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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20231208BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20231208BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20231208BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G06F1/16 312J
G06F1/16 312E
G06F1/16 312F
G06F1/20 B
G06F1/20 C
H05K5/02 V
F16C11/04 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022126081
(22)【出願日】2022-08-08
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中垣 佳士
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-167525(JP,A)
【文献】特開2014-146306(JP,A)
【文献】特開2004-240995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
G06F 1/20
H05K 5/02
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1筐体と、
ディスプレイを搭載した第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体の一縁部同士を相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
を備え、
前記第1筐体の一縁部には、その長手方向での両側部を除く部分が後方に向かって突出した突出部が設けられ、
前記ヒンジ装置は、
前記突出部の長手方向での両端面にそれぞれ連結され、前記突出部と前記第2筐体との間を相対的に回動可能に連結する一対のヒンジシャフトと、
前記一対のヒンジシャフトのそれぞれと、前記第2筐体の一縁部との間を一体的に固定する一対のヒンジアームと、
を有し、
さらに、前記突出部に搭載され、前記突出部の表面に臨むサブディスプレイを備え
前記ヒンジシャフトから前記一対のヒンジアームの先端までの長さは、前記ヒンジシャフトと前記突出部の突出端面との間の距離よりも長く構成されることで、前記一対のヒンジアームは相互間に前記突出部を長手方向に跨いだ状態で設けられ、
前記第2筐体の一縁部は、前記一対のヒンジアームが回動することで、前記突出端面を回り込むように回動可能である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項に記載の電子機器であって、
前記ヒンジ装置は、さらに、前記突出部と前記第1筐体との間を相対的に回動可能に連結する一対の第2ヒンジシャフトを有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項に記載の電子機器であって、
前記一対の第2ヒンジシャフトの回転トルクは、前記ヒンジシャフトの回転トルクよりも大きい
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項又はに記載の電子機器であって、
前記ヒンジ装置は、前記第1筐体と前記第2筐体との間を、互いに積層されて前記第1筐体の表面に前記ディスプレイが対面する第1角度と、互いの裏面同士が対面した状態で積層される第2角度との間で回動可能に連結しており、
前記サブディスプレイは、前記第2角度時に前記ディスプレイの一側部に並ぶように配置される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項に記載の電子機器であって、
前記第1筐体は、さらに、発熱体と、前記発熱体の熱を吸熱して輸送するヒートパイプと、前記ヒートパイプによって輸送された熱を放熱するヒートシンクと、を収容しており、
前記ヒートシンク及びヒートパイプは、少なくとも一部が前記突出部に収容され、前記サブディスプレイの下方に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
電子機器であって、
第1筐体と、
ディスプレイを搭載した第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体の一縁部同士を相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
を備え、
前記第1筐体の一縁部には、その長手方向での両側部を除く部分が後方に向かって突出した突出部が設けられ、
前記ヒンジ装置は、
前記突出部の長手方向での両端面にそれぞれ連結され、前記突出部と前記第2筐体との間を相対的に回動可能に連結する一対のヒンジシャフトと、
前記一対のヒンジシャフトのそれぞれと、前記第2筐体の一縁部との間を一体的に固定する一対のヒンジアームと、
を有し、
さらに、前記突出部に搭載され、前記突出部の表面に臨むサブディスプレイを備え、
前記第1筐体は、さらに、発熱体と、前記発熱体の熱を吸熱して輸送するヒートパイプと、前記ヒートパイプによって輸送された熱を放熱するヒートシンクと、を収容しており、
前記ヒートシンク及びヒートパイプは、少なくとも一部が前記突出部に収容され、前記サブディスプレイの下方に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器であって、
前記第1筐体は、前記突出部の突出端面に開口し、前記ヒートシンクと対向する排気口を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項6に記載の電子機器であって、
さらに、前記第1筐体の表面に臨むキーボードを備え、
前記ヒートシンク及びヒートパイプは、前記第1筐体の厚み方向で前記キーボードとオーバーラップしない位置にある
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、通常、キーボードを搭載した第1筐体と、ディスプレイを搭載した第2筐体とをヒンジ装置で連結している。このような電子機器では、ディスプレイ(メインディスプレイ)に加えて、第1筐体にもディスプレイ(サブディスプレイ)を設けた構成がある(例えば、特許文献1参照)。サブディスプレイには、例えばメインディスプレイで表示しきれないタブや各アプリケーションのサムネイル等を表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6807989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成のサブディスプレイは、第1筐体から第2筐体を開いた状態でのみ利用できる。つまりサブディスプレイは、メインディスプレイの使用時のみ利用可能となっている。
【0005】
ところで、サブディスプレイは、例えばメールやチャットの通知、スケジュール、及びバッテリ残量等のように第1筐体と第2筐体とを閉じた状態でも確認したい情報を表示することへの要望もある。そこで、サブディスプレイは、例えば第2筐体の背面に設置することも考えられる。ところが、この場合は、今度はメインディスプレイ使用時にサブディスプレイを実質的に利用できなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、筐体間の回動角度に関わらず、サブディスプレイを利用可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、第1筐体と、ディスプレイを搭載した第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体の一縁部同士を相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、を備え、前記第1筐体の一縁部には、その長手方向での両側部を除く部分が後方に向かって突出した突出部が設けられ、前記ヒンジ装置は、前記突出部の長手方向での両端面にそれぞれ連結され、前記突出部と前記第2筐体との間を相対的に回動可能に連結する一対のヒンジシャフトと、前記一対のヒンジシャフトのそれぞれと、前記第2筐体の一縁部との間を一体的に固定する一対のヒンジアームと、を有し、さらに、前記突出部に搭載され、前記突出部の表面に臨むサブディスプレイを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、筐体間の回動角度に関わらず、サブディスプレイを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る電子機器を120度姿勢として上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、図1に示す電子機器を0度姿勢とした平面図である。
図3A図3Aは、0度姿勢での突出部及びその周辺部を拡大した模式的な斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aに示す筐体を30度姿勢とした状態での斜視図である。
図3C図3Cは、図3Aに示す筐体を120度姿勢とした状態での斜視図である。
図4A図4Aは、0度姿勢での突出部及びその周辺部を拡大した模式的な側面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示す筐体を120度姿勢とした状態での側面図である。
図4C図4Cは、図4Aに示す筐体を180度姿勢とした状態での側面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る電子機器を360度姿勢としてディスプレイ側から見た模式的な斜視図である。
図6A図6Aは、0度姿勢での突出部及びその周辺部を拡大した模式的な側面図である。
図6B図6Bは、図6Aに示す筐体を120度姿勢とした状態での側面図である。
図6C図6Cは、図6Aに示す筐体を360度姿勢とした状態での側面図である。
図7A図7Aは、0度姿勢でのヒンジ装置及びその周辺部を拡大した模式的な一部断面側面図である。
図7B図7Bは、図7Aに示す筐体を225度姿勢とした状態での一部断面側面図である。
図7C図7Cは、図7Aに示す筐体を360度姿勢とした状態での一部断面側面図である。
図8図8は、180度姿勢でのヒンジ装置及びその周辺部を拡大した模式的な平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
先ず、第1実施形態に係る電子機器10について説明する。
【0012】
図1は、第1実施形態に係る電子機器10を120度姿勢として上から見下ろした模式的な平面図である。図2は、図1に示す電子機器10を0度姿勢とした平面図である。図1及び図2に示すように、電子機器10は、第1筐体11と第2筐体12とをヒンジ装置14によって相対的に回動可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。
【0013】
第2筐体12は、第1筐体11よりも薄い箱状の筐体である。第2筐体12は、タッチパネル式のディスプレイ16を備える。ディスプレイ16は、当該電子機器10のメインディスプレイであり、例えば有機EL又は液晶等で構成されている。
【0014】
以下、第1筐体11及びこれに設けられた各構成要素について、ディスプレイ16を視認しながらキーボード18を操作する使用者から見た方向で、手前側を前、奥側を後、第1筐体11の厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0015】
第1筐体11は、薄い箱状の筐体である。第1筐体11と第2筐体12は、互いの一縁部11a,12a同士がヒンジ装置14によって連結されている。第1筐体11の一縁部11aは、左右に沿って延在する後縁部である。
【0016】
第1筐体11の内部には、CPU17等を実装したマザーボード、メモリ、バッテリ装置等が収納されている。第1筐体11の上面11bには、キーボード18及びタッチパッド19が設けられている。キーボード18は、上下動可能な複数のキートップを有する機械式でもよいし、タッチパネル式のディスプレイに表示されるソフトウェア式でもよい。第1筐体11の上面11bは、キーボード18に代えてディスプレイ16と同様な大画面のディスプレイを設けた構成としてもよい。キーボード18は、上記したソフトウェア式のものをこのディスプレイに表示してもよい。
【0017】
第1筐体11の一縁部11aには、後方に向かって突出した突出部20が設けられている。突出部20は、第1筐体11の一縁部11aの長手方向の両側部(左右側部)を除く大部分を後方に向かって突出させたものである。これにより第1筐体11は、左右の後角部をそれぞれ矩形状に切り欠いた一対の凹部11c,11dを有する。凹部11c,11dは、ヒンジ装置14の設置スペースとなる。
【0018】
図3Aは、0度姿勢での突出部20及びその周辺部を拡大した模式的な斜視図である。図3B図3Cは、図3Aに示す筐体11,12をそれぞれ30度姿勢、120度姿勢とした状態での斜視図である。図4Aは、0度姿勢での突出部20及びその周辺部を拡大した模式的な側面図である。図4B図4Cは、図4Aに示す筐体11,12をそれぞれ120度姿勢、180度姿勢とした状態での側面図である。図3B及び図3Cでは、キーボード18の各キートップの図示は省略している。
【0019】
本出願では、説明の便宜上、ヒンジ装置14による筐体11,12間の角度姿勢については、第2筐体12を第1筐体11の上面11b上に積層して閉じた状態とし、ディスプレイ16がキーボード18に対面した姿勢を0度姿勢(図2図3A及び図4A参照)と呼び、この0度姿勢を基準として、第2筐体12を回動させながら開く方向で角度を刻みながら説明している。なお、0度姿勢、30度姿勢、120度姿勢、180度姿勢等の呼び方については、筐体11,12及びヒンジ装置14の構造等によっては角度数字が示す正確な角度から多少ずれた角度となることも当然生じることがあり、これらのずれた角度も含めて、本出願は0度姿勢等と呼んで説明している。
【0020】
図1及び図2に示すように、突出部20にはサブディスプレイ22が搭載されている。サブディスプレイ22は、突出部20の上面20aを臨んでいる(図3A及び図4A参照)。サブディスプレイ22は、ディスプレイ16よりも小さいタッチパネル式の小型ディスプレイであり、例えば有機EL又は液晶等で構成されている。突出部20の上面20aは、キーボード18が臨む第1筐体11の上面11bの後方に連続している。つまりサブディスプレイ22は、第1筐体11の上面11b上でキーボード18又はキーボード18に代えて設けられるディスプレイの後方に位置している。本実施形態の場合、突出部20の上面20aは、上面11bよりも僅かに上方に配置されている(図4A参照)。上面20aは、上面11bと面一でもよいし、多少下方にあってもよい。
【0021】
図1図4Cに示すように、ヒンジ装置14は、左右一対のヒンジシャフト24L,24Rと、左右一対のヒンジアーム25L,25Rとを備える。左側のヒンジシャフト24L及びヒンジアーム25Rは、突出部20の左端部及び左側の凹状部14cに配置される。右側のヒンジシャフト24R及びヒンジアーム25Rは、突出部20の右端部及び右側の凹状部14dに配置される。
【0022】
左右のヒンジシャフト24L,24R及びその周辺部の構成は、左右対称構造でよいため、以下では両者を区別せずに「ヒンジシャフト24」と呼ぶことがある。同様に、左右のヒンジアーム25L,25Rも「ヒンジアーム25」と呼ぶことがある。
【0023】
ヒンジシャフト24は、ヒンジ装置14のヒンジ軸となる金属シャフトである。左側のヒンジシャフト24Lは、第1端部が凹部11cに配置され、第2端部が突出部20の左端面20cを貫通して突出部20内に挿入されている。右側のヒンジシャフト24Rは、第1端部が凹部11dに配置され、第2端部が突出部20の右端面20dを貫通して突出部20内に挿入されている。
【0024】
ヒンジシャフト24の第1端部には、ヒンジアーム25が相対回転不能な状態で連結されている。つまりヒンジアーム25は、ヒンジシャフト24と一体的に回転する。ヒンジシャフト24の第2端部は、第1筐体11に固定されたトルク発生器によって突出部20内で支持されている。つまりヒンジシャフト24は、第1筐体11に対して所定の回転トルクで相対回転可能である。トルク発生器は、例えば図8に示すトルク発生器47と同一又は同様な構成でよい。
【0025】
ヒンジアーム25は、ヒンジシャフト24と第2筐体12とを連結する部材である。ヒンジアーム25の第1端部は、第2筐体12の一縁部12aと相対回転不能な状態で連結されている。ヒンジアーム25の第1端部は、例えば図8に示すヒンジアーム25Rと同一又は同様な構成で第2筐体12に固定されるとよい。ヒンジアーム25の第2端部は、ヒンジキャップ26を介してヒンジシャフト24の第1端部と「相対回転不能に固定されている。これにより第2筐体12は、ヒンジアーム25及びヒンジシャフト24と一体的に回転する。ヒンジキャップ26は、凹部11c,11dに配置されたヒンジシャフト24の第1端部を覆うと共に、この第1端部と一体的に形成される化粧部材である。
【0026】
図3A及び図4Aに示す0度姿勢において、ヒンジアーム25は、突出部20の端面20c,20dに設けられたヒンジシャフト24と、これより前方にある第2筐体12の一縁部12aとの間を連結する。そこで、ヒンジアーム25は、0度姿勢時に前方に向かって次第に上方に傾斜した形状を有する。これによりヒンジアーム25は、0度姿勢時に外観上で目立つことがなく、電子機器10の意匠性を低下させることがない。ヒンジアーム25は、例えばヒンジシャフト24から上方に突出した後、前方に屈曲した側面視L字形状等で形成されてもよい。
【0027】
図4A図4Cに示すように、電子機器10は、発熱体であるCPU17を冷却するための冷却装置28を第1筐体11内に搭載している。冷却装置28は、ファン30と、ヒートパイプ31と、ヒートシンク32とを有する。
【0028】
ファン30は、第1筐体11内の後方寄りの位置でキーボード18の下方に配置された遠心ファンである。ファン30は、上下面から吸い込んだ筐体12内外の空気を後面の空気出口30aが排出する。ヒートパイプ31は、密閉空間の内部に作動流体を封入した熱輸送デバイスである。ヒートパイプ31は、第1端部がCPU17に接続され、第2端部がヒートシンク32の上面に接続される。ヒートパイプ31の第2端部はヒートシンク32の下面に接続されてもよい。ヒートパイプ31は、密閉空間内を作動流体が相変化しながら流通することで、CPU17の熱を高効率にヒートシンク32まで輸送できる。ヒートシンク32は、アルミニウムや銅で形成された複数のフィンを左右に並べて起立させた構造である。ヒートシンク32は、ファン30の空気出口30aの直後に配置され、空気出口30aからの空気が流通することで、ヒートパイプ31で輸送された熱を効率よく放熱できる。
【0029】
本実施形態の電子機器10では、ヒートパイプ31及びヒートシンク32の大部分が突出部20内に収容されている。図4Aに示すように、本実施形態のヒートパイプ31及びヒートシンク32は、前端部がキーボード18の後端面よりも後方に配置され、後端部が突出部20内に配置されている。これにより電子機器10は、従来のノート型PCに比べて、特にヒートシンク32の高さを大きく拡大でき、放熱面積の拡大による冷却効率の向上が実現される。
【0030】
すなわち、第1筐体11において、キーボード18は大きな外形面積とある程度の厚みを有する。このため、突出部20を持たない従来のノート型PCでは、キーボード18の下にファンのみならず、ヒートシンクやヒートパイプを配置していたため、ヒートシンクの高さの制約が厳しく、放熱面積の拡大が難しかった。この点、本実施形態の電子機器10は、ヒートシンク32を突出部20に配置でき、上下方向でキーボード18とオーバーラップしない位置に配置できるため、ヒートシンク32がキーボード18の厚みによる影響を受けない。ここで、サブディスプレイ22は、液晶や有機ELであり、キーボード18よりも相当に薄い。例えばキーボード18が4mm程度であると、サブディスプレイ22は2mm以下である。このため、電子機器10では、突出部20を利用してキーボード18の後方にオフセット配置されたヒートシンク32の高さを容易に拡張することが可能となっている。ヒートパイプ31及びヒートシンク32は、少なくとも一部が突出部20内に配置されていればよく、全体が突出部20内に収容されていてもよい。
【0031】
図3A図3Cに示すように、突出部20の突出端面(後側面)20bには、例えばその左右全長に亘って延在する排気口34が設けられている。排気口34は、突出端面20bに開口を形成し、これをメッシュやスリットで通気可能に覆ったものである。排気口34は、ヒートシンク32の後面(空気排出面)に面している。このため、ファン30からヒートシンク32を通過した空気は、排気口34を通して第1筐体11外へと円滑に排出される。排気口34は、突出端面20bのうち、ヒートシンク32と対向する一部のみに設けられてもよい。
【0032】
次に、本実施形態の電子機器10の動作及び作用効果を説明する。
【0033】
先ず、図3A及び図4Aに示す0度姿勢において、第2筐体12の一縁部12aは、第1筐体11の一縁部11aと上下に略一に配置される。つまり0度姿勢時、一縁部11a,12aは互いの前後方向位置が略一致する。これにより突出部20は、一縁部11a,12aから後方に突き出した配置となる。
【0034】
その結果、サブディスプレイ22は第2筐体12で覆われず、外観上に露出している(図2も参照)。このため、電子機器10は、第2筐体12を第1筐体11の上に閉じてディスプレイ16を使用しない0度姿勢時であっても、サブディスプレイ22を利用できる。図2に示すように、0度姿勢時、サブディスプレイ22には、例えば「検索フィールド(Search)」、「Eメールの通知数(eMail)」、「チャットのサムネイル(chat)」、「ミーディング予定(Next meeting)」、「バッテリ残量」、「時計」等を表示してもよい。
【0035】
これにより電子機器10は、筐体11,12を閉じた状態であってもユーザがこれらの各種情報を視認及び利用でき、高い利便性が得られる。なお、0度姿勢時は、排気口34が第2筐体12で塞がれないため、冷却装置28の冷却効率も高い。
【0036】
次に、第2筐体12を0度姿勢から開き方向に回動させると、第2筐体12がヒンジアーム25と共にヒンジシャフト24を回転中心として次第に起き上がる(図3B参照)。そして、例えば図3C及び図4Bに示す120度姿勢(又はその付近の角度)において、電子機器10は、ディスプレイ16を視認しながらキーボード18を操作するのに最適な態様となる。
【0037】
この際、第2筐体12は、突出部20の後方に配置される(図4B参照)。具体的には、第2筐体12は、その一縁部11aが突出部20の突出端面20bと上面20aとの角部付近に配置され、全体として突出部20よりも後方に配置される。
【0038】
その結果、電子機器10は、120度姿勢時にもサブディスプレイ22が第2筐体12で覆われず、外観上に露出している(図1も参照)。このため、電子機器10は、ディスプレイ16及びキーボード18を利用可能な通常の使用態様においてもサブディスプレイ22を利用できる。図1に示すように、120度姿勢時、サブディスプレイ22は、ディスプレイ16の直下且つ直前に位置する。そこで、サブディスプレイ22は、例えばディスプレイ16の拡張ディスプレイとして使用できる。この場合、サブディスプレイ22には、例えばディスプレイ16に表示されたデスクトップ画面に対応するタスクバー機能を表示してもよい。つまりサブディスプレイ22には、スタートボタン、起動中のアプリケーション、アクティブフォルダ、IME、各種アイコン、時計等を表示できる。
【0039】
これにより電子機器10は、筐体11,12を開いた状態であっても、ユーザがこれら各種情報を視認及び利用でき、一層高い利便性が得られる。なお、120度姿勢時においても排気口34が第2筐体12で塞がれないため、冷却装置28の冷却効率は高い(図3C参照)。
【0040】
次に、第2筐体12を120度姿勢からさらに開き方向に回動すると、第2筐体12がヒンジアーム25と共にヒンジシャフト24を回転中心として次第に後方に寝始める(図4C参照)。そして、図4Cに示す180度姿勢において、電子機器10は、第2筐体12が第1筐体11の後方に位置し、互いの面方向が略平行する。
【0041】
この際、第2筐体12は、突出部20の後方で低位置に配置される。具体的には、第2筐体12は、その一縁部11aが突出端面20bの下端部の後方に配置される。その結果、第2筐体12の背面12bは、第1筐体11の下面11eと略平行に配置される。図4C等の参照符号36は、下面11eに固定されたゴム脚であり、電子機器10を机上面等に載置する際の脚部となる。
【0042】
その結果、電子機器10は、180度姿勢においても、上記した120度姿勢の場合と同様にディスプレイ16とサブディスプレイ22とを併用でき、高い利便性が得られる。なお、180度姿勢時においても排気口34が第2筐体12で塞がれないため、冷却装置28の冷却効率は高い(図4C参照)。
【0043】
ところで、図4A図4Cに示すように、第2筐体12は、0度姿勢から180度姿勢に向かって回動する際、突出部20と干渉することなく、突出部20を前方から後方へと跨ぐように旋回する。そこで、図4Aに示すように、ヒンジシャフト24の中心から第2筐体12の一縁部11aに連結されたヒンジアーム25の先端までの長さL1は、ヒンジシャフト24の中心と突出部20の突出端面20bとの間の距離L2よりも長い必要がある。これにより一対のヒンジアーム25L,25Rは、相互間に突出部20を長手方向(X方向)に跨いだ状態で回動可能に設けられる。そして、一対のヒンジアーム25L,25Rが回動すると、第2筐体12は、その一縁部12aが突出部20の突出端面20bを回り込むように回動する。その結果、当該電子機器10は、突出部20に搭載したサブディスプレイ22を常に外観上に露出させた状態で第2筐体12の円滑な回動動作が可能となる。
【0044】
次に、第2実施形態に係る電子機器10Aについて説明する。
【0045】
図5は、第2実施形態に係る電子機器10Aを360度姿勢としてディスプレイ16側から見た模式的な斜視図である。図6Aは、0度姿勢での突出部20A及びその周辺部を拡大した模式的な側面図である。図6B図6Cは、図6Aに示す筐体11,12をそれぞれ120度姿勢、360度姿勢とした状態での側面図である。第2実施形態に係る電子機器10Aにおいて、上記第1の実施形態に係る電子機器10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0046】
本実施形態の電子機器10Aは、上記した第1実施形態の電子機器10のヒンジ装置14及び突出部20とは構成の異なるヒンジ装置14A及び突出部20Aを備える。上記した電子機器10の突出部20は、第1筐体11と一体に形成されていた。これに対して、本実施形態の電子機器10Aの突出部20Aは、図5図6Cに示すように、第1筐体11と別体に構成され、第1筐体11に対して相対的に回動可能に連結されている。また、本実施形態のヒンジ装置14Aは、突出部20Aと第2筐体12とを相対的に回動可能に連結すると共に、突出部20Aと第1筐体11とを相対的に回動可能に連結したものである。
【0047】
電子機器10Aは、このようなヒンジ装置14A及び突出部20Aを備えることで、筐体11,12間を0度姿勢から180度姿勢を越えて360度姿勢まで回動可能である。なお、120度姿勢や0度姿勢時の平面視での電子機器10Aの外観は、図1及び図2に示す電子機器10の外観と略同様である。そこで、図1及び図2中に括弧書きで電子機器10A、ヒンジ装置14A、及び突出部20Aの符号を付記し、120度姿勢及び0度姿勢での電子機器10Aの全体図の図示を省略している。
【0048】
図7Aは、0度姿勢でのヒンジ装置14A及びその周辺部を拡大した模式的な一部断面側面図である。図7B図7Cは、図7Aに示す筐体11,12をそれぞれ225度姿勢、360度姿勢とした状態での一部断面側面図である。図7A図7Cは、図6A図6Cに示す突出部20Aを断面で示した模式図である。図8は、180度姿勢でのヒンジ装置14A及びその周辺部を拡大した模式的な平面断面図である。
【0049】
図5及び図8に示すように、電子機器10Aの第1筐体11は、一縁部11aの長手方向での両側部(左右側部)を除く大部分を前方に向かって凹ませた凹部38を有する。突出部20Aは、前後方向での略前半部が凹部38に挿入され、略後半部が上記した突出部20と同様に一縁部11aから後方に突出した配置となる(図6A図6B図7A及び図7Bも参照)。電子機器10Aでは、一縁部11aから後方に突出した突出部20Aの略後半部の端面20c,20dと、一縁部11aとの間に凹部11c,11dが形成されている。
【0050】
図7A図8に示すように、本実施形態のヒンジ装置14Aは、左右一対のヒンジシャフト24L,24Rと、左右一対のヒンジアーム25L,25Rと、左右一対の第2ヒンジシャフト40L,40Rと、ストッパ部42とを備える。
【0051】
本実施形態のヒンジ装置14Aにおいても、左右のヒンジシャフト24L,24R及びその周辺部の構成は、左右対称構造でよいため、以下では両者を区別せずに「ヒンジシャフト24」と呼ぶことがある。同様に、左右のヒンジアーム25L,25Rも「ヒンジアーム25」と呼び、左右の第2ヒンジシャフト40L,40Rも「第2ヒンジシャフト40」と呼ぶことがある。
【0052】
ヒンジ装置14Aのヒンジシャフト24及びヒンジアーム25は、上記した第1実施形態のヒンジ装置14のものと同一又は同様な構成でよい。
【0053】
ヒンジシャフト40は、突出部20Aと第1筐体11との間の回転軸となる金属シャフトである。ヒンジシャフト40は、凹部38に挿入された突出部20Aの略前半部と、第1筐体11との間を連結する。ヒンジシャフト40は、第1端部が凹部38の内側面を貫通して第1筐体11内に挿入され、第2端部が凹部38に挿入された突出部20Aの略前半部の側面を貫通して突出部20A内に挿入されている。
【0054】
図8に示すように、ヒンジシャフト40の第1端部は、連結プレート44が一体的に固定され、この連結プレート44を介して第1筐体11にねじ止め固定されている。ヒンジシャフト40の第2端部は、突出部20Aに対してねじ止め固定されたトルク発生器46に対して突出部20A内で支持され、所定の回転トルクで突出部20Aに対して相対回転可能である。つまりヒンジシャフト40は、第1端部が第1筐体11に相対回転不能に固定され、第2端部が突出部20Aに対してトルク発生器46を介して相対回転可能に支持されている。これによりヒンジシャフト40は、第1筐体11に対して突出部20Aを相対的に回動可能に連結している。
【0055】
なお、図8に示すように、ヒンジシャフト24の第1端部は、ヒンジアーム25が一体的に固定され、このヒンジアーム25を介して第2筐体12にねじ止め固定されている。ヒンジシャフト24の第2端部は、突出部20Aに対してねじ止め固定されたトルク発生器47に対して突出部20A内で支持され、所定の回転トルクで突出部20Aに対して相対回転可能である。つまりヒンジシャフト24は、第1端部がヒンジアーム25を介して第2筐体12に相対回転不能に固定され、第2端部が突出部20Aに対してトルク発生器47を介して相対回転可能に支持されている。これによりヒンジシャフト24は、突出部20Aに対して第2筐体12を相対的に回動可能に連結している。
【0056】
トルク発生器46,47は、ヒンジシャフト40,24に所定の回転トルクを付与した状態で相対回転可能に支持する。トルク発生器46,47は、例えば皿ばねをヒンジシャフト40,24の軸方向に積層することで所定の回転トルクを発生するものとしてもよい。本実施形態の場合、トルク発生器46が発生するヒンジシャフト40の回転トルクは、トルク発生器47が発生するヒンジシャフト24の回転トルクよりも大きい。
【0057】
このように、ヒンジ装置14Aは、突出部20Aが2つのヒンジシャフト24,40を支持するヒンジ筐体として機能する。
【0058】
図7A図7Cに示すように、ストッパ部42は、ヒンジ筐体となる突出部20Aの内部に設けられた壁部或いは凸部である。第2筐体12と突出部20Aとを連結するヒンジシャフト24は、突出部20A内に挿入された部分の外周面から突起48が突出している。突起48は、ヒンジシャフト24が0度から所定の回転角度までの範囲にある間はストッパ部42に当接せず、ヒンジシャフト24の回転を許容する。突起48は、ヒンジシャフト24が所定の回転角度、本実施形態では225度となった際にストッパ部42に当接し、ヒンジシャフト24のそれ以上の回転を規制する。
【0059】
図8中の参照符号50は、第1筐体11内に収容され、CPU17を実装したマザーボードである。図8中の参照符号52は、第2筐体12内に収容され、ディスプレイ16の表示制御を行う制御基板である。制御基板52とマザーボード50とは、ヒンジ装置14及び突出部20Aに通された配線54で接続されている。
【0060】
図6A図6Cに示すように、本実施形態においても、第2筐体12は、0度姿勢から180度姿勢に向かって回動する際、突出部20Aと干渉することなく、突出部20Aを前方から後方へと跨ぐように旋回する。このため、図6Aに示すように、ヒンジシャフト24の中心から第2筐体12の一縁部11aに連結されたヒンジアーム25の先端までの長さL1は、ヒンジシャフト24の中心と突出部20Aの突出端面20bとの間の距離L2よりも長い。これによりヒンジ装置14Aにおいても、一対のヒンジアーム25L,25Rは、相互間に突出部20を長手方向(X方向)に跨いだ状態で回動可能に設けられる。そして、一対のヒンジアーム25L,25Rが回動すると、第2筐体12は、その一縁部12aが突出部20の突出端面20bを回り込むように回動する。
【0061】
次に、本実施形態の電子機器10Aの動作及び作用効果を説明する。
【0062】
先ず、図6A及び図7Aに示す0度姿勢において、第2筐体12の一縁部12aは、第1筐体11の一縁部11aと上下に略一に配置され、その後方に突出部20Aが突出する。これにより電子機器10Aにおいても、突出部20Aの上面20aを臨むサブディスプレイ22は、0度姿勢時に第2筐体12で覆われず、外観上に露出している。このため、電子機器10Aにおいても、筐体11,12を閉じた状態でサブディスプレイ22に各種情報を表示でき、高い利便性が得られる。
【0063】
次に、第2筐体12を0度姿勢から開き方向に回動させると、ヒンジシャフト24の回転トルクが第2ヒンジシャフト40の回転トルクよりも小さいため、ヒンジシャフト24のみが回転する。これにより電子機器10Aにおいても、先ず第2筐体12がヒンジアーム25と共にヒンジシャフト24を回転中心として次第に起き上がる。そして、例えば図6Bに示す120度姿勢(又はその付近の角度)において、電子機器10Aは、ディスプレイ16を視認しながらキーボード18を操作するのに適した態様となる。
【0064】
この際、電子機器10Aにおいても、120度姿勢時にサブディスプレイ22が第2筐体12で覆われず、外観上に露出している。このため、電子機器10Aにおいても、ディスプレイ16及びサブディスプレイ22を併用でき、高い利便性が得られる。
【0065】
次に、第2筐体12を120度姿勢からさらに開き方向に回動させると、225度姿勢で突起48がストッパ部42に当接し、ヒンジシャフト24のそれ以上の回転が規制される。そのまま、第2筐体12を225度姿勢からさらに開き方向に回動させると、今度は第2ヒンジシャフト40が回転を開始する。すなわち、この場合、突出部20Aと第2筐体12とが一体的に固定された状態で、両者が第2ヒンジシャフト40を回転中心として第1筐体11に対して相対的に回動する。
【0066】
そして、図5図6C及び図7Cに示す360度姿勢において、電子機器10Aは、第2筐体12が第1筐体11の下面11e側に積層される。この際、第1筐体11と第2筐体12は、キーボード18とディスプレイ16の裏面同士、具体的には下面11eと背面12bが対面した状態で積層される。
【0067】
電子機器10Aは、360度姿勢において、突出部20Aの上面20aが第1筐体11の面方向に対して45度程度傾いた姿勢となる。このため、電子機器10Aは、ディスプレイ16の一側部(後方)に45度姿勢で傾斜したサブディスプレイ22が並ぶように配置される。その結果、電子機器10Aは、図5に示すように、ディスプレイ16をメインディスプレイとしたタブレット型PCとして利用でき、その際、サブディスプレイ22に例えばディスプレイ16の補助機能や拡張機能等のためのアイコン等を表示できる。
【0068】
このように、電子機器10Aは、筐体11,12を360度姿勢としたタブレット型PCの使用モードにおいてもディスプレイ16とサブディスプレイ22を併用でき、高い利便性が得られる。
【0069】
以上のように、各実施形態の電子機器10,10Aは、第1筐体11の一縁部11aから後方に向かって突出した突出部20,20Aを備える。ここで、ヒンジ装置14,14Aは、突出部20の長手方向での両端面20c,20dにそれぞれ連結され、突出部20と第2筐体12との間を相対的に回動可能に連結する一対のヒンジシャフト24L,24Rと、一対のヒンジシャフト24L,24Rのそれぞれと第2筐体12の一縁部12aの間を一体的に固定する一対のヒンジアーム25L,25Rと、を有する。そして、電子機器10,10Aは、突出部20,20Aに搭載され、突出部20,20Aの上面20aに臨んで配置されることでキーボード18の後方に位置するサブディスプレイ22を備える。
【0070】
このように、当該電子機器10,10Aは、ヒンジシャフト24を突出部20,20Aの左右両端面20c,20dに連結し、このヒンジシャフト24にヒンジアーム25を一体的に固定することで、ヒンジ装置14,14Aが筐体11,12間を相対的に回動可能に連結している。その結果、電子機器10,10Aは、突出部20,20Aに設けたサブディスプレイ22を常に外観上に露出させた状態で筐体11,12間を回動させることができる。つまり電子機器10,10Aは、筐体11,12間の回動角度に関わらずサブディスプレイ22を利用でき、高い利便性が得られる。
【0071】
特に、電子機器10,10Aは、一対のヒンジアーム25L,25Rが相互間に突出部20を長手方向に跨いだ状態で設けられている。そして、第2筐体12の一縁部12aは、一対のヒンジアーム25L,25Rが回動することで、突出端面20bを回り込むように回動可能である。その結果、電子機器10は、サブディスプレイ22を外観上に露出させた状態での一層円滑な第2筐体12の回動動作が可能となっている。
【0072】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
10,10A 電子機器
11 第1筐体
12 第2筐体
14,14A ヒンジ装置
16 ディスプレイ
18 キーボード
20,20A 突出部
22 サブディスプレイ
24L,24R ヒンジシャフト
25L,25R ヒンジアーム
31 ヒートパイプ
32 ヒートシンク
34 排気口
40L,40R 第2ヒンジシャフト
46,47 トルク発生器
【要約】
【課題】筐体間の回動角度に関わらず、サブディスプレイを利用可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、第1筐体と、ディスプレイを搭載した第2筐体と、第1筐体と第2筐体の一縁部同士を相対的に回動可能に連結するヒンジ装置とを備える。第1筐体の一縁部には、その長手方向での両側部を除く部分が後方に向かって突出した突出部が設けられている。ヒンジ装置は、突出部の長手方向での両端面にそれぞれ連結され、突出部と第2筐体との間を相対的に回動可能に連結する一対のヒンジシャフトと、一対のヒンジシャフトのそれぞれと第2筐体の一縁部との間を一体的に固定する一対のヒンジアームとを有する。さらに、突出部に搭載され、突出部の表面に臨むサブディスプレイを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8