(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】移動体、バッテリ、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20231208BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20231208BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20231208BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20231208BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20231208BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20231208BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231208BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231208BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60L53/80
B60L58/12
G16Y10/40
G16Y20/30
H01M10/42 A
H01M10/48 Z
H02J7/00 P
H02J7/00 X
H02J13/00 301A
(21)【出願番号】P 2021502261
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2020007416
(87)【国際公開番号】W WO2020175461
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2019031936
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 威人
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-015827(JP,A)
【文献】特開2015-219070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 53/80
B60L 58/12
G16Y 10/40
G16Y 20/30
H01M 10/42
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される接続部と、
前記移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力す
る情報出力部と、
を備えた移動体。
【請求項2】
移動体に移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される接続部と、
前記移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力することと、通信部を介してサーバ装置に出力することとのうち少なくとも一方を行う情報出力部と、
を備え、
前記第2位置情報は、前記移動体が前記バッテリを交換せずに移動可能な最大移動距離を最大値とするデータ型範囲で規定される、
移動体。
【請求項3】
移動体に移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される接続部と、
前記移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力することと、通信部を介してサーバ装置に出力することとのうち少なくとも一方を行う情報出力部と、
を備え、
前記基準座標は、前記移動体が前記バッテリを交換せずに移動可能な最大移動距離の範囲内の座標が設定される、
移動体。
【請求項4】
移動体に移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される接続部と、
前記移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力することと、通信部を介してサーバ装置に出力することとのうち少なくとも一方を行う情報出力部と、
を備え、
前記基準座標は、前記バッテリが前記移動体に装着されたときに定められる固定値である、
移動体。
【請求項5】
移動体に移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される接続部と、
前記移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力することと、通信部を介してサーバ装置に出力することとのうち少なくとも一方を行う情報出力部と、
を備え、
前記基準座標は、前記移動体に対して前記バッテリが装着された場所の座標である、
移動体。
【請求項6】
移動体に移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される接続部と、
前記移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力することと、通信部を介してサーバ装置に出力することとのうち少なくとも一方を行う情報出力部と、
を備え、
前記基準座標は、前記移動体の前記位置が所定の条件を満たす場合に、前記移動体の前記位置に応じて更新される、
移動体。
【請求項7】
前記所定の条件は、前記移動体の前記位置が、前記基準座標を基準に第一軸と第二軸とで規定する基準座標系の所定範囲から外れることである、
請求項6に記載の移動体。
【請求項8】
前記第一軸は、緯度に関する位置を規定し、
前記第二軸は、経度に関する位置を規定する、
請求項7に記載の移動体。
【請求項9】
前記更新される前記基準座標を新基準座標とするとき、
前記生成部は、過去に生成され前記基準座標に対して表現された前記第2位置情報を、前記新基準座標に対して表現された情報とするための補正情報を生成し、
前記情報出力部は、前記生成部により生成された前記補正情報を、前記バッテリと前記サーバ装置とのうち少なくとも一方に出力する、
請求項6から請求項8のうちいずれか1項に記載の移動体。
【請求項10】
前記バッテリは、該バッテリを保管する保管装置に着脱可能に接続される接続部を有し、
前記メモリに記録された情報は、前記バッテリの前記接続部を介して読み取り可能である、
請求項1に記載の移動体。
【請求項11】
移動体に着脱可能に接続される接続部と、
前記移動体に移動用の電力を供給する蓄電部と、
情報が記録されるメモリと、
前記移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記第2位置情報を、前記メモリに記録させるために出力する情報出力部と、
を備えたバッテリ。
【請求項12】
移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得し、
前記取得した前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成し、
前記生成した前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力す
る、
情報処理方法。
【請求項13】
移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得させ、
前記取得させた前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成させ、
前記生成させた前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力
させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体、バッテリ、情報処理方法、およびプログラムに関する。
本願は、日本特許出願2019-031936(出願日:2019年2月25日)を基礎として、この出願から優先の利益を享受する。本出願は、上記出願を参照することで、上記出願の内容の全てを含む。
【背景技術】
【0002】
近年、EV(Electric Vehicle:電気自動車)やHEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド電気自動車)など、バッテリ(二次電池)から供給される電力によって移動用の電動機が駆動される移動体の開発が進んでいる。また、移動体の地理的位置を判定し、判定した地理的位置をサービスプロバイダに定期的に送信する移動体が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体の位置情報を取り扱う場合、位置情報のデータ量が大きいと、位置情報の取り扱いに伴うコストが大きくなる場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、位置情報の取り扱いに伴うコストの低減を図ることができる移動体、バッテリ、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る移動体、バッテリ、情報処理方法、およびプログラムは以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様は、移動体に移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される接続部と、前記移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成する生成部と、前記生成部により生成された前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力することと、通信部を介してサーバ装置に出力することとのうち少なくとも一方を行う情報出力部と、を備える移動体である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記第2位置情報は、前記移動体が前記バッテリを交換せずに移動可能な最大移動距離を最大値とするデータ型範囲で規定される。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記基準座標は、前記移動体が前記バッテリを交換せずに移動可能な最大移動距離の範囲内の座標が設定される。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のうちいずれか1つの態様において、前記基準座標は、前記バッテリが前記移動体に装着されたときに定められる固定値である。
【0010】
(5):上記(1)から(4)のうちいずれか1つの態様において、前記基準座標は、前記移動体に対して前記バッテリが装着された場所の座標である。
【0011】
(6):上記(1)から(3)のうちいずれか1つの態様において、前記基準座標は、前記移動体の前記位置が所定の条件を満たす場合に、前記移動体の前記位置に応じて更新される。
【0012】
(7):上記(6)の態様において、前記所定の条件は、前記移動体の前記位置が、前記基準座標を基準に第一軸と第二軸とで規定する基準座標系の所定範囲から外れることである。
【0013】
(8):上記(7)の態様において、前記第一軸は、緯度に関する位置を規定し、前記第二軸は、経度に関する位置を規定する。
【0014】
(9):上記(6)から(8)のうちいずれか1つの態様において、前記更新される前記基準座標を新基準座標とするとき、前記生成部は、過去に生成され前記基準座標に対して表現された前記第2位置情報を、前記新基準座標に対して表現された情報とするための補正情報を生成し、前記情報出力部は、前記生成部により生成された前記補正情報を、前記バッテリと前記サーバ装置とのうち少なくとも一方に出力する。
【0015】
(10):上記(1)から(9)のうちいずれか1つの態様において、前記情報出力部は、前記第2位置情報を、前記バッテリが有する前記メモリに記録させるために前記バッテリに出力する。
【0016】
(11):上記(10)の態様において、前記バッテリは、該バッテリを保管する保管装置に着脱可能に接続される接続部を有し、前記メモリに記録された情報は、前記バッテリの前記接続部を介して読み取り可能である。
【0017】
(12):この発明の他の態様は、移動体に着脱可能に接続される接続部と、前記移動体に移動用の電力を供給する蓄電部と、情報が記録されるメモリと、前記移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成する生成部と、前記生成部により生成された前記第2位置情報を、前記メモリに記録させるために出力する情報出力部と、を備えたバッテリである。
【0018】
(13):この発明の他の態様は、移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得し、前記取得した前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成し、前記生成した前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力することと、通信部を介してサーバ装置に出力することとのうち少なくとも一方を行う、情報処理方法である。
【0019】
(14):この発明の他の態様は、移動用の電力を供給するバッテリが着脱可能に接続される移動体が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報を取得させ、前記取得させた前記第1位置情報に基づき、前記移動体の位置を基準座標に対する差分である相対値で表現した第2位置情報を生成させ、前記生成させた前記第2位置情報を、前記バッテリが有するメモリに記録させるために前記バッテリに出力することと、通信部を介してサーバ装置に出力することとのうち少なくとも一方を行わせる、プログラムである。
【発明の効果】
【0020】
(1)~(14)によれば、位置情報の取り扱いに伴うコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態の電動車両10が使用される使用環境の一例を示す図である。
【
図2】電動車両10の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1位置情報PIAの内容の一例を示す図である。
【
図4】第2位置情報PIBおよび基準座標情報RIの内容の一例を示す図である。
【
図5】メモリ133に記録された第2位置情報PIBおよび基準座標情報RIの内容の一例を示す図である。
【
図6】基準座標RPの設定方法の第1例を示す図である。
【
図7】基準座標RPの設定方法の第2例を示す図である。
【
図8】基準座標RPの設定方法の第3例を示す図である。
【
図9】第1補正情報MIの内容の一例を示す図である。
【
図10】
図9に示す第1補正情報MIにより補正されるメモリ133に記録された第2位置情報PIBの履歴情報PIB_Tの内容の一例を示す図である。
【
図11】バッテリモジュール100の構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】消費電力量の履歴情報CI_Tの内容の一例を示す図である。
【
図13】充電ステーション装置200の構成の一例を示す図である。
【
図14】電動車両10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】第2の実施形態の電動車両10Aの構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】第3の実施形態のバッテリモジュール100Aの構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】第4の実施形態のバッテリモジュール100Bの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の移動体、バッテリ、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。また以下の説明において、電動車両10は鞍乗型の電気自動車(電動二輪車)であるが、電動車両10は、走行用(移動用)の電力を供給するバッテリ(二次電池)を搭載した車両であればよく、二輪車両や三輪車両、四輪車両などのいずれでもよく、またハイブリッド自動車や燃料電池車両でもよい。また電動車両10は、電気自転車や電動キックスケータ、またはロボットなどでもよい。
【0023】
電動車両10は、「移動体」の一例である。ただし、移動体は、電動車両10に限定されず、移動ロボット、自律走行装置、ドローン飛行体、又はその他の電動式移動装置(電動モビリティ)であってもよい。以下では、移動体の例として電動車両10が用いられる実施形態について述べる。
【0024】
(第1の実施形態)
まず
図1から
図14を参照し、第1の実施形態について説明する。本実施形態は、後述する位置情報の変換が電動車両10にて行われ、変換された位置情報がバッテリモジュール100のメモリ133に書き込まれる例である。
【0025】
<1.電動車両10の使用環境>
図1は、第1の実施形態の電動車両10が使用される使用環境の一例を示す図である。電動車両10には、着脱式のバッテリモジュール100が搭載される。バッテリモジュール100は、電動車両10に走行用の電力を供給する。バッテリモジュール100は、「バッテリ」の一例である。
【0026】
電動車両10のユーザは、例えば、複数のユーザでバッテリモジュール100を共同利用するバッテリシェアサービスを利用可能である。バッテリシェアサービスでは、ユーザは、バッテリモジュール100の電力が消耗してきた場合、電力が消耗したバッテリモジュール100を電動車両10から取り外して充電ステーション装置200に返却し、充電ステーション装置200から充電済みのバッテリモジュール100の貸し出しを受けて、電動車両10に装着する。このようなバッテリシェアサービスは、例えば、充電ステーション装置200および管理サーバ300などにより実現される。
【0027】
充電ステーション装置200は、バッテリモジュール100の保管および充電を行うための設備であり、複数の場所(バッテリモジュール100の交換所)に設置される。充電ステーション装置200は、あらかじめバッテリシェアサービスに加入しているユーザに対して、電動車両10の走行に用いられて電力が消耗したバッテリモジュール100が返却されると、その引き換えとして充電済みのバッテリモジュール100を貸し出す。充電ステーション装置200は、「充電装置」の一例であり、「保管装置」の一例でもある。なお、充電ステーション装置200については、詳しく後述する。
【0028】
管理サーバ300は、ネットワークNWを介して充電ステーション装置200と通信を行うことにより、充電ステーション装置200から、電動車両10の走行履歴やユーザIDなどを示す情報を受信する。管理サーバ300は、受信した情報に対して所定の情報処理を行い、ユーザにとって有益な情報やユーザに提供するサービスに用いられる情報を生成する。管理サーバ300は、必要に応じて、生成した情報を充電ステーション装置200とユーザが携行する携帯情報端末400とのうち少なくとも一方に送信する。管理サーバ300は、「サーバ装置」の一例である。なお、管理サーバ300については、詳しく後述する。
【0029】
ユーザは、携帯情報端末400にユーザ情報を入力し、ネットワークNWを介して管理サーバ300と通信を行うことにより、ユーザ情報を管理サーバ300に送信することができる。ユーザは、携帯情報端末400を介して、バッテリシェアサービスに係る様々な操作を行うとともに、所定の情報を受け取ることができる。なお、ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局など含む。
【0030】
<2.電動車両10>
図2は、電動車両10の構成の一例を示す図である。電動車両10には、バッテリモジュール100が着脱可能に搭載される。電動車両10は、バッテリモジュール100から供給される電力によって駆動される電動機の駆動力で走行する。なお上述したように、電動車両10は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関と、バッテリモジュール100から電力が供給される電動機とを組み合わせた駆動によって走行するハイブリッド電動車両などであってもよい。本実施形態では、電動車両10には2つのバッテリモジュール100が搭載可能である。ただし、電動車両10に搭載可能なバッテリモジュール100の数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0031】
電動車両10は、例えば、バッテリ接続部12と、走行駆動力出力装置14と、車両センサ16と、車両制御部18と、位置情報管理部20とを備えている。
【0032】
バッテリ接続部12は、バッテリモジュール100が電動車両10に装着される際に、バッテリモジュール100が着脱可能に接続される。バッテリ接続部12は、後述するバッテリモジュール100の接続部110(
図11参照)と接続される。バッテリ接続部12は、例えば、バッテリモジュール100から電力供給を受けるための電力線の接続端子(バッテリターミナル)と、バッテリモジュール100と電動車両10との間でデータ通信(例えばシリアル通信)を行うための通信線の接続端子とを含む。バッテリ接続部12は、「接続部」の一例である。
【0033】
走行駆動力出力装置14は、例えば、電動車両10の走行用の電動機と、バッテリモジュール100から供給される電力を所望の電圧・周波数の電力に変換して電動機に供給するインバータと、インバータを制御するECU(Electronic Control Unit)とを含む。ECUは、例えば、インバータを制御することによって、バッテリモジュール100から電動機に供給される電力を制御する。これにより、ECUは、電動機が駆動輪に出力する駆動力(トルク)を制御する。
【0034】
車両センサ16は、電動車両10に搭載された速度センサ、加速度センサ、回転速度センサ、オドメータ、その他各種センサを含む。車両センサ16は、測定した測定データを、車両制御部18に出力する。
【0035】
車両制御部18は、車両センサ16からセンサ測定結果を受け取るとともに、後述するバッテリモジュール100のBMU130(
図11参照)からバッテリモジュール100の蓄電部120(
図11参照)の充電状態を表す値(SOC:State Of Charge)を受け取る。車両制御部18は、受け取ったデータに基づいて所定の処理を行い、必要に応じて走行駆動力出力装置14を制御する。
【0036】
位置情報管理部20は、電動車両10の位置情報を取得し、取得した位置情報に対して所定の変換処理を行い、変換処理を行った位置情報を後述するバッテリモジュール100のメモリ133に書き込む。位置情報管理部20は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機21と、相対値生成部22と、情報出力部23とを備えている。なお、位置情報管理部20は、ナビゲーション装置の一部として設けられてもよいが、ナビゲーション装置とは関係なく設けられてもよい。
【0037】
GNSS受信機21は、アンテナと計算機とを有し、複数のGNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波を受信し、受信した電波に含まれる情報に基づいて電動車両10の位置を算出する(測位する)。これにより、GNSS受信機21は、電動車両10が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報PIA(
図3参照)を取得する。GNSS受信機21により取得された第1位置情報PIAは、相対値生成部22に出力される。GNSS受信機21は、「取得部」の一例である。なお、第1位置情報PIAについては、詳しく後述する。
【0038】
ここで、本明細書でいう「取得する」とは、別の装置で生成された情報を受け取るまたは読み出すことで取得する場合に限定されず、自装置が得た情報(ここではGNSS衛星から到来する電波に含まれる情報)に基づいて自ら計算して生成することで取得する場合も含む。また本明細書でいう「絶対値」とは、相対値と対を成す表現を意味する。本明細書でいう「絶対値」とは、絶対ゼロ(赤道および国際基準子午線)に対する値を意味し、プラス値と、マイナス値の両方が存在し得る。
【0039】
相対値生成部22は、GNSS受信機21から第1位置情報PIAを受け取る。相対値生成部22は、受け取った第1位置情報PIAに基づき、電動車両10の位置を基準座標RP(後述)に対する差分値である相対値で表現された第2位置情報PIB(
図4参照)を生成する。相対値生成部22は、生成した第2位置情報PIBを情報出力部23に出力する。相対値生成部22は、「生成部」の一例である。なお、第2位置情報PIBについても詳しく後述する。
【0040】
情報出力部23は、相対値生成部22により生成された第2位置情報PIBを、バッテリモジュール100のメモリ133に記録させるためにバッテリモジュール100に出力する。例えば、情報出力部23は、バッテリ接続部12を介して第2位置情報PIBをバッテリモジュール100に出力する。例えば、情報出力部23は、一定の時間間隔毎、または、一定の走行距離毎に、第2位置情報PIBをバッテリモジュール100に出力する。これにより、第2位置情報PIBは、バッテリモジュール100のメモリ133に蓄積される。
【0041】
また、情報出力部23は、第2位置情報PIBを生成するために用いられた基準座標RPを示す基準座標情報RI(
図4参照)をバッテリモジュール100のメモリ133に記録させるためにバッテリモジュール100に出力する。例えば、情報出力部23は、バッテリ接続部12を介して基準座標情報RIをバッテリモジュール100に出力する。なお、情報出力部23は、位置情報管理部20に代えて、車両制御部18の一部として設けられてもよい。
【0042】
図3は、第1位置情報PIAの内容の一例を示す図である。上述したように、第1位置情報PIAは、電動車両10の位置が緯度および経度の絶対値で表現された情報である。すなわち、第1位置情報PIAは、赤道を緯度0°、国際基準子午線(IERS基準子午線)を経度0°とした場合に地球全体でプラス/マイナス180°の範囲で表される位置情報である。言い換えると、第1位置情報PIAは、地球全体で一意に位置が特定される位置情報である。また、第1位置情報PIAは、例えば、当該第1位置情報PIAが生成された時刻情報(タイムスタンプ)を含む。
【0043】
図4は、第2位置情報PIBおよび基準座標情報RIの内容の一例を示す図である。上述したように、第2位置情報PIBは、電動車両10の位置が基準座標RPに対する差分である相対値で表現された位置情報である。ここで、基準座標RPとは、第2位置情報PIBを生成するための基準となる位置を、緯度および経度の絶対値で表現した座標である。例えば、第2位置情報PIBは、第1位置情報PIAに含まれる緯度および経度の絶対値から、基準座標RPの緯度および経度の絶対値を減算することで生成される。これに代えて、第2位置情報PIBは、基準座標RPの緯度および経度の絶対値から、第1位置情報PIAに含まれる緯度および経度の絶対値が減算されることで生成されてもよい。第2位置情報PIBは、例えば、当該第2位置情報PIBが生成される元になった第1位置情報PIAが取得された時刻情報(タイムスタンプ)を含む。
【0044】
第2位置情報PIBは、第1位置情報PIAと比べて、データ量が小さい。例えば、第2位置情報PIBは、第1位置情報PIAと比べて、データの桁数が少ない(データ型範囲の幅が狭い)。第2位置情報PIBのデータの桁数は、地球全体で一意に位置を特定可能な桁数は必要なく、電動車両10がバッテリモジュール100を交換せずに走行可能な最大移動距離Lmax(例えば数十キロメートル)で規定されるエリア内で一意に位置を特定可能な桁数であればよい。例えば、電動車両10の最大移動距離Lmaxが100km未満であれば、第2位置情報PIBは、緯度および経度に関して「度」以上の桁を有しなくてよく、「度」未満の桁を有すればよい。
【0045】
本実施形態では、第2位置情報PIBは、電動車両10がバッテリモジュール100を交換せずに走行可能な最大移動距離Lmaxを最大値(例えば、基準座標RPに対するプラス値の最大値およびマイナス値の最大値)とするデータ型範囲で規定される。すなわち、第2位置情報PIBは、最大移動距離Lmaxまで走行した場合に、距離を示す桁のなかで最大桁が使用される(例えば最大桁値が256kmではなく、64kmである)データ型範囲で規定される。
【0046】
ここで、「電動車両10がバッテリモジュール100を交換せずに走行可能な最大移動距離Lmax」は、例えば、電動車両10の車種(機種)、電動車両10に同時に搭載可能な1つまたは複数のバッテリモジュール100の満充電時の容量、および試験やビッグデータなどから分析された平均的な電力消費率などに基づき予め導出されている。また、電動車両10がハイブリッド電動車両などである場合は、ビッグデータなどから分析された平均的な最大移動距離にマージンが加えられた値が最大移動距離Lmaxとして設定されてもよい。最大移動距離Lmaxは、電動車両10の車種(機種)ごとに予め設定されて位置情報管理部20の記憶部などに記憶され、相対値生成部22が参照可能である。
【0047】
図5は、情報出力部23により出力されてバッテリモジュール100のメモリ133に記録された第2位置情報PIBおよび基準座標情報RIの内容の一例を示す図である。メモリ133には、第2位置情報PIBが時系列で蓄積される。言い換えると、メモリ133には、第2位置情報PIBが時系列で蓄積された第2位置情報PIBの履歴情報PIB_Tが記録される。履歴情報PIB_Tは、電動車両10の位置履歴(走行履歴)である。履歴情報PIB_Tは、例えば、充電ステーション装置200からバッテリモジュール100が貸し出されてから、バッテリモジュール100が充電ステーション装置200に返却されるまでの期間(すなわちバッテリモジュール100が電動車両10に装着されている期間)に亘って第2位置情報PIBが時系列で蓄積された情報である。また、メモリ133には、基準座標RPを示す基準座標情報RIが記録されている。基準座標RPは、例えば、履歴情報PIB_Tに含まれる全ての第2位置情報PIBに対する共通の基準座標として、1つのみ設定されている。
【0048】
次に、第2位置情報PIBの生成に用いられる基準座標RPの設定方法について説明する。基準座標RPは、例えば、相対値生成部22により設定される。基準座標RPは、例えば、バッテリモジュール100が搭載された場所(例えば交換所)を起点として、電動車両10がバッテリモジュール100を交換せずに走行可能な最大移動距離Lmaxの範囲内の座標(すなわち、最大移動距離Lmax内または最大移動距離Lmax上の座標)が設定される。このような基準座標RPによれば、電動車両10の位置に対して基準座標RPを比較的近くに設定することができ、第2位置情報PIBのデータ量をより小さくしやすくなる。ただし、基準座標RPは、上記例に限定されず、バッテリモジュール100が搭載された場所を起点として、電動車両10の最大移動距離Lmaxを超えた位置の座標が設定されてもよい。以下、基準座標RPの設定方法について、いくつかの例を説明する。
【0049】
(第1例)
図6は、基準座標RPの設定方法の第1例を示す図である。第1例は、基準座標RPが固定値である例である。すなわち、基準座標RPは、少なくともバッテリモジュール100が次に交換されるまで変更されない。例えば、基準座標RPは、バッテリモジュール100が電動車両10に装着されたときに定められる固定値である。第1例では、基準座標RPは、特定拠点の座標が設定される。特定拠点は、例えば、バッテリモジュール100が交換された場所(例えば交換所)である。言い換えると、特定拠点は、バッテリモジュール100が装着された(例えば直近で装着された)場所である。このような設定方法によれば、基準座標RPが更新されないので、基準座標RPの更新に伴う第2位置情報PIBの補正処理が必要ない。なお、特定拠点は、後述する手法などによりユーザが識別される場合、ユーザの自宅やユーザがよく行く目的地などでもよい。また、電動車両10に搭載されたナビゲーション装置に対するユーザの入力に基づきユーザの目的地を示す情報が取得される場合、特定拠点はユーザの目的地でもよい。
【0050】
(第2例)
図7は、基準座標RPの設定方法の第2例を示す図である。第2例は、基準座標RPが固定値である別の例である。すなわち、第2例では、基準座標RPは、少なくともバッテリモジュール100が次に交換されるまで変更されない。第2例では、基準座標RPは、バッテリモジュール100を交換せずに走行可能な最大移動距離Lmax上の座標が設定される。
【0051】
第2例では、基準座標RPは、例えば、電動車両10がバッテリモジュール100を交換した場所(例えば交換所)を出発してから移動するおおよその方位の延長線上に設定される。一例としては、基準座標RPは、電動車両10がバッテリモジュール100を交換した場所と、その場所を出発してから所定時間経過後(例えば15分後)に位置する点とを結ぶ仮想的な延長線L1と電動車両10の最大移動距離Lmaxを示す枠線L2との交点の座標が設定される。このような設定方法によれば、基準座標RPが更新されないので、基準座標RPの更新に伴う補正処理が必要ない。
【0052】
この場合、基準座標RPは、電動車両10がバッテリモジュール100を交換した場所を起点として、緯度線および経度線の両方に対して所定の傾き(例えば30度以上の傾き)を持つ方向上に設定されると好ましい。この場合、第2位置情報PIBにおいて電動車両10の位置を示す相対値が、プラス値またはマイナス値のいずれか一方になりやすい。この場合、データの取り扱いが容易になりやすく、また、プラス/マイナスを識別する必要がなくなるので第2位置情報PIBのデータ量をさらに小さくすることができる。
【0053】
(第3例)
図8は、基準座標RPの設定方法の第3例を示す図である。第3例は、電動車両10の位置が所定の条件を満たす場合に、電動車両10の走行中に電動車両10の位置に応じて基準座標RPが変更される(更新される)例である。「所定の条件を満たす場合」の一例は、後述する「所定範囲から外れること」であるが、これに限定されない。「所定の条件を満たす場合」の別の一例は、基準座標RPの複数の候補が予め設定されている場合に、基準座標RPとして直近で使用されていたある候補(第1候補)と比べて別の候補(第2候補)に近付いたことに応じて、上記第2候補に基準座標RPを変更する例などである。
【0054】
以下では、「所定の条件を満たす場合」の一例として、電動車両10の位置が、基準座標RPを基準に第一軸(第1変数)と第二軸(第2変数)とで規定する(画定する)基準座標系の所定範囲から外れる場合に基準座標RPが変更される例について説明する。第3例は、電動車両10の位置が所定範囲から外れる場合に基準座標RPが変更され、それに伴い上記所定範囲もずれる(上記所定範囲も移動する)例について説明する。
【0055】
第3例は、第一軸が緯度に関する位置を規定し、第二軸が経度に関する位置を規定する基準座標系(直交座標系)に基づく所定範囲が適用される例である。ただし、所定範囲を規定する基準座標系は、直交座標系に限定されず、例えば、第一軸が基準座標RP(原点)からの直線距離を規定し、第二軸が基準座標RPを通る基準線に対する角度を規定する極座標系でもよい。
【0056】
第3例では、相対値生成部22は、電動車両10が第1基準方位(第1基準方向)で基準座標RPを超えて走行する場合(すなわち、第2基準方向の位置は問わず、第1基準方向で、基準座標RPの第1基準方向の座標を超えて走行する場合)に、電動車両10の第1基準方位の位置に応じて基準座標RPの第1基準方位の座標を更新する。また、相対値生成部22は、電動車両10が第1基準方位とは異なる第2基準方位(第2基準方向)で基準座標RPを超えて走行する場合(すなわち、第1基準方向の位置は問わず、第2基準方向で、基準座標RPの第2基準方向の座標を超えて走行する場合)に、電動車両10の第2基準方位の位置に応じて基準座標RPの第2基準方位の座標を更新する。第1基準方位は、例えば、経度線と緯度線とのうちいずれか一方に沿う方位である。第2基準方位は、例えば、経度線と緯度線とのうちいずれか他方に沿う方位である。以下では、第1基準方位として北方向が設定され、第2基準方位として東方向が設定される一例について具体的に説明する。第1基準方位は、「第1方位」の一例である。第2基準方位は、「第2方位」の一例である。
【0057】
言い換えると、第3例は、基準座標RPを所定範囲の隅位置(角位置、例えば最北東位置)とし、且つ、1辺が最大移動距離Lmaxの矩形状(または扇状でもよい)のエリアAである所定範囲から電動車両10の位置が外れる場合に、基準座標RPの位置が更新され、基準座標RPの更新に伴いエリアAも移動する例である。ただし、所定範囲の設定例は、上記例に限定されない。例えば、基準座標RPは、所定範囲の隅位置に設定される必要はなく、所定範囲を規定する線上、所定範囲の内側、または所定範囲の外側に設定されてもよい。言い換えると、基準座標RPの更新は、電動車両10が基準座標RPを超えて走行する場合に限定されず、別の観点で設定された所定範囲(例えば、基準座標RPを中心とする所定範囲)から電動車両10の位置が外れる場合でもよい。所定範囲の形状は、矩形状や扇状に限定されず、他の形状でもよい。所定範囲の1辺は、最大移動距離Lmaxに限定されず、最大移動距離Lmaxよりも短くてもよく、最大移動距離Lmaxよりも長くてもよい。
【0058】
例えば、相対値生成部22は、GNSS受信機21により取得される最新の第1位置情報PIAを監視する。相対値生成部22は、GNSS受信機21により取得される最新の第1位置情報PIAに含まれる緯度および経度の絶対値と、基準座標RPの緯度および経度の絶対値とを比較し、電動車両10が基準座標RPを超えて北方向に移動したか否か、および、電動車両10が基準座標RPを超えて東方向に移動したか否かを判定する。
【0059】
そして、相対値生成部22は、電動車両10が基準座標RPを超えて北方向に移動したと判定した場合、基準座標RPの緯度の座標(絶対値)が第1位置情報PIAに含まれる緯度の座標(絶対値)になるように、基準座標RPの緯度の座標(絶対値)を更新する。一方で、相対値生成部22は、電動車両10が基準座標RPを超えて東方向に移動したと判定した場合、基準座標RPの経度の座標(絶対値)が第1位置情報PIAに含まれる経度の座標(絶対値)になるように、基準座標RPの経度の座標(絶対値)を更新する。このような設定方法によれば、第2位置情報PIBにおいて電動車両10の位置を示す相対値が必ずプラス値またはマイナス値のいずれか一方になる。この場合、データの取り扱いが容易になりやすく、また、プラス/マイナスを識別する必要がなくなるので第2位置情報PIBのデータ量をさらに小さくすることができる。
【0060】
また、第3例によれば、第2例よりもさらに第2位置情報PIBのデータ量を小さくすることができる。例えば、
図8に示す例では、第2位置情報PIBは、1辺が最大移動距離Lmaxの矩形状のエリアAにおいて一意に位置を特定できるデータ型範囲であればよい。すなわち、第2位置情報PIBのデータ型範囲は、最大移動距離Lmaxを最大値とするプラス値のみ(またはマイナス値のみ)の範囲でよい。
【0061】
なお、第1基準方位および第2基準方位をどの方位に設定するかは、次のように決められてもよい。例えば、相対値生成部22は、電動車両10がバッテリモジュール100を交換した場所と、その場所を出発してから所定時間経過後(例えば15分後)に位置する場所との位置関係に基づき電動車両10のおおよその移動方位を判定し、上述した更新処理が少なくなる方位(例えば、判定された電動車両10の移動方位とは反対側の方位)に第1基準方位および第2基準方位を設定してもよい。また、所定時間に亘って上述した更新処理が連続して続く場合、相対値生成部22は、第1基準方位および第2基準方位の少なくとも一方をその時点で設定されている方位に対して反対側の方位に変更してもよい。
【0062】
また第3例では、相対値生成部22は、電動車両10が基準座標RPを超えて北方向に移動し、基準座標RPの緯度の座標(絶対値)を第1位置情報PIAに含まれる緯度の座標(絶対値)に更新した場合、更新した基準座標RPの緯度の座標(絶対値)に基づき、過去に生成してバッテリモジュール100のメモリ133に記録されている第2位置情報PIBを書き換えるための第1補正情報MI(
図9参照)を生成する。例えば、相対値生成部22は、更新した基準座標RPの緯度の座標(絶対値)と、更新前の基準座標RPの緯度の座標(絶対値)との差分に基づき、バッテリモジュール100のメモリ133に記録されている第2位置情報PIBの相対値に対する加算値(または減算値)を第1補正情報MIとして生成する。なお、第1補正情報MIの一例については、詳しく後述する。
【0063】
相対値生成部22は、第1補正情報MIを生成した場合、生成した第1補正情報MIを情報出力部23に出力する。情報出力部23は、相対値生成部22により生成された第1補正情報MIをバッテリモジュール100のBMU130に出力するとともに、第1補正情報MIに基づきメモリ133に記録された第2位置情報PIBを補正する(書き換える)ための制御指令をBMU130に出力する。BMU130は、電動車両10から受け取る第1補正情報MIおよび制御指令に基づき、バッテリモジュール100のメモリ133に記録された第2位置情報PIBを補正する。
【0064】
同様に、相対値生成部22は、電動車両10が基準座標RPを超えて東方向に移動し、基準座標RPの経度の座標(絶対値)を第1位置情報PIAに含まれる経度の座標(絶対値)に更新した場合、更新した基準座標RPの経度の座標(絶対値)に基づき、過去に生成してバッテリモジュール100のメモリ133に記録されている第2位置情報PIBを書き換えるための第2補正情報を生成する。例えば、相対値生成部22は、更新した基準座標RPの経度の座標(絶対値)と、更新前の基準座標RPの経度の座標(絶対値)との差分に基づき、バッテリモジュール100のメモリ133に記録されている第2位置情報PIBの相対値に対する加算値(または減算値)を第2補正情報として生成する。なお、第2補正情報の内容の例は、第1補正情報MIの内容の例と同様なので図示を省略する。
【0065】
相対値生成部22は、第2補正情報を生成した場合、生成した第2補正情報を情報出力部23に出力する。情報出力部23は、相対値生成部22により生成された第2補正情報をバッテリモジュール100のBMU130に出力するとともに、第2補正情報に基づきメモリ133に記録された第2位置情報PIBを補正する(書き換える)ための制御指令をBMU130に出力する。BMU130は、電動車両10から受け取る第2補正情報に基づき、バッテリモジュール100のメモリ133に記録されている第2位置情報PIBを補正する。
【0066】
図9は、第1補正情報MIの内容の一例を示す図である。
図9に示す例では、電動車両10が基準座標RPを超えて北方向に緯度2秒だけ移動した場合を示す。この場合、基準座標RPは、緯度が2秒大きくなるように更新される。この場合、第1補正情報MIとしては、第2位置情報PIBの相対値に対して、緯度を2秒小さくする補正を行うための補正情報が生成される。
【0067】
図10は、
図9に示す第1補正情報MIにより補正されるメモリ133に記録された第2位置情報PIBの履歴情報PIB_Tの内容の一例を示す図である。この例では、メモリ133に記録された履歴情報PIB_Tに含まれる各第2位置情報PIBの緯度を示す相対値は、マイナス2秒が一律に加えられる。これにより、更新された基準座標RPと過去に生成されてメモリ133に記録されていた第2位置情報PIBとの関係が正しく対応付けられる。
【0068】
なお
図10では、説明の便宜上、第2位置情報PIBの相対値がマイナス値で示されている。ただし上述したように、第3例による基準座標RPの設定方法によれば、相対値が必ずプラス値またはマイナス値のいずれか一方になる。このため、例えば履歴情報PIB_Tの全体に対して相対値がマイナス値であるという管理を行うことで、個別の相対値についてはプラス/マイナスを管理する必要がなくなる。これにより、第2位置情報PIBのデータ量をより小さくすることができる。
【0069】
以上、
図9および
図10を参照して、第1補正情報MIおよび第1補正情報MIを用いた第2位置情報PIBの補正の例について説明した。なお、第2補正情報および第2補正情報を用いた第2位置情報PIBの補正についても同様である。なお、第1補正情報MIが緯度に関する補正量(第2位置情報PIBの相対値に対する加算値または減算値)を含むのに対して、第2補正情報は経度に関する補正量を含む。
【0070】
また、第1補正情報および第2補正情報は、上記例に限定されない。例えば、相対値生成部22は、基準座標RPが更新された場合、更新された基準座標RPを示す情報(更新後の基準座標RPの緯度および経度の座標の絶対値)を、情報出力部23を介してバッテリモジュール100に出力してもよい。この場合、バッテリモジュール100のBMU130は、メモリ133に記録されている更新前の基準座標RPと、電動車両10から受け取る更新後の基準座標RPとの差分に基づき、メモ133に記録されている第2位置情報PIB(履歴情報PIB_Tの各第2履歴情報PIB)を補正する。この場合、電動車両10が基準座標RPを超えて北方向に移動した場合に更新された基準座標RPの緯度を示す情報は、「第1補正情報」の一例である。また、電動車両10が基準座標RPを超えて東方向に移動した場合に更新された基準座標RPの経度を示す情報は、「第2補正情報」の一例である。
【0071】
また、第1補正情報および第2補正情報の別の例は、次のとおりである。例えば、相対値生成部22は、基準座標RPが更新された場合、過去に生成されてバッテリモジュール100のメモリ133に記録されている第2位置情報PIB(履歴情報PIB_Tに含まれる過去の全ての時点の第2位置情報PIB)をバッテリモジュール100から読み出し、読み出した各第2位置情報PIBを更新前の基準座標RPと更新後の基準座標RPとの差分に基づき補正し、補正した第2位置情報PIBを情報出力部23に出力してもよい。この場合、情報出力部23は、補正された第2位置情報PIBをバッテリモジュール100に出力するとともに、過去に生成されてメモリ133に記録されている第2位置情報PIBを消去して補正された第2位置情報PIBをメモリ133に記録させるための制御指令をバッテリモジュール100に出力する。これにより、過去に生成されてメモリ133に記録されている第2位置情報PIBが書き換えられる。この場合、相対値生成部22により補正された第2位置情報PIBのなかで、緯度に関する値が「第1補正情報」の一例であり、経度に関する値が「第2補正情報」の一例に該当する。
【0072】
また、第1補正情報および第2補正情報のさらに別の例は、次のとおりである。電動車両10の相対値生成部22は、比較的容量が大きな記憶部を有し、GNSS受信部21で取得された各時点の第1位置情報PIAを保持する。そして、相対値生成部22は、基準座標RPが更新された場合に、更新された基準座標RPと各時点の第1位置情報PIAとに基づき過去の全ての時点の第2位置情報PIBを算出し直し、算出し直した第2位置情報PIBを情報出力部23に出力してもよい。この場合、情報出力部23は、算出し直した第2位置情報PIBをバッテリモジュール100に出力するとともに、過去に生成されてメモリ133に記録されている第2位置情報PIBを消去して算出し直した第2位置情報PIBをメモリ133に記録させるための制御指令をバッテリモジュール100に出力する。この場合、相対値生成部22により算出し直された第2位置情報PIBのなかで、緯度に関する値が「第1補正情報」の一例であり、経度に関する値が「第2補正情報」の一例に該当する。
【0073】
<3.バッテリモジュール100>
図11は、バッテリモジュール100の構成の一例を示すブロック図である。バッテリモジュール100は、例えば、接続部110と、蓄電部120と、BMU(Battery Management Unit)130とを備えている。
【0074】
接続部110は、バッテリモジュール100が電動車両10に装着される際に、電動車両10のバッテリ接続部12に着脱可能に接続される。また、接続部110は、バッテリモジュール100が充電ステーション装置200のスロット部221(
図1参照)に収容された際に、充電ステーション装置200に電気的に接続され、蓄電部120を充電させるために充電ステーション装置200から電力の供給を受ける。接続部110は、バッテリ接続部12と充電ステーション接続部224に対応するように、例えば、電力線の接続端子(バッテリターミナル)および通信線の接続端子を含む。
【0075】
蓄電部120は、接続部110を介して電動車両10に走行用の電力を供給する。蓄電部120は、複数の単電池を直列に接続して構成された組電池である。蓄電部120を構成する単電池としては、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池や、電気二重層キャパシタなどのキャパシタ、または二次電池とキャパシタとを組み合わせた複合電池などである。
【0076】
BMU130は、バッテリモジュール100の充放電を制御するとともに、電動車両10に関する情報を記録する。BMU130は、例えば、測定センサ131と、制御部132と、メモリ133とを有する。なお、測定センサ131および制御部132は、バッテリモジュール100に代えて、電動車両10の一部として設けられてもよい。この場合、バッテリモジュール100は、BMU130に代えて、メモリ133のみを有してもよい。
【0077】
測定センサ131は、蓄電部120の充電状態を測定するための電圧センサ、電流センサ、温度センサなどの各種のセンサを含む。例えば、電圧センサは、蓄電部120を構成する各単電池の端子電圧や、蓄電部120を構成する複数の単電池を直列に接続して構成された組電池の端子電圧を測定してもよい。例えば、電流センサは、蓄電部120から放電される放電電流を測定する。例えば、温度センサは、蓄電部120の充放電中の温度を測定する。測定センサ131は、測定された電圧、電流、温度などを制御部132に出力する。
【0078】
制御部132は、測定センサ131の測定結果および電動車両10からの制御指令などに基づき、蓄電部120の充電や放電の制御、セルバランシング、蓄電部120の異常検出、蓄電部120の充放電電流の導出、および蓄電部120のSOCの推定を行う。また制御部132は、所定の情報が電動車両10の情報出力部23からバッテリモジュール100に出力された場合、電動車両10の情報出力部23から受信した情報をメモリ133に記録する。
【0079】
メモリ133は、例えばフラッシュメモリのような不揮発性の半導体メモリである。メモリ133には、電動車両10に関する各種情報が記録される。例えば、メモリ133には、上述した第2位置情報PIBの履歴情報PIB_Tおよび基準座標情報RIが記録される。また、メモリ133には、電動車両10の走行中の消費電力量、バッテリSOC、およびバッテリ状態情報(例えば蓄電部120の異常や故障)の各々の履歴情報などが記録される。また、メモリ133には、バッテリモジュール100に対して割り当てられたバッテリIDが記憶されている。バッテリIDは、例えば、バッテリモジュール100を識別するために一意に与えられたシリアル番号である。バッテリIDは、識別情報の一例である。
【0080】
図12は、消費電力量の履歴情報CI_Tの内容の一例を示す図である。BMU130の制御部132は、測定センサ131によって測定された電圧、電流などに基づいて、所定の演算を行い、消費電力量(Wh)を導出する。所定の演算とは、例えば、測定センサ131によって測定された電圧、電流から計算される電力を時間積分することにより、所定の時間の間に蓄電部120が放電した電力量(電動車両10の消費電力量)を導出することである。制御部132は、導出した消費電力量を、その時点の日時を表すタイムスタンプに関連付けて、記憶部130に記憶させる。また、制御部132は、測定センサ131によって測定された電圧、電流などに基づいて、所定の処理を行い、蓄電部120のSOCを導出する。図示されていないが、消費電力量の履歴情報CI_Tは、現在の日時を表すタイムスタンプに関連付けられたSOCを含んでもよい。SOCの導出には、例えば、初期SOCと電力量の積算値によりSOCを推定する方法、端子電圧からSOCを推定する方法などを用いることができる。
【0081】
<4.充電ステーション装置200>
図13は、充電ステーション装置200の構成の一例を示す図である。充電ステーション装置200は、例えば、充電モジュール220と、表示器230と、認証器240と、充電ステーション通信部250と、充電ステーション制御部260とを備えている。
【0082】
充電モジュール220は、例えば、複数のスロット部221と、複数の充電ステーション接続部224と、複数の充電器226とを備えている(図中では1つずつのみ示す)。
【0083】
スロット部221は、バッテリモジュール100を受け入れて充電を行うための機構である。スロット部221は、例えば、上段スロット部221Uと、下段スロット部221Lとを備える(
図1参照)。
【0084】
充電ステーション接続部224は、各スロット部221の底面に設けられている。充電ステーション接続部224は、バッテリモジュール100がスロット部221に収容された場合に、バッテリモジュール100の接続部110と電気的に接続される。
【0085】
充電器226は、各スロット部221の底面に設けられている。充電器226は、充電ステーション接続部224を介して、バッテリモジュール100の蓄電部120と電気的に接続され、蓄電部120を充電することが可能である。充電器226には、蓄電部120に電力を供給するための電源が接続されている。
【0086】
表示器230は、例えば、充電モジュール220の上部に配置されており、タッチパネル(タッチセンサ付き表示パネル)を備える。表示器230は、ユーザの操作に応じて必要な情報を入力可能であるとともに、ユーザに対して様々な情報を提供可能である。表示器230は、例えば、ユーザによってバッテリモジュール100が返却された際に、後述する所定の情報を表示させる。
【0087】
認証器240は、例えば、充電モジュール220の上部に配置されており、ユーザの認証を行う機器である。認証器240は、例えば、近距離通信(NFC;Near Field Communication)を用いて、ユーザが携行するNFCカード(不図示)の記録情報を読取可能である。これにより、充電ステーション装置200は、この記録情報に含まれるユーザIDを用いて、ユーザを識別することができる。
【0088】
なお、充電ステーション装置200は、次にようにしてユーザを識別してもよい。例えば、後述する管理サーバ300は、バッテリモジュール100を最初に借りるときに登録されたユーザIDと、ユーザが借りているバッテリモジュール100のバッテリIDとを紐付けて管理する。この場合、充電ステーション装置200は、スロット部221に返却されたバッテリモジュール100のバッテリIDを読み取ることで、ユーザを識別してもよい。なおこの場合、管理サーバ300は、新しく貸し出されるバッテリモジュール100のバッテリIDと、ユーザIDとを新しく紐付けて管理する。
【0089】
充電ステーション通信部250は、例えば、アンテナと通信用の高周波回路とを有し、ネットワークNWを介して管理サーバ300と通信可能である。
【0090】
充電ステーション制御部260は、例えば、情報取得部261と、充電制御部262と、情報変換部263と、情報送信部264と、情報提供部265とを有する。
【0091】
情報取得部261は、充電ステーション接続部224およびバッテリモジュール100の接続部110を介して、バッテリモジュール100のメモリ133に記録された各種情報をバッテリモジュール100から読み出す。例えば、情報取得部261は、第2位置情報PIBの履歴情報PIB_T、基準座標情報RI、およびバッテリIDをメモリ133から読み出す。また、情報取得部261は、消費電力量、バッテリSOC、およびバッテリ状態情報の各々の履歴情報をメモリ133から読み出す。
【0092】
充電制御部262は、バッテリモジュール100のメモリ133から読み出されたバッテリSOCなどに基づいて、蓄電部120を満充電するように充電器226を制御する。
【0093】
情報変換部263は、バッテリモジュール100から読み出された第2位置情報PIBおよび基準座標情報RIに基づき、第1位置情報PIAを得る。すなわち、情報変換部263は、電動車両10の相対値生成部22が第1位置情報PIAを第2位置情報PIBに変換した処理とは逆の変換を行い、例えば基準座標RPと第2位置情報PIBとを足し合わせることで、第1位置情報PIAを復元する。情報変換部263は、履歴情報PIB_Tに含まれる各時点の第2位置情報PIBを変換することで、各時点での第1位置情報PIA(すなわち、第1位置情報PIAの履歴情報、緯度および経度が絶対値で表示された電動車両10の位置履歴)を取得する。情報変換部263は、取得した第1位置情報PIAの履歴情報を、情報送信部264に出力する。なお、上述した情報変換部263による変換は、充電ステーション装置200に代えて、管理サーバ300で行われてもよい。
【0094】
情報送信部264は、充電ステーション通信部250を介して、管理サーバ300に各種情報を出力する。例えば、情報送信部264は、情報変換部263により取得された第1位置情報PIAの履歴情報を管理サーバ300に送信する。また、情報送信部264は、バッテリID、消費電力量、バッテリSOC、およびバッテリ状態情報の各々の履歴情報を管理サーバ300に送信する。
【0095】
情報提供部265は、充電ステーション通信部250を介して、管理サーバ300から各種情報を受け取る。情報提供部265は、管理サーバ300から受け取った情報を、例えば表示器230に表示させることで、ユーザに提供する。
【0096】
<5.管理サーバ300>
管理サーバ300は、充電ステーション装置200から受け取る情報に基づき、ユーザにとって有益な情報を提供する。例えば、管理サーバ300は、第1位置情報PIAの履歴情報と、消費電力量の履歴情報とに基づき、電動車両10の電費を示す電費情報を算出する。算出された電費情報は、ネットワークNWを介して充電ステーション装置200と携帯情報端末400とのうち少なくとも一方に送信され、充電ステーション装置200の表示器230や携帯情報端末400の表示画面に表示される。
【0097】
また、管理サーバ300は、ユーザにサービスを提供するために用いられる情報を生成する。例えば、管理サーバ300は、ユーザID毎に、第1位置情報PIAの履歴情報を記録する。そして、管理サーバ300は、所定期間に亘って蓄積されたユーザID毎の第1位置情報PIAの履歴情報に基づき、各ユーザの行動圏を示す行動圏情報を生成する。行動圏情報は、例えば、所定の統計的処理により導出することができる。所定の統計的処理とは、例えば、第1位置情報PIAの履歴情報に含まれる位置情報から外れ値を除去した上で、複数の位置情報の重心を求め、重心から一番遠い位置における位置情報までの距離を求めることであってよい。管理サーバ300は、導出された各ユーザの行動圏情報に基づき、各ユーザの行動圏にある商店と、施設と、イベントとのうち少なくともいずれか1つについての、情報と、広告と、クーポンとのうち少なくともいずれか1つを取得する。管理サーバ300は、取得した情報と、広告と、クーポンとのうち少なくともいずれか1つを、ネットワークNWを介して充電ステーション装置200と携帯情報端末400とのうち少なくとも一方に送信し、充電ステーション装置200の表示器230や携帯情報端末400の表示画面に表示させる。
【0098】
<6.処理の流れ>
次に、電動車両10の処理の流れの一例について説明する。なお以下に説明する例は、基準座標RPの設定方法として上述した第3例が採用された場合(すなわち更新処理が発生する場合)についての例である。
【0099】
図14は、電動車両10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、電動車両10のGNSS受信機21は、複数のGNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波を受信し、受信した電波に含まれる情報に基づいて電動車両10の位置を算出する。これにより、GNSS受信機21は、電動車両10が位置する緯度および経度を絶対値で示す第1位置情報PIAを取得する(ステップS11)。
【0100】
次に、相対値生成部22は、GNSS受信機21により取得された最新の第1位置情報PIAに含まれる緯度および経度の絶対値と、相対値生成部22が保持する基準座標RPの緯度および経度の絶対値とを比較する。
【0101】
具体的には、相対値生成部22は、まず、電動車両10が基準座標RPを超えて北方向に移動しているか否かを判定する(ステップS12)。そして、相対値生成部22は、電動車両10が基準座標RPを超えて北方向に移動していないと判定した場合(ステップS12:NO)、ステップS16に進む。一方で、相対値生成部22は、電動車両10が基準座標RPを超えて北方向に移動していると判定した場合(ステップS12:YES)、基準座標RPの緯度の座標を、第1位置情報PIAに含まれる緯度の座標に更新する(ステップS13)。
【0102】
この場合、相対値生成部22は、過去に生成してバッテリモジュール100のメモリ133に記録されている第2位置情報PIBを書き換えるための第1補正情報MIを生成し(ステップS14)、生成した第1補正情報MIをバッテリモジュール100に出力する。これにより、メモリ133に記録されている第2位置情報PIBは、第1補正情報MIに基づいて補正される(ステップS15)。そして、電動車両10による処理は、ステップS16に進む。
【0103】
次に、相対値生成部22は、電動車両10が基準座標RPを超えて東方向に移動しているか否かを判定する(ステップS16)。そして、相対値生成部22は、電動車両10が基準座標RPを超えて東方向に移動していないと判定した場合(ステップS16:NO)、ステップS20に進む。一方で、相対値生成部22は、電動車両10が基準座標RPを超えて東方向に移動していると判定した場合(ステップS16:YES)、基準座標RPの経度の座標を、第1位置情報PIAに含まれる経度の座標に更新する(ステップS17)。
【0104】
この場合、相対値生成部22は、過去に生成してバッテリモジュール100のメモリ133に記録されている第2位置情報PIBを書き換えるための第2補正情報を生成し(ステップS18)、生成した第2補正情報をバッテリモジュール100に出力する。これにより、メモリ133に記録されている第2位置情報PIBは、第2補正情報に基づいて補正される(ステップS19)。なお、ステップS15の処理(第1補正情報MIに基づく第2位置情報PIBの補正)およびステップS19の処理(第2補正情報に基づく第2位置情報PIBの補正)は、同時に行われてもよい。そして、電動車両10による処理は、ステップS20に進む。
【0105】
次に、相対値生成部22は、GNSS受信機21で取得された第1位置情報PIAに基づき、電動車両10の位置を基準座標RPに対する差分値である相対値で表現された第2位置情報PIBを生成する(ステップS20)。次に、情報出力部23は、相対値生成部22により生成された第2位置情報PIBをバッテリモジュール100に出力する。これにより、バッテリモジュール100のメモリ133に第2位置情報PIBが記録される(ステップS21)。これにより、1つのフローが終了する。本フローは、所定の周期(例えば、一定の時間間隔ごと、または、一定の走行距離ごと)で繰り返し実施される。なお上述した流れにおいて、ステップS12の処理と、ステップS16の処理は、いずれか先に行われてもよく、または同時に行われてもよい。
【0106】
<7.作用/効果>
ここで比較例として、バッテリモジュール100のメモリ133に、緯度および経度が絶対値で表示された位置情報が蓄積される場合について考える。緯度および経度が絶対値で表示された位置情報は、データ量が比較的大きい。このため、バッテリモジュール100が次に交換されるまでメモリ133に位置情報を貯め続けるためには、高容量のメモリ133が必要になる。このような高容量のメモリは高価であり、バッテリモジュール100の低コスト化が困難になる。
【0107】
一方で、本実施形態の電動車両10は、GNSS受信機21により取得された第1位置情報PIAに基づき、電動車両10の位置を基準座標RPに対する差分である相対値で表現した第2位置情報PIBを生成する相対値生成部22と、相対値生成部22により生成された第2位置情報PIBを、バッテリモジュール100のメモリ133に記録させるためにバッテリモジュール100に出力する情報出力部23とを有する。すなわち、本実施形態の電動車両10は、例えば電動車両10の航続距離(最大移動可能距離)がガソリン車などと比べて短く、また電動車両10のなかでもバッテリ交換方式の電動車両10の航続距離はさらに短いことに着目し、絶対値で表現された位置情報を相対値で表現することで、位置情報のデータ量を小さくしてメモリ133に記録させるものである。このような構成によれば、メモリ133に記録されるデータ量を減少させることができ、メモリ133として低容量のメモリ(安価なメモリ)を採用することができる。これにより、位置情報の取り扱いに伴うコストの低減を図ることができる。さらに、第2位置情報PIBがサーバ装置に通信出力されるのではなく、バッテリモジュール100のメモリ133に記録されると、外部との通信装置を電動車両10が有しない場合や、基地局など周囲の通信環境が十分でない場合でも、電動車両10の位置情報を蓄積することができる。さらに、バッテリモジュール100が充電ステーションなどで交換される場合、第2位置情報PIBがバッテリモジュール100のメモリ133に記録されると、電動車両10の位置情報を充電ステーション装置200によって直接に取得することができ、利便性が向上する。
【0108】
本実施形態では、第2位置情報PIBは、電動車両10がバッテリモジュール100を交換せずに走行可能な最大移動距離Lmaxを最大値とするデータ型範囲で規定される。このような構成によれば、メモリ133に記録されるデータ量をさらに減少させることができる。
【0109】
(第2の実施形態)
次に
図15を参照し、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第2位置情報PIBが電動車両10に搭載された通信部32およびネットワークNWを介して管理サーバ300に送信される点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0110】
図15は、第2の実施形態の電動車両10Aの構成の一例を示す図である。本実施形態の電動車両10Aは、通信部32を有する。通信部32は、例えば、アンテナと通信用の高周波回路とを有し、ネットワークNWを介して管理サーバ300と通信可能である。
【0111】
本実施形態では、電動車両10の情報出力部23は、第2位置情報PIBを、バッテリモジュール100に出力することに代えて、または加えて、第2位置情報PIBを通信部32およびネットワークNWを介して管理サーバ300に出力する。また、電動車両10の情報出力部23は、基準座標RPが更新され、第1補正情報MIと第2補正情報とのうち少なくとも一方が生成された場合、生成された第1補正情報MIおよび/または第2補正情報を通信部32およびネットワークNWを介して管理サーバ300に出力する。
【0112】
本実施形態では、管理サーバ300は、第1の実施形態に係るバッテリモジュール100のBMU130の一部の機能(第1補正情報MIおよび第2補正情報に基づき過去に生成された第2位置情報PIBを補正する機能)、および第1の実施形態に係る充電ステーション装置200の一部の機能(情報変換部263の機能)を有する。
【0113】
ここで比較例として、緯度および経度が絶対値で表示された位置情報が通信部32を介して管理サーバ300に出力される場合について考える。この場合、緯度および経度が絶対値で表示された位置情報はデータ量が比較的大きいため、通信費用が高額になる可能性がある。
【0114】
一方で、本実施形態の電動車両10Aは、相対値生成部22により生成された第2位置情報PIBを、通信部32を介して管理サーバ300に出力する情報出力部23を有する。このような構成によれば、通信部32を介して送信されるデータ量を減少させることができ、通信費用を低額に抑えることができる。これにより、位置情報の取り扱いに伴うコストの低減を図ることができる。
【0115】
(第3の実施形態)
次に
図16を参照し、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、位置情報の取得および変換がバッテリモジュール100Aにて行われ、変換された位置情報がバッテリモジュール100Aのメモリ133に書き込まれる点で、第1の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。バッテリモジュール100Aは、「バッテリ」の一例である。
【0116】
図16は、第3の実施形態のバッテリモジュール100Aの構成の一例を示すブロック図である。本実施形態では、バッテリモジュール100Aは、位置情報管理部20Aを有する。位置情報管理部20Aは、例えば、GNSS受信機21と、相対値生成部22と、記録制御部24とを備える。すなわち、バッテリモジュール100Aは、GNSS衛星からの電波を受信するアンテナなどを有し、自ら第1位置情報PIAを取得可能である。記録制御部24は、相対値生成部22で生成された第2位置情報PIBをメモリ133に記録させる。また、記録制御部24は、基準座標RPが更新され、第1補正情報MIと第2補正情報とのうち少なくとも一方が生成された場合、第1補正情報MIおよび/または第2補正情報に基づき、メモリ133に記録されている第2位置情報PIBを補正する。記録制御部24は、バッテリモジュール100Aにおける「情報出力部」の一例である。なお、記録制御部24は、BMU130の一部として設けられてもよい。
【0117】
このような構成によれば、第1の実施形態と同様に、メモリ133に記録されるデータ量を減少させることができ、メモリ133として低容量のメモリ(安価なメモリ)を採用することができる。これにより、位置情報の取り扱いに伴うコストの低減を図ることができる。
【0118】
なお、バッテリモジュール100Aは、GNSS受信機21を備えることに代えて、電動車両10に設けられたGNSS受信機21により生成された第1位置情報PIAを電動車両10から受け取る位置情報取得部を有してもよい。この場合、この位置情報取得部が「取得部」の一例に該当する。
【0119】
(第4の実施形態)
次に
図17を参照し、第4の実施形態について説明する。本実施形態は、第2位置情報PIBがバッテリモジュール100Bに搭載された通信部140およびネットワークNWを介して管理サーバ300に送信される点で、第3の実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第3の実施形態と同様である。バッテリモジュール100Bは、「バッテリ」の一例である。
【0120】
図17は、第4の実施形態のバッテリモジュール100Bの構成の一例を示す図である。本実施形態のバッテリモジュール100Bは、通信部140と、位置情報管理部20Bとを有する。通信部140は、例えば、アンテナと通信用の高周波回路とを有し、ネットワークNWを介して管理サーバ300と通信可能である。
【0121】
位置情報管理部20Bは、例えば、GNSS受信機21と、相対値生成部22と、記録制御部24と、情報出力部25とを備える。情報出力部25は、第2位置情報PIBを通信部140およびネットワークNWを介して管理サーバ300に出力する。また、情報出力部25は、基準座標RPが更新され、第1補正情報MIと第2補正情報とのうち少なくとも一方が生成された場合、生成された第1補正情報MIおよび/または第2補正情報を通信部140およびネットワークNWを介して管理サーバ300に出力する。
【0122】
本実施形態では、管理サーバ300は、第2の実施形態と同様に、第1補正情報MIおよび第2補正情報に基づき過去に生成された第2位置情報PIBを補正する機能、および充電ステーション装置200の情報変換部263と同様の機能を有する。
【0123】
このような構成によれば、第2の実施形態と同様に、通信部140を介して送信されるデータ量を減少させることができ、通信費用を低額に抑えることができる。これにより、位置情報の取り扱いに伴うコストの低減を図ることができる。なお本実施形態では、メモリ133および記録制御部24は省略されてもよい。
【0124】
以上説明した第1から第4の実施形態において、位置情報管理部20,20A,20Bの機能の全部または一部、BMU130の機能の全部または一部、充電ステーション制御部260の機能の全部または一部は、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0125】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0126】
10,10A…電動車両(移動体)
14…走行駆動力出力装置
12…バッテリ接続部(接続部)
16…車両センサ
18…車両制御部
20,20A,20B…位置情報管理部
21…GNSS受信機(取得部)
22…相対値生成部(生成部)
23…情報出力部
24…記録制御部(情報出力部)
25…情報出力部
32…通信部
100,100A,100B…バッテリモジュール(バッテリ)
110…接続部
120…蓄電部
130…BMU
131…測定センサ
132…制御部
133…メモリ
140…通信部