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特許7399120色変換用の光安定性染料を含む押し出しPETフィルム
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  • 特許-色変換用の光安定性染料を含む押し出しPETフィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】色変換用の光安定性染料を含む押し出しPETフィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20231208BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20231208BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20231208BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G02B5/20
G02F1/13357
C09K11/06
C07F5/02 D CSP
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020571692
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019065941
(87)【国際公開番号】W WO2019243288
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】18179281.3
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18202938.9
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18215371.8
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ・シュテファニエ・マンゴルト
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ケーネマン
(72)【発明者】
【氏名】ソリン・イヴァノヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・インダービツィン
(72)【発明者】
【氏名】サンドロ・パガノ
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0230960(US,A1)
【文献】特表2014-531739(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0134953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02F 1/13357
C09K 11/06
C07F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料と;
(b)式(I.b)
【化1】
(式中、
EWG1及びEWG2は、CNであり;
式(I.b)中のR1、R3、R4、R6は、C1~C4-アルキル又はC6-アリールから独立して選択され、
ここで、C1~C4-アルキルは、非置換であり、
C6-アリールは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R10で置換されており;
R7bは、C1~C4-アルキル又はC6-アリールであり;
ここで、C1~C4-アルキルは、非置換であり、
C6-アリールは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R11で置換されており;
各R10は、C1~C4-アルコキシ又はフェノキシから独立して選択され、ここで、後に言及した基中の芳香族環は、1つ又は複数の置換基R12により置換されていてもよく;
各R11は、フッ素、塩素及びC1~C4-アルキルから独立して選択され;
各R12は、C1~C4-アルキルから独立して選択される)
の化合物である少なくとも1種の有機蛍光染料とを含む、色変換体。
【請求項2】
前記ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料が、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料の総ポリマー含有量に対して少なくとも90質量%のポリエチレンテレフタラートを含む、請求項1に記載の色変換体。
【請求項3】
式(I.b)において、R1、R3、R4及びR6が、互いに独立してC1~C4-アルキル又はフェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、1、2又は3個の置換基R10により置換されていてもよい、請求項1又は2に記載の色変換体。
【請求項4】
式(I.b)中のR1、R3、R4及びR6の全てが、互いに独立してC1~C4-アルキルから選択されるか、又は式(I.b)中のR1、R3、R4及びR6の全てが、互いに独立してフェニルから選択され、前記フェニルは、非置換であるか、又は1、2、3、4若しくは5個の置換基R10を持つ、請求項1から3のいずれか一項に記載の色変換体。
【請求項5】
式(I.b)中のR7bが、C1~C4-アルキル又はフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、又は1、2、3、4若しくは5個の置換基R11で置換されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の色変換体。
【請求項6】
式(I.b)中のR7bが、C1~C4-アルキル又は非置換であるか、フッ素、塩素又はC1~C4-アルキルから選択される1、2、3、4又は5個の置換基R11で置換されているフェニルである、請求項5に記載の色変換体。
【請求項7】
500~560nmの範囲の発光の中心波長を有する光を放出する式(I.b)の少なくとも第1の化合物又はそれらの混合物と、595~700nmの範囲の発光の中心波長を有する光を放出する式(I.b)の少なくとも第2の化合物又はそれらの混合物とを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の色変換体。
【請求項8】
少なくとも1種の有機蛍光染料が、化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)、(39)から選択される式(I.b)の蛍光染料又はそれらの混合物である、
【表1A】
【表1B】
請求項1から7のいずれか一項に記載の色変換体。
【請求項9】
少なくとも1種の光散乱剤を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の色変換体。
【請求項10】
(i)光を放出するように構成された光源と;
(ii)請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの変換体と;
を含み、少なくとも1種の色変換体が、光源からリモート配置にある、
バックライトユニット。
【請求項11】
(i)薄膜トランジスタ(TFT)アレイ、液晶層、並びに赤色、緑色及び青色のカラーフィルターを含むカラーフィルターアレイを含む液晶パネルと
(ii)少なくとも1つの光源と
(iii)少なくとも1つの請求項1から9のいずれか一項に記載の色変換体とを含む、液晶ディスプレイモジュール。
【請求項12】
(i)発光の中心波長が400nm~480nmである青色LED又は3000Kから20000Kの間の相関色温度を有する低温白色LEDから選択される少なくとも1つのLEDと;
(ii)請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの色変換体と;
を含み、少なくとも1つの色変換体が、少なくとも1つのLEDからリモート配置にある、発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレンテレフタラート(PET)マトリックス材料と、コア炭素骨格上に少なくとも2個の電子吸引基を持つ少なくとも1種のホウ素-ジピロメテン(BODIPY)化合物とを含む色変換体、それぞれ前記色変換体を含有するバックライトユニット、液晶ディスプレイデバイス及び点灯デバイスに関する。本発明はまた、2、6位にシアノを持つ新規なホウ素-ジピロメテン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
色変換フィルムとしても公知の色変換体は、多種多様な光学デバイス、例えば液晶ディスプレイ(LCD)パネル又は一般的な点灯デバイスに使用されている。LCDパネルは、典型的には、液晶を光変調器として使用する液晶ディスプレイユニットと、LCDパネルを明るくするためのバックライトユニットとを含む。バックライトユニットは、典型的には、色変換体と組み合わせた光源としての青色又は白色発光ダイオード(LED)のアレイを含む。白色光は、典型的には、青色LEDを色変換体と組み合わせて使用することにより創出される。色変換体は、典型的には、ポリマー材料と波長変換材料としての1種又は複数の蛍光体とを含む層を含むか、そうした層からなる。波長変換材料は、LED光源から放出された光を第2のより長い波長を有する光に変換し、例えば青色発光は、緑色又は赤色発光に変換され、透過した青色光と変換された光との混合により白色光が生じる。ポリマー材料中の蛍光体材料は、LEDチップ上に直接塗布してもよく、蛍光体材料が空間を介さずにLEDチップに直接塗布される構成は、「蛍光体オンチップ」構成とも呼ばれる。蛍光体オンチップLEDにおいて、ポリマー材料と蛍光体は、比較的高い熱及び放射応力にさらされる。このため、無機蛍光体が使用される。希土類イオンをドープした無機酸化物が、無機蛍光体材料として最も一般的に使用される。最も広く使用されている白色LEDは、セリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(Ce:YAG)蛍光体でコーティングされたInGaNチップからの青色光の発光(黄色スペクトル領域(約560nm)での発光)に基づくものである。Ce:YAG蛍光体の発光は、かなり広帯域である。加えて、このタイプの白色LEDは、緑色用の個別の発光帯を示さない。
【0003】
色変換により青色光から白色光を生成するため、一般に有機蛍光体材料(有機蛍光染料)とポリマーマトリックス材料とを含む色変換体が、LEDチップからある特定の距離にあるという、更なる概念が存在する。こうした構造は、「リモート蛍光体」と呼ばれる。一次光源であるLEDと、色変換体との間の空間的距離が、熱及び照射から生じる応力を、多くの場合、安定性に関する要件が有機蛍光染料によって達成できる程度にまで低下させる。しかし、LED点灯システムに基づくリモート蛍光体用途における先行技術の有機蛍光染料の適用を妨げる主な欠点は、多くの場合、依然としてその不十分な光安定性であり続けている。有機蛍光染料は、典型的には熱可塑性ポリマーマトリックス材料、例えばポリカルボナート(PC)、ポリスチレン(PS)又はポリメチルメタクリラート(PMMA)に埋め込まれている。有機蛍光染料は、無機蛍光体と比較して多くの利点を有する:第一に、有機蛍光染料は、高い質量比吸収率により区別され、それは、無機蛍光体の場合よりも、効率的な放射変換に必要な材料がかなり少ないことを意味する。第2に、それらの発光スペクトルは、波長と帯域幅に関して容易に調節できる。加えて、それらは通常、無機蛍光体のスペクトルと比較して、幅の狭いスペクトルを有する。第三に、有機蛍光染料は、コストがかかる不便な方法で採掘し供給しなければならず、限られた程度でしか入手できない希土類を含む材料を何ら必要としない。第4に、それらは、それらが埋め込まれるポリマーマトリックスに可溶であり、そのため、凝集しない。更に、それらは多くの場合、容易に溶液流延法又は押し出しによって処理可能である。
【0004】
色変換体と組み合わせた青色又は白色LEDに基づくバックライトは、従来の液晶ディスプレイ(LCD)に多く使用されている。光源は、赤色、緑色及び青色(RGB)の光を同時に放出する。異なる強度の原色、即ち、赤色、緑色及び青色の混合により、幅広い色を得ることができる。先行技術の白色LEDからの光がカラーフィルターを通過すると、赤色及び緑色は多くの場合、不飽和に見える。同じことが、先行技術の色変換体と組み合わせた青色LEDにも当てはまる。しかし、公知のディスプレイは多くの場合、狭い色域が問題となる。ディスプレイの色域は、典型的には、CIE 1931又はCIE 1976 u'v'色度図におけるRGBプライマリの色度点を結んだ三角形の領域を、RGB標準、例えばrec 709(高解像度TV用)、DPI-P3(デジタル映画投影及び4K超高解像度TV用)又はrec 2020(超高解像度TV用)のものと比較することにより評価される。広い色域又は飽和色を創出するには、バックライトは、一次波長において狭い発光帯域を実現する必要がある。現在のほとんどの広色域ソリューションは、バックライトの構造、例えば色変換フィルムとして使用される量子ドット増強フィルム(QDEF)の調節に基づくものである。主として、一次波長における発光帯域が狭い有機蛍光染料は、量子ドットと同じ役割を果たすことができるが、よりコスト競争力が高く、環境に優しい。
【0005】
現在、ホウ素-ジピロメテン(BODIPY)化合物が、その高い消散係数、高い蛍光量子収率及び狭い発光帯域のために、光学的用途における有機蛍光染料として大きな注目を集めている。しかし、公知の通り、ニトロ置換BODIPYは、蛍光量子収率が低い、又は蛍光を示すことすらないことが特徴であり、そのため、LCDバックライト及び点灯デバイス用の色変換体への使用には適さない。また、公知の通り、BODIPYの吸収及び発光スペクトルは、コア炭素骨格上での置換パターンを変更することにより調整できる。例えば、芳香族系又はアルケンとの共役を拡張すると、吸光度及び蛍光スペクトルが可視スペクトルの赤色部分にシフトする。
【0006】
WO2017/155297、US2016/0223162、US2017/267921、US2018/0134953、US2018/0274753及びUS2019/093008は、樹脂マトリックス中にBODIPY染料、とりわけシアノ置換BODIPY染料であってもよいBODIPY染料を含む色変換体、それを含むバックライトユニット、及びディスプレイデバイスにおけるその使用を記載する。
【0007】
US2016/230960は、樹脂マトリックスにBODIPY化合物を含む色変換層を記載する。樹脂マトリックス材料は、好ましくは熱硬化性ポリマー又は熱硬化ポリマーである。色変換層は、基板、例えば一表面に設けられたPETを有してもよい。
【0008】
US2017/0247610は、樹脂マトリックスと蛍光物質とを含む色変換フィルムを提案する。FWHMが50nm以下の510~560nmの範囲の最大発光波長を有する緑色発光BODIPY化合物と、FWHMが90nm以下の600~660nmの範囲の最大発光波長を有する赤色発光BODIPY化合物とを使用することにより、広い色域を得ることができる。好適なBODIPY化合物はとりわけ、コア炭素骨格にシアノを持つものである。樹脂マトリックスは、好ましくは熱硬化性ポリマー(thermosetting polymer)又は熱硬化性ポリマー(thermal curing polymer)、とりわけポリ(メタ)アクリル系、ポリカルボナート系、ポリスチレン系、ポリアリーレン系、ポリウレタン系、スチレン-アクリロニトリル系、ポリフッ化ビニリデン系、変性ポリフッ化ビニリデン系樹脂マトリックス材料である。ポリエチレンテレフタラートフィルムを色変換フィルム用の支持体として使用してもよい。色変換フィルムは、BODIPY化合物を溶解させた樹脂溶液を基板上にコーティングして乾燥させるか、BODIPY化合物を樹脂、例えばポリカルボナート系、ポリ(メタ)アクリル系又はスチレン-アクリロニトリル系と共に押し出すことにより、調製してもよい。
【0009】
US2018/0208838、並びにUS2018/0134952及びUS2018/0134953は、赤色及び緑色発光BODIPY化合物とバインダー樹脂とを含む色変換組成物を記載する。BODIPY化合物はとりわけ、シアノ置換されたものであってもよい。バインダー樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂又はそれらの混合物である。色変換組成物から製造される色変換フィルムは、良好な発光特性を有するが、アクリラート又はシリコーンマトリックス中での光安定性は低い。
【0010】
US2019/0062348は、炭素コア骨格の2、6位にシアノ基を持っていてもよい赤色蛍光BODIPY化合物、及び色変換フィルムにおけるその使用に関する。色変換フィルムは、樹脂マトリックスへと分散させたこれらの化合物を含む。樹脂マトリックス材料は、好ましくは熱可塑性ポリマー又は熱硬化可能ポリマー、具体的には、ポリ(メタ)アクリル系、ポリカルボナート(PC)系、ポリスチレン(PS)系、ポリアリーレン(PAR)系、ポリウレタン(TPU)系、スチレン-アクリロニトリル(SAN)系、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系、変性ポリフッ化ビニリデン(変性PVDF)系である。
【0011】
WO2018/068299は、青色バックライトユニットと、それぞれ緑色又は赤色の光を放出する表面改質粒子を含む緑色色変換層及び赤色色変換層を含む色変換アレイとを含む発光デバイスを記載し、表面改質粒子は、ゾル-ゲルナノ粒子とゾル-ゲルナノ粒子の表面に付着した複数の発光団、例えばBODIPY染料とを含む。
【0012】
これらの文献はいずれも、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料におけるBODIPY化合物の使用を具体的に記載していない。
【0013】
未公開EP18179281.3は、少なくとも1種の緑色蛍光シアノ置換BODIPY染料を含む色変換体、及びそれを含む液晶ディスプレイ用のバックライトユニットを記載する。
【0014】
色変換体は通常、長時間青色LED光にさらされる。そのため、有機蛍光染料の安定性を長期間維持することが重要である。US9,897,285は、有機蛍光化合物と、25℃での酸素拡散係数が低いポリマー担体材料とを含む、長寿命の色変換体を記載する。ポリエチレンテレフタラート(PET)がポリマー担体材料として特に好適であると言われている。
【0015】
先行技術の色変換体は多くの場合、不十分な光安定性及び/又は不十分な色性能が問題となり、とりわけ、高純度の赤色、緑色及び青色の組合せによる高品質の色を提供しない。加えて、先行技術の蛍光染料は多くの場合、色変換体を退色又は色落ちさせる。
【0016】
したがって、本発明の目的であったのは、半値全幅(FWHM)が狭い発光スペクトルを有する安定した有機緑色蛍光染料を提供することであり、好ましくは、それらの発光の中心波長が標準的なDCI-P3又はrec 2020の原色緑色波長(約530nmでの純粋な原色緑色のスペクトル軌跡)に近い必要がある。また、本発明の目的であったのは、FWHMが狭い発光スペクトルを有する安定した有機赤色蛍光染料を提供することであり、好ましくは、それらの発光の中心波長が標準的なDCI-P3又はrec 2020の原色赤色波長(約630~640nmでの純粋な原色赤色のスペクトル軌跡)に近い必要がある。また、目的は、液晶ディスプレイ又はLED点灯に使用するための、長期耐久性と、好ましくはDCI-P3又はrec 2020に準拠した高色純度の発光(純粋な原色赤色及び緑色のスペクトル軌跡に近い発光波長)を有する色変換体を提供することであった。経済的な観点から、押し出しにより色変換体を調製することが目的であった。また、色域が広く、光安定性が高い液晶ディスプレイを提供することが目的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】WO2017/155297
【文献】US2016/0223162
【文献】US2017/267921
【文献】US2018/0134953
【文献】US2018/0274753
【文献】US2019/093008
【文献】US2016/230960
【文献】US2017/0247610
【文献】US2018/0208838
【文献】US2018/0134952
【文献】US2019/0062348
【文献】WO2018/068299
【文献】未公開EP18179281.3
【文献】US9,897,285
【文献】EP-A634445
【文献】WO2012/152812
【非特許文献】
【0018】
【文献】T. Greene and P. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis (3rd ed.)、John Wiley & Sons、NY (1999)
【文献】Biorg. Med. Chem. Lett. 18 (2008)、3112~3116頁
【文献】Dyes and Pigments 136 (2017) 852~858頁
【文献】RSC Adv.、2013、3、4793~4800頁
【文献】Journal of Organic Chemistry、2008、73、2146~2154頁
【文献】Heteroatom Chemistry Vol 5、No 4、1994 403~407頁
【文献】A.R. Katritzkyら、J. Org. Chem. 2000、65、8819~8821頁
【文献】T. D. Penningら、J. Med. Chem. 2002、45、3482~3490頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
驚くべきことに、BODIPY化合物のコア炭素骨格への少なくとも2個の電子吸引基の導入が、化合物の熱安定性を大幅に向上させ、ポリエチレンテレフタラート(PET)中での押し出しが可能になることが見出された。更に、これらのBODIPYのポリエチレンテレフタラートマトリックス材料への組み込みが、光安定性に優れ、したがって、青色光を照射したときの寿命が改善した色変換体の提供を可能にすることが見出された。有利なことに、本発明よる、本発明に従い使用されるBODIPY化合物は、帯域幅の狭い鋭い発光スペクトルを有し、それらの発光の中心波長は、当該の原色のDPI-P3又はrec 2020波長に非常に近いか、一致さえする。本発明によるBODIPYはまた、高い蛍光量子収率を有する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明は、
(a)ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料と;
(b)式(I.a)、(I.b)、(I.c)
【0021】
【化1】
【0022】
(式中、
EWG1及びEWG2は、CN、CH(O)、C(O)R13、OC(O)R13、COOR14、CH(COOR14)2、SO2R14、C(O)NR15R16、SO2NR15R16又はC1~C20-フルオロアルキルから独立して選択され;
式(I.a)、(I.b)及び(I.c)中のR1、R2、R3、R4、R5、R6は、存在する場合、水素、フッ素、COOR14、CH(COOR14)2、C1~C20-アルキル、C2~C20-アルケニル、C2~C20-アルキニル、C3~C20-シクロアルキル、C4~C20-シクロアルケニル、C6~C14-アリール、ヘテロシクリル又はヘタリールから独立して選択され;
ここで、C1~C20-アルキル、C2~C20-アルケニル及びC2~C20-アルキニルは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R8で置換されており、
C3~C20-シクロアルキル及びC4~C20-シクロアルケニルは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R9で置換されており、
C6~C14-アリールは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R10で置換されており、
ヘテロシクリル及びヘタリールは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R10により置換されており;
R7a、R7b及びR7cは、水素、フッ素、シアノ、C1~C20-アルキル、C2~C20-アルケニル、C2~C20-アルキニル、C3~C20-シクロアルキル、C4~C20-シクロアルケニル、C6~C14-アリール又はヘタリールであり;
ここで、C1~C20-アルキル、C2~C20-アルケニル及びC2~C20-アルキニルは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R8で置換されており、
C3~C20-シクロアルキル及びC4~C20-シクロアルケニルは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R9で置換されており、
C6~C14-アリールは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R11で置換されており;
各R8は、フッ素、C3~C20-シクロアルキル、C4~C20-シクロアルケニル、C6~C14-アリール、C6~C14-アリールオキシ又はヘタリールから独立して選択され;
ここで、C3~C20-シクロアルキル及びC4~C20-シクロアルケニルは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R9で置換されており、
C6~C14-アリール及びC6~C14-アリールオキシは、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R10で置換されており;
各R9は、シアノ、フッ素、C1~C10-アルキル、C1~C10-フルオロアルキル、C1~C10-アルコキシ、C1~C10-フルオロアルコキシ又はトリ-(C1~C10-アルキル)シリルから独立して選択され;
各R10は、シアノ、フッ素、C1~C10-アルキル、C1~C10-フルオロアルキル、C1~C10-アルコキシ、C1~C10-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル、ヘタリール、フェニル、又はフェノキシから独立して選択され、ここで、後に言及した2つの基中の芳香族環は、1つ又は複数の置換基R12により置換されていてもよく;
各R11は、EWG1、フッ素、塩素、臭素、C1~C10-アルキル、C1~C10-アルコキシ、C1~C10-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル、N(C1~C20-アルキル)2、N(C6~C14-アリール)2、ヘタリール、ビフェニリル、テルフェニリル、スピロフルオレニル、C6~C14-アリール、C6~C14-アリール-C1~C10-アルキレン、C6~C14-アリール-C1~C10-アルキレン-O-から独立して選択され、ここで、後に言及した6つの基は、アリール部分において非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R12により置換されており;
各R12は、EWG1、C1~C10-アルキル、C1~C10-アルコキシ、C1~C10-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル又はC3~C20-シクロアルキルから独立して選択され;
R13は、C1~C10-アルキル、C1~C10-フルオロアルキル、C3~C20-シクロアルキル、C3~C20-シクロアルキル-C1~C10-アルキレン、C6~C14-アリール又はC6~C14-アリール-C1~C10-アルキレンから選択され、
ここで、C6~C14-アリール及びC6~C14-アリール-C1~C10-アルキレンのアリール部分は、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R10により置換されており;
R14は、水素、C1~C10-アルキル、C1~C10-フルオロアルキル、C3~C20-シクロアルキル、C3~C20-シクロアルキル-C1~C10-アルキレン、C6~C14-アリール又はC6~C14-アリール-C1~C10-アルキレンから選択され、
C6~C14-アリール及びC6~C14-アリール-C1~C10-アルキレンのアリール部分は、非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R10により置換されており;
R15及びR16は、それぞれの出現において、それぞれ独立して水素、C1~C10-アルキル、又はC1~C10-フルオロアルキルである)
の化合物又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種の有機蛍光染料とを含む、色変換体に関する。
【0023】
本発明者らは、コア炭素骨格が電子吸引基EWG1及びEWG2で置換されると、BODIPY染料の熱安定性が著しく改善されることを発見した。これにより、BODIPY化合物とポリエチレンテレフタラートマトリックス材料とを含む色変換体の押し出しによる製造が可能となる。また、これにより、溶媒を追加で添加することなく色変換体の製造が可能となる。加えて、本発明者らは、前記BODIPY染料のポリエチレンテレフタラートマトリックス材料への組み込みが、BODIPY染料の寿命を延長し、したがって、色変換体の寿命を延長することを発見した。したがって、本発明の色変換体は、高い光安定性、高い蛍光量子収率、更に蛍光BODIPY染料の狭い発光帯域を特徴とする。これらの特性により、色変換体は、バックライト又はLED点灯への使用にとりわけ有益である。
【0024】
本発明の更に別の態様は、光を放出するように構成された光源と;上記に定義される色変換体とを含み、色変換体が、LEDからリモート配置にある、バックライトユニットに関する。
【0025】
本発明の更に別の態様は、
(i)薄膜トランジスタ(TFT)アレイ、液晶層、並びに赤色、緑色及び青色のカラーフィルターを含むカラーフィルターアレイを含む液晶パネルと;
(ii)少なくとも1つの光源と;
(iii)少なくとも1つの上記に定義される色変換体と
を含む液晶ディスプレイモジュールに関する。
【0026】
本発明の更に別の態様は、(i)発光の中心波長が400nm~480nmである青色LED及び3000Kから20000Kの間の相関色温度を有する低温白色LEDから選択される少なくとも1つのLEDと;(ii)少なくとも1つの上記に定義される色変換体とを含み、少なくとも1つの色変換体が少なくとも1つのLEDからリモート配置にある、発光デバイスに関する。
【0027】
本発明の更に別の態様は、式(I.b)の新規な化合物に関し、式中、R1及びR6は、それぞれフェニルであり;R3及びR4は、それぞれ4-メトキシフェニル又は4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)フェニルであり;EGW1及びEWG2は、それぞれシアノであり;R7bは、非置換であるか、又はEWG1、フッ素、塩素、C1~C10-アルキル、C1~C10-アルコキシ、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル又はフェニル-C1~C10-アルキレンから選択される1、2、3、4若しくは5個のR11基で置換されている、フェニルである。
【0028】
本発明の更に別の態様は、式(I.b)の新規な化合物に関し、式中、R1、R3、R4及びR6は、それぞれメチルであり;EWG1及びEWG2は、それぞれシアノであり;R7bは、メシチル、2-クロロフェニル、2-フルオロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0029】
本発明の更に別の態様は、式(I.b)の新規な化合物に関し、式中、R1及びR6は、それぞれメチルであり;R3及びR4は、それぞれ4-シアノフェニルビニルであり;EWG1及びEWG2は、それぞれシアノであり;R7bは、メシチル、2-クロロフェニル、2-フルオロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0030】
本発明の文脈において、「発光材料」という用語は、「蛍光体」又は「変換材料」とも呼ばれる。この用語は、特定の波長又は波長域の光を吸収し、それを異なる波長又は波長域(より長い波長)での再発光により変換することが可能な材料を指す。
【0031】
本発明の文脈において、「色変換体」という用語は、単に変換体とも称され、特定の波長の光を吸収し、第2の波長の光に変換できる物理的なデバイス全てを意味するものと理解される。色変換体は、1つ又は複数の層からなり、そのうちの少なくとも1つが、本発明による少なくとも1種の有機蛍光染料をポリエチレンテレフタラートマトリックス材料中に含む。本発明による有機蛍光染料を含む各層は、本質的に二次元の広がりを持つ平坦な構造を有する。色変換体は、更なる層、例えば基板層及び/又は障壁層を含んでもよい。
【0032】
本発明の文脈において、「ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料」という用語は、本発明による少なくとも1種の有機蛍光染料が、ポリエチレンテレフタラート中に分散又は分子的に溶解されていることを意味する。
【0033】
光の色(光の波長)に応じ、有機蛍光染料は、緑色発光染料、赤色発光染料等として分類することができる。
【0034】
本発明の文脈において、「青色光」という用語は、400~500nm未満の範囲、好ましくは420~480nmの範囲の波長を有する光である。
【0035】
本発明の文脈において、「緑色光」という用語は、500~560nmの範囲の波長を有する光である。
【0036】
本発明の文脈において、「黄色光」という用語は、560を超え、595nm未満の範囲の波長を有する光である。
【0037】
本発明の文脈において、「赤色光」という用語は、595~780nm、好ましくは610~660nmの範囲の波長を有する光を指す。
【0038】
本発明の文脈において、所与のスペクトル分布F(λ)の「中心波長」という用語は、下記の平均と定義される:λc=∫λ・F(λ)dλ/∫F(λ)dλ。
【0039】
本発明の文脈において、「半値全幅(FWHM)」という用語は、最大振幅の半分での線形の幅を意味する。
【0040】
本発明の文脈において、「蛍光量子収率(QY)」という用語は、放出された光子の数の吸収された光子の数に対する比であると定義される。
【0041】
「LED」という用語は、本明細書において使用した場合、無機発光ダイオードを指す。本発明の文脈において、「青色LED」は、発光の中心波長が400~480nm、好ましくは420~480nm、より好ましくは440~470nm、最も好ましくは440~460nmの範囲である電磁スペクトルの青色範囲において光を放出するLEDを意味するものと理解される。好適な半導体材料は、炭化ケイ素、セレン化亜鉛、並びに窒化物、例えば窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)及び窒化インジウムガリウム(InGaN)である。LEDは、典型的には、そのピーク波長を中心にして非常に狭い波長分布を有する。標準的なInGaN系青色LEDは、サファイア基板上に作製され、ピーク発光波長は通常、445~455nmを中心とする。
【0042】
本発明の文脈において、「マイクロLED」及び「ミニLED」は、主に青色光を放出するLEDを意味するものと理解される。半導体材料、例えば窒化ガリウム(GaN)又はセレン化亜鉛(ZnSe)で形成される。ミニLEDのチップサイズは通常、100から200μmの間である。マイクロLED(μ-LED)は通常、1~100μmの最大幅を有する。
【0043】
本発明の文脈において、「白色LED」(白色光生成又は白色発光LED)は、人間の眼により白色であると認識される光を放出するLEDを意味するものと理解される。例は、赤色、緑色及び青色LEDからなるマルチLED(RGB LEDシステムとも呼ばれる)であり、これらの発光が混合されて白色光を形成する。更なる代表的な例としては、その光が蛍光体材料を含む色変換体を通過する青色LEDが挙げられる。好適なのは、無機蛍光体材料、とりわけ黄色蛍光体材料、例えばドープされたイットリウムアルミニウムガーネットでコーティングされた青色LEDである。
【0044】
本発明の文脈において、「白色光」という用語は、2000から20000K、とりわけ2500から20000Kの間の相関色温度(CCT)を有する光に関する。市販の白色LEDは多くの場合、3000K以上、例えば3000~20000K又は4000~20000Kの範囲の相関色温度を有する。
【0045】
本発明の文脈において、420~780nmの可視スペクトル領域を含む電磁放射線も、可視光として指定される。
【0046】
本発明の文脈において、「色域」という用語は、ディスプレイが生成できる色の範囲を定義するものである。ディスプレイの色域を表現する一般的な方法は、国際照明委員会(CIE)により確立されたXYZ表色系のxy色度図である。色域は、xy色度図上の三角形の領域により定義される。これに加えて、又はこれに代えて、色域の評価には、国際照明委員会により確立されたu'v'図が使用される。
【0047】
本発明の文脈において、「RGB色空間」という用語は、三原色である赤色、緑色及び青色の色度により定義され、赤色、緑色及び青色の光が共に合わされて色を生成する。
【0048】
本明細書及び特許請求の範囲において使用した場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形への言及を含む。
【0049】
同様に、「第1の」、「第2の」という用語は、複数を除外するものではない。
【0050】
「少なくとも」という用語は、1つ、又は2つ以上、例えば1つ、2つ、3つ又は4つ、好ましくは1つ、2つ、又は3つを定義することを意味する。同様に好ましくは、「少なくとも」という用語は、複数を定義する。
【0051】
「任意選択で置換された」という用語は、それが指す基が非置換であるか置換されているかのいずれかであることを意味する。
【0052】
本発明の文脈における「本質的に」という用語は、「完全に」、「全体的に」及び「全て」という単語を包含する。この単語は、90%以上、例えば95%以上、とりわけ99%又は100%の割合を包含する。
【0053】
上記式において指定された可変基の定義は、一般にそれぞれの置換基を表す総称を使用する。定義Cn~Cmは、それぞれの置換基又は置換基部分で、各場合において可能な炭素原子の数を与える。
【0054】
「BODIPY」という用語は、ホウ素-ジピロメテンコア(4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセンコアとも呼ばれる)を有する化合物を指す。本明細書において使用されるBODIPYコアの番号付けを、以下に図示する。8位はまた、メソ位とも呼ばれる。
【0055】
【化2】
【0056】
可変基の上記の定義において言及した有機部分は、ハロゲンという用語と同様、個々の群の要素の個々の項目の総称である。接頭辞Cn~Cmは、各場合において、その基における炭素原子の可能な数を示す。
【0057】
「ハロゲン」という用語は、各場合において、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素、特に塩素、臭素又はヨウ素を表す。
【0058】
「アルキル」という用語は、本明細書(及びアルキル基を含む他の基、例えばアルコキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルのアルキル部分)において使用された場合、各場合において、通常1~20個の炭素原子、一般に1~10個の炭素原子、多くの場合1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基を表す。C1~C4-アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、2-ブチル(=sec-ブチル)、イソブチル及びtert-ブチルである。C1~C6-アルキルの例は、C1~C4-アルキルに関して言及したものの他に、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル及び1-エチル-2-メチルプロピルである。C1~C10-アルキルの例は、C1~C6-アルキルに関して言及したものの他に、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、1-メチルオクチル、2-メチルヘプチル、1-エチルヘキシル、2-エチルヘキシル、1,2-ジメチルヘキシル、1-プロピルペンチル、2-プロピルペンチル、ノニル、デシル、2-プロピルヘプチル及び3-プロピルヘプチルが挙げられるが、これに限定されない。
【0059】
「アルキレン」(又はアルカンジイル)という用語は、本明細書において使用した場合、各場合において、上記に定義されるアルキル基であって、炭素骨格の任意の位置の1個の水素原子が1つの更なる結合部位により置きかえられ、したがって、二価部分を形成しているものを表す。C1~C10-アルキレン又はC1~C10-アルカンジイルは、1~10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝二価アルキル基である。代表的な例としては、-CH2-、-CH2CH2-、-CH(CH3)-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH2CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、及び-CH2C(CH3)2-が挙げられるが、これに限定されない。
【0060】
「フルオロアルキル」という用語は、2~20個(「C2~C20-フルオロアルキル」)の炭素原子を有する飽和直鎖又は分枝炭化水素基であって、少なくとも1個、例えば1、2、3、4個又は全ての水素原子がフッ素原子により置きかえられているものを指す。好適なフルオロアルキル部分は、C1~C4-フルオロアルキルから、より好ましくはC1~C2-フルオロアルキルから選択される。C1~C2-フルオロアルキルの代表的な例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル及びペンタフルオロエチルが挙げられるが、これに限定されない。
【0061】
「アルコキシ」という用語は、本明細書において使用した場合、各場合において、酸素原子を介して分子の残部に結合した直鎖又は分枝アルキル基を指し、即ち、「アルコキシ」基は、-O-アルキルとして表されてもよく、ここで、アルキルは、上記に定義した通りである。C1~C10-アルコキシの代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、ブトキシ、1-メチルプロポキシ(sec-ブトキシ)、2-メチルプロポキシ(イソブトキシ)、1,1-ジメチルエトキシ(tert-ブトキシ)、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ及びデシルオキシ、並びに後に言及した6つの基の位置異性体が挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
「フルオロアルコキシ」という用語は、本明細書において使用した場合、各場合において、1~10個の炭素原子(「C1~C10-フルオロアルコキシ」)、多くの場合1~8個の炭素原子(「C1~C8-フルオロアルコキシ」)、好ましくは1~6個の炭素原子(「C1~C6-フルオロアルコキシ」)、より好ましくは1~4個の炭素原子(「C1~C4-フルオロアルコキシ」)を有する、上記に定義される直鎖又は分枝アルコキシ基を指し、ここで、この基の水素原子は、部分的に又は完全にフッ素原子で置きかえられている。
【0063】
「アルケニル」という用語は、本明細書において使用した場合、2~20個の炭素を含有し、少なくとも1個、例えば1、2、3又は4個の炭素-炭素二重結合を含有する直鎖又は分枝炭化水素鎖を指す。2~10個の炭素原子と1個の炭素-炭素二重結合を有するアルケニルの代表的な例としては、エテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル、及び3-デセニルが挙げられるが、これに限定されない。4~10個の炭素原子と2個の炭素-炭素二重結合を有するアルケニルの代表的な例は、ブタ-1,3-ジエニル、1-メチル-ブタ-1,3-ジエニル、ペンタ-1,3-ジエニル、4-メチル-ペンタ-1,3-ジエニル等である。6~10個の炭素原子と3個の炭素-炭素二重結合を有するアルケニルの代表的な例は、ヘキサ-1,3,5-トリエニル、1-メチル-ヘキサ-1,3,5-トリエニル、ヘプタ-1,3,5-トリエニル、6-メチル-ヘプタ-1,3,5-トリエニル等である。
【0064】
「フルオロアルケニル」という用語は、上記に定義される、2~20個の炭素原子と少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する、不飽和直鎖又は分枝炭化水素基であって、少なくとも1個、例えば1、2、3、4個又は全ての水素原子が、フッ素原子により置きかえられているものを指す。
【0065】
「アルキニル」という用語は、本明細書において使用した場合、2~20個の炭素原子を含有し、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味する。2~6個の炭素原子を有するアルキニルの代表的な例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニルが挙げられるが、これに限定されない。
【0066】
「フルオロアルキニル」という用語は、上記に定義される、2~20個の炭素原子と少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する、不飽和直鎖又は分枝炭化水素基であって、少なくとも1個、例えば1、2、3、4個又は全ての水素原子が、フッ素原子により置きかえられているものを指す。
【0067】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書において使用した場合、各場合において、通常3~20個(「C3~C20-シクロアルキル」)の原子、好ましくは3~8個(「C3~C8-シクロアルキル」)又は3~6個の炭素原子(「C3~C6-シクロアルキル」)を有する単環又は二環又は三環又は四環式飽和炭化水素基を表す。3~6個の炭素原子を有する単環式基の代表的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられるが、これに限定されない。3~8個の炭素原子を有する単環式基の代表的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられる。7~12個の炭素原子を有する二環式基の代表的な例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.1]デシル、ビシクロ[3.3.2]デシル、ビシクロ[4.4.0]デシル、ビシクロ[4.2.2]デシル、ビシクロ[4.3.2]ウンデシル、ビシクロ[3.3.3]ウンデシル、ビシクロ[4.3.3]ドデシル及びペルヒドロナフチルが挙げられるが、これに限定されない。10~20個の炭素原子を有する三環式及び四環式環の代表的な例としては、ペルヒドロアントラシル、ペルヒドロフルオレニル、ペルヒドロクリセニル、及びアダマンチルが挙げられるが、これに限定されない。
【0068】
本明細書において使用される「シクロアルキル-アルキル」という用語は、アルキレン基を介して分子の残部に結合している上記に定義されるシクロアルキル基を表す(又は、逆に表現されている場合、1個の水素原子が上記に定義されるシクロアルキル基により置きかえられている、上記に定義されるアルキル基を表す)。「C3~C20-シクロアルキル-C1~C10-アルキレン」という用語は、上記に定義されるC1~C10-アルキル基を介して分子の残部に結合した、上記に定義されるC3~C20-シクロアルキル基を指す。代表的な例としては、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロブチルプロピル、シクロブチルブチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロペンチルブチル、シクロペンチルペンチル、シクロペンチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、シクロヘプチルメチル、シクロヘプチルエチル、シクロヘプチルプロピル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロブチルプロピル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、シクロヘキシルブチル、シクロヘキシルペンチル、シクロヘキシルヘキシル等が挙げられるが、これに限定されない。
【0069】
「シクロアルケニル」という用語は、本明細書において使用した場合、各場合において、通常4~20個(「C4~C20-シクロアルケニル」)、好ましくは4~8個(「C4~C8-シクロアルケニル」)の炭素原子を有する単環又は二環又は三環又は四環式部分不飽和非芳香族炭化水素基を表す。4~8個の炭素原子を有する単環式基の代表的な例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロペンタ-1,3-ジエン-1-イル、シクロペンタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロペンタ-1,3-ジエン-5-イル、シクロヘキサ-1-エン-1-イル、シクロヘキサ-1-エン-3-イル、シクロヘキサ-1-エン-4-イル、シクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル、シクロヘキサ-1,3-ジエン-2-イル、シクロヘキサ-1,3-ジエン-5-イル、シクロヘキサ-1,4-ジエン-1-イル、シクロヘキサ-1,4-ジエン-3-イルが挙げられるが、これに限定されない。
【0070】
「アリール」という用語は、本明細書において使用した場合、6~14個の炭素原子を有する単環式の芳香族炭化水素基(即ち、フェニル)又は縮合二環、三環若しくは多環式の芳香族炭化水素基を指す。二環又は三環式の芳香族炭素環の代表的な例としては、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニル、9H-フルオレニル等が挙げられるが、これに限定されない。「C6~C10-アリール」という用語は、フェニル及びナフチルを表す。
【0071】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子を介して分子の残部に結合した、上記に定義されるアリールである。「C6~C10-アリールオキシ」という用語は、フェノキシ又はナフチルオキシである。
【0072】
「アリールアルキル」という用語は、上記に定義されるアルキル基を介して分子の残部に結合した、上記に定義されるアリールを指す。アリール基は更に、非置換又は置換であってもよい。アリールアルキルの代表的な例としては、フェニル-C1~C4-アルキル、例えばベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル(フェネチル)、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニル-1-プロピル、2-フェニル-2-プロピル、及びナフチル-C1~C4-アルキル、例えば1-ナフチルメチル、1-ナフチルエチル、2-ナフチルメチル、2-ナフチルエチルが挙げられるが、これに限定されない。
【0073】
本明細書において使用される「アリール-アルケニル」という用語は、1個の水素原子が上記に定義されるアリール基により置きかえられている、上記のようなアルケニル基を表す。アリール基は更に、非置換又は置換であってもよい。アリールアルケニルの好適な例としては、フェニル-C2~C6-アルケニル、例えばフェニルビニル(スチリル)又は2-フェニル-プロパ-1-エニルが挙げられるが、これに限定されない。
【0074】
複素環式環又はヘテロシクリル又は複素芳香族環又はヘテロアリール又はヘタリールは、環員として1又は複数個のヘテロ原子、即ち、炭素とは異なる原子を含有する。本発明に関して、これらのヘテロ原子は、N、O及びSであり、ここで、N及びSは、酸化されたヘテロ原子基、即ち、NO、SO又はSO2として存在することもできる。したがって、本発明に関して、複素環式環又はヘテロシクリル又は複素芳香族環又はヘテロアリール又はヘタリールと呼ばれる環は、1又は複数個のヘテロ原子及び/又はN、O、S、NO、SO及びSO2からなる群から、好ましくはN、O及びSからなる群から選択されるヘテロ原子基を環員として含有する。
【0075】
複素環式環又はヘテロシクリル又は複素芳香族環又はヘテロアリール又はヘタリールは、炭素環員を介して又は窒素環員を介して分子の残部に結合していてもよい。当然のことながら、環は、少なくとも1個の炭素環原子を含有する。環が1個を超えるO環原子を含有する場合、それらは隣接していない。
【0076】
「ヘテロシクリル」という用語(ヘテロシクロアルキルとも呼ばれる)は、一般に3~20個の環員を有する、非芳香族部分的不飽和又は完全飽和の単環、二環又は三環式複素環式環を指す。単環式ヘテロシクロアルキル基の代表的な例としては、ピロリジニル、ピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロピラニル、2-オキサゾリニル、3-オキサゾリニル、4-オキサゾリニル及びジオキサニルが挙げられるが、これに限定されない。二環式複素環は通常、炭素環員の他に、1~3個の窒素原子及び/又は1個の酸素若しくは硫黄原子又は1若しくは2個の酸素又は硫黄原子を含む8、9又は10員環である。二環式複素環の代表的な例としては、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロマニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニルが挙げられるが、これに限定されない。
【0077】
「ヘタリール」(ヘテロアリールとも呼ばれる)という用語は、本明細書において使用した場合、複素芳香族単環又は多環式基を含む。ヘテロ原子は、好ましくは酸素、窒素及び硫黄から選択される。ヘタリール基は、好ましくは5~18個、例えば5、6、8、9、10、11、12、13又は14個の環原子を有する。単環式ヘテロアリールは、5又は6員環である。5員環は、2個の二重結合を含有する。5員環は、O若しくはSから選択される1個のヘテロ原子;又は1、2、3、若しくは4個の窒素原子と、任意選択で1個の酸素若しくは硫黄原子を含有してもよい。6員環は、3個の二重結合と、1、2、3又は4個の窒素原子を含有する。単環式ヘテロアリールの代表的な例としては、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、1,3-オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、1,3-チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、及びトリアジニルが挙げられるが、これに限定されない。二環式ヘテロアリールは、フェニルに縮合した単環式ヘテロアリールからなる。二環式ヘテロアリール基の代表的な例としては、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリルが挙げられる。多環式ヘタリール基は、3又は4個の縮合環を有する。
【0078】
「電子吸引基」(「EWG」)という用語は、分子内の同じ位置を占めていた場合、水素原子よりも電子をそれ自体に引き寄せる官能基を指す。
【0079】
「シアノ」という用語は、CNを意味する。
【0080】
本発明の化合物の下部構造を示す式に#又は*が現れる場合、それは、残りの分子における結合点を表す。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】積分球で測定されたFortimo青色LEDの照射により得られた、それぞれ厚さ130μm及び150μmの本発明による2つの色変換体の発光強度対波長を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明の特別な実施形態は、
(a)ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料と;
(b)式(I.a)、(I.b)、(I.c)
【0083】
【化3】
【0084】
(式中、EWG1及びEWG2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7a、R7b、R7c、R8、R9、R12、R13、R14、R15及びR16は、上記に定義した通りであり;
各R10は、シアノ、フッ素、C1~C10-アルキル、C1~C10-フルオロアルキル、C1~C10-アルコキシ、C1~C10-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル、フェニル、フェノキシ又はヘタリールから独立して選択され;
各R11は、EWG1、フッ素、C1~C10-アルキル、C1~C10-フルオロアルキル、C1~C10-アルコキシ、C1~C10-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル、N(C1~C20-アルキル)2、N(C6~C14-アリール)2、ヘタリール、ビフェニル、テルフェニル、スピロフルオレニル、C6~C14-アリール、C6~C14-アリール-C1~C10-アルキレン、C6~C14-アリール-C1~C10-アルキレン-O-から独立して選択され、ここで、後に言及した6つの基は、アリール部分において非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R12により置換されている)
の化合物又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種の有機蛍光染料とを含む、色変換体に関する。
【0085】
更なる特別な実施形態は、
(a)ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料と;
(b)式(I.a)、(I.b)、(I.c)
【0086】
【化4】
【0087】
(式中、
EWG1及びEWG2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7a、R7b、R7c、R8、R9、R12、R13、R14、R15及びR16は、上記に定義した通りであり;
各R10は、シアノ、フッ素、C1~C10-アルキル、C1~C10-フルオロアルキル、C1~C10-アルコキシ、C1~C10-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル、フェニル、フェノキシ又はヘタリールから独立して選択され;
各R11は、EWG1、フッ素、塩素、臭素、C1~C10-アルキル、C1~C10-アルコキシ、C1~C10-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル、N(C1~C20-アルキル)2、N(C6~C14-アリール)2、ヘタリール、ビフェニリル、テルフェニリル、スピロフルオレニル、C6~C14-アリール、C6~C14-アリール-C1~C10-アルキレン、C6~C14-アリール-C1~C10-アルキレン-O-から独立して選択され、ここで、後に言及した6つの基は、アリール部分において非置換であるか、又は1つ若しくは複数の置換基R12により置換されている)
の化合物又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種の有機蛍光染料とを含む、色変換体に関する。
【0088】
本発明によると、色変換体は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料を含む。「ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料」という用語は、ポリエチレンテレフタラートのホモポリマー又はそのコポリマーを含む。ポリエチレンテレフタラート又はそのコポリマーは、再利用又は未使用のポリエチレンテレフタラート又はそのコポリマーとすることができる。ポリエチレンテレフタラートのホモポリマーは通常、エチレングリコールとジメチルテレフタラート又はテレフタル酸との高温でのメタノール(又は水)の除去を伴う重縮合により得られる。コポリマーは、エチレングリコールを別のジオール、トリオール又はより高官能性系のポリオールにより部分的に置換することにより、及び/又はテレフタル酸を別のジカルボン酸により部分的に置換することにより、得ることができる。エチレングリコールとは異なるジオールの代表的な例は、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチレンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びポリエーテルジオール、例えばジエチレングリコール、並びにそれらの組合せである。より高官能性系のポリオールの代表的な例は、ペンタエリトリトールである。テレフタル酸とは異なる好適なジカルボン酸の代表的な例は、イソフタル酸、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、グルタル酸及びそれらの組合せである。同じ効果が、テレフタル酸から形成されたジメチルエステルをテレフタル酸とは異なるジカルボン酸から形成された別のジエステルにより置換することにより達成される。例えば、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタラート)として公知のポリエチレンテレフタラートのコポリマーは、テレフタル酸から誘導される構造単位と、主にエチレングリコールとより少量の1,4-シクロヘキサンジメタノールの混合物とを含む。コポリマーは、ポリエチレンテレフタラートの結晶化を抑制する。
【0089】
「ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料」という用語はまた、ポリマー骨格又はポリマー鎖に組み込まれた鎖延長剤単位を有する高分子量ポリエチレンテレフタラートを含む。とりわけ、鎖延長剤は、2つの別々のエステル分子の端末カルボキシ基を接続するために使用される。鎖延長剤の代表的な例としては、テトラカルボン酸二無水物、例えばピロメリト酸二無水物、ポリアシルラクタム、ジ及びポリアミン、並びにエポキシ官能性が高い化合物、例えばドイツBASF SE社が市販するJonacryl(登録商標)ブランドの鎖延長剤が挙げられる。
【0090】
好ましくは、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料の総ポリマー含有量に対して少なくとも90質量%のホモポリマーポリエチレンテレフタラートを含む。換言すれば、総ポリマー含有量に対してポリエチレンテレフタラートの最大10質量%がポリエチレンテレフタラートのコポリマーである。より好ましくは、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料の総ポリマー含有量に対して少なくとも95質量%のホモポリマーポリエチレンテレフタラートを含む。とりわけ、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料は、完全にポリエチレンテレフタラートのホモポリマーからなる。更なる実施形態によると、ポリエチレンテレフタラートポリマーマトリックス材料は、ポリマー骨格に鎖延長剤を何ら含まない。
【0091】
本発明の一実施形態において、ポリエチレンテレフタラートは、半結晶構造を有し、不透明に見える。本発明の別の実施形態において、ポリエチレンテレフタラートは、非晶質構造を有し、透明に見える。
【0092】
式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物の可変基(置換基)の好ましい実施形態に関して以下に述べることは、それ自体で、及び好ましくは、互いに組み合わせて有効である。
【0093】
式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物中のEWG1及びEWG2基は、BODIPYコア炭素骨格の電子密度を低下させ、したがってBODIPY化合物の安定性を増加させる電子吸引基である。とりわけ、それらは、本発明に従い使用されるBODIPY化合物の色純度を損なわない。好ましくは、EWG1及びEWG2は、それぞれの出現においてシアノ(CN)、C1~C10-フルオロアルキル、CH(O)、C(O)R13、COOR14、CH(COOR14)2、SO2R14、C(O)NR15R16又はSO2NR15R16から独立して選択され、ここで、R13、R14、R15及びR16は、本明細書において定義される通りである。EWG1及びEWG2の文脈において、R13は、好ましくはC1~C6-アルキル、C1~C6-フルオロアルキル、C3~C8-シクロアルキル、C3~C8-シクロアルキル-C1~C4-アルキレン、フェニル又はフェニル-C1~C4-アルキレンである。EWG1及びEWG2の文脈において、COOR14及びCH(COOR14)2中、R14は、好ましくはC1~C6-アルキル、フェニル-C1~C4-アルキレン、C3~C8-シクロアルキル、又はC3~C8-シクロアルキル-C1~C4-アルキレンであり;SO2R14中、R14は、好ましくはC1~C6-アルキル、又は非置換であるか、C1~C6-アルキルにより置換されているフェニルである。EWG1及びEWG2の文脈において、R15及びR16は、それぞれの出現において、C1~C6-アルキルから独立して選択される。
【0094】
本発明によるより好適な化合物は、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物であり、式中、EWG1及びEWG2は、それぞれの出現において、CN、CF3、CH(O)、C(O)(C1~C4-アルキル)、COO(C1~C4-アルキル)又はCH(COO(C1~C4-アルキル))2から独立して選択される。とりわけ、EWG1及びEWG2は、それぞれの出現において、CN、CF3、CHO、C(O)CH3、C(O)C2H5、C(O)C3H7、CH(COOCH3)2、CH(COOC2H5)2、CH(COOC3H7)2、COOCH3、COOC2H5又はCOOC3H7から独立して選択される。
【0095】
更に、EWG1及びEWG2が同一である式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物の調製
は概して、EWG1がEWG2とは異なる式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物の合成よりも単純である。したがって、更に好適なのは、EWG1及びEWG2が、同じ意味を有する式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物である。特に、EWG1及びEWG2は、それぞれシアノである。
【0096】
本発明による好適な化合物は、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物であり、式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、存在する場合、互いに独立して水素、C1~C10-アルキル、C2~C10-アルケニル、C3~C20-シクロアルキル、C(O)O(C1~C6-アルキル)、CH(COO(C1~C6-アルキル))2、フェニル又はナフチルから選択され、ここで、C1~C10-アルキル及びC2~C10-アルケニルは、非置換であるか、又は1若しくは2個の置換基R8により置換されており、フェニル及びナフチルは、非置換であるか、又は1、2、3、4若しくは5個の置換基R10で置換されており、R8及びR10は、本明細書において定義される通りである。特に、R1及びR6が、水素とは異なることが好ましい。同様に、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、存在する場合、全て水素とは異なることが好ましい。
【0097】
より好ましくは、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6は、存在する場合、互いに独立してC1~C10-アルキル、C2~C10-アルケニル、C3~C20-シクロアルキル、CH(COO(C1~C4-アルキル))2又はフェニルから選択され、ここで、C1~C10-アルキル及びC2~C10-アルケニルは、非置換であるか、又は1若しくは2個の置換基R8により置換されており、フェニルは、非置換であるか、又は1、2、3、4若しくは5個の置換基R10で置換されている。各R8は、好ましくはフェニル及びナフチルから選択され、フェニル及びナフチルは、非置換であるか、又は1、2、3、4若しくは5個の置換基R10で置換されている。一実施形態において、R10は、シアノ、フッ素、C1~C10-アルキル、C1~C10-フルオロアルキル、C1~C10-アルコキシ、C1~C10-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル、フェニル、フェノキシ又はヘタリールから独立して選択される。好ましくは、R10は、CN、F、C1~C6-アルキル、C1~C6-フルオロアルキル、C1~C6-アルコキシ、C1~C6-フルオロアルコキシ、フェニル又はフェノキシから選択される。加えて、R10は、1、2、3、4又は5個の置換基R12により置換されているフェノキシから選択される。より好ましくは、各R8は、非置換であるか、又は1若しくは2個の置換基R10により置換されているフェニルから選択される。各R10は、より好ましくは、CN、C1~C6-アルキル、C1~C6-フルオロアルキル、C1~C6-アルコキシ、C1~C6-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル、フェニル、フェノキシ、炭素原子の他に酸素、硫黄又は窒素原子から選択される1又は2個のヘテロ原子を環員として有する5又は6員単環式ヘタリール、及び1、2又は3個の置換基R12により置換されているフェノキシから選択される。各R10は、特に、CN、CF3、OCF3、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、フェニル又はフェノキシから選択され、ここで、フェノキシは、1、2又は3個の置換基R12により置換されていてもよい。この文脈において、R12は、好ましくはC1~C4-アルキル、例えばイソプロピル又はtert-ブチルである。
【0098】
更により好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、存在する場合、互いに独立してC1~C10-アルキル、とりわけC1~C4-アルキル、C2~C6-アルケニル、CH(COO(C1~C4-アルキル))2、フェニル、フェニル-C1~C4-アルキル及びフェニル-C2~C6-アルケニル、とりわけフェニル-CH=CH-から選択され、ここで、フェニル及びフェニル-C1~C4-アルキル及びフェニル-C2~C6-アルケニルのフェニル部分、とりわけフェニル-CH=CH-は、非置換であるか、又は1、2、3、4若しくは5個のR10基により置換されており、R10は、上記に定義された通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。なお更により好ましくは、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、存在する場合、互いに独立してC1~C10-アルキル、フェニル又はフェニル-C2~C6-アルケニルから選択され、後に言及した2つの基中のフェニル及びフェニル-C2~C6-アルケニル中のフェニル部分は、1、2又は3個の置換基R10により置換されていてもよく、R10は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。
【0099】
好ましい実施形態によると、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6の全ては、存在する場合、互いに独立してC1~C10-アルキルから、とりわけC1~C4-アルキルから選択され、殊にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、及びtert-ブチルからなる群から選択される。特に、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6は、存在する場合、互いに独立してメチル又はエチルから選択される。式(I.a)、(I.b)及び(I.c)のこれらの化合物は、緑色発光蛍光染料である。
【0100】
別の好ましい実施形態によると、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6の全ては、存在する場合、互いに独立してフェニルから選択され、それは、非置換であるか、又は1、2、3、4若しくは5個の置換基R10を持ち、ここで、R10は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。とりわけ、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)中のR1、R2、R3、R4、R5及びR6は、存在する場合、互いに独立してフェニル、4-メチルフェニル、4-エチルフェニル、4-n-プロピルフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-n-ブチルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、4-メトキシフェニル、4-エトキシフェニル、4-プロピルフェニル、4-ブチルフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、4-フルオロフェニル、4-シアノフェニル、4-トリメチルシリフェニル、4-フェニルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、3,4-ジメチルフェニル、2,4-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、4-(3-ピリジル)フェニル、4-(2-チエニル)フェニル、4-(2-フリル)フェニル、4-オキサゾール-5-イルフェニルから選択される。式(I.a)、(I.b)及び(I.c)のこれらの化合物は、赤色発光蛍光染料である。
【0101】
別の好ましい実施形態によると、式(I.b)において、R1及びR6は、C1~C10-アルキル、好ましくはC1~C4-アルキルから選択される。R3及びR4は、フェニル-C2~C6-アルケニル、好ましくはフェニル-CH=CH-から選択され、ここで、最後に言及した基中のフェニル部分は、非置換であるか、又は1、2、3、4若しくは5個の置換基R12により置換されている。これらの化合物は、赤色発光染料である。好ましくは、R3及びR4は、互いに独立して4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)フェニル、4-(4-tert-ブチルフェノキシ)フェニル、4-(2,4-ジ(tert-ブチル)フェノキシ)フェニル又は4-(2,6-ジ(tert-ブチル)フェノキシ)フェニルから選択される。好ましくは、R3及びR4は、同じ意味を有し、R1及びR6は、同じ意味を有する。
【0102】
好ましくは、式(I.a)中のR7a、式(I.b)中のR7b及び式(I.c)中のR7cは、水素、CF3、シアノ、C1~C4-アルキル、ピリジル、ジベンゾフラニル、C6~C14-アリールであり、ここで、C6~C14-アリールは、非置換であるか、又は1、2、3、4若しくは5個の置換基R11で置換されており、R11は、上記に定義した通りである。より好ましくは、式(I.a)中のR7a、式(I.b)中のR7b及び式(I.c)中のR7cは、水素、シアノ、CF3、C1~C4-アルキル、ピリジル、ジベンゾフラニル又はフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R11で置換されている。同様により好ましくは、式(I.a)中のR7a、式(I.b)中のR7b及び式(I.c)中のR7cは、フェニルであり、それは、4又は5個の置換基R11で置換されている。各R11は、好ましくはEWG1、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-フルオロアルコキシ、トリ-(C1~C10-アルキル)シリル、N(C1~C10-アルキル)2、N(C6~C10-アリール)2、ヘタリール、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、スピロフルオレニル、ナフチル、C6~C10-アリール-C1~C10-アルキレン、C6~C10-アリール-C1~C10-アルキレン-O-から選択され、ここで、後に言及した7つの基は、アリール部分において非置換であるか、又はアリール部分において1つ若しくは複数の置換基R12により置換されており、R12は、上記に定義した通りである。R11の文脈において、EWG1は、好ましくはC1~C4-フルオロアルキル、COR13、C(O)NR15R16又はSO2NR15R16である。加えて、各R11はまた、フッ素、塩素、シアノ、C5~C10-アルキル又はC5~C10-アルコキシから選択されてもよい。この文脈において、各R12は、好ましくはCN、CF3、C(O)(C1~C4-アルキル)、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-フルオロアルコキシ又はトリ-(C1~C4-アルキル)シリルから選択される。より好ましくは、各R11は、互いに独立してフッ素、塩素、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-フルオロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-フルオロアルコキシ、ベンジルオキシ、COO(C1~C4-アルキル)、ピリジン、フェニル-C1~C10-アルキレン、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、9,9-ジメチルフルオレニルから選択され、ここで、後に言及した5つの基の芳香族部分は、非置換であるか、又はCN、C1~C4-アルキル、C(O)C1~C4-アルキル又はCOO(C1~C4-アルキル)から選択される1、2若しくは3個のR12基により置換されている。
【0103】
とりわけ、式(I.a)中のR7a、式(I.b)中のR7b及び式(I.c)中のR7cは、水素、C1~C4-アルキル、とりわけC1~C2-アルキル、又は非置換であるか、又はフッ素、塩素、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-フルオロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-フルオロアルコキシ、ベンジルオキシ、C(O)C1~C4-アルキル、COO(C1~C4-アルキル)、ピリジン、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、又は9,9-ジメチルフルオレニルから選択される1、2、3、4若しくは5個の置換基R11で置換されているフェニルであり、ここで、後に言及した4つの基の芳香族部分は、非置換であるか、又はCN、C1~C4-アルキル、C(O)C1~C4-アルキル又はCOO(C1~C4-アルキル)から選択される1、2若しくは3個のR12基により置換されている。とりわけ、R11は、フッ素、塩素又はC1~C4-アルキルから選択される。R7bはまた、水素であってもよい。
【0104】
それとは別に、可変基R9は、その出現に関わらず、特にシアノ、フッ素、C1~C4-アルキル、C1~C4-フルオロアルキル、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-フルオロアルコキシである。
【0105】
特定の実施形態において、式(I.a)の化合物は、緑色発光化合物であり、
式中、
R1、R2、R5及びR6、は、C1~C4-アルキル又はフェニル-C1~C4-アルキルから独立して選択され、ここで、フェニル-C1~C4-アルキル中のフェニル部分は、非置換であるか、又は1、2若しくは3個のR10基により置換されており、R10は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有し;好ましくは、R1、R2、R5及びR6は、C1~C4-アルキルから独立して選択され、
EGW1及びEWG2は、同一であり、シアノ、CF3、CH(O)、C(O)(C1~C4-アルキル)、C(O)O-C1~C4-アルキル又はCH(COOC1~C4-アルキル)2から選択され;好ましくはシアノであり;
R7aは、水素、シアノ、CF3、C1~C4-アルキル、又はフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R11で置換されており、R11は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。同様に好ましくは、R7aは、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0106】
更なる特定の実施形態において、式(I.a)の化合物は、赤色発光化合物であり、
式中、
R1、R2、R5及びR6は、フェニルから独立して選択され、それは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R10で置換されており、ここで、R10は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有し;
EGW1及びEWG2は、同一であり、シアノ、CF3、CH(O)、C(O)(C1~C4-アルキル)、C(O)O-C1~C4-アルキル及びCH(COOC1~C4-アルキル)2から選択され;好ましくはシアノであり;
R7aは、水素、シアノ、CF3、C1~C4-アルキル、又はフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R11で置換されており、R11は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。同様に好ましくは、R7aは、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0107】
更なる特定の実施形態において、式(I.b)の化合物は、緑色発光化合物であり、
式中、
R1、R3、R4及びR6は、C1~C4-アルキル又はフェニル-C1~C4-アルキルから独立して選択され、ここで、フェニル-C1~C4-アルキル中のフェニル部分は、非置換であるか、
又は1、2若しくは3個のR10基により置換されており、R10は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有し;好ましくは、R1、R3、R4及びR6は、C1~C4-アルキルから独立して選択され;
EGW1及びEWG2は、同一であり、シアノ、CF3、CH(O)、C(O)(C1~C4-アルキル)、C(O)O-C1~C4-アルキル及びCH(COOC1~C4-アルキル)2から選択され;好ましくはシアノであり;
R7bは、水素、シアノ、CF3、C1~C4-アルキル、又はフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R11で置換されており、R11は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。とりわけ、各R11は、EWG1、フッ素、塩素、C1~C10-アルキル、C1~C10-アルコキシ、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル又はフェニル-C1~C10-アルキレンから独立して選択される。殊に、各R11は、フッ素、塩素、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-フルオロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-フルオロアルコキシ、フェニル-C1~C4-アルキレン、フェニル、ビフェニリル又はテルフェニリルから独立して選択される。同様に好ましくは、R7bは、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0108】
更なる特定の実施形態において、式(I.b)の化合物は、赤色発光化合物であり、
式中、
R1、R3、R4及びR6は、フェニルから独立して選択され、それは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R10で置換されており、ここで、R10は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有し;
EGW1及びEWG2は、同一であり、シアノ、CF3、CH(O)、C(O)(C1~C4-アルキル)、C(O)O-C1~C4-アルキル及びCH(COOC1~C4-アルキル)2から選択され、好ましくはシアノであり;
R7bは、水素、シアノ、CF3、C1~C4-アルキル、又はフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R11で置換されており、R11は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。とりわけ、各R11は、EWG1、フッ素、塩素、C1~C10-アルキル、C1~C10-アルコキシ、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル又はフェニル-C1~C10-アルキレンから独立して選択される。殊に、各R11は、フッ素、塩素、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-フルオロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-フルオロアルコキシ、フェニル-C1~C4-アルキレン、フェニル、ビフェニリル又はテルフェニリルから独立して選択される。殊に、各R11は、フッ素、塩素、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-フルオロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-フルオロアルコキシ、フェニル-C1~C4-アルキレン、フェニル、ビフェニリル又はテルフェニリルから独立して選択される。同様に好ましくは、R7bは、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0109】
更なる特定の実施形態において、式(I.b)の化合物は、赤色発光化合物であり、
式中、
R1及びR6は、C1~C4-アルキルから独立して選択され;
R3及びR4は、フェニル-C2~C6-アルケニルから独立して選択され、ここで、フェニル-C2~C6-アルケニルのフェニル部分は、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R10により置換されており、R10は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有し;
EGW1及びEWG2は、同一であり、シアノ、CF3、CH(O)、C(O)(C1~C4-アルキル)、C(O)O-C1~C4-アルキル及びCH(COOC1~C4-アルキル)2から選択され、好ましくはシアノであり;
R7bは、水素、シアノ、CF3、C1~C4-アルキル、又はフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R11で置換されており、R11は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。とりわけ、各R11は、EWG1、フッ素、塩素、C1~C10-アルキル、C1~C10-アルコキシ、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル又はフェニル-C1~C10-アルキレンから独立して選択される。殊に、各R11は、フッ素、塩素、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-フルオロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-フルオロアルコキシ、フェニル-C1~C4-アルキレン、フェニル、ビフェニリル又はテルフェニリルから独立して選択される。殊に、各R11は、フッ素、塩素、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-フルオロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-フルオロアルコキシ、フェニル-C1~C4-アルキレン、フェニル、ビフェニリル又はテルフェニリルから独立して選択される。同様に好ましくは、R7bは、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0110】
更なる特定の実施形態において、式(I.c)の化合物は、緑色発光化合物であり、
式中、
R2、R3、R4及びR5、は、C1~C4-アルキル又はフェニル-C1~C4-アルキルから独立して選択され、ここで、フェニル-C1~C4-アルキル中のフェニル部分は、非置換であるか、又は1、2若しくは3個のR10基により置換されており、R10は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有し;好ましくは、R2、R3、R4及びR5、は、C1~C4-アルキルから独立して選択され;
EGW1及びEWG2は、同一であり、シアノ、CF3、CH(O)、C(O)(C1~C4-アルキル)、C(O)O-C1~C4-アルキル及びCH(COOC1~C4-アルキル)2から選択され、好ましくはシアノであり;
R7cは、水素、シアノ、CF3、C1~C4-アルキル、又はフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R11で置換されており、R11は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。同様に好ましくは、R7cは、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0111】
更なる特定の実施形態において、式(I.c)の化合物は、赤色発光化合物であり、
式中、
R2、R3、R4及びR5、は、フェニルから独立して選択され、それは、非置換であるか、部分的若しくは完全にフッ素化されている、及び/又は1、2又は3個の置換基R10を持ち、ここで、R10は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有し;
EGW1及びEWG2は、同一であり、シアノ、CF3、CH(O)、C(O)(C1~C4-アルキル)、C(O)O-C1~C4-アルキル及びCH(COOC1~C4-アルキル)2から選択され、好ましくはシアノであり;
R7cは、水素、シアノ、CF3、C1~C4-アルキル、又はフェニルであり、ここで、フェニルは、非置換であるか、又は1、2若しくは3個の置換基R11で置換されており、R11は、上記に定義した通りであり、とりわけ、好ましいものとして言及した意味のうちの1つを有する。同様に好ましくは、R7cは、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0112】
好ましい式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の緑色発光化合物の例は、以下の表1~21にまとめた個々の化合物である。更に、表中の個々の可変基に関して以下に言及する意味は、それ自体、それらが言及されている組合せからは独立して、当該の置換基の特に好ましい実施形態である。
【0113】
表1
EWG1がシアノであり、EWG2がシアノであり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Aの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0114】
表2
EWG1がCF3であり、EWG2がCF3であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Aの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0115】
表3
EWG1がCH(O)であり、EWG2がCH(O)であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Aの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0116】
表4
EWG1がC(O)CH3であり、EWG2がC(O)CH3であり化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Aの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0117】
表5
EWG1がC(O)C2H5であり、EWG2がC(O)C2H5であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Aの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0118】
表6
EWG1がCOOCH3であり、EWG2がCOOCH3であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Aの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0119】
表7
EWG1がCOOC2H5であり、EWG2がCOOC2H5であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Aの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0120】
表8
EWG1がシアノであり、EWG2がシアノであり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Bの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0121】
表9
EWG1がCF3であり、EWG2がCF3であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Bの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0122】
表10
EWG1がCH(O)であり、EWG2がCH(O)であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Bの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0123】
表11
EWG1がC(O)CH3であり、EWG2がC(O)CH3であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Bの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0124】
表12
EWG1がC(O)C2H5であり、EWG2がC(O)C2H5であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Bの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0125】
表13
EWG1がCOOCH3であり、EWG2がCOOCH3であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Bの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0126】
表14
EWG1がCOOC2H5であり、EWG2がCOOC2H5であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Bの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0127】
表15
EWG1がシアノであり、EWG2がシアノであり、化合物に関するR1、R2、R5及びR6の組合せが、各場合において、表Cの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0128】
表16
EWG1がCF3であり、EWG2がCF3であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Cの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0129】
表17
EWG1がCH(O)であり、EWG2がCH(O)であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Cの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0130】
表18
EWG1がC(O)CH3であり、EWG2がC(O)CH3であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Cの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0131】
表19
EWG1がC(O)C2H5であり、EWG2がC(O)C2H5であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Cの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0132】
表20
EWG1がCOOCH3であり、EWG2がCOOCH3であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Cの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0133】
表21
EWG1がCOOC2H5であり、EWG2がCOOC2H5であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Cの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2A】
【0136】
【表2B】
【0137】
【表3】
【0138】
好ましい式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の赤色発光化合物の例は、以下の表22~42にまとめた個々の化合物である。更に、表中の個々の可変基に関して以下に言及する意味は、それ自体、それらが言及されている組合せからは独立して、当該の置換基の特に好ましい実施形態である。
【0139】
表22
EWG1がシアノであり、EWG2がシアノであり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Dの1つの行に対応する、(I.a)の化合物。
【0140】
表23
EWG1がCF3であり、EWG2がCF3であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Dの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0141】
表24
EWG1がCH(O)であり、EWG2がCH(O)であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Dの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0142】
表25
EWG1がC(O)CH3であり、EWG2がC(O)CH3であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Dの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0143】
表26
EWG1がC(O)C2H5であり、EWG2がC(O)C2H5であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Dの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0144】
表27
EWG1がCOOCH3であり、EWG2がCOOCH3であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Dの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0145】
表28
EWG1がCOOC2H5であり、EWG2がCOOC2H5であり、化合物に関するR1、R2、R5、R6及びR7aの組合せが、各場合において、表Dの1つの行に対応する、式(I.a)の化合物。
【0146】
表29
EWG1がシアノであり、EWG2がシアノであり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Eの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0147】
表30
EWG1がCF3であり、EWG2がCF3であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Eの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0148】
表31
EWG1がCH(O)であり、EWG2がCH(O)であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Eの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0149】
表32
EWG1がC(O)CH3であり、EWG2がC(O)CH3であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Eの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0150】
表33
EWG1がC(O)C2H5であり、EWG2がC(O)C2H5であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Eの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0151】
表34
EWG1がCOOCH3であり、EWG2がCOOCH3であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Eの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0152】
表35
EWG1がCOOC2H5であり、EWG2がCOOC2H5であり、化合物に関するR1、R3、R4、R6及びR7bの組合せが、各場合において、表Eの1つの行に対応する、式(I.b)の化合物。
【0153】
表36
EWG1がシアノであり、EWG2がシアノであり、化合物に関するR1、R2、R5及びR6の組合せが、各場合において、表Fの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0154】
表37
EWG1がCF3であり、EWG2がCF3であり、化合物についてのR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Fの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0155】
表38
EWG1がCH(O)であり、EWG2がCH(O)であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Fの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0156】
表39
EWG1がC(O)CH3であり、EWG2がC(O)CH3であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Fの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0157】
表40
EWG1がC(O)C2H5であり、EWG2がC(O)C2H5であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Fの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0158】
表41
EWG1がCOOCH3であり、EWG2がCOOCH3であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Fの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0159】
表42
EWG1がCOOC2H5であり、EWG2がCOOC2H5であり、化合物に関するR2、R3、R4、R5及びR7cの組合せが、各場合において、表Fの1つの行に対応する、式(I.c)の化合物。
【0160】
【表4A】
【0161】
【表4B】
【0162】
【表4C】
【0163】
【表5A】
【0164】
【表5B】
【0165】
【表5C】
【0166】
【表6A】
【0167】
【表6B】
【0168】
【表6C】
【0169】
これらの化合物の中で、特に式(I.b)のもの、とりわけ表8、9、10、11、12、13及び14にまとめた式(I.b)の緑色発光化合物が好ましい。同様に、特に、表30、31、32、33、34及び35にまとめた式(I.b)の赤色発光化合物が好ましい。
【0170】
本発明の特定の実施形態によると、少なくとも1種の有機蛍光染料は、以下に示す化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23)、(24)、(25)、(26)、(27)、(28)、(29)、(30)、(31)、(32)、(33)、(34)、(35)、(36)、(37)、(38)、(39)から選択される式(I.b)の蛍光染料又はそれらの混合物である。
【0171】
【表7A】
【0172】
【表7B】
【0173】
これらの中で、R1、R3、R4及びR6が、それぞれメチルであり、R7bが、フェニル又はメシチルである式(I.b)の化合物がより好ましい。
【0174】
これらの中で、R1及びR6が、それぞれフェニルであり、R3及びR4が、それぞれ4-メトキシフェニルであり、R7bが、メシチルである式(I.b)の化合物がより好ましい。
【0175】
これらの中で、R1及びR6が、それぞれメチルであり、R3及びR4が、それぞれ2-(4-シアノフェニル)ビニルであり、R7bが、メシチルである式(I.b)の化合物がより好ましい。
【0176】
本発明の別の態様は、新規な式(I.b)の化合物であり、
式中、
R1及びR6は、それぞれフェニルであり;
R3及びR4は、それぞれ4-メトキシフェニル又は4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)フェニルであり;
EGW1及びEWG2は、それぞれシアノであり;
R7bは、非置換であるか、又はEWG1、フッ素、塩素、C1~C10-アルキル、C1~C10-アルコキシ、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル又はフェニル-C1~C10-アルキレンから選択される1、2、3、4若しくは5個のR11基で置換されている、フェニルである。
【0177】
これらの中で、
R1及びR6が、それぞれフェニルであり;
R3及びR4が、それぞれ4-メトキシフェニルであり;
EGW1及びEWG2が、それぞれシアノであり;
R7bが、メシチル、2-クロロフェニル、2-フルオロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである化合物(I.b)が好ましい。
【0178】
これらの中で、
R1及びR6が、それぞれフェニルであり;
R3及びR4が、それぞれ4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)フェニルであり;
EGW1及びEWG2が、それぞれシアノであり;
R7bが、メシチル、2-クロロフェニル、2-フルオロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである化合物(I.b)が同様に好ましい。
【0179】
本発明の別の態様は、新規な式(I.b)の化合物であり、
式中、
R1、R3、R4及びR6は、それぞれメチルであり;
EWG1及びEWG2は、それぞれシアノであり;
R7bは、メシチル、2-クロロフェニル、2-フルオロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0180】
本発明の別の態様は、新規な式(I.b)の化合物であり、
式中、
R1及びR6は、それぞれメチルであり;
R3及びR4は、それぞれ4-シアノフェニルビニルであり;
EWG1及びEWG2は、それぞれシアノであり;
R7bは、メシチル、2-クロロフェニル、2-フルオロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル又は2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニルである。
【0181】
式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物のうちのいくつかは、当技術分野、例えばUS2018/0134952、US2018/0208838及びUS2017/0247610から公知である。本発明による化合物及び先行技術に記載されていないが本発明に従い使用される化合物は、US2018/0134952、US2018/0208838及びUS2017/0247610の方法と同様にして、又は以下及び本願の実験部分に記載する方法と同様にして調製することができる。
【0182】
例えば、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物は、以下に記載するように調製でき、ここで、スキームにおいて、可変基は、別段断らない限り、上記に定義した通りである。それとは別に、当業者は、以下のスキームに図示した合成のための好適な反応条件を常法的実験により容易に見出す。更なる詳細は、本明細書に含まれる製造例からも得ることができる。反応は全て、典型的には不活性雰囲気下、とりわけアルゴン下、乾燥ガラス器具中で行われる。
【0183】
EWG1及びEWG2がそれぞれシアノである式(I.b)の化合物は、スキーム1に概説するように調製できる。
【0184】
【化5】
【0185】
スキーム1において、LGは、脱離基、例えば塩化物、臭化物又はR'-C(=O)-Oであり、R'は、C1~C6-アルキルである。スキーム1の工程(i)において、式(IV)の活性化させたカルボニル化合物を式(II)のピロールと、続いて式(III)のピロールと縮合させると、式(V)のジピロメテン化合物が得られる。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、式(IV)の活性化させたカルボニル化合物と式(II)のピロールとの反応は、モノアシル化ピロールを与え、それが次いで式(III)のピロールと反応すると考えられる。このモノアシル化ピロールは、式(II)のピロールが式(III)のピロールとは異なる場合、単離される。スキーム1の工程(ii)において、式(V)の化合物は、BF3源、例えばBF3エーテラートと容易に錯体を形成する。有利には、錯体形成は、塩基の存在下で行われる。好適な塩基は、特に第2級及び第3級アミン、とりわけ第3級アミン、例えばトリ(C1~C10-アルキル)アミン、特にトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンである。
【0186】
式(II)の化合物は、スキーム2に概説するように、式(VI)のαアミノケトンと式(VII)のαシアノケトンとの縮合反応により調製できる。
【0187】
【化6】
【0188】
式(III)の化合物は、式(II)の化合物と同様の方法で調製できる。
【0189】
式(VI)の化合物は、以下のスキーム3に概説するように、式(VIII)の2-オキソアルデヒドから出発して調製できる。式(VIII)の2-オキソアルデヒドとヒドロキシルアミンとの縮合反応により、式(IX)の2-オキソアルドキシムが得られる。続いて、式(IX)の化合物を式(VI)のアミンに還元する。
【0190】
【化7】
【0191】
式(VII)の化合物は、以下のスキーム4に概説するように、式(X)のエステルを塩基の存在下でアセトニトリルで処理することにより調製できる。
【0192】
【化8】
【0193】
スキーム4において、R'は、C1~C6-アルキル、好ましくはC1~C4-アルキルである。
【0194】
EWG1及びEWG2がそれぞれシアノである式(I.c)の化合物は、式(I.b)の化合物と同様の方法で調製できるが、以下にスキーム5に図示するように、式(XI)の3-シアノピロール化合物、式(XII)の3-シアノピロール化合物及び式(XIII)の化合物から出発する。
【0195】
【化9】
【0196】
スキーム5において、LGは、塩化物、臭化物又はR'-C(=O)-Oであり、R'は、C1~C6-アルキルである。スキーム5の工程(i)における縮合反応は、スキーム1の工程(i)と同様に行われる。スキーム5の工程(ii)における錯体形成は、スキーム1における工程(ii)と同様に行われる。
【0197】
式(XI)の化合物は、以下のスキーム6に概説するように調製できる。スキーム6の工程(i)において、式(XV)のオキシムが、塩基、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、例えばKOHの存在下で、1,2-ジクロロエタンで処理され、式(XVI)のピロール化合物を与える。式(XVII)のN-保護ピロールを得るためのスキーム6の工程(ii)における式(XVI)のピロールのN-保護は、それ自体公知の方法に従い、例えば、シリル化試薬、例えばtert-ブチルジメチルシリルクロリド、トリイソプロピルシリルクロリド又はtert-ブチルジフェニルシリルクロリドを使用して遂行することができる。スキーム6の工程(iii)における臭素化と、それに続く工程(iv)におけるシアン化物源での臭素の求核置換及びスキーム6の工程(v)における最終的な脱保護により、式(XI)のピロール化合物が得られる。スキーム6の工程(iii)における臭素化は、臭素又はN-ブロモスクシンイミドを用いて行うことができる。臭素化は、塩基の存在下で行ってもよい。スキーム6の工程(iv)におけるシアン化物源は、シアン化銅(I)であってもよい。保護基PGは、スキーム6の工程(v)において、それ自体公知の方法、例えば、T. Greene and P. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis (3rd ed.)、John Wiley & Sons、NY (1999)に記載の方法により除去することができる。例えば、シリル保護基は、溶媒の存在下で、臭化テトラブチルアンモニウム又はフッ化テトラブチルアンモニウムから選択される脱保護剤により除去することができる。
【0198】
【化10】
【0199】
スキーム6において、PGは、保護基、好ましくはシリル保護基を意味する。
【0200】
式(XII)の化合物は、スキーム6に図示する式(XI)の化合物を調製する方法と同様にして調製できる。
【0201】
或いは、式(I.b)の化合物は、以下のスキーム7に図示するように、式(XVIII)のジハロゲン化ホウ素ジピリンの後官能化により調製することもできる。
【0202】
【化11】
【0203】
スキーム7において、Halは、塩素又は臭素、好ましくは臭素である。式(XVIII)の化合物の、シアン化物アニオンによるシアノ化は、遷移金属触媒の存在下で行われる。好適なシアン化物源は、シアン化亜鉛である。好適な遷移金属触媒は特に、パラジウム触媒、例えばテトラキス(トリフェニル-ホスフィン)パラジウム(0);ビス[ビス-(1,2-ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(0);ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0);トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0);ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド;ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)クロリド;[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-パラジウム(II)クロリド/塩化メチレン(1:1)錯体;ビス(ビス-(1,2-ジフェニルホスフィノ)ブタン]-パラジウム(II)クロリド;酢酸パラジウム(II);塩化パラジウム(II);及び酢酸パラジウム(II)/トリ-o-トリルホスフィン錯体又はホスフィンとPd塩若しくはホスフィンとPd-錯体との混合物、例えばジベンジリデンアセトン-パラジウムとトリ-tert-ブチルホスフィン(若しくはそのテトラフルオロボラート);トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)及びトリ-tert-ブチルホスフィン;テトラメチルエチレンジアミンの存在下での酢酸パラジウムと1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン;又はポリマー結合Pd-トリフェニルホスフィン触媒系、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム担持ポリスチレンである。
【0204】
反応は通常、溶媒中で行われる。好適な溶媒は、例えば極性非プロトン性溶媒、例えばアセトニトリル、窒素含有複素環式化合物、N,N-二置換脂肪族カルボキサミド(好ましくはN,N-ジ(C1~C4-アルキル)(C1~C4)カルボキサミド)、並びにN-アルキルラクタム、例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルブチルアミド及びN-メチルピロリドン(NMP);無極性溶媒、例えばエーテル、例えばテトラヒドロフラン若しくは1,4-ジオキサン、又は芳香族溶媒、例えばベンゼン、トルエン若しくはキシレンである。
【0205】
各Halが臭素であるか、各Halが塩素である式(XVIII)の化合物は、以下のスキーム8に概説するように調製できる。式(XIX)の化合物の臭素化は、スキーム6の工程(iii)と同様に行ってもよい。各Halが塩素である式(XVIII)の化合物は、式(XIX)の化合物をN-クロロスクシンイミドで処理することにより調製できる。
【0206】
【化12】
【0207】
式(I.a)の化合物は、以下のスキーム9に図示するように、ルイス酸、例えば四塩化スズの存在下で、式(XX)のジハロゲン化ホウ素ジピリンをシアノ化試薬、例えばシアン化トリメチルシリルで後官能化することにより調製できる。シアノ化は、Biorg. Med. Chem. Lett. 18 (2008)、3112~3116頁に記載の方法と同様に行うことができる。
【0208】
【化13】
【0209】
式(XX)の化合物は、スキーム10に概説するように調製できる。スキーム10の工程(i)において、式(XXI)のヘミアセタール、式(XXII)及び(XXIII)のピロールを酸性条件下で反応させ、式(XXIV)のジピロメタン化合物を得る。スキーム10の工程(ii)において、式(XXIV)のジピロメタンをテトラヒドロフラン中において、塩素化剤、例えばN-クロロスクシンイミドで処理し、ジクロロピロメタンを得、続いて、スキーム10の工程(iii)において、酸化剤、例えば5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノンで処理し、式(XXV)のジクロロピロメテン化合物を得る。スキーム10の工程(iv)における錯体形成は、スキーム1における工程(ii)と同様に行われる。
【0210】
【化14】
【0211】
それぞれメソ位にアリール又はヘタリール基が結合した式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物はまた、例として式(I.b)の化合物についてスキーム11に概説するように、(ヘテロ)芳香族アルデヒドと当該のピロール化合物との酸触媒縮合により調製して、ジピロメタン化合物を得てもよい。次いで、ジピロメタン化合物は、例えば2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ)又はp-クロラニルを使用して酸化され、ジピロメテン化合物が生成される。錯体形成は、スキーム1の工程(ii)と同様に行われる。当業者は容易に理解することであるが、メソ位の置換基が任意選択で置換されたアリール又はヘタリールである式(I.c)の化合物を、同様の方法で調製してもよい。
【0212】
【化15】
【0213】
EWG1及びEWG2がシアノである、それぞれメソアリール又はヘタリール基を有する式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の不斉化合物は、当該のアシル化ピロールと当該の第2のピロールとの縮合によりジピロメテン化合物を得、それを次いで塩基と三フッ化ホウ素エーテラートにさらして表題化合物を得ることにより、調製できる。
【0214】
アルケニル置換BODIPY染料は、対応するクロロ置換BODIPYを、スズキ、ヘック又はサノガシラ反応の意味でのPd触媒C-Cカップリングに供することにより調製できる。
【0215】
スチリル置換BODIPY染料は、式(I.a)、(I.b)又は(I.c)のメチル置換BODIPYと任意選択で置換されたベンズアルデヒドとの、塩基、とりわけ有機窒素塩基、例えばピペリジンの存在下での1工程クネーフェナーゲル型縮合反応により調製できる。典型的には、反応は、酸の存在下で行われる。好適な酸は、酢酸又はp-トルエンスルホン酸である。マイクロ波照射下で反応を行うことが有利な場合がある。分子篩を添加して、結果として得られる反応水を除去することも有利な場合がある。EWG1及びEWG2がそれぞれホルミル(-CH(O))である式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物はそれぞれ、ビルスマイヤーホルミル化により調製してもよい。ホルミル基を介したBODIPY染料の官能化は、文献、例えばDyes and Pigments 136 (2017) 852~858頁;RSC Adv.、2013、3、4793~4800頁に記載の方法と同様に遂行することができる。この経路は、スキーム12において、式(I.b)の化合物について例示される。
【0216】
【化16】
【0217】
EWG1及びEWG2がそれぞれC(O)R13である式(I.b)の化合物は、出発ピロールの3位にC(O)R13基を持つピロールから出発して調製してもよい。前記ピロール化合物は、Journal of Organic Chemistry、2008、73、2146~2154頁に記載の方法と同様にして、クノール-ピロール合成により入手可能である。
【0218】
EWG1及びEWG2がそれぞれC(O)OR14である式(I.b)の化合物は、スキーム1に概説した方法と同様にして調製してもよいが、シアノ置換ピロール(II)及び(III)に代えて1H-ピロールe-3-カルボン酸エステル(XXV)を使用する。このエステルは、α-アミノ-ケトンとエステルとの間のクノール-ピロール合成の意味での縮合により入手可能である。
【0219】
【化17】
【0220】
化合物(XXV)のいくつか、例えばエチル2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシラートは、市販されている。
【0221】
本発明による色変換体は、好ましくは、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の少なくとも1種の化合物又はそれらの混合物を含み、それは、励起光の使用により、500~560nmの波長領域の緑色光を放出する。この励起光は通常、420~480nmの波長域に発光の中心波長を有する。
【0222】
同様に好ましくは、本発明による色変換体は、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の少なくとも1種の化合物又はそれらの混合物を含み、それは、励起光の使用により、595~700nm、好ましくは610~660nmの波長域の赤色光を放出する。この励起光は通常、420~600nmの波長域に発光の中心波長を有する。
【0223】
励起光は、ミニLED及びマイクロLEDを含む青色LEDにより、及び/又は色変換体に含まれる任意の発光材料により生成してもよい。発光材料は、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の少なくとも1種の化合物が光を吸収できる波長域の光を放出する。前記発光材料は、有機蛍光染料、例えば、電磁放射線の形態のエネルギーを吸収し、共鳴エネルギー伝達機構、例えば、フォルスター交換を介してエネルギーを式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物に伝達する感光剤とすることができる。或いは、有機蛍光染料は、放出する光子が式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物により再吸収される任意の化合物とすることができる。有機蛍光染料の代表的な例としては、クマリン誘導体、シアニン誘導体、フルオレセイン誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物を含むピロメテン誘導体、スチルベン誘導体、オキサジン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体及びアゾール誘導体が挙げられる。
より好ましくは、色変換体は、420~480nmの範囲の波長を有する励起光の使用により500~560nmの範囲の発光の中心波長を有する光を放出する、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の第1の化合物又はそれらの混合物と;420~600nm未満の範囲の波長を有する励起光の使用により、595~700nm、好ましくは610~660nmの範囲の発光の中心波長を有する光を放出する式(I.a)、(I.b)、(I.c)の第2の化合物又はそれらの混合物とを含む。式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の第1の化合物は、典型的には、FWHMが60nm以下の500~560nmの波長域の発光スペクトルを有する。式(I.a)、(I.b)又は(I.c)の第1の化合物は、好ましくは、FWHMが45nm以下の500~560nmの波長域の発光スペクトルを有する。より好ましくは、式(I.a)、(I.b)又は(I.c)の第1の化合物は、好ましくは、FWHMが45nm以下の520~540nmの波長域の発光スペクトルを有する。式(I.a)、(I.b)又は(I.c)の第2の化合物は、好ましくは、FWHMが90nm以下、好ましくは70nm以下、特に60nm以下の610~660nmの範囲の発光スペクトルを有する。より好ましくは、式(I.a)、(I.b)又は(I.c)の第2の化合物は、好ましくは、FWHMが60nm以下の610~640nmの波長域の発光スペクトルを有する。
【0224】
本願の別の実施形態によると、色変換体は、少なくとも1種の光散乱剤を更に含む。散乱剤を使用することにより、より高い輝度を得てもよい。好適な光散乱剤は、無機白色顔料、例えば二酸化チタン、硫酸バリウム、リトポン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウムであり、DIN 13320に対する平均粒径が0.01~10μm、好ましくは0.1~1μm、より好ましくは0.15~0.4μmである。これらの光散乱剤は、典型的には、散乱体を含むポリエチレンテレフタラートマトリックス材料の総ポリマー含有量に対して0.01~5.0質量%、好ましくは0.05~0.5質量%、より好ましくは0.1~0.4質量%の量で含まれる。
【0225】
好適な有機光散乱剤の例としては、ポリ(アクリラート)に基づくもの;ポリ(アルキルメタクリラート)、例えばポリ(メチルメタクリラート)(PMMA);ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE);シリコーン系散乱剤、例えば加水分解されたポリ(アルキルトリアルコキシシラン)、及びそれらの混合物が挙げられる。これらの光散乱剤のサイズ(平均直径-質量平均)は、通常0.5~50μm、好ましくは1~10μmの範囲である。これらの光散乱剤は、典型的には、各場合において、散乱体を含む層のポリマーに対して1~10質量%の量で含まれる。有用な光散乱剤は、例えば3~5質量%のPMMA系散乱剤と1.5~2質量%のシリコーン系散乱剤との混合物である。
【0226】
同様に好適なのは、EP-A634445に記載されるような、TiO2と組み合わせたコア/シェル形態を有するビニルアクリラートに基づく高分子粒子を含有する光散乱組成物である。
【0227】
本発明の別の実施形態によると、上記の実施形態による色変換体は、フィルムの光学特性(例えば、屈折率)の微調整に役立つ1種又は数種の無機成分、例えば微粉化シリカを更に含んでもよい。
【0228】
本願の別の実施形態によると、上記の実施形態による色変換体は、更なる添加剤、例えば難燃剤、抗酸化剤、光安定剤、フリーラジカル捕捉剤、一重項酸素消光剤、帯電防止剤を含んでもよい。この種の安定剤は、当業者に公知である。
【0229】
抗酸化剤は、酸化を阻害し、したがって、酸化に敏感な成分の劣化を防止するために使用される薬剤を指す。好適な抗酸化剤又はフリーラジカル捕捉剤は、例えば、フェノール、とりわけ立体障害フェノール、例えばブチルヒドロキシアニソール(BHA)若しくはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、又は立体障害アミン(HALS)である。この種の安定剤は、例えば、BASF社により、Irganox(登録商標)の商品名で販売されている。場合によっては、抗酸化剤及びフリーラジカル捕捉剤は、二次安定剤、例えばホスファイト又はホスホナイト、例えばBASF社によりIrgafos(登録商標)の商品名で販売されているようなものにより補うことができる。
【0230】
本発明の好ましい実施形態において、色変換体は、抗酸化剤又はフリーラジカル捕捉剤を何ら含まない。本発明の更なる好ましい実施形態において、色変換体は、第3級アミン、カテコール誘導体及びニッケル化合物を何ら含まない。
【0231】
好ましい実施形態によると、本発明による色変換体は、添加される溶媒を何ら含まない。
【0232】
本発明による色変換体は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料と、本発明による少なくとも1種の有機蛍光染料を含む1つ又は複数の層を含むか、それらからなる。
【0233】
有利なことに、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の化合物は、熱的に安定している。したがって、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の化合物又はそれらの混合物は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料に、押し出しにより、例えば押出ラインにおいて組み込むことができる。押出ラインは通常、可塑化ユニットとしての押出機、成形ツールとしてのシートダイ、任意選択で較正ダイとしての研磨スタック/光沢機、任意選択で後冷却用の冷却床及び/又はローラーコンベヤ、任意選択で引取ロール及び分離鋸を含む。押出ラインは、単層押出ラインであっても多層共押出ラインであってもよい。押出機は、単軸、二軸、多軸押出機又は遊星ローラー押出機のいずれかとすることができる。或いは、押出力を、ピストン又はラム(ラム押し出し)により加えてもよい。有利には、押出法は、溶媒を何ら添加せずに行われる。
【0234】
ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料は、好ましくは130~180℃で4~10時間乾燥させてから押し出す。
【0235】
本発明によると、ポリエチレンマトリックス材料、本発明による少なくとも1種の有機蛍光染料、存在する場合の光散乱剤、及び存在する場合の上記に定義される更なる添加剤は、押出機に一緒に、又は別々に計量投入することができる。式(I.a)、(I.b)、(I.c)の化合物又はそれらの混合物をマスターバッチ技術により計量することも可能である。光散乱剤も、マスターバッチ技術により添加してもよく、その場合、光散乱剤は固体担体材料に十分に分散させる。好適な担体材料は、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンテレフタラート、又はポリエチレンテレフタラートマトリックス材料と十分に相溶性のある他のポリマーである。
【0236】
ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料は、押出機で溶融又は軟化させる、即ち、供給原料を可塑化する。押出機が複数の別個の温度制御可能な加熱ゾーンを有することが有利な可能性がある。溶融物の温度は、好ましくは250~280℃の範囲であり、溶融物の温度は、本質的に押出機の温度、加熱ゾーンの長さ、押出機内での溶融物の滞留時間、押出機のトルク及び/又はスクリューの回転速度によって調節することが可能である。
【0237】
本発明による色変換体における少なくとも1種の式(I.a)、(I.b)、(I.c)の化合物又はそれらの混合物の濃度は、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物の励起波長での吸収強度並びに形成される層の厚さを含む要因に依存する。層が薄い場合、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の化合物又はそれらの混合物のうちの少なくとも1種の濃度は一般に、厚い層の場合においてよりも高い。
【0238】
本発明による色変換体における式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物の総濃度は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料の総ポリマー質量に対して通常0.0005~8質量%、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.001~1質量%の範囲である。
【0239】
好ましくは、ディスプレイ用途に使用する場合、色変換体は、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の緑色発光化合物又はそれらの混合物と、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の赤色発光化合物又はそれらの混合物を、5:1~50:1の全緑色発光化合物の全赤色発光化合物に対する質量比で含む。
【0240】
特別には、ディスプレイ用途に使用する場合、色変換体における式(I.a)、(I.b)、(I.c)の緑色発光化合物及びそれらの混合物の濃度は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料の総ポリマー質量に対して典型的には0.005~5質量%、好ましくは0.01~4質量%、より好ましくは0.01~1質量%、最も好ましくは0.01~0.5質量%である。特別には、ディスプレイ用途に使用する場合、色変換体における式(I.a)、(I.b)、(I.c)の赤色発光化合物及びそれらの混合物の濃度は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料の総ポリマー質量に対して典型的には0.001~2質量%、好ましくは0.001~1質量%、より好ましくは0.002~0.8質量%、最も好ましくは0.002~0.5質量%である。
【0241】
特別には、一般点灯用途に使用する場合、色変換体における式(I.a)、(I.b)、(I.c)の赤色発光化合物及びそれらの混合物の濃度は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料の総ポリマー質量に対して0.0001~0.5質量%、好ましくは0.001~0.1質量%の範囲である。特別には、一般点灯用途に使用する場合、色変換体における式(I.a)、(I.b)、(I.c)の緑色発光化合物及びそれらの混合物の濃度は、ポリエチレンテレフタラートマトリックス材料の総ポリマー含有量に対して典型的には0.001~0.8質量%、好ましくは0.002~0.6質量%、より好ましくは0.003~0.5質量%の範囲である。
【0242】
特別な実施形態において、色変換体は、多層構造を有する。この実施形態において、層のうちの1つ、又は2つ以上であるが全てではない層、又は層の全てが、散乱体、好ましくはTiO2を含む。したがって、本発明の一実施形態において、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の緑色発光化合物又はそれらの混合物と、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の赤色発光化合物又はそれらの混合物は、異なる層に存在することが可能である。更なる好ましい実施形態において、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の緑色発光化合物又はそれらの混合物と、式(I.a)、(I.b)、(I.c)の赤色発光化合物又はそれらの混合物は、同じ層に存在する。
【0243】
本発明の一実施形態において、とりわけディスプレイ用途に使用する場合、各層の厚さは概して、2~1000マイクロメートル(μm)、好ましくは5~500μm、より好ましくは10~350μmである。別の実施形態において、とりわけ一般点灯用途に使用する場合、本発明による蛍光染料を含む各層の厚さは、2マイクロメートル~5ミリメートルである。
【0244】
色変換体が1つの層からなる、又は層構造を有する場合、本発明による少なくとも1種の蛍光染料を含む個々の層は、LEDにより放出される光が、何れの場合も式(I.a)、(I.b)、(I.c)の少なくとも1種の化合物又はそれらの混合物を含むポリエチレンテレフタラートマトリックスを通過しなければならないように、好ましくは連続している。
【0245】
色変換体は、色変換体の劣化を防止するために、少なくとも1つの基板層及び/又は少なくとも1つの障壁フィルム層を含んでもよい。本発明による色変換体は、WO2012/152812に開示されているように、本発明に従い使用される有機蛍光染料の劣化を防止するために、酸素及び/又は水に対する少なくとも1つの障壁層を含んでもよい。障壁フィルム層は、色変換体の両側に設けてもよく、色変換体は、全ての側が少なくとも1つの障壁層により囲まれていてもよい。好適な障壁層は、それ自体が多層構造を有してもよい。多層構造は、2層構造、3層構造、4層構造、5層構造又は6層以上の構造とすることができる。障壁層用の好適な材料の例は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、液晶ポリマー(LCP)、ポリスチレン-アクリロニトリル(SAN)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、エチレン-酢酸ビニル(EVA)から誘導されるポリマー及びエチレン-ビニルアルコール(EVOH)から誘導されるポリマーである。障壁層を本発明による少なくとも1種の蛍光染料を含む層に付着させるための追加の接着剤又は接着層を設けてもよい。障壁層はまた、本発明による少なくとも1種の蛍光染料を含む色層上に積層させてもよい。概して、障壁層は、それが接触している層の幾何学的形状を有する。しかし、これは、障壁層が本発明による少なくとも1種の蛍光染料を含む層への酸素侵入を防止することが確実である限り、必ずしも必要なわけではない。概して、障壁層は、0.01μm~5mm、好ましくは0.1μm~1000μm、及びより好ましくは1μm~100μmの厚さを有する。ガラスの障壁層は、好ましくは0.01~5000μm、及びより好ましくは0.1~1000μmの厚さを有する。これらの層を、押し出し及び/又は最終加工中に他の層と組み合わせて積層体又は多層シートを形成してもよい。
【0246】
本発明の一実施形態において、本発明の色変換体は、障壁層を何ら含まない。本発明の別の実施形態において、本発明の色変換体は、少なくとも1つの障壁層を含む。
【0247】
点灯デバイス及びバックライトユニットに使用するための本発明による色変換体は、リモート蛍光体設定で使用される。この場合、色変換体は、LEDから空間的に分離されている。色変換体とLEDとの間には、異なる媒体、例えば空気、希ガス、窒素若しくは他のガス又はそれらの混合物があってもよい。
【0248】
色変換体が1つの層からなる、又は層構造を有する場合、本発明による少なくとも1種の有機蛍光染料を含む個々の層は通常、自立型フィルムであるが、基板層上に施すこともできる。本発明の文脈において、自立型フィルムは、その一部が支持材料、例えば基板と接触していないフィルムである。支持層は、通常、色変換体に機械的安定性を付与する役割を果たす。支持層の材料のタイプは、通常、透明であって所望の機械的強度を有する限り重要ではない。代表的基板層は、プラスチック、例えば酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタラート、ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレン、ポリメタクリラート、ポリメチルメタクリラート、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリカルボナート並びにシリコーンのフィルムである。基板層は、概して、5μm~3000μmの厚さを有する。好ましい実施形態において、本発明による色変換体は、基板を含まない。
【0249】
同様に、色変換体が1つの層からなる、又は層構造を有する場合、本発明による少なくとも1種の有機蛍光染料を含む個々の層は、基層、例えばガラス、金属プレート及び箔、紙シート等の上に施してもよい。
【0250】
更なる好ましい実施形態において、本発明による色変換体は、基板も障壁層も含まない。
【0251】
なお更なる実施形態において、本発明による色変換体は、追加の散乱層、又は熱安定性のための層及び/若しくはムラを回避(スクリーン上に見られる曇り効果を回避)するための層を含んでもよい。例えば、本発明による色変換体は、両側にポリカルボナートを伴う共押出により調製してもよい。
【0252】
FWHMが60nm以下、とりわけ45nm以下の500~560nm、とりわけ510~540nmの緑色スペクトル領域における狭帯域発光のために、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物は、非発光型ディスプレイでの使用が特に興味深い。これらは、RGBフィルターを備えるディスプレイの色域を大幅に増加させる。同様に、FWHMが90nm以下、とりわけ70nm以下、殊に60nm以下の595~700nm、とりわけ610~660nmの赤色スペクトル領域範囲における狭帯域発光のために、式(I.a)、(I.b)及び(I.c)の化合物は、非発光型ディスプレイでの使用が特に興味深い。これらは、RGBフィルターを備えるディスプレイの色域を大幅に増加させる。
【0253】
したがって、本発明は更に、
(i)光を放出するように構成された光源と;
(ii)本明細書において定義される少なくとも1つの色変換体とを含む、バックライトユニットに関する。
【0254】
標準的なLCDバックライトユニット(BLU)における光源は通常、複数のLEDである。好ましくは、LEDは、400nm~480nmの発光の中心波長を有する青色LEDである。好適な青色LEDは、例えば、窒化ガリウム(GaN)又は窒化インジウムガリウム(InGaN)に基づくものである。現在のLCDパネル用の白色発光ダイオードは、複数の青色発光LEDチップを覆うCe:YAG下方変換蛍光体層を使用する。これらのWLEDは通常、6000から12000Kの間、好ましくは6500から11000Kの間の相関色温度を有する。特に、白色LEDから放出される光は、400~700nmの範囲の波長を含む。
【0255】
バックライトユニットは、エッジ点灯バックライト又はフルアレイバックライトとすることができる。エッジ点灯バックライトは、フルアレイバックライトとは光源の配置が異なる。エッジ点灯構成では、LEDは、矩形の光ガイドプレートのエッジに組み付けられており、LEDからの光は、光ガイドプレートの内面で全内部反射を受け、最終的に光ガイドプレートの上面を通して引き出される。色変換体は光ガイドプレートの上面に面している。フルアレイバックライトでは、色変換体は、リモート蛍光体配置のLEDのアレイの上側に配置される。
【0256】
本発明によると、バックライトユニットは、上記に定義される少なくとも1つの色変換体を含む。
【0257】
バックライトユニットは、光ガイドの下に配置された反射体、光ガイド上に配置された下部拡散体、輝度向上フィルム及び/又は拡散フィルムを更に含んでもよい。
【0258】
本発明の一実施形態によると、色変換体は、光散乱剤を何ら含まない。
【0259】
本発明の好ましい実施形態によると、色変換体は、無機又は有機光散乱剤を含む。好適な無機及び有機光散乱剤は、先に言及したもの、とりわけ好ましいものとして言及したものである。ディスプレイ用途用の色変換体に使用する光散乱剤は通常、5~500nmの範囲の直径を有する。
【0260】
本発明によると、色変換体は、光源から物理的に分離されており、即ち、色変換体は、少なくとも1つの光源からリモート蛍光体配置にある。バックライトユニットを使用する場合、LED光源と色変換体との間の距離は、0.01~20mm、例えば0.01~10mm又は0.01~5mm又は0.05~3.5mmの範囲であってもよい。バックライトユニットは、液晶ディスプレイモジュールに組み込まれる。
【0261】
したがって、本発明は更に、
(i)薄膜トランジスタ(TFT)アレイ、液晶層、並びに赤色、緑色及び青色のカラーフィルターを含むカラーフィルターアレイを含む液晶パネルと;
(ii)少なくとも1つの光源と;
(iii)少なくとも1つの本明細書に定義される変換体とを含む、液晶ディスプレイモジュールに関する。
【0262】
光源は通常、複数のLEDである。好適な光源は、上記に定義されるマイクロLED及びミニLEDを含む白色発光ダイオード又は青色発光ダイオードである。
【0263】
とりわけ、色変換体は、上記に定義される光散乱剤を含んでもよい。
【0264】
本発明によると、色変換体は、光源から物理的に分離されている、即ち、色変換体は、光源からリモート蛍光体配置にある。光源と色変換体との間の距離は、0.01~20mm、例えば0.01~10mm又は0.01~5mm又は0.05~3.5mmの範囲であってもよい。典型的には、色変換体は、光源と液晶パネルとの間に配置され、即ち、色変換体と光源は、上記に定義されるバックライトユニットの一部である。液晶ディスプレイパネルは、カラーフィルターアレイ、カラーフィルター基板とは反対側の薄膜トランジスタ(TFT)アレイ、及び液晶層を含む。
【0265】
液晶ディスプレイがフルアレイ又はエッジ点灯LED光源のどちらで構成されているかには関係なく、光は、液晶層とカラーフィルターアレイとを順次通過する。
【0266】
カラーフィルターアレイは、複数の赤色、緑色及び青色のカラーフィルター、赤色画素用の赤色フィルター;緑色画素用の緑色フィルター、及び青色画素用の青色フィルターを含む。3つのカラーフィルターのそれぞれは、独立して操作され、単一の画素の色が、3色のうちの1つにより、又は3色のうちの少なくとも2つの組合せにより表される。カラーフィルターアレイは通常、画素領域のマトリックスを定義するための遮光部材を含む。遮光部材は、黒色マトリックスとも呼ばれる。黒色マトリックスは、遮断しなければ基板の表示側に現れるディスプレイに無関係な光を遮断することにより、全体的なコントラストを低下させる。カラーフィルターアレイは、アレイ内に白色画素を追加で含んでもよい。
【0267】
液晶層は、複数の液晶分子を含む。液晶ディスプレイデバイスは、一対の偏光子を更に含む。
【0268】
液晶ディスプレイパネルは、透過型ディスプレイパネル、反射型ディスプレイパネル又は半透過型ディスプレイパネルとすることができる。
【0269】
上記の液晶ディスプレイモジュールは、パッシブマトリックスデバイス又はアクティブマトリックスデバイスのいずれかである。アクティブマトリックス液晶ディスプレイは、アクティブ駆動要素、例えば薄膜トランジスタ(TFT)又はダイオードを各画素要素に含む。
【0270】
アクティブマトリックスLCDデバイスは、ねじれネマティック(TN)、平面スイッチング(IPS)、垂直アラインメント(VA)又はマルチドメイン垂直アラインメント(MVA)技術に従い作動させることができる。
【0271】
有利なことに、本発明の色変換体の使用により、ほとんどの光は、一次波長で創出される。したがって、先行技術のLEDバックライトと比較して、フィルター除去される光が少ないため、浪費されるエネルギーが少ない。本発明によるLCDデバイスは、一次波長の緑色及び/又は赤色に集中したピークを生成し、それらが混合されてより自然で鮮やかな色のより広い色域を創出することができる。
【0272】
加えて、いくつかの実施形態において、液晶ディスプレイモジュールは、タッチセンサ式ディスプレイ要素と共に提供されてもよい。
【0273】
更なる態様において、本発明は、静止視覚ディスプレイデバイス;上記に定義される色変換体を含むモバイル視覚ディスプレイデバイス及び照明デバイスから選択されるデバイスに関する。静止視覚ディスプレイユニットは、例えば、コンピュータの視覚ディスプレイユニット、テレビ、プリンタにおける視覚ディスプレイユニット、台所用電化製品及び広告パネル、照明及び情報パネルである。モバイル視覚ディスプレイユニットは、例えば、スマートフォン、ラップトップ、タブレットPC、デジタルカメラ、mp-3プレーヤー、車両、並びにバス及び列車の目的地ディスプレイにおける視覚ディスプレイユニットである。
【0274】
更なる態様において、本発明は、上記に定義されるディスプレイデバイスを含むテレビデバイスに関する。
【0275】
本発明の更なる態様は、本明細書において少なくとも1つの上記に定義される色変換体を含む点灯デバイス(照明デバイス)に関する。
【0276】
とりわけ、本発明は、
(i)発光の中心波長が400nm~480nmの青色LED及び3000Kから20000Kの間の相関色温度を有する白色LEDからなる群から選択される少なくとも1つのLEDと;
(ii)少なくとも1つの本明細書において上記に定義される色変換体と;
を含み、色変換体が、少なくとも1つのLEDからリモート配置にある、即ち、色変換体が、LEDから空間的に分離している、点灯デバイスに関する。
【0277】
一実施形態において、本発明の点灯デバイスは、厳密に1つのLEDを含む。好ましい実施形態において、本発明の点灯デバイスは、複数のLEDを含む。一実施形態において、本発明の点灯デバイスは、複数のLEDを含み、その全てが青色である。別の実施形態において、本発明の点灯デバイスは、数個のLEDを含み、少なくとも1つのLEDが青色であり、少なくとも1つのLEDが青色ではなく、別の色の光を放出する。
【0278】
一般点灯に使用する場合、LEDと色変換体との間の距離は通常、0.1mmを超え、例えば0.2mm以上であり、いくつかの実施形態においては、0.1cm以上~10cm、例えば0.3~5cm又は0.5~3cmである。
【0279】
一般に、使用されるLEDのタイプは、本発明の点灯デバイスにとって重要ではない。好ましい実施形態において、変換体の表面に当たる青色LED光の電力密度は、通常200mW/cm2未満、好ましくは120mW/cm2未満、より好ましくは80mW/cm2未満である。より高い電力密度、例えば150又は200mW/cm2のLEDの使用も同様に可能である。
【0280】
色変換体は、例えば、LEDの周りに同心円状に配置されてもよく、又は平面的幾何形状を有してもよい。例えば、プラーク、シート又はフィルムの形態をとってもよく、液滴形態であってもよく、流延物の形態を取ってもよい。
【0281】
本発明の点灯デバイスは、屋内、屋外、オフィス、車両、懐中電灯、ゲーム機、街灯、交通標識の点灯に好適である。
【0282】
本発明の点灯デバイスは、高発光効率を伴う優れた光学性能を呈する。それらは、4000K未満、とりわけ3500K未満のCCTの暖かい色調の白色光を呈し、平均演色評価数は90を超え、好ましくは少なくとも92、とりわけ少なくとも95と高く;R9値は60を超え、好ましくは少なくとも70、とりわけ少なくとも75と高く;80ルーメン/ワットを超える高い発光効率を伴う。
【0283】
本発明を、以下に記載の実施例により詳細に説明する。
【実施例
【0284】
使用した略語:conc.は、濃度を意味する;ex.は、実施例を意味する;FQYは、蛍光量子収率を意味する;PCは、ポリカルボナートを意味する;PETは、ポリエチレンテレフタラートを意味する;Rfは、保持係数を意味する;TLCは、薄層クロマトグラフィーを意味する。
【0285】
I. 式(I.b)の化合物の調製
実験は全て、アルゴン下、乾燥したガラス器具中で行った。
【0286】
(実施例1)
EWG1=EWG2=CNであり;R1、R3、R4及びR6がそれぞれメチルであり;R7bがエチルである式(I.b)の化合物
【0287】
【化18】
【0288】
1.1 下記の調製
【0289】
【化19】
【0290】
表題化合物を、Heteroatom Chemistry Vol 5、No 4、1994 403~407頁に従い調製した。
【0291】
1.2 下記の調製
【0292】
【化20】
【0293】
1.96g(0.0074mol)の先に言及した実施例1.1からのジピロメテン、525mLのトルエン、8.4g(0.065mol)のN-エチル-N,N-ジイソプロピルアミン及び13.2g(0.089mol)の三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートの混合物を75℃に2時間加熱した。その後、混合物を室温に冷却した。混合物を500mLの水で4回洗浄した。トルエン相を真空中で濃縮し、溶媒としてジクロロメタンを使用したカラムクロマトグラフィーに供した。589mg(25%)の赤色化合物が、99.6%のHPLC純度で単離された。DSC(ガラス)によると、分解の開始は286℃である。
【0294】
(実施例2)
EWG1=EWG2=CNであり;R1=R6=フェニルであり;R3=R4がそれぞれ4-メトキシフェニルであり;R7bが2,4,6-トリメチルフェニルである式(I.b)の化合物
【0295】
【化21】
【0296】
2.1 下記の調製
【0297】
【化22】
【0298】
A.R. Katritzky、J. Org. Chem. 2000、65、8819~8821頁と同様にして反応を行った。
【0299】
12.5g(71mmol)4-メトキシチオベンズアミド、10.81g(71mmol)の1-H-ベンゾトリアゾール-1-メタノール、200mLのトルエン及び68mg(0.35mmol)のパラトルエンスルホン酸の混合物を19時間加熱して還流した。形成された水は、反応中に揮散除去した。反応混合物を室温に冷却し、100mLのシクロヘキサンを添加し、沈殿物をろ過により収集し、10mLのシクロヘキサンで3回洗浄した。生成物を、溶離剤として酢酸エチルとジクロロメタンを使用したシリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。12.05g(57%)の黄色固体が得られた。
Rf(CH2Cl2 酢酸エチル5:1)=0.53
【0300】
2.2 下記の調製
【0301】
【化23】
【0302】
A.R. Katritzky、J. Org. Chem. 2000、65、8819~8821頁と同様にして反応を行った。70mLのTHF中の3.00g(10.1mmol)の2.1からの化合物及び1.57g(11.1mmol)のヨウ化メチルの混合物を0℃に冷却した。次いで、1.27(11mmol)gのtert.-ブチル酸カリウムを8mLのTHFに10分以内に添加した。黄色溶液が黄色懸濁液に変化する。10分撹拌した後に、1.46g(11.1mmol)trans-シンナミルニトリルを添加した。12mLのTHFに溶解させた3.42g(30mmol)のtert.-ブチル酸カリウムを10分以内に添加した。混合物を0℃で5分間撹拌し、その後、60分間加熱して還流した。その後、反応混合物を室温に冷却した。溶媒を真空下で蒸発させ、残留物をジクロロメタンと水の混合物中に取り込んだ。沈殿物はジクロロメタンに不溶であり、ろ過しジクロロメタンと水で洗浄できる。1.33g(48%)の白色固体が得られた。
Rf=0.86(CH2Cl2:酢酸エチル=10:1)
【0303】
2.3 下記の調製
【0304】
【化24】
【0305】
0.65g(2.4mmol)の先に言及した2.2からの化合物の混合物を、30mLのジクロロエタンに溶解させた。その後、0.18g(1.19mmol)のメシトアルデヒド及び1.1mL(14.2mmol)の三フッ素酸を添加した。混合物を加熱して還流し、還流しながら4時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。その後、0.36g(1.54mmol)のジクロロジシアノベンゾキノンを添加し、混合物を5分間撹拌すると、暗緑色に変化した。混合物をジクロロメタンで希釈し、NaHCO3水溶液、塩酸、水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させた。0.72g(90%)の赤色固体が得られた。
Rf(CH2Cl2)=0.49
【0306】
2.4 下記の調製
【0307】
【化25】
【0308】
0.79g(1.2mmol)の先に言及した2.3からの化合物と40mLのジクロロエタンに溶解させた0.84g(6.42mmol)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンとの混合物に、1.82g(12.84mmol)の三フッ化ホウ素エーテラートを室温で添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、反応混合物をジクロロメタンで希釈した。溶液をNaHCO3溶液と塩酸で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を溶離剤としてシクロヘキサン酢酸エチルを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製した。0.67g(79%)の赤色固体が得られた。
Rf(シクロヘキサン 酢酸エチル2:1)=0.55。
【0309】
(実施例3)
EWG1=EWG2=CNであり;R1=R3=R4=CH3であり;R7bが2,6-ジクロロフェニルである式(I.b)の化合物
【0310】
【化26】
【0311】
3.1 3-オキソブタン-1-ニトリルのカリウム塩の調製
4.40g(50mmol)の酢酸エチル、12.46g(60mmol)のアセトニトリル、100mLのTHF及び6.73g(60mmol)のtert.-ブチル酸カリウムの混合物を、室温で18時間撹拌した。懸濁液を、得られたままの状態で使用した。
【0312】
3.2 1-オキシモアセトンの調製
9.0g(H2O中40%、50ml)のメチルグリオキサールと3.47g(50mmol)塩酸ヒドロキシルアミンの混合物を室温で18時間撹拌した。溶液を、得られたままの状態で使用した。
【0313】
3.3 2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボニトリルの調製
30gの酢酸と10mLの水を使用して6.54g亜鉛を活性化させた。上記で調製した3.1及び3.2からの溶液を2時間以内にこの混合物に同時に添加し、混合物を更に2時間50℃に加熱した。混合物をろ過し;THFを減圧下で蒸発させた。生成物をジクロロメタンでの抽出とカラムクロマトグラフィーを使用した精製により単離した。2.13g(13%)の白色固体が単離された。
Rf(トルエン 酢酸エチル10:1)=0.27
【0314】
3.4 下記の調製
【0315】
【化27】
【0316】
7.56g(63mmol)の先に言及した3.3からのピロール、5.25g(30mmol)の2,6-ジクロロベンズアルデヒド、600mLのジクロロメタン及び30mLのトリフルオロ酢酸の混合物を室温で20時間撹拌した。Rf(CH2Cl2)=0.25の化合物が形成された。次いで、8.88g(39mmol)のジクロロジシアノベンゾキノンを添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。水を添加し、相を分離した。水性相をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、溶媒を減圧下で除去した。13g(定量的)の表題化合物が単離され、更なる精製をすることなく使用した。
Rf(CH2Cl2)=0.55
【0317】
3.5 下記の調製
【0318】
【化28】
【0319】
300mLのトルエン、1.28g(3.3mmol)の3.4からの上記化合物、6.72g(56.4mmol)のエチル-ジイソプロピルアミン(ヒューニッヒ塩基)の混合物を室温で10分間撹拌した。次いで、7.66g(51.5mmol)の三フッ化ホウ素エーテラートを添加し、混合物を30℃に1時間加熱した。反応混合物をその後、水で3回洗浄した。溶媒を蒸発させ、残留物を、シリカと溶離剤としてのジクロロメタンを使用したカラムクロマトグラフィーに供した。688mg(47%)の赤色固体が得られた。
Rf(CH2Cl2)=0.6
【0320】
(実施例4)
EWG1=EWG2=CNであり;R1=R3=R4=CH3であり;R7bがフェニルである式(I.b)の化合物
【0321】
【化29】
【0322】
表題化合物を、実施例3に記載の方法と同様にして調製したが、2,6-ジクロロベンズアルデヒドに代えてベンズアルデヒドを使用した。
Rf(ジクロロメタン)=0.42
【0323】
(実施例5)
EWG1=EWG2=CNであり;R1=R3=R4=CH3であり;R7bが2,4,6-トリメチルフェニルである式(I.b)の化合物
【0324】
【化30】
【0325】
表題化合物を、実施例3に記載の方法と同様にして調製したが、2,6-ジクロロベンズアルデヒドに代えてメシチルアルデヒドを使用した。
Rf(ジクロロメタン)=0.62
【0326】
(実施例6)
EWG1=EWG2=CNであり;R1=R3=R4=フェニルであり;R7bが2,4,6-トリメチルフェニル(メシチル)である式(I.b)の化合物
【0327】
【化31】
【0328】
化合物を、実施例2に記載の方法と同様にして調製したが、工程1において4-メトキシチオベンズアミドに代えてベンゼンカルボチオアミドを使用した。
Rf(シクロヘキサン:酢酸エチル3:1)=0.44
【0329】
(実施例7)
EWG1=EWG2=CNであり;R1=R3=R4=フェニルであり;R7bが2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルである式(I.b)の化合物
【0330】
【化32】
【0331】
表題化合物を、実施例6に記載の方法と同様にして調製したが、メシチルアルデヒドに代えてペンタフルオロベンズアルデヒドを使用した。
Rf(シクロヘキサン:酢酸エチル2:1)=0.64
【0332】
(実施例8)
EWG1=EWG2=CNであり;R1=R3=R4=メチルであり;R7bが2-クロロフェニルである式(I.b)の化合物
【0333】
【化33】
【0334】
表題化合物を、実施例3に記載の方法と同様に調製したが、工程4において2,6-ジクロロベンズアルデヒドに代えて2-クロロベンズアルデヒドを使用した。
Rf(CH2Cl2)=0.48
【0335】
(実施例9)
EWG1=EWG2=CNであり;R1=R6=CH3であり;R3=R4=2-(4-シアノフェニル)ビニルであり、R7bが2,4,6-トリメチルフェニルである式(I.b)の化合物
【0336】
【化34】
【0337】
15mLのトルエン中の実施例5(200mg、0.48mmol)からの化合物、4-シアノベンズアルデヒド(161mg、1.2mmol)、ピペリジン(410mg、4.8mmol)及びp-トルエンスルホン酸水和物(7mg、0.04mmol)を還流下1.5時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチルで希釈した。反応混合物を水と飽和食塩水溶液で洗浄した。結果として得られた有機相をMgSO4上で乾燥させ、濃縮した。粗表題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル勾配)により精製し、表題化合物(2mg、0.6%)を紫色固体として得た。TLC(シクロヘキサン/ジクロロメタン2:1)Rf=0.53。
【0338】
(実施例10)
EWG1=EWG2=CNであり;R1=R6=フェニルであり;R3=R4=2-(4-シアノフェニル)ビニルであり、R7bが2,4,6-トリメチルフェニルである式(I.b)の化合物
【0339】
【化35】
【0340】
10.1 4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ベンゾニトリルの調製
【0341】
【化36】
【0342】
100mLのジメチルホルムアミド(DMF)中の2,6-ジイソプロピルフェノール(10.0g、54.4mmol)、4-フルオロベンゾニトリル(6.59g、54.4mmol)及びK2CO3(8.27g、59.9mmol)を120℃で2.5時間撹拌した(TLC制御)。室温に冷却後、反応混合物を水(900mL)に注ぎ、メチルtert-ブチルエーテルで抽出した(3×200mL)。有機相を濃縮した。得られた粗生成物(15.5g)をシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/ジクロロメタン勾配)により精製し、表題化合物(純度:95%;8.09g、収率:50.6%)を黄色油として得た。TLC(シクロヘキサン/ジクロロメタン2:1)Rf=0.40。
【0343】
10.2 4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ベンズアミド
【0344】
【化37】
【0345】
反応を、T. D. Penningら、J. Med. Chem. 2002、45、3482~3490頁と同様に行った。4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ベンゾニトリル(7.60g、27mmol)のtert-ブタノール(60ml)懸濁液に、30mLのジメチルスルホキシドと粉末状KOH(6.61g、100mmol)を添加した。混合物を撹拌し、45分間還流し(TLC制御)、続いて室温に冷却し、350mLの水にに注いだ。得られた沈殿物をろ過し、水で洗浄し(3×15ml)、乾燥させて表題化合物(7.5g、93%)を黄色がかった固体として得た。TLC(ジクロロメタン/酢酸エチル9:1)Rf=0.17。
【0346】
10.3 N-(ベンゾトリアゾール-1-イルメチル)-4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ベンズアミド
【0347】
【化38】
【0348】
触媒量のp-トルエンスルホン酸(13mg、0.1mmol)を含む、4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ベンズアミド(4.0g、13.5mmol)と1H-ベンゾトリアゾール-1-メタノール(2.05g、13.5mmol)のトルエン(30mL)懸濁液を、撹拌しながら還流下4時間加熱した(TLC制御)。形成された水を揮散除去した。冷却後、得られた沈殿物をろ過し、トルエン(3×5mL)とn-ペンタン(3×10mL)で洗浄し、乾燥させて表題化合物(5.5g、95%)を白色固体として得た。
TLC(ジクロロメタン/酢酸エチル9:1)Rf=0.56。
【0349】
10.4 N-(ベンゾトリアゾール-1-イルメチル)-4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ベンゼンカルボチオアミド
【0350】
【化39】
【0351】
N-(ベンゾトリアゾール-1-イルメチル)-4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ベンズアミド)のトルエン(50mL)懸濁液に、ローソン試薬(2.32g、5.7mmol)を添加した。混合物を90℃で3時間撹拌し(TLC制御)、次いで、冷却した。得られた沈殿物をろ過し、得られた溶液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル勾配)により精製して、表題化合物(3.57g、84%)を黄色固体として得た。TLC(ジクロロメタン/酢酸エチル9:1)Rf=0.79。
【0352】
10.5 2-[4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)フェニル]-4-フェニル-1H-ピロール-3-カルボニトリル
【0353】
【化40】
【0354】
反応を、A. R. Katritzkyら、J. Org. Chem. 2000、65、8819~8821頁と同様に行った。N-(ベンゾトリアゾール-1-イルメチル)-4-(2,6-ジイソプロピル-フェノキシ)ベンゼンカルボチオアミド(3.71g、8.3mmol)及びヨードメタン(1.3g、9.2mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液に、t-BuOK(5.6mL、テトラヒドロフラン中20%強度、9.2mmol)の溶液を0℃で5分の間に添加した。混合物を0℃で更に10分間撹拌した(TLC制御)。次いで、(E)-3-フェニルプロパ-2-エンニトリル(1.21g、9.2mmol)を添加し、更にt-BuOK(15.4mL、テトラヒドロフラン中20%強度、29mmol)を0℃で5分以内に添加した。反応混合物を0℃で更に5分間撹拌し、次いで、30分間還流した(TLC制御)。溶媒を除去し、残留物をトルエン(40mL)に取り、水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/ジクロロメタン勾配)により精製して、表題化合物(1.82g、50%)を淡ベージュ色固体、TLC(シクロヘキサン/酢酸エチル2:1)Rf=0.55として、5-[4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)フェニル]-4-フェニル-1H-ピロール-3-カルボニトリル(0.93g、25%)を淡ベージュ色固体、TLC(シクロヘキサン/酢酸エチル2:1)Rf=0.35として得た。
【0355】
10.6 下記の調製
【0356】
【化41】
【0357】
装置をアルゴン下で加熱し冷却した。2-[4-(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)フェニル]-4-フェニル-1H-ピロール-3-カルボニトリル(1.0g、2.4mmol)、メシチルアルデヒド(0.18g、1.2mmol)、トリフルオロ酢酸(1.1mL)及び無水酢酸(0.7mL)の1,2-ジクロロエタン(40mL)溶液を30分間、撹拌しながら還流し(TLC制御)、次いで冷却した。次いで、ジクロロジシアノベンゾキノン(0.36g、1.5mmol)を室温で添加し、混合物を10分間撹拌した(TLC制御)。反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、水、NaHCO3の飽和水溶液、及び0.5MのHCl(それぞれ1×40mL)で抽出し、次いで飽和食塩水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。濃縮後、純度91%の粗表題化合物(1.27g100%)が、スミレ色固体として得られた。
TLC(シクロヘキサン/酢酸エチル2:1)Rf=0.87。
【0358】
10.7 下記の調製
【0359】
【化42】
【0360】
表題化合物を実施例2.3に記載の方法と同様にして得たが、出発物質として10.6からの化合物を使用した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/ジクロロメタン勾配)により精製した。得られた画分を濃縮し、イソプロパノール(20mL)に取り込んだ。水(10mL)をゆっくりと添加することにより表題生成物を再度沈殿させて、表題化合物(0.66g、55%)を暗スミレ色固体、TLC(シクロヘキサン/e2:1)Rf=0.75として得た。
【0361】
II 色変換体の調製
II.1 押し出しによる
設備
混合 ローラーラック
押出機 二軸16mm/36D、Dr.Collin GmbH社
造粒機 StuttgartのScheer社の造粒機
箔 Teach-Line押出機+冷却ロール、Dr.Collin GmbH社
試験手順
ポリマー ポリエチレンテレフタラート、PET Terez 3200、TER HELL PLASTIC GMBH社製
予備乾燥 150℃を8時間
ポリマー+染料の混合 20分、Turbula Fuchs社
最大260℃での押し出し(低温、150℃、250℃、260℃、260℃、260℃及び260℃)
乾燥 150℃を8時間
箔 Teach-Line押出機20mm/25D
最大280℃で(低温、260℃、275℃、280℃、280℃、280℃及び280℃)
スロットノズル150mm幅
温度280℃
冷却ロール
ロール温度75℃
【0362】
本発明に従い使用した蛍光染料を使用して、押し出しにより色変換体を製造した。この目的のため、実施例1の化合物を上記のようなポリエチレンテレフタラート(TER HELL PLASTIC GMBH社製PET Terez 3200)で構成されるマトリックスに組み込んだ。
【0363】
比較を目的として、この手順を繰り返したが、実施例1の化合物に代えて化合物C1を使用した。
【0364】
【化43】
【0365】
化合物C1は、押し出し中に劣化/分解する。
【0366】
加えて、本発明による化合物とTiO2を含む色変換体フィルムを同様にして調製した。各フィルムについて、本発明による化合物の濃度は0.01質量%、及びTiO2の濃度は0.36質量%であった。
【0367】
II.2 溶液処理による(比較目的のため)
使用した材料:
ポリマー1:ポリカルボナート(PC、Macrolon(登録商標)2808、Bayer社製)、
ポリマー2:DIN EN ISO306に準拠したビカー軟化温度が96℃のメチルメタクリラートのホモポリマー(PMMA、Plexiglas(登録商標)6N、Evonik社製)
ポリマー3:密度が1048kg/m3、DIN EN ISO306に準拠したビカー軟化温度が98℃のスチレンのホモポリマー(PS168N、Styrolution社製)
【0368】
比較を目的として、溶液処理したフィルムを製造した。この目的のため、当該の本発明による化合物を、以下に記載するように、それぞれ1、2及び3のポリマーで構成されるマトリックスに組み込んだ。
【0369】
約2.5gのポリマー1、2又は3及び0.01質量%の当該の染料を、約5mLの塩化メチレンに溶解させ、0.36質量%のTiO2(Kronos 2233)をその中に分散させた。得られた溶液/分散体を、ドクターブレードを使用してガラス表面に400μmの未乾燥膜厚でコーティングした。溶媒を乾燥させた後、フィルムをガラスから剥がし、真空乾燥キャビネットにおいて50℃で一晩乾燥させた。厚さ67μmの各フィルムから15mmの直径を有する2つの円形フィルム片を打ち抜き、これらを分析サンプルとして使用した。
【0370】
分析サンプルの蛍光量子収率(FQY)を、C9920-02量子収率測定系(浜松ホトニクス社製)で測定した。これは、積分球(ウルブリヒト球)においてサンプルのそれぞれに470nmの光を照射することにより行った。サンプルのないウルブリヒト球での参照測定との比較により、励起光の吸収されない部分とサンプルにより放出された蛍光とが、CCD分光計によって判定される。吸収されない励起光のスペクトル又は放出された蛍光のスペクトル全体にわたり強度を積分すると、各サンプルの吸収若しくは蛍光強度の程度又は蛍光量子収率が得られる。
【0371】
蛍光量子収率(FQY)測定の結果:
実施例1の化合物:
押し出しPET-フィルム:発光λmax:523nm;発光、FWHM:33nm;FQY:86%;
溶液処理したPC-フィルム:FQY:89%.
【0372】
比較化合物C1:
押し出しPET-フィルム:発光λmax:527nm;発光、FWHM:40nm;FQY:30%;
溶液処理したPC-マトリックス:FQY:90%。
【0373】
驚くべきことに、実施例1の化合物は、押し出し中に劣化又は分解しない。それとは対照的に、比較化合物C1は、低い蛍光量子収率により証明されるように、押し出し中に分解/劣化する。
【0374】
70μmの厚さを有する層におけるPET中のそれぞれ実施例1、3、4、5及び8の緑色発光化合物についての結果を、以下の表Iにまとめる。
【0375】
【表8】
【0376】
比較を目的として、それぞれ実施例1、3、4、5又は8の化合物とTiO2を含有する、67μmの厚さを有するPC中の溶液処理したフィルムを調製した。結果を表IIにまとめる。
【0377】
【表9】
【0378】
70μmの厚さを有する層におけるPET中のそれぞれ実施例2、6、7及び10の赤色発光化合物についての結果を、以下の表IIIにまとめる。
【0379】
【表10】
【0380】
比較を目的として、それぞれ実施例2、6、7及び10の化合物とTiO2を含有する、67μmの厚さを有するPC中の溶液処理したフィルムを調製した。結果を表IVにまとめる。
【0381】
【表11】
【0382】
III 本発明による緑色発光化合物と赤色発光化合物とを含有するディスプレイフィルムの押し出しによる調製
押出ラインを使用して、2種のフィルムを製造した。膜厚は、容量センサによりインラインで監視した。押出機は、30mmのスクリュー直径と、20Dのプロセス長を有していた。ノズル幅は300mmであり、およそ250mmの最大フィルム幅が結果として得られた。押し出し部材の後には、エッジトリミング巻き取りユニットを備えた冷却/加熱可能な冷却ロール/平滑化ユニットが続いている。最大引取速度は、16m/mmであった。厚さ130μm及び150μmのロールを製造した。
【0383】
本発明に従い使用した化合物を含むPETペレットは、循環空気乾燥機において150℃で一晩予備乾燥させた。
【0384】
0.027質量%の実施例4の化合物、0.0041質量%の実施例2の化合物及び0.3質量%のTiO2をPET中に含む2種のディスプレイフィルムを、押し出しにより130μm及び150μmの厚さで調製した。
押し出し温度:260~290℃
冷却ロール温度:75℃
【0385】
得られたフィルムにFortimo青色LEDを照射し、LEDから照射された全光を、Instrument Systems社製の積分球に光学モジュールを備えた光度測定ツールにより測定した。図1を参照されたい。光学パラメータ、例えば色座標CIE-x及びCIE-y、CIE 1976における色座標CIE-u'(L*、u*、y*)、ケルビン単位の相関色温度CCT、プランク曲線からの色点の距離(BBL)を、積分球中で測定した。結果を表Vに示す。
【0386】
【表12】
【0387】
これらのフィルムをTVディスプレイ(光学的スタック+LCD+カラーフィルター)中で測定し、99%のDCIカバー率が得られた。
【0388】
本発明による緑色発光化合物と赤色発光化合物とを含有するディスプレイフィルムの押し出し、両側にPCを伴う共押出による調製
押出ラインを使用して、3種のフィルムを製造した。膜厚は、容量センサによりインラインで監視した。押出機は、30mmのスクリュー直径と、20Dのプロセス長を有していた。ノズル幅は300mmであり、およそ250mmの最大フィルム幅が結果として得られた。押し出し部材の後には、エッジトリミング巻き取りユニットを備えた冷却/加熱可能な冷却ロール/平滑化ユニットが続いている。最大引取速度は、16m/mmであった。厚さ200μm、250μm及び300μmのPETフィルムのロールを製造した。フィルムは全て、両側のそれぞれ25μmのPCと共に共押し出しした。
【0389】
本発明に従い使用した化合物を含むPETペレットは、循環空気乾燥機において150℃で一晩予備乾燥させた。
- 染料:実施例2及び5の化合物:
- PET:Shinkong 5015W
- シリコーン系散乱剤HSP200
- 熱安定性及び耐ムラのためのABA構造
- PC中に0.3%のSylysia340(微粉化シリカ粒子)を含むA層、25μm(両側とも同じ:ABA)
- B層:実施例5の化合物:0.017質量%、実施例2の化合物:0.0026質量%、1%のシリコーンHSP 200
- B層厚さ:200μm、250μm及び300μm
押出温度:260~290℃
冷却ロール温度:75℃
【0390】
得られたフィルムにFortimo青色LEDを照射し、LEDから照射された全光を、Instrument Systems社製の積分球に光学モジュールを備えた光度測定ツールにより測定した。光学パラメータ、例えば色座標CIE-x及びCIE-y、CIE 1976における色座標CIE-u'(L*、u*、y*)を、積分球中で測定した。結果を表VIに示す。
【0391】
【表13】
【0392】
フィルムはまた、市販のTV(TCL U55X9006)のQDFを本発明による色変換体で置き換えることにより、TVデバイス中で測定した。スタックは、下記の通りである:
青色LED/拡散体フィルム/本発明の色変換体/DBEF(2Dプリズム)/BEF(反射偏光子)
【0393】
下記の色点(CIE 1931)を、Hera Spectroで測定した:
【0394】
【表14】
【0395】
III 光安定性
異なるポリマーマトリックス中での実施例1の化合物のT80値を判定した。T80は、100mW/cm2の青色光(450nm)の照射中に蛍光(absとQYの積)がその初期値の80%へ減衰することである。この目的のため、0.36質量%のTiO2と実施例1の化合物(0.01質量%)をドープしたポリエチレンテレフタラート(PET)ポリマーフィルムを、上記のように調製した。結果を表VIIに要約する。膜厚:70μm
【0396】
【表15】
【0397】
実施例1の有機蛍光化合物の寿命は、押し出しポリエチレンテレフタラートフィルムに埋め込まれると、ポリマーマトリックス、例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリラート及びポリカルボナートと比較して、大幅に増加できることが見出された。
【0398】
加えて、青色照明(450nm)時のT80及び白色照明(DLM Flex)時のT80を、PET及びPC中の実施例2、4、5、及び7の化合物について判定した。結果を表VIII及び表IXに要約する。
【0399】
【表16】
【0400】
【表17】
【0401】
加えて、青色照明(450nm)時のT95及び白色照明(DLM Flex)時のT95を、PET及びPC中の実施例10の化合物について判定した。結果を表Xに要約する。
【0402】
【表18】
図1