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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】回転可能なコアを有する撮像プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20231208BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20231208BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 526
A61B1/00 552
A61B1/313 510
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021123806
(22)【出願日】2021-07-29
(62)【分割の表示】P 2018544894の分割
【原出願日】2017-02-27
(65)【公開番号】P2021176571
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】62/300,583
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513193738
【氏名又は名称】サニーブルック リサーチ インスティチュート
(73)【特許権者】
【識別番号】513112061
【氏名又は名称】コナヴィ メディカル インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コートニー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ソーング,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャファリ,デニズ
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-099589(JP,A)
【文献】特開平10-230016(JP,A)
【文献】特表2013-544176(JP,A)
【文献】特開2006-149484(JP,A)
【文献】特開平11-089841(JP,A)
【文献】特表2010-516305(JP,A)
【文献】米国特許第05427107(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61B 1/00 - 1/32
A61B 5/00
A61M 25/00 -25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面と内面を含み細長いシースであり、前記内面が主ルーメンを区画する、細長いシースと、
前記主ルーメン内に延在した回転可能な導管であり、前記回転可能な導管の近位端が、前記回転可能な導管に回転を与えるための回転駆動機構に接続可能である、回転可能な導管と、
前記回転可能な導管の前記近位端から離れた位置で、前記回転可能な導管に機械的に結合された撮像アセンブリであり、前記回転可能な導管を通して延びる撮像信号導管を介して、外部制御および画像処理のハードウェアに接続可能である、撮像アセンブリと、
前記内面と前記外面との間において前記細長いシース内に位置する姿勢検出構成要素と、
前記撮像アセンブリの回転位置の情報を提供するための回転エンコーダであり、遠位回転エンコーダインターフェースを備える回転エンコーダと、
を備えた撮像プローブであり、
前記回転エンコーダは、前記遠位回転エンコーダインターフェースと通信する回転エンコーダ信号送達導管を介して、前記外部制御および画像処理のハードウェアに接続可能であり、
前記遠位回転エンコーダインターフェースは、前記撮像アセンブリとともに回転するように構成され、
前記回転エンコーダの感知機構は、前記細長いシース内に埋め込まれており、
前記遠位回転エンコーダインターフェースと前記撮像アセンブリは、前記撮像プローブ内の遠位方向に沿って、前記姿勢検出構成要素の遠位端を越えて存在し、
前記撮像プローブは、血管内撮像プローブであって、
前記撮像アセンブリの横方向範囲は、前記細長いシースの前記主ルーメンの直径を超えており、これにより、前記撮像アセンブリは、前記細長いシースの遠位端を超えた遠位に位置し、
前記撮像プローブは、前記撮像アセンブリを収容する遠位先端部をさらに備えており、前記遠位先端部の近位部分は、前記細長いシースの遠位部分に接合されて、重なっている、撮像プローブ。
【請求項2】
前記遠位先端部の外径は、前記細長いシースの遠位部分の外径以下である、請求項に記載の撮像プローブ。
【請求項3】
前記遠位回転エンコーダインターフェースが、前記細長いシースの前記遠位端と前記撮像アセンブリの近位端との間に存在する、請求項に記載の撮像プローブ。
【請求項4】
前記撮像プローブは、剛性補強部材をさらに備えており、前記剛性補強部材は、前記細長いシースの内面に接触するか、前記細長いシースの内に埋め込まれ、かつ、前記細長いシースの遠位領域内において長手方向範囲を有するように、細長いシース内に位置している、請求項に記載の撮像プローブ。
【請求項5】
前記回転エンコーダ信号送達導管が、前記細長いシースの前記内面と前記外面との間にある、請求項1に記載の撮像プローブ。
【請求項6】
前記回転エンコーダ信号送達導管が、前記細長いシースのサイドルーメン内にある、請求項に記載の撮像プローブ。
【請求項7】
前記姿勢検出構成要素が、前記細長いシースの前記内面と前記外面との間に存在する姿勢検出信号送達導管を介して、前記外部制御および画像処理のハードウェアに接続可能である電磁の姿勢センサを備える、請求項1に記載の撮像プローブ。
【請求項8】
前記姿勢検出信号送達導管が、前記細長いシースのサイドルーメン内にある、請求項に記載の撮像プローブ。
【請求項9】
前記姿勢センサが主ルーメンを取り囲む導電性巻線を含み、前記姿勢検出信号送達導管が前記導電性巻線と電気的に連通している、請求項に記載の撮像プローブ。
【請求項10】
前記姿勢検出構成要素は、外部の姿勢検出回路によって、姿勢検出のために、電磁場を発生するように構成された電磁エミッタを備えており、前記電磁エミッタは、前記細長いシースの前記内面および前記外面の間にある姿勢エミッタ導管を介して、前記外部制御および画像処理のハードウェアに接続可能となっている、請求項1に記載の撮像プローブ。
【請求項11】
前記電磁場が時間で変動する電磁場である、請求項10に記載の撮像プローブ。
【請求項12】
前記電磁場が静的な磁場である、請求項10に記載の撮像プローブ。
【請求項13】
前記電磁エミッタは前記主ルーメンに囲まれた導電性配線を備え、前記姿勢エミッタ導管は前記導電性配線と電気的に連通している、前記請求項10に記載の撮像プローブ。
【請求項14】
前記姿勢検出構成要素が磁石を備える、請求項1に記載の撮像プローブ。
【請求項15】
前記姿勢検出構成要素はインピーダンスベースの姿勢感知のためのいくつかの電極を備える、請求項1に記載の撮像プローブ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の前記撮像プローブであって、前記外部制御と画像処理のハードウェアに操作可能に結合された撮像プローブを備えて、
前記外部制御と画像処理のハードウェアは、動作を実行するように構成されており、
3次元画像データを含む画像データセットを取得するように、前記撮像アセンブリを制御し、
前記姿勢検出構成要素によって生成された、対応する姿勢検出信号または前記姿勢検出構成要素から検出された、対応する姿勢検出信号を受け取り、かつ、前記回転エンコーダから対応する回転エンコーダ信号を受け取り、
構造を示す3次元表現を生成するために、前記姿勢検出信号、前記回転エンコーダ信号、および画像データを処理する、撮像システム。
【請求項17】
前記画像データセットは、複数の画像データサブセットを含み、前記各画像データサブセットは、異なる入射角にしたがって前記構造を特徴付けるものであり、前記外部制御と画像処理のハードウェアは、追加の動作を実行するようにさらに構成されており、
前記複数の画像データサブセットを処理して、前記各画像データサブセットについて、対応する入射角を推定し、
前記構造の前記3次元表現を生成したときに、1つまたはそれ以上の好ましい入射角に対応する前記画像データを使用する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記画像データセットは、複数の画像データサブセットを含み、前記各画像データサブセットは、前記撮像アセンブリと前記構造と間の異なる距離にしたがって前記構造を特徴付けるものであり、前記外部制御と画像処理のハードウェアは、追加の動作を実行するようにさらに構成されており、
前記複数の画像データサブセットを処理して、前記各画像データサブセットについて、前記撮像アセンブリと前記構造と間の距離を推定し、
前記構造の前記3次元表現を生成したときに、1つまたはそれ以上の好ましい距離に対応する画像データを使用する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
構造の3次元画像を生成するための撮像プローブを制御する方法であって、
動作を実行するために、請求項1~15のいずれか一項に記載の撮像プローブに、制御信号を送信し、
前記3次元画像の画像データを含む画像データセットを取得し、
前記姿勢検出構成要素によって生成された、対応する姿勢検出信号または前記姿勢検出構成要素から検出された、対応する姿勢検出信号を受け取り、かつ、前記回転エンコーダから対応する回転エンコーダ信号を受け取り、
前記構造を示す3次元表現を生成するために、前記姿勢検出信号、前記回転エンコーダ信号、および前記画像データを処理する、方法。
【請求項20】
前記画像データセットは、複数の画像データサブセットを含み、前記各画像データサブセットは、異なる入射角にしたがって前記構造を特徴付けるものであり、
前記方法は、
前記複数の画像データサブセットを処理して、前記各画像データサブセットについて、対応する入射角を推定することと、
前記構造の前記3次元表現を生成したときに、1つまたはそれ以上の好ましい入射角に対応する画像データを使用することと、をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記画像データセットは、複数の画像データサブセットを含み、前記各画像データサブセットは、前記撮像アセンブリと前記構造と間の異なる距離にしたがって前記構造を特徴付けるものであり、
前記方法は、
前記複数の画像データサブセットを処理して、前記各画像データサブセットについて、前記撮像アセンブリと前記構造と間の距離を推定することと、
前記構造の前記3次元表現を生成したときに、1つまたはそれ以上の好ましい距離に対応する画像データを使用することと、をさらに含む請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2016年2月26日に出願された「IMAGING PROBE WITH ROTATABLE CORE」という名称の米国仮特許出願第62/300,583号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、高周波超音波及び光コヒーレンス断層撮影法を含む高分解能撮像を使用して哺乳動物の組織及び構造を撮像する撮像プローブの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
身体の最小侵襲性撮像は、たとえば、i)組織構造及び解剖学的構造の評価、ii)身体の局所的領域への介入の計画及び/又は誘導、並びにiii)局所的領域の構造、組成、又は他の特性を変える介入の結果の評価のいずれかを含む複数の目的を果たす。最小侵襲性撮像は、たとえば、超音波及び光撮像方法を指すことができる。最小侵襲性超音波は、血管内及び心臓内の処置にとって非常に有用である。これらの応用例では、体内へ挿入することができるカテーテル又は他のデバイス内へ、超音波トランスデューサが組み込まれる。例として、最小侵襲性超音波の二つの例示的な実装形態には、血管を撮像する血管内超音波(IVUS)、及び心腔を撮像する心腔内心エコー法(ICE)が挙げられる。ICE及びIVUSはどちらも最小侵襲性であり、これらの構造の高品質画像を撮るために、血管又は心腔内に一つ以上の超音波トランスデューサを配置することを伴う。
【0004】
医療分野で使用される光ファイバ技術に基づく光撮像方法には、光コヒーレンス断層撮影法、血管顕微法、近赤外分光法、ラマン分光法、及び蛍光分光法が含まれる。これらの診断法では、典型的に、撮像部位と撮像検出器との間でシャフトに沿って光エネルギーを伝送するために、一つ以上の光ファイバを使用する必要がある。光コヒーレンス断層撮影法は、超音波に対する光学的な類似法であり、1~30ミクロン程度の撮像分解能を提供するが、ほとんどの場合、超音波ほど組織内へ深く侵入しない。光ファイバはまた、組織のレーザアブレーション及び光線力学療法などの治療手技のためにエネルギーを送達するために使用することができる。本開示に関係する撮像の追加の形態には、プローブを使用して患者内の部位を撮像し、スペクトルの可視又は赤外範囲内の光の後方反射に基づいて画像を得ることを伴う血管顕微法、内視鏡検査、及び他の類似の撮像機構が含まれる。高分解能撮像のさらに追加の形態では、音響エネルギーを使用して光エネルギーを生成すること(音ルミネセンス撮像)又は光エネルギーを使用して音響エネルギーを生成すること(光音響撮像)ができる。
【0005】
最小侵襲性撮像は、消化器系、循環器系(冠状動脈、末梢血管系、及び神経血管系を含む)、皮膚、眼(網膜を含む)、泌尿生殖系、胸部組織、肝組織などを含む哺乳動物の解剖学的構造のいくつかの異なる領域を評価するために、多くの形態で実施されてきた。例として、高周波超音波又は光コヒーレンス断層撮影法による循環器系の撮像は、動脈プラークの構造及び組成を評価するために開発されてきた。高分解能撮像は、血管又はプラークの幾何形状、病的動脈を通る血液の流れ、並びに動脈プラークに対する介入(粥腫切除術、血管形成術、及び/又はステント留置術などによる)の効果を測定するために使用されてきた。また、高分解能撮像を使用して、臨床症状は生じていないが破裂若しくは腐食及び急性心筋梗塞のリスクが増大している血管病変を識別するための試みがなされてきた。これらのいわゆる「脆弱性プラーク」は、不都合な臨床事象を回避するためにそのようなプラークを治療できる可能性は概念的には魅力的であるため、非常に興味深い領域である。しかし、現在のところ、これに関して有効性を実証した特定の撮像診断法はない。
【0006】
ますます関心を集めている領域は、構造的心疾患の処置及び電気生理学的処置のために画像誘導を使用することである。デバイス(卵円孔開存用の閉鎖デバイス、弁修復若しくは置換デバイス、左心耳閉鎖デバイスなど)の移植、又は治療用カテーテル(アブレーション若しくは凍結療法カテーテルなど)の配置などの治療手技を実行するためには、多くの場合、心腔内の特有の位置にカテーテルを配置することが必要である。また、心臓の心房中隔の横断など、処置中の中間ステップを誘導することが必要になることもある。最小侵襲性撮像を使用することで、これらのステップを容易にすることができる。
【0007】
最小侵襲性超音波の中心周波数は、典型的には、3~100MHzの範囲内にある。より高い周波数の場合、より高い分解能を提供するが、信号の侵入が小さくなり、したがって視野も小さくなる。侵入の深さは、トランスデューサの中心周波数及び幾何形状、トランスデューサの感度、撮像が行われる媒質の減衰、システムの信号対雑音比に影響を及ぼす実装特有の仕様などのいくつかのパラメータに応じて、1ミリメートル未満から数センチメートルの範囲とすることができる。
【0008】
光コヒーレンス断層撮影法は、概して、超音波より優れた分解能を有し、血管及び他の組織内のいくつかの構造又は構成要素をより良好に識別する可能性を有する。また、石灰化した構成要素などの特定の組織の構成要素に対して、超音波より良好な侵入を有することができる。たとえば、線維被膜の厚さ又は動脈の表面付近の炎症性若しくは壊死性領域の存在は、光コヒーレンス断層撮影法によってより良好に分解することができる。しかし、ほとんどの生体媒質において、光コヒーレンス断層撮影法は、その侵入深さが小さい(500~3000ミクロン程度)ことによって制限される。そのような媒質のほとんどは、光透過性でない。
【0009】
血管顕微法、内視鏡検査、気管支鏡検査、及び多くの他の撮像デバイスが記載されており、哺乳動物の体内の導管及び構造(血管、消化器の管腔、及び呼吸器系など)の視覚化が、剛性又は可撓性シャフトの遠位端付近で体内の領域を照らすという原理に基づいて可能になる。次いで、シャフトの端部付近の光検出器アレイ(CCDアレイなど)又は光ファイバの束により、シャフトの遠位端から受け取った光を近位端へ伝送することによって、画像が作成され、光検出器又は他のシステムにより、操作者は照らされた領域を表す画像を生成し又は見ることが可能になる。ファイバの束は、他の欠点の中でも、嵩が大きく、シャフトの柔軟性を低減させる。
【0010】
これらの撮像プローブ及び可撓性カテーテルの多くは、ルーメンを通って延在する回転可能な導管に依拠している。回転可能な導管は、回転可能な導管の近位端に機械的に接続可能であり又は取り付けられている回転駆動機構によって回転させられる。一つ以上の撮像アセンブリが、撮像アセンブリが回転可能な導管とともに回転するように、回転可能な導管の近位端から離れた点で、回転可能な導管に取り付けられている。撮像アセンブリは、超音波トランスデューサ又は光エミッタ/レシーバなど、撮像エネルギーのエミッタ及び/又はレシーバを収容することができる。
【0011】
最小侵襲性デバイスは、典型的には、体内へ前進するように設計された細長い区分を有する。細長い区分は、細長い区分を前進させるどの外科的侵入部位又はオリフィスもサイズが最小になるように、小さい最大横断面積を有するように設計される。これには、体内へのデバイスの挿入に関係する出血、不快、外傷、及び他の態様のリスクを最小にする傾向がある。
【0012】
診断及び/又は治療の目的でカテーテルが使用され、様々なセンサ及びアクチュエータがカテーテル上に取り付けられており、且つ/又はカテーテルのルーメン内に埋め込まれている。カテーテルは、光撮像、光学分光法、蛍光、赤外、心臓内視鏡検査、音響撮像、光音響撮像、サーモグラフィ、及び磁気共鳴撮像などの撮像診断法を用いる撮像デバイスを装備することができる。たとえば、超音波又は光撮像デバイスを用いて、動脈の狭窄領域などの身体の病的部分を特定及び診断することができる。カテーテルはまた、バルーン血管形成術、レーザアブレーション、回転性粥腫切除術、ペーシング、方向性粥腫切除術などを含む介入技法を実行するために使用されるものなどの治療デバイスを備えることができる。加えて、カテーテルは、電磁位置/向き追跡センサ、温度センサ、及び力測定センサなどのセンサを装備することができる。
【0013】
血管内カテーテルは、血管構造内への送達を可能にするために、小型の構成を有することが必要とされる。たとえば、血管内超音波及び心腔内心エコー法に現在用いられているカテーテルは、直径約0.8~4mmであり、血管の内径が先細りしているとき、又は病的血管が狭窄されているとき、プローブのサイズが小さければ小さいほど、冠状動脈の解剖学的構造の血管樹内でより遠位へ送達することができる。しかし、撮像アセンブリを装備するカテーテルはまた、どれだけ小さく小型に構築することができるかに制限され、したがってカテーテルの遠位端の内径が制限される。
【0014】
カテーテルの外側シースの区分は、典型的には、生体適合材料、通常はプラスチックの一つ以上の層から作られており、金属又は他の編組材料で補強しても補強しなくてもよい。可撓性トルクケーブルなどの回転可能な導管に依拠するほとんどの血管内撮像カテーテルは、撮像コア及び外側シースとともに組み立てられる。外側シースの遠位端は、閉じることができ、又はさらには、内側コアが生理的食塩水などの媒質で一杯になったときに気泡若しくは他の媒質の流出を可能にするために、小さい開口をその中に有することができ、それにより撮像エネルギーが少ない損失及び/又は歪みでカテーテルから放射されることが可能になる。組立ての際、撮像アセンブリ及び回転可能な導管の遠位端は、外側シースの主ルーメン内へ近位から遠位に前進させられる。撮像コアは、回転可能な導管及び撮像アセンブリを備える。撮像コアの近位端にはハウジングが結合され、外側シースの近位端に何らかの形で機械的に結合される。
【0015】
この組立て方法により、シースは、そのルーメンの近位侵入部位から、撮像アセンブリが動作中に位置することが定められているシースの長軸に沿った最終位置へ延在するシースの部分に沿って、十分に大きい内側横断面積を有するように制限される。これにより、撮像アセンブリのサイズ及び超音波開口のサイズは、回転可能な導管が位置するシースの内側ルーメンに収まるのに十分に小さくなるように制限される。
【0016】
内側ルーメンのサイズは、シースの壁によって占有される横断面の部分より小さい外側サイズ(すなわち、典型的な場合のように円形の横断面を有するカテーテルに対する外径)に制限される。壁は、カテーテルにとって必要な機械的性能を提供するのに適した厚さ、及びトルク伝達性、押し込み性、内側ルーメンと周囲環境との間に差圧が存在するとき(洗浄中など)の耐破裂性、並びに他の類似の機械的特徴を有していなければならない。壁は、当技術分野では知られている金属編組又は他の材料などの補強材料で補強することができる。
【0017】
カテーテル及び他の最小侵襲性デバイスを製造する当技術分野の接合方法にはいくつかあり、熱接合、レーザ溶接、接着剤(UV硬化性接着剤を含む)の使用、超音波溶接、プレス嵌め、コネクタを使用する締付け、その他多くのものが含まれる。各方法には、独自の利点及び欠点がある。熱可塑性ポリマー(ナイロン、ペバックス、ポリエチレンなど)の押出成形品などのカテーテル区分の接合に使用される技法の中で、好ましい技法の一つとして、熱接合の使用が挙げられる。カテーテルの二つの区分をともに熱接合することは、典型的には、連結するカテーテル区分の上に熱収縮性ポリマーチューブを配置しながら、二つのカテーテル区分のルーメンのいくつか又はすべての中に心棒を有することを伴う。次いで、カテーテルに熱を加えて、熱収縮性チューブを収縮させながら、カテーテル区分のポリマー材料を柔らかくしてリフローさせ、最終的に二つの区分をともに接合する。心棒は、リフロープロセス中に変形しやすいこれらのルーメンの完全性を保つ。ルーメンの内側ライニングはまた、PTFEライナなどのライナを有することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本開示は、回転可能なコアを有し、回転可能なコアが位置するルーメンより直径が大きい撮像アセンブリを回転させることを可能にする撮像プローブ、並びに前記プローブを構築する方法を提供する。撮像プローブは、循環器の処置で使用するための概して細長い可撓性の撮像カテーテルである。回転可能なコアを保持するためにより小さいルーメンを有することができると、他の機能的構成要素をカテーテルに含むことが簡略化され、作成される画像の品質を改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の態様では、撮像プローブを組み立てる方法であって、
内側ルーメン及び遠位開口を有する細長いシースを提供することと、
撮像アセンブリが、前記細長いシースの前記遠位開口から延在するように、前記撮像アセンブリの横方向範囲が、前記細長いシースの前記内側ルーメンの直径より大きく、前記撮像アセンブリが、回転可能な導管の遠位端に接続されるように、前記細長いシースの前記遠位開口を通って前記回転可能な導管及び前記撮像アセンブリを挿入することと、
遠位端及び開かれている近位端を有する遠位先端部を提供することと、
前記遠位先端部の近位部分が、接触領域にわたって前記細長いシースに接触して重なるように、前記撮像アセンブリの上に前記遠位先端部を挿入することと、
前記接触領域に対する熱の局所的な印加を介して実行することで、前記遠位先端部を前記細長いシースに接合することと、を含む方法が提供される。
【0020】
別の態様では、
内側ルーメン及び遠位開口を有する細長いシースと、
前記内側ルーメンを通って延在する回転可能な導管であり、前記回転可能な導管の遠位端に、撮像アセンブリが接続されており、前記撮像アセンブリの横方向範囲が、前記細長いシースの前記内側ルーメンの直径より大きく、したがって前記撮像アセンブリが、前記細長いシースの遠位開口から延在する、回転可能な導管と、
前記撮像アセンブリを収容する遠位先端部であり、遠位先端部の近位部分が、前記細長いシースの遠位領域に接合され、好ましくは前記細長いシースの遠位領域に重複する、遠位先端部とを備える撮像プローブが提供される。
【0021】
本開示の機能的且つ有利な態様のさらなる理解は、以下の詳細な説明及び図面を参照することによって実現することができる。
【0022】
実施形態について、例示のみを目的として、図面を参照して次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】例示的な医療用プローブのシースの構成要素を示す図である。
図2A】プローブシースの異なる部分を接合するときに継手が形成される場所を示す、図1に示すプローブシースの縦断面図である。
図2B】シースの細長い近位部分を通って横断面が切り取られた、図1に示すプローブシースの横断面図である。
図2C】シースのより柔らかい遠位部分を通って横断面が切り取られた、図1に示すプローブシースの横断面図を示す。
図2D】シースの遠位先端部分を通って横断面が切り取られた、図1に示すプローブシースの横断面図である。
図3A】シースの構成要素を接合した後の図1に示すプローブシースの縦断面図である。
図3B】近位方向/領域からの撮像アセンブリ及び撮像導管の導入を示す、図1に示すプローブシースの縦断面図である。
図3C】遠位先端部又はその付近に位置する撮像アセンブリを示す、図1に示すプローブシースの縦断面図である。
図4】遠位撮像アセンブリの径方向範囲が、細長い近位シースの内半径より大きく、遠位先端部が、剛性補強部材によって機械的に支持されながら、細長い近位シースに接合されている、撮像プローブの例示的な実施形態を示す図である。
図5】遠位先端部の接合前に細長い近位シースを剛性支持部材に接合するときの心棒の使用を示す図である。
図6A】遠位撮像アセンブリの径方向範囲が、細長い近位シースの内半径より大きく、細長い近位シースが、姿勢センサと、回転エンコーダインターフェースと光通信する光ファイバとを含む、撮像プローブの例示的な実施形態を示す図である。
図6B図6Aに示す線E-Eを通る横断面を示す図である。
図7】回転エンコーダ機構の例示的な回転エンコーダ基板を示す図である。
図8】遠位撮像アセンブリの径方向範囲が、細長い近位シースの内半径より大きく、細長い近位シースが、導電性配線を含む、撮像プローブの例示的な実施形態を示す図である。
図9】遠位撮像アセンブリの径方向範囲が、細長い近位シースの内半径より大きく、細長い近位シースが、磁石が取り付けられた傾斜可能なトランスデューサを作動させるための磁場を生成することが可能な導電性配線を含む、撮像プローブの例示的な実施形態を示す図である。
図10】画像データに関連する計算された入射角及び/又は近接度を用いて、3D画像を選択的に更新する、例示的な方法を示す流れ図である。
図11】超音波撮像、光撮像、又はその両方のための例示的な撮像システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の様々な実施形態及び態様について、以下で論じる詳細を参照して説明する。以下の説明及び図面は、本開示の例示であり、本開示を限定すると解釈されるべきではない。本開示の様々な実施形態の徹底的な理解を提供するために、多数の特有の詳細について説明する。しかし、特定の例では、本開示の実施形態の具体的な議論を提供するために、よく知られている又は従来の詳細については説明しない。
【0025】
本明細書では、「含む、備える(comprises)」及び「含む、備える(comprising)」という用語は、排他的ではなく包括的でオープンエンドであると解釈されたい。具体的には、本明細書及び特許請求の範囲では、「含む、備える(comprises)」及び「含む、備える(comprising)」という用語、並びに及びこれらの変形は、指定された特徴、ステップ、又は構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ、又は構成要素の存在を排除すると解釈されるべきではない。
【0026】
本明細書では、「例示的な(exemplary)」という用語は、「一例、事例、又は説明の役割をする(serving as an example, instance, or illustration)」ことを意味し、本明細書に開示する他の構成より好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0027】
本明細書では、「約(about)」及び「約(approximately)」という用語は、特性、パラメータ、及び寸法の変動など、値の範囲の上限及び下限内に存在しうる変動を包含することを意味する。別段の指定がない限り、「約(about)」及び「約(approximately)」という用語は、±25パーセント以下を意味する。
【0028】
別段の指定がない限り、任意の指定された範囲又はグループは、範囲又はグループのあらゆる部材を個々に参照し、並びにその中に包含されるあらゆる可能な部分範囲又はサブグループを参照し、同様にその中の任意の部分範囲又はサブグループを参照する簡潔な言い方であることを理解されたい。別段の指定がない限り、本開示は、部分範囲又はサブグループのあらゆる特有の部材及び組合せに関し、それらを明示的に組み込む。
【0029】
本明細書では、「程度(on the order of)」という用語は、数量又はパラメータとともに使用されるとき、記載の数量又はパラメータの約10分の1から10倍に及ぶ範囲を指す。
【0030】
本開示は、より小さい内径の中心ルーメンに対して遠位により大きい内径を有するシースを有する医療用プローブの様々な例示的な実施形態を提供する。より大きい内径を有する区分は、シースの近位端から離れている。いくつかの例示的な実施形態では、この設計は、遠位先端部をシースの遠位端にレーザ溶接すること、又はカテーテル内の剛性補強部材と組み合わせて熱収縮性リフロープロセスによる局所的な熱接合を使用することによって可能になる。
【0031】
図1は、閉じているドーム状の遠位端と撓むことができる先端部とを有する例示的な撮像プローブ100(たとえば、カテーテル)のシースのいくつかの区分の分解斜視図を示す。細長い近位区分110は、主ルーメン115、略円形の横断面、及び壁を有する。プルワイヤ120のための別個のルーメン125も存在し、ルーメン125は、当技術分野では知られているように、ポリイミドチューブなどの別個の一片の薄壁チューブを含むことによって、又はマルチルーメン押出成形品として構築されたものとすることができる。概してより柔らかい材料(近位区分110に対して)を有するより柔らかい遠位区分130もまた、主ルーメン135と、プルワイヤ120のためのルーメンとを有する。遠位区分130はまた、プルリング138を含み、プルリング138は、典型的には、金属から作られており、スエージ加工又は当技術分野では知られている他のプロセスによって、より柔らかい区分内に含まれたものとすることができる。プルワイヤ120は、シースの近位端から、近位区分110のプルワイヤルーメン125を通り、より柔らかい区分130のプルワイヤルーメンを通って延在し、レーザ溶接などによってプルリング138に取り付けられる。
【0032】
遠位先端部140は、遠位ドーム142によって終端されており、遠位先端部140の壁を通って撮像エネルギーの伝送を可能にするに適した特性を有する材料から形成される。
【0033】
遠位先端部140は、たとえば、先端部形成プロセス、熱風ステーション、又は射出成形によって形成することができる。遠位先端部140用の材料は、機械的強度、音響減衰、光学的明澄度などのその特性に対して選択することができる。遠位先端部140の壁の厚さもまた、類似の考慮によって設計することができる。
【0034】
図2Aは、図1に示す撮像プローブ100のシースの構成要素、すなわち細長い近位区分110、より柔らかい区分130、及び遠位先端部140の壁の縦断面図を示す。図2Bは、細長い近位区分110の横断面を示し、図2Cは、より柔らかい遠位区分130のうちプルリング138が位置する部分の横断面を示し、図2Dは、遠位先端部140の近位部分の横断面を示す。
【0035】
次いでこれらの様々な区分は、遠位先端部140の中空部分を含むこれら三つの区分の主ルーメンを占有する心棒を使用し、アセンブリの周りにヒートシュリンクを配置し、制御された形で熱を印加し、次いで心棒及びヒートシュリンクを除去することで、ともに連結することができる。図2Aでは、細長い近位区分110とより柔らかい区分130との間に、突合せ継手150が示されている。より柔らかい区分130と遠位先端部140との間には、重ね継手155が示されている。カテーテルの構築では、近位区分110、より柔らかい区分130、及び遠位先端部140を個別のステップで連結し、近位区分110及びより柔らかい区分130が連結された後にプルワイヤルーメン125を組み込む、又は近位区分110及びより柔らかい区分130に編組及び外側ジャケットを追加するなど、他の動作順序が望ましい可能性もある。
【0036】
図3Aは、細長い近位区分、より柔らかい区分、及び遠位先端部が、継手155及び150でともに連結された後の外側シースの遠位部分を、遠位先端部140及びプルワイヤ120とともに示す。使用者がプルワイヤ120の近位端をシースに対して引っ張った場合、シースのうちプルワイヤ120が位置する側が短くなり、より柔らかい区分がその方向に撓む。
【0037】
図3Bは、シースの近位端から遠位端の方へ前進させられている回転可能な撮像導管160(好ましくは、可撓性トルクケーブル)及び遠位撮像アセンブリ170(超音波トランスデューサなど)の前進を示す。回転可能な撮像導管を有する撮像カテーテルの例は、全体として参照により本明細書に組み込まれている、米国特許公開第20090264768号に見ることができる。
【0038】
図3Cは、撮像アセンブリ170が遠位先端部140と位置合わせされたときの回転可能な撮像導管170の位置を示し、遠位先端部140は、超音波又は光などの撮像エネルギーが撮像アセンブリ170とカテーテルの遠位先端部140の外の領域との間を進むための撮像窓として作用する。
【0039】
可能な限り最小の侵襲性にするには、細長い区分の横断面積を最小にすることが望ましいが、多くの場合、超音波トランスデューサなどのデバイス内の機能的構成要素のサイズは最大にすることが望ましい。より大きい開口の超音波トランスデューサは、より小さい開口のトランスデューサより感度が良い傾向がある。さらに、トランスデューサの超音波ビームは、より大きい開口のサイズを有する場合、より長い軸方向距離にわたって(すなわち、超音波の伝播軸に沿って)より良好に集束される傾向がある。
【0040】
さらに、カテーテル構成要素をともに接合するために、レーザ溶接、超音波溶接、又は対流、伝導、若しくは放射を介した熱の印加などの熱処理を使用するとき、カテーテルの付近の構成要素に望ましくない損傷を引き起こさないことが重要である。米国特許公開第20090264768号に開示されているような複雑な走査機構を有するものなどの撮像カテーテルでは、電気導体上の絶縁、被覆、プラスチックハウジング構成要素、エポキシ、薄壁を有することが多い撮像先端部、又は走査機構の組立てで使用される他の接着剤など、撮像アセンブリのいくつかの構成要素は、過度の熱の影響を受けやすい可能性がある。
【0041】
これらの問題に対処する撮像アセンブリを有する撮像カテーテルの例示的な実施形態が、図4に示されている。図4に示すように、撮像アセンブリ170は近位区分より大きく、カテーテルの先端部に撮像アセンブリ170を含み、撮像アセンブリ170は、そこに取り付けられた近位区分110の主ルーメン115より大きい直径を有する。図4に示す例示的な実施形態は、遠位先端部140に接合された細長い近位部分110を示すことに留意されたい。遠位先端部は、代わりに、図2~C及び図3A~Cにより柔らかい中間シース部分として示されている中間シース部分に接合することもできることが理解されよう。近位シース部分110は、遠位先端部140と同様に、ポリエチレン押出成形品から作ることができるが、別法として、二つのプラスチック押出成形品が互いに適合しており、強い接合を形成することができることを条件として、任意の他の医療グレードのプラスチックを用いることができる。撮像アセンブリは、完全又は部分的に回転可能とすることができる。
【0042】
図4に示す撮像カテーテルを組み立てる一つの例示的な方法では、撮像アセンブリ170及び回転可能な撮像導管160は、遠位先端部140が取り付けられる前に、回転可能な撮像導管160の部分内に位置する電気リード、光ファイバ、フラッシュルーメン、及び他の構成要素とともに、シースの遠位端から挿入される。次いで遠位先端部140は、近位シース部分110上に配置され、剛性補強部材180の上にある重複区分175で、これら二つのプラスチックが接合される。いくつかの例示的な実装形態では、剛性補強部材180は、撓み機構に対するプルリング及び/又はマーカバンドなど、カテーテル設計の2重の目的を果たすことができる。
【0043】
一つの例示的な実装形態では、遠位先端部140は、ヒートシュリンク及び熱の局所的な印加を使用して、近位シース部分110に接合される。剛性補強部材180は、領域175内で外径方向の力を提供することによって、心棒と同様に作用し、遠位先端部140及び近位シース部分110は、内径方向の力を提供するヒートシュリンクによってともに圧縮される。剛性補強部材180は、この目的のためだけに設けられた別個の中空の円筒とすることができる。低温ヒートシュリンクを用いることができ、低温ヒートシュリンクは、近位シース部分110を形成するプラスチック材料の融点より低い温度で収縮する組成を有する。たとえば、ポリオレフィン熱収縮性チューブは、摂氏約175度の融点を有するペバックス7233の融解温度に比べて、摂氏約90度で活性化することができる。ヒートシュリンクは、アセンブリ全体をともに保持するのに十分な圧力を提供する。このプロセスは、ヒートシュリンクの使用に限定されるものではない。それだけに限定されるものではないが、径方向バンド、高精度クランプ、又は他の器具などの他の機器を、使用することもできる。レーザエネルギーを通す透明材料を使用することができる。別法として、領域を接合する他の手段を用いることもできる。シアノアクリレート又は様々なエポキシなどの接着剤を使用して、領域を接合することができる。また、プレス嵌め、保持ピン、又はクリップなどの機械的手法によって、領域を連結することもできる。
【0044】
別法として、遠位先端部140及び近位シース部分110の重複領域をともにレーザ溶接することができ、それによってレーザエネルギーが、継手領域175に局所化され、したがってカテーテルの近隣部分に対する副次的な損傷がなくなる。遠位先端部が少なくとも部分的に透過性である、レーザ溶接を伴う一つの例示的な実施形態では、光の吸収の局所化を高め、したがって生成される熱を局所化するために、ともに連結すべき遠位先端部140の部分と近位シース部分110の部分との間に、吸光材料を塗布することができる。一つの例示的な実装形態では、ドーム先端部140は、ヒートシュリンクによってシースの遠位端に接触して保持され、それによりレーザエネルギーが通過することが可能になる。このプロセスは、ヒートシュリンクの使用に限定されるものではなく、透明の径方向バンド、レーザエネルギーに適合しているガラス若しくはポリマーから作られた高精度透明クランプ、又はレーザエネルギーを通すはずの他の器具などの他の機器を使用することもできる。
【0045】
たとえば、近位シース部分110及び遠位先端部140を形成するために光透過性ポリエチレン押出成形品が用いられる一つの例示的な実装形態では、吸光材料(Clearweld(登録商標) Solution Pen LD220C)を使用して、プラスチックの頂部透明層を通過するYAGレーザビームからのレーザ放射を吸収し、二つのプラスチック部分の交差部で熱を生成し、それによってプラスチックを局所的に融解し、二つの区分をともに接合することができる。上述した例示的な製作方法では、YAG溶接レーザを用いるが、この例示的なプロセスは、レーザ溶接機を利用することだけに限定されるものではない。異なる内径を有する継手を接合する他の方法は、たとえば、シースに沿って熱をあまり分散させない集束熱風ステーションを使用すること、又は高温のアイロン若しくはダイオードレーザなどの他のタイプのレーザを使用することである。
【0046】
前述の方法に対する他の例示的な代替手段には、着色された熱可塑性押出成形品の使用、又はカーボンブラックなど、透過性プラスチックに適した添加物若しくは顔料の使用が含まれる。
【0047】
剛性補強部材180は、レーザ溶接手法で生成された熱が十分に局所化されない場合に、構造上の支持を提供するために使用することができる。別法として、レーザ溶接方法は、熱の印加が遠位部分140と近位シース部分110との間の境界面に十分に局所化されている場合、剛性補強部材なしで実行することができる。
【0048】
図5は、心棒50の上に剛性補強部材180が配置され、剛性補強部材180の上にプラスチック押出成形品の一方の端部が配置されている、例示的な実施形態を示す。一つの例示的な連結方法によれば、次いでこのアセンブリの上にヒートシュリンクが配置される。剛性補強部材180の上でプラスチック押出成形品110を融解するために、熱風ステーションが使用される。この結果、薄いプラスチック層が剛性補強部材180の一部分を覆い、この部分をシースの遠位端で定位置に保持する。次いでヒートシュリンクが剥がされ、心棒50が除去される。
【0049】
次いで、プラスチックシース110の外面で剛性補強部材180上に位置する部分に、吸光性(たとえば、Clearweld(登録商標))溶液が塗布される。この溶液は、数分間乾燥させられる。次いで、剛性補強部材180及び押出成形品110の遠位端の上に、遠位先端部140の近位端が配置され、したがってシース110及び遠位先端部140の重なり区分が、塗布された吸光溶液と十分に重なる。別法として、重なり接合は、外層上に近位区分110の遠位端を有し、近位区分110の遠位端の内側に遠位先端部140の近位端を有することによって行うこともできる。レーザ放射が重なり区分上へ誘導されて、二つの層を接合する。レーザビームは、第1の透明層を通過し、継手構成要素の交差部で吸収され、引き換えに局所的な熱を生成して、実質的かつ確実な熱接合をもたらす。一つの例示的な実装形態では、レーザを剛性補強部材180の縁部に誘導する結果、プラスチックのうち剛性補強部材180によって支持されていない区分が融解及び変形する可能性があるため、二つのプラスチック層の重なり区分は、剛性補強部材180の中間又はその付近に位置する。
【0050】
一つの例示的な実装形態では、この例示的なプロセスは、撮像アセンブリを支持する回転可能な撮像導管を有するカテーテルの製作を容易にし、撮像アセンブリは、カテーテルの遠位端又はその付近に収容され、撮像アセンブリは、撮像アセンブリをカテーテルシース内へ近位から遠位に挿入することによって、普通ならシースのルーメンが収容したはずのものより大きい横断面形状及びサイズを有する。シースのうち体内へ挿入される部分(すなわち、身体への外傷を最小にするために横断面積が最小化された部分)内の機能的な場所に撮像アセンブリ及び回転可能な導管が配置された後に行われるステップとして、遠位先端部をシースに取り付けることを可能にすることによって、撮像アセンブリは、従来の近位から遠位への挿入方法によって普通なら有したはずのものより大きいサイズを有することができる。
【0051】
別の例示的な実装形態では、以下で説明するように、遠位先端部に対して近位のシースの壁は、より厚くすることができ、したがってより多くの機能的構成要素を含むようにすることができる。
【0052】
一つの例示的な実施形態では、シースは、ヒートシュリンクによって印加されるあらゆる径方向内向きの力に耐えるのに十分に厚い壁厚さを有することができ、また遠位先端部とシース区分110との間に熱接合を生成するために使用される局所的な熱を放散するのに十分に厚くすることができ、したがって熱によりカテーテル又はその内部構成要素が変形し又はその他の形で損傷されるのを防止することができるため、シースの遠位区分は、別個の剛性補強部材を必要としなくてよい。
【0053】
図1図2A~D、及び図3A~Cに示す例では、カテーテルの細長い部分に沿ってプルワイヤルーメンなどの特徴を含むことで、細長い部分の横断面の区域全体内に空間が必要となり、したがって主ルーメンのサイズが制限され、主ルーメン内に収容される撮像アセンブリの径方向範囲(サイズ及び形状)が制限されることを実証するために、カテーテルの構成要素としてプルワイヤ及びプルリングが含まれていた。しかし、本開示の多くの例示的な実施形態では、プルワイヤルーメンが存在する場合でも、撮像アセンブリの径方向範囲が抑制されない。たとえば、例示的な実施形態の場合、細長い近位部分及びより柔らかい部分などの製造の容易さ、コスト、及び/又はカテーテルの細長い部分の構造上の完全性のため、主ルーメンを取り囲む壁より薄い壁厚さを遠位先端部内に有することによって(より良好な撮像特性のため)、遠位先端部の撮像部分の横断面が主ルーメンの横断面より大きくなるように設計することができる。
【0054】
前述したように、機能性及び/又は画像品質を改善するために、撮像アセンブリに対して可能な限り大きい直径(径方向範囲、サイズ、及び形状)を有することが望ましいであろう。超音波撮像の場合、撮像アセンブリは、二つ以上の超音波トランスデューサを含むことができる。たとえば、米国特許公開第20090264768号に開示されているように、超音波トランスデューサは、ハウジング及び旋回アセンブリ上に取り付けることができ、それにより超音波トランスデューサは、アクセス軸の周りで旋回し、3D撮像を行うことが可能になる。3D前向き走査機構は、撮像アセンブリ向けのカテーテルの遠位先端部内の追加の空間から利益を得ることができ、たとえばこの追加の空間を使用して、より大きい撮像アセンブリを収容することができ、次いでより大きい撮像アセンブリを使用することで、それだけに限定されるものではないが、普通なら収容されうるものより大きい可能性のある超音波トランスデューサを含めて、撮像アセンブリの構成要素に対してより多くのスペースを得ることができる。3D走査機構は、必須ではないが好ましくは、カテーテルの遠位端付近に位置するはずであり、したがって特にビームがより前向きの方向に放出されるとき、ドーム状の撮像窓を通して比較的妨げられない自由な視線が得られる。
【0055】
撮像アセンブリを遠位端から挿入することを許容する本開示の例示的な方法により、そのシースに沿ってより小さい内側ルーメンを有するようにカテーテルを構成することが可能になる。そのようなより小さい中心ルーメンは、より厚い壁の直径を可能にするはずである。この追加の空間は、たとえば、中心から外れたルーメンをシース内に追加するために用いることができる。
【0056】
追加のサイドルーメンの一つの例示的な使用は、カテーテルのより良好な操作を可能にする追加のプルワイヤを組み込むことである。カテーテルの操作性は、カテーテルが心房及び心室内の不整脈性の部位である特有の異常な心臓組織を焼くために使用されるアブレーション処置にとって、特に重要である。撮像カテーテルの場合、この追加の操作性により、視野をより大きく制御することが可能になる。サイドルーメンの別の用途は、一つ以上のフラッシュルーメン及び/又は一つ以上の他の流体送達ルーメンをカテーテルに追加する可能性である。
【0057】
さらに、又は別法として、撮像アセンブリ(又は他の遠位機能デバイス若しくは要素)の横方向範囲より小さい直径を有する中心ルーメンを用いることによって利用可能になるシース内の追加の横断面空間を使用して、それだけに限定されるものではないが温度センサ、電気解剖マッピング向けの電磁センサ、回転エンコーダ向けの光ファイバ(トルクケーブルの直径が低減されることで撮像システムがNURDの影響をより受けやすくなるため、特に相乗作用がある)などの追加のセンサを、中心ルーメンから分離されたカテーテル内へ挿入し若しくは他の方法で組み込むことができ、又は心臓内電気記録図及び/若しくは心臓ペーシングを感知するために使用される電極に取り付けられている絶縁されたワイヤを通すことができる。
【0058】
したがって、以下の機能強化構成要素のうちの一つ以上の少なくとも一部分をカテーテルシース内に含むことによって、2D又は3D撮像カテーテルに追加の機能を加えることができる。
1.カテーテルの遠位区分の位置及び/若しくは向きを感知する能力を提供するために、ノーザンデジタル(Northern Digital)(NDI)若しくはアセンションテクノロジー(Ascension Technology)によって提供されるものなどの一つ以上の姿勢センサ若しくはエミッタを追加すること、
2.回転エンコーダ(全体として参考により本明細書に組み込まれている米国特許第8,712,506号に記載されているものの一つ以上など)を追加すること、
3.ブラッググレーティング、光圧力センサ、若しくは光温度センサなどの一つ以上の光ファイバベースのセンサを追加すること、
4.一つ以上のペーシング若しくは心電図(ECG)の電極を追加すること、
5.双方向の操縦などのさらなる操縦性をシースに加えるための一つ以上の撓み機構(たとえば、プルワイヤ)、
6.カテーテルの遠位部分を取り囲む解剖学的構造の領域への流体送達若しくは別個のデバイス(ワイヤなど)の送達のために、近位及び遠位に出口を有する付属ルーメンを追加すること、
7.撮像に干渉しうる空気を遠位領域から除去することなどによって、画像品質を改善するのを助けるために、カテーテルの内部領域と流体連通する洗浄若しくは通気ルーメンを追加すること、並びに/又は
8.磁石ベースの走査機構の傾斜性能を高めるため、若しくは画像品質に干渉しうる電磁(EM)ノイズなどの電磁信号を感知するためのものなど、先端部付近に電磁巻線を含むために配線を追加すること。
【0059】
これらの機能強化構成要素の多くの追加は、機能強化構成要素の最遠位部分がカテーテルの長(長手方向)軸に沿って撮像アセンブリに対して近位に位置している場合、好ましいであろうということに留意されたい。たとえば、これらの構成要素の機能性を有効にするために使用されるワイヤ、ファイバ、及び/又はルーメンは、撮像アセンブリの視野と交差する場合、撮像アセンブリによって実行される撮像に、最小の又は相当な程度で干渉する可能性がある。たとえば、ワイヤは、超音波撮像に陰影を引き起こす可能性があり、したがって前述の実施形態は、超音波の場合には好ましいであろうが、ペーシング電極及びそれに付随するワイヤが撮像アセンブリに対して近位に位置する必要はないであろう。
【0060】
一例として、図6A及び図6Bは、シース110の壁内に位置する姿勢センサ200と、有線の導電性導管205と、トルクケーブル(回転可能な撮像導管)160と、撮像遠位先端部140と、撮像アセンブリ170と、構造的剛性部材180とを含むカテーテルの遠位区分を示す。図6A及び図6Bで、構造的剛性部材180は、シース110内に埋め込まれた状態で示されているが、他の例示的な実装形態(たとえば、図4参照)では、構造的剛性部材180は、シース110の内面に接触することができる。また、回転符号化能力を提供するために、シース内へ組み込まれた光ファイバ210、任意選択の撮像スペーサ212、及び任意選択のレンズ214、並びに撮像アセンブリ170などの回転構成要素とともに回転する符号化基板220が含まれている。符号化基板220の斜視図が、図7に示されている。図6Bの中心円は、撮像アセンブリ170との間で超音波信号を送達する電気同軸ケーブル172を示す。
【0061】
回転運動を検出する回転エンコーダにより小さいトルクケーブルを組み合わせることによって、相乗効果を実現することができることに留意されたい。より小さい主ルーメン及びより小さいトルクケーブルは、概して、トルクケーブルの近位端の回転が遠位端の等しい回転量にどれだけ厳密に変換されるかという点で、トルクケーブルの回転性能に負の影響を与える傾向がある。しかし、回転エンコーダは、トルクケーブルの長さに沿って1対1で伝送する必要を低減させる。これにより、回転導管のいくつかの設計上の制約が軽減され、トルクケーブルのより小さい且つ/若しくはより簡単な設計、又はさらには中空のポリマー押出成形品などのより簡単な構造へのトルクケーブルの置換えを可能にすることができる。したがって、回転エンコーダにより、より小さい直径及び場合によりより簡単なトルク伝送手段が可能になり、それによりカテーテル設計において回転エンコーダを含むための空間が、カテーテルの壁内に提供される。
【0062】
姿勢センサ200(又は姿勢エミッタ)は、たとえば、NDI、アセンションテクノロジー(Ascension Technology)によって供給されるもの、又はカルト(Carto)システム(バイオセンスウェブスター(Biosense Webster))に見ることができるものなどの当技術分野では知られているものの一つとすることができる。姿勢センサ/エミッタを撮像カテーテル内に含む利点は、画像がどこで収集されているかに関する基準座標系(典型的には、患者又は患者が横たわっている台に対してホームポジションと呼ばれる座標系)内の座標を提供するため、当技術分野ではよく知られている。たとえば、米国特許第6,443,894号は、姿勢センサを含む撮像カテーテルの一例を提供している。
【0063】
姿勢センサは、以前より、アレイベースの心腔内心エコー法(ICE)カテーテル上へ組み込まれており、回転トルクケーブル又は回転モータは存在しない。さらに、アレイベースの撮像カテーテルを用いる場合、姿勢センサと撮像アレイトランスデューサとの間にむしろ固定された幾何学的関係が存在するため、姿勢センサの位置及び向きに対する画像の位置及び向きがより容易に判定される。機械的撮像カテーテルにおいて、撮像トランスデューサは、姿勢センサに対するその位置又は向きを変化させる。したがって、撮像アセンブリからの画像を姿勢センサ基準枠上へマッピングするために、撮像トランスデューサの位置及び/又は向きを検出する方法を有することが有用である。その最も簡単な形態では、トルクケーブルの近位部分に結合された患者の体外に位置する回転エンコーダ(患者インターフェースモジュール内の回転エンコーダなど)は、撮像アセンブリの回転位置に関するいくつかの情報を提供する。しかし、シース内の実際の回転の向きに対する外部回転エンコーダの精度は、均一でない回転歪みなどのアーティファクトの影響を受けやすい細長い不完全な構成要素であるため、トルクケーブルによって提供されるトルク伝送が不正確であることにより、正確でない可能性がある。さらに、撮像カテーテルのいくつかの実施形態では、姿勢センサが組み込まれるシースは、カテーテル内で回転構成要素に対して自由に回転することができる。さらに、3D撮像カテーテルなどのいくつかの実施形態では、米国特許出願公開第20120197113号に記載されているものなど、撮像アセンブリは、撮像ビームが放出される角度が、より多くの前方又は側方の視野方向に対して傾斜可能になるように構成することができ、傾斜角エンコーダを提供することができる。
【0064】
画像座標系からの撮像データ(完全な画像枠、撮像ベクトル、又は撮像画素サンプルなど)を姿勢センサの基準座標系へマッピングする能力を増すために、撮像アセンブリとシースとの間に、図6Aに含まれるものなどの回転エンコーダ220を組み込むことが望ましいであろう。同様に、米国特許出願公開第20120197113号及び米国特許第8,712,506号に記載されているものなど、撮像アセンブリ又はシース内に、傾斜角エンコーダを組み込むことが望ましいであろう。
【0065】
回転IVUSカテーテル上に位置する磁石ベースの姿勢エミッタは、メディガイド(Mediguide)(セント・ジュード(St. Jude)所有)によって構築されており、IVUSカテーテル先端部の位置の感知を可能にするために、IVUSカテーテルの先端部上に小さい磁石が配置される。メディガイド(Mediguide)の磁石は、カテーテルの長さに沿ってワイヤを必要とせず、したがってメディガイド(Mediguide)の磁石をカテーテル先端部に追加することによって、通常は姿勢センサ又はエミッタのいくつかの他の実施形態に関連するはずの撮像アーティファクトが、どのワイヤからも生じない。
【0066】
NDIは、5又は6自由度で位置及び向きを検出することができる直径1mm未満及び長さ1センチメートル未満の姿勢センサを供給する。そのような姿勢センサは、基準座標系(たとえば、x,y,z)内の3D位置、並びにセンサの二つ又は三つの角度方向の検出を可能にすることができる。この向き(たとえば、センサの長軸などのセンサの軸の周りの回転の向き)のロール軸は、6自由度センサによって提供されるが、5自由度センサによっては提供されない。
【0067】
NDIシステムは、患者付近に配置された患者に電磁場を生成するフィールドジェネレータを有することによって機能する。センサは、局所的電磁場を検出し、付随する配線に沿ってコンソールへ信号を伝送して、センサの位置及び/又は向きを判定する処理ユニットへ送るための一つ以上のコイル及び付随する配線を含む。電磁場は、静的な磁場又は時間で変動する電磁場とすることができる。一般に使用されるシステムは、時間で変動する電磁場を用いて、位置及び向きの感知を実現する。
【0068】
位置感知の別の形態は、身体の電気インピーダンス測定を使用して、解剖学的構造に接触している電極の位置を三角測量することを伴う。このシステムは通常、身体に取り付けられた二つ以上(一般に少なくとも三つ)の基準電極又は電極パッチを有し、そこからカテーテル電極位置が三角測量又は他の方法で推定される。
【0069】
また、カテーテル(すなわち、電極)の長さに沿って二つのインピーダンスベースの位置センサを使用して、2組のxyz座標を得ることが可能であり、これらの座標を用いて、二つの配向度に関する情報を提供することができる。
【0070】
同様に、一方のセンサが5自由度(DOF)感知を有し、他方のセンサがカテーテル上のほぼ同じ長手方向位置で少なくとも位置感知を有する二つのセンサは、二つのセンサが互いに対して知られている構成で位置決めされている場合、第6の自由度(ロール)を判定するために必要とされる情報を提供するために用いることができる。単一の6DOFセンサではなく、二つのセンサを使用して6度の位置決め及び向きを提供する利点は、二つのセンサ(それぞれ6DOF未満である)をそれぞれ6DOFセンサより小さくすることができることである。さらに、主ルーメンがカテーテルの中心付近にその中心を有することが所望される場合、大きい単一のセンサを用いると、二つのより小さいセンサが主ルーメンの周りに二つの異なる配置で位置決めされたときに必要とされるより、主ルーメンを小さくせざるをえなくなる。
【0071】
電極ベースの感知の利点は、電極を他の目的(ペーシング、ECG感知)で使用することができ、同じ設定を使用して体内のカテーテル電極の位置を判定することができることである。電磁センサは、簡単な電極より正確かつ精密にすることができる。
【0072】
機械的に走査される撮像カテーテルに姿勢センサを追加することには、いくつかの利点がある。それにより、使用者は、カテーテルに加えられる操作(使用者又は体外のロボット機構などのアクチュエータによる)と基準枠に対する位置及び向きとの関係を理解することがより容易になる。それにより、撮像データを3D又は4D(ECG同期時間窓など、3D+時間)データセットに、ドップラが可能である場合、5Dデータセット(3D+時間+流れ)にマッピングすることが可能になる。さらに、撮像カテーテルによる画像品質は、カテーテルのいくつかの態様に依存する。単一要素超音波トランスデューサ(アレイトランスデューサとは対照的)の単一の要素の近接場内など、撮像ビームがより集束されている好ましい領域内で取得される撮像データは、概して、その領域外の撮像データより良好な品質を有する。したがって、体内で撮像カテーテルの遠位部分を動かすことによって、いくつかの撮像データは、カテーテルが当該組織により近づくにつれて、より良好な品質になる。
【0073】
一つの例示的な実施形態では、好ましい領域外で取得された3D又は4D撮像データは、データセットの全体的な品質を改善するために、好ましい又は最適の領域内で後に取得された撮像データによって更新することができる。
【0074】
さらに、超音波画像品質は、超音波ビームと撮像された構造との間の入射角にやや依存することがある。したがって、いくつかの例示的な実施形態では、複数の視点から同じ構造の画像を得ることができ、当技術分野では知られているセグメント化アルゴリズムを使用して、近似入射角を推定することができる。たとえば、多くの場合、最適の撮像信号は、法線入射である。いくつかの場合、法線入射では反響アーティファクトが存在し、法線入射付近であるが、わずかな量(約3~10度)だけずれることが好ましい。最も好ましい入射角で収集された撮像データを用いて、3D又は4D複合撮像データセットを作成することができる。
【0075】
さらに、超音波画像品質は、超音波トランスデューサと撮像されている構造との間の距離にやや依存することがある。たとえば、トランスデューサが集束トランスデューサである場合、最適の撮像は、焦点領域内で行われる。焦点領域は、所与のA走査線に沿って深さ方向に沿った全幅半値(FWHM)領域として定義されることが多い。集束されていないトランスデューサの場合、音響ビームである。当技術分野では知られているセグメント化アルゴリズムを使用して、近似距離を推定することができる。最も好ましい距離によって収集された撮像データを用いて、3D又は4D複合撮像データセットを作成することができる。
【0076】
図10を次に参照すると、そのような例示的な方法を示す流れ図が示されており、3D画像を選択的に更新するために、画像データに関連する計算された入射角及び/又は近接度が用いられる。最初に、400に示すように、3D又は4D画像データセットが取得され、410に示すように、姿勢センサによって提供される情報を使用して、このデータセットから3D表現が再構築される。次いで、420に示すように、追加の増分撮像データが取得され、これは2D、3D、又は4Dとすることができる。430に示すように、姿勢情報を使用して、増分画像データを処理し、以前に取得した画像データに少なくとも部分的に対応するかどうかを判定する。次いで、ステップ440で、姿勢情報を用いて、増分撮像データに関連する入射角及び/又は近接度情報を判定する。次いで、ステップ450で、増分撮像データが、その関連する入射角及び/又は近接度情報とともに、好ましい撮像データを表すか否かの判定が行われる(たとえば、事前に選択された閾値、又はたとえば、好ましい範囲を含むルックアップテーブルの比較に基づく)。好ましい撮像データが識別されない場合、ステップ420~440を任意選択で繰り返すことができる。好ましい撮像データが識別された場合、460に示すように、好ましい撮像データを使用して、その3D表現を再構築することができる。
【0077】
概して、最小侵襲性撮像プローブの分野では、挿入可能な部分は、特にある程度の蛇行を有する血管構造内へ前進させられるとき、可撓性になるように構成される。したがって、剛性補強部材180が長すぎる場合、望ましくない局所的な剛性を生じさせる。いくつかの例示的な実施形態では、剛性部材の長さは、プローブの外径の20倍未満、プローブの外径の10倍未満、プローブの外径の5倍未満、プローブの外径の3倍未満、又はプローブの外径の1倍未満とすることができる。
【0078】
図8は、カテーテルシースの遠位領域が主ルーメンを取り囲む巻線240を組み込む例示的な実施形態を示す。巻線は、導電性導管245を介して外部電子機器と電気的に連通することができる。
【0079】
図8に示す例示的な巻線は、それだけに限定されるものではないが、次のようないくつかの応用例で使用することができる。
1)姿勢センサ又はエミッタとして作用する、
2)局所的な磁場を生じさせて、カテーテル内の運動を作動させる、
3)局所的な磁場を生じさせて、カテーテル外の磁気構成要素を引き付ける、
4)概して撮像アセンブリからの撮像信号内へアーティファクト導入した可能性のあるものを含む体内の電磁信号を感知する。
【0080】
主ルーメン115に隣接する姿勢センサ(図6A)とは対照的に、主ルーメン115を取り囲む姿勢センサ(図8)を提供する潜在的な利点は、そのような構成が、図6Aの実施形態より大きい主ルーメンを収容することができ、より径方向に対称の設計を可能にすることができることである。
【0081】
巻線240がプローブ内の運動を作動させることが可能である例示的な実装形態は、傾斜可能なトランスデューサの裏打ち内に磁石を組み込むことを伴う。そのような実施形態の一例が図9に示されており、傾斜可能なトランスデューサ260が、旋回軸265の周りで傾斜し、シェル270に旋回可能に取り付けられており、傾斜可能なトランスデューサ260には、磁石280が取り付けられ、凹形をなし、又は他の方法で機械的に支持されている。超音波トランスデューサ260は、導電性ばね(図示せず)を介して、トルクケーブル内の一つ以上の電気信号導管(図示せず)に接続される。近位巻線導体245を通って巻線240に電流を印加することによって、磁場を生成することができ、それによりトランスデューサ磁石280と巻線240との間の引力/反発力を介して傾斜可能なトランスデューサ260を傾斜させる。他の例示的な実施形態では、磁石280は、必ずしもトランスデューサ260に直接取り付ける必要はない。たとえば、磁石をプッシュロッド又はシャフトに取り付けて、撮像アセンブリ内のトランスデューサを傾斜又は並進させることもできる。
【0082】
巻線導管245は、典型的には、互いから電気的に絶縁され、絶縁材が供給され、又はカテーテル壁内への組込みの結果として絶縁される。巻線導管245は、シースの主部分に沿って横断面積の使用を低減させるために、シース内の補強編組内へ組み込むことができる。
【0083】
別の例示的な実施形態では、遠位先端部領域は、一つ以上の撮像アセンブリによって支持された複数のトランスデューサを含むように構成することができ、撮像アセンブリ及び/又はトランスデューサは、カテーテルの主ルーメンの内径より大きい横方向範囲を有する。
【0084】
前述の例示的な実施形態では、撮像アセンブリを有する撮像プローブ/カテーテルを伴う例を通して、本開示の様々な態様を説明してきたが、本明細書に開示する例示的な実施形態は、撮像アセンブリの代替に、又はそれに加えて、非撮像回転可能デバイスを有する医療用プローブとともに使用されるように適合することができることが理解されよう。
【0085】
遠位ドーム状プロファイルを含む本明細書に記載及び図示する遠位先端部は、遠位先端部構成の非限定的な例を提供し、本開示の意図される範囲から逸脱することなく、他の遠位先端部の幾何形状及びプロファイルを用いることができることが理解されよう。さらに、前述した例示的な実施形態は、閉じている遠位先端部を示すが、遠位先端部は、一つ以上の開口又はポートを含むことができることが理解されよう。
【0086】
図11を次に参照すると、撮像システムが10で示されており、撮像システムが10は、患者インターフェースモジュール36を介して画像処理及び表示システム49へ接続する撮像プローブ44を備える。画像処理及び表示システム49は、超音波、光コヒーレンス断層撮影法、血管顕微法、赤外撮像、近赤外撮像、ラマン分光法ベースの撮像、又は蛍光撮像などの一つ以上の撮像診断法に対応するハードウェアを含む。超音波撮像プローブ並びに複合型の超音波及び光撮像プローブの特有の実施形態は、各文献が全体として参照により本明細書に組み込まれている、2008年1月22日に出願されたコートニー(Courtney)らによる「Imaging Probe with Combined Ultrasounds and Optical Means of Imaging」という名称の米国特許公開第20080177183号、2008年1月22日出願の「Scanning Mechanisms for Imaging Probe」という名称の米国特許公開第20080177138号、2009年3月27日に出願された「Scanning Mechanisms for Imaging Probe」という名称の米国特許公開第20090264768号によって開示されている。
【0087】
コントローラ及び処理ユニット34が、システムの多くの機能ユニットの働きの連携を容易にするために用いられ、本明細書に挙げた図に示す構成要素のいくつか又はすべてを含むことができる。また、コントローラ及び処理ユニット34、又は別個の計算デバイス若しくはシステムを用いて、図10に示す流れ図に関連する方法を実施することができる。操作者は、ディスプレイ及び/又はユーザインターフェース38を介してシステム50と対話する。システム10は、撮像されている患者の身体から心電図信号を取得するために、電極センサ40をさらに含むことができる。これらの心電図信号は、心臓の運動が画像品質に影響を与える可能性のある状況で、撮像データの取得のタイミングを計るために使用することができる。心電図はまた、所望の走査パターンを実施するためにモータの回転速度の変更を開始するときなど、取得シーケンスを開始するとき、トリガとして働くことができる。たとえば、撮像シーケンスの開始が心電図によってトリガされることで、心収縮又は心拡張などの心臓サイクルの特定の段階で画像を取得することを可能にすることができる。光サブシステム30は、撮像システムの特定の実装形態で含まれる場合、干渉計構成要素、一つ以上の光基準アーム、光合波器、光分波器、光源、光検出器、分光計、偏光フィルタ、偏光コントローラ、タイミング回路、アナログデジタル変換器、並行処理アレイ、及び光撮像技法のいずれかを容易にすることが知られている他の構成要素という構成要素のいずれか又はすべてを含むことができる。超音波サブシステム32は、パルス生成器、電子フィルタ、アナログデジタル変換器、並行処理アレイ、包絡線検出器、時間利得補償増幅器を含む増幅器、及び音響撮像技法を容易にすることが知られている他の構成要素という構成要素のいずれか又はすべてを含むことができる。
【0088】
コントローラ及び処理ユニット34は、撮像システムの特定の実装形態に含まれる場合、複数の目的を果たす。必要とされる特有の構成要素は、特定のタイプの撮像システムの必要に依存することが、当業者には理解されよう。たとえば、コントローラ及び処理ユニットは、モータ駆動コントローラ、データ記憶構成要素(メモリ、ハードドライブ、取り外し可能な記憶デバイス、CD、DVD、及びBluray(商標)ディスクなどの媒体のためのリーダ及びレコーダなど)、位置感知回路及び/又はソフトウェア、角度検出回路及び/又はソフトウェア、タイミング回路及び/又はソフトウェア、心臓ゲーティング機能、体積撮像プロセッサ、走査変換器などの任意の組合せを含むことができる。上述したように、ディスプレイ及びユーザインターフェース38はまた、任意選択で、実時間表示又は撮像データが取得される時間より後の時点でのデータの表示のために提供される。
【0089】
しかし、患者インターフェースモジュール36並びにコントローラ及び処理ユニット34は、ハードウェアサブシステムの選択及び組織化の一つの例示であり、多くの他の実装形態も可能であることを理解されたい。たとえば、患者インターフェースモジュール36は、処理及び表示システム49内のコントローラ及び処理ユニット34内に収容することができる。
【0090】
例示的な撮像プローブ44は、撮像アセンブリ50と、その長さの大部分に沿って位置する任意選択の撮像導管46と、その近位端47に位置するコネクタ48とを含む。撮像アセンブリ50は、撮像プローブ44の遠位端41付近に位置する。撮像アセンブリ50は、概して、撮像プローブ44の構成要素を指し、撮像アセンブリ50近傍の領域を撮像する目的のため、そこから信号(音響、光、又は両方)が収集される。撮像アセンブリ50は、撮像放射を送受信するトランスデューサを収容することができる。エミッタ及びレシーバは、圧電トランスデューサの場合で多く見られるように、単一の構成要素とすることができる。
【0091】
光撮像の場合、撮像アセンブリ50は、典型的には、光ファイバの遠位先端部、並びにレンズ(たとえば、ボールレンズ又はGRINレンズ)などの光構成要素の組合せを含む。ビームの送達及び/又は収集で使用するために、鏡及び/又はプリズムを含むことができる。任意選択で、CCDアレイなどの光検出器、又は一つ以上のLEDなどの光源を、撮像アセンブリ内に直接組み込むことができ、それにより光撮像プローブ内の一つ以上の光ファイバの必要をなくすことができる。撮像プローブ44は、その長さに沿って一つ以上の点に、洗浄を容易にするためのポートを含むことができる。さらに、撮像アセンブリ50、コネクタ48、及び/又は撮像導管46は、生理的食塩水などの流体で充填し且つ/又は取り囲むことができ、洗浄することができる。光撮像を伴う応用例では、撮像プローブ44は、ガスで充填することができる。ガスは、最小の生物毒性を有する二酸化炭素又は別の容易に溶けるガスを含むことができる。別法として、多モードの光/音響撮像システムの場合、撮像アセンブリ50は、光撮像のために少なくとも一つのガスで充填された区画又はルーメンと、音響撮像のために少なくとも一つの流体で充填された区画又はチャンバとを含むように区画化することができる。
【0092】
撮像導管46は、接続を介してエミッタ及び/又はレシーバを本明細書で患者インターフェースモジュール36と呼ばれるアダプタに接続する少なくとも一つの導電性ワイヤ(任意選択で、二つ以上)を含む。撮像導管46は、たとえば互いから電気的に絶縁された二つの電気ワイヤ層で巻かれた光ファイバを含むことができる。撮像導管46は、走査機構を回転させる撮像トルクケーブルを構築するために使用される螺旋状に巻かれたワイヤ又は他の設計などの他の構造的な特徴によって、さらに補強することができる。別法として、撮像導管46は、電気導体を含むことができ、近位端から離れたところに、撮像アセンブリに回転運動を与える回転機構が位置することができる。一つの例示的な機構は、撮像アセンブリに密接して、マイクロモータ及びスリップリングを含む。
【0093】
撮像プローブ44は、任意選択で、較正情報、シリアル情報、プローブ設計情報、所望のフィルタ情報、及び任意の他のプローブ特有の情報を含む情報を記憶するEEPROMなどのメモリを含むことができる。このメモリは、コネクタ48内に常駐することができる。
【0094】
患者インターフェースモジュール36は、適当な画像処理ユニットへの任意のファイバ及び/又はワイヤ内の信号の伝送を容易にする。患者インターフェースモジュール36は、撮像機構の構成要素に回転運動を与えるモータ駆動ユニットを含むことができる。患者インターフェースモジュール36の一部として、たとえば撮像プローブ44内の回転構成要素の回転角度の感知及び/又は撮像プローブ44の遠位端41における部材の撓み角度の検出のために、位置感知回路などの追加のセンサを組み込むことができる。加えて、患者インターフェースモジュール36は、撮像プローブ44とシステムの残り部分との間の電気信号又は電力の伝送を改善するために、増幅器を含むことができる。
【0095】
上述した特有の実施形態について例として示してきたが、これらの実施形態は、様々な修正形態及び代替形態の余地があることを理解されたい。特許請求の範囲は、開示する特定の形態に限定されることを意図するものではなく、本開示の趣旨及び範囲内にあるすべての修正形態、均等物、及び代替手段を包含することをさらに理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11