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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】自励式無効電力補償装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231208BHJP
   H02J 3/18 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02J3/18 135
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021000570
(22)【出願日】2021-01-05
(65)【公開番号】P2022105929
(43)【公開日】2022-07-15
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】相原 雄也
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-097796(JP,A)
【文献】特開2017-118635(JP,A)
【文献】特開2001-037293(JP,A)
【文献】特表2013-531961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02J 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力の電力系統に無効電力を出力可能に構成された主回路部と、
前記主回路部の動作を制御する制御装置と、
内部空間を有し、前記主回路部を前記内部空間に収容する筐体と、
を備え、
前記主回路部は、複数の主回路を有し、
前記複数の主回路のそれぞれは、自励式の複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにより、容量性無効電力及び誘導性無効電力の両極性の無効電力を前記電力系統に出力でき、
前記制御装置は、前記複数の主回路の動作を個別に制御し、通常運転の動作と、結露防止運転の動作と、を有し、
前記通常運転の動作は、前記主回路部から前記電力系統に容量性無効電力又は誘導性無効電力を供給する動作であり、
前記結露防止運転の動作は、前記複数の主回路のいずれかから容量性無効電力を出力させ、前記複数の主回路の別のいずれかから誘導性無効電力を出力させるとともに、容量性無効電力の大きさが、誘導性無効電力の大きさと同じになるように、前記複数の主回路の動作を制御することにより、前記筐体内に結露が発生することを抑制する動作であり、
前記複数の主回路の数は、奇数であり、
前記制御装置は、前記結露防止運転の動作において、前記複数の主回路のうち、容量性無効電力を出力させる主回路、及び誘導性無効電力を出力させる主回路を、時間的に変化させる自励式無効電力補償装置。
【請求項2】
前記制御装置は、所定のタイミングで順次切り替えることにより、前記容量性無効電力を出力させる主回路、及び誘導性無効電力を出力させる主回路を、時間的に変化させる請求項1記載の自励式無効電力補償装置。
【請求項3】
前記制御装置は、無効電力の極性及び大きさを正弦波状に変化させることにより、前記容量性無効電力を出力させる主回路、及び誘導性無効電力を出力させる主回路を、時間的に変化させる請求項1記載の自励式無効電力補償装置。
【請求項4】
交流電力の電力系統に無効電力を出力可能に構成された主回路部と、
前記主回路部の動作を制御する制御装置と、
内部空間を有し、前記主回路部を前記内部空間に収容する筐体と、
を備え、
前記主回路部は、複数の主回路を有し、
前記複数の主回路のそれぞれは、自励式の複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにより、容量性無効電力及び誘導性無効電力の両極性の無効電力を前記電力系統に出力でき、
前記制御装置は、前記複数の主回路の動作を個別に制御し、通常運転の動作と、結露防止運転の動作と、を有し、
前記通常運転の動作は、前記主回路部から前記電力系統に容量性無効電力又は誘導性無効電力を供給する動作であり、
前記結露防止運転の動作は、前記複数の主回路のいずれかから容量性無効電力を出力させ、前記複数の主回路の別のいずれかから誘導性無効電力を出力させるとともに、容量性無効電力の大きさが、誘導性無効電力の大きさと同じになるように、前記複数の主回路の動作を制御することにより、前記筐体内に結露が発生することを抑制する動作であり、
前記制御装置は、前記結露防止運転の動作を行う運転条件を記憶し、前記通常運転の動作を行っていない休止中に前記運転条件が成立した際に、前記結露防止運転の動作を行う自励式無効電力補償装置。
【請求項5】
前記運転条件は、前記通常運転の動作を行っていない休止中の経過時間に基づいて設定される請求項4記載の自励式無効電力補償装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自励式無効電力補償装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統に接続され、電力系統に無効電力を出力することにより、電力系統の電圧の変動を抑制する自励式無効電力補償装置が知られている。自励式無効電力補償装置は、自励式SVC(Static Var Compensator)、あるいはSTATCOM(STATic synchronous COMpensator)などと呼ばれている。自励式無効電力補償装置には、主回路にIEGT、GCT、IGBTなどの高周波数のスイッチング動作が可能なパワーエレクトロニクス素子が適用されている。
【0003】
自励式無効電力補償装置の装置容量は、数メガワットあるいは数十メガワットの大容量に達する場合がある。こうした比較的容量の大きい自励式無効電力補償装置では、運転時(主回路に通電している状態)に通電損失による熱が主回路に発生する。このため、風や水などにより冷却を行う必要がある。
【0004】
一方で、自励式無効電力補償装置の休止時(主回路に通電していない状態)においては、設置環境によっては、空気と機器の温度差により、装置内に結露が生じてしまう場合がある。自励式無効電力補償装置の装置内に結露が発生すると、水分が構造物や部品に浸入し、絶縁低下や部品腐食が引き起こされ、主回路の誤動作や故障などの要因となってしまう可能性がある。
【0005】
装置休止時の結露を抑制するために、自励式無効電力補償装置の装置内(盤内)にスペースヒータと呼ばれる電熱器を設置する方法がある。自励式無効電力補償装置が休止して、主回路に通電していないときに、スペースヒータに電流を流して熱を発生させる。これにより、自励式無効電力補償装置の装置内の温度が下がり過ぎないようにすることで、装置内に結露が発生することを抑制することができる。
【0006】
また、自励式無効電力補償装置の休止中に、間欠的に短時間だけ自励式無効電力補償装置を運転することにより、主回路に熱を発生させて結露の発生を抑制する方法も考えられている。
【0007】
しかしながら、スペースヒータを設ける方法では、電位をもった主回路用品とスペースヒータとの間に物理的な絶縁距離を十分に確保する必要がある。従って、スペースヒータを装置内に設置すると、スペースヒータの設置スペースに加え、絶縁距離分のスペースが必要となるため、装置全体の寸法が大きくなり、装置の小型化を阻害してしまう。また、スペースヒータに電流を通電するための供給電源(補機電源)、その配線、開閉回路、スペースヒータ故障時の保護回路などの周辺回路も必要となり、自励式無効電力補償装置の部品点数の増加や構成の複雑化も招いてしまう。
【0008】
自励式無効電力補償装置の休止中に、間欠的に短時間だけ自励式無効電力補償装置を運転する方法では、スペースヒータを設ける方法と比べ、装置の大型化、部品点数の増加、及び構成の複雑化などを抑制することができる。反面、自励式無効電力補償装置の休止中に、不必要に電力系統に無効電力を供給することにより、電力系統に悪影響を与えてしまう可能性が生じてしまう。例えば、母線電圧の上昇又は低下、あるいは連系点力率の悪化などを招いてしまう可能性が生じてしまう。
【0009】
このため、自励式無効電力補償装置では、装置の大型化や電力系統への悪影響を抑制しつつ、休止中における装置内の結露の発生を抑制できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平8-261621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施形態は、装置の大型化や電力系統への悪影響を抑制しつつ、休止中における装置内の結露の発生を抑制できる自励式無効電力補償装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態によれば、交流電力の電力系統に無効電力を出力可能に構成された主回路部と、前記主回路部の動作を制御する制御装置と、内部空間を有し、前記主回路部を前記内部空間に収容する筐体と、を備え、前記主回路部は、複数の主回路を有し、前記複数の主回路のそれぞれは、自励式の複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにより、容量性無効電力及び誘導性無効電力の両極性の無効電力を前記電力系統に出力でき、前記制御装置は、前記複数の主回路の動作を個別に制御し、通常運転の動作と、結露防止運転の動作と、を有し、前記通常運転の動作は、前記主回路部から前記電力系統に容量性無効電力又は誘導性無効電力を供給する動作であり、前記結露防止運転の動作は、前記複数の主回路のいずれかから容量性無効電力を出力させ、前記複数の主回路の別のいずれかから誘導性無効電力を出力させるとともに、容量性無効電力の大きさが、誘導性無効電力の大きさと同じになるように、前記複数の主回路の動作を制御することにより、前記筐体内に結露が発生することを抑制する動作であり、前記複数の主回路の数は、奇数であり、前記制御装置は、前記結露防止運転の動作において、前記複数の主回路のうち、容量性無効電力を出力させる主回路、及び誘導性無効電力を出力させる主回路を、時間的に変化させる自励式無効電力補償装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
装置の大型化や電力系統への悪影響を抑制しつつ、休止中における装置内の結露の発生を抑制できる自励式無効電力補償装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る自励式無効電力補償装置を模式的に表すブロック図である。
図2】実施形態に係る自励式無効電力補償装置の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図3】実施形態に係る自励式無効電力補償装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図4】実施形態に係る制御装置の動作の一例を模式的に表す表である。
図5】実施形態に係る制御装置の別の動作の一例を模式的に表す表である。
【0015】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0016】
図1は、実施形態に係る自励式無効電力補償装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、自励式無効電力補償装置10は、主回路部12と、制御装置14と、筐体16と、を備える。主回路部12は、電力系統2と接続されている。電力系統2は、交流電力の電力系統である。電力系統2の交流電力は、単相交流電力でもよいし、三相交流電力でもよい。
【0017】
主回路部12は、電力系統2に対して無効電力を出力可能に構成されている。制御装置14は、主回路部12と接続されている。制御装置14は、主回路部12の動作を制御する。換言すれば、制御装置14は、主回路部12による電力系統2への無効電力の出力を制御する。筐体16は、内部空間を有する箱状であり、主回路部12及び制御装置14を内部空間内に収容する。筐体16は、例えば、キャビネットやエンクロージャなどと呼ばれる場合もある。
【0018】
自励式無効電力補償装置10は、例えば、太陽光発電や風力発電などの分散型電源、電気鉄道、あるいは産業プラントなどの設備と近接して電力系統2と接続される。自励式無効電力補償装置10は、電力系統2に対して無効電力を出力することにより、上記のような設備の運転にともなう電力系統2の電圧の変動などを抑制する。
【0019】
自励式無効電力補償装置10は、例えば、屋外に設置して使用される。換言すれば、筐体16は、屋外に設置される。主回路部12及び制御装置14は、筐体16の内部空間内に収容された状態で、屋外に設置して使用される。但し、自励式無効電力補償装置10は、必ずしも屋外に限ることなく、屋内に設置して使用してもよい。
【0020】
なお、主回路部12と電力系統2との間の接続は、変圧器などを介してもよい。主回路部12と電力系統2との間の接続は、配線などによる物理的な接続のみに限ることなく、変圧器などによる磁気的な接続などを介してもよい。主回路部12と電力系統2との間の接続の形態は、主回路部12から電力系統2に無効電力を出力可能な任意の形態でよい。また、主回路部12と制御装置14との間の接続は、配線などによる物理的な接続のみに限ることなく、無線通信などを介してもよい。主回路部12と制御装置14との間の接続の形態は、制御装置14によって主回路部12の動作を制御可能な任意の形態でよい。
【0021】
また、この例では、主回路部12及び制御装置14が、同じ筐体16の内部空間内に収容されている。これに限ることなく、制御装置14は、主回路部12とは別の筐体内に収容してもよい。筐体16は、少なくとも主回路部12を収容可能に構成されていればよい。
【0022】
主回路部12は、第1主回路21及び第2主回路22の2つの主回路を有する。第1主回路21及び第2主回路22は、それぞれ電力系統2と接続されている。換言すれば、第1主回路21及び第2主回路22は、電力系統2に対して並列的に接続されている。第1主回路21及び第2主回路22は、複数の自励式のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子のスイッチングにより、電力系統2への無効電力の出力を行う。第1主回路21及び第2主回路22のスイッチング素子には、例えば、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、GCT(Gate Commutated Turn off thyristor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの高周波数のスイッチング動作が可能なパワーエレクトロニクス素子が用いられる。
【0023】
このように、主回路部12は、第1主回路21及び第2主回路22の2つの主回路を有し、電力系統2に対して第1主回路21及び第2主回路22のそれぞれから異なる無効電力を出力することができる。また、自励式のスイッチング素子によって構成される主回路部12では、第1主回路21及び第2主回路22のそれぞれから容量性無効電力(進み無効電力)及び誘導性無効電力(遅れ無効電力)の両極性の無効電力を電力系統2に出力することができる。
【0024】
第1主回路21及び第2主回路22は、電力系統2の系統電圧と同位相の交流電圧を電力系統2に出力するとともに、出力する交流電圧の振幅を系統電圧よりも大きくする。これにより、第1主回路21及び第2主回路22から電力系統2に容量性無効電力を供給することができる。そして、第1主回路21及び第2主回路22は、電力系統2の系統電圧と同位相の交流電圧を電力系統2に出力するとともに、出力する交流電圧の振幅を系統電圧よりも小さくする。これにより、第1主回路21及び第2主回路22から電力系統2に誘導性無効電力を供給することができる。
【0025】
第2主回路22の構成は、第1主回路21の構成と同じである。第2主回路22の装置容量は、例えば、第1主回路21の装置容量と同じである。但し、第2主回路22の構成は、第1主回路21の構成と異なってもよい。第1主回路21の構成及び第2主回路22の構成は、電力系統2に対して容量性無効電力及び誘導性無効電力を供給可能な任意の構成でよい。
【0026】
制御装置14は、第1主回路21及び第2主回路22のそれぞれと接続され、第1主回路21の動作及び第2主回路22の動作を個別に制御する。より具体的には、制御装置14は、第1主回路21及び第2主回路22のそれぞれから出力される無効電力の極性及び大きさ(実効値)を個別に制御する。
【0027】
制御装置14は、通常運転の動作と、結露防止運転の動作と、を有する。通常運転の動作は、主回路部12から電力系統2に容量性無効電力又は誘導性無効電力を供給する動作である。通常運転の動作は、例えば、電力系統2の系統電圧の変動などに応じて主回路部12から電力系統2に容量性無効電力又は誘導性無効電力を供給することにより、系統電圧の変動などを抑制する動作である。
【0028】
制御装置14は、通常運転の動作においては、第1主回路21及び第2主回路22のそれぞれから同じ極性の無効電力を出力させることにより、主回路部12から電力系統2に容量性無効電力又は誘導性無効電力を出力する。
【0029】
また、制御装置14には、例えば、図示を省略した電圧検出回路や上位のコントローラなどから電力系統2の系統電圧の電圧値の情報が入力される。制御装置14は、系統電圧の電圧値が所定値よりも低い場合には、主回路部12から電力系統2に容量性無効電力を出力することにより、系統電圧の電圧値を上昇させ、系統電圧の電圧値が所定値よりも高い場合には、主回路部12から電力系統2に誘導性無効電力を出力することにより、系統電圧の電圧値を低下させる。これにより、電力系統2の系統電圧の変動を抑制することができる。
【0030】
制御装置14は、通常運転の動作においては、系統電圧の変動の方向(高い側への変動か低い側への変動か)に応じて、第1主回路21及び第2主回路22から出力する無効電力の極性を制御するとともに、系統電圧の変動の大きさに応じて、第1主回路21及び第2主回路22から出力する無効電力の大きさを制御する。この場合、第2主回路22から出力する無効電力の大きさは、第1主回路21から出力する無効電力の大きさと同じでもよいし、異なってもよい。通常運転の動作においては、例えば、第1主回路21及び第2主回路22の一方のみから電力系統2に無効電力を出力してもよい。なお、通常運転の動作は、電力系統2の系統電圧の変動を抑制する動作に限ることなく、例えば、同一母線の発電機の発電量にゲインをかける制御(Pゲイン制御)の動作や、母線の力率を一定に制御する力率一定制御の動作などでもよい。通常運転の動作は、主回路部12から電力系統2に容量性無効電力又は誘導性無効電力を供給する任意の動作でよい。
【0031】
結露防止運転の動作は、筐体16内に結露が発生することを抑制する動作である。通常運転の動作においては、主回路部12の通電損失により、熱が発生する。このため、通常運転の動作では、主回路部12から発生した熱により、筐体16内の空気が暖められる。例えば、夜間など、筐体16内の空気と筐体16の外部の空気との温度差が大きい状態で、通常運転の動作を停止した場合、外部の空気の温度に応じて筐体16内の空気の温度が低下し、飽和水蒸気量の変化により、筐体16内に結露が発生してしまう可能性がある。こうした結露は、絶縁低下や部品腐食などを引き起こし、主回路部12の誤動作や故障などの要因となってしまう可能性がある。制御装置14は、通常運転の動作を行っていない休止中に、必要に応じて結露防止運転の動作を行うことにより、こうした筐体16内の結露の発生を抑制する。
【0032】
制御装置14は、結露防止運転の動作においては、第1主回路21から容量性無効電力を出力させ、第2主回路22から誘導性無効電力を出力させるとともに、第1主回路21から出力する容量性無効電力の大きさが、第2主回路22から出力する誘導性無効電力の大きさと同じになるように、第1主回路21及び第2主回路22の動作を制御する。換言すれば、制御装置14は、複数の主回路の半分から容量性無効電力を出力させ、複数の主回路の残り半分から誘導性無効電力を出力させることにより、第1主回路21から出力する容量性無効電力の大きさが、第2主回路22から出力する誘導性無効電力の大きさと同じになるようにする。
【0033】
このように、第1主回路21及び第2主回路22を動作させることにより、第1主回路21及び第2主回路22から発生した熱により、筐体16内の空気を暖めることができる。従って、筐体16内の空気の温度が低下し、筐体16内に結露が発生してしまうことを抑制することができる。
【0034】
そして、実質的に同じ大きさの容量性無効電力及び誘導性無効電力を出力させることにより、主回路部12内において容量性無効電力と誘導性無効電力とを実質的に相殺させることができ、電力系統2に対して無効電力が出力されてしまうことを抑制することができる。換言すれば、第1主回路21及び第2主回路22に電流が流れて熱は発生するが、その電流は、主回路部12内で還流しているだけで、電力系統2へは実質的に流出しない。より正確には、主回路部12に電流が流れることによる損失分(熱量分)のみが電力系統2側から供給されるが、電圧変動などを引き起こす無効電力は、電力系統2と主回路部12との間で実質的に発生しない。
【0035】
これにより、結露の発生を抑制するために第1主回路21及び第2主回路22を動作させた場合にも、電力系統2に無効電力が出力され、系統電圧を変動させてしまうなどの悪影響を電力系統2に与えてしまうことを抑制することができる。
【0036】
制御装置14は、例えば、条件設定回路30と、結露防止運転回路32と、無効電力指令回路34と、制御回路36と、を有する。
【0037】
条件設定回路30は、結露防止運転の動作を行う運転条件30aを設定するための回路である。運転条件30aは、例えば、結露防止運転を行うための判断条件、インタロック、結露防止運転の活殺選択などを含む。結露現象は、気象条件や設置環境と関連するため、自励式無効電力補償装置10が置かれる個々の施設で状況は異なる。また、自励式無効電力補償装置10の装置容量や冷却方式によっても設定条件は異なる。このため、自励式無効電力補償装置10においては、条件設定回路30により、結露防止運転の動作を行う運転条件30aが、個別に設定される。
【0038】
条件設定回路30は、例えば、操作部を有する。運転条件30aは、例えば、自励式無効電力補償装置10の管理者などが、条件設定回路30の操作部を操作し、運転条件30aに関する種々の情報を手動で入力することによって設定される。例えば、スマートフォンなどの携帯端末や上位のコントローラなどの外部の機器と通信可能に条件設定回路30を構成し、運転条件30aに関する種々の情報を外部の機器から通信によって条件設定回路30に入力することにより、運転条件30aが設定されるようにしてもよい。換言すれば、条件設定回路30は、外部の機器と通信を行う通信機でもよい。条件設定回路30における運転条件30aの設定方法は、これらに限ることなく、運転条件30aを適切に設定することができる任意の方法でよい。
【0039】
運転条件30aは、例えば、「湿度の高い梅雨時期」に「主回路部12が1時間以上休止した際」に「2時間おきに10分間」の間、「定格電流に対し10%電流を第1主回路21及び第2主回路22に通電」などのように、結露防止運転の条件を設定する。
【0040】
このように、運転条件30aは、例えば、主回路部12が通常運転の動作を行っていない休止中の経過時間に基づいて設定される。換言すれば、運転条件30aは、休止中の経過時間の条件を含む。運転条件30aは、これに限ることなく、例えば、筐体16内の空気の温度と外部の空気の温度との温度差の条件などをさらに含んでもよい。例えば、内外の空気の温度差が大きい場合にのみ、結露防止運転を行うように運転条件30aを設定してもよい。但し、運転条件30aは、これらに限ることなく、結露防止運転が必要となる任意の条件でよい。また、結露防止運転の動作で第1主回路21及び第2主回路22から出力する無効電力の大きさは、予め設定された所定の大きさでもよいし、内外の空気の温度差などに応じて変化させてもよい。例えば、温度差が大きい場合には、結露防止運転の動作で出力する無効電力の大きさを大きくし、温度差が小さい場合には、結露防止運転の動作で出力する無効電力の大きさを小さくする。これにより、結露の発生をより適切に抑制できるとともに、温度差が小さい場合に、結露防止運転による電力の消費を抑制することができる。
【0041】
条件設定回路30は、設定された運転条件30aを記憶する。条件設定回路30は、結露防止運転回路32と接続されている。条件設定回路30は、設定された運転条件30aを結露防止運転回路32に入力する。
【0042】
結露防止運転回路32は、条件設定回路30から入力された運転条件30aが成立しているか否かを判定する。結露防止運転回路32は、例えば、主回路部12が休止中になった際に、主回路部12の休止中の経過時間を基に、運転条件30aが成立しているか否かを判定する。上記のように、運転条件30aが、温度差の条件を含む場合には、例えば、温度センサや上位のコントローラなどから温度差に関する情報を結露防止運転回路32に入力することにより、温度差の条件が成立しているか否かを結露防止運転回路32に判定させればよい。
【0043】
結露防止運転回路32は、運転条件30aが成立していると判定した場合に、結露防止運転の実行の指示を無効電力指令回路34に入力する。結露防止運転の実行の指示は、例えば、第1主回路21に容量性無効電力を出力させ、第2主回路22に誘導性無効電力を出力させる情報、及び各無効電力の大きさの情報などを含む。
【0044】
無効電力指令回路34は、結露防止運転回路32からの結露防止運転の実行の指示の入力に応じて、第1主回路21及び第2主回路22のそれぞれに対する無効電力指令を生成し、生成した無効電力指令を制御回路36に入力する。無効電力指令回路34は、例えば、結露防止運転回路32から入力された指示に含まれる情報を基に、指示に応じた大きさの容量性無効電力を第1主回路21から出力させるための無効電力指令を生成するとともに、指示に応じた大きさの誘導性無効電力を第2主回路22から出力させるための無効電力指令を生成し、制御回路36に入力する。
【0045】
通常運転の動作においては、例えば、電力系統2の系統電圧の電圧値の情報などが無効電力指令回路34に入力され、系統電圧の電圧変動を抑制するための無効電力指令が無効電力指令回路34から制御回路36に入力される。
【0046】
制御回路36は、第1主回路21の動作を制御する第1出力制御回路41と、第2主回路22の動作を制御する第2出力制御回路42と、を有する。制御回路36は、無効電力指令回路34から入力された第1主回路21用の無効電力指令を第1出力制御回路41に入力し、無効電力指令回路34から入力された第2主回路22用の無効電力指令を第2出力制御回路42に入力する。
【0047】
第1出力制御回路41は、入力された無効電力指令に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号を第1主回路21に入力することにより、無効電力指令に応じた無効電力を第1主回路21に出力させる。同様に、第2出力制御回路42は、入力された無効電力指令に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号を第2主回路22に入力することにより、無効電力指令に応じた無効電力を第2主回路22に出力させる。
【0048】
これにより、結露防止運転の動作においては、運転条件30aの設定に応じた容量性無効電力が第1主回路21から出力されるとともに、実質的に同じ大きさの誘導性無効電力が第2主回路22から出力され、電力系統2への無効電力の出力を抑制しつつ、筐体16内の結露の発生が抑制される。そして、通常運転の動作においては、系統電圧の変動などに応じて第1主回路21及び第2主回路22のそれぞれから容量性無効電力又は誘導性無効電力が出力され、系統電圧の変動などが抑制される。
【0049】
なお、この例では、条件設定回路30で設定された運転条件30aを基に、結露防止運転を行うか否かを結露防止運転回路32で判断している。これに限ることなく、例えば、結露防止運転を行うか否かの判断は、上位のコントローラなどの外部の装置で行い、外部の装置からの指令を結露防止運転回路32に入力することにより、外部の装置からの指令に基づいて、結露防止運転の実行の指示を無効電力指令回路34に入力してもよい。この場合、条件設定回路30は、省略可能である。制御装置14の構成は、上記に限ることなく、通常運転及び結露防止運転を適切に行うことができる任意の構成でよい。
【0050】
図2は、実施形態に係る自励式無効電力補償装置の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図2に表したように、自励式無効電力補償装置10では、まず、条件設定回路30により、運転条件30aが設定される(図2のステップS101)。設定された運転条件30aは、条件設定回路30に記憶されるとともに、結露防止運転回路32に入力される。
【0051】
結露防止運転回路32は、条件設定回路30から入力された運転条件30aが成立しているか否かを判定する(図2のステップS102)。そして、結露防止運転回路32は、運転条件30aが成立していると判定したことに応じて、結露防止運転の実行の指示を無効電力指令回路34に入力する(図2のステップS103)。このように、制御装置14は、運転条件30aを記憶し、通常運転の動作を行っていない休止中に運転条件30aが成立した際に、結露防止運転の動作を行う。
【0052】
無効電力指令回路34は、結露防止運転回路32からの結露防止運転の実行の指示の入力に応じて、第1主回路21及び第2主回路22に逆極性の無効電力を出力させるための無効電力指令を生成し、生成した無効電力指令を制御回路36に入力する(図2のステップS104)。
【0053】
制御回路36の第1出力制御回路41は、入力された無効電力指令に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号を第1主回路21に入力する(図2のステップS105)。第1主回路21は、入力された無効電力指令に応じた容量性無効電力を出力する(図2のステップS106)。
【0054】
制御回路36の第2出力制御回路42は、入力された無効電力指令に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号を第2主回路22に入力する(図2のステップS107)。第2主回路22は、入力された無効電力指令に応じた誘導性無効電力を出力する(図2のステップS108)。
【0055】
第2主回路22は、入力された無効電力指令を基に、第1主回路21から出力される容量性無効電力の大きさと実質的に同じ大きさの誘導性無効電力を出力する。これにより、自励式無効電力補償装置10では、電力系統2への無効電力の出力を抑制しつつ、筐体16内の結露の発生を抑制することができる。また、結露の発生を抑制するためにスペースヒータなどの他の部材を追加する必要もなく、装置の大型化、部品点数の増加、及び構成の複雑化などを抑制することもできる。従って、本実施形態に係る自励式無効電力補償装置10では、装置の大型化や電力系統への悪影響を抑制しつつ、休止中における装置内(筐体16内)の結露の発生を抑制できるようにすることが望まれる。
【0056】
図3は、実施形態に係る自励式無効電力補償装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図3に表したように、自励式無効電力補償装置10aでは、主回路部12aが、第3主回路23をさらに有するとともに、制御装置14aの制御回路36が、第3出力制御回路43をさらに有する。なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は、省略する。
【0057】
第3主回路23の構成は、例えば、第1主回路21の構成及び第2主回路22の構成と同じである。第1主回路21~第3主回路23のそれぞれの構成は、電力系統2に対して容量性無効電力及び誘導性無効電力を供給可能な任意の構成でよい。
【0058】
制御装置14aでは、例えば、無効電力指令回路34が、結露防止運転回路32からの結露防止運転の実行の指示の入力に応じて、第1主回路21~第3主回路23のそれぞれに対する無効電力指令を生成し、生成した無効電力指令を制御回路36に入力する。第3出力制御回路43は、入力された無効電力指令に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号を第3主回路23に入力することにより、無効電力指令に応じた無効電力を第3主回路23に出力させる。
【0059】
制御装置14aは、通常運転の動作においては、系統電圧の変動の方向に応じて、第1主回路21~第3主回路23のそれぞれから出力する無効電力の極性を制御するとともに、系統電圧の変動の大きさに応じて、第1主回路21~第3主回路23のそれぞれから出力する無効電力の大きさを制御する。
【0060】
制御装置14aは、例えば、結露防止運転の動作においては、第1主回路21から容量性無効電力を出力させ、第2主回路22及び第3主回路23から誘導性無効電力を出力させるとともに、第1主回路21から出力する容量性無効電力の大きさが、第2主回路22及び第3主回路23から出力する誘導性無効電力の大きさと同じになるように、第1主回路21~第3主回路23の動作を制御する。
【0061】
制御装置14aは、例えば、結露防止運転の動作においては、第1主回路21から1メガバールの容量性無効電力を出力させ、第2主回路22及び第3主回路23のそれぞれから0.5メガバールの誘導性無効電力を出力させる。これにより、第2主回路22及び第3主回路23から出力する誘導性無効電力の大きさを、第1主回路21から出力する容量性無効電力の大きさと実質的に同じにし、上記の例と同様に、電力系統2への無効電力の出力を抑制しつつ、筐体16内の結露の発生を抑制することができる。なお、上記と反対に、第1主回路21から誘導性無効電力を出力させ、第2主回路22及び第3主回路23から容量性無効電力を出力させてもよい。
【0062】
図4は、実施形態に係る制御装置の動作の一例を模式的に表す表である。
図4に表したように、制御装置14aは、例えば、第1主回路21から容量性無効電力を出力する第1状態と、第2主回路22から容量性無効電力を出力する第2状態と、第3主回路23から容量性無効電力を出力する第3状態と、を有する。なお、図4では、便宜的に、容量性無効電力を正の値、誘導性無効電力を負の値として表している。
【0063】
制御装置14aは、例えば、結露防止運転の動作において、第1状態、第2状態、及び第3状態を所定のタイミングで順次切り替える。制御装置14aは、例えば、結露防止運転の開始時に第1状態を設定し、第1状態の設定から所定時間の経過に応じて第2状態に切り替え、第2状態の設定から所定時間の経過に応じて第3状態に切り替え、第3状態の設定から所定時間の経過に応じて再び第1状態に切り替える。このように、制御装置14aは、例えば、結露防止運転の動作において、第1状態、第2状態、及び第3状態を所定時間の経過毎に順次切り替える。
【0064】
例えば、図4に表した第1状態のように、第1主回路21から1メガバールの容量性無効電力を出力し、第2主回路22及び第3主回路23のそれぞれから0.5メガバールの誘導性無効電力を出力した場合、第1主回路21における発熱が、第2主回路22における発熱及び第3主回路23における発熱よりも大きくなってしまう。
【0065】
従って、制御装置14aは、結露防止運転の動作において、第1状態、第2状態、及び第3状態を所定のタイミングで順次切り替える。制御装置14aは、複数の主回路の数が奇数である場合、複数の主回路のうち、容量性無効電力を出力させる主回路、及び誘導性無効電力を出力させる主回路を、時間的に変化させる。これにより、主回路部12aに3つの主回路が設けられ、各主回路から出力される無効電力の大きさに偏りが生じる場合においても、各主回路での発熱に偏りが生じることを抑制することができる。
【0066】
なお、各状態を切り替えるタイミングは、必ずしも所定時間の経過に限るものではない。例えば、各主回路の温度差が所定以上になったタイミングで、各状態を切り替えてもよい。また、最初に設定する状態は、予め決められていてもよいし、例えば、結露防止運転の開始時において最も外気温との温度差が大きい主回路に、大きい無効電力を出力させるように、最初の状態を設定してもよい。
【0067】
図5は、実施形態に係る制御装置の別の動作の一例を模式的に表す表である。
図5に表したように、この例において、制御装置14aは、第1主回路21から出力する無効電力の極性及び大きさをsin tに設定し、第2主回路22から出力する無効電力の極性及び大きさをsin (t-2π/3)に設定し、第3主回路23から出力する無効電力の極性及び大きさをsin (t+2π/3)に設定する。なお、tは、結露防止運転の開始のタイミングからの経過時間である。この例では、図4と同様に、容量性無効電力を正の値、誘導性無効電力を負の値としている。例えば、図5に表したように、t=90秒の時には、sin90°=1となり、1メガバールの容量性無効電力が第1主回路21から出力され、sin-30°=-0.5となり、0.5メガバールの誘導性無効電力が第2主回路22から出力され、sin210°=-0.5となり、0.5メガバールの誘導性無効電力が第3主回路23から出力される。このように、出力する無効電力の極性及び大きさを正弦波状に変化させることによっても、出力する容量性無効電力の大きさを、誘導性無効電力の大きさと実質的に同じにすることができる。
【0068】
このように、第1主回路21~第3主回路23のそれぞれから出力する無効電力の極性及び大きさを正弦波状に変化させ、出力する容量性無効電力の大きさが、誘導性無効電力の大きさと実質的に同じになるようにしてもよい。これにより、各主回路での発熱に偏りが生じることを、より確実に抑制することができる。
【0069】
例えば、図5に表したように、複数の主回路から出力する正弦波状の無効電力の位相を主回路の数に応じてずらす。より詳しくは、主回路の数をnとするとき、複数の主回路から出力される正弦波状の無効電力の位相を2π/nずつずらす。図5の例では、主回路の数が3つであるため、2π/3(120°)ずつ位相をずらしている。これにより、複数の主回路から出力する無効電力の極性及び大きさを正弦波状に変化させつつ、出力する容量性無効電力の大きさを、誘導性無効電力の大きさと実質的に同じにすることができる。例えば、主回路の数が2つである場合に、180°ずつ位相をずらすことにより、出力する無効電力の極性及び大きさを正弦波状に変化させつつ、出力する容量性無効電力の大きさを、誘導性無効電力の大きさと実質的に同じにしてもよい。
【0070】
このように、主回路部12aに設けられる主回路の数は、2つに限ることなく、3つでもよい。主回路部12aに設けられる主回路の数が3つである場合には、例えば、図4に表した例のように、容量性無効電力を出力する主回路を所定のタイミングで順次切り替えたり、図5に表した例のように、主回路から出力する無効電力の極性及び大きさを正弦波状に変化させたりすることにより、容量性無効電力を出力させる主回路、及び誘導性無効電力を出力させる主回路を、時間的に変化させ、各主回路での発熱に偏りが生じることを抑制することが好ましい。
【0071】
また、主回路部12aに設けられる主回路の数は、3つ以上でもよい。主回路部12aに設けられる主回路の数は、偶数でもよいし、奇数でもよい。
【0072】
主回路の数が偶数である場合には、2つの場合と同様に、制御装置は、複数の主回路の半分から容量性無効電力を出力させ、複数の主回路の残り半分から誘導性無効電力を出力させることが好ましい。
【0073】
主回路の数が奇数である場合には、3つの場合と同様に、制御装置は、容量性無効電力を出力する主回路を所定のタイミングで順次切り替えたり、主回路から出力する無効電力の極性及び大きさを正弦波状に変化させたりすることにより、容量性無効電力を出力させる主回路、及び誘導性無効電力を出力させる主回路を、時間的に変化させ、各主回路での発熱に偏りが生じることを抑制することが好ましい。また、容量性無効電力を出力させる主回路、及び誘導性無効電力を出力させる主回路を、時間的に変化させる方法は、上記に限定されるものではない。例えば、主回路から出力する無効電力の極性及び大きさを三角波状に変化させることなどにより、時間的に変化させてもよい。容量性無効電力を出力させる主回路、及び誘導性無効電力を出力させる主回路を、時間的に変化させる方法は、容量性無効電力の大きさと誘導性無効電力の大きさとを実質的に同じにしつつ、各極性の無効電力を出力する主回路を時間的に変化させることが可能な任意の方法でよい。
【0074】
主回路部の構成は、複数の主回路を有し、複数の主回路のそれぞれから容量性無効電力及び誘導性無効電力を出力可能な任意の構成でよい。制御装置の構成は、主回路部に設けられた複数の主回路のいずれかから容量性無効電力を出力させ、複数の主回路の別のいずれかから誘導性無効電力を出力させるとともに、容量性無効電力の大きさが、誘導性無効電力の大きさと同じになるように、複数の主回路の動作を制御する任意の構成でよい。例えば、主回路部に設けられた主回路の数が3つである場合には、3つの主回路のうちの1つから容量性無効電力を出力し、3つの主回路のうちの別の1つから誘導性無効電力を出力し、残りの1つの主回路を休止状態としてもよい。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
2…電力系統、 10、10a…自励式無効電力補償装置、 12、12a…主回路部、 14、14a…制御装置、 16…筐体、 21…第1主回路、 22…第2主回路、 23…第3主回路、 30…条件設定回路、 30a…運転条件、 32…結露防止運転回路、 34…無効電力指令回路、 36…制御回路、 41…第1出力制御回路、 42…第2出力制御回路、 43…第3出力制御回路
図1
図2
図3
図4
図5