(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】成形可能な先端部およびバイパス切欠部を有するガイドワイヤデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
A61M25/09 514
A61M25/09 516
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022053246
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2019502681の分割
【原出願日】2017-07-10
【審査請求日】2022-03-29
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515246317
【氏名又は名称】サイエンティア・バスキュラー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】リッパート,ジョン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー,エドワード・ジェイ
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-523282(JP,A)
【文献】特表2005-533594(JP,A)
【文献】特開平08-243169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、前記ガイドワイヤデバイスが、
近位側セクションおよび遠位側セクションを有するコアであって、前記遠位側セクションが前記近位側セクションより小さい直径を有する、コアと、
前記コアに結合されるチューブ構造であって、その結果、前記コアの前記遠位側セクションが前記チューブ構造の中まで通過する、チューブ構造と
を備え、
前記チューブ構造が、円周方向に延在する複数のリングを結合する軸方向に延在する複数のビームを形成する切欠部パターンを有し、
前記切欠部パターンの少なくとも一部分がワンビーム切欠部パターンを有するワンビームセクションを有し、前記ワンビーム切欠部パターンが前記ワンビームセクション内の隣接する各リングの間に単一のビームを形成し、
前記ガイドワイヤデバイスの遠位側先端部が手動で成形可能となるように構成され、
前記コアの前記遠位側セクションの外側表面と前記チューブ構造の内側表面との間に位置付けされるように前記チューブ構造内に配設されるコイルをさらに備え、
前記コイルが前記コアの前記遠位側セクションの前記外側表面と前記チューブの前記内側表面との間の空間の中を満たすようにサイズおよび形状を構成され、その結果、前記チューブ構造または前記遠位側セクションが湾曲するときに前記チューブ構造の湾曲部分が前記コアの前記遠位側セクションの湾曲部分に位置合わせされ
、
前記切欠部パターンが、前記ワンビーム切欠部パターンの近位側に配設されるツービーム切欠部パターンを有する、
ガイドワイヤデバイス。
【請求項2】
前記コイルは、コアの遠位側セクションの外側表面および前記チューブ構造の内側表面の両方に当接されるようにサイズ決定されている、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項3】
前記コアの遠位側領域は、前記コアの近位側領域からテーパしている、請求項2に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項4】
前記コイルがX線不透過材料で少なくとも部分的に形成される、請求項1から3のいずれかに記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項5】
前記コアがステンレス鋼から形成される、請求項1から4のいずれかに記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項6】
前記チューブ構造が超弾性材料から形成される、請求項1から5のいずれかに記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項7】
前記チューブ構造がニチノールから形成される、請求項6に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項8】
前記切欠部パターンの少なくとも一部分が片側のワンビーム切欠部パターンを有し、複数の連続するビームが前記ガイドワイヤデバイスの長手方向軸を基準として前記チューブ構造の一方側に配設される、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項9】
前記ツービーム切欠部パターンが、対称な深さのツービーム切欠部パターンと、オフセットされる深さのツービーム切欠部パターンとを有し、前記対称な深さのツービーム切欠部パターンが、前記オフセットされる深さのツービーム切欠部パターンの近位側に配設される、請求項
1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項10】
前記ワンビーム切欠部パターンが回転方向のオフセットを有し、その結果、前記チューブ構造の長さ方向に沿う連続するビームまたはビームのセットが、先行するビームまたはビームのセットを基準として円周方向に回転させられる、請求項1から
9のいずれかに記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項11】
前記回転方向のオフセットが前記チューブ構造の長さ方向に沿うビームの螺旋構成を形成する、請求項
10に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項12】
前記ワンビーム切欠部パターンが前記チューブ構造の遠位側に向かって増大する深さを有する切欠部を有するように構成される、請求項1から
11のいずれかに記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項13】
前記ワンビーム切欠部パターンが、連続する切欠部の間の間隔を前記チューブ構造の遠位側に向かって縮小させるように構成される、請求項1から
12のいずれかに記載のガイドワイヤデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、「GUIDEW8IRE DEVICES HAVING SHAPEABLE TIPS AND BYPASS CUTS」と題される、2017年5月26日に出願された米国特許出願第15/606,607号、および「GUIDEWIRE DEVICES HAVING SHAPEABLE TIPS」と題される、2016年7月18日に出願された米国仮特許出願第62/363,760号の優先権および利益を主張するものである。上で言及したすべての出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]ガイドワイヤデバイスが、しばしば、患者の身体内の標的の解剖学的ロケーションまでカテーテルまたは他の介入デバイスを誘導または案内するのに使用される。通常、ガイドワイヤは、例えば患者の心臓または神経血管組織のところにある可能性があるかまたはその近くにある可能性があるような、標的のロケーションに到達するために、患者の脈管構造の中までおよび患者の脈管構造を通るように通過させられる。ガイドワイヤを標的のロケーションまでナビゲートするのを補助するために、通常、X線撮像が利用される。多くの事例では、ガイドワイヤは介入手技中に身体内の定位置に残され、ここでは、ガイドワイヤが、標的の解剖学的ロケーションまで複数のカテーテルまたは他の介入デバイスを案内するのに使用され得る。
【0003】
[0003]一部のガイドワイヤは、湾曲するつまり曲げられた先端部を用いて構成され、それにより手術者がより良好に患者の脈管構造まで進むことが可能となる。このようなガイドワイヤデバイスを用いる場合、先端部を方向付けて所望の方向に向けることを目的として、手術者がガイドワイヤの近位端にまたは取り付けられる近位側のハンドルにトルクを加えることができる。次いで、手術者が、患者の脈管構造内でガイドワイヤをさらに所望の方向に移動させることができる。
【0004】
[0004]ガイドワイヤデバイスの、また特にはガイドワイヤデバイスの遠位側セクションの、可撓性を調整することも考慮すべき事柄である。多くの環境では、標的の領域に辿り着くように脈管構造の通路の蛇行する屈曲部または湾曲部を介してガイドワイヤに角度をつけるのを可能にすることを目的として、ガイドワイヤの十分な曲げ性を得るために、可撓性のレベルが比較的高いことが所望される。例えば、ガイドワイヤを神経脈管構造(neurovasculature)の一部分にまでガイドワイヤを移動させるには、頸動脈サイフォンまたは他の蛇行する経路などの、湾曲する通路を通るようにガイドワイヤを通過させることが必要である。
【0005】
[0005]ガイドワイヤデバイスに関連する別の考慮すべき事柄は、近位端から遠位端までトルクを伝達するための所与のガイドワイヤデバイスの能力である(つまり、ガイドワイヤデバイスの「トルク伝達性(torquability)」)。ガイドワイヤが脈管構造の通路の中までまたは脈管構造の通路を通るようにさらに通過させられるとき、ガイドワイヤと脈管構造との間の摩擦面接触の量が増大し、それにより脈管構造の通路を通るガイドワイヤの容易な移動を妨げる。良好なトルク伝達性を有するガイドワイヤは、近位端のところのトルクによる力(torqueing force)をガイドワイヤを通して遠位端に伝達するのを可能にし、その結果、ガイドワイヤが回転することができ、摩擦力に打ち勝つことができる。
【0006】
[0006]一部のガイドワイヤデバイスは、加えられるねじり力をデバイスの端部の方のさらに遠位側へ移動させるために、ガイドワイヤコアの遠位端の上に位置決めされる、遠位側に配置される微細機械加工されたハイポチューブを有する。ねじり力は主として部材の断面の外側セクションを通して伝達されることから、チューブは、チューブによって覆われないガイドワイヤコアによって伝達されるトルクの大きさと比較してトルクの伝達を強化するような経路を提供するように構成される。通常、このようなチューブは、良好なレベルの可撓性を提供することに加えて所望されるトルク伝達特性を提供するために、ニチノールなどの超弾性材料から形成される。
【0007】
[0007]このようなガイドワイヤは多くの利点を提供するが、複数の制約が依然として残る。例えば、トルク伝達チューブを有するガイドワイヤの設計特性の多くは、トルク伝達を強化することを実現するように機能するが、ガイドワイヤ先端部の成形可能性に不利に働き、成形可能性を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本開示は、成形可能な先端部を有し、有効なトルク伝達性を有するガイドワイヤデバイスに関連する。一実施形態では、ガイドワイヤデバイスが、近位側セクションと、テーパ状遠位側セクションとを有するコアを有する。チューブ構造がコアに結合され、その結果、テーパ状遠位側セクションがチューブ構造の中まで延在する。チューブ構造が、チューブ構造内で接線に沿うように形成される複数のバイパス切欠部を有し、それによりチューブ構造の可撓性を向上させ、およびチューブ構造からの弾性力によりガイドワイヤデバイスの成形遠位側先端部が乱される傾向を低減する。バイパス切欠部が、円周方向および横方向に延在する複数のリングを結合する軸方向に延在する複数のビームを形成する切欠部パターンの一部分である。バイパス切欠部が、ワンビーム(one-beam)切欠部パターン内で各々の隣接するリングの間に単一のビームを形成するワンビーム切欠部パターンを形成する。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態が、コアの遠位側セクションの外側表面とチューブ構造の内側表面との間に位置決めされるようにチューブ構造内に配設されるコイルをさらに有する。コイルが白金などのX線不透過材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、コアがステンレス鋼から形成され、チューブ構造がニチノールなどの超弾性材料から形成される。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、切欠部パターンの少なくとも一部分が片側のワンビーム切欠部パターンを有し、ここでは、複数の連続するビームがガイドワイヤデバイスの長手方向軸を基準としてチューブ構造の一方側に配設される。いくつかの実施形態では、切欠部パターンが、ワンビーム切欠部パターンの近位側に配設されるツービーム(two-beam)切欠部パターンを有する。ツービーム切欠部パターンが、対称な深さのツービーム切欠部パターンと、オフセットされる深さのツービーム切欠部パターンとを有することができ、対称な深さのツービーム切欠部パターンが、オフセットされる深さのツービームカートパターンの近位側に配設され、その結果、オフセットされる深さのツービーム切欠部パターンが、ワンビーム切欠部パターンと対称な深さのツービーム切欠部パターンとの間の移行部分として機能する。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、ワンビーム切欠部パターンが、チューブ構造の遠位端に向かって増大する深さを有する切欠部を有するように構成され、および/または連続する切欠部の間の間隔をチューブ構造の遠位端に向かうにつれて縮小させるように構成される。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、コアの遠位側セクションが成形可能材料から形成され、成形構成となるように遠位側先端部を曲げるときにコアの遠位側セクションがチューブ構造の弾性復元力(elastic recovery force)により生じる変形に耐えるのを可能にするような、スティフネスを有するように構成される。
【0013】
[0013]追加の特徴および利点は、その一部が以下の記述に記載され、またその一部が本記述から明らかとなり、あるいは本明細書で開示される実施形態を実施することによって理解され得る。本明細書で開示される実施形態の目的および利点は、添付の特許請求の範囲に具体的に明示される要素および組み合わせによって実現および達成される。上記の概要および下記の詳細な説明は、両方が、単に例示的および説明的なものであり、本明細書で開示されるまたは特許請求される実施形態を限定するものではない。
【0014】
[0014]上で概説した本発明のより具体的な説明は、添付図面で示される特定の実施形態を参照して提供されるものである。これらの図面が単に本発明の典型的な実施形態を描いており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解して上で、添付図面を利用して本発明をさらに具体的におよび詳細に描写および説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0015]有効なトルク伝達性を提供し、成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスの例示の実施形態を示す図である。
【
図2】[0016]
図1のガイドワイヤを示す断面図である。
【
図3】[0017]
図1および2のガイドワイヤデバイスと共に利用され得るチューブ構造の例示の実施形態を示す図であり、チューブが、遠位側先端部の有効なトルク伝達性および有効な成形可能性を提供するように構成されるバイパス切欠部パターンを有する。
【
図4】[0018]オフセットされる深さのツービーム切欠部パターンを有するセクションを有するチューブ構造の代替的実施形態を示す図である。
【
図5】[0019]対称に離間される対向するビームを備えるツービーム切欠部パターンを有するチューブ構造の実施形態を示す図である。
【
図6】[0020]片側のワンビーム切欠部パターンを有するセクションを有するチューブ構造の実施形態を示す図である。
【
図7】[0021]得られるビームの螺旋パターンを提供する例示の角度的オフセット(angular offset)を有するバイパス切欠部パターンを有するチューブ構造の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0022]本開示は、有効な解剖学的ナビゲーション能力(anatomical navigation capability)を提供するガイドワイヤデバイスに関連する。ガイドワイヤを操作して標的の解剖学的ロケーションまで移動させる能力は、トルク伝達性と成形先端部を維持するための能力との間のバランスを維持しながらそれらの間のトレードオフを最適化することに依存する。ガイドワイヤデバイスが、手術者が遠位側先端部を回転させることにより先端部を脈管構造内の所望の方向に向けるのを可能にするための成形可能な先端部を有することができる。しかし、このようなガイドワイヤデバイスのトルク伝達性が不十分である場合、成形遠位側先端部の向きを制御するために手術者がねじり力を成形遠位側先端部まで伝達することが不可能となる。このような障害は、脈管構造の中へとさらにガイドワイヤデバイスが前進させられてより大きい摩擦抵抗を受けるときにさらにその問題性が増大する。加えて、ガイドワイヤデバイスが成形先端部を適切に形成および維持することができない場合、先端部の向きを調節するためのガイドワイヤデバイスの能力を制限することになり、脈管内でのナビゲーションがより困難なものとなる。
【0017】
[0023]本明細書で説明される実施形態が、ガイドワイヤのトルク伝達性と成形先端部を
形成および維持するための能力との間のバランスを維持するおよび/またはそれらの間の関係を最適化する1つまたは複数の特徴を提供する。このガイドワイヤはガイドワイヤの配備中の手術者の操作に対して応答的であり、伝達されるねじり力を成形遠位側先端部が受けるのを可能にすることにより有効なナビゲーション能力を提供する。
【0018】
[0024]いくつかの実施形態では、成形可能な先端部が、患者の脈管構造内にガイドワイヤデバイスを配備する直前に先端部を手動で成形することになどにより、手術者が先端部をカスタム成形することが可能となる。したがって、選好および/または条件に従って、また特には所与の用途に従って、手術者が遠位側先端部の成形をカスタマイズすることが可能となる。また、ガイドワイヤデバイスは、成形先端部を維持しながらトルクを効果的に伝達するように構成される。本明細書で説明される少なくともいくつかの実施形態が、手技の全体を通してまたは複数の手技の全体を通して、つまり反対に作用する再成形力(reshaping force)を受けるまで永久的に、曲げられたつまり湾曲した形状を維持することが可能である先端部を有する。
【0019】
[0025]
図1が、コア102を有する例示のガイドワイヤデバイス100を示す。チューブ104がコア102に結合され、コア102に取り付けられるポイントから遠位側に延在する。示されるように、コア102の遠位側セクションがチューブ104の中まで延在し、チューブ104によって囲まれる。いくつかの実施形態では、コア102が1つまたは複数のテーパ状セクションを有し、その結果、コア102がチューブ104の中に嵌合されてチューブ104の中まで延在することができる。例えば、コア102の遠位側セクションが、漸進的に先細となり遠位端のところでより小さい直径となるように研削され得る。この実施例では、コア102およびチューブ104が取り付けポイント103のところで実質的に同等の外径を有し、取り付けポイント103のところでコア102およびチューブ104が互いに隣接して取り付けられる。
【0020】
[0026]コア102からチューブ104までねじり力を伝達してそれによりチューブ104によりねじり力を遠位側にさらに伝達するのを可能にする形で、チューブ104がコア102に結合される(例えば、接着、はんだ付け、および/または溶接を利用する)。医療グレードの接着剤120が、デバイスの遠位端のところでチューブ104をコアワイヤ102に結合するのに、および非外傷性の被覆物(atraumatic covering)を形成するのに、使用され得る。後でより詳細に説明されるように、チューブ104が複数の切欠部を有するように微細加工される。切欠部が、良好なトルク伝達性も維持しながら、ガイドワイヤデバイス100の遠位側先端部の近くのところに効果的な形成可能性を好都合に提供する切欠部パターンを形成するように構成される。分かり易いように、
図1および2では切欠部パターンが示されない。チューブ104内で利用され得る切欠部パターンの例が
図3から5に示される。
【0021】
[0027]ガイドワイヤデバイス100の近位側セクション110が、標的の解剖学的領域まで送達するために十分なガイドワイヤ長を提供するのに必要な長さだけ近位側に延在する。近位側セクション110が、通常、約50cmから300cmの範囲の長さを有する。近位側セクション110が約0.356mm(0.014インチ)の直径を有することができるか、または約0.203mm(0.008インチ)から3.18mm(0.125インチ)の範囲内にある直径を有することができる。コア102の遠位側セクション112が、約0.0508mm(0.002インチ)の直径、または約0.0254mm(0.001インチ)から1.27mm(0.050インチ)の範囲内にある直径まで先細となってよい。いくつかの実施形態では、チューブ104が約3cmから100cmの範囲内にある長さを有する。
【0022】
[0028]いくつかの実施形態では、コア102の遠位側セクション112が円形断面とな
るように先細となる。他の実施形態では、コア102の遠位側セクション112が扁平断面または長方形の断面を有する。遠位側セクション112が、別の多角形形状、卵形形状、不規則な形状、またはその長さ方向に沿う異なる領域における異なる断面形状の組み合わせなどの別の断面形状を有してもよい。
【0023】
[0029]通常、使用者が、ガイドワイヤデバイス100の(約)1cmから3cmの遠位側部分を所望の形状にするように手動で曲げるか、ねじるか、または他の形で操作することにより、ガイドワイヤデバイス100の遠位端を成形する。この長さは
図1で遠位側「先端部」106として概略的に示される。いくつかの実施形態では、先端部106が、ステンレス鋼、白金、および/または他の成形可能材料から形成される1つまたは複数の成形可能な構成要素を有する(チューブ104内に)。好適な実施形態では、先端部106が、加工硬化性を呈する材料から形成される1つまたは複数の構成要素を有し、その結果、成形されるとき(つまり、塑性変形されるとき)、先端部が成形前に成形セクションのところにより高い弾性率を提供することになる。
【0024】
[0030]
図2が
図1のガイドワイヤデバイス100の断面図を示す。示されるように、コア102が近位側セクション110および遠位側セクション112を有し、遠位側セクションが近位側セクション110より小さい直径を有する。コイル114がコア102の遠位側セクション112の少なくとも一部分の上に位置決めされる。コイル114が、好適には、白金群、金、銀、パラジウム、イリジウム、オスミウム、タンタル、タングステン、ビスマス、ジスプロシウム、およびガドリニウムなどの、1つまたは複数のX線不透過材料から形成される。加えてまたは別法として、コイル114が、ステンレス鋼から、または使用者によって曲げられるかまたは他の形で操作された後で成形状態を効果的に維持することができる他の材料から、少なくとも部分的に形成されてよい。示される実施形態では、コイル114がデバイスの遠位端部のところにまたはその近くに配設され、取り付けポイント103に向かって近位側に一定の距離で延在する。いくつかの実施形態では、コイル114がチューブ104の長さに実質的に一致する長さを有する。他の実施形態では、コイル114がより短い。例えば、コイル114は、遠位端から、1cm、2cm、4cm、6cm、8cm、10cm、12cm、15cm、20cm、25cm、30cm、または35cmだけ延在してよいか、あるいは上記の値のうちの任意の2つの値によって画定される範囲内にある距離で近位端から延在してもよい。
【0025】
[0031]いくつかの実施形態では、コイル114が1つの一体部片として形成される。他の実施形態では、コイル114が、互いに隣接して位置決めされるおよび/または撚り合わせのコイルを介してインターロックされる複数の別個のセクションを有する。加えてまたは別法として、このような別個のセグメントが、完全なコイル114を形成するように、互いに、はんだ付けされ得るか、接着され得るか、または他の形で固定され得る。
【0026】
[0032]示される実施形態はコイル114とチューブ104との間の空間を示すが、視覚化を容易にするためにこれが概略的になされることを理解されたい。いくつかの実施形態では、コイル114が、遠位側セクション112とチューブ104との間の空間をより高い割合で占有して中を満たすようにサイズ決定される。例えば、コイル114は、コア102の遠位側セクション112およびチューブ104の内側表面の両方に当接されるようにサイズ決定され得る。他の実施形態が、チューブ104およびコア102が同一の広がりをもつようなガイドワイヤデバイス100のこのセクションの少なくとも一部分のところでコア102とチューブ104との間に空間を有する。
【0027】
[0033]コイル114が、好都合に、コア102とチューブ104との間の空間の中を満たすように機能することができ、それによりコア102の遠位側セクション112の湾曲部分をチューブ104の湾曲部分に位置合わせすることができる。例えば、湾曲部分がチ
ューブ104内に形成される場合、コイル114の密に詰め込まれるセグメントがチューブ104と遠位側セクション112との間の詰め物として機能し、遠位側セクション112に同じ湾曲部分を与える。対照的に、コイルを省いたガイドワイヤデバイスは、チューブのところで湾曲する場合、チューブと同じ湾曲部に従わず、強制的に湾曲させられる前にチューブの内側表面に当接されるところまで延在することになる。
【0028】
[0034]本明細書で説明される実施形態は、好都合には、所望の位置に合わせて遠位側先端部106を成形すること、十分に長い時間で遠位側先端部106を成形位置に留めることを可能にする。従来のガイドワイヤデバイスとは異なり、示される実施形態は成形構成を形成して維持することができる。従来のガイドワイヤデバイスを用いる場合、チューブ構造と内部構成要素(コアおよびコイル)との間の特性の不一致を理由として、しばしば、成形可能性に関する問題が発生する。チューブ構造は、通常、ニチノールまたは他の超弾性材料から形成される。このようなチューブは、曲げられるかまたは成形されるとき、それらの元の(直線の)位置の方に付勢され、それにより任意の成形可能な内部構成要素に復元力を与え、それにより先端部のカスタマイズされた形状を変形させて失わせる。
【0029】
[0035]例えば、従来のガイドワイヤは、しばしば、配備前に成形先端部を有するが、超弾性のチューブが所望の先端部形状とは反対にその元の形状に向かって屈曲することを理由として、成形先端部がガイドワイヤの使用中に失われるかまたは劣化する。したがって、チューブによって加えられる復元力が内部構成要素に逆らって作用し、それにより、使用者によって設定された所望の形状を縮小させるかまたは劣化させる。対照的に、本明細書で説明される実施形態は、チューブから、無効にするように働く復元力を受けることなく先端部106を成形するのを可能にする特徴を有する。後で説明されるように、チューブ104が、遠位側先端部106のところに十分な可撓性も提供しながら有効なトルク伝達性を維持する切欠部パターンを有することができ、それにより先端部106のカスタム形状が乱されることが回避される。
【0030】
[0036]
図3から7が、本明細書で説明されるガイドワイヤデバイスの実施形態のうちの1つまたは複数の実施形態で利用され得るチューブ切欠部パターンの例示の実施形態を示す。例えば、
図1および2に示される実施形態のチューブ104が、
図3から7に示される構成のうちの1つまたは複数の構成に従って切削され得る。
【0031】
[0037]
図3が、ビーム530(軸方向に延在する)と、リング540(横方向および円周方向に延在する)とを形成する一連の切欠部508を有するチューブ104を示す。示される実施形態では、切欠部508が一連の「バイパス切欠部」としてチューブ上に構成される。本明細書で使用される場合のバイパス切欠部はチューブの長手方向軸を基準としてその正反対側において対向するような切欠部を有さないような切欠部であり、したがって、横方向および円周方向に延在する材料のリング540の間を長手方向に延在する材料の単一のビーム530を残す。「バイパス」切欠部パターンは本明細書では「ワンビーム」切欠部パターンと称されてもよい。示される実施形態では、切欠部が、チューブ504の長さ方向に沿って1つの切欠部から次の切欠部において約180度でオフセットされる交互的な形の切欠部として構成される。
【0032】
[0038]示されるようにバイパス切欠部(つまり、ワンビーム切欠部)の1つまたは複数のセクションを使用して形成されるチューブは、特にはガイドワイヤデバイスの付随の成形可能な先端部に関連する、複数の利点を提供することができる。例えば、バイパス切欠部を有するチューブの可撓性が、切欠部を有さないかまたは連続するリングの間に複数のビームを残す切欠部を有するチューブの可撓性より相対的に高い(例えば、それ以外の、ビームの幅、リングのサイズ、および切欠部の間隔が等しいものとする)。好都合には、バイパス切欠部構成によって提供される向上した可撓性により、チューブがガイドワイヤ
の内部構造の形状を変形させることが最小となるかまたは防止される。例えば、チューブ内に配設されるコア(例えば、ステンレス鋼)が、ガイドワイヤの先端部に所望の形状を提供するように曲げられ得るかまたは湾曲してよい(つまり、塑性変形され得る)。
【0033】
[0039]上で説明したように、多くの事例で、チューブの弾性的復元に付随する力が成形コアに対して加えられ、この力が、チューブ内に配設される成形コアの部分を少なくとも基準として、成形コアをまっすぐにする傾向を有する。したがって、チューブの可撓性を適切に調整することにより、成形コアに対して加えられる復元力が低減され、成形コアがその形状をより良好に維持することが可能となる。
【0034】
[0040]いくつかの実施形態では、連続するバイパス切欠部またはバイパス切欠部のセットの深さが、遠位端の方に移行する連続する各々の切欠部または切欠部のセットにおいて漸進的に増大する。したがって、所与の用途において所望の可撓性特性またはトルク伝達性特性を有するようなチューブを構成することにおいて、切欠部の深さのプロフィールが利用され得る。例えば、1つのチューブ構成が相対的に低い可撓性および相対的に高いトルク伝達性を有する近位側セクションを有することができ、この近位側セクションは相対的に高い可撓性および相対的に低いトルク伝達性を有する遠位側セクションへと急激な形で移行し、ここでは、バイパス切欠部が遠位端に向かって急激な形で漸進的に深くなっていく。いくつかの実施形態では、相対的により深い切欠部を有するセクションがチューブの最も遠位側のセクションのところでのみ形成され、チューブの最も遠位側のセクションでは成形可能性が得られることが予想されるかまたは所望され(チューブの1cmから3cmの遠位側部分)、それによりチューブの残りの部分においてはより高いトルク伝達性が維持される。
【0035】
[0041]バイパス切欠部508は、深さ、幅、および/または間隔に従って変化してよい。例えば、切欠部508は、デバイスの遠位側先端部に近づくにつれて、漸進的に、より深くなってよく、および/またはより接近してよい。より深いおよび/またはより接近する切欠部は相対的により高い可撓性を提供する。したがって、ガイドワイヤの遠位側領域に進むにつれてガイドワイヤの可撓性を向上させる勾配部分が形成され得る。後でより詳細に説明されるように、バイパス切欠部508は、各々の隣接する切欠部に適用されるかまたは切欠部の隣接するセットに適用される角度的オフセットに従う交互的な形の角度位置を有するようにも構成される。示される実施形態は、1つの切欠部から次の切欠部における180度の角度的オフセットを示す。いくつかの実施形態が、1つの切欠部から次に切欠部において、または1組の切欠部から次の1組の切欠部において、約5、15、30、45、60、75、80、または85度の角度的オフセットを有することができる。
【0036】
[0042]
図4が、バイパス切欠部と、バイパス切欠部の近位側に配設されるオフセットされる深さの対向する1組のツービーム切欠部とを有するチューブ604の別の実施形態を示す。示される実施形態では、1組のバイパス切欠部によりビーム630が得られる。ビーム630の近位側には、対向する切欠部として構成される1組の切欠部があり、それによりビーム634が得られる。この図では見ることができないが、追加のビームが各ビーム634の反対側に形成される(この図ではビーム634の後ろに隠れる)。したがって、オフセットされる深さのツービーム切欠部パターン内の各リング640が、リング640をその近位側の隣接するリングに接続する1組の2つのビームと、リング640をその遠位側の隣接するリングに接続する1組の2つのビームとを有する。
【0037】
[0043]示されるように、対向するツービーム切欠部は深さがオフセットされており、その結果、各々の対向する切欠部のペアにおいて(チューブ軸の各側に1つの切欠部がある)、これらの切欠部のうちの一方の切欠部が反対側の切欠部より大きい深さを有する。このようなオフセットされる深さのツービーム切欠部は、有利には、一定の長さのバイパス
切欠部(
図3に示されるような)から一定の長さのオフセットされない対向するツービーム切欠部(
図5に示されるような)へ移行するのに使用され得る。
【0038】
[0044]
図5がツービーム切欠部パターンを有するチューブ240のセクションを示しており、それぞれの対向する切欠部のペアの各切欠部がほぼ等しい切欠部深さを有し、その結果、得られるビームが円周方向において実質的に等間隔で離間される。示されるように、これらの切欠部により、リング240の各々のリングの間に形成されるビーム234のペアが得られる。切欠部はここでは、対向する切欠部の1つのペアから次のペアまで約90度の角度でオフセットされるものとして示されるが、他の角度的オフセットが利用されてもよい。
【0039】
[0045]円周方向において実質的に等間隔で離間されるビームを備える、ツービーム切欠部パターンを有するチューブのセクションは、通常、トルクを伝達するための相対的に高い能力と、相対的に低い可撓性とを有し、対して、バイパス切欠部を有するチューブのセクションは、通常、トルクを伝達するための相対的に低い能力と、相対的に高い可撓性とを有する。オフセットされる深さのツービーム切欠部の構成を有するチューブのセクションは、通常、対称な深さの対向するツービーム切欠部のセクションのトルクの伝達性(torque transmissibility)および可撓性とバイパス切欠部のセクションのトルクの伝達性および可撓性との間にあるような、トルクの伝達性および可撓性を有する。対向する切欠部の深さの間の差が大きくなると、得られるビームが円周方向においてより接近し、したがって、オフセットされるツービーム切欠部がワンビーム切欠部/バイパス切欠部により似たものとなる。同様に、対向する切欠部の深さがより似たものになると、オフセットされるツービーム切欠部が対称性のあるツービーム切欠部により似たものとなる。
【0040】
[0046]オフセットされるツービームセクションを有するチューブの実施形態は、有利には、遠位側のバイパス切欠部ゾーンと近位側の対称性のあるツービームセクションとの間に所望の移行特性を提供するように位置決めおよび構成され得る移行ゾーンを提供する。例えば、移行ゾーンは、移行ゾーンの長さに応じて、および/または連続する切欠部におけるオフセットの変化の迅速性(rapidity of change)に応じて、比較的緩やかなものであっても、または比較的急激なものであってもよい。したがって、チューブは、より高いトルク伝達性およびより低い可撓性を近位側セクションに提供するように構成され得、手術者によって成形されるときに曲げられた形状をより良好に維持するためのより高い可撓性を有するような、より高い可撓性の遠位側セクションへと移行する。近位側セクション、移行セクション、および遠位側セクションの位置および構成が、有効なトルク伝達性および成形可能な先端部の性能の利点を最適化するために調整可能である。
【0041】
[0047]
図6が、複数のビーム730およびリング740を形成する、ワンビーム切欠部を有するチューブ704の別の実施形態を示す。示されるように、切欠部が、180度または何らかの他の角度量で交互に位置決めされるのではなく、チューブ704の一方側に沿わせてビーム730を位置合わせするように、構成される。このような実施形態は、好都合には、一方向に(例えば、位置合わせされたビーム730に向かう)優先的に曲げられるということを実現し得、その結果、チューブの軸に向かって戻る方向の付随の復元力がさらに最小になる。
【0042】
[0048]
図7が、バイパス切欠部パターンを有し、また切欠部のセットの間に角度的オフセットを有するチューブ304の実施形態を示す。示されるように、角度的オフセットが、得られるビーム330を、チューブセクションの長さ方向に沿って回転するような/螺旋状であるような円周方向パターンとするように位置決めする。いくつかの実施形態では
、第1の角度的オフセットが、1組の切欠部内の1つの切欠部から次の切欠部に適用され、第2の角度的オフセットが1組の切欠部から次の1組の切欠部に適用される。例えば、
図7に示されるように、隣接する切欠部のペア内の各切欠部308が、得られるビーム330を、ガイドワイヤの長手方向軸を基準として互いに反対側に残すように、約180度でオフセットされ得、対して、各ペアが、何らかの他の角度的オフセットで、隣接するペアからオフセットされる(例えば、示される実施形態では約5度)。このようにして、内部で設定される角度的オフセットがビーム330をガイドワイヤ軸の両側に位置決めし、対して、相互に設定される角度的オフセットが、切欠部308の複数のセットの長さにわたってガイドワイヤの好適な曲げ方向の範囲を最小にするのに十分となるように連続するビームの角度位置を調節することができる。
【0043】
[0049]さらに、回転方向のオフセットが
図3から6に示される切欠部パターンに適用され得る。好適な実施形態では、所与のセクションの長さ方向に沿う連続する各切欠部または切欠部のセットが(例えば、1つおき、2つおき、3つおき、など)、約1度、2度、3度、5度、または10度で回転方向にオフセットされるか、ツービーム構成の90度から、約1度、2度、3度、5度、または10度だけオフセットされるか、あるいはワンビーム構成の180度から、1度、2度、3度、5度、または10度だけオフセットされる。これらの回転方向のオフセット値は、屈曲させるような付勢力(flexing bias)を排除するための好都合に示される良好な能力を有する。
【0044】
[0050]例えば、
図5に示されるようにビームの各ペアを円周方向において等間隔に離間させるツービームの切り欠きパターンでは、90度からの、約1度、2度、3度、5度、または10度である回転方向のオフセットが、ずれを数度にして、切欠部セクションの長さ方向に沿ってビームの1つのおきのペアを位置決めする。例えば、ビームの第2のペアが、90度をわずかに超えるかまたはわずかに下回る角度だけ、ビームの第1のペアから回転方向にオフセットされ得るが、ビームの第3のペアは第1のペアから数度だけ回転方向にオフセットされ、ビームの第4のペアが第2のペアからわずかに数度だけ回転方向にオフセットされる。ビームの複数の連続するペアがガイドワイヤデバイスの切欠部セクションの長さ方向に沿ってこのように配置される場合、得られる構造により、指向性の屈曲付勢力(directional flexibility bias)を一切導入することなくまたは指向性の屈曲付勢力を一切強めることなく、切欠部パターンが可撓性を向上させることが可能となる。
【0045】
[0051]
図3から7に示されるチューブの実施形態の別個の構成要素および特徴は別のチューブ構成を形成するように組み合わされ得る。例えば、いくつかのチューブがバイパス切欠部(ワンビーム切欠部)のセクション(
図3、6、および/または7と同様)と、対称に離間されるツービーム切欠部のセクション(
図5と同様)とを有するように構成され得、1つまたは複数のオフセットされる深さのツービーム切欠部(
図4と同様)を任意選択でさらに有する。例えば、いくつかのチューブの実施形態が、対称に離間されるツービーム切欠部パターンを有する近位側セクションを有することができ、1つのバイパス切欠部構成を有する遠位側セクションへと移行する。
【0046】
[0052]本明細書で説明される実施形態は、好都合には、チューブのより近位側の領域により相対的により大きいトルクを伝達することを可能にすることができ、一方で、トルク伝達性を過度に犠牲にすることなく先端部の成形を可能にするためにチューブのより遠位側のセクションのトルク伝達性を低減する。したがって、ガイドワイヤデバイスのこれらの特徴は、トルク伝達性と先端部の成形可能性との間の動作の関係性を最適化することを目的として特定の要求または用途に合うように調整され得る。
【0047】
[0053]好適な実施形態では、コアの成形可能な遠位側セクションが、成形後にコアの遠
位側セクションに作用するチューブからの予想される曲げ力に耐えることができるスティフネスを有する。いくつかの実施形態では、コアの成形可能な遠位側セクションが、チューブを形成するのに使用される材料の弾性率の約1.5倍から4倍の弾性率、または約2倍から3倍の弾性率を提供する材料または材料の組み合わせから形成される。
【0048】
[0054]本明細書で使用される「およそ」、「約」、および「実質的に」という表現は、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果を依然として達成する、言及した量または条件に近い量または条件を表す。例えば、「およそ」、「約」、および「実質的に」という表現は、言及した量または条件から、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満で逸脱する量または条件を意味することができる。
【0049】
[0055]本明細書で描写および/または説明される任意の実施形態に関連して説明した要素は、本明細書で描写および/または説明される任意の他の実施形態に関連して説明した要素と組み合わせ可能となり得る。例えば、
図3から7のうちの任意の図のチューブセクションに関連して説明した任意の要素は、
図1および2のガイドワイヤデバイスのチューブ104を形成するように組み合わせされ得、また使用され得る。加えて、実施形態は、本明細書で説明される、複数のバイパス切欠部、オフセットされる深さのツービーム切欠部、および/または対称な深さのツービーム切欠部を有するチューブを含むことができる。上記の組み合わせのうちの任意の組み合わせにおいて、コアワイヤの遠位側先端部が、円形形状、扁平形状、または他の形状であってよい。
【0050】
[0056]本発明は、本発明の精神または本質的特質から逸脱することなく他の形態で具体化され得る。説明される実施形態は、あらゆる点において、単に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされる。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意義の範囲内およびその均等物の範囲内にあるすべての変更形態が本発明の範囲に含まれる。