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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】電極基板及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20231208BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20231208BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/60
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020051035
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021150577
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】林 宏宜
【審査官】八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-259888(JP,A)
【文献】特開2012-142362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/294254(US,A1)
【文献】特開2011-29634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の第1面に設けられた第1電極パターン及び第2電極パターンと、
第1端子が前記第1電極パターンと電気的に接続され、第2端子が前記第2電極パターンと電気的に接続された少なくとも1つのLEDチップと、
前記第1絶縁層の前記第1面とは反対の第2面側に設けられた反射パターンと、
を有し、
前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとは、間隙によって電気的に分離され、
前記反射パターンは、前記間隙と重なる線状パターンを有し、
前記少なくとも1つのLEDチップは複数のLEDチップから成り、
前記複数のLEDチップは前記間隙に沿って離隔して配置され、前記第1電極パターン及び前記第2電極パターンに並列に接続され、
前記反射パターンは、前記複数のLEDチップの離隔する部分と重なる不連続パターンであ
光装置。
【請求項2】
基板上に設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の第1面に設けられた第1電極パターン及び第2電極パターンと、
第1端子が前記第1電極パターンと電気的に接続され、第2端子が前記第2電極パターンと電気的に接続された少なくとも1つのLEDチップと、
前記第1絶縁層の前記第1面とは反対の第2面側に設けられた反射パターンと、
を有し、
前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとは、間隙によって電気的に分離され、
前記反射パターンは、前記間隙と重なる線状パターンを有し、
前記基板と前記反射パターンとの間に少なくとも1つのトランジスタが設けられ、
前記少なくとも一つのトランジスタは前記反射パターンと重な
光装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのLEDチップは複数のLEDチップから成り、
前記複数のLEDチップは前記間隙に沿って離隔して配置され、前記第1電極パターン及び前記第2電極パターンに並列に接続されている
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1電極パターン及び前記第2電極パターンは帯状のパターンであり、前記間隙はスリット状である
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1電極パターン、前記第2電極パターン、及び前記反射パターンにより光反射面が形成される
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
少なくとも一つの画素が設けられた表示部を有し、
前記画素は、前記第1電極パターン、前記第2電極パターン、及び前記反射パターンを含む
請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1電極パターン及び前記第2電極パターンは矩形状のパターンであり、
前記第1電極パターン及び前記第2電極パターンの長手方向に隣接する第3電極パターン及び第4電極パターンを有し、
前記第3電極パターンと前記第4電極パターンとは第2間隙によって電気的に分離され、
前記第2電極パターンと前記第3電極パターンとを電気的に接続する配線パターンを有する
請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
基板上に設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の第1面に設けられた第1電極パターン及び第2電極パターンと、
前記第1絶縁層の前記第1面とは反対側の第2面側に設けられた反射パターンと、
を有し、
前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとは、間隙によって電気的に分離され、
前記反射パターンは、前記間隙と重なる線状パターンを有し、
前記反射パターンは、不連続パターンであ
極基板。
【請求項9】
基板上に設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の第1面に設けられた第1電極パターン及び第2電極パターンと、
前記第1絶縁層の前記第1面とは反対側の第2面側に設けられた反射パターンと、
を有し、
前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとは、間隙によって電気的に分離され、
前記反射パターンは、前記間隙と重なる線状パターンを有し、
前記基板と前記反射パターンとの間に少なくとも1つのトランジスタが設けられ、
前記少なくとも一つのトランジスタは前記反射パターンと重な
極基板。
【請求項10】
前記第1電極パターン及び前記第2電極パターンは帯状のパターンであり、前記間隙はスリット状である
請求項8又は9に記載の電極基板。
【請求項11】
前記第1電極パターン、前記第2電極パターン、及び前記反射パターンにより光反射面が形成される
請求項8乃至10のいずれか一項に記載の電極基板。
【請求項12】
前記第1電極パターン及び前記第2電極パターンは矩形状のパターンであり、
前記第1電極パターン及び前記第2電極パターンの長手方向に隣接する第3電極パターン及び第4電極パターンを有し、
前記第3電極パターンと前記第4電極パターンとは第2間隙によって電気的に分離され、
前記第2電極パターンと前記第3電極パターンとを電気的に接続する配線パターンを有する
請求項乃至11のいずれか一項に記載の電極基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が実装された発光装置の配線及び反射板の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の光源として発光ダイオード(LED)が用いられている。例えば、液晶表示装置のバックライトにLEDチップが用いられている。また、LEDチップで画素を形成した表示装置の開発が進められている。LEDには、ミニLED、マイクロLEDと呼ばれる微細なベアチップ状のものがあり、これらは一対の電極表面に導電ペースト等を用いて直接実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-029634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1には、LEDチップのアノードとカソードがそれぞれ接続される一対の幅広の電極パターンと、この一対の電極パターンに接続される細線状の配線パターンが開示されている。しかし、LEDチップから放射される光に指向性がないため、特許文献1に開示される電極及び配線の形状では光の有効利用が図れないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る発光装置は、基板上に設けられた第1絶縁層と、第1絶縁層の第1面に設けられた第1電極パターン及び第2電極パターンと、第1端子が第1電極パターンと電気的に接続され、第2端子が第2電極パターンと電気的に接続された少なくとも1つのLEDチップと、第1絶縁層の第1面とは反対の第2面側に設けられた反射パターンと、を有する。第1電極パターンと第2電極パターンとは、間隙によって電気的に分離され、反射パターンは、間隙と重なる線状パターンを有する。
【0006】
本発明の一実施形態に係る電極基板は、基板上に設けられた第1絶縁層と、第1絶縁層の第1面に設けられた第1電極パターン及び第2電極パターンと、第1絶縁層の第1面とは反対の第2面側に設けられた反射パターンと、を有する。第1電極パターンと第2電極パターンとは、間隙によって電気的に分離され、反射パターンは、間隙と重なる線状パターンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
図2図1において示す領域300の構造を示す展開図である。
図3図1において示す領域302の構造を説明する図であり、(A)は第1電極パターン及び第2電極パターンを示し、(B)は反射パターンを示す。
図4図1において示すA-B線に沿った構造を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る発光装置の反射パターンが形成される層の構造を示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る発光装置の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る発光装置のLEDアレイの等価回路を示す。
図8】本発明の一実施形態に係る発光装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0009】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、断面視において、基板に対して第1電極パターン及び第2電極パターンが設けられる方向を「上」、「上方」、「上面」又は「上面側」というものとし、その逆を「下」、「下方」、「下面」又は「下面側」というものとする。
【0010】
本発明の一実施形態において、マイクロLEDとは、チップサイズが数マイクロメートル以上、100μm以下、ミニLEDとは、チップサイズが100μm以上のものをいう。本発明の一実施形態はいずれのサイズのLEDも用いることができ、発光装置の用途及び形態に応じて適宜使い分けることができる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る発光装置100の構成を図1に示す。発光装置100は、第1電極パターン202、第2電極パターン204、及び反射パターン208aが設けられた電極基板102を含む。発光装置100は、この電極基板102にLEDチップ200が実装された構造を有する。
【0012】
第1電極パターン202及び第2電極パターン204は、絶縁表面に隣接して配置されている。第1電極パターン202と第2電極パターン204との間には、両者を電気的に分離するスリット状の間隙(又は溝)206aが設けられている。第1電極パターン202及び第2電極パターン204は、例えば、図示されるように一定の幅を有し、平面視において矩形状のパターンで形成される。スリット状の間隙206aは、第1電極パターン202及び第2電極パターン204に沿って設けられる。反射パターン208aは、スリット状の間隙206aのパターンと重なるように設けられる。絶縁表面は、図示されない絶縁層によって形成される。第1電極パターン202及び第2電極パターン204は、図示されない絶縁層の第1面側に設けられ、反射パターン208aは、図示されない絶縁層の第1面とは反対の第2面側に設けられる。第1電極パターン202及び第2電極パターン204と、反射パターンとは、図示されない絶縁層によって電気的に絶縁されている。
【0013】
LEDチップ200は、第1端子(例えば、アノード)及び第2端子(例えば、カソード)を有する2端子素子である。LEDチップ200は、例えば、第1端子が第1電極パターン202と電気的に接続され、第2端子が第2電極パターン204と電気的に接続される。第1電極パターン202及び第2電極パターン204は、LEDチップ200と電気的に接続されることから、単に電極とみなすこともできる。少なくとも1つのLEDチップ200と第1電極パターン202及び第2電極パターン204との電気的な接続には、導電性部材(例えば、カーボンペースト、銀ペースト、半田等)が用いられている。少なくとも1つのLEDチップ200は、複数のLEDチップから成っていてもよい。複数のLEDチップ200は、図1に示すように、第1電極パターン202と第2電極パターン204によって並列に接続される。別言すれば、第1電極パターン202及び第2電極パターン204が矩形パターンであるとき、その長手方向に沿って複数のLEDチップ200が実装される。複数のLEDチップ200は、発光装置100を面光源とみたとき、発光強度が均一になるように離隔して配置されていることが好ましい。
【0014】
図1に示す領域300に示すように、電極基板102は、第1電極パターン202及び第2電極パターン204に隣接して第3電極パターン210及び第4電極パターン212を含む。第1電極パターン202及び第2電極パターン204が矩形状のパターンであるとき、第3電極パターン210及び第4電極パターン212は、その長手方向に隣接して配置される。第3電極パターン210と第4電極パターン212とは、スリット状の間隙206bによって電気的に分離され、スリット状の間隙206bと重なるように反射パターン208bが設けられている。発光装置100は、このような第3電極パターン210及び第4電極パターン212に対しても、複数のLEDチップが実装された構造を有する。
【0015】
図1に示すように、電極基板102は、第2電極パターン204と第3電極パターン210とが配線パターン214によって電気的に接続された構造を有する。別言すれば、第2電極パターン204及び第3電極パターン210は、配線パターン214を含み連続する導電パターンとして形成される。この連続する第2電極パターン204及び第3電極パターン210に対し、第1電極パターン202はスリット状の間隙206aによって電気的に分離され、第4電極パターン212はスリット状の間隙206bによって電気的に分離されている。
【0016】
領域300として示すように、発光装置100は、複数のLEDチップが直並列に接続された構造を有する。図1に示す例では、領域300において、並列に接続された4つのLEDチップ200の2組が、直列に接続された構造を有する。発光装置100は、さらに、このような直並列に接続されたアレイが、複数個並列に配置された構成を有する。この構造において、第1電極パターン202及び第3電極パターン210は、隣接する行の電極パターンとはスリット状の間隙206cによって電気的に絶縁され、第2電極パターン204及び第4電極パターン212は、隣接する行の電極パターンとはスリット状の間隙206dによって電気的に絶縁されている。電極基板102は、このスリット状の間隙206c、206dと重なる領域に反射パターン208c、208dが設けられている。発光装置100は、このような電極パターンとLEDチップの実装構造を有することで、面状の光源を形成することができ、面内の発光強度の均一性を高めることができる。
【0017】
さらに、図1に示すように、発光装置100は、第1電極パターン202、第2電極パターン204、第3電極パターン210、及び第4電極パターン212が矩形状であり、スリット状の間隙206a、206b、206c、206dの部分を除いて絶縁表面の略全面に広がって設けられる。発光装置100は、このような幅広の電極パターンを設け、スリット状の間隙で分離することで、LEDチップから放射された光を反射する反射面の面積を大きくすることができる。さらに、スリット状の間隙206a、206b、206c、206dに重ねて反射パターン208a、208b、208c、208dが設けられることにより、スリット状の間隙の部分も反射面とすることができ、LEDチップ200から放射された光の有効利用を図ることができる。すなわち、LEDチップ200から放射された光が、第1電極パターン202と第2電極パターン204とを分離するスリット状の間隙206aから下方に漏れてしまう光を反射パターン208aで反射して光の有効利用を図ることができる(他の電極パターンとスリット状の間隙についても同様である)。
【0018】
図2は、図1において示す領域300の構造を示す展開図である。図2に示すように、電極基板102は、少なくとも第1電極パターン202及び第2電極パターン204が形成された第1の層と、反射パターン208a、208bが形成された第2の層を含む。第1電極パターン202及び第2電極パターン204は、第1絶縁層252の第1面に設けられる。第1電極パターン202と第2電極パターン204とは、第1絶縁層252上に形成されたスリット状の間隙206aによって分離された構造を有する。第1絶縁層252の第1面には、また、第3電極パターン210及び第4電極パターン212が設けられる。第3電極パターン210と第4電極パターン212は、スリット状の間隙206bによって分離された構造を有する。図1を参照して説明したように、第2電極パターン204と第3電極パターン210とは、配線パターン214によって接続されている。
【0019】
反射パターン208a、208bは、第1絶縁層252の第1面と反対の第2面側に配置される。別言すれば、電極基板102を第1電極パターン202及び第2電極パターン204側から平面視したとき、反射パターン208a、208bは下層側に設けられる。さらに別言すれば、第1電極パターン202及び第2電極パターン204が形成される第1の層に対し、反射パターン208a、208bが形成される第2の層は下層側に配置される。反射パターン208a、208bは、第1絶縁層252の第2面側に設けられる。反射パターン208aはスリット状の間隙206aと重なる領域に設けられ、反射パターン208bはスリット状の間隙206bと重なる領域に設けられる。
【0020】
図3(A)は、図1において示す領域302における第1電極パターン202及び第2電極パターン204の平面図を示し、図3(B)は領域302における反射パターン208の平面図を示す。図3(A)に示すように、第1電極パターン202と第2電極パターン204は、スリット状の間隙206aにより分離されている。第1電極パターン202は矩形状(長方形状、帯状ということもできる)の電極パターンから連続して配線パターン214aが設けられ、第2電極パターン204には配線パターン214bが設けられている。
【0021】
また、図3(A)は、第1電極パターン202の短手方向に隣接して(隣接する行の電極パターンとして)、第5電極パターン216及び第6電極パターン218が配置される態様を示す。第5電極パターン216と第6電極パターン218とは、スリット状の間隙206eによって電気的に分離された構造を有し、また、第1電極パターン202と第6電極パターン218とは、スリット状の間隙206cによって電気的に分離された構造を有する。
【0022】
図3(b)に示すように、反射パターン208aは、複数のLEDチップ200が実装される領域に重なる領域には設けられていなくてもよい。別言すれば、反射パターン208c、208dが連続する線状のパターンであるのに対し、反射パターン208aは、複数のLEDチップ200が実装される領域に重なる領域には設けられていない。すなわち、反射パターン208a、208bは、複数のLEDチップ200と重なる領域において、離散的なパターンを含む。離散的なパターンにより反射パターン208aが形成されることにより、製造工程中の静電気による不良発生が低減できる。ただし、反射パターン208aは複数のLEDチップ200に重なるように配置されていてもよい。反射パターン208aがLEDチップ200に重なるように設けることで、LEDチップ200の直下に出射される光も反射パターン208aにより光の有効利用を図ることができる。
【0023】
このような構成を有する電極基板102は、基板250上に設けられる。なお、図2では、第1電極パターン202及び第2電極パターン204と、反射パターン208aとの間に第1絶縁層252が介在する態様を示すが、絶縁層の層数は1層に限定されず、複数の絶縁層が介在していてもよい。
【0024】
図2は、また、複数のLEDチップ200が実装された発光装置100の構成を示す。図示されるように、複数のLEDチップ200は、第1電極パターン202及び第2電極パターン204、並びに第3電極パターン210及び第4電極パターン212上に設けられる。発光装置100は、複数のLEDチップ200の発光を制御する回路(制御回路、又は駆動回路とも呼ばれることがある)が含まれていてもよい。この制御回路は基板250上に設けられる。制御回路は、トランジスタ(具体的には、薄膜トランジスタ)等を含む回路素子によって形成される。図2は、この回路素子が形成された回路素子層110が、基板250上に設けられる態様を示す。
【0025】
図4は、図1に示すA-B線に沿った断面構造を示す。図4に示すように、第1電極パターン202、第2電極パターン204が、第1絶縁層252の第1面に設けられる。第1電極パターン202及び第2電極パターン204は、アルミニウム、銅、銀、ニッケルなどの金属材料で形成される。また、第1電極パターン202及び第2電極パターン204は、複数の導電膜が積層されて形成されてもよい。例えば、第1電極パターン202及び第2電極パターン204は、第1導電層222と第2導電層223が積層されて形成されてもよい。第1導電層222が、酸化インジウム錫(ITO:Indium Thin Oxide)、酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)等の導電性を有する金属酸化物膜で形成され、第2導電層223が、アルミニウム(Al)等の金属膜で形成されてもよい。このような構成によれば、第1電極パターン202及び第2電極パターン204は、第2導電層223によって低抵抗化が可能であり、反射面として高い光反射率を実現し、第1導電層222によって第2導電層223の剥離を防止することができる。また、反射パターン208aも、第1電極パターン202及び第2電極パターン204と同様の材料、及び同様の構造で形成することができる。
【0026】
第1電極パターン202及び第2電極パターン204の上には保護層256が設けられていてもよい。保護層256は透明な無機絶縁材料又は有機絶縁材料の薄膜で形成される。無機絶縁材料の薄膜としては、酸化シリコン、窒化シリコン等が用いられ、有機絶縁材料としてはアクリル、ポリイミド等が用いられる。このような保護層256を設けることで、電極パターンを保護することができる。
【0027】
LEDチップ200は、導電性部材220によって第1電極パターン202及び第2電極パターン204に電気的に接続される。LEDチップ200はベアチップの形態を有し、図示されないバンプの表面に導電性部材が接するように設けられる。保護層256には、第1電極パターン202及び第2電極パターン204を露出させる開口部221が設けられる。
【0028】
反射パターン208aは、第1絶縁層252の第2面側(電極パターンが設けられる第1面とは反対側の面)に設けられる。例えば、反射パターン208aは、回路素子層110に含まれる絶縁層の上面に設けられる。反射パターン208aの下層側には回路素子層110が設けられる。回路素子層110は、複数の絶縁層、配線及び電極を形成する金属膜のパターン、トランジスタ等の素子を形成する半導体膜のパターンを含む。反射パターン208aは、回路素子層110に含まれる回路素子224を覆うように設けられていてもよい。LEDチップ200より放射された光は反射パターン208aで遮光されるため、回路素子224に入射する光が遮断される。例えば、回路素子224がトランジスタである場合、反射パターン208aによって光が遮断されることにより、動作特性の変動を防止することができる。このように、反射パターン208aは、スリット状の間隙206aを通過する光を反射する反射鏡としての機能と、回路素子層110に入射する光(主としてLEDチップから法放射される光)に対する遮光膜としての機能を有する。
【0029】
なお、反射パターンを、回路素子層110の略全面を覆うようなベタ膜で形成することは遮光性の観点からは好ましいが、回路動作の観点からは必ずしも好ましいとはいえない。反射パターンがベタ膜であると、回路素子層110に含まれる配線、電極との間に寄生容量が生じてしまい、消費電力の増加、回路動作の遅延を来す。したがって、図2及び図3(B)に示すように、反射パターン208aは、細線状のパターンで形成することが好ましい。
【0030】
図5に示すように、反射パターン208を形成する金属層を用いて、反射パターン208と同層に第1配線226、第2配線228が設けられてもよい。第1配線226及び第2配線228は、第1絶縁層252にコンタクトホールを設けることで第1面側に設けられる電極パターンと電気的に接続することが可能である。そのため、第1配線226をLEDチップ200の第1端子側の配線(例えば、アノード配線)として用いることができ、第2配線228をLEDチップ200の第2端子側の配線(例えば、カソード配線)として用いることができる。このように、反射パターン208を形成する金属層を用いて、配線の多層化を図ることができる。
【0031】
図6は、本発明の一実施形態に係る発光装置100の一例を示す。図6に示す発光装置100は直下型のバックライトとして用いることのできる構成を有する。発光装置100は、発光部112が複数のLEDアレイ114によって構成されている。複数のLEDアレイ114は、電源回路120に接続され、制御回路118により発光が制御される。また、複数のLEDアレイ114のそれぞれは、スイッチング素子230により偶数行及び奇数行ごとに発光状態が制御される。
【0032】
図7は、LEDアレイ114の等価回路を示す。LEDアレイ114は複数のサブアレイ116を含む。サブアレイ116は並列に接続された4つのLEDチップ200が4段直列に接続された構成を有する。LEDアレイ114は、このようなサブアレイ116が行毎に配置されている。サブアレイ116はスイッチング素子230を介して電源線と接続されている。図7は、奇数行のサブアレイ116が電源線VDD_1及び電源線VSSと接続され、偶数行のサブアレイ116が電源線VDD_2及び電源線VSSと接続される例を示す。電源線VDD_1及び電源線VDD_2の電源電圧は同じであってもよいし異なっていてもよい。図7に示す回路構成によれば、偶数行のみ、奇数行のみ、又は偶数行及び奇数行の両方のLEDチップ200を点灯させることができ、スイッチング素子230の制御により発光強度を変えることができる。
【0033】
図6及び図7に示す発光装置100のLEDアレイ114は、図1に示す電極パターン及び反射パターンを備えた構造によって実現することができる。本実施形態によれば、LEDアレイ114が図1に示す電極パターン(第1電極パターン202、第2電極パターン204)及び反射パターン208を備えることにより、LEDチップ200から放射される光の利用効率を高めることができ、発光装置100の消費電力を削減することができる。なお、図6に示す発光装置100の構成、及び図7に示すLEDアレイ114の等価回路は一例であり、本発明の一実施形態に係る発光装置100は、これに限定されるものではない。
【0034】
図8は、本発明の一実施形態に係る発光装置101を示す。図8に示す発光装置101は表示部122を有し、画像を表示する機能を有する。表示部122は複数の画素124を含む。画素124は、走査線駆動回路126から走査信号が入力され、データ線駆動回路128からビデオ信号が入力される。画素124は、LEDアレイ132、選択トランジスタ133、駆動トランジスタ134を含む。LEDアレイ132は、図1に示す電極パターン及び反射パターンを備えている。画素124の発光は、選択トランジスタ133及び駆動トランジスタ134によって制御される。本実施形態によれば、画素124を構成するLEDアレイ132が、図1に示す電極パターン(第1電極パターン202、第2電極パターン204)及び反射パターン208を備えることにより、LEDチップ200から放射される光の利用効率を高めることができ、発光装置101の消費電力を削減することができる。なお、図8に示す画素124の構成は一例であり、本発明の一実施形態に係る発光装置101は、これに限定されるものではない。例えば、選択トランジスタ133及び駆動トランジスタ134に加え、画素の動作を制御する他のトランジスタが追加されてもよい。なお、図8に示す画素の構成等が一例であり、本発明の一実施形態に係る発光装置101はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0035】
100、101・・・発光装置、102・・・電極基板、110・・・回路素子層、112・・・発光部、114・・・LEDアレイ、116・・・サブアレイ、118・・・制御回路、120・・・電源回路、122・・・表示部、124・・・画素、126・・・走査線駆動回路、128・・・データ線駆動回路、130・・・端子部、132・・・LEDアレイ、133・・・選択トランジスタ、134・・・駆動トランジスタ、200・・・LEDチップ、202・・・第1電極パターン、204・・・第2電極パターン、206・・・間隙、208・・・反射パターン、210・・・第3電極パターン、212・・・第4電極パターン、214・・・配線パターン、216・・・第5電極パターン、218・・・第6電極パターン、220・・・導電性部材、221・・・開口部、222・・・第1導電層、223・・・第2導電層、224・・・回路素子、226・・・第1配線、228・・・第2配線、230・・・スイッチング素子、250・・・基板、252・・・第1絶縁層、254・・・第2絶縁層、256・・・保護層、300・・・領域、302・・・領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8