(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】光源装置、医療用観察システム、調整装置、照明方法、調整方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
A61B1/06 613
(21)【出願番号】P 2021501709
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2020001608
(87)【国際公開番号】W WO2020170669
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2019026889
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 航史
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530893(JP,A)
【文献】特開2017-136396(JP,A)
【文献】特開2011-101771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、
パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、
前記第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、前記第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のどちらか一方を固定しつつ、前記第2の光のパルス発光時間および前記パルス発光強度のうち他方を変化させる制御を行う光源制御部と、
を備え、
前記第1の光源部は、
前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい、
光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記第1の光源部は、白色観察可能な光を前記第1の光として生成し、
前記第2の光源部は、蛍光物質を励起する光を前記第2の光として生成する、
光源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記光源制御部は、
前記第1の光源部と前記第2の光源部とを交互に発光させる制御を行い、かつ、前記第2の光源部の発光時における前記第2の光のパルス発光強度を固定しつつ、前記パルス発光時間を変化させる制御を行う、
光源装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光源装置であって、
前記光源制御部は、
前記第1の光源部と前記第2の光源部とを交互に発光させる制御を行い、かつ、前記第2の光源部の発光時における前記第2の光のパルス発光強度を固定しつつ、前記パルス発光時間を変化させる制御を行う、
光源装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光源装置と、
前記被検体からの光を受光し、撮像信号を生成する撮像素子と、
前記撮像素子が生成した前記撮像信号から表示部に表示するための表示画像を生成する画像処理部と、
を備える、
医療用観察システム。
【請求項6】
請求項2に記載の光源装置と、
前記被検体からの光を受光し、撮像信号を生成する撮像素子と、
前記撮像素子が生成した前記撮像信号から表示部に表示するための表示画像を生成する画像処理部と、
を備える、
医療用観察システム。
【請求項7】
請求項3に記載の光源装置と、
前記被検体からの光を受光し、撮像信号を生成する撮像素子と、
前記撮像素子が生成した前記撮像信号から表示部に表示するための表示画像を生成する画像処理部と、
を備える、
医療用観察システム。
【請求項8】
請求項1に記載の光源装置が光学的に接続可能な調整装置であって、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定可能な測定部と、
前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記測定部が測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、
前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる、
調整装置。
【請求項9】
請求項2に記載の光源装置が光学的に接続可能な調整装置であって、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定可能な測定部と、
前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記測定部が測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、
前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる、
調整装置。
【請求項10】
請求項3に記載の光源装置が光学的に接続可能な調整装置であって、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定可能な測定部と、
前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記測定部が測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、
前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる、
調整装置。
【請求項11】
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置が実行する照明方法であって、
前記第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、前記第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のどちらか一方を固定しつつ、前記第2の光のパルス発光時間および前記パルス発光強度のうち他方を変化させる、
照明方法。
【請求項12】
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置が光学的に接続される調整装置が実行する調整方法であって、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定し、
前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させ、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、
前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる、
調整方法。
【請求項13】
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置に実行させるプログラムであって、
前記第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、前記第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のどちらか一方を固定しつつ、前記第2の光のパルス発光時間および前記パルス発光強度のうち他方を変化させる、
プログラム。
【請求項14】
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置が光学的に接続される調整装置に実行させるプログラムであって、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定し、
前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させ、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、
前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検体に光を照射する光源装置、医療用観察システム、調整装置、照明方法、調整方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡では、被検体に光を照射するLED光源や半導体レーザ素子等の半導体光源に対して、駆動パルスのデューティ比を変化させるPWM制御および半導体光源の電流を変化させる電流制御を行うことによって半導体光源を調光する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。この技術では、互いに異なる波長帯域の光を1フレーム毎にPWM制御および電流制御を行うことによって、白色光による通常観察や、狭帯域光(Narrow Band Imaging:NBI)による特殊観察、を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体光源は、製造時や性能にばらつきがあり、精度の高い電流制御やPWM制御を行うため、発光させる最大の電流値と最小の電流値、電流と出射光量との相関関数等のデータを、内視鏡光源装置の出荷前の検査工程において検出し、この検出結果をROM(Read Only Memory)等に記憶する調整作業が発生する。このため、従来の半導体光源を用いた光源装置では、全ての光源に対して電流制御による調光を行う場合、全ての半導体光源に対して調整作業を行わなければならず、作業が煩雑になるという問題点があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、煩雑な作業を行うことなく、半導体光源に対してPWM制御と電流制御とよる調光を行うことができる光源装置、医療用観察システム、調整装置、照明方法、調整方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る光源装置は、パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、前記第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、前記第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のどちらか一方を固定しつつ、前記第2の光のパルス発光時間および前記パルス発光強度のうち他方を変化させる制御を行う光源制御部と、を備え、前記第1の光源部は、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい。
【0007】
また、本開示に係る光源装置は、上記開示において、前記第1の光源部は、白色観察可能な光を前記第1の光として生成し、前記第2の光源部は、蛍光物質を励起する光を前記第2の光として生成する。
【0008】
また、本開示に係る光源装置は、上記開示において、前記光源制御部は、前記第1の光源部と前記第2の光源部とを交互に発光させる制御を行い、かつ、前記第2の光源部の発光時における前記第2の光のパルス発光強度を固定しつつ、前記パルス発光時間を変化させる制御を行う。
【0009】
また、本開示に係る医療用観察システムは、上記開示の光源装置と、前記被検体からの光を受光し、撮像信号を生成する撮像素子と、前記撮像素子が生成した前記撮像信号から表示部に表示するための表示画像を生成する画像処理部と、を備える。
【0010】
また、本開示に係る調整装置は、上記開示の光源装置が光学的に接続可能な調整装置であって、前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定可能な測定部と、前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記測定部が測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる。
【0011】
また、本開示に係る照明方法は、パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置が実行する照明方法であって、前記第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、前記第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のどちらか一方を固定しつつ、前記第2の光のパルス発光時間および前記パルス発光強度のうち他方を変化させる。
【0012】
また、本開示に係る調整方法は、パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置が光学的に接続される調整装置が実行する調整方法であって、前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定し、前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させ、前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる。
【0013】
また、本開示に係るプログラムは、パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置に実行させるプログラムであって、前記第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、前記第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のどちらか一方を固定しつつ、前記第2の光のパルス発光時間および前記パルス発光強度のうち他方を変化させる。
【0014】
また、本開示に係るプログラムは、パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置が光学的に接続される調整装置に実行させるプログラムであって、前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定し、前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させ、前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、煩雑な作業を行うことなく、半導体光源に対してPWM制御と電流制御とによる調光を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る内視鏡システムが備える光源装置、カメラヘッドおよび制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る内視鏡システムが実行する従来の時分割露光において明るくする場合の動作を模式的に示すタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る内視鏡システムが実行する従来の時分割露光において暗くする場合の動作を模式的に示すタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る内視鏡システムが実行する時分割露光において明るくする場合の動作を模式的に示すタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る内視鏡システムが実行する時分割露光において暗くする場合の動作を模式的に示すタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態3に係る手術用顕微鏡システムの概略構成を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態4に係る光源装置および調整装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態4に係る調整装置700が実行する調整方法の処理の概要を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図10の第1のキャリブレーション処理の概要を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、
図10の第2のキャリブレーション処理の概要を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施の形態4に係る調整装置が光源装置を用いて生成したキャリブレーションデータの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を図面とともに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により、本開示が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示しているに過ぎない。即ち、本開示は、各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。さらにまた、本開示に係る医療用観察システムの一例として、内視鏡システムについて説明する。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0018】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの概略構成〕
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。
図1に示す内視鏡システム1は、医療分野に用いられ、人や動物の生体等の被検体の内部(生体内)に挿入され、内部を撮像した画像を表示することによって被検体を観察する装置である。なお、実施の形態1では、内視鏡システム1として、
図1に示す硬性鏡(挿入部2)を用いた硬性内視鏡システムについて説明するが、これに限定されることなく、例えば軟性内視鏡システムであってもよい。
【0019】
図1に示す内視鏡システム1は、挿入部2(内視鏡)と、光源装置3と、ライトガイド4と、カメラヘッド5(内視鏡用撮像装置)と、第1の伝送ケーブル6と、表示装置7と、第2の伝送ケーブル8と、制御装置9と、第3の伝送ケーブル10と、を備える。
【0020】
挿入部2は、硬質または少なくとも一部が軟性で細長形状を有し、患者等の被検体内に挿入される。挿入部2の内部には、1または複数のレンズを用いて構成され、観察像を結合する光学系が設けられている。
【0021】
光源装置3は、ライトガイド4の一端が接続される。光源装置3は、制御装置9による制御のもと、ライトガイド4の一端に被検体内を照明するための光を出射(供給)する。光源装置3は、LD(Laser Diode)等の半導体レーザ素子を用いて構成される。光源装置3と制御装置9とは、
図1に示すように個別で通信する構成をしてもよいし、一体化した構成であってもよい。
【0022】
ライトガイド4は、一端が光源装置3に着脱自在に接続され、かつ、他端が挿入部2に着脱自在に接続される。ライトガイド4は、光源装置3から出射された光を一端から他端に導光し、挿入部2へ供給する。
【0023】
カメラヘッド5は、挿入部2の接眼部21が着脱自在に接続される。カメラヘッド5は、制御装置9の制御のもと、挿入部2によって結像された観察像を撮像することによって撮像信号を生成し、この撮像信号(電気信号)を光信号に変換して出力する。また、カメラヘッド5は、円周方向に回転可能に設けられた操作リング部51と、内視鏡システム1の各種の操作を指示する指示信号の入力を受け付ける複数の入力部52と、を備える。
【0024】
第1の伝送ケーブル6は、一端が第1のコネクタ部61を介して制御装置9に着脱自在に接続され、他端が第2のコネクタ部62を介してカメラヘッド5に接続される。第1の伝送ケーブル6は、カメラヘッド5から出力される撮像信号を制御装置9へ伝送し、かつ、制御装置9から出力される制御信号、同期信号、クロック信号および電力等をカメラヘッド5へ伝送する。
【0025】
表示装置7は、制御装置9の制御のもと、制御装置9において処理された画像信号に基づく表示画像や内視鏡システム1に関する各種情報を表示する。
【0026】
第2の伝送ケーブル8は、一端が表示装置7に着脱自在に接続され、他端が制御装置9に着脱自在に接続される。第2の伝送ケーブル8は、制御装置9において処理された画像信号に基づく表示画像を表示装置7に伝送する。
【0027】
制御装置9は、メモリと、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを有するプロセッサを用いて構成され、メモリに記録されたプログラムに従って、第1の伝送ケーブル6、第2の伝送ケーブル8および第3の伝送ケーブル10の各々を介して、光源装置3、カメラヘッド5、および表示装置7の動作を統括的に制御する。また、制御装置9は、被検体の観察法に応じて、光源装置3が出射する光の波長帯域を切り替える信号を光源装置3へ出力する。ここで、観察法には、白色光を出射する通常観察と、白色の波長帯域と異なる波長帯域の光を出射する特殊光観察と、が含まれる。実施の形態1では、特殊光観察として、赤外光の波長帯域の光を出射して、生体内に注入または塗布されたインドシアニングリーンの蛍光を観察するIR観察を例に説明する。
【0028】
第3の伝送ケーブル10は、一端が光源装置3に着脱自在に接続され、他端側が制御装置9に着脱自在に接続される。第3の伝送ケーブル10は、制御装置9からの制御信号を光源装置3に伝送する。
【0029】
〔光源装置、カメラヘッドおよび制御装置の詳細な構成〕
次に、光源装置3、カメラヘッド5および制御装置9の機能構成いついて説明する。
図2は、内視鏡システム1が備える光源装置3、カメラヘッド5および制御装置9の機能構成を示すブロック図である。なお、
図2においては、説明の便宜上、挿入部2、ライトガイド、第1の伝送ケーブル6、表示装置7、第2の伝送ケーブル8および第3の伝送ケーブル10を省略している。
【0030】
〔光源装置の構成〕
まず、光源装置3の構成について説明する。
光源装置3は、第1の光源部31と、第2の光源部32と、光源制御部33と、を備える。
【0031】
第1の光源部31は、パルス発光可能であり、挿入部2を介して被検体に照射される第1の光を発光することによって挿入部2へ供給する。具体的には、第1の光源部31は、光源制御部33の制御のもと、第1の光として白色観察可能な光を所定のタイミング、かつ、所定の発光時間で発光することによって挿入部2へ供給する。第1の光源部31は、赤色(波長帯域600nm~700nm)の光を照射可能な赤色の半導体レーザ素子と、青色(波長帯域400nm~500nm)の光を照射可能な青色の半導体レーザ素子と、緑色(波長帯域500nm~600nm)の光を照射可能な緑色の半導体レーザ素子と、を用いて構成される。なお、第1の光源部31は、赤色、青色および緑色の半導体レーザ素子を用いて構成しているが、これに限定されることなく、白色の光を照射可能な白色の半導体レーザ素子を用いてもよい。また、第1の光源部31は、パルス発光ができれば、半導体レーザ素子である必要はなく、例えば発光LED(Light Emitting Diode)等であってもよい。
【0032】
第2の光源部32は、パルス発光可能であり、挿入部2を介して被検体に照射される第2の光を発光する。具体的には、第2の光源部32は、光源制御部33の制御のもと、蛍光物質を励起する光を所定のタイミング、かつ、所定の発光時間で発光することによって挿入部2へ供給する。より具体的には、第2の光源部32は、光源制御部33の制御のもと、蛍光物質を励起する赤外光(波長帯域700~1000nm)を発光することによって挿入部2へ供給する。第2の光源部32は、蛍光物質を励起する光(700~1000nm)を照射可能な半導体レーザ素子と所定の波長帯域のみを透過させるフィルタ等を用いて構成される。なお、以下においては、第2の光を赤外光として説明するが、これに限定されることなく、例えば、第2の光として、ヘマトポルフィリン誘導体等の光感受性物質を腫瘍組織に予め蓄積させて蛍光を観察させるPDD(Photo Dynamic Diagnosis)観察に用いられる光(波長帯域405nm近傍)、およびコラーゲン等の蛍光物質からの自家発光を観察するAFI(Auto Fluorescence Imaging)観察に用いられる光(波長帯域390~470nm+波長帯域540~560nm)であってもよい。
【0033】
光源制御部33は、制御装置9の制御のもと、第1の光源部31が発光する第1の光のパルス発光時間と第2の光源部32が発光する第2の光のパルス発光時間とを制御する。さらに、光源制御部33は、第2の光源部32が発光する第2の光のパルス発光時間および第2の光のパルス発光強度のどちらか一方を維持する制御を行う一方、第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のうち他方を変化させる制御を行う。また、光源制御部33は、第1の光源部31および第2の光源部32の各々を制御することによって、第1の光と第2の光とをカメラヘッド5が生成する撮像信号の1フレーム毎に交互に発光させる制御を行い。この場合、光源制御部33は、第2の光の発光時における第2の光のパルス発光強度を維持しつつ、パルス発光時間を制御する。光源制御部33は、メモリと、CPU、ASIC、FPGA等のハードウェアを有するプロセッサを用いて構成される。
【0034】
コネクタ部34は、ライトガイド4の一端が着脱自在に接続される。コネクタ部34は、第1の光源部31または第2の光源部32が発光した光をライトガイド4に導光する。
【0035】
メモリ35は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ等を用いて構成される。メモリ35は、光源装置3に関する各種のデータを記録する。メモリ35は、第1の光源部31が予め設定した複数の発光強度の各々で発光可能に調整した第1の光源部31に供給する電流値を対応付けた第1のキャリブレーションデータと、第2の光源部32が予め設定した複数の発光強度の各々で発光可能に調整した第2の光源部32に供給する電流値を対応付けた第2のキャリブレーションデータと、を含むキャリブレーションデータを記録するキャリブレーションデータ記録部351を有する。さらに、メモリ35は、第1の光源部31および第2の光源部32の各々におけるカラーバランスに関するカラーバランス情報を記憶する。なお、メモリ35は、光源装置3に対して装着自在なメモリカード等をさらに備えてもよい。
【0036】
このように構成された光源装置3は、第1の光源部31が発光する第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、第1の光が照射された被検体からの光をカメラヘッド5(撮像素子)が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、第2の光源部32が発光する第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、第2の光が照射された被検体からの光をカメラヘッド5(撮像素子)が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るくなる設定が行われている。
【0037】
〔カメラヘッドの構成〕
次に、カメラヘッド5の構成について説明する。
カメラヘッド5は、レンズユニット501と、撮像部502と、通信モジュール503と、カメラヘッド制御部504と、を備える。
【0038】
レンズユニット501は、1または複数のレンズを用いて構成され、撮像部502の受光面に被写体像を結像する。また、レンズユニット501は、カメラヘッド制御部504の制御のもと、図示しない駆動部がレンズを光軸方向に沿って移動させることによって焦点位置を変化させるAF(Auto Focus)および焦点距離を変化させる光学ズームを行う。なお、本実施の形態1では、レンズユニット501に絞り機構および光軸上に挿脱可能な光学フィルタ機構を設けてもよい。
【0039】
撮像部502(撮像素子)は、カメラヘッド制御部504の制御のもと、挿入部2およびレンズユニット501が結像した被写体像を受光して光電変換を行うことによって撮像信号(RAWデータ)を生成し、この撮像信号を通信モジュール503へ出力する。撮像部502は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いて構成される。
【0040】
通信モジュール503は、第1の伝送ケーブル6を介して制御装置9から送信された各種の信号をカメラヘッド5内の各部に出力する。また、通信モジュール503は、第1の伝送ケーブル6を介して、撮像部502が生成した撮像信号やカメラヘッド5の現在の状態に関する情報等に対してパラレルシリアル変換処理等を行って制御装置9へ出力する。
【0041】
カメラヘッド制御部504は、通信モジュール503から入力された各種信号に基づいて、カメラヘッド5を構成する各部の動作を制御する。カメラヘッド制御部504は、メモリとCPU等のハードウェアを有するプロセッサを用いて構成される。
【0042】
〔制御装置の構成〕
次に、制御装置9の構成について説明する。
制御装置9は、信号処理部91と、画像処理部92と、明るさ検出部93と、通信モジュール94と、入力部95と、出力部96と、メモリ97と、を備える。
【0043】
信号処理部91は、通信モジュール94を介してカメラヘッド5から入力された撮像信号に対して、ノイズ低減処理やA/D変換処理等の信号処理を行って画像処理部92、明るさ検出部93および制御部98等へ出力する。
【0044】
画像処理部92は、信号処理部91から入力された撮像信号に対して、所定の画像処理を施して表示装置7が表示する表示用の表示画像を表示装置7へ出力する。ここで、所定の画像処理としては、補間処理、色補正処理、色強調処理および輪郭強調処理等の各種の公知の画像処理である。画像処理部92は、メモリと、GPU、FPGAまたはCPU等のハードウェアを有するプロセッサを用いて構成される。また、画像処理部92は、第1の光源部31が発光した際に撮像部502によって生成された撮像信号に対応する撮像画像と、第2の光源部32が発光した際に撮像部502によって生成された撮像信号に対応する撮像画像とを合成した合成画像を表示装置7へ出力する。
【0045】
明るさ検出部93は、信号処理部91から入力された撮像信号に対応する撮像画像に基づいて、光源装置3が照射した光の明るさを検出し、この検出結果を制御部98へ出力する。
【0046】
通信モジュール94は、カメラヘッド5から入力された撮像信号を含む各種信号および光源装置3から入力された信号を制御部98や信号処理部91へ出力する。また、通信モジュール94は、制御部98から入力された各種信号をカメラヘッド5および光源装置3へ送信する。具体的には、通信モジュール94は、制御部98から入力された信号に対してパラレルシリアル変換処理等を行ってカメラヘッド5および光源装置3へ出力する。さらに、通信モジュール94は、カメラヘッド5から入力された信号に対して、シリアルパラレル変換処理等を行って制御装置9を構成する各部に出力する。
【0047】
入力部95は、キーボード、マウスおよびタッチパネル等を用いて構成される。入力部95は、ユーザの操作による各種情報の入力を受け付ける。
【0048】
出力部96は、スピーカ、プリンタおよびディスプレイ等を用いて構成される。出力部96は、内視鏡システム1に関する各種情報を出力する。
【0049】
メモリ97は、揮発性メモリ、不揮発性メモリおよびフレームメモリ等を用いて構成される。メモリ97は、内視鏡システム1が実行する各種のプログラムや処理中に使用される各種のデータを記録する。メモリ97は、第1の光源部31および第2の光源部32の各々のカラーバランスに関するカラーバランス情報を記録する。また、メモリ97は、光源装置3が接続された際に、光源装置3のメモリ35におけるキャリブレーションデータ記録部351からキャリブレーションを取得し、取得したキャリブレーションデータを記録するキャリブレーションデータ記録部971を有する。なお、キャリブレーションデータ記録部971には、通信モジュール94を経由して外部のサーバ等に記録されたキャリブレーションデータが記録されていてもよい。また、メモリ97は、制御装置9に対して装着自在なメモリカード等をさらに備えてもよい。
【0050】
制御部98は、内視鏡システム1を構成する各部を統括的に制御する。制御部98は、メモリおよびCPU等のハードウェアを用いて構成される。制御部98は、入力部95から入力される観察法の切替信号に基づいて、光源装置3が出射する光の波長帯域を切り替える信号および撮像画像の明るさを調光する調光信号を光源装置3へ出力する。
【0051】
〔従来の時分割露光〕
次に、内視鏡システム1が実行する従来の時分割露光について説明する。
図3は、内視鏡システム1が実行する従来の時分割露光において明るくする場合の動作を模式的に示すタイミングチャートである。
図4は、内視鏡システム1が実行する従来の時分割露光において暗くする場合の動作を模式的に示すタイミングチャートである。また、
図3の(a)および
図4の(a)は、撮像部502が連続的に生成する撮像信号の1フレーム毎のフィールドを示す。また、
図3の(b)および
図4の(b)において、横軸が時間を示し、縦軸が電流値を示す。さらに、
図3および
図4において、内視鏡システム1は、光源装置3に第1の光である白色光WLIと第2の光である赤外光IRとを交互に発光させて挿入部2から照射させる場合について説明する。なお、
図3および
図4では、説明を簡略化するため、最大電流値I
maxにおける白色光WLIと赤外光IRとの大きさをほぼ同じ高さで表現しているが、実際には最大電流値I
maxにおける白色光WLIと赤外光IRとの大きさに差があることに留意する必要がある。
【0052】
〔従来の時分割露光で撮像画像を明るくする場合〕
まず、内視鏡システム1が実行する従来の時分割露光において撮像画像を明るくする場合について説明する。
【0053】
図3に示すように、光源制御部33は、表示画像に露光ムラによる縞模様が発生することを防止するため、各フィールドにおいて撮像部502の全ライン露光期間D
1のみ第1の光源部31および第2の光源部32を発光させる。さらに、光源制御部33は、第1の光源部31および第2の光源部32を、交互に発光させる動作を1セットとして繰り返す。具体的には、光源制御部33は、Aフィールドにおいて第1の光源部31に白色光WLIを発光させ、Bフィールドにおいて第2の光源部32に赤外光IRを発光させる。
【0054】
続いて、光源制御部33は、制御装置9から入力された撮像信号に対応する撮像画像の明るさを示す指示信号に基づいて、最大電流値Imaxとなるまで、1セット毎に第1の光源部31および第2の光源部32の各々の電流量を増加させる制御を行う(電流値I1→電流値I2→最大電流値Imax)。これにより、白色光WLIおよび赤外光IRの光量は、フィールド毎に増大するので、撮像信号に対応する撮像画像の明るさが明るくなる。
【0055】
〔従来の時分割露光で暗くする場合〕
次に、内視鏡システム1が実行する従来の時分割露光において暗くする場合について説明する。
【0056】
図4に示すように、まず、光源制御部33は、制御装置9から入力された撮像信号に対応する撮像画像の明るさを示す指示信号に基づいて、最小電流値I
minとなるまで、1セット毎に第1の光源部31および第2の光源部32の各々の電流値を減少させる電流制御を行う(電流値I
10→最小電流値I
min)。これにより、白色光WLIおよび赤外光IRの光量は、フィールド毎に減少する。この結果、撮像信号に対応する撮像画像の明るさは、暗くなる。
【0057】
また、光源制御部33が第1の光源部31および第2の光源部32の各々の最小電流値Imin未満に電流値を下げた場合、第1の光源部31および第2の光源部32の各々は、発光を停止する。このため、光源制御部33は、第1の光源部31および第2の光源部32の各々の最小電流値Iminに到達後、第1の光源部31および第2の光源部32の各々のパルス発光時間を1セット毎に減少させる制御を行う(発光時間t1→発光時間t2→発光時間t3)。これにより、白色光WLIおよび赤外光IRの光量は、フィールド毎に減少する。この結果、撮像信号に対応する撮像画像の明るさは、暗くなる。
【0058】
このように従来の時分割露光では、撮像画像の明るさを暗くする場合、まず、光源制御部33が第1の光源部31および第2の光源部32の各々の最小電流値に電流値を減少させる電流制御を行う。その後、光源制御部33は、第1の光源部31および第2の光源部32の各々のパルス発光時間を短くする制御を行う。このため、従来の時分割露光では、第1の光源部31および第2の光源部32の分光特性や性能特性が異なることで、電流値およびパルス発光時間を変更した場合、撮像画像のカラーバランスが壊れる。この結果、従来の時分割露光を行う内視鏡システム1では、出荷時の製品検査時において、第1の光源部31および第2の光源部32の各々の分光特性や性能特性を測定し、撮像画像のカラーバランスを調整した各電流値および各パルス発光時間のパラメータをメモリ等に記憶しなければならなかった。このため、従来では、調整作業の作業が煩雑になるという問題点があった。
【0059】
〔本開示の時分割露光〕
次に、内視鏡システム1が実行する本開示の時分割露光について説明する。
図5は、内視鏡システム1が実行する時分割露光において明るくする場合の動作を模式的に示すタイミングチャートである。
図6は、内視鏡システム1が実行する時分割露光において暗くする場合の動作を模式的に示すタイミングチャートである。また、
図5の(a)および
図6の(a)は、撮像部502が連続的に生成する撮像信号の1フレーム毎のフィールドを示す。また、
図5の(b)および
図5の(b)において、横軸が時間を示し、縦軸が電流値を示す。なお、
図5および
図6では、説明を簡略化するため、最大電流値I
maxにおける白色光WLIと赤外光IRとの大きさをほぼ同じ高さで表現しているが、実際には最大電流値I
maxにおける白色光WLIと赤外光IRとの大きさに差があることに留意する必要がある。
【0060】
〔時分割露光で撮像画像を明るくする場合〕
まず、内視鏡システム1が実行する時分割露光において撮像画像を明るくする場合について説明する。
【0061】
図5に示すように、光源制御部33は、第2の光源部32の電流値を最大電流値I
maxに固定したまま、PWM制御による比率を大きくすることによってフィールド毎に第2の光源部32のパルス発光時間を長くする制御を行う(時間t
10→時間t
11→時間t
12)。赤外光IRによる撮像画像は、モノクロ観察による撮像画像と同等であり、細かな光源制御を行う必要がない。このため、光源制御部33は、第2の光源部32が発光する赤外光IRのパルス発光時間を長くする制御を行う。
【0062】
これに対して、
図5に示すように、光源制御部33は、最大電流値I
maxとなるまで、フィールド毎に第1の光源部31の電流値を増加させる制御を行う(電流値I
1→電流値I
2→最大電流値I
max)。この場合、第1の光源部31が発光する第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、被検体からの光をカメラヘッド5(撮像素子)が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、第2の光源部32が発光する第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、被検体からの光をカメラヘッド5(撮像素子)が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るくなる。さらに、白色光WLIによる撮像画像は、カラーバランスが崩れることを防止する必要がある。このため、光源制御部33は、第1の光源部31が発光する白色光WLIのパルス発光強度を電流値の制御によって行うことで、正確な調光制御を行う。
【0063】
〔時分割露光で撮像画像を暗くする場合〕
次に、内視鏡システム1が実行する時分割露光において撮像画像を暗くする場合について説明する。
【0064】
図6に示すように、光源制御部33は、制御装置9から入力された撮像信号に対応する撮像画像の明るさを示す指示信号に基づいて、最小電流値I
minとなるまで、フィールドA毎に第1の光源部31の電流値を減少させる制御を行う(電流値I
10→最小電流値I
min)。その後、光源制御部33は、第1の光源部31のパルス発光時間をAフィールド毎に減少させる制御を行う(発光時間t
1→発光時間t
2→発光時間t
3)。
【0065】
これに対して、光源制御部33は、第2の光源部32の電流値を最大電流値Imaxに固定したまま、Bフィールド毎に第2の光源部32のパルス発光時間を短くする制御を行う(時間t20→時間t21→時間t22→時間t23)。
【0066】
以上説明した実施の形態1によれば、光源制御部33が第1の光源部31によって発光される第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、第2の光源部32によって発光される第2の光のパルス発光強度を固定しつつ、第2の光のパルス発光時間を変化させる制御を行うので、煩雑な作業を行うことなく、第2の光源部32に対してPWM調光のみによる調光を行うことができる。
【0067】
また、実施の形態1によれば、第1の光源部31が発光する第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、被検体からの光を撮像部502が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、第2の光源部32が発光する第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、被検体からの光を撮像部502が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るくなるので、第2の光源部32が発光する赤外光IRをモノクロ観察と同等であり、細かい電流制御を省略することができる。
【0068】
また、実施の形態1によれば、第1の光源部が白色光WLIを第1の光として生成し、第2の光源部32が蛍光物質を励起する赤外光IRを第2の光として生成するので、通常観察と特殊観察とを行うことができる。
【0069】
また、実施の形態1によれば、光源制御部33が第1の光源部31と第2の光源部32とを交互に発光させる制御を行い、かつ、第2の光源部32の発光時における第2の光のパルス発光強度を固定しつつ、パルス発光時間を変化させる制御を行うので、白色画像に蛍光画像を合成した合成画像を生成することができる。
【0070】
なお、実施の形態1では、光源制御部33が第2の光源部32によって発光された第2の光のパルス発光強度を固定しつつ、第2の光のパルス発光時間を変化させる制御を行っていたが、第2の光のパルス発光時間を固定しつつ、第2の光のパルス発光強度を変化させる制御を行ってもよい。
【0071】
また、実施の形態1では、光源装置3が白色光WLIと赤外光IRとを交互に発光していたが、これに限定されることなく、例えば第3の光を発光可能な光源部を設け、この第1の光、第2の光および第3の光の順を1セットする順番で順次発光させてもよい。この場合、第3の光としては、例えばNBI(Narrow Band Imaging)の狭帯域光、PDD観察による光およびAFI観察による光であればよい。
【0072】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、硬性鏡を用いた硬性内視鏡システムに適用した場合について説明したが、実施の形態2では、軟性の内視鏡を用いた軟性内視鏡システムに適用した場合について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
〔内視鏡システムの概略構成〕
図7は、実施の形態2に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。
図7に示す内視鏡システム200は、被検体内に挿入部202を挿入することによって観察部位の体内画像を撮像して撮像信号を生成する内視鏡201と、内視鏡201に第1の光と第2の光とを供給する光源装置210と、内視鏡201が取得した撮像信号に所定の画像処理を施すとともに、内視鏡システム200全体の動作を統括的に制御する制御装置220と、制御装置220が画像処理を施した体内画像を表示する表示装置230と、を備える。
【0074】
光源装置210は、上述した第1の光源部31と、第2の光源部32と、光源制御部33と、を備える。光源装置210は、制御装置220の制御のもと、内視鏡201に第1の光と第2の光とを供給する。
【0075】
制御装置220は、少なくとも、上述した信号処理部91と、画像処理部92と、明るさ検出部93と、メモリ97と、制御部98と、を有する。
【0076】
以上説明した実施の形態2によれば、軟性の内視鏡システム200であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0077】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1,2では、内視鏡システムであったが、実施の形態3では、手術用顕微鏡システムに適用した場合について説明する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0078】
〔手術用顕微鏡システムの構成〕
図8は、実施の形態3に係る手術用顕微鏡システムの概略構成を示す図である。
図8に示す手術用顕微鏡システム300は、被写体を観察するための画像を撮像することによって取得する医療用撮像装置である顕微鏡装置310と、顕微鏡装置310が撮像した画像を表示する表示装置311と、を備える。なお、表示装置311と顕微鏡装置310とを一体に構成することも可能である。
【0079】
顕微鏡装置310は、被写体の微小部位を拡大して撮像する顕微鏡部312と、顕微鏡部312の基端部に接続し、顕微鏡部312を回動可能に支持するアームを含む支持部313と、支持部313の基端部を回動可能に保持し、床面上を移動可能なベース部314と、を有する。ベース部314は、手術用顕微鏡システム300の動作を制御する制御装置315と、顕微鏡装置310から被写体に照射する照明光を生成する光源装置316と、を有する。なお、制御装置315は、少なくとも、上述した信号処理部91と、画像処理部92と、明るさ検出部93と、メモリ97と、制御部98と、を有する。また、光源装置316は、第1の光源部31と、第2の光源部32と、光源制御部33と、を有する。また、ベース部314は、床面上に移動可能に設けるのではなく、天井や壁面等に固定して支持部313を支持する構成としてもよい。
【0080】
顕微鏡部312は、例えば、円柱状をなして、その内部に上述したレンズユニット501および撮像部502を有する。顕微鏡部312の側面には、顕微鏡装置310の動作指示の入力を受け付けるスイッチが設けられている。顕微鏡部312の下端部の開口面には、内部を保護するカバーガラスが設けられている(図示せず)。
【0081】
このように構成された手術用顕微鏡システム300は、術者等のユーザが顕微鏡部312を把持した状態で各種スイッチを操作しながら、顕微鏡部312を移動させたり、ズーム操作を行ったり、照明光を切り替えたりする。なお、顕微鏡部312の形状は、ユーザが把持して視野方向を変更しやすいように、観察方向に細長く延びる形状であれば好ましい。このため、顕微鏡部312の形状は、円柱状以外の形状であってもよく、例えば多角柱状であってもよい。
【0082】
以上説明した実施の形態3によれば、手術用顕微鏡システム300においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。上述した実施の形態1では、第1の光源部31の第1のキャリブレーションと、第2の光源部32の第2のキャリブレーションと、を含むキャリブレーションデータが光源装置3に予め記録されていたが、実施の形態4では、光源装置3の出荷前検査において調整装置を用いてキャリブレーション処理を行い、このキャリブレーション処理によって生成したキャリブレーションデータをキャリブレーションデータ記録部351に記録する。なお、上述した実施の形態1に係る内視鏡システム1と同一の構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0084】
図9は、光源装置3および調整装置700の機能構成を示すブロック図である。
図9に示す調整装置700は、光源装置3が備える第1の光源部31の第1のキャリブレーションと、第2の光源部32の第2のキャリブレーションと、を含むキャリブレーションデータを生成し、この生成したキャリブレーションデータをキャリブレーションデータ記録部351に記録する。光源装置3および調整装置700は、ライトガイド600を用いて光学的に接続されている。
【0085】
〔調整装置の構成〕
図9に示す調整装置700は、コネクタ部701と、積分球702と、分光測定器703と、メモリ704と、通信モジュール705と、制御部706と、を備える。
【0086】
コネクタ部701は、ライトガイド600が着脱自在に接続され、光源装置3の第1の光源部31または第2の光源部32が発光した光を積分球702へ導光する。
【0087】
積分球702は、コネクタ部701を介して入射した光を、内壁で拡散反射を繰り返させて拡散反射光を分光測定器703へ入射させる。積分球702は、反射率(拡散反射率)の高い粉末を内壁前面に塗布した中空の球を用いて実現される。
【0088】
分光測定器703は、積分球702から入射した光の波長帯域毎の明るさを測定し、この測定結果を制御部706へ出力する。分光測定器703は、積分球702から入射した光を分光する分光器と、この分光器を透過した光の強度を検出するイメージセンサ等の検出器と、を用いて実現される。なお、実施の形態4では、分光測定器703が測定部として機能する。
【0089】
メモリ704は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ等を用いて構成される。メモリ704は、調整装置700が実行する各種のプログラムおよび処理中のデータを記録する。さらに、メモリ704は、出荷前に調整装置700によって調整された複数の光源装置3の各々のキャリブレーションデータを記録するキャリブレーションデータ記録部704aを有する。
【0090】
通信モジュール705は、制御部706から入力されたキャリブレーションデータを含む各種信号を光源装置3の光源制御部33を介してキャリブレーションデータ記録部351へ出力する。通信モジュール705は、制御部706から入力されたキャリブレーションデータに対してパラレルシリアル変換処理等を行って光源装置3の光源制御部33を介してキャリブレーションデータ記録部351へ出力する。
【0091】
制御部706は、調整装置700を構成する各部を統括的に制御する。制御部706は、メモリおよびCPU等のハードウェアを用いて構成される。制御部706は、光源制御部33を制御することによって、所定の電流値で第1の光源部31を発光(パルス発光)させ、かつ、第1の発光部31が発光した際の分光測定器703が測定した発光強度(パルス発光強度)と、取得する。そして、制御部706は、第1の光源部31が予め設定した複数の発光強度の各々となるように光源制御部33を制御することによって第1の光源部31に供給する電流値を調整する。その後、制御部706は、予め設定した第1の光源部31における複数の発光強度の各々と複数の電流値とを対応付けた第1のキャリブレーションデータを生成する。また、制御部706は、光源制御部33を制御することによって、所定の電流値(最大値電流値)で第2の光源部32を発光させ、かつ、第2の発光部32が発光した際の分光測定器703が測定した発光強度と、取得する。そして、制御部706は、第2の光源部32が予め設定した複数の発光強度の各々となるように光源制御部33を制御することによって第2の光源部32に供給する電流値を調整する。その後、制御部706は、予め設定した第2の光源部32における複数の発光強度の各々と複数の電流値とを対応付けた第2のキャリブレーションデータを生成する。最後に、制御部706は、第1のキャリブレーションデータと、第2のキャリブレーションデータと、を含むキャリブレーションデータをキャリブレーションデータ記録部704aに記録するとともに、光源装置3の光源制御部33を介してキャリブレーションデータ記録部351に記録する。
【0092】
〔調整装置による調整方法〕
次に、調整装置700による光源装置3の第1の発光部31および第2の発光部32の各々の発光強度と電流値との調整方法について説明する。
図10は、調整装置700が実行する調整方法の処理の概要を示すフローチャートである。
【0093】
図10に示すように、制御部706は、第1の光源部31が発光する複数の発光強度と複数の電流値とを対応付ける第1のキャリブレーション処理を実行する(ステップS1)。ステップS1の後、調整装置700は、後述するステップS2へ移行する。
【0094】
〔第1のキャリブレーション処理〕
図11は、
図10のステップS1の第1のキャリブレーション処理の概要を示すフローチャートである。
【0095】
図11に示すように、まず、制御部706は、光源制御部33を制御することによって第1の光源部31に最小電流値で発光させ(ステップS101)、分光測定器703に、積分球702を介して入射した光の波長帯域毎に明るさの強度を測定させる(ステップS102)。
【0096】
続いて、制御部706は、分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度が設定した強度であるか否かを判断する(ステップS103)。制御部706によって分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度が設定した強度であると判定した場合(ステップS103:Yes)、調整装置700は、後述するステップS105へ移行する。これに対して、制御部706によって分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度が設定した強度でないと判定した場合(ステップS103:No)、調整装置700は、後述するステップS104へ移行する。
【0097】
ステップS104において、制御部706は、分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度と設定した強度との差に基づいて、光源制御部33が第1の光源部31に供給する電流値を調整して第1の光源部31に発光させる。ステップS104の後、調整装置700は、上述したステップS102へ戻る。
【0098】
ステップS105において、制御部706は、光源制御部33が第1の光源部31に供給する電流値と分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度とを対応付けてキャリブレーションデータ記録部704aに記録する。
【0099】
続いて、制御部706は、予め設定された全ての強度が終了したか否かを判断する(ステップS106)。制御部706によって予め設定された全ての強度が終了したと判断された場合(ステップS106:Yes)、調整装置700は、後述するステップS108へ移行する。これに対して、制御部706によって予め設定された全ての強度が終了していないと判断された場合(ステップS106:No)、調整装置700は、後述するステップS107へ移行する。
【0100】
ステップS107において、制御部706は、光源制御部33が第1の光源部31に供給する電流値を、予め設定された次の電流値に設定して第1の光源部31に発光させる。ステップS107の後、調整装置700は、上述したステップS102へ戻る。
【0101】
ステップS108において、制御部706は、光源制御部33を制御することによって第1の光源部31を最小電流値、かつ所定の発光時間で発光させる。
【0102】
続いて、制御部706は、分光測定器703に、積分球702を介して入射した光の波長帯域毎に明るさの強度を測定させる(ステップS109)。
【0103】
その後、制御部706は、分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度が設定した強度であるか否かを判断する(ステップS110)。制御部706によって分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度が設定した強度であると判定した場合(ステップS110:Yes)、調整装置700は、後述するステップS112へ移行する。これに対して、制御部706によって分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度が設定した強度でないと判定した場合(ステップS110:No)、調整装置700は、後述するステップS111へ移行する。
【0104】
ステップS111において、制御部706は、分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度と設定した強度との差に基づいて、光源制御部33が第1の光源部31を発光する発光時間を調整して第1の光源部31に発光させる。ステップS111の後、調整装置700は、上述したステップS109へ戻る。
【0105】
ステップS112において、制御部706は、光源制御部33が第1の光源部31に供給する電流値と、発光時間と、分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度とを対応付けた第1のキャリブレーションデータを生成してキャリブレーションデータ記録部704aに記録する。
【0106】
続いて、制御部706は、光源制御部33が第1の光源部31に設定可能な発光時間が全て終了したか否かを判断する(ステップS113)。制御部706によって光源制御部33が第1の光源部31に設定可能な発光時間が全て終了したと判断された場合(ステップS113:Yes)、調整装置700は、上述した
図10のメインルーチンへ戻り、ステップS2へ移行する。これに対して、制御部706によって光源制御部33が第1の光源部31に設定可能な発光時間が全て終了していないと判断された場合(ステップS113:No)、調整装置700は、後述するステップS114へ移行する。
【0107】
ステップS114において、制御部706は、光源制御部33が第1の光源部31に発光させる発光時間を次の発光時間に設定して第1の光源部31に発光させる。ステップS114の後、調整装置700は、上述したステップS109へ戻る。
【0108】
図10に戻り、ステップS2以降について説明する。
ステップS2において、制御部706は、第1の光源部31が発光する複数の発光強度と複数の電流値とを対応付ける第1のキャリブレーション処理を実行する(ステップS1)。ステップS1の後、調整装置700は、後述するステップS2へ移行する。
【0109】
〔第2のキャリブレーション処理〕
図12は、
図10のステップS2の第2のキャリブレーション処理の概要を示すフローチャートである。
【0110】
図12に示すように、まず、制御部706は、制御部706は、光源制御部33を制御することによって第2の光源部32を再度電流値かつ、最大発光時間で発光させ(ステップS201)、分光測定器703に、積分球702を介して入射した光の波長帯域の明るさの強度を測定させる(ステップS202)。
【0111】
続いて、制御部706は、分光測定器703が測定した波長帯域の明るさの強度が設定した強度であるか否かを判断する(ステップS203)。制御部706によって分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度が設定した強度であると判定した場合(ステップS203:Yes)、調整装置700は、後述するステップS205へ移行する。これに対して、制御部706によって分光測定器703が測定した波長帯域毎の明るさの強度が設定した強度でないと判定した場合(ステップS203:No)、調整装置700は、後述するステップS204へ移行する。
【0112】
ステップS204において、制御部706は、分光測定器703が測定した波長帯域の明るさの強度と設定した強度との差に基づいて、光源制御部33が第2の光源部32を発光する電流値を調整して第2の光源部32に発光させる。ステップS204の後、調整装置700は、上述したステップS202へ戻る。
【0113】
ステップS205において、制御部706は、光源制御部33が第2の光源部32に供給する電流値と、発光時間と、分光測定器703が測定した波長帯域の明るさの強度とを対応付けた第2のキャリブレーションデータを生成してキャリブレーションデータ記録部704aに記録する。
【0114】
続いて、制御部706は、光源制御部33が第2の光源部32に設定可能な発光時間が全て終了したか否かを判断する(ステップS206)。制御部706によって光源制御部33が第2の光源部32に設定可能な発光時間が全て終了したと判断された場合(ステップS206:Yes)、調整装置700は、
図10のメインルーチンへ戻り、ステップS3へ移行する。これに対して、制御部706によって光源制御部33が第2の光源部32に設定可能な発光時間が全て終了していないと判断された場合(ステップS206:No)、調整装置700は、後述するステップS207へ移行する。
【0115】
ステップS207において、光源制御部33が第2の光源部32に発光させる発光時間を次に発光時間に設定して第2の光源部32に発光させる。ステップS207の後、調整装置700は、上述したステップS202へ戻る。
【0116】
図10に戻り、ステップS3以降の説明を続ける。
ステップS3において、制御部706は、キャリブレーションデータ記録部704aが記録するキャリブレーションデータを光源装置3のキャリブレーションデータ記録部351に記録する。ステップS3の後、調整装置700は、本処理を終了する。
【0117】
図13は、調整装置700が光源装置3を用いて生成したキャリブレーションデータの一例を模式的に示す図である。
図13に示すように、キャリブレーションデータG1には、第1の光源部31における電流値(調整値)と、発光時間と、発光強度と、が対応付けた第1のキャリブレーションデータが記録されている。さらに、キャリブレーションデータG1には、第2の光源部32における電流値と、発光時間と、発光強度と、が対応付けた第2のキャリブレーションデータが記録されている。このように、調整装置700は、光学的に接続された出荷前の光源装置3に対して、第1の光源部31および第2の光源部32の各々の電流値(調整値)と、発光時間と、発光強度と、を対応付けたキャリブレーションデータを生成し、このキャリブレーションデータを光源装置3のキャリブレーションデータ記録部351に記録する。即ち、調整装置7は、調整時において、電流値と、発光時間と、を入力し、発光強度を出力する。これにより、キャリブレーションデータの利用時は、第1の光源部31と第2の光源部32のカラーバランス比率(例えば1:P)に合わせて、P×(第1の発光部31の発光強度)となる第2の発光部42の発光強度となる発光時間を設定することによって利用することができる。
【0118】
以上説明した実施の形態4によれば、制御部706が光学的に接続された出荷前の光源装置3に対して、第1の光源部31および第2の光源部32の各々の電流値(調整値)と、発光強度と、発光時間とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、このキャリブレーションデータを光源装置3のキャリブレーションデータ記録部351に記録するので、光源装置3の発光強度と電流値とのズレを調整することができる。
【0119】
(その他の実施の形態)
上述した本開示の実施の形態1~3に係る医療用観察システムに開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上述した本開示の実施の形態1~3に係る医療用観察システムに記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、上述した本開示の実施の形態1~3に係る医療用観察システムで説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0120】
また、本開示の実施の形態1~3に係る医療用観察システムでは、上述してきた「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0121】
また、本開示の実施の形態1~3に係る医療用観察システムに実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0122】
また、本開示の実施の形態1~3に係る医療用観察システムに実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0123】
なお、本明細書におけるタイミングチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」等の表現を用いてタイミング間の処理の前後関係を明示していたが、本開示を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。即ち、本明細書で記載したタイミングチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0124】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0125】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(付記1)
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、
パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、
前記第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、前記第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のどちらか一方を固定しつつ、前記第2の光のパルス発光時間および前記パルス発光強度のうち他方を変化させる制御を行う光源制御部と、
を備え、
前記第1の光源部は、
前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい、
光源装置。
(付記2)
付記1に記載の光源装置であって、
前記第1の光源部は、白色観察可能な光を前記第1の光として生成し、
前記第2の光源部は、蛍光物質を励起する光を前記第2の光として生成する、
光源装置。
(付記3)
付記1または付記2に記載の光源装置であって、
前記光源制御部は、
前記第1の光源部と前記第2の光源部とを交互に発光させる制御を行い、かつ、前記第2の光源部の発光時における前記第2の光のパルス発光強度を固定しつつ、前記パルス発光時間を変化させる制御を行う、
光源装置。
(付記4)
付記1~3のいずれか一つに記載の光源装置と、
前記被検体からの光を受光し、撮像信号を生成する撮像素子と、
前記撮像素子が生成した前記撮像信号から表示部に表示するための表示画像を生成する画像処理部と、
を備える、
医療用観察システム。
(付記5)
付記1~3のいずれか一つに記載の光源装置が光学的に接続可能な調整装置であって、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定可能な測定部と、
前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記測定部が測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、
前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる、
調整装置。
(付記6)
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置が実行する照明方法であって、
前記第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、前記第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のどちらか一方を固定しつつ、前記第2の光のパルス発光時間および前記パルス発光強度のうち他方を変化させる、
照明方法。
(付記7)
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置が光学的に接続される調整装置が実行する調整方法であって、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定し、
前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させ、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、
前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる、
調整方法。
(付記8)
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置に実行させるプログラムであって、
前記第1の光のパルス発光時間およびパルス発光強度の各々を制御し、かつ、前記第2の光のパルス発光時間およびパルス発光強度のどちらか一方を固定しつつ、前記第2の光のパルス発光時間および前記パルス発光強度のうち他方を変化させる、
プログラム。
(付記9)
パルス発光可能であり、被検体に照射される第1の光を発光する第1の光源部と、パルス発光可能であり、前記被検体に照射される第2の光を発光する第2の光源部と、を備え、前記第1の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第1の光が照射された前記被検体からの光を撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさが、前記第2の光のパルス発光時間とパルス発光強度とを最大とした際に、前記第2の光が照射された前記被検体からの光を前記撮像素子が受光することによって生成した撮像信号に対応する撮像画像の明るさよりも明るい光源装置が光学的に接続される調整装置に実行させるプログラムであって、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定し、
前記第1の光源部または前記第2の光源部を所定の電流値で発光させ、
前記第1の光および前記第2の光の各々の発光強度を測定した測定結果と予め設定した発光強度との差に基づいて、前記電流値を調整した調整値と前記予め設定した発光強度とを対応付けたキャリブレーションデータを生成し、
前記キャリブレーションデータを前記光源装置が備えるメモリに記録させる、
プログラム。
【符号の説明】
【0126】
1,200 内視鏡システム
2,202 挿入部
3,210,316 光源装置
4 ライトガイド
5 カメラヘッド
6 第1の伝送ケーブル
7,230,311 表示装置
8 第2の伝送ケーブル
9,220,315 制御装置
10 第3の伝送ケーブル
21 接眼部
31 第1の光源部
32 第2の光源部
33 光源制御部
34,701 コネクタ部
35,97,704 メモリ
51 操作リング部
52 入力部
61 第1のコネクタ部
62 第2のコネクタ部
91 信号処理部
92 画像処理部
93 明るさ検出部
94,503,705 通信モジュール
95 入力部
96 出力部
98,706 制御部
200 内視鏡システム
201 内視鏡
300 手術用顕微鏡システム
310 顕微鏡装置
312 顕微鏡部
313 支持部
314 ベース部
316 光源装置
351,704a,971 キャリブレーションデータ記録部
501 レンズユニット
502 撮像部
504 カメラヘッド制御部
702 積分球
703 分光測定器