IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ヒータ 図1
  • 特許-ヒータ 図2
  • 特許-ヒータ 図3
  • 特許-ヒータ 図4
  • 特許-ヒータ 図5
  • 特許-ヒータ 図6
  • 特許-ヒータ 図7
  • 特許-ヒータ 図8
  • 特許-ヒータ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/06 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
H05B3/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022511135
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2021014178
(87)【国際公開番号】W WO2021201234
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2020067452
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 将貴
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-120794(JP,A)
【文献】特開2015-141858(JP,A)
【文献】特開2002-364842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/06
F23Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状または筒状の基体と、
前記基体に埋設された発熱抵抗体と、
第1端および第2端が開口した筒体であって、前記第1端を含む第1筒部と、前記第2端を含み、前記第1筒部に連なるとともに、前記第1筒部よりも外径が小さい第2筒部と、前記第2筒部の外周面に形成され、前記第2筒部の軸線方向に延びる少なくとも1つの突条部とを有し、前記第1端の開口から前記基体の一端部が挿入固定された筒体と、
前記筒体が挿通された第1孔を有し、前記第1孔の内周面が、前記第2筒部を囲んでいるとともに、前記少なくとも1つの突条部に接している金具と、を備えるヒータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの突条部は、前記第2筒部の周方向に互いに離隔して形成された複数の突条部である、請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記複数の突条部は、前記周方向に等間隔に形成されている、請求項2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの突条部は、前記第2筒部の前記外周面からの高さが前記第1筒部の外周面よりも高い突起部を有する、請求項1~3のいずれかに記載のヒータ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの突条部は、前記軸線方向全体にわたって形成されており、前記突起部は、前記少なくとも1つの突条部の、前記第1端側の端部に位置している、請求項4に記載のヒータ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの突条部は、前記第2筒部の径方向における外方から切欠かれた切り欠き部を有する、請求項1~4のいずれかに記載のヒータ。
【請求項7】
前記金具は、前記第1孔を有する筒状部と、第2孔を有する板状部とを有し、前記第2孔の内周面が、前記筒状部の外周面の、前記第1端側の端部に接続されている、請求項1~5のいずれかに記載のヒータ。
【請求項8】
前記金具は、前記第1孔を有する筒状部と、第2孔を有する板状部とを有し、前記第2孔の内周面が、前記筒状部の外周面の、前記第2端側の端部に接続されている、請求項1~5のいずれかに記載のヒータ。
【請求項9】
前記基体の前記一端部に接合され、前記発熱抵抗体に電気的に接続されたリード端子をさらに備え、
前記筒体の径方向に見たときに、前記金具は、前記基体と前記リード端子との接合部に重なっている、請求項1~8のいずれかに記載のヒータ。
【請求項10】
前記筒体の内周面と前記基体との間に接着剤が充填されており、前記接着剤は、前記基体と前記リードとの接合部を被覆している、請求項9に記載のヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃焼ガス雰囲気中で用いられるヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の一例は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-75187号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示のヒータは、棒状または筒状の基体と、
前記基体に埋設された発熱抵抗体と、
第1端および第2端が開口した筒体であって、前記第1端を含む第1筒部と、前記第2端を含み、前記第1筒部に連なるとともに、前記第1筒部よりも外径が小さい第2筒部と、前記第2筒部の外周面に形成され、前記第2筒部の軸線方向に延びる少なくとも1つの突条部とを有し、前記第1端の開口から前記基体の一端部が挿入固定された筒体と、
前記筒体が挿通された第1孔を有し、前記第1孔の内周面が、前記第2筒部を囲んでいるとともに、前記少なくとも1つの突条部に接している金具と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
【0006】
図1】本開示の一実施形態のヒータを示す断面図である。
図2】本開示の一実施形態のヒータを示す平面図である。
図3】本開示の一実施形態のヒータを示す平面図である。
図4】本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図である。
図5】本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図である。
図6】本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す平面図である。
図7】本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図である。
図8】本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図である。
図9】本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示のヒータの基礎となる構成であるヒータとして、燃焼機器の点火装置、自動車エンジンのグロープラグ等に用いられるヒータが種々提案されている。例えば特許文献1は、発熱抵抗体が埋設された基体の外周に筒体を外嵌するとともに、該筒体を筒状ハウジングに挿入固定してなるヒータを開示している。
【0008】
本開示のヒータの基礎となる構成のヒータでは、筒体にその軸線方向の外力が加わった場合に、筒体がハウジングから抜けてしてしまい、ヒータの耐久性および信頼性が低下することがあった。
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示のヒータの実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態のヒータを示す断面図であり、図2は、本開示の一実施形態のヒータを示す平面図であり、図3は、本開示の一実施形態のヒータを示す平面図である。図1は、ヒータを基体の長手方向に沿って切断した断面を示している。図2は、図1に示すヒータのD1方向の矢視図に対応し、図3は、図1に示すヒータのD2方向の矢視図に対応する。なお、D1方向(以下、単に、第1方向D1ともいう)およびD2方向(以下、単に、第2方向ともいう)は、基体の長手方向に沿う方向である。図2,3では、筒体および金具以外の構成要件を省略して図示している。
【0011】
本実施形態のヒータ1は、基体10と、発熱抵抗体20と、筒体30と、金具40とを備える。
【0012】
基体10は、長手方向を有する棒状または筒状の部材であり、一端部10aおよび他端部10bを有している。基体10は、例えば、丸棒状の形状を有していてもよく、四角形棒状(以下、板状ともいう)、六角形棒状等の多角形棒状の形状を有していてもよい。基体10は、例えば、円筒状の形状を有していてもよく、四角形筒状、六角形筒状等の多角形筒状の形状を有していてもよい。本実施形態のヒータ1では、例えば図1に示すように、基体10の形状は板状とされている。基体10の形状が板状である場合、基体10は、例えば、長さが30~60mmであり、幅が4.7~9mmであり、厚さが1.3~6mmである。
【0013】
基体10は、絶縁材料から成る。基体10は、例えば、電気絶縁性のセラミック材料から成る焼結体である。基体10に用いられるセラミック材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックスまたは炭化物セラミックス等が挙げられる。基体10に用いられるセラミック材料は、例えば、アルミナ質セラミックス、窒化珪素質セラミックス、窒化アルミニウム質セラミックス、炭化珪素質セラミックス等であってもよい。
【0014】
窒化珪素質セラミックスを用いて基体10を形成する場合、強度、靱性、絶縁性および耐熱性に優れた基体10とすることができる。窒化珪素質セラミックスから成る基体10は、例えば、次の方法で得ることができる。先ず、窒化珪素質セラミックスの主成分である窒化珪素に対して、焼結助剤として5~15質量%の酸化イットリウム、酸化イッテルビウムまたは酸化エルビウム等の希土類元素酸化物、0.5~5質量%の酸化アルミニウムおよび焼結体に含まれる量が1.5~5質量%となるように量が調整された二酸化珪素を混合して混合物を準備し、混合物を所定の形状に成形して成形体を作製する。その後、成形体を1650~1780℃の温度でホットプレス焼成することによって、窒化珪素質セラミックスから成る基体10を得ることができる。
【0015】
発熱抵抗体20は、通電によって発熱する線状の部材である。発熱抵抗体20は、基体10に埋設されている。本実施形態のヒータ1では、発熱抵抗体20は、例えば図1に示すように、屈曲部を含む折返し形状を有している。発熱抵抗体20は、その横断面が、例えば、円形状、楕円形状、多角形状等の形状を有している。なお、「横断面」は、発熱抵抗体20の自身が延びる方向に直交する断面を指す。
【0016】
発熱抵抗体20は、一方端部20aおよび他方端部20bを有している。一方端部20aおよび他方端部20bは、例えば図1に示すように、基体10の一端部10aの表面に設けられた2つの導体層11にそれぞれ接続されている。2つの導体層11は、ヒータ1の電極として機能している。2つの導体層11には、外部電源との電気的接続のための2つのリード端子21がそれぞれ接続されている。導体層11は、例えば銀、銅等の金属材料から成る。導体層11は、例えばスクリーン印刷等によって形成することができる。導体層11は、基体10に対向する面とは反対側の表面が、例えば矩形状の形状を有している。導体層11は、例えば、基体10の長手方向(以下、単に、長手方向ともいう)における長さが5mmであり、幅が6mmであり、厚さが100μmである。
【0017】
発熱抵抗体20は、例えば、全長が40~250mmであり、横断面の面積が0.0001~2mmである。発熱抵抗体20は、タングステン、モリブデン、チタン等の炭化物、窒化物または珪化物等を主成分とすることができる。
【0018】
基体10が窒化珪素質セラミックスから成る場合、発熱抵抗体20は、炭化タングステンから成っていてもよい。これにより、基体10の熱膨張率と発熱抵抗体20の熱膨張率とを近づけることができるため、ヒートサイクル下における発熱抵抗体20の断線を抑制できる。
【0019】
また、基体10が窒化珪素質セラミックスから成る場合、発熱抵抗体20は、炭化タングステンを主成分とするとともに、20質量%以上の窒化珪素を含有していてもよい。これにより、基体10の熱膨張率と発熱抵抗体20の熱膨張率とを近づけることができる。このため、ヒータ1の昇温時または降温時に基体10と発熱抵抗体20との熱膨張差によって生じる熱応力を低減することができる。
【0020】
リード端子21は、一端および他端を有している。リード端子21の一端は、導体層11を介して、基体10の一端部10aに接合されており、これにより、リード端子21と発熱抵抗体20とが電気的に接続されている。リード端子21の他端は、外部電源に接続されている。リード端子21と導体層11とは、例えばろう材によって接合されていてもよい。ろう材としては、例えば銀ろう、金-銅ろう、銀-銅ろう等を用いることができる。リード端子21は、例えばニッケル等から成る。リード端子21のうちの導体層11との接続部分および外部電源との接続部分以外の部分は、絶縁性のチューブによって覆われていてもよい。これにより、2つのリード端子21同士が接触してしまうことを抑制できる。チューブは、例えば、耐熱性に優れるフッ素樹脂等の樹脂材料から成っていてもよい。
【0021】
筒体30は、基体10およびリード端子21を保護するための部材である。筒体30は、例えば、円筒状の形状を有していてもよく、四角筒状、六角筒状等の多角筒状の形状を有していてもよい。本実施形態のヒータ1では、筒体30の形状は、円筒状とされている。筒体30は、第1端30aおよび第2端30bが開口しており、第1端30aの開口から基体10の一端部10aが挿入固定されている。
【0022】
筒体30は、第1端30aを含む第1筒部31と、第2端30bを含む第2筒部32とを有している。第2筒部32は、第1筒部31に連なっている。第1筒部31および第2筒部32は、第2筒部32の外径が第1筒部31の外径よりも小さくされている。
【0023】
本実施形態のヒータ1では、第1筒部31および第2筒部32は、円筒状の形状を有している。第1筒部31および第2筒部32は、第1筒部31の軸線と第2筒部32の軸線とが一致している。また、第1筒部31の軸線方向および第2筒部32の軸線方向が、基体10の長手方向に沿っている。
【0024】
筒体30は、例えば図3に示すように、第1端30aの開口の形状が、基体10の第2方向D2に見た平面形状に略一致する形状とされていてもよい。これにより、筒体30は基体10を緊密に保持することができる。
【0025】
基体10と筒体30の内周面30cとの間には、基体10と筒体30とを互いに固定するための接着剤50が充填されている。接着剤50は、基体10とリード端子21との接合部を被覆していてもよい。これにより、ヒータ1と外部電源との電気的接続の信頼性を向上させることができる。ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。接着剤50は、筒体30の内周面30cによって規定される空間の全体に充填されていてもよい。
【0026】
第1端30aの開口には、例えば図3に示すように、開口31bの中心側から切り欠かれた切欠き部が形成されていてもよい。これにより、ヒータ1を製造する際に、基体10の一端部10aを開口から挿入した後、切欠き部を介して、基体10の表面と筒体30の内周面30cとの間に接着剤50を充填することができる。このため、接着剤50を充填する過程で、基体10とリード端子21との接合部が破損する虞を低減できる。
【0027】
筒体30は、例えば図1,2に示すように、第2筒部32の外周面32aに形成された少なくとも1つの突条部33を有している。突条部33は、長手方向に延びている。少なくとも1つの突条部33は、長手方向に垂直な断面を見たときに、第2筒部32の外周面32aに接する面とは反対側の先端面33aが弧状形状を有していてもよい。図1,2は、第2筒部32の外周面32aに1つの突条部33が形成された例を示しているが、少なくとも1つの突条部33は、複数の突条部33であってもよい。
【0028】
金具40は、筒体30を保持し、筒体30を外部機器に搭載し易くするための部材である。金具40は、外部機器に固定されている。外部機器としては、例えば、暖房装置、ガスレンジ等が挙げられる。金具40は、フランジ状の形状を有している。金具40は、例えば、ステンレス鋼、鉄-ニッケル-コバルト合金等の金属材料から成る。
【0029】
金具40は、筒状部41と、板状部42とを有している。筒状部41は、その軸線方向に貫通する第1孔43を有している。筒状部41の軸線方向は、基体10の長手方向に沿っている。板状部42は、その厚さ方向に貫通する第2孔44を有している。第2孔44は、その内周面44aが筒状部41の外周面41aに接続されている。筒状部41と板状部42とは、一体的に形成されていてもよく、別個に形成されていてもよい。
【0030】
金具40の第1孔43には筒体30が挿通されている。金具40は、筒体30が挿通されていない状態で、第1孔43の内径が、突条部33が形成された第2筒部32に外接する仮想円C(図2を参照)の直径に略等しくされている。筒体30が挿通されていない状態で、第1孔43の内径は、例えば、仮想円Cの直径の100%であってもよく、仮想円Cの直径の70%以上100%未満であってもよい。金具40は、第1孔43に筒体30が挿通された場合に、例えば図2に示すように、内周面43a寄りの部位が筒体30に向かって弾性変形することができる。
【0031】
金具40は、第1孔43の内周面43aが、第2筒部32の外周面32aを囲むとともに、突条部33に接するように配置されている。換言すると、筒体30は、突条部33が形成された第2筒部32が第1孔43に圧入されており、例えば図2に示すように、突条部33の先端面33aと第2筒部32の外周面32aのうちの接触領域32bとが、第1孔43の内周面43aに接触している。筒体30は、先端面33aおよび接触領域32bと内周面43aとの間に生じる摩擦力によって、金具40に保持されている。
【0032】
ここで、接触領域32bとは、第2筒部32の外周面32aのうちの部分領域であり、筒体30が第1孔43に圧入された際に第1孔43の内周面43aに接触する領域を指す。第2筒部32の外周面32aに1つの突条部33が形成されている場合、接触領域32bは、例えば図2に示すように、第2筒部32の径方向において、突条部33の反対側に位置していてもよい。また、第2筒部32の外周面32aに複数の突条部33が形成されている場合、接触領域32bは、1つまたは複数存在してもよく、存在しなくてもよい。
【0033】
金具40は、例えば図2に示すように、第1孔43に筒体30が圧入された際、第1筒部31の外周面31aよりも内側に入り込んだ部分(以下、当接部ともいう)45を有する。当接部45は、第1筒部31の外周面31aよりも第2筒部32の外周面32aからの高さが低く、第1方向D1に見たときに、第1筒部31に重なる。このため、筒体30に第2方向D2の外力が加わり、筒体30が金具40に対して第2方向D2に相対移動したとしても、筒体30は、第1筒部31が当接部45に当接することによって、第2方向D2におけるそれ以上の相対移動が規制される。このように、本実施形態のヒータ1では、筒体30に第2方向D2の外力が加わったときの、筒体30の金具40からの抜けを抑制できる。ひいては、耐久性および信頼性が向上したヒータ1を提供することができる。
【0034】
本実施形態のヒータ1では、第2筒部32の外周面32aに突条部33が形成されていることによって、第2筒部32の外周面32aと第1孔43の内周面43aとの間に空隙Gが存在する。これにより、ヒートサイクル下において、金具40は空隙Gに向かって熱膨張することができるため、金具40から筒体30に加わる熱応力を低減できる。その結果、筒体30にクラックが生じにくくなる。ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0035】
本実施形態のヒータ1では、例えば図1に示すように、突条部33の先端面33aと第1筒部31の外周面31aとは、第2筒部32の外周面32aからの高さが等しくされている。これにより、先端面33aと外周面31aとが面一になり、その結果、突条部33の機械的強度を向上させることができる。ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0036】
本実施形態のヒータ1では、例えば図1に示すように、板状部42の内周面44aは、筒状部41の外周面41aにおける、筒体30の第1端30a側の端部に接続されている。このため、金具40は、第1筒部31に対向する側の部位の機械的強度が向上するので、筒体30が第2方向D2に相対移動することを効果的に規制することができる。その結果、筒体30に第2方向D2の外力が加わったときの、筒体30の金具40からの抜けを効果的に抑制できる。ひいては、耐久性および信頼性が向上したヒータ1を提供することができる。
【0037】
なお、図1では、第1筒部31と金具40とが長手方向において離隔している例を示したが、第1筒部31と金具40とは接触していてもよい。これにより、筒体30に第2方向D2の大きな撃力が加わった場合に、筒体30が、金具40に対して第2方向D2に急激に相対移動して、金具40に衝突し、筒体30にクラックが生じる虞を低減することができる。ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0038】
金具40は、例えば図1に示すように、筒体30の径方向に見たときに、基体10とリード端子21との接合部に重なっていてもよい。これにより、発熱抵抗体20において発生し、基体10とリード端子21との接合部に伝わった熱を、金具40を介して、外部に放熱することができるため、基体10とリード端子21との接合部が過度に高温になることを抑制できる。その結果、ヒータ1と外部電源との電気的接続の信頼性を向上させることができる。ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0039】
以下、図4~9を参照しながら、本実施形態のヒータ1の変形例について説明する。
【0040】
図4は、本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図であり、図5は、本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図であり、図6は、本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す平面図であり、図7は、本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図であり、図8は、本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図であり、図9は、本開示の一実施形態のヒータの変形例を示す要部拡大平面図である。図4,5,7~9は、ヒータにおける突条部の近傍を拡大して示している。図6は、図2に示した平面図に対応する。
【0041】
例えば図4に示すように、突条部33の先端面33aは、第1筒部31の外周面31aよりも、第2筒部32の外周面32aからの高さが低くてもよい。これにより、金具40は、内周面43a近傍の部位全体が当接部45となる。このため、筒体30に第2方向D2の外力が加わったときの、筒体30の金具40からの抜けを効果的に抑制できる。ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0042】
なお、突条部33の数、形成位置等によっては、突条部33は、第1筒部31の外周面31aよりも、第2筒部32の外周面32aからの高さが高くてもよい。例えば図2に示すように、第2筒部32に1つの細長い突条部33が形成されている場合、金具40は、突条部33の高さに依らず、当接部45を有することができるため、筒体30に第2方向D2の外力が加わったときの、筒体30の金具40からの抜けを抑制できる。
【0043】
例えば図5に示すように、少なくとも1つの突条部33は、第2筒部32の外周面32aからの高さが、筒体30の第2端30bに向かって、徐々に減少していてもよい。これにより、突条部33の外周面32aからの高さが一定である場合と比較して、先端面33aと内周面43aとの接触面積を増大させることができる。このため、筒体30と金具40とを強固に固定することが可能になる。また、ヒータ1を製造する際に、例えば、筒体30の第2端30bを第1孔43に圧入する作業が容易になる。さらに、筒体30に過度な応力を加えることなく、筒体30と金具40とがしっかり固定される位置で圧入を止めることができるため、筒体30にクラックが生じる虞を低減しつつ、筒体30と金具40とを強固に固定することが可能になる。
【0044】
例えば図6に示すように、少なくとも1つの突条部33は、複数の突条部33であってもよい。複数の突条部33は、第2筒部32の外周面32aに形成され、第2筒部32の周方向において、互いに離隔して形成されていてもよい。図6は、外周面32aに4つの突条部33が形成された例を示しているが、外周面32aに2つの突条部33、3つの突条部33または5つ以上の突条部33が形成されていてもよい。
【0045】
第2筒部32の外周面32aに複数の突条部33が形成されている場合、複数の突条部33の複数の先端面33aが第1孔43の内周面43aに接触する。その結果、筒体30と金具40との間に生じる摩擦力が増大するため、金具40は筒体30を強固に保持することができ、ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。なお、外周面32aに複数の突条部33が形成されている場合、例えば図6に示すように、第2筒部32の外周面32aにおける接触領域32bは存在しなくてもよい。
【0046】
また、外周面32aに複数の突条部33が形成されている場合、筒体30を第1孔43に圧入したときに、金具40は、例えば図6に示すように、複数の当接部45を有することができる。これにより、金具40は、筒体30が第2方向D2に相対移動することを効果的に規制することができるため、筒体30に第2方向D2の外力が加わったときの、筒体30の金具40からの抜けを効果的に抑制できる。
【0047】
例えば図6に示すように、複数の突条部33は、第2筒部32の周方向において、等間隔に形成されていてもよい。これにより、筒体30に第2方向D2の外力が加わり、筒体30が金具40に当接した場合に、複数の当接部45が筒体30に及ぼす合力の方向が筒体30の軸線方向に略一致する。このため、筒体30に曲げモーメントが発生することを抑制できる。その結果、筒体30が破損する虞を低減でき、ひいては、耐久性および信頼性が向上したヒータ1を提供することができる。
【0048】
例えば図7に示すように、少なくとも1つの突条部33は、第2筒部32の外周面32aからの高さが第1筒部31の外周面31aよりも高い突起部33bを有していてもよい。これにより、筒体30に第2方向D2の外力が加わった場合、突起部33bが金具40に当接することによって、金具40が筒体30に対して第1方向D1に相対移動することを効果的に抑制できる。また、金具40が、突起部33bを越えて、第1方向D1に相対移動した場合、金具40は、当接部45が第1筒部45に当接することによって、筒体30に対して第1方向D1に相対移動することを抑制できる。このように、突条部33が突起部33bを有する場合、筒体30に第2方向D2の外力が加わったときの、筒体30の金具40からの抜けを効果的に抑制できる。ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0049】
突条部33が、長手方向における第2筒部32の全体にわたって形成されている場合、突起部33bは、例えば図7に示すように、突条部33における第1筒部31側の端部に位置し、第1筒部31に隣接していてもよい。これにより、突起部33bの機械的強度を向上させることができるため、突起部33bが金具40に当接したときに、突起部33bにクラックが生じる虞を低減できる。ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0050】
少なくとも1つの突条部33は、第2筒部32の径方向における外方から切り欠かれた切欠き部33cを有していてもよい。この場合、筒体30に第2方向D2の外力が加わり、筒体30が金具40に対して第2方向D2に相対移動したとき、例えば図8に示すように、金具40は、その弾性復元力によって、切欠き部33c内に入り込むことができる。このため、筒体30に第2方向D2の外力が加わった場合、金具40は、切欠き部33c内に入り込んだ部位が切欠き部33cの内周面に当接することによって、筒体30に対して第1方向D1に相対移動することが規制される。また、金具40が、切欠き部33cを越えて、第1方向D1に相対移動した場合、金具40は、当接部45が第1筒部45に当接することによって、筒体30に対して第1方向D1に相対移動することを抑制できる。さらに、筒体30に第1方向D1の外力が加わった場合、金具40は、切欠き部33c内に入り込んだ部位が切欠き部33cの内周面に当接することによって、筒体30に対して第2方向D2に相対移動することが規制される。このように、突条部33が切欠き部33cを有する場合、筒体30に第1方向D1または第2方向D2の外力が加わったときの、筒体30の金具40からの抜けを効果的に抑制できる。ひいては、ヒータ1の耐久性および信頼性を向上させることができる。
【0051】
なお、ヒータ1を製造する際に、あるいはヒータ1を外部機器に搭載する際に、金具40を切欠き部33cに入り込ませておいてもよい。
【0052】
例えば図9に示すように、金具40は、板状部42の第2孔44の内周面44aが、筒状部41の外周面41aにおける第2端側の端部に接続されていてもよい。これにより、板状部42を発熱抵抗体20から遠ざけることができるため、発熱抵抗体20で発生した熱が、板状部42を介して、外部に過度に放熱されてしまうことを抑制できる。その結果、ヒータ1の加熱効率を向上させることができる。
【0053】
本開示は次の実施の形態が可能である。
【0054】
本開示のヒータは、棒状または筒状の基体と、
前記基体に埋設された発熱抵抗体と、
第1端および第2端が開口した筒体であって、前記第1端を含む第1筒部と、前記第2端を含み、前記第1筒部に連なるとともに、前記第1筒部よりも外径が小さい第2筒部と、前記第2筒部の外周面に形成され、前記第2筒部の軸線方向に延びる少なくとも1つの突条部とを有し、前記第1端の開口から前記基体の一端部が挿入固定された筒体と、
前記筒体が挿通された第1孔を有し、前記第1孔の内周面が、前記第2筒部を囲んでいるとともに、前記少なくとも1つの突条部に接している金具と、を備える。
【0055】
本開示のヒータによれば、耐久性および信頼性が向上したヒータを提供することができる。
【0056】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1 ヒータ
10 基体
10a 一端部
10b 他端部
11 導体層
20 発熱抵抗体
20a 一方端部
20b 他方端部
21 リード端子
30 筒体
30a 第1端
30b 第2端
30c 内周面
31 第1筒部
31a 外周面
31b 開口
32 第2筒部
32a 外周面
32b 接触領域
33 突条部
33a 先端面
33b 突起部
33c 切欠き部
40 金具
41 筒状部
41a 外周面
42 板状部
43 第1孔
43a 内周面
44 第2孔
44a 内周面
45 当接部
50 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9