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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 15/00 20060101AFI20231208BHJP
   B62K 5/10 20130101ALI20231208BHJP
   B62K 13/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
B62K15/00
B62K5/10
B62K13/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020160636
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053807
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】森 庸太朗
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534091(JP,A)
【文献】特開2000-153793(JP,A)
【文献】特開2002-320702(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10204478(DE,A1)
【文献】国際公開第2017/098766(WO,A1)
【文献】特開昭61-44085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 13/00- 19/48
B62K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と、前記前輪の上方に配置された操舵部と、を有し、側面視で第1基準線に沿って延在する第1構成部と、
後輪と、乗員の足が載置される載置部と、を有し、側面視で第2基準線に沿って延在する第2構成部と、
前記第1構成部を前記第2構成部に回動可能に連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、前記第2構成部に対する前記第1構成部の姿勢が、前記第1基準線と前記第2基準線とのなす角が第1角度である第1姿勢から、前記第1基準線と前記第2基準線とのなす角が前記第1角度よりも小さい第2角度である第2姿勢に変更可能となるように前記第1構成部と前記第2構成部とを連結し、
前記第2構成部は、第1部材と、前記後輪を回転可能に支持する後輪支持部を有する第2部材と、を有し、
前記連結部は、第1回動軸を中心にして前記第1構成部を前記第2構成部に回動可能に連結する第1連結部であり、
前記第1回動軸と略平行な第2回動軸を中心にして前記第1部材を前記第2部材に回動可能に連結する第2連結部をさらに備え、
前記第2連結部は、前記第2構成部に対する前記第1構成部の姿勢が前記第2姿勢であるとき、前記第1部材と前記第2部材とのなす角が第3角度から第4角度に変更可能となるように前記第1部材と前記第2部材とを連結し、前記第2構成部に対する前記第1構成部の姿勢が前記第2姿勢の状態で、前記第1部材と前記第2部材とのなす角が前記第4角度になり、かつ、前記前輪が前後方向に対し略直角に転舵されて前記前輪の側面が後方に向けられると、前記後輪の前端部の位置が前記前輪の前記側面の前後方向の位置と略同一となるように前記第1部材と前記第2部材とを連結することを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両において、
前記第1部材と前記第2部材とのなす角が前記第4角度であるときの前記前輪から前記後輪までの距離は、前記第3角度であるときの前記前輪から前記後輪までの距離よりも短いことを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両において、
前記第2連結部は、前記第2構成部に対する前記第1構成部の姿勢が前記第2姿勢の状態で、前記第1基準線を鉛直方向に向けて前記前輪が接地されたとき、前記第1部材と前記第2部材とのなす角が前記第4角度になると、前記後輪が前記前輪とともに接地可能となるように前記第1部材と前記第2部材とを連結することを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両において、
前記第1部材は、前方に配置されるとともに前記第1連結部に連結される第3部材と、前記第3部材の後方に配置される第4部材と、略前後方向に延在する軸線を中心にして前記第3部材を前記第4部材に対し揺動可能に連結する揺動部と、を有することを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項4に記載の車両において、
前記第3部材が前記載置部に対し揺動可能となるように、前記載置部は前記第2連結部を介して前記第4部材に支持されることを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の車両において、
前記前輪は駆動輪であり、前記後輪は非駆動輪であることを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の車両において、
電力源をさらに備え、
前記電力源は、前記第2構成部に対する前記第1構成部の姿勢が前記第2姿勢であるとき、前記第1構成部と前記第2構成部との間に形成される空間に配置されるように設けられることを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項7に記載の車両において、
前記第1構成部は、前記電力源を支持する電力源支持部をさらに有することを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項7または8に記載の車両において、
電力線を介して供給される前記電力源からの電力により駆動される、前記前輪の駆動用の電動機をさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の車両において、
前記操舵部は、左右方向に延在して乗員に把持される把持部と、前記把持部を上下方向に回動可能に支持する把持支持部と、を有することを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪と後輪とを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、単一の前輪と左右一対の後輪とを有する電動式の3輪車両が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の車両には、左右の後輪の内側に、立位姿勢の乗員の足が載置される左右一対のステップが設けられるとともに、前輪の上方に、前輪を転舵するためのハンドルが設けられ、電動モータにより後輪が駆動されて車両が走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-310254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の車両は、乗員が立位姿勢で乗車する立ち乗り式の車両であるが、このような車両は、利用時の取扱性だけでなく非利用時の取扱性をも考慮して構成されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車両は、前輪と、前輪の上方に配置された操舵部と、を有し、側面視で第1基準線に沿って延在する第1構成部と、後輪と、乗員の足が載置される載置部と、を有し、側面視で第2基準線に沿って延在する第2構成部と、第1構成部を第2構成部に回動可能に連結する連結部と、を備える。連結部は、第2構成部に対する第1構成部の姿勢が、第1基準線と第2基準線とのなす角が第1角度である第1姿勢から、第1基準線と第2基準線とのなす角が第1角度よりも小さい第2角度である第2姿勢に変更可能となるように第1構成部と第2構成部とを連結する。第2構成部は、第1部材と、後輪を回転可能に支持する後輪支持部を有する第2部材と、を有し、連結部は、第1回動軸を中心にして第1構成部を第2構成部に回動可能に連結する第1連結部であり、第1回動軸と略平行な第2回動軸を中心にして第1部材を第2部材に回動可能に連結する第2連結部をさらに備え、第2連結部は、第2構成部に対する第1構成部の姿勢が第2姿勢であるとき、第1部材と第2部材とのなす角が第3角度から第4角度に変更可能となるように第1部材と第2部材とを連結し、第2構成部に対する第1構成部の姿勢が第2姿勢の状態で、第1部材と第2部材とのなす角が第4角度になり、かつ、前輪が前後方向に対し略直角に転舵されて前輪の側面が後方に向けられると、後輪の前端部の位置が前輪の側面の前後方向の位置と略同一となるように第1部材と第2部材とを連結する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両の非利用時の取扱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る車両の全体構成を示す側面図。
図2】本発明の実施形態に係る車両の全体構成を示す平面図。
図3図1の車両のハンドルに設けられた連結部の構成を模式的に示す正面図。
図4図1の車両の走行姿勢におけるフレームの位置関係を模式的に示す図。
図5図1の車両の揺動部に設けられるナイトハルトゴムばねの概略構成を示す図。
図6A図1の車両を折り畳むときの第1動作を示す図。
図6B図1の車両を折り畳むときの第1動作に続く第2動作を示す図。
図6C図1の車両を折り畳むときの第2動作に続く第3動作を示す図。
図6D図1の車両を折り畳むときの第3動作に続く第4動作を示す図。
図6E図1の車両を折り畳むときの第4動作に続く第5動作を示す図。
図7A図1の車両を折り畳んだ後の運搬時の動作を示す図。
図7B図7Aに続く動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図7Bを参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る車両は、単一の前輪と左右一対の後輪とを有する三輪車両であり、ユーザが立位姿勢で乗車可能に構成される。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る車両100の全体構成を示す側面図であり、図2は、平面図である。なお、図1には、ユーザPSの使用状態を併せて示す(二点鎖線)。すなわち、図1は、車両利用時における車両100の走行姿勢を示す。以下では、図示のように車両100の前後方向(長さ方向)、左右方向(幅方向)および上下方向(高さ方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
【0010】
図1,2に示すように、車両100は、前輪1および後輪2と、車両100の骨格を構成するフレームFLとを有し、車両100の左右方向の中心を通る中心線CL1(図2)を基準にして全体が左右対称に構成される。より詳しくは、前輪1は、中心線CL1に沿って配置され、左右の後輪2は中心線CL1を挟んで左右対称位置に配置される。前輪1は後輪2よりも大径である。なお、前輪1は後輪2と同径または後輪2が前輪1よりも大径であってもよい。フレームFLは前フレーム10と後フレーム20とを有する。
【0011】
前フレーム10は、中心線CL1に沿って前後方向に延在する断面略矩形状のメインフレーム11と、上下方向に延在する断面略円筒形状の縦パイプ12とを有する。メインフレーム11は、前方にかけて上り勾配(前上がり)で傾斜し、その前端部は縦パイプ12の後面に接合される。縦パイプ12は、上端部が下端部よりも後方に位置するように傾斜して延在し、縦パイプ12の内部に断面略円形状のハンドル軸13が回転可能に挿入される。ハンドル軸13の上端部には、ハンドル14の左右方向中央部が固定され、下端部にはフロントフォーク15が固定される。ハンドル軸13は、伸縮可能に構成され、縦パイプ12内に縦パイプ12に対し昇降可能(伸縮可能)に支持される。
【0012】
前輪1の回転軸1aはフロントフォーク15により回転可能に支持される。前輪1は、ハンドル軸13を中心としたハンドル14の回動操作により転舵される。前輪1の最大転舵角は、左右方向いずれも90°以上である。ハンドル14は左右方向に延在し、その左右両端部にユーザPSによって把持されるグリップ14aが設けられる。フロントフォーク15には、前輪1の上方から後方にかけて、前輪1の周囲を覆うように略円弧状のフロントフェンダー16が取り付けられる。
【0013】
詳細な図示は省略するが、前輪1の内側には、走行モータ4(インホイールモータ)と、ブレーキユニット5とが収納される。例えば左側に走行モータ4が、右側にブレーキユニット5がそれぞれ配置される。車両100は、走行モータ4の駆動により走行する電動車両として構成される。ブレーキユニット5は、例えばドラムブレーキを構成するドラムブレーキユニットとして構成される。なお、図示は省略するが、後輪2にもブレーキユニットが設けられる。これらブレーキユニットは、ハンドル14のグリップ14aの前方に設けられたブレーキレバー14bの操作により作動し、前輪1および後輪2に制動力が付与される。なお、電動機としての走行モータ4は前輪1でなく後輪2内、または前輪1と後輪2の双方に設けられてもよい。これにより、車両100の牽引能力や登坂能力を向上することができる。
【0014】
縦パイプ12の後面には、ホルダ17が取り付けられ、ホルダ17によりバッテリ6が支持される。バッテリ6は、走行モータ4に供給される電力が蓄えられるリチウムイオン電池などの二次電池であり、バッテリ6は電力線を介して走行モータ4に接続される。バッテリ6から走行モータ4に供給される電力は、不図示の電力制御ユニットにより制御される。なお、図示は省略するが、ハンドル14には、バッテリ残容量や設定車速等の車両情報を表示する表示部が設けられるとともに、メイン電源のオンオフを指令するスタータスイッチや走行指令を入力するアクセルレバーなどが、ユーザPSにより操作可能に設けられる。なお、バッテリ6は縦パイプ12の内部に配置されてもよく、メインフレーム11内等、他の構造部材の内部または周辺に配置されてもよい。
【0015】
ハンドル14の左右一方(例えば右側)のグリップ14aとブレーキレバー14b(これらを把持部140と呼ぶ)とは、その基端部に設けられた支持部18により左右方向中央のハンドル14の軸部14cに回動可能に支持される。図3は、支持部18の構成を模式的に示す正面図である。なお、図中の実線の把持部140は車両100の走行姿勢(図1)に対応する。図3に示すように、走行姿勢では、軸部14cの右端面と把持部140の左端面とが互いに対向する。
【0016】
支持部18は、軸部14cと把持部140との対向面の下端部に、前後方向に延在する回動軸としてヒンジ部181を有する。把持部140は、ヒンジ部181を介して矢印R1、R2方向に回動可能である。すなわち、把持部140が軸部14cに結合されたロック位置(実線)と、結合が解除された非ロック位置(二点鎖線)とに回動可能である。なお、非ロック位置は、把持部140が下方に向けて90°回動した状態であり、このとき把持部140は軸部14cに対し直交する。
【0017】
把持部140の上端部には、左端面よりも左方に突出してブラケット141が設けられる。ブラケット141は、ロック位置において略円筒形状の軸部14cの内部に挿入される。ロック位置を基準にして説明すると、ブラケット141の底面には、上方に向けて切り欠かれた所定幅のスリット142が設けられる。スリット142の左側には、スリット142に連なり左方かつ上方に傾斜して延在するテーパ部143が設けられる。
【0018】
軸部14cには、スリット142の位置に対応して上下方向に長孔145が開口される。長孔145には、上下方向に移動可能にピン146が挿入され、ピン146はばね147を介して軸部14cに支持される。ピン146はばね147により上方に付勢され、把持部140がロック位置に位置するとき、長孔145を貫通したピン146はスリット141aに係合する。これにより把持部140の回動が阻止される。
【0019】
ピン146の前後両端部は、軸部14cの前後両端面から突出する。このピン146の突出部を、ユーザがばね147の付勢力に抗して下方に押し下げ操作すると、ピン146がスリット142から離脱する。これにより把持部140が矢印R2方向に回動可能となる。把持部140が、非ロック位置に位置する状態からユーザにより上方に回動操作されると、ブラケット141のテーパ部143がピン146に当接する。ピン146は、把持部140の回動に伴いテーパ部143に沿って下方に押動され、スリット142がピン146の位置に至ると、ピン146はばね147の付勢力によりスリット142に沿って上方に移動する。これにより、ユーザがピン146を操作することなく、把持部140をロック位置に固定できる。
【0020】
なお、把持部140をロック位置に固定するロック機構の構成は上述したものに限らない。例えばユーザの押動操作により軸部14c内に移動可能なピンを設け、ピンが押動される前はばねの付勢力によりピンが外側に突出し、これによりピンと把持部とが係合してロック機構が作動する一方、ユーザがピンを軸部14c内に押動操作すると、ピンと把持部との係合が外れてロック機構が解除されるようにしてもよい。軸部14cと把持部とを貫通するように固定ボルトを設け、固定ボルトの締結によりロック機構が作動する一方、固定ボルトを取り外すことでロック機構が解除されるようにしてもよい。
【0021】
図1,2に示すように、後フレーム20は、中心線CL1に沿って前後方向に延在する断面略矩形状のメインフレーム21と、メインフレーム21に交差して左右方向に延在する断面略矩形状の横フレーム22とを有する。メインフレーム21は、前方にかけて上り勾配で傾斜した軸線CL2に沿って延在する前後一対のフレーム(前メインフレーム21A、後メインフレーム21B)からなる。メインフレーム21の水平線(路面3)に対するなす角は、前側のメインフレーム11の水平線に対するなす角よりも小さい。横フレーム22は、後メインフレーム21Bの後端部に接合され、その左右両端部に、ラバー材などからなる緩衝材22aが装着される。後メインフレーム21Bの前端部近傍には、後メインフレーム21Bの低面よりも下方に突出して左右方向に延在するパイプ状の支持フレーム23が固定される。
【0022】
メインフレーム21の左右両側には、前後方向に延在する平面視略矩形状の板材であるステップ(足置き)24がそれぞれ配置される。左右のステップ24は、立位姿勢のユーザPSが両足を載せる載置部を構成し、ステップ24の上面(載置面)は、路面3と平行な水平面として構成される。ステップ24は、ユーザPSの足裏全体が載置可能なようにその前後方向の長さと左右方向の幅とが規定される。
【0023】
左右のステップ24の後端部には、それぞれサイドフレーム25が接合される。左右のサイドフレーム25はそれぞれ後方に延在し、その後端部には、左右方向に延在する連結フレーム26の左右両端部がそれぞれ固定される。左右のステップ24が連結フレーム26を介して連結されることで、ステップ24全体の剛性が高まる。左右のサイドフレーム25の後端部には、さらに後輪支持部27が設けられる。左右のサイドフレーム25の左右方向外側には、左右一対の後輪2が配置される。後輪2の回転軸2aは、後輪支持部27により回転可能に支持される。左右のステップ24の後端部には、サイドフレーム25の左右方向外側において、後輪2の前方から上方かつ後方にかけ後輪2の周囲を覆うようにリアフェンダー28がそれぞれ取り付けられる。
【0024】
前フレーム10と後フレーム20とは連結部30を介して連結される。より詳しくは、図1に示すように、前側のメインフレーム11の後端部と後側のメインフレーム21(前メインフレーム21A)の前端部とは、回動軸31を介して回動可能に連結される。回動軸31は、左右方向の軸線CLaに沿って延在し、前フレーム10と後フレーム20とは軸線CLaを中心に相対的に回動可能である。
【0025】
図4は、車両100の走行姿勢におけるフレームFLの位置関係を模式的に示す図である。図中の直線CL3は、図1の前フレーム10の一部である縦パイプ12に沿って延在する基準線であり、ここでは、基準線CL3の方向を前フレーム10の延在する方向と定義する。すなわち、基準線CL3により、前フレーム10の延在する方向が代表される。なお、車両100の連結部30よりも前側の部分、すなわち前輪1と前フレーム10(縦パイプ12やハンドル14など)とを有する部分を前側構成部F1と呼ぶことがある。
【0026】
図中の直線CL4は、後フレーム20の一部であるメインフレーム21に沿って延在する基準線であり、ここでは、基準線CL4の方向を後フレーム20の延在する方向と定義する。すなわち、基準線CL4により、後フレーム20の延在する方向が代表される。基準線CL4は、図1の軸線CL2と一致する。なお、車両100の連結部30よりも後側の部分、すなわち後輪2と後フレーム20(メインフレーム21やステップ24など)とを有する部分を後側構成部R1と呼ぶことがある。
【0027】
軸線CLaを中心とした基準線CL3と基準線CL4とのなす角、すなわち基準線CL3を軸線CLaまで平行移動したときの基準線CL3(点線)と基準線CL4とのなす角θaをフレーム角θaと呼ぶ。フレーム角θaは、軸線CLaを中心にして前フレーム10に対し後フレーム20が回動することで、変更可能である。すなわち、図4の走行姿勢におけるフレーム角θaは所定の走行姿勢角θa1(例えば80°)であり、前フレーム10に対し後フレーム20が回動(矢印R1方向に回動)することで、フレーム角θaを走行姿勢角θa1から所定の折り畳み姿勢角θa2(例えば0°)まで減少することができる。なお、フレーム角θaが0°の場合には、基準線CL3と基準線CL4とが互いに平行となる。
【0028】
図1に示すように、連結部30には、フレーム角θaを走行姿勢角θa1に固定するロック部材32が設けられる。ロック部材32は、前後一対のフレーム(前固定フレーム32A、後固定フレーム32B)を有する。前固定フレーム32Aの前端部は、前フレーム10と一体に構成されたホルダ17に、左右方向に延在する軸部33aを中心にして回動可能に軸支される。後固定フレーム32Bの後端部は、後フレーム20の一部である前メインフレーム21Aに、左右方向に延在する軸部33bを中心にして回動可能に軸支される。前固定フレーム32Aの後端部と後固定フレーム32Bの前端部とは、左右方向に延在する軸部33cを中心にして互いに回動可能に連結される。
【0029】
図示は省略するが、前固定フレーム32Aと後固定フレーム32Bとの連結部には、前固定フレーム32Aと後固定フレーム32Bとが図1に示すように直線上に配置された状態で、前固定フレーム32Aに対する後固定フレーム32Bの回動を阻止(ロック)するロック機構が設けられる。ロック機構は、例えば図3の把持部140との支持部18に設けられたピン146とスリット142との組み合わせにより構成できる。具体的には、前固定フレーム32Aに、ばねを介し長孔に沿って移動可能にピンを支持し、後固定フレーム32Bに、ピンが係合可能なスリットを有するブラケットを設けることで、ロック機構を構成できる。
【0030】
前固定フレーム32Aと後固定フレーム32Bとが同一直線上に位置した状態で、ピンがスリットに係合してロック機構が作動すると、前固定フレーム32Aと後固定フレーム32Bとの回動が阻止される。これによりフレーム角θaが走行姿勢角θa1に固定される。一方、ユーザPSが、ピンを操作してスリットからピンが離脱すると、前固定フレーム32Aと後固定フレーム32Bとが回動可能となる。これにより軸線CLaを中心にして後フレーム20を前フレーム10側に折り畳むことができ、フレーム角θaを走行姿勢角θa1よりも小さくすることができる。
【0031】
メインフレーム21(後メインフレーム21B)とステップ24とは連結部40を介して連結される。より詳しくは、左右のステップ24の前端部には、その左右方向外側の端部に、上方に向けてブラケット24aが突設される。左右一対のブラケット24aは、支持フレーム23を挟むように支持フレーム23の左右外側に配置される。ブラケット24aには、図1に示すように側面視で略円形の貫通孔が穿設される。この貫通孔には、左右方向に延在する軸線CLbに沿って支持フレーム23に至るまで回動軸41が挿入される。これによりステップ24およびステップ24と一体の後輪2が、回動軸41を介して支持フレーム23に回動可能に支持される。連結部40は、後述するようにフレームFLを起立した際に前輪1と後輪2とが同時に接地可能な位置(図6D参照)に設けられる。
【0032】
図4の直線CL5は、ステップ24に沿って延在する基準線であり、この基準線CL5の延びる方向をステップ24の方向と定義する。すなわち、基準線CL5により、ステップ24の延在する方向が代表される。図4の走行姿勢では、ステップ24は前後方向に延在する。このとき、図1に示すように、横フレーム22が緩衝材22aを介してステップ24の後端部の上面に当接し、これによりステップ24の回動(図4の矢印R2方向の回動)が制限される。
【0033】
軸線CLbを中心とした基準線CL4と基準線CL5とのなす角、すなわち基準線CL4,CL5をそれぞれ軸線CLbまで平行移動したときの基準線CL4(点線)と基準線CL5(点線)とのなす角をステップ角θbと呼ぶ。車両100が走行姿勢であるとき、ステップ角θbは最小(最小ステップ角θb1)となり、この状態からステップ24が軸線CLbを中心として時計周り(図4の矢印R3方向)に回転するに従い、ステップ角θbが徐々に増加する。ステップ24が時計周りに最大に回動し、ステップ角θbが最大(最大ステップ角θb2)となった状態では、基準線CL4と基準線CL5とが平行ないしほぼ平行となる。ステップ角θbは、基準線CL4からの回転方向が時計周りであるときプラスであり、反時計周りであるときマイナスである。したがって、最小ステップ角θb1はマイナスであり、最大ステップ角θb2はプラス(例えば180°)である。
【0034】
図1に示すように、後フレーム20の前後一対のフレーム、すなわち前メインフレーム21Aと後メインフレーム21Bとは、揺動部50を介して軸線CL2を中心にして左右方向に揺動可能に連結される。揺動部50には、例えば後メインフレーム21Bの前端部に内蔵されたナイトハルトゴムばねが設けられる。
【0035】
図5は、揺動部50に設けられるナイトハルトゴムばね51の概略構成を示す図である。図5に示すように、ナイトハルトゴムばね51は、断面略矩形枠状の後メインフレーム21Bのフレーム部210に内蔵される。前メインフレーム21Aは、その後端面から軸線CL2に沿って後方に延在するシャフト部211を有する。ナイトハルトゴムばね51は、シャフト部211と一体に回転可能なようにシャフト部211にスプライン結合された略菱形のカムブロック52と、カムブロック52の凹状に形成された各面に対向して配置されたゴムローラ53とを有する。
【0036】
図5の初期状態からフレーム部210にトルクが作用して、フレーム部210が軸線CL2を中心に回転すると、フレーム部210とカムブロック52との間でゴムローラ53が押圧されて弾性変形し、ゴムローラ53が楕円になる。このとき、フレーム部210の回転角が大きくなるに従い、フレーム部210に対する回転抵抗は大きくなる。フレーム部210に作用するトルクが0になると、ゴムローラ53は、弾性力により元の形状に復帰し、前フレーム10は基準姿勢に戻る。
【0037】
このように後フレーム20のメインフレーム21を、揺動部50を介して揺動可能に設けることで、図1のユーザPSは車両100を左右方向に容易に旋回することができる。例えば、ユーザPSは車両100を左右方向に旋回するとき、膝および足首を軽く曲げて上半身を左右に傾ける。これにより、後メインフレーム21Bと一体のステップ24が水平に保たれたまま、ステップ24に両足を載せた安定した姿勢で、前メインフレーム21Aと一体に前フレーム10を揺動させ、前輪1を左右に傾斜させることができる。その結果、車両100をスムーズに旋回させることができ、旋回性が向上する。また、軸線CL2は、前上がりに延在する。このため、車両100の旋回時において、後輪2に対する前輪1の切れ角を増加することができる。その結果、旋回半径を小さくすることができ、旋回性を一層向上することができる。
【0038】
さらに、揺動部50にナイトハルトゴムばね51が設けられることで、基準姿勢から前フレーム10を左右に揺動させた際に、前フレーム10に復元力が作用し、前フレーム10の揺動を良好に抑えることができる。なお、ナイトハルトゴムばね51ではなく、コイルばね等の弾性部材により、前フレーム10に復元力を作用させるようにしてもよい。すなわち、ダンパ部材の構成はナイトハルトゴムばね51に限らない。
【0039】
図示は省略するが、乗車時にユーザPSの自重によりステップ24に作用する荷重点(足裏から作用する荷重の中心点)は、平面視で前輪1の接地点と左右一対の後輪2のそれぞれの接地点とを結ぶ三角形の領域内に位置する。これにより、走行中および停車中のいずれにおいても、ユーザPSは車両100に安定した姿勢で乗車することができる。
【0040】
以上のように構成された車両100は、非利用時に折り畳んで容易に運搬することができる。図6A~6Eは、車両100を折り畳むときの動作を示す図である。図6Aは、前フレーム10と後フレーム20とのなす角、すなわちフレーム角θa(図4)が走行姿勢角θa1である。この状態から車両100を折り畳む際は、ユーザは、前フレーム10を含む前側構成部F1と後フレーム20を含む後側構成部R1との連結部30におけるロック機構、すなわちロック部材32に設けられたロック機構を解除する。そして、連結部30を支点にして前フレーム10を後方(矢印A1方向)に倒回する。
【0041】
図6Bに示すように、前フレーム10が倒回された状態では、バッテリ6は縦パイプ12とメインフレーム21との間の側面視略矩形状の空間SPに配置される。この状態では、メインフレーム21の上面がバッテリ6のホルダ17に当接し、前フレーム10と後フレーム20とは互いに略平行となる。このとき、フレーム角θaは折り畳み姿勢角θa2となる。
【0042】
次いで、図6Cに示すように、ユーザは、例えば左右の後輪2の間を延在する連結フレーム26(図2)を把持し、前輪1を支点にして前フレーム10が立ち上がるまで後フレーム20を上方に持ち上げる。これにより前輪1が接地された状態で車両100が起立姿勢となる。この状態でユーザは、矢印A2に示すようにハンドル軸13を縦パイプ12内に縮退する。バッテリ6は縦パイプ12に支持されるため、縦パイプ12に対しハンドル軸13を相対移動しても、バッテリ6の位置は変化しない。さらに、ユーザが連結フレーム26から手を離すと、ステップ24と後輪2とが、連結部40を支点にして重力により矢印A3方向に回動する。このとき、ステップ角θb(図4)が最小ステップ角θb1から最大ステップ角(θb2)まで増大し、後輪2が前輪1に近づく。
【0043】
これにより、図6Dに示すようにメインフレーム21の下方にステップ24が位置し、前フレーム10と後フレーム20とが起立した状態で、前輪1とともに後輪2が接地する。すなわち、前フレーム10と後フレーム20とが同時に接地した状態で、フレームFL全体が起立する。これにより車両100を前輪1と左右の後輪2との3点で自立させることができる。この点、仮に連結部40がなく後輪2が上方に位置したままであると、車両100を自立するためにスタンド等の部品が必要となるが、本実施形態ではスタンド等を別途設けることなく車両100を自立させることができる。次いで、ユーザは、ハンドル14を操作してハンドル軸13を矢印A4方向に90°だけ回動する。
【0044】
これにより、図6Eに示すように、前輪1が後輪2に対し直角な方向を向き、ハンドル14の右側の把持部140が車両100の前方に移動する。このように前輪1の向きが後輪2の向きに直交することで、坂道等の傾斜地でも車輪が転がることなく、車両100を安定して停車できる。前輪1が横方向を向いた図6Eの状態では、後輪2の前端部が前輪1の後側の側面に当接する。換言すると、前輪1が横方向を向いたときに後輪2の前端部が前輪1の側面に当接するようにフレームFL(例えばメインフレーム11)が設けられる。なお、前輪1と後輪2とが干渉して図6Dから図6Eへの姿勢変更が困難な場合には、図6Cの状態で、ハンドル軸13を縮退しながら90°回動させるようにしてもよい。
【0045】
さらにユーザは、ハンドル14の軸部14cと把持部140とを連結する支持部18のロック機構を解除し、図6Eの矢印A5に示すように支持部18を介して把持部140を下方に回動する。これにより車両前方への把持部140の突出が抑えられ、車両100を折り畳んだときの車両全体の寸法を小さくすることができる。以上のようにして車両100が非利用時に折り畳まれる。折り畳み後の車両100の姿勢を折り畳み姿勢と呼ぶ。
【0046】
車両100は、折り畳まれることで小型化されるだけでなく、運搬も容易となる。図7A,7Bは、車両100の運搬時の動作を説明する図である。車両100を運搬する場合、まず図7Aに示すように、ユーザPSは折り畳み姿勢の車両100の後輪2の後方に立って、車両100の上端部のハンドル14(左側のグリップ14a)を把持する。次いで、図7Bに示すように、車両100を後方に傾けて前輪1を路面から浮かせ、路面3上で後輪2を転がしながら車両100を矢印B1方向に運搬する。後輪2は、非駆動輪であるため回転が容易であり、後輪2を転がすことで、ユーザPSは大きな労力を要することなく車両100を運搬できる。この場合、車両搬送用の専用車輪を別途設けることなく、車両100自体の車輪(後輪2)を用いて車両100を容易に移送できる。
【0047】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両100は、前輪1と前輪1の上方に配置されたハンドル14等の前フレーム10とを有し、側面視で基準線CL3に沿って延在する前側構成部F1と、後輪2とユーザの足が載置されるステップ24等の後フレーム20とを有し、側面視で基準線CL4に沿って延在する後側構成部R1と、前側構成部F1を後側構成部R1に回動可能に連結する連結部30と、を備える(図1,4)。連結部30は、後側構成部R1に対する前側構成部F1の姿勢が、基準線CL3と基準線CL4とのなす角(フレーム角θa)が走行姿勢角θa1である走行姿勢(図6A)から、フレーム角θaが走行姿勢角θa1よりも小さい折り畳み姿勢角θa2である折り畳み姿勢(図6E)に変更可能となるように前側構成部F1と後側構成部R1とを連結する。これにより、車両利用時の取扱性が容易な小型の立ち乗り式の車両100を、非利用時にさらに小型化することができ、車両非利用時の取扱性(運搬性など)を向上できる。
【0048】
(2)後側構成部R1は、メインフレーム21と、後輪2を回転可能に支持する後輪支持部27を有するフレーム(ステップ24、サイドフレーム25等)と、をさらに有する(図2)。連結部30は、回動軸31を中心にして前側構成部F1を後側構成部R1に回動可能に連結する(図1)。車両100は、回動軸31と略平行な回動軸41を中心にしてメインフレーム21(後メインフレーム21B)をステップ24に対し回動可能に連結する連結部40をさらに備える(図1)。連結部40は、フレーム角θaが折り畳み姿勢角θa2であるとき、メインフレーム21とステップ24とのなす角(ステップ角θb)が最小ステップ角θb1から最大ステップ角θb2に変更可能となるようにメインフレーム21とステップ24とを連結する(図4)。これにより後輪2を、前輪1と同一側に移動することができ、車両100の非利用時における取扱性が一層向上する。
【0049】
(3)ステップ角θbが最大ステップ角θb2であるとき(図6D)の前輪1から後輪2までの距離は、ステップ角θbが最小ステップ角θb1であるとき(図6C)の前輪1から後輪2までの距離よりも短い。したがって、連結部40を介してステップ24を後輪2と一体に回動することで、後輪2を前輪1に接近させることができる。これにより車両100をコンパクトに構成することができ、非利用時における車両100の取扱性が容易となる。
【0050】
(4)連結部40は、フレーム角θaが折り畳み姿勢角θa2において、基準線L3を鉛直方向に向けて前輪1が接地されたとき(図6C)、メインフレーム21とステップ24とのなす角が最大ステップ角θb2になると、後輪2が前輪1とともに接地可能となるようにメインフレーム21とステップ24とを連結する(図6D)。これにより、前輪1と後輪2とにより車両100の自立が可能となる。
【0051】
(5)連結部40は、フレーム角θaが折り畳み姿勢角θa2において、ステップ角θbが最大ステップ角θb2になり、かつ、前輪1が前後方向に対し略直角に転舵されて前輪1の側面が後方に向けられると、後輪2の前端部の位置が前輪1の側面の前後方向の位置と略同一となるように、すなわち前輪1の前端部が後輪2の側面に当接するように、メインフレーム21とステップ24とを連結する(図6E)。これにより前輪1と後輪2の向きが互いに直交するため、坂道等においても車両100を安定して停車させることができる。また、車両100を折り畳んだときの前輪1から後輪2までの前後方向の長さを短くすることができる。
【0052】
(6)後側構成部R1のうちの後フレーム20は、後メインフレーム21Bの前方に配置されるとともに連結部30に連結される前メインフレーム21Aと、略前後方向に延在する軸線CL2を中心にして前メインフレーム21Aを後メインフレーム21Bに対し揺動可能に連結する揺動部50と、をさらに有する(図1,5)。これにより、車両100の旋回時に前輪1を傾斜させることができ、旋回性が向上する。
【0053】
(7)前メインフレーム21Aがステップ24に対し揺動可能となるように、ステップ24は連結部40を介して後メインフレーム21Bに支持される(図1)。これにより車両走行時にステップ24を水平姿勢に保ったまま、前輪1を傾斜させることができる。
【0054】
(8)前輪1は、走行モータ4により駆動される駆動輪であり、後輪2は非駆動輪である(図1)。これにより、車両100が起立した状態で前輪1の回転が阻止され、坂道等で車両100を安定して停車することができる。また、前輪1を浮かせながら後輪2を転がすことで、車両100の移動も容易である。
【0055】
(9)車両100はバッテリ6をさらに備える(図1)。バッテリ6は、フレーム角θaが折り畳み姿勢角θa2であるとき、前側構成部F1(縦パイプ12)と後側構成部R1(メインフレーム21)との間に形成される空間SPに配置されるように設けられる(図6B)。これにより、車両100の折り畳み時に形成されるスペースにバッテリ6を効率よく配置することができる。
【0056】
(10)前側構成部F1(縦パイプ12)は、バッテリ6を支持するホルダ17をさらに有する(図1)。これにより前側構成部F1に設けられた電気機器に、バッテリ6から容易に電力を容易に供給することができる。
【0057】
(11)車両100は、電力線を介して供給されるバッテリ6からの電力により駆動される、前輪1の駆動用の電動機として走行モータ4をさらに備える(図1)。これにより、連結部30を介さずに走行モータ4に駆動用電力を供給することができ、電力線の配線が容易である。
【0058】
(12)ハンドル14は、左右方向に延在して乗員に把持される把持部140(グリップ14a等)と、把持部140を上下方向に回動可能に支持する支持部18(ピン146等)とを有する(図3)。これにより車両100の非利用時にハンドル14を折り畳むことができ、車両全体をコンパクトに構成することができる。
【0059】
上記実施形態は、種々の形態に変更することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、車両100が単一の前輪1と左右一対の後輪2とを有するように構成したが、単一の前輪と単一の後輪、あるいは一対の前輪と単一の後輪とを有するように車両を構成することもできる。なお、単一の前輪には、例えば1か所に設けられた一対の前輪、すなわちペア前輪も含まれる。
【0060】
上記実施形態では、前輪1とハンドル14と縦パイプ12等を有し、側面視で基準線CL3(第1基準線)に沿って延在する前側構成部F1(第1構成部)と、後輪2とステップ24とメインフレーム21等を有し、側面視で基準線CL4(第2基準線)に沿って延在する後側構成部R1(第2構成部)とを、車両100に設け、前側構成部F1と後側構成部R1とを基準線CL3、CL4に直交する軸線CLaを中心にして回動可能に連結するようにしたが、第1構成部および第2構成部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、前側構成部F1と後側構成部R1とを連結部30を介して回動可能に連結するようにしたが、後側構成部R1に対する前側構成部F1の姿勢が、基準線CL3,CL4同士のなす角(フレーム角θa)が走行姿勢角θa1(第1角度)である走行姿勢(第1姿勢)から、フレーム角θaが走行姿勢角θa1よりも小さい折り畳み姿勢角θa2(第2角度)である折り畳み姿勢(第2姿勢)に変更可能となるように連結するのであれば、連結部の構成はいかなるものでもよい。
【0061】
上記実施形態では、前側構成部F1と後側構成部R1とを回動軸31(第1回動軸)を中心にして回動可能に連結する連結部30(第1連結部)とは別に、回動軸31と略平行な回動軸41(第2回動軸)を中心にして後側構成部R1のメインフレーム21とステップ24とを回動可能に連結する連結部40(第2連結部)を設けるようにしたが、第2連結部の構成は上述したものに限らない。すなわち、フレーム角θaが折り畳み姿勢角θa2であるとき、メインフレーム21(第1部材)とステップ24(第2部材)とのなす角(ステップ角θb)が最小ステップ角θb1(第3角度)から最大ステップ角θb2(第4角度)に変更可能となるように連結するのであれば、第2連結部の構成はいかなるものでもよい。載置部としてのステップを第1部材として構成し、第2部材と一体の後輪が第2連結部を介してステップに対し回動可能となるようにしてもよい。
【0062】
上記実施形態では、後メインフレーム21Bの前方に、後メインフレーム21Bに対し前メインフレーム21A(第3部材)を揺動可能に支持する揺動部50を設けるようにしたが、略前後方向に延在する軸線CL2を中心にして第3部材を第1部材に対し揺動可能に連結するのであれば、揺動部の構成はいかなるものでもよい。上記実施形態では、後輪2を非駆動輪としたが、後輪2を駆動輪としてもよい。上記実施形態では、電力源としてのバッテリ6を縦パイプ12に設けられたホルダ17(電源源支持部)により支持するようにしたが、電力源支持部を他の位置に設けてもよい。上記実施形態では、ハンドル14(操舵部)の把持部140を支持部18により上下方向に回動可能に支持するようにしたが、把持支持部の構成は上述したものに限らない。
【0063】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 前輪、2 後輪、4 走行モータ、6 バッテリ、10 前フレーム、14 ハンドル、17 ホルダ、18 支持部、20 後フレーム、21 メインフレーム、21A 前メインフレーム、21B 後メインフレーム、24 ステップ、27 後輪支持部、30 連結部、31 回動軸、40 連結部、41 回動軸、50 揺動部、100 車両、F1 前側構成部、R1 後側構成部、θa1 走行姿勢角、θa2 折り畳み姿勢角、θb1 最小ステップ角、θb2 最大ステップ角、CL3,CL4,CL5 基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B