(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
B65D47/08
B65D47/08 210
(21)【出願番号】P 2020140913
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109017(JP,A)
【文献】特開2015-105130(JP,A)
【文献】特開平07-291325(JP,A)
【文献】特開2017-132521(JP,A)
【文献】特開2020-083464(JP,A)
【文献】特開2016-101955(JP,A)
【文献】特開2010-202203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、
前記キャップ本体にヒンジ回りに回動可能に連結され、前記注出口を開閉可能に覆う有頂筒状の蓋体と、
前記注出口の開口縁部に破断可能な弱化部を介して連結されて当該注出口を閉塞する閉塞体と、
前記蓋体に設けられ、前記蓋体と前記閉塞体とを一体に連結する抜栓体と、
を備え、
前記蓋体と前記抜栓体とは、互いに別体とされ、
前記抜栓体は、前記蓋体の頂壁部に対して下方移動可能に設けられ、
前記頂壁部の上面に開封表示部が配置され、
前記開封表示部は、前記抜栓体の下方移動に伴って変形可能な連結片、および前記抜栓体の下方移動に伴って破断可能な連結片の少なくとも一方を介して前記抜栓体に連結されている、ヒンジキャップ。
【請求項2】
前記頂壁部の上面に、前記連結片の下面に当接する凸部が設けられ、
前記連結片は、前記抜栓体の下方移動に伴って、前記凸部により押圧されることで変形または破断する、請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
前記開封表示部は、前記連結片が破断された状態において前記頂壁部の上面から離脱可能とされた、請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
前記頂壁部の上面のうち、前記開封表示部が配置された個所に、開封状態であることを掲示する掲示部が設けられた、請求項3に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
前記開封表示部は、前記抜栓体に対して変形可能な第1連結片を介して連結された第1開封表示片と、前記抜栓体に対して破断可能な第2連結片を介して連結された第2開封表示片と、を有する、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のヒンジキャップ。
【請求項6】
前記第1開封表示片の変位によって、離脱された前記第2開封表示片の前記頂壁部の上面への再配置が規制される、請求項5に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
蓋体を開いた後にプルリングを引き上げる操作を行うことなく、蓋体を開く操作のみによって開封可能なヒンジキャップが、従来から知られている。例えば下記の特許文献1には、キャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連結された蓋体と、キャップ本体の頂板部に設けられた注出筒と、注出口の周縁の薄肉部を介して連結され、注出口を閉塞するシール板と、蓋体の天板部に設けられた薄肉部引き裂き用の引き裂き具と、を備えるヒンジキャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のヒンジキャップが装着された容器を開封する際には、蓋体を開く動作に伴ってシール板と頂板部とを連結している薄肉部が破断され、注出口が開封されるとともに、シール板が蓋体側に移行する。容器を一旦開封した後は、シール板が蓋体側に移行された状態が維持されるため、蓋体を開く動作によって注出口が開放され、内容物を注出することができる。ところが、使用者は、蓋体を閉じた状態の外観を見ただけでは、当該容器が開封済みであるか、未開封であるかを判別することができない。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであって、蓋体の回動操作に伴って開封可能なヒンジキャップにおいて、蓋体を閉じた状態の外観によって開封済みであるか否かを容易に判別できるヒンジキャップを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様のヒンジキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジ回りに回動可能に連結され、前記注出口を開閉可能に覆う有頂筒状の蓋体と、前記注出口の開口縁部に破断可能な弱化部を介して連結されて当該注出口を閉塞する閉塞体と、前記蓋体に設けられ、前記蓋体と前記閉塞体とを一体に連結する抜栓体と、を備え、前記蓋体と前記抜栓体とは、互いに別体とされ、前記抜栓体は、前記蓋体の頂壁部に対して下方移動可能に設けられ、前記頂壁部の上面に開封表示部が配置され、前記開封表示部は、前記抜栓体の下方移動に伴って変形可能な連結片、および前記抜栓体の下方移動に伴って破断可能な連結片の少なくとも一方を介して、前記抜栓体に連結されている。
【0007】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいては、開封操作に伴って抜栓体が下方移動する際、抜栓体の下方移動に伴って連結片が変形または破断され、頂壁部の上面に配置された開封表示部が変位するか、または、頂壁部の上面に配置された開封表示部が抜栓体から分離される。したがって、使用者は、変位した状態の開封表示部、もしくは抜栓体から分離された状態の開封表示部を視認した場合には、当該容器が開封済みであることを知ることができる。このように、本発明の一つの態様のヒンジキャップによれば、蓋体を閉じた状態の外観によって当該容器が開封済みであるか否かを容易に判別できる。
【0008】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいて、前記頂壁部の上面に、前記連結片の下面に当接する凸部が設けられ、前記連結片は、前記抜栓体の下方移動に伴って、前記凸部により押圧されることで変形または破断してもよい。
【0009】
この構成によれば、連結片の下面に当接する凸部が頂壁部の上面に設けられているため、連結片は、抜栓体が下方移動した際に凸部によって下面側から押圧され、上方に向けて変形するか、または破断する。したがって、使用者は、抜栓体から上方に向けて変位した開封表示部、または抜栓体から分離した開封表示部を視認することにより、当該容器が開封済みであることを容易に判別することができる。
【0010】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいて、前記開封表示部は、前記連結片が破断された状態において前記頂壁部の上面から離脱可能とされていてもよい。
【0011】
この構成によれば、開封操作に伴って連結片が破断された際に開封表示部を頂壁部の上面から離脱させることにより、頂壁部の上面のうち、未開封時に開封表示部で覆われていた個所が露出する。したがって、使用者は、頂壁部の上面の一部が露出している部分を視認した場合に、当該容器が開封済みであることを容易に判別することができる。
【0012】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいて、前記頂壁部の上面のうち、前記開封表示部が配置されていた個所に、開封状態であることを掲示する掲示部が設けられていてもよい。
【0013】
上述したように、開封表示部が頂壁部の上面から離脱可能とされた構成においては、開封表示部を頂壁部の上面から離脱させた際に頂壁部の上面の一部が露出した状態となる。このとき、上記の構成によれば、開封表示部が配置された個所に開封状態であることを掲示する掲示部が設けられているため、使用者は、掲示部を視認することにより、当該容器が開封済みであることを容易に判別することができる。
【0014】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいて、前記開封表示部は、前記抜栓体に対して変形可能な第1連結片を介して連結された第1開封表示片と、前記抜栓体に対して破断可能な第2連結片を介して連結された第2開封表示片と、を有していてもよい。
【0015】
この構成によれば、使用者は、変位した状態の第1開封表示片、および抜栓体から分離された状態の第2開封表示片の双方を視認することによって、当該容器が開封済みであることを確実に判別することができる。
【0016】
本発明の一つの態様のヒンジキャップにおいて、前記第1開封表示片の変位によって、離脱された前記第2開封表示片の前記頂壁部の上面への再配置が規制されてもよい。
【0017】
この構成によれば、第1開封表示片の変位によって、離脱された第2開封表示片の頂壁部の上面への再配置が規制されるため、頂壁部の上面の一部が露出した状態が維持され、第2開封表示片が掲示部の視認を阻害することがない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一つの態様によれば、蓋体の回動操作に伴って開封可能なヒンジキャップにおいて、蓋体を閉じた状態の外観によって開封済みであるか否かを容易に判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態のヒンジキャップを示す図であって、開封前のヒンジキャップの縦断面図である。
【
図2】同、開封前の抜栓体および開封表示片を示す平面図である。
【
図3】同、開封後の抜栓体および開封表示片を示す縦断面図である。
【
図4】第2実施形態のヒンジキャップを示す図であって、開封前のヒンジキャップの縦断面図である。
【
図5】同、開封前の抜栓体および開封表示片を示す平面図である。
【
図6】同、開封後の抜栓体および開封表示片を示す縦断面図である。
【
図7】第3実施形態のヒンジキャップを示す図であって、開封前のヒンジキャップの縦断面図である。
【
図8】同、開封前の抜栓体および開封表示片を示す平面図である。
【
図9】同、開封後の抜栓体および開封表示片を示す縦断面図である。
【
図11】第4実施形態のヒンジキャップを示す図であって、開封前のヒンジキャップの縦断面図である。
【
図12】同、開封前の抜栓体および開封表示片を示す平面図である。
【
図13】同、開封後の抜栓体および開封表示片を示す縦断面図である。
【
図14】第5実施形態のヒンジキャップを示す図であって、開封前のヒンジキャップの縦断面図である。
【
図15】同、開封前の抜栓体および開封表示片を示す平面図である。
【
図16】同、開封後の抜栓体および開封表示片を示す縦断面図である。
【
図17】同、開封後の抜栓体および第1開封表示片を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態のヒンジキャップについて、
図1、
図2、および
図3に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のヒンジキャップ1は、有頂円筒状をなしており、例えば液状の内容物を収容する有底円筒状の容器本体2の口部3に装着されている。
【0021】
図示の例では、容器本体2の口部3およびヒンジキャップ1は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸をキャップ軸Oとし、キャップ軸Oに沿ってヒンジキャップ1側を上側、容器本体2側を下側とし、キャップ軸O方向から見て、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向と称し、キャップ軸Oに交差する方向を径方向と称する。また、径方向のうち、後述するヒンジ12側を後側と称し、その反対側を前側と称し、径方向のうち、前後方向に交差する方向を左右方向と称する。
【0022】
ヒンジキャップ1は、容器本体2の口部3に装着され、内容物を注出する注出口11Aが形成された有頂円筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11にヒンジ12回りに回動可能に連結され、注出口11Aを開閉自在に覆う有頂円筒状の蓋体13と、注出口11Aの開口縁部に弱化部14を介して連結されて注出口11Aを閉塞する閉塞体15と、蓋体13に装着された抜栓体16と、を備えている。キャップ本体11および蓋体13は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。
【0023】
キャップ本体11は、前後方向に長い長円形の注出口11Aが形成された平面視で円形の天板部21と、天板部21の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の装着筒部22と、装着筒部22よりも径方向内側において天板部21から上方に向けて延在する円筒状の取付筒部23と、取付筒部23よりも径方向内側において天板部21から下方に向けて延在する円筒状の嵌合筒部24と、嵌合筒部24よりも径方向内側において天板部21から上方に向けて延在する円筒状の注出筒部25と、を有している。
【0024】
天板部21、装着筒部22、取付筒部23、嵌合筒部24、および注出筒部25は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。また、キャップ本体11、蓋体13、および閉塞体15は、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等の樹脂材料によって一体に形成されている。なお、キャップ本体11、蓋体13および閉塞体15は、他の樹脂材料から形成されていてもよい。
【0025】
装着筒部22は、口部3の径方向外側に配設されている。装着筒部22の下端部の内周面には、口部3の外周面に形成されて径方向外側に向けて突出する第1装着突部3Aに対して下方から係止されて、径方向内側に向けて突出する第2装着突部22Aが形成されている。
【0026】
取付筒部23の上端部の外周面には、径方向外側に向けて突出する第1取付突部23Aが形成されている。
【0027】
嵌合筒部24は、装着筒部22とともに口部3の上端部を径方向で挟み込んでいる。なお、嵌合筒部24の下端は、装着筒部22の下端よりも上方に位置している。
【0028】
注出筒部25は、上方に向かうに従って径方向外側に向かうように傾斜している。注出筒部25の前端部は、注出筒部25の後端部よりも上方に位置している。そのため、注出筒部25の上端縁は、前側から後側に向かうに従って漸次下側に向かうように傾斜している。なお、注出筒部25の後端の上端縁は、取付筒部23の上端縁よりも上方に位置している。
【0029】
蓋体13は、平面視で円形の頂壁部31と、頂壁部31の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の周筒部32と、周筒部32よりも径方向内側において頂壁部31から下方に向けて延在する円筒状の内筒部33と、を有する。頂壁部31、周筒部32、および内筒部33は、キャップ軸Oと同軸に形成されている。
【0030】
頂壁部31のうち、キャップ軸Oよりも前側の部分に、頂壁部31を上下方向に貫通する平面視で円形の挿入孔31Aが形成されている。挿入孔31Aには、後述する抜栓体16の脚筒部52が挿入されている。以下、挿入孔31Aの中心軸を抜栓軸O’と称し、抜栓軸O’回りに周回する方向を抜栓周方向と称し、抜栓軸O’に交差する方向を抜栓径方向と称する。
【0031】
また、頂壁部31の上面において、挿入孔31Aの周囲には、後述する開封表示片61が収容される凹部31Bが形成されている。凹部31Bは、抜栓軸O’を中心として環状に形成されている。また、凹部31Bの上面には、後述する連結片62を下方から押圧して変形させるためのリブ63(凸部)が形成されている。
【0032】
本実施形態の場合、リブ63は、
図2に示すように、抜栓軸O’を中心として環状に形成されている。また、リブ63の内周面は、
図1に示すように、抜栓径方向の内側から外側に向かうに従って上方に向かう方向に傾斜した傾斜面となっている。なお、リブ63は、必ずしも環状に形成されることなく、抜栓周方向に途切れていてもよく、少なくとも連結片62の下方にあたる位置に形成されていればよい。さらに、連結片62を下方から押圧するための凸部は、必ずしも一方向に延びるリブ状に形成されていなくてもよく、例えば突起状に形成されていてもよい。
【0033】
頂壁部31は、挿入孔31Aの開口縁部から下方に向けて延在する円筒状の上筒部34と、上筒部34の下端部から抜栓径方向内側に向けて突出する平面視で円環状の支持部35と、支持部35の内周縁から下方に向けて延在する円筒状の囲繞筒部36と、を有する。上筒部34、支持部35、および囲繞筒部36は、抜栓軸O’と同軸に形成されている。
【0034】
上筒部34の前端部は、頂壁部31の前端側と連続して形成されている。囲繞筒部36は、後述する抜栓体16の脚筒部52を外側から囲んでいる。
【0035】
周筒部32の下端部の内周面には、径方向外側に向けて突出し、取付筒部23の第1取付突部23Aに対して下方から係止する第2取付突部32Aが形成されている。また、周筒部32の下端部のうち、前端部には、前方に向けて突出するツマミ部32Bが形成されている。周筒部32の後端部の下端部は、ヒンジ12を介して装着筒部22の上端に連結されている。これにより、周筒部32の前端部が他の部分と比較して径方向に弾性変形しやすくなり、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる際に、周筒部32の前端部において第2取付突部32Aと第1取付突部23Aとの係止状態が解除されやすくなる。
【0036】
内筒部33は、注出筒部25よりも径方向内側に配設されており、内筒部33の下端部は、注出筒部25の内周面に当接している。内筒部33のうち、前端部は、支持部35の前端部に連なって形成されている。
【0037】
閉塞体15は、注出口11Aと同様に平面視で前後方向に長い長円形をなす閉塞板部41と、閉塞板部41の前端部から上方に向けて突出する支柱部42と、を有する。支柱部42は、抜栓軸O’と同軸に形成され、抜栓体16と連結される。
【0038】
支柱部42は、上方に向けて延在する円筒状の外筒部53と、外筒部53の内側において上方に向けて延在する円柱状の軸部54と、を有する。外筒部53および軸部54は、抜栓軸O’と同軸に形成されている。外筒部53の外周面において、外筒部53と閉塞板部41とが接する角部には、断面三角形状のリブ44が形成されている。
【0039】
外筒部53の内周面には、抜栓径方向外側に向けて凹む閉塞体係止凹部53Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。閉塞体係止凹部53Aは、上端縁から下方に向かうに従って漸次抜栓径方向外側に向かうように傾斜する第1傾斜面と、第1傾斜面の下端に連なり、下方に向かうに従って漸次抜栓径方向内側に向かうように傾斜する第2傾斜面と、を有する。ここで、抜栓軸O’と第1傾斜面とのなす角度は、抜栓軸O’と第2傾斜面とのなす角度よりも大きい。外筒部53の上端縁は、囲繞筒部36の下端縁と当接している。
【0040】
軸部54の上端部は、軸部54の下端部よりも小径に形成されている。また、軸部54の上端は、外筒部53の上端よりも上方に突出している。
【0041】
抜栓体16は、平面視で円状のヘッド部51と、ヘッド部51の中央部から下方に向けて延在する円筒状の脚筒部52と、を有する。ヘッド部51および脚筒部52は、抜栓軸O’と同軸に形成されている。抜栓体16は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)など、キャップ本体11、蓋体13および閉塞体15よりも硬質の材料で形成されていてもよいが、抜栓体16の構成材料は、特に限定されず、他の樹脂材料であってもよい。蓋体13と抜栓体16とは、互いに別体とされている。
【0042】
ヘッド部51は、支持部35の上方に支持部35から離間して配置されており、ヘッド部51の上面は、頂壁部31の上面よりも僅かに下方に位置している。すなわち、ヘッド部51の下面と支持部35の上面とは接触しておらず、ヘッド部51と支持部35との間には、隙間が設けられている。これにより、抜栓体16は、蓋体13の頂壁部31に対して下方移動可能に設けられている。なお、抜栓体16の動作および作用については、後で詳しく説明する。
【0043】
脚筒部52は、閉塞体15の外筒部53と軸部54との間に嵌装されており、外筒部53と軸部54とによって抜栓径方向で挟み込まれている。脚筒部52の外周面には、抜栓径方向外側に向けて突出し、閉塞体係止凹部53Aと個別に係止される閉塞体係止突部52Aが上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。閉塞体係止突部52Aは、閉塞体係止凹部53Aに対して下方から係止する。
【0044】
閉塞体係止突部52Aは、閉塞体係止凹部53Aと同様に、上端縁から下方に向かうに従って漸次抜栓径方向外側に向かうように傾斜する第1傾斜面と、第1傾斜面の下端に連なり、下方に向かうに従って漸次抜栓径方向内側に向かうように傾斜する第2傾斜面と、を有する。ここで、抜栓軸O’と第1傾斜面とのなす角度は、抜栓軸O’と第2傾斜面とのなす角度よりも大きい。また、脚筒部52の上端部の内径は、脚筒部52の下端部の内径よりも小径とされている。
【0045】
また、抜栓体16の脚筒部52と、閉塞体15の外筒部53および軸部54と、の間の抜け強度は、弱化部14の破断強度よりも大きい。これにより、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させたときに、弱化部14が破断する前に抜栓体16の脚筒部52が閉塞体15の外筒部53と軸部54との間から抜け出てしまうことが抑制される。
【0046】
抜栓体16は、蓋体13をキャップ本体11に装着させた状態で挿入孔31Aに挿入されて打栓機(図示略)などを用いて脚筒部52を外筒部53と軸部54との間に打ち込むことにより、蓋体13に装着される。また、ヒンジキャップ1は、打栓機(図示略)などを用いて容器本体2の口部3に装着される。
【0047】
蓋体13の頂壁部31の上面、具体的には、頂壁部31に形成された凹部31Bの上面に、複数の開封表示片61(開封表示部)が配置されている。複数の開封表示片61の各々は、抜栓体16の下方移動に伴って変形可能な連結片62を介して抜栓体16に連結されている。
【0048】
連結片62は、抜栓体16および開封表示片61と一体に形成されている。また、連結片62は、容易に弾性変形可能とするため、開封表示片61の肉厚に比べて薄い肉厚に形成されている。未開封時において、ヘッド部51の上面、連結片62の上面、および開封表示片61の上面は、同一平面上に位置している。また、頂壁部31の凹部31Bの上面に形成されたリブ63の上面は、連結片62の下面に当接している。
【0049】
本実施形態の場合、平面視において、
図2に示すように、5つの開封表示片61が、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に間隔をおいて設けられている。5つの開封表示片61は、抜栓軸O’中心から放射状に延びる花弁状の形状を有している。なお、開封表示片61の数および形状は、
図2の例に限ることなく、適宜変更が可能である。
【0050】
以下、上記構成のヒンジキャップ1の使用方法および作用について説明する。
製品輸送時や製品流通時等の未開封時においては、
図1に示すように、注出口11Aの開口縁部に弱化部14を介して連結された閉塞体15が注出口11Aを閉塞した状態となっている。これにより、容器本体2の内部と外部との間を高い密閉性で密封することができる。そのため、外部への内容物の漏出を抑制することができるとともに、外部から容器本体2内に外気、水分等が侵入することを抑制することができる。
【0051】
容器を開封する際には、まず、蓋体13のツマミ部32Bを引き上げ、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる。このとき、抜栓体16のヘッド部51と蓋体13の支持部35との間に隙間が設けられているため、ヘッド部51と支持部35とが当接するまでの間は、抜栓体16が移動することなく、蓋体13のみが上方に向けて移動する。このとき、蓋体13の頂壁部31の上面は、抜栓体16のヘッド部51の上面よりも上昇した位置に移動する。換言すると、抜栓体16は、蓋体13に対して下方に移動する。
【0052】
その後、蓋体13がさらに上方移動し、ヘッド部51と支持部35とが当接した時点から、蓋体13に対する抜栓体16の下方への移動が支持部35によって規制される。これにより、抜栓体16は、蓋体13に伴ってキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動しようとする。また、閉塞体15の外筒部53の閉塞体係止凹部53Aに対して抜栓体16の脚筒部52の閉塞体係止突部52Aが下方から係止しているため、抜栓体16のヒンジ12回りの回動に伴って、閉塞体15にも上方に向かう力が作用する。
【0053】
この上方に向かう力によって弱化部14が破断され、閉塞体15がキャップ本体11の天板部21から分離し、注出口11Aが開放される。このとき、弱化部14は、前端部側から後端部側に向けて順に破断される。ここで、閉塞体15とキャップ本体11の注出筒部25とを連結する弱化部14の破断強度が、抜栓体16の脚筒部52と閉塞体15の外筒部53および軸部54との間の抜け強度よりも小さいため、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させた際に、弱化部14が破断する前に抜栓体16の脚筒部52が閉塞体15の外筒部53と軸部54との間から抜け出ることが回避される。
【0054】
ここで、キャップ本体11の嵌合筒部24から分離した閉塞体15は、抜栓体16によって蓋体13に保持される。換言すると、閉塞体15は、抜栓体16を介して蓋体13に連結された形態で、キャップ本体11から蓋体13に移行する。
【0055】
また、ヘッド部51と支持部35とが当接する位置まで蓋体13が上方移動する際、頂壁部31の凹部31Bの上面に形成されたリブ63が、抜栓体16と開封表示片61とを連結する連結片62の下面を上方に向けて押圧する。このとき、
図3に示すように、連結片62は、リブ63からの押圧力によってリブ63の傾斜面63Cに沿って変形し、連結片62に連結された開封表示片61は、抜栓径方向外側の先端部が上方に傾く方向に変位する。すなわち、
図2に示す5つの開封表示片61は、各花弁の先端側が上方に傾く方向に変位する。開封表示片61は、容器を一旦開封した後は、
図3に示した状態が維持される。
【0056】
その後、容器本体2を傾けるなどして、容器本体2内の内容物を注出口11Aから適宜注出する。内容物を注出した後、蓋体13をヒンジ12回りに回動させて注出口11Aを閉じることによって、蓋体13に移行した閉塞体15によって注出口11Aを再度閉塞することができる。
【0057】
このようにして、本実施形態のヒンジキャップ1によれば、容器本体2内を適切に密閉した状態で容器本体2の保管等を行うことができるとともに、蓋体13の頂壁部31、内筒部33、および閉塞体15等で囲まれた空間内に内容物が侵入することが抑えられ、汚れを防止することができる。
【0058】
上述したように、開封操作に伴って閉塞体が蓋体に移行する形態のヒンジキャップの場合、容器を一旦開封した後は、閉塞体が蓋体に移行された状態が維持されるため、蓋体を開く動作によって注出口が開放され、内容物を容易に注出することができる。ところが、従来のヒンジキャップにおいては、蓋体を閉じた状態の外観を見ただけでは、使用者は、当該容器が開封済みであるか否かを判別することができなかった。この場合、容器の使用性が低下することに加え、例えば製品購入前に容器が不正に開封される等の不具合を発見することが難しかった。
【0059】
これらの課題に対して、本実施形態のヒンジキャップ1においては、開封操作に伴って抜栓体16が蓋体13に対して下方移動する際に連結片62が変形し、未開封時に頂壁部31の凹部31Bの上面と平行に配置されていた開封表示片61が斜めに傾くように変位する。これにより、使用者は、斜めに傾いていない開封表示片61を視認したときには当該容器が未開封であり、斜めに傾いた開封表示片61を視認したときには当該容器が開封済みであることを知ることができる。
【0060】
このように、本実施形態のヒンジキャップ1によれば、蓋体13を閉じた状態であっても、使用者は、ヒンジキャップ1の外観を見ただけで当該容器が開封済みであるか否かを容易に判別することができる。また、製品購入前に容器が不正に開封される等の不具合を発見することができる。
【0061】
本実施形態のヒンジキャップ1においては、頂壁部31の凹部31Bの上面に、連結片62の下面に当接するリブ63が設けられているため、連結片62は、抜栓体16の下方移動に伴ってリブ63によって下面側から押圧され、上方に向けて変形する。このとき、使用者は、先端が蓋体13の上面から上方に突出した開封表示片61を視認することにより、当該容器が開封済みであることを容易に判別することができる。また、開封表示片61が花弁状に形成され、当該容器が開封済みとなった際に花が開いたように見えるため、視認性およびデザイン性に優れる。
【0062】
また、本実施形態の場合、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させたときに、抜栓体16、特に脚筒部52の変形が抑制されており、抜栓体16の閉塞体係止突部52Aと閉塞体15の閉塞体係止凹部53Aとの係止状態が解除されにくい。そのため、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる動作によって注出口11Aをより確実に開放させることができ、開封時の操作性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態の場合、抜栓体16の脚筒部52が外筒部53と軸部54とによって挟み込まれており、脚筒部52の抜栓径方向での弾性変形が抑制されているため、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる際に抜栓体16が閉塞体15から抜け出すことをより確実に防止できる。さらに、抜栓体16のヘッド部51が蓋体13の支持部35によって下方から支持されているため、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させる際に蓋体13を引き上げる力をヘッド部51に円滑に伝達させることができる。これにより、弱化部14をより確実に破断させることができる。
【0064】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、
図4、
図5および
図6を用いて説明する。
第2実施形態のヒンジキャップの基本構成は第1実施形態と同様であり、開封表示部の構成が第1実施形態と異なっている。そのため、本実施形態では、基本構成の説明は省略する。
図4は、第2実施形態のヒンジキャップ5を示す図であって、開封前のヒンジキャップ5の縦断面図である。
図5は、開封前の抜栓体16および開封表示片65を示す平面図である。
図6は、開封後の抜栓体16および開封表示片65を示す縦断面図である。
図4、
図5および
図6において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0065】
図4に示すように、本実施形態のヒンジキャップ5において、蓋体13の頂壁部31に形成された凹部31Bの上面に、開封表示片65(開封表示部)が配置されている。本実施形態の場合、一つの開封表示片65が、抜栓体16の下方移動に伴って変形可能な連結片66を介して抜栓体16に連結されている。開封表示片65は、抜栓体16の後端部から後方(ヒンジ12方向)に向かって延在している。
【0066】
また、抜栓体16の前端部には、ヘッド部51の肉厚よりも薄い肉厚に形成された固定片67が形成されている。固定片67は、開封表示片65とは異なり、変形することはない。また、固定片67と凹部31Bの上面との間には、ヘッド部51と支持部35との間の隙間と同じ高さの隙間が設けられている。
【0067】
第1実施形態と同様、連結片66は、抜栓体16および開封表示片65と一体に形成されている。また、連結片66は、容易に弾性変形するように、開封表示片65の肉厚に比べて薄い肉厚に形成されている。未開封時において、ヘッド部51の上面、連結片66の上面、および開封表示片65の上面は、同一平面上に位置している。
【0068】
本実施形態の場合、平面視において、
図5に示すように、開封表示片65の後端は、抜栓径方向に沿って湾曲した湾曲面となっている。また、連結片66は、左右方向に直線状に延在している。なお、開封表示片65の数および形状は、本例に限ることなく、適宜変更が可能である。
【0069】
図4に示すように、頂壁部31の凹部31Bの上面に、リブ68(凸部)が形成されている。第1実施形態と同様、リブ68の上面は、連結片66の下面に当接している。また、リブ68の前面は、抜栓径方向の内側から外側に向かうにつれて上方に向かうように傾斜した傾斜面となっている。
図5に示すように、リブ68は、平面視において、左右方向に延びる直線状に形成されている。なお、リブ68は、必ずしも直線状に連続して形成されることなく、途切れていてもよく、連結片66を下方から押圧できるものであればよい。さらに、連結片66を下方から押圧するための凸部は、必ずしもリブ状に形成されていなくてもよく、突起状に形成されていてもよい。
【0070】
図5に示すように、凹部31Bの上面のうち、開封表示片65が配置された個所に、開封状態であることを掲示する掲示部69が設けられている。具体的には、開封表示片65が配置された個所に、彫刻、成形、印刷等の方法によって、開封済みであることを示す「OPEN」の文字が施されている。なお、開封状態であることを示す掲示部69は、必ずしも文字で構成されていなくてもよく、例えば絵、模様、他の部分の色と異なる着色等により構成されていてもよい。
ヒンジキャップ5のその他の構成は、第1実施形態のヒンジキャップ1と同様である。
【0071】
本実施形態のヒンジキャップ5においては、ヘッド部51と支持部35とが当接するとともに、固定片67と支持部35とが当接する位置まで蓋体13が上方移動する際、凹部31Bの上面に形成されたリブ68が、連結片66の下面を上方に向けて押圧する。このとき、
図6に示すように、連結片66は、リブ68からの押圧力によってリブ68の傾斜面68Cに沿って変形し、連結片66に連結された開封表示片65は、後端部が上方に傾く方向に変位する。このとき、凹部31Bの上面のうち、開封表示片65が配置されていた個所が露出され、掲示部69の「OPEN」の文字が使用者から視認できるようになる。
【0072】
本実施形態のヒンジキャップ5においても、蓋体13を閉じた状態であっても、ヒンジキャップ5の外観を見ただけで当該容器が開封済みであるか否かを容易に判別できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0073】
また、本実施形態の場合、頂壁部31の凹部31Bの上面のうち、開封表示片65が配置された個所に掲示部69が設けられているため、使用者は、開封表示片65が変位していることに加えて、掲示部69の文字によっても、開封済みであることをより確実に認識することができる。
【0074】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、
図7、
図8、
図9、および
図10を用いて説明する。
第3実施形態のヒンジキャップの基本構成は第1実施形態と同様であり、開封表示部の構成が第1実施形態と異なっている。そのため、本実施形態では、基本構成の説明は省略する。
図7は、第3実施形態のヒンジキャップ6を示す図であって、開封前のヒンジキャップ6の縦断面図である。
図8は、開封前の抜栓体16および開封表示片71を示す平面図である。
図9は、開封後の抜栓体16および開封表示片71を示す縦断面図である。
図10は、開封後の抜栓体16を示す平面図である。
図7、
図8、
図9、および
図10において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0075】
図7に示すように、本実施形態のヒンジキャップ6において、蓋体13の頂壁部31に形成された凹部31Bの上面に、開封表示片71(開封表示部)が配置されている。本実施形態の場合、開封表示片71は、抜栓体16の下方移動に伴って破断可能な複数の連結片72を介して抜栓体16に連結されている。第1実施形態と同様、未開封時にヘッド部51と支持部35とは当接しておらず、ヘッド部51と支持部35との間には隙間が設けられている。一方、開封表示片71は、凹部31Bの上面に当接している。
【0076】
連結片72は、抜栓体16および開封表示片71と一体に形成されている。また、連結片72は、容易に破断可能とするため、開封表示片71の肉厚に比べて十分に薄い肉厚に形成されている。未開封時において、ヘッド部51の上面、および開封表示片71の上面は、同一平面上に位置している。
【0077】
本実施形態の場合、平面視において、開封表示片71は、
図8に示すように、抜栓軸O’を中心とする円形の開口71hを有しており、開口71hの内側には抜栓体16が配置されている。複数の連結片72は、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に所定の間隔をおいて設けられている。本実施形態の場合、4つの連結片72が等間隔に設けられているが、連結片72の数および配置は、本例に限ることなく、適宜変更が可能である。また、連結片72は、容易に破断可能とするため、抜栓周方向の幅が小さく形成されている。
【0078】
本実施形態においても、頂壁部31の凹部31Bの上面のうち、未開封時に開封表示片71が配置された個所に、開封状態であることを掲示する掲示部69が設けられている。掲示部69の構成は、第2実施形態と同様である。
ヒンジキャップ6のその他の構成は、第1実施形態のヒンジキャップ1と同様である。
【0079】
本実施形態のヒンジキャップ5においても、第1実施形態と同様、抜栓体16のヘッド部51と蓋体13の支持部35との間に隙間が設けられているため、開封時に蓋体13をヒンジ12周りに回動させた際、ヘッド部51と支持部35とが当接するまでの間は、抜栓体16が移動することなく、蓋体13が上方に向けて移動する。その後、蓋体13が上方移動してヘッド部51と支持部35とが当接した時点から、蓋体13に対する抜栓体16の下方への移動が支持部35によって規制される。
【0080】
ところが、本実施形態の場合、
図7に示すように、開封表示片71が凹部31Bの上面に当接しているため、蓋体13に対する開封表示片71の下方移動は未開封時から規制された状態となっている。そのため、開封時に蓋体13をヒンジ12周りに回動させた時点から開封表示片71は凹部31Bの上面によって上方に向けて押圧され、その後、
図9に示すように、連結片72は、ヘッド部51と支持部35とが当接するまでの間に上記の上向きの押圧力によって破断される。これにより、開封表示片71は、抜栓体16から分離される。
【0081】
このとき、開封表示片71の上方移動は規制されないため、開封表示片71は、連結片72が破断された状態において、頂壁部31の凹部31Bの上面から離脱可能とされている。したがって、使用者は、開封表示片71を頂壁部31から取り外すことができる。開封表示片71を頂壁部31から取り外すことにより、開封表示片71が配置されていた個所が露出され、
図10に示すように、掲示部69の「OPEN」の文字が使用者から視認できるようになる。
【0082】
本実施形態のヒンジキャップ6においては、開封表示片71が蓋体13の頂壁部31から離脱していることにより、使用者は、当該容器が開封済みであることを容易に判別することができる。したがって、蓋体13を閉じた状態であっても、ヒンジキャップ6の外観を見ただけで当該容器が開封済みであるか否かを容易に判別できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0083】
また、使用者は、開封表示片71が蓋体13から離脱していることに加えて、掲示部69の文字によっても、開封済みであることをより確実に認識できる、といった第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0084】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、
図11、
図12、および
図13を用いて説明する。
第4実施形態のヒンジキャップの基本構成は第1実施形態と同様であり、開封表示部の構成が第1実施形態と異なっている。そのため、本実施形態では、基本構成の説明は省略する。
図11は、第4実施形態のヒンジキャップ7を示す図であって、開封前のヒンジキャップ7の縦断面図である。
図12は、開封前の抜栓体16および開封表示部74を示す平面図である。
図13は、開封後の抜栓体16および開封表示部74を示す縦断面図である。
図11、
図12、および
図13において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0085】
図11に示すように、本実施形態のヒンジキャップ7において、蓋体13の頂壁部31に形成された凹部31Bの上面に、開封表示部74が配置されている。本実施形態の場合、開封表示部74は、抜栓体16に対して変形可能な第1連結片77を介して連結された第1開封表示片75と、抜栓体16に対して破断可能な第2連結片78を介して連結された第2開封表示片76と、を有している。すなわち、本実施形態の開封表示部74は、第1実施形態と同様の構成を有する第1開封表示片75と、第3実施形態と同様の構成を有する第2開封表示片76と、を兼ね備えている。
【0086】
頂壁部31の凹部31Bの上面には、複数の第1開封表示片75が配置されている。複数の第1開封表示片75の各々は、抜栓体16の下方移動に伴って変形可能な第1連結片77を介して抜栓体16に連結されている。
図12に示すように、平面視においては、複数の第1開封表示片75は、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に間隔をおいて設けられている。複数の第1開封表示片75は、抜栓軸O’中心から放射状に延びる花弁状の形状を有している。また、頂壁部31の凹部31Bの上面には、第1連結片77を下方から押圧して変形させるためのリブ79が形成されている。
【0087】
また、頂壁部31の凹部31Bの上面に、第2開封表示片76が配置されている。本実施形態の場合、第2開封表示片76は、抜栓体16の下方移動に伴って破断可能な複数の第2連結片78を介して抜栓体16に連結されている。第2開封表示片76の下面は、凹部31Bの上面に当接している。
図12に示すように、第2開封表示片76は、開口76hを有しており、開口76hの内側に抜栓体16と複数の第1開封表示片75とが配置されている。複数の第2連結片78は、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に所定の間隔をおいて設けられている。
【0088】
本実施形態においては、5つの第1開封表示片75が、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に等間隔に設けられている。また、5つの第2連結片78が、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に等間隔に設けられている。各第2連結片78は、抜栓周方向において隣り合う2つの第1開封表示片75の中間位置に形成されている。なお、第1開封表示片75および第2連結片78の数や配置については、特に限定されることなく、適宜変更が可能である。
【0089】
本実施形態のヒンジキャップ7における第1開封表示片75および第2開封表示片76の作用は、第1実施形態および第3実施形態と同様である。すなわち、開封時にヘッド部51と支持部35とが当接する位置まで蓋体13が上方移動する際、凹部31Bの上面に形成されたリブ79が、第1連結片77の下面を上方に向けて押圧する。このとき、
図13に示すように、第1連結片77は、リブ79からの押圧力によってリブ79の傾斜面79Cに沿って変形し、第1連結片77に連結された第1開封表示片75は、先端部が上方に傾く方向に変位する。これと同時に、第2開封表示片76が凹部31Bの上面によって上方に向けて押圧されることにより、第2連結片78が破断される。これにより、第2開封表示片76は、抜栓体16から分離される。
【0090】
なお、
図13においては、第2開封表示片76が凹部31Bの上面に載置されたままの状態となっているが、第3実施形態と同様、第2開封表示片76を凹部31Bの上面から離脱させてもよい。また、第2開封表示片76が配置されていた個所に、開封状態であることを掲示する掲示部が設けられていてもよい。
【0091】
本実施形態のヒンジキャップ7においても、ヒンジキャップ7の外観を見ただけで当該容器が開封済みであるか否かを容易に判別できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。特に本実施形態の場合、使用者は、変位した状態の第1開封表示片75、および抜栓体16から分離された状態の第2開封表示片76の双方を視認することによって、当該容器が開封済みであることをより確実に判別することができる。
【0092】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、
図14、
図15、
図16、および
図17を用いて説明する。
第5実施形態のヒンジキャップの基本構成は第1実施形態と同様であり、開封表示部の構成が第1実施形態と異なっている。そのため、本実施形態では、基本構成の説明は省略する。
図14は、第5実施形態のヒンジキャップ8を示す図であって、開封前のヒンジキャップ8の縦断面図である。
図15は、開封前の抜栓体16および開封表示部81を示す平面図である。
図16は、開封後の抜栓体16および開封表示部81を示す縦断面図である。
図17は、開封後の抜栓体16および開封表示部を示す平面図である。
図14、
図15、
図16、および
図17において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
図14に示すように、本実施形態のヒンジキャップ8において、蓋体13の頂壁部31に形成された凹部31Bの上面に、開封表示部81が配置されている。本実施形態の場合、開封表示部81は、抜栓体16に対して変形可能な第1連結片84を介して連結された第1開封表示片82と、抜栓体16に対して破断可能な第2連結片85を介して連結された第2開封表示片83と、を有している。すなわち、本実施形態の開封表示部81は、第1開封表示片82と、第2開封表示片83と、を兼ね備えている。
【0094】
頂壁部31の凹部31Bの上面には、複数の第1開封表示片82が配置されている。複数の第1開封表示片82の各々は、抜栓体16の下方移動に伴って変形可能な第1連結片84を介して抜栓体16に連結されている。また、複数の第1開封表示片82の各々は、抜栓体16のヘッド部51の下端に連結されている。第1連結片84は、凹部31Bの下面と支持部35との段差の角部に当接している。
図15に示すように、平面視において、複数の第1開封表示片82は、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に間隔をおいて設けられている。
【0095】
また、頂壁部31の凹部31Bの上方に、第2開封表示片83が配置されている。本実施形態の場合、第2開封表示片83は、抜栓体16の下方移動に伴って破断可能な複数の第2連結片85を介して抜栓体16に連結されている。第2開封表示片83は、複数の第2連結片85を介して抜栓体16のヘッド部51の上部に連結されている。したがって、第2開封表示片83は、凹部31Bの上面には当接しておらず、第1開封表示片82の上方に位置している。
図15に示すように、第2開封表示片83は、開口83hを有しており、開口83hの内側に抜栓体16が配置されている。複数の第2連結片85は、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に所定の間隔をおいて設けられている。
【0096】
本実施形態においては、4つの第1開封表示片82が、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に等間隔に設けられている。また、4つの第2連結片85が、抜栓体16のヘッド部51の外周に沿って、抜栓周方向に等間隔に設けられている。各第2連結片85は、平面視において第1開封表示片82と重なる位置に設けられている。なお、第1開封表示片82および第2連結片85の数や配置については、特に限定されることなく、適宜変更が可能である。
【0097】
また、頂壁部31の凹部31Bの上面のうち、第2開封表示片83が配置されている個所に、開封状態であることを掲示する掲示部69が設けられている。
【0098】
本実施形態のヒンジキャップ8においては、開封時にヘッド部51と支持部35とが当接する位置まで蓋体13が上方移動する際、頂壁部31の凹部31Bの上面が、第1開封表示片82の下面を上方に向けて押圧する。このとき、
図16に示すように、第1連結片84がヘッド部51の側面と支持部35の内周面との間の隙間に入り込むように変形し、第1連結片84に連結された第1開封表示片82は、先端部が上方に傾く方向に変位する。さらに、第1開封表示片82の変位によって第2開封表示片83が上方に向けて押圧されることにより、第2連結片85が破断される。これにより、第2開封表示片83は、抜栓体16から分離される。
【0099】
本実施形態のヒンジキャップ8においても、ヒンジキャップ8の外観を見ただけで当該容器が開封済みであるか否かを容易に判別できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。また、変位した状態の第1開封表示片82、および抜栓体16から分離された状態の第2開封表示片83の双方を視認することにより、当該容器が開封済みであることをより確実に判別できる、といった第4実施形態と同様の効果が得られる。また、使用者は掲示部69の文字によって開封済みであることをより確実に認識できる、といった第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0100】
また、本実施形態の場合、
図16に示すように、第1開封表示片82が変位した際に第1開封表示片82の先端部がヘッド部51の抜栓径方向外側に突出した位置に配置されるため、凹部31Bの上面から一旦離脱した第2開封表示片83は、第1開封表示片82が邪魔になって凹部31Bの上面に再度戻らない構成となっている。換言すると、第1開封表示片82の変位によって、離脱された第2開封表示片83の凹部31Bの上面への再配置が規制される。この構成によれば、凹部31Bの上面の一部が露出した状態が維持されるため、第2開封表示片83によって掲示部69の視認が阻害されることがない。
【0101】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば上記実施形態では、開封表示片(開封表示部)は、頂壁部に設けられた凹部の上面に配置されていたが、必ずしも頂壁部に凹部が設けられていなくてもよく、開封表示片(開封表示部)が平坦な頂壁部の上面に配置されていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態においては、凹部に設けられたリブ(凸部)によって連結片が押圧されることによって、連結片が変形する構成であったが、凹部に設けられたリブ(凸部)によって連結片が押圧されることによって、連結片が破断する構成が採用されてもよい。
【0103】
また、ヒンジキャップの注出口11Aの形状は、前後方向に長い長円状に限らず、正円状や多角形状など、他の形状であってもよい。キャップ本体11は、有頂筒状をなしており、容器本体2の口部3を径方向外側から囲む装着筒部22を有しているが、容器本体2の口部3に装着されれば、有頂筒状に限られず、板状など、他の形状を有してもよい。また、支柱部42は、キャップ軸Oから前方にずらした位置に形成されているが、キャップ軸Oと同軸に形成するなど、他の位置に形成されてもよい。ただし、蓋体13をキャップ本体11に対してヒンジ12回りに回動させたときに弱化部14が前端部から順に破断されるため、支柱部42は、キャップ軸Oから前方にずらした位置に形成されることが好ましい。
【0104】
また、ヒンジキャップを構成する各構成要素の数、形状、配置、構成材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限定されることなく、適宜変更が可能である。また、ヒンジキャップや容器本体の形状は、円筒状に限らず、楕円状や多角形筒状など、他の形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1,5,6,7,8 ヒンジキャップ
2 容器本体
3 口部
11 キャップ本体
11A 注出口
12 ヒンジ
13 蓋体
14 弱化部
15 閉塞体
16 抜栓体
31 頂壁部
31B 凹部
61,65,71 開封表示片(開封表示部)
62,66,72 連結片
63,68,79 リブ(凸部)
69 掲示部
74,81 開封表示部
75,82 第1開封表示片
76,83 第2開封表示片
77,84 第1連結片
78,85 第2連結片