(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0011 20190101AFI20231208BHJP
【FI】
F24F1/0011
(21)【出願番号】P 2021510629
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2019014137
(87)【国際公開番号】W WO2020202297
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-04-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智史
(72)【発明者】
【氏名】高木 昌彦
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】水野 治彦
【審判官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/092926(WO,A1)
【文献】特開平8-94160(JP,A)
【文献】特開2015-180847(JP,A)
【文献】特開2016-153703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口と吹出口とを有する外面パネルと、
前記吸入口から前記吹出口へ空気を送る送風機と、
前記吸入口から前記吹出口へ送られる空気と熱交換を行う熱交換器と、
前記外面パネルの前記吸入口と前記吹出口との間から前記熱交換器に延在し、前記吸入口から前記熱交換器までの第1風路と、前記熱交換器から前記吹出口までの第2風路との間に設けられた第1風路壁と、
前記第1風路壁と対向する第2風路壁と、
前記第1風路壁と前記第2風路壁とに接続され、前記第1風路壁及び前記第2風路壁とともに前記第2風路を形成する第3風路壁と、
前記第2風路に配置され、ベーンと、前記ベーンに接続されたシャフトとを有し、前記シャフトが前記第3風路壁に回転自在に支持された風向偏向器と、
前記第2風路において前記熱交換器と前記シャフトとの間に設けられた風速低減部材と
を備え、
前記風速低減部材は、
前記第2風路壁及び前記第3風路壁に接続され、
前記第2風路壁及び前記第3風路壁から突出し、
前記第1風路壁と間隙を空けて配置されており、
前記第2風路における前記風速低減部材と前記シャフトとの間の風速は、前記熱交換器と前記風速低減部材との間の風速よりも遅
く、
前記第2風路壁から前記第1風路壁の方向の前記風速低減部材の寸法は、
前記第2風路壁から前記シャフトまでの寸法よりも長く、
前記第3風路壁から離れる方向において、前記風速低減部材の先端の位置は、
前記シャフトの前記ベーンの側の先端の位置よりも、前記第3風路壁から離れている
空気調和機。
【請求項2】
前記第2風路において前記熱交換器と前記風速低減部材との間に設けられ、前記第1風路壁と前記風速低減部材との間の間隙に向けて、空気を誘導する空気流誘導部材
をさらに備え、
前記空気流誘導部材は、
前記第2風路壁に接続され、
前記第1風路壁と間隙を空けて配置されている
請求項
1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記空気流誘導部材は、
前記第2風路壁から前記第1風路壁に向けて、前記第2風路の下流方向に傾斜した空気流誘導面
を有している
請求項
2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記空気流誘導部材の先端の位置は、前記風速低減部材の先端の位置よりも前記第3風路壁から離れている
請求項
2又は
3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空気流誘導部材は、
前記第2風路壁と一体形成される
請求項
2~
4のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記風速低減部材は、
前記第2風路壁及び前記第3風路壁と一体形成される
請求項1~
5のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風向偏向器を有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、吹出口に風向偏向器が設けられた空気調和機が開示されている。特許文献1では、風向偏向器のベーンの軸方向の両端部分の風上側に案内板が設けられている。案内板は、複数の開口を有し、案内板の風上側で熱交換された空気流の一部を、案内板の開口を介してベーンの端部に誘導する。また、案内板は、案内板の風上側から見て、ベーンの軸方向の両端部分を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、案内板によりベーンに誘導される空気流の量及び流速は、ベーンの両端に設けられたシャフトに近づくにしたがって低減する。したがって、シャフトに誘導された空気流は、吹出口から拡散されずにシャフトの周囲に滞留し、吹出口から拡散されずに吸入口から吸入される。特に、滞留した空気が冷気である場合、空気調和機の吸入口の周囲が冷気により冷却される。したがって、特許文献1の空気調和機においては、シャフトの周囲の空間で滞留した空気が吸入口から吸入されることにより、吸入口の周囲に結露が発生し得るという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、シャフトの周囲の空間での空気流の滞留を抑制することにより、空気調和機での結露の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気調和機は、吸入口と吹出口とを有する外面パネルと、前記吸入口から前記吹出口へ空気を送る送風機と、前記吸入口から前記吹出口へ送られる空気と熱交換を行う熱交換器と、前記外面パネルの前記吸入口と前記吹出口との間から前記熱交換器に延在し、前記吸入口から前記熱交換器までの第1風路と、前記熱交換器から前記吹出口までの第2風路との間に設けられた第1風路壁と、前記第1風路壁と対向する第2風路壁と、前記第1風路壁と前記第2風路壁とに接続され、前記第1風路壁及び前記第2風路壁とともに前記第2風路を形成する第3風路壁と、前記第2風路に配置され、ベーンと、前記ベーンに接続されたシャフトとを有し、前記シャフトが前記第3風路壁に回転自在に支持された風向偏向器と、前記第2風路において前記熱交換器と前記シャフトとの間に設けられた風速低減部材とを備え、前記風速低減部材は、前記第2風路壁及び前記第3風路壁に接続され、前記第2風路壁及び前記第3風路壁から突出し、前記第1風路壁と間隙を空けて配置されており、前記第2風路における前記風速低減部材と前記シャフトとの間の風速は、前記熱交換器と前記風速低減部材との間の風速よりも遅く、前記第2風路壁から前記第1風路壁の方向の前記風速低減部材の寸法は、前記第2風路壁から前記シャフトまでの寸法よりも長く、前記第3風路壁から離れる方向において、前記風速低減部材の先端の位置は、前記シャフトの前記ベーンの側の先端の位置よりも、前記第3風路壁から離れている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気調和機では、第2風路を流れる空気流の一部は、第1風路壁と風速低減部材との間の間隙を介して、シャフトと第1風路壁との間の空間を通過する。シャフトと第1風路壁との間の空間を通過する空気は、シャフトの周囲の空気を誘引して、吹出口から拡散される。したがって、本発明の空気調和機では、シャフトの周囲の空間で滞留した空気が吸入口から吸入されるのを抑制できるため、結露の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和機の室内機の外観構造の一例を概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1の室内機を外面パネルの表面側から見た概略的な平面図である。
【
図3】
図2のA-A断面を概略的に示す断面図である。
【
図4】
図3のB-B断面を示す概略的な断面図である。
【
図5】
図4のC-C断面を示す概略的な断面図である。
【
図6】
図5のD-D断面を示す概略的な断面図である。
【
図7】
図5の断面図に、シャフトの付近の空気の流れを示した概略図である。
【
図8】実施の形態2における
図4のC-C断面を概略的に示した断面図である。
【
図9】
図8のE-E断面を概略的に示した断面図である。
【
図10】
図9の断面図に、シャフトの付近の空気の流れを示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1に係る空気調和機100について説明する。
図1は、実施の形態1に係る空気調和機100の室内機1の外観構造の一例を概略的に示した斜視図である。
図2は、
図1の室内機1を外面パネル2の表面側から見た概略的な平面図である。
図3は、
図2のA-A断面を概略的に示す断面図である。なお、
図1~
図3を含む以下の図面においては、各構成部材の寸法の関係及び形状は、実際のものとは異なる場合がある。また、
図1~
図3を含む以下の図面では、同一の部材若しくは部分又は同一の機能を有する部材若しくは部分には、同一の符号を付すか、又は符号を付すことを省略している。また、室内機1の各構成部材同士の位置関係、例えば、上下、左右、前後等の位置関係は、原則として、室内機1を使用可能な状態に設置したときの位置関係とする。
【0010】
図1及び
図2に示すように、空気調和機100の室内機1は、天井埋込カセット型の室内機1として形成されており、外面パネル2と筐体3とを有している。外面パネル2は、空調対象の室内の天井面に配置され、外面パネル2の表面は、室内機1の意匠面となる。筐体3は、天井裏の空間に配置される。外面パネル2の外郭2aは、ネジ止め又は嵌め込み等により筐体3に固定される。
【0011】
外面パネル2は、外面パネル2の中央部分に、筐体3の内部と連通する吸入口5を有している。また、外面パネル2は、吸入口5の周囲に配置され、筐体3の内部と連通する吹出口7を有している。なお、
図1及び
図2の外面パネル2では、吹出口7は、吸入口5の周囲に別個の4つの吹出口7が配置されているが、吸入口5の周囲の全周にわたって1つの吹出口7が配置されたものでもよい。また、外面パネル2では、吸入口5を挟んで、2つの吹出口7が配置されたものでもよいし、吸入口5の周囲の一部に1つの吹出口7が配置されたものでもよい。
【0012】
図3に示すように、外面パネル2の裏面には、吸入口5の周囲に沿って形成された区画壁10が設けられている。外面パネル2は、区画壁10により、吸入口5と連通する風路と、吹出口7と連通する風路とに区画されている。
【0013】
また、外面パネル2には、吸入口5を覆うグリル11と、グリル11の裏面に配置されたフィルタ13とが設けられている。
【0014】
グリル11は、格子形状の複数の通気口を有している。また、グリル11は、区画壁10に着脱可能に取り付けられる蓋体であり、フィルタ13の交換又は清掃等、室内機1の内部の保守点検のためのサービスパネルとしても機能する。
【0015】
フィルタ13は、吸入口5から吸入された空気から粉塵又は細菌等を除去する多孔性部材である。フィルタ13は、交換又は清掃等を簡易にすべく、グリル11に着脱可能に取り付けられている。
【0016】
また、外面パネル2の外郭2aと区画壁10との間には、吹出口7から吹き出される空気の向きを調整する風向偏向器17が配置されている。風向偏向器17の構造については後述する。
【0017】
筐体3の内部には、ドレンパン30と、熱交換器31と、送風機33と、ベルマウス35とが設けられている。
【0018】
ドレンパン30は、熱交換器31の結露等により生じたドレン水を受ける容器である。
図3に示すように、ドレンパン30は、区画壁10と熱交換器31の間に配置されている。ドレンパン30は、区画壁10の上部に載置されている。また、ドレンパン30は、熱交換器31の下方に配置されている。なお、
図3では、ドレンパン30は、区画壁10と別個の部材として示されているが、区画壁10と一体形成してもよい。
【0019】
熱交換器31は、保有する熱エネルギーの異なる2つの流体間で熱エネルギーの移動及び交換を行う熱伝達機器である。熱交換器31としては、熱交換器31を通過する空気と、熱交換器31の内部を流通する冷媒との間で熱交換を行う空冷式熱交換器が用いられる。例えば、熱交換器31としては、並列に配置された複数の板状フィンと、複数の板状フィンを貫通する伝熱管とを備え、板状フィンの間を通過する空気と、伝熱管を流れる冷媒との間で熱交換を行うフィンアンドチューブ型熱交換器が用いられる。熱交換器31をフィンアンドチューブ型熱交換器とした場合、熱交換器31は、伝熱管がドレンパン30から離れる方向に整列し、かつ、複数のフィンの一端がドレンパン30に載置されるように配置される。熱交換器31は、例えば、筐体3の上壁3aから吊り下げた状態で筐体3に固定される。また、熱交換器31の下部はドレンパン30に載置されている。
【0020】
室内機1の内部は、ドレンパン30と区画壁10とによって、吸入口5から熱交換器31までの風路と、熱交換器31から吹出口7までの風路とに区画される。すなわち、ドレンパン30及び区画壁10は、吸入口5から熱交換器31までの第1風路52と、熱交換器31から吹出口7までの第2風路54との間に設けられ、外面パネル2の吸入口5と吹出口7との間から熱交換器31に延在する風路壁として機能している。以降の説明では、ドレンパン30及び区画壁10を風路壁としての機能を有する構成として扱う場合で、かつ、特に区別する必要がない場合は、ドレンパン30と区画壁10とを有する風路壁を第1風路壁50と称する。
【0021】
また、区画壁10は、第2風路54を介して外面パネル2の外郭2aと対向しており、ドレンパン30は、第2風路54を介して筐体3の側壁3bの一部と対向している。すなわち、外面パネル2の外郭2a及び筐体3の側壁3bの一部は、第1風路壁50に対向する第2風路54の風路壁として機能している。以降の説明では、筐体3の側壁3bの一部及び外郭2aを風路壁としての機能を有する構成として扱う場合で、かつ、特に区別する必要がない場合は、筐体3の側壁3bの一部と外郭2aとを有する風路壁を第2風路壁70と称する。
【0022】
送風機33は、吸入口5から吹出口7へ空気を送る回転機械である。送風機33は、吸入側が、グリル11と対向するように配置され、送風機33のモータ33aの回転軸が、吸入口5の位置する側に向くように配置されている。また、送風機33は、モータ33aの回転軸の周りに、吸入口5から吸い込まれた空気を、熱交換器31に送る複数の翼33bを有している。送風機33としては、例えば多翼型シロッコファン等の遠心ファンが用いられる。
【0023】
ベルマウス35は、吸入口5からの空気を送風機33の吸入側に誘導する気流誘導部材である。ベルマウス35は、例えば、ネジ止め等によりドレンパン30に固定される。
なお、ドレンパン30の第1風路52の側の形状を、吸入口5からの空気を送風機33の吸入側に誘導できる形状とした場合、ベルマウス35は省略できる。
【0024】
室内機1が駆動し、送風機33が回転すると、室内の空気は、送風機33の回転により発生する誘引流により、吸入口5から、第1風路52を介して、熱交換器31に送られる。熱交換器31において、熱交換器31を通過する空気は、熱交換器31の内部を流れる冷媒と熱交換される。熱交換器31で熱交換された空気は、送風機33の回転により発生する誘引流により、第2風路54を介して吹出口7から室内に吹き出される。
【0025】
次に、風向偏向器17の構造について、
図4~
図6を用いて説明する。
図4は、
図3のB-B断面を示す概略的な断面図である。
図5は、
図4のC-C断面を示す概略的な断面図である。
図6は、
図5のD-D断面を示す概略的な断面図である。
【0026】
図4に示すように、風向偏向器17は、第1風路壁50と第2風路壁70との間、すなわち、第2風路54に配置されている。室内機1は、風向偏向器17を備えることにより、吹出口7から吹き出される空気の向きを調整できる。
【0027】
風向偏向器17は、ベーン17aと、ベーン17aに設けられたシャフト17bとを有している。ベーン17aとしては、例えば、曲面形状の板状部材が用いられる。また、
図4の風向偏向器17は、ベーン17aとシャフト17bとの間を接続する板状のアーム17cを有している。なお、風向偏向器17は、ベーン17aとシャフト17bとを直接接続し、アーム17cを省略したものでもよい。
【0028】
図4に示すように、シャフト17bは、第2風路54に沿って設けられ、第1風路壁50と第2風路壁70とに接続された第3風路壁90に回転自在に支持されている。すなわち、第3風路壁90は、シャフト17bの軸受として機能するものであり、第2風路54を介して対となる位置に設けられている。なお、
図4では、第3風路壁90は、第1風路壁50と第2風路壁70とに直接連結されているが、第1風路壁50又は第2風路壁70の間に、別の風路壁を介して接続されていてもよい。
【0029】
なお、
図4においては、O字形状に屈曲した熱交換器31の一部が例示されているが、4つの平板状の熱交換器31をO字形状に配置したものでもよい。
【0030】
図5及び
図6に示すように、第2風路54において熱交換器31とシャフト17bとの間に、風速低減部材56が設けられている。風速低減部材56は、第2風路壁70及び第3風路壁90に接続され、第2風路壁70及び第3風路壁90から突出している。風速低減部材56は、第2風路壁70及び第3風路壁90と一体形成することができる。風速低減部材56を第2風路壁70及び第3風路壁90と一体形成することにより、室内機1の製造時に、風速低減部材56を取り付ける工程が不要となるため、室内機1の製造工数を低減できる。
【0031】
また、
図5に示すように、風速低減部材56は、第1風路壁50と間隙を空けて配置されている。また、第2風路壁70から第1風路壁50の方向の風速低減部材56の寸法は、第2風路壁70からシャフト17bまでの寸法よりも長い。
図6に示すように、第3風路壁90から離れる方向において、風速低減部材56の先端56aの位置は、シャフト17bのベーン17a側の先端17b1の位置よりも、第3風路壁90から離れている。
【0032】
図7は、
図5の断面図に、シャフト17bの付近の空気の流れを示した概略図である。実線の矢印S1及びS2は、熱交換器31と風速低減部材56との間の空気流を概略的に示している。点線の矢印S11及びS12は、風速低減部材56とシャフト17bとの間を流れる空気流を概略的に示している。また、実線の矢印S3は、風速低減部材56と第1風路壁50との間を通過する空気流を概略的に示している。
【0033】
実施の形態1では、第2風路54において熱交換器31とシャフト17bとの間に風速低減部材56が設けられている。風速低減部材56は、第2風路壁70及び第3風路壁90に接続されている。第2風路壁70から第1風路壁50の方向の風速低減部材56の寸法は、第2風路壁70からシャフト17bまでの寸法よりも長い。また、第3風路壁90から離れる方向において、風速低減部材56の先端56aの位置は、シャフト17bのベーン17a側の先端17b1の位置よりも離れている。すなわち、実施の形態1では、空気流の上流側から見て、シャフト17bは、風速低減部材56により覆われている。
【0034】
実線の矢印S1及びS2に示されたシャフト17bに向かう空気流の風速は、風速低減部材56により低減される。したがって、室内機1が室内に冷気を供給する冷房運転を行う場合、シャフト17bに直接冷気が到達することを抑制できる。
【0035】
シャフト17bに直接冷気が到達する場合、シャフト17bの周辺の風速が大きくなるため、シャフト17bの付近の気流が剥離して負圧となる。シャフト17bの付近が負圧になると、高温高湿度の室内空気がシャフト17bの付近に吸い込まれるため、シャフト17bの下流側に結露が発生する。
【0036】
したがって、シャフト17bの全体が空気流から遮蔽されることにより、シャフト17bの付近が負圧になるのを防止できるため、シャフト17bの下流側に結露が発生するのを抑制できる。
【0037】
また、風速低減部材56と第1風路壁50との間を通過する空気流の一部は、点線の矢印S11及びS12に示すように、風速低減部材56とシャフト17bとの間を流れる。一方、風速低減部材56を設けたことにより、風速低減部材56とシャフト17bとの間の風速は、熱交換器31と風速低減部材56との間の風速よりも小さくなる。
【0038】
実施の形態1では、風速低減部材56は、第1風路壁50と間隙を空けて配置されている。したがって、実線の矢印S3で示されるように、熱交換器31と風速低減部材56との間を流れる空気流の一部は、風速を落とすことなく、風速低減部材56と第1風路壁50との間の間隙を通過する。
【0039】
点線の矢印S11及びS12で示される、風速低減部材56とシャフト17bとの間を流れる流速の遅い空気流は、実線の矢印S3で示される、風速低減部材56と第1風路壁50との間を通過する空気流により誘引され、吹出口7から拡散される。すなわち、点線の矢印S11及びS12に示されたシャフト17bの付近を流れる流速の小さい空気流は、シャフト17bの付近に滞留することなく吹出口7から拡散される。したがって、シャフト17bの周囲に滞留した空気流が、吹出口7から拡散されず、送風機33の誘引流により吸入口5から再吸入される、いわゆるショートサイクルが発生することを抑制できる。特に、ショートサイクルの発生を抑制することにより、空気流が冷気である場合に、室内機1の吸入口5の周囲が冷気により冷却され、吸入口5の周囲に結露が発生することを抑制できる。
【0040】
以上のことから、実施の形態1では、シャフト17bの下流側での結露の発生と、シャフト17bの周囲の空間での空気流の滞留を抑制できるため、外面パネル2での結露の発生を防止することができる。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態2について、
図8及び
図9を用いて説明する。
図8は、実施の形態2における
図4のC-C断面を概略的に示した断面図である。
図9は、
図8のE-E断面を概略的に示した断面図である。なお、
図1~3で示した室内機1の構造は、実施の形態2においても同一であるため説明は省略する。以降の説明は、上述の実施の形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0042】
図8及び
図9に示すように、実施の形態2では、空気流誘導部材58が風速低減部材56の上流側に設けられている。空気流誘導部材58は、第2風路壁70に接続されている。空気流誘導部材58は、第2風路壁70と一体形成できる。空気流誘導部材58を第2風路壁70と一体形成することにより、室内機1の製造時に、空気流誘導部材58を取り付ける工程が不要となるため、室内機1の製造工数を低減できる。
【0043】
図8に示すように、空気流誘導部材58は、第1風路壁50と間隙を空けて配置されている。また、
図8に示すように、空気流誘導部材58は、第2風路壁70から第1風路壁50に向けて、第2風路54の下流方向に傾斜した空気流誘導面58aを有している。また、
図9に示すように、第3風路壁90から離れる方向において、空気流誘導部材58の先端58bの位置は、風速低減部材56の先端56aの位置よりも第3風路壁90から離れている。
【0044】
図10は、
図8の断面図に、シャフト17bの付近の空気の流れを示した概略図である。実線の矢印S4は、風速低減部材56及びに到達する前の空気流を概略的に示し、点線の矢印S41は、風速低減部材56に到達した後の空気流を概略的に示している。また、実線の矢印S5及びS6は、風速低減部材56と第1風路壁50との間を通過する空気流を概略的に示している。
【0045】
実施の形態2では、空気流誘導部材58が風速低減部材56の上流側に設けられており、空気流誘導部材58は、第2風路壁70に接続されている。また、空気流誘導部材58の先端58bの位置は、風速低減部材56の先端56aの位置よりも第3風路壁90から離れている。すなわち、実施の形態2では、空気流誘導部材58により、シャフト17bの全体が空気流から更に遮蔽されており、実線の矢印S4及びS5に示されるように、シャフト17bに向かう空気の流れは、空気流誘導部材58により更に低減される。したがって、例えば、室内機1が室内に冷気を供給する冷房運転を行う場合、シャフト17bに直接冷気が到達することを更に抑制できる。
【0046】
また、実施の形態2では、空気流誘導部材58が第1風路壁50と間隙を空けて配置されていることにより、第1風路壁50と風速低減部材56との間の間隙に向けて空気を誘導することができる。特に、空気流誘導面58aを空気流誘導部材58に設けた場合、実線の矢印S5及びS6に示されるように、第1風路壁50と風速低減部材56との間を流れる空気流を増加させることができる。したがって、したがって、点線の矢印S41に示されたシャフト17bの付近を流れる流速の遅い空気流は、シャフト17bの付近に滞留することなく、吹出口7からより確実に拡散される。
【0047】
以上のことから、実施の形態2の空気流誘導部材58を設けることにより、シャフト17bの下流側での結露の発生と、シャフト17bの周囲の空間での空気流の滞留を更に抑制できるため、外面パネル2での結露の発生を更に防止することができる。
【0048】
その他の実施の形態.
本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、上述の実施の形態では、室内機1を有するセパレート型の空気調和機100を一例に挙げて説明したが、吸入口5と吹出口7とが隣接する位置にある場合は、他の形態の空気調和機100においても同様に、上述の実施の形態の構成が適用できる。例えば、上述の実施の形態の構成は、一体型の天井埋込カセット型の空気調和機100であっても同様に適用可能である。また、上述の実施の形態の構成は、一体型又はセパレート型を問わず、床置型又は壁掛型の空気調和機100であっても、同様に適用可能である。
【0049】
また、第1風路壁50は、外面パネル2の吸入口5と吹出口7との間から熱交換器31に延在する風路壁であればよく、ドレンパン30と区画壁10とを有する風路壁には限定されない。また、第2風路壁70は、第2風路54を介して第1風路壁50と対向する風路壁であれば、外面パネル2の外郭2a又は筐体3の一部とは別に設けられた風路壁であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 室内機、2 外面パネル、2a 外郭、3 筐体、3a 上壁、3b 側壁、5 吸入口、7 吹出口、10 区画壁、11 グリル、13 フィルタ、17 風向偏向器、17a ベーン、17b シャフト、17b1 先端、17c アーム、30 ドレンパン、31 熱交換器、33 送風機、33a モータ、33b 翼、35 ベルマウス、50 第1風路壁、52 第1風路、54 第2風路、56 風速低減部材、56a 先端、58 空気流誘導部材、58a 空気流誘導面、58b 先端、70 第2風路壁、90 第3風路壁、100 空気調和機。