(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】路面適応性照明用ヘッドライト
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/076 20060101AFI20231208BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20231208BHJP
F21S 41/255 20180101ALI20231208BHJP
F21S 41/19 20180101ALI20231208BHJP
F21S 41/657 20180101ALI20231208BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20231208BHJP
F21S 41/32 20180101ALI20231208BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20231208BHJP
B62J 6/023 20200101ALI20231208BHJP
B62J 6/024 20200101ALI20231208BHJP
F21W 102/135 20180101ALN20231208BHJP
F21W 107/17 20180101ALN20231208BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231208BHJP
【FI】
B60Q1/076
F21S41/143
F21S41/255
F21S41/19
F21S41/657
F21S41/24
F21S41/32
F21S41/148
B62J6/023
B62J6/024
F21W102:135
F21W107:17
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2022120311
(22)【出願日】2022-07-28
【審査請求日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】518205380
【氏名又は名称】誠益光電科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】王 正
(72)【発明者】
【氏名】張 文鴻
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/115319(WO,A1)
【文献】特開2018-063891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/076
F21S 41/143
F21S 41/255
F21S 41/19
F21S 41/657
F21S 41/24
F21S 41/32
F21S 41/148
B62J 6/023
B62J 6/024
F21W 102/135
F21W 107/17
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着して使用する路面適応性照明用ヘッドライトであって、
ステーター構造体と、
軸方向に沿って前記ステーター構造体と同軸に構成され、前記ステーター構造体に対して相対的に回転するように構成され、載置面を有する、ローター構造体と、
前記軸方向に垂直となる方向において前記ステーター構造体と前記ローター構造体の間
に、前記ローター構造体を駆動する
ように前記ステーター構造体に配置される、駆動部と、
照明ビームを放射するように前記載置面に配置される、発光ユニットと、
接続構造体によって前記ローター構造体に連結されると共に入光面が前記発光ユニットの出光面と対向するように構成される光学レンズ、を含み、前記照明ビームを外部に投射することによって照明パターンを生成するように構成されている、光学部品と、
前記車両の車体の姿勢変化に応じて前記駆動部を動作させ、前記ローター構造体が前記発光ユニット
及び前記光学レンズを所定の角度で回転駆動するように構成された制御ユニットと、
を備え
、
前記軸方向に垂直となる方向において、前記ステーター構造体は前記ローター構造体よりも内側に位置し、
ワイヤ経路スロットは、前記軸方向に沿って前記ステーター構造体を通るように配置される、
ことを特徴とする、路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項2】
前記発光ユニットは、前記光学レンズの前記入光面に向けて前記照明ビームを照射するように構成されている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項3】
前記ローター構造体は、ベース部と、前記ベース部から延びるシェル部とを有し、前記載置面は前記ベース部に位置し、前記ベース部と前記シェル部は共に収容空間を規定し、前記ステーター構造体は前記収容空間に位置し、端部と前記端部から延びる軸部とを有し、前記端部よりも、前記軸部は前記ローター構造体の前記ベース部と近接し、前記駆動部は、コイル構造体および磁性体を含み、前記コイル構造体および前記磁性体は、前記ステーター構造体の前記軸部と前記ローター構造体の前記シェル部分との間に配置される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項4】
前記コイル構造体は前記ステーター構造体の前記軸部に固定され、前記磁性体は前記ローター構造体の前記シェル部に固定されている、
ことを特徴とする請求項
3に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項5】
前記駆動部は、少なくとも1つの軸受をさらに備え、前記少なくとも1つの軸受は、前記ステーター構造体の前記軸部の周りに、前記コイル構造体から間隔をあけて設けられる、請求項
3に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項6】
前記路面適応性照明用ヘッドライトは、前記収容空間を閉じるためのバックカバーをさらに備え、前記制御ユニットは、制御回路基板を備え、前記制御回路基板は、前記収容空間に配置される、
ことを特徴とする請求項
3に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項7】
前記光学部品は、ライトガイド、光学レンズおよび配光部材を含み、前記ライトガイドは、前記照明ビームが所定の経路に沿って進むようにガイドするように構成され、前記光学レンズおよび前記配光部材は、ともに前記所定の経路に配置され、前記配光部材は、前記経路に沿って進む前記照明ビームを選択的に遮断するように前記光学レンズと前記発光ユニットの間に配置され、前記所定の経路を走行する前記照明ビームを補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項8】
前記ライトガイド、前記光学レンズおよび前記配光部材は、前記発光ユニットと同時に前記ローター構造体によって駆動されるように構成され、前記発光ユニットは発光面を有し、前記発光面は前記ライトガイドの反射面によって遮蔽される、
ことを特徴とする請求項
7に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項9】
前記発光ユニットは、前記ライトガイドの前記反射面に向けて前記照明ビームを照射するように構成されている、
ことを特徴とする請求項
8に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項10】
前記配光部材は、第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成され、前記第2の位置は前記第1の位置よりも低く、前記第1の位置にある前記配光部材は、前記所定の経路に沿って進む前記照明ビームの一部を遮断して前記照明パターンをロービーム照明パターンに補正し、前記第2の位置にある前記配光部材は、前記所定の経路を進む前記照明ビームの全てを前記
入光面を介して前記光学レンズに入射させ、前記照明パターンをハイビーム照明パターンに補正する、
ことを特徴とする請求項
7に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項11】
前記ローター構造体は、ベース部と、前記ベース部から延びるシェル部とを有し、前記載置面は前記ベース部に位置し、前記ベース部と前記シェル部は共に収容空間を規定し、前記ステーター構造体は、前記収容空間外に位置する端部と、前記端部から前記収容空間内に延びる軸部とを備え、前記駆動部は、コイル構造体及び磁性体を含み、前記コイル構造体及び前記磁性体は前記ステーター構造体の前記軸部と前記ローター構造体の前記シェル部の間に位置している、
ことを特徴とする請求項
7に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項12】
前記コイル構造体は、前記ステーター構造体の前記軸部に固定され、前記磁性体は、前記ローター構造体の前記シェル部分に固定される、
ことを特徴とする請求項
11に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項13】
前記駆動部は、少なくとも1つの軸受をさらに備え、前記少なくとも1つの軸受は、前記ステーター構造体の前記軸部の周りに、前記コイル構造体から間隔をあけて配置される、
ことを特徴とする請求項11に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項14】
前記ローター構造体の前記ベース部は、前記収容空間内に位置する制限スロットをさらに備え、前記少なくとも1つの軸受は前記制限スロット内に嵌め込まれる、
ことを特徴とする請求項13に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項15】
前記制御ユニットは制御回路基板を含み、前記制御回路基板は前記ステーター構造体の前記端部に配置される、
ことを特徴とする請求項
3に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項16】
前記光学部品は、ライトガイドを備え、前記ライトガイドは、前記照明ビームが所定の経路に沿って進むように案内するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【請求項17】
前記ライトガイドは、前記発光ユニットと対応して配置され、前記発光ユニットの発光面が前記ライトガイドの反射面によって遮蔽される、
ことを特徴とする請求項
16に記載の路面適応性照明用ヘッドライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、特に、2輪または4輪の車両に適用する路面適応性照明用ヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドライト(前照灯)は走行中の車の目であり、安全を確保するために必要不可欠なものである。初期のヘッドライトは、ロービームとハイビームのどちらかが提供する光のパターンが固定されており、カーブ進入時の車体姿勢によって変化しないため、実用上は多くの欠点があった。例えば、車両が曲がり道を走行する場合、前方のライトパターンも左右に傾くため、車両前方に照明の死角ができ、運転者は道路内部を見ることができず、交通事故につながる可能性がある。
【0003】
ヘッドライト技術の進歩に伴い、ライトパターンを調整できるヘッドライトが増えた。これらのヘッドライトは、運転者に最適な視界を提供し、運転の安全性を確保するために、車の姿勢の変化に応じて照射範囲や距離などのライトパターンの特性を調整することができる。ヘッドライトの中には、曲がり道での補助照明として複数の補助光源を使用するタイプもあるが、補助光源を配置するためヘッドライトの小型化は難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、既存技術の欠点を解決し、補助光源を追加することなく、旋回時やカーブ進入時に十分な前方照度を確保できる路面適応性照明用ヘッドライトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した技術的課題を解決するために、本発明が採用した技術的解決手段の一つは、車両に搭載される路面適応性照明用ヘッドライトであって、前記路面適応性照明用ヘッドライトは、ステーター構造体、ローター構造体、駆動部、発光ユニット、光学部品および制御ユニットを含む路面適応性照明用ヘッドライトを提供することにある。前記ローター構造体は、軸方向に沿って前記ステーター構造体と同軸に構成され、前記ステーター構造体に対して相対的に回転するように構成され、前記ローター構造体は、載置面を有する。前記駆動部は、前記軸方向に垂直となる方向において前記ステーター構造体と前記ローター構造体との間に、前記ローター構造体を駆動するように前記ステーター構造体に配置される。前記発光ユニットは、前記載置面上に配置され、照明ビームを照射する。前記光学部品は、接続構造体によって前記ローター構造体に連結されると共に入光面が前記発光ユニットの出光面と対向するように構成される光学レンズ、を含み、前記照明ビームを外部に投射して照明パターンを生成する。前記制御ユニットは、前記ローター構造体が前記発光ユニット及び前記光学レンズを所定の角度だけ駆動するように、前記車体の姿勢変化に応じて前記駆動部を動作させる。前記軸方向に垂直となる方向において、前記ステーター構造体は前記ローター構造体よりも内側に位置する。そして、ワイヤ経路スロットは、前記軸方向に沿って前記ステーター構造体を通るように配置される。
【0007】
本発明の実施形態では、前記発光ユニットは、前記載置面上に配置され、前記光学レンズの前記入射面に向けて前記照明ビームを出射する。
【0008】
本発明の実施形態において、前記ローター構造体は、ベース部と、前記ベース部から延びるシェル部とを有し、前記載置面は前記ベース部に位置し、前記ベース部と前記シェル部とが一緒になって収容空間を画定する。前記ステーター構造体は、前記収容空間内に位置し、端部と、前記端部から延びる軸部とを有し、前記軸部は、前記端部よりも前記ローター構造体の前記ベース部側に接近する。前記駆動部は、コイル構造体と磁性体とを有し、前記コイル構造体と前記磁性体は、前記ステーター構造体の前記軸部と前記ローター構造体の前記シェル部との間に配置される。
【0009】
本発明の実施形態では、前記コイル構造体は前記ステーター構造体の前記軸部に固定され、前記磁性体は前記ローター構造体の前記シェル部に固定されている。
【0010】
本発明の実施形態において、前記駆動部は、少なくとも1つの軸受をさらに備え、前記少なくとも1つの軸受は、前記ステーター構造体の前記軸部周りに周方向に、前記コイル構造体から間隔をあけて配置されている。
【0011】
本発明の実施形態において、前記路面適応性照明用ヘッドライトは、前記収容空間を密閉するためのバックカバーをさらに備える。前記制御ユニットは、制御回路基板を含み、前記制御回路基板は、前記収容空間に配置されている。
【0012】
本発明の実施形態において、前記光学部品は、ライトガイドと、光学レンズと、配光部材とを備え、前記ライトガイドは、前記照明ビームを所定の経路に沿って進むように案内するように構成され、前記光学レンズおよび前記配光部材は、ともに前記所定の経路に配置され、前記配光部材は、前記所定の経路に沿って進む前記照明ビームを選択的に遮断するように前記光学レンズと前記発光ユニットとの間に配置され、それによって、前記照明ビームパターンを補正する。
【0013】
本発明の実施形態において、前記ライトガイド、前記光学レンズおよび前記配光部材は、前記発光ユニットと同時に前記ローター構造体によって駆動されるように構成される。前記発光ユニットは発光面を有し、前記発光面は前記ライトガイドの反射面によって隠蔽されている。
【0014】
本発明の実施形態では、前記発光ユニットは、前記ライトガイドの前記反射面に向けて前記照明ビームを照射するように構成されている。
【0015】
本発明の実施形態において、前記配光部材は、第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成され、前記第2の位置は、前記第1の位置よりも低い位置にある。前記第1の位置にある前記配光部材は、前記照明パターンを近照照明パターンに補正するために、前記所定の経路に沿って進む前記照明ビームの一部を遮断する。前記配光部材が前記第2の位置にある場合、前記所定の経路を進む前記照明ビームの全てが前記入光面を介して前記光学レンズに入射し、前記照明パターンはハイビーム照明パターンに補正するようになる。
【0016】
本発明の実施形態において、前記ローター構造体は、ベース部と、前記ベース部から延びるシェル部とを有し、前記載置面は前記ベース部に配置し、前記ベース部と前記シェル部は、共に収容空間を画定する。前記ステーター構造体は、前記収容空間の外側に位置する端部と、前記端部から前記収容空間内に延びる軸部とを有し前記駆動部は、コイル構造体と磁性体とを有し、前記コイル構造体と前記磁性体は、前記ステーター構造体の前記軸部と前記ローター構造体の前記シェル部との間に配置される。
【0017】
本発明の実施形態では、前記コイル構造体は前記ステーター構造体の前記軸部に固定され、前記磁性体は前記ローター構造体の前記シェル部に固定されている。
【0018】
本発明の実施形態において、前記駆動部は、少なくとも1つの軸受をさらに備え、前記少なくとも1つの軸受は、前記ステーター構造体の前記軸部に周方向に設けられ、前記コイル構造体から間隔をあけて配置されている。
【0019】
本発明の実施形態において、前記ローター構造体の前記ベース部は、前記収容空間内に制限スロットをさらに備え、前記少なくとも1つの軸受は、前記制限スロットに埋め込まれる。
【0020】
本発明の実施形態において、前記制御ユニットは、制御回路基板を含み、前記制御回路基板は、前記ステーター構造体の前記端部に配置されている。
【0021】
本発明の実施形態において、前記光学部品は、ライトガイドを備え、前記ライトガイドは、前記照明ビームが所定の経路に沿って進むように案内するように構成されている。
【0022】
本発明の実施形態では、前記ライトガイドは、前記発光ユニットと対向して配置され、前記発光ユニットの発光面は、前記ライトガイドの反射面によって遮蔽されている。
【0023】
要約すると、ステーター構造体およびローター構造体を巧みに設計し、駆動部、発光ユニット、光学部品および制御ユニットをコンパクトに統合した本発明の路面適応性照明用ヘッドライトは、構造が簡単で信頼性が高く、耐久性に優れているのである。さらに、駆動部と制御ユニットがローター構造体の内部に組み込まれているため、水、埃、汚れなどの外部環境の影響を受けにくく、長寿命化が図れる。
【0024】
さらに、本発明の路面適応性照明用ヘッドライトは、2輪または4輪の車両に搭載することができる。車両がカーブを曲がるときや走行するとき、制御ユニットは、車両の姿勢の変化(例えば、車両が道路に対して左または右に傾くなど)に応じて駆動部を動作させて、ローター構造体が発光ユニットおよび光学部品を駆動して所定の角度で回転させ、車両前方の死角を低減またはなくすことも可能である。
【0025】
本発明の特徴および技術的側面をよりよく理解するために、以下の本発明の詳細な説明および図面を参照する。これらの図面は、参照および説明の目的のみに提供され、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの実用例を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの立体的な組立状態を示す模式図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの立体分解図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの動作を示す模式図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの実用シーンを示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの実用シーンを示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの実用シーンを示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの実用シーンを示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの実用シーンを示す図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの立体的な組立状態を示す模式図である。
【
図12】
図11のXII-XII断面を模式的に示す図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの立体分解図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの動作を示す模式図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの動作を示す模式図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの動作を示す模式図である。
【
図17】本発明の第3実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの立体的な組立を示す模式図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII断面の模式図である。
【
図19】本発明の第3実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの三次元分解図である。
【
図20】本発明の実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトの変形実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
下記より、本願による「路面適応性照明用ヘッドライト」にかかる具体的な実施例で本発明が開示する実施形態を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各細節も様々な観点又は応用に基づいて、本発明の精神を逸脱しない限りに、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単で模式的に説明するためのものであり、実際的な寸法を示すものではない。以下の実施形態において、さらに本発明に係る技術事項を説明するが、公開された内容は本発明を限定するものではない。また、本明細書に用いられる「又は」という用語は、実際の状況に応じて、関連する項目中の何れか一つ又は複数の組合せを含み得る。
【0028】
本発明で説明する照明パターンは、明暗をカットした照明タイプであり、例えば、ECE R113の対称光型ヘッドライト規制の配光要件を満たす照明タイプである。
【0029】
[第1の実施形態]
図1~
図4を参照して、
図1は、本発明の第1実施形態の路面適応性照明用ヘッドライトD1の実用例を示し、
図2~
図4は、本発明の第1実施形態の路面適応性照明用ヘッドライトD1の構造を示す。ローター構造体2は、ステーター構造体1に対して相対的に回転するように構成され、載置面201を有する。駆動部3は、ステーター構造体1とローター構造体2との間に配置され、ローター構造体2を駆動させる。発光ユニット4は、ローター構造体2の載置面201に、照明ビームを照射するように構成されている。光学部品5は、照明ビームを外部に投射して照明パターンを生成するように構成されており、光学部品5はローター構造体2に一体に接続されている。制御ユニット6は、車両の姿勢の変化(例えば、車両が道路に対して左右に傾くなど)に応じて駆動部3を動作させて、ローター構造体2が発光ユニット4および光学部品5を所定の角度で回転駆動するように磁界に変化を生じさせるように構成されている。この路面適応性照明用ヘッドライトD1は、燃料二輪車や電気二輪車などの二輪の車両Vに取り付けることで、旋回時に十分な前方照度を得ることができ、以下に詳述するように、車両の前方視界における死角を減らす、あるいは無くすことができる。
【0030】
本実施形態で採用した光学設計では、発光ユニット4は光学部品5に向けて直接照明ビームを照射する。さらに、光学部品5は、入光面520と光軸A1とを有する光学レンズである。さらに言うと、入光面520は、発光ユニット4の発光面400に対向し、好ましくは対向して平行である。光軸A1は、ローター構造体2の回転軸A2と平行、好ましくは一致、またはわずかにオフセットしている。
【0031】
実際には、光学部品5は、水平方向と垂直方向で曲率が異なる非円対称の光学レンズとすることができ、光学部品5は、接続構造体7によってローター構造体2に接続することができ、このようにして、光学部品5は、発光ユニット4と同時にローター構造体2によって駆動することができ、すなわちローター構造体2が発光ユニット4と光学部品5を予め定められた角度に回転させるように駆動することができる。接続構造体7は、金属製または樹脂製のフレームであってもよいが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、接続構造体7とローター構造体2は、金属で一体に作られていてもよい。いくつかの実施形態では、接続構造体7と光学部品5(光学レンズ)は、プラスチック材料から一体に成形されてもよい。なお、上記はあくまで可能な実施形態であり、本発明を限定するものではない。
【0032】
ステーター構造体1、ローター構造体2、駆動部3、発光ユニット4、光学部品5および制御ユニット6を工夫してコンパクトに一体化するために、ローター構造体2は、ベース部21とベース部21から延びるシェル部22とを有し、ベース部21上に搭載面201が設けられた収容空間200を有するように構成されている。実際には、ベース部21は、発光ユニット4及び光学部品5を支持する略板状構造であってもよく、シェル部22は、ベース部21と共に収容空間200を規定する略筒状構造であってもよい。図示しない実施形態では、載置面201は、発光ユニット4又は光学部品5を搭載するための突起部又は凹部を有していてもよい。また、ヘッドライト構造全体の基礎をなすステーター構造1は、収容空間200に組み込まれるように設計されており、端部11と、端部11から延びる軸部12とを備え、軸部12は端部11よりもローター構造体2のベース部21に近い位置に設けられている。実際には、端部11は、ステーター構造体1とローター構造体2との間で駆動部3を確実に保持するためのプレート状構造であってもよく、軸部12は、支持を提供し回転軸A2を規定するための略筒状構造であってもよい。なお、上記は可能な実施形態に過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。
【0033】
本実施形態では、駆動部3は、コイル構造体31と磁性体32とを主体に構成されたブラシレスヘッドモータであってもよく、コイル構造体31と磁性体32は、ステーター構造体1の軸部12とローター構造体2のシェル部22との間に配置される。実際には、コイル構造体31は複数の巻線コアを含み、コイル構造体31はステーター構造体1の軸部12に固定されてもよく、磁性体32は1つまたは複数の磁石を含み、磁性体32はローター構造体2のシェル部22に固定されてもよい。このように、コイル構造体31と磁性体32は互いにあいまって電磁トルクを発生させて、ローター構造体2を回転軸A2周りに時計方向または反時計方向に回転させることができる。また、ローター構造体2の回転をより安定かつ円滑にするために、駆動部3は、第1の軸受33aおよび第2の軸受33bを含んでもよい。第1の軸受33aは、ステーター構造体1の軸部12の周りに、コイル構造体31から間隔を空けて配置されてもよい。第2の軸受33bは、ステーター構造体1の端部11の周りに配置されてもよい。なお、上記はあくまで可能な実施形態であり、本発明を限定するものではない。
【0034】
発光ユニット4は、金属ベースプリント回路基板(MCPCB)などの高熱伝導性回路基板(図では番号付けがない)によってローター構造体2の載置面201に固定されてもよい。なかでも、回路基板は、受信信号に従って発光ユニット4を駆動し、発光ユニット4が目標とする発光効果(例えば色、明るさ)を生じるように、発光ユニット4を駆動する機能を有している。さらに、発光ユニット4は、ローター構造体2の載置面201に固定された回路基板に搭載され、電気的に接続されている。実際には、発光ユニット4は、発光ダイオードパッケージ構造(LEDパッケージ構造)であり、第1の発光ユニットと第2の発光ユニットを含んでもよい。第1の発光ユニットと第2の発光ユニットは、光学部品5(光学レンズ)の焦点付近に配置され、かつ、第1の発光ユニットは、第2の発光ユニットよりも上方に位置する。第1発光ユニットと第2発光ユニットは、それぞれ1つ以上の発光ダイオードチップで構成されている。このように、第1の発光ユニットのみが点灯される場合には、その照明ビームが光学部品5を介して外部に照射され、ロービームの照明パターンが生成されるのに対して、第1の発光ユニットおよび第2の発光ユニットの両方が照明される場合には、それらの照明ビームが光学部品5を介して外部に照射され、遠光の照明パターンが生成される。なお、上記はあくまで可能な実施手段であり、本発明を限定するものではない。
【0035】
なお、ローター構造体2が金属製である場合、発光ユニット4で発生した熱は、回路基板によってローター構造体2の外周に速やかに伝導して外部に逃がすことができる。ローター構造体2および接続構造体7がともに金属製である場合、発光ユニット4で発生した熱を回路基板によってローター構造体2および接続構造体7の周辺に速やかに伝導し、外部に放熱させることが可能である。
【0036】
制御ユニット6は、ローター構造体2の収容空間200に配置され、制御回路基板と1つ以上のセンサ(例えば加速度センサとジャイロスコープ)とを含んでもよい。ここで、制御回路基板は、モータ駆動ICとその関連部品を備えてもよい。また、水や埃などの外部環境要因の影響を受けないように制御ユニット6を外部環境から隔離するために、本発明における路面適応性照明用ヘッドライトD1は、ローター構造体2のシェル部22の開放端に組み込まれて収容空間200を密閉するバックカバー8を構成してもよい。
【0037】
ステーター構造体1は、発光ユニット4のワイヤが通すために、端部11と軸部12を通るワイヤ経路スロット100を有してもよい。これにより、発光ユニット4のワイヤが機構に干渉されず、ヘッドライトが長期間にわたって適切に動作できることは、特筆すべきことである。
【0038】
図5乃至
図10を参照されたい。本発明の路面適応性照明用ヘッドライトD1の実用例を示しておく。路面適応性照明用ヘッドライトD1は、以下に例示するように、走行中の車両V(例えば、燃料二輪車や電気二輪車)に対して、車両Vの前方の照明死角BAを解消または低減するために十分な前方照明を提供する。直線道路を走行する車両Vの場合、車体が路面に対して垂直に保たれているため、制御ユニット6は駆動部3に動作を命令せず、発光ユニット4と光学部品5(光学レンズ)の位置は変わらず、結果として照明パターンPは水平となり、
図6に示すように車両V前方に死角ができないようにする。
【0039】
左カーブを走行する車両Vの場合、車体が(道路に対して)左に傾くと、発光ユニット4と光学部品5の位置が変わらなければ、結果として照明パターンPは左が低く、右が高くなる。その結果、
図7に示すように、車両Vの左前方に照明死角BAが生じることになる。これに対し、本実施形態では、制御ユニット6が車両の姿勢変化に応じて駆動部3に命令して磁界の変化を生じさせ、このとき、発光ユニット4および光学部品5は、
図5に示すように、照明パターンPが水平を保つようにローター構造体2に対して所定角度(運転者から見て時計回り)で右回転し、このようにして、
図8に示すように、車両左前方の照明の死角をなくすための補助照明領域IAを作成することができる。
【0040】
同様に、道路の右カーブを走行する車両Vの場合、車体が(道路に対して)右に傾くと、発光ユニット4と光学部品5の位置が変わらなければ、結果として照明パターンPは左が高く右が低くなり、このように、車両Vの右側前方に照明死角BAができる(
図9の場合)。これに対し、本実施形態では、制御ユニット6が車両の姿勢変化に応じて駆動部3に命令して磁界の変化を生じさせ、このとき、発光ユニット4および光学部品5は、
図5に示すように、ローター構造体2とともに所定角度左回転(運転者から見て反時計回転)して、照明パターンPが水平のままとなり、このようにして、
図10に示すように、車両右側前方の照明の死角をなくすための補助照明領域IAを形成することができる。
【0041】
図20を参照して、本発明の実施形態の路面適応性照明用ヘッドライトD1の変形例を示す。
図20に示すように、路面適応性照明用ヘッドライトD1において、ローター構造体2は、ベース部21及びシェル部22に加えて、ベース部21に接続される載置部23を備え、載置部23及びシェル部22がそれぞれベース部21の左右に配置されてもよく、さらに、光学部品5がライトガイド51及び光学レンズ52を含むようにしてもよい。光学部品5は、ライトガイド51と光学レンズ52とを含んでもよく、ライトガイド51と光学レンズ52は、発光ユニット4が発する照明ビームを外部に投射して照明パターンを生成するように構成されている。
【0042】
さらに言えば、発光ユニット4およびライトガイド51は、いずれも載置部23の載置面201上に配置され、発光ユニット4の発光面400がライトガイド51の反射面510に覆われ、好ましくは発光面400が反射面510に対向するように配置される。ライトガイド51は反射型カップでもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。このような構造では、発光ユニット4からの照明ビームをライトガイド51の反射面510で反射して光学レンズ52の入射面520に照射することができ、発光ユニット4と同時にライトガイド51をローター構造体2により駆動させることができる。
【0043】
[第2の実施形態]
本発明の第2実施形態の路面適応性照明用ヘッドライトD2の構成を示す
図11乃至
図13を参照する。ローター構造体2は、ステーター構造体1、ローター構造体2、駆動部3、発光ユニット4、光学部品5、および制御ユニット6を含む。ローター構造体2は、ステーター構造体1に対して相対的に回転するように構成され、載置面201を有する。駆動部3は、ステーター構造体1とローター構造体2との間に配置され、ローター構造体2を駆動させる。発光ユニット4は、ローター構造体2の載置面201に、照明ビームを照射するように構成されている。光学部品5は、照明ビームを外部に投射して照明パターンを生成するように構成されており、光学部品5はローター構造体2に一体に接続されている。制御ユニット6は、車体の姿勢変化に応じて駆動部3を回転させて磁界変化を生じさせ、ローター構造体2が発光ユニット4および光学部品5を所定の角度で回転駆動するように構成されている。路面適応性照明用ヘッドライトD2は、燃料や電力発動の2輪または4輪の車両Vに装着することで、旋回時に十分な前方照度を確保し、車両の前方視野の死角を減らす、あるいは無くすことが可能である。
【0044】
第1の実施形態で述べた関連する技術的詳細は、本実施形態においても有効であり、ここでは繰り返しを少なくするため、説明を省略する。従って、本実施形態で述べた関連する技術内容は、第1の実施形態においても適用可能である。
【0045】
本実施形態では、第1の実施形態とは異なる光学系を用い、ローター構造体2の回転軸A2と光学部品5の光軸A1が互いにほぼ垂直または好ましくは垂直となるようにヘッドライト構造を変更することは注目されるべきである。光学部品5がライトガイド51、光学レンズ52および配光部材53を含む。本実施形態では、ライトガイド51は、発光ユニット4から出射された照明ビームが所定の経路を進むように案内するように構成されている。光学レンズ52と配光部材53は共に所定経路に構成され、配光部材53は光学レンズ52と発光ユニット4との間に配置され、所定経路を進む照明ビームを選択的に遮断し、照明ビームパターンを補正することが可能である。ライトガイド51、光学レンズ52および配光部材53は、発光ユニット4と同時にローター構造体2によって駆動されるように構成されている。
【0046】
さらに、ライトガイド51の位置は発光ユニット4に対応し、ライトガイド51は反射面510を有し、発光ユニット4の発光面400はライトガイド51の反射面510により隠蔽される。実際には、ライトガイド51は反射型ランプカップであってもよく、反射面510は第1の焦点F1及び第2の焦点F2を規定し、第1の焦点F1はライトガイド51によって覆われる領域に位置し、第2の焦点F2はライトガイド51によって覆われる領域の縁の近傍に位置する。本実施形態の光学系では、第1の焦点F1は、光軸A1に、または光軸A1の下方に位置するが、好ましくは光軸A1の下方に位置する。発光ユニット4は、第1の焦点F1またはその近傍に配置されてもよく、さらに、ローター構造体2の回転をより安定かつ円滑にするために、発光ユニット4は、回転軸A2またはその近傍に配置されてもよい。第2の焦点F2は、レンズ焦点F3と一致してもよいし、レンズ焦点F3の近傍に位置してもよく、好ましくはレンズ焦点F3と一致させる。このようにすれば、発光ユニット4からの照明ビームをライトガイド51の反射面510で反射させて、光学レンズ52の入射面520に照射することができる。なお、上記はあくまでも考えられる実施例であって、本発明を限定するものではない。例えば、実用上の必要性に応じて、ライトガイド51は、反射型ランプカップ以外の反射型構造体であってもよい。
【0047】
光学レンズ52は、円対称の光学レンズであってもよく、光学レンズ52は、接続構造体7によってライトガイド51に接続されてもよい。接続構造体7は、金属製または樹脂製のフレームであってもよいが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、接続構造体7、ライトガイド51及び光学レンズ52は、プラスチック材料から一体に成型されてもよい。なお、上記はあくまで可能な実施形態であり、本発明を限定するものではない。
【0048】
配光部材53は、上部に光学的に有効なエッジ(または明暗カットエッジ)531を設けて配光を調整し、明暗カットラインとプロファイルが明確な近・遠光パターンを生成するシェードとすることができる。配光部材53は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に構成され、第2の位置は第1の位置よりも低い。配光部材53が第1の位置に移動すると、路面適応性照明用ヘッドライトD2はロービームモードに切り替わり、配光部材53が第2の位置に移動すると、路面適応性照明用ヘッドライトD2はハイビームモードに切り替わる。さらに、配光部材53は、電磁バルブ駆動部(図面には示されていない)により駆動されて第1の位置と第の2位置との間を往復してもよいが、これに限定されるものではない。第1の位置において、配光部材53は、所定の経路に沿って進行する照明ビームの一部を遮断して、ロービーム照明パターンを生成してもよい。第2の位置では、配光部材53は、予め定められた経路を走行する照明ビームの全体を、入光面520を介して光学レンズ52に入光させ、ハイビーム照明パターンを生成する。なお、上記はあくまで可能な実施形態であり、本発明を限定するものではない。
【0049】
次に、ステーター構造体1、ローター構造体2、駆動部3、発光ユニット4の詳細な特徴と、それらの組み合わせ方について説明する。
図11~
図13に示すように、ローター構造体2は、ベース部21と、ベース部21から延びるシェル部22とを有し、ベース部21上に載置面201が配置される収容空間200を有するように構成されている。実際には、ベース部21は、発光ユニット4および光学部品5を支持する板状の構造であってもよく、シェル部22は、ベース部21と協働して収容空間200を規定する円筒状の構造であってもよい。図示しない実施形態において、載置面201は、発光ユニット4または光学部品5を搭載するために突出部分または凹んだ部分を有していてもよい。また、ヘッドライト構造全体の根幹をなすステーター構造1は、収容空間200の外側に位置する端部11と、この端部11から収容空間200内に延びる軸部12とを有してもよい。実際には、端部11は、ステーター構造体1とローター構造体2との間で駆動部3を確実に保持するためのプレート構造であってもよく、軸部12は、支持を提供し、回転軸A2を規定するために筒状に形成されてもよいが、本発明を限定するものではない。
【0050】
駆動部3は、コイル構造体31と磁性体32とで構成されてもよく、コイル構造体31と磁性体32は、ステーター構造体1の軸部12とローター構造体2のアウターケーシング部22との間に配置されている。実際には、コイル構造体31が複数の鉄芯を巻いたものを含み、コイル構造体31がステーター構造体1の軸部12に固定されてもよく、磁性体32が1つ以上の磁石を含み、磁性体32がローター構造体2のアウターケーシング部22に固定されてもよい。このようにして、コイル構造体31と磁性体32とがあいまって、ローター構造体2を回転軸A2周りに時計回り又は反時計回りに回転させる電磁トルクを発生させることができる。ローター構造体2の安定した滑らかな回転を提供するために、駆動部3は、ステーター構造体1の軸部12の周りに配置され、コイル構造体31から間隔を空けて配置される少なくとも1つの軸受33を含んでいてもよい。実用的なニーズによれば、ローター構造体2のベース部21は、収容空間200に設けられた制限スロット211をさらに含み、少なくとも1つの軸受33が制限スロット211に埋め込まれてもよい。なお、上記はあくまで可能な実施形態であり、本発明を限定するものではない。
【0051】
ステーター構造体1は、発光ユニット4のワイヤを通すために、端部11と軸部12を通るワイヤ経路スロット100を有することができ、これにより、発光ユニット4のワイヤが機構に干渉されず、ヘッドライトが長期間にわたって適切に動作できることは、特筆すべきことである。
【0052】
発光ユニット4は、金属ベースプリント回路基板(MCPCB)などの高熱伝導性回路基板(図では番号付けがない)によってローター構造体2の載置面201に固定されてもよく、回路基板は、受信信号に従って発光ユニット4を駆動し、発光ユニット4が目標発光効果(例えば色、明るさ)を生じるように、少なくとも発光ユニット4の駆動機能を有する。さらに、発光ユニット4は、ローター構造体2の載置面201に固定された回路基板に搭載され、電気的に接続されている。実際には、発光ユニット4は、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)チップからなるLEDパッケージ構造とすることができる。上記はあくまで可能な実施例であり、本発明を限定するものではない。
【0053】
最後に、制御ユニット6は、ステーター構造体1の端部11に配置され、ローター構造体2の収容空間200にはないことに留意すべきである。制御ユニット6は、制御回路基板と1つ以上のセンサ(例えば、加速度計とジャイロスコープ)を含み、ここで制御回路基板は、モータ駆動ICとその関連部品を備えていてもよい。
【0054】
図14~
図16を参照して、本発明の路面適応性照明用ヘッドライトD2の使用状態について説明する。まず、
図14に示すように、車両が直線道路を走行している場合、制御ユニット6は駆動部3に動作を指令せず、このとき発光ユニット4および光学部品5(光学レンズ)の位置は変化せず、車両の真正面に位置する照明パターンPが生成される。そして、
図15及び
図16に示すように、車両が曲線道路を走行する場合、制御ユニット6が車両の姿勢変化に応じて駆動部3に回転を指令して磁界の変化を生じさせ、その後、発光ユニット4及び光学部品5がローター構造体2と共に左右に偏向することになり、こうすることで、照明パターンPは前方の道路の死角部分まで到達することができる。
【0055】
[第3の実施形態]
図17~
図19を参照して、本発明の第3実施形態に係る路面適応性照明用ヘッドライトD3の構造を示す。路面適応性照明用ヘッドライトD3は、主に、ステーター構造体1、ローター構造体2、駆動部3、発光ユニット4、光学部品5、制御ユニット6を含む。ローター構造体2は、ステーター構造体1に対して相対的に回転するように構成され、載置面201を有する。駆動部3は、ステーター構造体1とローター構造体2との間に構成され、ローター構造体2を駆動するように構成されている。発光ユニット4は、ローター構造体2の載置面201に、照明ビームを照射するように構成されている。光学部品5は、照明ビームを外部に投射して照明パターンを生成するように構成されており、光学部品5はローター構造体2に一体に接続されている。制御ユニット6は、車体の姿勢変化に応じて駆動部3を回転させて磁界変化を生じさせ、ローター構造体2が発光ユニット4および光学部品5を所定の角度で回転駆動するように構成されている。路面適応性照明用ヘッドライトD3は、燃料や電気で発動の2輪または4輪の車両Vに装着することで、旋回時に十分な前方照度を確保し、車両の前方視界の死角を減らす、あるいは無くすことが可能である。
【0056】
本実施形態のヘッドライト構造は、本実施形態の光学系が光学レンズおよび配光部材を含まないことを除いて、第2実施形態の光学系と実質的に同じであり、すなわち、本実施形態の光学系では、発光ユニット4からの照明ビームをライトガイド51の反射面510で反射して所定の経路で外部に投射することができるので、光学レンズおよび配光部材による照合は不要で所望の道路照明用光のパターン(明暗の切り分けがより鮮明でない)とすることが可能である。第2の実施形態で述べた関連する技術的詳細は、本実施形態においても有効であり、ここでは繰り返しを減らすために、繰り返さないことにする。従って、本例で述べた関連する技術的内容は、第2の実施形態においても適用可能である。
【0057】
[実施形態による有益の効果]
以上より、本発明の実施形態は、以下の有益な効果を奏する。
一、ステーター構造体およびローター構造体を巧みに設計し、駆動部、発光ユニット、光学部品、制御ユニットをコンパクトに一体化した本発明の路面適応性照明用ヘッドライトは、シンプルで信頼性が高く、耐久性に優れている。さらに、駆動部と制御ユニットがローター構造体に組み込まれているため、水、埃、汚れなどの外部環境の影響を受けず、長寿命化が図れる。
二、本発明の路面適応性照明用ヘッドライトは、2輪または4輪の車両に取り付けることができ、車両がカーブを曲がるときや走行するときに、車両の姿勢変化(例えば、車両が道路に対して左または右に傾く)に応じて制御ユニットが駆動部を動作させて、回転体構造が発光ユニットおよび光学部品を駆動して所定の角度で旋回させ、車両前方の死角を減少または消滅させることができる。
三、本発明のヘッドライト構造では、発光ユニットは、熱伝導性の高い回路基板によってローター構造体の載置面に固定され、ローター構造体と接続構造体は金属材料で一体成形することができ、このようにすれば、発光ユニットで発生した熱を回路基板によってローター構造体と接続構造体の周囲に速やかに伝導させて逃がすことができる。
四、本発明のヘッドライト構造では、電線はステーター構造体に通され、ローター構造体とともに回転せず、また機構に干渉されないので、ヘッドライトの効率は良い。駆動部がローター構造体の内部にあるため、ヘッドライトのサイズを小さくすることができ、さらに、駆動部はローター構造体とローター構造体によって駆動される部品にのみ作用するため、駆動部の出力は小さく、熱アフェクションも低い。
五、本発明による路面適応性照明用ヘッドライトは、動作に応じて動く効果をロービームに切り替えられるときに機能しながら、ハイビームの効果も実現できる。かつ、ロービームは動作に応じて動きながら対向車に眩しさを与えることなく、移動中の規制を遵守することが可能である。
【0058】
以上に開示された内容は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。そのため、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0059】
V:車両
D1、D2、D3:路面適応性照明用ヘッドライト
1:ステーター構造体
100:ワイヤ経路スロット
11:端部
12:軸部
2:ローター構造体
200:収容空間
201:載置面
21:ベース部
211:制限スロット
22:シェル部
23:載置部
3:駆動部
31:コイル構造体
32:磁性体
33:軸受
33a:第1の軸受
33b:第2の軸受
4:発光ユニット
400:発光面
5:光学部品
51:ライトガイド
510:反射面
F1:第1の焦点
F2:第2の焦点
52:光学レンズ
520:入光面
F3:レンズ焦点
53:配光部材
531:光学的に有効なエッジ
6:制御ユニット
7:接続構造体
8:バックカバー
A1:光軸
A2:回転軸
BA:照明死角
IA:補助照明領域
P:照明パターン