(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】改善された第2段タービンノズル
(51)【国際特許分類】
F01D 9/04 20060101AFI20231208BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20231208BHJP
C23C 28/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
F01D9/04
F01D5/28
C23C28/00 B
(21)【出願番号】P 2021509756
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019046221
(87)【国際公開番号】W WO2020041027
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-10
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515253614
【氏名又は名称】クロマロイ ガス タービン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,デービッド・ジー
(72)【発明者】
【氏名】シヤオ,ジェンホワ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】マートリング,ビンセント・シー
(72)【発明者】
【氏名】ハーバー,ポール・ジー
(72)【発明者】
【氏名】フォルカーズ,ダニエル
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06722853(US,B1)
【文献】特開2005-054791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0136592(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0102558(US,A1)
【文献】特開2015-081603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/28
F01D 9/02
F01D 9/04
C23C 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エーロフォイルを備えるタービンノズルにおいて、前記エーロフォイルが、前記エーロフォイルの任意の表面に対して垂直な方向において、
-0.067インチから
+0.101インチのエンベロープの範囲内の1つの形状を有し、前記エーロフォイルが、表1-1~表1-39に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に
従う公称の非被覆プロファイルを有する、タービンノズルであって、前記Zの値は0から1までの無次元値であり、前記Zの値にインチ単位の前記エーロフォイルの高さを
掛け算し、この
掛け算された値を前記タービンノズルの根本の半径に加えることによってインチ単位のZ距離へと変換可能であり、XおよびYがインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各Zの値でのエーロフォイルプロファイル断面を画定し、前記Zの値での前記エーロフォイルプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する、タービンノズル。
【請求項2】
ガスタービンエンジンの第2段タービンの一部を形成する、請求項1に記載のタービンノズル。
【請求項3】
前記エーロフォイルの根本のところで前記エーロフォイルに固定される内径プラットフォームおよび前記エーロフォイルの先端部のところで前記エーロフォイルに固定される外径プラットフォームをさらに備える、請求項1に記載のタービンノズル。
【請求項4】
前記Zの値が、前記内径プラットフォームの軸方向長さの中央の距離から測定される、請求項3に記載のタービンノズル。
【請求項5】
前記タービンノズルが、前記内径プラットフォームから測定して
10.5インチのエーロフォイル高さを有する、請求項4に記載のタービンノズル。
【請求項6】
前記エーロフォイルに加えられるコーティングをさらに備える、請求項1に記載のタービンノズル。
【請求項7】
前記コーティングが、最大0.012インチの厚さで加えられる金属MCrAlYの被膜層、および、前記金属MCrAlYの被膜層の上に最大0.022インチの厚さで加えられる熱バリアコーティングを含む、請求項6に記載のタービンノズル。
【請求項8】
XおよびYが、拡大または縮小したノズルエーロフォイルを提供するために等しい定数の関数として変倍可能である距離を含む、請求項1に記載のタービンノズル。
【請求項9】
表1-1~表1-39に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に
従う公称の非被覆プロファイルを有する1つの形状を有するエーロフォイルを備えるタービンノズルであって、前記Zの値は0から1までの無次元値であり、前記Zの値にインチ単位の前記エーロフォイルの高さを
掛け算し、この
掛け算された値を前記タービンノズルの根本の半径に加えることによってインチ単位のZ距離へと変換可能であり、XおよびYがインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定し、前記Z距離での前記エーロフォイルプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する、タービンノズル。
【請求項10】
ガスタービンエンジンの第2段の一部を形成する、請求項9に記載のタービンノズル。
【請求項11】
前記エーロフォイルの根本のところで前記エーロフォイルに固定される内径プラットフォームおよび前記エーロフォイルの先端部のところで前記エーロフォイルに固定される外径プラットフォームをさらに備える、請求項9に記載のタービンノズル。
【請求項12】
前記Zの値が、前記内径プラットフォームの軸方向長さの中央の距離から測定される、請求項11に記載のタービンノズル。
【請求項13】
前記タービンノズルが、前記内径プラットフォームから測定して
10.5インチのエーロフォイル高さを有する、請求項12に記載のタービンノズル。
【請求項14】
前記エーロフォイルに加えられるコーティングをさらに備える、請求項9に記載のタービンノズル。
【請求項15】
前記コーティングが、最大0.012インチの厚さで加えられる金属MCrAlYの被膜層、および、前記金属MCrAlYの被膜層の上に最大0.022インチの厚さで加えられる熱バリアコーティングを含む、請求項14に記載のタービンノズル。
【請求項16】
第2段タービンノズルの組立体において、前記第2段タービンノズルは複数であり、各第2段タービンノズルが、エーロフォイルの任意の表面に対して垂直な方向において、
-0.067インチから
+0.101インチのエンベロープの範囲内の1つの形状を有するエーロフォイルを備え、各エーロフォイルが、表1-1~表1-39に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に
従う公称の非被覆プロファイルを有する、第2段タービンノズルの組立体であって、前記Zの値は0から1までの無次元値であり、前記Zの値にインチ単位のそれぞれの前記エーロフォイルの高さを
掛け算し、この
掛け算された値を前記第2段タービンノズルの根本の半径に加えることによってインチ単位のZ距離へと変換可能であり、XおよびYがインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定し、前記Z距離での前記エーロフォイルプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する、第2段タービンノズルの組立体。
【請求項17】
それぞれの前記エーロフォイルの根本のところで各エーロフォイルに固定される内径プラットフォームおよびそれぞれの前記エーロフォイルの先端部に固定される外径プラットフォームをさらに備える、請求項16に記載の第2段タービンノズルの組立体。
【請求項18】
各第2段タービンノズルが、それぞれの前記内径プラットフォームから測定して
10.5インチのエーロフォイル高さを有する、請求項17に記載の第2段タービンノズルの組立体。
【請求項19】
各エーロフォイルに加えられるコーティングをさらに備え、前記コーティングが、最大0.012インチの厚さで加えられる金属MCrAlYの被膜層、および、前記金属MCrAlYの被膜層の上に最大0.022インチの厚さで加えられる熱バリアコーティングを含む、請求項18に記載の第2段タービンノズルの組立体。
【請求項20】
XおよびYが、拡大または縮小したノズルエーロフォイルを提供するために等しい定数の関数として変倍可能である距離を含む、請求項16に記載の第2段タービンノズルの組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2018年8月21日に出願した米国非仮特許出願第16/107,416号の優先権を主張するものである。
[0002]本開示は、概して、ガスタービンエンジンで使用されるためのタービン翼に関し、より詳細には、第2段タービン翼のための表面プロファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]ガスタービンエンジンは、通常、軸方向シャフトを介して多段タービンに結合される多段圧縮機を備える。空気が圧縮機を通ってガスタービンエンジンに入り、圧縮機では、空気が圧縮機の後続の段を通過するときに空気の温度および圧力が増大する。次いで、圧縮空気が1つまたは複数の燃焼器まで誘導され、燃焼器で、圧縮空気が燃料源と混合されて燃焼混合物を作る。この混合物が燃焼器内で点火されて高温燃焼ガスの流れを作る。これらのガスがタービンまで誘導され、それによりタービンを回転させ、それにより圧縮機を駆動する。ガスタービンエンジンのこの出力は、タービンからの排気を介する機械的推進力であってもよいか、または軸方向シャフトの回転からの軸動力であってもよく、この場合、軸方向シャフトが発電機を駆動して電気を発生させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0004]圧縮機およびタービンの各々が、圧縮空気の流れまたは高温燃焼ガスの流れの中まで延在するエーロフォイルを有する複数の回転ブレードおよび固定翼を備える。各ブレードまたは翼が、圧縮機およびタービンを通過する流れに対して必要な仕事を提供するために満たさなければならない特定のセットの設計基準を有する。しかし、タービンにおいて特に一般的であるように動作環境が本質的に過酷であることを理由として、エーロフォイルの性能を最適化することが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005]本発明は、ガスタービンエンジンで使用されるための改善されたエーロフォイル(airfoil)構成を有する、タービンノズルとも称されるタービン翼を開示する。より具体的には、タービンノズルが、大型フレームのガスタービンエンジンで使用されるための第2段タービンノズルを備える。
【0005】
[0006]本発明の実施形態で、タービンノズルが、エーロフォイルの任意の表面に対して垂直な方向において、約-0.067インチ(0.17cm)から約+0.101インチ(0.257cm)のエンベロープの範囲内の1つの形状を有するエーロフォイルを備える。エーロフォイルが、表1-1~表1-39に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う公称の非被覆プロファイル(uncoated profile)を有し、Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを積算し、この積算された値をタービンノズルの根本の半径に加えることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。XおよびYはインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各Zの値でのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。Zの値でのこれらのプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する。エーロフォイルがその根本のところある内径プラットフォームおよびその先端部のところにある外径プラットフォームに固定される。
【0006】
[0007]本発明の代替的実施形態で、エーロフォイルを備えるタービンノズルが提供される。エーロフォイルが、表1-1~表1-39に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う公称の非被覆プロファイルを有する1つの形状を有する。Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを積算し、この積算された値をタービンノズルの根本の半径に加えることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。XおよびYはインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。Z距離でのこれらのプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する。
【0007】
[0008]別の実施形態で、第2段タービンノズルの組立体が提供され、ここでは、各第2段タービンノズルが、エーロフォイルの任意の表面に対して垂直な方向において、約-0.067インチ(0.17cm)から約+0.101インチ(0.257cm)のエンベロープの範囲内の1つの形状を有するエーロフォイルを備える。エーロフォイルが、表1-1~表1-39に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う公称の非被覆プロファイルを有する。Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを積算し、この積算された値をタービンノズルの根本の半径に加えることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。XおよびYはインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。Z距離でのプロファイル断面が互いに滑らかに接合されて完全なエーロフォイル形状を形成する。
【0008】
[0009]以下の記述および特許請求の範囲から本発明のこれらのおよび他の特徴が最良に理解され得る。
【0009】
[0010]添付図面を参照して本発明を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0011]本発明の実施形態によるタービンノズルを示す斜視図である。
【
図2】[0012]
図1のタービンノズルのための表1-1~表1-39のデカルト座標によって形成される一連のエーロフォイル断面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0013]本発明は、発電のために使用されるガスタービンなどの、ガスタービンエンジンで使用されることを意図されるものである。したがって、本発明は、製造業者に関係なく、多様なタービン動作環境で使用され得る。
【0012】
[0014]当業者には容易に認識されるように、ガスタービンエンジンが、エンジンの中心線または軸方向の中心線軸を中心として円周方向に配置される。エンジンが、圧縮機、燃焼セクション、およびタービンを有し、タービンがエンジンシャフトを介して圧縮機に結合される。当技術分野でよく知られているように、圧縮機内で圧縮される空気が燃料と混合されて燃焼セクション内で燃焼してタービン内で膨張する。圧縮機内で圧縮される空気およびタービン内で膨張する燃料混合物は「高温ガスストリームフロー」と称され得る。タービンが、流体の膨張に反応して回転してそれにより圧縮機を駆動するロータを有する。タービンが、翼またはノズルとしばしば称される、交互の列の回転タービンブレードおよび静止エーロフォイルを備える。
【0013】
[0015]本発明の実施形態によるタービンノズルが
図1および2に示される。最初に
図1を参照すると、タービンノズル10の斜視図が示されている。タービンノズル10が、エーロフォイル12の任意の表面に対して垂直な方向において、約-0.067インチ(0.17cm)から約+0.101インチ(0.257cm)のエンベロープの範囲内の1つの形状を有する1つまたは複数のエーロフォイル12を備える。このエンベロープは、鋳造プロセスおよび機械加工プロセスの結果として生じ得る多様な製造公差の説明となっている。エーロフォイル12が、下記の表1-1~表1-39に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う公称の非被覆プロファイルを有する。Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを掛け、その積をタービンノズルの根本の半径に加えることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。エーロフォイルの高さは多様であってよいが、一実施形態では、エーロフォイル12が約10.5インチ(26.7cm)延在してもよい。根本の半径はノズル構成に応じて多様であってよいが、一実施形態では、約47.6インチ(121cm)である。X値およびY値はインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各Zの値でのエーロフォイル断面30を画定する。複数のエーロフォイル断面30が
図2に描かれている。エーロフォイル12は、各Zの値でのエーロフォイル断面30を形成してこれらのエーロフォイル断面30を滑らかに一体に接合することにより、形成される。
【0014】
[0016]第2段タービンの一部を形成するタービンノズル10がエーロフォイルの根本16のところでエーロフォイル12に固定される内径プラットフォーム14と、エーロフォイル12の先端部20のところでエーロフォイル12に固定される外径プラットフォーム18とをさらに備える。
【0015】
[0017]Zの値が、内径プラットフォーム14の軸方向長さの中央の距離から測定される。本発明のエーロフォイルは多様なサイズのタービンエンジンに合わせて変倍され得るが、本発明の1つの特定の実施形態の場合のエーロフォイル12の代表的な高さは約10.5インチ(26.7cm)である。
【0016】
[0018]ガスタービンエンジンの設計効率を向上させて全体の設計コストを低減するために、製造業者は、しばしば、可能である場合に類似の部品または変倍した部品を使用することを試みる。本発明では、拡大または縮小したノズルエーロフォイルを提供するためにX距離およびY距離が等しい定数の関数として変倍可能である。
【0017】
[0019]
図1および2に示されて表1-1~表1-39においてその詳細を示されるエーロフォイル12は非被覆であるが、可能であることとして、またしばしば高い可能性で、エンジンの動作温度を理由として、上昇する動作温度によるエロージョンからエーロフォイル12を保護するためにエーロフォイル12の外部表面を熱バリアコーティングで被覆することが必要となる可能性がある。エーロフォイル12に加えられ得る1つのこのようなコーティングには、最大0.012インチ(0.0305cm)の厚さで加えられる金属MCrAlYの被膜層、および、金属MCrAlYの被膜層の上に約0.022インチ(0.0559cm)で加えられる熱バリアコーティングが含まれる。このような許容されるコーティングは、内径プラットフォーム14と外径プラットフォーム18との間のエーロフォイル12のすべての表面に加えられる。本発明の実施形態では、金属MCrAlY熱バリアコーティングが約0.034インチ(0.0864cm)の厚さである場合、熱バリアコーティングの厚さおよび製造公差を原因とするエーロフォイルのばらつきを考慮して、エーロフォイルの公称のプロファイルから約-0.067インチ(0.17cm)から+0.101インチ(0.257cm)までで延在する、エーロフォイルプロファイルのためのエンベロープが得られる。
【0018】
[0020]詳細には描かれないが、
図1のタービンノズルは、通常、その有効動作温度を下げるために冷却される。この冷却を実現するために多様な冷却流体が使用され得る。しかし、1つの一般的な冷却流体はエンジン圧縮機からの圧縮空気である。供給分の(a supply of)冷却空気がタービンノズルの内部キャビティを通るように誘導されてノズルの外側表面に沿うようにまたはタービンノズルの後縁22に隣接するように排出される。
【0019】
[0021]本発明の代替的実施形態では、エーロフォイル12を有するタービンノズル10が提供され、ここでは、エーロフォイル12が、表1-1~表1-39に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う公称の非被覆プロファイルを有する1つの形状を有する。Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを掛け、その積をタービンノズルの根本の半径に加えることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。X値およびY値はインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、
図2に示されるように、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面30を画定する。Z距離でのプロファイル断面30が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する。
【0020】
[0022]エーロフォイルのプロファイルを決定するための表1-1~表1-39の値は小数点第3位まで求められて示される。表1-1~表1-39のこれらの値は公称の非被覆のエーロフォイルである。しかし、エーロフォイルのプロファイルを表1-1~表1-39の値から変化させ得るような一般的な製造公差、ならびにコーティングも存在する。したがって、本発明の代替的実施形態では、上で開示したようなタービンノズル10が提供され、ここでは、鋳造したノズルのエーロフォイル形状が任意の表面ロケーションに対して垂直な方向において-0.067インチ(0.17cm)から+0.101インチ(0.257cm)の範囲内のエンベロープ内に位置する。つまり、タービンノズル10のエーロフォイルの鋳造プロセスおよび機械加工プロセスにおいて起こる変化などの多様な製造の問題を理由として、エーロフォイル形状の正確なロケーションは公称値から約-0.067インチ(0.17cm)から約+0.101インチ(0.257cm)で変化し得る。しかし、このようなエーロフォイルプロファイルの変化でも、本発明の範囲内にある第2段タービンノズルの所望の性能の範囲に完全に入るエーロフォイルが得られる。
【0021】
[0023]また、本発明は多様なタービン用途で使用され得る。つまり、エーロフォイル12は、多様なガスタービンエンジンでの使用のためにそのプロファイルを変倍可能とするように、設計される。エーロフォイル12を変倍するために、X値およびY値に1.0より大きくてもよいか、または小さくてもよい第1の定数が掛けられ、Zの値に第2の定数が掛けられる。通常、X値およびY値には等しい定数が掛けられるが、Zの値には第1の定数とは異なっていてもよい第2の定数が掛けられる。
【0022】
[0024]エーロフォイル12を変倍することに加えて、本発明の代替的実施形態においてエーロフォイルの向きも変化し得る。より具体的には、エーロフォイルの向きが、各エーロフォイル断面から径方向外側に延在する軸またはZの値に沿う軸を基準として回転することができる。この軸はエーロフォイル12の積み重ね方向の軸(stacking axis)であってもよい。当業者であれば理解するように、エーロフォイル12の向きを回転させることにより、ノズルに対しての空気力学的負荷を再構成することが可能となり、それによりタービンノズル10による空気流れの方向を変化させることができ、さらにはノズルに対しての機械的応力を変化させることができる。
【0023】
[0025]本発明の別の実施形態で、第2段タービンノズルの組立体が提供される。1つの輪の中で互いに隣接して配置される複数のノズルが、エーロフォイルの任意の表面に対して垂直な方向において約-0.067インチ(0.17cm)から+0.101インチ(0.257cm)のエンベロープの範囲内の1つの形状を有するエーロフォイルを有する。エーロフォイルが、表1-1~表1-39に記載されるX、Y、およびZのデカルト座標値に実質的に従う公称の非被覆プロファイルを有し、Zの値は0から1までの無次元値であり、このZの値にインチ単位のエーロフォイルの高さを掛け、その積をタービンノズルの根本の半径に加えることによってインチ単位のZ距離へと変換可能である。X値およびY値はインチ単位の距離であり、滑らかに連なる円弧によって接続される場合、各距離Zでのエーロフォイルプロファイル断面を画定する。次いで、Z距離でのプロファイル断面が互いに滑らかに接合され、完全なエーロフォイル形状を形成する。
【0024】
[0026]本発明のタービンノズル10が、多くの固有の特徴を有するように設計されたエーロフォイル12を有する。より具体的には、タービンノズル10が、空気力学的負荷を最適化することおよび濡れ面積(wetted surface area)を低減することを目的として短縮された翼弦を有するエーロフォイルを有し、それにより必要となる冷却量が低減される。エーロフォイルがまた、エーロフォイルの吸込側の非被覆部分の拡散速度を制御することによりハブの衝撃損を最小にするように最適化されている。エーロフォイルの総圧力損失が、従来のデザインを基準として、エーロフォイルに対しての負荷を大幅に増大させながら、約0.39%低減される。
【0025】
[0027]下記の表1-1~表1-39に与えられる座標値が本明細書で開示されるエーロフォイルのための公称のプロファイルのエンベロープを提供する。
【0026】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【表1-26】
【表1-27】
【表1-28】
【表1-29】
【表1-30】
【表1-31】
【表1-32】
【表1-33】
【表1-34】
【表1-35】
【表1-36】
【表1-37】
【表1-38】
【表1-39】
【0027】
[0028]本発明の好適な実施形態を開示してきたが、当業者であれば、いくつかの変形例が本発明の範囲にあることを認識するであろう。したがって、本発明の真の範囲および内容を決定するためには以下の特許請求の範囲を精読しなければならない。本発明の範囲から逸脱することなく本発明には多くの可能性のある実施形態が作られ得ることから、本明細書に記載されるかまたは添付図面に示されるすべての事項は例示であると解釈され、限定的な意味であると解釈されない、ことを理解されたい。
【0028】
[0029]上記から、本発明が、明白であってその構造に固有のものである他の利点と併せて、本明細書において上に記載されるすべての成果および目的を達成するように良好に適合されるものである、ことが見てとれよう。
【0029】
[0030]特定の特徴および部分的な組み合わせ(subcombination)が有用なものであり、これらが他の特徴および部分的な組み合わせを参照することなく採用されていてもよい、ことが理解されよう。これは特許請求の範囲によって企図され、特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0030】
10 タービンノズル
12 エーロフォイル
14 内径プラットフォーム
16 エーロフォイルの根本
18 外径プラットフォーム
20 エーロフォイルの先端部
22 後縁
30 エーロフォイル断面