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特許7399077運行管理装置、運行管理方法および運行管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】運行管理装置、運行管理方法および運行管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/127 20060101AFI20231208BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231208BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G08G1/127 A
G08G1/00 D
G01C21/34
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020500345
(86)(22)【出願日】2019-01-21
(86)【国際出願番号】 JP2019001589
(87)【国際公開番号】W WO2019159605
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2018023127
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】蛭田 茂憲
(72)【発明者】
【氏名】北村 史郎
(72)【発明者】
【氏名】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】仲山 修司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 祐至
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-182137(JP,A)
【文献】特開2014-191419(JP,A)
【文献】特開2013-200139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/127
G08G 1/00
G01C 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが乗車可能な乗合移動体の運行ルートを生成する運行ルート生成部と、
前記乗合移動体の運行情報を取得する運行情報取得部と、
ユーザの乗降要求と、現在地情報と、目的地情報と、ユーザが乗車可能かつ携行可能な可搬移動体の現在地と移動可能な距離とを含む可動範囲情報とを取得するユーザ情報取得部と、
前記ユーザ情報取得部によりユーザの乗降要求が取得されると、前記運行情報取得部により取得された前記乗合移動体の運行情報と、前記ユーザ情報取得部により取得されたユーザの現在地情報、目的地情報および可動範囲情報とに基づいて、前記運行ルート生成部により生成された運行ルート上におけるユーザが前記乗合移動体に乗車するための乗車地点と、前記乗合移動体から降車するための降車地点と、を決定する乗降地点決定部と、
前記乗降地点決定部により決定された前記乗車地点と前記降車地点とを出力する出力部と、を備えることを特徴とする運行管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運行管理装置において、
ユーザの現在地から前記乗車地点までの乗車ルートと、前記降車地点からユーザの目的地までの降車ルートとを生成する乗降ルート生成部をさらに備え、
前記出力部は、前記乗降ルート生成部により生成された前記乗車ルートと前記降車ルートとをさらに出力することを特徴とする運行管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の運行管理装置において、
前記ユーザ情報取得部は、ユーザの嗜好情報をさらに取得し、
前記乗降地点決定部は、さらに前記ユーザ情報取得部により取得された前記ユーザの嗜好情報に基づいて、前記乗車地点と前記降車地点とを決定することを特徴とする運行管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運行管理装置において、
前記ユーザ情報取得部により取得された前記ユーザの嗜好情報に基づいて、乗合移動体を選定する選定部をさらに備えることを特徴とする運行管理装置。
【請求項5】
コンピュータにより実行される、
ユーザが乗車可能な乗合移動体の運行ルートを生成するステップと
前記乗合移動体の運行情報を取得するステップと
ユーザの乗降要求と、現在地情報と、目的地情報と、ユーザが乗車可能かつ携行可能な可搬移動体の現在地と移動可能な距離とを含む可動範囲情報とを取得するステップと
前記ユーザの乗降要求が取得されると、前記乗合移動体の運行情報と、前記ユーザの現在地情報、目的地情報および可動範囲情報とに基づいて、前記運行ルート上におけるユーザが前記乗合移動体に乗車するための乗車地点と、前記乗合移動体から降車するための降車地点と、を決定するステップと
前記乗車地点と前記降車地点とを出力するステップと、を含むことを特徴とする運行管理方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の運行管理装置と、
前記乗合移動体に搭載された車載端末と、
前記ユーザが所持または携帯するユーザ端末と、を備える運行管理システムであって、
前記車載端末は、前記運行ルート生成部により生成された前記運行ルートに応じて前記乗合移動体の移動を制御する制御部と、前記乗合移動体の運行情報を前記運行管理装置に送信する通信部と、を有し、
前記ユーザ端末は、前記ユーザの乗降要求と、現在地情報と、目的地情報とを前記運行管理装置に送信する通信部と、を有することを特徴とする運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の運行を管理する運行管理装置、運行管理方法および運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、従来、停留所を経由して運行する移動体の運行ルートを、ユーザの各停留所での乗降要求に応じて生成するようにした運行管理システムが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の運行管理システムでは、乗降要求のある停留所を経由するように運行ルートが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-208091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の運行管理システムでは、移動体が予め定められた運行ルートを走行し、予め定められた地点である停留所でしかユーザを乗降させることができないため、ユーザにとって満足度の高い効率的な運行管理を行うことが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である運行管理装置は、ユーザが乗車可能な乗合移動体の運行ルートを生成する運行ルート生成部と、乗合移動体の運行情報を取得する運行情報取得部と、ユーザの乗降要求と、現在地情報と、目的地情報と、ユーザが乗車可能かつ携行可能な可搬移動体の現在地と移動可能な距離とを含む可動範囲情報とを取得するユーザ情報取得部と、ユーザ情報取得部によりユーザの乗降要求が取得されると、運行情報取得部により取得された乗合移動体の運行情報と、ユーザ情報取得部により取得されたユーザの現在地情報目的地情報および可動範囲情報とに基づいて、運行ルート生成部により生成された運行ルート上におけるユーザが乗合移動体に乗車するための乗車地点と、乗合移動体から降車するための降車地点と、を決定する乗降地点決定部と、乗降地点決定部により決定された乗車地点と降車地点とを出力する出力部と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様である運行管理方法は、コンピュータにより実行される、ユーザが乗車可能な乗合移動体の運行ルートを生成するステップと、乗合移動体の運行情報を取得するステップと、ユーザの乗降要求と、現在地情報と、目的地情報と、ユーザが乗車可能かつ携行可能な可搬移動体の現在地と移動可能な距離とを含む可動範囲情報とを取得するステップと、ユーザの乗降要求が取得されると、乗合移動体の運行情報と、ユーザの現在地情報、目的地情報および可動範囲情報とに基づいて、運行ルート上におけるユーザが乗合移動体に乗車するための乗車地点と、乗合移動体から降車するための降車地点と、を決定するステップと、乗車地点と降車地点とを出力するステップと、を含む。
【0007】
本発明のさらに他の態様は、運行管理装置と、乗合移動体に搭載された車載端末と、ユーザが所持または携帯するユーザ端末と、を備える運行管理システムであって、車載端末は、運行ルート生成部により生成された運行ルートに応じて乗合移動体の移動を制御する制御部と、乗合移動体の運行情報を運行管理装置に送信する通信部と、を有し、ユーザ端末は、ユーザの乗降要求と、現在地情報と、目的地情報とを運行管理装置に送信する通信部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動体の運行を効率的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る運行管理システムの適用による動作の一例を概略的に示す図。
図2】本発明の実施形態に係る運行管理システムの構成を概略的に示す図。
図3図2の運行管理サーバの概略構成を示すブロック図。
図4図3の運行管理サーバで実行される処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図4を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る運行管理システムは、バス等の大型モビリティ(公共交通機関)の運行をユーザの乗降要求等に応じて管理するとともに、乗降地点等をユーザ等に通知するものである。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る運行管理システムの適用による動作の一例を概略的に示す図である。図1には、所定のルートで運行する2台の大型モビリティ2a,2b(これらをまとめて大型モビリティ2と呼ぶこともある)が示されるとともに、各大型モビリティ2の運行ルートRB1,RB2(これらをまとめて運行ルートRBと呼ぶこともある)がそれぞれ実線矢印で示される。運行ルートRBは、予め定められた運行ルートでもよいが、好ましくは、大型モビリティ2a,2bが互いに離間して運行されるよう、動的に生成される運行ルートである。運行ルートRB上には、大型モビリティ2が停車してユーザ3を乗降させるための乗降地点P1~P4(これらをまとめて乗降地点Pと呼ぶこともある)が示される。
【0012】
ユーザ3は、友人と施設Bで待ち合わせをしており、施設Bに行く途中で施設Aに立ち寄る予定であり、その際に、大型モビリティ2を利用する。具体的には、ユーザ3は、大型モビリティ2a,2bに乗車するために、乗車ルートRS1,RS3に沿って移動し、運行ルートRB1、RB2にアクセスする。また、ユーザ3は、大型モビリティ2a,2bから降車した後、降車ルートRS2,RS4に沿って移動し、目的地に向かう(乗車ルートRS1,RS3、降車ルートRS2,RS4をまとめて乗降ルートRSと呼ぶこともある)。
【0013】
大型モビリティ2は、例えば自動運転機能を有する車両(例えばバス)であり、運行ルートRB上を自動運転で走行するとともに、乗降地点Pで停車してユーザ3を乗降させる。大型モビリティ2がユーザ3を乗降させるとは、例えば、車載カメラ等で検出されるユーザ3の乗降の動作に応じてドアの開閉やステップの昇降等、ユーザ3の乗降に必要な動作を行うことを意味する。大型モビリティ2は、貨物や人の高速輸送を目的とした移動手段ではなく、高速移動手段の駅等を含む種々の施設の間を比較的ゆったりとした速度で巡回する移動手段である。大型モビリティ2は、単なる移動手段として機能するだけでなく、ユーザ3に各種サービスを提供するさまざまな空間を構成する。例えば大型モビリティ2内を、交流サロン、喫茶店、飲み屋、複数種の小規模店舗として構成することができる。
【0014】
ユーザ3は、スマートフォンやタブレット端末、携帯電話等により構成されるユーザ端末4を携帯して行動する。ユーザ3は、自己の行動予定をユーザ端末4に入力する、あるいはユーザ端末4に表示(音や振動等による通知を含む)させることで、自己の行動予定を管理する。行動予定には、ユーザ3の現在地からの出発可能時刻、目的地、目的地への到着希望時刻等が含まれる。行動予定に加え、ユーザ自身の嗜好情報もユーザ端末4を介して管理される。嗜好情報は、ユーザ3が移動に際して希望する事項であり、例えば移動中にゲームをしたい、移動中に買物をしたい、移動時の待ち時間を短くしたい等の情報が含まれる。
【0015】
ユーザ3は、乗車自在かつ携行自在な小型モビリティ5を所持する。小型モビリティ5は、例えば1~2名が立って乗車可能なスケートボードやキックスケーターのような簡易な形状の電動の移動手段である。小型モビリティ5は、座席を有する形状であってもよいが、非乗車時にはユーザ3が携行できる大きさ、重量とされる。小型モビリティ5は、自動運転機能を有し、乗降ルートRS上を自動運転で移動する。すなわち、ユーザ3は、乗車地点P1,P3に向かうとき、または降車地点P2,P4から目的地に向かうとき、小型モビリティ5の電源をオンし、小型モビリティ5に乗車する。ユーザ3は、大型モビリティ2に乗車するときは、小型モビリティ5の電源をオフして小型モビリティ5を携行する。すなわち、大型モビリティ2内に小型モビリティ5を持ち込む。
【0016】
以上の動作を実現可能な運行管理システムの構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る運行管理システム100の構成を概略的に示す図である。運行管理システム100は、予め乗合可能な移動手段として登録された複数(図1では2台)の大型モビリティ2a,2bにそれぞれ搭載された車載端末20a,20b(これらをまとめて車載端末20と呼ぶこともある)と、ユーザ端末4と、小型モビリティ5に搭載された車載端末50と、運行管理サーバ10とを備える。これら車載端末20、ユーザ端末4、車載端末50および運行管理サーバ10は、例えば3G(3rd Generation)やLTE(Long Term Evolution)等のセルラー網で構成される無線通信網を含むネットワーク6に接続され
る。
【0017】
大型モビリティ2の車載端末20は、通信部21と、GPS受信機22と、制御部23とを有する。
【0018】
通信部21は、ネットワーク6を介し、運行管理サーバ10と無線通信可能に構成される。通信部21は、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近接無
線通信技術を適用可能な近接無線通信部(図示せず)を含むように構成されてもよい。通信部21は、大型モビリティ2を識別するための識別情報とともに、GPS受信機22により検出された大型モビリティ2の現在地を含む運行情報を運行管理サーバ10に送信する。通信部21は、運行管理サーバ10から、運行管理サーバ10によって生成された、または予め定められた大型モビリティ2が走行すべき運行ルートRBと、大型モビリティ2が停車すべき乗降地点Pとを受信する。なお、運行情報には、現在地の他に、大型モビリティ内の乗員の混雑状況や、大型モビリティ2の運行に支障を来たす異常情報(故障等の情報)等が含まれる。
【0019】
GPS受信機22は、複数のGPS衛星からの測位信号を受信し、これにより大型モビリティ2の位置(緯度、経度等)を測定する。
【0020】
制御部23は、CPU等の演算部と、ROM,RAM等の記憶部と、その他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成され、通信部21を介してネットワーク6に無線接続可能である。制御部(演算部)23は、通信部21が運行管理サーバ10から運行ルートRBを受信すると、運行ルートRB上を運転スケジュールに従って走行するように大型モビリティ2の走行用の各種アクチュエータ(走行モータや操舵モータ等)を制御する。さらに制御部23は、通信部21が運行管理サーバ10から乗降地点Pを受信すると、乗降地点Pで停車し、ユーザ3を乗降させるように大型モビリティ2の走行用アクチュエータやドア開閉アクチュエータ等を制御する。
【0021】
さらに、制御部23は、運行管理サーバ10を介さずに、運行ルートRB付近にいるユーザ3の乗降要求に応じて、大型モビリティ2の走行用アクチュエータやドア開閉アクチュエータ等を制御してもよい。運行ルートRB付近にいるユーザ3の乗降要求は、例えば車載カメラ等でユーザ3の乗降を希望する動作(挙手等)を検出することにより検知できる。ユーザ3の乗降要求は、近接無線通信を介してユーザ端末4から受信することもできる。
【0022】
ユーザ端末4は、通信部41と、GPS受信機42と、入力部43と、表示部44とを有する。
【0023】
通信部41は、ネットワーク6を介し、運行管理サーバ10と無線通信可能に構成される。通信部41は、近接無線通信部を含むように構成されてもよく、この場合は、大型モビリティ2に乗車中等、ユーザ3が大型モビリティ2の付近にいるときに、大型モビリティ2の車載端末20の通信部21と近接無線通信を介して通信することができる。通信部41は運行管理サーバ10に、ユーザ3の大型モビリティ2への乗降要求と、GPS受信機42により検出されたユーザ3(ユーザ端末4)の現在地を含む現在地情報とを送信するとともに、入力部43を介して入力されたユーザ3の行動予定および嗜好情報を含むユーザ情報を送信する。通信部21は、運行管理サーバ10から乗降地点P、乗降ルートRS、および大型モビリティ2の識別情報を含む各種情報や通知を受信する。
【0024】
GPS受信機42は、複数のGPS衛星からの測位信号を受信し、これによりユーザ端末4を携帯するユーザ3の位置を測定する。
【0025】
入力部43は、押圧操作可能な物理的スイッチ(例えばタッチパネル)により構成される。入力部43をマイクにより構成し、マイクを介して音声で各種指令を入力するようにしてもよい。ユーザ3は、入力部43を介してユーザ情報を入力し、大型モビリティ2への乗降を希望するときは乗降要求等を入力する。
【0026】
表示部44は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、ユーザ3により入力部43を介して入力される要求に応じてユーザ情報を表示する、あるいは運行管理サーバ10等から受信した各種情報や通知を表示する。表示部44に加えて、スピーカやバイブレータ等を設け、表示内容を音声で読み上げる、あるいは音や振動等によって通知するようにしてもよい。
【0027】
制御部45は、CPU等の演算部と、ROM,RAM等の記憶部と、その他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成され、通信部41を介してネットワーク6に無線接続可能である。制御部(演算部)45は、ユーザ3によって入力されたユーザ情報、運行管理サーバ10から受信した各種情報や通知を表示部44に表示させる。制御部(記憶部)45は、ユーザ3によって入力されたユーザ情報、運行管理サーバ10から受信した各種情報を記憶する。
【0028】
小型モビリティ5の車載端末50は、通信部51と、GPS受信機52と、制御部53とを有する。
【0029】
通信部51は、ネットワーク6を介し、運行管理サーバ10と無線通信可能に構成される。通信部51は、近接無線通信部を含むように構成されてもよい。通信部51は、GPS受信機52により検出された小型モビリティ5の現在地と小型モビリティ5が移動可能な距離や速度の情報とを含む可動範囲情報を運行管理サーバ10に送信する。通信部51は、運行管理サーバ10から小型モビリティ5が走行すべき現在地から乗降地点Pまでの乗降ルートRSを受信する。
【0030】
GPS受信機52は、複数のGPS衛星からの測位信号を受信し、これにより小型モビリティ5の位置(緯度、経度等)を測定する。
【0031】
制御部53は、CPU等の演算部と、ROM,RAM等の記憶部と、その他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成され、通信部51を介してネットワーク6に無線接続可能である。制御部(演算部)53は、通信部51が運行管理サーバ10から乗降ルートRSを受信した後、ユーザ3により走行開始の操作がなされると、乗降ルートRS上を走行するように小型モビリティ5の走行用のアクチュエータ(走行モータや操舵モータ等)を制御する。
【0032】
なお、ユーザ端末4の機能を、小型モビリティ5が有するようにしてもよい。すなわち、小型モビリティ5の車載端末50が入力部と表示部とを有するようにしてもよい。また、小型モビリティ5から車載端末50を省略し、ユーザ端末4の制御部45が小型モビリティ5の走行用アクチュエータを制御するようにしてもよい。ユーザ3がユーザ端末4による乗降ルートRSの案内に従って徒歩で移動する、あるいは小型モビリティ5を操縦して手動運転で移動するようにしてもよい。
【0033】
図3は、運行管理サーバ10の概略構成を示すブロック図である。運行管理サーバ10は、プロセッサやメモリ等、すなわちCPU,ROM,RAMその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成され、通信部11を介して大型モビリティ2の車載端末20、ユーザ端末4、および小型モビリティ5の車載端末50と通信可能である。図3に示すように、運行管理サーバ10は、機能的構成として、運行ルート生成部12と、運行情報取得部13と、ユーザ情報取得部14と、選定部15と、乗降地点決定部16と、乗降ルート生成部17と、出力部18と、記憶部19とを有する。なお、図示は省略するが、運行管理サーバ10は、入力部や表示部も有する。
【0034】
運行ルート生成部12は、各々の大型モビリティ2の運行ルートRBを生成し、運行ルートRB上を走行する運行スケジュールを決定する。例えば運行ルート生成部12は、予め登録された大型モビリティ2の運行エリア内の幹線道路等において大型モビリティ2a,2bが互いに離間して運行されるように運行ルートRBを生成する。
【0035】
大型モビリティ2は、運行時間外は例えば所定位置の車庫に格納されており、車庫から出庫して運行を開始し、運行を終了すると車庫に入庫する。運行ルート生成部12は、予め登録された大型モビリティ2の出庫時刻、入庫時刻、エリア内の施設での停車時刻、予定されるユーザの乗降時間等に応じて運行スケジュールを決定する。運行ルート生成部12は、その日の運行エリア内の気象条件や、運行ルート上のイベント開催状況、渋滞や通行止め等の交通状況を考慮して、運行ルートRBを生成し、運行スケジュールを決定するようにしてもよい。運行ルート生成部12によって生成された大型モビリティ2の運行ルートRBと決定された運行スケジュールとは、各大型モビリティ2に対応付けて記憶部19に記憶される。
【0036】
運行情報取得部13は、通信部21を介して大型モビリティ2の車載端末20から送信された情報、すなわち大型モビリティ2の識別情報と、大型モビリティ2の現在地を含む運行情報とを、通信部11を介して取得する。大型モビリティ2の識別情報には、大型モビリティ2内で提供される各種サービスについての情報も含まれる。運行情報取得部13は、定期的(例えば数分毎や数秒毎)に大型モビリティ2の識別情報および運行情報を取得する。運行情報取得部13によって取得された大型モビリティ2の識別情報および運行情報は、記憶部19に記憶され、随時更新される。
【0037】
ユーザ情報取得部14は、通信部41を介してユーザ端末4から送信されたユーザ3の乗降要求および現在地情報を、通信部11を介して取得する。ユーザ情報取得部14は、乗降要求および現在地情報を受け付ける機能を併せて有し、ユーザ端末4から送信された乗降要求および現在地情報を常時取得する(常時受け付ける)。さらにユーザ情報取得部14は、通信部51を介して小型モビリティ5の車載端末50から送信された小型モビリティ5の可動範囲情報を、通信部11を介して取得する。ユーザ情報取得部14は、可動範囲情報を受け付ける機能を併せて有し、小型モビリティ5から送信された可動範囲情報を常時取得する(常時受け付ける)。なお、ユーザ3が小型モビリティ5を使用せず徒歩で移動する場合は、ユーザ端末4からユーザ3の可動範囲情報を取得するようにしてもよい。
【0038】
さらに、ユーザ情報取得部14は、ユーザ端末4の記憶部に記憶され、通信部41を介してユーザ端末4から送信されたユーザ3のユーザ情報を、通信部11を介して取得する。ユーザ情報取得部14によって取得されたユーザ情報は、記憶部19に記憶される。なお、記憶部19に記憶されたユーザ情報を含むユーザ3の利用履歴を、次回そのユーザ3が大型モビリティ2を利用するときに活用するようにしてもよい。また、ユーザ3からの乗降要求の有無にかかわらず、利用履歴に基づいて運行管理サーバ10側からユーザ3に大型モビリティ2の利用を提案するようにしてもよい。このような提案は、例えば大型モビリティ2で特定のユーザを対象としたイベントが行われる場合等に行うことができる。
【0039】
選定部15は、ユーザ情報取得部14によってユーザ3の乗降要求およびユーザ情報と小型モビリティ5の可動範囲情報とが取得されると、ユーザ3が利用する大型モビリティ2を選定する。この場合、選定部15は、記憶部19に記憶された大型モビリティ2の運行ルートRB、識別情報および運行情報と、ユーザ3のユーザ情報と、ユーザ情報取得部14により取得されたユーザ3の現在地情報および小型モビリティ5の可動範囲情報とに基づいて、ユーザ3(および小型モビリティ5)が乗降する大型モビリティ2を選定する。
【0040】
より具体的には、選定部15は、大型モビリティ2の運行ルートRBおよび運行情報と、ユーザ3の現在地情報と、小型モビリティ5の可動範囲情報とに基づいて、ユーザ3の行動予定に適合する大型モビリティ2を選定する。さらに選定部15は、大型モビリティ2の識別情報に基づいて、ユーザ3の嗜好情報に適合する大型モビリティ2を選定する。選定部15は、ユーザ3が乗降する大型モビリティ2の候補を複数選定し、選定した複数の候補をユーザ端末4に送信するとともに、その中からユーザ3に選択させるようにてもよい。
【0041】
乗降地点決定部16は、選定部15によってユーザ3が乗降する大型モビリティ2が選定されると、運行ルートRB上に乗降地点Pを決定する。この場合、乗降地点決定部16は、選定部15によって選定された大型モビリティ2の運行ルートRBおよび運行情報と小型モビリティ5の可動範囲情報とに基づいて、乗降地点Pを決定する。具体的には、小型モビリティ5の移動距離または移動時間が最短となるように乗降地点Pを決定する。
【0042】
乗降地点決定部16は、ユーザ3の待ち時間が最短となるように乗車地点P1,P3を決定してもよい。例えば、ユーザ3の嗜好情報に「移動時の待ち時間を短くしたい」という情報が含まれている場合には、ユーザ3が乗車地点P1,P3で大型モビリティ2の到着を待つ時間等が最短となるように乗車地点P1,P3を決定する。この場合、小型モビリティの移動距離は長くなるが、ユーザ3自身に移動している実感を与えることで、ユーザ3が待たされてイライラする状況の発生を抑制することができる。また、別途、天候情報を取得し、天候情報に基づいて乗車地点P1,P3を決定してもよい。この場合、例えば乗車予定時刻が雨天であれば屋根のある場所や大きな木の下などを乗車地点P1,P3とする。また、気温が低い場合には日当たりの良い場所を、風が強い場合には建物に囲まれた路地やトンネルの中などの風が弱い場所を、乗車地点P1,P3とすることができる。
【0043】
乗降ルート生成部17は、乗降地点決定部16によって乗降地点Pが決定されると、ユーザ情報取得部14により取得されたユーザ3の現在地情報および小型モビリティ5の可動範囲情報に基づいて、小型モビリティ5(およびユーザ3)の現在地から乗降地点決定部16によって決定された乗降地点Pまでの乗降ルートRSを生成する。ユーザ3が移動時の待ち時間を短くすることを希望していない場合、乗降ルート生成部17は、小型モビリティ5の移動距離または移動時間が最短となるように乗降ルートRSを生成する。ユーザ3が移動時の待ち時間を短くすることを希望している場合、乗降ルート生成部17は、移動時のユーザ3の待ち時間が最短となるように乗降ルートRSを生成する。すなわち、乗降ルート生成部17は、ユーザ3の待ち時間を短縮するため、必要に応じて遠回りするような乗降ルートRSを生成する。
【0044】
出力部18は、選定部15によって選定された大型モビリティ2の識別情報と、乗降ルート生成部17によって生成された乗降ルートRSとを含む各種情報をユーザ端末4に送信し、ユーザ3に通知するとともに、乗降ルートRSを小型モビリティ5に送信する。選定部15によって選定された大型モビリティ2が複数ある場合、ユーザ3は、各種情報に基づいて選定された大型モビリティ2の中から乗降を希望する大型モビリティ2を決定する。選定部15によって選定された大型モビリティ2が1つの場合でも、ユーザ3は、各種情報に基づいて選定された大型モビリティ2に乗降することに同意するか否かを決定するようにしてもよい。
【0045】
出力部18は、選定部15によって選定された(ユーザ3によって決定された)大型モビリティ2に対し、乗降地点決定部16によって決定された乗降地点Pを送信(通知)する。なお、乗降予定のユーザ3が昇降ステップの利用や乗員のサポート等を希望している場合は、そのようなユーザ情報を併せて通知するようにしてもよい。
【0046】
図4は、予め運行管理サーバ10の記憶部19に記憶されたプログラムに従い、運行管理サーバ10で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図4は、運行管理サーバ10で実行される処理のうち、特に運行情報取得部13、ユーザ情報取得部14、選定部15、乗降地点決定部16、乗降ルート生成部17、出力部18で行われる処理を示す。このフローチャートに示す処理は、例えば運行管理サーバ10の電源オン時に開始され、所定周期で繰り返される。なお、図4の処理は、運行ルート生成部12により運行ルートRBが生成され、かつ、初期の運行スケジュールが決定された状態で、開始される。運行ルートRBと初期の運行スケジュールとは、それぞれの大型モビリティ2に対応付けて記憶部19に記憶される。
【0047】
まず、ステップS1で、運行情報取得部13での処理により、通信部11を介して受信された大型モビリティ2の識別情報および運行情報を読み込む。すなわち、大型モビリティ2(車載端末20)からの信号を読み込む。次いで、ステップS2で、ユーザ情報取得部14での処理により、通信部11を介して受信されたユーザ3の乗降要求、現在地情報およびユーザ情報と、小型モビリティ5の可動範囲情報とを読み込む。すなわち、ユーザ端末4と小型モビリティ5(車載端末50)からの信号を読み込む。次いで、ステップS3で、乗降要求が受信されたか否かを判定する。ステップS3で肯定されるとステップS4に進み、否定されると処理を終了する。
【0048】
ステップS4では、選定部15での処理により、大型モビリティ2の運行ルートRB、識別情報および運行情報と、ユーザ3のユーザ情報および現在地情報と、小型モビリティ5の可動範囲情報とに基づいて、ユーザ3が乗降する大型モビリティ2を選定する。次いで、ステップS5で、乗降地点決定部16での処理により、ステップS4で選定された大型モビリティ2に対応する運行ルートRB、すなわち記憶部19に記憶された運行ルートRBと、ステップS1で取得された運行情報と、さらにステップS2で取得された小型モビリティ5の可動範囲情報とに基づいて、乗降地点Pを決定する。次いで、ステップS6で、運行ルート生成部12が運行スケジュールを変更するとともに、出力部18での処理により、ステップS5で決定された乗降地点Pを、ステップS4で選定された大型モビリティ2の車載端末20に送信(通知)する。なお、運行ルート生成部12は、乗降地点Pで所定時間停車するように初期の運行スケジュールを変更する。
【0049】
次いで、ステップS7で、乗降ルート生成部17での処理により、ユーザ3の現在地情報および小型モビリティ5の可動範囲情報に基づいて、ユーザ3および小型モビリティ5の乗降ルートRSを生成する。次いで、ステップS8で、出力部18での処理により、選定された大型モビリティ2の識別情報と、乗降ルートRSとを含む各種情報をユーザ3(ユーザ端末4)に送信(通知)するとともに、乗降ルートRSを小型モビリティ5に送信する。
【0050】
本実施形態に係る運行管理システム100の主要な動作についてより具体的に説明する。ユーザ端末4の記憶部には、予めユーザ3によって入力された「移動中にオンラインゲームをしたい」、「移動中の待ち時間を短くしたい」等の嗜好情報が記憶されている。ユーザ端末4を介し、例えば行動予定として、出発可能時刻が現在の時刻(例えば11時)であり、図1の施設Aに所定時刻(例えば15時)まで立ち寄ってから施設Bに所定時刻(例えば16時)に到着するような行動予定が入力されたと仮定する。
【0051】
このとき、ユーザ3が大型モビリティ2への乗降要求をユーザ端末4に入力すると、出発地点および出発推奨時刻、乗降ルートRS1~RS4、ユーザ3が乗降する大型モビリティ2a,2bの識別情報を含む各種情報がユーザ端末4の表示部44に表示される(ステップS6,ステップS8)。これによりユーザ3は、出発推奨時刻、目的地までの経路、乗車予定の大型モビリティ2で受けられるサービス等を認識することができる。
【0052】
通知を受けたユーザ3が出発推奨時刻(例えば11時5分)に小型モビリティ5に乗車して現在地を出発すると、小型モビリティ5は乗車ルートRS1に沿って乗車地点P1まで自動運転で移動する(ステップS8)。すなわち、小型モビリティ5は、ユーザ3により始動操作がなされると、走行用アクチュエータを駆動して運行管理サーバ10から指令された乗車ルートRS1に沿って乗車地点P1まで移動する。これによりユーザ3は、出発地点で小型モビリティ5に乗車して始動操作を行うだけで、乗車ルートRS1に沿って乗車地点P1まで移動することができる。
【0053】
乗車地点P3は、ユーザ3の現在地に最も近い大型モビリティ2aの運行ルートRB1上の地点に決定される(ステップS5)。また、乗車ルートRS1は、ユーザ3および小型モビリティ5の移動距離または移動時間が最短となるように生成される(ステップS7)。これによりユーザ3は、乗車ルートRS1に沿って乗車地点P1まで効率的に移動することができる。
【0054】
乗車地点P1に到着したユーザ3は、小型モビリティ5から降車し、小型モビリティ5の電源をオフして携行し、乗車地点P1に到着した大型モビリティ2aに乗車する。ユーザ3が乗車する大型モビリティ2aは、ユーザ3の「移動中にオンラインゲームをしたい」という嗜好情報に基づいて選定された、車内で無料のWi-Fi(登録商標)サービスを提供している車両である(ステップS4)。このため、ユーザ3は、大型モビリティ2aに乗車中、オンラインゲームをすることができる。また、大型モビリティ2a内には、ユーザ3と同様の嗜好情報を登録している乗客が多く乗車しており、このため、ユーザ3は他の乗客と情報交換等のコミュニケーションをとることができる。ユーザ3は、自身の嗜好情報に適した各種サービスを受けることができ、乗車中も高い満足感を得られる。なお、ユーザ3と同様の嗜好情報を登録している乗客を1つの大型モビリティ2aに集める場合、乗客を集めるために運行ルートRBの距離や乗降地点Pが増えて運行時間が長くなるが、ユーザ3にとっては自身の嗜好情報に適した各種サービスを受けることができるため、運行時間が長くなることのデメリットは感じ難くなる。
【0055】
大型モビリティ2aは、運行管理サーバ10から指令された降車地点P2に到達すると、停車する(ステップS6)。したがって、ユーザ3は容易に降車タイミングを認識することができ、降車し忘れや誤った場所での降車を防止することができる。
【0056】
降車地点P2で大型モビリティ2aから降車したユーザ3が、小型モビリティ5に乗車して始動操作すると、小型モビリティ5は運行管理サーバ10から指令された降車ルートRS2に沿って自動運転で施設Aまで移動する(ステップS8)。降車地点P2は施設Aに最も近い大型モビリティ2aの運行ルートRB1上の地点に決定され(ステップS5)、降車ルートRS2は降車地点P2から施設Aまでの最短経路として生成される(ステップS7)。これによりユーザ3は、降車地点P2から施設Aまで効率的に移動することができる。
【0057】
施設Aでの行動予定を終えたユーザ3が、通知された出発推奨時刻(例えば15時5分)になると施設Aを出発して小型モビリティ5に乗車すると、小型モビリティ5は運行管理サーバ10から指令された乗車ルートRS3に沿って乗車地点P3まで移動する。乗車地点P3および乗車ルートRS3は、移動距離が最短となるように決定されるのではなく、例えば移動時のユーザ3の待ち時間が最短となるように決定される(ステップS5,S7)。
【0058】
すなわち、ユーザ3の行動予定には施設Aからの出発希望時刻と施設Bへの到着希望時刻が、嗜好情報には「移動中の待ち時間を短くしたい」という情報がそれぞれ含まれている。これらの情報に基づいて、大型モビリティ2bの運行ルートRB2上で施設Aに最も近い地点ではなく、ユーザ3の待ち時間が最短になる地点が大型モビリティ2bへの乗車地点P3として決定される(ステップS5)。さらに、乗車地点P3での待ち時間を短縮するため、乗車ルートRS3は、施設Aと乗車地点P3とを結ぶ最短ルートではなく、遠回りするルートとして生成される(ステップS7)。これによりユーザ3は、施設Aや乗車地点P3で待たされることなく大型モビリティ2bに乗車することができる。
【0059】
乗車地点P3では、ユーザ3は、ユーザ3の嗜好情報に適合した大型モビリティ2bに乗車することができる。降車地点P4で大型モビリティ2bが停車し、ユーザ3が降車して小型モビリティ5に乗車すると、小型モビリティ5は、運行管理サーバ10から指令された降車ルートRS4に沿って施設Bまで移動する。これによりユーザ3は、予定時刻(例えば16時)に施設Bに到着することができる。
【0060】
すなわち、本実施形態によれば、ユーザ3がユーザ端末4に行動予定と乗降要求とを入力するだけで、大型モビリティ2の運行ルートRB上に、ユーザ3にとって最適な乗降地点が決定され、現在地から目的地までの効率的な経路およびスケジュールとともに通知される。このため、ユーザ3にとって満足度の高い効率的な大型モビリティ2の運行管理を行うことができる。
【0061】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)運行管理サーバ10は、ユーザ3が乗車可能な大型モビリティ2の運行ルートRBを生成する運行ルート生成部12と、大型モビリティ2の運行情報を取得する運行情報取得部13と、ユーザ3の乗降要求と、現在地情報と、目的地情報とを取得するユーザ情報取得部14と、ユーザ情報取得部14によりユーザ3の乗降要求が取得されると、運行情報取得部13により取得された大型モビリティ2の運行情報と、ユーザ情報取得部14により取得されたユーザ3の現在地情報および目的地情報とに基づいて、運行ルート生成部12により生成された運行ルートRB上におけるユーザ3が大型モビリティ2に乗車するための乗車地点P1,P3と、大型モビリティ2から降車するための降車地点P2,P4と、を決定する乗降地点決定部16と、乗降地点決定部16により決定された乗車地点P1,P3と降車地点P2,P4とを出力する出力部18とを備える(図3)。これにより、ユーザ3の乗降要求等に応じた乗降地点P(P1~P4)を決定し、その情報をユーザ端末4等に送信することができる。したがって、ユーザ3にとって満足度の高い効率的な大型モビリティ2の運行管理を行うことができる。
【0062】
(2)運行管理サーバ10は、ユーザ3の現在地から乗車地点P1,P3までの乗車ルートRS1,RS3と、降車地点P2,P4からユーザ3の目的地までの降車ルートRS2,RS4とを生成する乗降ルート生成部17をさらに備える(図3)。出力部18は、乗降ルート生成部17により生成された乗車ルートRS1,RS3と降車ルートRS2,RS4とをさらに出力する(ステップS8)。乗降ルートRS1~RS4は、例えばユーザ3が所持する小型モビリティ5に送信される。これによりユーザ3は、小型モビリティ5に乗車して現在地から乗車地点P1,P3、降車地点P2,P4から目的地まで効率的に移動することができる。
【0063】
(3)ユーザ情報取得部14は、ユーザ3が乗車可能かつ携行可能な小型モビリティ5の現在地と移動可能な距離とを含む可動範囲情報をさらに取得し、乗降地点決定部16は、さらにユーザ情報取得部14により取得された可動範囲情報に基づいて、乗車地点P1,P3と降車地点P2,P4とを決定する(ステップS5)。可動距離情報には、小型モビリティ5の速度情報を含めることができ、これにより、ユーザ3が移動に用いる小型モビリティ5の移動可能な距離や速度等に基づいて乗降地点Pが決定されるようになり、より効率的な大型モビリティ2の運行管理を行うことができる。
【0064】
(4)ユーザ情報取得部14は、ユーザ3の嗜好情報をさらに取得し、乗降地点決定部16は、さらにユーザ情報取得部14により取得されたユーザ3の嗜好情報に基づいて、乗車地点P1,P3と降車地点P2,P4とを決定する(ステップS5)。これにより、例えば、ユーザ3の嗜好情報に「移動時の待ち時間を短くしたい」という情報が含まれている場合には、乗車地点等でのユーザ3の待ち時間が最短となるように乗降地点P1~P4を決定することができ、ユーザ3にとってより満足度の高い大型モビリティ2の運行管理を行うことができる。
【0065】
(5)運行管理サーバ10は、ユーザ情報取得部14により取得されたユーザ3の嗜好情報に基づいて、複数の大型モビリティ2からユーザ3に適した大型モビリティ2a,2bを選定する選定部15をさらに備える(図3)。大型モビリティ2は、例えば喫煙車両、女性専用車両等、特定の属性を有する、あるいは、ネットワーク等の各種サービスを提供する。このような各種サービスを提供する大型モビリティ2の中から、よりユーザ3の嗜好情報に適した大型モビリティ2を選定することで、ユーザ3にとってより満足度の高い大型モビリティ2の運行管理を行うことができる。
【0066】
(6)本発明の実施形態に係る運行管理方法は、ユーザ3が乗車可能な大型モビリティ2の運行ルートRBを生成し、大型モビリティ2の運行情報を取得し(ステップS1)、ユーザ3の乗降要求と、現在地情報と、目的地情報とを取得し(ステップS2)、ユーザ3の乗降要求が取得されると、大型モビリティ2の運行情報と、ユーザ3の現在地情報および目的地情報とに基づいて、運行ルートRB上におけるユーザ3が大型モビリティ2に乗車するための乗車地点P1,P3と、大型モビリティ2から降車するための降車地点P2,P4と、を決定し(ステップS3,S5)、乗車地点P1,P3と降車地点P2,P4とを出力する(ステップS8)。これによりユーザ3にとって満足度の高い効率的な大型モビリティ2の運行管理を行うことができる。
【0067】
(7)運行管理システム100は、運行管理サーバ10と、大型モビリティ2に搭載された車載端末20と、ユーザ3が所持または携帯するユーザ端末4とを備える(図2)。大型モビリティ2の車載端末20は、運行ルート生成部12により生成された運行ルートRBに応じて大型モビリティ2の移動を制御し、大型モビリティ2の運行情報を運行管理サーバ10に送信し、ユーザ端末4は、ユーザ3の乗降要求と、現在地情報と、目的地情報とを運行管理サーバ10に送信する。このような運行管理システム100により、大型モビリティ2の運行ルートRB上に、ユーザ3にとって最適な乗降地点が決定され、ユーザ3にとって満足度の高い効率的な大型モビリティ2の運行管理が行われる。
【0068】
なお、上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。上記実施形態では、自動運転機能を有するバス等の車両の運行を管理するようにしたが、ユーザが乗車可能な乗合移動体の構成は上述したものに限らない。乗合移動体は、例えば、乗り合いタクシー、路面電車や水上バス等であってもよく、大型の車両でなく、小型の車両であってもよい。また、乗合移動体は、自動運転で走行するのではなく、運転士が操縦して走行するものであってもよく、この場合は乗合移動体の車載端末に表示部等を設け、運転士に運行ルートや乗降地点を案内するようにしてもよい。
【0069】
上記実施形態では、運行ルートRBを固定または生成したものとして示したが、これを要求に応じて変更可能としてもよい。例えば、ユーザ3の現在地情報や小型モビリティ5の可動範囲情報に基づいて、運行管理サーバ10の運行ルート生成部12の処理により運行ルートRBを適宜修正し、大型モビリティ2に通知するようにしてもよい。すなわち、運行ルート生成部の構成は上述したものに限らない。
【0070】
上記実施形態では、運行管理装置の一例としての運行管理サーバ10が大型モビリティ2の運行ルートRBを生成するようにしたが、運行ルートはこのようなものに限らない。例えば、各大型モビリティ2の所有者等が予め決めて登録してもよい。また、大型モビリティ2側で生成または修正した運行ルートを運行管理サーバ10側に送信するようにしてもよい。すなわち、運行ルート生成部を運行管理装置以外(例えば乗合移動体等)に設けることもできる。
【0071】
上記実施形態では、小型モビリティ5の現在地と移動可能な距離とを含む情報を可動範囲情報として運行管理サーバ10に送信したが、可動範囲情報はこれに限らない。例えばユーザ3が小型モビリティ5を利用せずに徒歩で移動する場合、可動範囲情報は、ユーザ3の現在地と移動可能な距離とを含む情報であってもよい。
【0072】
上記実施形態では、ユーザ3の現在地からの出発可能時刻、目的地、目的地への到着希望時刻等を含む行動予定に基づいて乗降地点Pを決定するようにしたが、ユーザの目的地情報は上述したものに限らない。目的地情報は、例えば乗合移動体の行先方面のみであってもよく、出発可能時刻や到着希望時刻を指定しなくてもよい。例えば、乗合移動体に乗車することのみを目的地情報としてもよい。すなわち、可動範囲情報や目的地情報を取得するユーザ情報取得部の構成は、上述したものに限らない。
【0073】
上記実施形態では、ユーザ3が立って乗車可能なスケートボードやキックスケーターのような簡易な形状の電動の小型モビリティ5を利用して移動するようにしたが、ユーザが乗車可能かつ携行可能であれば、可搬移動体はいかなるものでもよい。例えば、大型モビリティ2に乗車可能な車椅子等であってもよい。小型モビリティ5のサイズや重量によって乗車可能な大型モビリティ2が制限される場合には、そのような情報をユーザ3の嗜好情報に含めて、それに応じて大型モビリティ2を選定するようにしてもよい。また、大型モビリティ2の乗員(スタッフや同乗者)の補助が必要な場合には、そのような情報をユーザ3の嗜好情報に含めて、大型モビリティ2に送信するとともに乗員に通知するようにしてもよい。また、小型モビリティ5とユーザ端末4とを一体に形成してもよい。
【0074】
上記実施形態では、運行管理装置の一例としての運行管理サーバ10がユーザ3の乗車する大型モビリティ2を選定するようにしたが、ユーザ3がユーザ端末4を介して乗車を希望する大型モビリティ2を選定するようにしてもよい。すなわち、乗合移動体を選定する選定部を運行管理装置以外(例えばユーザ端末等)に設けることもできる。
【0075】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0076】
2(2a,2b) 大型モビリティ、4 ユーザ端末、5 小型モビリティ、6 ネットワーク、10 運行管理サーバ、11 通信部、12 運行ルート生成部、13 運行情報取得部、14 ユーザ情報取得部、15 選定部、16 乗降地点決定部、17 乗降ルート生成部、18 出力部、19 記憶部、20 車載端末、21 通信部、22 GPS受信機、23 制御部、41 通信部、42 GPS受信機、43 入力部、44 表示部、45 制御部、50 車載端末、51 通信部、52 GPS受信機、53 制御部、100 運行管理システム
図1
図2
図3
図4