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特許7399078生体の焦点合わせ機能を有する小型のレンズ-ファイバ間コネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】生体の焦点合わせ機能を有する小型のレンズ-ファイバ間コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20231208BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20231208BHJP
   G03B 13/32 20210101ALI20231208BHJP
【FI】
G02B6/32
G02B7/04 D
G03B13/32
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020510611
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 CA2018051422
(87)【国際公開番号】W WO2019090432
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】62/584,118
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520056039
【氏名又は名称】ニューレセンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンダー ヨハネス ベーレン
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0206904(US,A1)
【文献】特開2015-206912(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084113(WO,A1)
【文献】実開平04-003407(JP,U)
【文献】特開平06-027393(JP,A)
【文献】実開平04-107206(JP,U)
【文献】実開平05-069709(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学撮像コネクタであって、
光学画像を伝送するための光ファイバが中に位置付けられる光ファイバフェルール、及び、
前記フェルールに固定され、第1の結合部分のある径方向延長部を有するフェルールアダプタ
を備えるファイバ組立体と、
撮像ターゲットに隣接して固定されるように構成された遠位端部を有するレンズ、
前記フェルールを受け、それを前記レンズと実質的に同軸の関係に維持するフェルール受け部に前記レンズの近位端部が隣接する状態で、前記レンズが中に装着されるレンズホルダであって、前記レンズホルダは、前記第1の結合部分に係合して前記ファイバ組立体をレンズ組立体に取外し可能に結合する第2の結合部分のある径方向延長部を有する、レンズホルダ、及び
前記レンズホルダに対する前記第2の結合部分の長手方向位置を変え、それにより前記フェルール受け部の前記フェルールの軸方向位置を変えるように、ユーザにより手動で調節可能な焦点調節機構
を備える前記レンズ組立体と
を備える光学撮像コネクタ。
【請求項2】
前記第1の結合部分および前記第2の結合部分は、前記第1の結合部分と前記第2の結合部分の間に磁気引力をもたらす少なくとも1つの磁気要素を備える請求項1に記載の光学撮像コネクタ。
【請求項3】
前記第1の結合部分および前記第2の結合部分はそれぞれ磁気要素を備え、前記磁気要素は、互いに相互引力を有する請求項2に記載の光学撮像コネクタ。
【請求項4】
前記レンズホルダの前記径方向延長部はねじ切りされた孔を有し、前記焦点調節機構は、前記ねじ切りされた孔の内ねじ山に噛み合う外ねじ山を有するねじであって、前記ねじが回転すると、前記第2の結合部分の前記長手方向位置が変わるねじを備える請求項1に記載の光学撮像コネクタ。
【請求項5】
前記ねじの頭部は、ユーザのアクセスを容易にするように、前記コネクタの近位端の方向を向いている、請求項に記載の光学撮像コネクタ。
【請求項6】
前記フェルール受け部は、前記フェルールと前記レンズとの接触を防止するために、前記フェルールが前記レンズホルダに挿入されてもよい範囲に制限を加える環状の内側表面を、前記レンズの前記近位端部に隣接して有する請求項1に記載の光学撮像コネクタ。
【請求項7】
前記第1の結合部分と前記第2の結合部分との係合により、前記ファイバ組立体と前記レンズ組立体との間で一定の相対的な角度配向が維持される請求項1に記載の光学撮像コネクタ。
【請求項8】
前記第2の結合部分は、前記焦点調節機構に装着される、請求項1に記載の光学撮像コネクタ。
【請求項9】
前記焦点調節機構は、前記コネクタの近位端から前記ユーザにアクセス可能である、請求項1に記載の光学撮像コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、光コネクタの分野に関し、より詳細には、レンズを光ファイバに結合するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、到達するのが困難な場所の撮像が必要になる。アクセスのしやすさから、多くの場合、撮像区域へ到達するために光ファイバが使用される。撮像部位ではファイバの端部において、画像を形成するためのレンズをファイバの端部に有する必要があり、次いでこの画像が、撮像システムの残りの部分に送信されてもよい。
【0003】
こうした用途の例は、生きた自由に動く哺乳動物の脳の組織の撮像である。この例では、レンズが脳組織に位置付けられ、焦点合わせされた画像を、撮像部位から、撮像システムの残りの部分が存在する場所に転送できるように、このレンズに撮像光ファイバが結合されなくてはならない。こうした実験では、長期間にわたって脳を何度も撮像することが必要な場合がある。しかし、レンズにファイバを接続し、撮像セッションを実行し、レンズからファイバを分離するという工程は、面倒で時間がかかることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの既存のファイバ-レンズ間コネクタでは、コネクタの機能を制限する様々な問題が存在する。撮像セッションごとに焦点が変わることがあるので、撮像装置の焦点合わせ特性を維持するのが困難なことが多い。また、脳組織に対してコネクタを操作するのも困難なことが多く、この操作によって、組織が損傷を受けることになる場合もあり得る。従来のコネクタのサイズおよび重量も問題になることがあり、特にマウスなどの小型哺乳動物を撮像しようとするとき、それらが大きすぎる場合には、動物の自然な動きおよび行動を妨げる恐れがある。加えて、既存のコネクタの接合は、常に完全に安定しているわけではなく、または使用者が常に容易に操作できるわけでもない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、レンズ組立体に取外し可能に取付け可能なファイバ組立体を有する光学撮像コネクタが提供される。レンズ組立体は、勾配屈折率(graded refractive index:GRIN)レンズなどのレンズを有し、このレンズは、実験動物の脳組織などの撮像ターゲットに隣接した所定の位置に固定されてもよい。ファイバ組立体は、レンズ組立体に容易に接続および分離することができ、それにより、2つの組立体が接続されると、レンズによって収集された画像が、ファイバ組立体の光ファイバに結合される。ファイバ組立体を、レンズ組立体から迅速に分離および再接続することにより、撮像ターゲットから測定結果を繰り返し容易に得ることができるようになる。
【0006】
ファイバ組立体は、光学画像を伝送するための光ファイバが中に位置付けられる光ファイバフェルールを有する。フェルールアダプタはフェルールに固定され、第1の結合部分のある径方向延長部を有する。レンズ組立体は、撮像ターゲットに隣接して固定されるように構成された遠位端部のあるレンズを有する。レンズは、その近位端部がレンズホルダのフェルール受け部に隣接する状態で、レンズホルダに装着され、このフェルール受け部は、フェルールを受け、それをレンズと実質的に同軸の関係に維持する。レンズホルダは、フェルールアダプタの第1の結合部分に係合してファイバ組立体をレンズ組立体に取外し可能に結合する第2の結合部分のある径方向延長部も有する。例示的な実施形態では、第1の結合部分および第2の結合部分は、第1の結合部分と第2の結合部分の間で磁気引力をもたらす少なくとも1つの磁気要素を備える。
【0007】
コネクタは、レンズ組立体の一部である焦点調節機構も有する。機構は、レンズホルダに対する第2の結合部分の長手方向位置を変えるように、ユーザにより手動で調節可能である。次いでこれにより、フェルールがフェルール受け部に位置付けられているときに、その軸方向位置が変えられ、これによりレンズとファイバの間の距離も変わるので、焦点合わせが変えられる。例示的な実施形態では、レンズホルダの径方向延長部はねじ切りされた孔を含み、焦点調節機構は、ねじ切りされた孔の内ねじ山に噛み合う外ねじ山を有するねじを利用する。ねじの回転により、第2の結合部分の長手方向位置が変わり、それによりフェルールアダプタおよびフェルールが、レンズホルダに対して軸方向に移動する。
【0008】
第1の結合部分および第2の結合部分は、これら2つの結合部分が互いに係合したときに、これらの間で一定の相対的な角度配向を維持するように構成されてもよい。焦点を調節するために使用されるねじの上部が戻り止めとして作用し、第1の結合部分の空間内に延在してもよく、この第1の結合部内でそれが、2つの結合部分間の相対的な回転を防止する。ファイバ組立体とレンズ組立体の間でこの共通の角度配向を維持することにより、ファイバにより伝送される画像が、撮像ターゲットに対して常に同じ配向を有することが確実になる。
【0009】
代替的な実施形態では、光学撮像コネクタは、光ファイバが位置付けられる光ファイバフェルールと、フェルールに固定されるフェルールアダプタであって、外ねじ山および軸方向に延在する戻り止めをアダプタの遠位側に有するフェルールアダプタとを有する。レンズは、その遠位端部を撮像ターゲットに隣接して固定させるように構成され、その一方で、その近位端部はフェルール受け部に隣接してレンズホルダに装着され、このフェルール受け部は、ファイバフェルールを受け、それをレンズと実質的に同軸の関係に維持する。レンズホルダは、外ねじ山を有し、フェルールアダプタとレンズホルダが互いに軸方向に隣接するときに、それらの間で相対的な回転を防止するように戻り止めを受ける。レンズホルダは、たとえば、軸方向に延在するタブであってもよい戻り止めが挿入されるスロットを有してもよい。
【0010】
コネクタは、フェルールアダプタのねじ山とレンズホルダのねじ山の両方に係合する内ねじ山のある焦点調節機構を含む。焦点調節機構は、フェルールアダプタとレンズホルダの間で相対的な長手方向位置を変え、それによりフェルール受け部のフェルールの軸方向位置を変えるように、ユーザにより手動で回転可能である。特に、焦点調節機構は、ナットの2つの開口部に、異なるねじ山方向の、すなわち右向きおよび左向きのねじ山を有するナットを含んでもよい。したがって、ナットが回転することにより、フェルールアダプタとレンズホルダが互いに向かって、または互いに離れるように移動する。係合されると、焦点調節機構は、フェルールアダプタとレンズホルダを互いに実質的に同軸の位置に維持するが、機構を極度位置まで回転させると、内ねじ山が、フェルールアダプタとレンズホルダのねじ山から係合解除されて、フェルールをレンズホルダから取り外すことができるようになる。
【0011】
主題を容易に理解できるように、実施形態が例として添付図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明による、焦点調節可能で安定したレンズ-ファイバ間コネクタの第1の実施形態の分解斜視図である。
図1B図1Aのコネクタの正面図である。
図1C】断面の方向を図1Bに示す、コネクタの側方断面図である。
図1D図1Cとは反対の側面を示す、図1Aのコネクタの側面図である。
図1E図1Aのコネクタの下面図である。
図2A】本発明による、焦点調節可能で安定したレンズ-ファイバ間コネクタの第2の実施形態の分解斜視図である。
図2B図2Aのコネクタの正面図である。
図2C】断面の方向を図2Bに示す、図2Aのコネクタの後方断面図である。
図2D図2Aのコネクタの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1Aには、分解した形で示されるレンズ-ファイバ間コネクタの第1の実施形態が表される。コネクタは、2つの主要な組立体であるレンズ組立体とファイバ組立体とを含み、これらのそれぞれは、互いに固定された構成要素から成る。しかし2つの組立体は互いに取外し可能に結合されることが可能であり、ファイバ組立体がレンズ組立体に接続または分離される。ファイバ組立体は、フェルール12内に位置付けられる光ファイバを含み、このフェルール12にフェルールアダプタ14が取り付けられる。フェルールアダプタ14に円筒形磁石16aが装着され、この円筒形磁石16aは、レンズアセンブリの円筒形磁石に対して相互引力を有しており、これについては以下でより詳細に検討する。レンズ組立体は、撮像部位に位置付けられコレット13の第1の孔にあるレンズ11を含み、コレット13の反対側は、ファイバ組立体のファイバフェルール12を受ける。またコレット13には、ねじ切りされた孔が位置付けられ、これが、コレット孔のねじ山と噛み合うねじ山を有する焦点合わせねじ15を受ける。ねじ15の上部17の一部分は、レンズ組立体の円筒形磁石16bによって囲まれている。
【0014】
図1Bは、レンズ組立体とファイバ組立体のそれぞれの構成要素を組立て済みの構成で示す正面図である。2つの組立体は、撮像動作中にそれらを互いにそれに沿って接続することができる軸に対して、隣り合って示されている。断面線は、図1Cに示す側方断面図の見地を示し、これは、システムの動作を理解するのに有益である。
【0015】
図1Cに示すように、コネクタは、コネクタの長手方向軸に対して非対称的である。レンズ11は、異なる直径または長さを有することができるレンズであり、上述したように、本実施形態において、これは勾配屈折率(GRIN)レンズである。この実施形態では、レンズは直径1mm、および長さ約4mmであるが、他のサイズも可能である。レンズのサイズが小型であることによって、レンズは、マウスなどの小型哺乳動物の脳組織など、対象の解剖学的領域に接続するのによく適したものになる。典型的な撮像状況では、レンズは、メタボンドまたは歯科用セメントなどの強力な生体適合性の接着剤を使用して、被検体の脳組織に固定される。この種の実験は、長期間(多くの場合、数ヶ月)にわたって、脳組織を複数回撮像する必要があるので、レンズ組立体はこの期間中、定位置に残されるが、ファイバ組立体はこの期間中、撮像の必要がないときには分離される。
【0016】
レンズ11は円筒形の外面を有し、コレット13の円筒形の嵌合延長部に挿入され、コレット内の正確なロケーションにおいてコレットに接着され、接着剤は、たとえば図1Cに示す境界面19に塗布される。本実施形態では、レンズは、ファイバ組立体とレンズ組立体が互いに接続されたときに、レンズの近位端部とファイバ組立体のファイバの遠位端部との間が、約10または20ミクロンという最小距離になる位置において、コレットに位置付けられる。ファイバが挿入されるコレット13の受入れ孔13aは、この最小距離を確保する先細り面13cをレンズ11に隣接して有し、ファイバとレンズとの接触を防止し、これが防止されなければ、この接触によりレンズが破損したり、ファイバの先端が傷ついたりする恐れがある。
【0017】
コレット13の別の孔13bが、孔13aに隣接して存在し、ねじ15の外ねじ山に噛み合う内ねじ山を有している。この実施形態では、孔13aおよび13bの長手方向軸は平行である。図1Cに示すように、ねじ15は、ねじの下側部分のねじ山より直径が小さい、ねじ切りされていない上側部分を有する。環状の磁石16bは、この上側ねじ部分の周りに位置付けられ、この上側ねじ部分の直径はそれを受けるのに十分なほど小さいが、ねじ山の直径がより大きいことにより、磁石がねじ本体の下にさらに移動することが防止される。磁石16bの高さは、磁石16bがねじ山に隣接して置かれたときに、ねじ15の上部17が、わずかに磁石から突出するような高さである。これにより、ねじへのアクセスが提供され、ユーザが手で、またはねじ回しなどの適切な工具で、それを調節することができるようになる。
【0018】
また図1Cには、ファイバフェルール12およびフェルールアダプタ14が示してある。この実施形態では、フェルール12は、直径1.7mm、および長さおおよそ25mmである。アダプタ14の断面に示すように、これはフェルール12の外面に固定され、横方向に延在する磁石ホルダ18を有する。磁石ホルダ18内に円筒形の磁石16aが位置付けられ、これは、好ましくは磁石16bと同じ直径およびボアを有する。磁石16aは、磁石ホルダ18内に固定され、これは、ファイバ組立体とレンズ組立体が互いに接続されたときに、磁石16bに位置合わせされるように位置付けられる。すなわちフェルール12は、コレット13に挿入されると、磁石16aと16bが互いに隣接するように回転されてもよく、それにより、コレット内にフェルール12をさらに挿入することによって、ねじ15の上部17が、磁石16aのボアに挿入されることになる。磁石16aと16bは相互に引き合い、2つの組立体を互いにこの位置において保持する。
【0019】
当業者には理解されるように、ねじ15および磁石16bの位置は、ファイバ組立体とレンズ組立体の相対的な位置決めに影響する。フェルールアダプタ14は、ねじ15がコレットのねじ切りされた孔に完全にねじ込まれたときに、コレット13の先細り表面13cにファイバが隣接することになる位置において、接着などによってフェルール12に固定される。ねじ切りされた孔からねじ15が緩められるにつれて、磁石16aと16bの接触点はコレット13から遠くなるように移動し、フェルール12の遠位端部は、先細り表面13cから離れるように移動するが、受入れ孔13aの中には残っている。こうして、ファイバの先端とレンズの間の距離、したがってファイバに対するレンズの焦点合わせを、上部からねじを調節することによって変えることができる。
【0020】
ファイバ組立体およびレンズ組立体が互いに接続されると、磁石は、組立体、したがってファイバおよびレンズを定位置にしっかり維持する。加えて、磁石16aのボア内にねじ15の上部17が位置付けられることにより、フェルール12とコレット13の間、したがってファイバとレンズの間の相対的な回転移動が防止される。これにより、ファイバが接続される検出器(図示せず)において、レンズからの画像の相対的な回転が防止され、異なる時間に撮られた画像を容易に比較することができるようになる。
【0021】
フェルールアダプタ14の磁石保持部分18の上部の開口部により、ファイバ組立体とレンズ組立体が互いに接続されたときに、ねじの上部にアクセスできるようになる。したがって、ユーザは、ねじを回してそれらの間の相対距離を変えることにより焦点を調節することができ、その間に、ファイバとレンズが適切に互いに対して位置決めされる。こうして、ユーザは、最良の焦点を実現するようにファイバ-レンズ間の距離を変えながら、画像を観察することができる。さらに、コレットのねじ切りされた孔におけるねじの摩擦抵抗は十分に高いので、手動で調節することなくねじの位置がずれることはない。したがって、所望の調節が行われたら、ユーザがファイバ組立体を何回分離および再接続するかに関わらず、このレンズに対する適切な焦点位置が残る。さらに、異なるファイバとともに複数のフェルールがシステムで使用され、フェルールおよびフェルールアダプタに対するファイバの位置決めがすべて同じ場合には、所与のレンズ組立体とともに使用されるファイバフェルールのそれぞれについて、正しい焦点合わせ位置が維持されることになる。
【0022】
図1A図1Eの実施形態のような実施形態では、コネクタの構成要素は、適切な光学配列を確保するために特定の順番で組み立てられてもよい。まず、ねじ15が、コレット13のねじ切りされた孔に位置付けられ、完全にねじ込まれる。磁石16aがフェルールアダプタ14に接着され、次いでこのフェルールアダプタ14がフェルールに位置付けられるが、まだ接着はされない。磁石16bが、磁石16a、16b間に相互引力をもたらす配向でねじ頭に位置付けられ、GRINレンズ11がコレット13に挿入される。次いでファイバフェルールが、先細り面13cに到達するまでコレット13の受入れ孔13aに挿入される。次いで、磁石16a、16bが互いに隣接するように、ファイバフェルールアダプタがフェルール12に位置決めされる。コネクタ構成要素がこの位置にある状態で、レンズ11がコレット13に接着され、フェルールアダプタ14がファイバフェルール12に接着される。磁石16bも、ねじ15の上部に接着される。接着剤が固まると、コネクタ構成要素は、ファイバ組立体がレンズ組立体に対して分離および再接続されるときに再現可能な適切な光学配列を可能にする正しい相対位置を有する。
【0023】
レンズ11とフェルール12のファイバとの間の焦点合わせは、ねじを回転させてフェルール12の先端とレンズ11との間の距離を変えることによって調節可能である。この焦点合わせ調節により、検査されている哺乳動物の脳組織などの撮像対象に対する、レンズ11の位置決めのされ方における差異を、コネクタが補償できるようになる。レンズの位置決めが異なると、必要な焦点合わせ調節が異なる場合があるが、グリンレンズは定位置に固定することができ、焦点合わせ調節はコレット13およびレンズ11とともに残るので、ファイバ組立体がレンズ組立体に再接続されるたびに調節を繰り返す必要はない。さらに、1つのファイバ組立体が接続されるレンズ組立体は複数存在してもよく、それぞれの焦点合わせ調節はレンズ組立体にあるので、それぞれのレンズ組立体について適切な焦点合わせ調節が行われたら、再調節する必要はない。したがってコネクタは、ファイバ組立体と1つまたは複数のレンズ組立体との間で、簡単で再現可能な接続を可能にする。
【0024】
コネクタは、特に小型哺乳動物の脳撮像を行うために、いくつかの異なる利点を提供する。上で検討したように、ファイバとレンズ11の間の距離は、すべての撮像セッションについて同じまま残り、したがってユーザは、生物組織において確認された変化が、撮像装置の焦点合わせ特性に起因するのではなく、組織の変化に起因するという確信をもつことができる。また、第1の撮像セッション中にレンズとファイバの間の焦点距離が設定されると、それはその後のすべての撮像セッションについて同じまま残るので、ユーザは、すべての撮像セッションにおいて同じ対物面が撮像されているという確信をもつこともできる。またシステムでは、焦点の変更を、レンズを押したり引いたりすることなく、徐々に連続的なやり方で行うことができ、それにより脳組織を傷つけることが防止される。組立体が分離および再接続されるときに、ファイバ組立体とレンズ組立体との間で同じ回転配向が維持されるので、撮像フィールドの配向も、異なる撮像セッション間で同じまま残る。
【0025】
コネクタの構成は、マウスなどの小型齧歯類の脳の撮像のような、小型の用途にも特に適している。例示的な実施形態では、コネクタのサイズは十分に小さいので、複数(たとえば4つ)のコネクタをマウスの頭部に付けることができる。たとえば、図1Aから図1Eに示す実施形態では、レンズ11は、直径1.0mm、および長さ約4mmであってもよい。ねじ15がコレット13のねじ切りされた孔に完全に挿入された状態で、コレットは全長約7.3mm、および最大幅約5mmである。この実施形態のフェルールは、直径約1.7mm、および長さおおよそ25mmである。したがって、コネクタは小型の用途に特に適していることがわかる。コネクタの重量も最小に、たとえば約300mgに抑えられており、それにより自然な動物の動きおよび行動が重量によって妨げられないようなやり方で、小型齧歯類は複数のコネクタを支持することができる。
【0026】
コネクタは、1人のユーザが使用するのにもよく適している。特にこの設計により、マウスなどの動物の頭部にレンズが埋入されたとき、動物が覚醒しており最小限の拘束しかされていない間に、たとえばユーザが動物を一方の手で持ち、他方の手で焦点を変えられるようにすることによって、ユーザは焦点を変えることができるようになる。ユーザはこれを、埋入数、たとえば4回、非常に迅速に行うことができるが、それはレンズ組立体の埋入ごとの焦点合わせ機構が、容易にアクセス可能で、正確で、早いからである。最後に、レンズとファイバが定位置に固定されると、それらの間の相対移動は生じないので、被検体、たとえばマウスが、その頭部にレンズおよびファイバがある状態で動き回っても、画像は完全に安定した状態のままである。
【0027】
図2Aから図2Dには、図1A図1Eの実施形態よりも細いプロファイルを有する本発明の代替的な実施形態が示してある。図2Aの分解斜視図では、レンズ21を受ける孔を有するコレット23に隣接してグリンレンズ21が示してある。コレット23は、ファイバフェルール22に固定されるファイバフェルールアダプタ24から延在するキー27を受けるスロット26を有する。コレット23は、ナット25の遠位端部の内ねじ山に噛み合うねじ切りされた外面を有し、一方フェルールアダプタ24は、ナット25の近位端部の内ねじ山に噛み合うねじ切りされた外面を有する。
【0028】
ナット25の近位端部および遠位端部の内ねじ山は、それぞれねじ方向が反対である。すなわち、これらの内ねじのうちの一方は左ねじ山であり、他方は右ねじ山である。したがって、コレット23、ナット25、およびフェルールアダプタ24が互いに組み立てられるとき、ナットを一方向に回転させることによって、コレット23とフェルールアダプタ24の両方が互いに向かって引き寄せられ、反対方向に回転させることによって、それらが引き離されるように動く。したがって、コネクタの焦点合わせは、ユーザが単にナット25を回転させることによって制御することができ、これは、レンズおよびファイバを互いに軸方向に移動させるように手動で調節可能であってもよい。これらの構成要素が互いに組み立てられると、フェルールアダプタ24のタブ27は、コレット23のスロット26に位置付けられ、それにより、フェルールアダプタとレンズ21の一定の相対的な回転配向が維持される。この相対的な配向は、ユーザがファイバをレンズに何回分離および再接続するかに関わらず残る。
【0029】
図2Aに示すコネクタの構成要素の組立ては、最初にナット25をフェルールアダプタ24に取り付け、次いでそれら両方をファイバフェルール22の周りに位置付けることによって行われてもよい。ナットは、タブ27の端部がナット25の遠位端部に至るまで、フェルールアダプタ24のねじ山で前に進められる。次いで、タブ27とスロット26を位置合わせしながら、ファイバフェルール22がコレット23に挿入され、ナット25とコレット23を可能な限り互いにねじ締めする。次いでファイバがフェルール22に挿入され、レンズ21がコレット23に挿入され、それぞれが可能な限り前に進められる。この相対位置では、ファイバはレンズから約10~20ミクロンの距離にある。組立体がこのように設定された状態で、レンズ21がコレット23に接着され、フェルールアダプタ24がファイバフェルール22に接着される。図1A図1Eの実施形態と同様に、図2A図2Dの実施形態により、小動物の撮像に使用することができる小型の再現可能なファイバ-レンズ間コネクタが提供される。コネクタのプロファイルはより細く、構成要素の数は少ないが、ファイバフェルール22がレンズ21およびコレット23から分離されたときに、焦点設定は自動的に維持されない。しかし、ナット25の回転数を記録し、またはコレット23とフェルールアダプタ24のいずれかまたは両方へのマーキングを使用して、所望の焦点におけるナットの適切な回転位置が識別されてもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D