(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】SiC層堆積装置のプロセスチャンバに対向するサセプタ面をカバーするカバープレート
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231208BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/205
(21)【出願番号】P 2020569054
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2019065688
(87)【国際公開番号】W WO2019238930
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】102018114208.0
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】ライト、ベンジャミン・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】オニール、バリイ
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012680(JP,A)
【文献】特開2015-076616(JP,A)
【文献】特開2018-022880(JP,A)
【文献】特開2016-035080(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0187620(US,A1)
【文献】特開平06-310438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心(13)を有する平坦な基板上に層を堆積するための装置用のサセプタ装置であって、前記基板(8)及び前記基板を囲むカバープレート(10,15,16)が、プロセスチャンバに対向
しかつ中心(M)を有するサセプタ(1)の上面に配置されており、
内側カバープレート(10)がそれぞれ、前記サセプタ(1)の中心(M)に向いた前記基板(8)の縁部(8’)との境界を画すエッジ(20)を形成しており、かつ、前記
サセプタ(1)の中心(M)の周りで周方向に互いに隣り合って配置された2つの
前記内側カバープレート(10)が、分離接合部(11)にて互いに境界を画
しており、
前記分離接合部(11)が、前記サセプタ(1)の中心(M)及び前記基板(8)の中心(13)を通って径方向に引かれた半径ライン(12)に対して所定の角度(α)だけ角度的に逸れて延在し、かつ、前記分離接合部(11)又は前記分離接合部(11)を延ばしたライン(11’)と前記半径ライン(12)との交点(14)が、前記
サセプタ(1)の中心(M)から径方向外側に位置
する、前記サセプタ装置において
、
前記交点(14)と前記サセプタ(1)の中心(M)との間の距離は、10mmより大きいこと、又は、前記サセプタ(1)の中心(M)から前記基板(8)の中心(13)までの径方向距離の10%~40%であることを特徴とするサセプタ装置。
【請求項2】
前記
内側カバープレート(10)
の前記エッジ(20)は、
前記基板(8)の中心(13)の周りの円弧ライン上に延在しかつ
前記基板(8)の縁部(8’)に接触するために用いら
れ、かつ、複数の同形の
前記内側カバープレート(10)は、
前記分離接合部(11)にて側方エッジ(22、23)が互いに境界を画すように
前記サセプタ(1)の中心
(M)の周りで周方向に互いに隣り合って配置可能である、前記
サセプタ装置において、
前記分離接合部(11)が、前記サセプタ(1)の中心(M)及び前記基板(8)の中心(13)を通って径方向に引かれた半径ライン(12)に対して所定の角度(α)だけ角度的に逸れて延在することを特徴とする請求項1に記載のサセプタ装置。
【請求項3】
前記分離接合部(11)
を延ばしたライン(11’)が、前記基板(8)との境界を画す前記
内側カバープレート(10)の
前記エッジ(20)を通って延在することを特徴とする請求項1又は2に記載のサセプタ装置。
【請求項4】
前記交点(14)と前記
サセプタ(1)の中心(M)との間の距離
は、
20mmより大きい
こと、又は、
前記サセプタ(1)の中心(M)から前記基板(8)の中心(13)までの径方向距離の10%~40%であることに替えて、前記サセプタ(1)の中心(M)から前記基板(8)の縁部(8’)までの径方向距離の20%~35%であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のサセプタ装置。
【請求項5】
前記内側カバープレート(10)が、少なくとも2つの前記基板(8)を径方向内側で囲むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のサセプタ装置。
【請求項6】
前記分離接合部(11)を延ばしたライン(11’)と前記半径ライン(12)との角度(α)が、10度~40度の範囲内に、
又は、20度~30度の範囲内にあることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のサセプタ装置。
【請求項7】
前記内側カバープレート(10)の径方向外側に配置された外側カバープレート(15)を特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のサセプタ装置。
【請求項8】
中央カバープレート(16)が設けられることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のサセプタ装置。
【請求項9】
前記外側カバープレート(15)が、前記外側カバープレート(1
5)の径方向外側のエッジに向いて開口するチャネル(19)を形成することを特徴とする請求項
7に記載のサセプタ装置。
【請求項10】
前記内側カバープレート(10)は、前記サセプタ(1)の中心(M)の周りで周方向に延在して
前記外側カバープレート(15)との境界を画す周囲エッジ(25)がそれぞれ、
前記基板(8)の中心(13)の周りの円弧ラインに沿って延在する
外側エッジ(24)同士の間に延在することを特徴とする請求項7
又は9
に記載のサセプタ装置。
【請求項11】
前記内側カバープレート(10)は、前記サセプタ(1)の中心(M)の周りの円弧ラインに沿って延在する内側エッジ(21)が、中央カバープレート(16)との境界を画すことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のサセプタ装置。
【請求項12】
中心(13)を有する平坦な基板上に層を堆積するための装置用のサセプタ装置であって、前記基板(8)及び前記基板を囲むカバープレート(10,15,16)が、プロセスチャンバに対向しかつ中心(M)を有するサセプタ(1)の上面に配置されており、かつ、
前記サセプタ(1)の中心(M)の周りで周方向に互いに隣り合って配置された2つの内側カバープレート(10)が、分離接合部(11)にて互いに境界を画している、前記サセプタ装置において、
前記内側カバープレート(10)は、前記分離接合部(11)にて境界を画す側方エッジ(22
、23)が、前記サセプタ(1)の中心(M)と2つの隣り合う基板(8)の中心(13)同士の間の接続ラインの中点とを通って延びる半径ラインと平行に延在することを特徴とす
るサセプタ装置。
【請求項13】
中心(13)を有する平坦な基板上に層を堆積するための装置用のサセプタ装置であって、前記基板(8)及び前記基板を囲むカバープレート(10,15,16)が、プロセスチャンバに対向
しかつ中心(M)を有するサセプタ(1)の上面に配置されており、
内側カバープレート(10)がそれぞれ、前記サセプタ(1)の中心(M)に向いた前記基板(8)の縁部(8’)との境界を画すエッジ(20)を形成しており、かつ、
前記
サセプタ(1)の中心(M)の周りで周方向に互いに隣り合って配置された2つの
前記内側カバープレート(10)が、分離接合部(11)にて互いに境界を画している、前記サセプタ装置において、
前記内側カバープレート(10)は、前記分離接合部(11)にて境界を画す側方エッジ(22
、23)が、前記サセプタ(1)の中心(M)と2つの隣り合う基板(8)の中心(13)同士の間の接続ラインの中点とを通って延びる半径ラインと平行に延在することを特徴とするサセプタ装置。
【請求項14】
請求項1~13
のいずれかに記載のサセプタ装置用のカバープレートであって、前記
内側カバープレート(10)が、
前記基板(8)の中心(13)の周りの円弧ライン上に延在しかつ基板(8)の縁部(8’)に接触するために用いられるエッジ(20)を形成し、
複数の同形の
前記内側カバープレート(10)は、分離接合部(11)にて側方エッジ(22、23)が互いに境界を画すように
サセプタ(1)の中心の周りで周方向に互いに隣り合って配置可能であ
り、かつ、
前記分離接合部(11)が、前記サセプタ(1)の中心(M)及び前記基板(8)の中心(13)を通って径方向に引かれた半径ライン(12)に対して所定の角度(α)だけ角度的に逸れて延在する
、前記カバープレート
において、
前記内側カバープレート(10)は、前記分離接合部(11)にて境界を画す前記側方エッジ(22、23)が、前記サセプタ(1)の中心(M)と2つの隣り合う基板(8)の中心(13)同士の間の接続ラインの中点とを通って延びる半径ラインと平行に延在することを特徴とするカバープレート。
【請求項15】
SiC、GaN、GaAs、AsP、又はその他の半導体層を堆積するためのCVDリアクタにおける請求項1~13
のいずれかに記載のサセプタ装置の使用であって、ガス状開始物質、特にケイ素と炭素、又は、ガリウムと窒素、ガリウム、ヒ素と窒素、又は、ヒ素とリンを含む開始物質が、ガス入口(7)を通してCVDリアクタのプロセスチャンバ(2)内に供給され、かつ、前記基板(8)が、加熱装置(6)により600℃、800℃
、1000℃、
又は1300℃を超える温度に加熱される使用。
【請求項16】
請求項2~11のいずれか1つの
サセプタ装置の特徴的な構成を特徴とする請求項1
4に記載のカバープレート。
【請求項17】
請求項2~11のいずれか1つの
サセプタ装置の特徴的な構成を特徴とする請求項1
5に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な基板上に層を堆積するための装置に関し、加熱装置により加熱可能なサセプタを有し、基板及び基板を囲むカバープレートが、プロセスチャンバに対向するサセプタの上面に配置されており、内側カバープレートがそれぞれ、サセプタの中心に向いた基板の縁部と境界と画すエッジを形成しており、かつ、中心の周りに周方向に互いに隣り合って配置された2つのカバープレートが、分離接合部にて互いに境界を画している。
【0002】
本発明はさらに、そのような装置用のサセプタ装置に関する。
【0003】
本発明はさらに、上述したタイプのカバープレート、並びにSiC層を堆積するための装置、サセプタカバー及びカバープレートの使用に関し、ケイ素及び炭素を含むガス状開始物質が、ガス入口を通ってCVDリアクタのプロセスチャンバ内に供給され、かつ基板が、加熱装置により1000℃を超える、好ましくは1300℃を超える温度に加熱される。
【0004】
SiC層を堆積するための装置は、リアクタハウジングと、リアクタハウジング内に配置されたサセプタと、ガス入口と、ガス出口とを備えている。サセプタは、加熱装置により、特にその下面から、1000℃を超える、特に1500℃を超える温度に加熱される。2つのプロセスガスと搬送ガスとからなる混合ガスを、ガス入口を通してサセプタとプロセスチャンバ天井との間のプロセスチャンバ内に供給する。搬送ガスは、希ガス、水素又は窒素とすることができる。プロセスガスは、ケイ素と炭素とを含む。炭素を含むプロセスガスは、炭化水素から構成することができる。ケイ素を含むプロセスガスは、ケイ素と水素の化合物から構成することができる。
【0005】
また、このようなプロセスチャンバには、プロセスチャンバを洗浄するために、HClなどの洗浄ガスを供給してもよい。
【0006】
複数の基板が、プロセスチャンバに対向するサセプタの表面上に、特に、例えばコーティングされたグラファイトからなるサセプタの中心の周りに延在する円周ライン上に互いに隣り合って位置している。さらに、同様にコーティングすることができるカバープレートが、サセプタの表面上に配置されている。内側カバープレートが設けられており、その径方向外側に向いたエッジと、中心に向いた基板の縁部とが隣り合っている。同一形状のカバープレートが複数設けられており、それらのカバープレートは、周方向に隣接して配置され、分離接合部で互いに境界を画している。
【背景技術】
【0007】
先行技術から知られた装置では、分離接合部が径方向に延びている。分離接合部を通って延びる仮想的な延長ラインは、サセプタの中心と基板の中心とを通って延びている。
【0008】
厚い層が堆積すると、カバープレートに張力が発生する。その張力により、カバープレートのエッジが浮き上がる。これらの問題は、開始物質の流れ方向が径方向に延在する場合、特にサセプタが中心の周りで回転しているとき、基板上に不均一に堆積された層を生じることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、横方向における層の厚さの均一性を向上させるための手段を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求の範囲で特定された本発明により達成される。
【0011】
先ず、本質的に、分離接合部が、中心を通って径方向に引かれた半径ラインに対して所定の角度だけ角度的に逸れていることが提示される。驚くべきことに、このような分離接合部の延在方向の変更によって、先行技術よりも良好な層厚の均質性がもたらされることが決定された。これは特に、プロセスガスが、プロセスチャンバの中心に配置されたガス入口要素を通って供給され、内側カバープレート及びそれらにより囲まれた基板の上を径方向に外側に向かって流れる場合に言えることである。この場合、サセプタは、中心の周りで回転駆動されてもよい。さらに、中心の周りに円弧ライン上に配置された個々の基板を回転駆動することも可能である。このために、それらの基板は、円形ディスク形状を有してそれらの中心の周りで回転駆動可能な基板キャリア上に配置されている。これは、ガスジェット駆動を用いて実現される。ガスチャネルが、サセプタ内に延びてサセプタの上面へと繋がっている。基板キャリアは、これらのチャネルの出口領域に配置され、それらの出口により形成された適切な配置のノズルによりガスクッション上に載ると共に回転駆動される。
本発明の一態様によれば、分離接合部を通って引かれた線が、基板との境界を画す内側カバープレートのエッジを通って延びていることが提示される。このカバープレートのエッジは、好ましくは円弧ライン上に延在している。分離接合部を通るラインは、基板の中心も、サセプタの中心も通らないで延びている。本発明に一態様によれば、分離接合部の延長ラインと半径ラインとの交点が、サセプタ中心から径方向外側に位置することが提示される。その交点は、好ましくは、基板とサセプタの中心との間に位置する。中央の特に円形のカバープレートが、サセプタの中心領域に配置されてもよい。交点は、このカバープレートの領域にある。
本発明の内側カバープレートは、円弧ライン上に延びる内側エッジを有し、その内側エッジは、中央カバープレートの径方向外側エッジと境界を画している。全ての内側カバープレートが同一形状であることが好ましい。内側カバープレートは、円弧ライン上に延びる複数の外側エッジを有することができ、各外側エッジは基板と隣り合っている。複数の周囲エッジが、内側カバープレートの2つの外側エッジの間に延びていてもよい。これらの周囲エッジは、中心の周りに周方向に延在し、外側カバープレートとの境界を画している。
外側カバープレートは、径方向外側に向いて開口しかつ互いに平行に延びるチャネルを有することができる。それらのチャネルは、基板に対してほぼ接線方向に延びており、それぞれサセプタに基板を搭載するため、又はサセプタから基板を取り外すために使用することができる。グリップアームは、基板の縁部の下側に係合するために、チャネルに係合可能な平行なグリップフィンガーを有することができる。この装置は、特に、SiC、GaN、GaAs、AsP、又はその他の半導体材料系を堆積するのに適している。これは特に、パワー半導体部品の製造に用いられる材料系に関係する。
本発明は、例示的実施形態に基づいて以下にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明のサセプタ装置の平面図を示す。
【
図2】
図2は、ラインII-IIに沿った本発明の装置の断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明のカバープレートの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2は、リアクタハウジング4を備えたCVDリアクタの半分の概略断面図を示している。サセプタ1は、円形ディスク状のグラファイト本体からなり、リアクタハウジング4の内部に位置している。サセプタ1の表面は、適切にコーティングすることができる。
【0014】
加熱装置6は、サセプタ1の下方に位置しており、サセプタ1を通常1600℃の温度に加熱することが可能である。
【0015】
内側にある円形の中央カバープレート16はグラファイトからなり、プロセスチャンバ2に対向するサセプタ1の上面に配置されている。中央カバープレート16の中心は、サセプタ1の中心Mに位置する。
【0016】
中央カバープレート16の円形エッジは、中央カバープレート16の周りに周方向に配置された全部で4つの内側カバープレート10との境界を画している。図示しない例示的実施形態では、これより多い又は少ないカバープレート10を設けることもできる。
【0017】
同形の内側カバープレート10の各々は、円弧ライン上に延在しかつ中央カバープレート16との境界を画す内側エッジ21を有する。カバープレート10はさらに、それぞれ直線状に延びる2つの側方エッジ22、23を有する。2つの外側エッジ24はそれぞれ円弧ライン上に延在し、内側エッジ21の反対側に位置する。外側エッジ24は斜面26を形成している。周囲エッジ25、25’はそれぞれ、2つの外側エッジ24の間に延在している。
【0018】
中心Mの周りで周方向に隣り合って配置されている2つのカバープレート10の側方エッジ22、23が互いに境界を画すことによって、分離接合部11が形成されている。異なるカバープレート10のエッジ22、23は、互いに接触して隣接している。直線状に延びる分離接合部11が形成されている。
【0019】
図1に示すように、直線状に延びる分離接合部11を通って引かれた延長ライン11’は、半径ライン12と角度αをなしている。この半径ライン12は、一方ではサセプタ1の中心Mを通り、他方では基板8の中心13を通って引かれている。先行技術では、2つのカバープレートの互いに境界を画す分離接合部がそのような半径ライン12を通って延在するのに対し、本発明の分離接合部11は、半径ライン12に対して角度αをなして角度的に逸れている。しかしながら、分離接合部11又は分離接合部11を延ばしたライン11’が、円弧ライン上に延びる外側エッジ24と交差することによって、延長ライン11’はなお、基板8の縁部を通って延在する。
【0020】
図1はさらに、分離接合部11を延ばしたライン11’が、中心Mから径方向外側に位置する交点14にて半径ライン12と交差することを示している。径方向における中心Mから交点14までの距離は、中心Mから縁部8’までの距離の約20%~35%とすることができる。しかしながら、その距離は、中心Mから基板8の中心13までの径方向距離の10%~40%とすることもできる。
交点14と中心Mとの間の距離は、10mm又は20mmより大きい。
【0021】
内側カバープレート10は、グラファイト又はコーティングされたグラファイトで構成されてもよい。その材料厚さは、0.5mm~3mmの範囲内にある。
【0022】
外側カバープレート15は、カバープレート10の径方向外側に配置されており、その径方向内側に向いたエッジにより、カバープレート10の周囲エッジ25、25’と境界を画している。
【0023】
周囲エッジ25、25’は、基板8の中心13を通って延在する周方向ライン上に延在する。
【0024】
外側カバープレート15は、径方向外側に向いて開口しかつ上方に開口した凹部からなるチャネル19を有する。チャネル19は、基板8のエッジの接線方向にある。グリッパのフォークプロングは、搬送用リング18のの下側に横から係合するためにチャネル19内に係合することができる。搬送用リング18は基板8を取り囲み、その上に基板8が載置されており、それによって装置に基板を搭載したり、装置から基板を取り外したりする。
【0025】
本発明の装置では、その縁部8’がカバープレート10の外側エッジ24と隣り合っている平坦な円形の基板8が、SiCによりコーティングされる。このために、プロセスガスがプロセスチャンバ内に供給される。これは、プロセスチャンバ2の中心Mにおいてガス入口3を通して行われ、それによってガスが径方向の内側から外側にプロセスチャンバ2を通って流れる。このとき、サセプタ1は回転駆動することができる。基板キャリア9も同様にそれらの幾何学的軸の周りで回転駆動することができる。
【0026】
プロセスガスは、アルゴン、H2、N2などの不活性ガスと共にプロセスチャンバ2内に供給される。プロセスガスは、ケイ素を含むガスと、炭素を含むガスとを有する。ケイ素を含むガスは、SiH4からなることができる。炭素を含むガスはC2H8などの炭化水素からなることができる。
【0027】
SiC層が、通常のプロセス温度1600℃で10~20μmの成長速度で堆積される。プロセスガスは、堆積プロセス中にカバープレート10及び基板8の熱い表面で熱分解する。層は、基板8上と同様にカバープレート10上に堆積する。例えばグラファイトからなるカバープレート10においては、このことが、カバープレートのエッジ22、23を浮き上がらせる張力を生じさせる。本発明では分離接合部11が半径ライン12に対して角度αだけ逸れていることによって、浮き上がったエッジ22、23によるプロセスチャンバ2を通る横方向の流れに対する影響が、基板8上に堆積される層の層厚が先行技術よりも均一な層厚分布を有するように変えられる。
【0028】
角度αは、10度~40度の範囲内であり、特に20~30度の範囲内であることが好ましい。例示的実施形態では、この角度は約25度である。
【0029】
図3は、互いに直角に延在する2つの側方エッジ22、23を具備するカバープレート10を示している。2つのエッジ22、23は、この図に一点鎖線で示す半径ラインに対して平行に延びるラインに沿って延在している。分離接続部11にて境界を画するエッジ22は、外側の周囲エッジ25とサセプタ1の中心とを通って延びるラインと平行に延在している。外側のエッジ25は、実質的に2つの隣り合う基板8の中心13同士の間の中央に位置する。2つの隣り合う基板8の中心13同士の間の接続ラインは中点を有する。エッジ22に対し平行に延びる半径ラインは、この中点を通って延びている。
【0030】
上述した説明は、本願に含まれるすべての発明を明確とするためのものであり、それぞれが、少なくとも以下の特徴の組み合わせで独立して先行技術を改良し、ここで、これらの特徴の組合せのうちの2つ、複数、又はすべてがまた、互いに組み合わされてもよい。
【0031】
分離接続部11が、サセプタ1の中心M及び基板8の中心13を通って径方向に引かれた半径ライン12に対して角度αだけ角度的に逸れて延在することを特徴とする装置。
【0032】
分離接続部11が、サセプタ1の中心M及び基板8の中心13を通って径方向に引かれた半径ライン12に対して角度αだけ角度的に逸れて延在することを特徴とするサセプタ装置。
【0033】
分離接続部11が、サセプタ1の中心M及び基板8の中心13を通って径方向に引かれた半径ライン12に対して角度αだけ角度的に逸れて延在することを特徴とする、装置のカバープレート。
【0034】
ガス状開始物質、特にケイ素と炭素、又は、ガリウムと窒素、ガリウム、ヒ素と窒素、又は、ヒ素とリンを含む開始物質が、ガス入口7を通ってCVDリアクタのプロセスチャンバ2内に供給されると共に、基板8が、加熱装置6により600℃、800℃、又は1000℃を超える、好ましくは1300℃を超える温度に加熱される、SiCを堆積するためのCVDリアクタにおける装置、サセプタ装置、又はカバープレートの使用。
【0035】
分離接続部11を通って引かれたライン11’が、基板8との境界を画するカバープレート10のエッジ20を通って延びることを特徴とする装置。
【0036】
分離接続部11を延ばしたライン11’と半径ライン12との交点14が、中心Mから径方向外側に位置することを特徴とする装置。
【0037】
カバープレート10が、少なくとも2つの基板を、径方向内側にて囲むことを特徴とする装置。
【0038】
分離接続部11を延ばしたライン11’と半径ライン12とのなす角度が10度~40度の範囲内、好ましくは20度~30度の範囲内にあることを特徴とする装置。
【0039】
外側カバープレート15及び/又は中央カバープレート16が、内側カバープレート10の径方向外側に設けられていること、及び/又は、外側カバープレート15が、外側カバープレート15の径方向外側のエッジに向いて開口するチャネル19を形成していること、及び/又は、周方向に延在して外側カバープレート15との境界を画する周囲エッジ25がそれぞれ、円弧ラインに沿って延在するエッジ24同士の間に延在すること、及び/又は、円弧ラインに沿って延在する内側エッジ21が中央カバープレート16との境界を画することを特徴とする装置。
【0040】
開示された全ての特徴は、(それ自体のために、また互いに組み合わされて)本発明に不可欠である。ここでの出願の開示は、関連する/追加された優先権書類(先の出願の写し)の開示内容をその内容全体に含み、それはこれらの書類の特徴を本願の請求項に組み込む目的でもある。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、引用される請求項の特徴がなくても、先行技術の独立した発明性のあるさらなる発展を特徴とする。各請求項で特定された発明は、前述の説明で特定された、特に参照符号が付与された、及び/又は符号の説明で特定された、1つ以上の機能を追加で有することができる。本発明はまた、特に、それらがそれぞれの使用目的に明らかに不要であるか、または技術的に同じ効果を有する他の手段で置き換えることができる限り、前述の説明で述べた特徴の個々のものが実装されない実施形態に関する。
【符号の説明】
【0041】
1 サセプタ
2 プロセスチャンバ
3 ガス入口
4 リアクタハウジング
5 プロセスチャンバ天井
6 加熱装置
7 ガス出口
8 基板
8’ 縁部
9 基板キャリア
10 (内側)カバープレート
11 分離接合部
11’ 延長ライン
12 半径ライン
13 中心
14 交点
15 外側カバープレート
16 中央カバープレート
17 分離接合部
18 搬送用リング
19 チャネル
20 エッジ
21 内側エッジ
22 側方エッジ
23 側方エッジ
24 外側エッジ
25 エッジ(周囲エッジ)
26 斜面
α 角度