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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】機器システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20231208BHJP
   F24H 15/124 20220101ALI20231208BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20231208BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20231208BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20231208BHJP
【FI】
F24H15/196 301P
F24H15/124
G01R31/50
G01R31/52
G01R31/54
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020054628
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021156449
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐光 洋介
(72)【発明者】
【氏名】河野 靖典
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-272102(JP,A)
【文献】特開2001-309549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
G01R 31/50 - 31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、該センサの検出信号が該センサに接続されたセンサ回路を介して入力される入力ポートを有し、該入力ポートに入力された前記検出信号に基づく制御処理を実行する第1機能を有する制御装置とを備える第1機器と、
該第1機器に付設される第2機器であって、前記センサの所定種類の異常の発生時に前記センサ回路から前記入力ポートに入力される信号と同一形態の信号を、該第2機器の作動を示す作動信号として前記入力ポートに入力し得るように該入力ポートに接続される回路を備える第2機器とを有し、
前記所定種類の異常発生時に前記入力ポートに入力される前記検出信号は、低レベル電圧信号および高レベル電圧信号のいずれかであり、
前記制御装置は、前記所定種類の異常を少なくとも含む前記センサの異常の発生を、前記入力ポートに入力される信号に基づいて検知する第2機能をさらに備えていると共に、該第2機能では、前記作動信号と同一形態の信号が前記入力ポートに入力されてから、前記作動信号を前記第2機器から前記入力ポートに入力し得る上限の時間として該第2機器であらかじめ定められた所定の上限時間を超えて継続した場合に、前記入力ポートに入力される信号に基づいて前記センサの前記所定種類の異常の発生を検知するように構成されていることを特徴とする機器システム。
【請求項2】
請求項1記載の機器システムにおいて、
前記制御装置の前記第2機能は、前記センサの異常として、該センサの短絡異常と該センサの断線異常との2種類の異常の発生を検知する機能であると共に、前記所定種類の異常は、当該2種類の異常のうちのいずれか一方の異常であり、
前記制御装置は、前記入力ポートに、前記2種類の異常のうちの前記所定種類の異常と異なる異常に対応する信号が入力されたときには、前記所定の上限時間の経過の有無によらずに、当該異なる異常の発生を検知するように構成されていることを特徴とする機器システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の機器システムにおいて、
前記第1機器は、浴槽内の湯水を循環させ得るように該浴槽に接続された循環路にポンプを備える機器であり、
前記第2機器は、前記浴槽内の湯水が前記ポンプの作動により供給され得るように前記循環路に接続される機器であり、
前記制御装置は、前記入力ポートに前記作動信号と同一形態の信号が入力されたとき、前記ポンプの作動による前記循環路での通水が生じるか否かを判定する第3機能と、該判定の結果が否定的である場合に、前記上限時間の経過の有無によらずに、前記センサの前記所定種類の異常の発生を検知する第4機能とをさらに備えるように構成されていることを特徴とする機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1機器と、これに付加的に付設される第2機器とを有する機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、湯はり運転等を行い得る風呂装置(第1機器)では、浴槽内の湯水を洗濯用水として洗濯機に注水するための注水装置が、オプション機器(第2機器)として付加的に付設される場合がある。
【0003】
また、温度センサ等のセンサの断線もしくは短絡等の異常の発生を制御装置により検知し得るようにした装置が従来より知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-272102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記風呂装置及び注水装置を有するシステムのように、第1機器と、これに付加的に付設される第2機器とを備える機器システムでは、通常、第2機器の作動を第1機器の制御装置に認識させるために、第2機器の作動を示す作動信号を第1機器の制御装置に入力する必要がある。
【0006】
この場合、制御装置に、第2機器の作動信号を入力するための専用的な入力ポートを備えておくことが考えられる。しかるに、この場合、第2機器を付設しない第1機器では不要な入力ポートを制御装置に備えておくために、第1機器のコスト低減の妨げとなりやすい。
【0007】
そこで、第2機器の作動信号を入力するための該制御装置の入力ポートとして、例えば、第1機器に備えた温度センサ等のセンサの検出信号を該センサに接続されたセンサ回路から入力するための入力ポートを流用することが考えられる。
【0008】
この場合、第2機器の作動信号を、例えば第1機器のセンサの正常時の検出信号の電圧レベルと異なるレベルの信号にしておくことで、第1機器の制御装置は、第2機器の作動信号を、センサの検出信号と区別して認識することが可能である。
【0009】
しかるに、この場合、第2機器の作動信号が、センサの断線もしくは短絡等の所定種類の異常の発生時に制御装置に入力される信号と同じ形態の信号になる場合がある。そして、この場合には、第1機器の制御装置は、第2機器の作動信号と同一形態の信号が入力されたときに、該信号が、センサの異常の発生に起因するものであるか、あるいは、第2機器の作動に起因するものであるかを区別して認識することが困難となる。
【0010】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、第1機器に付設される第2機器の作動と、第1機器のセンサの異常の発生とを第1機器の制御装置が適切に認識し得るようにすることを簡易な構成で安価に実現できる機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の機器システムは、センサと、該センサの検出信号が該センサに接続されたセンサ回路を介して入力される入力ポートを有し、該入力ポートに入力された前記検出信号に基づく制御処理を実行する第1機能を有する制御装置とを備える第1機器と、
該第1機器に付設される第2機器であって、前記センサの所定種類の異常の発生時に前記センサ回路から前記入力ポートに入力される信号と同一形態の信号を、該第2機器の作動を示す作動信号として前記入力ポートに入力し得るように該入力ポートに接続される回路を備える第2機器とを有し、
前記所定種類の異常発生時に前記入力ポートに入力される前記検出信号は、低レベル電圧信号および高レベル電圧信号のいずれかであり、
前記制御装置は、前記所定種類の異常を少なくとも含む前記センサの異常の発生を、前記入力ポートに入力される信号に基づいて検知する第2機能をさらに備えていると共に、該第2機能では、前記作動信号と同一形態の信号が前記入力ポートに入力されてから、前記作動信号を前記第2機器から前記入力ポートに入力し得る上限の時間として該第2機器であらかじめ定められた所定の上限時間を超えて継続した場合に、前記入力ポートに入力される信号に基づいて前記センサの前記所定種類の異常の発生を検知するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0012】
なお、本発明において、「センサの異常」というのは、センサそのものの異常に限らず、センサに接続された通電回路の異常も含まれ得る。
【0013】
上記第1発明によれば、第1機器の制御装置の入力ポートは、該制御装置への前記センサの検出信号の入力と、第2機器の作動信号の入力とで共用される。そして、前記センサの所定種類の異常が発生してない正常時には、第2機器の作動時に、第1機器の制御装置の入力ポートに、該第2機器の回路から前記作動信号が入力されることで、該制御装置は、第2機器の作動を認識することが可能である。また、第2機器の作動停止状態では、制御装置は、前記入力ポートからセンサの検出信号を適宜取得することが可能である。
【0014】
一方、前記センサの所定種類の異常が発生すると、前記作動信号と同一形態の信号が第1機器の制御装置の入力ポートに入力される。この場合、第1機器の制御装置は、当該信号の入力後、前記所定の上限時間が経過するまでは、前記センサの所定種類の異常の発生の検知を行わずに当該検知を留保し、該所定の上限時間の経過後に前記入力ポートに入力される信号に基づいて前記センサの前記所定種類の異常の発生を検知する。
【0015】
ここで、制御装置の入力ポートに第2機器の回路から前記所定の上限時間を超えて前記作動信号が入力されることはないので、該所定の上限時間を超えて入力される信号が、該作動信号と同一形態の信号であるときには、前記センサの所定種類の異常が発生しているとみなすことができる。従って、制御装置は、前記所定の上限時間の経過後に前記入力ポートに入力される信号に基づいて前記センサの前記所定種類の異常の発生を適切に検知することが可能となる。
【0016】
よって、第1発明によれば、第1機器に付設される第2機器の作動と、第1機器のセンサの異常の発生とを第1機器の制御装置が適切に認識し得るようにすることを簡易な構成で安価に実現できる。
【0017】
上記第1発明では、前記制御装置の前記第2機能は、前記センサの異常として、該センサの短絡異常と該センサの断線異常との2種類の異常の発生を検知する機能であると共に、前記所定種類の異常は、当該2種類の異常のうちのいずれか一方の異常であり得る。この場合、前記制御装置は、前記入力ポートに、前記2種類の異常のうちの前記所定種類の異常と異なる異常に対応する信号が入力されたときには、前記所定の上限時間の経過の有無によらずに、当該異なる異常の発生を検知するように構成されていることが好ましい(第2発明)。
【0018】
これによれば、第1機器の制御装置は、前記センサの所定種類の異常と異なる異常に対応する信号が前記入力ポートに入力されたときには、前記所定の上限時間の経過を待たずに、直ちに、当該異なる異常の発生を検知することが可能となる。
【0019】
上記第1発明又は第2発明では、前記第1機器は、浴槽内の湯水を循環させ得るように該浴槽に接続された循環路にポンプを備える機器であり、前記第2機器は、前記浴槽内の湯水が前記ポンプの作動により供給され得るように前記循環路に接続される機器であり得る。この場合、前記制御装置は、前記入力ポートに前記作動信号と同一形態の信号が入力されたとき、前記ポンプの作動による前記循環路での通水が生じるか否かを判定する第3機能と、該判定の結果が否定的である場合に、前記上限時間の経過の有無によらずに、前記センサの前記所定種類の異常の発生を検知する第4機能とをさらに備えるように構成され得る(第3発明)。
【0020】
ここで、前記第2機器は、前記浴槽内の湯水がポンプの作動により供給され得るように循環路に接続される機器であるから、前記ポンプを作動させたときに循環路での通水が生じ得る程度に浴槽内に湯水が存在することを前提として作動するものである。
【0021】
従って、前記ポンプの作動による循環路での通水が生じ得ない状況(浴槽内が空になっている状況等)で、制御装置の入力ポートに前記作動信号と同一形態の信号が入力される場合には、前記センサの所定種類の異常が発生している可能性が高いとみなし得る。
【0022】
そこで、第3発明では、前記制御装置は、前記入力ポートに前記作動信号と同一形態の信号が入力されたとき、前記ポンプの作動による循環路での通水が生じるか否かを判定し、その判定の結果が否定的である場合に、前記上限時間の経過の有無によらずに、前記センサの所定種類の異常の発生を検知する。これにより、前記ポンプの作動による循環路での通水が生じない状況で、前記制御装置の入力ポートに前記作動信号と同一形態の信号が入力されたときには、該制御装置は、前記センサの所定種類の異常の発生を速やかに検知することが可能となる。
【0023】
また、本発明の機器システムは、センサと、該センサの検出信号が該センサに接続されたセンサ回路を介して入力される入力ポートを有し、該入力ポートに入力された前記検出信号に基づく制御処理を実行する第1機能を有する制御装置と、浴槽内の湯水を循環させ得るように該浴槽に接続された循環路に設けられたポンプとを備える第1機器と、
該第1機器に付設される第2機器であって、前記センサの所定種類の異常の発生時に前記センサ回路から前記入力ポートに入力される信号と同一形態の信号を、該第2機器の作動に関する作動信号として前記入力ポートに入力し得るように該入力ポートに接続される回路を備えると共に、前記浴槽内の湯水が前記ポンプの作動により供給され得るように前記循環路に接続される第2機器とを有し、
前記制御装置は、前記入力ポートに前記作動信号と同一形態の信号が入力されたとき、前記ポンプの作動による前記循環路での通水が生じるか否かを判定する第3機能と、該判定の結果が否定的である場合に、前記センサの前記所定種類の異常の発生を検知する機能をさらに有するように構成されていることを特徴とする(第4発明)。
【0024】
かかる第4発明によれば、前記第1発明と同様に、第1機器の制御装置の入力ポートは、該制御装置への前記センサの検出信号の入力と、第2機器の作動信号の入力とで共用される。そして、前記センサの所定種類の異常が発生してない正常時には、第2機器の作動時に、第1機器の制御装置の入力ポートに、該第2機器の回路から前記作動信号が入力されることで、該制御装置は、第2機器の作動を認識することが可能である。また、第2機器の作動停止状態では、制御装置は、前記入力ポートからセンサの検出信号を適宜取得することが可能である。
【0025】
また、第1機器の制御装置は、前記第3発明と同様に、前記入力ポートに前記作動信号と同一形態の信号が入力されたとき、前記ポンプの作動による循環路での通水が生じるか否かを判定し、その判定の結果が否定的である場合に、前記上限時間の経過の有無によらずに、前記センサの所定種類の異常の発生を検知する。これにより、前記ポンプの作動による循環路での通水が生じない状況で、前記制御装置の入力ポートに前記作動信号と同一形態の信号が入力されたときには、該制御装置は、前記センサの所定種類の異常の発生を速やかに検知することが可能となる。
【0026】
よって、第4発明によれば、第1機器に付設される第2機器の作動と、第1機器のセンサの異常の発生とを第1機器の制御装置が適切に認識し得るようにすることを簡易な構成で安価に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)の機器システムの全体構成を示す図。
図2】第1実施形態における機器システムの要部の回路構成を示す図。
図3】第2実施形態における機器システムの要部の回路構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1及び図2を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の機器システムは、第1機器の一例として、風呂給湯装置1を備えると共に、第2機器の一例として、浴槽BT内に存在する湯水を洗濯機WMに洗濯用水として供給する注水装置50を備えるシステムである。
【0029】
風呂給湯装置1は、浴槽BTへの湯はり、浴槽BT内の湯水の追い焚き等の風呂運転を実行可能な風呂装置としての機能と、台所や浴室等の給湯対象部(図示省略)に加熱した給湯用水を供給する給湯運転を実行可能な給湯装置としての機能とを併せ持つ装置であり、給湯用水及び風呂用水(浴槽BT用の湯水)の加熱を行い得る熱源機2を備える。
【0030】
熱源機2は、燃焼式の加熱源としてのバーナ3と、バーナ3の燃焼熱により加熱される熱交換器4と、給湯用水を流す給湯回路10と、風呂用水を流す風呂回路20とを備える。バーナ3は、本実施形態では、2つのバーナ3a,3bにより構成される。これらのバーナ3a,3bは、熱交換器4の異なる領域Ar1,Ar2を主たる加熱対象領域として、該領域Ar1,Ar2に各々対向するように配置されている。なお、図示は省略するが、バーナ3a,3bには、その燃焼運転時に、燃料供給路から燃料ガス等の燃料が供給されると共に、燃焼ファンの作動により燃焼用空気が供給される。
補足すると、熱源機2の加熱源は、バーナ3に限らず、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する加熱源、あるいは、ヒートポンプ式の加熱源等であってもよい。
【0031】
熱交換器4は、図示例では、1缶2水型の熱交換器であり、給湯回路10の構成要素となる給湯用通水路4aが領域Ar1、Ar2の両方にまたがって配設され、風呂回路20の構成要素となる風呂用通水路4bが領域Ar2に配設されている。なお、風呂用通水路4bが領域Ar1にまたがっていてもよい。また、給湯用通水路4a及び風呂用通水路4bは各別の熱交換器に備えられていてもよい。
【0032】
給湯回路10は、熱交換器4の給湯用通水路4aの入口側に接続された給水路11と、出口側に接続された給湯路12と、給湯用水を給水路11から給湯用通水路4aを経由させずに給湯路12に流し得るように給水路11の途中部を給湯路12の途中部に接続するバイパス路13とを備える。給水路11の上流側は、図示しない水道管等の給水源に接続され、給湯路12の下流側は、図示しない給湯対象部の給湯栓等に接続される。
【0033】
従って、給湯回路10は、給水路11から熱交換器4の給湯用通水路4aを経由して加熱される給湯用水と、給水路11からバイパス路13を経由する給湯用水とを混合して、給湯路12の下流側に供給し得るように構成されている。
【0034】
なお、図示は省略するが、給湯回路10には、さらに、給水路11又は給湯路12での通水流量を検出するためのセンサ、給湯路12から給湯対象部に供給される給湯用水の温度(給湯温度)を検出するためのセンサ、熱交換器4の給湯用通水路4aでの通水流量とバイパス路13での通水流量との比率(バイパス比)を調整するための制御弁等が備えられ得る。
【0035】
風呂回路20は、熱源機2と浴槽BTとの間で風呂用水を循環させるための循環路21と、循環路21に設けられた電動式のポンプ22(以降、循環ポンプ22という)と、給湯路12から浴槽BTへの湯はりを行うための湯はり用水路23とを備える。
【0036】
循環路21は、循環ポンプ22の吐出口から浴槽BTに風呂用水を流す往路側水路21aと、浴槽BTから循環ポンプ22の吸入口に風呂用水を流す復路側水路21bとから構成され、該往路側水路21a及び復路側水路21bのそれぞれの循環ポンプ22側の端部が、該循環ポンプ22の吐出口と吸入口とに各々接続されている。また、往路側水路21a及び復路側水路21bのそれぞれの浴槽BT側の端部は、浴槽BTの下部の側壁に形成された開口部Baに接続されている。そして、往路側水路21a及び復路側水路21bの一方、例えば往路側水路21aの途中部に、熱交換器4の風呂用通水路4bが介装されている。
【0037】
また、往路側水路21aの途中部(例えば熱交換器4の上流側の途中部)には、注水装置50に備えられた切換弁53が介装されていると共に、洗濯機WMに風呂用水を供給するための注水路60が該切換弁53を介して接続されている。
【0038】
切換弁53は、循環ポンプ22の作動時に上流側の往路側水路21aから流入する風呂用水の下流側の流路を切換える弁であり、例えば電動式の三方弁により構成される。該切換弁53は、流入する風呂用水を下流側の往路側水路21aに流通させる動作状態(以降、通常動作状態という)と、該風呂用水を注水路60を経由させて洗濯機WMに流通させる動作状態(以降、洗濯用動作状態という)とに選択的に動作可能である。従って、切換弁53の動作状態の切換えによって、切換弁53に流入する風呂用水の下流側の流路を、下流側の往路側水路21aと、注水路60とに選択的に切換えることが可能となっている。
【0039】
なお、図1では、切換弁53を熱交換器4の上流側の往路側水路21aに介装しているが、該切換弁53を熱交換器4の下流側の往路側水路21aに介装してもよい。また、風呂用水の流路を上記の如く切換える切換弁は、三方弁に限らず、複数の開閉弁の組み合わせにより構成することも可能である。例えば、注水路60を往路側水路21aの途中部に連通させて接続すると共に、その接続部の下流側の往路側水路21aと、注水路60とにそれぞれ開閉弁を介装してもよい。この場合、2つの開閉弁の開閉状態の切換えによって、風呂用水の流路の切換えを行うことが可能である。
【0040】
湯はり用水路23は、給湯路12のバイパス路13との接続部よりも下流側の途中部から分岐され、往路側水路21a又は復路側水路21bの途中部、例えば、復路側水路21bの途中部に接続されている。該湯はり用水路23には、これを開閉可能な開閉弁としての電磁弁24が組付けられている。
【0041】
また、往路側水路21a及び復路側水路21bの一方、例えば復路側水路21bには、該復路側水路21bでの通水の有無を検知するためのセンサとしての水流スイッチ25と、浴槽BT内の風呂用水の水位を検出するための水位センサ26とが組付けられている。なお、図示は省略するが、風呂回路20には、さらに、往路側水路21a又は復路側水路21bを流れる風呂用水の温度を検出するためのセンサや、湯はり用水路23を通って浴槽BTに供給される風呂用水(=給湯用水)の通水流量を検出するためのセンサ、循環路21での風呂用水の凍結を防止するためのヒータ等が備えられ得る。
【0042】
図1での図示は省略したが、熱源機2にはさらに、図2に示すように、熱源機2の作動制御等を行い得る制御ユニット30と、大気温度を検出可能な温度センサ36とが搭載されている。温度センサ36は例えばサーミスタにより構成され、検知対象の大気温度に応じて抵抗値が変化するものである。
【0043】
制御ユニット30は、マイコン(マイクロコンピュータ)31や、図示しないメモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成される。マイコン31は、本発明における制御装置に相当し、実装されたプログラムによる処理を実行することで、熱源機2の循環ポンプ22の作動制御や、バーナ3の燃焼運転の制御、循環路21における風呂用水の凍結防止用のヒータの作動制御等を行い得るように構成されている。
【0044】
また、マイコン31は、温度センサ36の検出信号を入力するための入力ポート31aを備えており、該入力ポート31aに、温度センサ36用のセンサ回路32を介して検出信号が入力されるようになっている。具体的には、センサ回路32は、制御ユニット30に実装された抵抗素子33を含み、該抵抗素子33の一端が制御ユニット30の所定電圧の電源電位部34に接続されていると共に、他端がマイコン31の入力ポート31aに接続されている。
【0045】
そして、抵抗素子33の他端(以降、マイコン側接続端という)と、制御ユニット30の接地電位部35とが、制御ユニット30にコネクタ40を介して接続された第1接続ケーブル41と、該第1接続ケーブル41にコネクタ42を介して接続された第2接続ケーブル43と、該第2接続ケーブル43にコネクタ44を介して接続された第3接続ケーブル45を介して温度センサ36に接続されている。この接続により、温度センサ36の一端が接地電位部35に導通されると共に、温度センサ36の他端が前記抵抗素子33のマイコン側接続端とマイコン31の入力ポート31aとに導通される。
【0046】
従って、マイコン31の入力ポート31aには、電源電位部34の電圧(所定電圧)を抵抗素子33と温度センサ36とにより分圧してなる電圧が検出信号として入力される。この場合、温度センサ36の抵抗値が、検出対象の大気温度に応じて変化すると、それに伴い、マイコン31の入力ポート31aに入力される検出信号の電圧が変化する。これにより、マイコン31は、温度センサ36で検出される大気温度を認識することが可能となる。
【0047】
なお、マイコン31は、温度センサ36で検出される大気温度に応じて所定の制御処理を実行する。例えば、マイコン31は、検出された大気温度が所定温度よりも低温になると、循環路21での風呂用水の凍結を防止するための図示しないヒータを作動させる。
【0048】
注水装置50は、本体部51と、洗濯機WMへの風呂用水の注水時間をユーザが設定するためのタイマー設定部52とを備えている。本体部51には、前記切換弁53が搭載されていると共に、スイッチ素子54と、切換弁53及びスイッチ素子54の作動制御を行う機能を有する制御部55とが搭載されている。
【0049】
スイッチ素子54は、本発明における第2機器の回路の構成要素に相当するものであり、例えば半導体スイッチ素子、リレースイッチ等により構成される。そして、スイッチ素子54は、前記第2接続ケーブル43にコネクタ46を介して接続されている。この場合、第2接続ケーブル43は、スイッチ素子54の一端を第1接続ケーブル41を介して制御ユニット30の接地電位部35に導通させると共に、第3接続ケーブル45を介して温度センサ36の一端に導通させ、また、スイッチ素子54の他端を第1接続ケーブル41を介して制御ユニット30の抵抗素子33のマイコン側接続端とマイコン31の入力ポート31aとに導通させると共に、第3接続ケーブル45を介して温度センサ36の他端に導通させるように構成されている。
【0050】
制御部55は、図示しないマイコンもしくはプロセッサや、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成され、実装されたプログラムによる処理を実行することで、切換弁53及びスイッチ素子54の作動制御を行うことが可能である。
【0051】
タイマー設定部52は、制御部55にコネクタ56及び接続ケーブル57を介して接続される。該タイマー設定部52は、その操作部として、例えば回転操作部52aを備えており、該回転操作部52aをユーザが回転操作することで、所定の上限時間以下の範囲内で所望の注水時間としてのタイマー時間を設定することが可能である。
【0052】
そして、タイマー設定部52は、設定されたタイマー時間の計時の開始時に、洗濯機WMへの風呂用水の注水の開始を指令する注水開始指令信号を制御部55に出力すると共に、設定されたタイマー時間の計時の終了時に、洗濯機WMへの風呂用水の注水の終了を指令する注水終了指令信号を制御部55に出力するように構成されている。なお、タイマー設定部52は、タイマー時間の設定をスイッチ操作等により行い得るように構成されていてもよい。
【0053】
次に、注水装置50の作動と、温度センサ36の異常の発生の検知に関する処理とを説明する。風呂給湯装置1のユーザは、浴槽BT内の風呂用水の水位が、開口部Baよりも高い水位であるときに、注水装置50を利用することで、浴槽BT内の風呂用水を洗濯用水として洗濯機WMに注水することが可能である。
【0054】
この場合、ユーザは、注水装置50のタイマー設定部52の回転操作部52aを操作することで、洗濯機WMへの風呂用水の注水を行うタイマー時間(5分、10分等の時間幅)を、タイマー設定部52により設定可能な上限時間以下の範囲内で設定する。そして、タイマー設定部52は、ユーザによる設定操作が完了すると、注水開始指令信号を制御部55に送信すると共に、タイマー時間の計時を開始する。また、タイマー設定部52は、タイマー時間の計時を完了すると、注水終了指令信号を制御部55に送信する。
【0055】
タイマー設定部52から注水開始指令信号を受信した制御部55は、注水終了指令信号を受信するまで、スイッチ素子54を閉成制御すると共に、切換弁53を前記洗濯用動作状態に制御する。このとき、スイッチ素子54が閉成制御されることで、温度センサ36の両端間が短絡され、ひいては、センサ回路32の抵抗素子33のマイコン側接続端が接地電位部35に短絡される。このため、マイコン31の入力ポート31aには、約0Vの低レベル電圧信号が入力される。本実施形態では、該低レベル電圧信号が、本発明における第2機器の作動信号に相当する。
【0056】
一方、風呂給湯装置1のマイコン31は、その入力ポート31aに低レベル電圧信号が入力された場合には、洗濯機WMへの風呂用水の注水を実行すべき状況と判断して、循環ポンプ22の作動を開始させる。このとき、注水装置50の切換弁53は、タイマー設定部52によるタイマー時間の計時中に前記したように制御部55により洗濯用動作状態に制御されるので、浴槽BT内から復路側水路21bを介して循環ポンプ22に吸入される風呂用水が、該循環ポンプ22の吐出口から、切換弁53の上流側の往路側水路21a、該切換弁53、及び注水路60を経由して洗濯機WMに供給される。これにより、ユーザにより設定されたタイマー時間の計時の開始後、該タイマー時間が経過するまでの期間において、洗濯機WMへの風呂用水の注水が行われる。
【0057】
タイマー設定部52でのタイマー時間の計時が終了すると、制御部55は、タイマー設定部52から注水終了指令信号を受信する。これに応じて、制御部55は、切換弁53を前記通常動作状態に制御する。これにより、浴槽BTから洗濯機WMへの風呂用水の注水が遮断される。
【0058】
さらに、制御部55は、注水終了指令信号の受信に応じて、スイッチ素子54の開成制御を解除し、該スイッチ素子54を開成させる。これにより、温度センサ36の両端間の短絡が解除され、マイコン31の入力ポート31aには、温度センサ36が検知する大気温度に応じたレベルの電圧信号(低レベル電圧信号よりも高いレベルの電圧信号)が入力される。これに応じて、マイコン31は、循環ポンプ22の作動を停止させる。
【0059】
本実施形態では、注水装置50を使用した洗濯機WMへの風呂用水の注水は、制御ユニット30に温度センサ36が正常に接続されている状況で上記の如く行われる。
【0060】
また、本実施形態では、風呂給湯装置1のマイコン31は、温度センサ36の両端間の短絡という異常(以降、短絡異常という)、あるいは、温度センサ36の断線等、制御ユニット30と温度センサ36との間の通電路の断線という異常(以降、断線異常という)が発生した場合に、そのことを検知する機能を有している。なお、上記短絡異常は、前記コネクタ40,42,44,46、あるいは、接続ケーブル41,43,45での短絡異常を含み得る。
【0061】
上記短絡異常及び断線異常の検知処理は、次のように行われる。まず、上記短絡異常に関しては、注水装置50のスイッチ素子54の開成状態で、上記短絡異常が発生した場合には、センサ回路32の抵抗素子33のマイコン側接続端が接地電位部35に短絡されるので、マイコン31の入力ポート31aに低レベル電圧信号が入力される。
【0062】
ただし、洗濯機WMへの風呂用水の注水中(タイマー設定部52によるタイマー時間の計時中)に、スイッチ素子54が閉成制御されている状態では、上記短絡異常が発生していない正常時であってもマイコン31の入力ポート31aに、低レベル電圧信号が入力される。
【0063】
一方、タイマー時間は、所定の上限時間以下で設定される時間であるので、上記短絡異常が発生していない正常時に、スイッチ素子54の閉成制御に応じてマイコン31の入力ポート31aに継続的に低レベル電圧信号が入力されることは、上記上限時間以下の時間内に留まり、少なくとも、該上限時間の時間が経過すれば、入力ポート31aへの低レベル電圧信号の入力は解除される。他方、上記短絡異常が実際に発生しておれば、マイコン31の入力ポート31aへの低レベル電圧信号の入力は、上記上限時間を超えて継続する。
【0064】
そこで、本実施形態では、制御ユニット30の図示しないメモリには、注水装置50のタイマー時間の上限時間があらかじめ記憶保持されている。そして、マイコン31は、入力ポート31aへの低レベル電圧信号の入力がタイマー時間の上限時間を超えて継続した場合に、短絡異常の発生を検知する。さらに、マイコン31は、この検知に応じて短絡異常の発生を示す報知情報を、風呂給湯装置1の図示しないリモコンの表示部、あるいは、発音部を介して出力する。
【0065】
また、浴槽BT内の風呂用水の水位が、浴槽BTの開口部Baよりも低い場合には、循環ポンプ22の作動による洗濯機WMへの風呂用水の注水を行うことはできないので、ユーザは基本的には、浴槽BT内の風呂用水の水位が、浴槽BTの開口部Baよりも高い水位であることを確認した上で、タイマー時間の設定を行う。従って、短絡異常が発生していない正常時に、浴槽BT内の風呂用水の水位が浴槽BTの開口部Baよりも低い状況では、注水装置50のタイマー設定部52によるタイマー時間の計時に応じてスイッチ素子54が閉成制御されて、マイコン31の入力ポート31aに低レベル電圧信号が入力されることはないとみなし得る。
【0066】
そして、マイコン31は、例えば水位センサ26の出力に基づいて、あるいは、循環ポンプ22の作動時の水流スイッチ25の出力に基づいて、浴槽BT内の風呂用水の水位が浴槽BTの開口部Baよりも低い水位であるか否か(換言すれば、循環ポンプ22の作動による循環路21での風呂用水の通水が生じるか否か)を判定することができる。
【0067】
そこで、本実施形態では、マイコン31は、入力ポート31aに低レベル電圧信号が入力された場合に、水位センサ26の出力を取り込み、該出力により所定値以上の水位が検知されないときには、注水装置50のタイマー時間の上限時間の経過の有無によらずに、短絡異常の発生を検知する。
【0068】
あるいは、マイコン31は、入力ポート31aに低レベル電圧信号が入力された場合に、循環ポンプ22を作動させつつ、水流スイッチ25の出力を監視し、該水流スイッチ25の出力により、所定時間以上、継続する水流が検知されないときには、注水装置50のタイマー時間の上限時間の経過の有無によらずに、短絡異常の発生を検知する。そして、マイコン31は、このように、短絡異常の発生を検知した場合でも、その検知に応じて、短絡異常の発生を示す報知情報を、風呂給湯装置1の図示しないリモコンの表示部、あるいは、発音部を介して出力する。
【0069】
次に、上記断線異常に関しては、注水装置50のスイッチ素子54の開成状態で、上記断線異常が発生した場合には、センサ回路32の抵抗素子33及び温度センサ36に電流が流れないので、マイコン31の入力ポート31aには、電源電位部34の電圧にほぼ一致する電圧を有する高レベル電圧信号が入力される、
【0070】
そこで、マイコン31は、入力ポート31aに高レベル電圧信号が入力された場合には、これに応じて直ちに、断線異常の発生を検知する。さらに、マイコン31は、この検知に応じて断線異常の発生を示す報知情報を、風呂給湯装置1の図示しないリモコンの表示部、あるいは、発音部を介して出力する。
【0071】
補足すると、洗濯機WMへの風呂用水の注水中(タイマー時間の計時中)に、温度センサ36を含む第3接続ケーブル45での断線異常が発生した場合には、スイッチ素子54の閉成制御状態では、マイコン31の入力ポート31aに高レベル電圧信号は入力されないものの、該タイマー時間の計時が完了することに応じてスイッチ素子54が開成されると、マイコン31の入力ポート31aに高レベル電圧信号が入力される。それに応じてマイコン31は、直ちに断線異常の発生を検知して、そのことを示す報知情報を出力する。
【0072】
以上説明した本実施形態によれば、マイコン31の入力ポート31aを温度センサ36と注水装置50とで共用しつつ、注水装置50で設定されタイマー時間の計時中の循環ポンプ22の作動制御を行うことと、温度センサ36に係る短絡異常又は断線異常の発生を適切に検知することとを簡易な構成で安価に実現することができる。また、短絡異常又は断線異常の発生を示す報知情報を出力することができるので、該短絡異常又は断線異常が発生したのに、その異常状態が放置されたままになってしまうのを防止できる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図3を参照して説明する。なお、本実施形態の説明では、第1実施形態と相違する事項を中心に説明し、第1実施形態と同一の事項については、詳細な説明を省略する。
【0074】
本実施形態の機器システムでは、注水装置50のスイッチ素子54の開閉制御の仕方と、該スイッチ素子54と制御ユニット30及び温度センサ36との接続構成とが第1実施形態と相違する。具体的には、図3を参照して、本実施形態では、第1実施形態に関して図2に示した第2接続ケーブル43と異なる構成の第4接続ケーブル47を備えており、この第4接続ケーブル47が、前記コネクタ42、第1接続ケーブル41及びコネクタ40を介して制御ユニット30の抵抗素子33のマイコン側接続端と接地電位部35とに接続されていると共に、前記コネクタ44及び第3接続ケーブル45を介して温度センサ36に接続されている。
【0075】
また、第4接続ケーブル47は、注水装置50のスイッチ素子54にコネクタ46を介して接続されている。この場合、第4接続ケーブル47は、温度センサ36の一端を接地電位部35に導通させるように構成されていると共に、スイッチ素子54の閉成状態にて、温度センサ36の他端を、前記抵抗素子33のマイコン側接続端とマイコン31の入力ポート31aとにスイッチ素子54を介して導通させるように構成されている。
【0076】
そして、本実施形態では、注水装置50の制御部55は、洗濯機WMへの風呂用水の注水を行わない通常時には、スイッチ素子54を閉成制御し、洗濯機WMへの風呂用水の注水中(タイマー時間の計時中)にだけ、スイッチ素子54を開成制御するように構成されている。本実施形態の機器システムの構成は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。
【0077】
次に、本実施形態における注水装置50の作動と、温度センサ36の異常の発生の検知に関する処理とを説明する。洗濯機WMへの風呂用水の注水を行う場合には、第1実施形態と同様に、注水装置50のタイマー設定部52が、ユーザにより設定されたタイマー時間の計時を開始すると共に、注水開始指令信号を制御部55に送信する。また、タイマー時間の計時が完了すると、タイマー設定部52は、制御部55に注水終了指令信号を送信する。
【0078】
そして、注水開始指令信号を受信した制御部55は、第1実施形態と同様に切換弁53を前記洗濯用動作状態に制御する一方、スイッチ素子54を開成制御する。このとき、スイッチ素子54が開成制御されることで、制御ユニット30と温度センサ36との間の通電路が遮断され、ひいては、マイコン31の入力ポート31aに、電源電位部34の電圧とほぼ一致する電圧を有する高レベル電圧信号が入力される。本実施形態では、該高レベル電圧信号が、本発明における第2機器の作動信号に相当する。
【0079】
また、制御部55は、注水終了指令信号を受信すると、スイッチ素子54を閉成制御する。これに応じて、マイコン31の入力ポート31aには、温度センサ36が検知する大気温度に応じたレベルの電圧信号(高レベル電圧信号よりも低いレベルの電圧信号)が入力される。
【0080】
一方、風呂給湯装置1のマイコン31は、本実施形態では、その入力ポート31aに高レベル電圧信号が入力された場合には、洗濯機WMへの風呂用水の注水を実行すべき状況と判断して、循環ポンプ22の作動を開始させる。このとき、第1実施形態と同様に、浴槽BT内から復路側水路21bを介して循環ポンプ22に吸入される風呂用水が、該循環ポンプ22の吐出口から、切換弁53の上流側の往路側水路21a、該切換弁53、及び注水路60を経由して洗濯機WMに供給される。これにより、ユーザにより設定されたタイマー時間の計時の開始後、該タイマー時間が経過するまでの期間において、洗濯機WMへの風呂用水の注水が行われる。
【0081】
タイマー設定部52でのタイマー時間の計時が終了すると、制御部55は、タイマー設定部52から注水終了指令信号を受信する。これに応じて、制御部55は、切換弁53を前記通常動作状態に制御する。これにより、浴槽BTから洗濯機WMへの風呂用水の注水が遮断される。
【0082】
さらに、注水終了指令信号を受信した制御部55がスイッチ素子54を閉成制御することで、風呂給湯装置1のマイコン31の入力ポート31aには、温度センサ36が検知する大気温度に応じたレベルの電圧信号が入力される(高レベル電圧信号の入力が解除される)。これに応じて、マイコン31は、循環ポンプ22の作動を停止させる。
本実施形態では、注水装置50を使用した洗濯機WMへの風呂用水の注水は、制御ユニット30に温度センサ36が正常に接続されている状況で上記の如く行われる。
【0083】
また、本実施形態では、風呂給湯装置1のマイコン31は、前記短絡異常及び断線異常の発生を次のように検知する。まず、断線異常に関しては、注水装置50のスイッチ素子54の閉成状態で、該断線異常が発生した場合には、センサ回路32の抵抗素子33及び温度センサ36に電流が流れないので、マイコン31の入力ポート31aに高レベル電圧信号が入力される。
【0084】
ただし、洗濯機WMへの風呂用水の注水中(タイマー設定部52によるタイマー時間の計時中)に、スイッチ素子54が開成制御されている状態では、上記断線異常が発生していない正常時であってもマイコン31の入力ポート31aに、高レベル電圧信号が入力される。
【0085】
一方、タイマー時間は、所定の上限時間以下の時間であるので、上記断線異常が発生していない正常時に、スイッチ素子54の開成制御に応じてマイコン31の入力ポート31aに継続的に高レベル電圧信号が入力されることは、上記上限時間以下の時間内に留まり、少なくとも、該上限時間の時間が経過すれば、入力ポート31aへの高レベル電圧信号の入力は解除される。他方、上記断線異常が実際に発生しておれば、マイコン31の入力ポート31aへの高レベル電圧信号の入力は、上記上限時間を超えて継続する。
【0086】
そこで、本実施形態では、制御ユニット30の図示しないメモリには、第1実施形態と同様に、注水装置50のタイマー時間の上限時間があらかじめ記憶保持されている。そして、マイコン31は、入力ポート31aへの高レベル電圧信号の入力がタイマー時間の上限時間を超えて継続した場合に、断線異常の発生を検知し、該断線異常の発生を示す報知情報を、風呂給湯装置1の図示しないリモコンの表示部、あるいは、発音部を介して出力する。
【0087】
また、第1実施形態で説明した如く、ユーザは基本的には、浴槽BT内の風呂用水の水位が、浴槽BTの開口部Baよりも高い水位であることを確認した上で、タイマー時間の設定を行う。このため、断線異常が発生していない正常時に、浴槽BT内の風呂用水の水位が浴槽BTの開口部Baよりも低い状況では、注水装置50のタイマー設定部52によるタイマー時間の計時に応じてスイッチ素子54が開成制御されて、マイコン31の入力ポート31aに高レベル電圧信号が入力されることはないとみなし得る。
【0088】
そして、マイコン31は、第1実施形態と同様に、例えば水位センサ26の出力に基づいて、あるいは、循環ポンプ22の作動時の水流スイッチ25の出力に基づいて、浴槽BT内の風呂用水の水位が浴槽BTの開口部Baよりも低い水位であるか否か(換言すれば、循環ポンプ22の作動による循環路21での風呂用水の通水が生じるか否か)を判定することができる。
【0089】
そこで、本実施形態では、マイコン31は、入力ポート31aに高レベル電圧信号が入力された場合に、水位センサ26の出力を取り込み、該出力により所定値以上の水位が検知されないときには、注水装置50のタイマー時間の上限時間の経過の有無によらずに、断線異常の発生を検知する。
【0090】
あるいは、マイコン31は、入力ポート31aに高レベル電圧信号が入力された場合に、循環ポンプ22を作動させつつ、水流スイッチ25の出力を監視し、該水流スイッチ25の出力により、所定時間以上、継続する水流が検知されないときには、注水装置50のタイマー時間の上限時間の経過の有無によらずに、断線異常の発生を検知する。そして、マイコン31は、このように、断線異常の発生を検知した場合でも、その検知に応じて、断線異常の発生を示す報知情報を、風呂給湯装置1の図示しないリモコンの表示部、あるいは、発音部を介して出力する。
【0091】
次に、短絡異常に関しては、注水装置50のスイッチ素子54の閉成状態で、短絡異常が発生した場合には、センサ回路32の抵抗素子33のマイコン側接続端が接地電位部35に短絡されるので、マイコン31の入力ポート31aには、約0Vの低レベル電圧信号が入力される、
【0092】
そこで、マイコン31は、入力ポート31aに低レベル電圧信号が入力された場合には、これに応じて直ちに、短絡異常の発生を検知し、該短絡異常の発生を示す報知情報を、風呂給湯装置1の図示しないリモコンの表示部、あるいは、発音部を介して出力する。
【0093】
補足すると、洗濯機WMへの風呂用水の注水中(タイマー時間の計時中)に、コネクタ44もしくは第3接続ケーブル45で、温度センサ36の両端間が短絡する短絡異常が発生した場合には、スイッチ素子54の開成制御状態では、マイコン31の入力ポート31aに低レベル電圧信号は入力されないものの、該タイマー時間の計時が完了することに応じてスイッチ素子54が閉成制御されると、マイコン31の入力ポート31aに低レベル電圧信号が入力される。それに応じてマイコン31は、直ちに短絡異常の発生を検知して、そのことを示す報知情報を出力する。
【0094】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、マイコン31の入力ポート31aを温度センサ36と注水装置50とで共用しつつ、注水装置50で設定されタイマー時間の計時中の循環ポンプ22の作動制御を行うことと、温度センサ36に係る短絡異常又は断線異常の発生を適切に検知することとを簡易な構成で安価に実現することができる。また、短絡異常又は断線異常の発生を示す報知情報を出力することができるので、該短絡異常又は断線異常が発生したのに、その異常状態が放置されたままになってしまうのを防止できる。
【0095】
なお、前記第1実施形態では、マイコン31の入力ポート31aに低レベル電圧信号が入力された場合に、水位センサ26又は水流スイッチ25の出力に基づいて、浴槽BT内の風呂用水の水位が開口部Baよりも低い水位であると判定し得るとき(換言すれば、循環ポンプ22の作動による循環路21での風呂用水の通水が生じないと判定し得るとき)に、短絡異常の発生を検知することを実行したが、かかる手法により、短絡異常の発生を検知することを省略してもよい。
【0096】
また、前記第2実施形態では、マイコン31の入力ポート31aに高レベル電圧信号が入力された場合に、水位センサ26又は水流スイッチ25の出力に基づいて、浴槽BT内の風呂用水の水位が開口部Baよりも低い水位であると判定し得るとき(換言すれば、循環ポンプ22の作動による循環路21での風呂用水の通水が生じないと判定し得るとき)に、断線異常の発生を検知することを実行したが、かかる手法により、断線異常の発生を検知する処理を省略してもよい。
【0097】
また、前記各実施形態では、第1機器及び第2機器として、風呂給湯装置1と注水装置50とを備える機器システムを例示したが、本発明の機器システムは、かかるシステムに限定されるものではない。本発明の機器システムは、例えば、風呂給湯装置1に、太陽熱を利用して温水を生成する装置を付設し、この温水を適宜、風呂用水の加熱に用いるシステム等に適用することもできる。また、第1機器は、例えば給湯機能を持たない風呂装置であってもよい。また、第1機器のセンサは、温度センサに限らず、他のセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…風呂給湯装置(第1機器)、21…循環路、22…ポンプ、31…マイコン(制御装置)、31a…入力ポート、32…センサ回路、36…温度センサ(センサ)、54…スイッチ素子(注水装置の回路)、53…切換弁、
図1
図2
図3