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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/02 20060101AFI20231208BHJP
   F04C 18/02 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
F04C29/02 361A
F04C18/02 311W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021572183
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2020002072
(87)【国際公開番号】W WO2021149180
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々野 航
(72)【発明者】
【氏名】増本 浩二
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 祐司
(72)【発明者】
【氏名】達脇 浩平
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/104863(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169596(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/177851(WO,A1)
【文献】特開平02-005787(JP,A)
【文献】特開2000-213476(JP,A)
【文献】国際公開第2017/158809(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/02
F04C 18/02
F04B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻を構成し、油が溜まる油溜まりが下部に形成されたシェルと、
前記シェルの内部に設けられるモータと、
前記シェルの内部に設けられ、前記モータによって駆動して作動ガスを圧縮する圧縮部と、
前記シェルに固定され、前記圧縮部を支持するフレームと、
前記フレームに支持され、前記モータと前記圧縮部とを接続して前記モータの回転力を前記圧縮部に伝達し、内部に油が流れる油通路が形成された軸部と、
前記軸部の下部に設けられ、前記油溜まりから吸い上げた油を前記油通路に供給し、前記油通路に流れる油の圧力が圧力閾値より高い場合に開いて、一部の油を前記油溜まりに戻すバイパス弁を有する油ポンプと、
を備え、
前記圧縮部は、
前記シェルの内部に固定された固定スクロールと、
前記軸部の上端部が接続されるボス部を有し、前記固定スクロールと共に前記作動ガスを圧縮する圧縮室を形成し、下面にスラスト面が形成された揺動スクロールと、
前記揺動スクロールの前記スラスト面に設けられるスラストプレートと、を有し、
前記揺動スクロールには、
前記油通路と前記スラスト面とを接続し、前記油通路に流通する油を供給する供給孔が形成されており、
前記スラストプレートには、
前記揺動スクロールが揺動する際に、前記供給孔に連通する給油孔が形成されており、
前記供給孔は、
前記油通路から側方に延びる第1の穴と、
前記第1の穴から下方に延びて前記第1の穴と前記スラスト面とを接続する第2の穴と、からなるものであり、
前記揺動スクロールが揺動運動している際に、前記第2の穴と前記給油孔との連通又は非連通が間欠的に実施され、
前記第2の穴と前記給油孔とが連通する時間は、低速運転時よりも高速運転時の方が短く、高速運転時において、前記第2の穴と前記給油孔とが連通する時間が短くなることによって、前記油通路に流れる油の圧力が高くなり、圧力閾値を超えて前記バイパス弁が開になるものであり、
前記油ポンプは、
前記バイパス弁が閉じているときの容積が、前記バイパス弁が開いているときの容積の2倍以上である
圧縮機。
【請求項2】
前記揺動スクロールは、
中心から外側に渦を巻いている揺動渦巻歯を有し、
前記第2の穴は、
前記揺動スクロールの中心に対し、前記揺動渦巻歯の巻き終わりの点対称の位置に形成されている
請求項記載の圧縮機。
【請求項3】
前記供給孔は、
前記揺動スクロールに複数形成されており、
前記給油孔は、
前記スラストプレートに複数形成されている
請求項1又は2記載の圧縮機。
【請求項4】
前記油ポンプは、
前記バイパス弁を閉じる方向に付勢するバネを更に有する
請求項1~のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記油ポンプは、
前記バイパス弁を押さえる弁押さえを更に有する
請求項1~のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記油ポンプは、
前記バイパス弁が設けられる弁座が傾斜している
請求項記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作動ガスを圧縮する圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作動ガスを圧縮する圧縮機として、冷凍用途又は空調用途等のスクロール圧縮機が知られている。スクロール圧縮機は、渦巻状の突起がそれぞれ設けられた固定スクロールと揺動スクロールとを組み合わせた圧縮部において、揺動スクロールを旋回することによって、冷媒等の作動ガスを圧縮する。圧縮機は、揺動スクロールを円滑に旋回するために、主軸受及び副軸受という2個の軸受によって支持された軸部を、モータによって回転している。
【0003】
特許文献1には、トロコイド型等の容積一定の容積ポンプであるポンプ部を有するスクロール圧縮機が開示されている。特許文献1は、ポンプ部によってシェルの下部に形成された油貯留空間から油が吸い上げられ、軸受及び圧縮部等に油が供給される。これにより、特許文献1は、軸受及び圧縮部が摩耗することを保護しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-350383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたスクロール圧縮機は、容積一定の容積ポンプを使用している。容積ポンプは、構造上、単位時間当たりに吸い上げる揚油量が回転数に依存する。特許文献1は、容積一定の容積ポンプを使用しているため、圧縮部の回転数が多い高速運転時に給油量が増加して、油上がりが増加するおそれがある。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、圧縮部の高速運転時において油上がりが増加することを抑制する圧縮機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る圧縮機は、外殻を構成し、油が溜まる油溜まりが下部に形成されたシェルと、シェルの内部に設けられるモータと、シェルの内部に設けられ、モータによって駆動して作動ガスを圧縮する圧縮部と、シェルに固定され、圧縮部を支持するフレームと、フレームに支持され、モータと圧縮部とを接続してモータの回転力を圧縮部に伝達し、内部に油が流れる油通路が形成された軸部と、軸部の下部に設けられ、油溜まりから吸い上げた油を油通路に供給し、油通路に流れる油の圧力が圧力閾値より高い場合に開いて、一部の油を油溜まりに戻すバイパス弁を有する油ポンプと、を備え、圧縮部は、シェルの内部に固定された固定スクロールと、軸部の上端部が接続されるボス部を有し、固定スクロールと共に作動ガスを圧縮する圧縮室を形成し、下面にスラスト面が形成された揺動スクロールと、揺動スクロールのスラスト面に設けられるスラストプレートと、を有し、揺動スクロールには、油通路とスラスト面とを接続し、油通路に流通する油を供給する供給孔が形成されており、スラストプレートには、揺動スクロールが揺動する際に、供給孔に連通する給油孔が形成されており、供給孔は、油通路から側方に延びる第1の穴と、第1の穴から下方に延びて第1の穴とスラスト面とを接続する第2の穴と、からなるものであり、揺動スクロールが揺動運動している際に、第2の穴と給油孔との連通又は非連通が間欠的に実施され、第2の穴と給油孔とが連通する時間は、低速運転時よりも高速運転時の方が短く、高速運転時において、第2の穴と給油孔とが連通する時間が短くなることによって、油通路に流れる油の圧力が高くなり、圧力閾値を超えてバイパス弁が開になるものであり、油ポンプは、バイパス弁が閉じているときの容積が、バイパス弁が開いているときの容積の2倍以上である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、油ポンプが、油通路に流れる油の圧力が圧力閾値より高い場合に開いて、一部の油を油溜まりに戻すバイパス弁を有している。油ポンプのバイパス弁は、圧縮部の回転数が多い高速運転時に油通路に流れる油の圧力が高くなることによって開く。これにより、一部の油が油溜まりに戻される。このため、圧縮部の高速運転時において、給油量が増加することを抑制することができる。従って、圧縮機は、圧縮部の高速運転時において油上がりが増加することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る空気調和機を示す回路図である。
図2】実施の形態1に係る圧縮機を示す断面図である。
図3】実施の形態1に係る揺動スクロールを示す断面図である。
図4】実施の形態1に係る揺動スクロールを示す下面図である。
図5】実施の形態1に係る揺動スクロールを示す上面図である。
図6】実施の形態1に係るスラストプレートを示す上面図である。
図7】実施の形態1に係る油ポンプを示す断面図である。
図8】実施の形態2に係る油ポンプを示す断面図である。
図9】実施の形態2に係る油ポンプを示す上面図である。
図10】実施の形態3に係る油ポンプを示す断面図である。
図11】実施の形態3に係る油ポンプを示す上面図である。
図12】実施の形態4に係る揺動スクロールを示す下面図である。
図13】実施の形態4に係るスラストプレートを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の圧縮機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本開示は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、本開示の理解を容易にするために方向を表す用語を適宜用いるが、これは本開示を説明するためのものであって、これらの用語は本開示を限定するものではない。方向を表す用語としては、例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」又は「後」等が挙げられる。なお、一部の図面において、断面図のハッチングを一部省略している。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和機100を示す回路図である。図1に示すように、空気調和機100は、室内空間の空気を調整する装置であり、室外機101と、室外機101と通信可能な室内機102とを備えている。室外機101には、圧縮機1、流路切替装置72、室外熱交換器73、室外送風機74及び膨張部75が設けられている。室内機102には、室内熱交換器76及び室内送風機77が設けられている。
【0012】
圧縮機1、流路切替装置72、室外熱交換器73、膨張部75及び室内熱交換器76が冷媒配管70aにより接続されて、作動ガスである冷媒が流れる冷媒回路70が構成されている。圧縮機1は、低温且つ低圧の状態の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して高温且つ高圧の状態の冷媒にして吐出するものである。流路切替装置72は、冷媒回路70において冷媒が流れる方向を切り替えるものであり、例えば四方弁である。室外熱交換器73は、例えば室外空気と冷媒との間で熱交換するものである。室外熱交換器73は、冷房運転時には凝縮器として作用し、暖房運転時には蒸発器として作用する。
【0013】
室外送風機74は、室外熱交換器73に室外空気を送る機器である。膨張部75は、冷媒を減圧して膨張する減圧弁又は膨張弁である。膨張部75は、例えば開度が調整される電子式膨張弁である。室内熱交換器76は、例えば室内空気と冷媒との間で熱交換するものである。室内熱交換器76は、冷房運転時には蒸発器として作用し、暖房運転時には凝縮器として作用する。室内送風機77は、室内熱交換器76に室内空気を送る機器である。
【0014】
(運転モード、冷房運転)
次に、空気調和機100の運転モードについて説明する。先ず、冷房運転について説明する。冷房運転において、圧縮機1に吸入された冷媒は、圧縮機1によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。圧縮機1から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置72を通過して、凝縮器として作用する室外熱交換器73に流入し、室外熱交換器73において、室外送風機74によって送られる室外空気と熱交換されて凝縮して液化する。凝縮された液状態の冷媒は、膨張部75に流入し、膨張部75において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、蒸発器として作用する室内熱交換器76に流入し、室内熱交換器76において、室内送風機77によって送られる室内空気と熱交換されて蒸発してガス化する。このとき、室内空気が冷やされ、室内において冷房が実施される。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置72を通過して、圧縮機1に吸入される。
【0015】
(運転モード、暖房運転)
次に、暖房運転について説明する。暖房運転において、圧縮機1に吸入された冷媒は、圧縮機1によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。圧縮機1から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置72を通過して、凝縮器として作用する室内熱交換器76に流入し、室内熱交換器76において、室内送風機77によって送られる室内空気と熱交換されて凝縮して液化する。このとき、室内空気が暖められ、室内において暖房が実施される。凝縮された液状態の冷媒は、膨張部75に流入し、膨張部75において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、蒸発器として作用する室外熱交換器73に流入し、室外熱交換器73において、室外送風機74によって送られる室外空気と熱交換されて蒸発してガス化する。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置72を通過して、圧縮機1に吸入される。
【0016】
次に、圧縮機1について詳細に説明する。圧縮機1は、例えば冷蔵庫、冷凍庫、空気調和機100、冷凍装置又は給湯器等といった冷凍用途及び空調用途の冷凍サイクル装置に使用されるものである。本実施の形態1では、空気調和機100に用いられる圧縮機1について説明する。圧縮機1は、冷凍サイクルを循環する作動ガスを吸入して圧縮し、高温且つ高圧の状態にして吐出するものであり、例えば密閉型のスクロール圧縮機である。
【0017】
図2は、実施の形態1に係る圧縮機1を示す断面図である。圧縮機1は、図2に示すように、シェル2と、フレーム6と、サブフレーム20と、軸部7と、主軸受8aと、副軸受8bと、吸入管11と、吐出管12と、圧縮部5とを有している。また、圧縮機1は、偏心部45と、オルダムリング15と、スライダ16と、スリーブ17と、第1のバランサ18と、第2のバランサ19と、吐出弁10と、マフラー14と、油ポンプ3と、排油パイプ21と、モータ4とを備えている。
【0018】
シェル2は、圧縮機1の外殻を構成する密閉容器であり、有底円筒状をなしている。シェル2は、ロアーシェル2bに載置されており、ドーム状のアッパーシェル2aによって上部が塞がれている。シェル2の内部には、圧縮部5、モータ4及びそのほかの部品が収納されている。シェル2内において、上方に圧縮部5が配置され、下方にモータ4が配置されている。なお、シェル2の下部には、油溜まり13が形成されている。
【0019】
フレーム6は、シェル2に固定され、圧縮部5を収容するものであり、例えば主軸受8aを介して軸部7を回転自在に支持している。フレーム6は、モータ4の上方に配置されてモータ4と圧縮部5との間に位置している。なお、フレーム6には、オルダムリング15の爪が収容されるオルダム溝15aが形成されている。フレーム6には、吸入ポートが形成されており、作動ガスは、吸入ポートをとおって圧縮部5に流入する。
【0020】
サブフレーム20は、シェル2の内部におけるモータ4の下方に配置されている。サブフレーム20は、副軸受8bを介して軸部7を回転自在に支持するものである。フレーム6とサブフレーム20とは、モータ4を挟んで対向するように、シェル2の内部に固定されている。フレーム6及びサブフレーム20は、焼嵌又は溶接等によってシェル2の内周面に固着されている。軸部7は、シェル2の中央においてフレーム6に支持され、上下方向に延びる棒状のクランク軸であり、モータ4と圧縮部5とを接続している。軸部7は、モータ4と圧縮部5とを接続してモータ4の回転力を圧縮部5に伝達する。軸部7の内部には、油がとおる油通路7aが形成されている。主軸受8aは、フレーム6の中央部に設けられており、軸部7の上部を回転自在に支持する。副軸受8bは、サブフレーム20の中央部に設けられており、軸部7の下部を回転自在に支持する。
【0021】
吸入管11は、シェル2の側部において、シェル2におけるモータ4と圧縮部5との間に形成された低圧空間に接続されている。吸入管11は、冷媒配管70aから流れる低圧の作動ガスを、低圧空間に吸入する。吐出管12は、シェル2の上部において、シェル2における圧縮部5の上方に形成された高圧空間に接続されている。吐出管12は、圧縮部5によって圧縮された高圧の作動ガスを、圧縮機1の外部の冷媒配管70aに吐出する。
【0022】
圧縮部5は、吸入管11から吸入された作動ガスを圧縮し、シェル2の内部上方に形成されている高圧空間に排出する。圧縮部5は、固定スクロール30と、揺動スクロール40と、スラストプレート46とを有している。固定スクロール30は、揺動スクロール40の上方においてフレーム6を介してシェル2にボルト(図示せず)等によって固定されており、鏡板30aと、固定渦巻歯30bとを有している。鏡板30aは、固定スクロール30の上部を構成する板状の部材である。固定渦巻歯30bは、鏡板30aの下面から下方に延び、中心から外側に渦を巻いている渦巻状突起である。また、固定スクロール30の中央部には、圧縮されて高圧となった作動ガスが吐出される空間である吐出口9が貫通して形成されている。
【0023】
揺動スクロール40は、固定スクロール30に対して公転旋回運動(揺動運動)を行うものであり、ボス部44と、台盤43と、揺動渦巻歯41とを有している。ボス部44は、揺動スクロール40の下部を構成するものであり、軸部7の偏心部45が収容される円筒状をなしている。台盤43は、ボス部44と揺動渦巻歯41とを接続する板状の部材である。揺動渦巻歯41は、ボス部44の上面から上方に延び、中心から外側に渦を巻いている渦巻状突起である。なお、揺動スクロール40の下部には、オルダムリング15の爪が収容されるオルダム溝15aが形成されている。
【0024】
また、揺動スクロール40の下面は、摺動部であるスラスト面40aとなっている。固定スクロール30及び揺動スクロール40は、固定渦巻歯30bと揺動渦巻歯41とが互いに噛み合った状態で、シェル2内に設けられている。固定渦巻歯30b及び揺動渦巻歯41は、インボリュート曲線に倣って形成されており、固定渦巻歯30b及び揺動渦巻歯41が噛み合った状態で組み合わせられることにより、固定渦巻歯30bと揺動渦巻歯41との間に、複数の圧縮室5aが形成される。
【0025】
図3は、実施の形態1に係る揺動スクロール40を示す断面図であり、図4は、実施の形態1に係る揺動スクロール40を示す下面図である。図3及び図4に示すように、固定スクロール30の台盤43の内部には、供給孔50が形成されている。供給孔50は、油通路7aとスラスト面40aとを接続し、油通路7aに流れる油をスラスト面40aに供給する。供給孔50は、第1の穴50aと第2の穴50bとを有している。
【0026】
第1の穴50aは、ボス部44に収容された軸部7の内部に形成された油通路7aの上端部から側方に延びる穴である。なお、第1の穴50aの出口は、イモネジ51によって塞がれている。第2の穴50bは、第1の穴50aから下方に延びて第1の穴50aとスラスト面40aとを接続する穴である。本実施の形態1では、第2の穴50bは、外側に傾斜するように形成されているが、傾斜せずに直線状に下方に延びるように形成されてもよい。
【0027】
図5は、実施の形態1に係る揺動スクロール40を示す上面図である。図5に示すように、供給孔50の第1の穴50aは、揺動スクロール40の中心に対し、揺動渦巻歯41の巻き終わり80の点対称の位置に形成されている。
【0028】
スラストプレート46は、フレーム6と揺動スクロール40のスラスト面40aとの間に設けられている板状の部材である。スラストプレート46は、揺動スクロール40がフレーム6に対し公転運転する際にスラスト面40aの摺動性を改善するものである。これにより、揺動スクロール40は、スラストプレート46を介してフレーム6に軸方向に支持された状態となっている。
【0029】
図6は、実施の形態1に係るスラストプレート46を示す上面図である。図6に示すように、スラストプレート46には、給油孔52が形成されている。給油孔52は、揺動スクロール40が揺動する際に、供給孔50に連通する穴である。具体的には、給油孔52は、揺動スクロール40が旋回運動する際に、一回転のうち揺動スクロール40が特定の位置にあるときに、供給孔50の第2の穴50bと重なるように形成されている。
【0030】
また、揺動スクロール40とスライダ16との間には、揺動軸受8cが設けられている。揺動軸受8cは、軸部7と、偏心部45とを覆い、軸部7を回転自在に支持する。偏心部45は、軸部7の上端に設けられ、揺動スクロール40を偏心回転させる。オルダムリング15は、揺動スクロール40において揺動渦巻歯41が形成された面と反対側であるスラスト面40aに設けられている。オルダムリング15は、揺動スクロール40の偏心旋回運動中における自転運動を阻止し、揺動スクロール40の公転運動を可能とする。なお、オルダムリング15の上面及び下面には、互いに直交するように突設された爪(図示せず)が設けられている。オルダムリング15の爪は、揺動スクロール40及びフレーム6に形成されたオルダム溝15aに挿入されている。
【0031】
スライダ16は、軸部7の上部の外周面に取り付けられた筒状の部材であり、揺動スクロール40の下部の内面に位置している。即ち、揺動スクロール40は、スライダ16を介して軸部7に取り付けられており、軸部7の回転に伴って揺動スクロール40も回転する。スリーブ17は、フレーム6と主軸受8aとの間に設けられた筒状の部材であり、フレーム6と軸部7との傾斜状態を吸収するものである。
【0032】
第1のバランサ18は、軸部7に取り付けられており、フレーム6とロータ4aとの間に位置している。第1のバランサ18は、揺動スクロール40及びスライダ16によって生じるアンバランスを相殺するものである。なお、第1のバランサ18は、バランサカバー18aに収容されている。また、第2のバランサ19は、軸部7に取り付けられており、ロータ4aとサブフレーム20との間に位置し、ロータ4aの下面に取り付けられている。第2のバランサ19は、揺動スクロール40及びスライダ16によって生じるアンバランスを相殺するものである。
【0033】
吐出弁10は、吐出口9を覆い、作動ガスの逆流を防止する板バネ製の部材である。圧縮室5a内で作動ガスが所定の圧力にまで圧縮されると、作動ガスは、吐出弁10の弾性力に逆らって吐出弁10を持ち上げる。そして、圧縮された作動ガスは、吐出口9から高圧空間に吐出され、吐出管12をとおって圧縮機1の外部に吐出される。マフラー14は、吐出弁10を覆い、吐出口9から吐出される作動ガスの脈動を抑制するものである。
【0034】
油ポンプ3は、シェル2の下部に収容され、油溜まり13から油を吸い上げる。油ポンプ3は、軸部7の下部に固着されている。油ポンプ3は、例えば容積型ポンプであり、油溜まり13に挿入されたポンプ吸込口60から油を吸い上げて、ポンプ吐出口61から油を吐出する。軸部7の回転に従って、油溜まり13に貯留する油を軸部7の内部に形成された油通路7aに吸い上げ、油通路7aをとおって副軸受8b、主軸受8a及び揺動軸受8cに供給する。揺動軸受8cを潤滑した油は、供給孔50の第1の穴50aをとおり、圧縮室5aに取り込まれる。
【0035】
図7は、実施の形態1に係る油ポンプ3を示す断面図である。図7に示すように、油ポンプ3は、例えばリード弁であるバイパス弁62を有している。バイパス弁62は、油通路7aに流れる油の圧力が圧力閾値より高い場合に開いて、一部の油を油溜まり13に戻す。油ポンプ3には、バイパス通路63が形成されており、バイパス弁62は、バイパス通路63の入り口に設けられている。本実施の形態1では、バイパス通路63に設けられ、バイパス弁62を閉じる方向に付勢するバネ64を更に有する。
【0036】
バイパス通路63は通常時、バイパス弁62によって閉じられており、油通路7aの内部の油の圧力が圧力閾値より高い場合に、バネ64の付勢力に逆らってバイパス弁62が押圧されて、バイパス通路63が開かれる。これにより、油がバイパス通路63をとおって油溜まり13に戻る。なお、油ポンプ3は、バイパス弁62が閉じているときの容積が、バイパス弁62が開いているときの容積の2倍以上である。これにより、バイパス弁62が開いているときに油溜まり13に戻る油の量を十分に確保することができる。
【0037】
排油パイプ21は、フレーム6と揺動スクロール40との間の空間と、フレーム6とサブフレーム20との間の空間とを接続する管である。排油パイプ21は、フレーム6と揺動スクロール40との間の空間に流通する油のうち、過剰な油を、フレーム6とサブフレーム20との間の空間に流出させる。フレーム6とサブフレーム20との間の空間に流出した油は、サブフレーム20を通過して油溜まり13に戻る。
【0038】
モータ4は、シェル2の内部において、例えばフレーム6とサブフレーム20との間の作動ガスが吸入される低圧側の低圧空間に設けられている。モータ4は、圧縮部5を構成する揺動スクロール40を駆動する。即ち、モータ4は、軸部7を介して揺動スクロール40を回転駆動することによって、圧縮部5において作動ガスが圧縮される。モータ4は、ロータ4aと、ステータ4bとを有している。ロータ4aは、ステータ4bの内周側に設けられている。ロータ4aは、インバータ(図示せず)からステータ4bに通電されることによって回転駆動し、軸部7を回転させる。ロータ4aは、軸部7の外周に固定されており、ステータ4bと僅かな隙間を隔てて保持されている。
【0039】
次に、圧縮機1の動作について説明する。ステータ4bに電力が供給されると、ロータ4aがトルクを発生して、フレーム6に設けられた主軸受8aとサブフレーム20に設けられた副軸受8bとに支持された軸部7が回転する。軸部7に設けられた偏心部45に取り付けられて回転するボス部44を有する揺動スクロール40は、オルダムリング15によって自転が規制され、公転運動する。
【0040】
即ち、フレーム6に形成されたオルダム溝15aの方向に往復運動するオルダムリング15によって自転を規制された状態で、揺動スクロール40のボス部44が軸部7の偏心部45によって偏心運動することによって、揺動スクールが揺動運動する。これにより、固定スクロール30の固定渦巻歯30bと揺動スクロール40の渦巻歯との間に形成された圧縮室5aの容積が変化する。なお、軸部7に取り付けられた第1のバランサ18と、ロータ4aに取り付けられた第2のバランサ19とは、揺動スクロール40とオルダムリング15との運動に伴うアンバランスが釣り合うように制御している。
【0041】
次に、圧縮機1の内部における作動ガスの流れについて説明する。流体状の作動ガスは、圧縮機1の外部から吸入管11を通ってシェル2内に吸入され、先ず、フレーム6とモータ4との間の空間に流入する。そして、フレーム6とモータ4との間の空間に流入した作動ガスは、フレーム6に形成された吸入ポートを通って圧縮部5に流入する。圧縮部5に流入した作動ガスは、圧縮部5の圧縮室5aによって圧縮される。圧縮された作動ガスは、固定スクロール30から吐出されて、吐出空間に収容される。その後、吐出空間から流出した作動ガスは、マフラー14を通過して、吐出管12から圧縮機1の外部、即ち冷媒回路70の冷媒配管70aに吐出される。
【0042】
次に、圧縮機1の内部における油の流れについて説明する。油ポンプ3によって油溜り3aから吸い上げられた油は、軸部7の内部に形成された油通路7aに流入する。油通路7aに流入した油の一部は、径方向に形成された流路を通って、副軸受8bを潤滑する。そして、副軸受8bを潤滑した油は、サブフレーム20を通って、油溜り3aに戻る。
【0043】
また、油通路7aに流入した油の一部は、径方向に形成された通路を通って、主軸受8aを潤滑する。主軸受8aを潤滑した油は、フレーム6とモータ4との間の空間に流出する。フレーム6とモータ4との間の空間に流出した油は、ロータ4aとステータ4bとの間を通って、フレーム6とモータ4との間の空間に流入し、サブフレーム20を通って、油溜り3aに戻る。
【0044】
更に、油通路7aに流入した油の一部は、軸部7の上端部まで到達し、揺動軸受8cを潤滑する。揺動軸受8cを潤滑した油は、フレーム6と揺動スクロール40との間の空間に流出する。そして、フレーム6と揺動スクロール40との間の空間に流出した油は、オルダムリング15を潤滑する。そして、オルダムリング15を潤滑した油、及び、フレーム6と揺動スクロール40との間の空間に流れる油は、排油パイプ21に流入する。排油パイプ21に流入した油は、フレーム6とサブフレーム20との間の空間に流出し、サブフレーム20を通って油溜り3aに戻る。
【0045】
ここで、油通路7aに流入し、軸部7の上端部まで到達した油の一部は、供給孔50の第1の穴50aに進入し、その後、第2の穴50bをとおってスラスト面40aに至り、スラスト面40aを潤滑させる。揺動スクロール40が揺動運動している間において、第2の穴50bと給油孔52とが連通していない場合、油は第2の穴50bに留まる。一方、揺動スクロール40が揺動運動している間において、第2の穴50bと給油孔52とが連通しているとき、油は給油孔52をとおって排油パイプ21に至り、排出される。
【0046】
また、油通路7aに流れる油の圧力が圧力閾値より高い場合、油ポンプ3のバイパス弁62が開いて、一部の油がバイパス通路63をとおって油溜まり13に戻る。
【0047】
本実施の形態1によれば、油ポンプ3が、油通路7aに流れる油の圧力が圧力閾値より高い場合に開いて、一部の油を油溜まり13に戻すバイパス弁62を有している。油ポンプ3のバイパス弁62は、圧縮部5の回転数が多い高速運転時に油通路7aに流れる油の圧力が高くなることによって開く。これにより、一部の油が油溜まり13に戻される。このため、圧縮部5の高速運転時において、給油量が増加することを抑制することができる。従って、圧縮機1は、油上がりが増加することを抑制することができる。
【0048】
従来のように、容積一定の容積ポンプを使用するスクロール圧縮機の場合、回転数が少ない低速運転時に給油量が減少して、軸受及び圧縮部が摩耗するおそれがある。このように、従来のスクロール圧縮機は、信頼性の確保が困難となる。これに対し、本実施の形態1は、油ポンプ3がバイパス弁62を有しているため、圧縮部5の高速運転時において、給油量が増加することを抑制することができる。従って、従来の油ポンプよりも大容積の油ポンプ3を採用することができる。従って、低速運転時の給油量を増加させることができる。
【0049】
また、圧縮部5は、シェル2の内部に固定された固定スクロール30と、軸部7の上端部に接続され、固定スクロール30と共に作動ガスを圧縮する圧縮室5aを形成するものである。圧縮部5は、下面にスラスト面40aが形成された揺動スクロール40と、揺動スクロール40のスラスト面40aに設けられるスラストプレート46と、を有する。揺動スクロール40には、油通路7aとスラスト面40aとを接続し、油通路7aに流通する油を供給する供給孔50が形成されており、スラストプレート46には、揺動スクロール40が揺動する際に、供給孔50に連通する給油孔52が形成されている。そして、油通路7aに流入し、軸部7の上端部まで到達した油の一部は、供給孔50の第1の穴50aに進入し、その後、第2の穴50bをとおってスラスト面40aに至り、スラスト面40aを潤滑させる。
【0050】
揺動スクロール40が揺動運動している間において、第2の穴50bと給油孔52とが連通していない場合、油は第2の穴50bに留まる。このため、油通路7aに流れる油の量が減らず、油通路7aに流れる油の圧力が高くなる。これにより、油ポンプ3のバイパス弁62が開き、一部の油が油溜まり13に戻される。一方、揺動スクロール40が揺動運動している間において、第2の穴50bと給油孔52とが連通しているとき、油は給油孔52をとおって圧縮部5に流れたり、排油パイプ21に至って排出されたりする。この場合、油通路7aに流れる油の圧力が高くならず、油ポンプ3のバイパス弁62が閉じる。バイパス弁62が閉じている場合、油ポンプ3による揚油量は、圧縮部5の回転速度に依らず一定である。
【0051】
ここで、圧縮部5の回転数が多い高速運転時において、揺動スクロール40が一回転する間に第2の穴50bと給油孔52とが連通する時間は、低速運転時に比べて短くなる。このため、高速運転時の方が低速運転時よりも、油が排出され難い。従って、油通路7aに流れる油の圧力が高くなり、油ポンプ3のバイパス弁62が開く。これにより、一部の油が油溜まり13に戻される。このため、圧縮部5の高速運転時において、給油量が増加することを抑制することができる。従って、圧縮機1は、油上がりが増加することを抑制することができる。
【0052】
また、揺動スクロール40は、中心から外側に渦を巻いている揺動渦巻歯41を有し、第2の穴50bは、揺動スクロール40の中心に対し、揺動渦巻歯41の巻き終わり80の点対称の位置に形成されている。圧縮機1が運転している際、揺動スクロール40の台盤43に曲げの力が加わると、揺動渦巻歯41の巻き終わり80が台盤43の最も外周に位置するため、巻き終わり80の位置が最も変形し難い。一方、巻き終わり80の点対称の位置が最も変形し易いため、揺動スクロール40とスラストプレート46とが焼き付くおそれがある。本実施の形態1では、第2の穴50bが巻き終わり80の点対称の位置に形成されているため、巻き終わり80の点対称の位置から順に油が排出される。このため、最も変形し易い位置の摺動性を向上させることができる。
【0053】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係る油ポンプ103を示す断面図であり、図9は、実施の形態2に係る油ポンプ103を示す上面図である。本実施の形態2は、油ポンプ103が弁押さえ166を有し、バネ64を有していない点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態2では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0054】
図8及び図9に示すように、油ポンプ3の下面は弁座165となっており、バイパス弁62は弁座165に設けられている。弁押さえ166は、バイパス弁62を押さえている。通常時、バイパス弁62は弁押さえ166に押さえられて閉じているが、油通路7aの内部の油の圧力が圧力閾値より高い場合に、弁押さえ166の押圧力に逆らってバイパス弁62が押圧されて、バイパス弁62が開く。このように、本実施の形態2では、比較的小さい荷重でもバイパス弁62が開く。本実施の形態2のように、バイパス弁62が弁押さえ166によって押さえられるものであっても、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0055】
実施の形態3.
図10は、実施の形態3に係る油ポンプ203を示す断面図であり、図11は、実施の形態3に係る油ポンプ203を示す上面図である。本実施の形態3は、弁座265が傾斜している点で、実施の形態2と相違する。本実施の形態3では、実施の形態1及び2と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1及び2との相違点を中心に説明する。
【0056】
図10及び図11に示すように、弁座265が傾斜しており、傾斜した弁座265にバイパス弁62が設けられている。この場合、傾斜した弁座265によってバイパス弁62自体が傾斜した状態となり、バイパス弁62が開くために必要な荷重が大きい。即ち、バイパス弁62の復元力によって、弁座265の方向に予荷重が掛かっており、予荷重以上の力が負荷されなければ、バイパス弁62は開かない。本実施の形態3のように、弁座265が傾斜しているものであっても、実施の形態1及び2と同様の効果を奏する。
【0057】
実施の形態4.
図12は、実施の形態4に係る揺動スクロール340を示す下面図であり、図13は、実施の形態4に係るスラストプレート346を示す上面図である。本実施の形態4は、供給孔50及び給油孔52が複数形成されている点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態4では、実施の形態1~3と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1~3との相違点を中心に説明する。
【0058】
図12に示すように、供給孔50は、揺動スクロール340に2個形成されている。2個の供給孔50は、それぞれ揺動スクロール340の中心をとおる線分上に、中心に対し点対称の位置に配置されている。なお、供給孔50は、3個以上形成されてもよい。
【0059】
図13に示すように、給油孔52は、スラストプレート346に2個形成されている。2個の給油孔52は、それぞれスラストプレート346の中心をとおる線分上に、中心に対し点対称の位置に配置されている。なお、給油孔52は、3個以上形成されてもよい。
【0060】
本実施の形態4では、供給孔50及び給油孔52がそれぞれ2個形成されているため、排油される経路の面積が増加する。このため、揺動スクロール340が一回転する間の連通時間が長い低速運転時に、給油孔52から排出されて圧縮部5に至る油の量が増加する。一方、揺動スクロール340が一回転する間の連通時間が短い高速運転時に、給油孔52から油が排出されず、油通路7aにおける油の圧力が高くなる。これにより、油ポンプ3のバイパス弁62が開き、一部の油が油溜まり13に戻される。このように、本実施の形態4よりも更に、圧縮機1の低速運転時の給油量が増加し、圧縮機1の高速運転時の給油量が減少する。なお、揺動スクロール340から排出される油の量が増加するため、各摺動部の摺動性が向上する。
【0061】
なお、上記実施の形態1~4に記載された構成は、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 圧縮機、2 シェル、2a アッパーシェル、2b ロアーシェル、3 油ポンプ、13 油溜まり、4 モータ、4a ロータ、4b ステータ、5 圧縮部、5a 圧縮室、6 フレーム、7 軸部、7a 油通路、8a 主軸受、8b 副軸受、8c 揺動軸受、9 吐出口、10 吐出弁、11 吸入管、12 吐出管、14 マフラー、15 オルダムリング、15a オルダム溝、16 スライダ、17 スリーブ、18 第1のバランサ、18a バランサカバー、19 第2のバランサ、20 サブフレーム、21 排油パイプ、30 固定スクロール、30a 鏡板、30b 固定渦巻歯、40 揺動スクロール、40a スラスト面、41 揺動渦巻歯、43 台盤、44 ボス部、45 偏心部、46 スラストプレート、50 供給孔、50a 第1の穴、50b 第2の穴、51 イモネジ、52 給油孔、60 ポンプ吸込口、61 ポンプ吐出口、62 バイパス弁、63 バイパス通路、64 バネ、70 冷媒回路、70a 冷媒配管、72 流路切替装置、73 室外熱交換器、74 室外送風機、75 膨張部、76 室内熱交換器、77 室内送風機、80 巻き終わり、100 空気調和機、101 室外機、102 室内機、103 油ポンプ、165 弁座、166 弁押さえ、203 油ポンプ、265 弁座、340 揺動スクロール、346 スラストプレート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13