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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】超音波探触子
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
A61B8/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020045806
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021145724
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】井口 陽
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】矢上 弘之
(72)【発明者】
【氏名】山屋 将悟
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-126136(JP,A)
【文献】特開2009-152786(JP,A)
【文献】特開平08-191835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子と、前記超音波振動子を支持するハウジングと、第1電気信号線と、第2電気信号線と、を備える超音波探触子であって、
前記超音波振動子は、
扁平状の圧電体と、
前記圧電体の厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも一方側に積層されている第1電極と、
前記圧電体の前記厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも他方側に積層されている第2電極と、を備え、
前記ハウジングは、
前記第1電気信号線に接続されるとともに前記第1電極に接続される第1導電部材と、
前記第2電気信号線に接続されるとともに前記第2電極に接続される第2導電部材と、を備え
前記第1導電部材は、前記第1電極に対向する第1電極用端子を備え、
前記第2導電部材は、前記第2電極に対向する第2電極用端子を備え、
前記ハウジングは、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材を保持する絶縁性のハウジング本体と、
前記第1電極用端子で形成される底面と前記ハウジング本体で形成される内周面とを有する第1凹部と、
前記第2電極用端子で形成される底面と前記ハウジング本体で形成される内周面とを有する第2凹部と、を備える超音波探触子。
【請求項2】
前記第1電極は、
前記圧電体の前記厚み方向の前記一方側に位置する表面電極層と、
前記圧電体の前記厚み方向の前記他方側に位置する裏面電極層と、
前記表面電極層及び前記裏面電極層を導通させる層間導通部と、を備える、請求項に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記第1電極用端子は、前記圧電体の前記厚み方向の前記他方側で前記第1電極に接続され、
前記第2電極用端子は、前記圧電体の前記厚み方向の前記他方側で前記第2電極に接続される、請求項又はに記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記第1導電部材は、前記第1電気信号線に接続される第1電気信号線用端子を備え、
前記第2導電部材は、前記第2電気信号線に接続される第2電気信号線用端子を備える、請求項1からのいずれか1つに記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記第1電気信号線に接続されるとともに前記第1電気信号線用端子に接触する第1コネクタ導電部材と、
前記第2電気信号線に接続されるとともに前記第2電気信号線用端子に接触する第2コネクタ導電部材と、を有するコネクタを備える、請求項に記載の超音波探触子。
【請求項6】
前記第1電気信号線及び前記第2電気信号線を収容する駆動シャフトを備え、
前記ハウジングは、前記駆動シャフトの外周面に連結される内周面を有するシャフト連結部を備える、請求項1からのいずれか1つに記載の超音波探触子。
【請求項7】
前記駆動シャフト及び前記シャフト連結部は金属製である、請求項に記載の超音波探触子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探触子は、医療用超音波診断装置の超音波の送受信器として利用されている。最近では、カテーテルに超音波探触子を装填して、カテーテルを体内に挿入した状態で超音波診断をすることが行なわれている。
【0003】
特許文献1には、頂部主表面及び底部主表面を有するアクティブトランスジューサエレメントと、頂部主表面上に形成される頂部電極と、底部主表面上に形成される底部電極と、頂部電極に直接電気的に接続される第1リードと、底部電極に導電性ハウジング、導電性ベッド及び導電性バッキングエレメントを介して電気的に接続される第2リードと、を備える超音波探触子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-198425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテーテルに装填される超音波探触子では、患者負担を軽減するため、及び、血管深部などのより細径な体腔への挿入性を高めるため、小型化の要求が高い。
【0006】
超音波探触子の小型化は、圧電体及び一対の電極からなる圧電素子を含む超音波振動子を小型化することで実現できる。しかしながら、超音波振動子を小型化すると、圧電素子も小さくなる。そのため、圧電素子の電極も小さくなり、圧電素子と外部電源とを接続する電気信号線を、圧電素子の電極に接続する作業が困難になる。
【0007】
本開示は、圧電素子に対して電気信号線を接続することが容易となる超音波探触子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様としての超音波探触子は、超音波振動子と、前記超音波振動子を支持するハウジングと、第1電気信号線と、第2電気信号線と、を備える超音波探触子であって、前記超音波振動子は、扁平状の圧電体と、前記圧電体の厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも一方側に積層されている第1電極と、前記圧電体の前記厚み方向において、前記圧電体に対して少なくとも他方側に積層されている第2電極と、を備え、前記ハウジングは、前記第1電気信号線に接続されるとともに前記第1電極に接続される第1導電部材と、前記第2電気信号線に接続されるとともに前記第2電極に接続される第2導電部材と、を備える。
【0009】
本開示の1つの実施形態として、前記第1導電部材は、前記第1電極に対向する第1電極用端子を備え、前記第2導電部材は、前記第2電極に対向する第2電極用端子を備える。
【0010】
本開示の1つの実施形態として、前記第1電極は、前記圧電体の前記厚み方向の前記一方側に位置する表面電極層と、前記圧電体の前記厚み方向の前記他方側に位置する裏面電極層と、前記表面電極層及び前記裏面電極層を導通させる層間導通部と、を備える。
【0011】
本開示の1つの実施形態として、前記第1電極用端子は、前記圧電体の前記厚み方向の前記他方側で前記第1電極に接続され、前記第2電極用端子は、前記圧電体の前記厚み方向の前記他方側で前記第2電極に接続される。
【0012】
本開示の1つの実施形態として、前記ハウジングは、前記第1導電部材及び前記第2導電部材を保持する絶縁性のハウジング本体を備える。
【0013】
本開示の1つの実施形態として、前記ハウジングは、前記第1電極用端子で形成される底面と前記ハウジング本体で形成される内周面とを有する第1凹部と、前記第2電極用端子で形成される底面と前記ハウジング本体で形成される内周面とを有する第2凹部と、を備える。
【0014】
本開示の1つの実施形態として、前記第1導電部材は、前記第1電気信号線に接続される第1電気信号線用端子を備え、前記第2導電部材は、前記第2電気信号線に接続される第2電気信号線用端子を備える。
【0015】
本開示の1つの実施形態として、前記第1電気信号線に接続されるとともに前記第1電気信号線用端子に接触する第1コネクタ導電部材と、前記第2電気信号線に接続されるとともに前記第2電気信号線用端子に接触する第2コネクタ導電部材と、を有するコネクタを備える。
【0016】
本開示の1つの実施形態として、前記第1電気信号線及び前記第2電気信号線を収容する駆動シャフトを備え、前記ハウジングは、前記駆動シャフトの外周面に連結される内周面を有するシャフト連結部を備える。
【0017】
本開示の1つの実施形態として、前記駆動シャフト及び前記シャフト連結部は金属製である。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、圧電素子に対して電気信号線を接続することが容易となる超音波探触子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態としての超音波探触子を含む画像診断用カテーテルと、外部装置と、が接続された状態を示す図である。
図2図1に示す画像診断用カテーテルの先端部における長手方向に平行な断面を示す断面図である。
図3図2に示す超音波探触子における長手方向に平行な断面を示す断面図である。
図4図2に示す超音波探触子を示す斜視図である。
図5図2に示す超音波探触子のハウジングを示す斜視図である。
図6図5とは別の方向から視たときのハウジングを示す斜視図である。
図7図2に示す超音波探触子の超音波振動子を示す斜視図である。
図8図7に示す超音波振動子の圧電素子を示す斜視図である。
図9図2に示す超音波探触子の駆動シャフトアセンブリを分解状態で示す斜視図である。
図10図2に示す超音波探触子の駆動シャフトアセンブリを組立状態で示す斜視図である。
図11】本開示の一実施形態としての超音波探触子を含む画像診断用カテーテルの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示に係る超音波振動子の実施形態について図面を参照して説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0021】
まず、本開示に係る超音波探触子を適用可能な画像診断装置の一例を説明する。図1は、一実施形態としての超音波探触子10(図2参照)を備える画像診断装置100を示す図である。
【0022】
画像診断装置100は、画像診断用カテーテル110と、外部装置120と、を備える。図1では、画像診断用カテーテル110が外部装置120に接続されている状態を示している。図2は、画像診断用カテーテル110の先端部における長手方向Aに平行な断面を示す断面図である。図3は、図2に示す超音波探触子10における長手方向に平行な断面を示す断面図である。図4は、図2に示す超音波探触子10を示す斜視図である。図4では、駆動シャフト13を簡略化して示している。図5は、図2に示す超音波探触子10のハウジング12を示す斜視図である。図6は、図5とは別の方向から視たときのハウジング12を示す斜視図である。図7は、図2に示す超音波探触子10の超音波振動子11を示す斜視図である。図8は、図7に示す超音波振動子11の圧電素子1を示す斜視図である。図9は、図2に示す超音波探触子10の駆動シャフトアセンブリ17を分解状態で示す斜視図である。図10は、図2に示す超音波探触子10の駆動シャフトアセンブリ17を組立状態で示す斜視図である。図10では、駆動シャフト13を簡略化して示している。
【0023】
<画像診断用カテーテル110>
画像診断用カテーテル110は、血管内超音波診断法(Intravascular Ultrasound、略称「IVUS」)に適用される。図1に示すように、画像診断用カテーテル110は、外部装置120に接続されることによって駆動される。より具体的に、本実施形態の画像診断用カテーテル110は、外部装置120の駆動ユニット120aに接続されている。
【0024】
以下、説明の便宜上、画像診断用カテーテル110において、画像診断用カテーテル110の長手方向Aで生体内に挿入される側を「先端側」と記載し、その反対側を「基端側」と記載する。また、画像診断用カテーテル110の基端側から先端側に向かう方向を単に「挿入方向A1」と記載する場合がある。また、画像診断用カテーテル110の先端側から基端側に向かう方向を単に「抜去方向A2」と記載する場合がある。
【0025】
図1に示すように、画像診断用カテーテル110は、挿入部110aと、操作部110bと、を備える。挿入部110aは、画像診断用カテーテル110のうち、生体内に挿入されて使用される部位である。操作部110bは、画像診断用カテーテル110のうち、挿入部110aが生体内に挿入されている状態で、生体外で操作される部位である。本実施形態の画像診断用カテーテル110では、後述する先端側コネクタ42よりも先端側の部分が挿入部110aであり、先端側コネクタ42から基端側の部分が操作部110bである。
【0026】
図1図2に示すように、挿入部110aは、超音波探触子10と、シース20と、を備える。
【0027】
図1に示すように、操作部110bは、内管部材30と、外管部材40と、を備える。内管部材30は、超音波探触子10の基端側の端部を保持している。外管部材40は、シース20の基端側の端部を保持している。詳細は後述するが、内管部材30が外管部材40内を中心軸方向に移動することで、超音波探触子10がシース20内を長手方向Aに移動することができる。また、詳細は後述するが、超音波探触子10の一部である駆動シャフトアセンブリ17は、内管部材30及び外管部材40の内部を通じて、長手方向Aにおいて、挿入部110aの領域のみならず、操作部110bの領域に亘って延在している。つまり、本実施形態の操作部110bは、内管部材30及び外管部材40に加えて、超音波探触子10により一部が構成されている。
【0028】
[超音波探触子10]
図2図4に示すように、超音波探触子10は、超音波振動子11と、ハウジング12と、駆動シャフトアセンブリ17と、を備える。駆動シャフトアセンブリ17は、駆動シャフト13と、第1電気信号線14と、第2電気信号線15と、コネクタ16と、を備える。
【0029】
図7図8に示すように、超音波振動子11は、圧電素子1と、音響整合部材2と、を備える。具体的に、圧電素子1は、扁平状の圧電体3と、この圧電体3の厚み方向Bの少なくとも一方側に積層されている第1電極4と、圧電体3の厚み方向Bの少なくとも他方側に積層されている第2電極5と、からなる。以下、説明の便宜上、少なくとも第1電極4の一部が設けられている、圧電体3の厚み方向Bの一方側を「圧電素子1の表面側」と記載する。また、説明の便宜上、少なくとも第2電極5の一部が設けられている、圧電体3の厚み方向Bの他方側を「圧電素子1の裏面側」と記載する。圧電素子1の表面側とは、超音波の送受信を行う側である。また、圧電素子1の裏面側とは、超音波の送受信を行う側とは反対側である。
【0030】
圧電素子1の圧電体3は、例えば、圧電セラミックシートにより構成される。圧電セラミックシートの材料としては、例えば、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、ニオブ酸リチウムなどの圧電セラミック材料が挙げられる。圧電体3は、圧電セラミック材料ではなく、水晶により形成されていてもよい。
【0031】
圧電素子1の第1電極4及び第2電極5は、例えば、マスク材を用いたイオンプレーティング法、蒸着法、スパッタ法により、圧電体3の厚み方向Bの両面それぞれに電極層として積層させることで形成できる。第1電極4及び第2電極5の材料としては、例えば、銀、クロム、銅、ニッケル、金などの金属や、これら金属の積層体などが挙げられる。
【0032】
本実施形態の第2電極5は、圧電素子1の裏面側のみに形成されている。
【0033】
これに対して、本実施形態の第1電極4は折返し電極により構成されている。具体的に、本実施形態の第1電極4は、表面電極層4aと、裏面電極層4bと、層間導電部4cと、を備える。表面電極層4aは、圧電素子1の表面側に位置する。裏面電極層4bは、圧電素子1の裏面側に位置する。層間導電部4cは、表面電極層4a及び裏面電極層4bを導通させている。換言すれば、本実施形態の第1電極4は、圧電素子1の表面側から裏面側に亘って形成されている。第1電極4を折返し電極とすることで、圧電素子1の裏面側に、第1電極4の裏面電極層4b、及び、第2電極5、を共に配置できる。これにより、第1電極4及び第2電極5それぞれが圧電素子1の別々の面のみに配置されている場合と比較して、第1電気信号線14及び第2電気信号線15と、第1電極4及び第2電極5と、の接続作業を圧電素子1の片面側のみで行うことができるようになる。
【0034】
圧電素子1は厚み方向Bにおいて円弧形状をなす切欠き部1cを備え、切欠き部1cの周縁に沿って層間導電部4cが設けられているが、このような構成に限られない。例えば、圧電素子1は切欠き部1cを備えずに、層間導電部4cが圧電素子1の外周面に沿って設けられてもよい。
【0035】
また、圧電素子1は、第1電極4及び第2電極5が厚み方向Bで重なる部分からなる第1部分1aと、第1部分1aを除く第2部分1bと、を備える。
【0036】
音響整合部材2は、圧電素子1の表面側の一部を覆うように積層されている。より具体的に、本実施形態の音響整合部材2は、圧電素子1の第1部分1aの表面側の全域のみを覆うように積層されているが、この構成に限られず、例えば、圧電素子1の表面側の全域を覆うように積層されていてもよいし、圧電素子1の第1部分1aの表面側の一部のみを覆うように積層されていてもよい。
【0037】
音響整合部材2を設けることにより、被検体への超音波の伝播効率を高めることができる。つまり、本実施形態の音響整合部材2は、超音波の伝播効率を高める音響整合層を構成している。
【0038】
音響整合部材2としての音響整合層は、音響整合層を形成するシート材を圧電素子1に張り合わせる方法、音響整合層を形成する液状の音響整合性材料を塗布して硬化させる方法、などによって形成することができる。音響整合部材2の材料としては、例えば、エポキシ樹脂などの樹脂材料が挙げられる。また、音響整合部材2は、樹脂材料から構成された樹脂層の積層体により構成されていてもよい。
【0039】
図3図4に示すように、ハウジング12は、超音波振動子11を支持している。ハウジング12の基端側は、駆動シャフトアセンブリ17に接続されている。ハウジング12は、長手方向Aに延びる中空棒状をなしている。ハウジング12の外周面には、厚み方向Bに視たときに長方形状をなす開口部12aが設けられている。開口部12aには超音波振動子11が収容されている。超音波振動子11は、圧電素子1の第1部分1aよりも圧電素子1の第2部分1bの方が抜去方向A2に位置するように向けられて配置されている。また超音波振動子11は、圧電素子1の表面側が開口部12aの外側、つまりハウジング12の径方向外側を向くように配置されている。
【0040】
より具体的に、本実施形態のハウジング12は、第1電気信号線14に接続されるとともに圧電素子1の第1電極4に接続される第1導電部材12bと、第2電気信号線15に接続されるとともに圧電素子1の第2電極5に接続される第2導電部材12cと、を備える。第1導電部材12b及び第2導電部材12cの材料としては、例えば、銅、銀、金、ニッケルなどの金属や、これら金属の積層体などが挙げられる。またハウジング12は、第1導電部材12b及び第2導電部材12cを保持する絶縁性のハウジング本体12dと、駆動シャフト13の外周面に連結される内周面を有する金属製のシャフト連結部12eと、を備える。ハウジング本体12dは、例えば、絶縁性のセラミックス又は樹脂で形成される。ハウジング12は、例えば、3次元積層造形(3Dプリンタ)技術を用いて形成される。ハウジング12の外径は、例えば、0.5mm程度である。
【0041】
図3図6に示すように、第1導電部材12bは、第1電極4に対向する第1電極用端子12fを備える。第2導電部材12cは、第2電極5に対向する第2電極用端子12gを備える。第1電極用端子12fは第1電極4の裏面電極層4bに対向している。したがって、第1電極用端子12fは、圧電素子1の裏面側(厚み方向Bの他方側)で第1電極4に接続され、第2電極用端子12gは、圧電素子1の裏面側(厚み方向Bの他方側)で第2電極5に接続される。
【0042】
ハウジング12は、第1電極用端子12fで形成される底面とハウジング本体12dで形成される内周面とを有する第1凹部12hと、第2電極用端子12gで形成される底面とハウジング本体12dで形成される内周面とを有する第2凹部12iと、を備える。第1凹部12h及び第2凹部12iは、厚み方向Bに視たときに円形であるが、この形状に限られない。第1凹部12h及び第2凹部12iは、同じ形状をなしているが、これに限られない。第1凹部12h及び第2凹部12iは、厚み方向Bと長手方向Aとの両方に垂直な幅方向Cに沿って間隔を空けて並んでいる。第1凹部12h及び第2凹部12iは、開口部12aの周縁部に配置されているが、これに限られない。開口部12aにおける幅方向C両側の縁部には、それぞれ、幅方向C内側に張り出す棚状部12jが設けられている。各々の棚状部12jは基端側部分において幅方向C内側への張り出し量が大きくなっている。一方の棚状部12jの基端側部分には第1凹部12hが設けられ、他方の棚状部12jの基端側部分には第2凹部12iが設けられている。両方の棚状部12jの上面は面一に形成されており、当該上面に超音波振動子11が載置されている。
【0043】
第1凹部12h及び第2凹部12iには、導電性接合材18が配置される。例えば、導電性接合材18として塊状の半田、銅又は金を第1凹部12h及び第2凹部12iに配置し、加熱することにより、第1電極4に第1電極用端子12fを接続し、第2電極5に第2電極用端子12gを接続することができる。導電性接合材18として導電性接着剤を用いることも可能である。導電性接合材18は、予め、第1電極4と第1電極用端子12fとのいずれか又は両方に設けておいてもよい。導電性接合材18は、予め、第2電極5と第2電極用端子12gとのいずれか又は両方に設けておいてもよい。
【0044】
第1凹部12h及び第2凹部12iを設けない構成とすることもできる。この場合、例えば、第1電極4と第1電極用端子12fとを接触させ、また、第1電極4と第1電極用端子12fとを接触させたまま、紫外線硬化性樹脂などの接着剤などで超音波振動子11をハウジング12に固定する構成としてもよい。
【0045】
ハウジング本体12dは、長手方向Aに延びる中空棒状をなしている。より具体的に、ハウジング本体12dは、開口部12aを有する筒状の周壁12kと、周壁12kの内部を先端側と基端側とに隔てる隔壁12lと、隔壁12lから超音波振動子11の裏面に沿って先端側に延びる格子部12mと、を備える。隔壁12lには、第1導電部材12bの一部と、第2導電部材12cの一部と、が埋設されている。
【0046】
第1導電部材12bは、第1電気信号線14に接続される第1電気信号線用端子12nを備える。第2導電部材12cは、第2電気信号線15に接続される第2電気信号線用端子12oを備える。第1電気信号線用端子12n及び第2電気信号線用端子12oは、隔壁12lから基端側に露出している。第1電気信号線用端子12n及び第2電気信号線用端子12oは、雌型コネクタとして構成されている。
【0047】
図9図10に示すように、コネクタ16は、第1電気信号線14に接続されるとともに第1電気信号線用端子12nに接触する第1コネクタ導電部材16cと、第2電気信号線15に接続されるとともに第2電気信号線用端子12oに接触する第2コネクタ導電部材16dと、を備える。第1コネクタ導電部材16cは、第1電気信号線用端子12nに接触する第1接触端子16eを備える。第2コネクタ導電部材16dは、第2電気信号線用端子12oに接触する第2接触端子16fを備える。第1コネクタ導電部材16cは、第1電気信号線14に接続される第1接続端子16gを備える。第2コネクタ導電部材16dは、第2電気信号線15に接続される第2接続端子16hを備える。
【0048】
第1接触端子16e及び第2接触端子16fは、雄型コネクタとして構成されている。しかし、このような構成に限られず、例えば、第1接触端子16e及び第2接触端子16fを雌型コネクタとして構成し、第1電気信号線用端子12n及び第2電気信号線用端子12oを雄型コネクタとして構成してもよい。
【0049】
コネクタ16は、第1コネクタ導電部材16c及び第2コネクタ導電部材16dを保持する絶縁性のコネクタ本体16aと、コネクタ本体16aに嵌合する絶縁性のコネクタ蓋部16bと、を備える。コネクタ本体16a及びコネクタ蓋部16bは、例えば、絶縁性のセラミックス又は樹脂で形成される。コネクタ本体16aには、第1コネクタ導電部材16cの一部と、第2コネクタ導電部材16dの一部と、が埋設されている。第1接触端子16e及び第2接触端子16fは、コネクタ本体16aから先端側に露出している。コネクタ本体16a及びコネクタ蓋部16bは、例えば、3次元積層造形(3Dプリンタ)技術を用いて形成される。
【0050】
コネクタ本体16aにコネクタ蓋部16bを嵌合させることで、円盤状部16iと、円盤状部16iから基端側に突出するとともに基端側に向けて縮径する円錐台状の突出部16jと、が形成されている。突出部16jは、管状の駆動シャフト13の先端部の内周面に締り嵌めにより嵌合している。
【0051】
コネクタ本体16aには、突出部16jから円盤状部16iに跨って延びる一対の溝16kが設けられている。各々の溝16kは、突出部16jの基端面に開口している。一方の溝16kの先端部における底面は、第1接続端子16gで形成されている。他方の溝16kの先端部における底面は、第2接続端子16hで形成されている。一方の溝16kには、第1電気信号線14の先端部が配置されている。他方の溝16kには、第2電気信号線15の先端部が配置されている。第1電気信号線14の先端部は、一方の溝16kに締り嵌めにより嵌合している。第2電気信号線15の先端部は、他方の溝16kに締り嵌めにより嵌合している。第1電気信号線14の先端部は、絶縁性の被覆材が除去されて露出した導電体からなる第1接続部14aを備える。第2電気信号線15の先端部は、絶縁性の被覆材が除去されて露出した導電体からなる第2接続部15aを備える。
【0052】
コネクタ蓋部16bは、一対の溝16kに嵌合する一対の凸部16lを備える。一方の凸部16lは、一方の溝16kに嵌合することで、第1接続部14aを第1接続端子16gに押付け、接続している。他方の凸部16lは、他方の溝16kに嵌合することで、第2接続部15aを第2接続端子16hに押付け、接続している。
【0053】
図3に示すように、円盤状部16iの外周面は、ハウジング本体12dの周壁12kの内周面に、隔壁12lよりも基端側で締り嵌めにより嵌合している。ハウジング本体12dの周壁12kの基端部には、シャフト連結部12eが一体に設けられている。シャフト連結部12eは、周壁12kの基端部の内周面上と、周壁12kの基端面上と、に形成されている。ハウジング12は、隔壁12lよりも基端側で、シャフト連結部12e及び周壁12kの内周面上を長手方向Aに延びる位置決め溝12pを備える。コネクタ16の円盤状部16iの外周面には、位置決め凸部16mが設けられている。位置決め凸部16mは位置決め溝12pに嵌合している。コネクタ16の第1接触端子16e(図9参照)は、第1導電部材12bの第1電気信号線用端子12n(図4参照)に締り嵌めにより嵌合している。コネクタ16の第2接触端子16f(図9参照)は、第2導電部材12cの第2電気信号線用端子12o(図4参照)に締り嵌めにより嵌合している。
【0054】
このように、第1電気信号線14は、第1コネクタ導電部材16c、第1導電部材12b及び導電性接合材18を介して第1電極4に接続されている。また、第2電気信号線15は、第2コネクタ導電部材16d、第2導電部材12c及び導電性接合材18を介して第2電極5に接続されている。このように、本実施形態ではハウジング12に設けられた第1導電部材12b及び第2導電部材12cを介して第1電気信号線14及び第2電気信号線15を圧電素子1に接続する構成としているので、第1電気信号線14及び第2電気信号線15を圧電素子1に容易に接続することができる。また本実施形態では、第1凹部12h及び第2凹部12iを設けているので、導電性接合材18を介した接続を容易に行うことができる。また本実施形態では、コネクタ16を設けているので、第1電気信号線14及び第2電気信号線15を第1導電部材12b及び第2導電部材12cに容易に接続することができる。
【0055】
駆動シャフト13は、可撓性を有する管体により構成されている。駆動シャフト13の内部には、超音波振動子11に接続される第1電気信号線14及び第2電気信号線15が配置されている。駆動シャフト13は、軸まわりの巻き方向が異なる2層の金属製のコイルによって構成されている。しかし駆動シャフト13の構成はこれに限られず、例えば、駆動シャフト13は3層以上のコイルによって構成されてもよい。コイルの材料としては、例えば、ステンレス、Ni-Ti(ニッケル・チタン)合金などが挙げられる。このような駆動シャフト13にすることで、第1電気信号線14及び第2電気信号線15を二重らせん状のツイストペアケーブルにより構成しても、シールド性を高めて第1電気信号線14及び第2電気信号線15から発生するノイズによる影響を軽減することができる。
【0056】
金属製の駆動シャフト13の先端部は、同じく金属製のシャフト連結部12eに、例えば金属製の接合材を介して、溶接されている。金属製の接合材としては、例えば半田が挙げられる。このように駆動シャフト13をシャフト連結部12eに溶接することで、駆動シャフトアセンブリ17をハウジング12に強固に連結することができる。しかし、このような構成に限られず、例えば、第1接触端子16e及び第2接触端子16fと第1電気信号線用端子12n及び第2電気信号線用端子12oとの嵌合と、円盤状部16iと周壁12kとの嵌合と、のみによって駆動シャフトアセンブリ17をハウジング12に強固に連結するように構成してもよい。これらの嵌合に加えて、駆動シャフト13と周壁12kとの嵌合も用いることで、駆動シャフトアセンブリ17をハウジング12に強固に連結するように構成してもよい。
【0057】
駆動シャフト13は、内管部材30及び外管部材40の内部を通って、内管部材30の基端部に位置する後述のハブ32まで延在している。つまり、駆動シャフト13は、長手方向Aにおいて、挿入部110aの先端部から操作部110bの基端部まで延在している。
【0058】
図2に示すように、第1電気信号線14及び第2電気信号線15は、駆動シャフト13内に延在しており、超音波振動子11と外部装置120とを電気的に接続している。つまり、第1電気信号線14及び第2電気信号線15は、駆動シャフト13と同様、長手方向Aにおいて、挿入部110aの先端部から操作部110bの基端部まで延在している。第1電気信号線14及び第2電気信号線15は、外径が0mmより大きく0.1mm以下の、可撓性を有する柔軟な細線部材とすることができる。第1電気信号線14及び第2電気信号線15は、例えば、0mmより大きく0.05mm以下の導線と、絶縁材料により形成され、導線の周囲を被覆する被覆材と、により構成可能である。
【0059】
図3図5図6に示すように、格子部12mは、幅方向Cに垂直であり且つ圧電素子1の裏面に沿う方向に延在する複数の縦格子12qと、幅方向Cに延びるとともに複数の縦格子12qの先端部を連結する横格子12rと、を有している。縦格子12qの数は、本実施形態では11個であるが、適宜変更が可能である。図5図6においては1つの縦格子12qのみに符号を付している。複数の縦格子12qの基端部は、隔壁12lに連なっている。複数の縦格子12qは幅方向Cに間隔を空けて並んでいる。各々の縦格子12qは、圧電素子1の裏面に向かって徐々に先細りする先細り形状をなしている。格子部12mと圧電素子1の裏面との間には隙間Gが形成されている。格子部12mは、隔壁12lから、圧電素子1の先端部よりも先端側まで延びている。格子部12mの裏面は面一に形成されている。つまり、全ての縦格子12qの裏面と横格子12rの裏面とは、同一平面に含まれる形状をなしている。格子部12mの裏面形状及び表面形状は、これに限られない。格子部12mは、複数の縦格子12qと横格子12rとを有する構成に限られない。格子部12mを設ける範囲は適宜変更が可能である。格子部12mを設けない構成とすることも可能である。
【0060】
格子部12mの裏面側には、格子部12mと周壁12kとで囲まれる空洞Hが形成されている。周壁12kにおける空洞Hに面する部分には、複数の先細凸部12sで形成される散乱部12tが設けられている。先細凸部12sの数は、本実施形態では11個であるが、適宜変更可能である。図3図6においては、1つの先細凸部12sのみに符号を付している。各々の先細凸部12sは長手方向Aに延びている。各々の先細凸部12sは周壁12kの径方向内側に向かって徐々に先細りしている。散乱部12tは、隔壁12lから、圧電素子1の先端部よりも先端側まで延びている。散乱部12tの形状はこれに限られない。散乱部12tを設ける範囲は適宜変更が可能である。散乱部12tを設けない構成とすることも可能である。
【0061】
ハウジング本体12dの先端部には先端開口12uが設けられている。先端開口12uは空洞Hと隙間Gとにそれぞれ連通している。空洞Hと隙間Gとには、絶縁性の接着材19が充填されている。接着材19は超音波振動子11の表面にまで達しており、これにより超音波振動子11をハウジング本体12dに強固に連結している。接着材19は、例えば、先端開口12uからハウジング本体12d内に入り、隔壁12lの上部と超音波振動子11の基端部との間に設けられた通過口Pを通って超音波振動子11の表面にまで達するようにハウジング本体12d内に導入される。接着材19は空洞Hと隙間Gとに隙間なく充填されることが好ましい。接着材19は、圧電素子1の裏面側から出射される超音波を減衰させる超音波減衰機能を有する材料で構成されることが好ましい。接着材19は、例えば紫外線硬化性樹脂で構成される。
【0062】
格子部12mは、圧電素子1の裏面側から出射される超音波を反射させ減衰させながら複数の縦格子12qの間を通して空洞H内に侵入させる。空洞H内に侵入した超音波は、散乱部12tと格子部12mの裏面とによって繰り返し反射され、空洞H内で減衰される。したがって、圧電素子1の裏面側から出射される超音波を圧電素子1が外乱として受信することを抑制することができる。圧電素子1の裏面側で超音波を減衰させるための構造は、上述したように格子部12m、散乱部12t及び接着材19を用いる構造に限られない。例えば、このような構造に代えて又は加えて、圧電素子1の裏面に超音波減衰機能を備えるバッキング材を設けた構成とすることもできる。バッキング材は、例えば、ゴムや、タングステン粉末などの金属粉末を分散させたエポキシ樹脂など、により構成することができる。
【0063】
[シース20]
図2に示すように、シース20は、第1中空部21a及び第2中空部21bを区画している。第1中空部21aには、超音波探触子10が収容されている。超音波探触子10は、第1中空部21a内において、長手方向Aに進退移動することができる。第2中空部21bには、ガイドワイヤWが挿通可能である。本実施形態では、第2中空部21bを区画する管状のガイドワイヤ挿通部20bが、第1中空部21aを区画する管状の本体部20aの先端部に対して、互いが平行な状態になるように位置している。本体部20a及びガイドワイヤ挿通部20bは、互いに異なる管部材を熱融着等によって接合することで形成可能であるが、このような形成方法に限られない。
【0064】
図1に示すように、本体部20aには、X線が不透過な材料で形成されるX線造影性を有するマーカ22が設けられている。また、ガイドワイヤ挿通部20bにおいても、X線造影性を有するマーカ23(図2参照)が設けられている。マーカ22及び23は、例えば、白金、金、イリジウム、タングステン等のX線不透過性の高い金属コイルにより構成可能である。
【0065】
図1に示すように、シース20の長手方向Aにおいて超音波振動子11が移動する範囲には、超音波の透過性が他の部位に比べて高く形成された窓部24が形成されている。より具体的に、本実施形態の窓部24は、シース20のうち本体部20aに形成されている。
【0066】
本体部20aの窓部24、及び、ガイドワイヤ挿通部20bは、可撓性を有する材料で形成され、その材料は特に限定されない。構成材料としては、例えば、ポリエチレン、スチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリブタジエン、トランスポリイソプレン、フッ素ゴム、塩素化ポリエチレン等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組合せたポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等も使用することができる。
【0067】
本体部20aの窓部24よりも基端側は、窓部24よりも剛性が高い材料によって補強された補強部を有する。補強部は、例えば、樹脂等の可撓性を有する管状部材に、ステンレス製などの金属素線を網目状に編組した補強材が配設されて形成される。上記管状部材は、窓部24と同様の材料によって形成される。
【0068】
シース20の外表面には、湿潤時に潤滑性を示す親水性潤滑被覆層を配置することが好ましい。
【0069】
図2に示すように、シース20の本体部20aの先端部には、第1中空部21aの内部と外部とを連通する連通孔25が形成されている。プライミング時には、この連通孔25を通じて、本体部20a内の気体を排出することができる。
【0070】
[内管部材30及び外管部材40]
図1に示すように、内管部材30は、内管31と、ハブ32と、を備える。内管31は、外管部材40内で進退移動可能に挿入されている。ハブ32は、内管31の基端側に設けられている。
【0071】
図1に示すように、外管部材40は、外管41と、先端側コネクタ42と、基端側コネクタ43と、を備える。外管41は、内管31の径方向外側に位置し、外管41内を内管31が進退移動する。先端側コネクタ42は、シース20の本体部20aの基端部と、外管41の先端部と、を接続している。基端側コネクタ43は、外管41の基端部に設けられ、内管31を外管41内に受容するように構成されている。
【0072】
上述した超音波探触子10の駆動シャフト13、第1電気信号線14及び第2電気信号線15は、シース20の本体部20a、この本体部20aの基端側に接続された外管部材40、及び、この外管部材40に一部が挿入されている内管部材30の基端部に位置するハブ32まで、延在している。
【0073】
上述した超音波探触子10及び内管部材30は、それぞれが一体的に長手方向Aに進退移動するように互いに接続されている。そのため、例えば、内管部材30が、挿入方向A1に向かって押される操作がなされると、内管部材30は、挿入方向A1に向かって、外管部材40内に押し込まれる。内管部材30が挿入方向A1に向かって外管部材40内に押し込まれると、内管部材30に接続されている超音波探触子10がシース20の本体部20a内を挿入方向A1に移動する。逆に、内管部材30が、抜去方向A2に向かって引かれる操作がなされると、内管部材30は、外管部材40内から抜去方向A2に引き出される。内管部材30が外管部材40内から抜去方向A2に引き出されると、内管部材30に接続されている超音波探触子10はシース20の本体部20a内を抜去方向A2に移動する。
【0074】
内管部材30が挿入方向A1へ最も押し込まれたときには、内管部材30の先端部は、外管部材40の先端側コネクタ42付近まで到達する。この際、超音波探触子10の超音波振動子11は、シース20の本体部20aの先端付近に位置する。
【0075】
内管部材30の先端部には、内管部材30が外管部材40よりも先端側に飛び出すことを防止すると共に、内管部材30が最も基端側に引かれたときに外管部材40の基端側に抜け落ちることを防止するストッパ部が設けられている。ストッパ部は、上記機能を実現できる構成であれば特に限定されず、例えば、所定の位置で外管部材40と長手方向Aにおいて突き当たる壁部などにより構成すればよい。
【0076】
内管部材30のハブ32の基端には、外部装置120と機械的及び電気的に接続されるコネクタ部が設けられている。つまり、画像診断用カテーテル110は、内管部材30のハブ32に設けられたコネクタ部により、外部装置120と機械的及び電気的に接続される。より具体的に、超音波探触子10の第1電気信号線14及び第2電気信号線15は、超音波振動子11からハブ32のコネクタ部まで延在しており、ハブ32のコネクタ部が外部装置120に接続された状態で、超音波振動子11と外部装置120とを電気的に接続する。超音波振動子11における受信信号は、ハブ32のコネクタ部を介して外部装置120に送信され、所定の処理を施されて画像として表示される。
【0077】
<外部装置120>
図1に示すように、外部装置120は、駆動シャフト13を回転させるための動力源であるモータ121と、駆動シャフト13を長手方向Aに移動させるための動力源であるモータ122と、を有する。モータ122の回転運動は、モータ122に接続したボールネジ123によって軸方向の運動に変換される。
【0078】
より具体的に、本実施形態の外部装置120は、駆動ユニット120aと、この駆動ユニット120aに有線又は無線で電気的に接続されている制御装置120bと、この制御装置120bが画像診断用カテーテル110から受信した受信信号に基づいて生成した画像を表示可能なモニタ120cと、を備える。本実施形態の上述したモータ121、モータ122及びボールネジ123は、駆動ユニット120aに設けられている。この駆動ユニット120aの動作は、制御装置120bによって制御される。制御装置120bは、CPU及びメモリを含むプロセッサにより構成することができる。
【0079】
外部装置120は、本実施形態で示す構成に限られず、例えば、キーボード等の外部入力部を更に備える構成であってもよい。
【0080】
本開示に係る超音波振動子は上述した実施形態で特定される具体的な構成に限られず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。本実施形態の超音波振動子11では、第1電極4が折返し電極により構成されているが、第1電極4及び第2電極5がいずれも折返し電極ではなく、それぞれ片面のみに積層されている構成であってもよい。また、第1電極4に代えて、第2電極5が折返し電極により構成されていてもよい。但し、本実施形態のように、第1電極4を折返し電極として構成することで、圧電素子1の第1電極4及び第2電極5は、圧電素子1の裏面側で、ハウジング12の第1電極用端子12f及び第2電極用端子12gに接続される。そのため、ハウジング12の構造を簡素化することができ、もって、圧電素子1のための電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0081】
また、上述した実施形態の超音波探触子10は、ハウジング12の第1導電部材12b及び第2導電部材12cに第1電気信号線14及び第2電気信号線15をコネクタ16を介して接続する構成であるが、コネクタ16を用いずに直接接続する構成としてもよい。この場合、例えば、第1電気信号線14の第1接続部14aと第2電気信号線15の第2接続部15aとにそれぞれ半田やその他の導電材のコーティングを施し、それにより硬度を高めた第1接続部14a及び第2接続部15aを、第1導電部材12bの第1電気信号線用端子12nと、第2導電部材12cの第2電気信号線用端子12oと、に直接嵌合させることで接続する構成としてもよい。
【0082】
また、上述した実施形態の超音波探触子10は、イメージングコアとして、血管内超音波診断を可能とする超音波振動子11のみを備える構成であるが、この構成に限られず、例えば、光干渉断層診断(Optical Coherence Tomography、略称「OCT」)を可能とする光送受信部を更に備える構成であってもよい。図11は、超音波振動子11及び光送受信部301を備える超音波探触子310、を備える画像診断用カテーテル410の一部を示す断面図である。図11に示す超音波探触子310は、上述の超音波探触子10と比較して、光干渉断層診断を可能とする構成が付加されている点で異なっている。
【0083】
具体的に、図11に示す超音波探触子310では、ハウジング12内に超音波振動子11に加えて光送受信部301が配置されている。この光送受信部301は、駆動シャフト13内に延在する光信号線302としての光ファイバケーブルから伝送される光(測定光)を連続的に生体管腔内に送信すると共に、生体管腔内の生体組織からの反射光を連続的に受信する。光送受信部301は、受信した反射光を、光信号線302を通じて外部装置120(図1参照)に送信する。外部装置120の制御装置120b(図1参照)は、測定により得られた反射光と、光源からの光を分離することで得られた参照光とを干渉させることで干渉光データを生成する。また、外部装置120の制御装置120bは、生成された干渉光データに基づいて光断層画像を生成し、モニタ120c(図1参照)に表示させる。
【0084】
図11に示すように、駆動シャフト13内において、第1電気信号線14及び第2電気信号線15は、光信号線302の周りに螺旋状に巻き付いており、第1電気信号線14及び第2電気信号線15は互いに平行に延在している。より具体的に、図11に示す第1電気信号線14及び第2電気信号線15は、長手方向Aに延在する光信号線302としての光ファイバケーブルの周囲を二重らせん状に延在している。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示は超音波探触子に関する。
【符号の説明】
【0086】
1:圧電素子
1a:第1部分
1b:第2部分
1c:切欠き部
2:音響整合部材
3:圧電体
4:第1電極
4a:表面電極層
4b:裏面電極層
4c:層間導電部
5:第2電極
10、310:超音波探触子
11:超音波振動子
12:ハウジング
12a:開口部
12b:第1導電部材
12c:第2導電部材
12d:ハウジング本体
12e:シャフト連結部
12f:第1電極用端子
12g:第2電極用端子
12h:第1凹部
12i:第2凹部
12j:棚状部
12k:周壁
12l:隔壁
12m:格子部
12n:第1電気信号線用端子
12o:第2電気信号線用端子
12p:位置決め溝
12q:縦格子
12r:横格子
12s:先細凸部
12t:散乱部
12u:先端開口
13:駆動シャフト
14:第1電気信号線
14a:第1接続部
15:第2電気信号線
15a:第2接続部
16:コネクタ
16a:コネクタ本体
16b:コネクタ蓋部
16c:第1コネクタ導電部材
16d:第2コネクタ導電部材
16e:第1接触端子
16f:第2接触端子
16g:第1接続端子
16h:第2接続端子
16i:円盤状部
16j:突出部
16k:溝
16l:凸部
16m:位置決め凸部
17:駆動シャフトアセンブリ
18:導電性接合材
19:接着材
20:シース
20a:本体部
20b:ガイドワイヤ挿通部
21a:第1中空部
21b:第2中空部
22、23:マーカ
24:窓部
25:連通孔
30:内管部材
31:内管
32:ハブ
40:外管部材
41:外管
42:先端側コネクタ
43:基端側コネクタ
100:画像診断装置
110、410:画像診断用カテーテル
110a:挿入部
110b:操作部
120:外部装置
120a:駆動ユニット
120b:制御装置
120c:モニタ
121:モータ
122:モータ
123:ボールネジ
301:光送受信部
302:光信号線
A:画像診断用カテーテルの長手方向
A1:挿入方向
A2:抜去方向
B:圧電素子の厚み方向
C:幅方向
G:隙間
H:空洞
W:ガイドワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11