】
現在の発電の期待値が小さい場合、選択部42は、抵抗値の大きい検出抵抗Rを接続対象抵抗Rtとして多く選択し、発電レベルの小さいレンジにおけるレゾリューションを高くするとよい。一方、現在の発電の期待値が大きい場合、選択部42は、抵抗値の小さい検出抵抗Rを接続対象抵抗Rtとして多く選択し、発電レベルの大きいレンジにおけるレゾリューションを高くするとよい。
【0057】
また、例えば、直近の発電レベルに近い発電レベルに対応する検出抵抗Rを接続対象抵抗Rtとして選択してもよい。具体的には、直近の3回の発電レベルの判定処理における判定結果が、発電レベル3、発電レベル5、発電レベル5であった場合、発電レベル3~5に対応する検出抵抗Rを接続対象抵抗Rtとして選択するとよい。また、例えば、直近の10回の発電レベルの判定処理における発電レベルの平均値が3.5であった場合、発電レベル3~4に対応する検出抵抗Rを接続対象抵抗Rtとして選択するとよい。また、例えば、直近の10回の発電レベルの判定処理における発電レベルの中央値が4であった場合、発電レベル3~5に対応する検出抵抗Rを接続対象抵抗Rtとして選択するとよい。
【0058】
なお、現在の発電の期待値は、上述したように、電子時計1の現在の内部時刻が示す時間帯、現在のタイムゾーン、現在の季節、直近の発電レベルなどに基づいて決められてもよいし、これらの組み合わせに基づいて決められてもよい。例えば、電子時計1の現在の内部時刻が示す時間帯が日中であり、かつ、現在の季節が夏である場合、現在の発電の期待値は大きいといえる。
【0059】
選択部42がいずれの検出抵抗Rを接続対象抵抗Rtとして選択するかについては、記憶部41に記憶されるテーブル等を用いて決定されるものであるとよい。すなわち、記憶部41は、発電レベルのそれぞれを、指針の位置と対応付けたテーブルをもとに記憶している。例えば、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、選択部42が、後述の図5(a)及び(b)、図7(a)及び(b)、図9(a)及び(b)、図12(a)及び(b)等に示すテーブルのいずれかを用いて、接続対象抵抗Rtを選択するとよい。ただし、これら図に示すテーブルは一例であって、これらに限られるものではない。
【0060】
そして、接続制御部43が、選択部42が選択した接続対象抵抗Rtに対応する接続対象スイッチSWtを順次切り替える。例えば、接続制御部43は、まず、接続対象抵抗Rtのうち最も抵抗値の大きい接続対象抵抗Rt1に対応する接続対象スイッチSWt1を接続する。そして、発電レベル判定部44は、電流Iが流れることにより接続対象抵抗Rt1において検出される検出電圧が所定の閾値(比較用電圧44aの出力電圧値)よりも大きいか否かを判定する。
【0061】
発電レベル判定部44は、接続対象スイッチSWt1が接続された状態において、所定の閾値よりも小さい検出電圧を検出した場合、発電レベルは0であるとの判定を行う。
【0062】
発電レベル判定部44が、接続対象スイッチSWt1が接続された状態において、所定の閾値以上の検出電圧を検出した場合、接続制御部43が、接続対象スイッチSWt1を非接続にすると共に、接続対象抵抗Rt1よりも抵抗値が小さい接続対象抵抗Rt2に対応する接続対象スイッチSWt2を接続する。そして、発電レベル判定部44は、接続対象抵抗Rt2において検出される検出電圧が所定の閾値(比較用電圧44aの出力電圧値)よりも大きいか否かを判定する。
【0063】
発電レベル判定部44は、接続対象スイッチSWt2が接続された状態において、所定の閾値よりも小さい検出電圧を検出した場合、発電レベルは1であるとの判定を行う。発電レベル判定部44が、接続対象スイッチSWt2が接続された状態において、所定の閾値以上の検出電圧を検出した場合、接続制御部43が、接続対象スイッチSWt2を非接続にすると共に、接続対象抵抗Rt2よりも抵抗値が小さい接続対象抵抗Rt3に対応する接続対象スイッチSWt3を接続する。そして、上述した接続対象スイッチSWt1、SWt2で接続した時と同様の手順で、発電レベル判定部44は、検出電圧が所定の閾値(比較用電圧44aの出力電圧値)よりも大きいか否かを判定する。検出電圧が閾値以上である場合は、SWt6と接続を繰り返し、SWt6で接続した場合においても閾値以上の検出電圧であると判定された場合には、発電レベルは6であるとして判定処理を終わる。
【0064】
なお、選択部42により選択される接続対象抵抗Rtの数は、検出抵抗Rの数よりも少なく、少なくとも2以上であるとよい。後述の図5においては、30個の検出抵抗Rから接続対象抵抗Rtが6個選択される例を示しており、後述の図7及び図9においては、接続対象抵抗Rtが10個選択される例を示している。
【0065】
図5は、本実施形態において、本実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。図5(a)は、本実施形態において、選択部により選択される接続対象抵抗の一例を示すテーブルである。図5(b)は、図5(a)に示すテーブルが選択された場合における、検出電圧、発電レベル、及び秒針位置の関係の一例を示すテーブルである。具体的には、選択部42が、検出抵抗R5、R10、R15、R20、R25、R30をそれぞれ、接続対象抵抗Rt1、Rt2、Rt3、Rt4、Rt5、Rt6として選択する場合の例を示している。
【0066】
図5に示すテーブルを用いて発電レベルの判定処理を行うことにより、図3で示すように、秒針17により各発電レベルを示すことができる。
【0067】
次に、図6図7を参照して、現在の発電の期待値が小さい環境下における発電レベルの表示態様の一例について説明する。図6は、本実施形態において、現在の発電の期待値が小さい環境下における発電レベルの表示態様の一例について示す図である。図7は、本実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。図7(a)は、本実施形態において、現在の発電の期待値が小さい環境下において、選択部により選択される接続対象抵抗の一例を示すテーブルである。図7(b)は、図7(a)に示すテーブルが選択された場合における、検出電圧、発電レベル、及び秒針位置の関係の一例を示すテーブルである。
【0068】
現在の発電の期待値が小さい環境下においては、抵抗値の小さい検出抵抗Rが発電レベルの判定処理に用いられる可能性が低い。すなわち、秒針17が30秒寄りの位置に移動する可能性が低い。そのため、現在の発電の期待値が小さい環境下においては、0秒寄りの位置におけるレゾリューションが高くなるように、選択部42が接続対象抵抗Rtを選択するとよい。
【0069】
具体的には、図7においては、選択部42が、検出抵抗R1~R10をそれぞれ、接続対象抵抗Rt1~Rt10として選択する例について示す。なお、発電レベルと秒針17の位置の対応関係については、図5で示した例と同じとした。
【0070】
選択部42が、図7で示すテーブルに基づいて接続対象抵抗Rtを選択することにより、発電レベル0~1の間、及び発電レベル1~2の間での発電量の変化を緻密に判定することができる。そのため、例えば、発電レベル1から発電レベル2への変化のみでなく、発電レベル1と発電レベル2の間における発電量の変化を、秒針17を用いて示すことができる。具体的には、図6図7においては、発電レベル0、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2が表示される例を示している。なお、図6及び図7に示すようにレゾリューションを高くして発電レベルを細かく設定する場合であって、指針を駆動する駆動部が所定のステップ(角度)ずつ移動させるステップモータの場合、ステップモータのステップ数と発電レベルの間隔が対応するように設定されるとよい。例えば、図6及び図7で示すように、0秒位置を発電レベル0とし、10秒位置を発電レベル2とした場合、秒針17の1ステップ(1秒)あたりのレベルを0.2(2÷10)とするとよい。
【0071】
次に、図8図9を参照して、図6図7で示した例よりも、現在の発電の期待値が大きい環境下における発電レベルの表示態様の一例について説明する。図8は、本実施形態において、図6図7で示した例よりも、現在の発電の期待値が大きい環境下における発電レベルの表示態様の一例について示す図である。図9は、本実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。図9(a)は、本実施形態において、図6図7で示した例よりも現在の発電の期待値が大きい環境下において、選択部により選択される接続対象抵抗の一例を示すテーブルである。図9(b)は、図9(a)に示すテーブルが選択された場合における、検出電圧、発電レベル、及び秒針位置の関係の一例を示すテーブルである。
【0072】
図9においては、選択部42が、検出抵抗R5、R10~R15、R20、R25、R30をそれぞれ、接続対象抵抗Rt1~Rt10として選択した例について示す。なお、発電レベルと秒針17の位置の対応関係については、図5図7で示した例と同じとした。
【0073】
選択部42が、図9で示すテーブルに基づいて接続対象抵抗Rtを選択することにより、発電レベル2~3の間での発電量の変化を緻密に判定することができる。そのため、例えば、発電レベル2から発電レベル3への変化のみではなく、発電レベル2と発電レベル3の間における発電量の変化を、秒針17を用いて示すことができる。具体的には、図8図9においては、発電レベル0、1、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、4、5、6が表示される例を示している。
【0074】
次に、図10を参照して、本実施形態における発電レベルの判定処理の動作フローについて説明する。図10は、本実施形態における制御回路の動作を示すフローチャートである。
【0075】
まず、選択部42により、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、複数の検出抵抗Rから接続対象抵抗Rtを選択する(ステップS1)。選択部42は、図5(a)、図7(a)、図9(a)等に示すテーブルを用いて、接続対象抵抗Rtを選択するとよい。ここでは、図9(a)に示すテーブルに基づいて選択部42により接続対象抵抗Rtが選択される場合の例について説明する。
【0076】
次に、接続制御部43により、スイッチSWを切り替え、最も抵抗値の大きい接続対象抵抗Rt1を接続状態とする(ステップS2)。
【0077】
そして、発電レベル判定部44により、検出電圧I×Rt1と所定の閾値Vthとを比較(Vth≦IRt1?)する(ステップS3)。検出電圧I×Rt1が所定の閾値Vthよりも小さい場合(ステップS3のNO)、発電レベル判定部44により、発電レベル0であるとの判定がされる(ステップS4)。
【0078】
検出電圧I×Rt1が所定の閾値以上である場合(ステップS3のYES)、接続制御部43により、スイッチSWを切り替え、接続対象抵抗Rt1の次に抵抗値の小さい接続対象抵抗Rt2を接続状態とする(ステップS5)。
【0079】
そして、発電レベル判定部44により、検出電圧I×Rt2と所定の閾値Vthとを比較(Vth≦IRt2?)する(ステップS6)。検出電圧I×Rt2が所定の閾値Vthよりも小さい場合(ステップS6のNO)、発電レベル判定部44により、発電レベル1であるとの判定がされる(ステップS7)。
【0080】
検出電圧I×Rt2が所定の閾値以上である場合(ステップS6のYES)、接続制御部43により、スイッチSWを切り替え、接続対象抵抗Rt2の次に抵抗値の小さい接続対象抵抗Rt3を接続状態とする(ステップS8)。
【0081】
そして、発電レベル判定部44により、検出電圧I×Rt3と所定の閾値Vthとを比較(Vth≦IRt3?)する(ステップS9)。検出電圧I×Rt3が所定の閾値Vthよりも小さい場合(ステップS9のNO)、発電レベル判定部44により、発電レベル2であるとの判定がされる(ステップS10)。
【0082】
検出電圧I×Rt3が所定の閾値以上である場合(ステップS9のYES)、接続制御部43により、スイッチSWを切り替え、接続対象抵抗Rt3の次に抵抗値の小さい接続対象抵抗Rt4を接続状態とする(ステップS11)。
【0083】
そして、発電レベル判定部44により、検出電圧I×Rt4と所定の閾値Vthとを比較(Vth≦IRt4?)する(ステップS12)。検出電圧I×Rt4が所定の閾値Vthよりも小さい場合(ステップS12のNO)、発電レベル判定部44により、発電レベル2.2であるとの判定がされる(ステップS13)。
【0084】
上記と同様の処理を接続対象抵抗Rt5~Rt10についても順次同様に行うとよい。
【0085】
また、制御回路40は、発電レベルの判定処理の結果に基づいて駆動機構70を動作させることにより、秒針17を対応した秒針位置まで移動させるとよい。
【0086】
なお、接続状態とする接続対象抵抗Rtの順番は、図10で説明したものに限られるものではない。例えば、抵抗値の小さいものから順に接続してもよいし、抵抗値が中間値である接続対象抵抗Rtを接続して判定し、判定結果に応じて接続対象抵抗Rtの抵抗値を小さくしていく又は大きくしていくように接続状態を切り替えてもよい。いずれの場合においても、検出電圧が所定の閾値よりも小さくなった又は所定の閾値以上となった際に接続状態にある検出抵抗Rに基づいて、発電レベルの判定が行われるとよい。
【0087】
さらに、図11図12を参照して、現在の発電の期待値が小さい環境下における発電レベルの表示態様の一例について説明する。図11は、本実施形態において、現在の発電の期待値が小さい環境下における発電レベルの表示態様の一例について示す図である。図12は、本実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。図12(a)は、本実施形態において、現在の発電の期待値が大きい環境下において、選択部により選択される接続対象抵抗の一例を示すテーブルである。図12(b)は、図12(a)に示すテーブルが選択された場合における、検出電圧、発電レベル、及び秒針位置の関係の一例を示すテーブルである。
【0088】
図5図7及び図9においては、発電レベルと秒針17の位置の対応関係を固定としたが、図11図12においては、発電レベルと秒針17の位置の対応関係を変更した場合の例について説明する。具体的には、図11図12に示すように、発電レベル3の場合に、秒針17が30秒を示すこととした。
【0089】
例えば、ソーラパネル30の発電量が小さい環境下においては、発電レベル4以上を示すことがない場合があり、そのような場合、秒針17の移動範囲が0秒~15秒の間に限られることとなる。秒針17の移動範囲が狭いと、ユーザにとって発電レベルの変化を認識し難くなってしまう。
【0090】
図12においては、選択部42が、検出抵抗R4、R10、R15をそれぞれ接続対象抵抗Rt1、Rt2、Rt3として選択する例を示している。
【0091】
図12に示すテーブルに基づいて選択部42が接続対象抵抗Rtを選択することにより、現在の発電の期待値が小さい環境下においても、秒針17の移動範囲を大きくすることができる。具体的には、現在の発電の期待値が小さい環境下においても、秒針17の移動範囲を0秒から30秒とすることができる。これにより、ユーザは発電量の変化を視認しやすくなる。
【0092】
なお、図12に示すテーブルに基づいて選択部42が接続対象抵抗Rtを選択する場合においては、補助針14b等を用いて、現在の発電の期待値が小さい環境下におけるモードに切り変わっていることを表示可能とするとよい。それにより、ユーザは現在の発電レベルを適切に把握することができる。
【0093】
なお、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、接続対象抵抗Rtを選択するという機能は、常時実施するものである必要はない。すなわち、接続対象抵抗Rtを選択して発電レベルを判定するモードと、固定の検出抵抗Rを接続対象抵抗Rtとして用いて発電レベルを判定するモードとを切り替え可能であってもよい。固定の検出抵抗Rを接続対象抵抗Rtとして用いて発電レベルを判定するモードにおいては、例えば、図5で示したように、抵抗値が略等間隔である検出抵抗R5、R10、R15、R20、R25、R30を接続対象抵抗Rt1~Rt6として用いて発電レベルを判定するとよい。
【0094】
また、接続制御部43が接続するスイッチSWは、1つずつに限られない。すなわち、接続制御部43は、選択部42が選択した2以上の接続対象抵抗Rtに対応する接続対象スイッチSWtを同時に接続してもよい。そして、発電レベル判定部44は、接続された2以上の接続対象スイッチSWtに対応する接続対象抵抗Rtの合成抵抗に、電流Iが流れることにより検出される検出電圧を取得するとよい。この場合、検出抵抗回路45は、少なくとも接続対象抵抗Rtの合成抵抗の数が発電レベルの数よりも多くなるように抵抗Rを含んでいるとよい。このような構成を採用することにより、検出抵抗回路45に含まれる検出抵抗Rの数を削減しつつ、接続対象抵抗Rtの合成抵抗の数に応じた数の発電レベルを判定することができる。例えば、検出抵抗回路45が検出抵抗R1、検出抵抗R2、検出抵抗R3を含む場合、7つの合成抵抗を生成することができる(互いに異なる抵抗値の抵抗を7パターン生成することができる)。具体的には、「検出抵抗R1」、「検出抵抗R2」、「検出抵抗R3」、「検出抵抗R1+検出抵抗R2」、「検出抵抗R1+検出抵抗R3」、「検出抵抗R2+検出抵抗R3」、「検出抵抗R1+検出抵抗R2+検出抵抗R3」という7つの合成抵抗を生成できる。なお、この場合、複数の検出抵抗Rは、互いに同じ抵抗値の検出抵抗Rを含んでいてもよい。
【0095】
以上説明した本実施形態の構成を採用することにより、発電レベルの判定を緻密に行うことができる。また、検出抵抗Rの一部を接続対象抵抗Rtとして用いることにより、発電レベルの判定処理にかかる時間を短縮することができる。また、発電レベルの判定処理にかかる時間を短縮できることより、発電レベルの判定処理により消費される電力を低減すると共に、二次電池60の充電効率を向上することができる。
【0096】
次に、図13を参照して、本実施形態の第1変形例について説明する。図13は、本実施形態の第1変形例における制御回路を示す回路図である。なお、図4で示した構成と同様の構成については同じ符号を用いて、その説明は省略する。
【0097】
第1変形例においては、検出抵抗回路145は、並列接続された、それぞれ異なる抵抗値を有する検出抵抗R1~R6を含む。
【0098】
また、第1変形例においては、制御回路40は、接続制御部143と、調整抵抗回路46を含む。調整抵抗回路46は、並列接続された、それぞれ異なる抵抗値を有する調整抵抗Ra1~Ra4を含む。なお、特に区別して説明する必要のない場合は、単に「調整抵抗Ra」と呼ぶこととする。調整抵抗Ra1~Ra4の抵抗値のうち最も小さい抵抗値は、検出抵抗R1~R6の抵抗値のうち最も大きい抵抗値よりも大きいとよい。また、検出抵抗R1~R6、調整抵抗Ra1~Ra4の抵抗値は互いに異なるとよい。
【0099】
図13に示すように、調整抵抗Ra1~Ra4には、それぞれスイッチSWa1~SWa4が接続されている。なお、特に区別して説明する必要がない場合は、単に「スイッチSWa」と呼ぶこととする。
【0100】
第1変形例においては、選択部42は、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、接続対象抵抗Rtと接続対象調整抵抗Ratの組み合わせを選択する。なお、選択部42がいずれの検出抵抗R、調整抵抗Raを選択するかについては、上記本実施形態と同様に、例えば、記憶部41に記憶されるテーブル等を用いて決定されるものであるとよい。
【0101】
接続制御部143は、選択部42が選択した接続対象抵抗Rtに対応する接続対象スイッチSWtと、選択部42が選択した接続対象調整抵抗Ratに対応する接続対象スイッチSWatを順次切り替える。
【0102】
そして、発電レベル判定部44が、電流Iが流れることにより検出される検出電圧(I×R)を取得する。そして、発電レベル判定部44は、検出電圧が比較用電圧44aである所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0103】
第1変形例においては、例えば、発電レベル判定部44は、検出抵抗R1を接続した状態で検出電圧が比較用電圧44aである所定の閾値よりも小さくなった場合、発電レベル0であるとの判定を行うとよい。同様に、発電レベル判定部44は、検出抵抗R2を接続した状態で検出電圧が比較用電圧44aである所定の閾値よりも小さくなった場合、発電レベル1であるとの判定を行うとよい。
【0104】
そして、例えば、現在の発電の期待値が小さい環境下においては、選択部42により、検出抵抗R1、R2を接続対象抵抗Rt1、Rt2として選択すると共に、調整抵抗Ra1~Ra4を接続対象調整抵抗Rat1~Rat4として選択するとよい。2個の接続対象抵抗Rtと、4個の接続対象調整抵抗Ratとの組み合わせであるため、8通りの抵抗値を作ることができる。これにより、発電レベル0~2の範囲において発電レベルの判定を綿密に行うことができる。
【0105】
また、調整抵抗回路46は、図13に示すように、調整抵抗Raに接続されないスイッチSW5を含むとよい。そして、例えば、電子時計1が充電警告モードとなった状態においては、スイッチSWa1~SWa4を非接続とし、スイッチSWa5を接続するとよい。これにより、各調整抵抗Raは、検出抵抗回路145と電気的に遮断された状態となる。このような状態とすることにより、実質的に上述の本実施形態と同様の発電レベルの判定処理を行うことができる。すなわち、調整抵抗回路46におけるスイッチSWaの切り替えを行うことなく、発電レベルの判定処理を行うことができる。これにより、発電レベルの判定処理により消費される電力を低減し、システムダウン等が生じてしまうことを抑制することができる。なお、充電警告モードとは、二次電池60の電池電圧が低下しており、電子時計1の機能の一部が制限されたモードである。また、発電が所定の時間検出されなかったときに低消費電力動作をするように制御される節電モードに移行する場合には、節電モードから復帰するときに発電検出をしやすくすることができる。
【0106】
なお、検出抵抗R、調整抵抗Raの数は、図13で示した数に限られるものではない。また、上述の本実施形態で説明したように、複数の抵抗Rの抵抗値は互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。同様に、複数の調整抵抗Raの抵抗値は互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。少なくとも、互いに抵抗値の異なる合成抵抗が発電レベルの数よりも多くなるように、検出抵抗R及び調整抵抗Raが設けられているとよい。
【0107】
次に、図14を参照して、本実施形態の第2変形例について説明する。図14は、本実施形態の第2変形例における制御回路を示す回路図である。なお、図4で示した構成と同様の構成については同じ符号を用いて、その説明は省略する。
【0108】
第2変形例においては、検出抵抗回路245は、並列接続された、それぞれ異なる抵抗値を有する検出抵抗R1~R6を含む。
【0109】
また、第2変形例においては、制御回路40は、接続制御部243と、リファレンス回路146を含む。
【0110】
リファレンス回路146は、互いに異なる抵抗値を有するリファレンス抵抗Rr0~Rr5を含む。なお、特に区別して説明する必要がない場合は、単に「リファレンス抵抗Rr」と呼ぶこととする。図14に示すように、リファレンス抵抗Rr1~Rr5には、それぞれスイッチSWr1~SWr5が接続されている。なお、特に区別して説明する必要がない場合は、単に「スイッチSWr」と呼ぶこととする。
【0111】
第2変形例においては、発電レベル判定部44は、検出電圧と、リファレンス回路146の出力電圧値146bとを比較することにより、発電レベルを判定する。ここで、出力電圧値146bは、リファレンス回路146において設定されるリファレンス電圧146aとリファレンス抵抗Rrとによって発電レベル判定部44へ出力される電圧値であり、所定の閾値(比較用電圧44a)に相当する。なお、出力電圧値146b(比較用電圧44a)をVth、リファレンス電圧146aをVrと表した場合、Vth=Rr/(Rr+R0)×Vrとなる。
【0112】
第2変形例においては、選択部42は、現在の発電の期待値に関する情報に応じて、接続対象抵抗Rtと、リファレンス回路146によって出力される出力電圧値146b(比較用電圧44a)である所定の閾値の組み合わせを選択する。所定の閾値は、接続制御部243により複数のリファレンス抵抗Rrの中から選択される所定の接続対象リファレンス抵抗Rrtに接続状態を切り替えることにより設定される。なお、選択部42がいずれの検出抵抗R、所定の閾値(より詳細にはリファレンス抵抗Rr)を選択するかについては、上記本実施形態と同様に、例えば、記憶部41に記憶されるテーブル等を用いて決定されるものであるとよい。
【0113】
接続制御部43は、選択部42により選択された接続対象抵抗Rtに対応する接続対象スイッチSWtを順次切り替えると共に、接続制御部243は、選択部42により選択された接続対象リファレンス抵抗Rrtに対応する接続対象スイッチSWrtを順次切り替える。
【0114】
そして、発電レベル判定部44が、電流Iが流れることにより検出される検出電圧(I×Rt)を取得する。そして、発電レベル判定部44は、検出電圧がリファレンス回路146から出力される比較用電圧44aの出力電圧値である所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0115】
なお、例えば、リファレンス抵抗Rr1~Rr5に対応するスイッチSWrをいずれも非接続した状態においては、図14のリファレンス回路146から出力される電圧146bは、図4で示した比較用電圧44aと同じ値であるとよい。
【0116】
第2変形例においては、例えば、発電レベル判定部44は、検出電圧が比較用電圧44aよりも小さい場合、発電レベル0であるとの判定を行うとよい。一方、検出電圧が比較用電圧44a以上である場合、接続制御部243がスイッチSWrtの接続状態を切り替え、比較用電圧44aが大きくなるように調整されるとよい。そして、発電レベル判定部44は、検出電圧が、調整された比較用電圧44aよりも小さい場合、発電レベル1であるとの判定を行うとよい。一方、検出電圧が、調整された比較用電圧44a以上である場合、接続制御部243がスイッチSWrtの接続状態を切り替え、比較用電圧44aが大きくなるように調整されるとよい。このように、検出電圧が比較用電圧44a以上となった場合は、比較用電圧44aが大きくなるように調整され、検出電圧が比較用電圧44aより小さい場合、その際の比較用電圧44aに応じて発電レベルを判定するとよい。
【0117】
なお、検出抵抗R、リファレンス抵抗Rrの数は、図14で示した数に限られるものではない。また、図14に示した回路構成は一例であり、検出電圧と比較される所定の閾値を変更可能な構成であればよい。
【0118】
なお、第2変形例で説明したリファレンス回路146を有する構成は、上記本実施形態及び第1変形例に適用してもよい。すなわち、例えば、電子時計1は、図13に示す調整抵抗回路46とリファレンス回路146の双方を有していてもよい。この場合、選択部により、検出抵抗R、調整抵抗Ra、及びリファレンス抵抗Rrの組み合わせが選択されるとよい。
【0119】
以上、本発明に係る実施形態及びその変形例について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0120】
1 電子時計、10 胴、11 バンド固定部、12 ボタン、13 竜頭、14 文字板、14a 窓、14b 補助針、14c 小窓、15 時針、16 分針、17 秒針、30 ソーラパネル、40 制御回路、41 記憶部、42 選択部、43,143,243 接続制御部、44 発電レベル判定部、45,145,245 検出抵抗回路、46 調整抵抗回路、50 発電レベル表示、60 二次電池、70 駆動機構、146 リファレンス回路、R 検出抵抗、Ra 調整抵抗、Rt 接続対象抵抗、SW,SWa,SWr スイッチ、SWt 接続対象スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14