(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】光学キット、及び、光学装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/14 20060101AFI20231208BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20231208BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H01S5/14
H01S5/022
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2020158634
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】道垣内 龍男
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-065474(JP,A)
【文献】特開2012-178436(JP,A)
【文献】特開平11-068248(JP,A)
【文献】特開2007-150028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/14
H01S 5/022
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力するレーザ光源の外部共振器を含む光学系を構成するための光学キットであって、
主面を含むベースと、
前記主面に設けられ、前記レーザ光源を保持するための光源保持部と、
前記主面に設けられ、前記光学系を保持するための保持部と、を備え、
前記光学系は、
前記レーザ光源から出射され、第1方向から入射したレーザ光を回折して0次の回折光を前記第1方向に交差する第2方向に反射する反射型回折格子、及び前記反射型回折格子からの前記回折光を前記第1方向及び前記第2方向と異なる第3方向に反射するミラーとからなるコーナーリフレクタと、
前記コーナーリフレクタからの前記回折光が順に通過する光学開口を形成するように前記第3方向に配列される第1開口部材及び第2開口部材と、を含み、
前記保持部は、
前記コーナーリフレクタを保持するためのリフレクタ保持部と、
前記第1開口部材を保持するための第1開口部材保持部と、
前記第2開口部材を保持するための第2開口部材保持部と、を有し、
前記リフレクタ保持部は、前記反射型回折格子及び前記ミラーのそれぞれにおいて、前記回折光の光軸を調整可能とする第1機構を含み、
前記第1開口部材保持部は、前記第3方向について、前記光源保持部により保持された前記レーザ光源の前記レーザ光の出射面よりも前記リフレクタ保持部側に位置し、
前記第2開口部材保持部は、前記第3方向について、前記光源保持部により保持された前記レーザ光源の前記レーザ光の前記出射面よりも前記リフレクタ保持部と反対側に位置する、
光学キット。
【請求項2】
前記光学系は、
前記レーザ光源と前記コーナーリフレクタとの間に配置され、前記第1方向に前記レーザ光が入力されるレンズと、
前記コーナーリフレクタがない場合に前記レンズを通過した前記レーザ光が通過する光学開口を形成するように配置された第3開口部材と、
を含み、
前記反射型回折格子には、前記レンズを通過した前記レーザ光が入射され、
前記保持部は、
前記レンズを保持するためのレンズ保持部と、
前記第3開口部材を保持するための第3開口部材保持部と、
を有し、
前記リフレクタ保持部は、前記コーナーリフレクタの全体を前記主面に沿って回動可能に保持する第2機構を含む、
請求項1に記載の光学キット。
【請求項3】
前記第1開口部材保持部と前記レンズ保持部とは、前記第2方向に沿って配列されている、
請求項2に記載の光学キット。
【請求項4】
前記レーザ光源は、
前記レーザ光を発振するレーザ素子と、
前記レーザ光の前記出射面と反対側において前記レーザ素子に設けられ、前記レーザ素子を冷却するための冷却部と、
を含み、
前記第2開口部材保持部は、前記第3方向について、前記冷却部よりも前記リフレクタ保持部と反対側に位置する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学キット。
【請求項5】
前記第1機構は、前記反射型回折格子及び前記ミラーのそれぞれを、互に独立して前記主面に沿った回転軸の周りに回動可能に保持することにより、前記回折光の光軸を調整可能とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学キット。
【請求項6】
前記リフレクタ保持部は、前記反射型回折格子が前記主面に沿って回動しないように前記反射型回折格子を保持すると共に、前記ミラーが独立して前記主面に沿って回動するように前記ミラーを保持する第3機構をさらに含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学キット。
【請求項7】
前記リフレクタ保持部は、前記コーナーリフレクタを前記第2方向に沿って移動可能に保持する第4機構をさらに含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の光学キット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の光学キットと、
前記光源保持部に保持された前記レーザ光源と、
前記リフレクタ保持部に保持された前記コーナーリフレクタと、
前記第1開口部材保持部に保持された前記第1開口部材と、
前記第2開口部材保持部に保持された前記第2開口部材と、
を備える光学装置。
【請求項9】
レーザ光を出力するレーザ光源の外部共振器を含む光学系が構成された光学装置であって、
当該光学装置の所定面に設けられ、前記レーザ光源を保持するための光源保持部と、
前記所定面に設けられ、前記光学系を保持するための保持部と、を備え、
前記光学系は、
前記レーザ光源から出射され、第1方向から入射したレーザ光を回折して0次の回折光を前記第1方向に交差する第2方向に反射する反射型回折格子、及び前記反射型回折格子からの前記回折光を前記第1方向及び前記第2方向と異なる第3方向に反射するミラーとからなるコーナーリフレクタと、
前記コーナーリフレクタからの前記回折光が順に通過する光学開口を形成するように前記第3方向に配列される第1開口部材及び第2開口部材と、を含み、
前記保持部は、
前記コーナーリフレクタを保持するためのリフレクタ保持部と、
前記第1開口部材を保持するための第1開口部材保持部と、
前記第2開口部材を保持するための第2開口部材保持部と、を有し、
前記リフレクタ保持部は、前記反射型回折格子及び前記ミラーのそれぞれにおいて、前記回折光の光軸を調整可能とする第1機構を含み、
前記第1開口部材保持部は、前記第3方向について、前記光源保持部により保持された前記レーザ光源の前記レーザ光の出射面よりも前記リフレクタ保持部側に位置し、
前記第2開口部材保持部は、前記第3方向について、前記光源保持部により保持された前記レーザ光源の前記レーザ光の前記出射面よりも前記リフレクタ保持部と反対側に位置する、
光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学キット、及び、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、外部キャビティ量子カスケードレーザシステムが記載されている。このレーザシステムは、量子カスケードレーザと、量子カスケードからのレーザビームをコリメートするコリメートレンズと、コリメートレンズからのレーザビームの0次回折光を所定方向に反射する回折格子と、回折格子からの0次回折光をさらに反射するミラーと、を備えている。回折格子とミラーとは、共通の回転可能なプラットフォームに実装されている。回折格子の反射面とミラーの反射面との延長線が、プラットフォームの回転軸において厳密に交差するようにされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】R.Wysocki1、R.Lewicki、R.F.Curl、F.K.Tittel、L.Diehl、F.Capasso、M.Troccoli、G.Hofler、D.Bour、S.Corzine、R.Maulini、M.Giovannini、J.Faist “Widely tunable mode-hop free external cavity quantumcascade lasers for high resolution spectroscopy and chemical sensing” Applied PhysicsB, September 2008, Volume 92, Issue 3, pp305-311
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなレーザシステムの構成を採用することにより、波長のチューニングプロセスの際に、出力レーザビームの位置及び方向の固定を図ることができる。このようなレーザシステムの運用において、波長帯の変更等のために使用者がレーザ光源を交換した場合に出力光の位置及び方向がずれると、それに応じて後段の光学系の調整を行う必要がある。したがって、レーザシステム側でレーザ光源の交換後も出射光の位置及び方向を復元することが要求され得る。しかしながら、外部共振器を成立させるための繊細な調整を行いつつ出射光の光軸調整をも同時に行うことは容易でない。さらに、交換したレーザ光源に対応して回折格子を同時に交換する必要がある場合には、波長のチューニングプロセスの際の出力光の位置及び方向の固定が成されるための厳密なアライメントも要求されるため、当該調整がなお困難となる。なお、非特許文献1のように中赤外光のような不可視の光を扱う場合には、当該調整が特に困難となる。
【0005】
本発明は、出力光の位置及び方向を容易に調整可能とする光学キット、及び、光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光学キットは、レーザ光を出力するレーザ光源の外部共振器を含む光学系を構成するための光学キットであって、主面を含むベースと、主面に設けられ、レーザ光源を保持するための光源保持部と、主面に設けられ、光学系を保持するための保持部と、を備え、光学系は、レーザ光源から出射され、第1方向から入射したレーザ光を回折して0次の回折光を第1方向に交差する第2方向に反射する反射型回折格子、及び反射型回折格子からの回折光を第1方向及び第2方向と異なる第3方向に反射するミラーとからなるコーナーリフレクタと、コーナーリフレクタからの回折光が順に通過する光学開口を形成するように第3方向に配列される第1開口部材及び第2開口部材と、を含み、保持部は、コーナーリフレクタを保持するためのリフレクタ保持部と、第1開口部材を保持するための第1開口部材保持部と、第2開口部材を保持するための第2開口部材保持部と、を有し、リフレクタ保持部は、反射型回折格子及びミラーのそれぞれにおいて、回折光の光軸を調整可能とする第1機構と、含み、第1開口部材保持部は、第3方向について、光源保持部により保持されたレーザ光源のレーザ光の出射面よりもリフレクタ保持部側に位置し、第2開口部材保持部は、第3方向について、光源保持部により保持されたレーザ光源のレーザ光の出射面よりもリフレクタ保持部と反対側に位置する。
【0007】
この光学キットを用いることにより、次のように出力光の位置及び方向を調整可能である。すなわち、まず、コーナーリフレクタをリフレクタ保持部に保持させる。そして、コーナーリフレクタを介して第1開口部材の光学開口を通過した回折光の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるように、第2機構によって反射型回折格子からの回折光の光軸を調整する。第1開口部材の光学開口を通過した回折光の光強度の最大値が得られたら、第1開口部材の光学開口を十分に拡大するか、或いは第1開口部材を一旦除くかした後に、コーナーリフレクタを介して第2開口部材の光学開口を通過した回折光の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるように、第1機構によってミラーからの回折光の光軸を調整する。第1開口部材の光学開口の中心と第2開口部材の光学開口の中心とは、ベース及び保持部の機械加工精度の範囲で一の直線に一致させ得る。したがって、第1開口部材の光学開口を通過した回折光の強度をモニタしながらの回折光の光軸調整と、第2開口部材の光学開口を通過した回折光の強度をモニタしながらの回折光の光軸調整と、を交互に繰り返すことにより、第1開口部材及び第2開口部材の光学開口を通過する回折光の光軸を、当該一の直線に一致させ得る。
【0008】
これらの調整の結果、レーザ光源から出力されてコーナーリフレクタを介して第1開口部材及び第2開口部材の光学開口を通過する回折光の光軸を、当該一の直線に一致させ得る。これにより、出力光の位置及び方向の固定が図られる。このように、この光学キットによれば、出力光の位置及び方向を容易に調整可能となる。特に、この光学キットでは、第1開口部材保持部が、光源保持部により保持されたレーザ光源のレーザ光の出射面よりもリフレクタ保持部側に位置し、且つ、第2開口部材保持部が、光源保持部により保持されたレーザ光源のレーザ光の出射面よりもリフレクタ保持部と反対側に位置する。つまり、この光学キットでは、第1開口部材と第2開口部材との距離が確保される。よって、第1開口部材の光学開口及び第2開口部材の光学開口の両方を通過する回折光の光軸(当該一の直線)の傾きが抑制され、出力光の位置及び方向をより高精度に調整可能となる。
【0009】
本発明に係る光学キットでは、光学系は、レーザ光源とコーナーリフレクタとの間に配置され、第1方向にレーザ光が入力されるレンズと、コーナーリフレクタがない場合にレンズを通過したレーザ光が通過する光学開口を形成するように配置された第3開口部材と、を含み、反射型回折格子には、レンズを通過したレーザ光が入射され、保持部は、レンズを保持するためのレンズ保持部と、第3開口部材を保持するための第3開口部材保持部と、を有し、リフレクタ保持部は、コーナーリフレクタの全体を主面に沿って回動可能に保持する第2機構を含んでもよい。
【0010】
この場合には、次のように、出力光の位置及び方向を調整可能となる。すなわち、まず、保持部のうちのリフレクタ保持部を除く各保持部に、光学系のうちのコーナーリフレクタを除く各光学部品を保持させる。また、レーザ光源から出力されたレーザ光が、レンズ保持部に保持されたレンズを介して、第3開口部材保持部に保持された第3開口部材の光学開口を通過するように、レーザ光源を設置する。次に、第3開口部材の光学開口を通過したレーザ光の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるようにレンズに対するレーザ光源の位置を調整する。これにより、レーザ光源の発光点とレンズの中心との位置合わせが達成される。レンズの中心と第3開口部材の光学開口の中心とは、ベース及び保持部の機械加工精度の範囲で別の直線に一致させ得る。したがって、上記の工程によって、レーザ光源から出力されてレンズを通過するレーザ光の光軸が、当該別の直線に一致させられる。
【0011】
その後は、上記と同様に、第2開口部材及び第3開口部材を用いた調整が行われ得る。すなわち、コーナーリフレクタをリフレクタ保持部に保持させる。そして、コーナーリフレクタを介して第1開口部材の光学開口を通過した回折光の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるように、第2機構によって反射型回折格子からの回折光の光軸を調整する。第1開口部材の光学開口を通過した回折光の光強度の最大値が得られたら、第1開口部材の光学開口を十分に拡大するか、或いは第1開口部材を一旦除くかした後に、コーナーリフレクタを介して第2開口部材の光学開口を通過した回折光の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるように、第1機構によってミラーからの回折光の光軸を調整する。第1開口部材の光学開口の中心と第2開口部材の光学開口の中心とは、ベース及び保持部の機械加工精度の範囲で上記の別の直線に平行な一の直線に一致させ得る。したがって、第1開口部材の光学開口を通過した回折光の強度をモニタしながらの回折光の光軸調整と、第2開口部材の光学開口を通過した回折光の強度をモニタしながらの回折光の光軸調整と、を交互に繰り返すことにより、第1開口部材及び第2開口部材の光学開口を通過する回折光の光軸を、当該一の直線に一致させ得る。
【0012】
これらの2つの調整の結果、レーザ光源から出力されてレンズを通過するレーザ光の光軸と、コーナーリフレクタを介して第1開口部材及び第2開口部材の光学開口を通過する回折光の光軸とを、それぞれ直線に一致させ得る。このように、この光学キットによれば、出力光の位置及び方向を容易に調整可能である。なお、光軸が合わせられる2つの直線が互いに平行であるとき(すなわち、第3方向が第1方向の反対方向であるとき)、上記の調整により反射型回折格子の反射面とミラーの反射面との直交が保証され、第1機構によるコーナーリフレクタの回転によって出力光(回折光)の波長を選択するときの出力光の位置及び方向の固定が図られる。したがって、出力光の波長を選択するときの出力光の位置及び方向が固定される構成を容易に実現可能となる。
【0013】
本発明に係る光学キットでは、第1開口部材保持部とレンズ保持部とは、第2方向に沿って配列されていてもよい。このように、レーザ光源の出射面とコーナーリフレクタとの間のスペースを活用できる。
【0014】
本発明に係る光学キットでは、レーザ光源は、レーザ光を発振するレーザ素子と、レーザ光の出射面と反対側においてレーザ素子に設けられ、レーザ素子を冷却するための冷却部と、を含み、第2開口部材保持部は、第3方向について、冷却部よりもリフレクタ保持部と反対側に位置していてもよい。この場合、第1開口部材と第2開口部材との距離をより確実に確保しつつ、第2開口部材を用いた光軸調整に対する冷却部からの排熱の影響を抑制できる。
【0015】
本発明に係る光学キットにおいては、第1機構は、反射型回折格子及びミラーのそれぞれを、互に独立して主面に沿った回転軸の周りに回動可能に保持することにより、回折光の光軸を調整可能としてもよい。このように、反射型回折格子及びミラーのそれぞれを、互に独立して主面に沿った回転軸の周りに回動可能に保持することによって、回折光の光軸を調整可能とできる。
【0016】
本発明に係る光学キットにおいては、リフレクタ保持部は、反射型回折格子が主面に沿って回動しないように反射型回折格子を保持すると共に、ミラーが独立して主面に沿って回動するようにミラーを保持する第3機構をさらに含んでもよい。この場合、回折光の波長の意図しない変更を抑制しつつ、ミラーからの回折光の光軸が調整可能となる。
【0017】
本発明に係る光学キットにおいては、リフレクタ保持部は、コーナーリフレクタを第2方向に沿って移動可能に保持する第4機構をさらに含んでもよい。この場合、コーナーリフレクタから出射される回折光の光軸調整の自由度が向上する。
【0018】
本発明に係る光学キットは、レーザ光源を保持するための光源保持部をさらに備えてもよい。この場合、レーザ光源の交換に際して、レーザ光源の位置決めが容易となると共に、レーザ光源の発光点とレンズの中心との位置合わせが容易となる。
【0019】
本発明に係る光学装置は、上記の光学キットと、レンズ保持部に保持されたレンズと、リフレクタ保持部に保持されたコーナーリフレクタと、第1開口部材保持部に保持された第1開口部材と、第2開口部材保持部に保持された第2開口部材と、第3開口部材保持部に保持された第3開口部材と、を備える。この光学装置によれば、上述した理由によって、出力光の位置及び方向を容易に且つ高精度に調整可能である。
【0020】
本発明に係る別の光学装置は、レーザ光を出力するレーザ光源の外部共振器を含む光学系が構成された光学装置であって、当該光学装置の所定面に設けられ、レーザ光源を保持するための光源保持部と、所定面に設けられ、光学系を保持するための保持部と、を備え、光学系は、レーザ光源から出射され、第1方向から入射したレーザ光を回折して0次の回折光を第1方向に交差する第2方向に反射する反射型回折格子、及び反射型回折格子からの回折光を第1方向及び第2方向と異なる第3方向に反射するミラーとからなるコーナーリフレクタと、コーナーリフレクタからの回折光が順に通過する光学開口を形成するように第3方向に配列される第1開口部材及び第2開口部材と、を含み、保持部は、コーナーリフレクタを保持するためのリフレクタ保持部と、第1開口部材を保持するための第1開口部材保持部と、第2開口部材を保持するための第2開口部材保持部と、を有し、リフレクタ保持部は、反射型回折格子及びミラーのそれぞれにおいて、回折光の光軸を調整可能とする第1機構を含み、第1開口部材保持部は、第3方向について、光源保持部により保持されたレーザ光源のレーザ光の出射面よりもリフレクタ保持部側に位置し、第2開口部材保持部は、第3方向について、光源保持部により保持されたレーザ光源のレーザ光の出射面よりもリフレクタ保持部と反対側に位置する。この光学装置によれば、上述した理由によって、出力光の位置及び方向を容易且つ高精度に調整可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、出力光の位置及び方向を容易に調整可能とする光学キット、及び、光学装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係るレーザ装置を示す模式的な平面図である。
【
図2】
図1に示されたレーザ装置の模式的な側面図である。
【
図3】
図1,2に示されたレーザ光源の構成の一例を示す模式図である。
【
図4】
図2に示された1つの保持部を示す斜視図である。
【
図5】光軸調整方法の各工程を示す模式的な平面図である。
【
図6】光軸調整方法の各工程を示す模式的な平面図である。
【
図7】光軸調整方法の各工程を示す模式的な平面図である。
【
図8】光軸調整方法の各工程を示す模式的な平面図である。
【
図9】本実施形態に係る光学キットを用いて上記の光軸調整方法を行った結果の一例を示すグラフである。
【
図10】本実施形態に係る光学キットを用いて上記の光軸調整方法を行った結果の一例を示すグラフである。
【
図11】本実施形態に係る光学キットを用いて上記の光軸調整方法を行った結果の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において、同一の要素同士、または、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、各図において、X軸、Y軸、及びZ軸によって規定される直交座標系を示す場合がある。
【0024】
図1は、本実施形態に係るレーザ装置を示す模式的な平面図である。
図2は、
図1に示されたレーザ装置の模式的な側面図である。
図1,2に示されるように、レーザ装置(光学装置)100は、レーザ光源101、レンズ102、コーナーリフレクタ103、アイリス(第3開口部材)106、アイリス(第1開口部材)107、及び、アイリス(第2開口部材)108を備えている。コーナーリフレクタ103は、反射型回折格子104とミラー105とを含む。なお、
図2では、アイリス107及び後述する保持部17とアイリス108及び後述する保持部18との位置関係の説明の容易化のため、アイリス107及び保持部17に重複するレンズ102及び後述する保持部12を破線で示している。
【0025】
レーザ装置100においては、直線S1、直線S2、及び直線S3が規定されている。直線S1,S2,S3は仮想線である。直線S1、直線S2、及び直線S3は、X軸方向(負方向が第2方向である)及びY軸方向からみて互に平行である。直線S1~S3は、Z軸方向(正方向が第1方向であり、負方向が第3方向である)に沿っている。直線S1と直線S2とは、直線S3からの距離が等距離とされている。換言すれば、直線S3は、直線S1と直線S2との中間を通っている。
【0026】
レーザ光源101は、特に限定されないが、一例として量子カスケードレーザである。レーザ光源101は、レーザ光L1を出力する。レーザ光L1の波長は、例えば3μm~15μmである。レンズ102は、レーザ光源101から出力されたレーザ光L1をZ軸正方向(第1方向)に入力してコリメートする。レンズ102は、レーザ光源101が上記の量子カスケードレーザである場合には、例えば、ZnSeやGeを材質とした非球面レンズである。一例として、レンズ102のレーザ光源101側の面、及び、その反対側の面には、低反射コートが施されている。レーザ光源101の発光点と、レンズ102の中心点とは、互に実質的に一致しており、直線S1上に位置する。
【0027】
レンズ102から出射されたレーザ光L1は、コーナーリフレクタ103に入射する。コーナーリフレクタ103に入射したレーザ光L1は、反射型回折格子104に入射する。すなわち、反射型回折格子は、レーザ光源101から出射されたレーザ光L1を、Z軸正方向(第1方向)から入力する。反射型回折格子104におけるレーザ光L1の入射位置は、反射型回折格子104の反射面104s(
図4参照)と直線S1との交点である。また、一例として、レーザ光L1の反射面104sへの入射角(直線S1と反射面104sの垂線とのなす角)は、30°である。反射型回折格子104の単位長さあたりの溝本数や溝の形状等は、レーザ光源101の発振波長に合わせて適宜設定され得るが、レーザ光源101が上記の量子カスケードレーザである場合には、例えば、1mmあたりの溝本数を150本とし、ブレーズ波長を6μmとし得る。
【0028】
反射型回折格子104に入射したレーザ光L1の0次の回折光L2(反射面104sからの出射角度が通常の平面反射と同様であり、回折格子による波長分散の影響を受けない成分)、すなわち、レンズ102を通過したレーザ光Lの回折光L2は、X軸負方向(第2方向)に反射される。換言すれば、反射型回折格子104は、Z軸正方向から入射したレーザ光L1を回折して0次の回折光L2をX軸負方向に反射する。反射型回折格子104に入射したレーザ光L1の1次の回折光L3は、Z軸負方向(第3方向)に回折されてレンズ102に入射し、レンズ102により集光されてレーザ光源101のレーザ光L1の出射端面に結合される。これにより、レーザ光源101と反射型回折格子104との間に外部共振器が形成される。換言すれば、反射型回折格子104は、Z軸正方向から入射したレーザ光L1を回折して1次の回折光L3をZ軸負方向に向かわせる。
【0029】
反射型回折格子104によりX軸負方向に反射された回折光L2は、ミラー105に入射する。ミラー105における回折光L2の入射位置は、ミラー105の反射面105s(
図4参照)と直線S2との交点である。反射型回折格子104の反射面104sとミラー105の反射面105sとは、互に直交している。ミラー105は、レーザ光源101から出力される光に対して90%以上の反射率を有するものであればよい。一例として、ミラー105としては、表面に金を蒸着した平面金ミラーを用いることができる。ミラー105に入射した回折光L2、すなわち、反射型回折格子104からの回折光L2は、Z軸負方向(第3方向)に反射される。
【0030】
ミラー105によって反射された回折光L2、すなわち、コーナーリフレクタ103からの回折光L2は、アイリス107の光学開口107h及びアイリス108の光学開口108hを順に通過する。すなわち、アイリス107,108は、コーナーリフレクタ103からの回折光L2が順に通過する光学開口107h,108hを形成するようにZ軸負方向に配列されている。アイリス107の光学開口107hとアイリス108の光学開口108hとは、Z軸方向に沿って(第1方向及び第3方向に沿って)互いに対向している。アイリス106~108は、絞りによって穴の径(光学開口のサイズ)を調節可能な光学部材であり、互に同一のものでも異なるものでもよい。ただし、アイリス106~108の最小の絞り径は、不可視のレーザ光の空間的な光軸位置を一定の範囲内に限定する意図から、少なくとも1mm以下であることが望ましい。
【0031】
アイリス107とアイリス108とは、光学開口107hの中心と光学開口108hの中心とが直線S2上で一致するように配置されている。アイリス108を出射した回折光L2は、外部に出力される。アイリス106は、コーナーリフレクタ103がない場合に、レンズ102を通過したレーザ光L1が光学開口106hを通過するように配置されている。レンズ102とアイリス106の光学開口106hとは、Z軸方向に沿って(第1方向及び第3方向に沿って)互いに対向している。アイリス106は、その光学開口106hの中心が、レーザ光源101の発光点、及び、レンズ102の中心と共に、直線S1上で一致するように配置されている。
【0032】
レーザ装置100においては、以上の構成によって、コーナーリフレクタ103を回転させて出力光(回折光L2)の波長を変更したときに、出力光の位置及び方向が不変とされる。
【0033】
以上のレーザ装置100、すなわち、レーザ光源101とレーザ光源101の外部共振器を含む他の光学系とは、光学キット10により構成されている。引き続いて、レーザ装置100を構成するための光学キットについて説明する。光学キット10は、主面11sを含むベース11と、上記の各光学部品を保持する保持部と、を備える。ベース11は、平板状であり、一体的に形成されている。なお、ベース11には、凹凸構造が形成されていてもよい。この場合、当該凹凸構造の複数の凸部の頂面であって、一方側に臨む複数の面が主面11sを構成していてもよい。この場合、主面11sを構成する複数の面は、互に平行であることが望ましい。保持部は、レンズ102を保持するための保持部(レンズ保持部)12、コーナーリフレクタ103を保持するための保持部(リフレクタ保持部)13、アイリス106を保持するための保持部(第3開口部材保持部)16、アイリス107を保持するための保持部(第1開口部材保持部)17、アイリス108を保持するための保持部(第2開口部材保持部)18、及び、レーザ光源101を保持するための保持部(光源保持部)19を有する。
【0034】
直線S1~S3は、ベース11の主面11sに平行な平面内に位置する。換言すれば、保持部12、保持部16~18、及び、保持部19は、レンズ102の中心、光学開口106h~108hの中心、及び、レーザ光源101の発光点の主面11sからの高さが一致するように、レンズ102、アイリス106~108、及び、レーザ光源101を保持している。保持部12と保持部16とは、Z軸方向に沿って(第1方向及び第3方向に沿って)配置されている。保持部17と保持部18とは、Z軸方向に沿って(第1方向及び第3方向に沿って)配置されている。保持部16~18は、互に同一のものであってもよい。また、保持部16~18の主面11sからの高さは、互に同一であってもよい。これらの場合、保持部16~18が同一(同じ高さ)であるため、同一形状のアイリス(開口部材)を用いれば機械加工精度の範囲で容易に光学開口の中心の高さを一致させることができる。
【0035】
ここで、保持部17(及びアイリス107)は、Z軸負方向について、保持部19により保持されたレーザ光源101のレーザ光L1の出射面101sよりも保持部13側に位置している。また、保持部18(及びアイリス108)は、Z軸負方向について、保持部19により保持されたレーザ光源101のレーザ光L1の出射面101sよりも保持部13と反対側に位置している。すなわち、X軸方向からみたとき、保持部17(及びアイリス107)、出射面101s、及び、保持部18(アイリス108)が、この順でZ軸負方向に配列されることとなる。
【0036】
また、保持部12(及びレンズ102)は、出射面101sと保持部13(コーナーリフレクタ103)との間に配置されている。そして、保持部12(及びレンズ102)及び保持部17(及びアイリス107)は、X軸方向に沿って配列されている。すなわち、X軸方向からみたとき、保持部12(レンズ102)と保持部17(及びアイリス107)は、互いに重なるように配置されている。
【0037】
図3は、
図1,2に示されたレーザ光源の構成の一例を示す模式図である。
図3に示されるように、レーザ光源101は、レーザ光を発振するレーザ素子110と、レーザ素子110が搭載される搭載基板120と、搭載基板120が設置される底壁部130と、底壁部130に設けられ、レーザ素子110及び搭載基板120を底壁部130と共に封止するパッケージPを構成する蓋部材150と、パッケージP内において底壁部130と搭載基板120との間に介在された冷却素子140と、を備えている。レーザ素子110は、例えば量子カスケードレーザである。冷却素子140は、レーザ素子110を冷却するためのものであり、例えばペルチェ素子である。レーザ素子110の一端面110sは、レーザ光L1の出射面101sである。ただし、パッケージPには、蓋部材150においてレーザ光L1を透過する窓部155が形成されている。したがって、この窓部155におけるパッケージPの外側に臨む面155sがレーザ光L1の出射面101sであり得る。
【0038】
レーザ光源101は、さらに、底壁部130を保持することによりレーザ光源101の全体を保持する。例えばL字状のブラケット160(例えば保持部19の一部)を備えている。さらに、レーザ光源101は、ブラケット160における底壁部130と反対側に設けられたヒートシンク170と、ヒートシンク170に取り付けられたファン180と、をさらに備えている。ヒートシンク170は、例えば空冷式である。ヒートシンク170及びファン180は、レーザ光L1の出射面101sと反対側においてレーザ素子110に設けられ、レーザ素子110を冷却するための冷却部として機能する。
図1,2に示されるように、保持部18(アイリス108)は、Z負方向について、この冷却部よりもさらに保持部13(コーナーリフレクタ103)と反対側の位置(より外側)に位置されている。
【0039】
図4は、
図2に示された(コーナーリフレクタを保持する)保持部を示す斜視図である。
図4に示されるように、保持部13は、コーナーリフレクタ103の全体を回動可能に保持すると共に、反射型回折格子104及びミラー105を互いに独立して回動可能に保持している。より具体的には、保持部13は、コーナーリフレクタ103の全体をベース11の主面11sに交差(直交)する回転軸A1の周りに(すなわち、主面11sに沿って)回動可能に保持する機構(第2機構)21を有している。回転軸A1は、反射型回折格子104の反射面104s(の延長線)とミラー105の反射面105s(の延長線)との直角をなす交点C1を通る。
【0040】
また、保持部13は、反射型回折格子104を主面11s及び反射面104sに沿った回転軸A2の周りに独立して回動可能に保持すると共に、ミラー105を主面11s及び反射面105sに沿った回転軸A3の周りに独立して回動可能に保持する機構(第1機構)22を有している。これにより、機構22は、反射型回折格子104及びミラー105のそれぞれにおいて、回折光L2の光軸を調整可能とする。さらに、保持部13は、反射型回折格子104が主面11sに沿って独立して回動しないように反射型回折格子104を保持すると共に、ミラー105が主面11sに交差(直交)すると共に反射面105sに沿った回転軸A4の周りに(すなわち主面11sに沿って)独立して回動可能なように、ミラー105を保持する機構(第3機構)23を有している。
【0041】
なお、反射型回折格子104の溝は、主面11sに交差(直交)する方向に延びると共に、主面11sに沿って配列されている。すなわち、機構21は、反射型回折格子104を波長選択方向に回動可能に保持し、機構23は、反射型回折格子104が独立して波長選択方向に回動しないように保持している。なお、保持部13は、例えば、光学ステージやレール等の上に設置されることにより、コーナーリフレクタ103をX軸方向(第2方向)に沿って平行移動可能に保持する機構(第4機構)(不図示)をさらに含んでもよい。
【0042】
引き続いて、以上の光学キット10を用いたレーザ装置100の光軸調整方法について説明する。
図5~
図8は、光軸調整方法の各工程を示す模式的な平面図である。
図5は、当該方法の初期状態を示す。当該方法においては、まず、
図5に示されるように、保持部のうちのコーナーリフレクタ103のための保持部13を除く各保持部に、上記の光学系のうちのコーナーリフレクタ103を除く各光学部品を保持させる。このとき、各保持部は、機械加工精度の範囲において、レンズ102の中心とアイリス106の光学開口106hの中心とが直線S1上で一致するように、且つ、アイリス107の光学開口107hの中心とアイリス108の光学開口108hの中心とが直線S2上で一致するように、各光学部品を保持する。
【0043】
また、レンズ102とアイリス106との距離、及び、アイリス107とアイリス108との距離は、レンズ102とアイリス106の中心を結ぶ直線、及び、アイリス107とアイリス108の中心を結ぶ直線の直線S1及び直線S2からの傾きが1mrad以内の範囲に抑えられる程度確保することが好ましい。例えば、アイリス106~108の絞り径が1mmの場合、レンズ102とアイリス106との距離、及び、アイリス107とアイリス108との距離は、少なくとも80mm以上であることが望ましく、一例として90mmである。レンズ102とアイリス106との距離、及び、アイリス107とアイリス108との距離を80mm以上とすることにより、それぞれの中心を結ぶ直線の直線S1及び直線S2からの傾きが1mrad以内の範囲に抑えられる。また、直線S1と直線S2との距離は、直線S1,S2上に各光学部品を配置したときに、それらが互いに干渉しない範囲であればよく上限はないが、光学系の大型化や後述する反射型回折格子104の回転に伴うビームの位置ずれの拡大をさけるために、100mm以内であることが望ましく、一例として40mmである。
【0044】
続いて、当該方法においては、
図6に示されるように、コーナーリフレクタ103が設けられていない状態を維持しつつ、レーザ光源101を保持部19に保持させて設置する。レーザ光源101は、出力されたレーザ光L1が、保持部12に保持されたレンズ102を介して、保持部16に保持されたアイリス106の光学開口106hを通過するように設置される。さらに、アイリス106のレーザ光源101とは反対側の位置に、光学開口106hを通過したレーザ光L1の光強度を検出可能な検出器50を設置する。
【0045】
そして、アイリス106の光学開口106hを通過したレーザ光L1の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるようにレンズ102に対するレーザ光源101の位置を調整する。これにより、レーザ光源101の発光点とレンズ102の中心との位置合わせが達成される。レンズ102の中心とアイリス106の光学開口106hの中心とは、ベース11及び保持部の機械加工精度の範囲で一の直線S1に一致させ得る。
【0046】
以上の工程によって、レーザ光源101から出力されてレンズ102を通過するレーザ光Lの光軸が、直線S1に一致させられる。なお、この段階では、レーザ光源101とレンズ102との距離については最適化されていない。この段階では、光強度のモニタのために、レーザ光L1がアイリス106付近で集光するように、レーザ光源101とレンズ102との距離を調整しておけばよい。
【0047】
続いて、当該方法においては、
図7に示されるように、コーナーリフレクタ103を保持部13に保持させて設置する。ここでは、反射型回折格子104の反射面104sとミラー105の反射面105sとは、目視のレベルで概ね直交していればよい。反射面104sと反射面105sとの厳密な直交性は、後述するように、以降の工程を経ることで確保される。また、このとき、レーザ光L1の反射面104sへの入射角を、反射面104sとレーザ光源101との間で外部共振器が成立する角度、すなわち、1次の回折光L3がレンズ102を介してレーザ光源101にフィードバックされる角度に設定しておくことが望ましい。上述したように、この段階では、レーザ光源101とレンズ102との距離が最適化なされていないため、外部共振が成立しないが、反射型回折格子104からの戻り光が部分的にレーザ光源101に戻されることによって、レーザ光源101の光出力が高められる。
【0048】
一方で、アイリス107のコーナーリフレクタ103とは反対側の位置に、光学開口107hを通過した回折光L2の光強度を検出可能な検出器50を設置する。そして、コーナーリフレクタ103を介してアイリス107の(例えば1mm以下に十分に絞られている)光学開口107hを通過した回折光L2の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるように、保持部13の機構22によって反射型回折格子104の角度を調整し、反射型回折格子104からの回折光L2の光軸を調整する。このとき、第4機構によって、コーナーリフレクタ103の全体をX軸方向に沿って移動させることにより、回折光L2の光軸をさらに調整することができる。
【0049】
続いて、
図8に示されるように、アイリス107の光学開口107hを通過した回折光L2の光強度の最大値が得られたら、アイリス107の光学開口107hを十分に拡大すると共に、アイリス108のアイリス107とは反対側の位置に、光学開口108hを通過した回折光L2の光強度を検出可能な検出器50を設置する。そして、コーナーリフレクタ103を介してアイリス108の(例えば1mm以下に十分に絞られている)光学開口108hを通過した回折光L2の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるように、保持部13の機構22及び機構23によって、ミラー105の角度を調整し、ミラー105からの回折光L2の光軸を調整する。
【0050】
アイリス107の光学開口107hの中心とアイリス108の光学開口108hの中心とは、ベース11及び保持部の機械加工精度の範囲で直線S2に一致させ得る。したがって、アイリス107の光学開口107hを通過した回折光L2の強度をモニタしながらの回折光L2の光軸調整と、アイリス108の光学開口108hを通過した回折光L2の強度をモニタしながらの回折光L2の光軸調整と、を交互に繰り返すことにより、アイリス107,108の光学開口107h,108hを順に通過する回折光L2の光軸を、直線S2に一致させることができる。
【0051】
これらの調整の結果、レーザ光源101から出力されてレンズ102を通過するレーザ光L1の光軸と、コーナーリフレクタ103を介してアイリス107,108の光学開口107h,108hを通過する回折光L2の光軸とを、互に平行な2つの直線S1,S2に一致させることができる。また、これにより、反射型回折格子104の反射面104sとミラー105の反射面105sとの直交が保証され、機構21によるコーナーリフレクタ103の回転によって出力光(回折光L2)の波長を選択するときの出力光の位置及び方向の固定が図られる。
【0052】
最後に、当該方法においては、アイリス107,108の光学開口107h,108hを十分に拡大した状態で、光学開口108hを通過した回折光L2の光強度が、アイリス108から任意の距離で最大となるように、レーザ光源101とレンズ102との距離を調整する。これにより、レーザ光源101からのレーザ光L1がレンズ102によってコリメートされるようになると共に、レーザ光源101と反射型回折格子104とが光学的に結合され、反射型回折格子104を共振器の一端とする外部共振が成立させられる。以上のように当該方法によれば、レーザ光源101を設置した後に、アイリス106~107の順に光を通す作業を行うのみで、外部共振器の光軸調整が可能である。
【0053】
以上説明したように、光学キット10を用いることにより、次のように出力光の位置及び方向を調整可能である。すなわち、まず、コーナーリフレクタ103を保持部13に保持させる。そして、コーナーリフレクタ103を介してアイリス107の光学開口107hを通過した回折光L2の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるように、機構22によって反射型回折格子104からの回折光L2の光軸を調整する。アイリス107の光学開口107hを通過した回折光L2の光強度の最大値が得られたら、アイリス107の光学開口107hを十分に拡大するか、或いはアイリス107を一旦除くかした後に、コーナーリフレクタ103を介してアイリス108の光学開口108hを通過した回折光L2の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるように、機構22によってミラー105からの回折光L2の光軸を調整する。アイリス107の光学開口107hの中心とアイリス108の光学開口108hの中心とは、ベース11及び保持部17,18の機械加工精度の範囲で直線S2に一致させ得る。したがって、アイリス107の光学開口107hを通過した回折光L2の強度をモニタしながらの回折光L2の光軸調整と、アイリス108の光学開口108hを通過した回折光L2の強度をモニタしながらの回折光の光軸調整と、を交互に繰り返すことにより、アイリス107及びアイリス108の光学開口107h,108hを通過する回折光L2の光軸を、当該一の直線に一致させ得る。
【0054】
これらの調整の結果、レーザ光源101から出力されてコーナーリフレクタ103を介してアイリス107及びアイリス108の光学開口107h,108hを通過する回折光L2の光軸を、直線S2に一致させ得る。これにより、出力光の位置及び方向の固定が図られる。このように、光学キット10によれば、出力光の位置及び方向を容易に調整可能となる。特に、光学キット10では、保持部17(アイリス107)が、保持部19により保持されたレーザ光源101のレーザ光L1の出射面101sよりも保持部13側に位置し、且つ、保持部18(アイリス108)が、出射面101sよりも保持部13と反対側に位置する。つまり、光学キット10では、アイリス107とアイリス108との距離が確保される。よって、アイリス107の光学開口107h及びアイリス108の光学開口108hの両方を通過する回折光L2の光軸(当該一の直線)の傾きが抑制され、出力光の位置及び方向をより高精度に調整可能となる。
【0055】
また、光学キット10では、光学系は、レーザ光源101とコーナーリフレクタ103との間に配置され、Z軸正方向にレーザ光L1が入力されるレンズ102と、コーナーリフレクタ103がない場合にレンズ102を通過したレーザ光L1が通過する光学開口106hを形成するように配置されたアイリス106と、を含み、反射型回折格子104には、レンズ102を通過したレーザ光L1が入射され、保持部は、レンズ102を保持するための保持部12と、アイリス106を保持するための保持部16と、を有し、保持部13は、コーナーリフレクタ103の全体を主面に沿って回動可能に保持する機構21を含んでいる。
【0056】
このため、次のように、出力光の位置及び方向を調整可能となる。すなわち、まず、保持部13を除く各保持部に、光学系のうちのコーナーリフレクタ103を除く各光学部品を保持させる。また、レーザ光源101から出力されたレーザ光L1が、保持部12に保持されたレンズ102を介して、保持部16に保持されたアイリス106の光学開口106hを通過するように、レーザ光源101を設置する。次に、アイリス106の光学開口106hを通過したレーザ光L1の光強度をモニタしつつ、当該光強度の最大値が得られるようにレンズ102に対するレーザ光源101の位置を調整する。これにより、レーザ光源101の発光点とレンズ102の中心との位置合わせが達成される。レンズ102の中心とアイリス106の光学開口106hの中心とは、ベース11及び保持部16の機械加工精度の範囲で直線S1に一致させ得る。したがって、上記の工程によって、レーザ光源101から出力されてレンズ102を通過するレーザ光L1の光軸が、当該直線S1に一致させられる。
【0057】
その後は、上記と同様に、アイリス107及びアイリス108を用いた調整を行うことにより、アイリス107及びアイリス108の光学開口107h,108hを通過する回折光L2の光軸を、当該直線S2に一致させ得る。
【0058】
これらの2つの調整の結果、レーザ光源101から出力されてレンズを通過するレーザ光L1の光軸と、コーナーリフレクタ103を介してアイリス107,108の光学開口107h,108hを通過する回折光L2の光軸とを、互に平行な2つの直線S1,S2に一致させ得る。これにより、反射型回折格子104の反射面104sとミラー105の反射面105sとの直交が保証され、機構21によるコーナーリフレクタ103の回転によって出力光(0次の回折光)の波長を選択するときの出力光の位置及び方向の固定が図られる。このように、この光学キット10によれば、出力光の位置及び方向を容易に調整可能であり、ひいては、出力光の波長を選択するときの出力光の位置及び方向が固定される構成を容易に実現可能となる。
【0059】
また、光学キット10では、保持部17(アイリス107)と保持部12(レンズ102)とは、X軸方向に沿って配列されている。このように、レーザ光源101の出射面101sとコーナーリフレクタ103との間のスペースを活用できる。
【0060】
また、光学キット10では、レーザ光源101は、レーザ光L1を発振するレーザ素子110と、レーザ光L1の出射面101sと反対側においてレーザ素子110に設けられ、レーザ素子110を冷却するための冷却部(ヒートシンク170及びファン180)と、を含む。そして、保持部18(アイリス108)は、Z軸負方向(第3方向)について、冷却部よりも保持部13(コーナーリフレクタ103)と反対側に位置している。このため、アイリス107,108の間の距離をより確実に確保しつつ、アイリス108を用いた光軸調整に対する冷却部からの排熱の影響を抑制できる。
【0061】
また、光学キット10では、機構22は、反射型回折格子104及びミラー105のそれぞれを、互に独立して主面11sに沿った回転軸の周りに回動可能に保持することにより、回折光L2の光軸を調整可能としている。このため、反射型回折格子104及びミラー105のそれぞれを、互に独立して主面11sに沿った回転軸の周りに回動可能に保持することによって、回折光L2の光軸を調整可能とできる。
【0062】
また、光学キット10では、保持部13は、反射型回折格子104が主面11sに沿って回動しないように反射型回折格子104を保持すると共に、ミラー105が独立して主面11sに沿って回動するようにミラー105を保持する機構23をさらに含んでいる。この場合、回折光L2の波長の意図しない変更を抑制しつつ、ミラー105からの回折光L2の光軸が調整可能となる。
【0063】
また、光学キット10においては、保持部13は、コーナーリフレクタ103をX軸方向に沿って移動可能に保持する第4機構をさらに含んでもよい。この場合、コーナーリフレクタ103から出射される回折光L3の光軸調整の自由度が向上する。
【0064】
なお、上記の構成において、反射型回折格子104の角度、つまりコーナーリフレクタ103の角度を変化させてもミラー105で反射された回折光L2の光軸に位置ずれを生じさせないためには、反射型回折格子104とミラー105の反射面104s,105sが互いに直角であり、かつ、コーナーリフレクタ103の回転中心(回転軸A1の位置)が直線S1及び直線S2から等しい距離に配置される必要がある。
【0065】
しかしながら、これらの条件は、2本の平行な直線S1,S2に光軸を合わせるための上記の光軸調整方法の結果として自然に成立するものであり、上記の手順で光軸調整を行うだけで外部共振器の成立と同時に、コーナーリフレクタ103の回転に伴うビームの位置や方向の変化を抑制することができる。上記の光軸調整方法において、予め互いの反射面104s,105sの厳密な直角性にこだわらず反射型回折格子104とミラー105とを調整機構(機構22及び機構23)で調整する方式を採用した理由は、レーザ光源や回折格子の交換によって生じ得るわずかな傾きや位置ずれ、あるいはレンズ102とアイリス106~108の位置を決める機械加工精度やアイリス106~108の開口径に依存した理想状態からのずれを吸収し、直線S1,S2に沿う光軸を実現するためである。
【0066】
なお、仮に、上記実施形態に係る構成を用いることなく、反射型回折格子の反射面とミラーの反射面とが厳密に直角に配置されたコーナーリフレクタを別途形成して組み込むことで、コーナーリフレクタの角度変化に伴う出射光の光軸の位置ずれが生じない構成を実現したとしても、所望の位置及び方向に出射光を導くためには上記のような傾きや位置ずれ等を吸収する調整は必要となるし、反射型回折格子の交換のたびに厳密な直角性を有するコーナーリフレクタを形成することは使用者の手間が非常に大きい。すなわち、本実施形態においては、上記のように配置したアイリス106~108とコーナーリフレクタ103の調整機構とを用いることで、レーザ光源や回折格子の交換時における使用者の調整作業の利便性を著しく向上できる。
【0067】
さらに本実施形態の光学系では、レーザ光源や回折格子を取り換えてアライメントをやり直した後も、出力光は必ずアイリス107,108で規定される直線S2に沿う位置及び方向に取り出されるため、光学部品の交換とそれに伴うアライメント後でも交換前の光軸を再現することができる。従って、本実施形態のレーザ装置100を波長可変光源として使用する外部の光学系に影響を与えることなく、レーザ光源や回折格子を交換することが可能となる。以上から、本実施形態に係る光学キット10は、レーザ光源や回折格子等の光学部品の交換とアライメントとを容易に行うことができるような光学キットとして好適ある。
【0068】
図9~
図11は、本実施形態に係る光学キットを用いて上記の光軸調整方法を行った結果の一例を示すグラフである。
図9では、下側横軸に波数、上側横軸に波長、左側縦軸に規格化された光強度、右側縦軸に平均出力を示している。
図9のグラフ中の各プロットが、各光強度のピーク波長(波数)に対する平均出力を示している。
図10は、
図9の一部を拡大したグラフである。
図9,10に示されるように、この光学キット10を用いた光軸調整によれば、150cm
-1を超える波長(波数)範囲において、半値全幅1cm
-1未満の単一モードで自在に発振波長の選択が可能なレーザ装置100を実現できる。
【0069】
図11では、横軸に波数を示し、縦軸にX軸方向及びY軸方向における出力光の中心からのずれ量を示している。
図11に示されるように、この光学キット10を用いた光軸調整によれば、150cm
-1を超える波長(波数)範囲での波長選択に際して、出力光の位置ずれがX軸方向及びY軸方向のいずれについても0.5mradの範囲に抑制されるレーザ装置100を実現できる。このように、この光学キット10を用いれば、分光等の精密な計測に好適に採用可能な外部共振器光源を提供できる。
【0070】
以上の実施形態は、本発明の一例を説明したものである。したがって、本発明は、上記の光学キット10及びレーザ装置100に限定されず、任意に変更され得る。
【0071】
例えば、保持部17及びアイリス107は、アイリス107とアイリス108との距離をなるべく長く確保するためには、保持部17及びアイリス107をなるべくコーナーリフレクタ103(ミラー105)側に配置することが望ましい。しかし、機構21を用いて、コーナーリフレクタ103を回転軸A1の周りに回動させたときに、ミラー105が保持部17及びアイリス107に干渉しないようにする必要がある。同様に、コーナーリフレクタ103を回転軸A1の周りに回動させたときに、反射型回折格子104が保持部12及びレンズ102に干渉しないようにする必要がある。
【0072】
このような状況から、
図12を参照して、保持部12及びレンズ102と、保持部17及びアイリス107を最もコーナーリフレクタ103に近接させる場合について検討する。反射型回折格子104へのレーザ光L1の入射角θiを、25°以上65°以下であるとする。レーザ光L1は、直線S1上のレンズ102の中心を通る。一方、反射型回折格子104をなるべくベース11の端に配置したい場合には、反射型回折格子104の一端を直線S3上の交点C1(反射型回折格子104の回転中心)に一致させることができる。このような状況で、反射型回折格子104がレーザ光L1の入射を受けるためには、反射型回折格子104は、X軸正方向について直線S1と直線S3との距離D2だけ延在し、その他端部が直線S1に至る必要がある。このときの交点C1から反射型回折格子104と直線S1との交点までの距離は、直線S1と直線S3との距離D2(直線S1と直線S2との距離D1の1/2)を用いて、距離D2×1/cos65°と求められる。さらに、レンズ102によってコリメートされ、反射型回折格子104に入射するレーザ光L1のビーム径Rを考慮すると、反射型回折格子104の長さaを、(直線S1と直線S3との距離D2+コリメートされたレーザ光L1のビーム径R)×1/cosθiとすることにより、レンズ102をよりコーナーリフレクタ103側に配置することが可能となる。ミラー105についても同様である。
【0073】
また、上述したレーザ装置においては、保持部13は、コーナーリフレクタ103を一体的に着脱する構成に限定されない。保持部13は、コーナーリフレクタ103において、反射型回折格子104のみを着脱可能に保持してもよい。
【0074】
また、アイリス106~108に代えて、絞り機能を有さない、すなわち、光学開口106h~108hのサイズの調整機能を有さないピンホール等の開口部材を用いてもよい。この場合には、保持部16~18は、当該ピンホール等の開口部材を、レーザ光L1又は回折光L2の光路から挿抜可能に保持すればよい。すなわち、アイリス106~108は、レーザ光L1又は回折光L2の光路に光学開口を形成可能な任意の部材とすることができる。
【0075】
さらに、光軸調整の際のレーザ光L1又は回折光L2の光強度のモニタ方法は、検出器50を用いたものに代えて、感熱性色素等を用いたものとすることができ、特に制限されない。
【0076】
ここで、上記実施形態においては、反射型回折格子104へのレーザ光のL1の入射方向である第1方向がZ軸正方向であり、ミラー105からの回折光L2の反射方向である第3方向をZ軸負方向である場合を例示した。すなわち、上記の例では、第3方向が第1方向の反対方向であった。この例では、直線S1と直線S2とが互いに平行であり、それぞれZ軸方向に一致する。しかし、第3方向は、第1方向及び第2方向と異なる方向であればよい。例えば、第3方向(直線S2)は、Z軸成分に加えてX軸成分を含んでもよく、一例として、Z軸成分よりも小さなX軸成分を含むことができる。
【0077】
このような場合にも、反射型回折格子104の反射面104s(の延長線)とミラー105の反射面105s(の延長線)との交点C1が回転軸A1となっていれば、コーナーリフレクタ103を回動して波長のチューニングプロセスを行う際に、出力光の位置及び方向の固定が図られる。なお、この場合には反射型回折格子104とミラー105とは直角を成さないが、上記実施形態と同様の調整方法により、結果的に直線S1と直線S2とが成す角度に応じた所定の角度に反射型回折格子104とミラー105とが配置される。
【0078】
さらに、上記実施形態においては、光学装置の一例として、光学キット10により構成されるレーザ装置100を例示した。しかし、光学装置は、光学キット10を利用するものに限定されない。光学装置は、例えば、所定のレーザ装置であって、当該所定のレーザ装置の筐体といった任意の部材の所定面上に、上記の保持部12~19が設けられ、当該保持部12~19により保持された上記の光学部品によって、外部共振器を含む光学系が構成されたものであってもよい。この場合には、光源の交換時のみならず、当該装置に組み込まれた光学部品に対して固定具の劣化などによって経年的にズレが生じた場合の調整時にも、出力光の位置及び方向を容易に且つ高精度に調整可能となり、有効である。
【符号の説明】
【0079】
10…光学キット、11…ベース、11s…主面、12…保持部(レンズ保持部)、13…保持部(リフレクタ保持部)、16…保持部(第3開口部材保持部)、17…保持部(第1開口部材保持部)、18…保持部(第2開口部材保持部)、19…保持部(光源保持部)、21…機構(第2機構)、22…機構(第1機構)、23…機構(第3機構)、100…レーザ装置(光学装置)、101…レーザ光源、110…レーザ素子、101s…出射面。