(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/70 20060101AFI20231208BHJP
E06B 1/28 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
E06B1/70 Z
E06B1/28
(21)【出願番号】P 2020143721
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】七山 貴志
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-115152(JP,A)
【文献】特開2016-142025(JP,A)
【文献】特開2018-016991(JP,A)
【文献】特開2019-015103(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3363979(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/70
E06B 1/16-1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下枠と、中空部補強材と、外周部補強材を備え、下枠は、室内側に躯体の窓台に載置して窓台の角部を呑み込む入隅部を有し、下枠に設けられた入隅部に面する部位は、中空部となっており、中空部補強材は、中空部内に設けられ、入隅部に面する部位に沿って曲折する入隅接触部を有して下枠を補強しており、外周部補強材は、窓台の角部に沿って曲折して、窓台の角部と下枠の入隅部の間に設けられており、中空部補強材と外周部補強材は、下枠と共に締結されていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具は、複数の障子を間口方向に開閉自在に備えた引違い窓のサッシが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような建具は、下枠の強度を補強材等で確保した上で、下枠を躯体の窓台にビス止め等の固定手段により固定しているが、最近では、より高い強度を備え、より強固に下枠を取付けることできる建具が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するために請求項1記載による建具は、下枠と、中空部補強材と、外周部補強材を備え、下枠は、室内側に躯体の窓台に載置して窓台の角部を呑み込む入隅部を有し、下枠に設けられた入隅部に面する部位は、中空部となっており、中空部補強材は、中空部内に設けられ、入隅部に面する部位に沿って曲折する入隅接触部を有して下枠を補強しており、外周部補強材は、窓台の角部に沿って曲折して、窓台の角部と下枠の入隅部の間に設けられており、中空部補強材と外周部補強材は、下枠と共に締結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上の構成により、より高い強度を備え、より強固に下枠を取付けることができる建具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の建具の一部切欠縦断面図である。
【
図2】本発明に係る第1実施形態建具の一部切欠横断面図である。
【
図4】本発明に係る第2実施形態の建具の要部拡大断面図である。
【
図5】本発明に係る第3実施形態の建具の要部拡大断面図である。
【
図6】本発明に係る第4実施形態の建具の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る第1実施形態~第4実施形態の建具を説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
[第1実施形態の建具の構成]
建具Aは、
図1及び
図2に示すように、内障子1と外障子2を間口方向に引違い自在に配置した引違い窓を有する樹脂サッシである。
建具Aは、躯体aの開口部a1の内周に固定された窓枠3に対して内障子1と外障子2が間口方向に引違い自在に配置されている。
【0009】
内障子1と外障子2は、
図1及び
図2に示すように、それぞれ、樹脂製の上下框1a、1b、2a、2bと、樹脂製の左右の竪框1c、1d、2c、2dを有した四方框組構造のものであり、内周側にガラス等のパネル1e、2eが配置されている。
【0010】
窓枠3は、
図1及び
図2に示すように、樹脂製の上下枠3a、3b及び樹脂製の左右の竪枠3c、3dを有した四方枠組構造のものであり、躯体aの開口部a1の内周に固定されている。
【0011】
(下枠の構成)
下枠3bは、
図3に示すように、下面側に室内側の端部30bから室外側にわたる範囲に入隅部31bが形成されており、この入隅部31bが躯体aの窓台4に載置されていると共に、窓台4の角部4aを呑み込んでいる。
下枠3bには、入隅部31bの室外側の端部から下方に垂設された固定面部32bが備えられており、この固定面部32bが窓台4の室外側の見付面に見込方向を軸とするビスn1により固定されている。
また、下枠3bには、室内側の端部30bの上端から室内側の床面a2上に突出する固定面部33bが備えられており、この固定面部33bが床面a2に上下方向を軸とするビスn2により固定されている。
【0012】
このような下枠3bには、
図3に示すように、中空部補強材5と、外周部補強材6が備えられている。
下枠3bに設けられた入隅部31bに面する部位の内側は、中空部7になっており、この中空部7内に中空部補強材5が配置されている。
【0013】
(中空部補強材の構成)
中空部補強材5は、入隅部31bに面する部位に沿って曲折する入隅接触部5aを有した中空状のものであり、中空部7内に挿入することで下枠3bの入隅部31bの角部付近を補強している。
【0014】
(外周部補強材の構成)
外周部補強材6は、窓台4の角部4aに沿って曲折して、窓台4の角部4aと下枠3bの入隅部31bの間に設けられている。
外周部補強材6の室外側で曲折して入隅部31bの室外側の見付面310と対向するように垂下した部位は、第1の入隅固定面部60であり、この第1の入隅固定面部60が入隅部31bの見付面310に見込方向を軸とするビスn3により固定される。
また、窓台4の上面側の見込面40と入隅部31bの見込面311との間にあって、見込面40と見込面311とに対向する外周部補強材6の部位は第2の入隅固定面部61であり、この第2の入隅固定面部61が入隅部31bの見込面311に上下方向を軸とするビスn3により固定される。
これらのビスn3は、外周部補強材6から下枠3bを貫通して中空部補強材5の入隅接触部5aにねじ込まれており、これにより、中空部補強材5と外周部補強材6とが下枠3bと共に締結される。
【0015】
外周部補強材6には、下枠3の室内側の角部34bに沿って曲折して室内側の端部30bと対面するように立設された下枠固定部6aを備えており、この下枠固定部6aが下枠3bに見込方向を軸とするビスn4により固定されている。
さらに、外周部補強材6には、下枠固定部6aの下方側に室内側に突設された窓台固定部6bを備えており、この窓台固定部6bが窓台4の上面にビスn5により固定されている。
窓台固定部6bは、室外側から室内側へ低くなるように傾斜しており、ビスn5の軸を下方に向かって室内側から室外側へ傾斜する方向となるようにしている。
【0016】
(入隅部の作用)
このような建具Aは、下枠3bの入隅部31bが窓台4に載置されたとき、入隅部31bが窓台4の角部4aを呑み込んだ状態となり、入隅部31bと窓台4の見付面同士が対面し、入隅部31bの見込面311と窓台4の見込面40同士が対面する。
窓台4に載置された下枠3bは、窓台4に対して見込方向を軸としてねじ込まれるビスn1と、床面a2に対して上下方向を軸とするビスn2と、窓台4の見込面40に対して下方に向かって室内側から室外側へ傾斜する方向を軸としてねじ込まれるビスn5により固定される。
すなわち、建具Aの室外側へ転がろうとする力に対しては、見込方向と上下方向という異なる方向からねじ込まれたビスn1、n2、n5によって対抗することができる。
しかも、ビスn5のねじ込み軸が、建具Aの室外側への転がろうとする力の方向と逆向きであるため、建具Aの室外側への転がろうとする力に対する対抗力を高めている。
また、建具Aの室外側へ転がろうとする力に対しては、前述のビスn1、n2、n5の他に、下枠3bに垂下された固定面部32bが窓台4に押し付けられることで、建具Aを支えることができる。
【0017】
さらに、下枠3bの入隅部31bに面する部位の中空部7内には中空部補強材5を有し、下枠3aの入隅部31bには外周部補強材6を有しており、中空部補強材5と外周部補強材6とがビスn3によって下枠3aと共に締結されているため、建具Aの室外側への転がろうとする力に対して入隅部31bの変形を抑制することができる。
また、ビスn5のねじ込み軸を決めるための窓台固定部6bが外周部補強材6に設けられているため、外周部補強材6を入隅部31bに取り付ければ窓台固定部6bを設けることができる。
このため、窓台固定部6bを別部材として用意したり、別部材とした窓台固定部6bを下枠3bに取り付けたりすることなく、窓台固定部6bを設けることができるため、建具Aの施工の容易性及び迅速性の向上が期待できる。
【0018】
したがって、本実施形態の以上の建具Aによれば、より高い強度を備え、より強固に下枠を取付けることできる。
【0019】
[第2実施形態の建具の構成]
次に本発明に係る第2実施形態の建具Aについて
図4を参照して説明する。
本実施形態の建具Aは、下枠3bの室内側の端部30bに嵌合凹部35bが形成され、一方、外周部補強材6の下枠固定部6aに嵌合凹部35bに嵌合する嵌合凸部60aが形成されたものである。
嵌合凹部35bは、室内側から室外側へ向かって低くなるように傾斜させて形成されており、ビスn4の上側に配置されている。
嵌合凸部60aは、室内側から室外側へ向かって高くなるように傾斜させて形成されており、外周部補強材6を下枠に取り付けたときに嵌合凹部35bに嵌合される位置に設けられている。
このような嵌合凹部35bと嵌合凸部60aは、互いに傾斜方向が逆向きであるので、嵌合凹部35bに嵌合凸部60aが嵌合した状態で、下枠3bが室外側へ転がろうとしたとき、嵌合凸部60aの先端が嵌合凹部35bの上面に圧接することで、下枠3bを支えることができる。
したがって、ビスn4の固定に加えて嵌合凸部60aの嵌合凹部35bに対する嵌合によって、建具Aの転がろうとする力に対抗できる。
【0020】
[第3実施形態の建具の構成]
次に、本発明に係る第3実施形態の建具Aについて
図5を参照して説明する。
本実施形態の建具Aは、嵌合凹部35bと嵌合凸部60aの配置位置が、ビスn4の下方である。
本実施形態によっても、ビスn4の固定に加えて嵌合凸部60aの嵌合凹部35bに対する嵌合によって、建具Aの転がろうとする力に対抗できる。
【0021】
[第4実施形態の建具の構成]
次に、本発明に係る第4実施形態の建具Aについて
図6を参照して説明する。
本実施形態の建具Aは、嵌合凹部35bを外周部補強材6の下枠固定部6a側に形成し、嵌合凸部60aを下枠3b側に形成したものである。
本実施形態によっても、ビスn4の固定に加えて嵌合凸部60aの嵌合凹部35bに対する嵌合によって、建具Aの転がろうとする力に対抗できる。
【0022】
以上、本発明に係る実施形態の建具を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0023】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0024】
A:建具
a:躯体
a1:開口部
a2:床面
1:内障子
1a:上框
1b:下框
1c:縦框
1d:縦框
1e:パネル
2:外障子
2a:上框
2b:下框
2c:縦框
2d:縦框
2e:パネル
3:窓枠
3a:上枠
3b:下枠
3c:竪枠
3d:竪枠
30b:端部
31b入隅部
32b:固定面部
33b:固定面部
34b:角部
35b:嵌合凹部
310:見付面
311:見込面
4:窓台
4a:角部
40:見込面
5:中空部補強材
5a:入隅接触部
6:外周部補強材
6a:下枠固定部
6b:窓台固定部
60a:嵌合凸部
60:第1の入隅固定面部
61:第2の入隅固定面部
7:中空部
n1:ビス
n2:ビス
n3:ビス
n4:ビス
n5:ビス