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特許7398978電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20231208BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20231208BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20231208BHJP
   H02J 3/06 20060101ALI20231208BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20231208BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H02J3/32
G06Q50/06
H02J3/00 130
H02J3/06
H02J3/46
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020026275
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021132460
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】吉川 繁治
(72)【発明者】
【氏名】金子 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】貴島 淳子
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/239664(WO,A1)
【文献】特開2017-208952(JP,A)
【文献】特開2017-146815(JP,A)
【文献】特開2018-055950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 13/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの公共交通機関の停留所における乗降人数に基づいて、少なくとも1つの変電所から対応する供給エリア内に所在する人の所在人数の変化量である所在人数変化量を推定する所在人数変化量推定部と、
前記供給エリアの現時点における現消費電力量を示す消費電力量情報を取得する電力取得部と、
前記所在人数変化量と前記現消費電力量とに基づいて、現時点から予め設定された単位期間だけ後の時点における予測消費電力量を算出する消費電力量予測部と、
前記予測消費電力量に基づいて、前記供給エリアに設置された蓄電装置を放電させるための放電指令情報と、前記供給エリアに設置された発電設備に発電させるための発電指令情報と、前記供給エリアに設置された前記蓄電装置に充電させるための充電指令情報と、のうちのいずれかを生成して、前記蓄電装置と前記発電設備との少なくとも一方を制御する制御装置へ送信する指令部と、を備える、
電力管理装置。
【請求項2】
前記予測消費電力量に基づいて、前記供給エリアについての電力供給モードを、前記少なくとも1つの変電所から前記供給エリアへ供給される電力が抑制される電力抑制モードと、前記少なくとも1つの変電所から前記供給エリアへ供給される電力の前記蓄電装置への蓄電を要請する蓄電要請モードと、に切り替えるモード管理部を更に備え、
前記指令部は、前記電力供給モードが前記電力抑制モードに設定されている場合、前記供給エリアに設置された前記蓄電装置を放電させるための放電指令情報と前記発電設備に発電させるための発電指令情報との少なくとも一方を前記制御装置へ送信し、前記電力供給モードが前記蓄電要請モードに設定されている場合、前記供給エリアに設置された前記蓄電装置に充電させるための充電指令情報を前記制御装置へ送信する、
請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記モード管理部は、前記予測消費電力量が予め設定された第1消費電力量上限値を超えると、前記電力供給モードを前記電力抑制モードに設定し、前記電力供給モードを前記電力抑制モードに設定した後、前記予測消費電力量が前記第1消費電力量上限値よりも小さい予め設定された第2消費電力量上限値を下回ると、前記電力抑制モードを解除し、前記予測消費電力量が予め設定された第1消費電力量下限値を下回ると、前記電力供給モードを前記蓄電要請モードに設定し、前記電力供給モードを前記蓄電要請モードに設定した後、前記予測消費電力量が前記第1消費電力量下限値よりも大きい第2消費電力量下限値を超えると、前記蓄電要請モードを解除する、
請求項2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記電力供給モードが前記電力抑制モードに設定されている場合、前記予測消費電力量から前記第1消費電力量上限値を差し引いて得られる不足電力量を算出し、前記電力供給モードが前記蓄電要請モードに設定されている場合、前記第1消費電力量下限値から前記予測消費電力量を差し引いて得られる超過電力量を算出する過不足算出部と、
前記電力供給モードが前記電力抑制モードに設定されている場合、前記不足電力量に基づいて、前記放電指令情報と前記発電指令情報との少なくとも一方の送信先の制御装置を特定し、前記電力供給モードが前記蓄電要請モードに設定されている場合、前記超過電力量に基づいて、前記充電指令情報の送信先の制御装置を特定する特定部と、を更に備える、
請求項3に記載の電力管理装置。
【請求項5】
前記モード管理部は、第1供給エリアに対応する前記電力供給モードが前記電力抑制モードに設定され且つ前記第1供給エリアへ電力を供給する第1変電所と連系する第2変電所から電力が供給される第2供給エリアに対応する前記電力供給モードが前記蓄電要請モードに設定されている場合、前記第1供給エリアに存在する前記特定部により特定された前記放電指令情報と前記発電指令情報との少なくとも一方の送信先の制御装置により制御される蓄電装置または発電設備から供給される電力量が前記不足電力量よりも小さいとき、前記第2供給エリアに対応する前記電力供給モードとして設定されている前記蓄電要請モードを解除し、前記第1供給エリアに対応する前記電力供給モードが前記蓄電要請モードに設定され且つ前記第2供給エリアに対応する前記電力供給モードが前記電力抑制モードに設定されている場合、前記第1供給エリアに存在する前記特定部により特定された前記充電指令情報の送信先の制御装置により制御される蓄電装置に充電される電力量が前記超過電力量よりも小さいとき、前記第2供給エリアに対応する前記電力供給モードとして設定されている前記電力抑制モードを解除する、
請求項4に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記蓄電装置と前記発電設備との少なくとも一方を所有する所有者に対して、前記制御装置への指令情報の送信の許可を求めるメッセージ情報を生成するメッセージ生成部と、
前記所有者が所持する端末装置から前記メッセージ情報に対応する許可通知情報を取得する許可通知取得部と、を更に備え、
前記指令部は、前記許可通知取得部が前記制御装置への前記放電指令情報、前記発電指令情報または前記充電指令情報の送信を許可する許可通知情報を取得すると、前記放電指令情報、前記発電指令情報または前記充電指令情報を前記制御装置へ送信する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記放電指令情報、前記発電指令情報または前記充電指令情報を前記制御装置へ送信する際、前記制御装置により制御される前記蓄電装置と前記発電設備との少なくとも一方を所有する所有者に対して、前記放電指令情報、前記発電指令情報または前記充電指令情報の前記制御装置への送信の許可の要否を示す許可要否フラグ情報を記憶する資源情報記憶部を更に備え、
前記メッセージ生成部は、前記許可要否フラグ情報が前記制御装置への送信の許可が必要であることを示す場合、前記メッセージ情報を生成し、前記許可要否フラグ情報が前記制御装置への送信の許可が不要であることを示す場合、前記メッセージ情報の生成を回避する、
請求項6に記載の電力管理装置。
【請求項8】
少なくとも1つの公共交通機関の停留所における乗降人数に基づいて、少なくとも1つの変電所から対応する供給エリア内に所在する人の所在人数の変化量である所在人数変化量を推定する所在人数変化量推定部と、
前記供給エリアの現時点における現消費電力量を示す消費電力量情報を取得する電力取得部と、
前記所在人数変化量と前記現消費電力量とに基づいて、現時点から予め設定された単位期間だけ後の時点における予測消費電力量を予測する消費電力量予測部と、
前記予測消費電力量に基づいて、前記供給エリアに設置された蓄電装置と発電設備との少なくとも一方の動作を指令するための指令情報を、前記蓄電装置と前記発電設備との少なくとも一方を制御する制御装置へ送信する指令部と、を備える、
電力管理システム。
【請求項9】
少なくとも1つの公共交通機関の停留所における乗降人数に基づいて、少なくとも1つの変電所から対応する供給エリア内に所在する人の所在人数の変化量である所在人数変化量を推定するステップと、
前記供給エリアの現時点における現消費電力量を示す消費電力量情報を取得するステップと、
前記所在人数変化量と前記現消費電力量とに基づいて、現時点から予め設定された単位期間だけ後の時点における予測消費電力量を算出するステップと、
前記予測消費電力量に基づいて、前記供給エリアに設置された蓄電装置と発電設備との少なくとも一方の動作を指令するための指令情報を、前記蓄電装置と前記発電設備との少なくとも一方を制御する制御装置へ送信するステップと、を含む、
電力管理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
少なくとも1つの公共交通機関の停留所における乗降人数に基づいて、少なくとも1つの変電所から対応する供給エリア内に所在する人の所在人数の変化量である所在人数変化量を推定する所在人数変化量推定部、
前記供給エリアの現時点における現消費電力量を示す消費電力量情報を取得する電力取得部、
前記所在人数変化量と前記現消費電力量とに基づいて、現時点から予め設定された単位期間だけ後の時点における予測消費電力量を算出する消費電力量予測部、
前記予測消費電力量に基づいて、前記供給エリアに設置された蓄電装置と発電設備との少なくとも一方の動作を指令するための指令情報を、前記蓄電装置と前記発電設備との少なくとも一方を制御する制御装置へ送信する指令部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コミュニティにおける翌日の電力需要予測およびコミュニティにおける翌日の蓄電池の充放電計画に基づいてコミュニティの翌日の負荷率を算出し、算出された負荷率に基づいて、デマンドレスポンス情報を作成して需要家に通知する電力需要調整装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。ここで、デマンドレスポンス情報は、需要家が蓄電池を充放電することにより需要家にもたらされる経済的なメリット、ペナルティを提示するものである。需要家が、電力需要調整装置から受信したデマンドレスポンス情報の内容を契機として蓄電池の充放電を行うことにより、コミュニティ全体の電力需要が調整されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016―220384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された電力需要調整装置では、デマンドレスポンス情報を生成するための電力需要予測が実際の電力需要と異なる場合、適切なデマンドレスポンス情報を需要家に通知することができず、コミュニティにおける電力需要の調整を適切に行うことができなくなる虞がある。特に、電力需要は、気象条件或いは曜日、或いは、突発的なイベントの有無により影響を受ける。このため、電力需要の予測精度を向上させることによりコミュニティを形成する複数の需要家施設へ適切に電力供給を行うことが要請されている。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされたものであり、複数の需要家施設へ適切に電力供給を行うことができる電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る電力管理装置は、
少なくとも1つの公共交通機関の停留所における乗降人数に基づいて、少なくとも1つの変電所から対応する供給エリア内に所在する人の所在人数の変化量である所在人数変化量を推定する所在人数変化量推定部と、
前記供給エリアの現時点における現消費電力量を示す消費電力量情報を取得する電力取得部と、
前記所在人数変化量と前記現消費電力量とに基づいて、現時点から予め設定された単位期間だけ後の時点における予測消費電力量を算出する消費電力量予測部と、
前記予測消費電力量に基づいて、前記供給エリアに設置された蓄電装置を放電させるための放電指令情報と、前記供給エリアに設置された発電設備に発電させるための発電指令情報と、前記供給エリアに設置された前記蓄電装置に充電させるための充電指令情報と、のうちのいずれかを生成して、前記蓄電装置と前記発電設備との少なくとも一方を制御する制御装置へ送信する指令部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、所在人数変化量推定部が、少なくとも1つの公共交通機関の停留所における乗降人数に基づいて、少なくとも1つの変電所に対応する供給エリア内の所在人数変化量を推定する。また、消費電力量予測部が、供給エリアにおける所在人数変化量と供給エリアの現時点における現消費電力量とに基づいて、現時点から予め設定された単位期間だけ後の時点における予測消費電力量を算出する。そして、指令部が、予測消費電力量に基づいて、供給エリアに設置された蓄電装置を放電させるための放電指令情報と、供給エリアに設置された発電設備に発電させるための発電指令情報と、供給エリアに設置された蓄電装置に充電させるための充電指令情報と、のうちのいずれかを生成して、蓄電装置と発電設備との少なくとも一方を制御する制御装置へ送信する。これにより、少なくとも1つの変電所から供給エリアへ供給される予測消費電力量を精度良く予測することができるので、供給エリア内に存在する複数の需要家へ適切に電力供給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1に係る電力管理システムの概略構成図
図2】実施の形態1に係る電力管理装置のハードウェア構成を示すブロック図
図3】実施の形態1に係る電力管理装置の機能構成を示すブロック図
図4】実施の形態1に係る乗降者数記憶部が記憶する情報の一例を示す図
図5】実施の形態1に係る変電所の供給エリアの一例を示す図
図6】実施の形態1に係る消費電力量記憶部が記憶する情報の一例を示す図
図7】実施の形態1に係る電力供給モード記憶部が記憶する情報の一例を示す図
図8】実施の形態1に係る資源情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図
図9】(A)は消費電力量の推移の一例を示す図、(B)は降車人数の推移の一例を示す図、(C)は乗車人数の推移の一例を示す図
図10】(A)は実施の形態1に係る基準値を説明するための図、(B)は実施の形態1に係る電力管理装置の電力供給モードの状態遷移図
図11】実施の形態1に係る電力管理システムの動作を説明するためのシーケンス図
図12】実施の形態1に係る電力管理システムの動作を説明するためのシーケンス図
図13】実施の形態1に係る電力管理システムの動作を説明するためのシーケンス図
図14】実施の形態1に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図15】実施の形態1に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図16】実施の形態1に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図17】実施の形態1に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図18】本開示の実施の形態2に係る電力管理システムの概略構成図
図19】実施の形態2に係る資源情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図
図20】実施の形態2に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図21】本開示の実施の形態3に係る電力管理システムの概略構成図
図22】実施の形態3に係る電力管理装置の機能構成を示すブロック図
図23】実施の形態3に係る資源情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図
図24】実施の形態3に係る電力管理システムの動作を説明するためのシーケンス図
図25】実施の形態3に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図26】実施の形態3に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図27】本開示の実施の形態4に係る電力管理システムの概略構成図
図28】実施の形態4に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図29】実施の形態4に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図30】実施の形態4に係る電力管理装置が実行する電力管理処理の流れの一例を示すフローチャート
図31】実施の形態4に係る電力管理装置の動作説明図
図32】変形例に係る資源情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の各実施の形態に係る制御装置について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る電力管理装置は、少なくとも1つの公共交通機関の停留所における乗降人数に基づいて、少なくとも1つの変電所から対応する供給エリア内に所在する人の所在人数の変化量である所在人数変化量を推定する所在人数変化量推定部と、供給エリアの現時点における現消費電力量を取得する電力取得部と、所在人数変化量と現消費電力量とに基づいて、現時点から予め設定された単位期間だけ後の時点における予測消費電力量を予測する消費電力量予測部と、予測消費電力量に基づいて、供給エリアに設置された蓄電装置と発電設備との少なくとも一方の動作を指令するための指令情報を、蓄電装置と発電設備との少なくとも一方を制御する制御装置へ送信する指令部と、を備える。この電力管理装置は、前述の供給エリア内に位置する公共交通機関の停留所における乗降人数に基づいて推定される供給エリア内の所在人数の変化量と、変電所から供給エリアへ供給される電力量と、に基づいて、供給エリア内に設置された蓄電装置、発電設備の動作を制御して、供給エリアにおける電力需給を調整するものである。
【0011】
本実施の形態に係る電力管理システムは、例えば図1に示すように、複数の需要家施設Hそれぞれに設置された制御装置32へ指令情報を送信することにより複数の需要家施設Hへ供給する電力量を管理する電力管理装置1と、公共交通機関が保有するサーバ2と、を備える。また、電力管理システムは、変電所に設置された変電設備PWを管理する変電設備管理装置4を備える。電力管理装置1とサーバ2と変電設備管理装置4とは、ネットワークNWを介して互いに通信可能となっている。変電設備PWは、送電系統(図示せず)から供給される電力を複数の需要家施設Hそれぞれへ配電するための配電系統PLに接続されている。変電設備管理装置4は、例えば変電所内に変電設備PWとともに設置され、需要家施設Hへ供給される電力量、即ち、消費電力量を示す消費電力量情報を変電設備PWから継続的に取得している。変電設備管理装置4は、電力管理装置1からネットワークNWを介して消費電力量要求情報を受信すると、消費電力量要求情報の受信時における消費電力量を示す消費電力量情報を生成する。そして、変電設備管理装置4は、生成した消費電力量情報を、ネットワークNWを介して電力管理装置1へ送信する。
【0012】
複数の需要家施設Hには、それぞれ、定置型の蓄電装置33または自動車V1に内蔵された蓄電装置(図示せず)に電気的に接続されるコネクタ34が設置されている。また、複数の需要家施設Hそれぞれには、蓄電装置33または自動車V1に内蔵された蓄電装置B1を充放電させるためのパワーコンディショナ31と、パワーコンディショナ31を制御する制御装置32と、が設置されている。ここで、自動車V1は、電気自動車、ハイブリッド自動車等の蓄電装置B1を内蔵する自動車である。パワーコンディショナ31は、双方向AC-DCコンバータを有し、配電系統PLから供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電装置33、B1へ出力してそれらを充電したり、蓄電装置33、B1の放電により生じる直流電力を交流電力に変換して配電系統PLへ供給したりする。
【0013】
制御装置32は、電力管理装置1からネットワークを介して受信する放電指令情報または充電指令情報に基づいて、パワーコンディショナ31を制御する。ここで、放電指令情報は、電力管理装置1が制御装置32に対して蓄電装置33、B1の放電を指令する情報であり、充電指令情報は、電力管理装置1が制御装置32に対して蓄電装置33、B1の充電を指令する情報である。制御装置32は、電力管理装置1から放電指令情報を受信すると、パワーコンディショナ31を放電モードで動作させることにより、蓄電装置33、B1を放電させて蓄電装置33、B1から配電系統PLへ電力を供給する。一方、制御装置32は、電力管理装置1から充電指令情報を受信すると、パワーコンディショナ31を充電モードで動作させることにより、配電系統PLから供給される電力で蓄電装置33、B1を充電する。また、制御装置32は、電力管理装置1からネットワークNWを介して、制御装置32に対してパワーコンディショナ31の動作モードを示す動作状態情報を含む資源情報の送信を要求する資源情報要求情報を受信したとする。この場合、制御装置32は、蓄電装置33、B1の蓄電容量、蓄電残量、放電電力、充電電力を示す情報、電力管理装置1から送信される放電指令情報または充電指令情報に基づいてパワーコンディショナ31を制御しているか否かを示す制御状態情報等を含む資源情報を生成する。ここで、制御装置32と蓄電装置33、B1とは、それぞれ、例えばECHONET Lite規格に準拠した通信インタフェースを介して互いに通信可能となっている。そして、制御装置32は、この通信インタフェースを介して、蓄電装置33、B1の充電電力、放電電力の設定値を示す情報を蓄電装置33から取得する。また、制御装置32は、生成した資源情報を、ネットワークNWを介して電力管理装置1へ送信する。
【0014】
サーバ2は、例えば公共交通機関の管理事務所に設置され、公共交通機関の停留所における乗車人数を示す乗車人数情報と前述の停留所における降車人数を示す降車人数情報とを含む乗降者数情報を管理している。ここで、公共交通機関は、例えば鉄道であり、この場合、停留所は、鉄道の駅である。なお、公共交通機関は、鉄道に限らず、例えばバスであってもよい。サーバ2は、電力管理装置1からネットワークNWを介して、サーバ2に対して乗降者数情報の送信を要求する乗降者数要求情報を受信すると、管理する乗降者数情報の中から、受信時における乗降者数要求情報に含まれる駅情報が示す駅における乗車人数情報および降車人数情報を含む乗降者数情報を特定する。そして、サーバ2は、特定した乗降者数情報を、ネットワークNWを介して電力管理装置1へ送信する。
【0015】
電力管理装置1は、例えば図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、通信インタフェース104と、これらを互いに接続するバス109と、を備える。主記憶部102は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリであり、CPU101の作業領域として使用される。補助記憶部103は、半導体フラッシュメモリ、磁気ディスク等の不揮発性メモリであり、CPU101が各種処理を実行するためのプログラムを記憶する。通信インタフェース104は、ネットワークNWに接続されている。
【0016】
CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み出して実行することにより、図3に示すように、乗降者数情報取得部111、所在人数変化量推定部112、消費電力量予測部113、判定部114、モード管理部115、特定部116、指令部117、過不足算出部119および電力取得部120として機能する。また、図2に示す補助記憶部103は、図3に示すように、乗降者数記憶部131と、消費電力量記憶部132と、電力供給モード記憶部133と、基準記憶部134と、資源情報記憶部135と、を有する。
【0017】
乗降者数記憶部131は、例えば図4に示すように、駅における乗車人数情報と降車人数情報とを、駅を識別する駅識別情報と、駅の周辺地域が属する電力が供給される供給エリアに対応する変電所を識別する変電所識別情報と、に対応づけて記憶する。例えば図5に示すように、A駅周辺地域、B駅周辺地域、C駅周辺地域がA変電所の電力供給エリアに属し、D駅周辺地域、E駅周辺地域がB変電所の電力供給エリアに属するとする。この場合、乗降者数記憶部131は、A駅、B駅およびC駅における乗車人数情報「DABA」、「DABB」、「DABC」と降車人数情報「DAGA」、「DAGB」、「DAGC」とを、A変電所を識別する変電所識別情報「IDA」に対応づけて記憶する。また、乗降者数記憶部131は、D駅およびE駅における乗車人数情報「DABD」、「DABE」と降車人数情報「DAGD」、「DAGE」とを、B変電所を識別する変電所識別情報「IDB」に対応づけて記憶する。
【0018】
消費電力量記憶部132は、例えば図6に示すように、複数の供給エリアそれぞれでの消費電力量を示す消費電力量情報を、複数の供給エリアそれぞれへ電力を供給する変電所を識別する変電所識別情報に対応づけて記憶する。電力供給モード記憶部133は、例えば図7に示すように、複数の供給エリアそれぞれにおける電力供給モードを示す電力供給モード情報を、複数の供給エリアそれぞれへ電力を供給する変電所を識別する変電所識別情報に対応づけて記憶する。電力供給モードとしては、「無制御モード」、「電力抑制モード」および「蓄電要請モード」の3種類が存在する。ここで、「電力抑制モード」は、需要家施設Hに対して売電、即ち、蓄電装置33または自動車の蓄電装置B1から配電系統へ電力を供給させることにより変電所から供給エリアへ供給される電力を抑制するモードである。この「電力抑制モード」は、供給エリアでの消費電力量が変電所の変電設備PWの電力供給能力を超過しそうなときに設定される。また、「蓄電要請モード」は、需要家施設Hに対して買電、即ち、配電系統へ供給する電力を蓄電装置33または自動車の蓄電装置に充電することを要請するモードである。この「蓄電要請モード」は、変電所の変電設備PWから供給エリアへ供給する電力が余っており供給エリアでの電力消費を促進させるときに設定される。更に、「無制御モード」とは、電力管理装置1から各需要家施設Hの制御装置32へ充電指令情報または放電指令情報を送信することによる蓄電装置33または自動車の蓄電装置の充放電の制御を行わないモードである。この「無制御モード」は、変電所の変電設備PWから供給エリアへ供給される電力の状況が逼迫もしておらず且つ過多でもない場合に設定される。図7に示す例では、A変電所、B変電所から電力が供給される供給エリアが、そこに所在する需要家施設Hに対して蓄電装置33または自動車の蓄電装置に蓄電した電気を売電させる「電力抑制モード」に設定され、L変電所から電力が供給される供給エリアが、そこに所在する需要家施設Hに対して配電系統へ供給する電力を買電させる「蓄電要請モード」に設定されている。
【0019】
図3に戻って、基準記憶部134は、供給エリアの電力供給モードを、「無制御モード」から「電力抑制モード」へ切り替えるための予測消費電力量に対する基準値である第1消費電力量上限値を示す情報と、供給エリアの電力供給モードを、「無制御モード」から「蓄電要請モード」へ切り替えるための予測消費電力量に対する基準値である第1消費電力量下限値を示す情報と、を記憶する。また、基準記憶部134は、供給エリアの電力供給モードを、「電力抑制モード」から「無制御モード」へ切り替えるための予測消費電力量に対する基準値である第2消費電力量上限値を示す情報と、供給エリアの電力供給モードを、「蓄電要請モード」から「無制御モード」へ切り替えるための予測消費電力量に対する基準値である第2消費電力量下限値を示す情報と、を記憶する。
【0020】
資源情報記憶部135は、例えば図8に示すように、複数の需要家施設Hそれぞれに設置された電力供給に関する資源、即ち、蓄電装置33または自動車V1に内蔵された蓄電装置B1を充電するためのコネクタ34の設置場所を示す設置場所情報、資源の種類を示す資源種類情報および動作状態を示す動作状態情報を、需要家施設Hを識別する需要家識別情報に対応づけて記憶する。また、資源情報記憶部135は、蓄電装置33、B1の蓄電容量を示す蓄電容量情報、蓄電残量を示す蓄電残量情報、充電時における充電電力を示す充電電力情報、および、放電時における放電電力を示す放電電力情報を記憶する。更に、資源情報記憶部135は、ユーザによるパワーコンディショナ31の設定操作有無を示す操作情報、および、制御装置32が電力管理装置1からの放電指令情報または充電指令情報に基づいてパワーコンディショナ31を制御しているか否かを示す制御状態情報を記憶する。ここで、制御状態情報のFC0(無制御)とは、制御装置32が電力管理装置1からの放電指令情報または充電指令情報とは無関係に独自にパワーコンディショナ31を制御している状態である。一方、制御状態情報のFC1(制御)とは、制御装置32が電力管理装置1からの放電指令情報または充電指令情報に従ってパワーコンディショナ31を制御している状態である。図8に示す例では、需要家C[0]、C[1]、C[3]、C[5]が、定置式の蓄電装置33を保有し、需要家C[2]、C[4]が、自動車V1に内蔵された蓄電装置に接続されるコネクタ34を保有し、需要家C[2]が保有するコネクタには自動車V1が接続され、需要家C[4]が保有するコネクタ34には自動車V1が接続されていないことを示している。また、需要家C[0]、C[3]が保有するパワーコンディショナ31は充電モードで動作し、需要家C[1]が保有するパワーコンディショナ31は放電モードで動作し、需要家C[2]、C[5]が保有するパワーコンディショナ31は停止している。
【0021】
図3に戻って、乗降者数情報取得部111は、ネットワークNWを介してサーバ2へ前述の乗降者数要求情報を送信することにより、サーバ2から送信される乗降者数情報を取得する。乗降者数情報取得部111は、取得した乗降者数情報に含まれる乗車人数情報と降車人数情報とを、駅識別情報および変電所識別情報に対応づけて乗降者数記憶部131に記憶させる。
【0022】
所在人数変化量推定部112は、駅における乗降人数に基づいて、変電所から対応する供給エリア内に所在する人の所在人数の変化量である所在人数変化量を推定する。ここで、例えば図5に示すように、A駅、B駅、C駅、D駅、E駅で降車した人は、それぞれ、在住、在泊、勤務、就学、ショッピング、レジャー等の種々の理由により、それらの周辺地域に所在することになる。一方、A駅、B駅、C駅、D駅、E駅で乗車した人は、それらの周辺地域から離れることになる。所在人数変化量推定部112は、所在人数変化量を推定する対象となる供給エリア(例えばA変電所の電力供給エリア)内の駅(例えばA駅、B駅、C駅)それぞれについて、過去の供給エリア内の駅それぞれでの乗車人数の推移に基づいて、現時点から予め設定された単位時間の後における対象供給エリア内の駅それぞれでの乗車人数を推定する。ここで、単位時間は、例えば対象供給エリア内の駅それぞれを降車した人が住居に到着するまでの平均時間に基づいて設定される。所在人数変化量推定部112は、例えば図9(C)に示すように、現時点t[i]および現時点t[i]よりも過去における乗車人数Nb[i]、Nb[i-1]、Nb[i-2]、・・・に基づいて、最小二乗法を用いた多項式近似により乗車人数の時間推移を示す近似曲線S1を算出する。次に、所在人数変化量推定部112は、近似曲線S1に基づいて、現時点t[i]よりも単位時間だけ後の時刻t[i+1]における乗車人数Nb[i+1]を推定する。そして、所在人数変化量推定部112は、現時点における対象供給エリア内の駅それぞれでの降車人数から推定した乗車人数を差し引いて得られる人数を、現時点から前述の単位時間後における所在人数変化量とする。所在人数変化量推定部112は、例えば図9(B)に示すように、現時点t[i]における降車人数Ng[i]から推定した乗車人数Nb[i+1]を差し引いて得られる人数を、現時点から前述の単位時間後における所在人数変化量とする。
【0023】
図3に戻って、電力取得部120は、ネットワークNWを介して変電設備管理装置4へ消費電力量要求情報を送信することにより、変電設備管理装置4から送信される変電設備管理装置4が設置された変電所からの電力供給エリアの現時点における現消費電力量を示す消費電力量情報を取得する。電力取得部120は、取得した消費電力量情報を、変電所識別情報に対応づけて消費電力量記憶部132に記憶させる。
【0024】
消費電力量予測部113は、所在人数変化量推定部112により推定された所在人数変化量と、予め設定された一人当たりの消費電力量と、の積を図9(A)に示すように消費電力変化量として算出する。そして、消費電力量予測部113は、電力取得部120が取得した消費電力量情報が示す現消費電力量に算出した消費電力変化量を加算することにより予測消費電力量として算出する。
【0025】
判定部114は、供給エリアの電力供給モードが前述の無制御モードに設定されている場合、消費電力量予測部113が算出した予測消費電力量が、基準記憶部134が記憶する第1消費電力量上限値以下であり且つ基準記憶部134が記憶する第1消費電力量下限値以上であるか否かを判定する。また、判定部114は、供給エリアの電力供給モードが前述の電力抑制モードに設定されている場合、消費電力量予測部113が算出した予測消費電力量が、基準記憶部134が記憶する第2消費電力量上限値未満であるか否かを判定する。更に、判定部114は、供給エリアの電力供給モードが前述の蓄電要請モードに設定されている場合、消費電力量予測部113が算出した予測消費電力量が、基準記憶部134が記憶する第2消費電力量下限値よりも大きいか否かを判定する。
【0026】
モード管理部115は、供給エリアの電力供給モードが無制御モードに設定されている場合、判定部114により消費電力量予測部113が算出した予測消費電力量が第1消費電力量上限値よりも大きいと判定されると、電力供給モード記憶部133が記憶する対象の供給エリアの電力供給モードを電力抑制モードに更新する。また、モード管理部115は、供給エリアの電力供給モードが無制御モードに設定されている場合、判定部114により消費電力量予測部113が算出した予測消費電力量が第1消費電力量下限値未満であると判定されると、電力供給モード記憶部133が記憶する対象の供給エリアの電力供給モードを蓄電要請モードに更新する。更に、モード管理部115は、供給エリアの電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、判定部114により消費電力量予測部113が算出した予測消費電力量が第2消費電力量上限値未満であると判定されると、電力供給モード記憶部133が記憶する対象の供給エリアの電力供給モードを無制御モードに更新する。また、モード管理部115は、供給エリアの電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、判定部114により消費電力量予測部113が算出した予測消費電力量が第2消費電力量下限値よりも大きいと判定されると、電力供給モード記憶部133が記憶する対象の供給エリアの電力供給モードを無制御モードに更新する。ここで、第1消費電力量上限値は、図10(A)に示すように、第2消費電力量上限値よりも大きく、第1消費電力量下限値は、第2消費電力量下限値よりも小さい。モード管理部115は、図10(B)に示すように、予測消費電力量と、第1消費電力量上限値、第1消費電力量下限値、第2消費電力量上限値または第2消費電力量下限値と、の大小関係に応じて、電力供給モードを遷移させる。ここで、電力供給モードは、電力抑制モードから蓄電要請モード、或いは、蓄電要請モードから電力抑制モードへ遷移する際、必ず、無制御モードを介する。
【0027】
図3に戻って、過不足算出部119は、電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、予測消費電力量から第1消費電力量上限値を差し引いて得られる不足電力量を算出する。また、過不足算出部119は、電力供給モードが電力抑制モードに設定され且つ放電指令情報を制御装置32へ送信した場合、資源情報記憶部135が記憶する放電電力情報を参照して、予測消費電力量から第1消費電力量上限値を差し引いて得られる不足電力量から、放電指令情報の送信先の制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の放電電力を差し引くことにより不足電力量を算出する。一方、過不足算出部119は、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、第1消費電力量下限値から予測消費電力量を差し引いて得られる超過電力量を算出する。また、過不足算出部119は、電力供給モードが蓄電要請モードに設定され且つ充電指令情報を制御装置32へ送信した場合、資源情報記憶部135が記憶する充電電力情報を参照して、第1消費電力量下限値から予測消費電力量を差し引いて得られる超過電力量から、充電指令情報の送信先の制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の充電電力を差し引くことにより超過電力量を再度算出する。
【0028】
資源情報取得部121は、ネットワークNWを介して需要家施設Hそれぞれに設置された制御装置32へ資源情報要求情報を送信することにより、制御装置32から動作状態情報、蓄電容量情報、蓄電残量情報、充電電力情報、放電電力情報、操作情報および制御状態情報を含む資源情報を取得する。資源情報取得部121は、取得した資源情報に含まれる動作状態情報、蓄電容量情報、蓄電残量情報、充電電力情報、放電電力情報、操作情報および制御状態情報を、需要家識別情報に対応づけて資源情報記憶部135に記憶させる。
【0029】
特定部116は、需要家施設Hそれぞれに設置された制御装置32の中から、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32を特定する。特定部116は、電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、過不足算出部119が算出した不足電力量に基づいて、放電指令情報の送信先の制御装置32を特定する。また、特定部116は、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、過不足算出部119が算出した超過電力量に基づいて、充電指令情報の送信先の制御装置32を特定する。
【0030】
指令部117は、電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、供給エリアに設置された蓄電装置33、B1を放電させるための放電指令情報を生成して特定部116により特定された制御装置32へ送信する。一方、指令部117は、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、供給エリアに設置された蓄電装置33、B1を充電するための充電指令情報を生成して特定部116により特定された制御装置32へ送信する。また、指令部117は、電力供給モードが無制御モードに設定されている場合、供給エリアに設置された蓄電装置33、B1の充放電動作を停止させるための停止指令情報を生成して特定部116により特定された制御装置32へ送信する。
【0031】
次に、本実施の形態に係る電力管理システムの動作について図11から図13を参照しながら説明する。ここでは、電力管理装置1の対象となる供給エリアについての電力供給モードが、当初、無制御モードに設定されているものとして説明する。まず、電力管理装置1から供給エリア内に所在する需要家施設Hに設置された制御装置32へ充電指令情報または放電指令情報を送信する予め設定された指令時期が到来したとする。この指令時期は、例えば予め設定された時間間隔、例えば5分毎に到来するようにしてもよい。この場合、サーバ2に対して供給エリア内に所在する駅それぞれについての前述の乗降者数情報の送信を要求する乗降者数情報要求情報が、電力管理装置1からサーバ2へ送信される(ステップS1)。一方、サーバ2では、管理する乗降者数情報の中から、受信時における乗降者数要求情報に含まれる駅情報が示す駅における乗車人数情報および降車人数情報を含む乗降者数情報を特定する(ステップS2)。次に、サーバ2が特定した乗降者数情報が、サーバ2から電力管理装置1へ送信される(ステップS3)。一方、電力管理装置1は、乗降者数情報に含まれる乗車人数情報と降車人数情報とに基づいて、現時点から予め設定された単位時間後の供給エリアの所在人数変化量を推定する(ステップS4)。
【0032】
続いて、対象の供給エリアの変電所に設置された変電設備管理装置4に対して現時点において変電所から供給エリアへ供給される電力量を示す消費電力量情報の送信を要求する消費電力量要求情報が、電力管理装置1から変電設備管理装置4へ送信される(ステップS5)。一方、変電設備管理装置4は、消費電力量要求情報を受信すると、現時点において変電所から供給エリアへ供給される電力量を示す消費電力量情報を生成する(ステップS6)。その後、生成された消費電力量情報が、変電設備管理装置4から電力管理装置1へ送信される(ステップS7)。一方、電力管理装置1は、消費電力量情報を受信すると、受信した消費電力量情報が示す現消費電力量と所在人数変化量とに基づいて、現時点から単位時間後の供給エリアでの予測消費電力量P[i+1]を算出する(ステップS8)。
【0033】
次に、電力管理装置1が、基準記憶部134が記憶する第1消費電力量上限値Pth1と第1消費電力量下限値Ptl1を示す情報を参照して、予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量上限値Pth1以下第1消費電力量下限値Ptl1以上であると判定したとする(ステップS9)。この場合、電力管理装置1は、放電指令情報または充電指令情報の送信先となる供給エリアに所在する需要家施設Hを特定する(ステップS10)。そして、特定された需要家施設Hに設置された蓄電装置33、B1に関する資源情報の送信を制御装置32に対して要求する資源情報要求情報が、電力管理装置1から特定した需要家施設Hに設置された制御装置32へ送信される(ステップS11)。一方、制御装置32は、資源情報要求情報を受信すると、前述の制御状態情報とを含む資源情報を生成する(ステップS12)。続いて、生成された資源情報が、制御装置32から電力管理装置1へ送信される(ステップS13)。
【0034】
一方、電力管理装置1は、受信した資源情報に含まれる制御状態情報に基づいて、電力管理装置1から送信された指令情報、即ち、放電指令情報または充電指令情報に基づいてパワーコンディショナ31を制御する制御装置32を特定する(ステップS14)。その後、パワーコンディショナ31の動作を停止させるよう指令する停止指令情報が、電力管理装置1から特定された制御装置32へ送信される(ステップS15)。そして、制御装置32は、停止指令情報を受信すると、パワーコンディショナ31の動作を停止させる。
【0035】
また、図12に示すように、前述のステップS8の処理後、電力管理装置1が、基準記憶部134が記憶する第1消費電力量上限値Pth1を示す情報を参照して、予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量上限値Pth1よりも大きいと判定したとする(ステップS21)。この場合、電力管理装置1は、対象の供給エリアについての電力供給モードを無制御モードから電力抑制モードに切り替え(ステップS22)、資源情報記憶部135が記憶する設置場所情報に基づいて、対象とする供給エリアに所在する需要家施設Hを特定する(ステップS23)。そして、特定された需要家施設Hに設置された蓄電装置33、B1に関する資源情報の送信を制御装置32に対して要求する資源情報要求情報が、電力管理装置1から特定した需要家施設Hに設置された制御装置32へ送信される(ステップS24)。一方、制御装置32は、資源情報要求情報を受信すると、前述の制御状態情報とを含む資源情報を生成する(ステップS25)。続いて、生成された資源情報が、制御装置32から電力管理装置1へ送信される(ステップS26)。
【0036】
一方、電力管理装置1は、受信した資源情報に含まれる制御状態情報に基づいて、電力管理装置1から送信された放電指令情報および充電指令情報の送信先でない制御装置32を特定する(ステップS27)。その後、電力管理装置1は、受信した資源情報に含まれる蓄電残量情報および動作状態情報に基づいて、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の蓄電残量が有り、特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であり且つ需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が無いと判定したとする(ステップS28)。この場合、パワーコンディショナ31を放電モードで動作させるよう指令する放電指令情報が、電力管理装置1から特定された制御装置32へ送信される(ステップS29)。そして、制御装置32は、放電指令情報を受信すると、パワーコンディショナ31を放電モードで動作させる。
【0037】
そして、電力管理装置1は、電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合において、前述のステップS8の処理後、基準記憶部134が記憶する第2消費電力量上限値Pth2を示す情報を参照して、予測消費電力量P[i+1]が第2消費電力量上限値Pth2未満であると判定したとする(ステップS30)。この場合、電力管理装置1は、対象の供給エリアについての電力供給モードを電力抑制モードから無制御モードへ切り替える(ステップS31)。
【0038】
また、図13に示すように、前述のステップS8の処理後、電力管理装置1が、基準記憶部134が記憶する第1消費電力量下限値Ptl1を示す情報を参照して、予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量下限値Ptl1未満であると判定したとする(ステップS41)。この場合、電力管理装置1は、対象の供給エリアについての電力供給モードを無制御モードから蓄電要請モードに切り替え(ステップS42)、資源情報記憶部135が記憶する設置場所情報に基づいて、対象とする供給エリアに所在する需要家施設Hを特定する(ステップS43)。そして、特定された需要家施設Hに設置された蓄電装置33、B1に関する資源情報の送信を制御装置32に対して要求する資源情報要求情報が、電力管理装置1から特定した需要家施設Hに設置された制御装置32へ送信される(ステップS44)。一方、制御装置32は、資源情報要求情報を受信すると、前述の制御状態情報とを含む資源情報を生成する(ステップS45)。続いて、生成された資源情報が、制御装置32から電力管理装置1へ送信される(ステップS46)。
【0039】
一方、電力管理装置1は、受信した資源情報に含まれる制御状態情報に基づいて、電力管理装置1から送信された放電指令情報および充電指令情報の送信先でない制御装置32を特定する(ステップS47)。その後、電力管理装置1は、受信した資源情報に含まれる蓄電残量情報および動作状態情報に基づいて、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1が蓄電可能であり、特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であり且つ需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が無いと判定したとする(ステップS48)。この場合、パワーコンディショナ31を充電モードで動作させるよう指令する充電指令情報が、電力管理装置1から特定された制御装置32へ送信される(ステップS49)。そして、制御装置32は、充電指令情報を受信すると、パワーコンディショナ31を充電モードで動作させる。
【0040】
そして、電力管理装置1は、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合において、前述のステップS8の処理後、基準記憶部134が記憶する第2消費電力量下限値Ptl2を示す情報を参照して、予測消費電力量P[i+1]が第2消費電力量下限値Ptl2よりも大きいと判定したとする(ステップS50)。この場合、電力管理装置1は、対象の供給エリアについての電力供給モードを蓄電要請モードから無制御モードへ切り替える(ステップS51)。
【0041】
次に、本実施の形態に係る電力管理装置1が実行する電力管理処理について図14から図17を参照しながら説明する。この電力管理処理は、例えば電力管理装置1へ電源が投入されたことを契機として開始される。また、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報は、電源投入直後において無制御モードに設定されているものとする。まず、乗降者数情報取得部111は、図14に示すように、前述の指令時期が到来したか否かを判定する(ステップS101)。乗降者数情報取得部111が未だ指令時期が到来していないと判定する限り(ステップS101:No)、ステップS101の処理が繰り返し実行される。一方、乗降者数情報取得部111は、指令時期が到来したと判定すると、前述の乗降者数要求情報をサーバ2へ送信することにより(ステップS102)、サーバ2から送信される乗降者数情報を取得する(ステップS103)。ここで、乗降者数情報取得部111は、取得した乗降者数情報に含まれる乗車人数情報および降車人数情報を、駅識別情報および変電所識別情報に対応づけて乗降者数記憶部131に記憶させる。
【0042】
次に、所在人数変化量推定部112は、乗降者数記憶部131が記憶する乗車人数情報および降車人数情報に基づいて、対応する駅識別情報で識別される駅の周辺地域における所在人数の変化量を推定する(ステップS104)。続いて、所在人数変化量推定部112は、対象となる駅全てについて各駅の周辺地域における所在人数変化量の推定を完了したか否かを判定する(ステップS105)。所在人数変化量推定部112が、対象となる駅のうち未だ駅の周辺地域における所在人数変化量の推定を行っていない駅が存在すると判定すると(ステップS105:No)、再びステップS102の処理が実行される。一方、所在人数変化量推定部112は、対象となる駅全てについて各駅の周辺地域における所在人数変化量の推定を完了したと判定すると(ステップS105:Yes)、対象となる供給エリア内に所在する駅の周辺地域における所在人数変化量を足し合わせることにより対象となる供給エリア内の所在人数変化量を算出する(ステップS106)。その後、所在人数変化量推定部112は、対象となる供給エリアの全てについて所在人数変化量の算出を完了したか否かを判定する(ステップS107)。所在人数変化量推定部112は、対象となる供給エリアの中に未だ所在人数変化量の算出を完了していない供給エリアが存在すると判定すると(ステップS107:No)、再びステップS106の処理を実行する。
【0043】
一方、所在人数変化量推定部112が、対象となる供給エリアの全てについて所在人数変化量を算出したと判定したとする(ステップS107:No)。この場合、電力取得部120は、前述の消費電力量要求情報を変電設備管理装置4へ送信することにより(ステップS108)、変電設備管理装置4から送信される消費電力量情報を取得する(ステップS109)。次に、消費電力量予測部113は、対象となる供給エリアにおける所在人数変化量と、電力取得部120が取得した消費電力量情報が示す現消費電力量と、から予測消費電力量P[i+1]を算出する(ステップS110)。
【0044】
次に、判定部114は、図15に示すように、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報を参照して、電力供給モードが前述の無制御モードであるか否かを判定する(ステップS111)。判定部114により電力供給モードが無制御モードではないと判定されると(ステップS111:No)、後述のステップS116の処理が実行される。一方、判定部114は、電力供給モードが無制御モードであると判定すると(ステップS111:Yes)、予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量上限値Pth1よりも大きいか否かを判定する(ステップS112)。判定部114により予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量上限値Pth1よりも大きいと判定されると(ステップS112:Yes)、モード管理部115は、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報を電力抑制モードに更新し(ステップS113)、続いて、後述のステップS121の処理が実行される。一方、判定部114は、予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量上限値Pth1以下と判定すると(ステップS112:No)、予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量下限値Ptl1未満であるか否かを判定する(ステップS114)。判定部114により予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量下限値Ptl1未満と判定されると(ステップS114:Yes)、モード管理部115は、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報を蓄電要請モードに更新し(ステップS115)、続いて、後述のステップS121の処理が実行される。一方、判定部114が、予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量下限値Ptl1以上であると判定すると(ステップS114:Yes)、そのまま後述のステップS121の処理が実行される。
【0045】
また、判定部114は、ステップS111において、電力供給モードが無制御モードではないと判定すると(ステップS111:No)、電力供給モードが電力抑制モードであるか否かを判定する(ステップS116)。判定部114により電力供給モードが電力抑制モードではないと判定されると(ステップS116:No)、後述のステップS119の処理が実行される。一方、判定部114は、電力供給モードが電力抑制モードであると判定すると(ステップS116:Yes)、予測消費電力量P[i+1]が第2消費電力量上限値Pth2未満であるか否かを判定する(ステップS117)。判定部114により予測消費電力量P[i+1]が第2消費電力量上限値Pth2未満であると判定されると(ステップS117:Yes)、モード管理部115は、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報を無制御モードに更新し(ステップS118)、続いて、後述のステップS121の処理が実行される。一方、判定部114が、予測消費電力量P[i+1]が第2消費電力量上限値Pth2以上であると判定すると(ステップS117:No)、そのまま後述のステップS121の処理が実行される。
【0046】
また、判定部114は、ステップS116において、電力供給モードが電力抑制モードではないと判定すると(ステップS116:No)、電力供給モードが蓄電要請モードであると判定する。そして、判定部114は、予測消費電力量P[i+1]が第2消費電力量下限値Ptl2よりも大きいか否かを判定する(ステップS119)。判定部114により予測消費電力量P[i+1]が第2消費電力量下限値Ptl2よりも大きいと判定されると(ステップS119:Yes)、モード管理部115は、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報を無制御モードに更新し(ステップS120)、続いて、後述のステップS121の処理が実行される。一方、判定部114が、予測消費電力量P[i+1]が第2消費電力量上限値Pth2以下であると判定すると(ステップS119:No)、モード管理部115は、供給エリア全てについて電力供給モードを設定したか否かを判定する(ステップS121)。モード管理部115が、供給エリアの中に未だ電力供給モードを設定していない供給エリアが存在すると判定すると(ステップS121:No)、再びステップS111の処理が実行される。
【0047】
一方、モード管理部115が、供給エリア全てについて電力供給モードを設定したと判定すると(ステップS121:Yes)、特定部116が、資源情報記憶部135が記憶する設置場所情報に基づいて、対象とする供給エリアに所在する需要家施設Hを特定する(ステップS122)。その後、資源情報取得部121は、特定した需要家施設Hのうちの一つの需要家施設Hに設置された制御装置32へ資源情報要求情報を送信することにより(ステップS123)、制御装置32から動作状態情報、蓄電容量情報、蓄電残量情報、充電電力情報、放電電力情報、操作情報および制御状態情報を含む資源情報を取得する(ステップS124)。このとき、資源情報取得部121は、取得した資源情報に含まれる動作状態情報、蓄電容量情報、蓄電残量情報、充電電力情報、放電電力情報、操作情報および制御状態情報を、需要家識別情報に対応づけて資源情報記憶部135に記憶させる。次に、資源情報取得部121は、特定された供給エリア内の全ての需要家施設Hそれぞれに設置された制御装置32から資源情報を取得したか否かを判定する(ステップS125)。資源情報取得部121は、特定された供給エリア内の需要家施設Hに設置された制御装置32の中に未だ資源情報を取得していない制御装置32が存在すると判定したとする(ステップS125:No)。この場合、再びステップS123の処理が実行される。
【0048】
一方、資源情報取得部121は、特定された供給エリア内の全ての需要家施設Hそれぞれに設置された制御装置32から資源情報を取得したと判定したとする(ステップS125:Yes)。この場合、モード管理部115は、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報を参照して、電力供給モードが無制御モードに設定されているか否かを判定する(ステップS126)。モード管理部115が、電力供給モードが無制御モードに設定されていないと判定すると(ステップS126:No)、後述のステップS130の処理が実行される。一方、モード管理部115が、電力供給モードが無制御モードに設定されていると判定すると(ステップS126:Yes)、特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32が存在するか否かを判定する(ステップS127)。特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32が存在しないと判定すると(ステップS127:No)、後述の図17に示すステップS145の処理が実行される。一方、特定部116は、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32が存在すると判定すると(ステップS127:Yes)、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32を特定する。そして、指令部117は、前述の停止指令情報を生成して特定した制御装置32へ送信する(ステップS128)。ここで、制御装置32は、停止指令情報を受信すると、パワーコンディショナ31を停止させる。その後、指令部117は、資源情報記憶部135が記憶する制御状態情報の内容を無制御に更新し(ステップS129)、再びステップS127の処理が実行される。
【0049】
また、モード管理部115は、ステップS126において、電力供給モードが無制御モードに設定されていないと判定すると(ステップS126:No)、電力供給モードが電力抑制モードに設定されているか否かを判定する(ステップS130)。モード管理部115が、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていないと判定すると(ステップS130:No)、後述の図17に示すステップS138の処理が実行される。一方、モード管理部115が、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていると判定すると(ステップS130:Yes)、過不足算出部119が、予測消費電力量から第1消費電力量上限値を差し引いて得られる不足電力量を算出する(ステップS131)。次に、特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が有るか否かを判定する(ステップS132)。特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が無いと判定すると(ステップS132:No)、後述の図17に示すステップS145の処理が実行される。
【0050】
一方、特定部116は、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が有ると判定すると(ステップS132:Yes)、放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32を特定する。そして、特定部116は、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の蓄電残量が有り、特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であり且つ需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が無いか否かを判定する(ステップS133)。特定部116が、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の蓄電残量が無い、特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が動作中である、または需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が有ると判定すると(ステップS133:No)、再びステップS132の処理が実行される。ここで、特定部116は、需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が有ると判定した場合、資源情報記憶部135が記憶する制御状態情報の内容を無制御に更新する。
【0051】
一方、特定部116が、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の蓄電残量が有り且つ特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であると判定したとする(ステップS133:Yes)。この場合、指令部117は、前述の放電指令情報を生成して特定した制御装置32へ送信する(ステップS134)。その後、指令部117は、資源情報記憶部135が記憶する制御状態情報の内容を制御に更新する(ステップS135)。次に、過不足算出部119は、資源情報記憶部135が記憶する放電電力情報を参照して、予測消費電力量から第1消費電力量上限値を差し引いて得られる不足電力量から、放電指令情報の送信先の制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の放電電力を差し引くことにより不足電力量を再度算出する(ステップS136)。続いて、特定部116が、算出された不足電力量に基づいて不足電力が無いか否かを判定する(ステップS137)。ここで、特定部116は、算出された不足電力量が0以下であれば不足電力が無いと判定する。特定部116は、不足電力が有ると判定すると(ステップS137:No)、再びステップS132の処理を実行する。一方、特定部116は、不足電力が無いと判定すると(ステップS137:Yes)、後述の図17に示すステップS145の処理が実行される。
【0052】
また、モード管理部115が、ステップS130において、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていないと判定すると(ステップS130:No)、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されていると判定する。そして、過不足算出部119が、図17に示すように、第1消費電力量下限値から予測消費電力量を差し引いて得られる超過電力量を算出する(ステップS138)。次に、特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が存在するか否かを判定する(ステップS139)。特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が存在しないと判定すると(ステップS139:No)、後述のステップS145の処理が実行される。
【0053】
一方、特定部116は、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が存在すると判定すると(ステップS139:Yes)、放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32を特定する。そして、特定部116は、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1が蓄電可能であり、特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であり且つ需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が無いか否かを判定する(ステップS140)。特定部116が、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1が蓄電可能でない、特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が動作中である、または、需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が有ると判定すると(ステップS140:No)、再びステップS139の処理が実行される。ここで、特定部116は、需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が有ると判定した場合、資源情報記憶部135が記憶する制御状態情報の内容を無制御に更新する。
【0054】
一方、特定部116が、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1が蓄電可能であり且つ特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であると判定したとする(ステップS140:Yes)。この場合、指令部117は、前述の充電指令情報を生成して特定した制御装置32へ送信する(ステップS141)。
【0055】
その後、指令部117は、資源情報記憶部135が記憶する制御状態情報の内容を制御に更新する(ステップS142)。次に、過不足算出部119は、資源情報記憶部135が記憶する充電電力情報を参照して、第1消費電力量下限値から予測消費電力量を差し引いて得られる超過電力量から、充電指令情報の送信先の制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の充電電力を差し引くことにより超過電力量を再度算出する(ステップS143)。続いて、特定部116が、算出された超過電力量に基づいて超過電力が無いか否かを判定する(ステップS144)。ここで、特定部116は、算出された超過電力量が0以下であれば超過電力が無いと判定する。特定部116は、超過電力が有ると判定すると(ステップS144:No)、再びステップS139の処理を実行する。一方、特定部116は、超過電力が無いと判定すると(ステップS144:Yes)、全ての対象となる供給エリアについて、供給エリアに所在する需要家施設Hに対応する資源情報を更新したか否かを判定する(ステップS145)。特定部116が、対象となる供給エリアの中に、供給エリアに所在する需要家施設Hに対応する資源情報を未だ更新していない供給エリアが存在すると判定すると(ステップS145:No)、再び図16に示すステップS122の処理が実行される。一方、特定部116が、全ての対象となる供給エリアについて供給エリアに所在する需要家施設Hに対応する資源情報を更新したと判定すると(ステップS145:Yes)、再び図14に示すステップS101の処理が実行される。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態に係る電力管理装置1によれば、所在人数変化量推定部112が、駅における乗車人数および降車人数に基づいて、供給エリア内の所在人数変化量を推定する。また、消費電力量予測部113が、供給エリアにおける所在人数変化量と供給エリアの現時点における現消費電力量とに基づいて、現時点から予め設定された単位期間だけ後の時点における予測消費電力量を算出する。そして、指令部117が、予測消費電力量に基づいて、放電指令情報と充電指令情報とのうちのいずれかを生成して、供給エリアに存在する蓄電装置33、B1の充放電を制御する制御装置32へ送信する。つまり、公共交通機関が保有するサーバ2が管理する駅の乗降者数情報を利用して供給エリア毎にそこに所在する需要家施設Hの居住者の移動を考慮することにより、供給エリアへ供給される予測消費電力量を精度良く予測することができるので、供給エリア内に存在する複数の需要家施設Hへ適切に電力供給を行うことができる。
【0057】
ところで、バス、鉄道等の公共交通機関における交通系ICカードの普及により、駅、バスの停留所での乗降者人数の情報に基づいて、公共交通機関の利用者への課金を行うシステムが広く導入されている。これに伴い、公共交通機関の駅、バスの停留所での乗車人数情報と降車人数情報とが、公共交通機関が管理するサーバ2にリアルタイムに記録されるようになりつつある。そして、ある時間帯における駅、バス停留所の周辺地域に所在する需要家施設Hの居住者の増減は、サーバ2に記録されているその時間帯において駅、バス停留所での乗車人数と降車人数とから推定することができる。ここで、駅、バス停留所における乗車人数が増加することは、駅、バス停留所の周辺地域に存在する需要家施設Hから外出する人が増加していることに相当すると考えられるため、その周辺地域における電力需要が低下すると予測できる。一方、駅、バス停留所における降車人数が増加することは、駅、バス停留所の周辺地域に存在する職場、学校、商業施設等の需要家施設Hに滞在すると考えられるため、その周辺地域の電力需要が増加すると予想される。本実施の形態に係る電力管理装置1は、駅、バス停留所の乗降者人数とその周辺地域の電力需要との相関に着目して、その周辺地域における消費電力量の変化量を推定することにより、その周辺地域における消費電力量を予測する。従って、駅、バス停留所の周辺地域における消費電力量の変化量を精度良く予測することができるという利点がある。
【0058】
また、本実施の形態に係る電力管理装置1は、前述のステップS101からS145までの一連の処理を、予め設定された時間間隔で定期的に到来する指令時期が到来する毎に繰り返すことにより、常時、変電所の変電設備PWから供給される電力の平準化が行われる。このため、変電所から供給エリアへの電力供給の安定化と変電設備PWおよび蓄電装置33、B1を含む電力供給資源の適正化が実現できる。
【0059】
更に、本実施の形態に係るモード管理部115は、消費電力量予測部113が予測した予測消費電力量に基づいて、電力供給モードを切り替える。そして、指令部117は、電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、放電指令情報を制御装置32へ送信し、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、充電指令情報を制御装置32へ送信する。これにより、供給エリアでの予測消費電力量に基づいて、制御装置32がパワーコンディショナ31を適切に制御することができるので、供給エリアにおける電力調整を効果的に行うことができる。
【0060】
また、本実施の形態に係るモード管理部115は、予測消費電力量が第1消費電力量上限値を超えると、電力供給モードを電力抑制モードに設定し、電力供給モードを電力抑制モードに設定した後、予測消費電力量が第2消費電力量上限値を下回ると、電力抑制モードを解除する。また、モード管理部115は、予測消費電力量が第1消費電力量下限値を下回ると、電力供給モードを蓄電要請モードに設定し、電力供給モードを蓄電要請モードに設定した後、予測消費電力量が第2消費電力量下限値を超えると、蓄電要請モードを解除する。これにより、予測消費電力量の突発的な変動に起因して電力供給モードの切り替えが頻繁に実行されることを抑制することができるので、放電指令情報または充電指令情報を適切に制御装置32へ送信することができる。
【0061】
更に、本実施の形態に係る過不足算出部119は、電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、予測消費電力量と第1消費電力量上限値とに基づいて不足電力量を算出し、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、第1消費電力量下限値と予測消費電力量とに基づいて超過電力量を算出する。そして、特定部116は、電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、不足電力量に基づいて、放電指令情報の送信先の制御装置32を特定し、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、超過電力量に基づいて、充電指令情報の送信先の制御装置32を特定する。これにより、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32を1つずつ増加させていき、不足電力量または超過電力量が無くなった時点で、充電指令情報または放電指令情報の制御装置32への送信を停止することができる。従って、放電指令情報または充電指令情報に基づいてパワーコンディショナ31を制御する制御装置32が過度に多くなることを抑制できる。
【0062】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る電力管理システムは、電力管理装置が、供給エリアに設置された発電設備に発電させるための発電指令情報を制御装置へ送信する機能を有する点が実施の形態1に係る電力管理システムと相違する。
【0063】
本実施の形態では、例えば図18に示すように、需要家施設Hの中に、燃料電池のような発電設備2035と、発電設備2035が接続されたパワーコンディショナ2031と、パワーコンディショナ2031の動作を制御する制御装置2032と、が設置された需要家施設Hが存在する。パワーコンディショナ2031は、PVコンバータと双方向AC-DCコンバータとを有し、配電系統PLと蓄電装置B1との間での充放電に加えて、発電設備2035から出力される発電電力を交流電力に変換して配電系統PLへ供給したりする。なお、発電設備2035としては、燃料電池の他に太陽光発電設備であってもよい。
【0064】
電力管理装置2001のハードウェア構成および機能構成は、図2および図3に示す実施の形態1に係るハードウェア構成および機能構成と同様である。以下、電力管理装置2001の各ハードウェア構成および各機能構成については、実施の形態1と同一の符号を用いて説明する。資源情報記憶部135は、例えば図19に示すように、蓄電装置33、コネクタ34または発電設備2035が設置された需要家施設Hの場所を示す設置場所情報、資源種類情報および動作状態を示す動作状態情報を、需要家施設Hを識別する需要家識別情報に対応づけて記憶する。また、資源情報記憶部135は、蓄電装置33、B1の蓄電容量情報、蓄電残量情報、充電電力情報および放電電力情報と、発電設備2035の発電電力を示す発電電力情報と、を記憶する。更に、資源情報記憶部135は、操作情報および制御状態情報を記憶する。
【0065】
特定部116は、需要家施設Hそれぞれに設置された制御装置32の中から、蓄電装置33、B1の放電を指令する放電指令情報、発電設備2035に発電させるよう指令する発電指令情報、または、蓄電装置33、B1の充電を指令する充電指令情報の送信先となる制御装置32、2032を特定する。特定部116は、電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、過不足算出部119が算出した不足電力量に基づいて、放電指令情報、発電指令情報の送信先の制御装置32を特定する。また、特定部116は、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、過不足算出部119が算出した超過電力量に基づいて、充電指令情報の送信先の制御装置32、2032を特定する。
【0066】
指令部117は、電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、供給エリアに存在する蓄電装置33、B1を放電させるための放電指令情報または供給エリアに存在する発電設備2035に発電させるための発電指令情報を生成して、特定部116により特定された制御装置32、2032へ送信する。一方、指令部117は、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、供給エリアに存在する蓄電装置33、B1に充電させるための充電指令情報を生成して、特定部116により特定された制御装置32、2032へ送信する。また、指令部117は、電力供給モードが無制御モードに設定されている場合、供給エリアに存在する蓄電装置33、B1の充放電動作、供給エリアに存在する発電設備2035の発電動作を停止させるための停止指令情報を生成して、特定部116により特定された制御装置32、2032へ送信する。
【0067】
次に、本実施の形態に係る電力管理装置2001が実行する電力管理処理について図20を参照しながら説明する。なお、図20において、実施の形態1で説明した処理と同様の処理については図14から図17と同一の符号を伏している。まず、ステップS101からS126までの一連の処理が実行される。そして、ステップS126において、モード管理部115が、電力供給モードが無制御モードに設定されていないと判定すると(ステップS126:No)、後述のステップS130の処理が実行される。一方、モード管理部115が、電力供給モードが無制御モードに設定されていると判定すると(ステップS126:Yes)、特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32、2032の中に、放電指令情報、発電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32、2032が存在するか否かを判定する(ステップS2127)。特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32、2032の中に放電指令情報、発電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32、2032が存在しないと判定すると(ステップS2127:No)、前述の図17に示すステップS145の処理が実行される。一方、特定部116は、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32、2032の中に、放電指令情報、発電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32、2032が存在すると判定すると(ステップS2127:Yes)、放電指令情報、発電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32、2032を特定する。そして、指令部117は、停止指令情報を生成して特定した制御装置32、2032へ送信する(ステップS2128)。ここで、制御装置32、2032は、停止指令情報を受信すると、パワーコンディショナ31を停止させる。その後、指令部117は、資源情報記憶部135が記憶する制御状態情報の内容を無制御に更新し(ステップS2129)、再びステップS2127の処理が実行される。
【0068】
また、モード管理部115は、ステップS126において、電力供給モードが無制御モードに設定されていないと判定すると(ステップS126:No)、電力供給モードが電力抑制モードに設定されているか否かを判定する(ステップS130)。モード管理部115が、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていないと判定すると(ステップS130:No)、前述の図17に示すステップS138の処理が実行される。一方、モード管理部115が、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていると判定すると(ステップS130:Yes)、過不足算出部119が、予測消費電力量から第1消費電力量上限値を差し引いて得られる不足電力量を算出する(ステップS131)。次に、特定部116が、供給エリアに存在する制御装置32、2032の中に放電指令情報、発電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32、2032が存在するか否かを判定する(ステップS2132)。特定部116が、供給エリアに存在する制御装置32、2032の中に放電指令情報、発電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32、2032が存在しないと判定すると(ステップS2132:No)、前述の図17に示すステップS145の処理が実行される。
【0069】
一方、特定部116は、供給エリアに存在する制御装置32、2032の中に放電指令情報、発電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32、2032が存在すると判定すると(ステップS2132:Yes)、放電指令情報、発電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32、2032を特定する。そして、特定部116は、特定した制御装置32、2032に対応する蓄電装置33、B1の蓄電残量が有り且つ特定した制御装置32、2032が制御するパワーコンディショナ31、2031が停止中であるか否かを判定する(ステップS2133)。ここで、特定部116が、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の蓄電残量が有り且つ特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であると判定したとする(ステップS2133:Yes)。この場合、ステップS134からS137までの一連の処理が実行される。一方、特定部116が、特定した制御装置32、2032に対応する蓄電装置33、B1の蓄電残量が無い、または、特定した制御装置32、2032が制御するパワーコンディショナ31、2031が動作中であると判定したとする(ステップS2133:No)。この場合、特定部116は、発電設備2035がパワーコンディショナ2031に接続され且つ需要家施設Hの居住者による制御装置2032に対する設定操作が無いか否かを判定する(ステップS2146)。特定部116が、発電設備2035がパワーコンディショナ2031に接続されていない、或いは、需要家施設Hの居住者による制御装置2032に対する設定操作が有ると判定すると(ステップS2146:No)、前述の図17に示すステップS145の処理が実行される。ここで、特定部116は、需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が有ると判定した場合、資源情報記憶部135が記憶する制御状態情報の内容を無制御に更新する。
【0070】
一方、特定部116が、発電設備2035がパワーコンディショナ2031に接続されており、需要家施設Hの居住者による制御装置2032に対する設定操作が無いと判定すると(ステップS2146:Yes)、指令部117が、発電指令情報を生成して、特定部116が特定した制御装置2032へ送信する(ステップS2147)。次に、指令部117は、資源情報記憶部135が記憶する制御状態情報の内容を制御に更新する(ステップS2148)。続いて、ステップS136の処理が実行される。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態に係る電力管理装置2001では、指令部117が、予測消費電力量に基づいて、発電指令情報を生成して、供給エリアに存在する発電設備2035を制御する制御装置2032へ送信する。これにより、供給エリア内に発電設備2035が設置された需要家施設Hが存在する場合、その発電設備2035を供給エリア内への電力供給に活用することができる。
【0072】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る電力管理装置は、供給エリアに存在する制御装置へ放電指令情報、発電指令情報または充電指令情報を送信する際、その制御装置で制御される蓄電装置または発電設備を所有する需要家施設に対して、制御装置への指令情報の送信の許可を求めるメッセージ情報を生成する点で実施の形態1、2に係る電力管理装置1、2001と相違する。
【0073】
本実施の形態に係る電力管理システムでは、例えば図21に示すように、電力管理装置3001と、蓄電装置33または自動車V1の所有者が所持する端末装置5と、がネットワークNWを介して通信可能となっている。端末装置5は、例えばスマートフォンのような携帯端末であり、電力管理装置3001からネットワークNWを介して蓄電装置33、B1の使用を許可するか否かを問い合わせるメッセージ情報を受信すると、受信したメッセージ情報を表示部に表示させる。そして、所有者が、メッセージ情報を確認しながら入力部に対して蓄電装置33、B1への放電指令情報または充電指令情報の送信を許可するための操作を行ったとする。この場合、端末装置5は、電力管理装置3001に対して放電指令情報または充電指令情報の送信を許可するための許可通知情報を生成し、生成した許可通知情報を、ネットワークNWを介して電力管理装置1へ送信する。
【0074】
電力管理装置3001のハードウェア構成は、図2に示す実施の形態1に係るハードウェア構成と同様である。以下、電力管理装置3001の各ハードウェア構成については、実施の形態1と同一の符号を用いて説明する。CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み出して実行することにより、図22に示すように、乗降者数情報取得部111、所在人数変化量推定部112、消費電力量予測部113、判定部114、モード管理部115、特定部116、指令部117、過不足算出部119、電力取得部120、資源情報取得部121、メッセージ生成部3022、メッセージ送信部3023および許可通知取得部3024として機能する。なお、図22において実施の形態1と同様の構成については、図3と同一の符号を付している。また、補助記憶部103は、図3に示すように、乗降者数記憶部131と、消費電力量記憶部132と、電力供給モード記憶部133と、基準記憶部134と、資源情報記憶部3135と、を有する。
【0075】
資源情報記憶部3135は、例えば図23に示すように、複数の需要家施設Hそれぞれの居住者が所有する端末装置5を識別する端末情報を、需要家識別情報に対応づけて記憶している。端末情報は、例えば端末装置5に付与されたアドレス情報である。
【0076】
図22に戻って、メッセージ生成部3022は、蓄電装置33または自動車V1を所有する所有者に対して、制御装置32への放電指令情報または充電指令情報の送信の許可を求めるメッセージ情報を生成する。メッセージ送信部3023は、資源情報記憶部3135が記憶する端末情報を参照して、メッセージ生成部3022により生成されたメッセージ情報を、蓄電装置33または自動車V1を所有する所有者が所持する端末装置5へ送信する。
【0077】
許可通知取得部3024は、端末装置5から送信される、前述のメッセージ情報に対応する許可通知情報を取得する。そして、指令部117は、許可通知取得部3024が特定部116により特定された制御装置32への放電指令情報または充電指令情報の送信を許可する許可通知情報を取得すると、放電指令情報または充電指令情報を特定部116により特定された制御装置32へ送信する。
【0078】
次に、本実施の形態に係る電力管理システムの動作について図24を参照しながら説明する。なお、図24において、実施の形態1に係る電力管理システムの動作と同様の処理については図11から図13と同一の符号を付している。
【0079】
実施の形態1で説明したステップS8の処理後、電力管理装置1が、基準記憶部134が記憶する第1消費電力量上限値Pth1を示す情報を参照して、予測消費電力量P[i+1]が第1消費電力量上限値Pth1よりも大きいと判定したとする(ステップS21)。この場合、ステップS22からS27までの一連の処理が実行される。その後、電力管理装置1は、受信した資源情報に含まれる蓄電残量情報および動作状態情報に基づいて、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の蓄電残量が有り、特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であり且つ需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が無いと判定したとする(ステップS28)。この場合、蓄電装置33または自動車V1を所有する所有者に対して、制御装置32への放電指令情報の送信の許可を求めるメッセージ情報が生成され(ステップS3001)、生成されたメッセージ情報が、電力管理装置3001から端末装置5へ送信される(ステップS3002)。一方、端末装置5は、メッセージ情報を受信すると、受信したメッセージ情報を表示部に表示させる。そして、所有者が、端末装置5の表示部に表示されたメッセージ情報を確認しながら、入力部に対して蓄電装置33、B1への放電指令情報の送信を許可するための操作を行ったとする。この場合、端末装置5は、電力管理装置3001に対して放電指令情報の送信を許可するための許可通知情報を生成し(ステップS3003)、生成された許可通知情報が、端末装置5から電力管理装置3001へ送信される(ステップS3004)。そして、電力管理装置3001が許可通知情報を受信すると、パワーコンディショナ31を放電モードで動作させるよう指令する放電指令情報が、電力管理装置1から特定された制御装置32へ送信される(ステップS29)。そして、制御装置32は、放電指令情報を受信すると、パワーコンディショナ31を放電モードで動作させる。
【0080】
次に、本実施の形態に係る電力管理装置3001が実行する監視処理について図25および図26を参照しながら説明する。なお、図25および図26において、実施の形態1で説明した処理と同様の処理については図14から図17と同一の符号を伏している。まず、ステップS101からS126までの一連の処理が実行される。そして、ステップS126において、モード管理部115が、電力供給モードが無制御モードに設定されていると判定すると(ステップS126:Yes)、ステップS127からS129までの一連の処理が実行される。一方、モード管理部115が、電力供給モードが無制御モードに設定されていないと判定すると(ステップS126:No)、電力供給モードが電力抑制モードに設定されているか否かを判定する(ステップS130)。モード管理部115が、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていないと判定すると(ステップS130:No)、図26に示すステップS138の処理が実行される。一方、モード管理部115が、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていると判定すると(ステップS130:Yes)、ステップS131からS133までの一連の処理が実行される。そして、ステップS133において、特定部116が、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1の蓄電残量が有り且つ特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であると判定したとする(ステップS133:Yes)。この場合、メッセージ生成部3022が、前述のメッセージ情報を生成し、メッセージ送信部3023が、生成されたメッセージ情報を特定部116により特定された制御装置32へ送信する(ステップS3151)。次に、許可通知取得部3024は、メッセージ情報を制御装置32へ送信した後の予め設定された待機期間内に許可通知情報を受信したか否かを判定する(ステップS3152)。許可通知取得部3024が、許可通知情報を受信しないと判定すると(ステップS3152:No)、再びステップS131の処理が実行される。一方、許可通知取得部3024が、許可通知情報を受信したと判定すると(ステップS3152:Yes)、指令部117が、放電指令情報を生成して、特定部116により特定された制御装置32へ送信する(ステップS134)。その後、ステップS135からS137までの一連の処理が実行される。
【0081】
また、モード管理部115が、ステップS130において、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていないと判定すると(ステップS130:No)、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されていると判定する。そして、ステップS138からS140までの一連の処理が実行される。そして、ステップS140において、特定部116が、特定した制御装置32に対応する蓄電装置33、B1が蓄電可能であり且つ特定した制御装置32が制御するパワーコンディショナ31が停止中であるとともに、需要家施設Hの居住者による制御装置32に対する設定操作が無いと判定したとする(ステップS140:Yes)。この場合、メッセージ生成部3022が、前述のメッセージ情報を生成し、メッセージ送信部3023が、生成されたメッセージ情報を特定部116により特定された制御装置32へ送信する(ステップS3153)。次に、許可通知取得部3024は、メッセージ情報を制御装置32へ送信した後の予め設定された待機期間内に許可通知情報を受信したか否かを判定する(ステップS3154)。許可通知取得部3024が、許可通知情報を受信しないと判定すると(ステップS3154:No)、再びステップS139の処理が実行される。一方、許可通知取得部3024が、許可通知情報を受信したと判定すると(ステップS3154:Yes)、指令部117が、充電指令情報を生成して、特定部116により特定された制御装置32へ送信する(ステップS141)。その後、ステップS142からS145までの一連の処理が実行される。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態に係る電力管理装置3001では、メッセージ生成部3022が、蓄電装置33、B1を所有する所有者に対して制御装置32への放電指令情報または充電指令情報の送信の許可を求めるメッセージ情報を生成する。また、許可通知取得部3024が、端末装置5からメッセージ情報に対応する許可通知情報を取得する。そして、指令部117は、許可通知取得部3024が許可通知情報を取得すると、放電指令情報または充電指令情報を、特定部116により特定された制御装置32へ送信する。これにより、蓄電装置33、B1の所有者が、蓄電装置33、B1を制御するパワーコンディショナ31を電力管理装置3001から送信される放電指令情報または充電指令情報に基づいて制御させるか否かを選択することができる。従って、蓄電装置33、B1の所有者の利便性を高めることができる。
【0083】
(実施の形態4)
本実施の形態に係る電力管理装置は、第1供給エリアに対応する電力供給モードが電力抑制モードに設定され且つ第1供給エリアへ電力を供給する第1変電所と連系する第2変電所から電力が供給される第2供給エリアに対応する電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、第1供給エリアに存在する特定部により特定された放電指令情報の送信先の制御装置により制御される蓄電装置からへ供給される電力量が不足電力量よりも小さいとき、第2供給エリアに対応する電力供給モードとして設定されている蓄電要請モードを解除する。
【0084】
本実施の形態に係る電力管理システムでは、例えば図27に示すように、電力管理装置4001が、A変電所から供給エリアA1へ供給される電力量と、A変電所と連系するB変電所から供給エリアA2へ供給される電力量とを監視している。ここで、A変電所の変電設備PW1とB変電所の変電設備PW2とは、送電系統PL5を介して電力の授受が可能となっている。電力管理装置4001は、変電設備PW1を管理する変電設備管理装置4から、A変電所から供給エリアA1へ供給される電力量を示す消費電力量情報を取得する。また、電力管理装置4001は、変電設備PW2を管理する変電設備管理装置4004から、B変電所から供給エリアA2へ供給される電力量を示す消費電力量情報を取得する。電力管理装置4001のハードウェア構成および機能構成は、図2および図3に示す実施の形態1に係るハードウェア構成および機能構成と同様である。以下、電力管理装置4001の各ハードウェア構成および各機能構成については、実施の形態1と同一の符号を用いて説明する。
【0085】
次に、本実施の形態に係る電力管理装置4001が実行する電力管理処理について図28から図31を参照しながら説明する。なお、図28から図31において、実施の形態1で説明した処理と同様の処理については図14から図17と同一の符号を伏している。まず、ステップS101からS126までの一連の処理が実行される。そして、ステップS126において、モード管理部115が、電力供給モードが無制御モードに設定されていると判定すると(ステップS126:Yes)、ステップS127からステップS129までの一連の処理が実行される。一方、モード管理部115が、電力供給モードが無制御モードに設定されていないと判定すると(ステップS126:No)、電力供給モードが電力抑制モードに設定されているか否かを判定する(ステップS130)。モード管理部115が、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていないと判定すると(ステップS130:No)、図30に示すステップS138の処理が実行される。一方、モード管理部115が、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていると判定すると(ステップS130:Yes)、過不足算出部119が、不足電力量を算出する(ステップS131)。次に、特定部116が、供給エリアA1に存在する制御装置32の中に放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が存在するか否かを判定する(ステップS132)。特定部116が、供給エリアA1に存在する制御装置32の中に放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が存在すると判定すると(ステップS132:Yes)、ステップS133からS137までの一連の処理が実行される。
【0086】
一方、特定部116は、供給エリアに存在する制御装置32の中に放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が存在しないと判定すると(ステップS132:No)、過不足算出部119が算出した不足電力量に基づいて電力不足が解消したか否かを判定する(ステップS5151)。ここで、特定部116は、不足電力量が0以下であれば、電力不足が解消したと判定する。特定部116が、電力不足が解消したと判定すると(ステップS5151:Yes)、図30のステップS145の処理が実行される。一方、特定部116が、電力不足が解消していないと判定すると(ステップS5151:No)、モード管理部115が、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報を参照して、供給エリアA1に電力を供給する変電所Aと連系する変電所の中に電力供給モードが無制御モードに設定された変電所が有るか否かを判定する(ステップS5152)。モード管理部115が、供給エリアA1に電力を供給する変電所Aと連系する変電所の中に電力供給モードが無制御モードに設定された変電所(例えば変電所B)が有ると判定したとする(ステップS5152:Yes)。この場合、モード管理部115は、変電所Bについての電力供給モードを電力抑制モードに切り替える(ステップS5153)。次に、変電所Bから電力が供給される供給エリアA2に存在する蓄電装置33、B1について、ステップS132からS136までの一連の処理が実行される。
【0087】
一方、モード管理部115が、供給エリアA1に電力を供給する変電所Aと連系する変電所の中に電力供給モードが無制御モードに設定された変電所が無いと判定したとする(ステップS5152:Yes)。この場合、モード管理部115は、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報を参照して、供給エリアA1に電力を供給する変電所Aと連系する変電所の中に電力供給モードが蓄電要請モードに設定された変電所が有るか否かを判定する(ステップS5154)。ここで、モード管理部115が、供給エリアA1に電力を供給する変電所Aと連系する変電所の中に電力供給モードが蓄電要請モードに設定された変電所が有ると判定したとする(ステップS5154:Yes)。この場合、モード管理部115は、図29に示すように、その変電所についての電力供給モードを無制御モードに切り替える(ステップS5155)。続いて、特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32が有るか否かを判定する(ステップS5156)。ここで、特定部116は、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32が有ると判定すると(ステップS5156:Yes)、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32を特定する。そして、指令部117は、停止指令情報を生成して特定した制御装置32へ送信する(ステップS5157)。ここで、制御装置32は、停止指令情報を受信すると、パワーコンディショナ31を停止させる。その後、指令部117は、資源情報記憶部135が記憶する制御状態情報の内容を無制御に更新し(ステップS5158)、再びステップS5156の処理が実行される。一方、特定部116が、供給エリアに所在する需要家施設Hに設置された制御装置32の中に、放電指令情報または充電指令情報の送信先の制御装置32が無いと判定すると(ステップS5156:No)、電力供給モードを無制御モードから電力抑制モードへ切り替える(ステップS5159)。その後、電力抑制モードに切り替えられた供給エリアに存在する蓄電装置33、B1について、図28に示すステップS130からS136までの一連の処理が実行される。
【0088】
また、モード管理部115が、図28に示すステップS130において、電力供給モードが電力抑制モードに設定されていないと判定すると(ステップS130:No)、電力供給モードが蓄電要請モードに設定されていると判定する。そして、過不足算出部119が、超過電力量を算出する(ステップS138)。次に、特定部116が、供給エリアA1に存在する制御装置32の中に放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が存在するか否かを判定する(ステップS139)。特定部116が、供給エリアA1に存在する制御装置32の中に放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が存在すると判定すると(ステップS139:Yes)、ステップS140からS144までの一連の処理が実行される。
【0089】
一方、特定部116は、ステップS139において、供給エリアに存在する制御装置32の中に放電指令情報または充電指令情報の送信先でない制御装置32が存在しないと判定すると(ステップS139:No)、過不足算出部119が算出した超過電力量に基づいて電力超過が解消したか否かを判定する(ステップS5160)。ここで、特定部116は、超過電力量が0以下であれば、電力超過が解消したと判定する。特定部116が、電力超過が解消したと判定すると(ステップS5160:Yes)、ステップS145の処理が実行される。一方、特定部116が、電力超過が解消していないと判定すると(ステップS5160:No)、モード管理部115が、電力供給モード記憶部133が記憶する電力供給モード情報を参照して、供給エリアA1に電力を供給する変電所Aと連系する変電所の中に電力供給モードが無制御モードに設定された変電所が有るか否かを判定する(ステップS5161)。モード管理部115が、供給エリアA1に電力を供給する変電所Aと連系する変電所の中に電力供給モードが無制御モードに設定された変電所が有ると判定したとする(ステップS5161:Yes)。この場合、モード管理部115は、その変電所についての電力供給モードを蓄電要請モードに切り替える(ステップS5162)。続いて、その変電所から電力が供給される供給エリアに存在する蓄電装置33、B1について、ステップS139からS143までの一連の処理が実行される。
【0090】
一方、モード管理部115が、供給エリアA1に電力を供給する変電所Aと連系する変電所の中に電力供給モードが無制御モードに設定された変電所が無いと判定したとすると(ステップS5161:Yes)、そのままステップS145の処理が実行される。
【0091】
ここで、供給エリアA1に電力を供給する変電所Aの電力供給モードと、変電所Aと連系し供給エリアA2に電力を供給する変電所Bの電力供給モードと、の関係について図31を用いて説明する。供給エリアA1に対する電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合において供給エリアA1における電力不足が解消されていないとする。この場合、供給エリアA2に対する電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合、供給エリアA2の電力供給モードは切り替わらず、電力抑制モードで維持される。供給エリアA1に対応する電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合において供給エリアA1における電力不足が解消されていないとする。この場合、供給エリアA2に対応する電力供給モードが無制御モードに設定されている場合、供給エリアA2に対応する電力供給モードが電力抑制モードに切り替わる。供給エリアA1に対応する電力供給モードが電力抑制モードに設定されている場合において供給エリアA1における電力不足が解消されていないとする。この場合、供給エリアA2に対応する電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、供給エリアA2に対応する電力供給モードが無制御モードに切り替わる。供給エリアA1に対応する電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合において供給エリアA1における電力超過が解消されていないとする。この場合、供給エリアA2に対応する電力供給モードが無制御モードに設定されている場合、供給エリアA2に対応する電力供給モードが蓄電要請モードに切り替わる。供給エリアA1に対応する電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合において供給エリアA1における電力超過が解消されていないとする。この場合、供給エリアA2に対応する電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、供給エリアA2に対応する電力供給モードが切り替わらず、蓄電要請モードで維持される。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態に係る電力管理装置4001では、電力管理装置は、供給エリアA1に対応する電力供給モードが電力抑制モードに設定され且つ供給エリアA1へ電力を供給するA変電所と連系するB変電所に対応する供給エリアA2に対応する電力供給モードが蓄電要請モードに設定されている場合、供給エリアA1に存在する蓄電装置33、B1からへ供給される電力量が不足電力量よりも小さいとき、供給エリアA2に対応する電力供給モードとして設定されている蓄電要請モードを解除する。これにより、供給エリアA2へ電力を供給するB変電所から出力される電力を供給エリアA1での電力不足解消に寄与させることができるので、供給エリアA1における電力不足の発生頻度を低減することができる。
【0093】
なお、本実施の形態に係る電力管理システムは、複数のリソースアグリゲータと、複数のリソースアグリゲータを統括するアグリゲーションコーディネータと、を備えるバーチャルパワープラントへ適用することもできる。
【0094】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は前述の各実施の形態によって限定されるものではない。例えば実施の形態3に係る電力管理装置3001において、メッセージ生成部3022が、供給エリアに存在する蓄電装置33、B1を所有する所有者の選択に応じて、メッセージ情報の制御装置32への送信を回避するものであってもよい。
【0095】
本変形例に係る電力管理装置では、例えば図32に示すように、資源情報記憶部3135が、放電指令情報または充電指令情報を制御装置32へ送信する際、制御装置32により制御される蓄電装置33、B1を所有する所有者に対して、放電指令情報または充電指令情報の制御装置32への送信の許可の要否を示す許可要否フラグ情報を記憶するようにすればよい。そして、メッセージ生成部3022は、許可要否フラグ情報が制御装置32への送信の許可が必要であることを示す場合、メッセージ情報を生成し、許可要否フラグ情報が制御装置32への送信の許可が不要であることを示す場合、メッセージ情報の生成を回避するようにしてもよい。
【0096】
本構成によれば、蓄電装置33、B1の所有者の選択に応じて、端末装置5の表示部にメッセージ情報を表示させたり表示させなかったりすることができるので、所有者の利便性を高めることができる。
【0097】
実施の形態3では、電力管理装置3001が、放電指令情報または充電指令情報の制御装置32への送信の許可を示す許可通知情報を端末装置5から取得する例について説明した。但し、これに限らず、例えば制御装置32が、それぞれ、許可通知情報を生成する機能を有し、資源情報要求情報を受信すると、生成した許可通知情報を含む資源情報を電力管理装置3001へ送信するものであってもよい。この場合、電力管理装置3001は、資源情報に許可通知情報が含まれるか否かに応じて、放電指令情報または充電指令情報の制御装置32への送信可否を判定するようにすればよい。
【0098】
また、本開示に係る電力管理装置1、2001、3001、4001の各種機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。この場合、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、プログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)およびMO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、前述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。そして、各機能をOS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを記録媒体に格納してもよい。
【0099】
さらに、搬送波に各プログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(BBS,Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前述の処理を実行できるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示は、変電所から電力を供給する供給エリアに所在する需要家施設に設置された蓄電装置および発電設備を活用した電力調整を行うシステムとして好適である。
【符号の説明】
【0101】
1,2001,3001,4001 電力管理装置、2 サーバ、4,4004 変電設備管理装置、5 端末装置、31,2031 パワーコンディショナ、32,2032 制御装置、33,B1 蓄電装置、34 コネクタ、101 CPU、102 主記憶部、103 補助記憶部、104 通信インタフェース、109 バス、111 乗降者数情報取得部、112 所在人数変化量推定部、113 消費電力量予測部、114 判定部、115 モード管理部、116 特定部、117 指令部、119 過不足算出部、120 電力取得部、121 資源情報取得部、131 乗降者数記憶部、132 消費電力量記憶部、133 電力供給モード記憶部、134 基準記憶部、135,3135 資源情報記憶部、2035 発電設備、3022 メッセージ生成部、3023 メッセージ送信部、3024 許可通知取得部、A1,A2 供給エリア、H 需要家施設、NW ネットワーク、PL 配電系統、PW,PW1,PW2 変電設備、V1 自動車
図1
図2
図3
図4
図5
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