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特許7399144収容ボックス、車両用部品、及び鞍乗り型自動二輪車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】収容ボックス、車両用部品、及び鞍乗り型自動二輪車
(51)【国際特許分類】
   B62J 9/27 20200101AFI20231208BHJP
   B62J 9/23 20200101ALI20231208BHJP
【FI】
B62J9/27
B62J9/23
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021154709
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023046030
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小島 孝政
(72)【発明者】
【氏名】竹中 寛
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-147452(JP,A)
【文献】特開2013-193646(JP,A)
【文献】国際公開第2021/181942(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00 - 11/26
B60R 7/00 - 9/12
B60P 1/00 - 9/00
E05B 83/00 - 83/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型自動二輪車(1)に取り付けられる収容ボックスであって、
前記鞍乗り型自動二輪車(1)に取り付けられ物品を収容する収容部(51)と、
前記収容部(51)に対して下開きに開閉する蓋部(52)と、
前記鞍乗り型自動二輪車(1)に取り付けられ、前記蓋部(52)を閉状態に固定可能で前記収容部(51)に固定される留め具(Q)と、
前記留め具(Q)持ち手部(QM)の開状態における可動範囲内に設けられ保持部(R)と、を備え
前記保持部(R)は、前記開状態において前記留め具(Q)に設けられた前記持ち手部(QM)を保持可能なことを特徴とする収容ボックス(50)。
【請求項2】
前記保持部(R)は、前記鞍乗り型自動二輪車(1)の車幅方向において前記持ち手部(QM)の取り付け位置に比して前記鞍乗り型自動二輪車(1)側に配置されている、
請求項1に記載の収容ボックス(50)。
【請求項3】
前記保持部(R)は、前記持ち手部(QM)の前後方向に沿った幅内に配置される
請求項1または2に記載の収容ボックス(50)。
【請求項4】
前記収容ボックス(50)は、固定部材(U)を介してリヤキャリア(30)に固定され、
前記保持部(R)は、前記固定部材(U)における車幅方向先端部に固定されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の収容ボックス(50)。
【請求項5】
前記保持部(R)は、前記鞍乗り型自動二輪車(1)に設けられたキャリアに取り付けられ、車幅方向において前記キャリアの端部に比して外側に突出して配置されている、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の収容ボックス(50)。
【請求項6】
前記持ち手部(QM)は、前記留め具(Q)の閉状態において前記留め具(Q)に起立した状態で固定され、上方に向かうほど前記保持部(R)側に接近するように傾斜して固定されている、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の収容ボックス(50)。
【請求項7】
前記保持部(R)は、前記持ち手部を(QM)保持した状態において前記留め具(Q)の荷重を安定して受ける位置に固定されている、
請求項1から6のうちいずれか1項に記載の収容ボックス(50)。
【請求項8】
前記留め具(Q)は、前記収容部(51)に固定された第1部材(Q1)と、
前記持ち手部(QM)が固定された第2部材(Q2)と、
前記第1部材(Q1)と第1回転軸(QH1)により回転自在に連結されると共に、前記第2部材(Q2)と第2回転軸(QH2)により回転自在に連結されるヒンジ部(QH)と、を有し、
前記ヒンジ部(QH)は、前記第1回転軸(QH1)と前記第2回転軸(QH2)との協働により、前記持ち手部(QM)を前記保持部(R)に引っ掛け可能な軌道を生成する、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の収容ボックス(50)。
【請求項9】
前記第2部材(Q2)は、
前記ヒンジ部(QH)により回転自在に支持された基端側から上方に山形に折り曲げられた湾曲部(Q2A)と、
先端部において水平方向に折り曲げられた板状部(Q2B)と、
を備え、
前記板状部(Q2B)の先端部には、前記蓋部(52)側に設けられた受部(G)を引っ掛けるためのフック(QF)が形成されている、
請求項8に記載の収容ボックス(50)。
【請求項10】
前記保持部(R)は、前記収容部(51)を固定するためのブラケット(U4)に設けられている、
請求項1からのうちいずれか1項に記載の収容ボックス(50)。
【請求項11】
鞍乗り型自動二輪車(1)の車体に取り付けられ物品を収容する収容部(51)と、前記収容部(51)に対して下開きに開閉する蓋部(52)と、を備える、収容ボックス(50)の前記蓋部(52)を閉状態に固定可能で前記収容部(51)に固定される、前記車体に取り付けられた留め具(Q)の持ち手部(QM)の開状態における可動範囲内に設けられ、前記開状態において前記留め具(Q)に設けられた前記持ち手部(QM)を保持可能な保持部(R)が形成された車両用部品。
【請求項12】
請求項1から10のうちいずれか1項に記載の前記収容ボックス(50)を少なくとも1つ備える、前記鞍乗り型自動二輪車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋部の開閉を容易にする収容ボックス、車両用部品、及び鞍乗り型自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両に取り付けられる収容ボックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された収容ボックスによれば、車体側に取り付けられる収容部と、収容部を覆い持ち手が設けられた蓋部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-285065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された収容ボックスにおいては、蓋部の開操作において持ち手が邪魔となる虞がある。
【0005】
本発明は、収容ボックスに設けられた蓋部の開閉操作における利便性を向上することができる収容ボックス、車両用部品、及び鞍乗り型自動二輪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車両(1)に取り付けられる収容ボックスであって、前記車両(1)に取り付けられ物品を収容する収容部(51)と、前記収容部(51)に対して開閉可能な蓋部(52)と、前記車両(1)に取り付けられ、前記蓋部(52)を閉状態に固定可能な留め具(Q)と、前記留め具の開状態における可動範囲内に設けられ、前記開状態において前記留め具に設けられた持ち手部(QM)を保持可能な保持部(R)と、を備える収容ボックス(50)である。
【0007】
この構成によれば、留め具の持ち手部を保持部に固定することにより、蓋部を留め具に邪魔されること無く開閉することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明の前記保持部(R)は、前記可動範囲内において前記持ち手部(QM)を固定可能な位置に配置されている。
【0009】
この構成によれば、蓋部が開状態において持ち手部を保持部に保持することができる。
【0010】
請求項3に記載した発明の前記保持部(R)は、前記車両(1)の車幅方向において前記持ち手部(QM)の取り付け位置に比して前記車両(1)側に配置されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、蓋部が開状態において持ち手部を保持部に保持することができ、蓋部の開閉をし易くすることができる。
【0012】
請求項4に記載した発明の前記保持部(R)は、前記持ち手部(QM)の前後方向に沿った幅内に配置されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、留め具の開動作を行うだけで持ち手部を保持部に保持することができ、操作を容易にすることができる。
【0014】
請求項5に記載した発明の前記保持部(R)は、前記車両(1)に設けられたキャリアに取り付けられ、車幅方向において前記キャリアの端部に比して外側に突出して配置されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、保持部がキャリアに対して外側に位置しているため、持ち手部を車両と干渉しない範囲において保持することができる。
【0016】
請求項6に記載した発明の前記持ち手部(QM)は、前記留め具(Q)の閉状態において前記留め具(Q)に起立した状態で固定され、上方に向かうほど前記保持部(R)側に接近するように傾斜して固定されていてもよい。
【0017】
本発明によれば、留め具を解除した際に、持ち手部を保持部に容易に引っ掛けることができる。
【0018】
請求項7に記載した発明の前記保持部(R)は、前記持ち手部(QM)を保持した状態において前記留め具(Q)の荷重を安定して受ける位置に固定されていてもよい。
【0019】
本発明によれば、保持部に持ち手部を引っ掛けた後に、留め具の荷重状態に基づいて持ち手部の位置を安定させることができる。
【0020】
請求項8に記載した発明の前記留め具(Q)は、前記収容部(51)に固定された第1部材(Q1)と、前記持ち手部(QM)が固定された第2部材(Q2)と、前記第1部材(Q1)と第1回転軸(QH1)により回転自在に連結されると共に、前記第2部材(Q2)と第2回転軸(QH2)により回転自在に連結されるヒンジ部(QH)と、を有し、前記ヒンジ部(QH)は、前記第1回転軸(QH1)と前記第2回転軸(QH2)との協働により、前記持ち手部(QM)を前記保持部(R)に引っ掛け可能な軌道を生成してもよい。
【0021】
本発明によれば、留め具が第1回転軸と第2回転軸とを有することで、持ち手部を保持部に引っ掛ける軌道を形成することができる。
【0022】
請求項9に記載した発明の前記保持部(R)は、前記収容部(51)を固定するためのブラケットに設けられていてもよい。
【0023】
本発明によれば、保持部がブラケットに設けられていることにより、収容ボックスの取り付け時の工数を低減することができる。
【0024】
請求項10に記載した発明は、車体に取り付けられ物品を収容する収容部(51)と、前記収容部(51)に対して開閉可能な蓋部(52)と、を備える、収容ボックス(50)の前記蓋部(52)を閉状態に固定可能とする、前記車体に取り付けられた留め具(Q)の開状態における可動範囲内に設けられる車両用部品である。
【0025】
本発明によれば、収容ボックスの開閉を容易にする車両用部品を提供することができる。
【0026】
請求項11に記載した発明は、請求項1から9のうちいずれか1項に記載の前記収容ボックス(50)を少なくとも1つ備える、前記車両(1)である。
【0027】
本発明によれば、収容ボックスの開閉を容易にする車両を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、収容ボックスに設けられた蓋部の開閉操作における利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係る車両の構成を示す側面図である。
図2】収容ボックスの取り付け方法を示す斜視図である。
図3】収容ボックスの背面側の構成を示す図である。
図4】収容ボックスを固定するブラケットの構成を示す斜視図である。
図5】保持部の構成を示す斜視図である。
図6】収容ボックスの構成を示す正面図である。
図7】留め具の構成を示す斜視図である。
図8】収容ボックスの蓋部の構成を示す斜視図である。
図9】閉状態の留め具の状態を示す側面図である。
図10】解除状態の留め具の構成を示す斜視図である。
図11】持ち手部を保持部に保持した状態を示す斜視図である。
図12】変形例に係る保持部の構成を示す斜視図である。
図13】変形例に係る保持部の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示されるように車両1は、例えば、鞍乗り型自動二輪車である。以下の説明において、車両1の進行方向に沿って運転者から見て前方を前側、後方を後側とする前後方向、左右方向、上下方向が適宜設定される。車両1は、適宜車体ともいう。車両1は、例えば、前輪WF及び後輪WRに支持された車体フレームFと、車体フレームFに支持されたパワーユニットPと、を備える。
【0031】
車体フレームFは、例えば、鋼管や鋼板を組み合わせて高い剛性を有するように形成されている。車体フレームFの前端部には、筒状に形成されたヘッドパイプ3が設けられている。ヘッドパイプ3は、上下方向に対して後方に傾いて取り付けられている。ヘッドパイプ3には、前輪WFを回転自在に支持するステアリングステムSが取り付けられている。ヘッドパイプ3には、ステアリングステムSのシャフト(不図示)が挿通されている。
【0032】
ステアリングステムSは、ヘッドパイプ3により回転自在に支持されている。ステアリングステムSは例えば、上下方向に沿った回転軸によりを回転させ、前輪WFを左右に回転させる。回転軸は、上下方向に対して後方に傾いたキャスター角(例えば、27°程度)が設定されている。
【0033】
ヘッドパイプ3の上端部には、板状に形成されたトップブリッジ4が固定されている。ヘッドパイプ3の下端部には、板状に形成されたボトムブリッジ14が固定されている。トップブリッジ4とボトムブリッジ14とは、平行に配置されている。トップブリッジ4及びボトムブリッジ14には、左右一対に配置された棒状のフロントフォーク15の上部が貫通して固定されている。
【0034】
左右一対のフロントフォーク15の下部は、前輪WFを回転自在に軸支している。前輪WFは、例えば、複数のワイヤ線によりリムとハブが連結されたワイヤスポークホイールである。前輪WFは、ディスクホイール、一体成型のスポークホイールであってもよい。前輪WFのホイールには、制動用のブレーキ装置B1が設けられている。ブレーキ装置B1は、例えば、ディスクブレーキである。ブレーキ装置B1は、ドラムブレーキであってもよい。
【0035】
前輪WFの上部には、泥除け用のフロントフェンダY1が配置されている。フロントフェンダY1は、左右一対のフロントフォーク15にステーY2を介して支持されている。フロントフェンダY1は、前輪WFを覆うように形成されている。左右一対のフロントフォーク15の中間部には、伸縮自在なクッション装置D1が設けられている。クッション装置D1は、前輪WFから車両1に伝達する振動を緩衝、減衰させる。
【0036】
フロントフォーク15の上部において、トップブリッジ4とボトムブリッジ14との間の位置には、円筒状のライトステーホルダ13が被せられている。ライトステーホルダ13の前方には、ヘッドライト12を支持するヘッドライトステー11が固定されている。トップブリッジ4の前方には、メータ装置10および所定の電圧に調整された電源を供給するアクセサリソケット9が設けられている。
【0037】
トップブリッジ4の上部には、左右方向に延在するハンドルバー7が固定されている。ハンドルバー7は、上方に跳ね上がって形成されたライザーバーハンドルである。ハンドルバー7は、フラットバーハンドル等他の形状であってもよい。ハンドルバー7の両端には、左右一対のハンドルグリップ5が設けられている。ハンドルバー7には、更に左右一対の前側フラッシャランプ8およびバックミラー6が固定されている。
【0038】
車体フレームFには、ヘッドパイプ3の後方からシート34の下方まで斜めに延在する跨ぎ部が設けられている。跨ぎ部は、シート34の座面に比して低い位置に形成されている。車体フレームFの下部には、駆動力を発生するパワーユニットPが吊り下げられて固定されている。パワーユニットPは、エンジンP1と変速機P2とが一体に構成されている。変速機P2の内部には、例えば、変速ギヤとクラッチ操作を不要とする自動遠心クラッチが設けられている。
【0039】
パワーユニットPの下方には、エンジンP1を保護するためのガード部材P3が設けられている。ガード部材P3は、エンジンP1の下部を覆うように形成されている。ガード部材P3は、車体フレームFの下方に設けられた固定部材F5から吊架されたハンガー部材P4を介して車体フレームFに固定されている。パワーユニットPの車幅方向左側には、変速操作のためのシフトペダル17が取り付けられている。
【0040】
パワーユニットPの左右両側には、一対のステップ18が設けられている。ステップ18の上部には、運転者の足裏が載置される。パワーユニットPの後方は、ピボット20を介して左右一対のスイングアーム24の先端を回転自在に軸支している。左右一対のスイングアーム24は、先端からやや後方に設けられた連結部材(不図示)により連結され、一体化されている。ピボット20の下方には、車両1を自立させるためのセンタスタンド19およびサイドスタンド21が回転自在に支持されている。
【0041】
左右一対のスイングアーム24の後端には、後輪WRが回転自在に軸支されている。後輪WRは、例えば、複数のワイヤ線によりリムとハブが連結されたワイヤスポークホイールである。後輪WRは、ディスクホイール、一体成型のスポークホイールであってもよい。後輪WRには、前輪WFと同サイズ或いは異なるサイズのタイヤが取り付けられている。後輪WRのホイールの右側には、制動用のブレーキ装置B2が設けられている。ブレーキ装置B2は、例えば、ディスクブレーキである。
【0042】
ブレーキ装置B1は、ドラムブレーキであってもよい。上記構成により、後輪WRは、スイングアーム24の先端のピボット20を中心に回転する。左右一対のスイングアーム24の後端部は、伸縮自在なクッション装置D2の下端部が回転自在に支持されている。クッション装置D2の上端部は、車体フレームFの後方に回転自在に支持されている。上記構成により、後輪WRはクッション装置D2に規制されて車体フレームFに対して上下動する。クッション装置D2は、後輪WRから車両1に伝達する振動を緩衝、減衰させる。
【0043】
後輪WRは、パワーユニットPの左側に設けられたドライブチェーン23により駆動される。ドライブチェーン23は、パワーユニットPにおいて発生する回転駆動力を後輪WRの左側に設けられたスプロケットCに伝達する。スプロケットCは、後輪WRと同心をなす円板状の歯車である。ドライブチェーン23の上方は、チェーンカバー25により覆われている。チェーンカバー25は、左側のスイングアーム24に固定されている。左右一対のスイングアーム24には、左右一対のリヤステップ22が固定されている。スイングアーム24の後端部には、後輪WRの上部を覆う泥除け用の金属製のリヤフェンダ27が固定されている。
【0044】
車体フレームFの中央部には、運転者が着座するシート34が設けられている。シート34の下方とステアリングステムSとの間において、車体フレームFの上方は、車体カバー2で覆われている。
【0045】
シート34の下方には、燃料を貯留する燃料タンク44が設けられている。燃料タンク44の車幅方向左側には、エンジンP1に吸気を導入するエアクリーナボックス35が設けられている。エアクリーナボックス35の内部には、吸気に含まれる異物を捕獲するエアフィルタ(不図示)が設けられている。
【0046】
エアクリーナボックス35には、吸気を導入する吸気ダクト33の基端部が設けられている。吸気ダクト33は、左側に設けられたクッション装置D2の車幅方向外側を通って上方に開口する筒状に形成されている。吸気ダクト33の先端部には、異物の侵入を防止するカバー部材32が設けられている。カバー部材32は、荷受け用のリヤキャリア30に接続されている。吸気ダクト33の開口がリヤキャリア30の高さに形成されているため、エアクリーナボックス35は、リヤキャリア30に比して低い水位の環境において水が侵入しにくく形成されている。
【0047】
リヤキャリア30は、シート34の後方で且つ、リヤフェンダ27の上部に固定されている。リヤキャリア30の左右両側の側方の少なくとも片側には、後述のように収容ボックス50が取り付けられる。収容ボックス50の詳細な構成については後述する。リヤキャリア30の後方の下部であり且つ、リヤフェンダ27の後部上方には、テールランプ29および左右一対の後側フラッシャランプ28が固定されている。
【0048】
車体フレームFの車幅方向右側には、エンジンP1から排気される排気ガスを排出するためのマフラーM(図3参照)が設けられている。マフラーMの排気口は、例えば、リヤキャリア30の下面付近の位置に設けられている。このため、マフラーMは、リヤキャリア30に比して低い水位の環境において水が侵入しにくく形成されている。マフラーMの右側の側面には、遮熱板M1が設けられている。
【0049】
次に、本発明に係る収容ボックス50について説明する。
【0050】
図2から図5に示されるように、収容ボックス50は、例えば、車両1のリヤキャリア30に固定される。収容ボックス50は、例えば、固定部材Uを介してリヤキャリア30に固定される。収容ボックス50は、車両1の左右いずれかの側、或いは両側に取り付けられる。以下、収容ボックス50が車両1の左側に固定されている状態を例示する。車両1の右側に収容ボックス50が固定される場合、左側と対称に取り付けられる。
【0051】
固定部材Uの上部は、例えば、リヤキャリア30の下面側に固定される。固定部材Uは、リヤキャリア30の下面側から垂下して固定される。固定部材Uは、例えば、車両1を側面視してU字状に見える向きに固定される。固定部材Uは、例えば、リヤキャリア30下面において左右いずれかの側、或いは両側に取り付けられる。固定部材Uは、例えば、円形断面の鋼管を用いてU状形状に形成されている。固定部材Uは、他の材料を用いて形成されていてもよい。
【0052】
固定部材Uは、一対の直部U1と、一対の直部の基端同士を連結する連結部U2とが形成されている。連結部U2は、下方に湾曲して形成されている。固定部材Uには、一対の直部U1の上部を連結する連結板U3が設けられている。連結板U3は、板状に形成されている。連結板U3は、例えば、金属板により形成され、一対の直部U1の上部に溶接される。連結板U3は、固定部材Uにおける収容ボックス50の取り付け側と反対側に設けられている。連結板U3には、後述の留め具Qを固定するための一対の貫通孔U3Hが形成されている。貫通孔U3Hには、バックルを固定するためのビスを締結するためのナットU3Nが溶接されている。
【0053】
一対の直部U1の先端には、直部U1の軸線と直交方向の収容ボックス50の取り付け側に向かって突出した一対のブラケットU4がそれぞれ設けられている。一対のブラケットU4は、左右方向に沿って見て対象となる形状に形成されている。一対のブラケットU4は、連結板U3に固定されている。これにより、一対のブラケットU4のリヤキャリア30への取り付け時の工数を低減すると共に、リヤキャリア30に対する位置決めを容易にすることができる。ブラケットU4は、金属板により形成されている。ブラケットU4は、例えば、前後方向に沿って見て逆L状形状に形成されている。ブラケットU4は、水平方向に沿った板状の水平部U5と、左右方向に沿って見て水平部U5から折り曲げられて下方に垂下した鉛直部U6とを備える。
【0054】
水平部U5は、矩形の板状に形成されている。水平部U5の基端は、連結板U3に溶接等を用いて固定されている。水平部U5の先端部には、貫通孔U4Hが形成されている。貫通孔U4Hには、下方からボルトが挿入され、リヤキャリア30の下面側に固定される。水平部U5とリヤキャリア30との間には、ギャップ調整用のブラケットZが設けられていてもよい。
【0055】
鉛直部U6は、逆L形の板状に形成されている。鉛直部U6において、水平部U5の基端と連続する辺は、連結板U3に溶接等を用いて固定されている。鉛直部U6は、収容ボックス50が固定された際に水平部U5の基端に加わるモーメントに対抗して収容ボックス50を支持する。
【0056】
一対のブラケットU4のうち、少なくとも一方には、後述の留め具Qに設けられた持ち手部QMを保持可能な保持部Rが設けられている。保持部Rは、例えば、鉛直部U6における車幅方向先端部に固定されている。ブラケットU4に予め保持部Rを固定した場合、収容ボックス50の取り付け時の組み立て工数を低減することができる。保持部Rは、ブラケットU4が車両1に設けられたリヤキャリア30に取り付けられた状態において、車幅方向においてリヤキャリア30の端部に比して外側に突出して配置されている。保持部Rは、後述の持ち手部QMの前後方向に沿った幅内に配置されている。
【0057】
保持部Rは、例えば、金属製の線状部材を折り曲げることにより形成されている。線状部材は、例えば、円形断面を有する棒状体である。保持部Rは、例えば、鉛直部U6に固定される第1部材R1を備える。第1部材R1は、例えば、直線状に形成されている。第1部材R1は、例えば、鉛直部U6に溶接等の固定方法を用いて固定されている。固定方法は、強度が確保可能であれば溶接の他、ロウ付け、接着、ネジ止め等他の方法が用いられてもよい。第1部材R1は、例えば、車幅方向においてリヤキャリア30の端部に比して内側に配置されている。これにより、第1部材R1の一端側の端面が、車両1以外の他の物体や人体に接触することが防止される。第1部材R1の一端側は、車幅方向外側に面して配置されている。
【0058】
第1部材R1の他端側には、上方に湾曲した第2部材R2の一端側が連続して形成されている。第2部材R2は、U状に湾曲して形成されている。第2部材R2の他端側には、第3部材R3の一端側が連続して形成されている。第3部材R3は、例えば、第2部材R2が湾曲していることにより第1部材R1の上方に平行に配置されている。第3部材R3の他端側は、車幅方向においてリヤキャリア30の端部に比して外側に配置されている。第3部材R3の一部は、車幅方向においてリヤキャリア30の端部に比して外側に突出している。第3部材R3の他端側には、上方に湾曲した第4部材R4の一端側が連続して形成されている。
【0059】
第4部材R4は、L状に湾曲して形成されている。第4部材R4の他端側には、第5部材R5の一端側が連続して形成されている。第5部材R5は、例えば、直線状に形成されている。第5部材R5は、第4部材R4が湾曲していることにより鉛直方向上方に起立して配置されている。第5部材R5の他端側には、車幅方向において内側に湾曲した第6部材R6の一端側が連続して形成されている。第6部材R6は、U状に湾曲して形成されている。第6部材R6の他端側には、第7部材R7の一端側が連続して形成されている。第7部材R7は、直線状に形成されている。第7部材R7は、例えば、第6部材R6が湾曲していることにより車幅方向において内側に第1部材R1に平行に配置されている。
【0060】
上記構成により、保持部Rは、フック状に形成されている。保持部Rは、第3部材R3、第4部材R4、第5部材R5、第6部材R6、及び第7部材R7によりフック部が形成されている。第7部材R7が車幅方向において内側に折り曲げられていることにより、第7部材R7の他端側の端面が、車両1以外の他の物体や人体に接触することが防止される。また、フック部に後述の持ち手部QMを引っ掛け易くすることができる。また、上記構成により、フック部に車両1以外の他の物体や人体が接触して荷重が加わった際に、第2部材R2や第3部材R3が弾性変形することにより、他の物体や人体に対する影響を低減することができる。
【0061】
また、固定部材Uの車両1側において、一対の直部U1の途中には、収容ボックス50を固定するための一対のブラケットU7がそれぞれ設けられている。ブラケットU7は、直部U1の軸線方向に沿った方向に延在して形成されている。ブラケットU7は、後述の収容ボックス50の把持部51Bに嵌合する形状に形成されている。ブラケットU7は、平板部U7Aと、平板部U7Aの上下において平板部U7Aから屈曲して直部U1に溶接される屈曲部U7Bとが形成されている。
【0062】
一対のブラケットU7において、一対の平板部は、上下方向に沿った方向にみて車体側に向かって距離が拡大する角度に固定されている。ブラケットU7には、上下方向に沿って一対のボルト穴U7Hが形成されている。ボルト穴U7Hには、収容ボックス50を固定するためのボルトが締結されるナットU7Nが溶接されている。
【0063】
図6から図8に示されるように、収容ボックス50は、物品を収容する収容部51と、収容部51に対して開閉可能な蓋部52と、蓋部52を閉状態にする留め具Q及びヘルメットホルダーHとを備えている。以下、収容ボックス50について、蓋部52と収容部との合わせ目が略上下方向に沿った状態について説明する。収容部51は、例えば、固定部材U側に取り付けられる。収容部51は、物品を収容する収容空間が形成された筐体である。
【0064】
蓋部52は、収容部51に対して開閉自在に取り付けられている。蓋部52と収容部51とは、ヒンジ等の回転軸Jを介して連結されている。回転軸Jは、樹脂ヒンジであってもよい。蓋部52は、例えば、樹脂により形成されている。蓋部52には、例えば、矩形の板状に形成された頂部52Aと、頂部52Aの周囲に延在して形成された側壁52Sとを有する箱形に形成されている。蓋部52は、車両1の車幅方向において収容部51の開口を覆うように収容部51に開閉自在に取り付けられている。蓋部52は、例えば、収容部51の下部に回転軸を有する。蓋部52は、収容部51に対して開口が上方に現れるように下開きに開放される。側壁52Sの端部には、収容部51との合わせ部の周囲を覆うように延在して形成された縁部52Bを備える。これにより、収容部51との合わせ部において水の侵入を防止する。
【0065】
蓋部52には、閉状態において留め具Q及びヘルメットホルダーHを収容可能な窪み部52Cが形成されている。これにより、留め具QとヘルメットホルダーHとが集約された収容ボックス50の外観を実現することができる。また、上記構成により、留め具Q及びヘルメットホルダーHは、蓋部52の開閉軸方向に見て蓋部52の閉状態において、蓋部52及び収容部51の幅内に設けられている。
【0066】
これにより、車両1を駐車する際に、ヘルメットホルダーHや留め具Qが隣接する物体に接触することが防止される。蓋部52は、側壁52Sが縁部52Bに向かうほど傾斜した傾斜面52Kが形成されている。これにより、蓋部52が取り付けられた状態において上面となる側壁52Sが車幅方向の外方に向かうほど下方に傾斜した傾斜面が形成される。これにより、蓋部52の上面に降りかかった水が下方に流れ易くすることができる。
【0067】
上述したように、この傾斜面52Kは、側壁52S全てに形成されているので、蓋部52は、開閉軸を左右開き、上開きとなるように収容ボックス50が固定された場合でも上面となる面に水が溜まりにくくなるように形成されている。また、上記構成により、蓋部52は、収容ボックス50がトップボックスとして固定された場合でも側壁52Sが有する傾斜面により水が溜まりにくくなるように形成されている。
【0068】
留め具Qは、車両1側に固定され、蓋部を閉状態に固定可能な部品である。留め具Qは、金属板等の板状体により形成されている。留め具Qは、例えば、収容部51の上面の形状に合わせて折り曲げられて形成された第1部材Q1と、蓋部52の上面の形状に合わせて折り曲げられて形成された第2部材Q2とを備える。
【0069】
第1部材Q1は、略水平方向に沿って矩形の板状に形成された第1板状部Q1Aと、第1板状部Q1Aの車両1側の基端から下方に垂下した矩形の板状に形成された第2板状部Q1Bとを備える。第2板状部Q1Bには、固定部材Uの連結板U3のナットU3Nの位置に対応して前後方向に沿って一対の貫通孔Q1Hが形成されている。一対の貫通孔Q1Hには、ビスが挿通されナットU3N(図3参照)に螺入されて留め具Qが車両1側に固定される。第1板状部Q1Aの先端部には、ヒンジ部QHが設けられている。ヒンジ部QHは、第2部材Q2を回転自在に支持している。
【0070】
ヒンジ部QHは、第1部材Q1に設けられた第1回転軸QH1と、第1回転軸QH1に対して平行に設けられた第2回転軸QH2とを備える。第2回転軸QH2は、第2部材Q2を回転自在に支持する。第1回転軸QH1は、第1部材Q1側、即ち収容部51側(車両1側)に固定されている。第1回転軸QH1は、例えば、蓋部52の回転軸Jの方向に沿って設けられている。第2回転軸QH2は、留め具Qが閉状態において第1回転軸QH1に対して、車幅方向において内側に、(第1回転軸QH1に対して直交方向に第2板状部Q1B側に)所定幅のオフセット量にオフセットされて設けられている。第2回転軸QH2は、第1回転軸QH1を中心としてオフセット量の幅において回転自在に設けられる。
【0071】
上記構成により、ヒンジ部QHは、第2回転軸QH2の第1回転軸QH1を中心とする第1回転運動と、第2部材Q2の第2回転軸QH2を中心とする第2回転運動との協働により、閉状態時に蓋部52をロック可能とする軌道を生成すると共に、開状態時に持ち手部QMを保持部Rに引っ掛け可能な軌道を生成する。
【0072】
第2部材Q2は、ヒンジ部QHにより回転自在に支持された基端側から上方に山形に折り曲げられた湾曲部Q2Aと、先端部において水平方向に折り曲げられた板状部Q2Bとを備える。湾曲部Q2Aには、第2部材Q2の開閉操作のための持ち手部QMが設けられている。持ち手部QMは、開閉軸方向に沿って見て、収容ボックス50の幅内に配置される。
【0073】
持ち手部QMは、例えば、湾曲部Q2Aに溶接等の固定方法を用いて固定されている。持ち手部QMは、留め具Qの閉状態において、留め具Qに起立した状態で固定され、上方に向かうほど保持部R側に接近するように傾斜して固定されている。これにより、留め具Qが開状態である場合に、保持部Rとの距離を短縮し持ち手部QMを保持部Rに引っ掛け易くすることができる。
【0074】
板状部Q2Bの先端部には、蓋部52側に設けられた受部Gを引っ掛けるためのフックQFが形成されている。フックQFは、下方に板状部Q2Bに戻るように折り曲げられて形成されている。板状部Q2Bの上部には、ヘルメットホルダーHが取り付けられている。
【0075】
ヘルメットホルダーHは、板状部Q2Bに固定された支持部H1と、支持部H1にスライド自在に支持されたスライド部H2とにより構成されている。支持部H1には、スライド部H2が挿通される貫通孔HHと、スライド部H2が受部Gに嵌合した状態においてスライド部H2の一部が露出する切欠き部HKが形成されている。支持部H1の上部には、スライド部H2のスライド移動の規制及び解除をキーKの操作により行うためのシリンダキーHSが設けられている。シリンダキーHSは、例示以外の位置、向きに設けられていてもよい。
【0076】
スライド部H2は、円形断面の棒状に形成されている。スライド部H2は、ヘルメットのあご紐に設けられた環状部品に挿通されるスライドピンH2Qと閉錠状態において支持部H1に収容され、開錠状態において支持部H1から突出する操作部H2Sとが形成されている。操作部H2SとスライドピンH2Qとは、一体に形成されている。操作部H2Sの径は、スライドピンH2Qの径に比して大きく形成されている。操作部H2Sの径は、スライドピンの径と同一であってもよい。なお、スライド部H2は、操作部H2SとスライドピンH2Qのような棒状のものだけでなく、板状に形成されていてもよい。スライド部H2は、ヘルメットの環状部品に挿通されるものであればどのような形状に形成されていてもよい。
【0077】
スライド部H2は、蓋部52が収容部51に対して確実な閉状態である場合にスライドし、切欠き部HKを通過して支持部H1の切欠き部HKが形成された側の側面から突出する。この状態において、スライド部H2は、後述のように蓋部側に設けられた受部Gに嵌合する。このときスライド部H2は、シリンダキーHSにより自動的にロックされる。スライド部H2は、キー操作により開状態となった場合、操作部H2Sが突出し、スライドピンH2Qが切欠き部HKを通過して支持部H1内に収納される。この状態において、受部Gは、窪み部52Cに固定されている。
【0078】
受部Gは、蓋部52において、留め具Qの位置に対応して取り付けられている。受部Gは、例えば、窪み部52Cに形成された底部に固定される基部G1と、基部G1の一端側に設けられた起立片G2とを備える。受部Gは、例えば、金属板を曲げ加工して形成されている。基部G1の両端側には、一対の貫通孔GHが形成されている。一対の貫通孔GHの位置に対応して窪み部52Cの底部にも貫通孔(不図示)が形成されている。一対の貫通孔GHには、ボルトが挿通され、ボルト及びナットにより受部Gが蓋部52に固定される(図8参照)。
【0079】
基部G1は、貫通孔GHが形成された位置から上方に段差が形成されている。基部G1において、窪み部52Cの開口側の一辺には、留め具QのフックQFが引っ掛かるフック受部GFが形成されている。フック受部GFは、金属板により形成された矩形の端部が段差により生じた隙間に入るように下方に折り曲げられて形成されている。基部G1の一端からは、上方に折り曲げられて起立片G2が形成されている。起立片G2には、スライド部が嵌合する孔G2Hが形成されている。なお、起立片G2は、必ずしも設けられていなくてもよい。受部Gは、例えば、起立片G2の代わりに蓋部52側において閉状態のスライド部H2が篏合できるように、窪み部52Cの壁面等に、孔、窪み、切欠き等が形成されているものであってもよい。
【0080】
起立片G2の先端部は、窪み部52Cから上方に突出して形成されている。起立片G2は、蓋部52が開閉する軌跡において最外部に位置するように形成されている(図7図10参照)。起立片G2の先端部は、前後方向に沿った方向に見て孔G2Hを中心とした円形に形成されている。これにより、蓋部52の開閉時において他の物体に接触しても他の物体に傷が付くことが防止される。起立片G2の先端部において最外部となる位置には、端面に沿って延在する弾性部材G2Gが取り付けられていてもよい。弾性部材G2Gは、ゴム、樹脂等により形成されている。即ち、起立片G2の最外部は、弾性部材となり、蓋部が開閉する軌跡において他の物体に傷が付くことが防止される。
【0081】
次に、収容ボックス50における留め具Q及び保持部Rの機能について説明する。
【0082】
図9に示されるように、留め具Qは、閉状態において蓋部52を閉状態にロックする。留め具Qを閉状態から解除する場合、キーKを操作してヘルメットホルダーHと受部Gとのロックを解除する。その後、第2部材Q2の第2回転軸QH2を持ち上げ、第2回転軸を第1回転軸QH1回りに回転させる。このとき、フックQFがフック受部GFを支点として第2部材Q2が回転し、第2回転軸QH2が上方に持ち上がる。
【0083】
図10に示されるように、第1回転軸QH1回りに第2回転軸QH2の回転が進むと、フックQFがフック受部GFから外れ、第2部材Q2が第2回転軸QH2回りに回転し留め具Qが開状態となる。保持部Rは、車両1の車幅方向において持ち手部QMの取り付け位置に比して車両1側に配置されている。保持部Rは、留め具Qの開状態における可動範囲内に設けられている。保持部Rは、可動範囲内において持ち手部QMを固定可能な位置に配置されている。
【0084】
持ち手部QMを保持部Rに引っ掛ける際、第2部材Q2を第2回転軸QH2回りに回転させる。持ち手部QMは、保持部R側に傾斜して固定されているため、保持部Rに到達するまでの第2回転軸QH2回りの回転が低減される。第2部材Q2を第2回転軸QH2回りに回転させ、持ち手部QMが保持部Rに到達した状態では、持ち手部QMは、保持部Rに引っ掛からない。そこで、持ち手部QMが保持部Rに到達する間に第2回転軸QH2が上方に移動するように第1回転軸QH1回りに回転させて持ち手部QMを上方に移動させる。
【0085】
図11に示されるように、上記動作に基づいて、持ち手部QMは、保持部Rに引っ掛けることができる。即ち、ヒンジ部QHにより、留め具Qの開状態時に持ち手部QMを保持部Rに引っ掛け可能な軌道を生成することができる。その結果、保持部Rは、留め具Qの開状態において留め具Qに設けられた持ち手部QMを保持可能とする。持ち手部QMが保持部Rに保持された状態において、留め具Qの重心は、保持部Rに対して車幅方向において外側に位置する。
【0086】
この状態において、留め具Qには、保持部Rと持ち手部QMとの接点を中心とした回転偶力が生じる。この回転偶力は、第2回転軸QH2を中心とした保持部Rと持ち手部QMとの接点に作用する保持部Rの支持力に基づいて発生する逆方向の回転偶力により打ち消される。従って、留め具Qは、保持部Rと持ち手部QMとの接点及び第2回転軸QH2との協働により保持部Rに安定して固定される。即ち、保持部Rは、持ち手部QMを保持した状態において留め具Qの荷重を安定して受ける位置に固定されている。
【0087】
保持部Rは、車両1に取り付けられた収容ボックス50の蓋部52を閉状態に固定可能とする、車両1に取り付けられた留め具Qの開状態における可動範囲内に設けられ、開状態において留め具Qに設けられた持ち手部QMを保持可能な車両用部品として提供されてもよい。車両1は、車体側において収容ボックス50と、車両用部品である留め具Qとが設けられた状態において提供されてもよい。
【0088】
上述したように収容ボックス50によれば、留め具Qが開状態である場合に持ち手部QMを引っ掛けて保持可能な保持部Rを有することにより、留め具Qに邪魔されずに蓋部52の開閉をスムースに行うこができる。収容ボックス50によれば、持ち手部QMの可動範囲内に設けられているため、留め具Qの開閉操作の動きにおいて持ち手部QMと保持部Rとの着脱操作を簡便に行うこができる。収容ボックス50によれば、留め具Qの持ち手部QMを保持部Rにより保持することにより、蓋部52の開閉操作における利便性を向上することができる。収容ボックス50によれば、保持部RがブラケットU4に固定されているため、収容ボックス50の取り付け時の工数を低減することができる。
【0089】
[変形例]
以下、収容ボックス50の変形例について説明する。以下の説明では、上記実施形態と同一の構成については同一の名称及び符号を用い、重複する説明については適宜省略する。
【0090】
図12に示されるように、変形例に係る保持部Tは、ブラケットU4と一体に形成されていてもよい。保持部Tは、例えば、ブラケットU4の先端部に一体に形成されている。保持部Tは、例えば、鉛直部U6の先端部から車幅方向外側に突出してフック状に形成されていてもよい。保持部Tは、水平部U5の先端部から車幅方向外側に突出してフック状に形成されていてもよい。
【0091】
図13に示されるように、保持部Xは、ブラケットU4と別体に設けられていてもよい。保持部Xは、例えば、水平部U5とリヤキャリア30との間に挟まれてネジにより固定されてもよい。保持部Xは、ブラケットU4の先端部から車幅方向外側に突出してフック状に形成されている。この他、保持部は、リヤキャリア30に固定されるものであってもよい。例えば、保持部は、紐状部材によりリヤキャリア30に結ばれて紐状部材の先端部にフック状の部材が設けられているものであってもよい。また、保持部は、フック状に形成されているだけでなく持ち手部QMを磁気吸着して保持するものであってもよい。この場合、保持部は、持ち手部QMに着磁され持ち手部QMがリヤキャリア30に磁気吸着するように構成されていてもよい。また、保持部と持ち手部QMとは、面ファスナ等の着脱自在な部材を用いて保持されてもよい。
【0092】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、収容ボックス50は、車両1の車幅方向の左側に取り付けられる状態を例示したが、これに限らず車両1の右側や両側に取り付けられてもよい。また、収容ボックス50は、リヤキャリア30の上部に取り付けられてもよい。収容ボックス50は、車両1の後部だけでなく、問題なく取り付け可能であれば車両1の任意の位置において、且つ、任意の姿勢において取り付けられてもよい。また、車両1は、自動二輪車だけでなく、他の自走車両、非自走車両であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…車両、50…収容ボックス、51…収容部、52…蓋部、Q…留め具、Q1…第1部材、Q2…第2部材、QH…ヒンジ部、QH1…第1回転軸、QH2…第2回転軸、QM…持ち手部、R…保持部、R1…第1部材、R2…第2部材、T…保持部、U4…ブラケット、U7…ブラケット、X…保持部、Z…ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13