(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】オゾン生成装置および放電ランプ装置
(51)【国際特許分類】
C01B 13/10 20060101AFI20231208BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20231208BHJP
H01J 65/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
C01B13/10 Z
B01J19/12 C
H01J65/00 A
(21)【出願番号】P 2020056567
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和泉
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-228592(JP,A)
【文献】特開平04-059040(JP,A)
【文献】実開平02-053743(JP,U)
【文献】国際公開第2019/131124(WO,A1)
【文献】特開2018-113116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/10 - 13/11
B01J 10/00 - 12/02
B01J 14/00 - 19/32
H01J 61/50 - 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン生成部と、
酸素を含む流体を前記オゾン生成部に向けて吹出口から供給する流体供給管とを備え、
前記流体供給管が、前記オゾン生成部に備えらえた、紫外線照射ランプのランプ軸に対して同軸的に配置され、
前記吹出口から一方向に沿って吹き出る流体が、前記吹出口の周囲で前記一方向に沿って流れる流体を誘引することを特徴とするオゾン生成装置。
【請求項2】
前記流体供給管が筒状であり、前記流体供給管の外側から前記一方向に沿って流れる流体を誘引することを特徴とする請求項1に記載のオゾン生成装置。
【請求項3】
オゾン生成部と、
酸素を含む流体を前記オゾン生成部に向けて吹出口から供給する流体供給管とを備え、
前記吹出口から一方向に沿って吹き出る流体が、前記吹出口の周囲で前記一方向に沿って流れる流体を誘引し、
前記流体供給管が環状であり、前記流体供給管により環状に囲まれた空間領域を通過して前記一方向に沿って流れる流体を誘引することを特徴とす
るオゾン生成装置。
【請求項4】
オゾン生成部と、
酸素を含む流体を前記オゾン生成部に向けて吹出口から供給する流体供給管とを備え、
前記吹出口から一方向に沿って吹き出る流体が、前記吹出口の周囲で前記一方向に沿って流れる流体を誘引し、
少なくとも前記オゾン生成部を収容し、前記流体供給管から供給された吹出流と当該吹出流によって誘引された随伴流とによる非一様な流れが管内に形成される流路管をさらに備え
、
前記流路管の前記流体供給管側の端部が開口端であって、前記随伴流が、前記開口端を通じて、前記流路管に流れこむことを特徴とす
るオゾン生成装置。
【請求項5】
前記吹出流と前記随伴流とによって非一様流が形成される領域に、前記オゾン生成部が配置されることを特徴とする請求項
4に記載のオゾン生成装置。
【請求項6】
酸素を含む流体に対する紫外線照射によってオゾン生成可能な放電ランプと、
前記放電ランプのランプ軸に対して同軸的に配置され、流体を吹出口から前記放電ランプへ向けてランプ軸に沿って吹き
出させる流体供給管とを備え、
前記吹出口から吹き出る流体が、前記吹出口の周囲でランプ軸に沿って流れる流体を誘引することを特徴とする放電ランプ装置。
【請求項7】
前記吹出口の径または幅が、前記放電ランプの径または幅よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の放電ランプ装置。
【請求項8】
前記放電ランプを収容し、少なくとも前記吹出口を上流側開口端において囲む流路管をさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の放電ランプ装置。
【請求項9】
前記流体供給管および前記流路管が、前記放電ランプに対して同軸的に配置されることを特徴とする請求項8に記載の放電ランプ装置。
【請求項10】
前記流体供給管の吹出口から吹き出る流体が、前記流路管の下流側開口端から放出する流量が減少したときは、前記流路管の上流側開口端から放出することを特徴とする請求項
8に記載の放電ランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン生成装置に関し、特に、原料ガスなどの流れに関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン生成装置では、筐体内にオゾン生成部を配置し、筐体内の流路に沿って流れる空気などの流体に対して放電または紫外線照射してオゾンを生成し、外部に放出する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エキシマランプを原料ガスの流れる管内に配置し、管流入口に送気ファンを配置する構成も知られている(特許文献2参照)。そこでは、オゾン生成の効率化を図るため、管内の原料ガスの流れを一様な流れにするとともに、流速をエキシマランプに合わせた条件に設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-103028号公報
【文献】特許第6070794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オゾン生成を効率よく行うためには、放電ランプなどオゾン生成部の構成、配置に適した流れを作り出さなければならない。例えば、200nm以下の紫外線を照射する放電ランプを配置する場合、ランプ表面からの距離によって紫外線強度が減衰するため、できる限りランプ表面傍に沿って原料ガスを多く流すのが望ましい。
【0006】
一方、粘性流体では、ランプ表面付近などで速度勾配のある境界層が形成されるため、十分な流量の流れをランプ表面付近に供給するのが望まれるが、オゾン生成装置の内部構成、サイズ、送気ファンの動作性能の制限などにより、原料ガスなどの効果的な流れを作り出すことが難しい。
【0007】
したがって、オゾン生成に効果的な原料ガスなどの流れを、放電ランプなどのオゾン生成部の周囲に形成することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様であるオゾン生成装置は、オゾン生成部と、オゾン生成部に向けて酸素を含む流体をオゾン生成部に向けて吹出口から供給する流体供給管とを備える。例えば、オゾン生成部は放電ランプを備え、ランプ軸に沿って吹き出ることができる。また、流体供給管は、送風機などを備えた構成にすることが可能である。
【0009】
本発明では、流体供給管の吹出口から一方向に沿って吹き出る流体が、吹出口の周囲で一方向に沿って流れる流体を誘引する。ここで、「一方向に沿って吹き出る」とは、流体の速度や流量を限定することではなく、運動エネルギーを与えられた流体が吹出口から流れ出て、オゾン生成部に向けて供給すればよい。また、「一方向に沿って流れる」とは、厳密に一方向に平行であることではなく、概ね一方向に向く流れであればよく、また液体の一部が一方向に流れればよい。吹出流と、誘引された流体の流れ(ここでは、随伴流という)とによって、一方向に向けた速度分布が一様でない流れ(非一様流)が形成されるが、放電ランプは非一様流の領域に配置することができる。
【0010】
例えば、流体供給管が筒状であり、流体供給管の外側(筒表面外側)から一方向に沿って流れる流体を誘引することができる。一方、流体供給管は、環状に形成することも可能であり、流体供給管により環状に囲まれた(内表面側の)空間領域を通過して一方向に沿って流れる流体を誘引することができる。
【0011】
本発明の一態様である放電ランプ装置(光源装置)は、放電ランプと、放電ランプのランプ軸に対して同軸的に配置され、流体を吹出口から放電ランプへ向けてランプ軸に沿って吹き出る流体供給管とを備え、吹出口から吹き出る流体が、吹出口の周囲でランプ軸に沿って流れる流体を誘引する。
【0012】
例えば送風機などは、流体供給管の吹出口から吹き出る流体に運動エネルギーを供給するようにすればよい。流体供給管の吹出口から吹き出る流体が、流路管の下流側開口端から放出する流量が減少したときは、流路管の上流側開口端から放出する。
【0013】
吹出口の径または幅は、放電ランプの径または幅よりも大きくすることができる。放電ランプを収容し、少なくとも吹出口を上流側開口端において囲む流路管をさらに備えることができる。例えば、流体供給管および流路管が、放電ランプに対して同軸的に配置可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オゾン生成に効果的な原料ガスなどの流れを、放電ランプなどのオゾン生成部の周囲に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態であるオゾン生成装置を示した概略的構成図である。
【
図2】第2の実施形態であるオゾン生成装置を示した概略的構成図である。
【
図3】第3の実施形態であるオゾン生成装置を示した概略的構成図である。
【
図4】第4の実施形態であるオゾン生成装置を示した概略的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、第1の実施形態であるオゾン生成装置の構成図である。
【0018】
オゾン生成装置10は、エキシマランプ(放電ランプ)20、ガス誘引管(流体供給管)30、送風機40を備える。ここでは、エキシマランプ20、ガス誘引管30が鉛直方向に沿って配置されている。エキシマランプ20は、ランプ軸Eの方向に沿って延びる長尺型で外径L1の放電容器20Sを有し、例えば波長172nmの紫外線を放射するエキシマ放電をその内部に形成する。
【0019】
エキシマランプ20は、エキシマランプ周囲を流れる原料ガスに対して紫外線を照射する。酸素が含まれた原料ガスに対する紫外線照射によってオゾンが生成され、脱臭、殺菌処理などが行われる。オゾン生成装置、エキシマランプ20などを筐体内に配置することも可能である。
【0020】
ガス誘引管30は、ここでは軸方向長さW、外径L2、内径B2の開口端(ここでは、吹出口という)30Aを有する断面円形状の筒状管であり、管軸がエキシマランプ20の軸Eと一致するように、エキシマランプ20に対して同軸的に配置されている。ガス誘引管30の外径L2は、エキシマランプ20の外径L1より大きい。また、ガス誘引管30は、ランプ軸Eに沿ってエキシマランプ20から所定距離Bだけ離れている。
【0021】
送風機40は、ガス誘引管30の管内に収容され、ここでは軸流ファンとして構成されている。送風機40はガス誘引管30に対して同軸的に配置され、エキシマランプ20、ガス誘引管30、送風機40はその配置が同軸的である。送風機40は、図示しない電源部によって電源供給され、定められた回転速度で回転する。送風機40は、ガス誘引管30の一方の開口端(ここでは流入口という)30Bから流入する原料ガスを吸い込み、原料ガスに運動エネルギーを供給して吹出口30Aから原料ガスを吹き出させる。
【0022】
エキシマランプ20、ガス誘引管30は、空間10Sに配置されている。空間10Sは、ガス誘引管30からエキシマランプ20へ向けて一方向(ここではランプ軸E)に沿った原料ガスの流れ(流路)を形成できるような空間サイズを有する。すなわち、エキシマランプ20、ガス誘引管30は、一方向(ランプ軸E)に沿って向かい合う配置構成が可能な空間10Sを形成している。
【0023】
原料ガスが粘性である場合、原料ガスがガス誘引管30から吹き出ると、吹出流の周囲の原料ガスが誘引され、ランプ軸Eに沿った原料ガスの流れ(以下では、このような流れを随伴流という)が引き起こされる。すなわち、吹出流から周囲に運動エネルギーが与えられることによって、随伴流が生じる。
図1では、ガス誘引管30の管内から吹き出る原料ガスの吹出流を符号F1、原料ガスF1の周囲に引き起こされて流れる原料ガスの随伴流を符号F2で示している。
【0024】
吹出流F1は、送風機40によって吹き出される原料ガスの流れであり、その周囲に生じる随伴流F2と比べ、流れの速度が大きく、また相対的に流量が多い。したがって、ランプ軸Eに関しては、中心部(ランプ軸E)から周辺部に向けて速度が変化し、速度分布が一様とならず、非一様な流れとなる。エキシマランプ20、ガス誘引管30が配置される空間10Sは、随伴流F2のランプ軸Eに沿った流れを形成可能にする空間サイズを有する。
【0025】
ただし、吹出流F1は、
図1に示すようなランプ軸Eに沿った方向のみの流れ(1次元流れ)ではなく、3次元的な流れ場が生じている。送風機40を回転させている間、送風機40の吹出口30A付近では、送風機40のファンモータ部分42の外径の大きさに影響される領域で逆流現象などが生じ、送風機40の流体供給の特性により、吹出口30A付近で乱流が生じ、極めて複雑な流れ場が生じる。
【0026】
ところで、吹出流F1は粘性流体であるため、エキシマランプ20の表面付近に境界層が生じる。乱流境界層は、層流境界層と比べて層が厚く、その分速度勾配も比較的緩やかになる。また、その厚さは流れとともに連続的に厚くなる。
【0027】
しかしながら、随伴流F2は、エキシマランプ20の先端部付近を超えると、圧力勾配の影響を受けた流れに変わる。その結果、エキシマランプ20の表面付近を通過する原料ガスの流量が増加する。しかも、乱流境界層の形成によって速度勾配が緩やかなため、ランプ表面付近の流れは、速度をあまり落とさず、流量の多い流れとなり、また、随伴流F2がランプ寄りの流れに変わることによって、厚さの広がりも抑えられる傾向になる。
【0028】
エキシマランプ20から放射された紫外線は、大気中で吸収され減衰し、また、波長が短いほど進行距離に対して光強度低下が大きい。しかしながら、原料ガスの吹出流F1とそれに伴う随伴流F2によって、エキシマランプ20周囲を流れる原料ガスの流量が増加するため、オゾンを含むガスの生成量が増加し、効果的な滅菌、殺菌処理などが可能となる。
【0029】
また、エキシマランプ20とガス誘引管30とを同軸的に配置することによって、ランプ表面付近の流れの速度、流量に偏りが生じないため、紫外線強度が十分維持される空間領域に原料ガスを通過させることが容易であり、オゾン発生が効果的となる。さらに、原料ガスが複雑な非一様流れ(乱流)となることによって、エキシマランプ20の冷却を効果的に行うことができ、エキシマランプ20の発光効率低下を抑えることができる。
【0030】
エキシマランプ20とガス誘引管30との距離間隔Bは、エキシマランプ20全体が乱流領域に含まれるように定めればよく、また、エキシマランプ20の少なくとも一部分を乱流領域に配置するようにしてもよい。
【0031】
一方、ガス誘引管30の吹出口30A付近において、ランプ軸Eに沿って一様な流れとなる吹出流F1を形成しても、随伴流F2を伴うことによって非一様な流れがエキシマランプ20表面付近を通過する。また、エキシマランプ20の表面付近に形成される層流境界層においても、随伴流F2が圧力勾配によって流れる方向の影響を受けることにより、より多くの流量で原料ガスが通過していく。したがって、乱流場にエキシマランプ20を配置することに限定されない。
【0032】
例えば、ガス誘引管30の軸方向長さWを十分に大きくし、送風機40の排出口と吹出口30Aとの距離を十分に確保することで、送風機40による複雑な乱流現象の影響を抑えながら吹出流F1を吹出口30Aから吹き出ることができる。また、エキシマランプ20の放射する紫外線の減衰の程度に応じて、ガス誘引管30の外径L2、送風機40の流量(流速)などを設定することも可能である。
【0033】
さらに、吹出流F1によるエキシマランプ20の周囲の原料ガスの流れの状態を、ガス誘引管30の軸方向長さWにより調整してもよい。また、エキシマランプ20の周囲に引き込まれる原料ガスの随伴流F2を、エキシマランプ20の長軸方向外表面に沿うように、エキシマランプ20とガス誘引管の吹出口30Aとの距離間隔B、または吹出口30Aの内径B2、あるいは両方を調整してもよい。
【0034】
原料ガスの誘引は、ガス誘引管30から粘性の原料ガスが吹き出ることによって生じるが、原料ガスの粘性の程度は、レイノルズ数によって表すことができる。ガス誘引管30の軸方向長さWを代表長さ、送風機40によって運動エネルギー供給される原料ガスの流速を代表速さとすれば、送風機40の流量、ガス誘引管30の管肉厚(B2-L2)と軸方向長さWとを調整することによって、吹出流の噴出度合い、すなわち噴出流により誘引される随伴流の流れの程度を調整してもよい。
【0035】
次に、
図2を用いて第2の実施形態であるオゾン生成装置について説明する。第2の実施形態では、エキシマランプが流路管内に設けられている。第1の実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を使用している。
【0036】
図2は、第2の実施形態であるオゾン生成装置の概略的構成図である。オゾン生成装置10’は、エキシマランプ20、ガス誘引管30、送風機40とを備え、さらに、エキシマランプ20を収容する流路管50を備えている。
【0037】
流路管50は、流路形成用の管であって、ここでは断面円状であって径一定の筒状管として構成される。流路管50の管軸は、エキシマランプ20のランプ軸Eと一致し、エキシマランプ20、ガス誘引管30、送風機40、流路管50は同軸的に配置されている。ガス誘引管30は流路管50に囲まれ、流路管50の一方の開口部50Bのランプ軸Eに沿った位置は、ここではガス誘引管30の流入口30Bが、流路管50の開口部50Bよりも上流側に位置する。すなわち、ガス誘引管30が流路管50内に部分的に収容される。
【0038】
送風機40によってガス誘引管30から吹き出る原料ガスの吹出流F1は、ガス誘引管30の周囲を通り、エキシマランプ20のランプ軸Eに沿って流れる原料ガスの随伴流F2を引き起こす。ガス誘引管30の軸方向長さを十分に大きくし、送風機40の排出口と吹出口30Aとの距離を十分に確保することで、送風機40による複雑な乱流現象の影響を抑えながら吹出流F1を吹出口30Aから吹き出すことができる。流路管50の一方の(上流側の)開口部50Bには、ガス誘引管30の周囲に沿って環状の開口部(以下、流入口という)70が形成されている。誘引される原料ガスの随伴流F2は、環状流入口70から入り込み、流路管50内を流れていく。
【0039】
第1の実施形態と同様、原料ガスの随伴流F2が引き起こされることによって原料ガス全体の流量が増加し、オゾンを含むガスの生成量が増加する。一方、流入口70に流入した原料ガスの一部は、圧力勾配によって流路管50の内壁面50T側へ引き寄せられ、内壁面50T傍を流れていく。また、原料ガスの一部は、圧力勾配によってエキシマランプ20の放電容器20Sの外表面付近の原料ガスの流量が増加する。
【0040】
このような原料ガスの吹出流F1と随伴流F2の流れによって、非一様で複雑な原料ガスの流れが流路管50内に形成され、エキシマランプ20の傍を多くの原料ガスが通過し、オゾンを含むガスの生成量が増加する。特に、ガス誘引管30からの原料ガスの吹出流を乱流状態にすることで、多くの原料ガスをランプ表面付近に流すことができる。送風機40が低出力であることによって原料ガスの随伴流F2の流れが遅くなる(流量が少なくなる)場合、ガス誘引管30の管肉厚(B2-L2)を薄くするのがよい。
【0041】
流路管50の内壁50Tに沿って原料ガスの随伴流F2の一部が流れることで、圧力損失(摩擦損失)が生じるが、ガス誘引管30から吹き出る原料ガスの吹出流F1が相対的に速く、また流量が多いため、ランプ軸E付近の中心部分の流れに対して圧力損失の影響を受けにくい。
【0042】
ガス誘引管30の流入口30Bは、送風機40が動作している間、常に上流側から原料ガスを吸入し、下流側へ向けて吹出口30Aから吹出し、通常は原料ガスの逆方向への流れは生じない。一方、流路管50の環状の流入口70は、上流側から下流側に向けた強制的な流れを受けない。
【0043】
そのため、下流側における障害物などの設置などにより、流路管50の放出口50Aから放出する原料ガスの流量が減少した場合、流路管50内の原料ガスは、反対側にある流入口70から放出する。すなわち、流入口70が副次的に放出口として機能する。したがって、例えば流路管50の他方の放出口50Aが塞がれるなど通常とは異なる(異常な)状態になっても、生成したオゾンが高濃度と成ったり、逆方向へ流れたりすることを防いで安全に装置外部へ放出させることができる。
【0044】
ガス誘引管30は、原料ガスの随伴流F2が誘引されるように流路管50内に配置すればよい。例えば、ガス誘引管30の流入口30Bが流路管50の開口部50Bよりも下流側に位置してもよい。また、ガス誘引管30の流入口30Bが、流路管50の開口部50Bのランプ軸Eに沿った位置と一致し、ガス誘引管30全体が流路管50内に収容されるように構成してもよい。
【0045】
さらに、ガス誘引管30と流路管50とを二重管構造とせず、ガス誘引管30の吹出口30Aが流路管50の開口部50Bよりも上流側に位置する、すなわち、ガス誘引管30が流路管50に対してランプ軸Eに沿って離間するようにしても構成してもよい。ガス誘引管30が流路管50と近接しているときには、原料ガスの吹出流F1、随伴流F2が同様に生じる。
【0046】
ガス誘引管30と流路管50は、径一定の筒状管に限定されず、一様な流れと成らないように、下流側に先細となるテーパー形状の管、あるいは、中央部で最も径が大きく、両端で径が小さく狭まる管を構成したり、電源部を配置したりすることも可能である。さらに、所定の幅をもつ断面矩形状の管にすることも可能であり、また、原料ガスの一方向流れを形成する範囲で、湾曲、屈曲部分を設けることも可能である。
【0047】
第1、第2の実施形態では、ガス誘引管30(および流路管50)がエキシマランプ20のランプ軸Eと同軸的に配置されているが、エキシマランプ20を管軸に対して斜め方向に配置してもよい。また、送風機40をガス誘引管30内に収容せず、上流側に同軸的に配置してもよい。例えば、筐体底面付近に送風機40を設け、筐体上側端部にガス誘引管30を形成することが可能である。そして、流路管50の放出口50Aを、筐体内ではなく、装置外部と連通するように構成してもよい。
【0048】
次に、
図3を用いて第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、エキシマランプから離れた領域に原料ガスを吹き出させ、エキシマランプに向かって流れる原料ガスの流れを引き起こす。
【0049】
図3は、第3の実施形態であるオゾン生成装置を示した概略的構成図である。オゾン生成装置100は、エキシマランプ20、ガス誘引管130、図示しない送風機を備えている。送風機は例えば遠心ファンなどで構成され、送風機によって運動エネルギーを与えられた原料ガスはガス誘引管130に流れ込む。
【0050】
ガス誘引管130は環状に曲がった管であり、環状部分の軸がランプ軸Eと一致している。すなわち、ガス誘引管130はエキシマランプ20に対して同軸的に配置されている。ガス誘引管130は、環状の開口部(以下、吹出口という)135を有し、原料ガスが吹出口135からランプ軸Eに沿って吹き出る。
【0051】
原料ガスの吹出口135からの吹出に伴い、ランプ軸E付近に原料ガスの吹出流F1が引き起こされ、ガス誘引管130の内周面130Bにより環状に囲まれた筒状の空間領域140を通ってエキシマランプ20へ向けて流れる原料ガスの随伴流F2を引き起こす。これによって、原料ガスの吹出流F1、随伴流F2がランプ軸Eに沿って形成される。一方、ガス誘引管30から噴出した原料ガスの噴出流は、圧力勾配によってエキシマランプ20側に寄っていく流れになる。
【0052】
原料ガスの吹出流F1、随伴流F2が、エキシマランプ20の放電容器20S付近においてより多く流れるため、その結果オゾンを含む流体の生成量が増加する。また、非一様な流れを作り出す原料ガスの吹出流F1が、誘引される原料ガスの随伴流F2の周りに形成されるため、エキシマランプ20に対して安定して原料ガスを供給することができる。
【0053】
次に、
図4を用いて第4の実施形態であるオゾン生成装置について説明する。第4の実施形態では、エキシマランプ20を収容する流路管が設けられている。
【0054】
図4は、第4の実施形態であるオゾン生成装置を示した概略的構成図である。環状に曲がったガス誘引管130は、流路管50内に収容され、その外表面130Aが流路管50の内壁50Tと接している。エキシマランプ20、ガス誘引管130、流路管50は同軸的に配置されている。流路管50の開口部50Bには、上流側の原料ガスが流れ込むことができる断面円状の開口領域(以下、流入口という)170が形成されている。
【0055】
ガス誘引管130の吹出口135から吹き出る原料ガスの吹出流F1に伴い、空間領域140を通ってエキシマランプ20に向けて流れる原料ガスの随伴流F2が引き起こされる。これによって、エキシマランプ20付近を流れる原料ガスの流量が増加する。また、下流側に何らかの障害物となるものが配置され、流路管50の放出口50Aから原料ガスが放出するのが妨げられた場合、流入口170が原料ガスの放出口として機能する。
【0056】
第1から第4の実施形態では、エキシマランプ20、ガス誘引管30、130、流路管50が鉛直方向に沿って配置されていたが、水平方向など他の方向に沿って配置してもよい。また、断面矩形状など所定の幅をもつエキシマランプを構成することも可能であり、中心軸に合わせてガス誘引管、流路管を同軸配置すればよい。エキシマランプ20以外の紫外線照射による光源を配置する構成にしてもよく、さらには、ランプ冷却機能を考慮し、放電方式によるオゾン生成部を配置することも可能である。
【0057】
送風機40については、原料ガスに対して運動エネルギーを与えるものであればよい。また、紫外線照射対象としては、原料ガスに限定されず、水などの液体を含めた流体を対象とすることができる。
【符号の説明】
【0058】
10 オゾン生成装置
30 130 ガス誘引管(流体供給管)
50 流路管