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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】pH安定な三価クロムコーティング液
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/56 20060101AFI20231208BHJP
   C23C 22/34 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
C23C22/56
C23C22/34
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020513492
(86)(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 US2018032564
(87)【国際公開番号】W WO2018209348
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】62/505,723
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519404067
【氏名又は名称】ケメオン サーフェス テクノロジー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クルソン, ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】ウエストレ, ション
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-158345(JP,A)
【文献】特開平07-247121(JP,A)
【文献】特開昭56-098481(JP,A)
【文献】特表2012-528251(JP,A)
【文献】特表2003-528218(JP,A)
【文献】特開2009-256699(JP,A)
【文献】特開昭63-057782(JP,A)
【文献】特表2008-537975(JP,A)
【文献】特開昭54-142141(JP,A)
【文献】特開2006-137987(JP,A)
【文献】特開平07-126859(JP,A)
【文献】特開2004-115914(JP,A)
【文献】特開2009-068085(JP,A)
【文献】米国特許第05807442(US,A)
【文献】中国特許出願公開第103741129(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C22/00-22/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH安定化された三価クロムコーティング液を生成する方法であって、
前記三価クロムコーティング液を加熱する工程;
前記三価クロムコーティング液を加熱しながら前記三価クロムコーティング液のpHを調整する工程;
前記三価クロムコーティング液を周囲温度に冷却する工程;および
前記pHを調整する工程の後に前記三価クロムコーティング液から沈殿物を濾過する工程
を含そして
ここで、前記三価クロムコーティング液を加熱する工程、調整する工程、および冷却する工程は、化成コーティングとして金属表面に前記三価クロムコーティング液を塗布する工程とは別に実施され、そして
ここで、前記三価クロムコーティング液の冷却の際に、前記三価クロムコーティング液のpHが、少なくとも60日間の保管期間に±0.15より大きくは変動しない、
方法。
【請求項2】
前記三価クロムコーティング液を少なくとも35℃に加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記三価クロムコーティング液を24時間以内加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記三価クロムコーティング液を加熱しながら、前記三価クロムコーティング液のpHを3.5~4.0に調整する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記三価クロムコーティング液のpHを調整する工程が、前記三価クロムコーティング液にアルカリ性材料を添加して前記三価クロムコーティング液のpHを上昇させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記pHを調整する工程の間に前記三価クロムコーティング液を混合する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記三価クロムコーティング液が三価クロムコーティング水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記三価クロムコーティング液が六価クロムを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記三価クロムコーティング液がフルオリド化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記三価クロムコーティング液がフルオロジルコナート化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記三価クロムコーティング液がキレート剤を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
クロム化成コーティングは、化学的または電気化学的なプロセスを用いて部品表面がコーティングに変換される金属用コーティングである。六価クロムを含む化成コーティングは、鋼、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、銅、銀、マグネシウム、およびスズ合金を不動態化するために長年使用されてきた。このコーティングは、主に、腐食防止剤、プライマー、装飾仕上げとして、または電気伝導率を維持するために使用されている。
【0002】
六価クロム化成コーティングは、六価クロムの毒性のために好まれなくなっている。多くの場所で、六価クロムは高度に規制されており、様々な使用および取り扱いの制限を受けている。六価クロム化成コーティングは、非六価クロム化成コーティング、特に三価クロムを利用するコーティングに代わりつつある。三価クロム化成コーティングは、環境に優しく、六価クロム酸塩コーティングの優れた代用品である。三価クロム化成コーティングは、過酷な用途で使用して優れた耐摩耗性および耐食性を発揮しながら、用途ごとの費用もより抑えることができる。
【0003】
種々の三価クロムコーティングの性能は、塗布時のコーティング液のpHの影響を受ける。コーティング液のpHが高すぎるか低すぎる場合、コーティングは、例えば、耐食性、塗膜密着性、電子抵抗などに関する所望のレベルの性能を発揮しない。従来の三価クロムコーティング液はpHに対して安定ではないので、これは問題である;溶液のpHは、経時的に揺らぐ傾向がある。これはまた、各々の使用前に、溶液のpHをチェックし、高すぎたり低すぎたりした場合に調整しなければならないことを意味する。各々の使用前にpHの測定および調整というプロセスを経ることは面倒である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の開示
本発明者らは、上述の先行技術の問題点または少なくともその深刻さを発見したと考えている。したがって、本発明者らは、三価クロムコーティング液が加熱されている間にコーティング液のpHを調整する工程を含む、三価クロムコーティング液のpHを安定化するプロセスを発明した。このプロセスはまた、溶液を冷却する工程および/または溶液から任意の固体を濾過する工程を含み得る。
【0005】
このプロセスを使用して、pH安定化された三価クロムコーティング液を生成することができる。コーティング液は、三価クロムの硫酸塩などの三価クロムの供給源および水を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング液を、任意の適切なpH(pH3.5~4.0など)で安定化することができる。いくつかの実施形態では、コーティング液はまた、少なくとも20日間の保管期間にpHが±0.15より大きくは変動しないほど十分に安定であり得る。
【0006】
三価クロムコーティング液を、任意の適切な時間にわたって任意の適切な温度に加熱することができる。いくつかの実施形態では、コーティング液を、少なくとも35℃に24時間以内加熱することができる。
【0007】
安定化された三価クロムコーティング液は、いくつかの他の化合物を含み得る。例えば、コーティング液は、フルオリド化合物、ジルコナート化合物、腐食防止化合物、キレート剤、リン化合物、および/または種々の他の化合物を含み得る。
【0008】
用語「熱安定化された」は、溶液を加熱し、この溶液が熱いうちに溶液のpHを調整することによって、pHが安定化されたクロムコーティング液を指すために使用されると認識すべきである。用語「保管期間」は、クロムコーティング液が使用されておらず、例えば、溶液への酸性または塩基性の材料の添加によってpHが調整されない状況を指すために使用される。
【0009】
本明細書を進んで行くにつれて、他の新規の特徴および利点が明らかとなるであろう。したがって、概要は、選択された概念を簡略化された形式で紹介するために提供されており、これらの概念は、以下の詳細な説明でさらに説明される。概要および背景は、開示の主題の重要な概念や本質的な態様を特定することを意図しておらず、クレームの範囲を拘束したり制限したりするために使用されるべきものでもない。例えば、クレームの範囲は、記載された主題が概要に記載の任意または全ての態様を含むか、そして/または背景に記載の問題のいずれに対処するかに基づいて限定されるべきではない。
【0010】
好ましい実施形態および他の実施形態を、添付の図面に関連して開示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1で調製した従来のクロムコーティング液の経時的なpH変化を示すグラフである。
【0012】
図2図2は、(a)実施例2で調製した従来のクロムコーティング液、(b)実施例3で調製した溶解アルミニウムを含むクロムコーティング液、および(c)実施例4で調製した熱安定化されたクロムコーティング液の経時的なpH変化を示すグラフである。
【0013】
図3図3は、実施例5および6で調製した熱安定化されたクロムコーティング液の経時的なpH変化を示すグラフである。
【0014】
図4図4は、pH安定化されたクロムコーティング液中の三価クロム濃度の経時的な変化を示すグラフである。
【0015】
図5図5は、図4に示すpH安定化されたクロムコーティング液の経時的なpHの変化を示すグラフである。
【0016】
図6図6は、pH安定化されたクロムコーティング液の経時的なpH変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明を実施するための最良の形態
pH安定な三価クロムコーティング液を開示する。この溶液を種々の目的のために使用することができる。例えば、三価クロムコーティング液を、クロム化成コーティングとして、またはアノード処理アルミニウムのためのシーラントとして使用することができる。
【0018】
三価クロムコーティング液は、保管安定性を示し、保管安定性は、溶液のpHが保管期間中に安定であるか、ほぼ一定であることを意味する。溶液のpHは、従来の三価クロムコーティング液のように保管期間中に大きくは変動しない。これは、最終使用者が最初にpHを調整することなく溶液を使用できるので都合が良い。
【0019】
pH安定化プロセス
【0020】
一般に、三価クロムコーティング液のpHを安定化させるプロセスは、三価クロムコーティング液を高温に加熱する工程、および溶液が高温である間に溶液のpHを調整する工程を含む。pHを、所望の値で安定するまで1回またはそれを超える回数調整する。溶液を冷却すると、pHは所望の値で無期限に安定なままである。プロセスの種々の態様を、それぞれ以下でより詳細に記載する。
【0021】
本プロセスを使用して、任意の適切な三価クロムコーティング液を安定化することができる。いくつかの実施形態では、本プロセスは、完全希釈済みの、すぐに使用できる(RTU)三価クロムコーティング液を安定化するために使用される。これらの溶液は、アルミニウム、マグネシウム、または亜鉛などの金属表面にすぐに塗布できる溶液である。本プロセスを使用して、最終pHレベルでRTU溶液を安定化させることができる。
【0022】
他の実施形態では、本プロセスは、三価クロム濃縮液を安定化するために使用される。これらの溶液は、輸送、包装、および保管をより効率的にするために濃縮物として最終使用者に供給される。使用者は、濃縮物を水で希釈して、すぐに使用できる溶液を形成し、保護が必要な表面に塗布する。
【0023】
濃縮液を、最終使用者によるその後の希釈を考慮したpHレベルで安定化することができる。例えば、濃縮液を水で希釈してRTU溶液を形成したときにpHレベルが最終pHレベルであるように、濃縮液を最終pHレベルより低いpHレベルで安定化することができる。
【0024】
本プロセスを使用して、任意の適切な組成を有する三価クロムコーティング液を安定化させることができる。適切な三価クロムコーティング液の種々の組成を以下に説明する。
【0025】
しかし、本プロセスが特定の三価クロムコーティング液との使用に特に適切であることに留意すべきである。例えば、本プロセスは、本説明の最後に参考として援用された特許文献に開示の組成物を安定化するのに特に適切である。本プロセスはまた、三価クロムの供給源として三価クロムの硫酸塩を含む三価クロムコーティング液を安定化するのに特に適切である。本プロセスはまた、下記の腐食防止化合物および/またはキレート剤を含む三価クロムコーティング液を安定化するのに特に適切である。
【0026】
本プロセスの第1の工程は、三価クロムコーティング液を高温に加熱することである。コーティング液を、所望のpH安定性を得ることができる任意の適切な温度に加熱することができる。1つの実施形態では、コーティング液を、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、または少なくとも60℃に加熱する。他の実施形態では、コーティング液を100℃以下、95℃以下、または90℃以下に加熱する。
【0027】
三価クロムコーティング液を、任意の適切な熱源および/または加熱方法を使用して加熱することができる。例えば、コーティング液を、燃焼熱源、電気熱源、または太陽熱源などを使用して加熱することができる。1つの実施形態では、コーティング液を、加熱容器内で所望の温度に加熱する。
【0028】
三価クロムコーティング液が所望の温度になった状態で、プロセスの次の工程は、pHを所望のレベルに調整することである。pHを上昇させるために塩基性材料を添加する(またはコーティング液より塩基性の材料を添加する)か溶液のpHを低下させるために酸性材料を添加する(またはコーティング液より酸性の材料を添加する)ことにより、これを行う。
【0029】
コーティング液のpHは、典型的には、経時的に低下する傾向があるので、pHを上昇させるためにしばしば塩基性材料を添加する。適切な塩基性材料の例には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化アンモニウムなどの水酸化物が含まれる。pHが高すぎる状況では、硫酸などの酸性材料を溶液に添加することができる。pHを、溶液を積極的に混合しながら、または混合せずに調整することができる。
【0030】
コーティング液のpHを調整するプロセスは、所定量の塩基性または酸性材料を一度に追加する工程を含む単一工程プロセスであり得るか、この塩基性または酸性材料を繰り返し添加し、溶液が所望のpH値に到達するまでpHを測定する工程を含む反復プロセスであり得る。
【0031】
本プロセスを使用して、三価クロムコーティング液のpHを任意の適切なpH値に安定化することができる。コーティング液がRTUコーティング液である場合、pHを最終使用pHで安定化する。かかるpHの例は以下に示される。コーティング液が濃縮液である場合、pHは異なる値に安定化することができ、使用に備えて水で希釈すると、所望の最終使用pHを有する溶液が得られる。
【0032】
いくつかの実施形態では、三価クロムコーティング液を、およそ3.5~およそ4.0、およそ3.6~およそ3.95、およそ3.7~およそ3.9、またはおよそ3.8~3.9の最終使用pHで安定化させる。他の実施形態では、三価クロムコーティング液を、少なくともおよそ3.5、少なくともおよそ3.6、少なくともおよそ3.7、または少なくともおよそ3.8の最終使用pHで安定化させる。他の実施形態では、三価クロムコーティング液を、およそ4.0以下、およそ3.95以下、またはおよそ3.9以下の最終使用pHで安定化させる。
【0033】
三価クロムコーティング液を、pHを安定化させるのに十分な任意の時間加熱することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コーティング液を、24時間以下、18時間以下、12時間以下、8時間以下、または4時間以下加熱する。
【0034】
三価クロムコーティング液のpHを安定化させた後、プロセスの次のステップは、コーティング液を周囲温度まで冷却することであり得る。コーティング液を、任意の適切なデバイスまたはプロセスを使用して冷却できると認識すべきである。例えば、コーティング液を周囲環境に置くことにより受動的に冷却することができる。コーティング液を、冷却ユニットまたは冷却デバイスを使用して積極的に冷却することもできる。いくつかの好ましいプロセスでは、熱源をオフにし、溶液を周囲温度まで受動的に冷却することにより、三価クロムコーティング液を冷却する。
【0035】
三価クロムコーティング液は、高度なpH安定性を示す。pHが安定化プロセスの終了時と同一レベルであるので、三価クロムコーティング液を任意の適切な時間保管し、その後にpHを調整せずに使用することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、三価クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも1年間、または無期限の保管期間に±0.15以下、±0.1以下、±0.07以下、±0.05以下、または±0.03以下で変動する。記載した時間枠が、pH調整直後、加熱を止めた直後、三価クロムコーティング液の周囲温度への冷却直後、三価クロムコーティング液の周囲温度への冷却から24時間後、またはその後の任意の時間から始まり得ることに留意すべきである。
【0037】
基礎となる機序は完全には知られていないが、本発明者は理論に拘束されることを望まないので、1つの可能性のある説明としては、三価クロムが加水分解を受け、溶液を加熱すると反応が加速することであるかもしれない。いずれにしても、反応は、機序と無関係に、溶液が加熱され、最終のpH調整が行われるまでに完了し、その結果、それ以降はpHが安定する。
【0038】
三価クロムコーティング液は、三価クロム化合物および多くの他の化合物または材料のうちのいずれかを含み得る。適切な化合物の例には、フルオリド化合物、ジルコナート化合物、腐食防止化合物、およびキレート剤が含まれる。これらの各々について、以下でより詳しく説明する。
【0039】
三価クロム化合物
【0040】
三価クロム化合物は、金属基材上に化成コーティングを形成することができる任意の適切な三価クロム化合物であり得る。適切な三価クロム化合物の例を、本説明の最後に参考として援用される特許に見出すことができる。
【0041】
三価クロム化合物は、三価クロム塩などの水溶性三価クロム化合物であり得る。一般に、クロリドほど腐食性が高くないアニオンを提供するクロム塩を使用することが望ましい。かかるアニオンの例には、ニトラート、スルファート、ホスファート、およびアセタートが含まれる。いくつかの用途における好ましい実施形態では、三価クロム化合物は、三価クロムの硫酸塩である。かかる化合物の例には、Cr(SO、(NH)Cr(SO、およびKCr(SOが含まれる。
【0042】
化成コーティング液が1つまたは複数の三価クロム化合物を含むことができることを認識すべきである。例えば、1つの実施形態では、化成コーティング液は、単一の三価クロム化合物を含む。別の実施形態では、化成コーティング液は、2つ、3つ、4つ、またはそれを超える三価クロム化合物を含む。
【0043】
化成コーティング液は、任意の適量の三価クロム化合物を含むことができる。適量の例を、説明の最後に参考として援用された特許に見出すことができる。いくつかの実施形態では、化成コーティング液は、およそ0.1g/リットル(0.01wt%)~およそ20g/リットル(2wt%)の三価クロム化合物、およそ0.2g/リットル(0.02wt%)~およそ10g/リットル(1wt%)の三価クロム化合物、またはおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)~およそ8g/リットル(0.8wt%)の三価クロム化合物を含む。
【0044】
他の実施形態では、化成コーティング液は、少なくともおよそ0.1g/リットル(0.01wt%)の三価クロム化合物、少なくともおよそ0.2g/リットル(0.02wt%)の三価クロム化合物、または少なくともおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)の三価クロム化合物を含む。さらなる他の実施形態では、化成コーティング液は、20g/リットル(2wt%)以下の三価クロム化合物、10g/リットル(1wt%)以下の三価クロム化合物、または8g/リットル(0.8wt%)以下の三価クロム化合物を含む。
【0045】
フルオリド化合物
【0046】
フルオリド化合物は、基材上の保護コーティングの形成を容易にすることができる任意の適切な水溶性フルオリド化合物であり得る。いくつかの実施形態では、フルオリド化合物は、少なくとも4つのフッ素原子および少なくとも1原子の以下の元素:ジルコニウム、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、またはチタンを含む。
【0047】
適切なフルオリド化合物の例には、アルカリ金属ヘキサフルオロジルコナート化合物(ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムおよびヘキサフルオロジルコニウム酸ナトリウムなど);フルオロジルコニウム酸;アルカリ金属テトラフルオロボラート(テトラフルオロホウ酸カリウムなど);アルカリ金属ヘキサフルオロシリカート(ヘキサフルオロケイ酸カリウムなど);およびアルカリ金属ヘキサフルオロチタナート(ヘキサフルオロチタン酸カリウムなど)などが含まれる。
【0048】
クロムコーティング液は、好ましくは、フルオロジルコナート化合物を含む。いくつかの実施形態では、フルオロジルコナート化合物は、溶液中の唯一のフルオリド化合物である。他の実施形態では、溶液は、フルオロジルコナート化合物および1つまたはそれを超えるさらなるフルオリド化合物を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、化成コーティング液は、およそ0.2g/リットル(0.02wt%)~およそ20g/リットル(2wt%)のフルオリド化合物、およそ0.5g/リットル(0.05wt%)~およそ18g/リットル(1.8wt%)のフルオリド化合物、またはおよそ1g/リットル(0.1wt%)~およそ15g/リットル(1.5wt%)のフルオリド化合物を含む。
【0050】
いくつかの他の実施形態では、化成コーティング液は、少なくともおよそ0.2g/リットル(0.02wt%)のフルオリド化合物、少なくともおよそ0.5g/リットル(0.05wt%)のフルオリド化合物、または少なくともおよそ1g/リットル(0.1wt%)のフルオリド化合物を含む。さらに他の実施形態では、化成コーティング液は、およそ20g/リットル(2wt%)以下のフルオリド化合物、およそ18.0g/リットル(1.8wt%)以下のフルオリド化合物、またはおよそ15g/リットル(1.5wt%)以下のフルオリド化合物を含む。
【0051】
ジルコナート化合物
【0052】
ジルコナート化合物は、基材上の保護コーティングの形成を容易にすることができる任意の適切なジルコナート化合物であり得る。適切なジルコナート化合物の例には、フルオロジルコナート化合物(フルオリド化合物に関連して上述したものなど)、例えば、アルカリ金属ヘキサフルオロジルコナート化合物(ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸ナトリウム、およびヘキサフルオロジルコニウム酸など)が含まれる。
【0053】
ジルコナート化合物は、フルオリド化合物と同量で存在し得る。したがって、フルオリド化合物についての上に開示の量は、ジルコナート化合物に等しく適用される。
【0054】
腐食防止化合物
【0055】
腐食防止添加物は、コーティングによって得られる耐食性を向上させる。適切な腐食防止化合物の例には、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、2-メルカプトベンゾオキサゾール(MBO)、および/またはベンゾトリアゾール(BTA)が含まれる。他の例には、説明の最後に参考として援用された中国特許に開示のもののうちのいずれかが含まれる。1つまたはそれを超える腐食防止化合物の添加により、MIL-DTL-81706Bクラス1Aおよびクラス3の要件またはこれらの要件より厳格でないMIL-DTL-5541Fクラス1Aおよびクラス3の要件を満たすようにコーティングの耐食性を向上させることができる。
【0056】
腐食防止添加物はコーティングの耐食性を実質的に向上させるのに役立つが、コーティングはかかる添加物の非存在下でもMIL耐食性要件を満たすこともできると認識すべきである。一般に、コーティング液は、以下の業界の仕様および規格のうちのいずれかを満たし得る:MIL-DTL-81706B、MIL-DTL-5541FタイプIおよびタイプII、MIL-C-5541Fクラス1Aおよびクラス3、ROHS、REACH、WEEE、ELV、OSHA PEL、ASTM3359、ASTM B921、QPL、EO13148。
【0057】
キレート剤
【0058】
沈殿防止に役立てるために、1つまたはそれを超えるキレート剤を、三価クロムコーティング液に含めることができる。任意の適切なキレート剤を使用することができる。適切なキレート剤の例には、8-ヒドロキシキノリンおよびニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸(NTMP)などが含まれる。
【0059】
キレート剤は、任意の適切な量で化成コーティング液中に存在し得る。いくつかの実施形態では、化成コーティング液は、およそ5ppm~およそ100ppmのキレート剤またはおよそ10ppm~およそ30ppmのキレート剤を含む。他の実施形態では、化成コーティング液は、少なくともおよそ5ppmのキレート剤または少なくともおよそ10ppmのキレート剤を含む。さらなる他の実施形態では、化成コーティング液は、およそ100ppm以下のキレート剤または30ppm以下のキレート剤を含む。
【0060】
リン(III)化合物
【0061】
三価クロム化成コーティング液はまた、金属基材の防食をさらに向上させるリン(III)化合物を含み得る。金属基材表面上の有機アミノ-ホスホン酸化合物由来のホスホナート基を吸着させてM-O-P共有結合を形成させ、その後に金属基材上の任意の活性腐食部位上に疎水性網状層を形成することによって防食を改善する。
【0062】
適切なリン(III)化合物の例には、アミノ-ホスホン酸の誘導体(ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸(NTMP)、ヒドロキシ-、アミノ-アルキルホスホン酸、エチルイミド(メチレン)ホスホン酸、およびジエチルアミノメチルホスホン酸などの塩およびエステルなど)が含まれる。好ましくは、誘導体は、少なくともいくつかの例では、水溶性である。腐食防止剤および溶液安定剤としての使用に特に適切なリン(III)化合物は、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸(NTMP)である。
【0063】
他の化合物
【0064】
三価クロム化成コーティング液はまた、増粘剤および界面活性剤などの他の化合物または材料を含み得る。これらの材料の例を、説明の最後に参考として援用された特許に見出すことができる。これらの材料を、これらの特許に開示の任意の量で三価クロム化成コーティング液中に含めることができる。
【0065】
使用方法
【0066】
三価クロムコーティング液を使用して、ベアアルミニウムおよびアノード処理アルミニウム、亜鉛および亜鉛合金、マグネシウム、亜鉛メッキ鋼、IVD、カドミウム、銀、真鍮、チタン、ステンレス鋼、鉄合金、およびジルコニウムなどの種々の基材をコーティングすることができる。
【0067】
三価クロムコーティング液を、様々な目的のために使用することができる。例えば、このコーティング液を、耐食性の向上、塗膜密着性の向上、電気的性質の改変、および表面耐久性の向上のために使用することができる。このコーティング液はまた、性能を損失することなく、800°Fを超える温度で乾燥させることができるか、水素放出のために500°F超で24時間焼成することができるような耐熱性を示す。
【0068】
三価クロムコーティング液を、種々の用途で使用することができる。例には、化学化成コーティング用途、アノード処理アルミニウムシーラー用途、ならびに不動態化および防錆用途が含まれる。三価クロムコーティング液をまた、浸漬、噴霧、またはタッチアップペンなどが含まれる多数の方法のうちのいずれかで適用することができる。
【0069】
実施例
【実施例
【0070】
以下の実施例を、開示の主題をさらに説明するために提供する。実施例は、決してクレームの範囲を拘束したり制限したりするために使用されるべきものでもない。
【0071】
実施例1
【0072】
従来のクロムコーティング液のpH安定性を、以下のように評価した。クロムコーティング液または浴を、磁気ミキシングを備えたガラスビーカー中で3リットルの脱イオン水および1リットルの三価クロム濃縮物(例えば、CHEMEON TCP-HF(登録商標))を混合することによって調製した。三価クロム濃縮物の初期pHは、2.78であった。クロムコーティング液のpHを測定し、およそ352時間にわたって調整した。溶液を混合しながら新たに調製した10.0%w/vNaOH(100mlメスフラスコ中に9.9996g NaOH)を滴下してpHを調整した。
【0073】
表1は、試験の全期間にわたって溶液のpHは低下したことを示す。pHは、最初に、試験の最初のおよそ16時間にわたって急速に低下した。その後の試験期間では、pHは比較的一定の速度で低下した。NaOH溶液を添加することによってpHを3.85まで戻すように定期的に調整した。図1は、表1中のデータのチャートである。
【0074】
結果は、従来のクロムコーティング液の典型的な不安定な挙動を示している。クロムコーティング液の有効性は、塗布時の溶液のpHに大きく依存する。しかし、結果が示すように、溶液のpHは経時的に著しく変動した。pHが定期的に調整されなかった場合、pHは遥かに低くなり、溶液のコーティング用途への適合性がさらに低くなるであろう。実際には、使用者は、各々の塗布の前に溶液のpHを測定し、状況に応じて調整しなければならない。
【表1】
【0075】
実施例2
【0076】
別の従来のクロムコーティング液のpH安定性を評価した。手順は、試験期間がおよそ124時間であり、1.5リットルの脱イオン水および500mlの三価クロム濃縮物を混合することによって溶液を調製したことを除いて実施例1と同一であった。三価クロム濃縮物の初期pHは2.55であった。
【0077】
表2は、溶液が全試験期間にわたって不安定な挙動を示したことを示す。pHは、増加した1つを除いて全ての測定の間隔で低下した。この結果により、従来のクロムコーティング液のpHが不安定であり、各塗布前に測定および調整しなければならないことが確認される。図2は、表2中のデータを含むチャートである。図2は、比較のための実施例3および4からのデータも含む。
【表2-1】
【表2-2】
【0078】
実施例3
【0079】
溶解アルミニウムを含むクロムコーティング液のpH安定性を試験して、溶解アルミニウムがpH安定性に影響を及ぼすかどうかを判定した。手順は、溶解アルミニウムの供給源を得るために2つの3インチ×4インチのアルミニウム合金クーポン(1100H14)を清浄化し、リンスし、溶液中に4.5時間入れたことを除いて、実施例2と同一であった。アルミニウムが溶液中にあるようにpHを調整し、その後に溶液からアルミニウムを除去した。溶液中に溶解したアルミニウムの総量は、28.7mg(すなわち14.4mg/kg(ppm))であった。
【0080】
表3は、溶液中のアルミニウムがそのpH安定性を実質的に変化させなかったことを示す。pHは、試験期間にわたって途切れなく大幅に低下した。図2は、表3中のデータを含むチャートである。図2は、比較のための実施例2および4からのデータも含む。
【表3】
【0081】
実施例4
【0082】
クロムコーティング液の加熱を試験して、加熱が溶液のpH安定性に影響を及ぼすかどうかを判定した。手順は、溶液を50~55℃に加熱し、pHを1.5~2時間にわたって2回調整し、加熱を止め、溶液を周囲温度まで一晩冷却したことを除いて、実施例2と同一であった。
【0083】
表4は、pH調整前の溶液の加熱によって溶液が安定するようであることを示し、図2は、表4中のデータならびに実施例2および3からのデータを含むチャートである。図2は、溶液の加熱によって溶液が著しくより安定することを示す。溶液の加熱によって得られたpH安定性を、以下の実施例5~8でさらに試験した。
【表4】
【0084】
実施例5
【0085】
熱安定化されたクロムコーティング液のpH安定性を試験した。クロムコーティング液または浴を、磁気ミキシングを備えたガラスビーカー中で3.6リットルの脱イオン水および1.4リットルの三価クロム濃縮物(例えば、CHEMEON TCP-HF(登録商標))を混合することによって調製した。溶液を50~55℃に加熱後、pHを調整した。溶液が所望の温度になった時点で、1.5~2時間にわたってpHを3.80または3.81に3回調整した。溶液を混合しながら実施例1中のNaOH溶液を使用して、pHを滴下にて調整した。pHの調整後、加熱を止め、溶液を周囲温度(室温)まで一晩冷却した。
【0086】
冷却した溶液を使用して、下記の様式で5つのアルミニウム試験クーポンをコーティングした。コーティングプロセスの完了後、溶液のpH安定性を評価するために、次のおよそ428時間にわたってpHを測定した。表5および図3は、この溶液が実施例1~3で試験した溶液よりも遥かに安定していたことを示す。最後のpH調整により、溶液のpHを3.81に設定した。pHは、次のおよそ428時間にわたって、設定した量から±0.02を超えては変動しなかった。
【表5】
【0087】
前述のように、クロムコーティング液を使用して、MIL-DTL-81706BタイプIIクラス1A要件に準拠した耐食性のために、5つの2024-T3アルミニウム合金試験クーポン(3インチ×10インチ)をコーティングした。各試験クーポンを、順次行われる以下の工程および処理パラメーターを使用して処理した。
1. クーポンを、溶媒ワイプ(70.0%イソプロピルアルコール)を使用して清浄化した。
2. クーポンを、CHEMEON Cleaner 1000(6分間、120°F)を使用して清浄化した。
3. クーポンを、水道水(1分間、オーバーフロー、室温)でリンスした。
4. クーポンを、脱イオン水(1分間、オーバーフロー、室温)でリンスした。
5. クーポンを、50.0%技術等級の硝酸(1分間、室温)に浸漬した。
6. クーポンを、水道水(1分間、オーバーフロー、室温)でリンスした。
7. クーポンを、脱イオン水(1分間、オーバーフロー、室温)でリンスした。
8. クーポンを、クロムコーティング液(5分間、74.0°F、pH3.81、非流動性)に浸漬した。
9. クーポンを、脱イオン水(30秒間、オーバーフロー、室温)でリンスした。
10. クーポンを、室温で風乾した。
11. クーポンを、室温で40時間硬化させた。
【0088】
5つの試験クーポンの耐食性を、塩水噴霧試験を使用して評価した。クーポンの縁部をワクシングし、中性塩噴霧室に入れ、ASTM B 117に従って168時間維持した。塩水噴霧試験の結果を、以下の表6に示す。試験クーポンにはいかなるピットも認められなかった。
【表6】
【0089】
実施例6
【0090】
別の熱安定化されたクロムコーティング液のpH安定性を試験した。クロムコーティング液または浴を、磁気ミキシングを備えたガラスビーカー中で2.88リットルの脱イオン水および1.12リットルの三価クロム濃縮物(例えば、CHEMEON TCP-HF(登録商標))を混合することによって調製した。溶液を50~55℃に加熱後、pHを調整した。溶液が所望の温度になった時点で、1.5~2時間にわたってpHを3.80または3.82に3回調整した。溶液を混合しながら実施例1中のNaOH溶液を使用して、pHを滴下にて調整した。pHの調整後、加熱を止め、溶液を周囲温度まで一晩冷却した。
【0091】
溶液を1ガロンのプラスチック製容器に保管して、これがpH安定性にどのように影響するかを判定した。pHを、およそ428時間に亘って測定した。表7および図3は、溶液が実施例1~3で試験した従来のクロムコーティング液と比較して非常に安定していたことを示す。最後のpH調整により、溶液のpHを3.82に設定した。pHは、最初のおよそ330時間では全く変動せず、次いで、およそ428時間で最後の測定を行ったときに-0.01だけ変動した。
【表7-1】
【表7-2】
【0092】
実施例7
【0093】
pH安定化されたクロムコーティング液中の三価クロム濃度の安定性を試験した。実施例4~6に記載の熱処理プロセスを使用して、pHを安定化した。過去の経験では、pH安定化されたクロムコーティング液中の三価クロム濃度が沈殿によって経時的に低下し得る(例えば、6ヶ月で25%から17%)ことが示されていた。以下の要因を評価して、これらの要因が溶液の三価クロム濃度に影響を及ぼすかどうか、具体的には、これらの要因が三価クロムの沈殿を防止するかどうかを判定した:溶液を保持するために使用される材料および溶液中のキレート剤の存在。
【0094】
以下の試料を、pH安定化された三価クロムコーティング液の単一バッチから調製した。1つの試料を、沈殿物の濾去前にプラスチックに保管した。別の試料を、沈殿物の濾去後にプラスチックに保管した。別の試料を、沈殿物の濾去後にガラスに保管した。2つの試料(一方は濾過済み、一方は未濾過)に、23ppmのキレート剤8-ヒドロキシキノリン(8HQ)を添加した。2つの他の試料(一方は濾過済み、一方は未濾過)に、23ppmのニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸(NTMP)を添加した。キレート剤を添加して任意の遊離金属をキレート化し、さらなる沈殿を防止した。
【0095】
試料の三価クロム(TC)濃度およびpHを、定期的に測定した。結果を、以下の表8に示す。全体的に見て、あらゆる試料中の三価クロム濃度が、約8週間で3%超低下した。ガラス中で保存した試料および8HQを含む試料は、三価クロム濃度が最も高く、目視可能な沈殿物が最も少なかった。経時的なこれらの濃度のグラフを、図4に示す。経時的なpH値のグラフを、図5に示す。59日目の8HQおよびNTMPを含む濾過試料の比較により、8HQを使用した場合、NTMPと比較して沈殿物の減少が明確に目視できた。
【表8】
【0096】
実施例8
【0097】
以下の試料を、pH安定化された三価クロムコーティング液の単一バッチから調製した。2つの試料(一方は濾過済み、一方は未濾過)を、沈殿物の濾去後にプラスチックに保管した。2つの試料(一方は濾過済み、一方は未濾過)を、沈殿物の濾去後にガラスに保管した。2つの試料(一方は濾過済み、一方は未濾過)に、5ppmの8HQを添加した。
【0098】
試料の三価クロム(TC)濃度およびpHを、開始時および4週間後に測定した。結果を、以下の表9および図6に示す。あらゆる試料中の三価クロム濃度が、溶液のpHの低下につれて低下した。
【表9】
【0099】
実施例9
【0100】
三価クロムコーティング液を、以下のうちの1つまたはそれを超える工程に従うことによって安定化する:
1.CHEMEON TCP-HF(登録商標)などの三価クロム濃縮物を脱イオン水で25.0~30.0%v/v(いくつかの例では28%が好ましい)に希釈する。
2.混合しながら、クロムコーティング液を55℃±5℃(50~60℃)に加熱する。溶液を、全pH調整ブレンド期間(1.5~3時間)の間、50~60℃で混合してもよい。
3.連続混合を使用して、NaOHまたはKOHなどの希釈塩基を使用して、溶液のpHを3.85~3.90に調整する。
4.30~60分毎にpHをチェックし、必要に応じて混合しながら希釈塩基を用いてpHを3.85~3.90に再度調整する。
5.およそ2時間の加熱混合およびpH調整後、加熱を止める前に最終的なpH調整を行うべきである。典型的には、溶液の加熱中に3~4回のpH調整を行った。
6.溶液を室温に冷却する(一晩が好ましい場合がある)。
7.8~20μmの濾紙を使用して溶液を濾過する。濾紙に回収された緑色沈殿物を破棄する。
8.濾過溶液の濃度およびpHをチェックする。濃度は、元の濃度の±2.0%であるべきである(28.0%v/v浴については26~30%)。蒸発によって濃度が高い場合、所望の濃度に到達するまで、混合しながら脱イオン水を添加する。pHは、3.75~3.95であるべきである(いくつかの実施形態では3.80~3.90が好ましい)。
【0101】
例示的な実施形態
【0102】
以下において、開示の主題のいくつかの例示的な実施形態を参照する。以下の実施形態は、開示の主題の種々の特性、特徴、および利点を1つまたはそれを超えて含み得るいくつかの選択された実施形態のみを示す。したがって、以下の実施形態は、全ての可能な実施形態を網羅すると解釈すべきではない。
【0103】
1つの実施形態では、クロムコーティング液を安定化する方法は、クロムコーティング液を加熱する工程;およびクロムコーティング液を加熱しながらクロムコーティング液のpHを調整する工程を含む。クロムコーティング液は、水を含み得る。クロムコーティング液は、六価クロムを含まないことができ、または実質的に六価クロムを含まないことができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、本方法は、クロムコーティング液を少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、または少なくとも50℃に加熱する工程を含む。本方法は、クロムコーティング液を24時間以内、18時間以内、12時間以内、8時間以内、または4時間以内加熱する工程を含み得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、クロムコーティング液のpHを調整する工程は、クロムコーティング液のpHを上昇または低下させるためにクロムコーティング液より塩基性が高い材料(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および/または水酸化アンモニウムなどの水酸化物)または酸性が高い材料(例えば、硫酸などの酸)を添加することを含む。クロムコーティング液のpHを調整する工程は、クロムコーティング液のpHを上昇または低下させるためにクロムコーティング液より塩基性が高い1つまたはそれを超える材料または酸性が高い1つまたはそれを超える材料を繰り返し添加することを含み得る。クロムコーティング液のpHを調整する工程は、アルカリ性材料をクロムコーティング液に添加してクロムコーティング液のpHを上昇させることを含み得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.15より大きくは変動しない(記載した日数または年数は、pH調整直後、加熱を止めた直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却から24時間後、またはその後の任意の時間から始まり得る)。
【0107】
いくつかの実施形態では、クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.1より大きくは変動しない(記載した日数または年数は、pH調整直後、加熱を止めた直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却から24時間後、またはその後の任意の時間から始まり得る)。
【0108】
いくつかの実施形態では、クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.07より大きくは変動しない(記載した日数または年数は、pH調整直後、加熱を止めた直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却から24時間後、またはその後の任意の時間から始まり得る)。
【0109】
いくつかの実施形態では、クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.05より大きくは変動しない(記載した日数または年数は、pH調整直後、加熱を止めた直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却から24時間後、またはその後の任意の時間から始まり得る)。
【0110】
いくつかの実施形態では、クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.03より大きくは変動しない(記載した日数または年数は、pH調整直後、加熱を止めた直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却直後、クロムコーティング液の周囲温度への冷却から24時間後、またはその後の任意の時間から始まり得る)。
【0111】
いくつかの実施形態では、本方法は、クロム溶液が高温にある間にクロムコーティング液のpHを、3.5~4.0(3.6~3.95、3.7~3.9、または3.75~3.87)に調整する工程を含む。本方法は、pHを調整する工程の間にクロムコーティング液を混合する工程を含み得る。本方法は、pHを調整する工程の後にクロムコーティング液から沈殿を濾過する工程を含み得る。本方法は、クロムコーティング液を冷却する工程を含み得る。本方法は、クロムコーティング液が冷えている間にクロムコーティング液を混合する工程を含み得る。本方法は、クロムコーティング液を周囲温度に冷却する工程および周囲温度にある間にクロムコーティング液を混合する工程を含み得る。
【0112】
別の実施形態では、クロムコーティング液を、上記のプロセスのうちのいずれかによって生成することができる。
【0113】
別の実施形態では、熱安定化されたクロムコーティング液を開示する。熱安定化されたクロムコーティング液は、六価クロムを含まないことができ、または実質的に六価クロムを含まないことができる。
【0114】
別の実施形態では、クロムコーティング液は、三価クロム;および水を含み;ここで、クロムコーティング液のpHが3.5~4.0であり;ここで、クロムコーティング液のpHが少なくとも7日間の保管期間に±0.15より大きくは変動しない。クロムコーティング液は、六価クロムを含まないことができ、または実質的に六価クロムを含まないことができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、クロムコーティング液のpHは、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.15より大きくは変動しない。クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.1以下で変動し得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.07より大きくは変動しない。クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.05以下で変動し得る。クロムコーティング液のpHは、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、または少なくとも1年間の保管期間に±0.03以下で変動し得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、クロムコーティング液のpHは、3.6~3.95である。クロムコーティング液のpHは、3.7~3.9であり得る。クロムコーティング液のpHは、3.75~3.87であり得る。クロムコーティング液は、すぐに使用できるクロムコーティング液であり得る。
【0118】
用語および解釈上の規則
【0119】
用語「結合した」は、2つのメンバーが直接または間接的に相互に連結することを意味する。かかる連結は、本質的に静止していても、本質的に移動可能であってもよい。かかる連結は、2つのメンバーまたは2つのメンバーと任意の追加の中間メンバーが相互に単体構造体として一体化して形成された状態で、あるいは2つのメンバーまたは2つのメンバーと任意の追加の中間メンバーが互いに取り付けられた状態で、達成することができる。かかる連結は、本質的に永続的であってもよく、あるいは本質的に取り外し可能または解除可能であってもよい。
【0120】
特許請求の範囲または明細書に記載の任意の方法は、別段の記載が無い限り、特定の順序で工程を実施する必要があると解釈されるべきではない。また、方法は、別段の記載が無い限り、記載された工程を任意の順序で実施するための裏付けを提供すると解釈されるべきである。
【0121】
組成物は、特定の要素がその特定の形態で最終組成物に存在しない可能性があるが、むしろ解離および/または組成物中の他の成分と反応した可能性があるという理解の下で、組成物を形成するために使用された材料の観点で記載される。
【0122】
「左」、「右」、「前」、および「後」などの空間または方向に関する用語は、図面に示されている主題に関連する。しかし、記載の主題は、種々の代替の配向を想定することができ、したがって、かかる用語は限定と見なされるべきではないと理解すべきである。
【0123】
「the」、「a」、および「an」などの冠詞は、単数または複数の意味を含み得る。また、用語「または(or)」は、「いずれか(either)」(または「または(or)」が明解に排他的であることを示す他の類似の言語-例えば、xまたはyのうちの1つのみなど)を先行させないで使用される場合、包括的と解釈されるものとする(例えば、「xまたはy」は、xまたはyの一方または両方を意味する)。
【0124】
用語「および/または」も包括的であると解釈されるものとする(例えば、「xおよび/またはy」は、xまたはyの一方または両方を意味する)。「および/または」または「または」が3つまたはそれを超える項目の群の接続詞として使用される状況では、群は1つの項目のみ、すべての項目を一緒に、あるいは任意の組み合わせまたは数の項目を含むと解釈されるべきである。
【0125】
用語「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、および「含む(including)」は、用語「含む(comprise)」および「含む(comprising)」と同義であると解釈すべきである。これらの用語の使用はまた、これらの用語が「からなる」または「から本質的になる」に置き換えられるより狭い代替の実施形態を開示し、裏付けを提供するものとして理解されるべきである。
【0126】
別段の指示がない限り、全ての数値または表現(明細書(特許請求の範囲以外)で使用される寸法および物理的特性などを表す数値または表現など)は、すべての場合に用語「約」によって修飾されると理解される。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、明細書または特許請求の範囲に記載された、用語「およそ」によって修正される各数値パラメーターは、記載された有効数字の数を考慮して、通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。
【0127】
開示の全ての範囲は、各範囲に含まれるあらゆる部分範囲またはあらゆる個別の値を記載するクレームを包含し、裏付けを提供するものであると理解されるべきである。例えば、1から10までの範囲の記載は、最小値1と最大値10の間であり、そして/またはその両端も含むあらゆる部分範囲または個別の値;すなわち、1またはそれを超える最小値で始まり10またはそれ未満の最大値で終わるすべての部分範囲(例えば、5.5~10および2.34~3.56など)または1から10の任意の値(例えば、3、5.8、および9.9994など)を記載するクレームを含み、裏付けを提供すると見なされるべきである。
【0128】
開示のすべての数値は、いずれの方向にも0~100%可変であると理解されるべきであり、したがって、かかる値、またはかかる値によって形成され得るあらゆる範囲もしくは部分範囲を記載する請求項に対する裏付けを提供する。例えば、数値8という記述は、0から16まで(いずれかの方向で100%)変動し、この範囲自体(例えば、0~16)、この範囲内の任意の部分範囲(例えば、2~12.5)またはその範囲内の任意の個別の値(例えば、15.2)を記載する請求項に対する裏付けを提供すると理解すべきである。
【0129】
特許請求の範囲に記載されている用語には、広く使用されている一般的な辞書および/または関連する技術辞書の関連する見出し語を参照することによって決定される通常の慣習的な意味、当業者によって一般に理解されている意味などが、以下の例外のみを条件として、これらの出所のいずれか1つまたは組み合わせによって与えられる最も広い意味をクレーム用語に与えるべきである(例えば、見出し語の組み合わせの最も広い意味を得るために2つまたはそれを超える関連辞書の見出し語を組み合わせるべきである)ことを理解した上で、与えられるべきである:(a)ある用語が通常の慣習的な意味よりも広い様式で使用される場合、その用語には通常の慣習的な意味に加えてこの追加の広い意味を与えるべきであること、または(b)ある用語が、「この文書で使用される場合、~を意味するものとする」または類似の言語(例えば、「この用語は、~を意味する」、「この用語は、~と定義される」、「本開示の目的のために、この用語は、~を意味するものとする」など)の句が後に続く用語を記載することにより、異なる意味を持つように明確に定義されている場合。具体例への言及、「すなわち」の使用、用語「発明」の使用などは、例外(b)を想起することも、記載されたクレーム中の用語の範囲を他に制限することも意味しない。例外(b)が適用される状況を除き、この文書中に含まれる内容は、請求の範囲の範囲の放棄または否認とみなされるべきではない。
【0130】
特許請求の範囲に記載された主題は、本文書に記載または例示の任意の実施形態、特徴、または特徴の組み合わせと同一の権利範囲になく、同一の権利範囲にあると解釈されるべきではない。これは、本文書中に特徴または特徴の組み合わせの単一の実施形態のみを図示し、説明している場合でも当てはまる。
【0131】
参照による援用
【0132】
以下に列挙されている各文書の全内容は、本文書中で参考として援用される。本文書および1つまたはそれを超える援用された文書の両方で同一の用語が使用されている場合、この用語がこの文書中で異なる意味を持つように明示的に定義されていない限り、これらの出所のいずれか1つまたは組み合わせによって与えられる最も広い意味を持つと解釈されるべきである。以下の文書のいずれかとこの文書の間に矛盾がある場合、この文書が支配するものとする。援用された主題は、明示的に記載または描写された主題の範囲を制限または狭めるために使用されるべきではない。
-米国特許仮出願第62/505,723号、発明の名称「Stable Trivalent Chromium Coating Solution」、出願日2017年5月12日。
-米国特許第6,375,726号(米国特許出願第09/702,225号)、発明の名称「Corrosion Resistant Coatings for Aluminum and Aluminum Alloys」、出願日2000年10月31日、発行日2002年4月23日。
-米国特許第6,511,532号(米国特許出願第10/012,982号)、発明の名称「Post-Treatment for Anodized Aluminum」、出願日2001年11月6日、発行日2003年1月28日。
-米国特許第6,521,029号(米国特許出願第10/116,844号)、発明の名称「Pretreatment for Aluminum and Aluminum Alloys」、出願日2002年4月5日、発行日2003年2月18日。
-米国特許第6,527,841号(米国特許出願第10/012,981号)、発明の名称「Post-Treatment for Metal Coated Subtrates」、出願日2001年11月6日、発行日2003年3月4日。
-米国特許第6,669,764号(米国特許出願第10/351,752号)、発明の名称「Pretreatment for Aluminum and Aluminum Alloys」、出願日2003年1月23日、発行日2003年12月30日。
-米国特許第7,018,486号(米国特許出願第10/187,179号)、発明の名称「Corrosion Resistant Trivalent Chromium Phosphated Chemical Conversion Coatings」、出願日2002年6月27日、発行日2006年3月28日。
-中国特許出願公開第102888138号、発明の名称「Low-temperature anti-corrosion protective agent for surfaces of automobile parts」の、腐食防止化合物を開示および説明している部分。
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
三価クロムコーティング液を安定化する方法であって、
前記三価クロムコーティング液を加熱する工程;および
前記三価クロムコーティング液を加熱しながら前記三価クロムコーティング液のpHを調整する工程
を含む、方法。
(項2)
前記三価クロムコーティング液を少なくとも35℃に加熱する工程を含む、上記項1に記載の方法。
(項3)
前記三価クロムコーティング液を24時間以内加熱する工程を含む、上記項1に記載の方法。
(項4)
前記三価クロムコーティング液を加熱しながら、前記三価クロムコーティング液のpHをおよそ3.5~およそ4.0に調整する工程を含む、上記項1に記載の方法。
(項5)
前記三価クロムコーティング液のpHを調整する工程が、前記三価クロムコーティング液にアルカリ性材料を添加して前記三価クロムコーティング液のpHを上昇させることを含む、上記項1に記載の方法。
(項6)
前記pHを調整する工程の間に前記三価クロムコーティング液を混合する工程を含む、上記項1に記載の方法。
(項7)
前記pHを調整する工程の後に前記三価クロムコーティング液から沈殿物を濾過する工程を含む、上記項1に記載の方法。
(項8)
前記三価クロムコーティング液を冷却する工程を含む、上記項1に記載の方法。
(項9)
前記三価クロムコーティング液の冷却の際に、前記三価クロムコーティング液のpHが、少なくとも7日間の保管期間に±0.15より大きくは変動しない、上記項8に記載の方法。
(項10)
前記三価クロムコーティング液が三価クロムコーティング水溶液である、上記項1に記載の方法。
(項11)
前記三価クロムコーティング液が六価クロムを含まないか、実質的に含まない、上記項1に記載の方法。
(項12)
前記三価クロムコーティング液がフルオリド化合物を含む、上記項1に記載の方法。
(項13)
前記三価クロムコーティング液がフルオロジルコナート化合物を含む、上記項1に記載の方法。
(項14)
前記三価クロムコーティング液がキレート剤を含む、上記項1に記載の方法。
(項15)
上記項1に記載のプロセスによって生成された三価クロムコーティング液。
(項16)
三価クロムコーティング液であって、
三価クロム;
水;および
腐食防止化合物
を含み;
ここで、前記三価クロムコーティング液のpHがおよそ3.5~およそ4.0であり;
ここで、前記三価クロムコーティング液のpHが、少なくとも7日間の保管期間に±0.15より大きくは変動しない、三価クロムコーティング液。
(項17)
前記三価クロムコーティング液が三価クロムコーティング水溶液である、上記項16に記載の三価クロムコーティング液。
(項18)
三価クロムの硫酸塩を含む、上記項16に記載の三価クロムコーティング液。
(項19)
フルオリド化合物を含む、上記項16に記載の三価クロムコーティング液。
(項20)
フルオロジルコナート化合物を含む、上記項16に記載の三価クロムコーティング液。
(項21)
キレート剤を含む、上記項16に記載の三価クロムコーティング液。
(項22)
前記キレート剤が、8-ヒドロキシキノリンおよび/またはニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸を含む、上記項21に記載の三価クロムコーティング液。
(項23)
前記三価クロムコーティング液のpHが、少なくとも7日間の保管期間に±0.07より大きくは変動しない、上記項16に記載の三価クロムコーティング液。
(項24)
前記腐食防止剤が、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、および/またはベンゾトリアゾールを含む、上記項16に記載の三価クロムコーティング液。
(項25)
三価クロムコーティング液であって、
三価クロムの硫酸塩;および

を含み;
ここで、前記三価クロムコーティング液のpHがおよそ3.5~およそ4.0であり;
ここで、前記三価クロムコーティング液のpHが、少なくとも7日間の保管期間に±0.15より大きくは変動しない、三価クロムコーティング液。
(項26)
フルオリド化合物を含む、上記項25に記載の三価クロムコーティング液。
(項27)
フルオロジルコナート化合物を含む、上記項25に記載の三価クロムコーティング液。
(項28)
キレート剤を含む、上記項25に記載の三価クロムコーティング液。
(項29)
熱安定化された三価クロムコーティング液。
(項30)
前記熱安定化された三価クロムコーティング液のpHが、少なくとも7日間の保管期間に±0.15より大きくは変動しない、上記項29に記載の熱安定化された三価クロムコーティング液。
図1
図2
図3
図4
図5
図6