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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】温度制御ローラ、輸送構成及び真空構成
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/56 20060101AFI20231208BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20231208BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
C23C14/56 D
C23C14/34 J
F16C13/00 C
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020052215
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2020159552
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】10 2019 107 719.2
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518105116
【氏名又は名称】フォン アルデンヌ アセット ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ ウェーナー
(72)【発明者】
【氏名】トマス プンシュ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ザーン
(72)【発明者】
【氏名】トマス ニーデルハウゼン
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-088663(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02326647(GB,A)
【文献】国際公開第2013/076922(WO,A1)
【文献】特開平01-152262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259466(US,A1)
【文献】国際公開第2011/093073(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
C23C 16/00-16/56
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングプロセス中に基板の温度制御及び輸送を行うための温度制御ローラであって、
複数の気体出口開口を有する円筒状のローラシェルと、
前記ローラシェルに熱エネルギを供給し且つ/或いは該ローラシェルから熱エネルギを抽出するように構成される温度制御デバイスと、
当該温度制御ローラの回転軸に沿って延びる複数の気体ラインと、
前記複数の気体ラインと前記複数の気体出口開口とを気体伝導式に互いに連結する気体分配構造とを有し、
前記気体分配構造は、複数の層を含み、前記複数の層のうちの1つの層は、前記複数の気体ラインを前記複数の気体出口開口に気体伝導式に接続する穿孔をそれらの間に形成する鋼フィラメントのメッシュ構造を含み、
前記気体分配構造は、前記ローラシェルよりも低い構造面積密度及び/又は前記ローラシェルよりも大きい導電率を有する、
温度制御ローラ。
【請求項2】
前記構造面積密度は、気体伝導開口を表す、請求項1に記載の温度制御ローラ。
【請求項3】
前記気体分配構造は、前記複数の層のうちの別の1つの層である多孔性層を更に含む、請求項1又は2に記載の温度制御ローラ。
【請求項4】
前記複数の層のうちの少なくとも1つの層は、それらの構造面積密度において前記複数の層のうちの別の1つの層と異なる、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラ。
【請求項5】
前記気体分配構造は、複数の円周方向チャネルを有し、該複数の円周方向チャネルの各円周方向チャネルは、前記複数の気体ラインをガス伝導式に互いに連結する、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラ。
【請求項6】
前記複数の円周方向チャネルの各円周方向チャネルは、前記回転軸の周りで長手方向に延びる、請求項5に記載の温度制御ローラ。
【請求項7】
前記メッシュ構造、気体分配層を含み、前記穿孔は、前記メッシュ構造の構造面積密度を画定する、請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラ。
【請求項8】
前記ローラシェルは、前記構造面積密度における勾配を有する、請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラ。
【請求項9】
前記ローラシェルは、誘電性である、請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラ。
【請求項10】
前記温度制御デバイスは、温度制御流体を収容するキャビティを有する円筒状のハウジングを有する、請求項1乃至9のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラ。
【請求項11】
前記気体分配構造内に電位を取り込むために前記気体分配構造に導電式に接続される接触構成も有する、請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラ。
【請求項12】
前記気体分配構造は、互いに電気的に絶縁され、導電性である、複数のセグメントを有する、請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラ。
【請求項13】
前記気体分配構造は、異方性の導電性を有する、請求項1乃至12のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラ。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラと、
2つの循環偏向ローラとを有し、該2つの循環偏向ローラは、それらの間に前記温度制御ローラによって循環式に基板を巻き付けるように構成される、
輸送構成。
【請求項15】
請求項14に記載の輸送構成と、
前記温度制御ローラによって輸送される基板を処理する処理源とを有する、
真空構成。
【請求項16】
請求項1乃至13のうちのいずれか1項に記載の温度制御ローラによって循環式に基板を巻き付けるステップと、
前記温度制御ローラと前記基板との間に気体を導入するステップと、
前記基板に静電引力を伝達するために前記温度制御ローラと前記基板との間に電圧を提供するステップとを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御ローラ(temperature control roller)、輸送構成(transporting arrangement)及び真空構成(vacuum arrangement)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、基板(substrate)は、基板の化学的及び/又は物理的特性が変化することがあるような方法で処置(処理)、例えば、コーティングされることがある。基板をコーティングするために、例えば、蒸着、例えば、化学蒸着(CVD)又は物理蒸着(PVD)のような、様々なコーティングプロセスが行われることがある。
【0003】
一般的に、ストリップ(strip)(例えば、金属ストリップ、フィルムストリップ又はガラスストリップ)の形態のフレキシブル基板は、連続的な設置(installation)において処理(及び/又は他の方法で処置)されることがある、例えば、フィルムコーティング設置において処理されることがある。この場合、ストリップ基板は、例えば、輸送構成を用いて処理領域を通じて輸送されることがある。輸送構成は、例えば、ストリップ基板がローラからローラに処理されるような方法(R2Rとも呼ばれる)において設定されることがあり、ストリップ基板は、第1の基板ロールから巻き戻され、コーティング領域を通じて輸送され、コーティング後に第2の基板ロール上に再び巻き上げられる(循環巻取りとも呼ばれる)。この場合、コーティング設置は、真空チャンバを有することがあるので、ストリップ基板は、真空中で処理されることがある。基板ロールは、例えば、真空チャンバに給送されるか或いは真空チャンバから取り除かれることがあるので、ストリップ基板上で切り替えるためには、空気が真空チャンバに周期的に入れられなければならない。
【0004】
幾つかの輸送構成については、基板を加熱及び/又は冷却(より一般的には、温度制御とも呼ばれる)するために、それらの輸送ローラが基板と特に大きな熱接触をもたらすことが必要なことがある。熱接触は、例えば、真空の熱伝導性の欠如を補う気体を基板と輸送ローラとの間に導入することによって改良されることがある。例示として、気体は、基板と輸送ローラとの間の残りのキャビティを満たし、気体粒子(例えば、気体分子)の複数の相互接触によって、それらの間の熱伝達を改良する。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態によれば、例示として、熱伝達は高感度の平衡を必要とすることが認識されている。一方では、気体は、キャビティも満たす量において輸送ローラ(例えば、ローラ表面)から均一に流出しなければならない。他方では、気体の量は、輸送ローラ(例えば、ローラ表面)からの基板のリフトオフ(持ち上がり)がないような寸法とされなければならない。
【0006】
様々な実施形態によれば、コーティングプロセス中に基板の温度を効果的に制御することを可能にする(温度制御ローラとも呼ばれる)温度制御輸送ローラ及び真空構成が提供される。
【0007】
例示として、温度制御ローラは、気体を輸送ローラの表面上により効果的に分配する気体分配構造を有する。
【0008】
様々な実施形態によれば、温度制御ローラは、複数の気体出口開口を有する円筒状ローラシェルと、円筒状ローラシェルに熱エネルギを供給し且つ/或いは円筒状ローラシェルから熱エネルギを抽出するように構成される温度制御デバイス(例えば、冷却デバイス)と、回転軸に沿って延在するように作られる複数の気体ラインと、複数の気体ライン及び複数の気体出口開口を気体伝導式に互いに連結させる気体分配構造であって、複数の気体出口開口よりも低い構造密度を有する気体分配構造とを有することがある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】様々な実施形態に従った輸送構成を示している。
図2】様々な実施形態に従った輸送構成を示している。
図3】様々な実施形態に従った輸送構成を示している。
図4】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図5A】様々な実施形態に従った多孔性固体本体113を概略的な断面図において示している。
図5B】様々な実施形態に従った多孔性固体本体113を概略的な断面図において示している。
図5C】様々な実施形態に従った多孔性固体本体113を概略的な断面図において示している。
図6】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図7】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図8】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図9】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図10】様々な実施形態に従った輸送構成を示している。
図11】様々な実施形態に従った輸送構成を示している。
図12】様々な実施形態に従った輸送構成を示している。
図13A】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図13B】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図13C】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図14】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図15】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図16A】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図16B】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図16C】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図17】様々な実施形態に従った温度制御ローラを示している。
図18】様々な実施形態に従った真空構成を概略的な側面図において示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な記述では、添付の図面を参照する。添付の図面は、本明細書の一部を構成し、添付の図面では、本発明が実施されることがある特定の実施形態が説明の目的のために示されている。この点に関し、例えば、「頂で(at the top)」、「底で(at the bottom)」、「前方で(at the front)」、「後方で(at the rear)」、「前方(front)」、「後方(rear)」などのような、方向の用語が、記載される(複数)図の向きに関して使用される。実施形態の構成要素は、多数の異なる向きに位置付けられることがあるので、方向の用語は、例示の目的に役立ち、決して制限的でない。言うまでもなく、本発明の保護の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が使用されてよく、構造的又は論理的な変更が行われてよい。言うまでもなく、本明細書に一例として記載される様々な実施形態の構成は、特に明記されない限り、互いに組み合わせられてよい。従って、以下の詳細な記述は、限定的な意味で解釈されるべきでなく、本発明の保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0011】
この記述の過程において、「接続された(connected)」及び「連結された(coupled)」という用語は、直接接続及び間接接続の両方(例えば、オーム性及び/又は導電性、例えば、導電性接続)ならびに直接連結又は間接連結を記載するために使用される。図において、適切な場合にはいつでも、同一又は類似の要素に同一の呼称が付される。
【0012】
様々な実施形態によれば、「連結された(coupled)」又は「連結する(coupling)」という用語は、(例えば、機械的、静水圧的、熱的及び/又は電気的な)、例えば、直接的又は間接的な、接続及び/又は相互作用の意味において理解されてよい。複数の(即ち、多数の)要素は、例えば、相互作用の連鎖に沿って互いに連結されてよく、相互作用の連鎖に沿って、相互作用(例えば、信号)が送信されてよい。例えば、互いに連結された2つの要素は、互いに相互作用、例えば、機械的、静水圧的、熱的及び/又は電気的な相互作用を交換してよい。様々な実施形態によれば、「連結された」は、例えば、直接的な物理的接触を用いた、機械的(例えば、物理的)連結の意味において理解されてよい。連結は、機械的相互作用(例えば、力、トルクなど)を伝達するように構成されてよい。
【0013】
開ループ制御は、システムに意図的に影響を与えることを意味するものとして理解されてよい。この場合、システムの状態は、事前定義に従って変更されてよい。閉ループ制御は、外乱が追加的に相殺された結果としてのシステムの状態変化を伴う開ループ制御を意味するものとして理解されてよい。例示として、開ループ制御デバイスは、フィードフォワード制御されるシステムを有することがあり、よって、例示として、入力変数を出力変数に変換するシーケンス制御を実施することがある。しかしながら、制御されるシステムは、閉ループ制御が実装されるように、閉ループ制御回路の一部であってもよい。純粋なフィードフォワード制御とは対照的に、閉ループ制御は、閉ループ制御回路(フィードバック)によってもたらされる出力変数による入力変数の連続的な影響を示す。換言すれば、閉ループ制御は、開ループ制御デバイスの代替として又は開ループ制御デバイスに加えて使用されてよく、或いは、閉ループ制御は、開ループ制御の代替として又は開ループ制御に加えて実行されてよい。閉ループ制御の場合、(例えば、測定値に基づいて決定される)制御される変数の実際の値は、基準値(セットポイント値又は事前定義又は予め定義された値)と比較され、従って、制御される変数は、基準値からの制御される変数のそれぞれの実際の値の小さい偏差を可能な限りもたらすような方法において、(アクチュエータを使用して)操作される変数によって影響されることがある。
【0014】
多孔性本体又は領域は、それが固体材料及び流体(例えば、気体及び/又は液体)材料の不均一な混合物を含むことを意味するものとして理解されてよい。
【0015】
様々な実施形態によれば、材料に関する多孔性の(porous)又は多孔性(porosity)という用語は、材料が、複数のキャビティが配置された固体マトリクス(即ち、固体本体(solid body))を形成することを意味するものとして理解されてよい。換言すれば、材料は、凝集の固体状態にある一部分の多孔性体又は多孔性領域として理解されてよい。様々な実施形態によれば、本体又は領域の多孔性は、固体マトリクスに亘る全容積(キャビティの容積に固体材料の容積を加えたもの)に対するキャビティ容積(キャビティの容積又はキャビティ内の流体材料の容積)の比を示す無次元測定変数(dimensionless measured variable)を含むものとして理解されてよい。
【0016】
様々な実施形態によれば、領域又は本体(例えば、気体分配構造又はローラシェル)に関する多孔性の又は多孔性という用語は、領域又は本体が、固体マトリクスやキャビティ又はキャビティ内の流体材料も含むことを意味するものとして理解されてよい。換言すれば、多孔性は、領域又は本体の全容積に対する本体又は領域内の流体材料の容積の比を示す無次元測定変数を含むものとして理解されてよい。キャビティが考慮されるので、例示として、領域又は本体の質量密度は、多孔性の増加に伴って減少することがある。
【0017】
次に、多孔性は、1から(本体の)見かけの密度及び真の密度の商を差し引いたものとして定義されてよい。真の密度は、固体材料又は固体マトリクスの密度(即ち、キャビティを除く密度)を示す一方で、見かけの密度は、キャビティ又はキャビティ内の流体材料を含む本体の容積を示す(例えば、それに基づく)。
【0018】
細孔密度(pore density)は、(細孔面積密度とも呼ばれる)表面積に対する細孔の数の比、又は(細孔長密度又は細孔線形密度とも呼ばれる)長さに対する細孔の数の比を示す。開口(例えば、チャネル、貫通開口、細孔又は他のキャビティ)について一般化された物理的変数は、構造密度、例えば、構造面積密度又は構造線形密度である。切片法(intercept method)との類推により、構造線形密度は、例えば、トランセクト(transect)に沿うキャビティ間の境界の数を示すことがある。固体本体(例えば、層)も貫通する、即ち、(透過性とも呼ばれる)気体伝導率に寄与する開口を表す(例えば、それに基づく)物理的変数は、気体伝導構造密度と呼ばれることがある。
【0019】
例えば、固体本体が開孔されるならば、その細孔密度は、気体伝導構造密度に等しくてよい。固体本体が気体チャネルによって穿孔又は貫通されるならば、穿孔又は気体チャネルの密度は、気体伝導構造密度に等しくてよい。
【0020】
固体本体の開口は、それらのサイズに応じて、細孔、気体チャネル、穿孔又は気体線と呼ばれる。穿孔は、技術的に生成された及び/又は規則的に配置された貫通穴を含むものとして理解されてよい。(例えば、回転の軸に沿う)穿孔又は各穿孔の広がりは、約1mmよりも大きくてよく、例えば、約2mmよりも大きくてよく、例えば、約5mmよりも大きくてよく、例えば、約10mmよりも大きくてよい。
【0021】
例示として、透過性(permeability)は、流体(例えば、液体又は気体)に対する固体の透過性を定量するための尺度である。透過性は、例えば、ダルシーの法則に従って定義されてよい。(透過性とも呼ばれる)固体本体を通じる気体透過性の物理的単位は、例えば、パーマ(perm)(平方メートル)である。透過性がないならば、これは不透過性と呼ばれる。
【0022】
フレキシブル基板は、コーティングプロセス中に温度制御を受けることがある。この目的のために、(輸送ローラとも呼ばれる)液冷ローラが使用されてよく、基板はその上で導かれる。しかしながら、基板とローラ表面との間の熱伝達が不十分である故に、例示として、温度制御は必ずしも十分でない。基板とローラ表面との間に気体を導入することによって、熱伝達の改良が達成されることがある。
【0023】
換言すれば、基板は、ローラ表面との接触を有することがある。顕微鏡的に見ると、(ローラケーシング又は外側ケーシングとも呼ばれる)ローラシェルと接触する基板表面は、それぞれローラ表面の粗さの上に対応して点状の形態で位置する特定の粗さを有する。2つの表面粗さの間の空間には気体粒子が充填される。これらの気体粒子は、ローラと基板との間の熱輸送の一部を担う。気体粒子の数は、気体圧力によって決定される。
【0024】
温度制御ローラの(温度制御表面とも呼ばれる)ローラ表面は、非導電性材料(例えば、セラミック)で構成されてよい。ストリップ張力に起因する押圧力に加えて、温度制御ローラ上の基板の押圧力を増大させることができるために、電圧が温度制御ローラに印加されてよい。電気的に絶縁されたローラ表面の結果として、電位差が、温度制御ローラと基板との間に提供されることがあり、電位差は、結果として引き起こされる静電引力の故の押圧力の増加がもたらされることがある。結果的に、気体圧力は、基板のリフトオフ(持ち上がり)(lift off)を伴わずに対応して増加させられることがあり、それは熱伝達を改良する。
【0025】
温度制御ローラは、(ローラハウジング又は単にハウジングとも呼ばれる)二重壁温度制御ローラ本体、例えば、冷却ローラ本体を有してよい。微孔性金属薄板シェル(例えば、高級鋼シート)の追加的な薄い外側ケーシングは、対応して機械加工されるハウジングの外側ケーシングの上で収縮されてよい。異なる多孔性材料を含む層のシステムが、金属シート上に配置されてよい。非常に微細な細孔のある非導電性頂層が、温度制御ローラの露出した終端を形成してよい。
【0026】
気体がローラハウジングと穿孔された金属シートとの間にもたらされると、気体はローラハウジングの特殊な機械加工の結果として金属シートの下に自ら分布して、(スリットとも呼ばれる)穿孔スリットから層の多孔性システム(porous system of layers)内に流出することがある。層の多孔性システムの結果として、気体は温度制御表面全体に亘って極めて均一に分布し、最終的に温度制御表面からほぼ全表面領域に亘って流出する。
【0027】
(例えば、二重壁の)ハウジングの外側ケーシングは、ローラ軸に沿って走る溝によって遮断される、糸状縦溝構造(thread-like fluted structure)を備えてよい。縦溝(flutes)及び溝(grooves)の数及び深さは、特定の気体容積が受け入れられることがあるように寸法決めされてよい。溝は、外側ケーシングの端面から対応するボアを通じて気体供給源に接続されてよい。収縮した金属シート(例えば、高級鋼シート)は、最終的に気体が流出するように意図された領域において、(例えば、0.3mmの幅、7mmの長さの)スリットを備えることがある。
【0028】
金属シートは、ハウジングの縦溝及び溝を覆うので、気体は、対応して重なり合うスリットを通じて流れるにすぎない。金属シートは、異なる多孔性層を含む層のシステムでコーティングされてよい。より低い開放多孔性層の結果として、この層内の気体の良好な横方向分布が達成されることがある。その上に横たわる非導電性材料の(微細多孔性とも呼ばれる)極めて低多孔性の層は、圧力降下を提供することがあり、かつ/或いは気体が表面積領域に亘って非常に均一に多くの細孔から極めて少量で温度制御表面を離れることを提供することもある。
【0029】
任意的に、温度制御ローラのこの(終端層とも呼ばれる)最外側の露出層は、導電性の非導電性材料から製造されてよい。この終端層の下に位置する導電性層に電圧を印加することによって、必要であるならば、温度制御ローラと基板との間に静電引力が引き起こされることがあるように、基板に対する電位差が提供されてよい。
【0030】
様々な実施形態によれば、提供される温度制御ローラは、温度制御ローラと基板との間の熱伝達を向上させることを可能にする。このようにして、有意により好ましいプロセス条件が作り出されることがある。
【0031】
様々な実施形態によれば、基板(例えば、ストリップ基板)は、セラミック、ガラス、半導体(例えば、非晶質、多結晶又は単結晶半導体、例えば、シリコン)、金属(例えば、アルミニウム、銅、鉄、鋼、白金、金など)、ポリマ(例えば、プラスチック)、及び/又は、例えば、複合材料(例えば、炭素繊維強化炭素又は炭素繊維強化プラスチック)のような、様々な材料の混合物のうちの少なくとも1つを含んでよく、或いはそれらによって形成されてよい。例えば、基板(例えば、ストリップ基板)は、プラスチックフィルム、半導体フィルム、金属フィルム、及び/又はガラスフィルムを含んでよく、或いはそれらによって形成されてよく、任意的に、コーティングされてよい。代替的に又は追加的に、基材は、例えば、織布、ガーゼ、編物又はクロシェート布の形態の、或いはフェルト又は不織布のような、繊維、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維及び/又はプラスチック繊維を含んでよい。
【0032】
様々な実施形態によれば、基板は、ローラからローラに(ストリップ基板とも呼ばれる)ストリップとして輸送されてよい(即ち、循環巻付けローラの間で巻き戻されてよい)。ストリップ基板は、例えば、約1cm(例えば、30cm)から約500cmの範囲内の幅(輸送方向に対して横方向の広がり)又は約500cmを超える(基板幅とも呼ばれる)幅を有してよい。更に、ストリップ基板は、フレキシブル(可撓)であってよい。例示として、ストリップ基板は、ローラ上に巻き上げられることがある任意の所望の基板であってよく、且つ/或いは、例えば、ローラからローラに処理されてよい。使用される材料の弾力性に依存して、ストリップ基板は、約数マイクロメートル(例えば、約1μm)から約数ミリメートル(例えば、約10mmまで)の範囲内の、例えば、約0.01mmから約3mmの範囲内の(基板厚さとも呼ばれる)材料厚さを有してよい。輸送構成の輸送ローラは、ストリップ基板が広いよりも軸方向により長くてよい。
【0033】
この記述の過程において、「金属性」という用語は、金属を含むか或いは金属によって形成されるものとして理解されてよい。この記述の過程において、(金属材料とも呼ばれる)金属は、少なくとも1つの金属元素(即ち、1つ又はそれよりも多くの金属元素)、例えば、以下の元素の群、即ち、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、クロム(Cr)、白金(Pt)、金(Au)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、カルシウム(Ca)、ハフニウム(Hf)、サマリウム(Sm)、銀(Ag)、及び/又はリチウム(Li)からの少なくとも1つの元素を含んでよい(或いはそれらによって形成されてよい)。更に、金属は、金属化合物(例えば、金属間化合物又は合金)、例えば、青銅又は黄銅のような、(例えば、元素の群からの)少なくとも2つの金属元素の化合物、又は、例えば、鋼のような、(例えば、元素の群からの)少なくとも1つの金属元素と少なくとも1つの非金属元素(例えば、炭素)との化合物を含んでよい、或いはそれらによって形成されてよい。
【0034】
意図される用途及び構成に依存して、輸送ローラが様々に設計されてよい。例えば、温度を制御するために(例えば、冷却するために)或いは基板輸送を駆動するために、輸送ローラが、(例えば、能動的又は受動的な)ガイド及び/又は輸送経路の偏向として構成されてよい。(温度制御ローラとも呼ばれる)温度を制御するためのそのような輸送ローラ、例えば、冷却ローラが、例えば、駆動させられてよく、その回転は、基板輸送の駆動をもたらすことがある。温度制御ローラは、例えば、セラミック表面(例えば、スチールローラ)を有してよく、それは、例えば、噴霧(スプレー)されてよい。
【0035】
様々な実施形態によれば、温度制御ローラ(その場合には気体温度制御ローラとも呼ばれる)、例えば、冷却ローラ(その場合には気体冷却ローラとも呼ばれる)への制御された気体供給が、温度制御ローラ内の気体交換開口によって提供される。そのような温度制御ローラは、例えば、金属ストリップコーティング及び/又はフィルムストリップコーティングのための真空設置(vacuum installation)において使用されてよい。温度制御ローラの(例えば制御された)気体供給を用いるならば、温度制御ローラからの基板のリフトオフ(持上げ)が防止され、基板の温度を制御するために十分な気体が給送される。
【0036】
様々な実施形態によれば、温度制御ローラが、(例えば、フィルムコーティング設置のためのプロセスローラとして)提供され、それを用いて、気体(例えば、アルゴン、窒素、その他の不活性ガス)が、温度制御ローラ(例えば、プロセスローラ)の(温度制御ローラ112のシェル面、ケーシング面又は周面とも呼ばれる)温度制御面と基板との間に導入されてよい。この目的のために、温度制御ローラの温度制御面は、半径方向気体交換開口を有する。気体交換開口は、互いに一緒に接続されてよく、且つ/或いは、相互接続された細孔の網(network)を用いて、例えば、複数の気体ライン(gas lines)を用いて、気体が供給されてよい。任意的に、温度制御ローラのハウジング内に螺装される接続片が、各気体ラインについてプロセスローラの端面に配置されてよい。各接続片は、例えば、ライン構造(line structure)を用いて接続されてよい。
【0037】
本体のケーシング面(また、シェル面)は、回転軸についての線の回転によって生成される(例えば、周)面を含むものとして理解されてよい。露出させられ、基板に対して位置するように意図された、温度制御ローラの最外側のケーシング面は、温度制御面と呼ばれることもある。温度制御面を用いて、熱エネルギが基板に給送されることがあり、且つ/或いは基板から抽出されることがある。
【0038】
より容易な理解のめに、冷却のプロセス、即ち、(熱エネルギを除去すること、即ち、熱エネルギを何かから取り出すこととも呼ばれる)熱エネルギの抽出を以下に参照する。しかしながら、記述されることは、加熱のプロセス、即ち、(熱エネルギを給送すること、即ち、熱エネルギを何かに伝達することとも呼ばれる)熱エネルギの供給にも同様に当て嵌まることがある。(例えば、熱平衡を超える)冷却及び/又は加熱は、より一般的には、温度制御と呼ばれることもある。
【0039】
図1は、概略斜視図において様々な実施形態に従った輸送構成100(transporting arrangement)を例示している。
【0040】
輸送構成100は、(例えば、円筒状)ローラシェル112mを有する温度制御ローラ112(例えば、気体冷却ローラ112)と、供給デバイス114とを有してよい。供給デバイス114及び温度制御ローラ112は、例えば、互いに重なり合って取り付けられてよく、さもなければ、個々に、例えば、互いに別個に設けられてよい。
【0041】
ローラシェル112mは、基板がその上に位置するように意図された、(温度制御ローラ112の温度制御面1604oとも呼ばれる)基板軸受面1604oを提供してよい。
【0042】
(ローラケーシング又は外側ケーシングとも呼ばれる)ローラシェル112mは、複数の(開口112oとも呼ばれる)気体出口開口112oを有してよい。気体出口開口112oは、例えば、ローラシェル112mの外側の露出させられた基板軸受面1604o上に無作為に及び/又は不規則に配置されてよく、且つ/或いは空間的に分配されてよい。気体出口開口112oは、基板軸受面に形成されてよく、且つ/或いはローラシェル112m内に延びてよい。
【0043】
ローラシェル112mは、例えば、誘電体(例えば、酸化物)を含んでよく、或いはそれによって形成されてよい。代替として或いは追加的に、ローラシェル112mは、アルミニウム及び/又はジルコニウム(Zr)、例えば、それらの酸化物を含んでよく、或いはそれらによって形成されてよい。ローラシェル112mの酸化物は、他の金属の酸化物、例えば、クロム(酸化クロム)、チタン(酸化チタン)及び/又はイットリウム(酸化イットリウム)を含んでもよく、或いはそれらによって形成されてもよい。例えば、ローラシェル112mは、約15%(又はそれ未満)の酸化ジルコニウム(ZrO)、及び、例えば、残余の酸化アルミニウム(Al)の質量比を含んでよく、或いはそれによって形成されてよい。
【0044】
供給デバイス114は、接続部114e(例えば、温度制御液体接続部、例えば、冷却液体接続部)と、第2の接続部124b(例えば、温度制御気体接続部、例えば、冷却気体接続部)とを有してよい。
【0045】
取り付けられた状態において及び/又は動作中に、第1の接続部114eは、冷却液体供給源116に流体伝導(例えば、液体伝導)式に接続されてよい。冷却液体供給源116は、例えば、ポンプ及び/又は熱交換器を有することがある。代替として或いは追加的に、冷却液体供給源116は、例えば、ポンプを第1の接続部114eに流体伝導式に接続する、パイプライン116rを有してよい。
【0046】
取り付けられた状態において及び/又は動作中に、第2の接続部124bは、冷却気体供給源に流体伝導(例えば、気体伝導)式に接続されてよい。例えば、冷却気体供給源は、例えば、気体タンク、気体シリンダ又は同等物のような、気体源を有してよい。任意的に、冷却気体供給源は、パイプライン126を有してよく、パイプライン126は、例えば、真空チャンバ内の気体圧力及び/又は基板の温度に基づいて、気体源を第2の接続部124bに流体伝導式に接続し、且つ/或いは(例えば、弁を用いて)その中の気体流を開ループ(及び/又は閉ループ)式に制御するために構成される。
【0047】
輸送構成100は、温度制御ローラ112を(例えば、回転可能に)取り付けるシャフト118を有してもよい。シャフト118は、供給デバイス114内に延びてよく、且つ/或いは供給デバイス114内に回転可能に支持されてよい。
【0048】
取り付けられた状態において及び/又は動作中に、輸送構成100は、例えば、供給デバイス114とは反対側のシャフト118の側でシャフト118に連結される、駆動装置(drive)(図示せず)を任意的に有してよい。
【0049】
輸送構成100は、第1の接続部114eを冷却デバイス(図示せず)に及び/又は第2の接続部124bを気体出口開口112oに流体伝導式に接続するライン構造120を有してもよい。
【0050】
任意に、ローラシェル112mの温度制御面は、電気絶縁(例えば、誘電)式に構成されてよく、或いは電気絶縁材料(例えば、誘電体)を少なくとも含んでよく或いはそれによって形成されてよい。例えば、ローラシェル112mは、セラミック、例えば、酸化セラミック又は炭化セラミックを含んでよく、或いはそれらによって形成されてよい。このようにして、気体分配構造402に印加された電圧が基板と短絡することが防止されることがある。例えば、ローラシェル112mの破壊電圧は、1000ボルト(V)を超えてよく、例えば、約2000ボルト(V)又は3000ボルト(V)を超えてよい。
【0051】
例えば、気体分配構造402(例えば、気体分配船殻(gas distributing hull))は、例えば、各層が複数の貫通チャネルを含む、1つ又はそれよりも多くの(気体分配層とも呼ばれる)(例えば、穿孔された及び/又は積み重ねられた)層を含んでよい。1つ又はそれよりも多くの分配層の各々は、例えば、気体分配構造402の(例えば、管形状の)副船殻(sub-hull)として成形されてよい。貫通チャネルは、例えば、流体接続部が、(例えば、回転軸から見られるときに)分配構造402の内側から分配構造402の外側に提供されるように、互いに接続されてよい。1つ又はそれよりも多くの穿孔された層は、1つ又はそれよりも多くの経路に沿って流体接続部を提供してよく、各経路は、1つ又はそれよりも多くの層の各々を通じて(例えば、チャネルを通じて)延びる。
【0052】
図2は、様々な実施形態に従った輸送構成200、例えば、輸送構成100を概略的な斜視断面図で例示しており、図3は、輸送構成を概略的な横断面図300で例示している(両方とも輸送構成200の回転軸111dに沿った断面図である)。
【0053】
輸送構成200は、少なくとも1つの冷却デバイス1124を有してよく、例えば、冷却デバイス1124は、例えば、熱交換器を用いて、(例えば、電気的な)ヒートシンクを提供してよい。冷却デバイス1124及び/又はその構成部品のうちの少なくとも1つは、例えば、温度制御ローラ112の内側に配置されてよい。代替として又は追加的に、前記又は1つの追加的な冷却デバイス1124(及び/又は、その構成部品のうちの他のもの)が、温度制御ローラ112の外側に配置されてよい。
【0054】
(例えば、回転対称の)ローラシェル112m又はその温度制御面1604oは、例示として、温度制御ローラ112の外側の露出させられた表面を提供してよい。
【0055】
(例えば、中空シリンダの形態で提供される)ローラハウジング112hは、端壁112sを用いて(端面で及び/又は真空気密式に)閉塞及び/又は封止される、(例えば、シリンダケーシングの形態の)チャンバ、例えば、二重中空シリンダを有してよい。
【0056】
冷却デバイス1124は、(ローラ本体112h又はローラ外側管112hとも呼ばれる)ローラハウジング112h内に(冷却ライン112vとも呼ばれる)1つ又はそれよりも多くのキャビティ112vを有してよい。
【0057】
温度制御ローラ112は、(気体ライン112gとも呼ばれる)1つの又は1つよりも多くの追加的な軸方向に延びるキャビティ112gを有してよく、その各気体ライン112gは、例えば、更により具体的に後述されるように、気体分配構造を用いて、複数の気体出口開口112oに流体伝導(気体伝導)式に接続される。複数の気体ライン112gは、例えば、回転軸111dを取り囲んで、互いに平行に延在するようにさせられてよく、且つ/或いは互いに隣り合って配置されてよい。
【0058】
ライン構造120は、例えば、温度制御ローラ112の端面で、1つ又はそれよりも多くの気体ライン112gと流体伝導(気体伝導)式に接続されてよい。
【0059】
任意的に、ライン構造120は、回転軸111dから離れる方向に延び且つ/或いは少なくともある特定の部分において温度制御ローラ112の外側を走るように作られた、複数のパイプライン120r(例えば、ホース)を有してよい。
【0060】
図4は、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を(例えば、回転軸111dに沿って見られるときの)概略的な断面図400で例示している。
【0061】
温度制御ローラ112は、複数の気体出口開口112oを有する円筒状(例えば、中空円筒状)ローラシェル112mを有してよい。冷却デバイス1124は、ローラシェル112mに(熱とも呼ばれる)熱エネルギを供給及び/又はローラシェル112mから(熱とも呼ばれる)熱エネルギを抽出するように構成されてよい。例えば、冷却デバイス1124は、熱をローラシェル112mから温度制御ローラ112の外側に又はその逆に輸送するように構成されてよい。
【0062】
温度制御ローラ112は、回転軸111dに沿って延びるように作られ、例えば、ローラハウジング112h内に形成され且つ/或いはその中に延びる、複数の気体ライン112gを有してもよい。
【0063】
温度制御ローラ112は、気体分配構造402を有してもよく、気体分配構造402は、複数の気体ライン112g及び複数の気体出口開口112oを互いに気体伝導式に連結するので、気体412は、気体ライン112gから気体分配構造402を通じて複数の気体出口開口112oに流出し、気体412は、複数の気体出口開口112oで、温度制御ローラ112を離れてよい。
【0064】
一般的に、気体分配構造402は、複数の気体出口開口112oよりも低い構造密度(例えば、構造面積密度)を有することがある。換言すれば、温度制御ローラ112の気体チャネルは、半径方向111rにおいてますますより大きい程度に分岐する。構造密度は、気体伝導キャビティを表すことがある(例えば、それに基づくことがある)。例えば、気体分配構造402は、ローラシェル112mよりも低いキャビティ面積密度を有してよい。例えば、気体出口開口112oの面積密度は、気体分配構造402のキャビティの面積密度よりも大きくてよい。構造面積密度、例えば、キャビティ面積密度の代替として又はそれに加えて、同じ関係が構造線形密度に当て嵌まることもある。
【0065】
例えば、構造密度は、チャネル密度であってよい。
【0066】
面積密度、例えば、構造面積密度(例えば、キャビティ面積密度)は、例えば、回転軸111dのシリンダケーシングの形態の表面積を表す(例えば、それに基づく)ことがある。線形密度、例えば、構造線形密度は、回転軸111dに対して横方向の円周方向(閉鎖)経路又は回転軸111dに対して平行な経路を表す(例えば、それに基づく)ことがある。
【0067】
例えば、気体分配構造402は、構造面積密度が表す、例えば、構造面積密度が基礎とする、(例えば、回転軸111dから離れる)複数の拡張された気体チャネル(例えば、孔又は細孔)によって貫通されてよい。
【0068】
様々な実施形態によれば、気体分配構造402は、以下により具体的に記載するように、1つ又はそれよりも多くの気体分配層、例えば、以下の気体分配層、即ち、第1の気体分配層602、第2の気体分配層702、及び/又は第3の気体分配層802のうちの1つ又はそれよりも多くの気体分配層を有してよい。
【0069】
任意的に、ローラシェル112mは、以下により具体的に記載するように、多孔性であってよい。
【0070】
任意的に、熱分配層451が、気体分配構造402とローラハウジング112hとの間に配置されてよい。熱分配層451は、例えば、銅を含んでよく、或いは銅によって形成されてよい。より一般的に言えば、熱分配層451は、気体分配構造402及び/又はローラハウジング112hよりも大きい熱伝導率を有してよい。例えば、ローラハウジング112hは、鋼を含んでよく、或いは鋼によって形成されてよい。
【0071】
任意的に、熱分配層451は、ローラハウジング112h上に電着されてよい。
【0072】
(例えば、銅の)熱分配層451を使用するとき、プロセス熱の放散が向上させられることがある。例えば、温度制御ローラ112及び/又はその上に輸送される基板に導入される約70kW/mの出力密度を用いるならば、低すぎるローラハウジング112h(例えば、ハイグレード鋼ケーシング)の熱伝導率が、約50Kの温度勾配を引き起こすことがある。(例えば、高熱伝導性銅の)熱分配層451を使用するときには、同じ出力密度で、わずか数ケルビン(K)の勾配が得られる。
【0073】
ここで、勾配は、例えば、(温度、圧力、又は濃度のような)物理量の複数の値の間の、連続的な移行として理解されてよい。例えば、勾配は、所与の変数における、例えば、指定された方向における単位距離当たりの変化を伴う、量の値の変化を指すことがある。勾配の領域は、離散値がないことがある。例えば、勾配は、絶対値(大きさ)と方向とを有するベクトル性であってよい。例えば、勾配の大きさは、量がどの速度で変化するかを示し、方向は、量がその速度でどの方向に変化するかを示す。
【0074】
様々な実施形態によれば、銅ケーシング451を備えるハイグレード鋼又は構造鋼のローラ本体112hが設けられてよい。銅ケーシング451は、例えば、電着されてよい。
【0075】
図5A図5Cは、様々な実施形態に従った多孔性本体113、例えば、ローラシェル112m及び/又は第1の気体分配層602を(例えば、回転軸111dに沿って見られるときの)概略的な断面図で例示している。
【0076】
図5Aは、(細孔網とも呼ばれる)相互接続された細孔704の網を示しており、細孔網は、固体粒子502(例えば、固体粒子の緩い充填及び/又は焼結)の(構造又は凝集とも呼ばれる)アセンブリにおいて形成される。細孔網の細孔704は、粒子502の間の空間によって形成されることがある。アセンブリの固体粒子502は、例えば、少なくともペアにおいて、互いに物理的に接触することがある。固体粒子502は、互いに接続されてよく、例えば、互いに焼結されてよく、接着的に結合されてよく、且つ/或いは融合されてよい。細孔網の細孔704は、互いに接続されることがあり、従って、本体113を通じて延びる複数の(気体チャネルとも呼ばれる)気体伝導経路502pを形成することがある。換言すれば、細孔網の細孔704は、複数の経路502pの各経路に沿って互いに接続されてよい(即ち、例示として、細孔網を形成してよい)。
【0077】
結果的に、細孔網は、本体113の表面に開口(例えば、気体出口開口112o)を形成し且つ/或いは本体113を通じて延びる、複数の気体チャネルを提供することがある。
【0078】
図5Bは、本体113の部分的に浸食された材料706内に形成されることがある細孔網を示している。例えば、部分的に浸食された材料706は、複数の細孔704、例えば、互いに接続された部分的に細長い細孔を有することがある。
【0079】
図5Cは、本体113の固体フォーム708内に形成されることがある細孔網を示している。固体フォーム708は、複数の細孔704を囲むことがある。
【0080】
様々な実施形態によれば、細孔網は、以下の細孔タイプ、即ち、ミクロ細孔(微細孔)(micropores)、即ち、約2nm未満の広がり704e(例えば、細孔直径)を備える細孔704、メソ細孔(中間細孔)(mesopores)、即ち、約2nmから約50nmの範囲内の広がり704eを備える細孔704、及び/又は、マクロ細孔(粗細孔)(macropores)、即ち、約50nmを超える広がり704eを備える細孔704のうちの少なくとも1つを含むことがある。細孔の広がりは、細孔と同じ容積を有する球の直径を意味するものとして理解されてよい。
【0081】
図6は、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を(例えば、回転軸111dに沿って見られるときの)概略的な斜視断面図600で例示している。
【0082】
気体分配構造は、多孔性層である第1の気体分配層602を有してよい。換言すれば、気体分配層602は、構造密度を表す、例えば、構造密度がそれに基づく、気体チャネルに接続された複数の気体チャネル602g又は細孔602gを有してよい。
【0083】
第1の気体分配層602は、ローラシェル112mよりも低い空間細孔密度又は細孔面積密度を有してよい。任意的に、第1の気体分配層602は、ローラシェル112mよりも大きな空間細孔サイズを有してよい。任意的に、第1の気体分配層602は、ローラシェル112mよりも大きな多孔性を有してよい。
【0084】
任意的に、第1の気体分配層602は、導電性として構成されてよく、或いは導電性材料を少なくとも含んでよく或いは導電性材料によって形成されてよい。本明細書において、導電性は、1メートル当たり約1シーメンス(S/m)を超える、例えば、約10S/m又は約10S/mを超える、導電性を有するものとして理解されてよい。代替として又は追加的に、第1の気体分配層602は、金属、例えば、アルミニウムを含んでよく、或いはそれによって形成されてよい。
【0085】
代替として又は追加的に、第1の気体分配層602は、ローラシェル112mの導電率の倍数を超える(例えば、10倍、100倍、又は1000倍を超える)導電率を有してよい。
【0086】
任意的に、ローラシェル112mは、更に一層具体的に後述するように、孔密度において勾配を有してよい。その場合、第1の気体分配層602は、任意的に省略されてよい。
【0087】
図7は、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を(例えば、円筒形断面積101、103に沿った断面における)概略的な斜視断面図700で例示している。
【0088】
円筒形断面積101、103は、回転軸111dを取り囲み、回転軸111dに対して横方向の半径方向111rに対して垂直であってよい。
【0089】
気体分配構造は、第1の気体分配層602の代替として又はそれに加えて、第2の気体分配層702を有してよい。
【0090】
例えば、第2の気体分配層702は、第1の気体分配層602と気体ライン112gとの間に配置されてよい。
【0091】
任意的に、第2の気体分配層702は、第1の気体分配層602及び/又はローラシェル112mよりも低い構造面積密度を有してよい。代替として又は追加的に、第2の気体分配層702は、複数の気体ライン112gよりも大きな構造面積密度を有してよい。
【0092】
第2の気体分配層702は、例えば、複数の気体ライン112gに対して横方向に延びるように作られる、1つ又はそれよりも多くの(円周方向チャネル702gとも呼ばれる)気体チャネルを有してよい。代替として又は追加的に、円周方向チャネル又は各円周方向チャネル702gは、複数の又は全部の気体ライン112gを気体伝導式に互いに接続してよい。
【0093】
円周方向チャネル702g又は各円周方向チャネル702gが、例えば、ローラハウジング内に形成されてよく、且つ/或いはローラハウジング内に延びてよい。
【0094】
任意的に、円周方向チャネル702g又は各円周方向チャネル702gは、回転軸の周りに、例えば、(より一般的には螺旋の形態の)螺旋ラインに沿って又は円弧に沿って、長手方向に延びるようにされてよい。任意的に、螺旋状の円周方向チャネル702g又は各螺旋状の円周方向チャネル702gは、複数回、回転軸の周りで長手方向に延びるようにされてよい。代替として、円弧状の円周方向チャネル702g又は各円弧状の円周方向チャネル702gは、約360°に及んでよく、例えば、閉鎖経路に沿って延びるようにされてよい。
【0095】
任意的に、互いに直接的に隣接する2つの円周方向チャネル702gが、例えば、共通の螺旋ラインを形成するよう、互いに接続されてよい。
【0096】
一般的に、様々な実施形態において、第2の気体分配層702又はその円周方向チャネル702gは省略されてよい。
【0097】
図8は、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を(例えば、円筒形断面積101、103に沿う断面における)概略斜的な視断面800で例示している。
【0098】
気体分配構造は、第1の気体分配層602又は第2の気体分配層702の代替として又はそれらに加えて、第3の気体分配層802を有してよい。
【0099】
例えば、第3の気体分配層802は、ローラシェル112m(例えば、第1の気体分配層602)と気体ライン112gとの間に配置されてよい。例えば、第3の気体分配層802は、ローラシェル112m(例えば、第1の気体分配層602)と第2の気体分配層702との間に配置されてよい。
【0100】
任意的に、第3の気体分配層802は、第1の気体分配層702及び/又はローラシェル112mよりも低い構造面積密度を有してよい。代替として又は追加的に、第3の気体分配層802は、複数の気体ライン112g又は第2の気体分配層702よりも大きな構造面積密度を有してよい。
【0101】
第3の気体分配層802は、例えば、回転軸111dに沿って長手方向に延びるようにされる、1つ又はそれよりも多くの穿孔802g(例えば、パンチアウト)を有してよい。例えば、第3の気体分配層802は、複数のグループの穿孔802gを有してよく、各グループの穿孔802gの全ては、同じ円周方向チャネル702gに隣接する。
【0102】
穿孔802g又は各穿孔802gは、第3の気体分配層802を通じる直線経路に沿って延びてよい。
【0103】
例えば、穿孔802g又は各穿孔802gは、円周方向チャネル702g又は各円周方向チャネル702gの回転軸111dのそれに平行な範囲よりも大きい、回転軸111dに沿う広がり(長手方向の広がり)を有してもよい。代替として又は追加的に、回転軸111dに沿う直接的に隣接する穿孔802g間の距離は、直接的に隣接する円周方向チャネル702gの間のそれに平行な距離よりも短くてよい。
【0104】
例えば、回転軸111dに対して横方向に直接的に隣接する穿孔802gの間の距離は、気体ライン112gのそれに平行な広がりよりも短くてよい。
【0105】
例えば、穿孔802g又は各穿孔は、長円孔として形成されてよい。
【0106】
一般的に、様々な実施形態において、第3の気体分配層802は省略されてもよい。
【0107】
第3の気体分配層802が存在するならば、それは、例えば、収縮されることがある。この場合、その下に位置する第2の気体分配層702、又はその下に位置する最下層1402は、滑らかにされることがあり且つ/或いは研磨されることがあり、例えば、精密仕上げされることがある。
【0108】
第3の気体分配層802が省略されるならば、これの代替として又はこれに加えて、多孔性(例えば、熱噴霧された)接着促進層802が任意的に使用されてよい。接着促進層802は、例えば、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)及び/又はアルミニウム(Al)、例えば、それらの合金、例えば、NiAl層、NiCr層、NiCrAlY層、及び/又はMo層を含んでよい。接着促進層は、平滑な下に位置する表面上に良好に接着することもある。
【0109】
図9は、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を(例えば、回転軸111dに沿って見られるときの)概略的な断面図900で例示している。
【0110】
様々な実施形態によれば、気体分配構造402の構造密度は、回転軸111dから離れる方向111r(例えば、半径方向111r)に増加することがある。
【0111】
例えば、気体分配構造402の複数の気体分配層602、702、802は、(例えば、ペアにおいて)それらの構造密度において互いに異なることがある。代替として又は追加的に、別の気体分配層よりも回転軸111dからより長い距離にある気体分配層は、別の気体分配層よりも大きな構造密度を有してよい。
【0112】
代替として又は追加的に、ローラシェル112mは、構造密度において(例えば、回転軸から離れる方向に沿う)勾配、例えば、細孔密度における勾配を有してよい。勾配は、例えば、半径方向111rに平行な方向を有してよい。例えば、複数の気体出口開口を提供するローラシェル112mの温度制御面1604oにある細孔は、温度制御ローラ112の最大細孔面積密度を有することがある。代替として又は追加的に、ローラシェル112mの細孔面積密度は、回転軸111dに向かう方向に減少してよい。
【0113】
本明細書において、パラメータにおける勾配は、パラメータが下向きの勾配(又は上向きの勾配)を有することを含むものとして理解されてよい。例えば、パラメータは、例えば、それが長さに沿って長さの端の値の間で1回だけ各値を取るという意味において、長さに沿って連続的に及び/又は定常的に変化することがある。これは、パラメータが複数の離散値を取る場合とは区別されなければならない。この場合の勾配の方向は、最大勾配の方向を指す。
【0114】
図10は、様々な実施形態に従った輸送構成1000、例えば、輸送構成100又は200を概略的な斜視図で例示しており、図11は、これを断面斜視図1100で示している。
【0115】
様々な実施形態によれば、温度制御ローラ112は、複数の気体接続部1002を有してよく、各気体接続部1002は、複数の気体ライン112gのうちの正確に1つの気体ライン112gに気体伝導式に連結される。複数の気体接続部1002は、例えば、パイプライン120r気体伝導式に連結されてよい。
【0116】
図12は、様々な実施形態に従った輸送構成1200、例えば、輸送構成100、200、又は1000を概略的な斜視図で例示している。
【0117】
穿孔802gは、上述のように、プレート、例えば、金属シートにある孔を用いて提供されてよい。代替として又は追加的に、第3の気体分配層802は、複数のフィラメントを含んでよく、それらの間に穿孔802gが形成される。複数のフィラメントは、例えば、それぞれ穿孔802gを囲むメッシュを形成してよい。フィラメントは、例えば、ワイヤを含んでよく、或いはワイヤによって形成されてよい。
【0118】
複数のフィラメントは、例えば、格子(grid)、編物(knitted fabric)、編組(braided fabric)もしくは織物(woven fabric)、又はガーゼ(gauze)の形態において、メッシュ構造(網構造)(meshwork)を形成してよい。代替として又は追加的に、複数のフィラメントは、金属、例えば、鋼及び/又は銅を含んでよく、或いはそれらによって形成されてよい。例えば、気体分配層802は、金属織物、金属編物、及び/又は金属編組、例えば、銅織物を含んでよく、或いはそれらによって形成されてよい。
【0119】
例えば、メッシュ構造(例えば、格子)は、スクリーン織布(screen fabric)を用いて提供されてよい。メッシュ構造(例えば、そのフィラメント)は、例えば、ハイグレード鋼を含んでよく、或いはそれによって形成されてよい。(例えば、熱分配層451の)銅表面について、メッシュ構造は、例えば、銅織物を用いて提供されてもよい。代替として又は追加的に、メッシュ構造(例えば、そのフィラメント)は、アルミニウムを含んでよく、或いはそれによって形成されてよい。これは熱結合を向上させる。
【0120】
メッシュ構造のメッシュ幅は、例えば、約0.5mm~約1.5mmの範囲内、例えば、約1.2mmであってよい。代替として又は追加的に、フィラメントの厚さ(例えば、ワイヤ厚さ)は、約0.1mm~約0.5mmの範囲内、例えば、約0.2mmであってよい。フィラメントの厚さは、それらの長手方向に対して横方向のそれらの広がりであってよい。
【0121】
メッシュ幅が大きければ大きいほど、気体伝導率、即ち、ローラ本体への噴霧された層(より一般的には、ローラシェル112m)のリーチスルー(reach-through)及び結合がより良好なことがあり、且つ/或いは溝架橋(groove bridging)がより不十分なことがある。メッシュ幅が小さければ小さいほど、溝架橋がより良好なことがあり、且つ/或いはローラ本体112及び/又は最下層1402への噴霧された層の結合がより不十分なことがある。ローラ本体112h又は最下層1402と噴霧された層との間のより良好な結合は、より大きな機械的安定性及び熱放散をもたらすことがある。
【0122】
例えば、約0.8mm~約1.2mmの範囲内のメッシュ幅を備える2つの状態の間に均衡があってよい。ワイヤ厚さは、例えば、層構造内のメッシュ構造(例えば、スクリーン織布)によって引き起こされる外乱(disturbance)を抑制し、下に位置する表面との良好な結合を可能にするために、可能な限り小さいように選択されてよい。
【0123】
ローラ本体112h及び/又は最下層1402上へのメッシュ構造(例えば、スクリーン織布)の適用は、様々な方法で行われてよい。例えば、メッシュ構造は、溝112g、702gの上にのみ配置されてよい。代替として又は追加的に、メッシュ構造は、(インサートとも呼ばれる)溝112g、702g内に少なくとも部分的に配置されてよい。
【0124】
例えば、ローラ本体112h又は最下層1402は、メッシュ構造(例えば、スクリーンインサート)を用いて全表面領域に亘って半径方向に覆われてよい。何故ならば、そこではメッシュ構造が表面領域により良好に接触し、ローラシェル112m(例えば、噴霧された層)において均一な外乱をもたらすからである。(例えば、溝112g、702g上又は内のみの)部分的な被覆では、より大きな不均一性がもたらされることがある。何故ならば、メッシュ構造と自由ケーシング領域との間の移行も追加的に存在するからである。
【0125】
更に、その場合、メッシュ構造は、ローラ本体上により少ない接触で位置し、その結果、本体112h又は最下層1402への不十分な層結合のリスクが増大することがある。
【0126】
第2の気体分配層702又はその円周方向チャネル702gは、例えば、省略されてもよい。
【0127】
例えば、スポット溶接技術を用いた、銅表面(例えば、熱分配層451)上のメッシュ構造の固定は、より困難にされることがある。従って、この場合には、例えば、接着剤を用いて、例えば、ポリマ接着剤を用いて、例えば、エポキシ樹脂又は二成分接着剤を用いて、異なる材料結合接続が生成されてよい。
【0128】
より一般的に言えば、気体分配層802は、例えば、第1の気体分配層602及び/又はローラシェル112mが、適用中に、気体分配層702又はその円周方向チャネル702g内に或いは気体ライン112g内に浸透することを抑制することがある。浸透に関するこのリスクは、例えば、第1の気体分配層602及び/又はローラシェル112mが噴霧プロセスを用いて塗布されるならば、増大させられることがある。
【0129】
この場合、気体分配層802は、例えば、円周方向チャネル702g及び/又は気体ライン112g内への細かいバネストランド(spring strands)及び/又は織込み金属ホース(woven metal hoses)の挿入を用いて、マイクロスリット(microslit)及びマイクロベント(microbent)板金ストリップを円周方向チャネル702g及び/又は気体ライン112g内に挿入することを用いて、異なって提供されてよい。
【0130】
換言すれば、気体分配層802は、円周方向チャネル702g及び/又は気体ライン112g内に少なくとも部分的に配置されてよい。
【0131】
気体分配層802が複数のフィラメント、例えば、そのメッシュ構造を含むならば、その下に位置する表面(例えば、第2の気体分配層702の表面)は、例えば、メッシュ構造(例えば、スクリーン織布)がその上に配置される前に、穏やかに粗ブラスト処理されてよい。代替として又は追加的に、回転プロセス(turning process)を用いて、接線方向に回転させられた轍(ruts)が形成されてよい。より一般的に言えば、その下に位置する表面は、粗面化又は平滑化されてよい。
【0132】
気体分配層802が収縮させられるならば、その下に位置する層が特に滑らかである(例えば、精密仕上げされる)ことが必要な場合がある。何故ならば、高い表面品質が、気体分配層802(例えば、金属シート)の収縮の結果に有益だからである。他方、気体分配層802が複数のフィラメントを含むならば、表面は、より粗くてよい、例えば、粗面化又は平滑化されてよい。
【0133】
粗面は、約3.2μm(マイクロメートル)から約25μmの範囲内の粗さ、例えば、感知されることがあり且つ目に見えるスコアを有してよい。平滑化された表面は、約1.6μm~約3.2μmの範囲内の粗さ、例えば、依然として目に見え且つ/或いは感知されないことがあるスコアを有してよい。仕上げ加工された表面は、約0.8μm~約1.6μmの範囲内の粗さ、例えば、目にはもはや見えないスコアを有してよい。
【0134】
図13A図13Bは、様々な実施形態に従った様々な図において温度制御ローラ112をそれぞれ例示している。
【0135】
図1300aでは、複数の気体ライン112gが例示されている。複数の気体ライン112gの各気体ライン112gは、例えば、ローラハウジング112hにある凹部を用いて提供されてよい。
【0136】
図1300bでは、複数の円周方向チャネル702gが例示されている。複数の円周方向チャネル702gの各円周方向チャネル702gは、例えば、ローラハウジング112hにある凹部及び/又は気体ライン112gを横切ることによって提供されてよい。
【0137】
図1300cでは、複数の穿孔802gが例示されている。複数の穿孔802gの各穿孔802gは、例えば、ローラハウジング112h上の中空シリンダを用いて提供されてよく、且つ/或いは、例えば、円周方向チャネル702gを横断して、気体ライン112gに平行に延びるようされてよい。
【0138】
図14は、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を概略的な層構造図1400a及び構造密度図1400bにおいて例示しており、そこでは、構造密度1041(例えば、細孔密度)が半径111rに対してプロットされている。層は、例えば、回転軸111dに対して互いに重なり合って配列されることがある、即ち、増加する半径111rを有することがある、中空シリンダの形態の層として理解されてよい。層は、例えば、ペアで互いに接触してよい。
【0139】
冷却デバイス1124は、温度制御ローラ112の内側に配置されてよい。その上に位置する最下層1402は、複数の気体ライン112gを有してよい。その上に位置する第2の気体分配層702は、多数の円周方向チャネル702gによって貫通されてよく、任意的に、複数の気体ライン112gによって貫通されてよい。その上に位置する第3の気体分配層802は、複数の穿孔802gによって貫通されてよい。その上に位置する第1の気体分配層602は、気体チャネル602gに接続された複数の細孔によって貫通されてよい。その上に位置するローラシェル112mの温度制御面は、複数の気体出口開口112oを有してよく、複数の機体出口開口112oは、任意的に、気体チャネルに接続された複数の細孔の形態でローラシェル112mを貫通する。複数の気体出口開口112oは、任意的に、気体チャネル602gに接続された複数の細孔を用いて形成されてよい。
【0140】
例えば、ローラシェル112mは、微孔性(microporous)であってよく、第1の気体分配層602は、メソ多孔性(mesoporous)であってよい。代替として、ローラシェル112mは、メソ多孔性であってよく、第1の気体分配層602は、マクロ多孔性(macroporous)であってよい。
【0141】
図15は、ローラシェル112mが細孔密度1041において勾配を有し、任意的に、第1の気体分配層602が省略されるという相違点を伴って、図14と類似の方法において、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を概略的な層構造図1500a及び構造密度図1500bにおいて例示している。その下に位置する層との相違として、ローラシェル112mは、構造密度において勾配を有するのに対し、その下に位置する層の構造密度は、例えば、離散値を取る。
【0142】
図16Aは、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を概略的な層構造図1600aにおいて示している。温度制御ローラ112は、1つ又はそれよりも多くの(導電層1602とも呼ばれる)導電性(中空円筒状)層1602を有してよい。1つ又はそれよりも多くの導電層1602は、最下層1402及び/又は第2の気体分配層702及び/又は第3の気体分配層802であってよく、且つ/或いは第1の気体分配層602を含んでよく、或いはそれによって形成されてよい。
【0143】
1つ又はそれよりも多くの導電層1602は、例えば、複数の螺旋状の円周方向チャネル702gを有してよい。
【0144】
(中立モードとも呼ばれる)第1の動作モードでは、基準電位が1つ又はそれよりも多くの導電層1602に印加されてよい。基準電位は、例えば、基板の電位又は電気質量(electrical mass)であってよい。代替として又は追加的に、基準電位は基板に印加されてよい。第1の動作モードでは、例えば、基板と温度制御ローラ112との間には如何なる静電引力ももたらされなくてよい。
【0145】
図16Bは、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を概略的層構造図1600bにおいて例示している。
【0146】
温度制御ローラ112は、1つ又はそれよりも多くの(絶縁層1604とも呼ばれる)電気絶縁(円筒状)層1604を有してよい。絶縁層1604は、温度制御ローラの(終端層とも呼ばれる)最外側の露出させられた層であってよく、且つ/或いは、温度制御表面、例えば、ローラシェル112mを有してよい。
【0147】
例えば、絶縁層1604の破壊電圧は、1000ボルト(V)を超えてよく、例えば、約2000Vを超えてよく、或いは3000ボルト(V)を超えてよい。
【0148】
1つ又はそれよりも多くの絶縁層1604は、1つ又はそれよりも多くの導電層1602の上に配置されてよい。1つ又はそれよりも多くの絶縁層1604は、温度制御ローラ112によって輸送される基板を、1つ又はそれよりも多くの導電層1602から電気的に(例えば、直流電気的に(galvanically))分離するように構成されてよい。
【0149】
1つ又はそれよりも多くの絶縁層1604は、温度制御ローラ112の温度制御面1604oを含んでよく、或いはそれによって形成されてよい。1つ又はそれよりも多くの絶縁層1604は、例えば、ローラシェル112mを有してよく、任意的に、第3の気体分配層802を有してよく、且つ/或いは、任意的に、第1の気体分配層602を有してよい。
【0150】
(引力モードとも呼ばれる)第2の動作モードでは、基準電位と異なる電位、例えば、10ボルト(V)を超える電位、例えば、20Vを超える電位、例えば、50Vを超える電位、例えば、100Vを超える電位が、1つ又はそれよりも多くの導電層1602に印加されてよい。与えられる電圧は、基準電位を表す(例えば、基準電位に基づく)ことがある。
【0151】
代替として又は追加的に、基準電位が基板に印加されてよい。
【0152】
第2の動作モードでは、例えば、静電気引力又は少なくとも第1の動作モードよりも大きな静電引力が、基板と温度制御ローラ112との間に提供されてよい。
【0153】
図16Cは、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を概略的層構造図1600cにおいて例示している。
【0154】
温度制御ローラ112は、導電層1602が互いに直流電気的に分離された複数のセグメントを有するという相違を伴って、1600bにおけるように構成されてよい。導電層1602のセグメントは、例えば、温度制御ローラ112の周囲に沿って互いに隣り合って配置されてよく、且つ/或いは温度制御ローラ112の回転軸に沿って長手方向に延びてよい。
【0155】
温度制御ローラ112は、導電層1602の少なくとも第1のセグメントと電気的に接触する第1の電気接点1606を有してもよい。また、温度制御ローラ112は、周囲に沿って第1の電気接点1606からある距離にあり且つ/或いは導電層1602の少なくとも1つの第2のセグメントと電気的に接触する、第2の電気接点1608を有してもよい。
【0156】
例えば、第1の電気接点1606及び/又は第2の電気接点1608は、導電層1602と物理的に接触してよく、且つ/或いは反対側に配置されてよい。
【0157】
(変化モードとも呼ばれる)第3の動作モードでは、基準電位と異なる電位1603、例えば、10ボルト(V)を超える電位、例えば、20Vを超える電位、例えば、50Vを超える電位、例えば、100Vを超える電位が、第1の電気接点1606に印加されてよい。第3の動作モードでは、更に、基準電位1601、又は少なくとも基板の電位が、第2の電気接点1606に印加されてよい。換言すれば、第1の電気接点1606は、引力モードに従ってアクティブ化(起動)されてよく、第2の電気接点1608は、中立モードに従ってアクティブ化(起動)されてよい。
【0158】
より一般的に言えば、複数の電気接点1606、1608が設けられてよく、各接点は、温度制御ローラのセグメントに導電式に接続される。
【0159】
任意的に、移送構成は、制御デバイスを有してよく、制御デバイスは、例えば、互いに別々に、開ループ及び/又は閉ループ式に、複数の電気接点1606、1608の各接点にある電位を制御してよい。このようにして、基板の静電引力の空間分布は、開ループ及び/又は閉ループ式に制御されることがある。開ループ及び/又は閉ループ制御は、例えば、基板と温度制御ローラ112との間の気体圧力を表すパラメータに基づいて行われてよい。
【0160】
変化モードは、例えば、基板に基準電位を印加するステップと、温度制御ローラ112を用いて基板を輸送するステップであって、基板は温度制御ローラ112の第1の部分と完全に物理的に接触し、温度制御ローラ112の第2の部分と部分的に物理的に接触する(例えば、取り外される)、ステップと、基準電位を第2の部分に印加し、基準電位とは異なる電位を第1の部分に印加するステップであって、基準電位は、基準電位からの電位差よりも小さいと基板からの電位差を有する、ステップとを含む。
【0161】
例えば、第1の電気接点1606及び/又は第2の電気接点1608は、摺動接点、例えば、ブラシ接点を含んでよい。
【0162】
例えば、フィルムやストリップのような、フレキシブル基板が、(冷却ローラとも呼ばれる)温度制御ローラ112との物理的接触を用いて冷却されてよい。この場合、基板と(冷却ドラムとも呼ばれる)温度制御ローラ112との間の熱伝達は、運び出されることがある熱出力を増加させることがある。例えば、例示として、熱伝達は、基板と温度制御ローラ112との間の気体クッションにおける熱輸送の結果として特に高いことがあり、それは、例えば、100W/m/Kを超えて1000W/m/Kまでを達成することが可能である。熱伝達は、基板と温度制御ローラ112との間の気体クッションの気体圧力の増加及び/又は基板と温度制御ローラ112との間の距離の減少に伴って増加する。基板と温度制御ローラ112との間の高い気体圧力は、(基板自体からの又は基板表面上の対応する濃縮による)基板供給によって維持されることがある。例えば、気体は、温度制御ローラ112自体を通じて、基板と温度制御ローラ112との間の空間に導入されてよい。最大では、基板と温度制御ローラ112との間の気体圧力は、例えば、基板を温度制御ローラ112からリフトオフしないような大きさであってよく、基板のリフトは、例えば、ストリップ張力によって構築される押圧力によって相殺される。代替として又は追加的に、基板(例えば、プラスチックフィルム)が、電子ビーム蒸着の場合に特に使用されることがある静電引力を用いて、温度制御ローラ112上に引き付けられることがある。しかしながら、この静電引力が過大に設定されるならば、温度制御ローラ112からの基板の分離はより困難にされることがある。特に蒸発のために電子ビームを使用するときには、電子ビームによってコーティングプロセスによって引き起こされることがある基板のあらゆる荷電を相殺するために、(放電デバイスとも呼ばれる)基板を放電するための様々なデバイスが使用されてよい。例示として、基板に導入される電荷は、例えば、基板を基準電位に導く且つ/或いは基準電位に維持するために、放電デバイスを用いて除去されてよい。
【0163】
例えば、(例えば、クロムめっき鋼の)金属温度制御面1604oを有する温度制御ローラ112は、(例えば、コーティングされた側が温度制御ローラ112に対して位置するときに)例えば、金属フィルム又は金属コーティングされたフィルムに対して、静電引力を提供しないか、或いは不十分に提供することがある。何故ならば、その場合、電荷は放散及び/又はシールドされることがあるからである。導電層1602を用いて、基板を温度制御ローラ112に押し付ける静電力が、基板に加えられることがある。例示として、静電力は、基板から絶縁された電極(導電層1602)を用いて伝達されることがある。
【0164】
様々な実施形態によれば、気体冷却と静電引力とを組み合わせた温度制御ローラ112が、真空中の適用のために提供されてよく、静電引力の強度及び/又は静電引力の場所が開ループ及び/又は閉ループ式に制御されることが任意的に可能である。
【0165】
様々な実施形態によれば、温度制御ローラ112からの気体が温度制御ローラ112を出て、基板と温度制御ローラ112との間の空間に入ることがあるために、温度制御ローラ112は、その温度制御表面1604oで拡散するよう、穿孔されてよく、或いは開口してよい。温度制御ローラ112の温度制御面1604o(例えば、外面1604o)は、例えば、電気絶縁材料から作られてよい。導電層1602は、温度制御ローラ112の電気的に絶縁された温度制御面1604oの下に配置されてよい。
【0166】
導電層1602は、(例えば、温度制御ローラ112が電気絶縁式に取り付けられるならば)温度制御ローラ112のシャフト118を用いて特定の電位に直接的に導かれてよい。換言すれば、電位は、温度制御ローラ112のシャフト118で取り込まれて(結合されて)(coupled in)よい。代替として、導電層1602は、電位が導電層1602で直接的に取り込まれることがあるよう、温度制御ローラ112のシャフト118に対して電気的に絶縁されてよい。
【0167】
任意的に、導電層1602の構造及び導電層1602への電位の結合は、最高の引力が熱入力領域において(例えば、コーティングされた窓で)基板に伝達され、より低い引力が温度制御ローラ112からの基板の分離の領域において基板に伝達されるような方法において、構成されてよい。
【0168】
このようにして、高い気体圧力が提供されることがあり、同時に、基板と温度制御ローラ112との間の狭い間隙を伴い、同時に、基板の供給及び除去の領域において減少した引力が提供され、基板ガイダンスに対する悪影響がより少ない。
【0169】
静電引力は、例えば、基板と導電層1602との間に電圧を印加することによって提供される。温度制御ローラ112の気体透過性及び電気絶縁性の外層1604は、例えば、約5mm未満の、例えば、約2.5mm未満の、例えば、約1mm未満の厚さを有してよい。
【0170】
第1の構成では、引力モードにおいて、導電層1602への(例えば、基準電位に対する)電圧の結合は、例えば、ローラハウジング112h及び/又はシャフト118を用いて行われることがある。
【0171】
例えば、取込み(結合)(coupling in)は、開ループ及び/又は閉ループ制御式に行われることがあるので、例示として、コーティング窓(coating window)の領域における可能な最大の引力と温度制御ローラ112からの基板の分離のための十分な分離力との間の妥協がもたらされる。
【0172】
例えば、取込み(例えば、電圧の値)は、基板が処理される動作点を表すパラメータに基づいて、開ループ及び/又は閉ループ制御式に行われてよい。動作点は、例えば、分離力によって定義されてよい。
【0173】
例えば、分離の力を感知されることがあり、このようにして、基板についての最大の可能な引力を決定されることがある。例示として、引力は、基板と温度制御ローラ112との間の空間に構築されることがある最大の可能な気体圧力を制限する。
【0174】
変化モードのために、第2の構成において、導電層1602は、ローラハウジング112h及び/又はシャフト118に対して電気的に絶縁されてよい。例えば、導電層1602は、(例えば、グラファイトブラシ又は他の摺動接点で)温度制御ローラ112の外側で接触されることがあるように塗布されてよい。コーティング窓の直前又は内に荷電し、基板分離の領域で放電することによって、引力の空間分布が提供されてよい。導電層1602に取り込まれる(coupled into)それに対応する電位の空間分布は、例えば、複数の電気接点1606、1608を用いて提供されてよい。
【0175】
変化モードのために、任意的に、導電層1602は、導電層1602が異方性導電率を有するように構成されてよい。例えば、(横方向伝導率とも呼ばれる)回転軸111dに平行な導電率は、例えば、移動方向に沿って回転軸111dに対して横方向よりも大きくてよい。異方性導電率は、例えば、導電層をストリップセグメントに分離することを用いて提供されてよい。
【0176】
異方性(anisotropic)は、異なる方向において測定されるときに異なる値を備える特性を有するものとして理解されてよい。例えば、異方性量(anisotropic quantity)は、異なる方向において測定されるときに異なる値を有するものとして理解されてよい。
【0177】
このようにして、第1の引力は、温度制御ローラ112の第1の角度領域において基板に伝達されることがあり、第1の引力よりも少ない第2の引力は、第2の角度領域において基板に伝達されることがある。最大の達成可能な第1の引力、結果的に、例えば、温度制御ローラ112と基板との間の空間における最大の可能な気体圧力は、例えば、絶縁層1604の(穿刺電圧とも呼ばれる)破壊電圧によってのみ制限されてよい。この場合、分離挙動は、どの値が第1の引力に使用されるかと無関係である。
【0178】
図17は、様々な実施形態に従った温度制御ローラ112を、例えば、層構造図1600cのように構成された、概略的な層構造図1700において例示している。
【0179】
変化モードのために、導電層1602の第3の構成において、交互に異なる電位が、例えば、交互に取り込まれ(coupled in)てよい。
【0180】
例えば、基板が十分に接地されていないならば、或いは基板接地がプロセスの結果に対して悪影響を有するならば、第1の構成及び第2の構成は、それらの限界を満たすことがある。この限界を克服するために、温度制御ローラ112は、例えば、温度制御ローラ112が回転するときに、そのセグメントが、例えば、1つ又はそれよりも多くの第1の接点1606、1608が温度制御ローラ112の第1の側に配置され且つ1つ又はそれよりも多くの第2の接点1706、1708が(回転軸111dに沿って)第1の側とは反対の温度制御ローラ112の第2の側に配置される複数の接点1606、1608を用いて、両側で交互に接触されるような方法において、接触されることがある。例えば、導電層1602の第1のセグメントは、第1の側で電気的に接触されてよく、導電層1602の第1のセグメントに直接的に隣接する第2のセグメントは、第2の側で電気的に接触されてよい。
【0181】
導電層1602のセグメント(例えば、ストリップ)は、互いに電気的に絶縁されるように、例えば、互いに直流電気的に分離されるように、構成されてよい。例えば、それらは、同じ平面内で互いに分離されてよく、或いは絶縁分離層を用いて異なる平面内で互いに分離されてよい。
【0182】
ストリップ形態とは別に、導電層1602の1つ又はそれよりも多くの(例えば、各々の)セグメントは、例えば、蛇行の形態、ウェッジの形態、及び/又は温度制御表面1604oが最大限に充填されるような方法において、異なって形成されてよい。
【0183】
第2の構成から類推して、導電層1602の接触は、温度制御ローラ112の外側、例えば、コーティング窓の領域で起こることがあり、同じように、電荷均衡(即ち、導電層1602の放電)は、基板の供給及び除去の領域で起こることがある。
【0184】
第4の構成において、絶縁層1604(例えば、外側絶縁層)は、絶縁層1604が容易に交換されることを可能にする材料から生成されてよい。例えば、絶縁層1604は、穿孔された収縮フィルム、拡散に対して開放性のラッカー、又は拡散に対して開放性の他のコーティング、例えば、蒸着ZrO(酸化ジルコニウム)を含んでよい。温度制御ローラ112の保守のために、例えば、絶縁層1604の(例えば、均一な)除去及び後続の再適用をもたらす、保守デバイスが提供されてよい。
【0185】
本明細書において提供される温度制御ローラ112を用いて、温度制御ローラ112での熱伝達の増加及び/又は使用可能性(enablement)が、静電力を用いた確定された押圧によって、並びに同時に温度制御ローラ112から基板と温度制御ローラ112との間の間隙への気体の流出によって、提供されることがある。
【0186】
図18は、様々な実施形態に従った真空構成1800を(回転軸111dに沿う視認方向を用いて)概略的な側面図又は断面図における例示しており、真空構成1800は、輸送構成1200を有し、代替的に、温度制御ローラ112を有する輸送構成100、200、300又は1000のうちの1つを有する。
【0187】
様々な実施形態によれば、基板102の循環巻線及び/又は処理(例えば、コーティング)は、真空中、例えば、真空構成1800内で行われてよい。
【0188】
様々な実施形態によれば、真空構成1800は、真空が生成及び/又は維持されることがある、真空チャンバハウジング802kを有してよい。真空チャンバハウジング802kは、この目的のために、例えば、気密、防塵及び/又は真空密として構成されてよい。真空チャンバハウジング802kは、1つ又はそれよりも多くの真空チャンバを有してよい。真空チャンバ又は各真空チャンバは、1つ又はそれよりも多くの真空領域306b、308b、例えば、処理領域306b、308bを提供してよい。真空チャンバハウジング802kの複数の真空チャンバ及び/又は複数の真空領域306b、308bは、任意的に、少なくとも部分的に互いに気体分離されてよい。
【0189】
更に、真空チャンバハウジング802kは、(少なくとも1つの低真空ポンプ及び任意的な少なくとも1つの高真空ポンプを有する)ポンプシステム804に連結されてよい。ポンプシステム804は、真空(即ち、0.3バール未満の圧力)及び/又は約1mbar~約10-3mbar(換言すれば、微細真空)の範囲内の圧力、及び/又は約10-3mbar~約10-7mbar(換言すれば、高真空)の範囲内の圧力、又は高真空未満の圧力、例えば、約10-7mbar(換言すれば、超高真空)未満の圧力が、真空チャンバハウジング802k内にもたらされることがあるように、真空チャンバハウジング802kから気体(例えば、プロセス気体)を抽出するように構成されてよい。
【0190】
ポンプシステム804は、例えば、ポンプ構成1716を含んでよく、或いはそれによって形成されてよい。代替として又は追加的に、真空構成1800は、気体供給構成1716を有してよい。気体供給構成1716を用いて、プロセス気体を真空チャンバハウジング802kに給送して、真空チャンバハウジング802k内にプロセス雰囲気を形成してよい。プロセス気体は、例えば、不活性ガスを含んでよく、或いはそれによって形成されてよい。代替として又は追加的に、プロセス気体は、反応性気体、例えば、酸素、窒素、水素、アルゴン及び/又は炭素を含んでよく、或いはそれらによって形成されてよい。プロセス圧力は、気体供給構成1716を用いて給送され、ポンプシステム804によって抽出される、プロセス気体の平衡によって形成されてよい。
【0191】
更に、真空チャンバハウジング802kは、基板が処理される動作点(例えば、真空条件、又はより一般的には、プロセス条件)(例えば、プロセス圧力、プロセス温度、化学プロセス気体組成、静電引力など)が、例えば、制御デバイス508を用いて、(例えば、局所的に)調整又は制御されてよいような方法において、構成されてよい。例えば、互いに異なる動作点を有する複数の真空領域306b、308bが、真空チャンバハウジング802kを用いて提供されてよい。例えば、制御デバイス508は、電圧供給源806、気体供給構成716及び/又はポンプシステム804を開ループ及び/又は閉ループ式に制御するように構成されてよい。電圧供給源806を用いて、例えば、電位が、温度制御ローラ112(例えば、気体分配構造402)のために提供されてよい。例えば、制御デバイス508は、温度制御ローラ112(例えば、気体分配構造402)に取り込まれる電位及び/又は基板102に伝達される結果として得られる引力の開ループ及び/又は閉ループ制御のために構成されてよい。代替として又は追加的に、制御デバイス508は、気体供給構成1716及び/又は温度制御ローラ112によって供給され且つ/或いはポンプシステム804を用いて抽出されるプロセス気体の標準容積流の開ループ及び/又は閉ループ制御のために構成されてよい。
【0192】
様々な実施形態によれば、制御デバイス508は、(例えば、基板102及び/又はプロセス気体の)プロセス温度が、例えば、処理中(例えば、コーティング中)に、開ループ及び/又は閉ループ式に制御されることがあるように、例えば、加熱デバイス及び/又は冷却デバイスを有する)任意的な温度制御デバイス1124の開ループ及び/又は閉ループ制御のために構成されてよい。例えば、制御デバイス508は、基板温度制御デバイス1124を用いて給送され且つ/或いは基板温度制御デバイス1124を用いて抽出される熱出力の開ループ及び/又は閉ループ制御のために構成されてよい。
【0193】
任意的に、真空構成1800は、例えば、温度制御された流体(例えば、冷却液)又は電気エネルギを供給するために、温度制御デバイス1124に供給するための、供給デバイスを有してよい。例えば、供給デバイスは、処理チャンバ802kの外側に配置されてよい。例えば、加熱媒体又は冷却媒体が温度制御デバイス1124(例えば、温度制御ローラ112)に給送されてよく、再びそこから除去されてよい。
【0194】
少なくとも1つの真空領域306b、308b、例えば、第1の真空領域306bは、真空チャンバハウジング802k(例えば第1の真空チャンバ)内に配置されてよい。更に、第1の処理源306、例えば、コーティング材料源306が、真空チャンバハウジング802k(例えば、第1真空チャンバ)内に配置されてよい。コーティング材料源306は、気体状のコーティング材料を第1の真空領域306b内に放出するように構成されてよい。コーティング材料を用いて、基板102はコーティングされてよい。換言すれば、基板102のコーティングは、第1の真空領域306b内で行われてよい。第1の真空領域306bは、コーティング領域306bであってよい。
【0195】
任意的に、少なくとも1つの第2の真空領域308bが、真空チャンバハウジング802k(例えば、第2の真空チャンバ又は第1の真空チャンバ)内に配置されてよい。更に、第2の処理源308、例えば、露光デバイス308が、真空チャンバハウジング802k(例えば、第2の真空チャンバ)内に配置されてよい。第2の処理源308は、例えば、基板102がコーティングされるコーティング材料を加工及び/又はコーティングするために構成されてよい。
【0196】
様々な実施形態によれば、真空チャンバハウジング802kは、真空チャンバハウジング802kの内部を露出させるためのチャンバ開口を有してよい。チャンバ開口は、例えば、回転軸111dの方向において、真空チャンバハウジング802kの内部を露出させてよい。チャンバ開口を閉じるために、真空チャンバハウジング802kは、チャンバカバーを有してよい。
【0197】
様々な実施形態によれば、制御デバイス508は、例えば、第2の処理源が、基板102の方向105において時間単位当たりに放出される材料及び/又は熱エネルギ(例えば、放射エネルギ)の量を開ループ及び/又は閉ループ式に制御する点において、例えば、第1の処理源306及び/又は第2の処理源308の開ループ及び/又は閉ループ制御のために構成されてよい。
【0198】
更に、真空構成1800は、1つ又はそれよりも多くの温度制御ローラ112(例えば、気体冷却ローラ112)と、任意的な1つ又はそれよりも多くのガイドローラ122とを有してよく、それらは、基板102(例えば、すとりっぷ形態の基板)が、例えば、(回転軸111dに対して垂直であることがある)輸送方向111wにおいて少なくとも1つの真空領域306b、308bを通じて巻戻しローラ112a、112bと巻取りローラ112bとの間で輸送される、輸送経路111を確定する。ガイドローラ122は、輸送経路を偏向させるように構成されてよい。
【0199】
任意的に、汚染物質(例えば、寄生堆積金属)が、例えば、スパッタリングデバイスを用いて、(霧化することを用いて)ローラシェル112mから除去される点において、温度制御ローラ112の洗浄が行われてよい。任意的に、スパッタリングデバイスは、温度制御ローラ112がスパッタリングカソードとして構成される点において提供されてよい。この目的のために、プラズマを生成することがある電気スパッタリング電位が、温度制御ローラ112、例えば、その導電層1602に印加されてよい。換言すれば、プラズマには、温度制御ローラ112を用いて給送される電気エネルギが供給されてよい。真空構成1800がスパッタリングデバイスを有さないならば、処理源のうちの1つ(例えば、その蒸発るつぼ)がスパッタリングデバイスと交換されてよい。
【0200】
スパッタリングのために、プラズマ形成気体が、スパッタリングカソードによってイオン化されてよく、それによって形成されるプラズマを用いて、材料(例えば、汚染物質)が温度制御ローラ112から除去される(例えば、霧化される)ことが可能である。引き続き、霧化された材料は、真空チャンバから除去されてよい。霧化された材料は、洗浄中に場合によっては準備の整った状態で位置する基板上に或いはプロセスを取り囲む領域(内部板金部品)内に積もる。例えば、スパッタリングを用いて、層又は複数の層が温度制御ローラ112から除去されてよい。代替として又は追加的に、スパッタリングを用いて、温度制御ローラ112のローラシェル112m(例えば、その細孔)が露出させられてよい。代替として又は追加的に、スパッタリングを用いて、例えば、閉塞した細孔が開放される点において、温度制御ローラ112(例えば、そのローラシェル112m)の構造密度が増大させられることがある。
【0201】
上述し且つ図面に示したものに関連する様々な例の記述が後続する。
【0202】
例1は、複数の気体出口開口112oを有する円筒状(例えば中空円筒状)のローラシェル112mと、ローラシェル112mに熱エネルギを供給し且つ/或いはローラシェル112mから熱エネルギを抽出するように構成される温度制御装置1124と、回転軸に沿って延びるように作られた複数の気体ライン112gと、複数の気体ライン112gと複数の気体出口開口112oとを気体導電式に互いに連結する気体分配構造402とを有し、気体分配構造402は、ローラシェル112mよりも低い構造密度1041及び/又はローラシェル112mよりも大きい導電性を有し、任意的に、気体分配構造402は、(例えば、半径方向に及び/又は温度制御ローラ112上に位置する基板から)ローラシェル112mを用いて電気的に絶縁(例えば直流電気的に分離)される、温度制御ローラ112であり、温度制御ローラ112は、任意的に、気体分配構造402と複数の気体ライン112gとの間に配置される熱分配層451も有し、熱分配層は、気体配線構造402及び/又は複数の気体ライン112gが内部に形成される温度制御ローラ112の材料よりも大きい熱伝導率を有し、熱分配層451は、例えば、銅を含むか、或いは銅によって形成される。
【0203】
例2は、例1に従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、複数の気体出口開口112oを気体導電式に互いに連結し、且つ/或いは、気体分配構造402は、複数の気体ライン112gを気体導電式に互いに連結する。
【0204】
例3は、例1又は例2に従った温度制御ローラ112であり、構造密度1041は、(例えば、シリンダケーシングの形態の)円筒状の表面積を表し(或いはそれに基づき)、且つ/或いは、例えば、気体伝導開口(即ち、気体貫通構造密度)、例えば、気体貫通伝導開口に基づく。
【0205】
例4は、例1乃至3のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体出口開口は、複数の相互接続された細孔によって設けられ、構造密度1041が、それを表し、例えば、構造密度1041は、それに基づく。
【0206】
例5は、例1乃至4のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、ローラシェル112mの構造密度1041は、気体出口開口の面積密度を表す(例えば、それに基づく)。
【0207】
例6は、例1乃至5のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、(例えば、中空円筒状の)多孔性層を有し、多孔性層(例えば、その細孔面積密度)は、気体分配構造402の構造密度によって表され、且つ/或いは、多孔性層は、ローラシェル112mと物理的に接触し、例えば、気体分配構造402の構造密度1041は、多孔性層(例えば、その細孔面積密度)に基づき、且つ/或いは、多孔性層は、ローラシェル112mと物理的に接触する。
【0208】
例7は、例6に従った温度制御ローラ112であり、構造密度1041は、細孔面積密度である。
【0209】
例8は、例6又は例7に従った温度制御ローラ112であり、多孔性層及び複数の気体出口開口(例えば、相互接続された細孔の網)は、空間細孔密度、空間細孔サイズ、及び/又は空孔率のうちの少なくとも1つの特性において異なる。
【0210】
例9は、例6~8のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、多孔性層は、導電性であるように構成されるか、少なくとも1つの導電性材料を含むか、或いは少なくとも1つの導電性材料によって形成される。
【0211】
例10は、例1~9のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402(例えば、多孔性層)は、ローラシェル112mよりも大きい導電率を有する。
【0212】
例11は、例1~10のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、それらの構造密度1041において異なる複数の(例えば中空円筒状の)層を有する。
【0213】
例12は、例1~11のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、複数の円周方向チャネル702gを有し、その各円周方向チャネルは、複数の気体ライン112gを気体導電式に互いに連結し、且つ/或いは、複数の円周方向チャネルは、構造密度1041によって表され、例えば、構造密度1041は、複数の円周方向チャネルに基づく。
【0214】
例13は、例12に従った温度制御ローラ112であり、複数の円周方向チャネル702gの各円周方向チャネルは、回転軸の周りに長手方向に延びるように作られる。
【0215】
例14は、例12又は例13に従った温度制御ローラ112であり、複数の円周方向チャネル702gのうち1つ又はそれよりも多くは、円弧に沿って円周方向チャネルとして延在するように作られる。
【0216】
例15は、例12~14のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、複数の気体ライン112g及び複数の円周方向チャネル702gは互いに交差し、且つ/或いは互いに対して斜めに走る。
【0217】
例16は、例12~15のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、複数の円周方向チャネル702gの各円周方向チャネルは、複数の気体ライン112gの全ての気体ライン112gに気体導電式に連結される。
【0218】
例17は、例12~16のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、複数の円周方向チャネル702gのうちの1つ又はそれよりも多くは、螺旋に沿って円周方向チャネルとして延在するように作られる。
【0219】
例18は、例17に従った温度制御ローラ112であり、複数の円周方向チャネル702gの互いに隣接する円周方向チャネルは、共通の螺旋に沿って延在するように作られる。
【0220】
例19は、例1~18のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、複数の穿孔(例えば、長円形の孔又はスリット)によって貫通される、気体分配層802(例えば、プレート、例えば、金属シート及び/又は穿孔プレート)を有し、複数の穿孔は、構造密度1041によって表され(例えば、構造密度1041は、複数の穿孔に基づき)、気体分配層802(網構造)は、複数のフィラメントを含み、複数のフィラメントの間には、複数の穿孔が設けられ、気体分配層802は、例えば、少なくとも部分的に(即ち、部分的に又は完全に)、複数の円周方向チャネル702g及び/又は複数の気体ライン112内に配置され、気体分配構造402は、気体分配層802の代替として又はそれに加えて、接着促進層802を有し、接着促進層802は、例えば、顆粒状及び/又は多孔性であり。接着促進層802は、例えば、ニッケル及び/又はアルミニウムを含み、或いはそれらによって形成される。
【0221】
例20は、例1~19のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、円筒状のローラシェル112mは、多数の気体出口開口112oを提供する相互接続された細孔の網を有し、気体分配構造402は、相互接続された細孔の網よりも大きな構造密度1041を有する。
【0222】
例21は、例1~20のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、ローラシェル112mは、(例えば、回転軸に対して横方向に沿って)構造密度1041における勾配を有する。
【0223】
例22は、例1~21のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、ローラシェル112mは、(例えば、回転軸に対して横方向に沿って)空間細孔密度、空間細孔サイズ、及び/又は多孔性のうちの少なくとも1つの特性における勾配を有する。
【0224】
例23は、例1~22のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、複数の気体ライン112gよりも大きい構造密度1041を有する。
【0225】
例24は、例1~23のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体配線構造402は、複数の気体ライン112gよりも回転軸に沿ってより大きい線形構造密度1041を有する。
【0226】
例25は、例1~24のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、複数の気体出口開口112oよりも回転軸に沿ってより低い構造線形密度1041を有する。
【0227】
例26は、例1~25のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、複数の気体出口開口112oよりも回転軸に対して横方向(例えば、円周方向)により大きい構造直線密度1041を有する。
【0228】
例27は、例1~26のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、複数の気体接続部も有し、その各気体接続部は、複数の気体ライン112gのうちの1つの気体ライン112gに正確に気体伝導式に接続される。
【0229】
例28は、例1~27のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、温度制御デバイス1124は、温度制御流体(例えば、冷却流体)を収容する(例えば、二重壁ハウジング壁を用いて提供される)キャビティを有する、円筒状の(例えば、二重壁付き)ハウジングを有し、気体分配構造402は、例えば、ハウジングとローラシェル112mとの間に配置される。
【0230】
例29は、例1~28のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、温度制御デバイス1124は、温度制御流体供給源(例えば、冷却流体供給源)に接続するための温度制御流体接続部も有する。
【0231】
例30は、例1~29のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、ローラシェル112mは、電気絶縁性として構成され、少なくとも電気絶縁材料(例えば、誘電体)を少なくとも含むか、或いは電気絶縁材料(例えば、誘電体)によって形成される。
【0232】
例31は、例1~30のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、ローラシェル112mは、1000ボルト(V)を超える電気破壊電圧を提供する。
【0233】
例32は、例1~31のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、(例えば、1つ又はそれよりも多くの接点を含む)接触構成も有し、接触構成は、気体分配構造402に電位を取り込むために気体分配構造402に導電式に接続される。
【0234】
例33は、例1~32のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、互いに電気的に絶縁され、導電性を有する、複数のセグメントを有する。
【0235】
例34は、例1~33のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402は、異方性の導電率を有する。
【0236】
例35は、例34に従った温度制御ローラ112であり、接触構成は、複数の電気接点を有し、複数の電気接点のうちの少なくとも2つの接点は、温度制御ローラ112の両側に配置され、且つ/或いは、複数の電気接点のうちの少なくとも2つの接点は、気体分配構造402のセグメントのそれに平行な広がりよりも大きい互いの距離にある。
【0237】
例36は、例35に従った温度制御ローラ112であり、少なくとも2つの接点は、それらが導電式に連結されるセグメントにおいて異なる。
【0238】
例37は、例1~36のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、また、電位を気体分配構造402に取り込むように構成された電圧源も有する。
【0239】
例38は、例37に従った温度制御ローラ112であり、電圧源は、例えば、基板が処理される動作点を表すパラメータに基づいて、開ループ及び/又は閉ループ方式に電位を制御するように構成される、制御デバイスを有し、制御デバイスは、例えば、電位の空間分布を開ループ及び/又は閉ループ式に制御するように構成される。
【0240】
例39は、例38に従った温度制御ローラ112であり、パラメータは、以下の動作点パラメータ、即ち、基板と温度制御ローラ112との間の気体圧力、温度制御ローラ112から基板を分離するために必要とされる(分離力とも呼ばれる)力、基板の温度のうちの少なくとも1つを含むか、或いは表す。
【0241】
例40は、例1~39のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、ローラシェル112m及び/又は気体分配構造402(例えば、その多孔性層)は、複数の固体粒子(例えば、粒状材料)を含む。
【0242】
例41は、例1~40のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、気体分配構造402(例えば、その多孔性層及び/又は固体粒子)は、金属(例えば、アルミニウム)を含むか、或いはそれによって形成される。
【0243】
例42は、例1~41のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、(例えば、円周方向及び/又は回転軸に沿う)ローラシェル112mの構造密度は、約200mm~約2000mm(又はそれよりも大きい密度)の範囲内にあり、且つ/或いは、(例えば、円周方向及び/又は回転軸に沿う)第1の気体分配層602の構造密度は、約10mm~約100mmの範囲内にあり、且つ/或いは、円周方向チャネルの(例えば、回転軸に沿う)構造密度は、約0.1mm~約0.5mmの範囲内にあり(例えば、0.25mmであり)、且つ/或いは、穿孔の構造密度は、約0.05mm~約0.3mmの範囲内にあり、且つ/或いは、(例えば、円周方向に沿う)気体ライン112gの構造密度は、約0.01mm~約0.05mmの範囲内にある。例えば、ローラ外側チューブ112hは、(例えば、ネジ溝に類似する)円周方向の周溝を有してよく、それは、例えば、約5mm以上のピッチ、約1mmの深さ、及び/又は約60°のフランク角を有する、円周方向チャネルを提供する。代替として又は追加的に、ローラ外側チューブ112hは、軸方向に(即ち、回転軸に沿って)延在するように作られる複数の溝を有し、それは、例えば、約4mmの幅(円周方向に沿う回転軸を横方向の広がり)及び/又は約6mmの深さを備える、或いは、例えば、互いに等距離に及び/又は9°毎に、温度制御ローラ112の周囲に亘って約40(又は約20~約80)の数において分散させられた、気体ライン112gを提供する。例えば、穿孔を提供する複数のスリット(例えば、スリット構成)を有する、穿孔付きシェル802が、ローラ外側チューブ上に配置されてよく(例えば、滑り嵌め(スリップオーバー)(slipped-over)されてよく)、これらのスリットの各々は、例えば、約10mmの軸方向の長さ及び約0.3mmの軸方向に対する横断方向の幅を有することが可能である一方で、互いに直接的に隣接するスリットは、軸方向において及び/又は約7mmの円周に沿って互いに離間してよく、且つ/或いは、(例えば、軸方向に延びるように作られた列、即ち、互いに直接的に続くスリットの列において)互いに直接的に隣接するスリットは、例えば、各場合において、約8.5mm(例示として、(10mmの長さ+7mmの長さ/2=8.5mm)だけ、互いにオフセットして配置される。例えば、第1の気体分配層602を提供する基層及び/又はローラシェル112mを提供する頂層を含むことがある微孔性コーティングが塗布されてよい。例えば、基層は、約2mmの厚さを有してよく、アルミニウムを含んでよく、或いはアルミニウムによって形成されてよく、且つ/或いは、約5%~約25%の範囲内(例えば、約10%)の空孔率を有してよい。例えば、頂層は、約0.5mmの又は少なくとも基層よりも少ない厚さを有してよい。例えば、頂層は、1つ又はそれよりも多くの酸化物(例えば、酸化アルミニウム(例えば、Al)、酸化クロム、酸化チタン、酸化イットリウム、及び/又は酸化ジルコニウム(例えば、ZrO))を含んでよく、又はそれらによって形成されてよい。
【0244】
例43は、例1乃至42のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、ローラシェル112m(例えば、その多孔性層及び/又は固体粒子)は、セラミック(例えば、酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウム)を含み、或いはそれによって形成される。
【0245】
例44は、温度制御ローラ112、例えば、例1乃至43のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、温度制御ローラ112は、回転軸を画定し、複数の気体出口開口112oを提供する相互接続された細孔の網を有する、円筒状のローラシェル112と、気体供給源を接続するための気体接続部を有する気体分配構造402と、円筒状のローラシェル112mに熱エネルギを供給し且つ/或いは円筒状のローラシェル112から熱エネルギを抽出するように構成された温度制御デバイス1124(例えば、冷却デバイス1124)と、回転軸に対して横方向に走る複数の円周方向チャネル702gを有する気体分配構造402とを有し、気体分配構造は、複数の気体出口開口112oと気体接続部との間に気体伝導接続部を提供し、或いはこの接続部の少なくとも部分であり、その各円周方向チャネル702gは、回転軸の周りで長手方向に延びるように作られ、気体分配構造402は、複数の気体出口開口112oと気体接続部との間に気体伝導接続部を提供するか、或いは気体伝導接続部の少なくとも部分である、多孔性層も有し、多孔性層及び相互接続される細孔の網は、以下の特性、即ち、空間細孔密度、空間細孔サイズ、及び/又は空孔率のうちの少なくとも1つにおいて異なる。
【0246】
例45は、温度制御ローラ112、例えば、例1乃至44のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、温度制御ローラ112は、回転軸を画定し、複数の気体出口開口112oを提供する相互接続された細孔の網を有する、円筒状のローラシェル112と、気体供給源を接続するための気体接続部を有する気体分配構造402と、円筒状のローラシェル112mに熱エネルギを供給し且つ/或いは円筒状のローラシェル112mから熱エネルギを抽出するように構成される温度制御デバイス1124(例えば、冷却デバイス1124)と、多孔性層を有する気体分配構造402とを有し、多孔性層は、複数の気体出口開口112oと気体接続部との間に気体伝導接続部を提供するか、或いはこの接続部の少なくとも部分であり、多孔性層及び相互接続された細孔の網は、以下の特性、即ち、空間細孔密度、空間細孔サイズ、及び/又は空孔率のうちの少なくとも1つにおいて異なる。
【0247】
例46は、温度制御ローラ112、例えば、例1乃至45のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、温度制御ローラ112は、回転軸を画定し、多数の気体出口開口112oを提供する相互接続された細孔の網を有する、円筒状のローラシェル112と、気体供給源を接続するための気体接続部を有する気体分配構造402と、円筒状のローラシェル112mに熱エネルギを供給し且つ/或いは円筒状のローラシェル112mから熱エネルギを抽出するように構成された温度制御デバイス1124(冷却デバイス1124)とを有し、相互接続された細孔の網は、以下の特性、即ち、空間細孔密度、空間細孔さいず、及び/又は空孔率のうちの少なくとも1つにおける勾配を(例えば、回転軸に対して横方向の方向に沿って)有する。
【0248】
例47は、温度制御ローラ112、例えば、例1乃至46のうちの1つに従った温度制御ローラ112であり、温度制御ローラ112は、回転軸を画定し、複数の気体出口開口112oを有する、円筒状のローラシェル112mと、気体供給源を接続するための気体接続部を有する気体分配構造402と、円筒状のローラシェル112mに熱エネルギを供給し且つ/或いは円筒状のローラシェルから熱エネルギを抽出するように構成された温度制御デバイス1124(例えば、冷却デバイス1124)と、複数の円周方向チャネル702gも有する気体分配構造402とを有し、複数の円周方向チャネル702gは、気体接続部への複数の気体出口開口112oの気体伝導接続部を提供するか、或いはこの接続部の少なくとも一部であり、その各円周方向チャネル702gは、回転軸の周りの(例えば、閉又は螺旋)経路に沿って長手方向に延びるように作られる。
【0249】
例48は、例1乃至47のうちの1つに従った温度制御ローラ112と、2つの循環巻付けローラ(例えば、巻戻しローラ及び巻上げローラ)と、複数の任意的な輸送ローラ122とを有し、2つの循環巻付けローラは、それらの間で循環式に基板を巻き付けるように構成され、任意的な輸送ローラ122は、温度制御ローラ112と共に、輸送経路に沿って基板を循環式に巻き付けるために2つの循環巻付けローラの間に輸送経路を提供する、輸送構成である。
【0250】
例49は、例48に従った輸送構成と、温度制御ローラ112を用いて輸送される基板を処理するための処理源(例えば、コーティングのためのコーティング材料源)とを有する、真空構成である。
【0251】
例50は、温度制御ローラ112が配置された真空チャンバも有する、例49に従った真空構成である。
【0252】
例51は、温度制御ローラ112、例えば、例1乃至50に従った温度制御ローラ112を用いて循環式に基板を巻き付けるステップと、温度制御ローラ112と基板との間に気体を導入するステップと、静電引力を伝達するために温度制御ローラ112と基板との間に電圧を提供するステップと、任意的に、コーティング材料で基板をコーティングするために温度制御ローラ112の方向にコーティング材料を放出するステップと、任意的に、例えば、基板が処理される動作点を表すパラメータに基づいて、開ループ及び/又は閉ループ式に電圧を制御するステップであって、任意的に、電圧は、空間的に不均一に分布される、ステップと、任意的に、温度制御ローラ112を用いて基板から熱エネルギを抽出し且つ/或いは基板に熱エネルギを供給するステップとを含む、方法である。
【0253】
例52は、温度制御ローラ112をスパッタリングカソードとして設定するステップ、例えば、(例えば、交流電場を生成するために)電気スパッタリング電位を温度制御ローラ112に取り込む(結合させる)ステップと、スパッタリングカソードを用いてプラズマを生成するステップと、例えば、温度制御ローラ112を洗浄するために、プラズマを用いて温度制御ローラ112の材料(例えば、金属材料)を霧化するステップと、任意的に、処理デバイスを交換するステップであって、交換は、例えば、蒸着ルツボをスパッタリングデバイスと交換することを含み、スパッタリングデバイスは、温度制御ローラ112をスパッタリングカソードとして使用する、方法である。
図1
図2
図3
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図5A
図5B
図5C
図6
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図10
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図13A
図13B
図13C
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図15
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図16C
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図18