(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】シール部材の修復方法及び燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04701 20160101AFI20231208BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20231208BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20231208BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20231208BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20231208BHJP
【FI】
H01M8/04701
H01M8/0432
H01M8/04537
H01M8/04746
H01M8/04 Z
(21)【出願番号】P 2020060615
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宅和 雄也
(72)【発明者】
【氏名】白木 壮哉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅也
(72)【発明者】
【氏名】南 和徹
(72)【発明者】
【氏名】中尾 孝之
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-043370(JP,A)
【文献】特開2010-003669(JP,A)
【文献】国際公開第2017/191787(WO,A1)
【文献】特開2015-230868(JP,A)
【文献】特開2016-152093(JP,A)
【文献】特開2010-287482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04701
H01M 8/0432
H01M 8/04537
H01M 8/04746
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記燃焼部温度検出部が検出した温度が開始用燃焼温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する、シール部材の修復方法。
【請求項2】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部の温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記触媒温度検出部が検出した温度が開始用触媒温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する、シール部材の修復方法。
【請求項3】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記電圧検出部が検出した発電電圧が開始用電圧閾値よりも小さくなると前記第2運転モードを実行する、シール部材の修復方法。
【請求項4】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、
前記燃焼部温度検出部が検出した温度が停止用燃焼温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する、シール部材の修復方法。
【請求項5】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記触媒温度検出部が検出した温度が停止用触媒温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する、シール部材の修復方法。
【請求項6】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記電圧検出部が検出した発電電圧が停止用電圧閾値よりも大きくなると前記第2運転モードの実行を停止する、シール部材の修復方法。
【請求項7】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記燃料ガスの供給量を前記第1運転モードよりも増加させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる、シール部材の修復方法。
【請求項8】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記酸化剤ガスの供給量を前記第1運転モードよりも減少させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる、シール部材の修復方法。
【請求項9】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる、シール部材の修復方法。
【請求項10】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、
定期的なタイミング、或いは、前記燃料ガスのリークが検出されたタイミングで前記第2運転モードを実行する、シール部材の修復方法。
【請求項11】
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、前記燃焼部温度検出部が検出した温度が開始用燃焼温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する、
請求項1~10のいずれか1項に記載のシール部材の修復方法。
【請求項12】
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部の温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、前記触媒温度検出部が検出した温度が開始用触媒温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する、
請求項1~11のいずれか1項に記載のシール部材の修復方法。
【請求項13】
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、前記電圧検出部が検出した発電電圧が開始用電圧閾値よりも小さくなると前記第2運転モードを実行する、
請求項1~12のいずれか1項に記載のシール部材の修復方法。
【請求項14】
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、
前記燃焼部温度検出部が検出した温度が停止用燃焼温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する、
請求項1~13のいずれか1項に記載のシール部材の修復方法。
【請求項15】
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記触媒温度検出部が検出した温度が停止用触媒温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する、
請求項1~14のいずれか1項に記載のシール部材の修復方法。
【請求項16】
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記電圧検出部が検出した発電電圧が停止用電圧閾値よりも大きくなると前記第2運転モードの実行を停止する、
請求項1~15のいずれか1項に記載のシール部材の修復方法。
【請求項17】
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記燃料ガスの供給量を前記第1運転モードよりも増加させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる、
請求項1~16のいずれか1項に記載のシール部材の修復方法。
【請求項18】
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記酸化剤ガスの供給量を前記第1運転モードよりも減少させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる、
請求項1~17のいずれか1項に記載のシール部材の修復方法。
【請求項19】
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる、
請求項1~18のいずれか1項のいずれか1項に記載のシール部材の修復方法。
【請求項20】
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる場合、前記燃料電池セルの温度を上昇させて運転した後、前記通常の運転温度に戻し、前記燃料電池セルの発電性能が改善したか否かを判定し、前記判定において発電性能が改善していない場合は前記燃料電池セルの温度を先に上昇させた温度よりもさらに上昇させて運転し、前記判定において発電性能が改善している場合は前記燃料電池セルの温度の更なる上昇を停止する、
請求項9又は19に記載のシール部材の修復方法。
【請求項21】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記燃焼部温度検出部が検出した温度が開始用燃焼温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する、燃料電池システム。
【請求項22】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部の温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記触媒温度検出部が検出した温度が開始用触媒温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する、燃料電池システム。
【請求項23】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記電圧検出部が検出した発電電圧が開始用電圧閾値よりも小さくなると前記第2運転モードを実行する、燃料電池システム。
【請求項24】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、
前記燃焼部温度検出部が検出した温度が停止用燃焼温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する、燃料電池システム。
【請求項25】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記触媒温度検出部が検出した温度が停止用触媒温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する、燃料電池システム。
【請求項26】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記電圧検出部が検出した発電電圧が停止用電圧閾値よりも大きくなると前記第2運転モードの実行を停止する、燃料電池システム。
【請求項27】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記燃料ガスの供給量を前記第1運転モードよりも増加させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる、燃料電池システム。
【請求項28】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記酸化剤ガスの供給量を前記第1運転モードよりも減少させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる、燃料電池システム。
【請求項29】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる、燃料電池システム。
【請求項30】
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、定期的なタイミング、或いは、前記燃料ガスのリークが検出されたタイミングで前記第2運転モードを実行する、燃料電池システム。
【請求項31】
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、前記燃焼部温度検出部が検出した温度が開始用燃焼温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する、請求項21~30のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項32】
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部の温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、前記触媒温度検出部が検出した温度が開始用触媒温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する、請求項21~31のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項33】
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、前記電圧検出部が検出した発電電圧が開始用電圧閾値よりも小さくなると前記第2運転モードを実行する、請求項21~32のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項34】
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記燃焼部温度検出部が検出した温度が停止用燃焼温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する、請求項21~33のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項35】
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記触媒温度検出部が検出した温度が停止用触媒温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する、請求項21~34のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項36】
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記電圧検出部が検出した発電電圧が停止用電圧閾値よりも大きくなると前記第2運転モードの実行を停止する、請求項21~35のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項37】
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記燃料ガスの供給量を前記第1運転モードよりも増加させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる、請求項21~36のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項38】
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて、前記酸化剤ガスの供給量を前記第1運転モードよりも減少させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる、請求項21~37のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項39】
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる、請求項21~38のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項40】
前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる場合、前記燃料電池セルの温度を上昇させて運転した後、前記通常の運転温度に戻し、前記燃料電池セルの発電性能が改善したか否かを判定し、前記判定において発電性能が改善していない場合は前記燃料電池セルの温度を先に上昇させた温度よりもさらに上昇させて運転し、前記判定において発電性能が改善している場合は前記燃料電池セルの温度の更なる上昇を停止する、請求項29又は39に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール部材の修復方法及び燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の燃料電池システムは、燃料ガスを供給するマニホールドと、マニホールドから燃料ガスの供給を受けるセルスタックとを備えている。セルスタックは、長手方向に延びる楕円形の筒状の複数のセルが、マニホールドに対して長手方向が突出するように、かつ、平行に立設して構成されている。セルは、マニホールドからの燃料ガスの供給と、空気の供給とを受けて電気化学反応によって発電を行う。
【0003】
特許文献1では、マニホールドに設けられた挿入口にセルの長手方向の一端が挿入されて接合され、シール部材で封止される。また、隣接するセルの一端どうしもシール部材によって封止されている。特許文献1のシール部材は、表層部の緻密部と、緻密部の下部の多孔質部と、その他の部分とから構成されている。多孔質部の下端はシール部材の下端にまで達している。このようなシール部材の構成により、シール部材内部の熱収縮による応力を緩和することができ、シール部材の表層部にまでシール部材の剥離が進むことを抑制できる。よって、セルとマニホールドとの接合部分、セル間の接合部分などのシール部材が設けられた箇所におけるシール部材の剥離を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、接合部分のシール部材に急激な温度変化が生じた場合、運搬及び地震等の振動により許容値以上の応力が接合部分のシール部材に係った場合等には、シール部材に破損が生じる。そうすると、破損部分から燃料ガス等がリークする。現状では、シール部材に破損が生じると、燃料電池セルの使用が困難である。
【0006】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシール部材の修復方法の特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記燃焼部温度検出部が検出した温度が開始用燃焼温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する点にある。
本発明に係る燃料電池システムの特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記燃焼部温度検出部が検出した温度が開始用燃焼温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する点にある。
【0008】
燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
また、燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度が開始用燃焼温度閾値よりも大きくなった場合には、運転制御部は、シール部材が破損して燃料ガス等がリークしているとして、シール部材を溶融して修復するための第2運転モードを実行する。
【0009】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部の温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記触媒温度検出部が検出した温度が開始用触媒温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部の温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記触媒温度検出部が検出した温度が開始用触媒温度閾値よりも大きくなると前記第2運転モードを実行する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
また、触媒温度検出部が検出した温度が開始用触媒温度閾値よりも大きくなった場合には、運転制御部は、シール部材が破損して燃料ガス等がリークしているとして、シール部材を溶融して修復するための第2運転モードを実行する。
【0011】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記電圧検出部が検出した発電電圧が開始用電圧閾値よりも小さくなると前記第2運転モードを実行する点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、前記電圧検出部が検出した発電電圧が開始用電圧閾値よりも小さくなると前記第2運転モードを実行する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
また、電圧検出部が検出した発電電圧が開始用電圧閾値よりも小さくなった場合には、運転制御部は、シール部材が破損して燃料ガス等がリークしているとして、シール部材を溶融して修復するための第2運転モードを実行する。
【0013】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記燃焼部温度検出部が検出した温度が停止用燃焼温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する燃焼部温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記燃焼部温度検出部が検出した温度が停止用燃焼温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
また、燃焼部から排出される燃焼排ガスの温度が停止用燃焼温度閾値よりも小さくなった場合、運転制御部は、シール部材の破損部分が修復され燃料ガス等のリークが抑制されたとして、第2運転モードの実行を停止する。
【0015】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記触媒温度検出部が検出した温度が停止用触媒温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルから排出される未燃ガスを燃焼する燃焼部と、
前記燃焼部から排出される燃焼排ガス中の燃焼成分である未燃ガスを燃焼する燃焼触媒部と、
前記燃焼触媒部から排出される燃焼排ガスの温度を検出する触媒温度検出部とを備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記触媒温度検出部が検出した温度が停止用触媒温度閾値よりも小さくなると前記第2運転モードの実行を停止する点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
また、触媒温度検出部が検出した温度が停止用触媒温度閾値よりも小さくなった場合、運転制御部は、シール部材の破損部分が修復され燃料ガス等のリークが抑制されたとして、第2運転モードの実行を停止する。
【0017】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記電圧検出部が検出した発電電圧が停止用電圧閾値よりも大きくなると前記第2運転モードの実行を停止する点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルによる発電電圧を検出する電圧検出部を備え、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記電圧検出部が検出した発電電圧が停止用電圧閾値よりも大きくなると前記第2運転モードの実行を停止する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
また、電圧検出部が検出した燃料電池セルの発電電圧が停止用電圧閾値よりも大きくなった場合、運転制御部は、シール部材の破損部分が修復され燃料ガス等のリークが抑制されたとして、第2運転モードの実行を停止する。
【0019】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記燃料ガスの供給量を前記第1運転モードよりも増加させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記燃料ガスの供給量を前記第1運転モードよりも増加させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
また、運転制御部が第2運転モードにおいて燃料ガスの供給量を第1運転モードよりも増加させると、燃料ガスの増加分に応じて燃焼量が増加する。これにより、燃料電池セルの温度を上昇させることができ、シール部材を溶融して修復できる。
【0021】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記酸化剤ガスの供給量を前記第1運転モードよりも減少させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて、前記酸化剤ガスの供給量を前記第1運転モードよりも減少させることで前記燃料電池セルの温度を上昇させる点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
また、運転制御部が第2運転モードにおいて酸化剤ガスの供給量を第1運転モードよりも減少させると、燃料電池セルの冷却が抑制される。これにより、燃料電池セルの温度を上昇させることができ、シール部材を溶融して修復できる。
【0023】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで前記第2運転モードを実行し、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
また、運転制御部は、第2運転モードの高温に制御するまでに、通常の運転温度から徐々に燃料電池セルの温度を上昇させる。これにより、運転制御部は、燃料電池セルの状態を見ながら徐々に温度を上昇させることができる。また、急激に温度を上昇させた場合よりも急激な熱応力の発生等による燃料電池セルの変形及び割れ等を抑制できる。
【0025】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる場合、前記燃料電池セルの温度を上昇させて運転した後、前記通常の運転温度に戻し、前記燃料電池セルの発電性能が改善したか否かを判定し、前記判定において発電性能が改善していない場合は前記燃料電池セルの温度を先に上昇させた温度よりもさらに上昇させて運転し、前記判定において発電性能が改善している場合は前記燃料電池セルの温度の更なる上昇を停止する点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、前記運転制御部は、前記第2運転モードにおいて前記燃料電池セルの温度を徐々に上昇させる場合、前記燃料電池セルの温度を上昇させて運転した後、前記通常の運転温度に戻し、前記燃料電池セルの発電性能が改善したか否かを判定し、前記判定において発電性能が改善していない場合は前記燃料電池セルの温度を先に上昇させた温度よりもさらに上昇させて運転し、前記判定において発電性能が改善している場合は前記燃料電池セルの温度の更なる上昇を停止する点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、運転制御部は、燃料電池セルの温度を上昇させて運転させた後、一旦、通常の運転温度に戻し、燃料電池セルの発電性能の改善を判定する。通常の運転温度に戻すことで、燃料電池セルの発電性能の改善をより確認し易い。
【0027】
本発明に係るシール部材の修復方法の更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムに用いるシール部材の修復方法であって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、定期的なタイミング、或いは、前記燃料ガスのリークが検出されたタイミングで前記第2運転モードを実行する点にある。
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、
燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池セルを有し、構成部材どうしを接合する接合部分に適用されるシール部材で前記構成部材どうしが接合されている燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルの運転を制御する運転制御部とを備える燃料電池システムであって、
前記運転制御部は、通常の運転温度で前記燃料電池セルを運転するように制御する第1運転モードと、前記通常の運転温度よりも高温であり、かつ、前記シール部材の軟化点温度よりも高温で前記燃料電池セルを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、定期的なタイミング、或いは、前記燃料ガスのリークが検出されたタイミングで前記第2運転モードを実行する点にある。
【0028】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは発電を行う際に燃料ガスを用いている。燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも何れかを含むガスのリークが発生すると燃料電池セルにおける発電性能が低下する。よって、燃料電池システムでは、燃料ガス等のリークを防止するためのシール部材が用いられている。シール部材は、燃料ガス等が通流する部分に設けられており、例えば燃料ガスの供給路を構成する部材どうしの接合部分、供給路と燃料電池セルとの接合部分等に設けられている。よって、シール部材が破損すると、破損部分から燃料ガス等がリークする。上記特徴構成によれば、運転制御部は、定期的なタイミング、或いは、前記燃料ガスのリークが検出されたタイミングで第2運転モードを実行し、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルを運転するように制御する。通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルが運転されると、シール部材が溶融して破損部分が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材が破損した場合であっても、シール部材を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。また、シール部材の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】燃料電池システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】平板型の燃料電池モジュールを示す分解斜視図である。
【
図3】平板型の燃料電池モジュールにおける燃料ガスの流れを示す断面図である。
【
図4】平板型の燃料電池モジュールにおける酸化剤ガスの流れを示す断面図である。
【
図5】平板型の燃料電池モジュールにおけるシール部材の配置を示す拡大図である。
【
図6】平板型の燃料電池モジュールにおけるシール部材の破損部分を示す拡大図である。
【
図7】円筒平板型の燃料電池モジュールを示す側面図である。
【
図8】円筒平板型の燃料電池モジュールを示す上面図である。
【
図9】円筒平板型の燃料電池モジュールにおける一部拡大斜視図である。
【
図10】円筒平板型の燃料電池モジュールにおけるシール部材の配置を示す拡大図である。
【
図11】円筒平板型の燃料電池モジュールにおけるシール部材の破損部分を示す拡大図である。
【
図12】円筒型の燃料電池モジュールを示す側面図である。
【
図13】円筒型の燃料電池モジュールにおけるシール部材の破損を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔実施形態〕
以下に、本発明の実施形態に係るシール部材の修復方法について、
図1を用いて説明する。
【0032】
(1)燃料電池システムの構成
(1-1)全体構成
燃料電池システム100は、
図1に示すように、燃料電池発電装置1を備えている。また、燃料電池システム100は、燃料電池発電装置1に燃料ガス、改質水及び酸化剤ガスを供給するために、燃料ガス供給用の燃料ガス用ポンプ2と、昇圧ポンプ5と、脱硫器3と、改質水供給用の改質水タンク9と、酸化剤ガス供給用の空気ブロア15とを備えている。また、燃料電池システム100は、燃料電池発電装置1から排出される熱を再利用する排熱利用部としての熱交換器17と、熱交換器17との間で循環させる水等の熱媒を収容する貯湯タンク19とを備えている。また、燃料電池システム100は、燃料電池システム100の運転を制御する運転制御部71を備えている。
【0033】
本実施形態の運転制御部71は、通常の運転温度よりも高温で後述の燃料電池セルAを運転するように制御する第2運転モードを実行する。これによりシール部材を補修し、燃料ガス及び酸化剤ガス等の各種ガス(以下、単に燃料ガス等という場合もある)のリークを抑制する。この点については後述する。
【0034】
都市ガス(例えば、都市ガス13A)等の炭化水素系の原燃料は、燃料ガス用ポンプ2により所定流量の出力が制御されて昇圧ポンプ5に供給される。さらに、原燃料は、昇圧ポンプ5の作動により原燃料供給路41を通して脱硫器3に供給される。
【0035】
脱硫器3は、原燃料に含まれる硫黄化合物成分を除去(脱硫)する。原燃料中に硫黄化合物が含有される場合、脱硫器3を備えることにより、硫黄化合物による改質器28あるいは燃料電池発電装置1に対する影響を抑制することができる。
【0036】
改質水タンク9からは、改質水ポンプ7の作動により改質水供給路43を通して燃料電池発電装置1に改質水が供給される。
【0037】
改質水タンク9は、後述の触媒燃焼排ガスから凝縮水を回収する。また、改質水タンク9に供給される凝縮水を水精製器(図示せず)により精製するようになっている。具体的には、熱交換器17の出口から排出路51を介して排出される後述の触媒燃焼排ガスから、凝縮水回収路45を介して凝縮水を水精製器(図示せず)に回収する。そして、水精製器(図示せず)により精製された凝縮水が改質水タンク9に回収される。
【0038】
また、改質水タンク9には、凝縮水とは独立に、水供給部13から水を供給可能になっている。
【0039】
燃料電池発電装置1は、収納容器40内に収納されており、燃料電池モジュール23、気化器27、改質器28及び燃焼部29を備えている。
【0040】
気化器27には、改質水供給路43を介して改質水タンク9から改質水が供給され、原燃料供給路41を介して脱硫された原燃料が供給される。原燃料供給路41は脱硫器3よりも下流側の部位で、改質水供給路43に合流されており、収納容器40外にて合流された改質水と原燃料とが気化器27に供給される。改質水及び原燃料が供給された気化器27は、改質水から水蒸気を生成する。気化器27にて生成された水蒸気を含む原燃料は、水蒸気含有原燃料供給路31を通して改質器28に供給される。
【0041】
改質器28は、気化器27にて生成された水蒸気を用いて、脱硫器3において脱硫された原燃料を水蒸気改質して、水素ガスを主成分とする燃料ガス(還元性成分を有するガス)を生成する。このとき、改質器28は、後述の燃焼部29での燃料成分ガスを含む未燃ガスの燃焼により発生する燃焼熱を用いて原燃料の水蒸気改質を行う。
【0042】
改質器28にて生成された燃料ガスは、燃料ガス供給路33を通して燃料電池モジュール23に供給される。燃料ガスは、燃料電池モジュール23を構成する複数の燃料電池セルAに対して分配されて供給される。各燃料電池セルAは、燃料ガスが供給されるアノードと、空気ブロア15を通じて酸化剤ガスが供給されるカソードと、アノードとカソードとの間の電解質とを有しており、燃料ガス及び酸化剤ガスを反応させて発電する。
【0043】
インバータ39は、燃料電池モジュール23において発電された出力電圧を調整し、商用系統(図示せず)から受電する電力と同じ電圧及び同じ周波数にする。
【0044】
燃焼部29には、燃料電池モジュール23における発電反応に用いられずに排出される燃料成分ガスを含む未燃ガスが供給される。燃焼部29は、供給された未燃ガスを燃焼する。燃焼部29からは、未燃ガスの燃焼により生じたセル燃焼排ガス(燃焼排ガスの一例)が排出される。
【0045】
セル燃焼排ガスは改質器28に供給されるとともに、燃焼触媒部35を介してガス出口37から収納容器40の外部に排出される。改質器28は、前述の通り、セル燃焼排ガスの熱、つまり燃料成分ガスの燃焼により生じた燃焼熱を用いて水蒸気改質を行う。
【0046】
ガス出口37には、燃焼触媒部35が配置され、セル燃焼排ガスに含有される一酸化炭素や水素等の還元性成分である未燃ガスを燃焼除去する。燃焼触媒部35は、例えば、白金系触媒等から構成されている。
【0047】
ガス出口37からは、燃焼触媒部35での未燃ガスの燃焼により生じた触媒燃焼排ガス(燃焼排ガスの一例)が排出される。触媒燃焼排ガスは、排出路52を介して熱交換器17に送られる。
【0048】
燃料電池発電装置1の各部には温度及び電圧を検出するための各種検出部が設けられてる。本実施形態では、燃料電池セルAにおける温度を検出するためのセル温度検出部T1と、燃焼部29におけるセル燃焼排ガスの温度を検出するための燃焼部温度検出部T2と、燃焼触媒部35における触媒燃焼排ガスの温度を検出するための触媒温度検出部T3と、燃料電池セルAにおける発電電圧を検出するための電圧検出部Vとを備えている。これらの検出部の検出結果は、運転制御部71に送信される。
【0049】
熱交換器17では、ガス出口37から排出される触媒燃焼排ガスと、貯湯タンク19から排出される熱媒との間で熱交換が行われる。例えば、熱媒が水である場合、触媒燃焼排ガスと水との間で熱交換が行われ温水が生成され、貯湯タンク19に収容される。触媒燃焼排ガスは、水との熱交換により温度が低下した状態で排出路51に排出される。熱交換器17を出た熱媒は、熱媒循環路61に排出され貯湯タンク19に導入される。さらに、貯湯タンク19を出た熱媒循環路61を通流して再び熱交換器17に導入される。よって、熱媒循環路61によって、熱交換器17と貯湯タンク19との間で熱媒が循環する。
【0050】
なお、貯湯タンク19には、貯湯タンク19中の湯水を出湯するための出湯路19a、及び、湯水の出湯に応じて貯湯タンク19に給水するための給水路19bが設けられている。貯湯タンク19に収容された温水は、お風呂及び洗面等への供給に用いることが可能であり、燃料電池発電装置1からの触媒燃焼排ガスの排熱を再利用することができる。
【0051】
また、熱媒循環路61には、循環ポンプ63と、ラジエータ65とが備えられている。循環ポンプ63は、回転数を制御し、所望の回転数で貯湯タンク19からの熱媒を熱交換器17に供給する。ラジエータ65は、熱媒循環路61を通流する熱媒の熱を放熱させるための放熱ファン65aと、図示しない温度センサとを有する。
【0052】
(1-2)燃料電池モジュールの構成とシール部材
次に、燃料電池モジュール23の構成について説明する。以下では、燃料電池モジュール23として、平板型の燃料電池モジュール、円筒平板型の燃料電池モジュール及び円筒型の燃料電池モジュールを例に挙げて説明する。
また、燃料電池モジュール23には、燃料ガス及び酸化剤ガス等の各種ガスのリークを防ぐためのシール部材が設けられているが、各燃料電池モジュールの構成の説明とともにシール部材の構成についても説明する。
【0053】
(a)平板型の燃料電池モジュール
平板型の燃料電池モジュール23について
図2~
図5を用いて説明する。
平板型の燃料電池モジュール23は、燃料電池セルAを収容する第1セパレータ101と、燃料ガス及び酸化剤ガスを燃料電池セルAの平面に供給するための溝103a、103bが形成された第2セパレータ103とが交互に積層されて構成されている。
【0054】
燃料電池セルAは、第1セパレータ101の中央部に収容されている。燃料電池セルAは、空気極層115、電解質層113及び燃料極層111が順に積層されるともに、燃料極層111上に集電部材117が積層されて形成されている。第1セパレータ101は、この燃料電池セルAの上面及び下面を露出するように中央部に開口が形成されている。
【0055】
第2セパレータ103は、第1セパレータ101において燃料電池セルAが配置されている中央部に対応する位置に、溝103a及び溝103bを有する。溝103aは、燃料ガスを燃料電池セルAの燃料極層111に供給するために、第2セパレータ103の下面に形成されている。つまり、
図2によると、第1セパレータ101の燃料極層111側に対向する第2セパレータ103において、その下面の溝103aが燃料極層111に対応している。本実施形態では、溝103aは、
図2中のX方向に沿って延びて形成されている。また、溝103aは、Y方向に離隔して4本形成されている。
【0056】
一方、溝103bは、空気極層115に酸化剤ガスを供給するために、第2セパレータ103の上面に形成されている。つまり、
図2によると、第1セパレータ101の空気極層115側に対向する第2セパレータ103において、その上面の溝103bが空気極層115に対応している。本実施形態では、溝103bは、
図2中のY方向に沿って延びて形成されている。また、溝103bは、X方向に離隔して4本形成されている。なお、溝103aと溝103bとは互いに所定の間隔をおいて隔離して形成されている。
【0057】
第2セパレータ103の溝103a及び溝103bそれぞれに燃料ガス及び酸化剤ガスを通流させるために、積層された第1セパレータ101及び第2セパレータ103を貫通する開口が周縁に形成されている。この開口には、燃料ガスを供給するための開口と、酸化剤ガスを供給するための開口とが含まれる。具体的に、開口としては、燃料ガスを燃料電池セルAに供給するための燃料ガス供給路121inと、燃料電池セルAで発電に用いられなかった燃料ガスを排出する燃料ガス排出路121outと、酸化剤ガスを燃料電池セルAに供給するための酸化剤ガス供給路123inと、燃料電池セルAで発電に用いられなかった酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス排出路123outとが設けられている。
【0058】
燃料ガス供給路121in及び燃料ガス排出路121outは、X方向に対向するように第1セパレータ101及び第2セパレータ103の周縁に形成されている。また、燃料ガス供給路121inと燃料ガス排出路121outとは溝103aを介して連通している。そして、燃料ガスは、燃料電池モジュール23の下方から供給され、燃料ガス供給路121inをZ方向の上方に向かって通流するとともに(
図2、
図3中のFGin)、溝103a内にも供給される。これにより、燃料極層111に燃料ガスが供給される。燃料電池セルAで発電に用いられなかった燃料ガスは、溝103aを通って燃料ガス排出路121outに導入される。排出された燃料ガスは、燃料ガス排出路121outをZ方向の下方に向かって通流し(
図2、
図3中のFGout)、燃料電池モジュール23の外部に排出される。
【0059】
酸化剤ガス供給路123in及び酸化剤ガス排出路123outは、Y方向に対向するように第1セパレータ101及び第2セパレータ103の周縁に形成されている。また、酸化剤ガス供給路123inと酸化剤ガス排出路123outとは溝103bを介して連通している。そして、酸化剤ガスは、燃料電池モジュール23の下方から供給され、酸化剤ガス供給路123inをZ方向の上方に向かって通流するとともに(
図2、
図4中のOGin)、溝103a内にも供給される。これにより、空気極層115に酸化剤ガスが供給される。燃料電池セルAで発電に用いられなかった酸化剤ガスは、溝103bを通って酸化剤ガス排出路123outに導入される。排出された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出路123outをZ方向の下方に向かって通流し(
図2、
図4中のOGout)、燃料電池モジュール23の外部に排出される。
【0060】
以上のような平板型の燃料電池モジュール23において、シール部材80は、例えば
図3、
図4に示すように、燃料電池セルAと第1セパレータ101との接合部分(シール部材80a)、第1セパレータ101と第2セパレータとの接合部分(シール部材80b)に配置されている。
図5は、燃料電池セルAと第1セパレータ101との接合部分に配置されたシール部材80aを示す拡大図である。燃料電池セルAと第1セパレータ101との接合部分にシール部材80aを配置することで、燃料ガス等のリークを抑制することができる。なお、シール部材80bの破損についても同様に修復可能である。
【0061】
本実施形態では、シール部材80にひび及び剥がれ等の破損が生じた場合、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルAを運転(後述の第2運転モードでの運転)し、シール部材80を溶融することでシール部材80の破損部分を埋め合わせて修復する。通常の運転温度とは、これに限定されないが、例えば700~750℃である。また、通常の運転温度よりも高温とは、例えば900~950℃である。
【0062】
例えば
図6に示すように燃料電池セルAと第1セパレータ101との接合部分のシール部材80aに破損部分85が生じたとする。本実施形態では、通常の運転温度(第1運転モードでの通常の運転温度)よりも高温(第2運転モードでの高温)で燃料電池セルAを運転することで、シール部材80aを溶融する。シール部材80aが溶融することで、シール部材80aが流動状態となり、破損部分85が埋め合わされて修復される。これにより、シール部材80aは
図5の状態に回復する。これにより、シール部材80にひび及び剥がれ等の破損が生じた場合でも、破損部分85を修復できる。
【0063】
なお、破損部分85の形状は多様であり
図6に示すような形状に限定されず、例えばシール部材80に燃料極層111側から空気極層115側につながるような破損も生じ得る。このような燃料極層111側から空気極層115側につながる破損が生じている場合、燃料極層111側から空気極層115側に燃料ガス等がリークする。しかし、前述の通り、このような破損が生じている場合であってもシール部材80の破損部分を修復可能であるので、破損部分を修復して燃料ガス等のリークを抑制できる。
【0064】
上記の通りシール部材80に破損が生じた場合、シール部材80を溶融して流動状態とすることでシール部材80の破損部分85を修復する。この場合、シール部材80をある程度流動状態となるように燃料電池セルAを高温にするものの、シール部材80の溶融が進み過ぎて接合部分から流れ出してしまうのを抑制する必要がある。
【0065】
そこで、シール部材80は、燃料電池セルAの通常の運転温度(例えば700~750℃)よりも高く、かつ、通常の運転温度よりも高温(例えば900~950℃)の範囲において軟化点温度を有し、かつ流動状態がある程度抑制される材料で形成されているのが好ましい。このような材料でシール部材80を形成することで、通常の運転である第1運転モードでの通常温度ではシール部材80は溶融せず、高温の第2運転モードではシール部材80はある程度流動状態となるものの接合部分から流れ出すのを抑制される。
【0066】
なお、通常の運転温度よりも高温(例えば900~950℃)に制御されることでシール部材80が溶融すればよく、前記高温(例えば900~950℃)での運転においてシール部材80は、前記高温(例えば900~950℃)よりも低くなっていてもよく、同程度であってもよい。つまり、シール部材80の軟化点温度は、前記高温(例えば900~950℃)よりも低くてよく、同程度であってもよい。以下においても同様である。
【0067】
シール部材80に用いることができる材料としては、例えばSiO2-B2O3系、SiO2-CaO系、MgO-B2O3系等の非晶質ガラス及び結晶化ガラス、α-アルミナに代表されるような耐熱セラミックス粒子などのフィラーによって形状保持させたガラス等を用いることができる。シール部材80としては、これらの材料等から第2運転モードでの高温(例えば900~950℃)である程度の流動状態となる材料が選択される。
なお、結晶化ガラスとは、例えば、全体積に対して、結晶相が占める体積が60%以上であり、非晶質相等が占める体積が40%未満のガラスである。
【0068】
(b)円筒平板型の燃料電池モジュール
円筒平板型の燃料電池モジュール23について
図7~
図10を用いて説明する。
円筒平板型の燃料電池モジュール23は、複数の円筒平板型の燃料電池セルAと、集電部材213と、導電部材214と、電流引き出し部215と、燃料ガスが導入されるマニホールドMとを有している。複数の円筒平板型の燃料電池セルAは、集電部材213を介して互いに平行に配置されており、マニホールドMから立設するように設けられている。導電部材214は、複数の燃料電池セルA及び集電部材213を挟持するように、燃料電池セルAの配置方向の両端に設けられている。電流引き出し部215は導電部材214に接続されており、燃料電池セルAの発電により生じる電流を取り出す。
【0069】
燃料電池セルAは、円筒平板形状に形成されており、導電性部材201と、燃料極層203と、電解質層204と、中間層205と、空気極層206と、密着層207と、インターコネクタ208とを有する。導電性部材201には、燃料電池セルAの立設している方向に沿って導電性部材201を貫通する燃料ガス流路202が設けられている。燃料ガス流路202には、マニホールドMから供給される燃料ガスが通流する。
【0070】
隣接する燃料電池セルAの一方側には、導電性部材201から外側に向かって、燃料極層203、電解質層204、中間層205、空気極層206が順に積層されている。燃料極層203及び電解質層204は、隣接する燃料電池セルAの他方側の一部にまで延びて形成されている。そして、隣接する燃料電池セルAの他方側における燃料極層203及び電解質層204が形成されていない部分には、密着層207を介してインターコネクタ208が形成されている。
【0071】
以上のような円筒平板型の燃料電池モジュール23において、シール部材80は、例えば
図9、
図10に示すように、マニホールドMに連通するように立設された燃料電池セルAとマニホールドMとの接合部分に塗布されている。
図9、
図10の例では、マニホールドMの上面にシール部材80が塗布されており、燃料電池セルAとマニホールドMとの接合部分がシール部材80により封止されている。このように燃料電池セルAとマニホールドMとの接合部分にシール部材80を配置することで、燃料ガス等のリークを抑制することができる。
【0072】
例えば、円筒平板型の燃料電池モジュール23において、
図11に示すように燃料電池セルAとマニホールドMとの接合部分のシール部材80に破損部分85が生じたとする。この場合、マニホールドMから燃料ガスがリークする。そこで、通常の運転温度(第1運転モードでの通常の運転温度)よりも高温(第2運転モードでの高温)で燃料電池セルAを運転することで、シール部材80が流動状態となり
図10に示す状態に回復する。シール部材80の材料については既述した通りである。
【0073】
(c)円筒型の燃料電池モジュール
円筒型の燃料電池モジュール23について
図12~
図13を用いて説明する。
円筒型の燃料電池モジュール23は、円筒状の燃料電池セルAと、集電部材319と、燃料極側端子321と、空気極側端子325とを有している。燃料電池セルAは、円筒状の内部から順に燃料極層311、電解質層313、空気極層315が順に積層されている。燃料電池セルAの最も内面の燃料極層311は燃料ガスが通流する燃料ガス通流部317を構成している。集電部材319は、空気極層315の外面に接して設けられており、酸化剤ガスの供給を受ける。
【0074】
電解質層313及び燃料極層311は、軸心方向において燃料電池セルAから突出して形成されている。この突出した電解質層313及び燃料極層311に、燃料極側端子321が取り付けられている。一方、空気極層315の外面に設けられた集電部材319に、空気極側端子325が取り付けられている。燃料極側端子321には貫通孔321aが設けられており、空気極側端子325には貫通孔325aが設けられている。貫通孔321a、燃料ガス通流部317及び貫通孔325aが連通しており、燃料ガスが通流する。
【0075】
以上のような円筒平板型の燃料電池モジュール23において、シール部材80は、例えば
図12、
図13に示すように燃料極側端子321と燃料電池セルAから突出している電解質層313及び燃料極層311との接合部分、
図12に示すように空気極側端子325と空気極層315との接合部分に配置されている。このように燃料電池セルAと端子との接合部分にシール部材80を配置することで、燃料ガス等のリークを抑制することができる。
【0076】
例えば円筒型の燃料電池モジュール23において、
図13に示すように燃料電池セルAと燃料極側端子321との接合部分のシール部材80に破損部分85が生じたとする。そこで、通常の運転温度(第1運転モードでの通常の運転温度)よりも高温(第2運転モードでの高温)で燃料電池セルAを運転することで、シール部材80が流動状態となり
図13に示す状態に回復する。シール部材80の材料については既述した通りである。
なお、破損部分85の形状は多様であり
図13に示すような形状に限定されず、例えばシール部材80に貫通孔321a内の内部空間と燃料電池セルAの外側につながる破損が生じている場合、貫通孔321a側から燃料電池セルAの外側に燃料ガス等がリークする。しかし、前述の通り、このような破損が生じている場合であってもシール部材80の破損部分を修復可能であるので、破損部分を修復して燃料ガス等のリークを抑制できる。
【0077】
(2)運転制御部が実行するシール部材の修復方法
上記の燃料電池システム100の運転制御部71は、シール部材80が破損した場合に修復を行うための修復方法を実行する。
(2-1)修復方法の全体の流れ
まず、シール部材80の修復方法の全体の流れについて説明する。
運転制御部71は、通常の運転温度で燃料電池セルAを運転するように制御する第1運転モードと、通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルAを運転するように制御する第2運転モードとを実行可能であり、所定のタイミングで第2運転モードを実行する。
【0078】
第1運転モードは、例えば、燃料電池システム100で発電された発電電力を負荷等に供給している通常運転を意味する。第1運転モードにおける通常の運転温度とは、通常運転の場合の燃料電池セルAの温度である。通常の運転温度は、これに限定されないが、例えば700~750℃である。
【0079】
そして、運転制御部71は、燃料ガス用ポンプ2を制御することによる燃料ガス供給量の制御、空気ブロア15を制御することによる酸化剤ガス供給量の制御、改質水ポンプ7を制御することによる水蒸気量の制御等によって燃料電池セルAの温度を制御する。なお、運転制御部71は、セル温度検出部T1、燃焼部温度検出部T2、触媒温度検出部T3及び電圧検出部V等が検出した各種温度及び電圧等を参照し、燃料電池セルAの温度を制御する。
【0080】
一方、第2運転モードは、第1運転モードとは異なり、シール部材80の修復を行うための修復方法を実行する際の運転を意味する。第2運転モードにおける燃料電池セルAの温度は、第1運転モードにおける通常の運転温度よりも高く、シール部材80を溶融して修復可能な温度である。第2運転モードの運転温度は、これに限定されないが、例えば900~950℃である。である。第2運転モードにおける運転温度の制御方法については後述する。
【0081】
運転制御部71は、上記のシール部材80を修復するための第2運転モードを、所定のタイミングで実行する。所定のタイミングとは、任意のタイミングであってもよいし、定期的なタイミングであってもよい。その他、運転制御部71は、燃料ガス等のリークが検出されたタイミングで第2運転モードを実行してもよい。
第2運転モードを開始した後、運転制御部71は、任意のタイミングで第2運転モードを終了してもよいし、第2運転モードを所定期間実行した後に終了してもよい。その他、後述の通り燃料電池システム100の状態に基づいて第2運転モードを終了してもよい。
【0082】
以上のように第2運転モードの実行によって、シール部材80が溶融して破損部分85が埋め合わされることで修復される。これにより、シール部材80が破損した場合であっても、シール部材80を修復することで燃料ガス等のリークを抑制することができる。よって、燃料ガス等のリークによる燃料電池セルAにおける発電性能の低下を抑制できる。また、シール部材80の修復を燃料電池セルの運転温度を調整することで行うことができる。
【0083】
(2-2)第2運転モードにおける温度制御の例
第2運転モードでは、運転制御部71は、第1運転モードでの通常の運転温度よりも高温で燃料電池セルAの運転を制御する。以下では、第2運転モードにおける燃料電池セルAを高温での運転に制御する方法の一例について説明する。
【0084】
運転制御部71は、第2運転モードにおいて、燃料ガス用ポンプ2を制御して燃料ガスの供給量を第1運転モードよりも増加させ、燃料電池セルAの温度を上昇させる。燃料ガスの供給量の増加分に応じて燃焼量が増加する。これにより、燃料電池セルAの温度を上昇させて高温で運転させることができる。
【0085】
運転制御部71は、第2運転モードにおいて、空気ブロア15を制御して酸化剤ガスの供給量を第1運転モードよりも減少させ、燃料電池セルAの温度を上昇させる。酸化剤ガスの供給量を減少させると、燃料電池セルAの冷却が抑制される。これにより、燃料電池セルAの温度を上昇させて高温で運転させることができる。
【0086】
なお、運転制御部71は、前述のように温度を上昇させるように制御した場合、セル温度検出部T1が検出する燃料電池セルAの温度を監視しておき、所定の高温(例えば900~950℃である。)まで温度を上昇させる制御を行う。そして、所定の高温まで燃料電池セルAの温度が上昇すると、運転制御部71は温度をさらに上昇させる制御を停止させることができる。
【0087】
また、運転制御部71は、前述のように高温に制御する場合に、当該高温まで徐々に温度を上げるように制御することができる。これにより、急激な温度上昇による急激な熱応力の発生等による燃料電池セルAの変形及び割れ等を抑制できる。
【0088】
また、運転制御部71は、燃料電池セルAの発電性能が回復したか否かを見ながら徐々に温度を上昇させることができる。シール部材80の破損によって燃料ガス等がリークしている場合、燃料電池セルAへの燃料ガス等の供給量が減り発電性能が低下する。そこで、運転制御部71は、温度を所定の温度だけ上昇させたにも関わらず燃料電池セルAの発電性能が低下したままで回復していない場合は、シール部材80の破損が修復されていないとして、さらに温度を上昇させシール部材80を溶融して修復可能なように制御する。この場合であっても、所定の高温までで温度の上昇を停止させるのが、燃料電池セルAの変形及び割れ等を防ぐ観点から好ましい。なお、運転制御部71は、電圧検出部Vで検出される発電電圧が通常運転での発電電圧よりも低い場合、燃焼部温度検出部T2が検出したセル燃焼排ガスの温度が通常運転の場合よりも高いままである場合、触媒温度検出部T3が検出した触媒燃焼排ガスの温度が通常運転の場合よりも高いままである場合等には、シール部材80の破損が修復されておらず、発電性能が回復していないと判断する。
【0089】
一方、運転制御部71は、温度を所定の温度だけ上昇させたことで燃料電池セルAの発電性能が回復した場合は、さらなる温度の上昇を停止させるか、通常運転の温度に戻すように制御する。なお、運転制御部71は、電圧検出部Vで検出される発電電圧が通常運転での発電電圧と同程度かそれ以上の場合、燃焼部温度検出部T2が検出したセル燃焼排ガスの温度が通常運転の場合と同程度となった場合、触媒温度検出部T3が検出した触媒燃焼排ガスの温度が通常運転の場合と同程度となった場合等には、シール部材80の破損が修復されて発電性能が回復していると判断する。
【0090】
徐々に温度を上昇させて燃料電池セルAの発電性能の回復を判定する制御としては、具体的には、次のように制御するのが好ましい。例えば、まず、運転制御部71は、通常の運転温度である例えば700~750℃から、燃料電池セルAの運温度を所定の温度だけ上昇させて900℃とする。その後、運転制御部71は、一旦、通常の運転温度である例えば700~750℃に戻し、燃料電池セルAの発電性能の回復を判定する。ここで、燃料電池セルAの発電性能が回復していない場合は、運転制御部71は、燃料電池セルAの運温度を前述の900℃よりも上昇させて例えば925℃とする。逆に、燃料電池セルAの発電性能が回復している場合は、運転制御部71は、燃料電池セルAの運温度のさらなる上昇を停止する。そして、燃料電池セルAの発電性能が回復しておらず燃料電池セルAの温度を925℃と上昇させた場合は、その後、一旦、通常の運転温度である例えば700~750℃に戻し、燃料電池セルAの発電性能の回復を判定する。ここで、燃料電池セルAの発電性能が回復していない場合は、運転制御部71は、燃料電池セルAの運温度を前述の925℃よりも上昇させて例えば950℃とする。逆に、燃料電池セルAの発電性能が回復している場合は、運転制御部71は、燃料電池セルAの温度のさらなる上昇を停止する。このように燃料電池セルAを高温で運転した後、通常の運転温度に戻して燃料電池セルAの発電性能の改善を判定することで、高温において発電性能を判定するよりも、改善したか否かをより確認し易い。
【0091】
(2-3)第2運転モードの開始条件の例
運転制御部71は、任意のタイミング、定期的なタイミング、燃料ガス等のリークが検出されたタイミング等の所定のタイミングで第2運転モードを実行する。ここでは、燃料ガス等のリークが検出されたタイミングでの第2運転モードの開始について説明する。
【0092】
運転制御部71は、燃焼部温度検出部T2が検出したセル燃焼排ガスの温度が開始用燃焼温度閾値よりも大きくなると、第2運転モードを実行する。燃焼部29から排出されるセル燃焼排ガスの温度が開始用燃焼温度閾値よりも大きくなった場合とは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いた燃料電池セルAでの発電性能が低下し、燃焼部29での未燃ガスの燃焼が増加してセル燃焼排ガスの温度が上昇している場合である。この場合、シール部材80が破損して燃料ガス及び酸化剤ガス等がリークし、発電性能の低下が生じているとして、運転制御部71はシール部材80を修復するための第2運転モードを実行する。なお、開始用燃焼温度閾値は、例えば、通常運転での燃焼部29におけるセル燃焼排ガスの温度より高い温度に設定されている。
【0093】
運転制御部71は、触媒温度検出部T3が検出した触媒燃焼排ガスの温度が開始用触媒温度閾値よりも大きくなると、第2運転モードを実行する。燃焼触媒部35から排出される触媒燃焼排ガスの温度が開始用触媒温度閾値よりも大きくなった場合とは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いた燃料電池セルAでの発電性能が低下し、燃焼触媒部35での未燃ガスの燃焼が増加し触媒燃焼排ガスの温度が上昇した場合である。この場合、シール部材80が破損して燃料ガス及び酸化剤ガス等がリークし、発電性能の低下が生じているとして、運転制御部71はシール部材80を修復するための第2運転モードを実行する。なお、開始用触媒温度閾値は、例えば、通常運転での燃焼触媒部35における触媒燃焼排ガスの温度より高い温度に設定されている。
【0094】
運転制御部71は、電圧検出部Vが検出した発電電圧が開始用電圧閾値よりも小さくなると、第2運転モードを実行する。電圧検出部Vが検出した燃料電池セルAの発電電圧が開始用電圧閾値よりも小さくなった場合とは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いた燃料電池セルAでの発電性能が低下した場合である。この場合、シール部材80が破損して燃料ガス及び酸化剤ガス等がリークし、発電性能の低下が生じているとして、運転制御部71はシール部材80を修復するための第2運転モードを実行する。なお、開始用電圧閾値は、例えば、通常運転での燃料電池セルAにおける発電電圧より低い電圧に設定されている。
【0095】
(2-4)第2運転モードの終了条件の例
運転制御部71は、第2運転モードを開始した後、任意のタイミング、第2運転モードを所定期間実行した後のタイミング、燃料電池システム100の状態に基づいたタイミング等の所定のタイミングで第2運転モードを終了する。ここでは、燃料電池システム100の状態に基づいたタイミングでの第2運転モードの終了について説明する。
【0096】
燃焼部29から排出されるセル燃焼排ガスの温度が停止用燃焼温度閾値よりも小さくなった場合、運転制御部71は第2運転モードの実行を停止する。なお、燃焼部29から排出されるセル燃焼排ガスの温度が停止用燃焼温度閾値よりも小さくなった場合とは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いた燃料電池セルAでの発電性能が向上し、燃焼部29での未燃ガスの燃焼が減り燃焼部29の温度が低下した場合である。この場合、運転制御部71は、シール部材80の破損が修復されて燃料ガス及び酸化剤ガス等のリークが抑制され、発電性能の低下が抑制されたとして、第2運転モードの実行を停止する。
なお、停止用燃焼温度閾値は、例えば、通常運転での燃焼部29におけるセル燃焼排ガスの温度に設定されている。
【0097】
燃焼触媒部35から排出される触媒燃焼排ガスの温度が停止用触媒温度閾値よりも小さくなった場合、運転制御部71は第2運転モードの実行を停止する。なお、燃焼触媒部35から排出される触媒燃焼排ガスの温度が停止用触媒温度閾値よりも小さくなった場合とは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いた燃料電池セルAでの発電性能が向上し、燃焼触媒部35での未燃ガスの燃焼が減り温度が低下した場合である。この場合、運転制御部71は、シール部材80の破損が修復されて燃料ガス及び酸化剤ガス等のリークが抑制され、発電性能の低下が抑制されたとして、第2運転モードの実行を停止する。
なお、停止用触媒温度閾値は、例えば、通常運転での燃焼触媒部35における触媒燃焼排ガスの温度に設定されている。
【0098】
電圧検出部Vが検出した燃料電池セルAの発電電圧が停止用電圧閾値よりも大きくなった場合、運転制御部71は第2運転モードの実行を停止する。なお、電圧検出部Vが検出した発電電圧が停止用電圧閾値よりも大きくなった場合とは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いた燃料電池セルでの発電性能が向上して発電電圧が上昇した場合である。この場合、運転制御部71は、シール部材80の破損が修復されて燃料ガス及び酸化剤ガス等のリークが抑制され、発電性能の低下が抑制されたとして、第2運転モードの実行を停止する。
なお、停止用電圧閾値は、例えば、通常運転での燃料電池セルAの発電電圧に設定されている。
【0099】
〔他の実施形態〕
なお上述の実施形態(他の実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0100】
上記実施形態では、第1運転モードにおける通常の運転温度を700~750℃とし、第2運転モードにおける運転温度を900~950℃である。とした。そして、シール部材の軟化点温度を900~950℃とした。しかし、通常の運転温度、第2運転モード及び軟化点温度はこれに限定されない。シール部材80の軟化点温度が通常の運転温度より高く通常の運転温度では軟化せずに形状を保ちつつ燃料ガス等のリークを抑制し、かつ第2運転モードでの運転温度でシール部材80が流動状態になって破損を修復可能でありつつ接合部分から流れ出さない程度となる材料をシール部材80の材料として選択できればよい。
【符号の説明】
【0101】
A :燃料電池セル
29 :燃焼部
35 :燃焼触媒部
71 :運転制御部
100 :燃料電池システム
T1 :セル温度検出部
T2 :燃焼部温度検出部
T3 :触媒温度検出部
V :電圧検出部