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特許7399186スペーサを備えた容量性ブロックおよび容量性ブロックを組み立てるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】スペーサを備えた容量性ブロックおよび容量性ブロックを組み立てるための方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/224 20060101AFI20231208BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20231208BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20231208BHJP
   H01G 4/32 20060101ALI20231208BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20231208BHJP
   H01G 2/02 20060101ALN20231208BHJP
【FI】
H01G4/224 200
H01G2/10 M
H01G4/228 S
H01G2/10 K
H01G4/32 301F
H01G4/32 540
H01G13/00 307Z
H01G13/00 321K
H01G13/00 341
H01G2/02 101E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021560518
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020059631
(87)【国際公開番号】W WO2020201536
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】1903709
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521442084
【氏名又は名称】ヴァレオ、シーメンス、イーオートモーティブ、フランス
【氏名又は名称原語表記】VALEO SIEMENS EAUTOMOTIVE FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、ブル
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、ジレ
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182066(JP,A)
【文献】特開2013-069966(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012205310(DE,A1)
【文献】特開2014-229725(JP,A)
【文献】特表2015-509289(JP,A)
【文献】国際公開第2013/113691(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/105496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/224
H01G 2/10
H01G 4/228
H01G 4/32
H01G 13/00
H01G 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気機器用の、容量性ブロック(1)であって、
ハウジング(3)と、
前記ハウジング(3)に収容された第1の端部(7)と、前記第1の端部(7)とは反対側にあるとともに前記ハウジング(3)の外側に延びる第2の端部(9)と、を有する少なくとも1つの容量性素子(5)と、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)に固定されたエンドストップ(11)と、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)と前記ハウジング(3)の底部(15)との間の距離を決定するように、前記エンドストップ(11)に当接した少なくとも1つのスペーサ(13)と、
を備え
前記容量性素子(5)の前記第1の端部(7)で前記容量性素子(5)を封止するように、樹脂であるポッティング材(12)が、前記ハウジング(3)に少なくとも部分的に充填され、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)が、前記ポッティング材(12)の外側に延びている、容量性ブロック(1)。
【請求項2】
前記スペーサ(13)は、前記ハウジング(3)の前記底部(15)から延びている、請求項に記載の容量性ブロック(1)。
【請求項3】
電気機器用の、容量性ブロック(1)であって、
ハウジング(3)と、
前記ハウジング(3)に収容された第1の端部(7)と、前記第1の端部(7)とは反対側にあるとともに前記ハウジング(3)の外側に延びる第2の端部(9)と、を有する少なくとも1つの容量性素子(5)と、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)に固定されたエンドストップ(11)と、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)と前記ハウジング(3)の底部(15)との間の距離を決定するように、前記エンドストップ(11)に当接した少なくとも1つのスペーサ(13)と、
を備え、
前記スペーサ(13)は、前記ハウジング(3)の前記底部(15)から延びている、容量性ブロック(1)。
【請求項4】
少なくとも2つのスペーサ(13)を備え、
前記スペーサ(13)が、前記ハウジング(3)の前記底部(15)に均一に分配されている、請求項1~のいずれか一項に記載の容量性ブロック(1)。
【請求項5】
電気機器用の、容量性ブロック(1)であって、
ハウジング(3)と、
前記ハウジング(3)に収容された第1の端部(7)と、前記第1の端部(7)とは反対側にあるとともに前記ハウジング(3)の外側に延びる第2の端部(9)と、を有する少なくとも1つの容量性素子(5)と、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)に固定されたエンドストップ(11)と、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)と前記ハウジング(3)の底部(15)との間の距離を決定するように、前記エンドストップ(11)に当接した少なくとも2つのスペーサ(13)と、
を備え、
前記スペーサ(13)が、前記ハウジング(3)の前記底部(15)に均一に分配されている、容量性ブロック(1)。
【請求項6】
前記スペーサ(13)は、円筒形または円錐形の形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の容量性ブロック(1)。
【請求項7】
前記容量性素子(5)の前記第1の端部(7)は、前記容量性素子(5)の第1の電極を含み、
前記容量性ブロック(1)は、前記第1の電極に電気的に接続するように前記第1の電極に押し付けられる第1の電気端子(23)を備え、
前記第1の電気端子(23)は、前記スペーサ(13)が通過する少なくとも1つの開口部(25)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の容量性ブロック(1)。
【請求項8】
電気機器用の、容量性ブロック(1)であって、
ハウジング(3)と、
前記ハウジング(3)に収容された第1の端部(7)と、前記第1の端部(7)とは反対側にあるとともに前記ハウジング(3)の外側に延びる第2の端部(9)と、を有する少なくとも1つの容量性素子(5)と、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)に固定されたエンドストップ(11)と、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)と前記ハウジング(3)の底部(15)との間の距離を決定するように、前記エンドストップ(11)に当接した少なくとも1つのスペーサ(13)と、
を備え、
前記容量性素子(5)の前記第1の端部(7)は、前記容量性素子(5)の第1の電極を含み、
前記容量性ブロック(1)は、前記第1の電極に電気的に接続するように前記第1の電極に押し付けられる第1の電気端子(23)を備え、
前記第1の電気端子(23)は、前記スペーサ(13)が通過する少なくとも1つの開口部(25)を含む、容量性ブロック(1)。
【請求項9】
前記ハウジング(3)は、前記底部と、前記底部(15)から延びる側壁(17)とによって形成され、前記ハウジング(3)の内部容積を画定する、請求項1~のいずれ一項に記載の容量性ブロック(1)。
【請求項10】
前記エンドストップ(11)は、前記容量性ブロック(1)の第2の電気接続端子(27)を含み、前記第2の電気端子(27)は、前記容量性素子(5)の前記第2の電極に電気的に接続するように前記容量性素子(5)の前記第2の電極に押し付けられる、請求項1~のいずれか一項に記載の容量性ブロック(1)。
【請求項11】
容量性ブロック(1)を組み立てるための方法であって、
両側の端部である第1の端部(7)および第2の端部(9)を有する容量性素子(5)であって、エンドストップ(11)が前記第2の端部(9)に固定された、容量性素子(5)を準備するステップと、
前記容量性ブロック(1)の第1の電気端子(23)を、前記第1の端部(7)に構成される前記容量性素子(5)の第1の電極に接続するとともに、前記容量性ブロック(1)の前記第2の電気端子(27)を、前記第2の端部(9)に構成される前記容量性素子(5)の前記第2の電極に接続するステップであって、前記第2の電気端子(27)は前記エンドストップ(11)に構成される、ステップと、
前記容量性素子(5)を、その第1の端部(7)を介してハウジング(3)に取り付けるステップであって、前記第2の端部(9)が前記ハウジング(3)の外側になる、ステップと、を含み、
前記取り付けステップは、
前記容量性素子(5)の前記第2の端部(9)と前記ハウジング(3)の底部(15)との間の距離を決定するように、少なくとも1つのスペーサ(13)を前記エンドストップ(11)に当接させることと、
前記スペーサ(13)を、前記エンドストップ(11)に当接させるように、前記第1電気端子(23)の開口部(25)を通過させることと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記容量性素子(5)と前記ハウジング(3)の周縁壁(15、17)との間の空間を、完全ではないにしても、少なくとも部分的に充填するように、前記ハウジング(3)に流体ポッティング材(12)を少なくとも部分的に充填するステップと、
熱によって、前記ポッティング材(12)を、硬化させるステップと、
を含む、請求項11に記載の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電気機器用の、例えば自動車に搭載される、容量性ブロックに関する。このような電気機器は、インバータ、電圧コンバータ、または電池充電器であってもよい。
【背景技術】
【0002】
知られているように、容量性ブロックでは、容量性素子をケーシング内に配置し、主として容量性素子を保持する機能と水分から保護する機能とを有するポッティング材に埋め込んでいる場合がある。このようなポッティング材は、一般的には樹脂で形成されている。容量性素子は、例えば、コンデンサの端子に巻かれたフィルムから作製されている。一般的に、容量性素子は樹脂に完全に埋め込まれており、容量性ブロックの外側はケーシングの外壁と樹脂で形成された一つの面とで形成されている。この面から、電気端子のみが樹脂の外側に延びている。しかしながら、特定の用途、特に電気自動車においては、電子部品の小型化が望まれている。この容量性ブロック構造では、ケーシングと樹脂が無視できないスペースを占めている。さらに、樹脂を流動させるために、容量性素子とケーシングの側壁との間のスペースを確保する必要がある。
【0003】
容量性ブロックには、ケーシングが容量性素子の高さよりも小さい高さにわたっているものが知られている。ケーシングは、容量性ブロックの電気端子と容量性素子の電極との間の電気的接続部を構成する容量性ブロックの一端に、樹脂を受容するのに十分な大きさの皿を形成している。
【0004】
しかしながら、ある同じモデルの容量性素子が、製造方法に起因する不確実性のために、高さが異なる場合がある。そのため、同じ容量性ブロックでも、容量性素子が異なる高さを有する場合がある。さらに、工業的な製造プロセスでは、1つの容量性ブロックから別の容量性ブロックまで、容量性素子が異なる高さを有する場合があり、製造される容量性ブロックの寸法の再現性に影響を与える。特に電気機器で重要なことは、容量性ブロックに電気エネルギーを供給する際に発生する熱を放出させるために、容量性ブロックを冷却する必要があることである。そのために、電気機器には一般的に冷却回路が設けられている。放熱を最適化するためには、容量性ブロックの1つの面全体を、この冷却回路に密接させて押し付ける必要がある。容量性ブロックの容量性素子同士の高さに差があると、容量性ブロックの面を冷却回路に均一に密接させて押し付けることができない場合がある。それにもかかわらず、1つの容量性ブロック内の高さを均一にするための対策を行った場合、同じモデルの容量性ブロック同士で違いがあると、その容量性ブロックを構成する電気機器の寸法の連続性に支障を来す可能性がある。容量性ブロックごとに高さが特定されることは、工業規模での製造には適していない。
【0005】
そのため、嵩高さが制限されながらも、容量性素子の製造上の不確実性に対してある程度の柔軟性を維持できる容量性ブロックが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、特に電気機器用の、容量性ブロックであって、ハウジングと、前記ハウジングに収容された第1の端部と、第1の端部とは反対側にあるとともに前記ハウジングの外側に延びる第2の端部と、を有する少なくとも1つの容量性素子と、容量性素子の第2の端部に固定されたエンドストップと、容量性素子の第2の端部と前記ハウジングの底部との間の距離を決定するように、前記エンドストップに当接した少なくとも1つのスペーサと、を備えた容量性ブロックに関する。
【0007】
このように、スペーサは、ハウジングの底部に対して前記容量性素子を支持する。ハウジングの底部と容量性素子の第2の端部との間の容量性ブロックの高さは、スペーサによって設定され、これは、容量性素子の高さに関する不確実性にもかかわらず、容量性ブロックの高さが制御されることを意味する。底部は、例えば、ハウジングの壁、特に周壁であり、容量性素子の第1の端部に面している。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、ポッティング材、特に樹脂が、容量性素子の第1の端部で容量性素子を封止するように、前記ハウジングに少なくとも部分的に充填される。変形例によれば、ポッティング材は、電気絶縁体であり、したがって、第1の端部を受け入れるハウジングに対して、第1の端部の電気的絶縁を提供する。
【0009】
この樹脂は、容量性ブロックに使用するのに有利な多くの特性を有している。特に、樹脂はハウジングの充填時に流動性がある。この流動性により、ハウジング内、容量性素子同士の間、容量性素子の接続部に樹脂を均一に分配させることができる。また、樹脂は加熱することで硬化し(硬質になり)、効果的に重合する。そのため、重合工程の後、樹脂は固体となる。このような重合は、オーブンで加熱することで実現できる。このようにして、樹脂が容量性素子の一端部を囲み、その端部を封止する。さらに、重合した樹脂によってハウジングの底部が硬くなって固体になり、容量性ブロックをヒートシンクに密接させて押し付ける際に、底部の外面を介して効果的な当接ができる。
【0010】
変形例では、容量性素子の第2の端部は、前記ポッティング材の外側に延びている。容量性素子の一部だけがハウジング内にある。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、ハウジングは、底部と、前記底部から延びる側壁とによって形成され、前記ハウジングの内部容積を画定する。ハウジングの底部は、容量性素子の端部を構成すると同時に、容量性素子と弾性部材との間の電気絶縁体として機能する。特に、側壁が、容量性素子の第2の端部に向かって延びている。
【0012】
変形例では、側壁は、容量性素子の第2の端部の手前で止まっている。したがって、ハウジングは、容量性素子の第1の端部のみで構成されている。側壁は、特に、容量性素子の高さの半分未満、さらには3分の1未満または4分の1未満の高さで止まっている。したがって、ハウジングのサイズは小さくなり、これにより、容量性ブロックの嵩高さも同様に小さくなる。
【0013】
変形例では、工業規模の製造プロセスに有利な迅速かつ均一な充填のために、ハウジングの側壁が外向きに傾斜している場合がある。このことは、特にハウジングの底部に平行な平面において、側壁の縁で区切られた領域が、ハウジングの底部の領域よりも大きいことを意味している。容量性ブロックが占めるスペースは、少なくとも部分的には、ハウジングの側壁の範囲に依存する。側壁が延びる範囲が小さいほど、容量性ブロックが占めるスペースは小さくなる。それにも関わらず、この変形例では、ポッティング材に埋め込まれている容量性素子の第1の端部の封止を可能にするために、少なくとも最小の範囲を確保することが好ましい。
【0014】
ある変形例では、ポッティング材は、前記側壁の高さよりも低い高さまで延びている。特に、これにより、あふれ出すリスクが低減されるため、重合前の容量性ブロックの取り扱いが容易になる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、スペーサは、ハウジングの底部から延びている。
【0016】
本発明の一実施形態では、容量性ブロックは、少なくとも2つのスペーサを備えており、これらのスペーサは、ハウジングの底部に均一に分配されている。これにより、スペーサとエンドストップが互いに当接する位置が均一に分配される。これにより、容量性素子がスペーサに対してアンバランスになることを回避できる。このようなアンバランスは、容量性素子が傾く原因となり得て、その結果、容量性素子の第2の端部において、容量性ブロックの外面が、ハウジングの底部に対して非平行になる。これは、容量性ブロックがヒートシンクに密接して押し付けられている場合に、特に悪影響を及ぼす。このような密接な押し付けは、例えば、容量性ブロックの反対側の外面をヒートシンクに当接させるために、応力のかかった弾性部材をハウジングの底部の外面に押し付けることによって達成される。容量性ブロックをヒートシンクに密接して押し付けることで生じる熱の放出は、密接して押し付けた表面の面が、弾性部材によって押された表面と平行である場合に最適となる。少なくとも2つのスペーサは、エンドストップ上のどの位置においても、エンドストップと前記ハウジングの底部との間の等しい距離を決定する。したがって、これらは、エンドストップをハウジングの底部と平行に維持することに貢献する。スペーサは、弾性部材によって加えられる密接した押圧力の均一な分配を促すことができる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、スペーサは、円筒形または円錐形の形状を有する。
【0018】
本発明の一実施形態では、容量性素子の第1の端部は、容量性素子の第1の電極を含み、容量性ブロックは、第1の電極に電気的に接続するように、第1の電極に押し付けられる第1の電気端子を含み、前記第1の電気端子は、前記スペーサが通過する少なくとも1つの開口部を含む。第1電気端子の開口部により、省スペース化を図ることができる。具体的には、ハウジングの底部において、第1の電気端子の周囲に張り出しを設けることが不要になる。このような張り出しは、スペーサを受容して、第1電気端子の近傍を通ってエンドストップに向かってスペーサを延ばす。第1の電気端子に設けられた開口部のおかげで、このような張り出しを不要にでき、容量性ブロックの嵩高さを減らすことができる。開口部は、様々な形状を有していてもよい。任意の可能性のある形状の穴で構成されていてもよい。開口部は、第1電気端子の一つの縁から形成された切り欠きであってもよい。開口部は、切り抜きなどの他の任意の手段で得られてもよい。開口部は、エンドストップに当接できるようにスペーサを通過させることができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、エンドストップは、容量性ブロックの第2の電気接続用電気端子を備え、前記第2の電気端子は、容量性素子の前記第2の電極に電気的に接続するように、容量性素子の第2の電極に押し付けられている。変形例では、前記第2の電極は、容量性素子の第2の端部に構成される。
【0020】
変形例によると、第2の電気端子と容量性素子の第2の電極との間の電気的接続は、金属溶射によって得られる。金属溶射の操作は、特に、金属溶射によって、容量性素子の電極と対応する電気端子との間の機械的接続および電気的接触を得ることである。
【0021】
変形例では、第2の電気端子と容量性素子の第2の電極との間の電気的接続、特に金属溶射によって得られる電気的接続が、当該電気的接続を封止するようにラッカーで覆われる。特に、ラッカーは、容量性素子の第2の端部の全体に広がっている。ラッカーは、嵩張ることなく第2の端部の封止を提供する。ラッカーは、例えば、シリコンラッカーである。
【0022】
特に、第1の電気端子または第2の電気端子は、導電性のプレートまたはシートであってもよい。特に、第1の電気端子または第2の電気端子は、容量性素子と、容量性ブロックの外部にある素子との接続を提供する。
【0023】
本発明はまた、容量性ブロックを組み立てるための方法に関し、
両側の端部である第1の端部と第2の端部とを有する容量性素子を準備するステップであって、エンドストップが第2の端部に固定されている、ステップと、
第2の端部が前記ハウジングの外側になるように、前記容量性素子を、第1の端部を介してハウジングに取り付けるステップと、
を含み、
前記取り付けステップは、前記容量性素子の第2の端部と前記ハウジングの底部との間の距離を決定するために、少なくとも1つのスペーサを前記エンドストップに当接することを含む。このように、高価で複雑な、または嵩張るツールの製造および使用が回避される。
【0024】
一実施形態によると、本方法は、
前記ハウジングの周縁壁と前記容量性素子との間のスペースを完全にではないが少なくとも部分的に充填するように、前記ハウジングに流体ポッティング材を少なくとも部分的に充填するステップと、
容量性素子をケーシングに固定するために、特に加熱して、ポッティング材を硬化させるステップと、
を含む。
【0025】
このようにして、容量性素子はハウジングに固定され、容量性ブロックの第1の端部は封止され、容量性ブロックは制限された嵩高さを有する。
【0026】
本発明は、以下の図を参照することでよりよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の例示的な一の実施形態による容量性ブロックを示す図である。
図2図2は、図1の容量性ブロックのハウジングを形成するケーシングを示す図である。
図3図3は、図1の容量性ブロックの電気端子を示す図である。
図4図4は、図1の容量性ブロックをケーシングなしで示した図である。
図5図5は、容量性ブロックの容量性素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の例示的な一の実施形態による容量性ブロック1を示す。容量性ブロック1は、ケーシング14を備えている。このケーシング14は、ハウジング3を形成している。ケーシング14は、特に、底部15と、底部15から延びる側壁17と、を含む。底部15および側壁17は、ハウジング3の内部容積を画定している。ケーシング14は、容量性素子5の第1の端部7をハウジング3に受け入れる。第1の端部7は、前記内容積に含まれる樹脂などのポッティング材12に埋め込まれている。
【0029】
図示の例では、4つの容量性素子5がハウジング3内に並んで配置されている。以下では、容量性素子5のうちの1つの5aだけを参照して例を説明するが、その説明は他の容量性素子5にも容易に適用できる。容量性素子5の一例が図5に示されている。容量性素子5は、特に、その第1の端部7によって形成される第1の電極と、第1の端部7とは反対側の端部である第2の端部9によって形成される逆極性の第2の電極と、を含んでいる。あるいは、容量性素子5が有するその電極は、単一の端部7、9に共に設けられていてもよい。容量性素子5は、例えば、フィルムコンデンサである。容量性素子5の外側の湾曲は、特に、容量性素子の製造方法に由来する。容量性素子5は、特にメタライズ工程の後に、平坦な円筒の形に巻かれたフィルムで構成され、円筒の端部がコンデンサの電極を形成する。
【0030】
容量性素子5の第1の端部7は、ハウジング3に含まれるポッティング材12に埋め込まれている。容量性素子5の第2の端部9は、ハウジング3の外側に延びている。容量性素子5の第2の端部9では、エンドストップ11が容量性素子5に固定されている。スペーサ13は、容量性素子5の第2の端部9とハウジング3の底部15との間の距離を決定するように、ハウジング3の底部15から延びてエンドストップ11に当接する。図示の例では、4つのスペーサ13で構成されているが、以下では、容量性素子5aに関連する2つのスペーサ13a、13bを参照して例を説明するが、この説明は、他の容量性素子5およびその対応するスペーサ13にも容易に適用可能である。
【0031】
特に、容量性ブロック1は、容量性素子5と外部素子とを接続するように構成された第1電気端子23を備えている。特に、第1の電気端子23は、容量性素子5の第1の電極と電気的に接触するために、第1の端部7に当接している。この目的のために、第1電気端子23は、特に、容量性素子5の第1電極に半田付けされるトング部23Lを含む。また、第1電気端子23は、スペーサ13がエンドストップ11に当接するために通過する開口部25をさらに備えている。
【0032】
容量性素子5は、第1の電気端子23と、エンドストップ11とを備えて、例えば図4に描かれているように、露出した容量性ブロック1N、すなわちケーシング14が無い容量性ブロック1を形成する。その後、露出した容量性ブロック1Nは、ケーシング14のハウジング3に取り付けられる。この取り付けの際に、スペーサ13が第1の電気端子23の開口部25に入るように、容量性ブロック5の第1の端部7がケーシング14に導入される。容量性素子5のケーシング14内への導入は、スペーサ13の頂部とエンドストップ11との接触によって止まる。ケーシング14におけるスペーサ13の位置は、開口部25の位置に対応するように設計されている。しかしながら、スペーサ13は、容量性素子5とハウジング3の底部15の縁との間、つまり、特に容量性素子5と側壁17との間の空きスペースに位置している。したがって、ハウジング3に取り付けられると、露出した容量性ブロック1Nはスペーサ13によって支持される。特に、ハウジング3の底部15と第1電気端子23との間には、空間が残っている。つまり、第1の電気端子23を備えた容量性素子5は、スペーサ13によって吊り下げられた状態が維持される。
【0033】
特に、ケーシング14の側壁17は、ポッティング材12が容量性素子5の第1電気端子23および第1端部7を包み込む高さまで延びている。
【0034】
エンドストップ11は、特に、容量性ブロック5の第2電気接続端子27を含んでいる。第1の電気接続端子23と同様に、第2の電気接続端子27は、特に、容量性素子5を外部の素子と接続するように構成されている。この目的のために、第2の電気接続端子27は、容量性素子5の第2の端部9上で、容量性素子5の第2の電極に当接し、この電極は、特に第2の端部9によって形成される。特に、容量性素子5の第2の端部9の全体にラッカーを塗り拡げて、第2の端部9にシーリングを施す。
【0035】
特に、第1の電気接続端子23は、パワーエレクトロニクスモジュールとの接続を意図した端部31を含んでいる。特に、第2の電気接続端子27は、電力供給源、特に電池との接続を意図した端部33を含んでいる。
【0036】
図2に見られるように、エンドストップ11の安定した保持、ひいては容量性素子5の安定した保持を提供するように、スペーサ13は底部15に均一に分配されている。
【0037】
スペーサ13は、特に、多角形断面の円錐形状を有している。しかしながら、種々の形状、例えば、円筒形、円錐形、丸みを帯びた断面を持つロッドの形状を有することもできる。エンドストップ11に向かって先細になる形状は、堅固な土台の利点と、取り付け時の通過のしやすさを兼ね備えている。
【0038】
記載された容量性ブロック1の例は、他の点では欧州特許出願EP3197035の公報に記載されているものと類似しており、その記載は本願に組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5