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特許7399163バッテリーパック、およびバッテリーパックを製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】バッテリーパック、およびバッテリーパックを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20231208BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231208BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20231208BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20231208BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20231208BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231208BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20231208BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/6557
H01M10/643
H01M10/658
H01M10/625
H01M10/615
【請求項の数】 50
(21)【出願番号】P 2021523965
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019078461
(87)【国際公開番号】W WO2020094365
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】1818053.9
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521186421
【氏名又は名称】ゼロテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】フラナリー、バリー
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0131055(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0230760(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0023056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6568
H01M 10/613
H01M 10/6557
H01M 10/643
H01M 10/658
H01M 10/625
H01M 10/615
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のセル、
可撓性および可膨張性ダクトであって、前記ダクトと前記1つまたは複数のセルの少なくとも1つとの間で熱が交換され得るように前記1つまたは複数のセルの少なくとも1つの表面に近接して位置決めされている可撓性および可膨張性ダクト、
および前記ダクトの少なくとも一部に対する支持体として作用するように構成されているポッティング手段を含み、
使用時に前記ダクトの形状が、前記1つまたは複数のセルの表面形状に部分的に追従するように、流体が前記ダクトに挿入されることを特徴とする、
バッテリーパック。
【請求項2】
前記ダクトは複数のダクトであることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記ダクトまたは各ダクトは、可膨拡性ダクトである、請求項1または2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々は、1つまたは複数の実質的に直線状の区画を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々は、蛇行ダクトであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記1つまたは複数のセルは複数のセルのアレイであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記セルまたは各セルは、円柱型セルであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々は、1つもしくは複数のセルの間におよび/または1つもしくは複数のセルに隣接して位置決めされていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々は、前記1つまたは複数のセルの側面と直接的に熱接触していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々は、前記1つまたは複数のセルの側面と、インターフェース領域またはインターフェース材料を介して間接的に熱接触していることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々は、冷却剤材料が前記ダクトを通って流動できるように開口形状を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々は、前記ダクトまたは前記ダクトの各々内の加圧冷却剤流体により、および/または前記ポッティング手段との接着により、前記開口形状に維持されることを特徴とする、請求項11に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記ポッティング手段は、発泡体を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記ポッティング手段は、断熱発泡体を含むことを特徴とする、請求項13に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記ポッティング手段は、膨化性、膨拡性、および/またはポリウレタン発泡体を含むことを特徴とする、請求項13または請求項14に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記ポッティング手段は、熱硬化性プラスチック、シリコーンゴムゲル、またはエポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項17】
前記ポッティング手段は、少なくとも1つのダクトの少なくとも一部に対する硬性支持体として作用することを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項18】
前記ポッティング手段は、前記セルおよび前記ダクトを前記バッテリーパック内の適所に固定することを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項19】
前記ポッティング手段は、少なくとも1つのダクトの少なくとも一部が中に配置される空洞を画成することを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項20】
前記ポッティング手段は、1つまたは複数のダクトの少なくとも一部に接着剤で取り付けられていることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項21】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々は、可膨張性プラスチック材料で形成されていることを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項22】
前記可膨張性プラスチック材料は、ポリエステル、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、または高密度ポリエチレン(HDPE)であることを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項23】
前記ダクトは、単一管腔ダクトであることを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項24】
前記ダクトは、多管腔ダクトであることを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項25】
少なくとも1つのダクトに対して支持を提供するように構成されている少なくとも1つの支持手段を含むことを特徴とする、請求項1~24のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項26】
前記支持手段または各支持手段は、前記ダクトが方向を変えるおよび/または反転させる地点でダクトに対して支持を提供するように構成されていることを特徴とする、請求項25に記載のバッテリーパック。
【請求項27】
前記支持手段または各支持手段は、ガイドチャネルを含むことを特徴とする、請求項2または請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項28】
熱管理システムに作動可能に接続されていることを特徴とする、請求項1~27のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項29】
バッテリーパックを製造するための方法であって、
1つまたは複数のセルを準備するステップ、
可撓性および可膨張性ダクトを、前記ダクトと前記1つまたは複数のセルの少なくとも1つとの間で熱が交換され得るように前記1つまたは複数のセルの前記少なくとも1つの表面に近接して位置決めするステップ、
流体を、前記ダクトの形状が前記1つまたは複数のセルの表面形状に部分的に追従するように、前記ダクトに挿入するステップ、
および前記ダクトの少なくとも一部に対する支持体として作用するように構成されるポッティング手段を提供するステップ、を含む、
方法。
【請求項30】
前記1つまたは複数のセルは複数のセルのアレイであることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つまたは複数のセルをバッテリーパックハウジングに配置するステップを含むことを特徴とする、請求項29または請求項30に記載の方法。
【請求項32】
1つまたは複数のさらなるダクトを、前記さらなるダクトまたは各さらなるダクトと1つまたは複数のセルの少なくとも1つとの間で熱が交換され得るように前記1つまたは複数のセルの表面に近接して位置決めするステップを含むことを特徴とする、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々を、セルに隣接するおよび/またはセルの間の位置に位置決めするステップを含むことを特徴とする、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々を、前記バッテリーパック内の蛇行経路に沿って位置決めするステップを含むことを特徴とする、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々を、前記ダクトまたは前記ダクトの各々が未膨張状態にある際に、前記1つまたは複数のセルの少なくとも1つの表面に近接して位置決めするステップを含むことを特徴とする、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ダクトの少なくとも部分を、前記ダクトの少なくとも一部分に対して支持を提供するための支持手段内に配置するステップを含むことを特徴とする、請求項29~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ダクトの一部分を、前記ダクトが未膨張状態にある際に、前記支持手段の凹部内に配置するステップを含むことを特徴とする、請求項29~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々に流体を挿入するステップは、前記ダクトが開口形状へと膨拡することを引き起こすことを特徴とする、請求項29~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ポッティング手段を前記バッテリーパックに挿入するステップを含むことを特徴とする、請求項29~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ポッティング手段を、前記ポッティング手段が粘性状態または液体状態にある間に、前記バッテリーパックに挿入するステップを含むことを特徴とする、請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記ポッティング手段を前記バッテリーパックに挿入する前に、前記ダクトまたは前記ダクトの各々に流体を挿入するステップを含むことを特徴とする、請求項29~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記ポッティング手段を前記バッテリーパックに挿入する前に、前記ダクトまたは前記ダクトの各々を加圧および/または膨張させるステップを含むことを特徴とする、請求項29~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
可膨拡性ポッティング手段を前記バッテリーパックに注入するステップを含むことを特徴とする、請求項29~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
発泡体を前記バッテリーパックに挿入するステップを含むことを特徴とする、請求項29~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
膨化性またはポリウレタン発泡体を前記バッテリーパックに挿入するステップを含むことを特徴とする、請求項29~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
熱硬化性プラスチック、シリコーンゴムゲル、またはエポキシ樹脂を前記バッテリーパックに挿入するステップを含むことを特徴とする、請求項29~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記ポッティング手段を前記バッテリーパック内で硬化または固化させるステップを含むことを特徴とする、請求項29~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記ダクトまたは前記ダクトの各々が膨張状態および/または開口形状にある間に、前記ポッティング手段を前記バッテリーパック内で硬化または固化させるステップを含むことを特徴とする、請求項29~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記ポッティング手段が固まるかまたは固化されるまで、前記ダクト内の圧力を維持するステップを含むことを特徴とする、請求項29~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記ポッティング手段との接着により、前記ダクトまたは前記ダクトの各々を、前記バッテリーパック内で開口形状に維持するステップを含むことを特徴とする、請求項29~49のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック及びその製造方法に関し、特に、熱管理システムを有する車両用バッテリーパックに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代バッテリーパック、特に、車両応用のためのリチウムイオンバッテリーパックの重要な要件は、重量エネルギー密度および体積エネルギー密度の向上、サイクル寿命の向上、および急速充電である。重量エネルギー密度および体積エネルギー密度は、セル電気化学および化学工学の進歩により大きく向上している。しかしながら、バッテリーパックの機械設計の向上は、パックの全体的な重量およびサイズにもかなりの影響を与える。バッテリーパックの機械設計は、主に熱管理システムを介してサイクル寿命および急速充電能力に影響を及ぼす。熱管理システムを使用することにより、パック内の温度変動を最小限に抑えて、最終的にはサイクル寿命の低減をもたらすことになるセル経年劣化差異を防止できる。さらに、セル寿命を最大化するには、バッテリーパック全体にわたって25℃の比較的一定の温度を維持することが重要である。急速充電中に後者を維持するのは、パック内の発熱が大きいため、特に困難である。
【0003】
最先端バッテリーパックの熱管理システムは、典型的には、ダクト形態の熱交換器を含む。ダクトは、個々のセルを冷却または加温するために冷却剤材料がそれを通ってパックを通過できる導管を提供する。可撓性ダクトは、軽量であり、加圧状態または膨張状態にある場合、セルの形状に緊密に追従できるため、特に有用である。しかしながら、可撓性ダクトを使用する場合の重大な欠点は、可撓性ダクトが破裂し易いことであり、ダクト内に圧力が蓄積すると、ダクト壁が伸長して薄くなり、壁強度の低減が引き起こされ、パック内の冷却剤漏れに結び付く可能性がある。破裂のリスクは、ダクトの壁厚を増加させることにより軽減できるが、そうすることにより、ダクトの熱抵抗およびしたがって熱管理システムの非有効性も増加する。
【0004】
最先端のバッテリーパックのさらなる問題は、発火し易いことである。セルが高温に曝された場合、短絡が発生した場合、および/またはセルの内部構造が損傷した場合、バッテリーパック内の発火リスクが増加する。例えば、セル内のリチウムメッキおよび/または結晶形成は、内部セル誘電体膜を穿孔する場合があり、セルの壊滅的な短絡および爆発をもたらす可能性がある。このような事象がパック全体に拡散すると、セルすべての発火がもたらされる場合がある。バッテリーパック内の局所的領域から過剰な熱が拡散することを阻止または低減するための方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記で概説した問題を回避または軽減することである。特に、本発明の目的は、ダクトの破裂リスクが低減された熱管理システムで使用するための薄くて可撓性のダクトを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、本質的に難燃性であるバッテリーパックを提供することである。
【0007】
本発明のまたさらなる目的は、1つまたは複数のセルと良好に熱接触する熱管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によると、1つまたは複数のセル、1つまたは複数のセルの少なくとも1つの表面に近接して位置決めされた可撓性ダクトであって、ダクトと1つまたは複数のセルの少なくとも1つとの間で熱が交換され得る可撓性ダクト、およびダクトの少なくとも一部の支持体として作用するように構成されているポッティング手段を含むバッテリーパックが提供される。有利なことに、可撓性ダクトは、パック内のセルの表面形状に緊密に追従できると共に、可撓性ダクトの過度な膨張および/または破裂を防止するように作用するポッティング手段により補強されている。
【0009】
任意選択で、バッテリーパックは、複数のダクトを含む。
【0010】
好ましくは、1つまたは複数のダクトは、蛇行ダクトである。
【0011】
任意選択で、1つまたは複数のダクトは、マニホールドダクトである。
【0012】
任意選択で、バッテリーパックは、1つまたは複数の実質的に直線状のダクトを含む。
【0013】
任意選択で、バッテリーパックは、1つまたは複数の平行ダクトを含む。
【0014】
好ましくは、上記ダクトまたは各ダクトは、1つまたは複数の実質的に直線状の区画を含む。
【0015】
好ましくは、上記ダクトまたは各ダクトは、冷却剤流体を運搬するように構成されている。
【0016】
好ましくは、上記ダクトまたは各ダクトは、水-グリコール混合物を運搬するように構成されている。
【0017】
好ましくは、上記ダクトまたは各ダクトは、冷却剤流体により加圧されて膨張状態にある。
【0018】
好ましくは、上記ダクトまたは各ダクトは、膨張状態にある場合、1つまたは複数のセルの表面に追従する。有利なことに、その形状がセルの形状に追従するように可撓性ダクトを膨張させることにより、上記ダクトまたは各ダクトとセルとの間の熱接触が向上し、冷却剤流体は、冷却剤流体とセルとの間で熱エネルギーをより効率的に伝達できる。
【0019】
好ましくは、上記ダクトまたは各ダクトの形状は、1つまたは複数のセルの表面の少なくとも一部に部分的に追従する。
【0020】
好ましくは、セルは円柱型セルである。有利なことに、可撓性ダクトは、ダクトが膨拡して円柱型セルの波状表面に追従し、セルとダクトとの間の良好な熱接触を保証することができるため、円柱型セルでの使用に良好に好適である。
【0021】
好ましくは、バッテリーパックは、セルのアレイを含む。
【0022】
好ましくは、セルのアレイは、最密充填構成である。
【0023】
好ましくは、セル間の最小離間は、0.5~5mmである。
【0024】
好ましくは、セル間の最小離間は、2mmである。
【0025】
好ましくは、可撓性ダクトは、1つまたは複数のセルに隣接して位置決めされている。
【0026】
好ましくは、可撓性ダクトは、セル間に位置決めされている。
【0027】
好ましくは、可撓性ダクトは、1つまたは複数のセルの側面と直接的に接触する。
【0028】
好ましくは、可撓性ダクトは、インターフェース領域またはインターフェース材料を介して、1つまたは複数のセルの側面と間接的に接触する。
【0029】
好ましくは、可撓性ダクトは、セルを取り囲むケーシングシースを介して、1つまたは複数のセルの側面と間接的に接触する。
【0030】
好ましくは、可撓性ダクトは、伝導性ペーストまたは接着剤などの熱伝導性フィラー材料を介して、1つまたは複数のセルの側面と間接的に接触する。
【0031】
理想的には、可撓性ダクトは、ポリマーベースの材料で形成されている。
【0032】
好ましくは、可撓性ダクトは、可膨張性プラスチック材料で形成されている。可膨張性プラスチック材料は、本来的に電気絶縁性であり、軽量であり、グリコール水混合物などの冷却剤で腐食しないかまたは化学的に相互作用しないため、有利である。
【0033】
理想的には、可膨張性プラスチック材料は、低密度ポリエチレン(LDPE)である。
【0034】
理想的には、可膨張性プラスチック材料は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。
【0035】
理想的には、可膨張性プラスチック材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)である。
【0036】
理想的には、可膨張性プラスチック材料は、ポリエステルである。
【0037】
理想的には、可撓性ダクトの壁は、10μm~150μmの厚さである。
【0038】
有利なことに、可膨張性プラスチック材料は非常に薄く製作でき、それにより上記ダクトまたは各ダクトとセルとの間の良好な熱伝達特性が可能になる。
【0039】
好ましくは、可撓性ダクトは、単一管腔ダクトである。
【0040】
任意選択で、可撓性ダクトは、多管腔ダクトである。多管腔ダクトは、単一管腔ダクトでは均等な温度分布を促進することが可能でない大型バッテリーパックに使用してもよい。
【0041】
理想的には、多管腔ダクトは、2つ以上の管腔を含み、冷却剤流体は管腔に沿って流動し得る。
【0042】
好ましくは、バッテリーパックは、バッテリーパックハウジングを含む。
【0043】
好ましくは、バッテリーパックは、下部クラムシェルを含む。
【0044】
好ましくは、バッテリーパックは、上部クラムシェルを含む。
【0045】
好ましくは、下部クラムシェルおよび/または上部クラムシェルは、セルを受け入れて保持するための1つまたは複数の凹部を含む。
【0046】
好ましくは、下部クラムシェルおよび/または上部クラムシェルは、セルに対する電気的接続部を受け入れるための1つまたは複数の開口部を含む。
【0047】
好ましくは、上部クラムシェルおよび/または下部クラムシェルには1つまたは複数のバスバーが設けられている。
【0048】
好ましくは、上部クラムシェルおよび/または下部クラムシェルは、セルをバスバーと電気的に接続するための1つまたは複数の開口部を含む。
【0049】
好ましくは、バッテリーパックは、1つまたは複数の側壁を含む。
【0050】
好ましくは、1つまたは複数の側壁は、下部クラムシェルに取り付けられている。
【0051】
好ましくは、1つまたは複数の側壁は、上部クラムシェルに取り付けられている。
【0052】
好ましくは、バッテリーパックは、流体入口手段を含む。
【0053】
好ましくは、流体入口手段は、上記ダクトまたは各ダクトへの流体進入口を提供する。
【0054】
好ましくは、流体入口手段は、入口ノズルを含む。
【0055】
好ましくは、バッテリーパックは、流体出口手段を含む。
【0056】
好ましくは、流体出口手段は、出口ノズルを含む。
【0057】
好ましくは、流体出口手段は、上記ダクトまたは各ダクトからの流体排出口を提供する。
【0058】
好ましくは、流体入口手段および/または流体出口手段は、側壁の開口部を通り抜ける。
【0059】
好ましくは、バッテリーパックは、さらなるセル間に位置決めされている少なくとも1つのさらなる可撓性ダクトを含む。
【0060】
好ましくは、ポッティング手段は、ポッティング材料を含む。
【0061】
理想的には、ポッティング手段は、発泡体を含む。有利なことに、発泡体は他のポッティング材料よりも軽量であり、したがって、他のポッティング材料と比較してパックの全体的な重量が低減される。
【0062】
任意選択で、ポッティング手段は、熱硬化性プラスチック、シリコーンゴムゲル、またはエポキシ樹脂を含む。
【0063】
理想的には、ポッティング手段は、断熱発泡体を含む。有益なことに、断熱発泡体は、バッテリーパック全体にわたって伝播する高エネルギー熱事象を防止できる。さらに、断熱発泡体は、バッテリーパックに対する外部温度変動の影響を低減でき、ダクトが、バッテリーパック内の熱エネルギーの主要な制御器であることの保証を支援する。
【0064】
理想的には、ポッティング手段は、膨拡された発泡体を含む。有利なことに、バッテリーパック内での可膨拡性発泡体の使用は、発泡体が、膨拡状態になるとバッテリーパック内のあらゆる隙間を実質的に満たし得ることを意味する。発泡体の断熱特性と相まって、熱事象がパックを伝わる能力は、著しく低減される。
【0065】
理想的には、ポッティング手段は、膨化性発泡体を含む。
【0066】
理想的には、ポッティング手段は、ポリウレタン発泡体である。
【0067】
理想的には、ポッティング手段は、少なくとも1つのダクトの少なくとも一部の支持体として作用する。
【0068】
理想的には、ポッティング手段は、少なくとも1つのダクトの少なくとも一部の硬性支持体として作用する。
【0069】
理想的には、ポッティング手段は、液体状態でパックへと注いで、パック内で固めるか、硬化させるか、または固化できる。
【0070】
理想的には、ポッティング手段は、その固まった、硬化された、または固化された状態では、実質的に硬性であり、セルおよびダクトをバッテリーパック内の適所に固定する。これは、バッテリーパック内の部品に対する振動の影響を低減するため有利である。
【0071】
好ましくは、ポッティング手段は、少なくとも1つのダクトの少なくとも一部を取り囲む。
【0072】
好ましくは、ポッティング手段は、ダクトを取り囲み、少なくとも1つのダクトに対して完全な外部支持を提供する。有利なことに、ダクトをポッティング材料で取り囲むことにより、ダクトの過度な膨拡および/または破裂が防止される。
【0073】
好ましくは、ポッティング手段は、少なくとも1つのダクトの少なくとも一部が中に配置される空洞を画成する。
【0074】
好ましくは、バッテリーパックハウジング内の容積は、セル、支持構造、ダクト、およびポッティング手段で実質的に満たされている。有利なことに、バッテリーパックを実質的に満たすことにより、湿気および/または腐食剤がバッテリーパック内の空間から確実に排除される。
【0075】
好ましくは、ポッティング手段は、接着剤として作用する。
【0076】
好ましくは、ポッティング手段は、上記ダクトまたは各ダクトを適所に固定する接着剤として作用する。
【0077】
好ましくは、上記ダクトまたは各ダクトは、冷却剤材料がダクトを流動できるように開口構成を有する。
【0078】
好ましくは、上記ダクトまたは各ダクトは、上記ダクトまたは各ダクト内の加圧冷却剤流体により、および/またはポッティング手段との接着により、開口構成に維持される。
【0079】
好ましくは、ポッティング手段は、1つまたは複数のダクトを開口構成に維持するための接着剤として作用する。
【0080】
好ましくは、ポッティング手段は、1つまたは複数のダクトの少なくとも一部に接着剤で取り付けられている。
【0081】
好ましくは、ポッティング手段は、セルを適所に固定するための接着剤として作用する。
【0082】
好ましくは、ポッティング手段は、外側ケーシングをバッテリーパックに固定するための接着剤として作用する。これには、追加の固定具または留め具の必要がなくなるという利益があり、バッテリーパックの複雑さが低減され、製造プロセスが向上する。
【0083】
好ましくは、バッテリーパックは、少なくとも1つのダクトに対して支持を提供するように構成されている少なくとも1つの支持手段を含む。
【0084】
好ましくは、上記支持手段または各支持手段は、下部クラムシェルに配置可能である。
【0085】
好ましくは、1つまたは複数の支持手段は、セルのアレイの周縁部に配置されている。
【0086】
好ましくは、上記支持手段または各支持手段は、ダクトが方向を変えるおよび/または反転させる地点においてダクトに支持を提供するように構成されている。有利なことに、支持手段は、ダクトが方向を反転させる地点においてダクトが捻れることを防止する。捻れの防止は、システム内の閉塞を低減し、システム内の圧力損失を低減し、ダクトを通る冷却剤流体の流速を向上させる。
【0087】
好ましくは、上記支持手段または各支持手段は、ガイドチャネルを含む。
【0088】
理想的には、ガイドチャネルは、可撓性ダクトをガイドするように構成されている。
【0089】
好ましくは、可撓性ダクトの少なくとも一部は、支持手段チャネル内に配置されている。ダクトをチャネル内に配置することは、チャネルが、ダクトの方向を反転させる地点においてダクトをガイドし、したがって捻れを防止するため有利である。さらに、チャネルはダクトを両側で支持し、それによりダクトの膨らみおよび破裂の可能性が防止される。
【0090】
好ましくは、支持手段は、ダクトにたるみが生じるように未膨張状態のダクトを部分的に受け入れるように構成された少なくとも1つの凹部を含む。有利なことに、ダクトに余分なたるみを提供することにより、ダクトが膨張した際のダクト捻れの防止が支援される。これは、ダクトが膨張すると張力がかかり、余分なたるみは、ダクトにおける過剰な張力の蓄積防止が支援されるためである。
【0091】
好ましくは、支持手段は、少なくとも1つのセルとダクトとの間に熱障壁を提供するように構成されている。これは、バッテリーの寿命を延長するためには、バッテリーパックにわたる温度分布を一定に維持することが重要であるため、有益である。ダクトとセルとの間の熱接触が過剰になると考えられる位置にてセルを断熱することにより、ダクトとセルとの間の熱接触は、バッテリーパック全体にわたって実質的に一定に保たれる。これは、次いで、バッテリーパックにわたる一定の温度分布を促進する。
【0092】
好ましくは、バッテリーパックは、熱管理システムに作動可能に接続されている。
【0093】
好ましくは、熱管理システムは、リザーバを含む。
【0094】
好ましくは、リザーバは、冷却剤ループと流体連通している。
【0095】
理想的には、リザーバは、冷却剤流体を含む。
【0096】
好ましくは、リザーバは、冷却剤ループの冷却剤流体に静水圧を提供する。
【0097】
好ましくは、熱管理システムは、冷却剤をリザーバから冷却剤ループへと圧送して冷却剤ループを加圧するように構成されているポンプを含む。有利なことに、リザーバの冷却剤流体を使用して、熱管理システムを加圧できる。有益なことに、これにより、圧力が目標作動圧力に維持されるように熱管理システム内の圧力を維持することが可能になる。リザーバを介してダクトを加圧することによりダクトが自立するため、ポンプからの流体力学的圧力損失がいずれも排除され、冷却システム内の圧力低下が大幅に低減される。
【0098】
理想的には、熱管理システムは、目標作動圧力が維持されるように冷却剤の圧力をモニターするための圧力センサを含む。
【0099】
好ましくは、ダクト材料は、マトリックスおよびフィラーを含む。理想的には、フィラーの熱伝導率は、マトリックスの熱伝導率よりも大きい。有利なことに、マトリックス内にフィラーを含めることにより、ダクト材料の熱伝導率が増加する。
【0100】
好ましくは、マトリックスは、可撓性マトリックスである。
【0101】
好ましくは、マトリックスは、電気的に絶縁性である。
【0102】
好ましくは、マトリックスは、プラスチックマトリックスである。
【0103】
好ましくは、マトリックスは、ポリマーマトリックスである。
【0104】
好ましくは、マトリクスは、低密度ポリエチレン(LDPE)マトリクス、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)マトリクス、高密度ポリエチレン(HDPE)マトリクス、ポリエステル、シリコーン、またはゴムマトリクスである。
【0105】
好ましくは、マトリックスは、15Wm-1-1未満、10Wm-1-1未満、5Wm-1-1未満、および/または1Wm-1-1未満の熱伝導率を有する。
【0106】
好ましくは、フィラーは、フィラー材料の粒子を含む。
【0107】
このましくは、フィラー材料の粒子は、マトリックス全体にわたって分散している。
【0108】
好ましくは、フィラー材料の粒子は、1nm~10μmの平均直径を有する。
【0109】
好ましくは、フィラー材料の粒子は、細長い管状の繊維または実質的に球体の形状を有する。
【0110】
好ましくは、フィラー材料の細長い粒子は、1~10nmの直径、および任意選択で0.5~5nmの長さを有する。
【0111】
好ましくは、フィラーは、有機フィラー材料を含む。好ましくは、フィラーは、炭素、カーボンブラック、グラファイト、グラファイトプレートレット、グラフェン、多層カーボンナノチューブ、または単層カーボンナノチューブなどの、炭素ベースのフィラー材料を含む。
【0112】
任意選択で、フィラーは、無機フィラー材料を含む。任意選択で、フィラーは、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、硝酸ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、または酸化亜鉛などの、セラミックフィラー材料を含む。
【0113】
好ましくは、フィラーは、10Wm-1-1よりも大きく、および/または100Wm-1-1よりも大きな熱伝導率を有する。
【0114】
好ましくは、ダクト材料は、25容積%未満のフィラー、5~18容積%のフィラー、または15容積%のフィラーを含む。有利なことに、限定的な量のフィラーをマトリックスに組み込むことにより、材料の低電気伝導率および好適な可撓性を維持しつつ、熱伝導率が向上する。
【0115】
好ましくは、ダクト材料は、室温で0.33Wm-1-1よりも大きく、室温で1Wm-1-1より大きく、および/または室温で10Wm-1-1より大きな熱伝導率を有する。
【0116】
理想的には、支持手段は、内側ガイド形成物を有する。
【0117】
理想的には、内側ガイド形成物は、使用時に可撓性ダクトが向きを変える箇所の内側に配置可能である。
【0118】
好ましくは、内側ガイド形成物は、使用時にセルと可撓性ダクトとの間に配置される内側支持面を有する。
【0119】
理想的には、支持手段は外側ガイド構造を有し、外側ガイド構造は外側支持面を有する。
【0120】
好ましくは、支持手段のガイド経路の少なくとも一部は、内側ガイド形成物の内側支持面と外側ガイド形成物の外側支持面との間に画成される。
【0121】
内側支持面および/または外側支持面は、連続的であってもよくまたは不連続的であってもよい。
【0122】
好ましくは、支持手段の少なくとも一部は、圧縮性である。ダクトは、膨張状態では、張力によりダクト内の任意の屈曲部の方向に引っ張られる傾向がある。有利なことに、支持手段の少なくとも一部を圧縮性にすると、ダクトがそれに対して引っ張られる表面をわずかに変形させることが可能になり、ダクト容積が屈曲部で捻れて閉鎖されることが防止される。
【0123】
理想的には内側ガイド形成物は、最も好ましくは、内側支持面の少なくとも一部において圧縮性である。理想的には、内側ガイド形成物は、圧縮性発泡体を含む。
【0124】
好ましくは、支持手段の少なくとも一部は、バッテリーパックハウジングと一体的に形成されている。最も好ましくは、支持手段の少なくとも一部は、バッテリーパックハウジングの下部クラムシェル、またはバッテリーパックハウジングの上部ケーシングと一体的に形成されている。
【0125】
好ましくは、バッテリーパックハウジングの少なくとも一部は、支持構造の一部を形成する。最も好ましくは、バッテリーパックハウジングの内側側壁の少なくとも一部は、可撓性ダクトを支持するために使用される。
【0126】
本発明の第2の態様によると、バッテリーパックを製造するための方法であって、1つまたは複数のセルを準備するステップ、可撓性ダクトを、ダクトと1つまたは複数のセルの少なくとも1つとの間で熱が交換され得るように1つまたは複数のセルの少なくとも1つの表面に近接して位置決めするステップ、流体をダクトに挿入するステップ、およびダクトの少なくとも一部に対する支持体として作用するように構成されているポッティング手段を提供するステップを含む方法が提供される。有利なことに、本方法は、セルの表面形状に対して緊密に追従でき、ポッティング手段により強化されているダクトを含む、向上されたバッテリーパックを生産するための様式を提供する。
【0127】
好ましくは、本方法は、セルのアレイを準備するステップを含む。
【0128】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数の円柱型セルを準備するステップを含む。
【0129】
好ましくは、本方法は、セル間の最小離間が0.5~5mmである最密充填円柱型セルのアレイを準備するステップを含む。
【0130】
好ましくは、本方法は、セル間の最小離間が2mmである、最密充填円柱型セルのアレイを準備するステップを含む。
【0131】
好ましくは、本方法は、バッテリーパックハウジングを構築するステップを含む。
【0132】
好ましくは、本方法は、下部クラムシェルを準備するステップを含む。
【0133】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数のセルを下部クラムシェルの凹部に配置するステップを含む。
【0134】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数の側壁を準備するステップを含む。
【0135】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数の側壁を下部クラムシェルに取り付けるステップを含む。
【0136】
好ましくは、本方法は、上部クラムシェルを準備するステップを含む。
【0137】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数のセルを上部クラムシェルの凹部に配置するステップを含む。
【0138】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数の側壁を上部クラムシェルに取り付けるステップを含む。
【0139】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数のバスバーを上部クラムシェルおよび/または下部クラムシェルに取り付けるステップを含む。
【0140】
好ましくは、本方法は、流体入口手段を上記ダクトまたは各ダクトに嵌着するステップを含む。
【0141】
好ましくは、本方法は、流体出口手段を上記ダクトまたは各ダクトに嵌着するステップを含む。
【0142】
好ましくは、本方法は、入口ノズルおよび出口ノズルを、側壁の開口部に通すステップを含む。
【0143】
好ましくは、本方法は、上記可撓性ダクトまたは各可撓性ダクトを、1つまたは複数のセルに隣接させて適所に位置決めするステップを含む。
【0144】
好ましくは、本方法は、上記可撓性ダクトまたは各可撓性ダクトを、セル間に位置決めするステップを含む。
【0145】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数のさらなる可撓性ダクトを、上記さらなる可撓性ダクトまたは各さらなる可撓性ダクトと1つまたは複数のセルの少なくとも1つとの間で熱が交換され得るように1つまたは複数のセルの少なくとも1つの表面に近接して位置決めするステップを含む。
【0146】
好ましくは、セル間に可撓性ダクトを位置決めするステップは、下部クラムシェルの凹部に1つまたは複数のセルを配置するステップの後に実行される。
【0147】
好ましくは、2つ以上のセル間に可撓性ダクトを位置決めするステップは、上部クラムシェルの凹部に1つまたは複数のセルを配置するステップの前に実行される。
【0148】
好ましくは、本方法は、上記可撓性ダクトまたは各可撓性ダクトを、バッテリーパック内の蛇行経路に沿って位置決めするステップを含む。
【0149】
好ましくは、本方法は、上記ダクトまたは各ダクトが実質的に未膨張状態にある際に、上記ダクトまたは各ダクトを1つまたは複数のセルの少なくとも1つの表面に近接して位置決めするステップを含む。
【0150】
好ましくは、流体を上記ダクトまたは各ダクトに挿入するステップは、ダクトの膨拡を引き起こす。
【0151】
好ましくは、流体を上記ダクトまたは各ダクトに挿入するステップは、ダクトを流体で実質的に満たすことを含む。
【0152】
好ましくは、本方法は、ダクトを流体で膨張させるステップを含む。
【0153】
好ましくは、本方法は、空気または冷却剤流体などの作業用流体でダクトを膨張させるステップを含む。
【0154】
好ましくは、流体を上記可撓性ダクトまたは各可撓性ダクトに挿入するステップは、ダクトを加圧することを含む。
【0155】
好ましくは、流体を上記可撓性ダクトまたは各可撓性ダクトに挿入するステップは、ダクト内の流体圧力が大気圧よりも大きくなるようにダクトを加圧することを含む。
【0156】
好ましくは、本方法は、上記可撓性ダクトまたは各可撓性ダクトを、上記ダクトまたは各ダクトの形状が1つまたは複数のセルの表面形状の少なくとも一部に追従するように膨張させるステップを含む。有利なことに、これによりダクトとセルとの間の熱接触面積が増加し、そのためダクト中の冷却剤と個々のセルとの間の熱エネルギーの伝達が向上する。
【0157】
理想的には、本方法は、ダクトにより、1つまたは複数のセルを適所に固定するステップを含む。これは、バッテリーパック内の適所にセルを固定するための接着剤の必要性を排除するため、有利である。さらに、バッテリーパックが振動を受ける自動車または航空宇宙応用で使用されている場合、ダクトは、個々のセルを適所に固定することにより、バッテリーパックに対する振動の影響を低減できる。
【0158】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数の支持手段を下部クラムシェルに位置決めするステップを含む。
【0159】
好ましくは、本方法は、1つまたは複数の支持手段を、下部クラムシェルにあるセルのアレイの周縁部に位置決めするステップを含む。
【0160】
好ましくは、本方法は、ダクトの一部分を支持手段内に配置して、ダクトの少なくとも部分に支持を提供するステップを含む。ダクトを支持手段に配置することは、ダクトが膨拡する際にダクトが捻れることを防止するため、有利である。
【0161】
好ましくは、本方法は、ダクトが実質的に未膨張状態にある際に、ダクトの一部分を支持手段の凹部内に配置するステップを含む。これは、ダクトを凹部に配置することにより、膨張前のダクトに余分なたるみが存在することが保証されるため、有利である。ダクトに余分なたるみを提供することにより、膨張プロセス中のダクトの捻れが軽減される。
【0162】
好ましくは、本方法は、ダクトの1つまたは複数の少なくとも一部を、ポッティング手段で取り囲むステップを含む。
【0163】
好ましくは、本方法は、上記ダクト全体または各ダクト全体をポッティング手段で実質的に取り囲むステップを含む。
【0164】
好ましくは、本方法は、上部クラムシェル、下部クラムシェル、および/または側壁を通してポッティング手段を挿入するステップを含む。
【0165】
好ましくは、本方法は、可膨拡性ポッティング手段をバッテリーパックに注入するステップを含む。
【0166】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段をバッテリーパックに挿入する前に、可撓性ダクトに対して圧力試験を実施するステップを含む。
【0167】
好ましくは、本方法は、発泡体をバッテリーパックに挿入するステップを含む。
【0168】
好ましくは、本方法は、膨化性発泡体をバッテリーパックに挿入するステップを含む。
【0169】
好ましくは、本方法は、ポリウレタン発泡体をバッテリーパックに挿入するステップを含む。
【0170】
好ましくは、本方法は、熱硬化性プラスチック、シリコーンゴムゲル、またはエポキシ樹脂をバッテリーパックに挿入するステップを含む。
【0171】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段をバッテリーパックに挿入するステップを含む。
【0172】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段が粘性状態または液体状態にある間に、ポッティング手段をバッテリーパックに挿入するステップを含む。
【0173】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段をバッテリーパックに挿入する前に、流体を上記ダクトまたは各ダクトに挿入するステップを含む。
【0174】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段をバッテリーパックに挿入する前に、上記可撓性ダクトまたは各可撓性ダクトを加圧および/または膨張させるステップを含む。
【0175】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段をバッテリーパック内で硬化または固化させるステップを含む。
【0176】
好ましくは、流体を上記可撓性ダクトまたは各可撓性ダクトに挿入するステップは、ダクトが開口構成へと膨拡することを引き起こす。
【0177】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段との接着により、上記ダクトまたは各ダクトをバッテリーパック内で開口構成に維持するステップを含む。
【0178】
好ましくは、本方法は、上記ダクトまたは各ダクトが実質的に膨張状態および/または開口構成にある間に、ポッティング手段をバッテリーパック内で硬化または固化するステップを含む。
【0179】
理想的には、本方法は、ポッティング手段が固まるかまたは固化して実質的に硬性状態に入るまで、上記ダクトまたは各ダクト内の圧力を維持するステップを含む。有益なことに、ポッティング手段を注入する前にダクトを膨張させることにより、ポッティング手段が硬く固まっても、ダクトの膨拡に十分な空間が確保される。
【0180】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段を膨拡させて、バッテリーパック内の隙間を満たすステップを含む。有利なことに、発泡体の膨拡は、発泡体がバッテリーパック内のあらゆる隙間を満たすことを意味する。これにより、パックの全体的な機械的強度が向上する。
【0181】
好ましくは、本方法は、セルを断熱発泡体で取り囲むことによりセルを断熱するステップを含む。有益なことに、断熱発泡体は、バッテリーパック全体にわたって伝播する高エネルギー熱事象を防止できる。さらに、断熱発泡体は、バッテリーパックに対する外部温度変動性の影響を低減でき、ダクトが、バッテリーパック内の熱エネルギーの主要な制御器であることの保証を支援する。
【0182】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段により、ダクトおよび/またはセルをバッテリーパック内の適所に固定するステップを含む。
【0183】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段との接着により、上記ダクトまたは各ダクトを、バッテリーパック内で開口構成に維持するステップを含む。
【0184】
好ましくは、本方法は、ポッティング手段により、外側ケーシングをバッテリーパックに固定するステップを含む。これには、追加の固定具または留め具の必要がなくなるという利益があり、バッテリーパックの複雑さが低減され、製造プロセスが向上する。
【0185】
好ましくは、本方法は、セルをバスバーと電気的に接続するステップを含む。
【0186】
好ましくは、本方法は、超音波ボンディング、レーザー溶接、超音波溶接、または抵抗溶接を使用してセルをバスバーと電気的に接続するステップを含む。
【0187】
好ましくは、本方法は、セルが可撓性ダクトにより適所に保持されている間に、セルをバスバーと電気的に接続するステップを含む。
【0188】
好ましくは、本方法は、ポッティング材料がバッテリーパックに挿入される前に、セルをバスバーと電気的に接続するステップを含む。
【0189】
好ましくは、本方法は、セルをバスバーと電気的に接続した後、ポッティング手段をバッテリーパックに挿入するステップを含む。有利なことに、ポッティング手段は、アルミニウム超音波ワイヤボンディング部を外部湿気から保護する役目を果たし、それによりワイヤボンディング部の電解腐食が防止される。
【0190】
本発明のさらなる態様によると、セルをバスバーと電気的に接続するための方法であって、膨張した可撓性ダクトを使用して、セルを所望の位置に保持するステップ、およびセルとバスバーとの間に電気的接続を提供するステップを含む方法が提供される。有利なことに、可撓性ダクトは、セルをパック内の適所に固定でき、セルをバスバーと電気的に接続する際の接着剤の必要性が除去される。
【0191】
好ましくは、セルとバスバーとの間に電気的接続を提供するステップは、ワイヤをセルおよび/またはバスバーに超音波ボンディングすることを含む。
【0192】
好ましくは、セルとバスバーとの間の電気的接続を提供するステップは、超音波ボンディング、レーザー溶接、超音波溶接、または抵抗溶接を含む。
【0193】
好ましくは、セルとバスバーとの間に電気的接続を提供するステップは、アルミニウムワイヤボンディング部を、セルおよび/またはバスバーと接続することを含む。
【0194】
好ましくは、本方法は、セルをバスバーと超音波ボンディングした後、少なくとも1つのセルをポッティングするステップを含む。
【0195】
本発明の一態様に適用可能な任意選択の特徴は、任意の組合せおよび任意の数で使用できることが理解されるだろう。さらに、本発明の一態様に適用可能な任意選択の特徴は、本発明の他の態様のいずれとも、任意の組合せおよび任意の数で使用できる。これには、本出願の特許請求の範囲における任意の他の請求項の従属請求項として使用されている任意の請求項の従属請求項が含まれるが、それらに限定されない。
【0196】
これから、本発明による装置の一実施形態を単に例示として示す添付の図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0197】
図1】本発明によるバッテリーパックでの使用に好適な熱管理システムおよび制御モジュールの模式図である。
図2】上部および下部クラムシェルならびに側壁が嵌着されているバッテリーパックの斜視図である。
図3】側壁を取り外した図2のバッテリーパックの斜視図である。
図4図2のバッテリーパックの下部クラムシェル部品の斜視図である。
図5】セルのアレイが嵌着されている図4の下部クラムシェルの透視図である。
図6】サーミスタが嵌着されている図5のセルのアレイを示す拡大斜視図である。
図7図5に示されているセルのアレイに嵌着されている支持構造を示す拡大斜視図である。
図8】本発明の実施形態での使用に好適な支持構造の斜視図である。
図9図5に示されているセルのアレイに嵌着されている可撓性ダクトの斜視図である。
図10】本発明の実施形態での使用に好適な多管腔可撓性ダクトの斜視図である。
図11】本発明の実施形態での使用に好適な複数の可撓性ダクトを含む熱交換器の上面図である。
図12図11に示されている熱交換器の斜視図である。
図13】本発明の実施形態での使用に好適な複数の可撓性多管腔ダクトを含む熱交換器の上面図である。
図14図13に示されている熱交換器の斜視図である。
図15】本発明の実施形態での使用に好適な複数の可撓性多管腔ダクトを含む熱交換器の上面図である。
図16図15に示されている熱交換器の斜視図である。
図17】上部および下部クラムシェル、側壁、ならびに加圧マニホールドが嵌着されているバッテリーパックの斜視図である。
図18】セル間に配置されている未膨張状態の可撓性ダクトを示す断面図である。
図19】セル間に配置されている膨張状態の可撓性ダクトの断面図である。
図20】支持構造および未膨張状態の可撓性ダクトの拡大平面図である。
図21】支持構造および適所に配置されている可撓性ダクトの拡大平面図である。
図22】支持構造および膨張状態の可撓性ダクトの拡大平面図である。
図23】ポッティング材料が自動化プロセスで充填中であるバッテリーパックの斜視図である。
図24】リザーバを含む、本発明の実施形態での使用に好適な熱管理システムの概略図である。
図25】加圧中の図24の熱管理システムの概略図である。
図26】作動状態にある図24の熱管理システムの概略図である。
図27】本発明の実施形態での使用に好適な代替的熱管理システムの概略図である。
図28】セルのアレイ、およびダクトの長さに沿って様々なダクト壁厚を有する蛇行ダクトの上平面図である。
図29】ダクトの長さに沿って様々なダクト壁厚を有する複数の直線状ダクトの斜視図である。
図30】ポッティング材料を示す、バッテリーパックの一部の切欠き斜視図である。
図31】ダクト材料がマトリックスおよびフィラーを含むダクトの断面概略図である。
図32】さらなる支持構造の斜視図である。
図33図32の支持構造の平面図である。
図34】さらなる支持構造の斜視図である。
図35】バッテリーパック内に設置された図34の支持構造の斜視図である。
図36】バッテリーパック内に設置された図35の支持構造の追加の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0198】
図1には、バッテリーパック21の熱管理システム18が示されている。「バッテリー」という用語は、本明細書では、1つまたは複数の個々のセル、例えば、アレイ状に配置されたセルのグループを記述するために使用される。「セル」という用語は、リチウムイオンセルまたはニッケル水素セルを含むがそれらに限定されない、任意の様々なセルを指すために使用できる。
バッテリーパック21は、1つまたは複数のセル30、可撓性ダクト50/230であって、可撓性ダクト50/230と1つまたは複数のセル30の少なくとも1つとの間で熱が交換され得るように1つまたは複数のセル30の少なくとも1つの表面に近接して位置決めされている可撓性ダクト、およびダクト50/230の少なくとも一部に対する支持体として作用するように構成されているポッティング材料231を含む。任意の数の個々のセルを使用して、バッテリーパック21の所望の電圧および容量を作出できる。
【0199】
熱管理システム18は、個々のセルを適切な作動温度、例えば約25℃に維持するようにバッテリーパック21内の熱エネルギーを管理するために使用される。バッテリーパック21内の個々のセルは、充電および/または放電の際に熱を発生する。熱管理システム18は、個々のセルの表面に近接しているおよび/または個々のセルと接触している可撓性ダクトを通して、グリコール-水混合物などの冷却剤流体を循環させることにより、バッテリーパック21内の熱エネルギーを管理する。
【0200】
熱管理システム18は、熱交換器23、ポンプ25、およびバッテリーパック21を通して冷却剤を運搬する可撓性ダクト(図示せず)を含む。可撓性ダクトは、同じ冷却剤回路183の一部としての熱交換器23およびポンプ25と流体連通している。熱管理システム18の冷却剤は加圧されており、ポンプ25は、冷却剤回路183を通る冷却剤の流動を引き起こす。
冷却剤流体の圧力は、可撓性ダクトの膨拡を引き起こす。可撓性ダクトは、膨拡すると、円柱型セルの形状により表される波状表面に追従し、それにより円柱型セルの各々と接触する可撓性ダクトの表面積が増加する。これは、セルと可撓性ダクトとの間の熱接触面積および接触圧力を増加させ、可撓性ダクトと個々のセルとの間の熱エネルギーの伝達を向上させるため、有利である。
【0201】
ポンプ25は、可撓性ダクト内の冷却剤の流速を調節することにより、バッテリーパック21の温度を所望の作動温度に維持するように構成されている。熱交換器23は、バッテリーパック21が冷却を必要とする場合、冷却剤から熱エネルギーを散逸できる。熱交換器23は、バッテリーパック21が加熱を必要とする場合、冷却剤から熱エネルギーを付加できる。必要に応じて、補完的な加熱または冷却システムが、熱交換器23と協働してもよい。
【0202】
熱管理システム18は、制御モジュール27に接続されている。制御モジュール27は、バッテリーパック21内の温度を示す入力信号を受信する。制御モジュール27は、熱管理システム18に制御信号を出力して、所望の作動温度が維持されるように、受信した温度入力信号に応答して熱管理システム18を調節できる。
【0203】
バッテリーパック21は、円柱型セル30のアレイまたはマトリクスを含む。セル30は、図2に示されている周側壁90、92により接合された下部および上部クラムシェル20、80の間に挟まれている。図3は、パック内のセル30を見えるようにするために、幾つかの部品(側壁90、92を含む)が取り除かれたパックを示す。セル30は平行軸に沿って整列しており、直線状の平行な列のアレイに配置されている。下部および上部クラムシェル20、80は、個々のセル30を電気的に接続してバッテリーパック21を作出するバスバーを含む。
【0204】
熟練の読者であれば、セルは、円柱型以外の形状、例えば、立方体型、角柱型、またはパウチ型のセルであってもよいことを理解するだろう。しかしながら、円柱型セルは、比較的低コストであり、高いエネルギー密度を有するため、バッテリーパックでの使用に魅力的な選択肢である。さらに、円柱型セルは、パウチ型セルまたは立方体型セルなどの他のセル形状よりも大量生産が容易であり、自立型である(パウチ型セルは、キャリアまたは支持体が必要であるが、角柱型セルも自立型である)。例示的な実施形態では、セルは、18650型または2170型リチウムイオンセルである。
【0205】
図4は、バッテリーパック21の下部クラムシェル20の斜視図を示す。下部クラムシェル20は、円形ソケット22の形態をした凹部のアレイを有するプレートである。各ソケット22の基部は、クラムシェル20を貫通する開口部を取り囲む内側に突出するフランジを含む。各ソケット22は、対応する円柱型セル30の端部部分を受け入れるように構成されている。図示されている例では、ソケット22は、16個の平行な列を有するアレイに配置されており、各列は、長さが13個のソケットである。各列のソケット22は、ほとんどのソケット22が各々1つまたは2つの隣接する列の1対のソケット22間に入れ子状となるように、隣接する1つまたは複数の列のソケットに対して互い違いなっている。これにより、空間効率および電力密度は最大化されるものの、セル30を正しい作動温度に維持するという困難性が増加する。
【0206】
熟練の読者であれば、任意の適切な長さを有する任意の列数のセルをバッテリーパック21に使用できることを理解するだろう。バッテリーパック21内の個々のセル30の数を増やすことにより、バッテリーパック21の全体的な容量および/または電圧が増加する。さらに、バッテリーパック21のセル30は、垂直方向に積層されたバッテリーパックでは垂直方向に配置されていてもよい。
【0207】
バッテリーパック21の製造は、1つまたは複数のセル30、例えば、図5に示されているセルのアレイを準備することを含む。例示的な実施形態では、複数のセル30は、下部クラムシェル20の対応するソケット22に挿入される。セル30はソケット22により配置され、下部クラムシェル20(図示せず)の下側に位置決めされているバスバーは、個々のセル30に接続されている。
【0208】
多数のバッテリーセル製造業者は、熱伝播を防止するために、セル間の最小間隔距離を2mmにすることを推奨している。熟練の読者であれば、円柱型セルの互い違いの最密充填アレイは、最小推奨セル間間隔を維持しつつ、円柱型セルを所定の容積に充填するための最も容積的に効率的な様式であることを認識するだろう。本明細書に記載の可撓性ダクト50は、10μm~150μm厚の壁を有し、ダクト50は、隣接する円柱型セル30間の2mmの互い違いのチャネル内に容易に嵌入できる。従来技術の熱管理システムでは、典型的には、ダクトを収容するためにセル間隔を増加させることが必要であり、全体的なパック寸法が増加し、体積エネルギー密度が低減される。この点で、本発明は、現行の技術水準に対して著しい向上を提供する。さらに、本発明は、セル製造業者が推奨する最小間隔限界、または0.5~5mmの範囲にある任意の最小間隔だけ隣接セル30を離間することを可能にする。
【0209】
図6は、温度センサ40、例えばサーミスタのアレイが、バッテリーパック21内の適切な間隔の選択されたセル30にどのように接続できるかを示す。組立て中、温度センサ40に取り付けられたケーブル42は、自由な状態のままである。これは、上部クラムシェル80がバッテリーパック21に固定される際に、ケーブル42を、上部クラムシェル80に固定できるようにするためである。温度センサ40は、バッテリーパック21内の個々のセル30の温度をモニターし、制御モジュール27に対して温度読取値を提供する。セル30の温度が目標作動温度から逸脱しても、制御モジュール27は、熱管理システム18を調整して、目標作動温度を維持できる。
【0210】
熟練の読者であれば理解するように、本発明は、概して、直線状の平行なマニホールドおよび/または蛇行熱交換器/ダクトが使用されるバッテリーパックに使用できる。角柱型セルの平坦表面はダクトとの熱接触のために大きな表面積を提供するため、蛇行ダクトは、典型的には角柱型セルと共に使用される。このように、可撓性ダクトで角柱型セル周囲を蛇行様式で包み込み、熱接触を維持するのは容易である。しかしながら、蛇行ダクトは、ダクトが方向を反転または変える屈曲点で捻れ易い。熱交換器の捻れは、冷却剤の流動を妨害または妨げる可能性のあるダクト内の閉塞および圧力上昇を引き起こす可能性がある。捻れは、可撓性ダクト50がそれ自体に対して折り重なり、それによりダクト50内の閉塞がもたらされる場合がある。一連の複数の屈曲部での捻れによるシステム内の圧力損失が著しくなり、熱管理システム18の全体的な性能が低減する場合がある。さらに、圧力上昇は、ダクト壁の伸長および薄厚化をもたらす可能性があり、それにより最終的には破裂および冷却剤の喪失がもたらされる場合がある。
【0211】
捻れによる閉塞は、ダクト50内の冷却剤流体を、屈曲部においてでさえ可撓性ダクト50を開口構成に強制する十分なレベルにまで加圧することにより克服できる。しかしながら、捻れを克服するために高圧を使用すると、可撓性ダクト50が伸長して薄くなり破裂を引き起こす場合がある。可撓性ダクト50の各屈曲部での捻れを克服するために必要な圧力は、可撓性ダクト50が破裂することなく耐え得る圧力を超えることが多い。
【0212】
可撓性ダクト50が、バッテリーパック21内のセル30の間および/または周囲の蛇行経路に従う実施形態では、その捻れおよび/または潰れを防止するために、角部でダクト50を安全に支持するための様式を提供する必要がある。図7に示されているように、支持構造70は、可撓性ダクト50が方向を変える場所、つまり捻れが起き易い場所におけるガイドとしてバッテリーパック21内で使用される。支持構造70は、可撓性ダクト50が、セル30のアレイから出て方向を反転させるバッテリーパック21の縁部に配置されている。
図7は、バッテリーパック21のセル30の外縁に位置決めされている支持構造70を示す。支持構造70は、ダクト50がセル30のアレイから出て再び入っていく各地点で、バッテリーパック21の相対する側面に沿って位置決めされている。
【0213】
対応する支持構造70は、可撓性ダクト50がセル30のアレイから出て方向を変えるバッテリーパック21の反対側にて、可撓性ダクト50をガイドするように位置決めされている。この目的のため、図8に示されているように、支持構造70は、可撓性ダクト50のガイド経路74を画成する。ガイド経路74は、可撓性ダクト50を挿入でき、可撓性ダクト50がそれに従って捻れることなく方向を変えるスロットまたはチャネルである。支持構造70のガイド経路74は、内側ガイド形成物72の内側支持面77と外側ガイド形成物79の外側支持面78との間に画成されている。
【0214】
可撓性ダクト50は、ガイド経路74に従うように未膨張状態で支持構造70に挿入できる。ガイド経路74は、可撓性ダクト50の余分な長さを収容するような形状に作られている。可撓性ダクト50に余分な長さを提供することにより、可撓性ダクト50が膨張して張力がかかった際の捻れを軽減するある程度のたるみが作出される。可撓性ダクト50は、組立てを容易にするために、未膨張状態でガイド経路74に挿入される。しかしながら、熟練の読者であれば、少量の作業用流体を使用して可撓性ダクト50を加圧し、可撓性ダクト50にある程度の剛性を与えて組立てを補助できることを理解するであろう。作業用流体は、例えば、空気であってもよくまたは冷却剤流体であってもよい。
【0215】
内側ガイド形成物72は、可撓性ダクト50を連続して90°屈曲させて180°にわたって、ダクト50を捻ることなく滑らかにガイドするのに十分な程度に、内部支持面77の曲げ半径が大きい。図8に示されているように、内側支持面77は、2つの丸みを帯びた縁部75の間に平坦な細長い小平面73を含む。細長い小平面73は、そうでなければ捻れが最も起こりそうな地点で可撓性ダクト50を真っ直ぐに支持する役目をはたす。
【0216】
丸みを帯びた縁部75の反対側の外側ガイド形成物79のノッチ様凹部76は、外側支持面78の一部を形成し、可撓性ダクト50の余分の長さにより画成されるたるみを収容する。具体的には、丸みを帯びた縁部75の周囲で屈曲する可撓性ダクト50のたるみ部分を、丸みを帯びた縁部75から凹部76内へと引っ張るかまたは押し込み得る。
可撓性ダクト50を膨張させる前に可撓性ダクト50を35個の凹部76へとこのように押し込むことにより、丸みを帯びた縁部75にて可撓性ダクト50にたるみが作出される。このたるみを膨張前の可撓性ダクト50に提供することは、膨張する際のダクト50の捻れの軽減を支援するため、有利である。ノッチ様凹部76は、外側ガイド形成物79の外側支持面78の凹部であり、ダクト50を部分的に受け入れて、丸みを帯びた縁部75の周囲にたるみを作出するのに好適な任意の形状であってもよい。
【0217】
熟練の読者であれば理解することになるように、バッテリーパック21が実質的な屈曲部を含まない場合および/または捻れの可能性が高くない場合(非蛇行状または概して直線状のダクトが使用される場合など)、支持構造は一般に必要ではない。
【0218】
バッテリーパック21の製造は、可撓性ダクト50を、可撓性ダクト50と1つまたは複数のセル30の少なくとも1つとの間で熱が交換され得るように、1つまたは複数のセル30の少なくとも1つの表面に近接して位置決めすることを含む。図9は、セル30のアレイに挿入されている可撓性ダクト50を示す。ダクト50は、冷却剤流体20がバッテリーパック21を通って運搬されるように、バッテリーパック21内に蛇行様式で配置されている。具体的には、ダクト50は、セル30の隣接する列の間に延在する一連の概して直線状のリムを有する。ダクト50のリムは、ダクト50がセル30のアレイから出て、セル30の次の対の列に沿ってその間に延在するように方向を反転させる屈曲部と交互になっている。
【0219】
可撓性ダクト50が蛇行配置されていることにより、可撓性ダクト50がバッテリーパック21内のセル30のすべてと熱接触することが保証される。可撓性ダクト50は、例えば、ポリエステル、LDPE、LLDPE、HDPE、または可撓性であり冷却剤の圧力に耐え得る任意の他のプラスチック材料またはポリマーベース材料などのプラスチック材料の可膨張性リボンであってもよい。可膨張性プラスチック材料は、本来的に電気絶縁性であり、軽量であり、グリコール-水混合物などの冷却剤で腐食しないかまたは化学的に相互作用しないため、有利である。
【0220】
可撓性ダクト50には、入口52および出口54が嵌着されている。使用中、入口52および出口54は、ポンプ25に接続されている。ポンプ25は、冷却剤が可撓性ダクト50を通って流動するように、可撓性ダクト50内の冷却剤の流動を誘発するように構成されている。熱管理システム18内の冷却剤を大気圧より高い圧力に加圧することにより、可撓性ダクト50の膨拡、および円柱型セル30の形状へと追従が引き起こされる。冷却剤がどのように加圧されるかの詳細は、下記でさらに詳細に提供されている。
【0221】
図9に最も良好に示されているように、ノズルは、それぞれ入口52および出口54にて可撓性ダクトに接続される。ノズルは、冷却剤流体が熱管理システム18を巡って運ばれ得るように、熱管理システム18の冷却剤ループ183に取り付けられるように構成されている。入口ノズルおよび出口ノズルに接続される可撓性ダクト50の領域は、ダクト50の破裂または過度な膨拡を防止するために補強されてもよい。ダクト50は、ダクト50の端部をより高強度のプラスチック材料で製造することにより、または可撓性ダクト50が入口52または出口54の領域で膨拡することを防止するために可撓性ダクト50を覆うように外部スリーブの材料を提供することにより補強できる。
【0222】
図9に示されているダクト50は、単一管腔可膨拡性ダクト50である。しかしながら、図10を参照すると、多管腔可膨拡性ダクト223を、熱管理システム18に使用できる。多管腔ダクト223は、入口通路221および出口通路220を含む。入口通路221および出口通路220は、バッテリーパック21を通して冷却剤流体を運搬するように構成されている。これは、バッテリーパック21全体にわたる熱エネルギーの分布を向上させるため、大型バッテリーパック21での使用に有利である。大型バッテリーパック21では、単一管腔ダクト50は、ダクト50の下流に位置するセル30に対して十分な冷却または加熱を提供できない場合がある。この問題は、バッテリーパック21全体にわたってより均一な温度分布を提供する多管腔ダクト223の使用により克服される。
【0223】
多管腔ダクト223は、単一管腔ダクト50と同じプラスチック材料で製造されている。多管腔ダクト223を作出するため、入口通路221と出口通路220との間にシール222が作出される。シール222は、ダクト223のプラスチック材料を溶融して結合を作出することにより作出できる。多管腔ダクト223の作動は、多管腔ダクトが双方向の冷却剤流を有することを除いて、単一管腔ダクト50と実質的に同じである。多管腔ダクト223は、単一管腔ダクト50と同様に支持構造70内に配置できる。さらに、多管腔ダクト223は、ダクト223が膨拡してセル30の表面形状に追従するように、冷却剤流体により上記に記載のように加圧できる。多管腔ダクト223を実装するためには、当業者であれば、ダクト223に対する入口の反対側のダクト223の端部にマニホールドが配置されることになることを理解するだろう。マニホールドは、冷却剤流体が、入口通路221から出口通路220へと移動することを可能にし、それによりダクト223内の双方向冷却剤流が促進される。
【0224】
図9に示されている実施形態では蛇行ダクト50が使用されているが、当業者であれば、他の幾何ダクト形状が可能であり、本発明の実装に使用できることを理解するだろう。図11および図12は、膨拡状態にある複数の実質的に直線状の単一管腔ダクト550を示す(簡明性のため、セルは図示されていない)。個々の直線状ダクト550の各々は、入口552および出口554を介して接続されており、セルの隣接する列の間に配置されることになる。
図13および図14は、膨拡状態にある複数の実質的に直線状の多管腔ダクト650を示す(簡明性のため、セルは図示されていない)。各ダクト650の第1の管腔は、入口652および出口654に接続されている。各ダクト650の第2の管腔は、入口651および出口653に接続されている。図15および図16は、膨拡状態にある複数の実質的に直線状の多管腔ダクト750を示す(簡明性のため、セルは図示されていない)。個々の直線状ダクト750の各々は、入口752および出口754を介して接続されており、セルの隣接する列の間に配置されることになる。直線状ダクト750の各々の管腔は、入口および出口の反対側にあるダクト750の端部で接続されている。
【0225】
図9の実施形態に戻ると、可撓性ダクト50を、バッテリーパック21内のセル30の間の/セル30に隣接した位置に配置したら、バッテリーパックハウジングの構築は完了する。ハウジングは、図17に示されている側壁90、92を含む4つの周側壁により接合される下部および上部クラムシェル20、80を含む。側壁92は、可撓性ダクト50の入口52および出口54に対応する2つの開口部を含む。入口52および出口54は、可撓性ダクト50が熱管理システム18のポンプ25および熱交換器23に接続され得るように、側壁92の対応する開口部と位置合わせされている。
【0226】
当業者であれば理解することになるように、セル30が、下部クラムシェル20の対応するソケット22に挿入される前に、および/または可撓性ダクト50が、セル30間および周囲に挿入される前に、側壁90、92の1つまたは複数を下部クラムシェル20に取り付けることが可能である。
【0227】
上部クラムシェル80は、可撓性ダクト50が上記に記載のように位置決めされた後、バッテリーパック21内のセル30のアレイの上部に設置される。バスバー(図示せず)は、個々のセル30を電気的に接続するように上部クラムシェル80の上部にある凹部82内に配置されている。サーミスタ40に接続されている前述のワイヤ42は、上部クラムシェル80を通して供給され、上部クラムシェル80の上側表面に位置する溝84に沿って配線される。
【0228】
図17に示されているように、加圧マニホールド100は、入口52および出口54を介してバッテリーパック21の可撓性ダクト50に接続されている。遮断弁101は、加圧マニホールド100と入口52および出口54との間で作用する。加圧マニホールド100は、空気などの作業用流体を周囲圧力より高い圧力下で可撓性ダクト50に送達することにより、可撓性ダクト50を加圧する。例えば、加圧マニホールド100は、組立てプロセス中に、可撓性ダクト50を0.5バール~1.5バールのゲージ圧に加圧する。これにより、可撓性ダクト50は膨拡して膨張状態になる。
【0229】
このように可撓性ダクト50を加圧することにより、ダクト50が膨拡し、セル30の形状に、特にセル30の列の波状形状に追従することが引き起こされる。可撓性ダクト50に漏れがないことを保証するため、可撓性ダクト50の圧力を、製造プロセス中の所定期間にわたってモニターしてもよい。
【0230】
組立て中は、遮断弁101を閉じて、加圧マニホールド100をバッテリーパック21から取り外してもよい。これは、バッテリーパック21の組立てが、膨張状態の可撓性ダクト50を用いて継続できるため、有利である。可撓性ダクト50が膨拡状態にある際に、バッテリーパック21を配線し、ポッティング材料をバッテリーパック21に追加するステップを実施することが有益である。これは、可撓性ダクト50が膨拡状態にある際にセル30を適所に固定するためであり(下記に記載のように)、および可撓性ダクト50が未膨拡状態である際にポッティング材料を追加することが、ダクト50のその後の膨張を防止することになるからである。
【0231】
図18は、バッテリーパック21のセル30の隣接する列の間に挿入された際の未膨拡状態の可撓性ダクト50を示す。可撓性ダクト50は、未膨拡状態時は実質的に直線状であり、可撓性ダクト50と各セル30との間の接触面積は比較的小さく、セルの表面に対して本質的に接線方向にあり、各セル30に沿って狭いバンドとして延在し、円周方向には著しくは延在していない。
【0232】
図19は、膨拡した作動状態の可撓性ダクト50を示す。可撓性ダクト50が使用前に作業用流体によりまたは使用中に冷却剤により加圧されると、可撓性ダクト50は膨拡し、セル30の列の波状形状に追従する。図19から理解できるように、可撓性ダクト50は、膨拡状態にあると、個々のセル30の形状により完全に追従し、それによりダクト50とセル30との間の熱接触面積が増加される。また、ダクト50内の加圧冷却剤は、ダクトと各々の個別セル30との間の接触圧力を増加させ、それらの間の熱的結合を向上させる。さらに、自然な流動の衝突は、ダクト50内の冷却剤流の強力な混合を引き起こす。
【0233】
図20は、支持構造70のガイド経路74内に配置されている未膨張状態の可撓性ダクト50を示す。図21は、可撓性ダクトのたるみが、凹部76に取り込まれていることを示す。図22は、支持構造70内の膨張状態にある可撓性ダクト50およびセル30を示す。
【0234】
可撓性ダクト50をガイド経路74内に最初に配置する際には、図21に示されているように、細長いロッドまたはツール120を使用して、可撓性ダクト50を凹部76内に配置できる。細長いロッドまたはツール120は、可撓性ダクト50にたるみが作出されるように、可撓性ダクト50を凹部76内に押し込む。特に、丸みを帯びた縁部75の領域にたるみが作出されるため、可撓性ダクト50が膨張し、したがって張力がかかった場合に、可撓性ダクト50が捻れない。
【0235】
ダクト50が膨張状態にある場合、可撓性ダクト50の張力は、ダクト50のあらゆる余分なたるみを吸収する。ダクト50の余分なたるみが吸収されると、可撓性ダクト50は、図22に示されているように、凹状ノッチ76から引き出される。膨張状態では、ダクト50は、内側支持面77の丸みを帯びた縁部75と接触し、細長い小面73により支持される。
【0236】
支持構造70は、アレイの各列の端部に位置決めされているセル130が、アレイの中心に位置するセル30と実質的に同じ、ダクト50との熱接触面積を有するような寸法である。これは、バッテリーパック21全体にわたるより均一な温度分布を促進し、それによりバッテリーパック21の寿命が延長されるため、有利である。支持構造70は、ダクト50がアレイ内に位置するセル30と実質的に同じ端部セル130との熱接触面積を有するように、端部セル130の部分をダクト50との熱接触から遮蔽または断熱することによりこれを達成する。
【0237】
図20~22に示されているように、外側支持面78の端部は、ガイド経路74の外側屈曲部が、ダクト50がアレイから出てくる地点からダクト50がアレイへと再び入っていく地点まで外側支持面78により画成されるように、端部セル130に当接する。外側支持面78は、ダクト50がセル130の外側を包み込むように膨拡することを防止し、そうでなければ、端部セル130とダクト50との熱接触の増加が引き起こされることになる。
【0238】
同様に、内側支持面77の一方の端部は、端部セル130に当接する。端部セル130と当接する内側支持面77の端部は、ダクト50に対する支持を提供し、それにより、ダクト50が膨らんで端部セル130を包み込むことが防止される。内側支持面77の他方の端部部分110は、端部部分110が端部セル130を包み込んで断熱障壁を形成するように、別の端部セル130の表面に部分的に続いていく。内側支持面77の端部部分110は、ダクト50をガイド経路74内に配置した場合にダクト50が端部部分110の領域では端部セル130と接触しないように、端部セル130の外側表面に部分的を包み込む。熟練の読者であれば、部分110が端部セル130周囲に延在する程度は、ダクト50とセル30との間の熱接触に依存することを理解するだろう。部分110は、ダクト50がアレイ内の任意の他のセル30よりも多く端部セル130と接触しないことを保証するように、端部バッテリー130の周囲に十分に延在する。
【0239】
支持構造70は、ダクト50がアレイから出て方向を反転させる地点でのダクト50の捻れを軽減する役目を果たす。ガイド経路74は、ダクト50がアレイから出てくる地点からダクト50がアレイに再び入って行く地点まで続くように、ダクト50のチャネルを画成する。ガイド経路74は、ダクト50の過度の膨らみおよび/または潰れを防止する。
【0240】
下部および上部クラムシェル20、80にあるソケット22は、個々のセル30に対して隙間嵌を有するような寸法である。これは、自動化製造プロセスにより個々のセル30をソケット22内に容易に配置できるため有利であるが、セル30は、それぞれのソケット22内で動く場合があり、例えば、セル30をバスバーに接続するために超音波ワイヤボンディングを使用してバッテリーパック21を配線する場合、望ましくない。これは、超音波ワイヤボンディングプロセスでは、高品質の電気的接続をセルおよびバスバーの間に作出するためには、セルおよびバスバーの両方が機械的に剛性でなければならないからである。この問題を克服するため、従来技術では、個々のセル30を接着剤で適所に固着して、個々のセル30と下部および上部クラムシェル20、80との間の強い機械的接続を保証することが公知である。しかしながら、これは、製造プロセスでは追加の非効率的なステップである。
可撓性ダクト50の加圧は、可撓性ダクト50の膨拡および個々のセル30の形状への追従を引き起こすだけでなく、個々のセル30をソケット22内の適所に固定する。したがって、膨張した可撓性ダクト50は、セル30を適所に固定するとともに、セルとバスバーとの間の電気的接続を形成するために使用できる。膨張したダクト50を使用してセル30を適所に固定することにより、個々のセル30をクラムシェル20、80の適所に接着剤で固着させる必要性が排除される。
【0241】
個々のセル30は、自動化超音波ワイヤボンディングプロセスにより配線してもよい。このプロセスは、下部および上部クラムシェル20、80の両方に対して実施される。当業者であれば、個々のセル30が、任意の他の適切なプロセスにより配線され得ることを理解するだろう。さらに、組立てプロセスのこの段階で、制御モジュール27がバスバーに接続される。組立てプロセスを継続する前に接続が正しくなされたことを保証するための品質保証ステップとして、バッテリーパック21のインライン電子試験を、組立てプロセスのこの段階で実施してもよい。可撓性ダクト50が膨拡状態にある際に、個々のセル30が適所に固定されるようにワイヤボンディングプロセスを実施することが望ましい。これは、そうすることによりボンディングの品質が向上するからである。さらに、ポッティング材料は、アルミニウム超音波ワイヤボンド部を外部湿気から保護し、それによりワイヤボンド部の電解腐食を防止する役目を果たす。
【0242】
バッテリーパック21の製造は、ダクト50の少なくとも一部に対する支持体として作用するように構成されるポッティング材料を提供することを含む。好ましい実施形態では、ポッティング材料は、可膨拡性ポリウレタン発泡体などの膨化性発泡体であるが、熱硬化性プラスチック、シリコーンゴムゲル、またはエポキシ樹脂などの他のポッティング材料を使用できる。
【0243】
ポッティング材料は、ハウジングが完成した後およびワイヤボンディングが完了した後で、それが液体状態または粘性状態にある間にバッテリーパック21へと注入される。膨化性発泡体などの可膨拡性ポッティング材料の場合、可膨拡性ポッティング材料は、バッテリーパック21内の隙間を満たし、可撓性ダクト50および個々のセル30がポッティング材料により取り囲まれるように膨拡する。完全に膨拡すると、バッテリーパックハウジング内の容積は、セル30、支持構造70、ダクト50、およびポッティング手段で実質的に満たされる。
可膨拡性ポッティング材料は、注入後に液体状態から膨拡して硬く固まるため、バッテリーパック21を通る熱伝播を軽減および/または防止できる。可膨拡性ポッティング材料は、高温に、例えば最大で1000℃に曝されると炭化するように設計されたポリウレタン発泡体であってもよい。これは、純粋な炭素の炭化層が優れた断熱材として作用し、それによりバッテリーパック21を通る高エネルギー熱事象の伝播が防止されるため有利である。このように、バッテリーパックは難燃性である。
【0244】
ポッティング材料は、ダクト50が膨張状態にある際にバッテリーパック21へと注入される。ポッティング材料は、ダクト50がそれ内に配置される空洞が、ポッティング材料内に提供されるように、膨張したダクト50周囲で硬く固まる。空洞は、ダクト50に対して完全な外部支持を提供し、それによりダクト50の過度な膨張および/または破裂が防止される。ポッティング材料は、実質的に硬く固まって、ダクト50を適所に固定し、ダクト50に対する外部支持体としても作用して、ダクト50に対して機械的支持を提供する。ポリウレタン発泡体は、水性ゲルまたはシリコーンゲルなどの他のポッティング材料と比較して空気含有量が高いことにより非常に軽量であるため、有利である。
【0245】
ポッティング材料が硬化または固化した後、上記ダクト50または各ダクト50は、ポッティング材料との接着によりその開口構成に維持される。これは、作業用流体をダクト50の内部から除去でき、ダクトは、その開口構成を維持し続けることになることを意味する。
【0246】
バッテリーパック21内に発泡体などのポッティング材料を使用することにより、バッテリーパック21は外部環境からも断熱される。これは、熱管理システム18がバッテリーパック21の卓越した温度調節装置であり(外部環境要因に対して)、それにより熱管理システム18の全体的な制御がより容易になることを意味するため、有利である。バッテリーパック21を断熱することにより、バッテリーパック21の熱「耐久性」が向上し、バッテリーパック21が持続的な低温または高温環境条件で使用されていない場合、バッテリーパック21を断続的に冷却する必要性が低減される。また、バッテリーパック21内の発泡体は、バッテリーパック21の内部部品に対して振動保護および機械的保護の増加を提供する。発泡体は硬く固まり、これは、発泡体がセル30および可撓性ダクト50をパック21内の適所に固定する役割を果たすことを意味する。これは、バッテリーパック21が、持続的な振動期間の影響を受ける自動車応用において特に有利である。
【0247】
図23は、ポッティング材料を注入中のバッテリーパック21を示す。ポッティング材料は、ノズル130を使用してクラムシェル20、80の孔から自動化プロセスによりバッテリーパック21に注入できる。ポッティング材料は、液体としてバッテリーパック21へと流入し、それによりバッテリーパック21を充溢する。ポッティング材料は、時間の経過と共に硬く固まる。図23に示されているように、制御モジュール27は、側壁92に固定されており、制御モジュール27もポッティング材料で充溢されている。
【0248】
バッテリーパック21がポッティング材料で充溢されると、下部および上部クラムシェル20、80は、外側ケーシングにより覆われる。外側ケーシングは、ポッティング材料が硬く固まる前にバッテリーパック21に位置決めされるシート状金属部品である。ポッティング材料が膨化性発泡体である場合、発泡体は固まると共に膨拡し、したがって外側ケーシングと接触する。ポッティング材料は、硬化すると接着剤として作用し、それにより外側ケーシングをバッテリーパック21に固定する。実施形態では、外側ケーシングは、外部留め具およびポッティング材料によりバッテリーパック21に固定される。別の実施形態では、外側ケーシングは、固化した/固まった/硬化したポッティング材料のみによりバッテリーパック21に固定される。
【0249】
図24~26は、熱管理システム18の模式図を示す。熱管理システム18は、リザーバ150、ポンプ25、熱交換器23、バッテリーパック21、三方制御弁180、および制御モジュール27に接続された切替えモジュール181を含む。リザーバ150は、冷却剤流体151を貯蔵するように構成されたタンクである。リザーバ150は、リザーバ150内の流体を冷却剤ループ183に導入して冷却剤ループ183を加圧できるように、冷却剤ループ183と選択的に流体連通する。同様に、必要に応じて、冷却剤ループ183から冷却剤流体を除去して、冷却剤ループ183内の圧力を低減できる。リザーバ150は、大気とさらに連通していてもよく、リザーバ150が満杯でない場合は、冷却剤151の上方に空気ポケット152が位置してもよい。リザーバ150内の冷却剤151のレベルが閾値を下回った場合、バッテリーパック21のユーザは、冷却剤151をリザーバ150に導入できる。
【0250】
三方制御弁180は、リザーバ150が、冷却剤ループ183と選択的に係合して流体連通するように制御可能である。さらに、バッテリーパック21がオフの場合は、三方制御弁180を始動させて、冷却剤が冷却剤ループ183を廻って流動できないように冷却剤ループ183を閉鎖できる。
【0251】
リザーバ150は、冷却剤流体151で部分的に満たされており、空気152で部分的に満たされている。リザーバ150は、冷却剤ループ183内の冷却剤が、リザーバ150内の冷却剤151の圧力による静水圧下に置かれるように、冷却剤ループ183の上方垂直に流体連絡して位置決めされていてもよい。あるいは、リザーバ150内の空気152を加圧して、リザーバ150内の冷却剤151に力を及ぼし、次いでそれにより冷却剤ループ内の冷却剤に力を加えてもよい。
【0252】
図24は、三方制御弁180が閉じている非作動状態の熱管理システム18を示す。非作動状態では、制御弁180は閉じており、閉じた冷却剤ループ内の圧力は、所望の作動圧力に維持される。
【0253】
図25を参照すると、熱管理システム18は、リザーバ150からの冷却剤流体151を冷却剤ループ183へと引き込み、ループ183内の冷却剤の圧力を増加させる加圧サイクルを実行することにより加圧できる。加圧サイクルを実行する場合、切替えモジュール181は、三方制御弁180を始動させて3つの弁のうちの2つを開け、リザーバ150とポンプ25との間に流路を提供する。第3の弁部材は閉じられており、冷却剤ループ183は遮断される。同時に、ポンプ25は、ポンプ25前後に圧力差が作出されるように駆動され、流体がリザーバ150から冷却剤ループ183へと引き込まれる。流体151をリザーバ150から冷却剤ループ183へと引き込むことにより、冷却剤ループ183内の圧力増加が引き起こされる。リザーバを介してダクトを加圧することによりダクトが自立するため、ポンプからのあらゆる流体力学的な圧力損失が排除され、冷却システム内の圧力低下が大幅に低減される。
【0254】
圧力センサー(図示せず)は、加圧サイクル中に冷却剤ループ183内の圧力をモニターし、冷却剤ループ183内の所望の圧力が達成されたら、制御弁180を始動させて、リザーバ150と冷却剤ループとの間の経路を閉じる。同時に、ポンプ25の駆動を停止させて、熱管理システム18を非作動状態に切り替えるか、またはその代わりにポンプ25を駆動させ、熱管理システム18が作動状態で作動するように制御弁180を始動させてさせてもよい。
【0255】
図26は、作動状態の熱管理システム18を示す。作動状態では、制御弁180は、制御弁180を横切る流路が提供され、冷却剤流体が冷却剤ループ183を通って循環することを可能にするように始動される。作動状態にある場合、リザーバ150は、冷却剤ループ183と流体連通していない。制御モジュール27は、冷却剤ループ183内の冷却剤の圧力をモニターして、冷却剤圧力が所望の作動圧力に維持されることを保証できる。冷却剤ループ183内の圧力が閾値を下回った場合、上記に記載のように加圧サイクルを実行して、冷却剤ループ183内の圧力を目標作動圧力まで増加させてもよい。目標作動圧力は、例えば、0.5バール~1.5バールであってもよい。
【0256】
図27は、熱管理システム18の代替的な実施形態を示す。図27に示されているように、熱管理システム18は、リザーバ150の上流に位置決めされている二方制御弁182を含む。ポンプ210は、リザーバ150と二方向制御弁182との間に位置決めされている。ポンプ210は、二方制御弁182が開位置にある場合、空気を大気からリザーバ150へと圧送することによりリザーバ150を加圧するように構成されている。二方制御弁182は、リザーバ150内の所望の圧力が達成されたら閉じてもよい。これにより、リザーバ150内の圧力維持が保証される。
【0257】
図27に図示されているリザーバ150は、冷却剤ループ183と常に流体連通しており、冷却剤ループ183の圧力は、リザーバ150内の空気152の圧力により維持されてもよい。リザーバ150内の圧力をモニターでき、リザーバ内の圧力が目標作動値を下回ったら、バルブ182およびポンプ210を始動させて、リザーバ150を、したがって冷却剤ループ183を目標作動圧力に加圧してもよい。
【0258】
図面、まずは図28~29を参照すると、熱源30の表面積の少なくとも一部に係合することが可能なダクト230が示されており、ダクト230は、ダクト230と熱源30との間の入口52後の最初の係合位置から出口54後の少なくとも1つの最後の係合位置まで、熱源30の長さのすべてまたは一部に沿って、熱源30の表面積の少なくとも一部に沿って延在および係合可能である。熱伝達流体は、ダクト230と熱源30との間の係合可能な表面領域周辺の熱伝達流体を介して、ダクト230と熱源30との間で熱を伝達できるように、ダクト230の内部導管に沿って流動する。ダクト230は、ダクト230と熱源30との係合可能な表面領域間の熱伝達流体を介した可変熱伝達を可能にするように構成されている。
【0259】
ダクト230は、ダクト230の長さに沿った、ダクト230と熱源30との係合可能な表面領域間の熱伝達流体を介した可変熱伝達を可能にするように構成されている。
【0260】
有利なことに、ダクト230の長さに沿った、ダクト230と熱源30との係合可能な表面領域間の熱伝達流体を介した可変熱伝達を可能にするように構成されているダクト230は、熱伝達流体がダクト230の長さに沿って流動する際に進行する熱伝達の結果として、熱伝達流体の温度の変動を補償する。これにより、流体温度などの他のパラメータが変化しても、ダクト230の長さに沿った熱伝達流体を介した熱源30とダクト230との間の均一な熱伝達が保証される。熱源30は、複数のセル30を含むバッテリーパック21を含む。ダクト230は可撓性ダクトであるが、一部の実施形態では、ダクト230は硬性ダクトである。こうした硬性の実施形態では、ダクト230は、金属ダクトまたは金属合金ダクトである。
【0261】
ダクト230は、ダクト230と熱源30との間で熱が交換され得るように、熱源30の表面に近接して位置決めされている。ダクト230は、ダクト230とセル30との間で熱が交換され得るように、セル30の表面に近接して位置決めされている。
【0262】
ダクト230が可撓性ダクト50/230である一実施形態では、ダクト50/230の少なくとも一部に対する支持体として作用するように構成されているポッティング材料231(図30を参照)が提供される。有利なことに、可撓性ダクト50/230は、パック21内の熱源/セル30の表面形状に緊密に追従できると共に、可撓性ダクト50/230の過度な膨張および/または破裂を防止するように作用するポッティング手段231により補強されている。
【0263】
ダクト230は、熱伝達流体を入口52から出口54へと運搬して、熱源/セル30とダクト230との間の係合可能な接触表面から熱伝達流体を介して熱エネルギーを伝達するように構成されており、入口52のダクト230の熱抵抗は、ダクトの出口54の熱抵抗よりも高い。これは、ダクト230の長さに沿ってダクト230の熱抵抗を変化させることにより、熱源/バッテリーパック21にわたる均一な温度分布が促進されるため、有利である。特に、ダクト230が入口でより高い熱抵抗を有することにより、熱伝達流体と熱源/セル30との間の温度差が最も大きい入口52に近接して位置する熱源/セル30の過冷却または過熱が防止される。ダクト230の熱抵抗は、ダクト230の熱抵抗が減少すると共に熱伝達流体と熱源/セル30との間の温度差も減少し、それによりダクト230の長さに沿って均一な出力散逸が促進されるように、ダクト230の長さに沿って線形的にまたは非線形的に変化させる。
【0264】
一実施形態では、ダクト230の壁厚は、図29に図示されているように、出口54と比較して入口52でより厚くてもよい。図29では、出口および入口におけるダクト230の垂直断面が示されおり、ダクト壁厚の変動が図示されている。これは、壁厚を増加させることは、ダクト230の熱抵抗も増加させるため有利である。このようにダクト230の入口の壁厚を増加させることは、ダクト230の熱抵抗も増加させる。
【0265】
実施形態では、ダクトの壁厚は、ダクト230の長手方向の長さに沿って線形的に変化してもよい。別の実施形態では、ダクト230の壁厚は、ダクト230の長手方向の長さに沿って非線形的に変化してもよい。ダクト230の長手方向の長さに沿ってダクト230の壁厚を変化させることは、その長手方向の長さに沿ってダクト230の熱抵抗が変化するという効果を有する。
【0266】
実施形態では、壁厚は、ダクト230の長手方向の長さに沿って実質的に一定の出力散逸が達成されるように変化させてもよい。これは、セル30のアレイ全体にわたって均等な温度分布を促進するため有利である。これは、ダクト230の長さに沿って熱抵抗を増加させることにより達成できる。
【0267】
図31には、一般に番号2000で示されているバッテリーパックの概略断面図が示されている。バッテリーパック2000は、セル2020を熱管理するために使用されるダクト2011を含む。ダクト2011は、マトリックス2002およびフィラー2003を含む可撓性ダクト材料2001を含む。可撓性ダクトは、空気、水、または水-グリコール混合物などの流体2004を運搬する。ダクト材料2001を介して、セル2020と冷却剤204との間で熱が伝達される。
【0268】
マトリックス2002は、可撓性プラスチックまたはポリマー材料であり、この場合、LDPE、LLDPE、HDPEポリエステル、シリコーン、またはゴムである。マトリックス2002は、電気的に絶縁性である。マトリックス2002は、15Wm-1-1未満、理想的には10Wm-1-1、5Wm-1-1、および/または1Wm-1-1未満の熱伝導率を有する。
【0269】
フィラー2003は、フィラー材料の粒子を含み、これらはマトリックス2002全体にわたって分散されている。
好ましい実施形態では、フィラー2003は、NANOCYL(RTM)NC7000シリーズの薄い多層カーボンナノチューブを含むが、炭素、カーボンブラック、グラファイト、グラファイトプレートレット、グラフェン、多層カーボンナノチューブもしくは単層カーボンナノチューブなどの炭素ベースのフィラー材料、または酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、硝酸ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、もしくは酸化亜鉛などのセラミックフィラー材料などの、任意の好適なフィラー材料を使用できる。フィラー材料の粒子は、細長く管状であり、1~10nmの直径および0.5~5nmの長さを有してもよい。あるいは、フィラーの粒子は、実質的に球状であり、平均直径が1nm~10μmであってもよい。
【0270】
フィラー2003の熱伝導率は、マトリックス2002の熱伝導率よりも大きい。理想的には、フィラー2003は、10Wm-1-1よりも大きな、および/または100Wm-1-1よりも大きな熱伝導率を有する。ダクト材料2001は、25容積%未満のフィラー2003、理想的には5~18容積%のフィラー、または15容積%のフィラー2003を含む。限定的な量のフィラー2003をマトリックスに組み込むことにより、低電気伝導率および好ましい機械的特性(つまり、可膨張性ダクトに好適な可撓性)を維持しつつ、熱伝導率の増加が提供される。
【0271】
この例では、ダクト材料2001は、室温で0.33Wm-1-1よりも大きな、理想的には1Wm-1-1および/または10Wm-1-1よりも大きな熱伝導率を有する。これは、ダクト材料2011を介した熱伝達が、従来のポリマーダクトよりも良好であることを意味する。ダクト材料2001の電気伝導率は、非導電性マトリックス2002の電気特性により決定されるため、ダクト材料2001自体は、電気絶縁性である。ダクト材料/マトリックスの性質が電気絶縁性であるため、金属ダクトと比較して短絡のリスクが著しく低減される。
【0272】
ダクト2011は、それがセル2020の壁と接触しない場所でダクト2011を補強するように作用するポッティング材料2005により少なくとも部分的に取り囲まれている。フィラー2003をマトリックス2002内に組み込むことにより、特にフィラー2003が高濃度の場合、ダクト2001の機械的特性を変更できる。これが機械的強度の任意の低減に結び付く場合、補強材料5を使用してそのような効果を相殺できる。この実施形態は、代替形態として、または可変壁厚の実施形態と組み合わせて使用できる。
【0273】
今度は図32および図33を参照すると、外側ガイド形成物、内側ガイド形成物、およびそれら間のガイドチャネル1205有するさらなる支持構造1201が示されている。支持構造1201は、ダクトが方向を変える際の、可撓性ダクトの捻れ、膨らみ、および/または破裂を防止するために使用される。支持構造1201は、アレイの各列の端部に位置決めされているセルが、アレイの中心に位置するセルと実質的に同じ、ダクトとの熱接触面積を有するような寸法である。支持構造1201は、端部セルの部分をダクトとの熱接触から遮蔽または断熱することにより、これを達成する。
【0274】
支持構造1201の外側ガイド形成物は、外側直立部1208、および外側パックケーシングの壁1210の内側表面1211の組合せにより形成される(図33を参照)。外側直立部1208は、セルのアレイの縁部にある少なくとも1つのセルに隣接して配置されている。外側直立部1208は、セル側壁の形状に合わせて湾曲しているセル当接面1235、およびセル当接面1235から延在する外側支持面1209を有するブロックである。外側直立部1208は、バッテリーパックハウジング1236の下部クラムシェル1237と一体的に形成されている。
【0275】
可膨張性ダクトは、直立部1208の外側支持面1209およびバッテリーパック壁1210の内側表面1211の両方により支持される。バッテリーパック壁1210を外側ガイド形成物の一部として使用すると、より大きな支持構造の必要がなくなり、したがって、バッテリーパックの幅が低減され、バッテリーパック内のデッドスペースが排除される。
【0276】
支持構造1201の内側ガイド形成物は、内側直立部1206aおよびインターフェース部分1206bとの組合せにより形成される。内側直立部1206aは、外側直立部1208と同様に構築されている。内側直立部1206aは、バッテリーパックハウジング1238の下部クラムシェル1237と一体的に形成されているブロックである。内側直立部1206aは、外側ガイド形成物に対してガイドチャネル1205の反対側に配置されている。内側直立部1206aは、2つの隣接した離間されているセルに当接するための2つの湾曲したセル当接面1239a、1239bを有する。
【0277】
内側直立部1206aは、セル当接面1239a、1239b間に延在する内側支持面1207をさらに有する。内側直立部1206aの内側支持面1207は、実質的に平坦な部分、および実質的に平坦な部分からセルの側壁に向かって延在する実質的に湾曲した部分を有する。内側支持面1207は、ダクトに対する支持を提供し、それによりダクトが膨らんで端部セル130を包み込むことが防止される。
【0278】
インターフェース部分1206bは、セルの表面に接着された圧縮性パッドにより提供される。具体的には、パッドは、連続気泡ポリ塩化ビニル(PVC)テープである。あるいは、独立気泡PVCもしくはポリウレタン発泡体、または他の好適な圧縮性材料を使用できる。使用時には、内側ガイド形成物のインターフェース部分1206bは、第1の部分1206aのセル当接面1239aから、それが接着されるセルの部分付近に延在する。可撓性ダクト(図示せず)は、膨張すると、内側直立部1206aおよび内側ガイド形成物のインターフェース部分1206bに圧接する。
【0279】
インターフェース部分1206bは、ダクトと、それが取り付けられている周縁セルとの間の熱接触を制限するために使用される。インターフェース部分1206bは、ダクトがガイド経路1205内に配置されると、ダクトが、インターフェース部分1206bの領域で端部セルと接触しないように、端部セルの外側表面を包み込む。熟練の読者であれば、インターフェース部分1206bが端部セル周囲に延在する程度は、ダクトとセルとの間の必要とされる熱接触に依存することを理解するだろう。インターフェース部分1206bは、ダクトが、アレイ内の任意の他のセルよりも多く端部セルと接触しないことを保証するように、端部セル周囲に十分に延在しなければならない。
【0280】
当業者であれば、内側直立部1206aおよびインターフェース部分1206bは両方とも圧縮性であってもよく、および/または互いに一体的に接続されていてもよいことを理解するだろう。インターフェース部分1206bは、下部クラムシェル1237と一体的に形成されていてもよい。
【0281】
今度は図34~36を参照すると、支持構造のまたさらなる実施形態が示されており、一般に参照番号1301で示されている。この実施形態の支持構造1301は、外側ガイド形成物1308、内側ガイド形成物1306、およびそれら間のガイドチャネル1305を有する。支持構造1301は、ダクトが方向を変える際の可撓性ダクトの捻れ、膨らみ、および/または破裂を防止するために使用される。支持構造1301は、アレイの各列の端部に位置決めされているセルが、アレイの中心に位置するセルと実質的に同じ、ダクトとの熱接触面積を有するような寸法である。支持構造1301は、端部セルの部分をダクトとの熱接触から遮蔽または断熱することにより、これを達成する。
【0282】
支持構造1301の外側ガイド形成物は、第1の外側直立部1308a、第2の外側直立部1308b、および外側パックケーシングの壁1310の内側表面1311の組合せにより形成されている(図36を参照)。第1および第2の直立構造1308a、1308bは離間されており、両方とも支持構造基部1312に接続されている。バッテリーパックハウジング1338の下部クラムシェル1337は、セルのアレイの縁部に支持構造基部1312を収容するための適切な凹部を含んでいてもよいが、任意選択の実施形態では、支持構造1301は、下部クラムシェル1337と一体的に形成されていてもよい。
【0283】
可膨張性ダクトは、第1の外側直立部1308a、第2の外側直立部1308b、およびバッテリーパック壁1310の内側表面1311により支持される。外側ガイド形成物の一部としてバッテリーパック壁1310を使用すると、より大きな支持構造の必要がなくなり、したがって、バッテリーパックの幅が低減され、バッテリーパック内のデッドスペースが排除される。
【0284】
直立構造1308a、1308bは、湾曲しており、ガイド形成物1305の角部を画成する。直立構造1308a、1308b間の隙間は、バッテリーパック内にダクトを配置する際に支持構造1301を介して余分な量のダクトを引っ張るために使用できる。第1の外側直立部1308aと第2の外側直立部1308bは、ダクトが膨拡して、ダクトが端部セルの外側を包み込み、端部セルとダクトとの熱接触の増加が引き起こされてしまうことを防止する。
【0285】
支持構造は、可撓性ダクトを支持するのに十分な硬性を有する任意の好適な硬性、半硬性、または圧縮性の材料、例えば、金属、プラスチック、またはゴムで製作できる。重要な例では、支持構造は、バッテリーパック内で使用されるポッティング材料で製作されているか、またはバルクポッティング化合物と同様の熱伝播防止特性を保有する。例えば、支持構造は、ポッティング材料を好適な型に注ぎ入れることにより、または例えば、予め硬化された断熱発泡体のブロックから支持構造を切り出すことにより製造できる。代替の形態では、支持構造は、バッテリーパックの壁と、例えば上部または下部クラムシェルのいずれかと一体的に形成されていてもよい。そのような例では、支持構造は、バッテリーパック内の挿入物ではなく、プラスチックシェルから押し出されている。
【0286】
熟練の読者であれば、本出願の範囲から逸脱することなく、本発明に種々の変更および改変をなし得ることを理解するだろう。本明細書に記載の熱管理システムは、1つまたは複数の個々のセルを有する任意の種類のバッテリーパックと共に使用できる。例えば、本発明は、長距離輸送トラックの補助動力ユニット(APU)内のバッテリーパック、バッテリー式電気車両もしくはハイブリッド車両の牽引バッテリー、エネルギー貯蔵システム、または熱管理を必要とする海洋、航空宇宙、自動車、工業、およびエネルギー貯蔵分野における任意の他のバッテリーパックに採用できる。
【0287】
可撓性ダクト50は、セル30を取り囲むケーシングシース、または熱伝導性フィラー、ペースト、もしくは接着剤などのインターフェース領域またはインターフェース材料を介して、1つまたは複数のセル30の側面または任意の他の表面と間接的に接触していてもよい。任意選択の実施形態では、可撓性ダクトは、セルの端部表面と少なくとも部分的に接触していてもよい。
【0288】
本発明の上述の考察では、矛盾する記載のない限り、パラメータの許容範囲の上限または下限の代替値の開示は、値の一方が、他方よりも非常により好ましいことを示すことと相まって、代替値のより好ましい値とより好ましくない値との間にあるパラメータの各中間値はそれ自体が、より好ましくない値よりも、また、より好ましくない値と中間値との間にある各値よりも好ましいということを示唆する記載であると解釈されるべきである。
【0289】
それらの特定の形態で、あるいは開示されている機能を実施するための手段または本開示の結果を得るための方法もしくはプロセスの観点で表されている、前述の記載または以下の図面で開示されている特徴は、必要に応じて、別々にまたはそのような特徴を任意に組み合わせて、本発明をそれらの多様な形態で実現するために使用できる。
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