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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】癌を処置するための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5377 20060101AFI20231208BHJP
   A61K 31/203 20060101ALI20231208BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20231208BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20231208BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20231208BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231208BHJP
   A61K 31/66 20060101ALI20231208BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231208BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61K31/203
A61K31/4184
A61K31/4545
A61K31/506
A61K31/519
A61K31/66
A61P11/00
A61P35/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020512822
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2018049516
(87)【国際公開番号】W WO2019050924
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】62/554,484
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513137330
【氏名又は名称】エピザイム,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(72)【発明者】
【氏名】マリア アレハンドラ ライモンディ
(72)【発明者】
【氏名】ドロシー ブラック
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516046(JP,A)
【文献】国際公開第2017/132518(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/172199(WO,A1)
【文献】特表2015-518001(JP,A)
【文献】Epizyme, Inc.,"Epizyme Expands Clinical Collaboration to Study Tazemetostat and TECENTRIQ Combination in NSCLC" [online],2017年06月26日,[retrieved on 2022-08-22],Retrieved from the Internet: <URL: https://epizyme.gcs-web.com/static-files/42ee7657-1347-4f7a-831c-f79514ee8a06>
【文献】肺癌 第55回日本肺癌学会学術集会号,2014年,Vol.54, No.5,p.437, Abstract No.P-68
【文献】第73回日本癌学会学術総会抄録集,2014年,Abstract No. P-3128
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の第2の治療薬と組み合わせにおける、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療に使用される、EZH2阻害剤を含む組成物であって、
前記EZH2阻害剤が、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩であり、
前記1以上の第2の薬剤が
(i)セリチニブ、
(ii)クリゾチニブ、
(iii)ブリガチニブ、
(iv)アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ又はそれらの組み合わせ
(v)MK-1775、
(vi)ベリパリブ
(vii)ATRA、或いは、
(viii)化合物(H)
【化1】

又はその薬学的に許容される塩
を含む、前記組成物。
【請求項2】
タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の量が、約100mg以上約1600mg以下、或いは、約100mg、約200mg、約400mg、約800mg、又は約1600mgである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、1日2回(BID)投与されるものである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、経口投与されるものであるか、
カプセル又は錠剤として投与されるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
EZH2阻害剤と1以上の第2の治療薬とを含む非小細胞肺癌(NSCLC)の治療用組成物であって、
前記EZH2阻害剤が、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩であり、
前記1以上の第2の薬剤が
(i)セリチニブ、
(ii)クリゾチニブ、
(iii)ブリガチニブ、
(iv)アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ又はそれらの組み合わせ
(v)MK-1775、
(vi)ベリパリブ
(vii)ATRA、或いは、
(viii)化合物(H)
【化1】

又はその薬学的に許容される塩
を含む、前記治療用組成物。
【請求項6】
非小細胞肺癌細胞の成長、生存率、生存又は増殖を阻害又は減少させるために用いられる、EZH2阻害剤及び1以上の第2の治療薬を含むキットであって、
前記EZH2阻害剤が、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩であり、
前記1以上の第2の薬剤が
(i)セリチニブ、
(ii)クリゾチニブ、
(iii)ブリガチニブ、
(iv)アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ又はそれらの組み合わせ
(v)MK-1775、
(vi)ベリパリブ
(vii)ATRA、或いは、
(viii)化合物(H)
【化1】

又はその薬学的に許容される塩
を含む、前記キット。
【請求項7】
前記EZH2阻害剤が、前記非小細胞肺癌の成長、生存率、生存又は増殖を少なくとも50%、少なくとも70%又は少なくとも90%阻害又は減少させるのに十分な量で投与されるものである、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
インビトロ又はエクスビボで用いられるか、或いは
前記EZH2阻害剤及び前記1以上の第2の治療薬を、癌細胞を有する被験体に投与することによってインビボで用いられるものである、請求項6又は7に記載のキット。
【請求項9】
前記EZH2阻害剤及び前記1以上の第2の治療薬が連続的に投与されるものであるか、
前記EZH2阻害剤が、前記1以上の第2の薬剤の前に投与されるものであるか、
前記1以上の第2の薬剤が、前記EZH2阻害剤の前に投与されるものであるか、
前記EZH2阻害剤が、タゼメトスタットの薬学的に許容される塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物、請求項5に記載の治療用組成物、又は、請求項6~8のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、内容全体を参照により本明細書に援用する、2017年9月5日に出願された米国仮特許出願第62/554,484号明細書の優先権及び利益を主張する。
【0002】
本発明は、ヒストンH3のリシン27(H3-K27)のモノメチル化からトリメチル化を触媒するPRC2複合体の触媒サブユニットであるヒトヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2の阻害剤と、1つ又は複数の他の治療剤、特に抗癌剤とを含む組成物、及び癌を処置するための併用療法の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌の併用療法処置は、一つには複数の手段によって疾患を攻撃することの利点が認められたことが理由で、ますます普及してきた。多くの有効な併用療法処置が過去数十年かけて確認されてきたが、癌による死亡数が毎年継続して多いことを考慮すると、抗癌処置において使用するための有効な治療レジメンを突き止める必要性が継続的に存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、EZH2ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤と他の抗癌剤とを併用で使用して一定の腫瘍を処置すると、EZH2ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び抗癌剤を単独で用いて腫瘍を処置することによって達成される結果より優れた結果を得ることができる、という発見に基づいている。したがって、本開示は、EZH2ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤と1つ又は複数の他の治療剤とを含む組成物、及びヒストン又は他のタンパク質のメチル化状態の調節によってその過程が影響を受け得る疾患、たとえば癌を処置するためのそれらの使用方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、EZH2ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩及び1つ又は複数の第2の抗癌剤を含む組成物を提供する。特定の実施形態では、本開示は、EZH2ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置用の第2の抗癌剤を含む組成物を提供する。
【0005】
本開示のいくつかの態様は、癌の処置のための方法、戦略、治療法、組成物、及び組み合わせを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体に、(a)EZH2阻害剤を含む治療有効量の第1の薬剤、及び(b)治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、本明細書で提供されるEZH2阻害剤である。例えば、限定されるものではないが、いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、又は(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩である。いくつかの例示的な実施形態では、EZH2阻害剤は、化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(Ga)、若しくは(Gb)又はその薬学的に許容される塩である。
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の処置のための方法を提供し、この方法は、それを必要とする被験体に、(a)化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(Ga)、若しくは(Gb)又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の第1の薬剤、及び(b)治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤を投与することを含む。特定の実施形態では、第1の薬剤及び/又は第2の薬剤は、薬学的に許容される担体を含み得る。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、第1の薬剤及び第2の薬剤と同じであるか、又は第1の薬剤と第2の薬剤との間で異なる。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の処置のための方法を提供し、この方法は、それを必要とする被験体に、(a)タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩を含む治療有効量の第1の薬剤、及び(b)治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤を投与することを含む。特定の実施形態では、第1の薬剤及び/又は第2の薬剤は、薬学的に許容される担体を含み得る。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、第1の薬剤及び第2の薬剤と同じあるか、又は第1の薬剤と第2の薬剤との間で異なる。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、2つ以上の第2の薬剤(例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つ、又はそれ以上の異なる第2の薬剤)を含む。典型的には、第2の薬剤は、化学療法剤、免疫腫瘍学的薬剤、及び標準的な治療剤、又はそのような薬剤の組み合わせなどの治療薬を含む。
【0009】
本開示のいくつかの態様は、それを必要とする被験体の癌の処置に使用されるEZH2阻害剤を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置に使用される式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、若しくは(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置に使用される化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(Ga)、若しくは(Gb)又はその薬学的に許容される塩を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置に使用されるタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0013】
本開示のいくつかの態様は、それを必要とする被験体の癌の処置用の医薬として使用されるEZH2阻害剤を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置用の医薬として使用される式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、若しくは(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置用の医薬として使用される化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(Ga)、若しくは(Gb)又はその薬学的に許容される塩を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置用の医薬として使用されるタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0017】
本開示のいくつかの態様は、それを必要とする被験体の癌の処置用の医薬の製造におけるEZH2阻害剤の使用を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置用の医薬の製造における式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、若しくは(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置用の医薬の製造における化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(Ga)、若しくは(Gb)又はその薬学的に許容される塩の使用を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置用の医薬の製造におけるタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の使用を提供し、この被験体には、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤も投与される。
【0021】
本開示のいくつかの態様は、それを必要とする被験体の癌の処置において、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤と組み合わせて使用されるEZH2阻害剤を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置において、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤と組み合わせて使用される式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、若しくは(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置において、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤と組み合わせて使用される化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(Ga)、若しくは(Gb)又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置において、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤と組み合わせて使用されるタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0025】
本開示のいくつかの態様は、それを必要とする被験体の癌を処置するための、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤との併用療法のための医薬として使用されるEZH2阻害剤を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌を処置するための、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤との併用療法のための医薬として使用される式(I)、(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(V)、若しくは(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置のための、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤との併用療法のための医薬として使用される化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(Ga)、若しくは(Gb)又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置のための、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤との併用療法のための医薬として使用されるタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0029】
本開示のいくつかの態様は、それを必要とする被験体の癌の処置のための、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤との併用療法のための医薬の製造におけるEZH2阻害剤の使用を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置のための、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤との併用療法のための医薬の製造における式(I)、(II)(III)、(IVa)、(IVb)、(V)又は(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置のための、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤との併用療法のための医薬の製造における化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(Ga)、若しくは(Gb)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被験体の癌の処置のための、治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤との併用療法のための医薬の製造におけるタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0033】
いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤の治療有効量は、終点を含めて約100mg~約1600mgの間の量である。特定の実施形態では、EZH2阻害剤の治療有効量は、約100mg、約200mg、約400mg、約800mg、又は約1600mgである。特定の実施形態では、EZH2阻害剤の治療有効量は約800mgである。
【0034】
いくつかの実施形態では、化合物(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(Ga)、若しくは(Gb)又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、終点を含めて約100mg~約1600mgの間である。特定の実施形態では、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約100mg、200mg、400mg、800mg、又は約1600mgである。特定の実施形態では、治療有効量のタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩は約800mgである。
【0035】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、終点を含めて約100mg~約1600mgの間である。特定の実施形態では、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、約100mg、200mg、400mg、800mg、又は1600mgである。特定の実施形態では、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は約800mgである。
【0036】
いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤の治療有効量は、単回投与として、又はある期間にわたる複数回投与、例えば1日2回(BID)、1日3回などで投与する。例えば、限定ではなく、いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるEZH2阻害剤は、1週間から6ヶ月の期間にわたって1日に2回、約100mg~約1600mgの用量で投与する。
【0037】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、例えば1回の投与につき800mg又は1600mgの用量で1日2回(BID)投与する。
【0038】
いくつかの実施形態では、治療有効量のEZH2阻害剤を経口投与する。例えば、いくつかの実施形態では、治療有効量のタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩は、カプセル剤又は錠剤として投与する。
【0039】
いくつかの実施形態では、治療有効量のEZH2阻害剤、例えば、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩は経口投与する。例えば、いくつかの実施形態では、治療有効量のEZH2阻害剤、例えば、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩は、カプセル剤若しくは錠剤として、又は液体懸濁液として経口投与する。いくつかの実施形態では、治療有効量のEZH2阻害剤は、非経口的に、例えば静脈内投与する。例えば、いくつかの実施形態では、治療有効量のEZH2阻害剤は、注射用溶液又は懸濁液として非経口的に投与する。
【0040】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態は、肺癌、例えば非小細胞肺癌を処置することを含む。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態は、肺癌、例えば非小細胞肺癌を、EZH2阻害剤、例えばタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩及び1つ又は複数の第2の薬剤(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの異なる第2の薬剤)で処置することを含む。本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態は、肺癌、例えば非小細胞肺癌を、EZH2阻害剤、例えばタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩及び2つ以上の第2の薬剤(例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つの異なる第2の薬剤)で処置することを含む。
【0041】
本明細書で提供される化合物のいくつかの実施形態は、肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置に使用される化合物を含む。本明細書で提供される化合物のいくつかの実施形態は、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置に使用される1つ又は複数の第2の薬剤(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの異なる第2の薬剤)を含む。本明細書で提供される化合物のいくつかの実施形態は、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置に使用される2つ以上の第2の薬剤(例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つの異なる第2の薬剤)を含む。
【0042】
本明細書で提供される化合物のいくつかの実施形態は、肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置用の医薬として使用される化合物を含む。本明細書で提供される化合物のいくつかの実施形態は、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置用の医薬として使用される1つ又は複数の第2の薬剤(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの異なる第2の薬剤)を含む。本明細書で提供される化合物のいくつかの実施形態は、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置用の医薬として使用される2つ以上の第2の薬剤(例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つの異なる第2の薬剤)を含む。
【0043】
本明細書で提供される化合物の使用のいくつかの実施形態は、肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置用の医薬の製造における化合物の使用を含む。本明細書で提供される化合物の使用のいくつかの実施形態は、肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置用の医薬の製造におけるタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び1つ又は複数の第2の薬剤(例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つの異なる第2の薬剤)の使用を含む。本明細書で提供される化合物の使用のいくつかの実施形態は、肺癌、例えば非小細胞肺癌の処置用の医薬の製造におけるタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び2つ以上の第2の薬剤(例えば、2つ、3つ、4つ、又は5つの異なる第2の薬剤)の使用を含む。
【0044】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、アルキル化剤又はアルキル化様剤、抗腫瘍剤、有糸分裂阻害剤、チューブリン重合阻害剤、代謝拮抗剤、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、上皮成長因子受容体(EFGR)阻害剤、EFGR及びErbB2の阻害剤、EFGR及びヒト上皮成長因子受容体2(Her2)の阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤、ALK及びROS1の阻害剤、ALK及びEGFRの阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤、BRAF阻害剤、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、Wee1阻害剤、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、グルココルチコイド受容体アゴニスト、レチノイン酸受容体アゴニスト、CBP/p300阻害剤、又はそれらの組み合わせを含む。
【0045】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、アルキル化剤又はアルキル化様剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、アルキル化剤又はアルキル化様剤と組み合わせて投与される。アルキル化剤又はアルキル化様剤である例示的な第2の薬剤としては、シスプラチンが挙げられるが、これに限定されない。
【0046】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は抗腫瘍剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される。抗腫瘍剤である例示的な第2の薬剤としては、オキサリプラチンが挙げられるが、これに限定されない。
【0047】
本開示の特定の実施形態、特に癌が非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は有糸分裂阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、有糸分裂阻害剤と組み合わせて投与される。有糸分裂阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、パクリタキセル、ドセタキセル、又はビンブラスチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤はチューブリン重合阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、チューブリン重合阻害剤と組み合わせて投与される。チューブリン重合阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、ビノレルビンが挙げられるが、これに限定されない。
【0049】
本開示の特定の実施形態、特に癌が非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は代謝拮抗剤を含む。さらなる実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、葉酸型の代謝拮抗剤を含む。代謝拮抗剤である例示的な第2の薬剤としては、ゲムシタビンが挙げられるが、これに限定されない。葉酸型の代謝拮抗剤である例示的な第2の薬剤としては、メトトレキサート、ペメトレキセド、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤と組み合わせて投与される。DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、デシタビン、アザシチジン、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、HDAC阻害剤と組み合わせて投与される。HDAC阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、ボリノスタットが挙げられるが、これに限定されない。
【0052】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤はトポイソメラーゼ阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、トポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。トポイソメラーゼ阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、イリノテカン、エトポシド、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、上皮成長因子受容体(EFGR)阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)はEFGR阻害剤と組み合わせて投与される。EFGR阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、エルロチニブ、ゲフィチニブ、AZD9291、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、上皮成長因子受容体(EFGR)及びErbB2の阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、EFGR及びErbB2の阻害剤と組み合わせて投与される。EFGR及びErbB2の阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、ラパチニブが挙げられるが、これに限定されない。
【0055】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、上皮成長因子受容体(EFGR)及びヒト上皮成長因子受容体2(Her2)の阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、EFGR及びHer2の阻害剤と組み合わせて投与される。EFGR及びHer2の阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、アファチニブが挙げられるが、これに限定されない。
【0056】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、ALK阻害剤と組み合わせて投与される。ALK阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、セリチニブが挙げられるが、これに限定されない。
【0057】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)及びROS1の阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、ALK及びROS1の阻害剤と組み合わせて投与される。ALK及びROS1の阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、クリゾチニブが挙げられるが、これに限定されない。
【0058】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)及び上皮成長因子受容体(EFGR)の阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、阻害剤ALK及びEFGRと組み合わせて投与される。ALK及びEFGRの阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、ブリガチニブが挙げられるが、これに限定されない。
【0059】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤と組み合わせて投与される。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、MEK阻害剤と組み合わせて投与される。MEK阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、トラメチニブ、セルメチニブ、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤はBRAF阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、BRAF阻害剤と組み合わせて投与される。BRAF阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、ベムラフェニブが挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、PI3K阻害剤と組み合わせて投与される。PI3K阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、ピクチリシブ又はBKM-120が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤はWee1阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、Wee1阻害剤と組み合わせて投与される。Wee1阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、MK-1775が挙げられるが、これに限定されない。
【0064】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤を含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、PARP阻害剤と組み合わせて投与される。PARP阻害剤である例示的な第2の薬剤としては、ベリパリブが挙げられるが、これに限定されない。
【0065】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、グルココルチコイド受容体アゴニストを含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、グルココルチコイド受容体アゴニストと組み合わせて投与される。グルココルチコイド受容体アゴニストである例示的な第2の薬剤としては、プレドニゾロンが挙げられるが、これに限定されない。
【0066】
本開示の特定の実施形態、特に癌が肺癌、例えば非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤はレチノイン酸受容体アゴニストを含む。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、レチノイン酸受容体アゴニストと組み合わせて投与される。レチノイン酸受容体アゴニストである例示的な第2の薬剤としては、ATRAが挙げられるが、これに限定されない。
【0067】
本開示の特定の実施形態、特に癌が非小細胞肺癌である実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、CBP/p300阻害剤を含み得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)は、CBP/p300阻害剤と組み合わせて投与される。CBP/p300阻害剤受容体アゴニストである例示的な第2の薬剤としては、以下の化合物Hが挙げられるが、これに限定されない:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩。
【0068】
化合物H、(N-(4-フルオロベンジル)-2-[(3’R,4S)-3’-フルオロ-5-{1-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル}-2,5-ジオキソ-2’、3’-ジヒドロ-1H-スピロ[イミダゾリジン-4,1’-インデン]-1-イル]-N-[(2S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル]アセトアミドは、内容全体を参照により本明細書に援用する、国際公開第2016/044770号パンフレットに記載されている。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示の第2の抗癌剤は、0.01mg/kg/日~約1000mg/kg/日の用量で投与する。
【0070】
いくつかの実施形態では、治療有効量のEZH2阻害剤及び第2の薬剤を同時に投与する。或いは、治療有効量のEZH2阻害剤及び1つ又は複数の第2の薬剤を連続的に投与する。特定の実施形態では、EZH2阻害剤は、1つ又は複数の第2の薬剤の前に投与する。特定の実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、EZH2阻害剤の前に投与する。
【0071】
EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)及び1つ又は複数の第2の薬剤が組み合わせて投与されるいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤と第2の薬剤は同時に投与される。EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)及び1つ又は複数の第2の薬剤が組み合わせて投与されるいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤と第2の薬剤は連続して投与される。EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)及び1つ又は複数の第2の薬剤が組み合わせて投与されるいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、1つ又は複数の第2の薬剤の前に投与される。EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)及び1つ又は複数の第2の薬剤が組み合わせて投与されるいくつかの実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、EZH2阻害剤の前に投与される。
【0072】
EZH2阻害剤(例えば、タゼメトスタット)及び1つ又は複数の第2の薬剤が組み合わせて投与されるいくつかの実施形態では、治療有効量のEZH2阻害剤、例えば、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び第2の薬剤が同時に投与される。或いは、治療有効量のEZH2阻害剤、例えば、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び1つ又は複数の第2の薬剤を連続的に投与する。特定の実施形態では、EZH2阻害剤、例えば、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩は、1つ又は複数の第2の薬剤の前に投与する。特定の実施形態では、1つ又は複数の第2の薬剤は、EZH2阻害剤、例えば、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩の前に投与する。
【0073】
本開示の特定の実施形態では、EZH2阻害剤は、以下の式(VIa)
【化2】
の化合物である。
【0074】
いくつかの実施形態では、式(VIa)の化合物は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る:
【0075】
及びRは各々独立にH又はC~Cアルキルである。
【0076】
及びRは、それらが結合しているN原子と一緒になっての、0又は1個の追加のヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクロアルキル環であり、C~Cアルキル及び4~12員(例えば、4~7員)ヘテロシクロアルキル環は、1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されている。
【0077】
は結合又は非置換若しくは置換C~Cアルキルリンカーである。
【0078】
はH、ハロ、4~7員ヘテロシクロアルキル、C~Cアルキル、OR、COOR、-S(O)、又は-NRであり、R及びRは各々独立にH又はC~Cアルキルである。
【0079】
はC~Cアルキル、C~Cシクロアルキル又は4~12員(例えば、4~7員)ヘテロシクロアルキルであり、各々が1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されている。例えば、RはHではない。
【0080】
は1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換された4~7員ヘテロシクロアルキルである。
【0081】
はピペリジニル、テトラヒドロピラン、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、各々が1つの-Q-Tで任意に置換されている。
【0082】
はH、ハロ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシル、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、又は4~12員(例えば、4~7員)ヘテロシクロアルキルである。
【0083】
は結合であり、TはC~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、又は4~12員(例えば、4~7員)ヘテロシクロアルキルである。
【0084】
はCO、S(O)、又はNHC(O)であり、TはC~Cアルキル、C~Cアルコキシル、C~Cシクロアルキル、又は4~12員(例えば、4~7員)ヘテロシクロアルキルである。
【0085】
はC~Cアルキルリンカーであり、TはH又はC~C10アリールである。
【0086】
はC~Cアルキルリンカーであり、TはC~Cシクロアルキル、4~7員ヘテロシクロアルキル、又はS(O)である。
【0087】
はシクロペンチル又はシクロヘキシルであり、各々が1つの-Q-Tで任意に置換されている。
【0088】
はNHC(O)であり、TはC~Cアルキル又はC~Cアルコキシである。
【0089】
はイソプロピルである。
【0090】
及びRは各々独立にH、又はアミノで任意に置換されたC~Cアルキル、モノ-C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、若しくはC~C10アリールである。
【0091】
はH、メチル又はエチルである。
【0092】
はメチルである。
【0093】
はエチルである。
【0094】
は4~7-ヘテロシクロアルキル、例えば、テトラヒドロピランである。
【0095】
本開示の特定の実施形態では、式(VIa)の化合物は、以下の式:
【化3】
を有するタゼメトスタット(本明細書では化合物(A)とも呼ばれ、且つ化合物44、EPZ-6438、及びE7438としても知られる)又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0096】
本開示の方法の特定の実施形態では、EZH2阻害剤は、以下の式:
【化4】
を有する化合物B、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0097】
本開示の特定の実施形態では、EZH2阻害剤は、以下の式:
【化5】
を有する化合物C(EPZ011989としても知られている)、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0098】
本開示の特定の実施形態では、EZH2阻害剤は、以下の式:
【化6】
を有する化合物D、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0099】
本開示の特定の実施形態では、EZH2阻害剤は、以下の式:
【化7】
を有する化合物E、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0100】
本開示の治療薬(第1の薬剤及び/又は1つ若しくは複数の第2の薬剤を含む)は、経腸経路、及び非経口経路、例えば経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、及び粘膜組織を介した直接吸収を含むがこれらに限定されない任意の適切な経路によって投与することができる。治療薬は、同じ経路によって投与してもよいし、又は異なる経路によって投与してもよい。
【0101】
本開示において特徴付けられる併用療法の方法、又はこの併用療法に使用される化合物若しくは医薬は、相乗効果をもたらし得、ここで、治療薬(例えば、EZH2阻害剤、例えばタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩、及び1つ又は複数の第2の抗癌剤)の組み合わせの効果は、単剤としてのあらゆる治療薬の投与から生じた効果の合計よりも大きい。相乗効果はまた、単剤としてのどの治療薬の投与によっても達成することができない効果であり得る。相乗効果は、腫瘍サイズを縮小することによる、被験体の又は被験体から得た試料中の悪性細胞の数又は頻度を減少させることによる、腫瘍の増殖を阻害することによる、悪生細胞の成長、生存、若しくは増殖を阻害することによる、又は被験体の生存率を高めることによる、癌、例えば非小細胞肺癌の処置効果を挙げることができるが、これらに限定されない。相乗効果はまた、癌細胞の生存率を低下させること、癌細胞死を誘導すること、及び癌細胞の増殖を阻害又は遅延させることも含み得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、本開示によって提供される被験体は、非小細胞肺癌を含むがこれらに限定されない癌を有する。被験体は、任意の種であり得るが;被験体は好ましくはヒトである。いくつかの実施形態では、被験体は、0期、I期、II期、III期、及びIV期を含むがこれらに限定されない任意の病期によって特徴付けられる癌を有し得る。いくつかの実施形態では、被験体の癌は、原発性腫瘍又は続発性腫瘍である。被験体の癌は転移性であり得る。被験体の癌は、別の原発部位から二次部位に転移したものであり得る。いくつかの実施形態では、被験体の非小細胞肺癌は、骨髄のある領域から別の領域に移動し得る、又は移動したものであり得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される被験体、例えば、非小細胞肺癌を有する被験体は、野生型EZH2を発現し得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される被験体、例えば、非小細胞肺癌を有する被験体は、変異型EZH2を発現し得る。例えば、変異型EZH2は1つ又は複数の変異を含み、その変異は、置換、点変異、ナンセンス変異、ミスセンス変異、欠失、又は挿入である。本開示の変異型EZH2は、基質ポケットドメイン中に変異を含んでもよい。変異型EZH2は、アミノ酸Y641で置換を有していてもよい。いくつかの実施形態では、変異型EZH2は以下の変異、すなわち、アミノ酸位置641における野生型残基チロシン(Y)からフェニルアラニン(F)への置換(Y641F);アミノ酸位置641における野生型残基チロシン(Y)からヒスチジン(H)への置換(Y641H);アミノ酸位置641における野生型残基チロシン(Y)からアスパラギン(N)への置換(Y641N);アミノ酸位置641における野生型残基チロシン(Y)からセリン(S)への置換(Y641S);及びアミノ酸位置641における野生型残基チロシン(Y)からシステイン(C)への置換(Y641C)のうち1つを有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、EZH2変異として、アミノ酸位置677における野生型残基アラニン(A)からグリシン(G)への置換(A677G)、アミノ酸位置687における野生型残基アラニン(A)からバリン(V)への置換(A687V)、アミノ酸位置674における野生型残基バリン(V)からメチオニン(M)への置換(V674M)、アミノ酸位置685における野生型残基アルギニン(R)からヒスチジン(H)への置換(R685H)、アミノ酸位置685における野生型残基アルギニン(R)からシステイン(C)への置換(R685C)、アミノ酸位置322における野生型残基アスパラギン(N)からセリン(S)への置換(N322S)、アミノ酸位置288における野生型残基アルギニン(R)からグルタミン(Q)への置換(R288Q)、アミノ酸位置573における野生型残基スレオニン(T)からイソロイシン(I)への置換(T573I)、アミノ酸位置664における野生型残基アスパラギン酸(D)からグルタミン酸(E)への置換(D664E)、アミノ酸位置458における野生型残基アルギニン(R)からグルタミン(Q)への置換(R458Q)、アミノ酸位置249における野生型残基グルタミン酸(E)からリシン(K)への置換(E249K)、アミノ酸位置684における野生型残基アルギニン(R)からシステイン(C)への置換(R684C)、アミノ酸位置628における野生型残基アルギニン(R)からヒスチジン(H)への置換(R628H)、アミノ酸位置501における野生型残基グルタミン(Q)からヒスチジン(H)への置換(Q501H)、アミノ酸位置192における野生型残基アスパラギン酸(D)からアスパラギン(N)への置換(D192N)、アミノ酸位置664における野生型残基アスパラギン酸(D)からバリン(V)への置換(D664V)、アミノ酸位置704における野生型残基バリン(V)からロイシン(L)への置換(V704L)、アミノ酸位置132における野生型残基プロリン(P)からセリン(S)への置換(P132S)、アミノ酸位置669における野生型残基グルタミン酸(E)からリシン(K)への置換(E669K)、アミノ酸位置255における野生型残基アラニン(A)からスレオニン(T)への置換(A255T)、アミノ酸位置726における野生型残基グルタミン酸(E)からバリン(V)への置換(E726V)、アミノ酸位置571における野生型残基システイン(C)からチロシン(Y)への置換(C571Y)、アミノ酸位置145における野生型残基フェニルアラニン(F)からシステイン(C)への置換(F145C)、アミノ酸位置693における野生型残基アスパラギン(N)からスレオニン(T)への置換(N693T)、アミノ酸位置145における野生型残基フェニルアラニン(F)からセリン(S)への置換(F145S)、アミノ酸位置109における野生型残基グルタミン(Q)からヒスチジン(H)への置換(Q109H)、アミノ酸位置622における野生型残基フェニルアラニン(F)からシステイン(C)への置換(F622C)、アミノ酸位置135における野生型残基グリシン(G)からアルギニン(R)への置換(G135R)、アミノ酸位置168における野生型残基アルギニン(R)からグルタミン(Q)への置換(R168Q)、アミノ酸位置159における野生型残基グリシン(G)からアルギニン(R)への置換(G159R)、アミノ酸位置310における野生型残基アルギニン(R)からシステイン(C)への置換(R310C)、アミノ酸位置561における野生型残基アルギニン(R)からヒスチジン(H)への置換(R561H)、アミノ酸位置634における野生型残基アルギニン(R)からヒスチジン(H)への置換(R634H)、アミノ酸位置660における野生型残基グリシン(G)からアルギニン(R)への置換(G660R)、アミノ酸位置181における野生型残基チロシン(Y)からシステイン(C)への置換(Y181C)、アミノ酸位置297における野生型残基ヒスチジン(H)からアルギニン(R)への置換(H297R)、アミノ酸位置612における野生型残基システイン(C)からセリン(S)への置換(C612S)、アミノ酸位置694における野生型残基ヒスチジン(H)からチロシン(Y)への置換(H694Y)、アミノ酸位置664における野生型残基アスパラギン酸(D)からアラニン(A)への置換(D664A)、アミノ酸位置150における野生型残基イソロイシン(I)からスレオニン(T)への置換(I150T)、アミノ酸位置264における野生型残基イソロイシン(I)からアルギニン(R)への置換(I264R)、アミノ酸位置636における野生型残基プロリン(P)からロイシン(L)への置換(P636L)、アミノ酸位置713における野生型残基イソロイシン(I)からスレオニン(T)への置換(I713T)、アミノ酸位置501における野生型残基グルタミン(Q)からプロリン(P)への置換(Q501P)、アミノ酸位置243における野生型残基リシン(K)からグルタミン(Q)への置換(K243Q)、アミノ酸位置130における野生型残基グルタミン酸(E)からアスパラギン酸(D)への置換(E130D)、アミノ酸位置509における野生型残基アルギニン(R)からグリシン(G)への置換(R509G)、アミノ酸位置566における野生型残基アルギニン(R)からヒスチジン(H)への置換(R566H)、アミノ酸位置677における野生型残基アスパラギン酸(D)からヒスチジン(H)への置換(D677H)、アミノ酸位置466における野生型残基リシン(K)からアスパラギン(N)への置換(K466N)、アミノ酸位置78における野生型残基アルギニン(R)からヒスチジン(H)への置換(R78H)、アミノ酸位置1における野生型残基リシン(K)からメチオニン(M)への置換(K6M)、アミノ酸位置538における野生型残基セリン(S)からロイシン(L)への置換(S538L)、アミノ酸位置149における野生型残基ロイシン(L)からグルタミン(Q)への置換(L149Q)、アミノ酸位置252における野生型残基ロイシン(L)からバリン(V)への置換(L252V)、アミノ酸位置674における野生型残基ロイシン(L)からバリン(V)への置換(L674V)、アミノ酸位置656における野生型残基アラニン(A)からバリン(V)への置換(A656V)、アミノ酸位置731における野生型残基アラニン(A)からアスパラギン酸(D)への置換(Y731D)、アミノ酸位置345における野生型残基アラニン(A)からスレオニン(T)への置換(A345T)、アミノ酸位置244における野生型残基アラニン(A)からアスパラギン酸(D)への置換(Y244D)、アミノ酸位置576における野生型残基システイン(C)からトリプトファン(W)への置換(C576W)、アミノ酸位置640における野生型残基アスパラギン(N)からリシン(K)への置換(N640K)、アミノ酸位置675における野生型残基アスパラギン(N)からリシン(K)への置換(N675K)、アミノ酸位置579における野生型残基アスパラギン酸(D)からチロシン(Y)への置換(D579Y)、アミノ酸位置693における野生型残基アスパラギン(N)からイソロイシン(I)への置換(N693I)、及び/又はアミノ酸位置693における野生型残基アスパラギン(N)からリシン(K)への置換(N693K)を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0106】
EZH2の他の変異として、アミノ酸位置730、391、461、441、235、254、564、662、715、405、685、64、73、656、718、374、592、505、730若しくは363又は核酸配列の対応するヌクレオチド位置でのフレームシフト;アミノ酸位置148及び149でのグルタミン酸(E)及びロイシン(L)の欠失、又はアミノ酸位置733、25、317、62、553、328、58、207、123、63、137又は60でのナンセンス変異を挙げることができる。
【0107】
他に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はすべて、本開示が属する技術分野の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を持つ。本明細書では、単数形は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数形をさらに含む。本明細書に記載の方法及び材料と同様又は同等の方法及び材料を、本開示の実施又は試験に使用することができるが、いくつかの例示的で非限定的な適切な方法及び材料を以下に記載する。本明細書に記載した刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献はすべて援用する。本明細書に引用する参考文献は、特許請求の範囲に記載されている発明に対する従来技術と認めるものではない。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法及び例は単に例示のためのものであり、限定的であることを意図するものではない。
【0108】
本発明の他の特徴と利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0109】
特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許又は特許出願公開のコピーは、請求及び必要な料金の支払いにより官庁により提供されるであろう。
【0110】
上記及びさらなる特徴は、添付の図面と併せた以下の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図1図1は、実施例1の実験手順の概要を示す概略図である。
図2図2は、A427細胞内でのデシタビンとEZH2阻害剤(タゼメトスタット)との相乗効果を例示する一連のグラフである。パネルAは、インビトロアッセイの用量のマトリックス表である。パネルBは、タゼメトスタットとデシタビンとの組み合わせのLoewe過剰のマトリックス表を示している。パネルCは、タゼメトスタットとデシタビンとの組み合わせのアイソボログラムを示している。
図3図3は、A427細胞内でのトラメチニブとEZH2阻害剤(タゼメトスタット)との相乗効果を例示する一連のグラフである。パネルAは、インビトロアッセイの用量のマトリックス表である。パネルBは、タゼメトスタットとトラメチニブとの組み合わせのLoewe過剰のマトリックス表を示している。パネルCは、タゼメトスタットとトラメチニブとの組み合わせのアイソボログラムを示している。
図4図4は、A427細胞内でのパルボシクリブとEZH2阻害剤(タゼメトスタット)との相乗効果を例示する一連のグラフである。パネルAは、インビトロアッセイの用量のマトリックス表である。パネルBは、タゼメトスタットとパルボシクリブとの組み合わせのLoewe過剰のマトリックス表を示している。パネルCは、タゼメトスタットとパルボシクリブとの組み合わせのアイソボログラムを示している。
図5図5は、A427細胞内でのセリチニブとEZH2阻害剤(タゼメトスタット)の相乗効果を例示する一連のグラフである。パネルAは、インビトロアッセイの用量のマトリックス表である。パネルBは、タゼメトスタットとセリチニブとの組み合わせのLoewe過剰のマトリックス表を示している。パネルCは、タゼメトスタットとセリチニブとの組み合わせのアイソボログラムを示している。
図6図6は、EZH2タンパク質構造の図である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
本開示のいくつかの態様は、被験体の癌、例えば非小細胞肺癌の処置のための併用療法の方法、戦略、組成物、及び組み合わせを提供し、この方法は、EZH2阻害剤及び第2の抗癌剤を該被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、本明細書で提供される化合物である。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤の組み合わせは、第2の抗癌剤と相乗作用して所望の臨床効果を達成する。
EZH2
【0113】
EZH2は、ヒストンH3のリシン27(H3-K27)のモノメチル化からトリメチル化を触媒するPRC2複合体の触媒サブユニットであるヒストンメチルトランスフェラーゼである。ヒストンH3-K27のトリメチル化は、ヒストン修飾部位の近位にある特定の遺伝子の転写を抑制するための機序である。このトリメチル化は、前立腺癌などの癌における発現変化の癌マーカーであることが知られている(例えば、米国特許出願公開第2003/0175736号明細書を参照されたく、その内容全体を参照により本明細書に援用する)。他の研究が、調節異常を起こしたEZH2の発現と、転写抑制と、腫瘍性転化との間の機能連関の証拠を示した。Varambally et al.(2002)Nature 419(6907):624-9 Kleer et al.(2003)Proc Natl Acad Sci USA 100(20):11606-11。
【0114】
ヒトEZH2核酸及びポリペプチドは、以前に記述されている。例えば、Chen et al.(1996)Genomics 38:30-7[746アミノ酸];Swiss-Prot受託番号Q15910[746アミノ酸];GenBank受託番号NM_004456及びNP_004447(アイソフォームa[751アミノ酸]);並びにGenBank受託番号NM_152998及びNP_694543(アイソフォームb[707アミノ酸])を参照されたく、これらの各々は、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0115】
やはり本出願の目的上、ヒトEZH2のY641変異型及び同様の意味でEZH2のY641変異型は、野生型ヒトEZH2のY641に対応するアミノ酸残基がチロシン以外のアミノ酸残基で置換されているヒトEZH2をいうものと理解されたい。
【0116】
いくつかの実施形態では、EZH2のY641変異型のアミノ酸配列が野生型ヒトEZH2のアミノ酸配列と異なるのは、野生型ヒトEZH2のY641に対応する単一アミノ酸残基がチロシン以外のアミノ酸残基によって置換されていることのみによるものである。
【0117】
いくつかの実施形態では、EZH2のY641変異型のアミノ酸配列が野生型ヒトEZH2のアミノ酸配列と異なるのは、野生型ヒトEZH2のY641に対応する単一アミノ酸残基からフェニルアラニン(F)への置換のみによるものである。これらの実施形態によるEZH2のY641変異型を、本明細書ではY641F変異型又は同様の意味でY641Fと呼ぶ。
【0118】
いくつかの実施形態では、EZH2のY641変異型のアミノ酸配列が野生型ヒトEZH2のアミノ酸配列と異なるのは、野生型ヒトEZH2のY641に対応する単一アミノ酸残基からヒスチジン(H)への置換のみによるものである。これらの実施形態によるEZH2のY641変異型を、本明細書ではY641H変異型又は同様の意味でY641Hと呼ぶ。
【0119】
いくつかの実施形態では、EZH2のY641変異型のアミノ酸配列が野生型ヒトEZH2のアミノ酸配列と異なるのは、野生型ヒトEZH2のY641に対応する単一アミノ酸残基からアスパラギン(N)ヘの置換のみによるものである。これらの実施形態によるEZH2のY641変異型を、本明細書ではY641N変異型又は同様の意味でY641Nと呼ぶ。
【0120】
いくつかの実施形態では、EZH2のY641変異型のアミノ酸配列が野生型ヒトEZH2のアミノ酸配列と異なるのは、野生型ヒトEZH2のY641に対応する単一アミノ酸残基からセリン(S)への置換のみによるものである。これらの実施形態によるEZH2のY641変異型を本明細書ではY641S変異型又は同様の意味でY641Sと呼ぶ。
【0121】
いくつかの実施形態では、EZH2のY641変異型のアミノ酸配列が野生型ヒトEZH2のアミノ酸配列と異なるのは、野生型ヒトEZH2のY641に対応する単一アミノ酸残基からシステイン(C)への置換のみによるものである。これらの実施形態によるEZH2のY641変異型を、本明細書ではY641C変異型又は同様の意味でY641Cと呼ぶ。
【0122】
いくつかの実施形態では、EZH2のA677変異型のアミノ酸配列が野生型ヒトEZH2のアミノ酸配列と異なるのは、野生型ヒトEZH2のA677に対応する単一アミノ酸残基から非アラニンアミノ酸、好ましくはグリシン(G)への置換のみによるものである。これらの実施形態によるEZH2のA677変異型を、本明細書ではA677変異型、好ましくはA677G変異型又は同様の意味でA677Gと呼ぶ。
【0123】
いくつかの実施形態では、EZH2のA687変異型のアミノ酸配列が野生型ヒトEZH2のアミノ酸配列と異なるのは、野生型ヒトEZH2のA687に対応する単一アミノ酸残基から非アラニンアミノ酸、好ましくはバリン(V)への置換のみによるものである。これらの実施形態によるEZH2のA687変異型を、本明細書ではA687変異型、好ましくはA687V変異型又は同様の意味でA687Vと呼ぶ。
【0124】
いくつかの実施形態では、EZH2のR685変異型のアミノ酸配列が野生型ヒトEZH2のアミノ酸配列と異なるのは、野生型ヒトEZH2のR685に対応する単一アミノ酸残基から非アルギニンアミノ酸、好ましくはヒスチジン(H)又はシステイン(C)への置換のみによるものである。これらの実施形態によるEZH2のR685変異型を、本明細書ではR685変異型、好ましくはR685C変異型若しくはR685H変異型又は同様の意味でR685H若しくはR685Cと呼ぶ。
【0125】
EZH2に対してヘテロ接合性の細胞は、野生型酵素によるH3-K27me1の高効率形成、並びに変異型酵素形態によるこの前駆細胞腫からH3-K27me2、及び特にH3-K27me3への高効率な後続の移行によって、悪性形質を示すと予想され得る。
【0126】
以前の結論によると、濾胞性リンパ腫及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫における病理発生については、H3-K27のモノ-メチル化を行う酵素間の酵素カップリング及びEZH2の一定の変異型に依存することが指摘されている。例えば、Y641変異型EZH2を発現している細胞は、野生型EZH2を発現している細胞より、低分子EZH2阻害剤に対して感受性が高い場合がある。具体的には、Y641変異型EZH2を発現している細胞は、EZH2阻害剤の処置後に、成長、分裂又は増殖が低減し、又はアポトーシス若しくはネクローシスを起こすことさえある。これとは逆に、野生型EZH2を発現している細胞はEZH2阻害剤の増殖抑制効果に対して反応性がない(米国特許出願第13/230,703号明細書(現在は米国特許第8,895,245号明細書);その内容全体を参照により本明細書に援用する。)
【0127】
本開示のいくつかの態様は、野生型又は変異型EZH2のいずれかを発現している被検体に、本明細書に記載のEZH2阻害剤、例えば、式(I)~(VIa)の化合物(好ましくは、タゼメトスタット)の治療有効量を、一緒に投与するのに好適な第2の抗癌剤と併用して、同時に、逐次的に、又は交互に投与することによる、被検体における癌の症状又は前癌性状態の処置又は緩和に関する。
【0128】
本発明のいくつかの態様は、被検体においてH3-K27からトリメチル化H3-K27への変換の阻害に関する。この阻害は、被検体において、非メチル化H3-K27からモノメチル化H3-K27への変換、モノメチル化H3-K27からジメチル化H3-K27への変換、ジメチル化H3-K27からトリメチル化H3-K27ヘの変換、又は、例えば、モノメチル化H3-K27からジメチル化H3-K27への変換とジメチル化H3-K27からトリメチル化H3-K27ヘの変換とを含む、これらの任意の組合せを阻害するというものであり得る。本明細書で使用する場合、非メチル化H3-K27とは、リシン27のアミノ基に共有結合しているメチル基がないヒストンH3をいう。本明細書で使用する場合、モノメチル化H3-K27とは、リシン27のアミノ基に1つのメチル基が共有結合しているヒストンH3をいう。モノメチル化H3-K27はまた、本明細書でH3-K27me1とも呼ばれる。本明細書で使用する場合、ジメチル化H3-K27とは、リシン27のアミノ基に2つのメチル基が共有結合しているヒストンH3をいう。ジメチル化H3-K27はまた、本明細書でH3-K27me2とも呼ばれる。本明細書で使用する場合、トリメチル化H3-K27とは、リシン27のアミノ基に3つのメチル基が共有結合しているヒストンH3をいう。トリメチル化H3-K27はまた、本明細書でH3-K27me3とも呼ばれる。
【0129】
ヒストンH3は136アミノ酸長のタンパク質であり、その配列は既知である。例えば、GenBank受託番号CAB02546を参照されたく、その内容を参照により本明細書に援用する。本明細書にさらに開示しているように、完全長ヒストンH3に加えて、完全長ヒストンH3のK27に対応するリシン残基を含むヒストンH3のペプチド断片を、EZH2に対する(及び同様にEZH2の変異型に対する)基質として使用して、H3-K27m1からH3-K27m2への変換及びH3-K27m2からH3-K27m3への変換を評価することができる。いくつかの実施形態では、こうしたペプチド断片は、ヒストンH3の21~44番目のアミノ酸残基に対応する。
【0130】
EZH2阻害剤
本開示による使用に適した例示的なEZH2阻害剤には、式(I)~(VIa)の化合物が含まれる。本開示の方法に適した式(I)~(VIa)以外の他の化合物は、米国特許出願公開第20120264734号明細書に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示のEZH2阻害剤は、次式I:
【化8】
又はその薬学的に許容される塩を有することができ、式中、
701はH、F、OR707、NHR707、-(C≡C)-(CHn7-R708、フェニル、5員又は6員ヘテロアリール、C3~8シクロアルキル又は1~3個のヘテロ原子を含む4~7員ヘテロシクロアルキルであり、ここで、フェニル、5員又は6員ヘテロアリール、C3~8シクロアルキル又は4~7員ヘテロシクロアルキルは各々独立にハロ、C1~3アルキル、OH、O-C1~6アルキル、NH-C1~6アルキル、及びC3~8シクロアルキル又は1~3個のヘテロ原子を含む4~7員ヘテロシクロアルキルで置換されたC1~3アルキルから選択される1つ又は複数の基で任意に置換されており、ここで、O-C1~6アルキル及びNH-C1~6アルキルの各々はヒドロキシル、O-C1~3アルキル又はNH-C1~3アルキルで任意に置換されており、O-C1~3アルキル及びNH-C1~3アルキルの各々はO-C1~3アルキル又はNH-C1~3アルキルでさらに任意に置換されており;
702及びR703は各々独立にH、ハロ、C1~4アルキル、C1~6アルコキシル又はC~C10アリールオキシであり、各々が1つ又は複数のハロで任意に置換されており;
704及びR705は各々独立にC1~4アルキルであり;
706はN(C1~4アルキル)で置換されたシクロヘキシルであり、ここで、C1~4アルキルのうち一方又は両方がC1~6アルコキシで置換されており;又はR706はテトラヒドロピラニルであり;
707はヒドロキシル、C1~4アルコキシ、アミノ、モノ-又はジ-C1~4アルキルアミノ、C3~8シクロアルキル、及び1~3個のヘテロ原子を含む4~7員ヘテロシクロアルキルから選択される1つ又は複数の基で任意に置換されたC1~4アルキルであり、ここで、C3~8シクロアルキル又は4~7員ヘテロシクロアルキルは各々独立にC1~3アルキルでさらに任意に置換されており;
708はOH、ハロ、及びC1~4アルコキシ、1~3個のヘテロ原子を含む4~7員ヘテロシクロアルキル、又はO-C1~6アルキルから選択される1つ又は複数の基で任意に置換されたC1~4アルキルであり、ここで、4~7員ヘテロシクロアルキルはOH又はC1~6アルキルで任意にさらに置換されていることが可能であり;及び
は0、1又は2である。
【0132】
例えば、R706はN(C1~4アルキル)で置換されたシクロヘキシルであり、ここで、C1~4アルキルのうち一方が非置換であり、他方がメトキシで置換されている。
【0133】
例えば、R706は、
【化9】
である。
【0134】
いくつかの実施形態では、本開示のEZH2阻害剤は、以下の式II:
【化10】
を有することができる。
【0135】
例えば、R702はメチル又はイソプロピルであり、R703はメチル又はメトキシルである。
【0136】
例えば、R704はメチルである。
【0137】
例えば、R701はOR707であり、R707はOCH又はモルホリンで任意に置換されたC1~3アルキルである。
【0138】
例えば、R701はH又はFである。
【0139】
例えば、R701はテトラヒドロピラニル、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル又はピラゾリルであり、その各々がメチル、メトキシ、モルホリンで置換されたエチル又は-OCHCHOCHで任意に置換されている。
【0140】
例えば、R708はモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ジアゼパン又はアゼチジンであり、その各々がOH又はC1~6アルキルで任意に置換されている。
【0141】
例えば、R708はモルホリンである。
【0142】
例えば、R708はC1~6アルキルで置換されたピペラジンである。
【0143】
例えば、R708はメチル、t-ブチル又はC(CHOHである。
【0144】
いくつかの実施形態では、本開示のEZH2阻害剤は、次式III:
【化11】
又はその薬学的に許容される塩を有することができる。
【0145】
この式において:
801はC1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~8シクロアルキル、1~3個のヘテロ原子を含む4~7員ヘテロシクロアルキル、フェニル又は5員又は6員ヘテロアリールであり、その各々がO-C1~6アルキル-R又はNH-C1~6アルキル-Rで置換されており、ここで、Rはヒドロキシル、O-C1~3アルキル又はNH-C1~3アルキルであり、Rは、これがヒドロキシルである場合を除いて、O-C1~3アルキル又はNH-C1~3アルキルで任意にさらに置換されており;或いはR801は-Q-Tで置換されたフェニルであり、ここで、Qは結合又はハロ、シアノ、ヒドロキシル若しくはC~Cアルコキシで任意に置換されたC~Cアルキルリンカーであり、Tは4員~12員ヘテロシクロアルキルで任意に置換されており;及びR801は任意にさらに置換されており;
802及びR803は各々独立にH、ハロ、C1~4アルキル、C1~6アルコキシル又はC~C10アリールオキシであり、各々が1つ又は複数のハロで任意に置換されており;
804及びR805は各々独立にC1~4アルキルであり;並びに
806は-Q-Tであり、ここで、Qは結合又はC1~4アルキルリンカーであり、TはH、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC~Cシクロアルキル又は任意に置換された4員~14員ヘテロシクロアルキルである。
【0146】
例えば、Q及びQは各々独立に結合又はメチルリンカーであり、T及びTは各々独立にテトラヒドロピラニル、1つ、2つ又は3つのC1~4アルキル基で置換されたピペリジニル、又はN(C1~4アルキル)で置換されたシクロヘキシルであり、ここで、C1~4アルキルのうち一方又は両方がC1~6アルコキシで任意に置換されている。
【0147】
例えば、R806はN(C1~4アルキル)で置換されたシクロヘキシルであり、又はR806はテトラヒドロピラニルである。
【0148】
例えば、R806
【化12】
である。
【0149】
例えば、R801はフェニル又はO-C1~6アルキル-Rで置換された5員若しくは6員ヘテロアリールであり、又はR801はCH-テトラヒドロピラニルで置換されたフェニルである。
【0150】
本開示のEZH2阻害剤は、以下の式IVa又はIVb:
【化13】
を有することができ、式中、Z’はCH又はNであり、R807はC2~3アルキル-Rである。
【0151】
例えば、R807は-CHCHOH、-CHCHOCH又は-CHCHOCHCHOCHである。
【0152】
例えば、R802はメチル又はイソプロピルであり、R803はメチル又はメトキシルである。
【0153】
例えば、R804はメチルである。
【0154】
本開示のEZH2阻害剤は、次式(V):
【化14】
、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを有することができる。
【0155】
この式において:
、R及びR12は各々独立にC1~6アルキルであり;
はC~C10アリール又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、その各々が1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されており、ここで、Qは結合、又はハロ、シアノ、ヒドロキシル若しくはC~Cアルコキシで任意に置換されたC~Cアルキルリンカーであり、TはH、ハロ、シアノ、-OR、-NR、-(NR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-S(O)、-S(O)NR又はRS2であり、ここで、R、R及びRは各々独立にH又はRS3であり、Aは薬学的に許容されるアニオンであり、RS2及びRS3は各々独立にC~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、或いはR及びRは、それらが結合しているN原子と一緒に0又は1個の追加のヘテロ原子を有する4~12員ヘテロシクロアルキル環を形成し、RS2と、RS3と、R及びRで形成される4~12員ヘテロシクロアルキル環との各々は、1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されており、ここで、Qは結合、又はハロ、シアノ、ヒドロキシル又はC~Cアルコキシで各々任意に置換されたC~Cアルキルリンカーであり、Tはハロ、シアノ、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、5員又は6員ヘテロアリール、OR、COOR、-S(O)、-NR及び-C(O)NRからなる群から選択され、R及びRは各々独立にH又はC~Cアルキルであるか、又は-Q-Tはオキソであり;或いは任意の2つの隣接する-Q-Tは、それらが結合している原子と一緒に5員又は6員環を形成し、当該5員又は6員環は、N、O及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を任意に含み、ハロ、ヒドロキシル、COOH、C(O)O-C~Cアルキル、シアノ、C~Cアルコキシル、アミノ、モノ-C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル及び5員又は6員ヘテロアリールからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で任意に置換されており;
は-Q-Tであり、ここで、Qは結合、C~Cアルキルリンカー又はC~Cアルケニルリンカーであり、各リンカーはハロ、シアノ、ヒドロキシル又はC~Cアルコキシで任意に置換されており、TはH、ハロ、シアノ、NR、-OR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)NROR、-NRC(O)R、-S(O)又はRS4であり、ここで、R及びRは各々独立にH又はRS5であり、RS4及びRS5は各々独立にC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、RS4及びRS5は各々1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されており、ここで、Qは結合、C(O)、C(O)NR、NRC(O)、S(O)又はC~Cアルキルリンカーであり、RはH又はC~Cアルキルであり、TはH、ハロ、C~Cアルキル、ヒドロキシル、シアノ、C~Cアルコキシル、アミノ、モノ-C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、5員若しくは6員ヘテロアリール又はS(O)であり、ここで、qは0、1又は2であり、RはC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、Tは、これがH、ハロ、ヒドロキシル又はシアノである場合を除いて、ハロ、C~Cアルキル、ヒドロキシル、シアノ、C~Cアルコキシル、アミノ、モノ-C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル及び5員又は6員ヘテロアリールからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で任意に置換されており;或いは-Q-Tはオキソであり;並びに
はH、ハロ、ヒドロキシル、COOH、シアノ、RS6、ORS6又はCOORS6であり、ここで、RS6はC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、4~12員ヘテロシクロアルキル、アミノ、モノ-C~Cアルキルアミノ又はジ-C~Cアルキルアミノであり、RS6はハロ、ヒドロキシル、COOH、C(O)O-C~Cアルキル、シアノ、C~Cアルコキシル、アミノ、モノ-C~Cアルキルアミノ及びジ-C~Cアルキルアミノからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で任意に置換されており;或いはR及びRは、それらが結合しているN原子と一緒に、0~2個の追加のヘテロ原子を有する4~11員ヘテロシクロアルキル環を形成し、R及びRで形成された4~11員ヘテロシクロアルキル環は1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されており、ここで、Qは結合、C(O)、C(O)NR、NRC(O)、S(O)又はC~Cアルキルリンカーであり、RはH又はC~Cアルキルであり、TはH、ハロ、C~Cアルキル、ヒドロキシル、シアノ、C~Cアルコキシル、アミノ、モノ-C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル、5員若しくは6員ヘテロアリール又はS(O)であり、ここで、pは0、1又は2であり、RはC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、Tは、これがH、ハロ、ヒドロキシル又はシアノである場合を除いて、ハロ、C~Cアルキル、ヒドロキシル、シアノ、C~Cアルコキシル、アミノ、モノ-C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、C~Cシクロアルキル、C~C10アリール、4~12員ヘテロシクロアルキル及び5員又は6員ヘテロアリールからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で任意に置換されており;或いは-Q-Tはオキソである。
【0156】
例えば、RはC~C10アリール又は5員若しくは6員ヘテロアリールであり、その各々が独立に、1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されており、ここで、Qは結合又はC~Cアルキルリンカーであり、TはH、ハロ、シアノ、-OR、-NR,-(NR、-C(O)NR、-NRC(O)R、-S(O)又はRS2であり、ここで、R及びRは各々独立にH又はRS3であり、RS2及びRS3は各々独立にC~Cアルキルであり、或いはR及びRは、それらが結合しているN原子と一緒に0又は1個の追加のヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクロアルキル環を形成し、RS2と、RS3と、R及びRで形成された4~7員ヘテロシクロアルキル環との各々は独立に、1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されており、ここで、Qは結合又はC~Cアルキルリンカーであり、Tはハロ、C~Cアルキル、4~7員ヘテロシクロアルキル、OR、-S(O)及び-NRからなる群から選択され、R及びRは各々独立にH又はC~Cアルキルであり、又は-Q-Tはオキソであり;或いは任意の2つの隣接する-Q-Tは、それらが結合している原子と一緒に、N、O及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を任意に含む5員又は6員環を形成する。
【0157】
いくつかの実施形態では、本開示のEZH2阻害剤は、以下の式(VIa):
【化15】
、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを有することができ、式中、R、R、R、及びRは本明細書で定義される。
【0158】
式(VIa)の化合物には、以下の特徴のうち1つ又は複数を含めることができる。
【0159】
例えば、R及びRは各々独立にH、又は1つ若しくは複数の-Q-Tで任意に置換されたC~Cアルキルである。
【0160】
例えば、R及びRのうち一方はHである。
【0161】
例えば、R及びRは、それらが結合しているN原子と一緒に、N原子に加えて0又は1個のヘテロ原子を有する4~7員ヘテロシクロアルキル環(例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、トリアゾリジニル、ピペリジニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、1,4-ジアゼパニル、1,4-オキサゼパニル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、及び同種のもの)を形成し、その環は1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されている。
【0162】
例えば、R及びRは、それらが結合しているN原子と一緒に、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、トリアゾリジニル、テトラヒロフラニル(tetrahyrofuranyl)、ピペリジニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、ピペラジニル又はモルホリニルを形成し、これらの環は1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されている。
【0163】
例えば、1つ又は複数の-Q-Tはオキソである。
【0164】
例えば、Qは結合又は非置換若しくは置換のC~Cアルキルリンカーである。
【0165】
例えば、TはH、ハロ、4~7員ヘテロシクロアルキル、C~Cアルキル、OR、COOR,-S(O)又は-NRである。
【0166】
例えば、各々独立にH又はC~CアルキルであるR及びR
【0167】
例えば、RはC~Cシクロアルキル又は4~7員ヘテロシクロアルキルであり、各々が1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されている。
【0168】
例えば、Rはピペリジニル、テトラヒドロピラン、テトラヒドロ-2H-チオピラニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピロリジニル又はシクロヘプチルであり、各々が1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されている。
【0169】
例えば、Rはシクロペンチル、シクロヘキシル又はテトラヒドロ-2H-チオピラニルであり、その各々が1つ又は複数の-Q-Tで任意に置換されている。
【0170】
例えば、QはNHC(O)であり、TはC~Cアルキル又はC~Cアルコキシ、各々である。
【0171】
例えば、1つ又は複数の-Q-Tはオキソである。
【0172】
例えば、Rは1-オキシド-テトラヒドロ-2H-チオピラニル又は1,1-ジオキシド-テトラヒドロ-2H-チオピラニルである。
【0173】
例えば、Qは結合であり、Tはアミノ、モノ-C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノである。
【0174】
例えば、QはCO、S(O)又はNHC(O)であり、TはC~Cアルキル、C~Cアルコキシル、C~Cシクロアルキル又は4~7員ヘテロシクロアルキルである。
【0175】
例えば、RはH、又はハロ、ヒドロキシル、COOH、C(O)O-C~Cアルキル、シアノ、C~Cアルコキシル、アミノ、モノ-C~Cアルキルアミノ及びジ-C~Cアルキルアミノからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で任意に置換されているC~Cアルキルである。
【0176】
例えば、RはH、メチル又はエチルである。
【0177】
いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、タゼメトスタット(本明細書では化合物44又は化合物(A)とも呼ばれる):
【化16】
又はその立体異性体、溶媒和物、若しくは薬学的に許容される塩である。
【0178】
いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は:
【化17】
、又はその立体異性体、溶媒和物、若しくは薬学的に許容される塩である。
【0179】
特定の実施形態では、EZH2阻害剤は化合物F:
【化18】
、又はその立体異性体、溶媒和物、若しくは薬学的に許容される塩である。
【0180】
いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、以下の式:
【化19】
を有するGSK-126、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である。
【0181】
特定の実施形態では、EZH2阻害剤は化合物G:
【化20】
、又はその立体異性体、若しくはその薬学的に許容される塩及び溶媒和物である。
【0182】
特定の実施形態では、本明細書で提示される任意の方法に使用することができる化合物(例えば、EZH2阻害剤)は、化合物Ga~Gc:
【化21】
、又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、若しくは溶媒和物である。
【0183】
いくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、CPI-1205又はGSK343を含み得る、それから本質的になり得る、又はそれからなり得る。
【0184】
本明細書で提供される方法、戦略、組成物、及び/又は組み合わせに使用されるさらなる適切なEZH2阻害剤は、当業者には明らかであろう。本明細書で提供される戦略、治療法、方法、組み合わせ、及び組成物のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、米国特許第8,536,179号明細書(他の化合物の中でもGSK-126を記載しており、国際公開第2011/140324号パンフレットに対応する)に記載されているEZH2阻害剤であり、それぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0185】
本明細書で提供される戦略、治療法、方法、組み合わせ、及び組成物のいくつかの実施形態では、EZH2阻害剤は、国際公開第2014/124418号パンフレットとして公開された国際出願PCT/US2014/015706号明細書、国際公開第2013/120104号パンフレットとして公開された国際出願PCT/US2013/025639号明細書、及び米国特許出願公開第2015/0368229号明細書として公開された米国特許出願第14/839,273号明細書に記載されているEZH2阻害剤であり、これらの特許文献のそれぞれの内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、化合物自体、すなわち遊離塩基又は「裸の」分子である。いくつかの実施形態では、化合物は、その塩、例えば薬学的に許容される塩、例えば裸の分子のモノ-HCl塩又はトリ-HCl塩、モノ-HBr塩又はトリ-HBr塩である。本明細書で提供される化合物の薬学的に許容される塩は、本開示及び当技術分野における知識に基づいて当業者に明らかであろう。本開示はこの点において限定されない。
【0187】
本開示の式VIaの代表的な化合物としては、表1に列挙した化合物が挙げられる。
【0188】
表1では、
【化22】
のそれぞれの存在は、
【化23】
と解釈するべきである。
【0189】
【表1】
【0190】
【表2】
【0191】
【表3】
【0192】
【表4】
【0193】
【表5】
【0194】
【表6】
【0195】
【表7】
【0196】
【表8】
【0197】
【表9】
【0198】
【表10】
【0199】
【表11】
【0200】
【表12】
【0201】
【表13】
【0202】
【表14】
【0203】
【表15】
【0204】
【表16】
【0205】
【表17】
【0206】
【表18】
【0207】
【表19】
【0208】
【表20】
【0209】
【表21】
【0210】
【表22】
【0211】
【表23】
【0212】
本明細書で使用する場合、「アルキル」、「C、C、C、C、C又はCアルキル」又は「C~Cアルキル」は、C、C、C、C、C又はC直鎖(線状)飽和脂肪族炭化水素基、及びC、C、C又はC分岐飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図している。例えば、C~Cアルキルは、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基及びCアルキル基を含むことを意図している。アルキルの例として、以下に限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、s-ペンチル又はn-ヘキシルなど1~6個の炭素原子を有する部分が挙げられる。
【0213】
いくつかの実施形態では、直鎖又は分岐アルキルは6個以下の炭素原子(例えば、直鎖のC~C、分岐鎖のC~C)を有しいくつかの実施形態では、直鎖又は分岐アルキルは4個以下の炭素原子を有する。
【0214】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル」という用語は、3~30個の炭素原子(例えば、C~C10)を有する飽和又は不飽和の、非芳香族炭化水素単環又は多環(例えば、縮合環、架橋環又はスピロ環)系をいう。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロへプテニル及びアダマンチルが挙げられるが、これに限定されるものではない。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、別段の指定のない限り、1つ又は複数のヘテロ原子(O、N、S又はSeなど)を有する、飽和又は不飽和の非芳香族の、3~8員単環系、7~12員二環系(縮合環、架橋環又はスピロ環)又は11~14員三環系(縮合環、架橋環又はスピロ環)をいう。ヘテロシクロアルキル基の例として、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、イソインドリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、トリアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、ピラニル、モルホリニル、1,4-ジアゼパニル、1,4-オキサゼパニル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタニル、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタニル、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカニル及び同種のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0215】
「任意に置換されたアルキル」という用語は、非置換アルキル、又は炭化水素骨格の1つ又は複数の炭素上の1つ又は複数の水素原子に置き換わる所定の置換基を有するアルキルをいう。こうした置換基として、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族部分若しくは芳香族複素環部分を挙げることができる。
【0216】
「アリールアルキル」又は「アラルキル」部分とは、アリールで置換されたアルキル(例えば、フェニルメチル(ベンジル))である。「アルキルアリール」部分は、アルキルで置換されたアリール(例えば、メチルフェニル)である。
【0217】
本明細書で使用する場合、「アルキルリンカー」は、C、C、C、C、C又はC直鎖(線状)飽和二価脂肪族炭化水素基、及びC、C、C又はC分岐飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図している。例えば、C~Cアルキルリンカーは、Cアルキルリンカー基、Cアルキルリンカー基、Cアルキルリンカー基、Cアルキルリンカー基、Cアルキルリンカー基及びCアルキルリンカー基を含むことを意図している。アルキルリンカーの例として、以下に限定されるものではないが、メチル(-CH-)、エチル(-CHCH-)、n-プロピル(-CHCHCH-)、i-プロピル(-CHCHCH-)、n-ブチル(-CHCHCHCH-)、s-ブチル(-CHCHCHCH-)、i-ブチル(-C(CHCH-)、n-ペンチル(-CHCHCHCHCH-)、s-ペンチル(-CHCHCHCHCH-)又はn-ヘキシル(-CHCHCHCHCHCH-)など1~6個の炭素原子を有する部分が挙げられる。
【0218】
「アルケニル」は、上述のアルキルと長さが類似し、上述のアルキルへの置換が可能であるが、少なくとも1つの二重結合を含む不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルケニル」という用語は、直鎖アルケニル基(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル)、及び分岐アルケニル基を含む。ある種の実施形態では、直鎖又は分岐アルケニル基はその骨格に6個以下の炭素原子(例えば、直鎖に対してC~C、分岐鎖に対してC~C)を有する。「C~C」という用語は、2~6個の炭素原子を含むアルケニル基を含む。「C~C」という用語は、3~6個の炭素原子を含むアルケニル基を含む。
【0219】
「任意に置換されたアルケニル」という用語は、非置換アルケニル、又は1つ又は複数の炭化水素骨格の炭素原子上の1つ又は複数の水素原子に置き換わる所定の置換基を有するアルケニルをいう。こうした置換基として、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、ヘテロシクリル、アルキルアリール又は芳香族部分若しくは芳香族複素環部分を挙げることができる。
【0220】
「アルキニル」は、上述のアルキルと長さが類似し、上述のアルキルへの置換が可能であるが、少なくとも1つの三重結合を含む不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルキニル」は、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル)、及び分岐アルキニル基を含む。ある種の実施形態では、直鎖又は分岐アルキニル基はその骨格に6個以下の炭素原子(例えば、直鎖に対してC~C、分岐鎖に対してC~C)を有する。「C~C」という用語は、2~6個の炭素原子を含むアルキニル基を含む。「C~C」という用語は、3~6個の炭素原子を含むアルキニル基を含む。
【0221】
「任意に置換されたアルキニル」という用語は、非置換アルキニル、又は1つ又は複数の炭化水素骨格の炭素原子上の1つ又は複数の水素原子に置き換わる所定の置換基を有するアルキニルをいう。こうした置換基として、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール又は芳香族部分若しくは芳香族複素環部分を挙げることができる。
【0222】
他の任意に置換された部分(例えば任意に置換されたシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール)は、非置換部分、及び1つ又は複数の所定の置換基を有する部分の両方を含む。例えば、置換されたヘテロシクロアルキルとして、1つ又は複数のアルキル基で置換されているもの、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジニル及び2,2,6,6-テトラメチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジニルが挙げられる。
【0223】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を有するが、環構造に任意のヘテロ原子を有さない「結合された」環系、又は多環系を含む、芳香族性を有する基を含む。例として、フェニル、ベンジル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニルなどが挙げられる。
【0224】
「ヘテロアリール」基は、環構造に1~4個のヘテロ原子を有すること以外は上記で定義したようなアリール基であり、「複素環アリール」又は「複素芳香族化合物」ということもある。本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立に選択される1つ又は複数のヘテロ原子、例えば1個若しくは1~2個若しくは1~3個若しくは1~4個若しくは1~5個若しくは1~6個のヘテロ原子、又は、例えば1個、2個、3個、4個、5個若しくは6個のヘテロ原子とからなる安定な5員、6員若しくは7員単環式又は7員、8員、9員、10員、11員若しくは12員二環式芳香族複素環式環を含むことを意図している。窒素原子は置換されていても、或いは置換されていなくてもよい(すなわち、N、或いは、RがH又は定義された他の置換基であるNR)。窒素ヘテロ原子及び硫黄ヘテロ原子は、任意に酸化されていてもよい(すなわち、N→O及びS(O)、式中、p=1又は2)。芳香族複素環のS原子及びO原子の総数は、1以下である点に留意されたい。
【0225】
ヘテロアリール基の例として、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン及び同種のものが挙げられる。
【0226】
さらに、「アリール」及び「ヘテロアリール」という用語は、多環式、例えば、三環式、二環式アリール基及びヘテロアリール基、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフトリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、インドリジンを含む。
【0227】
多環式芳香環の場合、すべての環が芳香族(例えば、キノリン)であってもよいが、環の1つのみが芳香族(例えば、2,3-ジヒドロインドール)であってもよい。また第2の環は縮合していても、或いは架橋していてもよい。
【0228】
シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環は、1つ又は複数の環位置(例えば、環形成炭素又はNなどのヘテロ原子)において上記のような置換基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール又は芳香族部分若しくは芳香族複素環部分で置換されていてもよい。アリール及びヘテロアリール基はさらに、多環式系(例えば、テトラリン、メチレンジオキシフェニル)を形成するように、芳香族でない脂環式環又は複素環式環と縮合していても、或いは架橋していてもよい。
【0229】
本明細書で使用する場合、「炭素環(carbocycle)」又は「炭素環(carbocyclic ring)」は、そのいずれもが飽和でも、不飽和でも、或いは芳香族でもよい、特定の数の炭素を有する任意の安定な単環式、二環式又は三環式環を含むことを意図している。炭素環は、シクロアルキル及びアリールを含む。例えば、C~C14炭素環は、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個又は14個の炭素原子を有する単環式、二環式又は三環式環を含むことを意図している。炭素環の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプテニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、アダマンチル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル及びテトラヒドロナフチルがあるが、これに限定されるものではない。炭素環の定義には、架橋環も含まれ、例えば、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン及び[2.2.2]ビシクロオクタンがある。架橋環は、1個又は複数個の炭素原子が2個の隣接しない炭素原子を連結すると生じる。いくつかの実施形態では、架橋環は、1個又は2個の炭素原子である。架橋は常に単環式環を三環式環に変換する点に注意されたい。環が架橋されると、当該環について記載された置換基も架橋上に存在してもよい。さらに縮合環(例えば、ナフチル、テトラヒドロナフチル)及びスピロ環も含まれる。
【0230】
本明細書で使用する場合、「複素環」又は「複素環基」には、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えば、N、O又はS)を含む任意の環状構造(飽和、不飽和又は芳香族)が含まれる。複素環にはヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールが含まれる。複素環の例として、モルホリン、ピロリジン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、ピペラジン、オキセタン、ピラン、テトラヒドロピラン、アゼチジン及びテトラヒドロフランが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0231】
複素環式基の例として、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾール5(4H)-オン、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシンドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル及びキサンテニルがあるが、これに限定されるものではない。
【0232】
「置換された」という用語は、本明細書で使用する場合、指定された原子上の任意の1つ又は複数の水素原子が、表記された基から選択された基で置き換えられていることを意味する。ただし、指定された原子の通常の原子価を超えず、且つ置換の結果、安定な化合物が得られるものとする。置換基がオキソ又はケト(すなわち、=O)である場合、原子上の2個の水素原子が置き換えられる。ケト置換基は芳香族部分には存在しない。環二重結合は、本明細書で使用する場合、隣接する2つの環原子間に形成される二重結合(例えば、C=C、C=N又はN=N)である。「安定な化合物」及び「安定な構造」とは、ある化合物が、反応混合物から有用な程度の純度に単離されること、及び有効な治療薬として製剤化することに耐えるのに十分に強いことを示すことを意図する。
【0233】
置換基との結合が、環内の2つの原子を連結する結合を横切るように示される場合、そうした置換基は、環内のどの原子に結合してもよい。ある置換基について、そうした置換基が所定の式の化合物の残部に結合している原子を示さずに記載される場合、そうした置換基は当該式のどの原子を介して結合してもよい。置換基及び/又は可変基の組み合わせも許容されるが、そうした組み合わせの結果、安定な化合物が得られる場合に限られる。
【0234】
任意の可変基(例えば、R)が、ある化合物の任意の構成要素又は式に2回以上存在する場合、その各存在時の定義は、その他のすべての存在時の定義と無関係である。したがって、例えば、ある基が0~2のR部分で置換されているように示される場合、その基は、最大2つのR部分で任意に置換されていてもよく、各存在時のRは、Rの定義から独立に選択される。さらに、置換基及び/又は可変基の組み合わせも許容されるが、そうした組み合わせの結果、安定な化合物が得られる場合に限られる。
【0235】
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」という用語は、-OH又は-Oを有する基を含む。
【0236】
本明細書で使用する場合、「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードをいう。「過ハロゲン化」という用語は一般に、ある部分においてすべての水素原子がハロゲン原子で置き換えられていることをいう。「ハロアルキル」又は「ハロアルコキシル」という用語は、1つ又は複数のハロゲン原子で置換されたアルキル又はアルコキシルをいう。
【0237】
「カルボニル」という用語は、酸素原子に二重結合で連結された炭素を含む化合物及び部分を含む。カルボニルを含む部分の例として、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物などがあるが、これに限定されるものではない。
【0238】
「カルボキシル」という用語は、-COOH又はそのC~Cアルキルエステルをいう。
【0239】
「アシル」は、アシルラジカル(R-C(O)-)又はカルボニル基を含む部分を含む。「置換アシル」は、1つ又は複数の水素原子が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール又は芳香族部分若しくは芳香族複素環部分で置き換えられているアシル基を含む。
【0240】
「アロイル」は、カルボニル基に結合したアリール又は芳香族複素環部分を有する部分を含む。アロイル基の例として、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシなどが挙げられる。
【0241】
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」及び「チオアルコキシアルキル」は、1つ又は複数の炭化水素骨格の炭素原子が酸素原子、窒素原子又は硫黄原子で置き換えられている上記のようなアルキル基を含む。
【0242】
「アルコキシ」又は「アルコキシル」という用語は、酸素原子に共有結合した置換及び非置換アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基を含む。アルコキシ基又はアルコキシルラジカルの例として、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びペントキシ基があるが、これに限定されるものではない。置換アルコキシ基の例として、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族部分又は芳香族複素環部分などの基で置換されていてもよい。ハロゲン置換アルコキシ基の例として、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ及びトリクロロメトキシがあるが、これに限定されるものではない。
【0243】
「エーテル」又は「アルコキシ」という用語は、2個の炭素原子又はヘテロ原子に結合した酸素を含む化合物又は部分を含む。例えば、この用語は、アルキル基に共有結合している酸素原子に共有結合したアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基をいう「アルコキシアルキル」を含む。
【0244】
「エステル」という用語は、カルボニル基の炭素に結合している酸素原子に結合した炭素又はヘテロ原子を含む化合物又は部分を含む。「エステル」という用語は、アルコキシカルボキシ基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどを含む。
【0245】
「チオアルキル」という用語は、硫黄原子と連結したアルキル基を含む化合物又は部分を含む。チオアルキル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、カルボキシ酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ及びアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル及びウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族部分若しくは芳香族複素環部分などの基で置換されていてもよい。
【0246】
「チオカルボニル」又は「チオカルボキシ」という用語は、硫黄原子に二重結合で連結された炭素を含む化合物及び部分を含む。
【0247】
「チオエーテル」という用語は、2個の炭素原子又はヘテロ原子に結合した硫黄原子を含む部分を含む。チオエーテルの例として、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル及びアルクチオアルキニルがあるが、これに限定されるものではない。「アルクチオアルキル」という用語は、アルキル基に結合している硫黄原子に結合したアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を有する部分を含む。同様に、「アルクチオアルケニル」という用語は、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基が、アルケニル基に共有結合している硫黄原子に結合している部分をいう。アルクチオアルキニル」は、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基が、アルキニル基に共有結合している硫黄原子に結合している部分をいう。
【0248】
本明細書で使用する場合、「アミン」又は「アミノ」は、非置換又は置換NHをいう。「アルキルアミノ」は、-NHの窒素が少なくとも1つのアルキル基に結合している化合物の基を含む。アルキルアミノ基の例として、ベンジルアミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、フェネチルアミノなどが挙げられる。「ジアルキルアミノ」は、-NHの窒素が少なくとも2つの別のアルキル基に結合している基を含む。ジアルキルアミノ基の例として、ジメチルアミノ及びジエチルアミノがあるが、これに限定されるものではない。「アリールアミノ」及び「ジアリールアミノ」はそれぞれ、窒素が少なくとも1つ又は2つのアリール基に結合している基を含む。「アミノアリール」及び「アミノアリールオキシ」は、アミノで置換されたアリール及びアリールオキシをいう。「アルキルアリールアミノ」、「アルキルアミノアリール」又は「アリールアミノアルキル」は、少なくとも1つのアルキル基及び少なくとも1つのアリール基に結合しているアミノ基をいう。「アルカミノアルキル」は、アルキル基にも結合している窒素原子に結合したアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基をいう。「アシルアミノ」は、窒素がアシル基に結合している基を含む。アシルアミノの例として、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基及びウレイド基があるが、これに限定されるものではない。
【0249】
「アミド」又は「アミノカルボキシ」という用語は、カルボニル基又はチオカルボニル基の炭素に結合している窒素原子を含む化合物又は部分を含む。この用語は、カルボニル基又はチオカルボニル基の炭素に結合しているアミノ基に結合したアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を含む「アルカミノカルボキシ」基を含む。この用語はさらに、カルボニル基又はチオカルボニル基の炭素に結合しているアミノ基に結合したアリール部分又はヘテロアリール部分を含む「アリールアミノカルボキシ」基を含む。「アルキルアミノカルボキシ」、「アルケニルアミノカルボキシ」、「アルキニルアミノカルボキシ」及び「アリールアミノカルボキシ」という用語はそれぞれ、アルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分及びアリール部分が窒素原子に結合し、その窒素原子がカルボニル基の炭素に結合している部分を含む。アミドは、直鎖アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は複素環などの置換基で置換されていてもよい。アミド基上の置換基はさらに置換されていてもよい。
【0250】
窒素を含む本開示の化合物は、他の本発明の化合物を得るため、酸化剤(例えば、3-クロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)及び/又は過酸化水素)を用いた処理によりN-オキシドに変換してもよい。したがって、図示し特許請求の範囲に記載されているすべての窒素含有化合物は、原子価及び構造が許容される場合、図示した化合物及びそのN-オキシド誘導体(N→O又はN-Oと表記することがある)の両方を含むものと見なされる。さらに、他の例では、本開示の化合物中の窒素は、N-ヒドロキシ化合物又はN-アルコキシ化合物に変換してもよい。例えば、N-ヒドロキシ化合物は、酸化剤、例えばm-CPBAによる親アミンの酸化により調製することができる。図示し特許請求の範囲に記載されているすべての窒素含有化合物はさらに、原子価及び構造が許容される場合、図示した化合物とそのN-ヒドロキシ(すなわち、N-OH)誘導体及びN-アルコキシ(すなわち、N-OR(式中、Rは置換若しくは非置換C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、3~14員炭素環又は3~14員複素環である))誘導体との両方を包含する。
【0251】
「異性」は、化合物が同一の分子式を有するものの、その原子の結合順序又はその原子の空間配置が異なることを意味する。原子の空間配置が異なる異性体は「立体異性体」と呼ばれる。互いに鏡像でない立体異性体は「ジアステレオ異性体」と呼ばれ、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体は「エナンチオマー」と呼ばれ、光学異性体と呼ばれることもある。逆のキラリティーの各エナンチオマー型を等量含む混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0252】
同一でない4つの置換基に結合した炭素原子は「キラル中心」と呼ばれる。
【0253】
「キラル異性体」は、少なくとも1つのキラル中心を有する化合物を意味する。2つ以上のキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーとして存在しても、或いは「ジアステレオマー混合物」と呼ばれるジアステレオマーの混合物として存在してもよい。1つのキラル中心が存在する場合、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置(R又はS)により特徴付けてもよい。絶対配置とは、キラル中心に結合した置換基の空間配置をいう。検討対象のキラル中心に結合した置換基は、Sequence Rule of Cahn,Ingold and Prelogに従いランク付けされる。(Cahn et al.,Angew.Chem.Inter.Edit.1966,5,385;errata 511;Cahn et al.,Angew.Chem.1966,78,413;Cahn and Ingold,J.Chem.Soc.1951(London),612;Cahn et al.,Experientia 1956,12,81;Cahn,J.Chem.Educ.1964,41,116)。
【0254】
「幾何異性体」は、存在する原因が二重結合又はシクロアルキルリンカー(例えば、1,3-シルコブチル)の周りの回転障壁であるジアステレオマーを意味する。これら配置は、接頭辞シス及びトランス、又はカーン-インゴルド-プレローグ順位則に従い各基が分子の二重結合に関して同じ側又は反対側にあることを示すZ及びEにより、その名称により区別される。
【0255】
本開示の化合物は、異なるキラル異性体又は幾何異性体として図示し得ることが理解されよう。さらに、化合物がキラル異性体型又は幾何異性体型を有する場合、すべての異性体型が本開示の範囲に含まれることを意図しており、化合物の名称は任意の異性体型を除外するものではないことも理解されるべきである。
【0256】
さらに、こうした構造及び本発明で考察された他の化合物は、そのすべてのアトロピック(atropic)異性体を含む。「アトロピック(atropic)異性体」は、2つの異性体の原子が空間で異なって配置されている立体異性体の1種である。アトロピック(atropic)異性体が存在する原因は、中心結合の周りの大きな基の回転障壁により引き起こされる回転の束縛である。こうしたアトロピック(atropic)異性体は典型的には混合物として存在するが、クロマトグラフィー技術の最近の進歩の結果、特定の場合、2つのアトロピック(atropic)異性体の混合物を分離することが可能になっている。
【0257】
「互変異性体」は、2つ以上の構造異性体が平衡状態で存在し、ある異性体型から別の異性体型に容易に変換される、それらの構造異性体の1つである。この変換の結果、水素原子が、隣接する共役二重結合の変化を伴って形式的に移動する。互変異性体は、溶液中で互変異性体のセットの混合物として存在する。互変異性が可能である溶液においては、互変異性体の化学平衡に達する。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒及びpHを含むいくつかの要因によって異なる。互変異性化により相互変換可能な互変異性体の概念は、互変異性と呼ばれる。
【0258】
考えられる様々なタイプの互変異性のうち、2つが一般に観察される。ケト-エノール互変異性では、電子及び水素原子の同時移動が起こる。環鎖互変異性は、糖鎖分子のアルデヒド基(-CHO)が同じ分子のヒドロキシ基(-OH)の1つと反応して、分子にグルコースに見られるような環式(環状)形態が生じた結果として起こる。
【0259】
一般的な互変異性のペアとして、ケトン-エノール、アミド-ニトリル、ラクタム-ラクチム、複素環における(例えば、グアニン、チミン及びシトシンなどの核酸塩基における)アミド-イミド酸互変異性、イミン-エナミン及びエナミン-エナミンがある。ケト-エノール平衡の例は、以下に示すように、ピリジン-2(1H)-オンと対応するピリジン-2-オールとの間の平衡である。
【化24】
【0260】
本開示の化合物は異なる互変異性体として図示され得ることが理解されよう。さらに、化合物が互変異性型を有する場合、すべての互変異性型が本開示の範囲に含まれることを意図しており、化合物の名称は任意の互変異性体型を除外するものではないことも理解されるべきである。
【0261】
本明細書に開示している式(I)~(VIa)の化合物には、化合物それ自体と、該当する場合、その塩及びその溶媒和物も含まれる。塩は、例えば、アニオンと、アリール置換又はヘテロアリール置換されたベンゼン化合物上の正に荷電した基(例えば、アミノ)との間で形成させることができる。好適なアニオンとして、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、重硫酸イオン、スルファミン酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、グルタミン酸イオン、グルクロン酸イオン、グルタル酸イオン、リンゴ酸イオン、マレイン酸イオン、コハク酸イオン、フマル酸イオン、酒石酸イオン、トシル酸イオン、サリチル酸イオン、乳酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン及び酢酸イオン(例えば、トリフルオロ酢酸イオン)が挙げられる。「薬学的に許容されるアニオン」という用語は、薬学的に許容される塩を形成するのに好適なアニオンをいう。同様に、塩はまた、カチオンと、アリール置換又はヘテロアリール置換されたベンゼン化合物上の負に荷電した基(例えば、カルボン酸イオン)との間で形成させることもできる。好適なカチオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、及びテトラメチルアンモニウムイオンなどのアンモニウムカチオンが挙げられる。アリール置換又はヘテロアリール置換されたベンゼン化合物として、第四級窒素原子を含むその塩も含まれる。塩形態において、化合物対塩のカチオン又はアニオンの比は、1:1でもよく、1:1以外の任意の割当量、例えば、3:1、2:1、1:2又は1:3でもよいことが理解されよう。
【0262】
加えて、本開示の化合物、例えば、化合物の塩は、水和若しくは非水和(無水)形態で存在しても、或いは他の溶媒分子との溶媒和物として存在してもよい。水和物の非限定的な例として、一水和物、二水和物などが挙げられる。溶媒和物の非限定的な例として、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが挙げられる。
【0263】
「溶媒和物」は、化学量論量或いは非化学量論量の溶媒を含む溶媒付加形態を意味する。一部の化合物は、結晶性固体状態で一定のモル比の溶媒分子を捕捉する傾向があり、したがって溶媒和物を形成する。溶媒が水の場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールの場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は1つの物質分子と1つ又は複数の水分子の組み合わせにより形成され、水はその分子状態をHOとして維持する。
【0264】
本明細書で使用する場合、「アナログ」という用語は、別の化学化合物と構造的に類似しているが、組成がやや異なる(異なる元素の原子による1つの原子の置き換え、又は特定の官能基の存在、又は別の官能基による1つの官能基の置き換えのように)化学化合物をいう。したがって、アナログは、参照化合物と機能及び外観が類似又は同様であるが、構造又は起源が類似又は同様でない化合物である。
【0265】
本明細書で定義した、「誘導体」という用語は、共通のコア構造を有するが、本明細書に記載するような様々な基で置換されている化合物をいう。例えば、式(I)で表される化合物はすべて、アリール又はヘテロアリール置換ベンゼン化合物であり、共通のコアとして式(I)を有する。
【0266】
「生物学的等価体」という用語は、ある原子又は原子団と、別の概ね類似した原子又は原子団との交換により生じる化合物をいう。生物学的等価性置換の目的は、親化合物に類似した生物学的特性を有する新しい化合物を作ることにある。生物学的等価性置換は、物理化学をベースにしても、或いは位相幾何学をベースにしてもよい。カルボン酸の生物学的等価体の例として、アシルスルホンイミド、テトラゾール、スルホネート及びホスホネートがあるが、これに限定されるものではない。例えば、Patani and LaVoie,Chem.Rev.96,3147-3176,1996を参照されたい。
【0267】
本開示は、本化合物に生じる原子の同位体をすべて含むことを意図している。同位体は、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例として、限定するものではないが、水素の同位体としてトリチウム及びジュウテリウムがあり、炭素の同位体としてC-13及びC-14がある。
【0268】
本開示の式(I)~(VIa)の任意の化合物は、本明細書に記載の通り、EZH2阻害剤とすることができる。
【0269】
本発明のある種の態様では、EZH2の阻害剤は、それが野生型EZH2のヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を阻害するよりも有効に変異型EZH2のヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を阻害するとき、変異型EZH2のヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を「選択的に阻害する」。例えば、いくつかの実施形態では、選択的阻害剤は、変異型EZH2に対するIC50が、野生型EZH2に対するIC50より少なくとも40パーセント低い。いくつかの実施形態では、選択的阻害剤は、変異型EZH2に対するIC50が野生型EZH2に対するIC50より少なくとも50パーセント低い。いくつかの実施形態では、選択的阻害剤は、変異型EZH2に対するIC50が野生型EZH2に対するIC50より少なくとも60パーセント低い。いくつかの実施形態では、選択的阻害剤は、変異型EZH2に対するIC50が野生型EZH2に対するIC50より少なくとも70パーセント低い。いくつかの実施形態では、選択的阻害剤は、変異型EZH2に対するIC50が野生型EZH2に対するIC50より少なくとも80パーセント低い。いくつかの実施形態では、選択的阻害剤は、変異型EZH2に対するIC50が野生型EZH2に対するIC50より少なくとも90パーセント低い。
【0270】
いくつかの実施形態では、変異型EZH2の選択的阻害剤は、野生型EZH2に対して阻害効果を実質的に発揮しない。
【0271】
本発明のある種の態様では、阻害剤(例えば、本明細書で開示される化合物)は、H3-K27me2からH3-K27me3への変換を阻害する。いくつかの実施形態では、阻害剤はH3-K27のトリメチル化を阻害すると言われる。H3-K27me1からH3-K27me2への変換はH3-K27me2からH3-K27me3への変換に先行するため、H3-K27me1からH3-K27me2への変換の阻害剤は当然H3-K27me2からH3-K27me3への変換も阻害する。すなわちそれは、H3-K27のトリメチル化を阻害する。H3-K27me1からH3-K27me2への変換を阻害せずにH3-K27me2からH3-K27me3への変換を阻害することも可能である。このタイプの阻害もまた、H3-K27のジメチル化の阻害はしないにしても、H3-K27のトリメチル化を阻害することになる。
【0272】
いくつかの実施形態では、阻害剤(例えば、本明細書で開示される化合物)は、H3-K27me1からH3-K27me2への変換及びH3-K27me2からH3-K27me3ヘの変換を阻害する。こうした阻害剤は、H3-K27me1からH3-K27me2への変換のみを直接阻害するものであってもよい。或いは、こうした阻害剤は、H3-K27me1からH3-K27me2への変換及びH3-K27me2からH3-K27me3ヘの変換の両方を直接阻害するものであってもよい。
【0273】
本発明のある種の態様では、EZH2阻害剤(例えば、本明細書で開示される化合物)は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性を阻害する。ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性の阻害は、任意の好適な方法を用いて検出することができる。阻害は、例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性の速度によって、又はヒストンメチルトランスフェラーゼ活性の産物として、測定することができる。
【0274】
阻害は、好適な対照と比較して測定可能な阻害である。いくつかの実施形態では、阻害は好適な対照と比較して少なくとも10パーセントの阻害である。すなわち、阻害剤を用いた場合の酵素活性の速度又は産物の量が、阻害剤を用いない場合に作られる、対応する速度又は量の90パーセント以下である。種々の他の実施形態では、阻害は好適な対照と比較して少なくとも20、25、30、40、50、60、70、75、80、90又は95パーセントの阻害である。いくつかの実施形態では、阻害は好適な対照と比較して少なくとも99パーセントの阻害である。すなわち、阻害剤を用いた場合の酵素活性の速度又は産物の量が、阻害剤を用いない場合に作られる、対応する速度又は量の1パーセント以下である。
【0275】
本開示の組成物は、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ又は複数の他の治療剤又はその薬学的に許容される塩とを含み得る。本開示は、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ又は複数の治療剤又はその薬学的に許容される塩との、合剤又は別個の製剤としての投与を提供し、製剤の投与は同時、逐次又は交互である。ある種の実施形態では、他の治療剤は、本開示の組成物で処置される疾患又は状態を処置するのに有用であると当技術分野において認識されている薬剤とすることができる。いくつかの実施形態では、他の治療剤は、本開示の組成物で処置される疾患又は状態を処置するのに有用であると当技術分野において認識されていない薬剤とすることができる。いくつかの態様では、他の治療剤は、本開示の組成物に有益な特性を付与する薬剤(例えば、組成物の粘度に影響を及ぼす薬剤)とすることができる。本開示の組成物の有益な特性として、式(I)~(VIa)の化合物と1つ又は複数の他の治療剤との併用から生じる薬物動態学的又は薬力学的な協同作用が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0276】
以下に示す治療剤は、例示を目的とするものであり、限定を意図するものではない。本開示は、以下のリストから選択される少なくとも1つの他の治療剤を含む。本開示は、本開示の組成物がその目的とする機能を発揮することができるように、2つ以上の他の治療剤、例えば、2つ、3つ、4つ又は5つの他の治療剤を含むことができる。
【0277】
いくつかの実施形態では、他の治療薬は抗癌剤である。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、HDAC阻害剤(ゾリンザ(登録商標)又はファリーダック(Farydak)(登録商標)など)などのヒストン修飾に影響を及ぼす化合物である。特定の実施形態では、抗癌剤は、化学療法剤(2CdA、5-FU、6-メルカプトプリン、6-TG、アブラキサン(商標)、アキュテイン(登録商標)、アクチノマイシンD、アドリアマイシン(登録商標)、アリムタ(登録商標)、アルケラン(登録商標)、全トランス型レチノイン酸、アメトプテリン、Ara-C、アザシタジン(Azacitadine)、BCNU、ブレノキサン(登録商標)、カンプトサール(Camptosar)(登録商標)、CeeNU(登録商標)、クロファラビン、クロラール(商標)、シトキサン(登録商標)、塩酸ダウノルビシン、ダウノキソーム(DaunoXome)(登録商標)、ダコゲン(Dacogen)(登録商標)、DIC、ドキシル(登録商標)、エレンス(Ellence)(登録商標)、エロキサチン(登録商標)、エムシト(Emcyt)(登録商標)、リン酸エトポシド、エトポフォス(Etopophos)(登録商標)、フルダラ(登録商標)、FUDR(登録商標)、ジェムザール(登録商標)、グリーベック(登録商標)、ヘキサメチルメラミン、ハイカムチン(登録商標)、ハイドレア(登録商標)、イダマイシン(登録商標)、アイフェックス(Ifex)(登録商標)、イムブルビカ(登録商標)、イキサベピロン、イグゼンプラ(登録商標)、L-アスパラギナーゼ、ロイケラン(登録商標)、リポソームAra-C、L-PAM、リソドレン(Lysodren)(登録商標)、マフォスファミド、マーキボ(Marqibo)(登録商標)、マチュレーン(Matulane)(登録商標)、ミスラシン(mithracin)、マイトマイシンC、ミレラン(登録商標)、ナベルビン(登録商標)、ノイトレキシン(Neutrexin)(登録商標)、ニロチニブ、ニペント(Nipent)(登録商標)、ナイトロジェンマスタード、ノバントロン(登録商標)、オンカスパー(Oncaspar)(登録商標)、パンレチン(登録商標)、パラプラチン(登録商標)、プラチノール(登録商標)、カルムスチンインプラント含有プロリフェプロスパン(prolifeprospan)20、サンドスタチン(登録商標)、タルグレチン(Targretin)(登録商標)、タシグナ(登録商標)、タキソテール(登録商標)、テモダール(登録商標)、TESPA、トポサール(Toposar)(登録商標)、トレアンダ(Toreanda)(登録商標)、トリセノックス(登録商標)、バルスター(Valstar)(登録商標)、ベルバン(Velban)(登録商標)、ビダーザ(商標)、硫酸ビンクリスチン、VM26、ゼローダ(登録商標)及びザノサー(登録商標)など);生物製剤(アルファインターフェロン、無菌化ウシ型結核菌、ベキサール(登録商標)、キャンパス(登録商標)、エルガミソール(Ergamisol)(登録商標)、エルロチニブ、ハーセプチン(登録商標)、インターロイキン2、イレッサ(登録商標)、レナリドミド、マイロターグ(登録商標)、オンタック(Ontak)(登録商標)、ペガシス(登録商標)、レブリミド(登録商標)、リツキサン(登録商標)、タルセバ(商標)、サロミド(登録商標)、タイケルブ(登録商標)ベルケイド(登録商標)及びゼバリン(商標)など);コルチコステロイド(リン酸デキサメタゾンナトリウム、デルタゾン(DeltaSone)(登録商標)、及びデルタ-コルテフ(Delta-Cortef)(登録商標)など);グルココルチコイド受容体アゴニスト(ベイカードロン(Baycadron)(登録商標)、マキシデックス(登録商標)、オザーデックス(Ozurdex)(登録商標)、エコノプレド(Econopred)(登録商標)、オムニプレド(Omnipred)(登録商標)、又はミリプレド(Millipred)(登録商標)など);ホルモン療法(アリミデックス(登録商標)、アロマシン(登録商標)、カソデックス(登録商標)、シタドレン(登録商標)、エリガード(登録商標)、ユーレキシン(Eulexin)(登録商標)、エビスタ(登録商標)、フェソロデックス(登録商標)、フェマーラ(登録商標)、ハロテスチン(登録商標)、メガス(Megace)(登録商標)、ニランドロン(Nilandron)(登録商標)、ノルバデックス(登録商標)、プレナキシス(Plenaxis)(商標)及びゾラデックス(登録商標)など);並びに放射性医薬品(ヨードトープ(Iodotope)(登録商標)、メタストロン(登録商標)、ホスホコル(Phosphocol)(登録商標)及びサマリウムSM-153など);免疫調節薬(ポマリスト(登録商標)、レブリミド(登録商標)、及びサリドマイド(登録商標)など);プロテアソーム阻害剤(カイプロリス(Kyprolis)(登録商標)、ニンラーロ(Ninlaro)(登録商標)、及びベルケイド(登録商標)など);bcl-2阻害薬(ベンクレクスタ(Venclexta)(登録商標)など)からなる群から選択される。
【0278】
例示的なグルココルチコイド受容体アゴニストとしては、デキサメタゾン(ベイカードロン(登録商標)、マキシデックス(Maxidex)(登録商標)、オザーデックス(登録商標))、メチルプレドニゾロン(デポ・メドロール(登録商標)、ソル・メドロール(登録商標))、又はプレドニゾロン(エコノプレド(登録商標)、オムニプレド(登録商標)、ミリプレド(Millipred)(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0279】
例示的な免疫調節薬としては、レナリドミド(レブリミド(登録商標))、ポマリドミド(ポマリスト(登録商標))、及びサリドマイド(サリドマイド(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0280】
例示的なプロテアソーム阻害剤としては、ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標))、カルフィルゾミブ(カイプロリス(登録商標))、及びイキサゾミブ(ニンラーロ(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0281】
例示的なBcl-2阻害剤としては、ベネトクラックス(ベンクレクスタ(登録商標))が挙げられるが、これに限定されない。
【0282】
いくつかの実施形態では、他の治療剤は、アルキル化剤;抗生物質;代謝拮抗剤;解毒剤;インターフェロン;ポリクローナル又はモノクローナル抗体;EGFR阻害剤;HER2阻害剤;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;ホルモン;有糸分裂阻害剤;MTOR阻害剤;多標的キナーゼ阻害剤;セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤;VEGF/VEGFR阻害剤;タキサン又はタキサン誘導体、アロマターゼ阻害剤、アントラサイクリン、微小管標的薬、トポイソメラーゼ毒性薬、分子標的又は酵素(例えば、キナーゼ又はタンパク質メチルトランスフェラーゼ)の阻害剤、シチジンアナログ薬、或いはwww.cancer.org/docroot/cdg/cdg_0.aspに収載されている任意の化学療法剤、抗新生物剤又は抗増殖剤を含む群から選択される化学療法剤(抗新生物剤又は抗増殖剤とも呼ばれる)である。
【0283】
例示的なアルキル化剤又はアルキル化様剤としては、以下に限定されるものではないが、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標);ネオサー(Neosar)(登録商標));クロランブシル(ロイケラン(登録商標));メルファラン(アルケラン(登録商標));カルムスチン(BiCNU(登録商標));ブスルファン(ブスルフェクス(登録商標));ロムスチン(CeeNU)(登録商標);ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標));オキサリプラチン(エロキサチン(登録商標));カルムスチン(ギリアデル(登録商標));イホスファミド(アイフェックス(登録商標));メクロレタミン(ムスタルゲン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン(登録商標));シスプラチン(CDDP(登録商標);プラチノール(登録商標));テモゾロミド(テモダール(登録商標));チオテパ(チオプレックス(Thioplex)(登録商標));ベンダムスチン(トレアンダ(登録商標));又はストレプトゾシン(ザノサー(登録商標))が挙げられる。
【0284】
例示的な抗生物質としては、以下に限定されるものではないが、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標));ドキソルビシンリポソーム(ドキシル(登録商標));ミトキサントロン(ノバントロン(登録商標));ブレオマイシン(ブレノキサン(登録商標));ダウノルビシン(セルビジン(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(ダウノキソーム(登録商標));ダクチノマイシン(コスメゲン(登録商標));エピルビシン(エレンス(登録商標));イダルビシン(イダマイシン(登録商標));プリカマイシン(ミスラシン(Mithracin)(登録商標));マイトマイシン(ムタミシン(Mutamycin)(登録商標));ペントスタチン(ニペント(登録商標));又はバルルビシン(バルスター(登録商標))が挙げられる。
【0285】
例示的な代謝拮抗剤としては、以下に限定されるものではないが、フルオロウラシル(アドルシル(登録商標));カペシタビン(ゼローダ(登録商標));ヒドロキシ尿素(ハイドレア(登録商標));メルカプトプリン(プリネトール(登録商標));ペメトレキセド(アリムタ);フルダラビン(フルダラ(登録商標));ネララビン(アラノン(Arranon)(登録商標));クラドリビン(クラドリビンノバプラス(Cladribine Novaplus)(登録商標));クロファラビン(クロラール(登録商標));シタラビン(サイトサール-U(登録商標));デシタビン(ダコゲン);シタラビンリポソーム(DepoCyt(登録商標));ヒドロキシ尿素(ドロキシア(Droxia)(登録商標));プララトレキセート(フォロチン(登録商標));フロクスウリジン(FUDR)(登録商標);ゲムシタビン(ジェムザール(登録商標));クラドリビン(ロイスタチン(登録商標));フルダラビン(オフォルタ(Oforta)(登録商標));メトトレキセート(MTX(登録商標);リウマトレックス(登録商標));メトトレキセート(トレキサール(Trexall)(登録商標));チオグアニン(タブロイド(登録商標));TS-1又はシタラビン(タラビン(Tarabine)PFS(登録商標))が挙げられる。
【0286】
葉酸型の代謝拮抗剤を含む例示的な代謝拮抗剤としては、ゲムシタビン、メトトレキサート、及びペメトレキセドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0287】
例示的な解毒剤としては、以下に限定されるものではないが、アミホスチン(エチオール(Ethyol)(登録商標))又はメスナ(メスネックス(Mesnex)(登録商標))が挙げられる。
【0288】
例示的なインターフェロンとしては、以下に限定されるものではないが、インターフェロンアルファ-2b(イントロンA)又はインターフェロンアルファ-2a(ロフェロンA)が挙げられる。
【0289】
例示的ポリクローナル又はモノクローナル抗体としては、以下に限定されるものではないが、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標));オファツムマブ(アーゼラ(登録商標));ベバシズマブ(アバスチン(登録商標));リツキシマブ(リツキサン);セツキシマブ(アービタックス(登録商標));パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標));トシツモマブ/ヨウ素131トシツモマブ(ベキサール(登録商標));アレムツズマブ(キャンパス(登録商標));イブリツモマブ(ゼバリン(登録商標);In-111(登録商標);Y-90ゼバリン(登録商標));ゲムツズマブ(マイロターグ(登録商標));エクリズマブ(ソリリス(登録商標))又はデノスマブが挙げられる。
【0290】
例示的なEGFR阻害剤としては、以下に限定されるものではないが、ゲフィチニブ(イレッサ);ラパチニブ(タイケルブ(登録商標));セツキシマブ(アービタックス(登録商標));エルロチニブ(タルセバ(登録商標));パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標));PKI-166;カネルチニブ(CI-1033);マツズマブ(Emd7200)又はEKB-569が挙げられる。
【0291】
例示的なHER2阻害剤としては、以下に限定されるものではないが、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標));ラパチニブ(タイケルブ(登録商標))又はAC-480が挙げられる。
【0292】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤には、ボリノスタット(ゾリンザ(登録商標))及びパノビノスタット(ファリーダック(登録商標))が含まれるが、これらに限定されない。
【0293】
例示的なホルモン剤としては、以下に限定されるものではないが、タモキシフェン(ソルタモックス(Soltamox);ノルバデックス(登録商標));ラロキシフェン(エビスタ(登録商標));メゲストロール(メガス(登録商標));リュープロリド(リュープロン(登録商標);リュープロンデポー剤(登録商標);エリガード(登録商標);ビアドュール(Viadur)(登録商標));フルベストラント(フェソロデックス(登録商標));レトロゾール(フェマーラ(登録商標));トリプトレリン(トレルスターLA(登録商標);トレルスターデポー剤(登録商標));エキセメスタン(アロマシン(登録商標));ゴセレリン(ゾラデックス(登録商標));ビカルタミド(カソデックス(登録商標));アナストロゾール(アリミデックス(登録商標));フルオキシメステロン(アンドロキシ(Androxy)(登録商標);ハロテスチン(登録商標));メドロキシプロゲステロン(プロベラ(登録商標);デポプロベラ(登録商標));エストラムスチン(エムシト(登録商標));フルタミド(ユーレキシン(登録商標));トレミフェン(フェアストン(登録商標));デガレリクス(ファーマゴン(登録商標));ニルタミド(ニランドロン(Nilandron)(登録商標));アバレリックス(プレナキシス(Plenaxis)(登録商標));又はテストラクトン(テスラック(登録商標))が挙げられる。
【0294】
例示的な有糸分裂阻害剤としては、以下に限定されるものではないが、パクリタキセル(タキソール(登録商標);オンキソール(Onxol)(登録商標);アブラキサン(登録商標));ドセタキセル(タキソテール(登録商標));ビンクリスチン(オンコビン(登録商標);ビンカサールPFS(登録商標));ビンブラスチン(ベルバン(登録商標));エトポシド(トポサール(Toposar(登録商標));エトポホス(登録商標);ベペシド(登録商標);テニポシド(ブモン(Vumon)(登録商標));イキサベピロン(イグゼンプラ)(登録商標);ノコダゾール;エポチロン;ビノレルビン(ナベルビン(登録商標));カンプトテシン(CPT);イリノテカン(カンプトサール)(登録商標);トポテカン(ハイカムチン)(登録商標);アムサクリン又はラメラリンD(LAM-D)が挙げられる。
【0295】
例示的なMTOR阻害剤としては、以下に限定されるものではないが、エベロリムス(アフィニトール(登録商標))又はテニシロリムス(トーリセル(登録商標));ラパミューン、リダホロリムス;又はAP23573が挙げられる。
【0296】
例示的なVEGF/VEGFR阻害剤としては、以下に限定されるものではないが、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標));ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標));スニチニブ(スーテント(登録商標));ラニビズマブ;ペガプタニブ;又はバンデチニブ(vandetinib)が挙げられる。
【0297】
例示的な微小管標的薬としては、以下に限定されるものではないが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロン及びナベルビンが挙げられる。
【0298】
例示的なトポイソメラーゼ毒性薬/トポイソメラーゼ阻害剤としては、以下に限定されるものではないが、イリノテカン、テニポシド、エトポシド、アドリアマイシン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、エピルビシン及びイダルビシンが挙げられる。
【0299】
例示的なタキサン又はタキサン誘導体としては、以下に限定されるものではないが、パクリタキセル及びドセタキソールが挙げられる。
【0300】
例示的で一般的な化学療法剤、抗新生物剤、抗増殖剤としては、アルトレタミン(ヘキサレン);イソトレチノイン(アキュテイン;アムネスティーム;クララビス;ソトレット(Sotret));トレチノイン(ベサノイド(登録商標));アザシチジン(ビダーザ(登録商標));ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標))アスパラギナーゼ(エルスパール(Elspar)(登録商標));イブルチニブ(インブルビカ(Imbruvica)(登録商標));レバミソール(エルガミソール(登録商標));ミトタン(リソドレン(登録商標));プロカルバジン(マチュレーン);ペガスパルガーゼ(オンカスパー(登録商標));デニロイキンディフチトクス(オンタック(登録商標));ポルフィマー(フォトフリン(登録商標));アルデスロイキン(プロロイキン(登録商標));レナリドミド(レブリミド(登録商標));ベキサロテン(タルグレチン(登録商標));サリドマイド(サロミド(登録商標));テニシロリムス(トーリセル(登録商標));三酸化ヒ素(トリセノックス(登録商標));ベルテポルフィン(ビスダイン(登録商標));ミモシン(ロイセノール(登録商標));(1M テガフール-0.4M 5-クロロ-2,4-ジヒドロキシピリミジン-1M カリウムオキソネート)、又はロバスタチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0301】
いくつかの態様では、他の治療薬は、化学療法剤又はG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)などのサイトカインである。
【0302】
さらなる態様では、他の治療薬は、CMF(シクロホスファミド、メトトレキセート、及び5-フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシン、及び5-フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシン及びシクロホスファミド)、FEC(5-フルオロウラシル、エピルビシン、及びシクロホスファミド)、ACT若しくはATC(アドリアマイシン、シクロホスファミド、及びパクリタキセル)、リツキシマブ、ゼローダ(カペシタビン)、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、TS-1(1:0.4:1のモル比のテガフール、ギメスタット、及びオタスタットカリウム)、カンプトテシン-11(CPT-11、イリノテカン、若しくはカンプトサール(商標))、CHOP(シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、オンコビン、及びプレドニゾン若しくはプレドニゾロン)、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、オンコビン、プレドニゾン、若しくはプレドニゾロン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン)、hyper-CVAD(多分割シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、及びプレドニゾン)、又はCMFP(シクロホスファミド、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びプレドニゾン)など標準的な化学併用療法であり得るが、これらに限定されない。
【0303】
他の態様では、他の治療剤は、受容体型又は非受容体型キナーゼなどの酵素の阻害剤であり得る。受容体型及び非受容体型キナーゼは、例えばチロシンキナーゼ又はセリン/スレオニンキナーゼである。本明細書に記載のキナーゼ阻害剤は、小分子、ポリ核酸、ポリペプチド又は抗体である。
【0304】
例示的なキナーゼ阻害剤としては、アフィチニブ(EFGR/Her2を標的とする)、ベバシズマブ(VEGFを標的とする)、BIBW2992(EGFR及びErbB2を標的とする)、ブリガチニブ(ALK及びEFGRを標的とする)、セリチニブ(ALKを標的とする)、クリゾチニブ(ALK及びROS1を標的とする)、セツキシマブ/アービタックス(ErbB1を標的とする)、イマチニブ/グリービック(Gleevic)(Bcr-Ablを標的とする)、トラスツズマブ(ErbB2を標的とする)、ゲフィチニブ/イレッサ(EGFRを標的とする)、ラニビズマブ(VEGFを標的とする)、ペガプタニブ(VEGFを標的とする)、エルロチニブ/タルセバ(ErbB1を標的とする)、ニロチニブ(Bcr-Ablを標的とする)、ラパチニブ(ErbB1及びErbB2/Her2を標的とする)、GW-572016/ラパチニブジトシレート(HER2/ErbB2を標的とする)、パニツムマブ/ベクティビックス(EGFRを標的とする)、バンデチニブ(Vandetinib)(RET/VEGFRを標的とする)、E7080(RET及びVEGFRを含む複数を標的とする)、ハーセプチン(HER2/ErbB2を標的とする)、PKI-166(EGFRを標的とする)、カネルチニブ/CI-1033(EGFRを標的とする)、スニチニブ/SU-11464/スーテント(EGFR及びFLT3を標的とする)、マツズマブ/Emd7200(EGFRを標的とする)、EKB-569(EGFRを標的とする)、Zd6474(EGFR及びVEGFRを標的とする)、PKC-412(VEGR及びFLT3を標的とする)、バタラニブ/Ptk787/ZK222584(VEGRを標的とする)、CEP-701(FLT3を標的とする)、SU5614(FLT3を標的とする)、MLN518(FLT3を標的とする)、XL999(FLT3を標的とする)、VX-322(FLT3を標的とする)、Azd0530(SRCを標的とする)、BMS-354825(SRCを標的とする)、SKI-606(SRCを標的とする)、CP-690(JAKを標的とする)、AG-490(JAKを標的とする)、WHI-P154(JAKを標的とする)、WHI-P131(JAKを標的とする)、ソラフェニブ/ネクサバール(RAFキナーゼ、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、PDGFR-β、KIT、FLT-3及びRETを標的とする)、ダサチニブ/スプリセル(BCR/ABL及びSrc)、AC-220(Flt3を標的とする)、AC-480(HERタンパク質をすべて標的とする、「panHER」)、モテサニブ二リン酸塩(VEGF1-3、PDGFR及びc-kitを標的とする)、デノスマブ(RANKLを標的にし、SRCを阻害する)、AMG888(HER3を標的とする)、並びにAP24534(Flt3を含む複数を標的とする)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0305】
例示的なセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤としては、ラパミューン(mTOR/FRAP1を標的とする)、デフォロリムス(mTORを標的とする)、サーティカン/エベロリムス(mTOR/FRAP1を標的とする)、AP23573(mTOR/FRAP1を標的とする)、エリル/塩酸ファスジル(RHOを標的とする)、アベマシクリブ(CDKを標的とする)、パルボシクリブ(CDKを標的とする)、リボシクリブ(CDKを標的とする)、フラボピリドール(CDKを標的とする)、セリシクリブ(Seliciclib)/CYC202/ロスコビトリン(Roscovitrine)(CDKを標的とする)、SNS-032/BMS-387032(CDKを標的とする)、ルボキシスタウリン(PKCを標的とする)、Pkc412(PKCを標的とする)、ブリオスタチン(PKCを標的とする)、KAI-9803(PKCを標的とする)、SF1126(PI3Kを標的とする)、ピクチリシブ(PI3Kを標的とする)、BKM-120(PI3Kを標的とする)、VX-680(オーロラキナーゼを標的とする)、Azd1152(オーロラキナーゼを標的とする)、Arry-142886/AZD-6244(MAP/MEKを標的とする)、AZD9291(EGFRを標的とする)、SCIO-469(MAP/MEKを標的とする)、GW681323(MAP/MEKを標的とする)、CC-401(JNKを標的とする)、CEP-1347(JNKを標的とする)、MK-1775(Weeを標的とする)、ベリパリブ(PARPを標的とする)、デシタビン(DNMTを標的とする)、アザシチジン(DNMTを標的とする)、及びPD332991(CDKを標的とする)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0306】
例示的なチロシンキナーゼ阻害剤として、エルロチニブ(タルセバ);ゲフィチニブ(イレッサ);イマチニブ(グリーベック);ソラフェニブ(ネクサバール);スニチニブ(スーテント);トラスツズマブ(ハーセプチン);ベバシズマブ(アバスチン);リツキシマブ(リツキサン);ラパチニブ(タイケルブ);セツキシマブ(アービタックス);パニツムマブ(ベクティビックス);エベロリムス(アフィニトール);アレムツズマブ(キャンパス);ゲムツズマブ(マイロターグ);テムシロリムス(トーリセル);パゾパニブ(ヴォトリエント);ダサチニブ(スプリセル);ニロチニブ(タシグナ);バタラニブ(Ptk787;ZK222584);CEP-701;SU5614;MLN518;XL999;VX-322;Azd0530;BMS-354825;SKI-606 CP-690;AG-490;WHI-P154;WHI-P131;AC-220;又はAMG888が挙げられるが、これに限定されるものではない。式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩と併用するのに好適な他の治療剤のさらなる例は、2014年5月13日に出願された同時係属中の米国特許出願第61/992,881号明細書及び2014年12月8日に出願された国際出願番号PCT/US2014/069167号明細書に開示されており、その各々の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0307】
例示的なチューブリン重合阻害剤としては、ビノレルビンが挙げられるが、これに限定されない。
【0308】
例示的なマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤としては、トラメチニブ及びセルメチニブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0309】
例示的なBRAF阻害剤としては、ベムラフェニブが挙げられるが、これに限定されない。
【0310】
レチノイン酸受容体アゴニストであり得る例示的な第2の薬剤としては、ATRAが挙げられるが、これに限定されない。
【0311】
CBP/p300阻害剤受容体アゴニストであり得る例示的な第2の薬剤としては、化合物H又はその薬学的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0312】
いくつかの実施形態では、他の治療薬は多面的経路修飾因子である。例示的な多面的経路修飾因子としては、CC-122が挙げられるが、これに限定されない。
【0313】
本開示は、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1つ又は複数の他の治療薬を含む組成物が、疾患又は癌の処置を必要とする被験体に投与される併用療法の方法を提供する。本開示はまた、併用療法のための医薬として使用される組成物を提供し、この組成物は、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含み、1つ又は複数の他の治療薬と組み合わせて、疾患又は癌の処置を必要とする被験体に投与される。本開示は、併用療法のための医薬の製造における組成物の使用をさらに提供し、この組成物は、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含み、1つ又は複数の他の治療薬と組み合わせて、疾患又は癌の処置を必要とする被験体に投与される。併用療法はまた、癌細胞に投与して増殖を阻害する、又は細胞死を誘導することができる。いくつかの態様では、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1つ又は複数の他の治療薬を含む本開示の組成物の投与後に投与される。いくつかの態様では、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び1つ又は複数の他の治療薬を含む本開示の組成物の投与前に投与される。いくつかの態様では、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、1つ又は複数の治療剤の投与後に投与され、したがって、他の治療剤は単一の組成物で又は2つ以上の組成物で投与され、例えば、同時に、逐次的に、又は交互に投与される。いくつかの態様では、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は1つ又は複数の治療剤の投与前に投与され、したがって、他の治療剤は単一の組成物で又は2つ以上の組成物で投与され、例えば、同時に、逐次的に又は交互に投与される。
【0314】
いくつかの態様では、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩は、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩及び1つ若しくは複数の他の治療薬を含む本開示の組成物の投与後に投与される。いくつかの態様では、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩は、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩及び1つ若しくは複数の他の治療薬を含む本開示の組成物の投与前に投与される。いくつかの態様では、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩は、他の治療薬が単一組成物中又は2つ以上の組成物中のいずれかで、例えば、同時に、連続的に、又は交互に投与されるように、1つ又は複数の治療薬の投与後に投与される。いくつかの態様では、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩は、他の治療薬が単一組成物中又は2つ以上の組成物中のいずれかで、例えば、同時に、連続的に、又は交互に投与されるように、1つ又は複数の治療薬の投与前に投与される。
【0315】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、アルキル化剤又はアルキル化様剤、抗腫瘍剤、有糸分裂阻害剤、チューブリン重合阻害剤、代謝拮抗剤、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、上皮成長因子受容体(EFGR)阻害剤、EFGR及びErbB2の阻害剤、EFGR及びヒト上皮成長因子受容体2(Her2)の阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤、ALK及びROS1の阻害剤、ALK及びEGFRの阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤、BRAF阻害剤、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、Wee1阻害剤、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、グルココルチコイド受容体アゴニスト、レチノイン酸受容体アゴニスト、CBP/p300阻害剤、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0316】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、アルキル化剤又はアルキル化様剤、抗腫瘍剤、有糸分裂阻害剤、チューブリン重合阻害剤、代謝拮抗剤、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、上皮成長因子受容体(EFGR)阻害剤、EFGR及びErbB2の阻害剤、EFGR及びヒト上皮成長因子受容体2(Her2)の阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤、ALK及びROS1の阻害剤、ALK及びEGFRの阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤、BRAF阻害剤、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、Wee1阻害剤、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、グルココルチコイド受容体アゴニスト、レチノイン酸受容体アゴニスト、CBP/p300阻害剤、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0317】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、ボリノスタット、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、アファチニブ、AZD9291、クリゾチニブ、セリチニブ、ブリガチニブ、アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、メトトレキサート、ペメトレキセド(permetrexed)、トラメチニブ、セルメチニブ、ベムラフェニブ、ピクチリシブ、BKM-120、MK-1775、ベリパリブ、プレドニゾロン、ATRA、化合物H、又はその薬学的に許容される塩、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0318】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、ボリノスタット、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、アファチニブ、AZD9291、クリゾチニブ、セリチニブ、ブリガチニブ、アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、メトトレキサート、ペメトレキセド、トラメチニブ、セルメチニブ、ベムラフェニブ、ピクチリシブ、BKM-120、MK-1775、ベリパリブ、プレドニゾロン、ATRA、化合物H、又はその薬学的に許容される塩、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0319】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、アルキル化剤又はアルキル化様剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、シスプラチンと組み合わせて投与される。
【0320】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、アルキル化剤又はアルキル化様剤アゴニストと組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、シスプラチンと組み合わせて投与される。
【0321】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、オキサリプラチンと組み合わせて投与される。
【0322】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、抗腫瘍剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、オキサリプラチンと組み合わせて投与される。
【0323】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、有糸分裂阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0324】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、有糸分裂阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0325】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、チューブリン重合阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ビノレルビンと組み合わせて投与される。
【0326】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、チューブリン重合阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ビノレルビンと組み合わせて投与される。
【0327】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、代謝拮抗剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ゲムシタビンと組み合わせて投与される。
【0328】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、代謝拮抗剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ゲムシタビンと組み合わせて投与される。
【0329】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、葉酸型の代謝拮抗剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、メトトレキサート、ペメトレキセド、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0330】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、葉酸型の代謝拮抗剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、メトトレキサート、ペメトレキセド、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0331】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、デシタビン、アザシチジン、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0332】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、デシタビン、アザシチジン、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0333】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ボリノスタットと組み合わせて投与される。
【0334】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ボリノスタットと組み合わせて投与される。
【0335】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、トポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、イリノテカン、エトポシド、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0336】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、トポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、イリノテカン、エトポシド、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0337】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、上皮成長因子受容体(EFGR)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、AZD9291、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0338】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、上皮成長因子受容体(EFGR)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、AZD9291、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0339】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、上皮成長因子受容体(EFGR)及びErbB2の阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ラパチニブと組み合わせて投与される。
【0340】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、上皮成長因子受容体(EFGR)及びErbB2の阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ラパチニブと組み合わせて投与される。
【0341】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、上皮成長因子受容体(EFGR)及びヒト上皮成長因子受容体2(Her2)の阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、アファチニブと組み合わせて投与される。
【0342】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、上皮成長因子受容体(EFGR)及びヒト上皮成長因子受容体2(Her2)の阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、アファチニブと組み合わせて投与される。
【0343】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、セリチニブと組み合わせて投与される。
【0344】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、セリチニブと組み合わせて投与される。
【0345】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)及びROS1の阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、クリゾチニブと組み合わせて投与される。
【0346】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)及びROS1の阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、クリゾチニブと組み合わせて投与される。
【0347】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)及び上皮成長因子受容体(EFGR)の阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ブリガチニブと組み合わせて投与される。
【0348】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)及び上皮成長因子受容体(EFGR)の阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ブリガチニブと組み合わせて投与される。
【0349】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0350】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0351】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、トラメチニブ、セルメチニブ、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0352】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、トラメチニブ、セルメチニブ、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0353】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、BRAF阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ベムラフェニブと組み合わせて投与される。
【0354】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、BRAF阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ベムラフェニブと組み合わせて投与される。
【0355】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ホスファチジルイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ピクチリシブ、BKM-120、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0356】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ピクチリシブ、BKM-120、又はそれらの組み合わせと組み合わせて投与される。
【0357】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、Wee1阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、MK-1775と組み合わせて投与される。
【0358】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、Wee1阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、MK-1775と組み合わせて投与される。
【0359】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ベリパリブと組み合わせて投与される。
【0360】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ベリパリブと組み合わせて投与される。
【0361】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ベリパリブと組み合わせて投与される。
【0362】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、グルココルチコイド受容体アゴニストと組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、プレドニゾロンと組み合わせて投与される。
【0363】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、グルココルチコイド受容体アゴニストと組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、プレドニゾロンと組み合わせて投与される。
【0364】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、レチノイン酸受容体アゴニストと組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ATRAと組み合わせて投与される。
【0365】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、レチノイン酸受容体アゴニストと組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ATRAと組み合わせて投与される。
【0366】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、CBP/p300阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、化合物Hと組み合わせて投与される。
【0367】
いくつかの実施形態では、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、CBP/p300阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)~(VIa)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、化合物Hの薬学的に許容される塩と組み合わせて投与される。
【0368】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、CBP/p300阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、化合物Hと組み合わせて投与される。
【0369】
いくつかの実施形態では、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、CBP/p300阻害剤と組み合わせて投与される。例えば、タゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩、又はタゼメトスタット若しくはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、化合物Hの薬学的に許容される塩と組み合わせて投与される。
【0370】
ある種の実施形態では、「併用療法」は、各治療剤が異なる時点で投与される、これらの治療剤の逐次的な投与、並びにこれらの治療剤又はこれらの治療剤の少なくとも2つの同時又は実質的に同時の投与を包含することを意図する。同時投与は、例えば、固定比率の各治療剤を含有する単一カプセル剤又は治療剤の各々についての複数の単一カプセル剤を被検体に投与することによって達成することができる。各治療剤の逐次的又は実質的に同時の投与は、以下に限定されるものではないが、経口経路、静注経路、筋肉内経路及び粘膜組織による直接吸収を含む、任意の適切な経路により達成することができる。治療剤は、同じ経路により又は異なる経路により投与することができる。例えば、選択された併用の最初の治療剤は静脈内注射により投与することができ、一方他の治療剤は経口投与することができる。或いは、例えば、治療剤をすべて経口投与することも、又は静脈内注射により投与することもできる。治療剤はまた交互に投与してもよい。
【0371】
本発明のある種の態様では、本開示で注目する併用療法は、疾患又は癌の処置において相乗効果をもたらし得るものである。「相乗効果」は、治療剤の併用の効力が単独投与されたいずれの薬剤の効果の合計よりも大きい場合として定義される。相乗効果はまた、化合物又は他の治療剤のいずれについても単剤として投与することによって達成することができない効果でもあり得る。相乗効果には、以下に限定されるものではないが、腫瘍サイズの縮小、腫瘍増殖の阻害又は被検体の生存期間の延長による癌処置の効果が含まれる。相乗効果にはまた、癌細胞生存率の低下、癌細胞死の誘導及び癌細胞増殖の阻害又は遅延も含まれ得る。
【0372】
本発明のある種の態様では、「併用療法」はまた、他の生物学的に活性な成分及び非薬物療法(例えば、外科手術又は放射線処置)とのさらなる併用における、上記の治療剤の投与も包含する。併用療法が非薬物処置をさらに含む場合、治療剤の併用と非薬物処置との共同作用からの有益な効果が達成される限り、非薬物処置は任意の好適な時期に行うことができる。例えば、適合する症例では、非薬物処置が治療剤の投与のためにおそらく数日間又は数週間も一時的に中断される場合でも依然として有益な効果が達成される。
【0373】
他の態様では、本開示の組成物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、アナログ若しくは誘導体は、放射線療法と併用して投与することができる。放射線療法はまた、多剤療法の一部として、本開示の組成物及び本明細書に記載の別の化学療法剤と併用して適用することもできる。
【0374】
いくつかの実施形態では、併用療法は、2つ以上の薬剤、例えば式(I)~(VIa)の化合物及び本明細書に記載の1つ又は複数の他の治療薬を投与することによって達成され、式(I)~(VIa)の化合物は、1つ又は複数の他の治療薬とは別に製剤化され投与される。いくつかの実施形態では、併用療法は、単一製剤中の2つ以上の薬剤を投与することによって達成される。他の組み合わせもまた、併用療法に包含される。例えば、2つの薬剤を一緒に製剤化し、そして第3の薬剤を含む別個の製剤と共に投与することができる。いくつかの実施形態では、併用療法における2つ以上の薬剤は、同時に投与することができるが、必ずしもそうする必要はない。例えば、第1の薬剤(又は薬剤の併用)の投与は、1つ又は複数の第2の薬剤(例えば、薬剤の併用)の投与の数分前、数時間前、数日前又は数週間前にすることができる。したがって、2種以上の薬剤は、互いに数分以内、若しくは互いに1、2、3、6、9、12、15、18若しくは24時間以内、若しくは互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14日以内、又は互いに2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10週間以内に投与することができる。場合によっては、間隔をさらに一層長くすることが可能である。多くの場合、併用療法に使用される2種以上の薬剤は患者の体内に同時に存在することが望ましいが、そうである必要はない。
【0375】
いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤、例えば式(I)~(VIa)の化合物及び本明細書に記載の1つ又は複数の他の治療薬の投与計画は異なる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の薬剤、例えば本明細書で提供されるEZH2阻害剤は、毎日、例えば1日2回、100mg~1600mgの用量で投与され、そして1つ又は複数の第2の薬剤、例えば本明細書で提供される抗癌剤は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、1つの薬剤、例えばEZH2阻害剤は、処置期間、例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月などの期間にわたって毎日(例えば、BID)連続的に投与される一方、1つ又は複数の第2の薬剤、例えば本明細書で提供される抗癌剤は、断続的な非処置期間を伴う連続的な処置期間、例えば2週間の処置とそれに続く1週間の非処置で、この期間中に投与される。併用療法は、そのような実施形態では、1つの薬剤の少なくとも1つの処置期間を他の薬剤の少なくとも1つの処置期間と重複させることによって達成することができる。
【0376】
本開示はまた、式(I)~(VIa)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、本明細書に開示している1つ又は複数の他の治療剤とを、薬学的に好適なキャリア又は賦形剤と混合して、本明細書に記載の疾患又は状態を処置又は予防するための用量で含む医薬組成物も提供する。いくつかの態様では、本開示はまた、表Iの任意の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ又は複数の治療剤とを、薬学的に好適なキャリア又は賦形剤と混合して、本明細書に記載の疾患又は状態を処置又は予防するための用量で含む医薬組成物も提供する。いくつかの態様では、本開示はまた、本明細書に記載の疾患又は状態を処置又は予防するための用量で、薬学的に適切な担体又は賦形剤と混合された、タゼメトスタット
【化25】
又はその薬学的に許容される塩、及び1つ又は複数の治療薬を含む医薬組成物を提供する。本開示の医薬組成物はまた、他の治療剤又は治療法と併用して、同時に、逐次的に又は交互に投与することもできる。
【0377】
本開示の組成物の混合物はまた、患者に、単純な混合物として、又は製剤化した好適な医薬組成物で投与することもできる。例えば、本発明のいくつかの態様は、治療有効用量の式(I)~(VIa)のEZH2阻害剤又はその薬学的に許容される塩、水和物、エナンチオマー若しくは立体異性体と、1つ又は複数の他の治療剤と、薬学的に許容される希釈剤又はキャリアとを含む医薬組成物に関する。
【0378】
「医薬組成物」とは、本開示の化合物を、被検体への投与に好適な形態で含む製剤のことである。式(I)~(VIa)の化合物(例えば、タゼメトスタット)及び本明細書に記載の1つ又は複数の他の治療薬はそれぞれ、個々に製剤化することもできるし、又は活性成分の任意の組み合わせで複数の医薬組成物に製剤化することもできる。したがって、1つ又は複数の投与経路を、各医薬組成物の剤形に基づいて適切に選択することができる。或いは、式(I)~(VIa)の化合物(例えば、タゼメトスタット)及び本明細書に記載の1つ又は複数の他の治療薬は、1つの医薬組成物として製剤化することができる。
【0379】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、戦略、治療法、組成物、又は組み合わせに有用な医薬組成物は、バルク又は単位剤形である。単位剤形は、例えば、カプセル剤、サシェ剤、IVバッグ、錠剤、エアロゾル吸入器の単一ポンプ、又はバイアル若しくはアンプルを含む、様々な形態のいずれかであり得る。単位用量の組成物中の活性成分(例えば、開示される化合物若しくはその塩、水和物、溶媒和物、若しくは異性体の製剤、又はそのような化合物の組み合わせ)の量は、有効量であり、関連する特定の処置によって異なる。当業者であれば、患者の年齢及び状態によって投薬量を日常的に変える必要があることもあることを理解するであろう。投薬量はまた投与経路によって異なる。経口、経肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、口腔内、舌下、胸膜内、髄腔内、鼻腔内及び同種のものなど種々の経路を意図している。本発明の化合物の局所投与又は経皮投与用の剤形として、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液剤、パッチ剤及び吸入薬が挙げられる。いくつかの実施形態では、活性化合物は、滅菌条件下で薬学的に許容されるキャリアと、必要とされる任意の防腐剤、バッファー又は噴霧剤と混合される。
【0380】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という語句とは、化合物、アニオン、カチオン、材料、組成物、キャリア及び/又は剤形が、適切な医学的判断の範囲内において、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を回避しつつ、合理的なベネフィット/リスク比に見合ってヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適であることをいう。
【0381】
「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬組成物の調製に有用であり、且つ一般に安全で無毒性であり、生物学的にも或いは他の点でも望ましい賦形剤を意味し、動物用途のほか、ヒトの医薬用途に許容可能な賦形剤を含む。本明細書及び特許請求の範囲に使用される「薬学的に許容される賦形剤」は、そうした賦形剤の1種及び2種以上の両方を含む。
【0382】
本発明の医薬組成物は、その目的の投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例として、非経口投与、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口投与(例えば、吸入)、経皮投与(局所)、及び経粘膜投与が挙げられる。非経口用途、皮内用途又は皮下用途に使用される溶液又は懸濁液として、以下の成分:無菌希釈液、例えば食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌薬、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム;キレート化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;バッファー、例えばアセテート、シトレート又はホスフェート、及び張度調整剤、例えば塩化ナトリウム又はブドウ糖を挙げることができる。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムで調整することができる。非経口調製物は、ガラス若しくはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジ又はマルチドーズバイアルに封入してもよい。
【0383】
本発明の化合物又は医薬組成物は、化学療法処置に現在使用されるよく知られた方法の多くで被検体に投与することができる。例えば、癌の処置では、本発明の化合物を腫瘍に直接注射しても、血流中若しくは体腔に注射しても、或いは経口投与しても、或いはパッチを用いて経皮適用してもよい。選択される用量は効果的な処置となるのに十分であるが、許容できない副作用を引き起こすほど高くないようにすべきである。病状の状況(例えば、癌、前癌及び同種のもの)及び患者の健康については好ましくは、処置中及び処置後相当期間、詳細にモニターすべきである。
【0384】
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用する場合、特定された疾患又は状態を処置、軽減又は予防する、或いは検出可能な治療効果又は阻害効果を示す医薬剤の量をいう。効果は、当該技術分野において公知の任意のアッセイ方法により検出することができる。被検体の正確な有効量は、被検体の体重、大きさ及び健康;その状態の性質及び程度;並びに投与のために選択した治療法又は併用療法によって異なる。ある状況に対する治療有効量は、臨床医の技能及び判断の範囲内にある通常の実験により決定することができる。いくつかの態様では、処置対象の疾患又は状態は癌である。他の態様では、処置対象の疾患又は状態は細胞増殖性障害である。
【0385】
ある種の実施形態では、併用される各医薬剤の治療有効量は、各薬剤を単独で用いる単剤療法と比較して、併用した場合の方が少ない。このように治療有効量が少なければ、治療レジメンの毒性が低くなり得る。
【0386】
いずれの化合物でも、治療有効量は、例えば、腫瘍性細胞の細胞培養アッセイ、又は動物モデル、通常ラット、マウス、ウサギ、イヌ若しくはブタを用いて最初に推定することができる。動物モデルはさらに、適切な濃度範囲及び投与経路を判定するのに使用してもよい。次いでこうした情報を使用して、ヒトの投与に有用な用量及び経路を判定することができる。治療/予防有効性及び毒性は、細胞培養又は実験動物を対象とした標準的な薬学的手順、例えば、ED50(集団の50%で治療効果のある用量)及びLD50(集団の50%致死用量)により判定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療係数であり、LD50/ED50比で表すことができる。好ましいのは、大きな治療係数を示す医薬組成物である。投薬量は、利用する剤形、患者の感受性及び投与経路によってこの範囲内で変わってもよい。
【0387】
投薬量及び投与は、十分なレベルの活性剤を与えるか、又は所望の効果を維持するように調整される。考慮に入れてもよい因子として、病状の重症度、被検体の一般的な健康状態、被検体の年齢、体重及び性別、食事、投与の時間及び頻度、薬剤の組み合わせ、反応感受性、並びに治療に対する忍容性/反応が挙げられる。長時間作用性医薬組成物は、特定の製剤の半減期及びクリアランス速度によって3~4日毎、毎週或いは2週に1回投与してもよい。
【0388】
本発明の活性化合物を含む医薬組成物は、一般に知られた方法で、例えば、従来の混合プロセス、溶解プロセス、造粒プロセス、糖衣錠製造プロセス、研和プロセス、乳化プロセス、カプセル化プロセス、封入プロセス又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。医薬組成物は、活性化合物を薬学的に使用することができる調製物に加工しやすくする賦形剤及び/又は助剤を含む、1種若しくは複数種の薬学的に許容されるキャリアを用いて従来の方法で製剤化してもよい。言うまでもなく、適切な製剤は選択された投与経路によって異なる。
【0389】
注射用途に好適な医薬組成物は、無菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び必要に応じて調製される無菌注射用溶液又は分散液用の無菌粉末を含む。静脈内投与では、好適なキャリアとして、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)又はリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、シリンジ操作が容易である程度の流動性があるべきである。組成物は、製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの混入微生物の作用を防止しなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール並びに同種のもの)及びこれらの好適な混合物を含む溶媒又は分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には、必要とされる粒度の維持により、及び界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール及び同種のものの使用により達成することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマニトール及びソルビトール、並びに塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の吸収の持続化は、組成物に吸収を遅らせる薬、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含ませることにより行うことができる。
【0390】
無菌注射溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて上記に列挙した1つの成分又は成分の組み合わせと共に適切な溶媒に加え、続いて濾過滅菌を行うことにより調製することができる。一般に、分散液は、基本的な分散媒及び上記に列挙したものから必要とされる他の成分を含む無菌ビヒクルに活性化合物を加えることにより調製される。無菌注射溶液の調製用の無菌粉末の場合、調製方法は真空乾燥及びフリーズドライであり、これにより活性成分と任意の所望の追加成分との、前もって滅菌濾過した溶液から、活性成分と任意の所望の追加成分との粉末が得られる。
【0391】
経口組成物は一般に、不活性希釈剤又は食用の薬学的に許容されるキャリアを含む。経口組成物はゼラチンカプセルに封入しても、或いは錠剤に圧縮してもよい。経口治療投与の目的上、活性化合物を賦形剤と混合し、錠剤、トローチ剤又はカプセル剤の形態で使用してもよい。経口組成物はさらに、洗口剤として使用される液体キャリアを用いて調製してもよく、液体キャリア中の化合物は経口適用し、すすいで吐き出すか又は飲み込む。薬学的に適合する結合剤及び/又は補助剤を組成物の一部として含めてもよい。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤及び同種のものは、性質の類似した以下の成分又は化合物:バインダー、例えば微結晶性セルロース、トラガントゴム又はゼラチン;賦形剤、例えばデンプン又はラクトース、崩壊剤、例えばアルギン酸、Primogel又はコーンスターチ;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はSterotes;流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロース又はサッカリン;又は着香剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香味料のいずれかを含んでもよい。
【0392】
吸入による投与では、化合物は、好適な噴射剤、例えば、二酸化炭素などのガスを含む加圧容器若しくはディスペンサー、又はネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0393】
全身投与はまた、経粘膜又は経皮手段によるものでもよい。経粘膜又は経皮投与では、透過対象のバリアに適した浸透剤を製剤に使用する。こうした浸透剤は一般に当該技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレー又は坐剤の使用により達成することができる。経皮投与では、活性化合物を一般に当該技術分野において公知の軟膏、膏薬、ゲル又はクリームに製剤する。
【0394】
活性化合物は、化合物の身体からの急速な排除を防ぐ薬学的に許容されるキャリア、例えばインプラント及びマイクロカプセル化送達系などの放出制御製剤と共に調製してもよい。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用してもよい。こうした製剤を調製するための方法は、当業者に明らかであろう。こうした材料はさらに、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から市販品として入手することができる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞を標的としたリポソームを含む)も、薬学的に許容されるキャリアとして使用することができる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号明細書に記載されているような当業者に公知の方法に従い調製することができる。
【0395】
投与のしやすさ及び投薬量の均一性のため、経口又は非経口組成物を投薬単位剤形で製剤化すると特に有利である。投薬単位剤形とは、本明細書で使用する場合、単位投薬量として処置対象の被検体に適した物理的に分離した単位をいい、各単位は、必要とされる薬学的キャリアと共に、所望の治療効果を発揮するように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位剤形の規格は、活性化合物の特有の特徴及び達成されるべき個々の治療効果により決定され、それらに直接左右される。
【0396】
治療用途では、本明細書に記載のEZH2阻害剤、本明細書に記載の他の治療剤、式(I)~(VIa)の化合物と1つ又は複数の他の治療剤とを含む組成物、又は本発明に従い使用される医薬組成物の投薬量は、選択される投薬量に影響を与える数ある要因の中でも、薬剤、レシピエント患者の年齢、体重及び臨床状態、並びに療法を行う臨床医又は開業医の経験及び判断によって異なる。一般に、用量は、腫瘍の増殖を遅延させる、そして好ましくは退縮させる、さらに好ましくは癌を完全に退縮させるのに十分であるべきである。投薬量は、単回投与、分割投与又は連続投与で約0.01mg/kg/日~約5000mg/kg/日の範囲であってもよい。いくつかの態様では、投薬量は約1mg/kg/日~約1000mg/kg/日の範囲であってもよい。いくつかの態様では、用量は約0.1mg/日~約50g/日;約0.1mg/日~約25g/日;約0.1mg/日~約10g/日;約0.1mg~約3g/日;又は約0.1mg~約1g/日の範囲であってもよい(投与はkg単位の患者の体重、m単位の体表面積及び年齢に応じて調整してもよい)。医薬剤の有効量は、臨床医又は他の適格な観察者により認められる改善が客観的に特定できる量である。例えば、患者の腫瘍の退縮は、腫瘍の直径を基準に測定してもよい。腫瘍の直径の減少は退縮を示す。退縮はさらに、処置を中止した後に再発する腫瘍がないことによっても示される。本明細書で使用する場合、「投薬量効果的方法」という用語は、活性化合物の量が被検体又は細胞で所望の生物学的作用を発揮することをいう。
【0397】
医薬組成物は、投与説明書と共に容器、パック又はディスペンサーに含めてもよい。
【0398】
本開示の組成物はさらに塩を形成することができる。本開示の組成物は、例えば、モノ-、ジ-、トリ-など、分子につき1つを超す塩を形成することができる。こうした形態もすべて、特許請求の範囲に記載されている発明の範囲内にあることを意図している。
【0399】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸性塩又は塩基性塩を作ることにより修飾された本開示の化合物の誘導体をいう。薬学的に許容される塩の例として、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩、及び同種のものがあるが、これに限定されるものではない。薬学的に許容される塩は、例えば、無毒性無機酸又は有機酸から形成された親化合物の従来の無毒性塩又は第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そうした従来の無毒性塩として、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、1,2-エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリアルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバム酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、サブ酢酸(subacetic)、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸及び一般に存在するアミン酸、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニンなどから選択される無機酸及び有機酸から得られるものがあるが、これに限定されるものではない。
【0400】
薬学的に許容される塩の他の例として、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ピルビン酸、マロン酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ムコン酸及び同種のものが挙げられる。本開示はさらに、親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はアルミニウムイオンに置き換えられている場合、或いは有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン及び同種のものと配位している場合に形成される塩を包含する。
【0401】
薬学的に許容される塩への言及にはすべて、同じ塩の溶媒付加体(溶媒和物)が含まれることを理解すべきである。
【0402】
本開示の組成物はさらに、エステル、例えば、薬学的に許容されるエステルとして調製してもよい。例えば、化合物のカルボン酸官能基をその対応するエステル、例えば、メチル、エチル又は他のエステルに変換してもよい。さらに、化合物のアルコール基をその対応するエステル、例えば、アセテート、プロピオネート又は他のエステルに変換してもよい。
【0403】
本組成物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、経口、経鼻、経皮、経肺、吸入、口腔内、舌下、腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内、直腸内、胸膜内、髄腔内及び非経口で投与される。いくつかの実施形態では、化合物は経口投与される。当業者であれば、特定の投与経路の利点を認識するであろう。
【0404】
化合物を利用する投与レジメンは、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別及び医学的状態;処置対象の状態の重症度;投与経路;患者の腎機能及び肝機能;並びに利用される個々の化合物又はその塩など種々の因子に従い選択される。通常の知識を有する医師又は獣医師であれば、当該状態の進行を予防、防止又は停止するのに必要な薬剤の有効量を容易に判定し、処方することができる。
【0405】
開示した本発明の化合物の製剤及び投与のための技術は、Remington:the Science and Practice of Pharmacy,19th edition,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1995)で確認することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物及びその薬学的に許容される塩は、薬学的に許容されるキャリア又は希釈薬と組み合わせて医薬調製物に使用される。好適な薬学的に許容されるキャリアとして、不活性な固体充填剤又は希釈薬、及び無菌水溶液又は有機溶液が挙げられる。本化合物は、本明細書に記載の範囲の所望の投薬量を与えるのに十分な量でそうした医薬組成物中に存在する。
【0406】
本明細書に使用されるパーセンテージ及び比率はすべて、他に記載がない限り、重量による。本発明の他の特徴と利点は様々な例から明らかである。提示した例は、本開示を実施する際に有用な様々な要素及び方法を説明するものである。こうした例は、特許請求の範囲に記載されている発明を限定するものではない。本開示に基づき、当業者であれば、本開示を実施するのに有用な他の要素及び方法を特定し、利用することができる。
【0407】
本明細書で使用する場合、「それを必要とする被検体」は、EZH2に媒介されるタンパク質のメチル化が役割を担う障害を有する被検体、又は一般集団と比較してそうした障害を発症するリスクが高い被検体をいう。いくつかの実施形態では、それを必要とする被検体は癌を有する。「被検体」には哺乳動物が含まれる。哺乳動物は、例えば、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、トリ、マウス、ラット、家禽、イヌ、ネコ、雌ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジ又はブタであってもよい。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0408】
本開示の被験体は、癌又は前癌性状態と診断されている、それらの症状を有する、又はそれらを発症するリスクのある任意のヒト被験体を含む。本開示の被検体は、変異型EZH2を発現している任意のヒト被検体を含む。例えば、変異型EZH2は1つ又は複数の変異を含み、その変異は置換、点変異、ナンセンス変異、ミスセンス変異、欠失若しくは挿入又は本明細書に記載の他の任意のEZH2変異である。
【0409】
それを必要とする被検体は、難治性癌又は耐性癌を有していてもよい。「難治性癌又は耐性癌」とは、処置に反応しない癌を意味する。癌は処置の初期に耐性である場合もあり、処置中に耐性になる場合もある。いくつかの実施形態では、それを必要とする被検体は、直近の療法による寛解後に癌が再発している。いくつかの実施形態では、それを必要とする被検体は、癌処置に有効な既知の療法をすべて受けて無効であった。いくつかの実施形態では、それを必要とする被検体は少なくとも1つの従来療法を受けた。ある種の実施形態では、従来療法は単剤療法である。ある種の実施形態では、従来療法は併用療法である。
【0410】
いくつかの実施形態では、それを必要とする被検体は、以前の療法の結果として二次癌を有してもよい。「二次癌」は、以前の発癌性療法、例えば化学療法によって、又はその結果として発生する癌を意味する。
【0411】
被検体はまた、EZH2ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤又は他の任意の治療剤に対して耐性を示すこともある。
【0412】
本明細書で使用する場合、「反応性」という用語は、「反応性のある」、「感受性のある」及び「感受性」と同義であり、本発明の組成物を投与されたときに被検体が治療反応を示す、例えば、被検体の腫瘍細胞又は腫瘍組織がアポトーシス及び/若しくは壊死を起こし、且つ/又は成長、分裂若しくは増殖の低下を示すことを意味する。この用語はまた、被検体が、本発明の組成物を投与されたときに一般集団と比較して、治療反応を示す、例えば、被検体の腫瘍細胞又は腫瘍組織がアポトーシス及び/若しくは壊死を起こし、且つ/又は成長、分裂若しくは増殖の低下を示す確率が高くなること又は高いことを意味する。
【0413】
「サンプル」は、被検体から得られた任意の生物学的サンプルを意味し、以下に限定されるものではないが、細胞、組織サンプル、体液(粘液、血液、血漿、血清、尿、唾液及び精液があるが、これに限定されるものではない)、腫瘍細胞及び腫瘍組織がある。いくつかの実施形態では、サンプルは、骨髄、末梢血細胞、血液、血漿及び血清から選択される。サンプルは、処置又は検査中の被検体から得てもよい。或いはサンプルは、当該技術分野における通常の業務に従い医師が採取してもよい。
【0414】
本明細書で使用する場合、「正常細胞」は、「細胞増殖障害」の一部として分類できない細胞である。正常細胞は、望ましくない状態又は疾患の発症をもたらし得る、制御不能な増殖又は異常増殖、又はその両方が見られない。いくつかの実施形態では、正常細胞は、正常に機能する細胞周期チェックポイント制御機構を有する。
【0415】
本明細書で使用する場合、「細胞を接触させること」は、化合物若しくは他の組成物が細胞と直接接触している、又は所望の生物学的効果を細胞に誘発するのに十分近い状態をいう。
【0416】
本明細書で使用する場合、「候補化合物」は、その化合物が、研究者又は臨床医が探し求めている細胞、組織、系、動物、又はヒトに所望の生物学的又は医学的応答を誘発する可能性があるかどうかを判定するために、1つ又は複数のインビトロ又はインビボでの生物学的アッセイで既に試験された又はこれから試験される、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を指す。候補化合物は、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である。生物学的又は医学的応答は、癌の処置であり得る。生物学的応答又は医学的応答は、細胞増殖性障害の処置又は予防であり得る。インビトロ又はインビボでの生物学的アッセイとしては、酵素活性アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、レポーター遺伝子アッセイ、インビトロ細胞生存率アッセイ、及び本明細書に記載のアッセイなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0417】
本明細書で使用する場合、「処置すること(treating)」又は「処置する(treat)」は、疾患、状態、若しくは障害に対応することを目的とする患者の管理及びケアを指し、且つ疾患、状態、若しくは障害の症状又は合併症を緩和するため、或いは疾患、状態、若しくは障害を根絶するための本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の投与を含む。
【0418】
本開示の組成物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、疾患、状態、又は障害を予防するために使用することもできる。本明細書で使用する場合、「予防すること(preventing)」又は「予防する(prevent)」は、疾患、状態、若しくは障害の症状又は合併症の発症を低減又は根絶することを指す。
【0419】
本明細書で使用する場合、「緩和する」という用語は、障害の徴候又は症状の重症度を低下させるプロセスを記載することを意図している。重要なことに、徴候又は症状は、根絶することなく緩和することができる。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物の投与は、徴候又は症状の根絶につながるが、根絶は必須ではない。有効薬用量は、徴候又は症状の重症度を低下させることが見込まれる。例えば、複数の部位で起こり得る癌のような障害の徴候又は症状は、癌の重症度が複数の部位の少なくとも1つで低下する場合に緩和される。
【0420】
本明細書で使用する場合、「重症度」という用語は、癌が前癌状態又は良性状態から悪性状態に変化する可能性を記載することを意図している。或いは、又はさらに、重症度は、例えば、TNM方式(International Union Against Cancer(UICC)及びAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)により認められた)により、或いは他の当該技術分野において承認されている方法により癌の病期を記載することを意図している。癌の病期とは、原発腫瘍の位置、腫瘍の大きさ、腫瘍数及びリンパ節転移(癌のリンパ節への広がり)などの因子に基づく癌の程度又は重症度をいう。或いは、又はさらに、重症度は、当該技術分野において承認されている方法により腫瘍グレードを記載することを意図している(米国国立癌研究所(National Cancer Institute)、www.cancer.govを参照されたい)。腫瘍グレードは、癌細胞が顕微鏡下でどのように異常に見えるか、そして腫瘍がいかに急速に増殖し広がる傾向があるかという観点から癌細胞を分類するのに使用するシステムである。腫瘍グレードを判定する際は、細胞の構造及び増殖パターンなど多くの因子が考慮される。腫瘍グレードの判定に使用される具体的な因子は、各癌型によって異なる。重症度はまた、腫瘍細胞が同じ組織型の正常な細胞にどの程度類似しているかを示す、分化とも呼ばれる組織学的グレードもいう(米国国立癌研究所(National Cancer Institute)、www.cancer.govを参照されたい)。さらに、重症度は、腫瘍細胞の核の大きさ及び形状と、分裂している腫瘍細胞の割合とを示す核グレードについてもいう(米国国立癌研究所(National Cancer Institute)、www.cancer.govを参照されたい)。
【0421】
本発明の他の態様では、重症度は、腫瘍が増殖因子をどの程度分泌したか、細胞外マトリックスをどの程度分解したか、どの程度血管新生化したか、隣接した組織への接着をどの程度失ったか、或いはどの程度転移したかをいう。さらに重症度は、原発腫瘍が転移した部位の数も示す。最後に、重症度は、様々な型及び部位の腫瘍の処置のしにくさを含む。例えば、手術不能な腫瘍、複数の器官に到達しやすい癌(血液系及び免疫系の腫瘍)、及び伝統的な処置に最も難治性があるものが、最も重度と見なされる。これらの状況において、被験体の平均余命の延長及び/又は疼痛の低下、癌性細胞の比率の低下又は細胞が1つの系に限定されること、並びに癌の病期/腫瘍グレード/組織学的グレード/核グレードの改善は、癌の徴候又は症状の緩和と見なされる。
【0422】
本明細書で使用する場合、「症状」という用語は、疾患、疾病、障害又は体内に適切でないものがあることの兆しと定義される。症状は、症状を経験している個体が感じ或いは気付くものであるが、他人は容易に気付くことができない。他人とは、非医療専門家と定義される。
【0423】
本明細書で使用する場合、「徴候」という用語も、体内に適切でないものがあることの兆しと定義される。ただし、徴候は、医師、看護師又は他の医療専門家により確認することができるものと定義される。
【0424】
非小細胞肺癌
肺癌は、2番目に多い癌の一般的な形態であり、癌関連死の主な原因である。非小細胞肺癌(NSCLC)は、肺癌の最も一般的な形態であり、すべての肺癌症例の約85%を占めている。ほとんどの患者は、進行したステージIII又はIVのNSCLCを示し、それぞれ5年生存率が24%及び4%である。示される疾患の進行特性から、多くの場合、外科的切除は選択肢ではない。大部分の患者では、処置には、化学療法及び/又は放射線治療が含まれる。化学療法の選択は、病期、患者の能力基準(performance criteria)、及び地域別の事情に基づいて大きく異なる。ほとんどの場合、化学療法は、シスプラチン又はカルボプラチンなどの白金製剤及びゲムシタビン、エトポシド、又はタキソテールなどの第2の細胞毒性薬を含む二剤併用(doublet)に基づいている。少数の患者の場合、療法には、ALK及びEGFRなどの変異又は調節不全の特定のタンパク質を標的とする薬剤(例えば、クリゾチニブ、ゲフィチニブ及びエルロチニブ)による処置が含まれ得る。患者は、遺伝子マーカー又はプロテオミクスマーカー(proteomic marker)に基づいてこれらの標的治療のために選択される。多くの薬剤が後期NSCLC臨床試験で評価されているが、ほとんどは、化学療法ベースの処置に比べてほとんど効果がないことを示し、全生存期間の中央値は、典型的には11ヶ月未満である。したがって、非小細胞肺癌の処置を改善するための新しい戦略が強く要望されている。
【0425】

「癌細胞」又は「癌性細胞」は、癌である細胞増殖性障害を発現している細胞である。任意の再現可能な測定手段を用いて、癌細胞又は前癌性細胞を同定することができる。癌細胞又は前癌性細胞は、組織サンプル(例えば、生検標本)の組織学的分類又はグレード分類により同定してもよい。癌細胞又は前癌性細胞は、適切な分子マーカーの使用により同定してもよい。
【0426】
例示的な癌として、副腎皮質癌、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、肛門直腸癌、肛門管癌、虫垂癌、小児小脳星状細胞腫、小児大脳星状細胞腫、基底細胞癌、皮膚癌(非メラノーマ性)、胆道癌、肝外胆管癌、肝内胆管癌、膀胱癌(bladder cancer、urinary bladder cancer)、骨及び関節癌、骨肉腫及び悪性線維性組織球腫、脳癌、脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小脳星状細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚路及び視床下部神経膠腫、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、胃腸、神経系癌、神経系リンパ腫、中枢神経系癌、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ系腫瘍、菌状息肉腫、Seziary症候群、子宮内膜癌、食道癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer、stomach cancer)、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、眼癌、島細胞腫瘍(膵内分泌部)、カポジ肉腫、腎臓癌、腎癌、腎臓癌、喉頭癌、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、口唇及び口腔癌、肝癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、Waldenstramマクログロブリン血症、髄芽腫、メラノーマ、眼内(眼)メラノーマ、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、中皮腫、転移性頸部扁平上皮癌、口癌、舌癌、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、上咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌(oral cancer、oral cavity cancer)、中咽頭癌、卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵巣低悪性度腫瘍、膵癌、島細胞 膵癌、副鼻腔及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、前立腺癌、直腸癌、腎盂及び尿管移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮癌、子宮肉腫、皮膚癌(非メラノーマ性)、皮膚癌(メラノーマ)、メルケル皮膚癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、腎盂及び尿管並びに他の泌尿器の移行上皮癌、妊娠性絨毛性腫瘍、尿道癌、子宮内膜子宮癌、子宮肉腫、子宮体部癌、腟癌、外陰癌、並びにウィルムス腫瘍があるが、これに限定されるものではない。
【0427】
「血液系の細胞増殖性障害」は、血液系の細胞に関係する細胞増殖性障害である。血液系の細胞増殖性障害として、リンパ腫、白血病、骨髄系新生物、マスト細胞新生物、骨髄形成異常、良性単クローン性免疫グロブリン血症、リンパ腫様肉芽腫症、リンパ腫様丘疹症、真性赤血球増加症、慢性骨髄球性白血病、原発性骨髄線維症及び本態性血小板血症を挙げることができる。血液系の細胞増殖性障害として、血液系の細胞の過形成、異形成及び化生を挙げることができる。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、本開示の血液癌又は本開示の血液細胞増殖性障害からなる群から選択される癌を処置するのに使用する。本開示の血液癌は、多発性骨髄腫、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、例えば、マントル細胞リンパ腫、小児リンパ腫、並びにリンパ球起源及び皮膚起源のリンパ腫を含む)、白血病(小児白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病(chronic myelocytic leukemia)、慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukaemia)、及び肥満細胞性白血病を含む)、骨髄性新生物、及び肥満細胞性新生物を挙げることができる。
【0428】
「肺の細胞増殖性障害」は、肺の細胞に関係する細胞増殖性障害である。肺の細胞増殖性障害として、肺細胞を侵す細胞増殖性障害のすべての型を挙げることができる。肺の細胞増殖性障害として、肺癌、肺の前癌又は前癌性状態、肺の良性増殖又は病変、及び肺の悪性増殖又は病変、及び肺以外の体内の組織及び臓器の転移病変を挙げることができる。好ましくは、本開示の組成物は、肺癌又は肺の細胞増殖性障害を処置するのに使用してもよい。肺癌として、肺の癌のすべての型を挙げることができる。肺癌として、悪性肺新生物、上皮内癌、定型的カルチノイド腫瘍、及び非定型的カルチノイド腫瘍を挙げることができる。肺癌として、小細胞肺癌(「SCLC」)、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、大細胞癌、腺扁平上皮細胞癌及び中皮腫を挙げることができる。肺癌として、「瘢痕癌」、気管支肺胞上皮癌、巨細胞癌、紡錘細胞癌及び大細胞神経内分泌癌を挙げることができる。肺癌として、組織化学的及び超徴形態学的多様性(例えば、混合細胞型)を有する肺新生物を挙げることができる。
【0429】
肺の細胞増殖性障害として、肺細胞を侵す細胞増殖性障害のすべての型を挙げることができる。肺の細胞増殖性障害として、肺癌、肺の前癌性状態を挙げることができる。肺の細胞増殖性障害として、肺の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。肺の細胞増殖性障害として、アスベストによる過形成、扁平上皮化生及び良性反応性中皮化生を挙げることができる。肺の細胞増殖性障害として、円柱上皮が重層扁平上皮に置換された状態、及び粘膜異形成を挙げることができる。有害な環境化学物質、例えばタバコの煙及びアスベストを吸入した個体は、肺の細胞増殖性障害を発症するリスクが高い場合がある。個体に肺の細胞増殖性障害の発症を引き起こしやすい可能性がある既往の肺疾患として、慢性間質性肺疾患、壊死性肺疾患、強皮症、リウマチ様疾患、サルコイドーシス、間質性肺臓炎、結核、繰り返す肺炎、特発性肺線維症、肉芽腫、石綿肺、線維化肺胞炎及びホジキン病を挙げることができる。
【0430】
「結腸の細胞増殖性障害」は、結腸の細胞に関係する細胞増殖性障害である。いくつかの実施形態では、結腸の細胞増殖性障害は結腸癌である。いくつかの実施形態では、好ましくは、本開示の組成物は、結腸癌又は結腸の細胞増殖性障害を処置するのに使用する。結腸癌として、結腸の癌のすべての型を挙げることができる。結腸癌として、散発性及び遺伝性結腸癌を挙げることができる。結腸癌として、悪性結腸新生物、上皮内癌、定型的カルチノイド腫瘍、及び非定型的カルチノイド腫瘍を挙げることができる。結腸癌として、腺癌、扁平上皮癌及び腺扁平上皮細胞癌を挙げることができる。結腸癌は、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、家族性大腸腺腫症、ガードナー症候群、ポイツ・ジェガース症候群、ターコット症候群及び若年性ポリポーシスからなる群から選択される遺伝性症候群と関連していてもよい。結腸癌は、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、家族性大腸腺腫症、ガードナー症候群、ポイツ・ジェガース症候群、ターコット症候群及び若年性ポリポーシスからなる群から選択される遺伝性症候群により引き起こされることがある。
【0431】
結腸の細胞増殖性障害として、結腸細胞を侵す細胞増殖性障害のすべての型を挙げることができる。結腸の細胞増殖性障害として、結腸癌、結腸の前癌性状態、結腸の腺腫性ポリープ及び結腸の異時性病変を挙げることができる。結腸の細胞増殖性障害として腺腫を挙げることができる。結腸の細胞増殖性障害は、結腸の過形成、化生及び異形成を特徴としてもよい。個体に結腸の細胞増殖性障害の発症を引き起こしやすい可能性がある既往の結腸疾患として、既往の結腸癌を挙げることができる。個体に結腸の細胞増殖性障害の発症を引き起こしやすい可能性がある現在の疾患として、クローン病及び潰瘍性大腸炎を挙げることができる。結腸の細胞増殖性障害は、p53、ras、FAP及びDCCからなる群から選択される遺伝子の突然変異と関連していてもよい。個体は、p53、ras、FAP及びDCCからなる群から選択される遺伝子の突然変異の存在のため、結腸の細胞増殖性障害を発症するリスクが高い可能性がある。
【0432】
「膵臓の細胞増殖性障害」は、膵臓の細胞に関係する細胞増殖性障害である。膵臓の細胞増殖性障害として、膵臓細胞を侵す細胞増殖性障害のすべての型を挙げることができる。膵臓の細胞増殖性障害として、膵臓癌、膵臓の前癌又は前癌性状態、膵臓の過形成、及び膵臓の異形成、膵臓の良性増殖又は病変、及び膵臓の悪性増殖又は病変、並びに膵臓以外の体内の組織及び臓器の転移病変を挙げることができる。膵癌は、膵臓の癌のすべての型を含む。膵癌として、導管腺癌、腺扁平上皮癌、多形巨細胞癌、粘液性腺癌、破骨細胞様巨細胞癌、粘液性嚢胞性癌、細葉細胞癌、分類不能大細胞癌、小細胞癌、膵芽腫、乳頭状新生物、粘液性嚢胞腺腫、乳頭状嚢胞性新生物、及び漿液性嚢胞腺腫を挙げることができる。膵癌はまた、組織化学的及び超徴形態学的多様性(例えば、混合細胞型)を有する膵臓の新生物を含んでもよい。
【0433】
「前立腺の細胞増殖性障害」は、前立腺細胞に関係する細胞増殖性障害である。前立腺の細胞増殖性障害として、前立腺細胞を侵す細胞増殖性障害のすべての型を挙げることができる。前立腺の細胞増殖性障害として、前立腺癌、前立腺の前癌又は前癌性状態、前立腺の良性増殖又は病変、及び前立腺の悪性増殖又は病変、並びに前立腺以外の体内の組織及び臓器の転移病変を挙げることができる。前立腺の細胞増殖性障害として、前立腺の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。
【0434】
「皮膚の細胞増殖性障害」は、皮膚の細胞に関係する細胞増殖性障害である。皮膚の細胞増殖性障害として、皮膚細胞を侵す細胞増殖性障害のすべての型を挙げることができる。皮膚の細胞増殖性障害として、皮膚の前癌又は前癌性状態、皮膚の良性増殖又は病変、メラノーマ、悪性メラノーマ及び皮膚の他の悪性増殖又は病変、並びに皮膚以外の体内の組織及び臓器の転移病変を挙げることができる。皮膚の細胞増殖性障害として、皮膚の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。
【0435】
「卵巣の細胞増殖性障害」は、卵巣の細胞に関係する細胞増殖性障害である。卵巣の細胞増殖性障害として、卵巣の細胞を侵す細胞増殖性障害のすべての型を挙げることができる。卵巣の細胞増殖性障害として、卵巣の前癌又は前癌性状態、卵巣の良性増殖又は病変、卵巣癌、卵巣の悪性増殖又は病変、及び卵巣以外の体内の組織及び臓器の転移病変を挙げることができる。皮膚の細胞増殖性障害として、卵巣の細胞の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。
【0436】
「乳房の細胞増殖性障害」は、乳房の細胞に関係する細胞増殖性障害である。乳房の細胞増殖性障害として、乳房細胞を侵す細胞増殖性障害のすべての型を挙げることができる。乳房の細胞増殖性障害として、乳癌、乳房の前癌又は前癌性状態、乳房の良性増殖又は病変、及び乳房の悪性増殖又は病変、並びに乳房以外の体内の組織及び臓器の転移病変を挙げることができる。乳房の細胞増殖性障害として、乳房の過形成、化生及び異形成を挙げることができる。
【0437】
乳房の細胞増殖性障害は、乳房の前癌性状態であってもよい。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、乳房の前癌性状態を処置するのに使用する。乳房の前癌性状態として、乳房の非定型的過形成、非浸潤性乳管癌(DCIS)、乳管内癌、非浸潤性小葉癌(LCIS)、小葉性新生物、及びステージ0若しくはグレード0の乳房の増殖又は病変(例えば、ステージ0若しくはグレード0の乳癌又は上皮内癌)を挙げることができる。乳房の前癌性状態は、American Joint Committee on Cancer(AJCC)により承認されたTNM分類スキームに従いステージ判定することができ、原発腫瘍(T)にはステージT0又はTisが割り当てられ;所属リンパ節(N)にはステージN0が割り当てられ;遠隔転移(M)にはステージM0が割り当てられている。
【0438】
乳房の細胞増殖性障害は乳癌であってもよい。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、乳癌を処置するのに使用する。乳癌は、乳房の癌のすべての型を含む。乳癌として、原発性上皮乳癌を挙げることができる。乳癌として、乳房が他の腫瘍、例えばリンパ腫、肉腫又はメラノーマに罹患している癌を挙げることができる。乳癌として、乳房の癌腫、乳房の腺管癌、乳房の小葉癌、乳房の未分化癌、乳房の葉状嚢肉腫、乳房の血管肉腫及び乳房の原発性リンパ腫を挙げることができる。乳癌として、ステージI、II、IIIA、IIIB、IIIC及びIVの乳癌を挙げることができる。乳房の腺管癌として、浸潤癌、管内成分優位の浸潤性上皮内癌、炎症性乳癌、並びに面皰型、粘液(膠様)型、髄様、リンパ球浸潤を伴う髄様型、乳頭型、硬性型及び管状型からなる群から選択される組織学的型を有する乳房の腺管癌を挙げることができる。乳房の小葉癌として、in situ成分優位の浸潤性小葉癌、浸潤性(invasive)小葉癌、及び浸潤性(infiltrating)小葉癌を挙げることができる。乳癌として、パジェット病、乳管内癌を伴うパジェット病、及び浸潤性腺管癌を伴うパジェット病を挙げることができる。乳癌として、組織化学的及び超徴形態学的多様性(例えば、混合細胞型)を有する乳房新生物を挙げることができる。
【0439】
処置できる癌は、American Joint Committee on Cancer(AJCC)のTNM分類方式に従いステージ判定することができ、この場合、腫瘍(T)にはTX、T1、T1mic、T1a、T1b、T1c、T2、T3、T4、T4a、T4b、T4c又はT4dのステージが割り当てられており;所属リンパ節(N)にはNX、N0、N1、N2、N2a、N2b、N3、N3a、N3b又はN3cのステージが割り当てられており;遠隔転移(M)にはMX、M0又はM1のステージが割り当てられ得る。処置できる癌は、American Joint Committee on Cancer(AJCC)分類に従い、ステージI、ステージIIA、ステージIIB、ステージIIIA、ステージIIIB、ステージIIIC又はステージIVとステージ判定することができる。処置できる癌は、AJCC分類に従い、グレードGX(例えば、評価できないグレード)、グレード1、グレード2、グレード3又はグレード4のグレードを割り当ててもよい。処置できる癌は、AJCCの病理分類(pN)に従い、pNX、pN0、PN0(I-)、PN0(I+)、PN0(mol-)、PN0(mol+)、PN1、PN1(mi)、PN1a、PN1b、PN1c、pN2、pN2a、pN2b、pN3、pN3a、pN3b又はpN3cのステージに判定することができる。
【0440】
処置できる癌として、直径が約2センチメートル以下であると判定された腫瘍を挙げることができる。処置できる癌として、直径が約2~約5センチメートルであると判定された腫瘍を挙げることができる。処置できる癌として、直径が約3センチメートル以上であると判定された腫瘍を挙げることができる。処置できる癌として、直径が5センチメートル超であると判定された腫瘍を挙げることができる。処置できる癌は、顕微鏡所見によって高分化、中分化、低分化又は未分化として分類してもよい。処置できる癌は、顕微鏡所見により有糸分裂数(例えば、細胞分裂の量)又は核異型度(例えば、細胞の変化)に関して分類してもよい。処置できる癌は、顕微鏡所見により壊死領域(例えば、死につつある又は変性しつつある細胞領域)を伴うものとして分類してもよい。処置できる癌は、異常核型を有するもの、異常な数の染色体を有するもの、或いは外見が異常な1つ又は複数の染色体を有するものと分類してもよい。処置できる癌は、異数体、三倍体、四倍体又は倍数性が変化したものとして分類してもよい。処置できる癌は、染色体転座、又は全染色体の欠失若しくは重複、又は一部の染色体の欠失、重複若しくは増幅の領域を有するものとして分類してもよい。
【0441】
処置できる癌は、DNAサイトメトリー、フローサイトメトリー又はイメージサイトメトリーにより評価してもよい。処置できる癌は、細胞の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%が細胞分裂の合成期(例えば、細胞分裂のS期)にあるものとして型別にしてもよい。処置できる癌は、S期割合が低い又はS期割合が高いものとして型別にしてもよい。
【0442】
癌は、ほとんどすべての徴候又は症状を引き起こし得る疾患群である。徴候及び症状は、癌がどこにあるか、癌の大きさ、及び癌が近くの器官又は構造にどの程度影響を与えるかによって異なる。癌が広がる(転移する)場合、症状は体の様々な部分で現れることがある。
【0443】
EZH2に媒介されるタンパク質のメチル化が役割を担う障害は神経系疾患であり得る。したがって、本発明の化合物はまた、神経疾患、例えば、癲癇、統合失調症、双極性障害、又は他の心理的障害及び/若しくは精神障害、ニューロパチー、骨格筋萎縮、及び神経変性疾患類、例えば、神経変性疾患を処置するために使用することもできる。例示的な神経変性疾患類として、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びパーキンソン病が挙げられる。神経変性疾患類の別のクラスとして、少なくとも一部がポリ-グルタミンの凝集により引き起こされる疾患が挙げられる。このクラスの疾患として、ハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症(SBMA又はケネディ病)歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、脊髄小脳失調症1(SCA1)、脊髄小脳失調症2(SCA2)、マシャド・ジョセフ病(MJD;SCA3)、脊髄小脳失調症6(SCA6)、脊髄小脳失調症7(SCA7)及び脊髄小脳失調症12(SCA12)が挙げられる。
【0444】
EZH2に媒介されるエピジェネティックなメチル化が役割を担う他の任意の疾患も、本明細書に記載の組成物及び方法を用いて処置可能又は予防可能とすることができる。
【0445】
癌を処置すると、腫瘍の大きさが小さくなることがある。腫瘍の大きさが小さくなることは、「腫瘍退縮」という場合もある。いくつかの実施形態では、処置後、腫瘍の大きさは、処置前のその大きさと比較して5%以上縮小し;いくつかの実施形態では、腫瘍の大きさは10%以上縮小し;20%以上縮小し;30%以上縮小し;40%以上縮小し;50%以上縮小し;75%以上縮小する。腫瘍の大きさは、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。腫瘍の大きさは、腫瘍の直径として測定してもよい。
【0446】
癌を処置すると、腫瘍容積が縮小することがある。いくつかの実施形態では、処置後、腫瘍容積は、処置前のその大きさと比較して5%以上縮小し;いくつかの実施形態では、腫瘍容積は10%以上縮小し;20%以上縮小し;30%以上縮小し;40%以上縮小し;50%以上縮小し;最も好ましくは75%超縮小する。腫瘍容積は、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。
【0447】
癌を処置すると、腫瘍の数が減少する。いくつかの実施形態では、処置後、腫瘍数は、処置前の数と比較して5%以上減少し;いくつかの実施形態では、腫瘍数は10%以上減少し;20%以上減少し;30%以上減少し;40%以上減少し;50%以上減少し;最も好ましくは75%超減少する。腫瘍の数は、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。腫瘍の数は、肉眼又は特定の倍率で観察できる腫瘍をカウントすることにより測定することができる。いくつかの実施形態では、特定の倍率は2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又は50倍である。
【0448】
癌を処置すると、原発腫瘍部位から離れた他の組織又は器官における転移病変の数が減少することがある。いくつかの実施形態では、処置後、転移病変の数は、処置前の数と比較して5%以上減少し;いくつかの実施形態では、転移病変の数は10%以上減少し;20%以上減少し;30%以上減少し;40%以上減少し;50%以上減少し;最も好ましくは75%超減少する。転移病変の数は、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。転移病変の数は、肉眼又は特定の倍率で観察できる転移病変をカウントすることにより測定することができる。いくつかの実施形態では、特定の倍率は2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又は50倍である。
【0449】
癌を処置すると、処置した被検体の集団の平均生存期間が、キャリアを単独投与した集団と比較して延長されることがある。いくつかの実施形態では、平均生存期間は30日を超えて;60日を超えて;90日を超えて;最も好ましくは120日を超えて延長される。集団の平均生存期間の延長は、任意の再現可能な手段により測定することができる。集団の平均生存期間の延長は、例えば、集団について活性化合物による処置の開始後の平均生存期間を計算することにより測定してもよい。集団の平均生存期間の延長はまた、例えば、集団について活性化合物による初回処置の終了後の平均生存期間を計算することにより測定してもよい。
【0450】
癌を処置すると、処置した被検体の集団の平均生存期間が、未処置被検体の集団と比較して延長されることがある。いくつかの実施形態では、平均生存期間は30日を超えて;60日を超えて;90日を超えて;最も好ましくは120日を超えて延長される。集団の平均生存期間の延長は、任意の再現可能な手段により測定することができる。集団の平均生存期間の延長は、例えば、集団について活性化合物による処置の開始後の平均生存期間を計算することにより測定してもよい。集団の平均生存期間の延長はまた、例えば、集団について活性化合物による初回処置の終了後の平均生存期間を計算することにより測定してもよい。
【0451】
癌を処置すると、処置した被検体の集団の平均生存期間が、本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、アナログ若しくは誘導体ではない薬剤による単独療法を受けた集団と比較して延長されることがある。いくつかの実施形態では、平均生存期間は30日を超えて;60日を超えて;90日を超えて;最も好ましくは120日を超えて延長される。集団の平均生存期間の延長は、任意の再現可能な手段により測定することができる。集団の平均生存期間の延長は、例えば、集団について活性化合物による処置の開始後の平均生存期間を計算することにより測定してもよい。集団の平均生存期間の延長はまた、例えば、集団について活性化合物による初回処置の終了後の平均生存期間を計算することにより測定してもよい。
【0452】
癌を処置すると、処置した被検体の集団の死亡率がキャリアを単独投与した集団と比較して低下することがある。癌を処置すると、処置した被検体の集団の死亡率が未処置集団と比較して低下することがある。癌を処置すると、処置した被検体の集団の死亡率が、本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩溶媒和物、アナログ若しくは誘導体ではない薬剤による単独療法を受けた集団と比較して低下することがある。いくつかの実施形態では、死亡率は2%超;5%超;10%超;最も好ましくは25%超低下する。処置した被検体の集団の死亡率の低下は、任意の再現可能な手段により測定することができる。集団の死亡率の低下は、例えば、集団について活性化合物による処置の開始後の単位時間当たりの疾患関連死亡の平均数を計算することにより測定してもよい。集団の死亡率の低下はまた、例えば、集団について活性化合物による初回処置の終了後の単位時間当たりの疾患関連死亡の平均数を計算することにより測定してもよい。
【0453】
癌を処置すると、腫瘍の増殖率が低下することがある。いくつかの実施形態では、処置後、腫瘍の増殖率は処置前の数と比較して少なくとも5%低下し;いくつかの実施形態では、腫瘍の増殖率は少なくとも10%低下し;少なくとも20%低下し;少なくとも30%低下し;少なくとも40%低下し;少なくとも50%低下し;少なくとも50%低下し;最も好ましくは少なくとも75%低下する。腫瘍の増殖率は、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。腫瘍の増殖率は、単位時間当たり腫瘍直径の変化により測定してもよい。
【0454】
癌を処置すると、腫瘍の再増殖が抑制されることがある。いくつかの実施形態では、処置後、腫瘍の再増殖は5%未満であり;いくつかの実施形態では、腫瘍の再増殖は10%未満であり;20%未満であり;30%未満であり;40%未満であり;50%未満であり;50%未満であり;最も好ましくは75%未満である。腫瘍の再増殖は、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。腫瘍の再増殖は、例えば、以前の腫瘍縮小後に、処置後生じた腫瘍の直径の増加を測定することにより測定してもよい。腫瘍の再増殖の抑制は、処置を中止した後に腫瘍が再発しないことにより示される。
【0455】
細胞増殖性障害を処置又は予防すると、細胞増殖率が低下することがある。いくつかの実施形態では、処置後、細胞増殖率は少なくとも5%低下し;少なくとも10%低下し;少なくとも20%低下し;少なくとも30%低下し;少なくとも40%低下し;少なくとも50%低下し;少なくとも50%低下し;最も好ましくは少なくとも75%低下する。細胞増殖率は、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。細胞増殖率は、例えば、組織サンプルにおいて単位時間当たりに分裂している細胞数を測定することにより測定してもよい。
【0456】
細胞増殖性障害を処置又は予防すると、増殖している細胞の比率が低下することがある。いくつかの実施形態では、処置後、増殖している細胞の比率は少なくとも5%;少なくとも10%;少なくとも20%;少なくとも30%;少なくとも40%;少なくとも50%;少なくとも50%;最も好ましくは少なくとも75%低下する。増殖している細胞の比率は、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。いくつかの実施形態では、増殖している細胞の比率は、例えば組織サンプルにおいて分裂している細胞数を非分裂細胞の数と比較して定量することにより測定される。
【0457】
増殖細胞の割合は、有糸分裂指数と同等であり得る。
【0458】
細胞増殖性障害を処置又は予防すると、細胞の増殖部位又は領域の大きさが小さくなることがある。いくつかの実施形態では、処置後、細胞の増殖部位又は領域の大きさは、処置前のその大きさと比較して少なくとも5%縮小し;少なくとも10%縮小し;少なくとも20%縮小し;少なくとも30%縮小し;少なくとも40%縮小し;少なくとも50%縮小し;少なくとも50%縮小し;最も好ましくは少なくとも75%縮小する。細胞の増殖部位又は領域の大きさは、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。細胞の増殖部位又は領域の大きさは、細胞の増殖部位又は領域の直径又は幅として測定してもよい。
【0459】
細胞増殖性疾患を処置又は予防することにより、増殖細胞、例えば悪性細胞の生存度又は生存率が低下し得る。いくつかの実施形態では、処置後、増殖細胞の生存度又は生存率は、処置前の生存度又は生存率と比較して少なくとも5%減少し;少なくとも10%減少し;少なくとも20%減少し;少なくとも30%減少し;少なくとも40%減少し;少なくとも50%減少し;少なくとも50%減少し;少なくとも75%減少し、少なくとも80%減少し、少なくとも90%減少し、少なくとも95%減少し、少なくとも99%減少する。増殖細胞の生存度又は生存率は、任意の再現性のある測定手段によって測定することができる。細胞の生存率、生存度、及び増殖速度を測定するのに適したいくつかの例示的なアッセイが本明細書に記載されており、さらなる適切なアッセイは、本開示及び当技術分野の知識に基づいて当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、増殖細胞の生存度は、例えば、初期の細胞数に対して処置の一定時間後の残存細胞数を定量することによって測定される。いくつかの実施形態では、細胞の生存率は、例えば、インビトロ細胞生存率アッセイで測定される。
【0460】
細胞増殖性障害を処置又は予防すると、異常な外観若しくは形態を有する細胞の数又は比率が低下することがある。いくつかの実施形態では、処置後、異常な形態を有する細胞数は、処置前のその大きさと比較して少なくとも5%減少し;少なくとも10%減少し;少なくとも20%減少し;少なくとも30%減少し;少なくとも40%減少し;少なくとも50%減少し;少なくとも50%減少し;最も好ましくは少なくとも75%減少する。異常な細胞外観又は形態は、任意の再現可能な測定手段により測定することができる。異常な細胞形態は、例えば倒立型培養顕微鏡を用いて顕微鏡観察により測定してもよい。異常な細胞形態は、核異型の形をとることがある。
【0461】
本明細書で使用する場合、「選択的に」という用語は、ある集団において別の集団より高頻度で起こる傾向があることを意味する。比較される集団は細胞集団であってもよい。いくつかの実施形態では、本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、癌又は前癌性細胞に選択的に作用するが、正常な細胞には作用しない。いくつかの実施形態では、本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、ある分子標的(例えば、標的タンパク質メチルトランスフェラーゼ)を調節するが、別の分子標的(例えば、非標的タンパク質メチルトランスフェラーゼ)をあまり調節しないように選択的に作用する。本発明はまた、酵素、例えばタンパク質メチルトランスフェラーゼの活性を選択的に阻害するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、あるイベントが集団Bと比較して集団Aで2倍を超える高い頻度で起こる場合、そのイベントは、集団Bに対して集団Aにおいて選択的に起こる。あるイベントが集団Aで5倍を超える高い頻度で起こる場合、そのイベントは選択的に起こる。あるイベントが集団Bと比較して集団Aで10倍を超える高い頻度で;50倍を超える;100倍を超える;最も好ましくは1000倍を超える高い頻度で、集団Aで起こる場合、そのイベントは選択的に起こる。例えば、細胞死は、正常な細胞と比較して癌細胞で2倍を超える頻度で起こる場合、癌細胞で選択的に起こるといえると考えられる。
【0462】
本開示の組成物、例えば、式(I)~(VIa)の任意の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ又は複数の他の治療剤、例えば、プレドニゾンとを含む組成物は、分子標的(例えば、標的タンパク質メチルトランスフェラーゼ)の活性を調節することができる。調節とは、分子標的の活性を刺激又は阻害することをいう。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が、前記化合物が存在しないこと以外は同じ条件下の分子標的の活性と比較して、分子標的の活性を少なくとも2倍刺激又は阻害する場合、この組成物は分子標的の活性を調節する。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が、前記化合物が存在しないこと以外は同じ条件下の分子標的の活性と比較して、分子標的の活性を少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍刺激又は阻害する場合、この組成物は分子標的の活性を調節する。分子標的の活性は、任意の再現可能な手段により測定することができる。分子標的の活性は、インビトロで測定してもインビボで測定してもよい。例えば、分子標的の活性は、酵素活性アッセイ又はDNA結合アッセイによりインビトロで測定してもよいし、又は分子標的の活性は、レポーター遺伝子の発現をアッセイすることによりインビボで測定してもよい。
【0463】
本開示の組成物は、化合物を添加しても、前記化合物が存在しないこと以外は同じ条件下の分子標的の活性と比較して、分子標的の活性を10%より多く刺激又は阻害しない場合、分子標的の活性をあまり調節しない。
【0464】
本明細書で使用する場合、「アイソザイム選択的」という用語は、酵素の第2のアイソフォームと比較した際の酵素の第1のアイソフォームの優先的な阻害又は刺激(例えば、タンパク質メチルトランスフェラーゼアイソザイムβと比較した際のタンパク質メチルトランスフェラーゼアイソザイムαの優先的な阻害又は刺激)を意味する。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、生物学的作用を得るのに必要な投薬量で最低4倍の差、好ましくは10倍の差、一層好ましくは50倍の差を示す。いくつかの実施形態では、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、阻害の範囲全域にわたってこの差を示し、この差は、IC50、すなわち、目的の分子標的の50%阻害で例示される。
【0465】
本開示の組成物を細胞又はそれを必要とする被検体に投与すると、目的のタンパク質メチルトランスフェラーゼの活性が調節(すなわち、刺激又は阻害)され得る。
【0466】
本開示の化合物、例えば、式(I)~(VIa)の任意の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ又は複数の他の治療剤、例えば、プレドニゾンとを含む組成物を、細胞又はそれを必要とする被検体に投与すると、細胞内の標的(例えば、基質)の活性が調節(すなわち、刺激又は阻害)される。本開示の化合物を用いて、以下に限定されるものではないが、タンパク質メチルトラスフェラーゼ(methyltrasferase)など、いくつかの細胞内標的を調節することができる。
【0467】
活性化するとは、組成物(例えば、タンパク質又は核酸)を所望の生物学的機能を果たすのに好適な状態にすることをいう。活性化させることができる組成物はまた、不活性状態も有する。活性化している組成物は、阻害性若しくは刺激性の生物学的機能、又はその両方を有し得る。
【0468】
上昇とは、組成物(例えば、タンパク質又は核酸)の所望の生物活性における増加をいう。上昇は組成物の濃度の増加によって起こり得る。
【0469】
癌又は細胞増殖性障害を処置すると、細胞死が起こることがあり、好ましくは細胞死により、ある集団で細胞の数が少なくとも10%減少する。いくつかの実施形態では、細胞死は、少なくとも20%の減少;少なくとも30%の減少;少なくとも40%の減少;少なくとも50%の減少;最も好ましくは少なくとも75%の減少を意味する。集団における細胞数は、任意の再現可能な手段により測定することができる。集団における細胞数は、蛍光活性化セルソーター(FACS)、免疫蛍光顕微鏡及び光学顕微鏡により測定してもよい。細胞死を測定する方法は、Li et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.100(5):2674-8,2003に示される通りである。いくつかの態様では、細胞死はアポトーシスにより起こる。
【0470】
いくつかの実施形態では、有効量の本開示の組成物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、正常な細胞に対してあまり細胞毒性を示さない。治療有効量の化合物の投与により、正常な細胞に10%を超えて細胞死が誘導されない場合、治療有効量の化合物は正常な細胞に対してあまり細胞毒性を示さない。治療有効量の化合物の投与により、正常な細胞に10%を超えて細胞死が誘導されない場合、治療有効量の化合物は正常な細胞の生存率にあまり影響を与えない。いくつかの態様では、細胞死はアポトーシスにより起こる。
【0471】
本開示の組成物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と細胞を接触させて、癌細胞に選択的に細胞死を誘導する、又はこの癌細胞を活性化することができる。本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、それを必要とする被験体に投与して、癌細胞に選択的に細胞死を誘導する、又はこの癌細胞を活性化することができる。本開示の組成物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と細胞を接触させて、細胞増殖性障害に冒された1つ又は複数の細胞に選択的に細胞死を誘導することができる。いくつかの実施形態では、本開示の組成物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、それを必要とする被験体に投与して、細胞増殖性障害に冒された1つ又は複数の細胞に選択的に細胞死を誘導する。
【0472】
本開示は、本開示の組成物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、それを必要とする被検体に投与することによって、癌を処置又は予防する方法であって、本開示の組成物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与すると、細胞周期(例えばG1、G1/S、G2/M)のうち1つ又は複数の期における細胞の蓄積による癌細胞増殖の予防、又は細胞老化の誘導、若しくは腫瘍細胞分化の促進;正常な細胞において相当量の細胞死を起こすことのない、細胞毒性、壊死若しくはアポトーシスによる癌細胞の細胞死の促進、治療係数が少なくとも2の動物における抗腫瘍活性のうち1つ又は複数が起こる方法に関する。本明細書で使用する場合、「治療係数」とは最大耐量を有効用量で除した値である。
【0473】
当業者は、本明細書で考察した公知の技術又は等価な技術の詳細な説明に関する一般的な参考文献を参照してもよい。そうした文献として、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Inc.(2005);Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(3rd edition),Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(2000);Coligan et al.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,N.Y.;Enna et al.,Current Protocols in Pharmacology,John Wiley & Sons,N.Y.;Fingl et al.,The Pharmacological Basis of Therapeutics(1975),Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA,18th edition(1990)が挙げられる。さらにこれらの文献は、本発明の1つの態様の製造又は使用の際に参照してもよいことは、言うまでもない。
【0474】
実施例1:EZH2非小細胞肺癌インビトロ組み合わせ試験
方法:インビトロで乳癌細胞株を用いて試験を行って、タゼメトスタットと第2の薬剤との組み合わせの抗増殖効果を評価した。最初の増殖試験を行って、各細胞株におけるタゼメトスタットのIC50を決定した。スクリーニングのために、タゼメトスタットを約IC50値を括弧で囲んだ濃度で使用した。50%阻害濃度に到達しなかった場合は、10μMからタゼメトスタットの試験を開始した。
【0475】
細胞増殖に対するタゼメトスタットと第2の薬剤との二重組み合わせの効果を試験するために、対数線形増殖期(log-linear phase growth rate)中の細胞をフラスコ内で様々な濃度のタゼメストスタット又はDMSOで7日間前処理し、化合物の非存在下で、384ウェルプレートでプレーティングし、8日目に、さらに6日間連続希釈したタゼメトスタット又はDMSO及び第2の薬剤で同時処理した(図1に示されている)。15日目に、Cell Titer Gloを使用するエンドポイント分析のためにプレートを展開して、細胞生存率の指標として使用したATP含量を測定した。DMSO濃度は、アッセイ全体を通して0.15%v/vで一定に保った。
【0476】
細胞株:すべての細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC;Rockville,MD)から入手した。NCI-H1573を、次の成分を含むDMEM:F12培地で培養した:0.02mg/mlインスリン、0.01mg/mlトランスフェリン、25nM亜セレン酸ナトリウム、50nMヒドロコルチゾン、1ng/ml上皮成長因子、0.01mMエタノールアミン、0.01mMホスホリルエタノールアミン、100pMトリヨードサイロニン、0.5%(w/v)ウシ血清アルブミン、0.5mMピルビン酸ナトリウム、4.5mM L-グルタミン、及び1%v/v Pen/Strep。A427、Calu-3、Calu-6細胞株を、EMEM+10%ウシ胎児血清(FBS)+1%v/vペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)で培養した。A549細胞株を、F-12K+10% FBS+1%v/v P/Sで培養した。NCI-H1793を、HITES+5% FBS+1%v/v P/Sで培養した。HCC827、NCI-H838、NCI-H460、NCI-H661、NCI-H23、NCI-H1299、NCI-H1703、NCI-H1993、NCI-H2030、NCI-H2122、及びNCI-H522細胞株をRPMI-1640+10% FBSで培養した。
【0477】
相乗効果の分析:組み合わせ効果の分析及び相乗効果の定量化を、CHALICEソフトウェア(Horizon Discovery,Cambridge,UK)を用いて行って、Loewe法(Lehar et al,Mol Syst Biol 2007;3:80)を用いて相乗効果を決定した。1より大きいLoewe量は、「相乗効果」を示し、-1未満の量は「拮抗作用」を示した。-1~1の値は「加算性」を示した。単剤もその組み合わせも50%阻害濃度に達しない場合は、「効果なし」とみなされた。
【0478】
タゼメトスタットといくつかの標準治療薬と標的療法との間の組み合わせ効果の分析の結果を表2に示す。
【0479】
【表24】
【0480】
例示的な実施形態
実施形態1. 非小細胞肺癌(NSCLC)の処置方法であって、それを必要とする被験体に、
(a)EZH2阻害剤を含む治療有効量の第1の薬剤、及び
(b)治療有効量の1つ又は複数の第2の薬剤
を投与することを含む方法。
【0481】
実施形態2. EZH2阻害剤が、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩である、実施形態1に記載の方法。
【0482】
実施形態3. 治療有効量のEZH2阻害剤が、終点を含めて約100mg~約1600mgの間である、実施形態1に記載の方法。
【0483】
実施形態4. 治療有効量のEZH2阻害剤が、約100mg、約200mg、約400mg、約800mg、又は約1600mgである、実施形態3に記載の方法。
【0484】
実施形態5. 治療有効量のEZH2阻害剤が約800mgである、実施形態4に記載の方法。
【0485】
実施形態6. 治療有効量のタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩が、終点を含めて約100mg~約1600mgの間である、実施形態2に記載の方法。
【0486】
実施形態7. 治療有効量のタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩が、約100mg、約200mg、約400mg、約800mg、又は約1600mgである、実施形態6に記載の方法。
【0487】
実施形態8. 治療有効量のタゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩が約800mgである、実施形態7に記載の方法。
【0488】
実施形態9. 治療有効量のEZH2阻害剤が1日2回(BID)投与される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0489】
実施形態10. 治療有効量のEZH2阻害剤が経口投与される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0490】
実施形態11. 治療有効量のEZH2阻害剤がカプセル又は錠剤として投与される、実施形態10に記載の方法。
【0491】
実施形態12. 癌細胞の成長、生存率、生存、又は増殖を阻害又は減少させる方法であって、この細胞を、
(a)有効量のEZH2阻害剤、及び
(b)1つ又は複数の第2の薬剤
と接触させることを含む、方法。
【0492】
実施形態13. 癌細胞が、非小細胞肺癌(NSCLC)細胞である、実施形態12に記載の方法。
【0493】
実施形態14. EZH2阻害剤が、タゼメトスタット又はその薬学的に許容される塩である、実施形態12又は13に記載の方法。
【0494】
実施形態15. 有効量のEZH2阻害剤が、非小細胞肺癌細胞の成長、生存率、生存、又は増殖を少なくとも50%阻害又は減少させるのに十分な量である、実施形態12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0495】
実施形態16. 有効量のEZH2阻害剤が、非小細胞肺癌細胞の成長、生存率、生存、又は増殖を少なくとも70%阻害又は減少させるのに十分な量である、実施形態12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0496】
実施形態17. 有効量のEZH2阻害剤が、非小細胞肺癌細胞の成長、生存率、生存、又は増殖を少なくとも90%阻害又は減少させるのに十分な量である、実施形態12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0497】
実施形態18. 接触させることが、インビトロ又はエクスビボで行われる、実施形態12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0498】
実施形態19. 接触させることが、EZH2阻害剤及び1つ又は複数の第2の薬剤を癌細胞を有する被験体に投与することによってインビボで行われる、実施形態12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0499】
実施形態20. 1つ又は複数の第2の薬剤が標準的な治療剤を含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0500】
実施形態21. 1つ又は複数の第2の薬剤が、アルキル化剤又はアルキル化様剤、抗腫瘍剤、有糸分裂阻害剤、チューブリン重合阻害剤、代謝拮抗剤、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、上皮成長因子受容体(EFGR)阻害剤、EFGR及びErbB2の阻害剤、EFGR及びヒト上皮成長因子受容体2(Her2)の阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤、ALK及びROS1の阻害剤、ALK及びEGFRの阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤、BRAF阻害剤、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、Wee1阻害剤、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、グルココルチコイド受容体アゴニスト、レチノイン酸受容体アゴニスト、CBP/p300阻害剤、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0501】
実施形態22. 1つ又は複数の第2の薬剤が、アルキル化剤又はアルキル化様剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0502】
実施形態23. 1つ又は複数の第2の薬剤がシスプラチンを含む、実施形態22に記載の方法。
【0503】
実施形態24. 1つ又は複数の第2の薬剤が抗腫瘍剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0504】
実施形態25. 1つ又は複数の第2の薬剤がオキサリプラチンを含む、実施形態24に記載の方法。
【0505】
実施形態26. 1つ又は複数の第2の薬剤が有糸分裂阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0506】
実施形態27. 1つ又は複数の第2の薬剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態26に記載の方法。
【0507】
実施形態28. 1つ又は複数の第2の薬剤がチューブリン重合阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0508】
実施形態29. 1つ又は複数の第2の薬剤がビノレルビンを含む、実施形態28に記載の方法。
【0509】
実施形態30. 1つ又は複数の第2の薬剤が代謝拮抗剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0510】
実施形態31. 1つ又は複数の第2の薬剤がゲムシタビンを含む、実施形態30に記載の方法。
【0511】
実施形態32. 1つ又は複数の第2の薬剤が葉酸型の代謝拮抗剤を含む、実施形態30に記載の方法。
【0512】
実施形態33. 1つ又は複数の第2の薬剤が、メトトレキサート、ペメトレキセド、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態32に記載の方法。
【0513】
実施形態34. 1つ又は複数の第2の薬剤が、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0514】
実施形態35. 1つ又は複数の第2の薬剤が、デシタビン、アザシチジン、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態34に記載の方法。
【0515】
実施形態36. 1つ又は複数の第2の薬剤が、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0516】
実施形態37. 1つ又は複数の第2の薬剤がボリノスタットを含む、実施形態36に記載の方法。
【0517】
実施形態38. 1つ又は複数の第2の薬剤がトポイソメラーゼ阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0518】
実施形態39. 1つ又は複数の第2の薬剤が、イリノテカン、エトポシド、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態38に記載の方法。
【0519】
実施形態40. 1つ又は複数の第2の薬剤が上皮成長因子受容体(EFGR)阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0520】
実施形態41. 1つ又は複数の第2の薬剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、AZD9291、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態40に記載の方法。
【0521】
実施形態42. 1つ又は複数の第2の薬剤が、EFGR及びErbB2の阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0522】
実施形態43. 1つ又は複数の第2の薬剤がラパチニブを含む、実施形態42に記載の方法。
【0523】
実施形態44. 1つ又は複数の第2の薬剤が、EFGR及びヒト上皮成長因子受容体2(Her2)の阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0524】
実施形態45. 1つ又は複数の第2の薬剤がアファチニブを含む、実施形態44に記載の方法。
【0525】
実施形態46. 1つ又は複数の第2の薬剤が未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0526】
実施形態47. 1つ又は複数の第2の薬剤がセリチニブを含む、実施形態46に記載の方法。
【0527】
実施形態48. 1つ又は複数の第2の薬剤がALK及びROS1の阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0528】
実施形態49. 1つ又は複数の第2の薬剤はクリゾチニブを含む、実施形態48に記載の方法。
【0529】
実施形態50. 1つ又は複数の第2の薬剤が、ALK及びEFGRの阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0530】
実施形態51. 1つ又は複数の第2の薬剤がブリガチニブを含む、実施形態50に記載の方法。
【0531】
実施形態52. 1つ又は複数の第2の薬剤が、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0532】
実施形態53. 1つ又は複数の第2の薬剤が、アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブ、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態52に記載の方法。
【0533】
実施形態54. 1つ又は複数の第2の薬剤が、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0534】
実施形態55. 1つ又は複数の第2の薬剤が、トラメチニブ、セルメチニブ、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態54に記載の方法。
【0535】
実施形態56. 1つ又は複数の第2の薬剤がBRAF阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0536】
実施形態57. 1つ又は複数の第2の薬剤がベムラフェニブを含む、実施形態56に記載の方法。
【0537】
実施形態58. 1つ又は複数の第2の薬剤が、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0538】
実施形態59. 1つ又は複数の第2の薬剤が、ピクチリシブ、BKM-120、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態58に記載の方法。
【0539】
実施形態60. 1つ又は複数の第2の薬剤がWee1阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0540】
実施形態61. 1つ又は複数の第2の薬剤がMK-1775を含む、実施形態60に記載の方法。
【0541】
実施形態62. 1つ又は複数の第2の薬剤がポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0542】
実施形態63. 1つ又は複数の第2の薬剤がベリパリブを含む、実施形態62に記載の方法。
【0543】
実施形態64. 1つ又は複数の第2の薬剤がグルココルチコイド受容体アゴニストを含む、実施形態21に記載の方法。
【0544】
実施形態65. 1つ又は複数の第2の薬剤がプレドニゾロンを含む、実施形態64に記載の方法。
【0545】
実施形態66. 1つ又は複数の第2の薬剤がレチノイン酸受容体アゴニストを含む、実施形態21に記載の方法。
【0546】
実施形態67. 1つ又は複数の第2の薬剤がATRAを含む、実施形態66に記載の方法。
【0547】
実施形態68. 1つ又は複数の第2の薬剤がCBP/p300阻害剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0548】
実施形態69. 1つ又は複数の第2の薬剤が、化合物H:
【化26】
又はその薬学的に許容される塩を含む、実施形態68に記載の方法。
【0549】
実施形態70. EZH2阻害剤及び1つ又は複数の第2の薬剤が連続的に投与される、実施形態1~69のいずれか1つに記載の方法。
【0550】
実施形態71. EZH2阻害剤が、1つ又は複数の第2の薬剤の前に投与される、実施形態1~70のいずれか1つに記載の方法。
【0551】
実施形態72. 1つ又は複数の第2の薬剤がEZH2阻害剤の前に投与される、実施形態1~71のいずれか1つに記載の方法。
【0552】
実施形態73. EZH2阻害剤が、タゼメトスタットの薬学的に許容される塩である、実施形態1~72のいずれか1つに記載の方法。
【0553】
本明細書に引用する刊行物及び特許文書はすべて、そうした刊行物又は文書を本明細書に援用するために具体的に個々に示しているかのように本明細書に援用する。刊行物及び特許文書の引用は、いずれかが適当な従来技術であること認めることを意図するものではなく、その内容又は日付について何ら承認することにならない。これまで本発明を書面による記載により説明してきたが、当業者であれば、本発明を種々の実施形態で実施することができること、及び前述の記載及び下記の例は説明を目的としたものであり、以下の特許請求の範囲の限定を目的としたものでないことを認識するであろう。細胞株の名称又は遺伝子の名称が使用される場合、特に明記されていない、又は文脈から明らかでない限り、略語及び名称は、American Type Culture Collection(ATCC)又はNational Center for Biotechnology Information(NCBI)の命名法に準拠する。
【0554】
本発明は、その精神又は本質的な特徴を逸脱することなく他の特定の形態で実施することができる。したがって前述の実施形態は、あらゆる点で本明細書に記載の本発明に関する限定ではなく、例示と見なすべきである。このため本発明の範囲は、明細書本文ではなく添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の均等範囲に属するすべての変更をすべてその範囲内に包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6