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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231208BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231208BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20231208BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20231208BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/00 346D
G02F1/1368
H10K59/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022123262
(22)【出願日】2022-08-02
(62)【分割の表示】P 2021057637の分割
【原出願日】2012-04-23
(65)【公開番号】P2022172088
(43)【公開日】2022-11-15
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】花岡 一哉
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0182223(US,A1)
【文献】特開2011-222475(JP,A)
【文献】特開2011-048339(JP,A)
【文献】特開2010-003910(JP,A)
【文献】特開2005-228895(JP,A)
【文献】特開2011-258941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極として機能する領域を有する第1の導電膜と、
前記第1の導電膜上方に位置する領域を有する発光性の有機化合物を含む層と、
前記発光性の有機化合物を含む層上方に位置する領域を有する第2の導電膜と、
前記第1の導電膜の下方に位置する領域を有する第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜の下方に位置する領域を有する第3の導電膜と、
前記第3の導電膜の下方に位置する領域を有する第1の半導体膜と、
前記第1の半導体膜の下方に位置する領域を有する第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜の下方に位置する領域を有する第4の導電膜と、
前記第4の導電膜の下方に位置する領域を有する第3の絶縁膜と、
前記第3の絶縁膜の下方に位置する領域を有する第2の半導体膜と、を有し、
前記第1の半導体膜は、酸化物半導体を有し、
前記第2の半導体膜は、シリコンを有し、
前記第1の半導体膜をチャネル形成領域に有する第1のトランジスタは、前記第1の導電膜と電気的に接続され、
前記第3の導電膜は、前記第1のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方として機能する領域を有し、
前記第3の導電膜は、前記第2の半導体膜をチャネル形成領域に有する第2のトランジスタと電気的に接続され、
前記発光性の有機化合物を含む層は、前記第2の半導体膜の上方に位置し、且つ前記第2の半導体膜と重なる領域を有し、
前記第1の導電膜は、前記第2の半導体膜の上方に位置し、且つ前記第2の半導体膜と重なる領域を有し、
前記第4の導電膜には、電源電圧が与えられ、
前記電源電圧が、前記第2のトランジスタに供給される、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記酸化物半導体は、インジウムを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置、表示装置の作製方法および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やEL(Electro luminescence)表示装置などの表示
装置の駆動方式は、パッシブマトリクス方式とアクティブマトリクス方式とに大別できる
。このうち、アクティブマトリクス方式は、パッシブマトリクス方式と比較して、低消費
電力化、高精細化、基板の大型化等が可能であるため、テレビ受像器や携帯電話等の画像
表示部に広く採用されている。
【0003】
駆動方式としてアクティブマトリクス方式が適用されたパネルは、大型化及び高精細化が
進み、画像表示部の駆動状態を制御するための駆動回路にも高い性能が求められている。
例えば、単結晶シリコン基板などの移動度が非常に高い材料を用いて駆動回路を形成して
樹脂等で封止した、高性能な半導体集積回路(以下、集積回路とも記載する。)を作製し
、当該集積回路をCOG(Chip on Glass)方式やTAB(Tape Au
tomated bonding)方式を用いて画像表示部の形成された基板に実装する
技術が採用されている(例えば、COG方式については特許文献1を参照。)。
【0004】
COG方式やTAB方式では、集積回路の備える駆動回路と画像表示部間の配線引き回し
距離を極力短くするために、集積回路は、画像表示部の周辺に、画像表示部に近接して設
置される。なお、表示装置において、集積回路が設置されているため画像表示部として機
能しない画像表示部周辺領域は、「額縁部分」などと呼ばれる。
【0005】
近年、より大きなサイズの画像表示部を筐体に設置する(つまり、画像表示部の大きさを
保ったまま製品を小型化できる)、表示装置のデザイン性を高めるといった観点から、表
示装置の額縁部分をいかに小さくするか(いわゆる、狭額縁化。)が、製品を設計する上
での重要な要素の一つと位置付けられている。
【0006】
また、電子看板などの大型の表示装置では、複数枚の表示装置を並べて擬似的に1枚のデ
ィスプレイ(マルチディスプレイなどとも言われる。)として用いる、といった使用方法
が採用されている。この場合、視認者に対して複数枚の表示装置をあたかも一枚の表示装
置と認識させるためには、各表示装置の額縁部分を極力小さくし、隣接する表示装置の画
像表示部を極力近接させることが望まれている。
【0007】
表示装置の狭額縁化を達成する方法としては、例えば特許文献2のように、基板の裏面側
(つまり、画像表示部が形成されていない面。)に集積回路を設置し、画像表示部側から
折り返すようにして集積回路に配線を電気的に接続する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2003-255386号公報
【文献】特開2000-98417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上述の方法を用いて基板の裏面側に集積回路を設置した場合、集積回路と画
像表示部を電気的に接続する配線の距離が長くなるため、表示装置の性能が低下する原因
となる。
【0010】
また、配線部分が露出しているため、表示装置の設置環境等により配線部分が変質する、
表示装置に外部から負荷が加わること配線部分が劣化(例えば断線など。)するなど、表
示装置の信頼性の観点からも好ましい構造とは言えない。
【0011】
上記問題に鑑み、本発明は、額縁サイズが小さく、高性能かつ信頼性の高い表示装置を提
供することを課題の一つとする。
【0012】
また、上述表示装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。
【0013】
また、上述表示装置を備える、付加価値の高い電子機器を提供することを課題の一つとす
る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
駆動回路を構成するトランジスタの半導体膜として、単結晶半導体基板から分離した単結
晶半導体膜を用いた構成とすることで、駆動回路を、高い駆動性能を備えた薄膜構造とす
る。そして、画像表示部を、少なくとも一部が駆動回路と重なる状態に、駆動回路上に配
した構成とする。
【0015】
COG方式やTAB方式では、駆動回路を備える集積回路を画像表示部に重ねると、表示
画像の一部が集積回路に遮られてしまうため、画像表示部に近接した位置(つまり、画像
表示部外周部より外側。)に集積回路を設置する必要がある。この方法では少なくとも集
積回路のサイズ(駆動回路のサイズに加え、駆動回路などを封止する樹脂のサイズも含む
。)以上の額縁部分が、表示装置に生じてしまう。
【0016】
これに対し、表示装置を上述構造とすることにより、駆動回路と画像表示部を重ねること
で画像表示部からの駆動回路のはみ出しを少なく、または無くすことができるため、額縁
部分のサイズを小さくできる。
【0017】
また、駆動回路の性能低下を抑制するため、駆動回路と画素表示部を電気的に接続する配
線についても少なくとも一部が画像表示部と重なる構造とする。
【0018】
COG方式、TAB方式を用いた場合、集積回路と画像表示部の間には少なからず隙間が
生じ、基板の面方向に当該隙間を横切って配線を引き回し、集積回路と画像表示部を電気
的に接続する必要があるため、配線の引き回し距離が長くなる。
【0019】
これに対し、表示装置を上述構造とすることにより、駆動回路または画像表示部と重なる
位置で配線を引き回し、駆動回路と画像表示部を電気的に接続することができるため、配
線の引き回し距離を非常に短くでき、表示装置の性能低下を抑制できる。
【0020】
また、各種電子機器に上述記載の表示装置を用いることにより、画像表示部の大きさを保
ったまま製品を小型化できる、表示装置のデザイン性を高めることができるため、電子機
器の付加価値を高めることができる。
【0021】
すなわち、本発明の一態様は、ベース基板と、ベース基板上の走査線駆動回路および信号
線駆動回路と、走査線駆動回路および信号線駆動回路を覆う第1の層間膜と、第1の層間
膜上に設けられ、走査線駆動回路および信号線駆動回路と電気的に接続された配線と、配
線を覆う第2の層間膜と、第2の層間膜上に設けられ、配線により走査線駆動回路および
信号線駆動回路と電気的に接続された、複数の画素をマトリクス状に備える画像表示部と
、を有し、走査線駆動回路および信号線駆動回路の少なくとも一方は画像表示部と重なり
、配線は少なくとも一部が画像表示部と重なり、走査線駆動回路および信号線駆動回路の
備えるトランジスタの活性層が、単結晶半導体基板から分離した単結晶半導体薄膜を用い
て構成されることを特徴とする表示装置である。
【0022】
表示装置を上述のように、第1の層間膜および第2の層間膜に挟まれた配線により、走査
線駆動回路および信号線駆動回路の少なくとも一方が画像表示部と重なるように電気的に
接続することにより、額縁部分のサイズを小さくできる。
【0023】
また、本発明の一態様は、ベース基板と、ベース基板上の走査線駆動回路および信号線駆
動回路と、走査線駆動回路および信号線駆動回路を覆う第1の層間膜と、第1の層間膜上
に設けられ、走査線駆動回路および信号線駆動回路と電気的に接続された配線と、配線を
覆う第2の層間膜と、第2の層間膜上に設けられ、配線により走査線駆動回路および信号
線駆動回路と電気的に接続された、複数の画素をマトリクス状に備える画像表示部とを有
し、走査線駆動回路および信号線駆動回路の両方は画像表示部と重なり、走査線駆動回路
および信号線駆動回路の備えるトランジスタの活性層が単結晶半導体基板から分離した単
結晶半導体薄膜を用いて構成されることを特徴とする表示装置である。
【0024】
表示装置を、上述のように第1の層間膜および第2の層間膜に挟まれた配線により、走査
線駆動回路および信号線駆動回路の両方が画像表示部と重なるように電気的に接続するこ
とにより、額縁部分のサイズをより小さくできる。
【0025】
なお、上述表示装置において、走査線駆動回路および信号線駆動回路の両方が、画像表示
部の周端部よりも内側に位置する構造とすることで、額縁部分のサイズを更に小さくする
ことができる。
【0026】
また、上述表示装置において、配線の全てを画像表示部と重なる位置に設けた構造とする
ことにより、額縁部分のサイズを更に小さくできる。
【0027】
そして、上述の額縁サイズの縮小された表示装置を電子機器の表示部として用いることに
より、電子機器の筐体サイズを大きくすることなく、表示部のサイズをより大きくするこ
とができるため、表示装置を付加価値の高いものにできる。また、筐体サイズを変えるこ
となく画面サイズを大きくできるため、表示装置の軽量化にも繋がる。
【0028】
また、300nm以上700nm以下の波長の光が80%以上透過する基板を表示装置の
ベース基板として用い、当該表示装置を、隣接する表示装置において画像表示部と額縁部
分が重なるように複数枚設置することにより、表示部の継ぎ目(つまり、額縁部分。)が
分かり難く、あたかも一枚の表示装置と認識できるマルチディスプレイとすることができ
る。
【発明の効果】
【0029】
表示装置の備える駆動回路と画像表示部が重なる構造とすることで、画像表示部からの駆
動回路のはみ出しを少なくできるため、額縁部分のサイズを小さくできる。
【0030】
駆動回路と画素表示部を電気的に接続する配線を、画像表示部と重なる構造とすることで
画像表示部からはみ出すことなく配線を形成できるため、配線の引き回し距離を短くでき
、駆動回路の性能低下を抑制できる。
【0031】
また、各種電子機器に上述記載の表示装置を用いることにより、画像表示部の大きさを保
ったまま製品を小型化できる、表示装置のデザイン性を高めることができるため、電子機
器の付加価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】表示装置の構成を説明する図。
図2】表示装置の作製方法を説明する図。
図3】表示装置の作製方法を説明する図。
図4】表示装置の構成を説明する図。
図5】表示装置を用いた電子機器の一例。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、本明細書に開示する発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱すること
なくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従
って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0034】
なお、以下に説明する実施の形態において、同一部分または同様な機能を有する部分には
同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0035】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実
際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必
ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0036】
また、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、構成要素の混同
を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0037】
また、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」また
は「直下」であることを限定するものではない。例えば、「A上のB」の表現であれば、
AとBとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0038】
また、本明細書等において、基板に形成された膜や基板の一部を、他の基板に移し替える
(載せ替える、とも表現できる。)工程を、「転置」または「転置工程」と記載する。
【0039】
(実施の形態1)
本実施の形態では、図1を用いて表示装置の構成の一例を説明すると共に、表示装置の作
製方法の一例を、図2および図3を用いて説明する。
【0040】
<表示装置の構成例>
表示装置の一例として、本実施の形態では、一対の電極間挟まれた液晶材料に対して電圧
印加を行い、外部からの光を用いて画像を表示する表示装置100(反射型表示装置とも
表現できる。)の構成を、図1を用いて説明する。図1(A)は表示装置の平面図である
。また、図1(B)は図1(A)のA1-A2部分の断面を示す図面である。なお、A1
-A2断面における回路層の構造を全て記載することは難しいため、図1(B)では、駆
動回路部および画像表示部ならびに、外部配線接続部について記載する。また、図1(A
)では、表示装置100の各構成要素の位置を理解しやすくするため、一部の構成要素(
例えば、対向基板138など。)を記載していない。
【0041】
表示装置100は図1(A)に示すように、ベース基板102上に走査線駆動回路150
、信号線駆動回路152および画像表示部154を備える回路層180が形成されており
、画像表示部154の周辺に設けた封止材料136により、ベース基板102上に対向基
板138(図示しない。)が貼り合わされている。また、ベース基板102上には、回路
層に備えられた構成要素に対して電源電圧を供給するための外部配線172が、導電材料
170を介して接続されている。
【0042】
回路層180は図1(B)に示すように、走査線駆動回路150および信号線駆動回路1
52が少なくとも形成された第1の回路層156と、画像表示部154が少なくとも形成
された第2の回路層160を有している。なお、図1(B)では第1の回路層156中に
走査線駆動回路150のみしか記載していないが、第1の回路層156中に信号線駆動回
路152も含まれている。
【0043】
第1の回路層156の備える走査線駆動回路150および信号線駆動回路152、第2の
回路層160の備える画像表示部154には、実際には様々な素子(例えば薄膜トランジ
スタや容量素子など。)が形成されるが、図1(B)では、走査線駆動回路150の構成
要素として用いられるトランジスタ158を第1の回路層156に記載し、画像表示部の
構成要素として用いられるトランジスタ162を第2の回路層160に記載している。
【0044】
走査線駆動回路150(および信号線駆動回路152)の備えるトランジスタ158は、
ベース基板102上に形成された絶縁膜104と、絶縁膜104上に形成された半導体膜
106と、絶縁膜104および半導体膜106上に形成され、トランジスタ158のソー
ス線(ソース電極とも表現できる。)やドレイン線(ドレイン電極とも表現できる。)と
して機能する導電膜108と、半導体膜106および導電膜108上に形成され、トラン
ジスタ158のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜110と、絶縁膜110を挟んで半導
体膜106と重なる位置に形成され、トランジスタ158のゲート電極として機能する導
電膜112を有している。また、トランジスタ158は第1の層間膜114で覆われ第1
の回路層156が形成されている。
【0045】
トランジスタ158は走査線駆動回路150や信号線駆動回路152の構成要素であり、
表示装置が大型化および高精細化するほど高い駆動性能が求められる。このため、例えば
アモルファスシリコンのような移動度の低い半導体膜をトランジスタ158の半導体膜1
06として用いる(トランジスタ158の活性層として用いる、とも表現できる。)こと
は適切でない。
【0046】
トランジスタの駆動性能を高めるために、単結晶半導体基板(例えば、単結晶シリコン基
板など。)にトランジスタを形成する方法もあるが、当該方法を用いた場合、表示装置は
非常に高価になるため、特に表示装置を大型化する場合などにおいては現実的な方法とは
言い難い。
【0047】
上述の点を鑑み、本実施の形態に記載の表示装置では、トランジスタ158の半導体膜(
活性層とも言える。)を、単結晶半導体基板から分離した単結晶半導体薄膜を用いて構成
することを特徴の一つとしている。
【0048】
後に記載するが、単結晶半導体薄膜は、内部に脆化領域を形成した単結晶半導体基板を別
の基板(ここでは支持基板と記載する。)に貼り付けた後、支持基板から単結晶半導体基
板を分離することで、支持基板上に単結晶半導体基板の一部である単結晶半導体薄膜を形
成できる。そのため、ベース基板102が非常に大きなサイズであっても、ベース基板1
02上の走査線駆動回路150および信号線駆動回路152を形成する領域に上述の単結
晶半導体薄膜を形成することにより、表示装置の大型化にも対応できる。
【0049】
なお、半導体層106として上述のように単結晶半導体基板から分離した単結晶半導体薄
膜を用いた場合、走査線駆動回路150や信号線駆動回路152の厚さを非常に薄くでき
るため、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152上に平坦化膜を形成して表面
凹凸を緩和することで、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152と重なる位置
に、画像表示部154を容易に形成できる。
【0050】
上述特徴を生かし、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152の少なくとも一部
と重なる状態に、駆動回路上に画像表示部154を配した構成とすることで、表示装置1
00の額縁部分のサイズを大幅に縮小することが可能となる。
【0051】
なお、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152は、画像表示部154と重なる
位置に備えられているため、本実施の形態に記載するな反射型表示装置の場合、画像表示
部154の映像が走査線駆動回路150および信号線駆動回路152に遮られるることが
ない。また、基板102側から照射する光を用いた表示装置(透過型表示装置や半透過型
表示装置とも表現できる。)に本実施の形態を適用した場合においても、各種導電膜や配
線の線幅を細くして透過領域を増加させる、各種導電膜や配線に透光性を有する導電膜を
用いることにより、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152と画像表示部15
4が重なっていても、画像表示を得ることができる。
【0052】
また、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152の備えるトランジスタ158は
、ベース基板102および第2の回路層160等により覆われた構造となっているため、
トランジスタ158に悪影響を及ぼす要因(例えば水分など。)の侵入を効果的に抑制す
る構造であると言える。
【0053】
そして、第1の回路層156上には第2の層間膜116および絶縁膜118を挟んで、少
なくとも画像表示部154が形成された第2の回路層160が形成されている。
【0054】
第2の層間膜116は、第1の回路層156の形成(走査線駆動回路150および信号線
駆動回路152の形成、とも言える。)により生じた段差を平坦化し、走査線駆動回路1
50および信号線駆動回路152と重なる領域に画像表示部154を形成しやすくする効
果を有している。
【0055】
絶縁膜118は、トランジスタ158に悪影響を及ぼし得る水分などの不純物が、外部か
ら侵入することを抑制する効果がある。加えて、第1の回路層156中の不純物(例えば
、第1の回路層156中に存在する水素や、絶縁層116中に存在する水分など。)が第
2の回路層160に拡散することを抑制する効果がある。
【0056】
画像表示部154の備えるトランジスタ162は、絶縁膜118上に形成された下地膜1
20と、下地膜120上に形成された、トランジスタ162のゲート電極として機能する
導電膜122と、下地膜120および導電膜122上に形成された、トランジスタ162
のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜124と、絶縁膜124上に形成された半導体膜1
26と、絶縁膜124および半導体膜126上に形成され、トランジスタ162のソース
線(ソース電極とも表現できる。)やドレイン線(ドレイン電極とも表現できる。)とし
て機能する導電膜128を有している。
【0057】
トランジスタ162は絶縁膜130および絶縁膜132で覆われており、絶縁膜132上
に形成された導電膜134が、絶縁膜130および絶縁膜132の一部に設けられた開口
部を介して導電膜128と電気的に接続され、第2の回路層160を成している。なお、
導電膜134は、画像表示部154において画素電極として機能する。
【0058】
トランジスタ162は画像表示部154の構成要素(画像表示部154のスイッチング素
子とも表現できる。)であり、一般的に、走査線駆動回路150や信号線駆動回路152
ほどに高い駆動性能は求められない。このため、半導体膜126には様々な材質の膜を用
いることができる。表示装置100の大型化及び高精細化の観点から鑑みると、半導体膜
126に形成されるチャネル形成領域は、少なくとも1[cm/Vs]の移動度を有し
ていることが好ましいため、半導体膜126として、例えば半導体膜106と同様に、単
結晶半導体基板から分離した単結晶半導体膜、多結晶半導体膜を用いることができる。な
お、半導体膜の材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム
、炭化シリコンまたはガリウム砒素などを用いることができる。
【0059】
また、半導体膜126の材料として、酸化物半導体を用いることもできる。酸化物半導体
材料を用いた半導体膜126は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非
晶質などの状態をとる。
【0060】
好ましくは、半導体膜126はCAAC-OS(C Axis Aligned Cry
stalline Oxide Semiconductor)膜とする。
【0061】
CAAC-OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC-OS膜
は、非晶質相に結晶部および非晶質部を有する結晶-非晶質混相構造の酸化物半導体膜で
ある。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであること
が多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electro
n Microscope)による観察像では、CAAC-OS膜に含まれる非晶質部と
結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC-OS膜には粒界(グレ
インバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC-OS膜は、粒界に
起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0062】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC-OS膜の被形成面の法線ベクト
ルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角
形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または
金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸お
よびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、8
5°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、-5
°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0063】
なお、CAAC-OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAA
C-OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形
成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CA
AC-OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶
質化することもある。
【0064】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面の法線ベクト
ルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC-OS膜の形状(被形成
面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。な
お、結晶部のc軸の方向は、CAAC-OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクト
ルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、また
は成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0065】
CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動
を低減することが可能である。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0066】
酸化物半導体は、エネルギーギャップが3.0~3.5eV以上と大きく、酸化物半導体
を適切な条件で加工して得られたトランジスタにおいては、オフ電流を使用時の温度条件
下(例えば、25℃)において、100zA(1×10-19A)以下、もしくは10z
A(1×10-20A)以下、さらには1zA(1×10-21A)以下とすることがで
きる。このため、消費電力の小さい表示装置を実現することができる。
【0067】
そして、第2の回路層160上に、一方の面に表示装置100の共通電極として機能する
導電膜140が、他方の面にカラーフィルター142が形成された対向基板138が、第
2の回路層160と導電膜140が対向する状態に、封止材料136を用いてベース基板
102と貼り合わされている。貼り合わされたベース基板102と対向基板138間の隙
間は、スペーサー144に調整することができ、スペーサー144により形成されたベー
ス基板102と対向基板138間の隙間に、液晶材料146が注入されている。
【0068】
また、走査線駆動回路150(および信号線駆動回路152)の備えるトランジスタ15
8と、画像表示部154の備えるトランジスタ162は、第1の回路層156と第2の回
路層160間に形成された、少なくとも一部が画像表示部と重なる導電膜148(接続配
線とも記載できる。)を介して電気的に接続されている。
【0069】
導電膜148の形成位置を上述の位置とすることで、導電膜148は第1の回路層156
や第2の回路層160と重なる位置に形成でき、画像表示部154の外周部(つまり、額
縁部分。)を引き回す必要がない。このため、導電膜148の引き回しにより表示装置1
00の額縁部分が大きくなることを抑制できる。
【0070】
本実施の形態に記載の表示装置は、以上のような構成を備えている。
【0071】
<表示装置の作製方法>
次に、図2乃至図8を用いて、図1に示す表示装置100の作製工程の一例について説明
する。
【0072】
まず、ベース基板102上に絶縁膜104および半導体膜106を形成する(図1(A)
参照。)。
【0073】
本実施の形態等に記載の半導体膜106は、単結晶半導体基板の一部を分離することで得
られる単結晶半導体膜を用いて形成されている。単結晶半導体基板の一部を分離して、ベ
ース基板102上に単結晶半導体薄膜を形成する方法としては、例えば、公知文献である
「特開2008-277789」などに記載の方法を用いることができる。勿論、当該公
知文献に限らず、他の公知技術を用いてベース基板102上に単結晶半導体薄膜を形成し
てもよい。なお、絶縁膜104および半導体膜106の形成方法や材料などについては、
上述公知文献を参酌することができるため、ここでは説明を省略する。
【0074】
なお、ベース基板102は、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有してい
ることが必要となる。例えば、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスな
どのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの基板を用いることが
できる。また、絶縁表面を有していれば、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基
板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板などを適用するこ
とも可能である。
【0075】
次に、絶縁膜104および半導体膜106上に、トランジスタ162のソース線(ソース
電極とも表現できる。)やドレイン線(ドレイン電極とも表現できる。)として機能する
導電膜108と、トランジスタ158のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜110と、ト
ランジスタ158のゲート電極として機能する導電膜112を形成し、トランジスタ15
8を構成する。また、トランジスタ158上に第1の層間膜114を形成することで第1
の回路層156を構成する(図2(B)参照。)。なお、図2(B)では、第1の回路層
156中には2つのトランジスタ158が構成されているのみであるが、実際には第1の
回路層156中には走査線駆動回路150および信号線駆動回路152が少なくとも形成
されている。
【0076】
なお、本実施の形態等では、第1の回路層156には第1の層間膜114が含まれた構造
となっているが、少なくとも走査線駆動回路150および信号線駆動回路152が含まれ
ている構造であれば、当該構造に限らず第1の回路層156と表現することができる。
【0077】
導電膜108は、ベース基板102および絶縁膜104上に導電膜を成膜し、フォトリソ
グラフィ法、印刷法、インクジェット法などを用いて導電膜上にマスクを形成し、当該マ
スクを用いて導電膜の一部を選択的に除去することで形成する。
【0078】
導電膜108の形成に用いる導電膜は、真空蒸着法やスパッタリング法などの物理気相成
長法(PVD:Physical Vapor Deposition)やプラズマCV
D法などの化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Depositi
on)を用いて、例えば、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、
タングステンから選ばれた元素を含む金属膜、又は上述した元素を成分とする金属窒化物
膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を単層膜または積層膜とし
て形成すればよい。また、アルミニウム、銅などの金属膜の下側又は上側の一方又は双方
にチタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属膜又はそれらの金属窒化物膜(窒
化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた膜を用いてもよい。
又は、導電性の金属酸化物膜を成膜してもよい。導電性の金属酸化物膜としては酸化イン
ジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸
化スズ(In-SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛(In
-ZnO)又はこれらの金属酸化物膜に酸化シリコンを含ませたものを用いることが
できる。導電性の金属酸化物膜は可視光領域の光を透過し易いため、特に表示装置100
を、基板102側から照射する光を用いた表示装置とする場合において、基板102側か
ら照射される光が画像表示部154側に透過し易いため好ましい。
【0079】
絶縁膜110は、十分な耐圧および絶縁性を有する酸化物絶縁膜を用いることが好ましい
。絶縁膜110としては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法などの物理気相成長法
(PVD:Physical Vapor Deposition)やプラズマCVD法
などの化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition
)を用いて、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン
膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アル
ミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ランタン膜などを、単層でまた
は積層構造して形成すればよい。なお、プラズマCVD法を用いて絶縁膜110を形成す
る場合、マイクロ波(例えば、2.45GHzのマイクロ波。)により生成したプラズマ
を用いることで、マイクロ波を用いない場合と比較して膜密度が高くかつ界面準位密度の
低い高品質な絶縁膜を形成できる。
【0080】
また、絶縁膜110として酸化ハフニウム膜、ハフニウムシリケート膜(HfSi
x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート膜(HfSiO(x
>0、y>0))、ハフニウムアルミネート膜(HfAl(x>0、y>0))な
どのhigh-k材料を絶縁膜110の少なくとも一部として用いてもよい。これにより
ゲートリーク電流を低減することができる。
【0081】
導電膜112は、絶縁膜110上に導電膜を成膜し、フォトリソグラフィ法、印刷法、イ
ンクジェット法などを用いて導電膜上にマスクを形成し、当該マスクを用いて導電膜の一
部を選択的に除去することで形成する。
【0082】
導電膜112の形成に用いる導電膜は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法などの物
理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)やプラ
ズマCVD法などの化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Depo
sition)を用いて、モリブデン膜、チタン膜、タンタル膜、タングステン膜、アル
ミニウム膜、銅膜、ネオジム膜、スカンジウム膜等の金属膜又はこれらを主成分とする膜
を単層または積層構造で形成すればよい。また、導電性の金属酸化膜を用いて形成しても
よい。導電性の金属酸化膜としては酸化インジウム(In)膜、酸化スズ(SnO
)膜、酸化亜鉛(ZnO)膜、インジウムスズ酸化物(In-SnO、ITO
と略記する場合がある)膜、インジウム亜鉛酸化物(In-ZnO)膜、または、
これらの金属酸化物膜にシリコン若しくは酸化シリコンを含有させた膜を導電膜112の
一部あるいは全部に用いることもできる。
【0083】
以上の工程により、ベース基板102上に、走査線駆動回路150および信号線駆動回路
152の備えるトランジスタ158を形成できる。
【0084】
なお、第1の回路層156の形成に用いるトランジスタ158上の第1の層間膜114は
、絶縁膜110の説明にて記載された材料および方法を参酌して形成すればよい。
【0085】
次に、第1の層間膜114上に、第2の層間膜116、絶縁膜118および下地膜120
、ならびに、画像表示部154と走査線駆動回路150および信号線駆動回路152を電
気的に接続する配線として機能する導電膜148を形成する(図2(C)参照。)。なお
、後の工程にて外部配線172と走査線駆動回路150および信号線駆動回路152を電
気的に接続するために用いる配線145を、導電膜148の形成工程にて形成する(図2
(C)参照。)。
【0086】
第2の層間膜116は、第1の回路層156の形成により生じた段差を少なくするための
平坦化層としての役割を主に有している。第2の層間膜116としては、例えば、スピン
コート法、印刷法などの湿式法を用いて、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂等の有機樹脂を第1の回路層156上に塗布し
、加熱処理などにより硬化させて形成すればよい。また、低誘電率材料(low-k材料
)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用い
ることができる。なお、これらの材料で形成される膜を複数積層させてもよい。なお、上
述の有機材料は水分などの不純物を比較的多く含んでいる場合が多いため、有機材料を用
いて形成する膜に接して、水蒸気透過性の低い膜(例えば、酸化アルミニウムや酸化アル
ミニウムを含む積層膜など。)を形成してもよい。なお、第1の回路層156の形成によ
り生じた段差が、第2の回路層160の形成に悪影響を与えない程度に十分小さい場合は
、必ずしも第1の回路層156を設ける必要はない。
【0087】
絶縁膜118は、トランジスタ158の電気特性に悪影響を及ぼし得る不純物が外部から
侵入する事を抑制する効果、トランジスタ162の電気特性に悪影響を及ぼし得る不純物
が第1の回路層156中から拡散する事を抑制する効果などを有している。なお、絶縁膜
118は必ずしも設ける必要はないが、第2の回路層160の半導体膜126として酸化
物半導体膜を用いる場合、酸化物半導体膜126の膜中に水素が多量に含まれると、酸化
物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生
じてしまい、トランジスタ162のしきい値電圧のマイナス方向へのシフト、トランジス
タの初期特性のバラツキの増大、トランジスタの電気特性に関するL長依存性の増大、B
Tストレス試験において電気特性劣化が大きくなる、といった問題が生じる原因となる恐
れがあるため、絶縁膜118を設けることが望ましいと言える。
【0088】
絶縁膜118および下地膜120は、絶縁膜110の説明にて記載された材料および方法
を参酌して形成すればよい。
【0089】
なお、トランジスタ162の備える半導体膜106として酸化物半導体膜を用いる場合、
下地膜120を、加熱処理により酸素を放出する膜(以下、酸素供給膜と記載する場合も
ある。)とすることが好ましい。以下に理由を記載する。
【0090】
酸化物半導体膜を半導体膜126として用いたトランジスタは、半導体膜126中のチャ
ネル形成領域に酸素欠損が存在した場合、酸素欠損に起因して電荷が生じる場合がある。
一般に酸化物半導体膜の酸素欠損は一部がドナーとなりキャリアである電子を放出する。
この結果、トランジスタのしきい値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。
【0091】
下地膜120が酸素供給膜として機能する場合、加熱処理によって酸素供給膜中の酸素の
一部を放出できるので、後述する半導体膜126を成膜後、酸素供給層を加熱して半導体
膜126に酸素を供給し、半導体膜126中の酸素欠損を補填することができる。これに
より、トランジスタ162のしきい値電圧のマイナス方向へのシフトを抑制できる。特に
、下地膜120中に少なくとも化学量論的組成比を超える量の酸素が存在することが好ま
しい。例えば、下地膜120として酸化シリコンを用いる場合、SiO2+α(ただし、
α>0)で表される酸化シリコン膜を用いることが好ましい。なお、このような化学量論
的組成比よりも酸素を過剰に含む領域(以下、酸素過剰領域と記載する場合もある。)は
、下地膜120の少なくとも一部に存在していればよい。
【0092】
なお、上述の「加熱処理により酸素を放出する膜」とは、TDS(Thermal De
sorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)分析にて、酸素原
子に換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm以上、好ましくは3
.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは1.0×702atoms
/cm以上、さらに好ましくは3.0×702atoms/cm以上であることを
いう。
【0093】
ここで、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量の測定方法について、以下
に説明する。
【0094】
TDS分析による気体の放出量は、スペクトルの積分値に比例する。このため、測定した
スペクトルの積分値と標準試料の基準値との比により、気体の放出量を計算することがで
きる。標準試料の基準値は、所定の原子密度を有する試料において、スペクトルの積分値
に対する原子密度の割合である。
【0095】
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、およ
び絶縁膜のTDS分析結果から、絶縁膜の酸素分子の放出量(NO2)は、式(1)で求
めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比(M/z)が32で検出さ
れるスペクトルの全てが酸素分子由来と仮定する。M/zが32のものとしてほかにCH
OHがあるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子
の同位体であるM/zが17の酸素原子およびM/zが18の酸素原子を含む酸素分子に
ついても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
【0096】
【数1】
【0097】
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試
料をTDSによるスペクトルの積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/S
H2とする。SO2は、絶縁膜をTDS分析によるスペクトルの積分値である。αは、T
DSにおけるスペクトル強度に影響する係数である。式(1)の詳細に関しては、特開平
6-275697公報を参照する。なお、上記絶縁膜の酸素の放出量は、電子科学株式会
社製の昇温脱離分析装置EMD-WA1000S/Wを用い、標準試料として1×10
atoms/cmの水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定する。
【0098】
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原
子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分
子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量につ
いても見積もることができる。
【0099】
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子
の放出量の2倍となる。
【0100】
膜中への酸素の導入は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング
法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、酸素を含む雰囲気下で行うプ
ラズマ処理などを用いることができる。
【0101】
なお、加熱処理により下地膜120から半導体膜126に酸素を供給する場合、下地膜1
20から放出される酸素が半導体膜126に効率的に供給されるように、下地膜120の
下層に酸素透過性や水蒸気透過性(水分透過性とも表現できる。)の低い膜(以下、バリ
ア膜と記載する場合もある。)を形成することが好ましい。例えば下地膜120に接する
絶縁膜118として、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニ
ウム膜などのバリア膜を形成した構造とすればよい。なお、酸化アルミニウム膜を用いる
場合、膜を高密度(膜密度3.2g/cm以上、好ましくは3.6g/cm以上)と
することが好ましい。
【0102】
導電膜148は、導電膜108の説明にて記載された材料および方法を参酌して形成すれ
ばよい。
【0103】
次に、下地膜120上に、トランジスタ162のゲート電極として機能する導電膜122
、トランジスタ162のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜124、半導体膜126、ト
ランジスタ162のソース線(ソース電極とも表現できる。)やドレイン線(ドレイン電
極とも表現できる。)として機能する導電膜128を形成し、トランジスタ162を形成
する。また、トランジスタ162上に絶縁膜130、絶縁膜132および導電膜134を
形成することで、画像表示部154を備える第2の回路層160を形成する(図2(D)
参照。)。導電膜134は、絶縁膜130および絶縁膜132に設けられた開口部を介し
てトランジスタ162と電気的に接続されており、画像表示部154の画素電極として機
能する。
【0104】
また、後の工程にて外部配線172と走査線駆動回路150および信号線駆動回路152
を電気的に接続するために用いる配線129および配線135を、それぞれ導電膜128
および導電膜134の形成工程にて形成する(図2(D)参照。)。
【0105】
なお、第2の回路層160は当該構造に限定されず、少なくとも画像表示部154が含ま
れている構造であれば、当該構造に限らず第2の回路層160と表現することができる。
【0106】
導電膜122は、導電膜112の説明にて記載された材料および方法を参酌して形成すれ
ばよい。
【0107】
なお、半導体膜126として酸化物半導体膜を用いる場合、導電膜122の少なくとも絶
縁膜124と接する面に、半導体膜126として用いる膜よりも仕事関数の大きな膜を用
いることが好ましい。当該膜としては、窒素を含むIn-Ga-Zn-O膜、窒素を含む
In-Sn-O膜、窒素を含むIn-Ga-O膜、窒素を含むIn-Zn-O膜、窒素を
含むSn-O膜、窒素を含むIn-O膜、金属窒化膜(InN、SnNなど)などの、窒
素を含む金属酸化物膜などを用いることができる。これらの膜は5eV(電子ボルト)、
好ましくは5.5eV(電子ボルト)以上の仕事関数を有し、当該膜をゲート電極として
用いた場合、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノ
ーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。
【0108】
絶縁膜124は、絶縁膜110の説明にて記載された材料および方法を参酌して形成すれ
ばよい。
【0109】
なお、半導体膜126としてインジウムを含む酸化物半導体膜を用いる場合、絶縁膜12
4と半導体膜126が直接接していると、半導体膜126中のインジウムが絶縁膜124
中に拡散し、トランジスタ162の電気特性に悪影響を与えることがある。このため、絶
縁膜124と半導体膜126の間に、インジウムの拡散を抑制する機能を備える膜を形成
してもよい。当該膜としては、例えば、酸化ガリウム、酸化亜鉛ガリウムなどを用いるこ
とができる。また、絶縁膜124自体をインジウムの拡散を抑制する機能を備える膜とし
てもよい。
【0110】
半導体膜126としては、例えば半導体膜106と同様に、単結晶半導体基板から分離し
た単結晶半導体膜を用いることができる。また、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲル
マニウム、炭化シリコンまたはガリウム砒素などの多結晶(ポリクリスタルとも言われる
。)膜、微結晶(マイクロクリスタルとも言われる。)膜または非晶質膜を半導体膜とし
て用いてもよい。これらの膜は、公知の技術を用いて形成すればよい。
【0111】
また、半導体膜126として、スパッタリング法、MBE(Moleculer Bea
m Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic La
yer Deposition)法等を用いて酸化物半導体膜を成膜した後に、フォトリ
ソグラフィ法、印刷法、インクジェット法などを用いて酸化物半導体膜上にマスクを形成
し、当該マスクを用いて酸化物半導体膜の一部を選択的に除去して半導体膜126を形成
してもよい。酸化物半導体膜を用いることもできる。酸化物半導体材膜は、単結晶、多結
晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質などの状態をとる。
【0112】
半導体膜126として酸化物半導体膜を用いる場合、CAAC-OS(C Axis A
ligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜
とすることが好ましい。
【0113】
なお、半導体膜126としてCAAC-OS膜を成膜する場合、以下の三つの方法で成膜
すればよい。第1の方法は、200℃以上450℃以下の成膜温度で酸化物半導体膜を成
膜してCAAC-OS膜とする方法である。第2の方法は、酸化物半導体膜を成膜した後
、当該膜に対して200℃以上700℃以下の熱処理を行うことでCAAC-OS膜とす
る方法である。第3の方法は、酸化物半導体膜を2層に分けて成膜し、1層目の酸化物半
導体膜を薄く成膜した後、200℃以上700℃以下の熱処理を行い1層目の膜をCAA
C-OS膜とし、当該膜上に2層目の成膜を行うことで、1層目の結晶を種結晶として2
層目の酸化物半導体膜をCAAC-OS膜とする方法である。
【0114】
導電膜128は、導電膜108の説明にて記載された材料および方法を参酌して形成すれ
ばよい。
【0115】
なお、第1の回路層156に備えられた走査線駆動回路150(および信号線駆動回路1
52)と第2の回路層160に備えられた画像表示部154を電気的に接続するため、絶
縁膜124、下地膜120、絶縁膜118および第2の層間膜116の一部に開口部を形
成して導電膜148を露出させた状態で導電膜128を形成する。
【0116】
絶縁膜130は、絶縁膜118の説明にて記載された材料および方法を参酌して形成すれ
ばよい。また、絶縁膜132は、第2の層間膜116にて記載された材料および方法を参
酌して形成すればよい。
【0117】
導電膜134は、画像表示部154の画素電極として機能する。導電膜134は、導電膜
108の説明にて記載された材料および方法を参酌して形成すればよい。
【0118】
次に、絶縁膜132および導電膜134上に、一方の面に表示装置100の共通電極とし
て機能する導電膜140が形成され、他方の面にカラーフィルター142が形成された対
向基板138を、第2の回路層160と導電膜140が対向する状態に、封止材料136
を用いてベース基板102と貼り合わせる。なお、貼り合わせに際し、ベース基板102
と対向基板138間には、両者の隙間サイズを調整するためにスペーサー144を挟んだ
状態で貼り合わせを行う。そして、スペーサー144により形成されたベース基板102
と対向基板138間の隙間に、液晶材料146を注入することにより、表示装置100が
完成する(図3(A)参照。)。
【0119】
対向基板138は、ベース基板102の説明にて記載された材料および方法を参酌して形
成すればよい。また、導電膜140は、導電膜108の説明にて記載された材料および方
法を参酌して形成すればよい。
【0120】
カラーフィルター142、スペーサー144および液晶材料146については、材料や形
成方法に特段の限定はなく、公知技術を用いることができる。また、封止材料136の材
料および形成方法、ならびに、ベース基板102と対向基板138の貼り合わせ方法につ
いても、公知の技術を用いることができる。
【0121】
次に、第1の回路層156の備える走査線駆動回路150(および信号線駆動回路152
)と電気的に接続された配線135に、導電材料170を用いて外部配線172を貼り合
わせる(図3(B)参照。)。
【0122】
導電材料170および外部配線172としては、様々な公知材料を用いることができるが
、例えば、導電材料170として異方性導電樹脂(ACP:Anisotropic C
onductive Paste)や異方性導電フィルム(ACF:Anisotrop
ic Conductive Film)を用いることができ、外部配線172としては
フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circui
ts)を用いることができる。
【0123】
以上の工程を経ることにより、図1に記載の表示装置100を形成できる。
【0124】
当該発光装置は、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152の構成要素であるト
ランジスタ158の半導体膜106が、単結晶半導体基板から分離した単結晶半導体薄膜
を用いて形成された薄膜トランジスタであるため、高い駆動能力を備えている。
【0125】
また、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152を上述のように薄膜素子(例え
ば薄膜トランジスタなど。)を用いて構成することにより、走査線駆動回路150および
信号線駆動回路152を備える第1の回路層156の厚さを非常に薄くできることができ
るため、第1の回路層156と重なる状態に画像表示部154を備える第2の回路層16
0を形成できる。
【0126】
加えて、画像表示部154と、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152を電気
的に接続する導電膜148が、画像表示部154と重なる位置に形成されている。
【0127】
したがって、表示装置100において画像表示部154の周辺に走査線駆動回路150お
よび信号線駆動回路152を設置する必要が無く、また、画像表示部154と、走査線駆
動回路150および信号線駆動回路152間の配線引き回しスペースを無くすことができ
るため、表示装置100の額縁部分を大幅に減少させることができる。
【0128】
また、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152を備える第1の回路層156が
、ベース基板102および第2の回路層160に挟まれた構造であるため、走査線駆動回
路150および信号線駆動回路152の構成要素の一つであるトランジスタ158に対し
て、外部から不純物(例えば水分など。)が侵入しにくい構造となっている。したがって
、走査線駆動回路150および信号線駆動回路152を、長期にわたって特性の安定した
信頼性の高いものとできる。
【0129】
なお、本実施の形態における表示装置100の画像表示部154は、回路層180の備え
る導電膜134と、対向基板138の備える導電膜140間に液晶材料を挟み、電極に対
して電源電圧印加を行うことにより画像を表示する、いわゆる液晶表示装置の構成を記載
したが、図4に示すように、導電膜134の端部を覆う状態に隔壁402が形成され、導
電膜134上に少なくとも発光性の有機化合物を含む発光層を備えるEL層404が形成
され、EL層404上に、EL層404を挟む状態に導電膜134と重なる導電膜406
が形成された構成の画像表示部を備える表示装置400としてもよい。なお、図4の表示
装置400は、対向基板138にカラーフィルター142が形成されているが、画像表示
部から射出される光のみで所望の映像表示が可能であれば、カラーフィルター142は必
ずしも設ける必要はない。
【0130】
(実施の形態2)
本明細書等に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用するこ
とができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョ
ン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカ
メラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともい
う)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機な
どが挙げられる。上記実施の形態で説明した表示装置を具備する電子機器の一例を、以下
にて説明する。
【0131】
図5(A)は、携帯型の情報端末500の一例を示す図であり、筐体501には表示部5
02、スピーカ503、カメラ504、マイク505および外部接続端子506などが設
けられている。されている。なお、筐体501の内部には様々な電子部品(例えば、CP
U、MPU、記憶素子など。)が組み込まれている。
【0132】
情報端末500の表示部502として、上述実施の形態にて記載した構造の表示装置を用
いることにより、情報端末500の額縁を極めて小さくすることができる。このため、筐
体501のサイズを大きくすることなく、表示部502のサイズをより大きくすることが
できるため、例えば、人が片手で持てる形状を維持しながら画面サイズを大きくして、情
報端末500の付加価値を高めることができる。また、筐体サイズを変えることなく画面
サイズを大きくできるため、情報端末500の軽量化にも繋がる。
【0133】
なお、情報端末500内に通信装置を設け、携帯電話(スマートフォンとも言える。)と
して用いてもよい。
【0134】
図5(B)は、テレビジョン装置510の一例を示す図であり、筐体511に表示部51
2などが組み込まれており、スタンド513にて支持されている。
【0135】
テレビジョン装置510の表示部512として、上述実施の形態にて記載した構造の表示
装置を用いることにより、テレビジョン装置の額縁を極めて小さくすることができる。こ
のため、筐体511のサイズを大きくすることなく、表示部512のサイズをより大きく
することができるため、テレビジョン装置510を高いデザイン性を備えた付加価値の高
いものとできる。また、筐体サイズを変えることなく画面サイズを大きくできるため、テ
レビジョン装置510の軽量化にも繋がる。
【0136】
テレビジョン装置510の操作は、表示部512に表示される操作ボタンなどを直接触れ
ることにより行うことができる。また、筐体511が備える操作スイッチや、別体のリモ
コン操作機により行うことができる。
【0137】
テレビジョン装置510は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般
のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信
ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者
と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0138】
なお、本実施の形態にて記載した構造の表示装置を備えるテレビジョン装置510は、額
縁部分が極めて小さいため、図5(C)のように、表示部512を備える筐体511を複
数台並べてマルチディスプレイ520として用いた場合においても、視認者には表示部5
12の継ぎ目(つまり、額縁部分。)が分かり難くいため、視認者にあたかも一枚の表示
装置と認識させることができるといった利点を備えている。
【0139】
特に、300nm以上700nm以下の波長の光が80%以上透過する基板をベース基板
として用いた表示装置を、図5(D)(図5(C)点線四角部分の拡大図。)に示すよう
に、隣接する表示装置において画像表示部と額縁部分が重なるように設置することが好ま
しい。実施の形態1に記載の表示装置は、画像表示部と重ならない部分(つまり、額縁部
分。)には、走査線駆動回路や信号線駆動回路などの、光を遮蔽する回路が形成されてい
ない、あるいは形成されている領域が極めて少ないため、表示部512は、筐体511の
額縁部分と重なっていても視認者に対して鮮明に表示されるため、表示装置間の額縁部分
を完全に無くし、視認者に1枚の表示装置と認識させることができる。
【0140】
以上のように、本発明の適用範囲はきわめて広く、あらゆる分野の電子機器や情報表示手
段に用いることができる。
【0141】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0142】
100 表示装置
102 ベース基板
104 絶縁膜
106 半導体膜
108 導電膜
110 絶縁膜
112 導電膜
114 第1の層間膜
116 第2の層間膜
118 絶縁膜
120 下地膜
122 導電膜
124 絶縁膜
126 半導体膜
128 導電膜
129 配線
130 絶縁膜
132 絶縁膜
134 導電膜
135 配線
136 封止材料
138 対向基板
140 導電膜
142 カラーフィルター
144 スペーサー
145 配線
146 液晶材料
148 導電膜
150 走査線駆動回路
152 信号線駆動回路
154 画像表示部
156 第1の回路層
158 トランジスタ
160 第2の回路層
162 トランジスタ
170 導電材料
172 外部配線
180 回路層
400 表示装置
402 隔壁
404 EL層
406 導電膜
500 情報端末
501 筐体
502 表示部
503 スピーカ
504 カメラ
505 マイク
506 外部接続端子
510 テレビジョン装置
511 筐体
512 表示部
513 スタンド
520 マルチディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5